JP2015062857A - マイクロデバイス、並びに、試料の移送方法 - Google Patents

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良教 赤木
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Abstract

【課題】より簡単な構成をもって、マイクロデバイスに設けられた2つのチャンバー間で液体試料を往復させる技術を提供する。
【解決手段】マイクロデバイス1は、第一チャンバー5と、第二チャンバー6と、両者を繋ぐ連結路7を有する。マイクロデバイス1は、さらに光応答性又は熱応答性のガス発生フィルム8を有する。ガス発生フィルム8から発生したガスを、第一チャンバー5と第二チャンバー6に供給し、ガスによる圧力によって、液体試料10の一方のチャンバーから他方のチャンバーへの移送を繰り返し、チャンバー間で液体試料10を往復させる。連結路7にはラプラス圧を利用した液体停止バルブ機構が働く細管22が設けられており、連結路7を通過する液体試料10は細管22に流入しないが、ガスは細管22を通じて系外部に逃げることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、マイクロデバイス、並びに、試料の移送方法に関する。本発明は、微量試料を用いた核酸増幅反応等に有用なものである。
微量の液体試料を取り扱うことができるマイクロデバイス(マイクロ流体デバイス)が知られている。例えば、手で容易に取り扱い得る大きさの基板(チップ)内に、液体試料等を搬送するためのマイクロ流路が形成され、必要に応じて、試料の導入部、試薬類の保持部、反応槽等が設けられたマイクロデバイスが知られている(例えば、特許文献1,2)。
マイクロデバイスを用いて液体試料を取り扱う場面において、マイクロデバイスに設けられた2つのチャンバー間で液体試料を往復させることがある。例えば、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)法等の核酸増幅反応において、2つの反応槽(チャンバー)の間で反応液を往復させ、反応液の昇温と降温を繰り返すことが考えられる。
PCR法による核酸増幅反応では、核酸を変性(解離)させる変性工程、核酸同士をアニーリングさせるアニーリング工程、及び核酸を伸長させる伸長工程を繰り返す。一般に、変性工程は94℃〜96℃程度の高温で行われ、一方、アニーリング工程と伸長工程は、これよりも低い温度、例えば55℃〜75℃程度で行われる。そして反応液の昇温と降温を繰り返すための方策として、異なる所定温度に維持された複数の領域を設定し、これらの領域間で反応液を移動又は往復させることが挙げられる。この方策によれば、1つの反応槽を昇温および降温させるよりも短時間で所望の温度に反応液をさらすことができ、核酸増幅に必要な時間を短縮できる。
例えば特許文献3には、ガラスキャピラリーからなる筒状の反応容器内に往復移動可能なピストンを設置し、当該ピストンを往復させることにより、反応容器内のDNA増幅用反応液を往復させるDNA増幅装置が開示されている。本装置では、反応液を3種の温度領域間で往復させることができる。また特許文献4には、マイクロ流体デバイスに形成されたジグザグ状の流路に反応液を一方向に流すことにより、異なる温度領域上を反応液が順次通過する構成が開示されている。
また核酸増幅反応以外でも、マイクロデバイスに設けられた2つのチャンバー間で、液体試料を往復させる場面があり得る。
特開2012−132879号公報 特開2012−215535号公報 特開平7−303469号公報 特開2005−192554号公報
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、ピストンを用いて反応液を往復させるものであり、装置の構成が複雑である。また特許文献4に記載の技術においても、別途用意したマイクロシリンジポンプを用いて反応液を送液しており、簡単な構成とはいえない。
そこで本発明は、より簡単な構成をもって、マイクロデバイスに設けられた2つのチャンバー間で液体試料を往復させる技術を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するための本発明の1つの様相は、2つのチャンバーの間で液体試料を往復させるマイクロデバイスであって、少なくとも2つのチャンバーと、前記2つのチャンバーを連結する連結路と、前記連結路と系外部を連結する細管と、前記チャンバーと連結するマイクロポンプが設けられ、前記マイクロポンプは、光応答性又は熱応答性のガス発生剤で構成されており、前記ガス発生剤から発生したガスによる圧力を液体試料に付与することにより、前記連結路を通じて一方のチャンバーから他方のチャンバーに前記液体試料を移送可能であり、前記ガスによる圧力を液体試料に付与して、前記連結路を通じて一方のチャンバーから他方のチャンバーに液体試料を移送する際に、前記細管への液体試料の流入が阻止され、かつ前記細管から前記ガスを逃がすものであることを特徴とするマイクロデバイスである。
本発明は2つのチャンバーの間で液体試料を往復させるマイクロデバイスに係るものである。本発明のマイクロデバイスは、光応答性又は熱応答性のガス発生剤から構成されるマイクロポンプを備えており、当該ガス発生剤から発生したガスの圧力を利用して液体試料を移送させることができる。そのため、ダイヤフラムポンプやシリンジポンプ等を用いる必要がなく、システム全体の小型化、ディスポーザブル化、及びメンテナンス性の向上を実現することができる。
さらに本発明のマイクロデバイスは、2つのチャンバー間を連結する連結路に、系外部に連結する細管が設けられている。そして、ガスによる圧力を液体試料に付与して、連結路を通じて一方のチャンバーから他方のチャンバーに液体試料を移送する際に、細管への液体試料の流入が阻止され、かつ細管から前記ガスを逃がす構成とされている。かかる構成により、ガスによる液体試料の移送をスムーズに行うことができる。
細管への液体試料の流入が阻止され、かつ細管からガスを逃がす構成は、例えば、ラプラス圧を利用した液体停止バルブ機構により実現することができる。当該機構は、例えば、特開2008−64748号公報、特開2009−128049号公報、特開2009−168487号公報に記載されている。
好ましくは、前記2つのチャンバーは所定温度に維持されるものであり、一方のチャンバーの前記所定温度と他方のチャンバーの前記所定温度とが異なる。
かかる構成により、2つの異なる温度に液体試料を交互に晒すことが可能となる。
好ましくは、前記ガス発生剤は、各チャンバーごとに独立して設けられている。
好ましくは、前記ガス発生剤は、アゾ又はアジド系ガス発生剤である。
好ましくは、前記ガス発生剤は、粘着性を有するバインダー樹脂に含有されている。
好ましくは、前記ガス発生剤は、フィルム状又はテープ状である。
好ましくは、核酸増幅反応に用いられる。
本発明の他の様相は、上記のマイクロデバイスを用いて2つのチャンバー間で液体試料を往復させる試料の移送方法であって、一方のチャンバーに収容された液体試料に前記ガス発生剤から発生したガスによる圧力を付与し、他方のチャンバーに前記液体試料を移送することを特徴とする試料の移送方法である。
本発明は、上記のマイクロデバイスを用いて2つのチャンバー間で液体試料を往復させる試料の移送方法に係るものである。本発明の試料の移送方法によれば、マイクロデバイスに設けられたガス発生剤から構成されるマイクロポンプを用いるので、システム全体の小型化、ディスポーザブル化、及びメンテナンス性の向上を実現することができる。
またマイクロデバイスに上記構成の細管が設けられているので、ガスによる液体試料の移送をスムーズに行うことができる。
好ましくは、一方のチャンバーを93℃〜97℃の所定温度に維持し、他方のチャンバーを55℃〜75℃の所定温度に維持する。
かかる構成により、PCR法等による核酸増幅反応を行うことができる。
好ましくは、前記液体試料は、昇温と降温を繰り返す核酸の増幅方法に用いられる反応液である。
本発明のマイクロデバイスは、光応答性又は熱応答性のガス発生剤から構成されるマイクロポンプを備えているので、システム全体の小型化、ディスポーザブル化、及びメンテナンス性の向上を実現することができる。さらに、液体試料の流入が阻止され、かつガスを逃がす細管が設けられているので、液体試料の移送をスムーズに行うことができる。
本発明の試料の移送方法についても同様であり、システム全体の小型化、ディスポーザブル化、及びメンテナンス性の向上を実現することができる。さらに、液体試料の移送をスムーズに行うことができる。
(a)は本発明の第一実施形態に係るチャンバーの構成を模式的に表す平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 チャンバーとガス発生フィルムの構成の一例を表す断面図である。 チャンバーとガス発生フィルムの構成の他の例を表す断面図である。 図1のチャンバー間で液体試料を往復させる方法を説明する説明図であり、(a)は液体試料が第一チャンバーに収容されている状態、(b)は液体試料が第一チャンバーから第二チャンバーに移動している状態、(c)は液体試料が第二チャンバーに収容されている状態、(d)は液体試料が第二チャンバーから第一チャンバーに移動している状態、(e)は液体試料が第一チャンバーに戻った状態を表す。 図4(b)及び図4(d)の細管近傍の様子を拡大した説明図である。 本発明の第二実施形態に係るチャンバーの構成を模式的に表す平面図である。 本発明の第三実施形態に係るチャンバーの構成を模式的に表す平面図である。 本発明の第一実施形態の変形例に係るチャンバーの構成を模式的に表す平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の理解を容易にするために、各図面において、各部材の大きさや厚みについては一部誇張して描かれており、実際の大きさや比率等とは必ずしも一致しないことがある。また本発明がこれらの実施形態に限定されないことは当然である。
図1に示す本発明の第一実施形態に係るマイクロデバイス1は、全体形状が板状であり、板状の基材2に保護部材3が積層された基本構造を有している。マイクロデバイス1には、第一チャンバー(チャンバー)5、第二チャンバー(チャンバー)6、連結路7、及び細管22が形成されている。
平面視において、第一チャンバー5と第二チャンバー6は隣接しており、かつ連結路7によって両者が接続されている。
第一チャンバー5と第二チャンバー6は、いずれも液体試料が導入かつ収容される密閉可能な部屋である。第一チャンバー5と第二チャンバー6は、基材2に形成された凹部と保護部材3とで囲まれた空間で構成されている。第一チャンバー5と第二チャンバー6のサイズ及び形状は、実質的に同じである。第一チャンバー5と第二チャンバー6の容積は、数〜数百mm3(μL)程度である。
第一チャンバー5と第二チャンバー6は、いずれも外部のヒータによって加熱可能である。すなわち、外部のヒータを第一チャンバー5あるいは第二チャンバー6に接触させることにより、第一チャンバー5と第二チャンバー6を所定温度に維持することができる。
連結路7は、第一チャンバー5と第二チャンバー6とを連結する流路である。連結路7は、基材2に形成された直線状の溝と保護部材3とで囲まれた筒状の空間で構成されている。第一チャンバー5と第二チャンバー6とは、連結路7を介して連通している。マイクロデバイス1に導入された液体試料は、連結路7を介して第一チャンバー5と第二チャンバー6との間を往復可能である。
連結路7はいわゆるマイクロ流路で構成されている。マイクロ流路とは、流路を流れる液体に所謂マイクロ効果が発現する形状寸法に形成されている微細な流路をいう。具体的には、流路を流れる液体が、表面張力と毛細管現象との影響を強く受け、通常の寸法の流路を流れる液体とは異なる挙動を示す形状寸法に形成されている微細な流路である。マイクロ流路の内径は、一般に0.02μm〜2mm程度である。
連結路7の壁面と液体試料との親和性を最適にすると、液体試料の移動がよりスムーズになる。連結路7の壁面と液体試料との親和性が低いと液体試料の移動が阻害されやすく、また、連結路7の壁面と液体試料との親和性が高いと低いと毛細管現象により、意図しない液体試料の移動が起こり好ましくない。例えば、液体試料が水溶液である場合、連結路7の壁面の接触角は気温23℃において40〜60°が好ましい。
連結路7の途中には細管22が設けられている。細管22は、連結路7に直交する方向に分岐しており、連結路7と系外部を連結している。
細管22は連結路7よりも細い。細管22の流路面積は、連結路7を流れる液体試料がラプラス圧によって細管22へ流入しない程度に形成されている。そのため細管22により、ラプラス圧を利用した液体停止バルブ機構が働く構成となっている。すなわち、連結路7を通過する液体試料は細管22に流入しないが、ガスは細管22を通じて系外部に逃げることができる。
具体的には、細管22の流路面積は、連結路7の流路面積の1/2以下であることが好ましい。また細管22の流路面積は、連結路7の流路面積の1/10以上であることが好ましい。さらに具体的には、連結路7は、横断面矩形状である場合、高さ及び幅が100μmオーダーであってもよい。一方、細管22は、断面矩形状である場合、高さ及び幅が1〜50μm程度であってもよく、5〜25μm程度であることが特に好ましい。連結路7の高さは、細管22の高さの1〜10倍程度であってもよく、1〜5倍程度であることが好ましい。
また、流路の横断面積に対する該横断面の辺周の比率で比較した場合、細管22の当該比率が、連結路7の当該比率の2倍〜10倍であることが好ましい。
マイクロデバイス1は、さらにガス発生フィルム(ガス発生剤)8を有している。そして、ガス発生フィルム8から発生したガスが、第一チャンバー5と第二チャンバー6に供給可能な構成とされ、マイクロポンプが形成されている。ここでガス発生フィルム8は、光応答性又は熱応答性のガス発生剤で構成されている。そのため、ガス発生フィルム8に光や熱からなる外部刺激を与えることにより、ガスを発生させることができる。
ガス発生フィルム8から発生したガスを、第一チャンバー5や第二チャンバー6に供給可能な構成としては、例えば、図2、図3に示すものが挙げられる。なお図2、図3では第一チャンバー5のみを示しているが、第二チャンバー6についても全く同じ構成を採用することができる。
図2に示す構成では、ガス発生フィルム8が基材2の下側(裏面)に設けられている。また基材2の裏面にはガス供給口12と、ガス供給口12から第一チャンバー5に至るガス供給用流路13が設けられている。そしてガス発生フィルム8は、ガス供給口12全体を塞ぐように、基材2の裏面に貼付されている。すなわち、ガス発生フィルム8の一方の面が、ガス供給用流路13の内部に向かって露出している。
第一チャンバー5にガスを供給する場合には、図2に示す状態で、例えば基材2の裏面側からガス発生フィルム8に向けて光源16から光を照射する。または熱を与える。これによりガス発生フィルム8からガスが発生し、ガス供給口12にガスが供給される。供給されたガスは、ガス供給用流路13を通じて第一チャンバー5内に導入される。
なお、ガス供給用流路13の途中に逆止弁等の逆流防止手段15が設けられている。逆流防止手段15により、第一チャンバー5からガス供給口12に向かってガスや液体試料10が逆流することが防止される。
一方、図3に示す構成では、ガス発生フィルム8が第一チャンバー5の上側に設けられている。詳細には、ガス発生フィルム8は基材2と保護部材3との間であって第一チャンバー5に対応する位置に設けられており、第一チャンバー5の天面を構成している。すなわちガス発生フィルム8の下面は、第一チャンバー5の内部に向かって露出している。そのため、ガス発生フィルム8に光や熱からなる外部刺激を与えることにより、ガスを発生させ、第一チャンバー5の内部にガスを供給することができる。なお、保護部材3を光透過性の材料で構成することにより、光源16を用いてマイクロデバイス1の上側から光を照射して、光をガス発生フィルム8に到達させることができる。
本実施形態のマイクロデバイス1を用いて第一チャンバー5と第二チャンバー6との間で液体試料10を往復させる手順について、図4(a)〜(e)を参照しながら説明する。なお本実施形態では、第一チャンバー5と第二チャンバー6それぞれに、図2や図3に例示されるような、光応答性又は熱応答性のガス発生フィルム8を利用したガス供給機構(マイクロポンプ)が設けられている。図4(a)〜(e)において、液体試料10にはハッチングを付している。
まず液体試料10を第一チャンバー5に導入する(図4(a))。
次に、第一チャンバー5に対応するガス発生フィルム8に光を照射し、ガスを発生させる。これにより、発生したガスが第一チャンバー5に供給され、液体試料10にガスによる圧力が付与される。すると、液体試料10が連結路7を通じて第二チャンバー6に向かって移動を開始する(図4(b))。このとき、連結路7を流れる液体試料10は細管22には流入せず、ガスのみが細管22から逃げる。そのため、液体試料10はスムーズに移動することができる。さらに、移動の過程で液体試料10の一部が失われることはない。この過程における細管22の近傍の様子は図5に示すとおりであり、液体試料10の気液界面が細管22内に実質的に入り込まず、全ての液体試料10が第二チャンバー6側へ移動する。
そして、液体試料10が第二チャンバー6に移送される(図4(c))。
次に、第二チャンバー6に対応するガス発生フィルム8に光を照射し、ガスを発生させる。これにより、発生したガスが第二チャンバー6に供給され、液体試料10にガスによる圧力が付与される。すると、液体試料10が連結路7を通じて第一チャンバー5に向かって移動を開始する(図4(d))。このときも、連結路7を流れる液体試料10は細管22には流入せず、ガスのみが細管22から逃げる。そのため、液体試料10はスムーズに移動することができる。さらに、移動の過程で液体試料10の一部が失われることはない(図5)。
そして、液体試料10が第一チャンバー5に移送される(図4(e))。すなわち第一チャンバー5に戻る。この液体試料10の往復が1サイクルとなる。必要に応じて、このサイクルを繰り返せばよい。
図4(a)〜(e)で示したサイクルを以下の条件で繰り返すことにより、PCR法による核酸増幅反応を行うことができる。例えば、第一チャンバー5で変性工程を行い、第二チャンバー6でアニーリング工程と伸長工程を行うことができる(2ステップ法)。
まず事前準備として、核酸増幅反応に必要な成分(鋳型DNA、プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ、基質等)を含む反応液を調製し、これを液体試料10とする。一方、外部のヒータを用いて、第一チャンバー5を93℃〜97℃、好ましくは94℃〜96℃、第二チャンバー6を55℃〜75℃、好ましくは66℃〜70℃の各所定温度に維持しておく。
この状態で、図4(a)〜(e)で示した液体試料10の往復サイクルを繰り返す。これにより、液体試料10の昇温と降温を繰り返すことができ、核酸が増幅される。
上記した実施形態は、第一チャンバー5と第二チャンバー6との間で液体試料10を往復させるものである。次に説明する第二実施形態では、第三チャンバー23をさらに設定している。そして、図6に示すように、第一チャンバー5と第二チャンバー6と第三チャンバー23とが、この順番に連結路7a,7bを介して直列に連結されている。そして、第一チャンバー5と第二チャンバー6との間、並びに、第二チャンバー6と第三チャンバー23との間で、液体試料が往復可能である。第一チャンバー5と第三チャンバー23との間でも、第二チャンバー6を介して液体試料が往復可能といえる。
そして連結路7a,7bには、それぞれ上記構成の細管22a,22bが連結されている。すなわち、細管22a,22bによってラプラス圧を利用した液体停止バルブ機構が働く構成となっている。
第三チャンバー23の構成は、第一チャンバー5や第二チャンバー6の構成と同じである。例えば第三チャンバー23にも、図2,3に示すように、ガス発生フィルム8から発生したガスを供給可能である。すなわち、第一チャンバー5、第二チャンバー6、及び第三チャンバー23に対して、マイクロポンプによるガスの供給が可能である。
また第一チャンバー5や第二チャンバー6と同様に、第三チャンバー23も外部のヒータによって加熱可能である。すなわち、外部のヒータを第三チャンバー23に接触させることにより、第三チャンバー23を所定温度に維持することができる。
液体試料の移送についても、図4(a)〜(e)と同様に行うことができる。すなわち、まず液体試料を第一チャンバー5に導入する。次に、第一チャンバー5にガス発生フィルムから発生したガスを供給し、液体試料を第二チャンバー6に移送する。このとき、図5に示したのと同様に、連結路7aを流れる液体試料10は細管22aには流入せず、ガスのみが細管22aから逃げる。次に、第二チャンバー6にガス発生フィルムから発生したガスを供給し、液体試料10を第三チャンバー23に移送する。このときも、図5で示したのと同様に、連結路7bを流れる液体試料は細管22bには流入せず、ガスのみが細管22bから逃げる。
続いて、第三チャンバー23にガス発生フィルムから発生したガスを供給し、液体試料を第二チャンバー6に移送する。このときも、図5で示したのと同様に、連結路7bを流れる液体試料は細管22bには流入せず、ガスのみが細管22bから逃げる。次に、第二チャンバー6にガス発生フィルムから発生したガスを供給し、液体試料を第一チャンバー5に移送する。このときも、図5で示したのと同様に、連結路7aを流れる液体試料は細管22aには流入せず、ガスのみが細管22aから逃げる。以上が1サイクルとなる。
なお、第二チャンバー6へガスを供給した場合における液体試料の移動方向は、連結路7a,7bに流路の開閉機構を設けることにより、所望する方向のみに限定することができる。
第一チャンバー5と第三チャンバー23のみに、すなわち両端のチャンバーのみに、ガスを供給する構成としてもよい。この場合には、第一チャンバー5にガスを供給することにより、液体試料を第二チャンバー6及び第三チャンバー23に移送することができる。同様に、第三チャンバー23にガスを供給することにより、液体試料を第二チャンバー6及び第一チャンバー5に移送することができる。
本実施形態でPCR法等の核酸増幅反応を行う場合は、外部のヒータを用いて各チャンバーを所定温度に維持すればよい。例えば、第一チャンバー5を94℃〜96℃、第二チャンバー6を55℃〜65℃、第三チャンバー23を60℃〜75℃の各所定温度に維持する。これにより、第一チャンバー5で変性工程、第二チャンバー6でアニーリング工程、第三チャンバー23で伸長工程を行うことができる(3ステップ法)。
第二実施形態の変形例として、図7に示すような構成も可能である。図7に示す第三実施形態では、第一チャンバー5と第二チャンバー6と第三チャンバー23とが、連結路7a,7b,7cを介して環状に連結されている。そして一方向に液体試料を移動させる(循環させる)。例えば、液体試料を第一チャンバー5から第二チャンバー6へ、第二チャンバー6から第三チャンバー23へ、さらに第三チャンバー23から第一チャンバー5へと一方向に流す。
本実施形態では、連結路7a,7b,7cに、それぞれ上記構成の細管22a,22b,22cが連結されている。すなわち、細管22a,22b,22cによってラプラス圧を利用した液体停止バルブ機構が働く構成となっている。
本実施形態では、液体試料が第一チャンバー5から第二チャンバー6へ移送され、さらに第三チャンバー23を経由して第一チャンバーに戻ってくるから、液体試料が第一チャンバー5と第二チャンバー6との間を往復していると言える。同様に、液体試料は第二チャンバー6と第三チャンバー23との間を往復しており、さらに、第一チャンバー5と第三チャンバー23との間を往復していると言える。すなわち本実施形態では、液体試料の往きと戻りの流路が別々となっている。
なお第二実施形態と同様に、各チャンバーへガスを供給した場合における液体試料の移動方向は、連結路7a,7b,7cに流路の開閉機構を設けることにより、所望する方向のみに限定することができる。
本実施形態においても、第二実施形態と同様に各チャンバーを所定温度に維持することにより、PCR法による核酸増幅反応を行うことができる。
なお、上記した各チャンバー5,6,23や連結路7,7a〜7cの形状を、角のないものとすることにより、液体試料10の移動をよりスムーズにすることができる。例えば上記した第一実施形態の場合は、図8のような略U字型の形状であると、液体試料が第一チャンバー5や第二チャンバー6の角部分に残ることなく、スムーズに移動できる。
以下、各部材を構成する材料等について説明する。
基材2は、例えば、樹脂、セラミックス、ガラス等により構成することができる。基材2を構成する樹脂としては、例えば、有機シロキサン化合物、ポリメタクリレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。有機シロキサン化合物の具体例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチル水素シロキサンなどが挙げられる。
保護部材3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性の材料で構成されている。
ガス発生フィルム(ガス発生剤)8を構成する材料の例としては、アゾ化合物、アジド化合物、ポリオキシアルキレン樹脂、などが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]等が挙げられる。
アジド化合物としては、例えば、スルフォニルアジド基またはアジドメチル基を有する化合物が挙げられる。アジドメチル基を有する化合物の具体例としては、例えば、グリシジルアジドポリマー等が挙げられる。
さらに、国際公開第2009/113566号に記載されているような、光酸発生剤(スルホン酸オニウム塩、ベンジルスルホン酸エステル、ハロゲン化イソシアヌレート、ビスアリールスルホニルジアゾメタン等)と酸刺激ガス発生剤(炭酸塩及び/又は重炭酸塩等)の組み合わせ、光塩基発生剤(コバルトアミン系錯体、カルバミン酸o−ニトロベンジル、オキシムエステル、カルバモイルオキシイミノ基含有化合物等)と塩基増殖剤(Flu3、Flu4等)の組み合わせ、等を、ガス発生剤を構成する材料として用いることができる。
前記ガス発生剤は、粘着性を有するバインダー樹脂と混合して用いることができる。好ましく用いられるバインダー樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、グリシジルアジドポリマーなどが挙げられる。また、前記ガス発生剤は、光増感剤を含ませてもよい。好ましく用いられる光増感剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、アントラキノン、ベンゾイン、アクリジン誘導体などが挙げられる。
ガス発生フィルム8に光を照射するための光源の例としては、発光ダイオード(LED)からなる光源が挙げられる。光源の出力(ワット数)は、必要とするガス発生量や加熱時間に応じて適宜選択することができる。
上記した実施形態では、PCR法による核酸増幅反応を一例として挙げたが、本発明はこれに限定されず、マイクロデバイスに設けられた2つのチャンバー間で液体試料を往復させる工程であれば、全て適用可能である。
1 マイクロデバイス
5 第一チャンバー(チャンバー)
6 第二チャンバー(チャンバー)
7,7a〜7c 連結路
8 ガス発生フィルム(ガス発生剤)
10 液体試料
22,22a〜22c 細管
23 第三チャンバー(チャンバー)

Claims (10)

  1. 2つのチャンバーの間で液体試料を往復させるマイクロデバイスであって、
    少なくとも2つのチャンバーと、前記2つのチャンバーを連結する連結路と、前記連結路と系外部を連結する細管と、前記チャンバーと連結するマイクロポンプが設けられ、
    前記マイクロポンプは、光応答性又は熱応答性のガス発生剤で構成されており、
    前記ガス発生剤から発生したガスによる圧力を液体試料に付与することにより、前記連結路を通じて一方のチャンバーから他方のチャンバーに前記液体試料を移送可能であり、
    前記ガスによる圧力を液体試料に付与して、前記連結路を通じて一方のチャンバーから他方のチャンバーに液体試料を移送する際に、前記細管への液体試料の流入が阻止され、かつ前記細管から前記ガスを逃がすものであることを特徴とするマイクロデバイス。
  2. 前記2つのチャンバーは所定温度に維持されるものであり、一方のチャンバーの前記所定温度と他方のチャンバーの前記所定温度とが異なることを特徴とする請求項1に記載のマイクロデバイス。
  3. 前記ガス発生剤は、各チャンバーごとに独立して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロデバイス。
  4. 前記ガス発生剤は、アゾ又はアジド系ガス発生剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロデバイス。
  5. 前記ガス発生剤は、粘着性を有するバインダー樹脂に含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロデバイス。
  6. 前記ガス発生剤は、フィルム状又はテープ状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロデバイス。
  7. 核酸増幅反応に用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロデバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロデバイスを用いて2つのチャンバー間で液体試料を往復させる試料の移送方法であって、
    一方のチャンバーに収容された液体試料に前記ガス発生剤から発生したガスによる圧力を付与し、他方のチャンバーに前記液体試料を移送することを特徴とする試料の移送方法。
  9. 一方のチャンバーを93℃〜97℃の所定温度に維持し、他方のチャンバーを55℃〜75℃の所定温度に維持することを特徴とする請求項8に記載の試料の移送方法。
  10. 前記液体試料は、昇温と降温を繰り返す核酸の増幅方法に用いられる反応液であることを特徴とする請求項9に記載の試料の移送方法。
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