JP2002191351A - 核酸の精製用装置および核酸捕捉用チップ - Google Patents

核酸の精製用装置および核酸捕捉用チップ

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JP2002191351A JP2001321887A JP2001321887A JP2002191351A JP 2002191351 A JP2002191351 A JP 2002191351A JP 2001321887 A JP2001321887 A JP 2001321887A JP 2001321887 A JP2001321887 A JP 2001321887A JP 2002191351 A JP2002191351 A JP 2002191351A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】核酸を含有する試料から精製度の高い核酸を回
収するための自動化装置を提供する。 【解決手段】ノズルに接続した分注用チップ15を用い
て検体及び結合促進剤を処理容器24に供給し、処理容
器内の混合液を核酸捕捉用チップ31内に吸入して該チ
ップに内蔵される固相により核酸を捕捉する。固相洗浄
後の核酸捕捉用チップ内に溶離液を吸入し、溶出された
核酸を含む液を精製品用容器26に回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸の精製方法お
よび精製用装置に係り、特に、生物試料に含まれる核酸
を共存物質から分離して取り出すのに適した方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】分子生物学の進歩によって、遺伝子に関
する数々の技術が開発され、また、それらの技術により
多くの疾患性の遺伝子が分離され、同定された。その結
果、医療の分野でも、診断、或いは、検査法に分子生物
学的な技術法が取り入れられ、従来不可能であった診断
が可能となったり、検査日数の大幅短縮が達成されつつ
ある。
【0003】このような進歩は、核酸増幅法、特に、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR法と称される、polymerase
chain reaction)の実用化によるところが大きい。P
CR法は、溶液中の核酸を配列特異的に増幅することが
可能なため、例えば、血清中に極微量しか存在しないウ
イルスを、そのウイルスの遺伝子である核酸を増幅し検
出することにより、間接的に証明できる。しかし、この
PCR法を臨床の場で日常検査に使用した際に、いくつ
かの問題点が存在する。その中でも特に、前処理におけ
る核酸の抽出、精製工程が精度維持のために重要であ
る。核酸の精製に関しては、いくつかの手法が提案され
ている。
【0004】特開平2−289596号公報は、カオト
ロピック物質の存在下で核酸と結合することが可能なシ
リカ粒子を、核酸結合用固相として使用することを教示
している。この特開平2−289596号公報には、シ
リカ粒子の懸濁液とカオトロピック物質としてのグアニ
ジチオシアネート緩衝液とが入った反応容器に、核酸を
含む試料を加えて混合し、核酸がシリカ粒子に結合され
た複合体を遠心分離した後、上清を廃棄し、残った複合
体に洗浄液を加えてボルテックスミキサーを使用して洗
浄し、再沈澱した複合体をエタノール水溶液で洗浄した
後アセトンで洗浄し、アセトンを除去して乾燥した複合
体に溶離用緩衝液を加えて核酸を溶離して回収する精製
方法が記載されている。
【0005】また、特開平8−320274号公報は、
単一検体のために多数の容器と分注チプを用いてDNA
を単離する方法を教示している。この特開平8−320
274号公報には、次の点が記載されている。すなわ
ち、移動機構によって移動されるピペットノズルに第1
チップを装着し、その第1チップ内に検体を吸引する。
次いで、第1チップの下端に血球の殻を取るフィルタを
嵌合し、該フィルタを通して第1チップ内の検体を第1
容器へ吐出する。その後、ピペットノズルからフィルタ
及び第1チップを取り外し、ピペットノズルの下端に第
2チップを装着し、第1容器内の検体を第2チップ内に
吸引する。
【0006】次いで、第2チップの下端にDNAを捕獲
するためのシリカメンブランフィルタを嵌合し、第2チ
ップ内の検体をシリカメンブランを通して第2容器へ吐
出することによりシリカメンブランでDNAを捕獲する
と共に爽雑物を第2容器に吐出する。その後、ピペット
ノズルを洗浄液が収容された第3容器まで移送し、DN
Aを捕獲したシリカメンブランフィルタを第2チップか
ら取り外して、第3容器の洗浄液中に浸漬する。次い
で、第2チップを取り外したピペットノズルに第3チッ
プを装着し、第3チップ下端に第3容器内のシリカメン
ブランフィルタを嵌合し、第3チップ内に洗浄液とDN
Aの混合液を吸引した後、その混合液を第4容器内に吐
出する。
【0007】さらに、特開平7−250681号公報
は、ガラスパウダー層を2枚のガラス繊維フィルタとメ
ンブランフィルタで挟んだ四重構造の濾過部材を有する
カートリッジ容器を用いてDNA抽出液を精製する方法
を教示している。この特開平7−250681号公報で
は、調製されたDNA含有培養液を前処理しトラップフ
ィルタに形質転換体を集菌し、溶菌用試薬を添加してプ
ラスミドDNAを細胞外に溶出させたものを精製用試料
とする。精製工程では、カートリッジ容器に精製用試薬
とカオトロピックイオン生成用試薬(ヨウ化ナトリウ
ム)を添加し、カートリッジ容器に真空減圧又は遠心分
離処理を施しカートリッジ容器のガラスパウダー層にプ
ラスミドDNAを吸着させる。次いで、カートリッジ容
器に洗浄用緩衝液を添加して真空減圧又は遠心分離処理
により洗浄し、その後、カートリッジ容器に溶出用緩衝
液を添加して真空減圧又は遠心分離操作を施し、プラス
ミドDNAのみを溶出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術の
内、特開平2−289596号公報の方法は、遠心分析
操作が必要なため精製工程の自動化が困難である。ま
た、特開平7−250681号公報の方法は、真空減圧
又は遠心分離操作を複数回行われなければならないため
自動化が困難である。さらに、特開平8−320274
号公報の方法は、シリカメンブランを通して検体を第2
チップ内から吐出するときにDNAを捕獲するように構
成されているため、検体とシリカメンブランの接触時間
が短くDNAの捕捉率が低い。
【0009】本発明の目的は、自動化が容易であるにも
かかわらず、核酸捕捉時の試料と固相との接触時間を充
分に確保できる核酸の精製方法及び精製用装置を提供す
ることにある。
【0010】また、本発明の目的は、核酸の固相への捕
捉、捕捉物の洗浄および捕捉物の溶離の各工程を、液体
が吸排される1つの固相内蔵チップを用いて実行可能で
ある核酸の精製方法および精製用装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に基づく核酸の精
製方法は、シリカ含有の固相を内蔵した核酸捕捉用チッ
プを、液体吸排用可動ノズルに着脱可能に接続するこ
と、固相への核酸の結合を促進する物質と核酸含有試料
との混合液を、所定容器内から上記液体吸排用可動ノズ
ルに接続された核酸捕捉用チップ内に吸入すること、吸
入された混合液中の核酸を固相に結合させた後、核酸捕
捉用チップ内の液体を排出すること、液体は排出後の核
酸捕捉用チップ内に洗浄液を吸入し、次いで該洗浄液を
核酸捕捉用チップから排出することにより、核酸を結合
した状態の固相及び核酸捕捉用チップ内を洗浄するこ
と、及び洗浄後の核酸捕捉用チップ内に溶離液を吸入
し、固相から離脱された核酸を含む溶離液を精製品用容
器に吐出すること、を特徴とする。
【0012】本発明の望ましい実施例では、処理対象の
試料が変わる毎に液体吸排用可動ノズルに接続する核酸
捕捉用チップが新しいものに交換される。また、核酸捕
捉用チップ内への試料混合液の吸入工程では、一旦吸入
した混合液を元の所定容器に吐出して再び核酸捕捉用チ
ップ内へ吸入することを繰り返し混合液と固相との接触
回数を多くする。洗浄工程時の洗浄液及び溶離工程時の
溶離液は、複数回に分けて核酸捕捉用チップに吸排され
る。
【0013】本発明に基づく核酸の精製用装置は、シリ
カ含有の固相を液体に接触可能に内蔵した核酸捕捉用チ
ップと、該核酸捕捉用チップを着脱可能に接続する液体
吸排用可動ノズルと、固相への核酸の結合を促進する物
質と核酸含有試料との混合液を収容し得る処理容器と、
この処理容器へ洗浄液を供給する手段と、処理容器へ溶
離液を供給する手段と、核酸の精製品を受け入れるため
の精製品用容器と、未使用状態の核酸捕捉用チップを液
体吸排用可動ノズルに接続せしめ、接続状態にある核酸
捕捉用チップを処理容器及び精製品用容器の位置へ移動
せしめる搬送手段と、液体吸排用可動ノズルに接続され
ている核酸捕捉用チップに、混合液を吸排せしめた後、
洗浄液を吸排せしめ、その後に溶離液を吸排せしめる液
体吸排作用手段と、核酸捕捉用チップから精製品用容器
へ溶離液を吐出した後に、液体吸排用可動ノズルから核
酸捕捉用チップを取り外すチップ取り外し手段と、を備
えたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】核酸含有試料としては、全血、血
清、喀痰、尿等の生体試料や培養細胞、培養細菌等の生
物学的な試料、あるいは、電気泳動後のゲルに保持され
た状態の核酸、DNA増幅酵素等の反応産物や素精製状
態の核酸を含む物質等を対象とすることができる。な
お、ここでの核酸とは、2本鎖、1本鎖、あるいは部分
的に2本鎖もしくは1本鎖構造を有するデオキシリボ核
酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む。
【0015】シリカ含有の固相への核酸の結合を促進す
る物質としては、核酸の吸収ピークがある260nmの
波長付近の吸収が少ない物質が好ましい。なぜなら、核
酸の純度や量の検定には、分光光度計により260nm
の吸収を測定することが多いからである。また、チオシ
アン酸を含む物質は、酸と反応すると致死性のガスを発
生するため取り扱い上好ましくない。本発明の望ましい
実施例では、これらの点を考慮し、カオトロピック剤と
して塩酸グアニジン(GuHCl)を用いる。塩酸グア
ニジンの使用時の最終濃度は、4〜6mol/lである
ことが望ましい。
【0016】核酸捕捉用チップに内蔵されるシリカ含有
固相としては、ガラス粒子、シリカ粒子、石英濾紙、石
英ウール、あるいは、それら破砕物、ケイソウ土など、
酸化ケイ素を含有する物質であれば使用することができ
るが、チップ外へ固相が出ないようにするために、チッ
プ先端部の内径を小さくし、且つ、固相をチップ先端部
内径よりも大きな外径を持たせる、或いは、チップ内の
先端部付近に、固相の外径より孔径の小さい保持材を設
置するなどにより、チップ内に試料を吸入したときに試
料が固相に大きな接触面積で接触されるように、固相が
チップ内に保持される。
【0017】核酸を固相から溶離する工程は、洗浄工程
後の固相に対して低塩濃度の水溶液、或いは、水を混合
することにより達成される。この操作により核酸は固相
から水相へと移行するため、その水相を精製品用容器に
回収することで精製済みの核酸水溶液が得られる。
【0018】以下、本発明に基づく一実施例である核酸
精製用装置を、図1〜図7を参照して説明する。図1は
一実施例の装置の平面図、図2はその外観図、図3は電
気系のブロックダイヤグラム、図4は核酸捕捉用チップ
を接続した分注器の概略図、図5は液体分注用チップの
取り付け動作の説明図、図6はチップを取り外す動作の
説明図、図7は核酸捕捉用チップの構成を示す図であ
る。
【0019】図1及び図2において、核酸の精製用装置
100は、水平方向(X方向)に移動可能な2本のアー
ム16、33を具備する。一方のアーム16には、分注
ノズル36(図5)を保持するノズルホルダー17がア
ーム16の長さ方向に沿って水平方向(Y方向)に移動
可能に取り付けられている。他方のアーム33には、液
体吸排用可動ノズル39(図4)を保持するノズルホル
ダー34がアーム33の長さ方向に沿って水平方向(Y
方向)に移動可能に取り付けられている。ノズルホルダ
ー17、34は、対応するアーム16、33に対し、い
ずれも上下方向(Z方向)に動作できる。アーム16の
水平移動領域とアーム33の水平移動領域とは、部分的
にオーバーラップするので、各アームの取り付け高さ位
置を違えてある。
【0020】本体架台の作業面5には、未使用の多数の
分注用チップ15を載置した3個のチップラック14
a、14b、14cが所定エリアにセットされる。これ
らのチップラック14は、図5に示すように、各分注用
チップ15を挿入し得る穴を有しており、分注用チップ
の先端が作業面5又はチップラック底面に接触しないよ
うな高さを持った箱形をなす。各チップラック14a、
14b、14cは夫々最大48本までの分注用チップ1
5を保持できる。
【0021】また、作業面5には、未使用の多数の核酸
捕捉用チップ31を載置したチップラック30が所定エ
リアにセットされる。チップラック30の形状は、先の
チップラック14と同様である。この例ではチップラッ
ク30上に最大48本までの核酸捕捉用チップ31を保
持できる。
【0022】作業面5には、処理対象となる検体、すな
わち核酸を含有する試料を収容した検体容器13が複数
本ずつ保持される検体ラック12が所定エリアにセット
される。この例では、各検体ラック12は6本の検体容
器13を保持できる。また、検体ラック12は8個また
はそれ以上の数をセットできる。
【0023】また、作業面5には、未使用の処理容器2
4を多数保持した容器ラック23が所定エリアにセット
される。容器ラック23は、最大48本までの処理容器
24を保持できる。さらに、作業面5には、未使用の精
製品用容器26を多数保持した容器ラック23が所定エ
リアにセットされる。この精製品用容器は、精製処理が
なされた核酸含有液を試料別に回収するものである。こ
の例では、容器ラック25は、最大48本の精製品用容
器26を保持できる。
【0024】作業面5には、プライミングの際に分注ノ
ズル36から放出される水を受け入れると共に分注ノズ
ル36のホームポジションとなる液受け部11と、分注
作業をする分注チップ15を洗浄するための洗浄部18
と、分注ノズル36に接続された分注用チップ15及び
液体吸排用可動ノズル39に接続された核酸捕捉用チッ
プ31を夫々のノズルから取り外すためのチップ外し器
27と、プライミングの際に液体吸排用可動ノズル39
から放出される水を受け入れると共に該可動ノズル39
のホームポジションとなる液受け部28と、核酸捕捉用
チップ31からの不要な液を排出するための廃液口29
とが設けられる。
【0025】また、作業面5上の夫々の所定位置には、
核酸捕捉用チップ31内の固相を洗浄するための洗浄液
を収容した洗浄液ボトル19、固相に結合された核酸を
溶出させるための溶離液を収容した溶離液ボトル20、
希釈液を収容した希釈液ボトル21、及び固相への核酸
の結合を促進する結合促進物質の溶液を収容した結合促
進剤ボトル22等がセットされる。
【0026】図5に示すシリンジポンプ10と図4に示
すシリンジポンプ32は、それぞれ本体架台に取り付け
られており、液体の吸入動作と吐出動作の制御が各ポン
プ独自になされる。図5に示すように、ノズルホルダー
17に保持された分注ノズル36は、可撓性の管42を
介して液体吸排用のシリンダポンプ10に連通されてい
る。分注ノズル36内及び管42内には純水が満たされ
ており、シリンジポンプ10は図示しない純水供給源に
接続されている。図4に示すように、ノズルホルダー3
4に保持された可動ノズル39は、可撓性の管35を介
してシリンジポンプ32に接続されている。可動ノズル
39内及び管35内には純水が満たされており、シリン
ジポンプ32は図示しない純水供給源に接続されてい
る。
【0027】分注ノズル36への分注用チップ15の接
続のための装着及び可動ノズル39への核酸捕捉用チッ
プ31の接続のための装着は、それぞれに対応するチッ
プラック14、30上において、各ノズルを降下してチ
ップをノズルの先端に嵌合することにより達成される。
また、分注ノズル36に接続された分注用チップ15及
び可動ノズル39に接続された核酸捕捉用チップ31を
それぞれのノズルから取り外す場合は、チップ外し器2
7を利用する。
【0028】図1及び図6に示すように、チップ外し器
27は、所定高さ位置に板状部材を有しており、この板
状部材には、分注チップ15の頭部52及び核酸捕捉用
チップ31の頭部54の外径よりも小さく、且つ分注ノ
ズル36及び可動ノズル39の外径より大きな幅のスリ
ット55が形成されている。スリット55が位置する高
さよりも各チップの頭部52,54が低い状態でノズル
36,39をスリット内に浸入するように水平移動さ
せ、次いでノズルホルダー17,34を上昇させると頭
部52,54が板状部材の下面に当接し、ノズルホルダ
ーの更なる上昇によりチップ15,31がノズルから抜
け落ちる。抜け落ちたチップは、チップ廃棄口50(図
1)に落下し回収箱(図示せず)内に回収される。
【0029】図3に、図1の核酸精製用装置の、電気系
の構成を示す。動作制御部としてのパーソナルコンピュ
ータ(PC)60には、操作条件及び検体情報を入力す
るための操作パネルとしてのキーボード61、入力情報
や警告情報等を表示するための表示装置としてのCRT
62、装置の各機構部を制御する機構制御部65等が接
続される。
【0030】機構制御部65は、シリンジポンプ10に
吸排動作を行わせるためのピストン駆動用のステッピン
グモータ71、シリンジポンプ32に吸排動作を行わせ
るためのピストン駆動用のステッピングモータ72、ノ
ズルホルダー17を水平移動及び上下動させるためのス
テッピングモータ73、ノズルホルダー34を水平移動
及び上下動させるためのステッピングモータ74、アー
ム16を水平移動させるためのACサーボモータ75、
アーム33を水平移動させるためのACサーボモータ7
6等を制御する。精製装置の各部は、所定のプログラム
に従って動作される。
【0031】図7に、核酸捕捉用チップ31の1つの例
の構成を示す。核酸捕捉用チップ31は、頭部54が可
動ノズル39の先端に気密に嵌合される内径を有してお
り、下方が先端48に向けて徐々に内径が細くなるよう
に形成される。チップ31は透明もしくは半透明な合成
樹脂からなる。チップ31の先端側には、固相が流出す
ることを防止するための円板状の阻止部材40bを圧入
により挿入し、頭部54の側には円板状の阻止部材40
aを設ける。
【0032】これらの阻止部材40a,40bは、液体
及び気体が容易に通過し得る多数の孔を有するが、その
孔は固相の流出を阻止できる大きさである。阻止部材4
0a,40bの材質としては、非特異吸着が少なく親水
性を有するポリビニリデンフロライドを用いる。この材
質は、タンパク質や核酸等の非特異吸着を少なくできる
ので、核酸の精製度や収率への影響が小さい。阻止部材
40aは、チップ31への挿入を容易にするための突起
状の挿入用補助ガイド37を下面側に複数個有する。阻
止部材40aと40bによって挟まれた部屋には、固相
としてフリントガラス(和光純薬工業 製)の粉末44
を充填する。このフリントガラスはシリカ含有量が高
い。
【0033】次に、図1の実施例による核酸の精製操作
を説明する。核酸含有試料の精製操作を開始する前に、
市販の精製品であるpBR322DNA(Fermen
tas 社製)をトリス−EDTA緩衝液(pH7.
5,TE溶液)により所定濃度にした溶液を調製し、検
体容器13に入れて検体ラックに保持させ、図1の装置
100上の検体エリアにセットした。分注チップ15を
有するチップラック14、核酸捕捉用チップ31を有す
るチップアック30、各ボトル19、20、21、2
2、処理容器24を有する容器ラック23、及び精製品
用容器26を有する容器ラック25を、それぞれ所定の
場合にセットした後、精製用装置100による操作を開
始した。
【0034】まず、ノズルホルダー17を動作させ、液
受け部11に位置していた分注ノズル36を検体用のチ
ップラック14a上へ移動し、第1番目の分注用チップ
を分注ノズル36に嵌合する。次いで、取り付けた分注
用チップ15を結合促進剤ボトル22上へ移動し、該ボ
トル内へ降下し、シリンジポンプ10に吸引動作させる
ことにより分注用チップ15内に所定量の塩酸グアニジ
ン溶液を吸入する。分注用チップを結合促進剤ボトル2
2内から上昇させ、分注用チップの先端に少量の空気を
引入し、洗浄部18へ移動して分注用チップの外壁に洗
浄水を噴射させることにより分注用チップ15の外壁を
洗浄する。次いで、分注ノズル36を検体ラック12上
の第1番目の検体容器13まで移動し、分注用チップ1
5を検体容器内に降下し、シリンジポンプ10の吸引動
作により分注用チップ15内に所定量の検体を吸入す
る。これにより、分注用チップ15内には、塩酸グアニ
ジン溶液、空気、及び核酸含有試料液の各層が形成され
る。
【0035】検体を吸入した分注用チップ15を容器ラ
ック23上の第1番目の処理容器24上へ移動し、その
処理容器24へ分注用チップ15内の検体及び塩酸グア
ニジン溶液の全量を吐出する。その吐出後に再び吐出液
の全量を同じ分注用チップ15内に吸入し、更に第1番
目の処理容器24へ吐出することを1回以上行う。これ
により核酸含有試料と結合促進剤を混合する。その後、
分注ノズル36をチップ外し器27まで移動し、上述し
た取り外し動作に従って、分注ノズル36から使用済み
の分注用ノズル15を取り外す。次いで、分注ノズル3
6を液受け部11の位置に戻し、分注ノズル36から純
水を所定量吐出させた後、分注ノズル36の先端に少量
の空気を吸入し、ノズルホルダー17に対する次の動作
指令があるまで待機する。
【0036】分注ノズル36が混合動作を行っている間
に、アーム33及びノズルホルダー34の動作により液
体吸排用可動ノズル39を、液受け部28からチップラ
ック30上の、第1番目の核酸捕捉用チップ31の位置
へ移動し、可動ノズル39の先端に核酸捕捉用チップ3
1を嵌合する。その後、可動ノズル39は核酸捕捉用チ
ップ31を結合した状態で容器ラック23上の、第1番
目の処理容器24の位置へ移動し、核酸捕捉用チップ3
1を降下し、そのチップ内に、第1番目の処理容器に入
っている検体と結合促進剤の混合液の全量を、シリンジ
ポンプ32の吸引動作により核酸捕捉用チップ31内に
吸入する。これにより混合液がチップ31内の固相とし
てのガラス粉末44の表面に接触する。次いで、吸入し
た混合液を第1番目の処理容器24内に吐出して戻し、
吐出された混合液を再び同一の核酸捕捉用チップ31内
に吸入する。この混合液の吐出と吸入を複数回繰り返す
ことにより固相表面と混合液との接触数を増大し、固相
による核酸の吸着効率を高める。
【0037】所定回数の吸排の後に最終的に第1番目の
核酸捕捉用チップ31内へ混合液の全量を吸入し、該チ
ップ31を廃液口29へ移動して核酸吸着後の残液を、
シリンジポンプ32の吐出動作により廃液口29内へ排
出する。核酸捕捉用チップ31を接続した状態の可動ノ
ズル39は、液受け部28の位置へ移動され、ノズルホ
ルダー34に対するその後の動作指令があるまで液受け
部28の位置で待機する。
【0038】核酸捕捉用チップ31が混合液の吸排を行
っている間に、ノズルホルダー17に対し次の動作指令
が出される。すなわち、分注ノズル36を液受け部11
の位置からチップラック14b上の、第1番目の分注用
チップの位置へ移動し、分注ノズル36を降下してその
先端に第1番目の分注用チップを嵌合する。核酸捕捉用
チップ31が廃液口29へ移動されるまでの間に、分注
用チップ15を接続した分注ノズル36を洗浄液ボトル
19の位置へ移動し分注用チップ内に複数回使用するた
めの所定量の洗浄液を吸入する。次いで、混合液が吸入
されて空になっている容器ラック23上の第1番目の処
理容器24上に分注ノズル36を移動し、シリンジポン
プ10の押出し動作により第1番目の処理容器24内に
分注用チップ15から洗浄液の一部(1回分の量)を吐
出する。洗浄液の吐出後に分注用チップ15を液受け部
11に移動し待機させる。
【0039】続いて、液受け部28上で待機していた核
酸捕捉用チップ31を洗浄液が入れられた第1番目の処
理容器24に移動し、シリンジポンプ32の吸引動作に
より核酸捕捉用チップ31内に処理容器24の洗浄液を
吸入する、一旦吸入した洗浄液は、第1番目の処理容器
24に吐出され、再度チップ31内に吸入される。この
吐出と吸引を2回繰り返した後、最終的にチップ31内
に吸入した状態で可動ノズル39を廃液口29へ移動
し、使用済みの洗浄液を廃液口29内へ排出する。この
ような洗浄動作により、核酸捕捉用チップ31の内壁及
び固相の表面が洗浄される。
【0040】次いで、液受け部11で待機していた分注
用チップ15を第1番目の処理容器24へ移動し、分注
用チップ15内に保持されている洗浄液の一部又は全部
を第1番目の処理容器内に吐出する。洗浄液を吐出済み
の分注用チップ15はチップ外し器27の位置へ移動さ
れ、分注ノズル36から取り外される。第1番目の処理
容器24に新たに加えられた洗浄液は、核酸捕捉用チッ
プ31内に吸入され、2回目の洗浄を行う。この2回目
の洗浄操作は1回目の洗浄操作と同様のステップを経
る。必要であれば、3回目の洗浄操作を行うようにする
ことができる。洗浄液を廃液口29へ排出して洗浄操作
が終了した核酸捕捉用チップ31は、液受け部28へ移
動し、待機する。なお、洗浄液は、濃度が70%のエタ
ノール水溶液である。
【0041】核酸の溶離工程に当り、分注ノズル36が
チップラック14c上の第1番目の分注用チップの位置
へ移動され、分注ノズル36の降下により該ノズル36
の先端に分注用チップ15を嵌合する。分注用チップを
接続した分注ノズル36は溶離液ボトル20の位置へ移
動する。溶離液ボトル20内には、溶離液としての純水
が収容されている。望ましくは、溶離液ボトル20が加
温されている。シリンジポンプ10の吸引動作により、
分注用チップ15内に、複数回使用し得る量の溶離液が
吸入される。続いて分注用チップ15は容器ラック23
上の第1番目の処理容器24上へ移動され、シリンジポ
ンプ10の押出し動作により、分注用チップ15から1
回分の量の溶離液を第1番目の処理容器24内に吐出す
る。残りの量の溶離液を保有している分注用チップ15
は、液受け部11へ移動し、待機する。
【0042】液受け部28で待機していた核酸捕捉用チ
ップ31を容器ラック23上の第1番目の処理容器24
へ移動し、溶離液が入っている第1番目の処理容器24
内の溶離液を核酸捕捉用チップ31内に吸入する。これ
により溶離液が固相に接触し、固相表面に吸着されてい
た核酸を溶離液中に溶出させる。チップ31内に吸入し
た溶離液を元の処理容器24へ吐出した後、再度同一チ
ップ31内に吸入する操作を所定回数繰り返して、最終
的に溶離液を吸入保持した核酸捕捉溶チップ31を、容
器ラック25上の第1番目の精製品用容器26の位置へ
移動する。シリンジポンプ32の押出し動作により核酸
捕捉用チップ31内にあった溶離液を第1番目の精製品
用容器26内に吐出する。これにより精製品容器26に
は、固相から溶出された核酸を含む溶離液が回収され
る。溶離液吐出後の核酸捕捉用チップ31は液受け部2
8へ移動され待機する。
【0043】次いで、溶離液を保持した状態の分注用チ
ップ15が、液受け部11から第1番目の処理容器24
へ移動し、次の1回分の溶離液を該当処理容器内へ吐出
する。続いて、液受け部28にて待機していた核酸捕捉
用チップ31を第1番目の処理容器24へ移動し、処理
容器24内の溶離液を核酸捕捉用チップ31内に吸入
し、上述したと同様の核酸溶出操作を実行した後、核酸
を含む溶離液を第1番目の精製品用容器26内に回収す
る。
【0044】このような分注用チップ15による溶離液
の供給操作と核酸捕捉用チップ31による溶出操作は、
所定回数、例えば3回繰り返される。溶離液の吐出を終
了した分注用チップ15は、チップ外し器27へ移動
し、分注ノズル36から使用済みの分注用チップ15を
取り外す。分注用チップを外した分注ノズル36は、液
受け部11へ移動し、ノズル先端から水を吐出した後、
ノズル先端に微量の空気を吸入し、その位置で待機す
る。
【0045】また、精製品用容器26への核酸含有溶離
液の複数回の吐出を終了した核酸捕捉用チップ31は、
チップ外し器27へ移動し、可動ノズル39から使用済
みの核酸捕捉用チップ31を取り外す。核酸捕捉用チッ
プを外した可動ノズル39は、液受け部28へ移動し、
ノズルから所定量の水を吐出した後、ノズル先端に微量
の空気を吸入し、その位置で待機する。
【0046】以上で、第1番目の検体に対する核酸の精
製操作が終了する。このあと、図1の精製用装置100
は、第2番目以降の検体に対し核酸精製操作を続行する
が、その操作は上述した例の繰り返しである。なお、第
1番目の検体に対しては、各分注ラック14a,14
b,14c上の第1番目の分注用チップと、チップラッ
ク30上の第1番目の核酸捕捉用チップと、容器ラック
23上の第1番目の処理容器24と、容器ラック25上
の第1番目の精製品用容器を用いたが、第2番目の検体
に対しては、これらの第2番目の部品がそれぞれ使用さ
れ、第3番目以降の検体に対しても同様に部品が変更さ
れる。
【0047】従って、容器ラック25上の精製品容器列
には、検体の順番に応じて、精製回収された核酸含有液
が検体別に回収される。これらの部品は、検体毎に新し
いものが使用されるので、検体相互間のコンタミネーシ
ョンが防止される。
【0048】次に、核酸捕捉用チップの他の構成例を説
明する。図8の核酸捕捉用チップ31aは、その内部に
チップ31aの先端内径よりも大きな外形になるように
焼結して形成した複数個のシリカ焼結ブロック45を固
相として保有する。核酸捕捉用チップ31aの頭部側に
は、固相の流出を防止するための円板状の阻止部材40
cが圧入固定されている。この阻止部材40cの材質は
図7のものと同じである。
【0049】図9の核酸捕捉用チップ31bは、その内
部に石英ウール46を固相として保有する。核酸捕捉用
チップ31bの先端側には円板状の阻止部材40dが圧
入され、頭部側には阻止部材40cが圧入されている。
これらの阻止部材も液体及び気体の流通が自由な多数の
小孔が形成されており、材質はポリビニリデンフロイラ
イドからなる。
【0050】次に、図7〜図9に示す各々の核酸捕捉用
チップを用い、図1の精製用装置により市販の核酸精製
品を処理した場合の、核酸の回収率に関する実験例を説
明する。処理用試料としては、pBR322DNA(F
ermentas 社製)をトリス−EDTA緩衝液に
より所定濃度に調製したものを用いた。図1の装置によ
る洗浄工程では処理容器24に対し所定量の洗浄液を2
回供給し、溶離工程では処理容器24に対し所定量の溶
離液(純水)を2回供給した。核酸捕捉用チップの種類
が異なるように用いた試料毎に、それぞれ別の精製品用
容器26に回収した回収液について電気泳動測定をし
た。電気泳動には0.8%アガロースゲルを用い、エチ
ジウムブロマイド染色後に、各バンドの強度をデンシト
グラフ(ATTO 社製)により数値化し、処理操作前
後の核酸量に基づいて回収率を算出した。
【0051】実験結果によれば、核酸回収率は、図7の
チップを用いた場合が87%、図8のチップを用いた場
合が52%、図9のチップを用いた場合が80%であっ
た。図1の精製用装置による処理時間は1検体当り約1
0分である。
【0052】次に、核酸の種類もしくは性状と、回収率
との関係に関する実験例を説明する。市販精製品のλD
NA(48502塩基長の2本鎖直鎖状DNA、Ferme
ntas 社製)、pBR322DNA(4361塩基長の
2本鎖環状DNA、Fermentas 社製)、MS
2RNA(3569塩基長の1本鎖直鎖状RNA、ベーリン
ガー・マンハイム 社製)をTE溶液により所定の濃度
とした容液を検体として、検体ラック12に保持させ、
その検体ラックを図1の装置上にセットした。
【0053】図7の核酸捕捉用チップを用い、上述の実
験例と同様の工程により、DNAの自動回収を行った。
それぞれの検体毎に回収した精製品用容器26内に得ら
れた核酸溶液の一部分を用いて、0.8%アガロースゲ
ルにより電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色後
に、各バンドの強度をデンシトグラフ(ATTO 社
製)により数値化し、操作前後の核酸量に基づき回収率
を算出した。結果は、λDNAが68%、pBR332
が86%。MS2RNAが78%であった。核酸の性状
により多少の差異は見られるが、本発明を用いること
で、簡便に高回収率で核酸の回収が可能であることが分
かる。
【0054】次に、血清が共存する場合のDNAの精製
状態を確認するための実験例を説明する。ヒトの血清に
市販精製品のλDNA(Fermentas 社製)を
添加し、ヌクレアーゼ対策、及び、実使用条件に近づけ
るためにドデシル硫酸ナトリウム(終濃度で1%)を添
加したものを検体として、図7の核酸捕捉用チップを用
いて上述の実験例と同様の工程により、DNAの自動回
収を行った。
【0055】各精製品用容器26内に回収された核酸回
収液に対しPCR処理を行った。PCR処理時の試薬の
宝酒造(株)製のPCR専用試薬キットを使用し、キッ
トに付随のλDNA用コントロールプライマーにより、
λDNA中の、特定の500塩基の増幅を試みた。PC
R処理時の遺伝子増幅システムは宝酒造(株)製のTP
3000を使用し、94℃の熱変性30s、68℃のア
ニーリングと伸長反応30sを25回繰り返し、更に6
8℃で7min加温しPCRを行った。PCR処理後に、
1.5%のアガロースゲルにより電気泳動を行い、エチ
ジウムブロマイド染色を行った。
【0056】図1の精製用装置による精製処理をせずに
そのままの検体をPCR処理した場合をAとし、図1の
精製用装置により精製処理をした後にPCR処理した場
合をBとし、前記市販精製品のλDNAを血清と混合せ
ずにBの場合の検体と同じ核酸濃度になるように調製し
たものをPCR処理した場合をCとして比較した。実験
結果によれば、Aではドデシル硫酸ナトリウム(SDS
溶液)等の阻害により目的とするDNA断片が得られな
かったのに対し、BではCの場合と同等のDNA断片が
得られた。これにより、血清が共存する試料に対する核
酸の精製が、図1の精製用装置でなされることを確認で
きた。
【0057】次に、培養した遺伝子組換え大腸菌からの
プラスミドDNAを精製によって回収するための実験例
を説明する。図1の精製用装置にセットすべき試料を準
備するために前処理が必要である。この前処理では、大
腸菌HB101株に対して、pBR322DNAを遺伝
子工学的に組み込んだ大腸菌をLB培地1ml中で、37
℃で一晩培養し、遠心分離により集菌し、100μlの
0.15mol/l NaClに懸濁させ、大腸菌の細胞壁中の
ペプチドグリカンを破壊するために、50mmol/lグル
コース、10mmol/l EDTA、25mmol/l Tris−HCl(pH
8.0)に8mg/mlとなるようにリゾチームを加えた溶
液を添加、混合し、更に、0.2mol/lNaOH、1%SD
S溶液を添加し、一定時間放置後、この溶液に5mol/l
酢酸カリウムを添加することにより、対象試料を得た。
【0058】前処理済みの試料を検体ラック12に収納
し、図7の核酸捕捉用チップを用いて図1の精製用装置
によりプラスミドDNAの精製操作を行った。精製用容
器26に回収された回収液について分光光度計により吸
光度測定した結果、波長280nmの吸光度に対する波長
260nmの吸光度の比は、1.96であった。核酸の吸
収浪長が260nmであり、蛋白質の吸収波長が280
nmであるので、吸光度比が1.8以上であれば核酸の
精製度が高いといえる。
【0059】さらに、精製用容器26内の回収液を検体
として、0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行
い、エチジウムブロマイド染色を行った。同時に流した
移動量マーカーから、精製溶液からプラスミドDNAと
rRNAが確認された。また、RNA分解酵素によるR
NAの消化処理、及び、アルコール溶液による沈殿処理
後の、プラスミドDNA容器の260nmの吸光度か
ら、得られたプラスミドDNAの収量は4.1μgであ
った。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、核酸の精製操作を自動
化することができ、且つ、核酸含有試料と固相との接触
時間が十分に確保されるので、核酸を高い回収率で精製
することができる。また、本発明によれば、固相への核
酸の捕捉工程、核酸を捕捉した固相の洗浄工程、及び固
相からの核酸の溶離工程を、固相内蔵の核酸捕捉用チッ
プを可動ノズルに接続したままの状態で実行できるの
で、精製操作を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である核酸精製用装置の平面
図である。
【図2】図1の核酸精製用装置の概略外観図である。
【図3】図1の実施例における電気系の構成を示すブロ
ックダイヤグラムである。
【図4】図1の実施例における核酸捕捉用チップを接続
した分注器の概略構成を示す図である。
【図5】図1の実施例における液体分注用チップをノズ
ルに取り付ける動作の説明図である。
【図6】図1の実施例におけるノズルからチップを取り
外す動作の説明図である。
【図7】図1の実施例における核酸捕捉用チップの概略
構成図である。
【図8】核酸捕捉用チップの他の例を示す図である。
【図9】核酸捕捉用チップのもう1つの例を示す図であ
る。
【符号の説明】
10,32…シリンジポンプ、12…検体ラック、15
…分注用チップ、16,33…アーム、17,34…ノ
ズルホルダー、19…洗浄液ボトル、20…溶離液ボト
ル、22…結合促進剤ボトル、24…処理容器、26…
精製品用容器、27…チップ外し器、31,31a,3
1b…核酸捕捉用チップ、36…分注ノズル、39…液
体吸排用可動ノズル、40a,40b,40c,40d
…阻止部材、44…ガラス粉末、45…シリカ焼結ブロ
ック、46…石英ウール、100…精製用装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 孝一 茨城県ひたちなか市大字津田字関場1939 那珂インスツルメンツ株式会社内 Fターム(参考) 4B029 AA07 AA23 BB20 CC02 CC08 FA12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核酸を含有する試料の核酸を精製する装置
    において、 シリカを含有する固相と液体が接触できるように内蔵で
    きる核酸捕捉用チップと、 前記核酸捕捉用チップを着脱可能に接続する液体吸排用
    可動ノズルと、 前記固相への核酸の結合を促進する物質と核酸含有試料
    との混合液を収容し得る処理容器と、 核酸の精製品を受け入れるための精製品用容器と、 前記接続状態にある前記核酸捕捉用チップを前記処理容
    器および前記精製品用容器の位置へ移動せしめる搬送手
    段と、 前記核酸捕捉用チップに前記混合液を吸排する手段と、 前記核酸捕捉用チップに前記溶離液を吸排せしめる液体
    吸排作用手段と、 前記液体吸排用可動ノズルから前記核酸捕捉用チップを
    取り外すチップ取り外し手段と、を備えたことを特徴と
    する核酸の精製用装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の精製用装置において、さら
    に前記処理容器へ洗浄液を供給する手段と、前記処理容
    器へ溶離液を供給する手段と、を備えたことを特徴とす
    る核酸の精製用装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の精製用装置において、前記
    核酸捕捉用チップは、前記核酸捕捉用チップ内の前記固
    相が外部に流出することを阻止するための流体流通可能
    な阻止部材を具備することを特徴とする核酸の精製用装
    置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の精製用装置において、前記
    阻止部材は、ポリビニリデンフロライドにより形成され
    ていることを特徴とする核酸の精製用装置。
  5. 【請求項5】請求項3記載の精製用装置において、前記
    阻止部材は、前記核酸捕捉用チップにおける前記固相の
    内蔵領域よりも前記液体吸排用可動ノズルとの接続端側
    に配置されており、挿入用補助ガイドが形成されている
    ことを特徴とする核酸の精製用装置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の精製用装置において、前記
    処理容器へ前記試料および前記結合促進物質を分注する
    ための液体分注用チップを備えることを特徴とする核酸
    の精製用装置。
  7. 【請求項7】シリンジポンプと、前記シリンジポンプに
    パイプを介して接続された可動ノズルと、前記可動ノズ
    ルに着脱可能に接続され、液体に接触可能に収容された
    シリカ含有固相を有する核酸捕捉用チップと、前記可動
    ノズルを移動させるノズルホルダーとを有する核酸の精
    製用装置。
  8. 【請求項8】核酸捕捉用チップと、前記核酸捕捉用チッ
    プに着脱可能に接続された可動ノズルと、ノズルホルダ
    ーと、シリンジポンプと、表示装置と、所定のプログラ
    ムを内蔵するコンピュータと、前記コンピュータに情報
    または指令を入力するキーボードと、前記コンピュータ
    からの信号により動作する機構制御部とを有し、前記機
    構制御部によって前記シリンジポンプおよびノズルホル
    ダーを制御するように構成されたことを特徴とする核酸
    の精製用装置。
  9. 【請求項9】液体に接触可能に収容されたシリカ含有固
    相を有する核酸捕捉用チップであって、前記固相は石英
    ウールであることを特徴とする核酸の精製用装置に用い
    られる核酸捕捉用チップ。
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