明 細 書
光学素子
技術分野
[0001] 本発明は、小型化を図ることができ、簡単な構成で効率よく通過する光に対する屈 折力を制御でき、可変焦点レンズ、可変フォーカスレンズ等に好適で、且つ青色レー ザ (短波長レーザ)を持続的に透過、集光できる光学素子に関する。
背景技術
[0002] スチノレカメラ、ビデオカメラ等の撮影装置に用いられる撮影光学系にお ヽては、焦 点調節、あるいは倍率調節等の機能が要求される。撮影光学系にこれらの機能を付 与するためには、いずれもモーター等のァクチユエータとこれの出力をレンズの一部 の光軸方向の移動に変換する変 構が必要とされている。しかし、このような変換 機構はメカ-カル駆動部が必要であるため、機器が大型化し、あるいは動作させたと きに雑音が発生する。
[0003] また、 CD、 DVD, MD、 BD、 HD— DVD等の多種多様な情報記録媒体には、そ れぞれに応じたピックアップレンズが必要になる。しかし、これら情報記録媒体を一つ の装置で扱うためには、焦点距離の異なるピックアップレンズが多数必要であり、装 置構造が複雑になる。
[0004] このような不具合を解消するため、 W099Z18456号パンフレット、特開 2001— 2 49282号公報(US2001— 0017985A号公報)等にお!、て、電気毛管現象(エレク トロウエツティング現象)を用いた可変焦点レンズが提案されて 、る。
[0005] これらの文献に記載された可変焦点レンズは、互いに混合することのない第 1の液 体及び第 2の液体を容器内に密閉し、該容器の側面を光軸に対して所定角度傾い た構成とし、光束の通過の妨げとならな 、部位に形成された電極を介してこれらの液 体間に電圧を印加するにあたり、印加する電圧の出力を制御して、第 1の液体と第 2 の液体の界面形状を変化させることにより、通過する光に対する屈折力を変化させる ようにしたものである。また、この可変焦点レンズでは、電極を絶縁体の中に埋め込 み、その絶縁体の表面にフッ素榭脂等を塗布して撥水化している。このような可変焦
点レンズによれば、電気エネルギーを直接レンズの形状変化に用いることができるた め、レンズを機械的に移動させることなぐ焦点調節が可能である。
[0006] し力しながら、従来の可変焦点レンズにおいては、屈折率の異なる二液が接する容 器内面及び電極において、二液の界面の形状が乱れ、また電圧印加に対する応答 性が低くなることがあった。また、電極と屈折率の異なる二液との間に絶縁体と撥水 処理剤とが介在するため、電圧印加に対する応答性が高くなぐまた容器内面近傍 にお 、て二液界面の形状が乱れることがあった。
[0007] 一方、光記録媒体として、高密度の記録再生が可能な有機色素系光学記録媒体( DVD-R)が実用化されている。従来、有機色素系光学記録媒体 (DVD— R)に用 いられるレーザは、赤色半導体レーザであるが、光記録媒体のより一層の高密度記 録化のために発振波長の短 、半導体レーザ(波長 350nm〜530nmの青色レーザ) に対応した光記録媒体の開発が進められて!/ヽる。
[0008] しかしながら、波長 350nm〜530nmの青色レーザのような短波長レーザを従来の 可変焦点レンズに照射すると、照射時間が短くても、強い照射量になるとレンズ表面 にアブレーシヨンを生じることがあった。また、照射量を弱くして、照射時間を長くする と、レンズに白濁を生じることがあった。
[0009] 本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、エレクトロウエツ ティング現象を利用して、小型な構成で効率よく通過する光に対する屈折力を制御 できる構造を有する光学素子を提供することを第 1の課題とする。
また本発明は、青色レーザ (短波長レーザ)を持続的に透過、集光でき、エレクト口 ゥエツティング現象を利用して、小型な構成で効率よく通過する光に対する屈折力を 制御できる構造を有する光学素子を提供することを第 2の課題とする。
発明の開示
[0010] 本発明者らは、上記課題を解決すベぐ屈折率が実質的に異なり、互いに混合す ることのない第 1の液体及び第 2の液体と、容器とを備え、前記第 1の液体と第 2の液 体の界面が所定の形状となるようにこれらの液体を前記容器内に密閉収容し、前記 容器に形成された電極を介してこれらの液体間に電圧を印加して、前記液体界面の 形状を変化させる構成を有する光学素子について鋭意研究した。
[0011] その結果、以下の(1)〜(3)のいずれの手法でも、二液の界面の形状乱れが無く なり、また電圧印加に対する応答性が速くなることが判った。また、(3)の手法によれ ば、青色レーザの照射によっても、アブレーシヨンや白濁を生じないことが判った。そ して、これらの知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
(1)榭脂製の容器内面の表層部に、該容器内層部よりもフッ素原子含有量が多い榭 脂の相を設ける。
(2)容器の天部及び底部を、榭脂と、 5重量%のクロ口ホルム溶液を 10mm光路セル で測定した波長 400nmの光線透過率が 90%以上であり、且つ分子量が 1500以上 のヒンダードアミンィ匕合物とを含有する榭脂組成物で形成する。
(3)フッ素化炭素化合物から得られる CVD膜が、絶縁性と撥水性とを兼ね備えてお り、非常に薄い膜となることから、この CVD膜で屈折率の異なる二液を封入する容器 内面を被覆する。
[0012] 力べして本発明の第 1によれば、屈折率が実質的に異なり、互いに混合することの ない第 1の液体及び第 2の液体と、容器とを備え、
前記容器が、内面の表層部に、該容器内層部よりもフッ素原子含有量が多い榭脂 の相を有する榭脂製の容器であり、
前記第 1の液体と第 2の液体の界面が所定の形状となるようにこれらの液体を前記 容器内に密閉収容し、前記容器に形成された電極を介してこれらの液体間に電圧を 印加して、前記液体界面の形状を変化させる構成を有する光学素子が提供される。
[0013] 本発明の第 2によれば、屈折率が実質的に異なり、互いに混合することのない第 1 の液体及び第 2の液体と、容器とを備え、
前記容器の天部及び底部が、榭脂と、 5重量%のクロ口ホルム溶液を 10mm光路 セルで測定した波長 400nmの光線透過率が 90%以上であり且つ分子量が 1500以 上のヒンダードアミンィ匕合物とを含有する榭脂組成物から形成されており、
前記第 1の液体と第 2の液体の界面が所定の形状となるようにこれらの液体を前記 容器内に密閉収容し、前記容器に形成された電極を介してこれらの液体間に電圧を 印加して、前記液体界面の形状を変化させる構成を有する光学素子が提供される。
[0014] 本発明の第 3によれば、屈折率が実質的に異なり、互いに混合することのない第 1
の液体及び第 2の液体と、容器とを備え、
前記容器の内面がフッ素化炭素化合物の CVD膜で被覆されており、
前記第 1の液体と第 2の液体の界面が所定の形状となるようにこれらの液体を前記 容器内に密閉収容し、前記容器に形成された電極を介してこれらの液体間に電圧を 印加して、前記液体界面の形状を変化させる構成を有する光学素子が提供される。
[0015] 本発明の光学素子においては、前記容器が、(i)脂環式構造含有重合体榭脂から なるものであること、(ii)水に対する接触角が 105度以上である内側面を有するもの であること、及び Z又は (iii)天部若しくは底部が、レンズ、プリズム、ホログラム若しく はフレネルの形状に形成されたものであること力 それぞれ好まし 、。
また本発明の光学素子においては、前記第 1の液体及び第 2の液体が、ともに導電 性又は有極性の液体であることが好まし ヽ。
[0016] 本発明の光学素子は、撥水性及び防汚効果に優れる容器を有する。従って、容器 内面と接する二液界面の形状乱れが無くなり、電圧印加に対する応答性が速くなる。 さらに容器内面の光反射率が低下するので、光学素子に入射した光が光学素子の 内面にお 、て好ましくな 、反射が生じなくなる。
また本発明の光学素子は、脂環式構造含有重合体榭脂製の容器を用いたことによ つて、封入した二液体が該容器に吸収されたり、該容器を浸食あるいは膨潤させるこ とがないので、容器の形状変化による光学的特性の変化が生じにくいものである。
[0017] 第 1発明の光学素子の容器は、その内面表層部にフッ素原子含有量の多い榭脂 の相がある榭脂製のものである。従って、容器全体が一様な榭脂から構成されており
、積層体のような異種物質間の界面が存在しないので、マイクロクラック等が発生せ ず、機械的強度に優れている。
[0018] 第 2発明の光学素子の光線の透過する部位、すなわち、容器の天部及び底部が、 榭脂と、 5重量%のクロ口ホルム溶液を 10mm光路セルで測定した波長 400nmの光 線透過率が 90%以上であり且つ分子量が 1500以上のヒンダードアミンィ匕合物とを 含有する榭脂組成物から形成されて!ヽる。
[0019] 従って、波長 350nm〜530nmの青色レーザのような短波長レーザを光学素子に 透過させても、表面にアブレーシヨンを生じることがなぐレンズに白濁を生じることが
ない。また、封入した二液体が該容器に吸収されたり、該容器を浸食あるいは膨潤さ せることがないので、容器の形状変化による光学的特性の変化が生じにくい。さらに 、青色レーザ (短波長レーザ)を持続的に透過、集光でき、エレクトロウエツティング現 象を利用して、小型な構成で効率よく屈折力を制御することができる。
[0020] 第 3発明の光学素子は、容器内面がフッ素化炭素化合物の CVD膜で被覆されて いる。フッ素化炭素化合物の CVD膜は、比誘電率が非常に小さぐ交流波の伝搬遅 れがほとんど生じないので、応答が非常に速いものである。また、フッ素化炭素化合 物の CVD膜は絶縁性に優れ、薄膜に形成できるので、従来用いられていた厚みの 大き ヽ榭脂製絶縁体カゝらなる容器と置き換えることで、電圧応答性を高めることがで きる。さらに、フッ素化炭素化合物の CVD膜は撥水性にも優れているので、従来のご とく絶縁体の表面に撥水化処理をする必要がない。従って、容器内面と接する二液 界面の形状乱れが無くなり、電圧印加に対する応答性が速くなる。
図面の簡単な説明
[0021] [図 1]本発明の光学素子の容器を製造するための装置の一例を示す図である。
[図 2]本発明の光学素子の一例を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0022] 以下、本発明の光学素子について詳細に説明する。
本発明の光学素子は、屈折率が実質的に異なり、互いに混合することのない第 1の 液体及び第 2の液体と容器とを備える光学素子であって、前記第 1の液体と第 2の液 体の界面が所定の形状となるように、好ましくは曲面をなした状態でこれらの液体を 前記容器内に密閉収容し、前記容器に形成された電極を介してこれらの液体間に電 圧を印加して、前記液体界面の形状を変化させる構成を有する。
[0023] 本発明の光学素子は、前記容器に形成された電極を介してこれらの液体間に電圧 を印加して、前記液体界面の形状を変化させる構成とすることにより、通過する光に 対する屈折力を調整するものである。本発明の光学素子によれば、電圧の値によつ て、第 1の液体が第 2の液体を押しのける量を変化させ、界面の形状 (界面の曲率) を連続的に変化させることができ、電圧値によって焦点距離を連続的に変化させるこ とがでさる。
[0024] (第 1の液体及び第 2の液体)
本発明の光学素子は、屈折率が実質的に異なり、互いに混合することのない第 1の 液体及び第 2の液体とを備える。すなわち、前記第 1の液体と第 2の液体とはその屈 折率が実質的に異なるものであり、第 2の液体の屈折率が第 1の液体の屈折率よりも 大きいことが好ましい。また、前記第 1の液体と第 2の液体とは互いに混合することの ないものである。
[0025] 本発明の光学素子においては、前記第 1の液体及び第 2の液体は、ともに導電性 又は有極性の液体であることが好まし 、。
[0026] 第 1の液体としては、具体的には導電性液又は導電性ゲルが挙げられる。
導電性液としては、無機塩の水溶液、有機液体等のそれ自身が導電性を有するも の、またはイオン性成分を付加することによって導電性の液体となるものが挙げられ る。
[0027] 導電性ゲルは、前記導電性液にゲル化剤が含まれているものである。
ゲル化剤としては、側鎖や主鎖に水酸基、カルボキシル基、スルホキシル基、アミド 基、エーテル基等の極性基を有する高分子材料や、分子間に働く弱い力 (水素結合 、イオン結合、疎水結合、静電力、ファンデルワールス力等)の相互作用により幾何 学的な秩序を有する構造を持った集合体を形成する自己組織化又は自己集積化物 質が挙げられる。
[0028] 高分子材料の具体例としては、ポリビュルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ ヒドロキシェチルメタタリレート、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリメチルビ -ルエーテル、ポリアクリルアミド;デンプン、アルギン酸、寒天等の多糖類;天然ガム 材料、ゼラチン、ポリペプチド、コラーゲン、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。
[0029] 自己組織化又は自己集積ィ匕物質としては、ステロイド構造を有するもの、具体的に は、デォキシコール酸ナトリウムや、 pH調整剤によって螺旋状の繊維を形成し螺旋 鎖の構造によってゲルを形成するもの等が挙げられる。
[0030] 第 2の液体としては、具体的には、シリコーンオイル、ノラフィンオイル等の絶縁性 液が挙げられる。
[0031] (容器)
本発明の光学素子は、前記第 1の液体と第 2の液体を、これらの液体の界面が所定 の形状となるように密閉収容する容器を備える。
本発明の光学素子に用いる容器は、筒状の側部と、筒の両開口を塞ぐ天部と底部 と力 なるものである。
本発明の光学素子に用いる容器は、その形状によって特に制限されず、図 2に示 すように底部及び天部が平らな筒形状容器でもよいし、図 2において、底部又は天部 が公知のレンズ、プリズム、フレネル、ホログラム等に形成されている筒形状容器でも よい。
[0032] 本発明に用いる容器の側部は、それを構成する材料によって特に制限されな 、。
例えば、ガラス等の無機材料、榭脂等の有機材料を挙げることができる。
[0033] 側部は、水に対する接触角が 105度以上である内側面又は水に対する接触角が 漸次変化する内側面を有するものが好ましい。
[0034] 水に対する接触角を高くする方法又は水に対する接触角を漸次変化させる方法は 特に限定されない。例えば、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させて表層部をフッ 素化する方法、フッ素化炭素化合物の CVD膜を形成する方法、フッ素榭脂を塗布 する方法等が挙げられる。内側面の撥水性が高くなることで、第 1の液体が引き下が つたときに第 1の液体が第 2の液体領域の内側面に液滴として残らないようになり、ま た第 1の液体と第 2の液体との界面と内側面とが接する部分に歪みが生じにくくなる。
[0035] 容器の天部および Z又は底部の内面、好ましくは第 1の液体に接する天部又は底 部の内面は、親水性を有するものが好ましい。
[0036] 第 1の液体と接する天部又は底部の内面を親水化することによって、想定外の衝撃 で第 1の液体と第 2の液体との界面が乱れた後、第 2の液体が第 1の液体領域にある 天部又は底部の内面に液滴として残らないようになる。親水化の度合は特に制限さ れな 、が、好ましくは水の接触角が 95度以下になるようにする。
[0037] 容器の天部および Z又は底部の内面に親水性を付与する方法は特に限定されな いが、例えば、酸素若しくは水とフッ素ガスとを含有する雰囲気に接触させて表層部 を親水化する方法、親水性榭脂を塗布する方法等が挙げられる。
[0038] 本発明の光学素子は、前記第 1の液体及び第 2の液体と容器とを備え、該容器が、
(1)内面の表層部に、該容器内層部よりもフッ素原子含有量が多い樹脂の相を有す る榭脂製の容器 (第 1発明用の容器)、
(2)容器の天部及び底部が、榭脂と、 5重量%のクロ口ホルム溶液を 10mm光路セル で測定した波長 400nmの光線透過率が 90%以上であり、且つ分子量が 1500以上 のヒンダードァミン化合物とを含有する榭脂組成物で形成されてなる容器 (第 2発明 用の容器)、
(3)内面がフッ素化炭素化合物の CVD膜で被覆されてなる容器 (第 3発明用の容器 )、のいずれかであることを特徴とする。
[0039] これらの容器を構成する榭脂は、所望の波長に対して透明な榭脂である。また、容 器に用いる榭脂は封入される液体を吸収しないものが好ましい。具体的には、吸水 性 (ASTM D570)力 好ましくは 0. 05%以下、より好ましくは 0. 01%以下である ものが好適である。
[0040] (第 1発明用の容器)
本発明の光学素子に用いる第 1発明用の容器は、榭脂製の容器内面の表層部に 該容器の内層部よりもフッ素原子含有量が多 ヽ榭脂の相を有するものである。
[0041] ここで、「容器内面の表層部」とは、容器最表面力 数 nm力 数 μ m程度の深さま での部分をいう。すなわち、第 1発明用の容器の内層部及び表層部は、ともに同種榭 脂から構成されており、積層界面が無ぐ表層部は内層部よりもフッ素原子含有量が 多くなつている。また、フッ素原子含有量の分布は、表層部から内層部に向力つて徐 々に減少していくような分布をなしていてもよいし、表層部から内層部に向かって階 段的に減少する分布をなしていてもよい。フッ素原子含有量は、 X線光電子分光〔E SCA (Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)〕等の分析手段によ つて測定することができる。
[0042] 透明な榭脂としては、脂環式構造含有重合体榭脂、アクリル榭脂、ポリカーボネー ト榭脂、ポリエステル榭脂、ポリオレフイン榭脂等が挙げられる。これらの榭脂は 1種単 独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、本発明 においては、、脂環式構造含有重合体榭脂が好ましい。
[0043] 用いる脂環式構造含有重合体榭脂は、主鎖及び Zまたは側鎖に脂環構造を有す
る重合体である。機械的強度や耐熱性等の観点から、主鎖に脂環構造を含有する 榭脂が好適である。脂環構造としては、シクロアルカン構造ゃシクロアルケン構造等 が挙げられるが、機械的強度、耐熱性等の観点から、シクロアルカン構造が好ましい
[0044] 脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋架け環等が挙げられる。脂環構造を 構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常 4〜30個、好ましくは 5〜20個 、より好ましくは 5〜 15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の 諸特性が高度にバランスされ好適である。
また、本発明で使用される脂環式構造含有重合体榭脂は、通常、熱可塑性のもの である。
[0045] 脂環式構造含有重合体榭脂は、通常、脂環構造を有するォレフィン (以下、「脂環 式ォレフイン」ということがある。 )由来の繰り返し単位を含有する。
脂環式構造含有重合体榭脂中における脂環式ォレフイン由来の繰り返し単位の割 合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常 30〜: LOO重量%、好ましくは 50〜 100重量0 /0、より好ましくは 70〜: LOO重量%である。脂環式ォレフイン由来の繰り返 し単位の割合が過度に少な 、と、耐熱性に劣り好ましくな 、。
脂環式ォレフイン由来の繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、格別な限定は なぐ使用目的に応じて適宜選択される。
[0046] また、脂環式構造含有重合体榭脂は、極性基を有するものであってもよ!ヽ。極性基 としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル 基、ォキシカルボ-ル基、カルボ-ル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物残 基、アミド基、イミド基等が挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボ ン酸無水物残基が好適である。
[0047] 脂環式構造含有重合体榭脂は、通常、脂環式ォレフインを付加重合又は開環重合 し、そして必要に応じて不飽和結合部分を水素化することによって、或いは芳香族ォ レフインを付加重合し、そして該重合体の芳香環部分を水素化することによって得ら れる。また、極性基を有する脂環式構造含有重合体榭脂は、例えば、前記脂環式構 造含有重合体榭脂に極性基を有する化合物を変性反応により導入することによって
、あるいは極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって得ら れる。
[0048] 脂環式構造含有重合体榭脂を得るために使用される脂環式ォレフインとしては、ノ ルボルネン、ジシクロペンタジェン、テトラシクロドデセン、ェチルテトラシクロドデセン 、ェチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ [7. 4. 0. I10' 13. 02、 7]トリデカー 2, 4, 6, 11ーテトラェン、 1, 4 メタノー 1 , 4, 4a, 9a—テトラヒドロフルオレンのごときノノレ ボルネン系単量体等の多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、 シクロペンテン、シクロへキセン、 3, 4ージメチルシクロペンテン、 3—メチルシクロへ キセン、 2—(2—メチルブチル) 1ーシクロへキセン、シクロオタテン、シクロへプテ ン、シクロペンタジェン、シクロへキサジェン等の単環構造の不飽和炭化水素及びそ の誘導体;等が挙げられる。これら環状ォレフィンには置換基として極性基を有して いてもよい。
芳香族ォレフインとしては、スチレン、 OC—メチルスチレン、ジビュルベンゼン等が 挙げられる。
脂環式ォレフイン及び Z又は芳香族ォレフインは、それぞれ 1種単独で、あるいは 2 種以上を組み合わせて用いることができる。
[0049] 脂環式ォレフイン又は芳香族ォレフインと共重合可能な単量体を必要に応じて付 カロ共重合させることができる。
脂環式ォレフイン又は芳香族ォレフインと共重合可能な単量体の具体例としては、 エチレン、プロピレン、 1ーブテン、 1 ペンテン、 1一へキセン、 3—メチルー 1ーブテ ン、 3—メチルー 1 ペンテン、 3 ェチルー 1 ペンテン、 4ーメチルー 1 ペンテン 、 4ーメチルー 1一へキセン、 4, 4 ジメチルー 1一へキセン、 4, 4 ジメチルー 1 ペンテン、 4ーェチルー 1一へキセン、 3 ェチルー 1一へキセン、 1—オタテン、 1 デセン、 1ードデセン、 1ーテトラデセン、 1一へキサデセン、 1ーォクタデセン、 1ーェ ィコセン等の炭素数 2〜20のエチレンまたは α—ォレフイン; 1, 4一へキサジェン、 4 ーメチルー 1 , 4一へキサジェン、 5—メチノレー 1 , 4一へキサジェン、 1, 7—ォクタジ ェン等の非共役ジェン;1 , ブタジエン、イソプレン等の共役ジェン;等が挙げら れる。これらの単量体は、それぞれ 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用
いることがでさる。
[0050] 脂環式ォレフイン又は Z及び芳香族ォレフインの重合は公知の方法に従って行うこ とがでさる。
重合温度は特に限定されな 、が、通常— 50°C〜 + 100°Cである。
また重合圧力(加圧圧力)は特に限定されないが、通常 0〜5 X 103Pa (0〜50kgf / cm )でめ。。
水素化反応は、公知の水素化触媒の存在下、水素を吹き込んで行うことができる。
[0051] 脂環式構造含有重合体榭脂の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合 体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体 とビ-ルイ匕合物(=エチレンや、 ひ—ォレフイン等)との付加重合体、単環シクロアル ケンの重合体、脂環式共役ジェン系単量体の重合体及びその水素化物、ビニル脂 環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物、芳香族ォレフイン重合体の芳 香環水素化物等が挙げられる。
[0052] これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボル ネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体 、芳香族ォレフイン重合体の芳香環水素化物が好ましぐ特にノルボルネン系単量体 の開環重合体の水素化物が好ましい。
前記脂環式構造含有重合体榭脂は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて 用!/、ることができる。
[0053] 本発明に用いる榭脂は、その分子量によって特に制限されない。榭脂の分子量は 、シクロへキサン (シクロへキサンに溶解しな 、ときはトルエン)を溶媒とするゲルパー ミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子 量(Mw)で、通常 1, 000〜1, 000, 000、好まし <は 5, 000〜500, 000、より好ま しくは 10, 000〜250, 000の範囲である。榭脂の重量平均分子量(Mw)がこの範 囲にあるときには、耐候性、接着性、表面平滑性等がバランスされ好適である。
[0054] 榭脂の分子量分布は、シクロへキサン(シクロへキサンに溶解しな!、ときはトルエン) を溶媒とする GPCで測定される重量平均分子量 (Mw)と数平均分子量 (Mn)との比 (MwZMn)で、通常 5以下、好ましくは 4以下、より好ましくは 3以下である。
[0055] 榭脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは 70°C以上、より好ましくは 95°C以上、最も好ましくは 120°C以上である。
[0056] また、用いる榭脂としては、放出水分量や放出有機物量のような揮発成分の少ない 光学素子を得るために、榭脂の揮発成分含有量を 0. 5重量%以下にするのが好ま しい。ここで揮発成分含有量は、公知の示差熱重量測定装置 (例えば、 TG/DTA2 00、セィコ一'インスツルメンッ社製、等)を用いて、 30°Cから 350°Cまで 10°C/分で 加熱したときに揮発する成分の量である。
[0057] 揮発成分を低減する方法は特に制限されないが、例えば、後述する凝固法や直接 乾燥法によって、重合体溶液から溶媒と同時に他の放出水分や放出有機物を除去 する方法、スチームストリッピング法、減圧ストリツビング法、窒素ストリツビング法等に よる方法が挙げられる。特に、凝固法と直接乾燥法は生産性に優れ好ましい。
[0058] 凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させ る方法である。
用いる貧溶媒としては、例えば、エチルアルコール、 n—プロピルアルコール、イソ プロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルェチルケトン等のケトン類;酢 酸ェチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
[0059] 凝固して固液分離した後、小塊状の重合体 (クラム)は加熱乾燥して溶媒を除去す る。乾燥の際の圧力は、通常 lOkPa以下、好ましくは 3kPa以下で、加熱温度は、通 常 260°C以上、好ましくは 280°C以上である。
[0060] 直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下で加熱して溶媒を除去する方法である。この 方法は、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、搔面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リ ァクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によ つて適宜選択することができる。
[0061] また用いる榭脂は、酸化防止剤、光安定剤、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増 白剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、溶 剤、可塑剤、離型剤、エラストマ一、難燃剤、カップリング剤等を適宜配合したもので あってもよい。
[0062] 好ましい榭脂としては、酸化防止剤及び Z又は光安定剤を配合したものである。
酸ィ匕防止剤としては、フエノール系酸ィ匕防止剤、リン系酸化防止剤、ィォゥ系酸ィ匕 防止剤等が挙げられ、これらの中でもフエノール系酸ィ匕防止剤、特にアルキル置換 フエノール系酸ィ匕防止剤が好まし 、。
[0063] フエノール系酸化防止剤としては、ォクタデシルー 3—(3, 5 ジ tーブチルー 4 —ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、 2, 2,一メチレン一ビス(4—メチル 6— t—ブ チルフエノール)、 1, 1, 3 トリス(2—メチル 4 ヒドロキシ一 5— t—ブチルフエ- ル)ブタン、 1, 3, 5 トリメチル 2, 4, 6 トリス(3, 5 ジ一 t—ブチル 4 ヒドロ キシベンジル)ベンゼン、テトラキスメチレン一 3— (3' , 5,一ジ一 t—ブチノレ一 4'—ヒ ドロキシフエ-ルプロピオネート)メタン〔ペンタエリスリチルーテトラキス 3— (3, 5—ジ —tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ルプロピオネート)〕等のアルキル置換フエノール 系化合物; 2 t ブチル 6—( 3 t ブチル 2 ヒドロキシ 5 メチルベンジ ル)— 4—メチルフエ-ルアタリレート、 2, 4 ジ— t—アミルー 6— { 1— (3, 5 ジ— t —アミルー 2—ヒドロキシフエ-ル)ェチル }フエ-ルアタリレート等のアタリレート系化 合物; 6—(4ーヒドロキシー 3, 5 ジー tーブチルァ-リノ) 2, 4 ビスォクチルチ ォ 1, 3, 5 トリアジン、 4 ビスォクチルチオ 1, 3, 5 トリアジン等のトリアジン 基含有フエノール系化合物;等が挙げられる。
[0064] リン系酸化防止剤としては、トリフエ-ルホスフアイト、ジフエ-ルイソデシルホスファ イト、フエ-ルジイソデシルホスフアイト、トリス(ノ -ルフエ-ル)ホスファイト、トリス(ジノ -ルフエ-ル)ホスファイト、トリス(2, 4 ジー t—ブチルフエ-ル)ホスファイト等のモ ノホスファイト系化合物; 4, 4,ーブチリデンービス(3—メチルー 6— t ブチルフエ- ルージートリデシルホスフアイト)等のジホスファイト系化合物;等が挙げられる。
[0065] ィォゥ系酸化防止剤としては、ジラウリル 3, 3' チォジプロピオネート、ジミリスチ ル 3, 3,一チォジプロピオネート、ジステアリル 3, 3,一チォジプロピオネート、ラウ リルステアリル 3, 3,一チォジプロピオネート等が挙げられる。
これらの酸ィ匕防止剤は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることが できる。
[0066] 酸化防止剤の配合量は、榭脂 100重量部に対し、通常 0. 01〜2重量部、好ましく は 0. 02〜1重量部、より好ましくは 0. 05〜0. 5重量部の範囲である。
[0067] 光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤 (HALS)、ベンゾエート系光安定 剤等が挙げられ、これらの中でもヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
[0068] ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4 —ピペリジル)セバケート、ビス(1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチル一 4 ピペリジル)セバ ケート、 1 - [2- {3- (3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ル ォキシ }ェチル〕—4— {3— (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プロピ ォ-ルォキシ } 2, 2, 6, 6, —テ卜ラメチルピぺジジン、 8 ベンジル— 7, 7, 9, 9, —テトラメチル一 3—ォクチル一 1, 2, 3 トリァザスピロ [4, 5]ゥンデカン一 2, 4 ジ オン、 4 ベンゾィルォキシ 2, 2, 6, 6, ーテトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチ ルー 1一(2 ヒドロキシェチル)ー4ーヒドロキシ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピベリジ ン重縮合物、ポリ [{6—(1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル)アミノー 1, 3, 5 トリアジ ン一 2, 4 ジィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)イミノ}へキサメチレ ン { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)ィミノ }]、N, N,一ビス(3 アミノプ ロピノレ)エチレンジァミン 2, 4 ビス [N ブチノレー N—(l, 2, 2, 6, 6 ペンタメ チルー 4ーピペリジル)ァミノ]ー6 クロロー 1, 3, 5 トリアジン縮合物、
[0069] テトラキス(2, 2, 6, 6, —テトラメチル一 4 ピペリジル) 1, 2, 3, 4 ブタンテトラ カルボキシレート、 1, 2, 3, 4 ブタンテトラカルボン酸と 1, 2, 2, 6, 6, —テトラメチ ルー 4ーピベリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、 N, Ν,, N,,, N,,,ーテ トラキスー(4, 6 ビス (ブチルー(N—メチルー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピベリジ ン— 4—ィル)ァミノ)—トリァジン— 2—ィル)—4, 7 ジァザデカン— 1, 10 ジアミ ン、ジブチルァミンと 1, 3, 5 トリァジンと N, Ν'—ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4ーピペリジル)ブチルァミンとの重縮合物、ポリ〔{ (1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル) ァミノ一 1, 3, 5 トリァジン一 2, 4 ジィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリ ジル)イミノ}へキサメチレン { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)ィミノ }〕、 1 , 6 へキサンジァミン一 Ν, Ν'—ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)と モルフォリン一 2, 4, 6 トリクロ口一 1, 3, 5 トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6 モ ルフォリノ一 s トリァジン一 2, 4 ジィル) [ (2, 2, 6, 6, —テトラメチル一 4 ピペリ ジル)ィミノ〕一へキサメチレン〔(2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4ーピペリジル)ィミノ〕〕コ
ハク酸ジメチルと 4ーヒドロキシ 2, 2, 6, 6—テトラメチルー 1ーピペリジンエタノー ノレとの重合物、 1, 2, 3, 4 ブタンテトラ力ノレボン酸と 1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチノレ 4ーピベリジノールと 3, 9 ビス(2 ヒドロキシ 1, 1ージメチルェチル) 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ [5, 5]ゥンデカンとの混合エステルイ匕物等が挙げられる。 これらの光安定剤は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることがで きる。
[0070] これらの中でも、ジブチルァミンと 1, 3, 5 トリァジンと N, N,一ビス(2, 2, 6, 6— テトラメチル一 4 ピペリジル)プチルァミンとの重縮合物、ポリ〔{ (1, 1, 3, 3—テトラ メチルブチル)アミノー 1, 3, 5 トリアジンー 2, 4 ジィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメチ ル一 4 ピペリジル)イミノ}へキサメチレン { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピベリジ ル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと 4ーヒドロキシ 2, 2, 6, 6—テトラメチルー 1ーピペリ ジンエタノールとの重合物、等の数平均分子量が 2, 000〜5, 000のものが好ましい
[0071] 光安定剤の配合量は、榭脂 100重量部に対し、通常 0. 0001〜5重量部、好ましく は 0. 001〜1重量部、より好ましくは 0. 01-0. 5重量部の範囲である。
[0072] 第 1発明用の容器を製造する方法としては、内面の表層部に、該容器内層部よりも フッ素原子含有量が多い樹脂の相を有する榭脂製の容器が得られるものであれば, 特に限定されないが、榭脂製の容器基材内面をフッ素ガスを含有する雰囲気に接触 させることを含む製造方法が好ま 、。
[0073] この方法は、例えば、図 1に示す反応装置を使用して実施することができる。
この反応装置は、チャンバ一 1と、チャンバ一の温度を制御するための加熱装置 5と を備え、チャンバ一 1には、フッ素ガス及び不活性ガスを導入するための、フッ素ガス 供給ライン 2と不活性ガス供給ライン 3が連結されている。また、不要なガスを抜き出 す排気ライン 4がチャンバ一 1の別の位置に連結されている。なお、チャンバ一 1はス テンレス製もしくはアルミニウム製のものが好まし 、。
[0074] チャンバ一 1には、前記の容器基材を載置する空間が設けられており、そこに種々 形状の容器基材を載置することができる。
排気ライン 4カゝら抜き出されたガスは、そのままで、あるいは分離精製して、各ガス
供給ラインに戻し、循環再利用することができる。
[0075] 容器基材 6は、本発明の光学素子に適した形状に成形することができる。例えば、 図 2に示す光学素子の容器であれば、榭脂を筒形状に成形することによって得られ る。この場合、容器基材にフッ素ガスを含有する雰囲気を接触させ、フッ素原子を該 基材に導入すると大きさがわずかに変化するので、その変化量を勘案して容器基材 を所望の容器が得られる大きさや形状に成形することが好ましい。
[0076] 得られた容器基材を次の工程によって表面処理し、本発明の光学素子用容器を好 適に製造することができる。また容器内面のみにフッ素ガスを含有する雰囲気を接触 させるために、マスキングを行ってもよい。
[0077] 第 1発明用の容器は、より具体的には、次の工程を経ることにより製造することがで きる。
(a)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に榭脂製容器基材を放置する工程
工程 (a)では、まず、チャンバ一 1内に容器基材を載置し、チャンバ一 1を閉じて、 不活性ガス供給ライン 3の弁を開き不活性ガスをチャンバ一 1内に流入させる。
[0078] 不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等が挙 げられる。本発明にお ヽてはアルゴンが好適に用いられる。
[0079] チャンバ一 1内を不活性ガス雰囲気にして、加熱装置によって、チャンバ一内の容 器基材を加熱することが好ましい。この加熱によって、容器基材中に含まれていた水 分、酸素、揮発成分を効率的に除去することができる。加熱温度は容器基材表面温 度で、通常 60〜180°C、好ましくは 80〜130°Cである。加熱時間は通常 1〜360分 、好ましくは 2〜200分である。
[0080] また、不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下に容器基材を放置してもよ ヽ 。減圧下に放置する場合は、圧力を通常 6. 6 X 104Pa (500mmHg)以下、好ましく は 1. 3 X 104Pa (100mmHg)以下にする。圧力の下限は 1. 3 X 102Pa (lmmHg) である。極端に減圧すると排気系力 油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがあ る。
[0081] 減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常 15〜: LOO°Cで ある。また、減圧と同時に高純度不活性ガスを注入することは、酸素及び水の量を効
率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は通常 1〜360分、好ましくは 2 〜 200分である。
[0082] また、次の工程 (b)にお ヽて容器基材中に酸素や水分が存在すると、容器の表面 が親水化されやすいので、工程 (a)において酸素や水分の量を減らすことが好まし い。好ましい容器基材中の酸素及び水の量は、共に、通常 1重量%以下、好ましくは 100重量 ppm以下、より好ましくは 10重量 ppm以下である。
[0083] この工程 (a)は必ず行わなければならな 、工程ではな 、が、この工程を経ることに よって、容器表層部に、フッ素原子含有量が多い樹脂の相を面内分布なく存在させ ることができるようになるので、工程 (a)を経ることが好まし!/、。
[0084] (b)フッ素ガスを含有する雰囲気中に該容器基材表面にフッ素ガスを含有する雰囲 気を接触させる工程
工程 (a)の後、不活性ガス供給ライン 3の弁を閉じ、必要に応じてチャンバ一 1内を 冷却し、次いで、フッ素ガス供給ライン 2の弁と必要に応じて不活性ガス供給ライン 3 の弁を開き、フッ素ガスをチャンバ一 1内に流入させ、チャンバ一 1内をフッ素ガスを 含有する雰囲気にする。
[0085] フッ素ガスを含有する雰囲気は、フッ素ガスだけで構成される雰囲気でもよいが、 反応を緩やかにするために、不活性ガスで希釈したフッ素ガスで構成することが好ま しい。フッ素ガスを含有する雰囲気中には酸素及び水が無いほうが好ましい。具体的 には酸素及び水の量が共に 100重量 ppm以下であることが好ましぐ 10重量 ppm以 下であることが更に好ましぐ 1重量 ppm以下であることが特に好ましい。
[0086] 容器基材表面にフッ素ガスを含有する雰囲気を接触させることによって、フッ素ガス 力 容器基材の表面から表層部、さらには内層部に向力つて拡散し、榭脂内へフッ 素原子の導入が起こり、容器基材を構成する榭脂中のフッ素原子含有量が増加して いく。容器基材表面からのフッ素原子の浸透深さ、フッ素原子の含有量は、フッ素ガ スの濃度、温度、時間に依存して変化する。
[0087] 不活性ガスで希釈したフッ素ガスの濃度は、通常 0. 1〜50重量%、好ましくは 0. 1 〜30重量%、より好ましくは 0. 1〜20重量%である。フッ素ガスを含有する雰囲気を 接触させるときの容器基材表面温度は、特に制限されないが、通常— 50〜 + 150°C
、好ましくは 20〜 + 80°C、特に好ましくは 0〜50°Cである。
接触させる時間は、通常 0. 1秒力も 600分、好ましくは 0. 5秒から 300分、より好ま しくは 1秒から 200分である。
[0088] フッ素ガス濃度が高い場合、温度が高い場合、あるいは接触時間が長い場合には
、フッ素原子の浸透深さが深くなり、フッ素原子含有量も多くなる。
フッ素原子含有量の増加に伴って、フッ素原子が導入された部分 (主に表層部)の 屈折率は低下するので、フッ素ガス濃度、温度、時間を適宜選択することによって、 所望の屈折率に制御することができる。
[0089] 光反射率を低減するためには、表層部 (最表面:フッ素原子含有量最大の部分)の 屈折率と内層部(フッ素原子含有量ゼロの部分)の屈折率との差を 0. 001以上、好 ましくは 0. 01以上となるようにすることが好まし 、。
[0090] フッ素ガス濃度が極端に高 、場合、あるいは極端に高温度で接触時間が長 、場合 は、容器基材を構成する榭脂が劣化するので、上記に示した濃度、温度及び時間の 範囲でフッ素ガスを接触させることが好ま 、。
[0091] (c)フッ素ガスを接触させた後、不活性ガス雰囲気中または減圧下に、工程 (b)を経 た容器基材を再放置する工程
フッ素ガスを接触させ、所定時間経過した後、不活性ガス供給ライン 3を開き、フッ 素ガス供給ライン 2の弁を閉じて、チャンバ一 1内を不活性ガス雰囲気にする。不活 性ガスは前記工程 (a)で説明したものと同じものが挙げられる。
[0092] この場合、加熱装置によって容器基材を加熱することが好ま U、。この加熱によつ て容器基材中に導入しきれな力つた余剰のフッ素ガスを除去することができる。加熱 温度は容器基材表面温度で、通常 60〜180°C、好ましくは 80〜130°Cである。加熱 時間は通常 1〜360分、好ましくは 2〜200分である。
[0093] また、不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下に容器基材を放置してもよ ヽ
。減圧下に放置する場合は、圧力を通常 6. 6 X 104Pa (500mmHg)以下、好ましく は 1. 3 X 104Pa (100mmHg)以下にする。圧力の下限は 1. 3 X 102Pa (lmmHg) である。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがあ る。
[0094] 減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常 15〜: LOO°Cで ある。また、減圧と同時に高純度不活性ガスを注入することは、フッ素ガスを効率的 に除去することができるので好ましい。減圧時間は通常 1〜360分、好ましくは 2〜2 00分である。
[0095] この工程 (c)は必ず行わなければならな 、工程ではな 、が、この工程を経ることに よって、容器表層部に、フッ素原子含有量が多い樹脂の相を面内分布なく存在させ ることができるようになるので、工程 (c)を経ることが好まし!、。
工程 (c)を終了後、容器をチャンバ一 1から取り出し、それぞれの用途に応じて用い ることがでさる。
[0096] (第 2発明用の容器)
本発明の光学素子に用いる第 2発明用の容器は、その天部及び底部が、榭脂に、 必要に応じて 5重量%のクロ口ホルム溶液を 10mm光路セルで測定した波長 400η mの光線透過率が 90%以上であり、且つ分子量が 1500以上のヒンダードアミンィ匕 合物が配合された榭脂組成物力も形成されたものである。
[0097] 第 2発明用の容器の天部及び底部を構成する材料は、波長 405nmでの光線透過 率が lmm厚の平板で測定したときに 90%以上であり、且つ温度 25°C、照射強度 40 00W/m2,及び照射時間 2000時間で、波長 405nmの光を照射した後の波長 405 nmでの光線透過率の低下が照射前の光線透過率に対して 1%以下のものである。
[0098] 榭脂としては、脂環式構造含有重合体榭脂、アクリル榭脂、ポリカーボネート榭脂、 ポリエステル榭脂、ポリオレフイン榭脂等が挙げられる。これらの榭脂は 1種単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0099] これらの中でも、脂環式構造含有重合体榭脂及びアクリル榭脂が好ましい。
脂環式構造含有重合体榭脂としては、前記第 1発明用の容器を構成する榭脂と同 様、脂環式ォレフイン由来の繰り返し単位を有する、通常、熱可塑性のものである。 この具体例としては、前記第 1発明用の容器を構成する榭脂として例示したものと 同様のものが挙げられる。
[0100] 脂環式構造含有重合樹脂の中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びそ の水素化物、ノルボルネン系単量体の付カ卩重合体、ノルボルネン系単量体とビニル
化合物との付加重合体、芳香族ォレフイン重合体の芳香環水素化物がより好ましぐ ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物が特に好ましい。
[0101] 第 2発明用の容器の天部及び底部を形成するためのアクリル榭脂としては、特に制 限されない。例えば、(メタ)アタリレートイ匕合物の単独重合体、(メタ)アタリレートイ匕合 物の 2種以上の共重合体、(メタ)アタリレート化合物と他の共重合性単量体との共重 合体等が挙げられる。ここで、(メタ)アタリレートは、アタリレート又はメタタリレートのい ずれかを表す。
[0102] 第 2発明用の容器に用いる榭脂は、その分子量によって特に制限されない。榭脂 の分子量は、榭脂がブロック共重合体である場合は、ブロック共重合体の重量平均 分子量(Mw)力 50, 000〜300, 000、好まし < ίま 55, 000〜200, 000、特に好 ましくは 60, 000-150, 000である。榭脂がランダム共重合体あるいは単独重合体 である場合は、重量平均分子量(Mw)は、通常 5, 000-500, 000、好ましくは 10 , 000-200, 000である。 Mwが小さすぎる場合には、機械的強度が十分でなくなり 、大きすぎる場合には成形時間が長くかかり重合体の熱分解を起こしやすくなり、有 機物放出量が増加する傾向になる。
[0103] 榭脂は、その分子量分布が、重量平均分子量 (Mw)と数平均分子量 (Mn)との比
(Mw/Mn)による表記で、通常 2以下、好ましくは 1. 5以下、より好ましくは 1. 2以 下である。 MwZMnがこの範囲にあると、機械強度と耐熱性が高度にバランスされる 。なお、 Mw及び Mnは、シクロへキサン(シクロへキサンに溶解しないときはトルエン) を溶媒とするゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレ ン換算の値である。
[0104] 榭脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは 60〜200°C、より好ましくは 70〜180°C、最も好ましくは 90〜170°Cである。ガラス 転移温度が低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。ガラス転移温度が高すぎると 加工性が悪くなる傾向がある。ここでガラス転移温度は示差走査熱量計を用いて測 定した値である。
[0105] また、用いる榭脂としては、放出水分量や放出有機物量のような揮発成分の少ない 光学素子を得るために、前記第 1発明用の容器を構成する榭脂の場合と同様、榭脂
の揮発成分含有量を 0. 5重量%以下にするのが好ましい。
[0106] この樹脂に配合されるヒンダードアミンィ匕合物は、(a) 5重量0 /0のクロ口ホルム溶液 の、 10mm光路セルで測定した 400nmの光線透過率(以下、単に光線透過率という )が 90%以上、好ましくは 94%以上であり、かつ(b)分子量が 1, 500以上、好ましく は 1, 500〜10, 000、より好ましくは 1, 500〜5, 000のものである。光線透過率と 分子量とが、上述の範囲内にあると、青色レーザに対しても良好な透明性が安定し て得られる。
[0107] 尚、ヒンダードアミンィ匕合物が重合体である場合、前記分子量は、テトラヒドロフラン を溶媒として用いるゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)により測定した数 平均分子量を意味する。
[0108] 用いる好適なヒンダードアミンィ匕合物は、窒素原子に隣接する 2つの炭素原子の双 方にそれぞれ置換基が結合したピぺリジン環を複数含有するものである。窒素原子 に隣接する炭素原子に結合する置換基としては、メチル基、ェチル基等のアルキル 基が好ましぐ双方の炭素原子のそれぞれにメチル基が結合しているものが最も好ま しい。
[0109] ヒンダードァミン化合物の例としては、第 1発明用の容器の説明で述べた、ヒンダ一 ドアミン系光安定剤が挙げられる。
[0110] これらのうち、特に好適なヒンダードアミンィ匕合物は、ポリ {〔6— (1, 1, 3, 3—テトラ メチルブチル)アミノー 1, 3, 5 トリアジンー 2, 4 ジィノレ〕 [ (2, 2, 6, 6—テトラメチ ルー 4ーピペリジル)ィミノ〕へキサメチレン〔(2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4ーピベリジ ル)ィミノ〕 }である。
[0111] ヒンダードァミン化合物は、同一の化学式や名称で表されるものであっても、光線透 過率が異なる場合があり、重合体では、数平均分子量が異なる場合がある。光線透 過率を高めるためには純度を上げる必要があり、数平均分子量を上げるためには触 媒、反応温度、反応時間を調整する必要がある。
[0112] 例えば、後述の実施例に具体的に示す通り、市販されている分子量が 2, 000以上 のポリ {〔6—(1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル)アミノー 1, 3, 5 トリアジン 2, 4— ジィル〕 [ (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)ィミノ〕へキサメチレン〔(2, 2, 6
, 6—テトラメチルー 4ーピペリジル)ィミノ〕 }には、光線透過率が 90%未満のものと、 90%以上のものとがある。
[0113] ヒンダードァミン化合物の配合量は、榭脂 100重量部に対して、通常 0. 01〜: L 5 重量部、好ましくは 0. 03〜: L 0重量部、更に好ましくは 0. 05〜0. 5重量部である。 ヒンダードアミンィ匕合物の配合量カこの範囲にないと、十分な効果が得られない。
[0114] また、榭脂には、スチレン ブタジエン スチレンブロック共重合体の主鎖水素化 物(スチレン エチレン ブチレン スチレンブロック共重合体〔SEBS〕 )やスチレン イソプレン スチレンブロック共重合体の主鎖水素化物(スチレン エチレンープ ロピレン スチレンブロック共重合体〔SEPS〕)等のエラストマ一を添加するのが好ま しい。
[0115] なかでも、エラストマ一を添加すると、高温高湿下において白濁しにくくなり、コーテ イング剤等との密着性が高くなり、平滑性も高くなるのでより好ましい。このようなエラ ストマーは金属含量が 50ppm以下であることが好ましぐ 30ppm以下であることが特 に好ましい。
エラストマ一の配合量は、榭脂 100重量部に対して、通常 0. 05〜70重量部、好ま しくは 0. 1〜 50重量部である。
[0116] 更に樹脂には、機械的性質を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊 維、金属フレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タル ク、シリカ、マイ力、ガラスフレーク、ミルドファイバー、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、 二硫ィ匕モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ゥイスカー、チタン酸カリウムウイスカ 一等の充填材、公知の他の酸化防止剤、難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、可 塑剤、着色剤、滑剤、シリコンオイル、発泡剤、界面活性剤、離型剤、紫外線吸収剤 等の添加剤を配合することもできる。
[0117] 榭脂に配合物を添加する方法としては、例えば、榭脂とヒンダードァミン化合物とを 混練する方法;榭脂とヒンダードアミンィ匕合物とを適当な溶媒中で混合し、溶媒を除 去する方法;等が挙げられる。
[0118] 混練するために、例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリ一ミキサー、ニーダー 、フィーダ一ルーダー等の溶融混練機を用いることができる。混練温度は、好ましく
は 200〜400°C、更に好ましくは 240〜350°Cである。また、混練するに際しては、 各成分を一括して混練しても数回に分けて添加しながら混練りしてもよい。
[0119] 第 2発明用の容器の天部及び底部を形成するための好適な榭脂は、 40°Cにおけ る水蒸気透過速度が lmm厚の平板で 0. 05g/m2. day以下のものである。
また、容器天部及び底部を構成する榭脂は、所望の波長に対して透明な榭脂であ る。
吸水性、水蒸気透過速度が小さい榭脂を用いることで、青色レーザを持続的に透 過、集光でき、エレクトロウエツティング現象を利用して、小型な構成で効率よく屈折 力を制御することができる構造を有する光学素子が得られる。
[0120] 前記榭脂を本発明の光学素子に適した形状に成形することにより、第 2発明用の容 器を製造することができる。例えば、後述する、図 2に示す光学素子の容器であれば
、前記榭脂を筒形状に成形することによって得ることができる。
[0121] (第 3発明用の容器)
本発明の光学素子の第 3発明用の容器は、内面がフッ素化炭素化合物の CVD膜 で被覆されてなる容器である。
[0122] 第 3発明用の容器を構成する材料としては、特に限定されないが、透明性に優れる ものが好ましい。透明材料としてはガラスがあるが、成形性、軽量性等の観点カも榭 脂が好適である。
[0123] 透明榭脂としては、脂環式構造含有重合体榭脂、アクリル榭脂、ポリカーボネート 榭脂、ポリエステル榭脂、ポリオレフイン榭脂等が挙げられる力 本発明においては、 脂環式構造含有重合体榭脂が好まし ヽ。
[0124] 脂環式構造含有重合体榭脂としては、前記第 1発明用の容器を構成する榭脂と同 様、脂環式ォレフイン由来の繰り返し単位を有する、通常、熱可塑性のものである。 この具体例としては、前記第 1発明用の容器を構成する榭脂として例示したものと 同様のものが挙げられる。
[0125] 脂環式構造含有重合体榭脂の中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及び その水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニ ル化合物との付加重合体、芳香族ォレフイン重合体の芳香環水素化物がより好まし
ぐノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物が特に好ましい。
[0126] 用いる榭脂は、その分子量によって特に制限されない。榭脂の分子量は、シクロへ キサン(シクロへキサンに溶解しな 、ときはトルエン)を溶媒とするゲルパーミエーショ ンクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量 (Mw) で、通常 1, 000〜1, 000, 000、好まし <は 5, 000〜500, 000、より好まし <は 10 , 000〜250, 000の範囲である。榭脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあると きには、耐候性、接着性、表面平滑性等力 Sバランスされ好適である。
[0127] 榭脂の分子量分布は、シクロへキサン (シクロへキサンに溶解しな!、ときはトルエン) を溶媒とする GPCで測定される重量平均分子量 (Mw)と数平均分子量 (Mn)との比 (MwZMn)で、通常 5以下、好ましくは 4以下、より好ましくは 3以下である。
[0128] 榭脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは 70°C以上、より好ましくは 95°C以上、最も好ましくは 120°C以上である。
[0129] また、用いる榭脂としては、放出水分量や放出有機物量のような揮発成分の少ない 光学素子を得るために、前記第 1発明用の容器を構成する榭脂の場合と同様、榭脂 の揮発成分含有量を 0. 5重量%以下にするのが好ましい。
[0130] 用いる樹脂は、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光 安定剤、
紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤、可塑剤、 離型剤、エラストマ一、難燃剤、カップリング剤等を適宜配合したものであってもよい。
[0131] 本発明の光学素子に適した形状に榭脂を成形することにより、 CVD膜で被覆前の 容器を得ることができる。例えば、後述する、図 2に示す光学素子の容器であれば、 榭脂を筒形状に成形することによって得ることができる。
[0132] 容器内面を被覆するフッ素化炭素化合物の CVD膜は、原料としてフッ素化炭素化 合物を用い、 CVD法によって製膜した薄膜である。
[0133] 用いるフッ素化炭素化合物は、炭素原子およびフッ素原子のみ力も構成されるィ匕 合物である。フッ素化炭素化合物は二重結合又は三重結合を有するものが好ま ヽ
。フッ素化炭素化合物を構成する炭素の数は好ましくは 2〜7、より好ましくは 2〜5、 さらに好ましくは 4〜5、特に好ましくは 5である。
[0134] 該不飽和フッ素化炭素化合物の具体例としては、テトラフルォロエチレン等の炭素 数が 2である不飽和フッ素化炭素化合物;へキサフルォロプロペン、テトラフルォロプ 口ピン、テトラフルォロシクロプロペン等の炭素数が 3の不飽和フッ素化炭素化合物; へキサフルオロー 2—ブチン、へキサフルオロー 1ーブチン、へキサフルォロシクロブ テン、へキサフルオロー 1, 3 ブタジエン、へキサフルオロー(1ーメチルシクロプロ ペン)、ォクタフルオロー 1ーブテン、ォクタフルオロー 2 ブテン等の炭素数が 4の不 飽和フッ素化炭素化合物;ォクタフルォロ 1 ペンチン、ォクタフルォロ 2—ペン チン、ォクタフルオロー 1, 3 ペンタジェン、ォクタフルオロー 1, 4 ペンタジェン、 ォクタフルォロシクロペンテン、ォクタフルォロイソプレン、へキサフルォロビニルァセ チレン、ォクタフルオロー(1ーメチルシクロブテン)、ォクタフルオロー(1, 2—ジメチ ルシクロプロペン)等の炭素数が 5の不飽和フッ素化炭素化合物;ドデカフルオロー 1 一へキセン、ドデカフノレ才ロー 2 へキセン、ドデカフノレ才ロー 3 へキセン、デカフ ルオロー 1, 3 へキサジェン、デカフルオロー 1, 4一へキサジェン、デカフルオロー 1, 5 へキサジェン、デカフルオロー 2, 4 へキサジェン、デカフルォロシクロへキ セン、へキサフルォロベンゼン、ォクタフルオロー 2 へキシン、ォクタフルオロー 3— へキシン、ォクタフルォロシクロー 1, 3 へキサジェン、ォクタフルォロシクロー 1, 4 一へキサジェン等の炭素数が 6の不飽和フッ素化炭素化合物;ゥンデ力フルオロー 1 ヘプテン、ゥンデ力フルオロー 2 ヘプテン、ゥンデ力フルオロー 3 ヘプテン、ド デカフルォロシクロヘプテン等の炭素数が 7の不飽和フッ素化炭素化合物;が挙げら れる。
[0135] これらの中でも、テトラフルォロエチレン、へキサフルォロプロペン、テトラフルォロプ 口ピン、テトラフルォロシクロプロペン、へキサフルオロー 2—ブチン、へキサフルォロ 1ーブチン、へキサフルォロシクロブテン、へキサフルオロー 1, 3 ブタジエン、へ キサフルオロー(1—メチルシクロプロペン)、ォクタフルオロー 1—ブテン、ォクタフル オロー 2—ブテン、ォクタフルオロー 1 ペンチン、ォクタフルオロー 2—ペンチン、ォ クタフルオロー 1, 3 ペンタジェン、ォクタフルオロー 1, 4 ペンタジェン、オタタフ ルォロシクロペンテン、ォクタフルォロイソプレン、へキサフルォロビニルアセチレン、 ォクタフルォロ 1ーメチルシクロブテン、ォクタフルォロ 1 , 2—ジメチルシクロプロ
ペンが好ましぐへキサフルオロー 2—ブチン、へキサフルオロー 1ーブチン、へキサ フルォロシクロブテン、へキサフルオロー 1, 3 ブタジエン、へキサフルオロー(1ーメ チルシクロプロペン)、ォクタフルオロー 1ーブテン、ォクタフルオロー 2—ブテン、オタ タフルォロ 1 ペンチン、ォクタフルォロ 2 ペンチン、ォクタフルォロ 1, 3— ペンタジェン、ォクタフルオロー 1, 4 ペンタジェン、ォクタフルォロシクロペンテン、 ォクタフルォロイソプレン、へキサフルォロビニルアセチレン、ォクタフルオロー(1ーメ チルシクロブテン)、ォクタフルオロー(1, 2—ジメチルシクロプロペン)がより好ましく 、ォクタフルオロー 2 ペンチン、ォクタフルオロー 1, 3 ペンタジェン、ォクタフルォ ロシクロペンテンがさらに好ましぐォクタフルオロー 2—ペンチン、ォクタフルォロシク 口ペンテンがさらに好ましく、ォクタフルォロ 2—ペンチンが特に好まし 、。
[0136] 用いるフッ素化炭素化合物は、不飽和フッ素化炭素化合物を、好ましくは 90重量 %以上、より好ましくは 95重量%以上、さらに好ましくは 99重量%以上、特に好まし くは 99. 9重量%以上含有する。
[0137] 用いるフッ素化炭素化合物は、水素原子含有化合物の含有量が好ましくは 90重 量 ppm以下、より好ましくは 70重量 ppm以下、さらに好ましくは 50重量 ppm以下、特 に好ましくは 10重量 ppm以下である。なお、ここで水素原子含有ィ匕合物とは、水素 原子を有する有機化合物、および水等の水素原子を有する無機化合物を意味する また、用いるフッ素化炭素化合物は、水分含有量が好ましくは 3重量 ppm以下、さ らに好ましくは 1重量 ppm以下、特に好ましくは 0. 1重量 ppm以下である。
[0138] フッ素化炭素化合物中に水素原子含有化合物が存在すると、 CVD法により形成さ れた膜中に水素原子が取り込まれる。この水素原子の存在により、膜の比誘電率の 上昇、膜形成の再現性の低下、膜を加熱処理したときの腐食性ガスの発生、撥水性 の低下等が起きることがある。フッ素化炭素化合物中に水素原子含有ィ匕合物の含有 量を上記範囲にすることによって応答性のよい光学素子を得ることができる。
水素原子含有ィ匕合物の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計により求めること ができ、水分の含有量はカールフィッシャー水分計により求めることができる。
[0139] フッ素化炭素化合物中の水素原子を有する有機化合物の含有量を調整する方法
としては、吸着材により除去する方法、蒸留して低減する方法、あるいは化学反応に より別の沸点差の大きいィ匕合物に変換して力 蒸留する方法等から、適宜な方法を 選択することができる。
水分含有量を調整する方法としては、吸着剤による方法が好適に用いられる。
[0140] フッ素化炭素化合物は、その製法によって特に制限されない。例えば、特開平 9 95458号公報に記載されているように、 1, 2 ジクロロへキサフルォロシクロペンテ ンを窒素気流下、ジメチルホルムアミド中でフッ化カリウムと反応させながら、反応器 に装備した精留塔から生成物を抜き出すことにより、純度 99. 8〜99. 98%のォクタ フルォロシクロペンテンが得られる。こうして得られたォクタフルォロシクロペンテンを 高段数を有する精留塔にて精密蒸留を行って、水分が 30重量 ppm程度のものを得 ることがでさる。
[0141] また、特開 2003— 146917号公報(EP1453082A1)【こ記載されて! /、るよう【こ、 2 , 3—ジヒドロデカフルォロペンタンと溶融水酸ィ匕カリウムを接触させて、生成するガス 状化合物を冷却したトラップ内に捕集し、捕集された粗生成物を精留塔にて精密蒸 留することにより、純度 99. 9%以上のォクタフルオロー 2 ペンチンを得ることができ る。この方法によれば、精密蒸留の際に、留分は冷却したトラップ内に捕集され、水 分 20重量 ppm程度のものが得られる。
[0142] フッ素化炭素化合物中には、微量ガス成分である窒素ガスと酸素ガスが存在する 場合もあるが、窒素ガスと酸素ガスの合計含有量は、フッ素化炭素化合物中に 30重 量 ppm以下が好ましい。
[0143] 用いる CVD法は、特に制限されず、公知の方法で行うことができる。具体的には、 プラズマ放電によりフッ素化炭素化合物を活性化させて、イオン、ラジカル等の活性 種を発生させ、前記容器内面にフルォロカーボンのポリマー膜を形成せしめる。ポリ マー膜が形成される工程は必ずしも明確ではないが、電離解離条件下において、ィ オン、ラジカル種の発生とともに、不飽和フッ素化炭素化合物の重合、開環反応等さ まざまな反応が複雑に関与しているものと考えられる。
[0144] プラズマ CVDの手法としては、例えば特開平 9— 237783号公報に記載の方法等 を用いることができる。プラズマ発生条件は、通常、平行平板の上部電極 (シャワー
ヘッド)に印加する高周波電力 10W〜: L0kW、被処理物温度 0〜500°C、反応室圧 力 0. 0133Pa〜13. 3kPaの条件力 ^採用される。
[0145] 堆積する膜の厚さは、通常、 0. 01- 10 μ mの範囲である。プラズマ CVDに用いる 装置としては、平行平板型 CVD装置が一般的である力 マイクロ波 CVD装置、 EC R— CVD装置、誘導結合プラズマ (ICP) CVD装置、および高密度プラズマ CVD装 置 (ヘリコン波式、高周波誘導式)を用いることができる。
[0146] フッ素化炭素化合物は、通常、プラズマ CVD装置の中に、ヘリウム、ネオン、アル ゴン、キセノン等の不活性ガスとともに供給される。これらの不活性ガスは、プラズマ C VD用ガス希釈効果並びにプラズマの電子温度および電子密度を変化させる効果を 有することから、プラズマ反応中のラジカルおよびイオンのバランスを制御して、適正 な成膜条件を得ることが可能となる。
[0147] プラズマ CVD装置の中における不活性ガスの供給量は、本発明のフッ素化炭素 化合物 1モルに対して、通常、 2〜: LOOモル、好ましくは 5〜20モルである。
以上のようにして、第 3発明用の容器を得ることができる。
[0148] 次に、本発明の光学素子の構成例を図 2を用いて説明する。図 2において、 7は円 筒形状の光学素子用容器である。図中上下方向(光の入射出射方向)は天板 (天部 )と底板 (底部)であり、それらは透明になっている。 8は容器 7に封止された第 2の液 体であり、ここでは透明なシリコンオイルで構成されている。 9は容器 7に封止された 第 2の液体よりも屈折率の低い透明な第 1の液体であり、ここでは食塩を溶解した水 等の導電性液で構成されている。 10は第 1の液体 (導電性液) 9に外部カゝら電位をか ける為の第 1の電極である。この第 1の電極 10は、図示を省略しているコントロール回 路に連結されており、プラス、マイナス 200V程度の交流電界がかけられる。
[0149] 11は絶縁体の中に埋め込まれたリング状の第 2の電極であり、同じく図示を省略し ているコントロール回路に連結されている。第 2の電極 11には、前述したようなプラス 、マイナス 200V程度の交流電界力 前述の第 1の電極 10とは逆極性の位相でかけ られる。
[0150] 図 2 (a)の状態 (電圧無印加状態)では、上方力も入射した光束 12は、第 2の液体 8 力 第 1の液体 9に入射するときに屈折率の違いにより界面で屈折して光が広がるよ
うになつている。一方、交流電界をかけた図 2 (b)の状態では、導電性液である第 1の 液体 9がシリコンオイル等の第 2の液体 8をリング状の電極 11の付近で押しのけること により、両液体の界面が凸状になり、上方からの入射光束 12は集光される。
[0151] 図 2に示す光学素子によれば、電圧の値によって、第 1の液体 9が第 2の液体 8を押 しのける量が変化し、界面の形状 (界面の曲率)を連続的に変化させることができる。 すなわち、図 2に示す光学素子は、電圧値によって焦点距離を連続的に変化させる ことができる。
[0152] このような効果を奏する本発明の光学素子は、カメラや複写機、プリンターに使用さ れるレンズ、光ディスク読み取り用ピックアップレンズ、 CCD用超小型レンズ、等の可 変焦点レンズ又は可変フォーカスレンズに好適に用いられる。
実施例
[0153] 次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例 によって何ら限定されるものでな 、。
[0154] (実施例 1)
金製の筒状電極と電極とを、脂環式構造含有重合体榭脂 (ゼォネックス 480R:日 本ゼオン社製、ヒンダードアミン系光安定剤及びアルキル置換フエノール系酸ィ匕防 止剤をそれぞれ 0. 05重量%含有)でインサート成形して、内寸直径 5mm、高さ 3m m、肉厚 lmmの両端開口の筒形状の容器基材を得た。容器内面に露出した筒状電 極表面に脂環式構造含有重合体榭脂溶液を塗布し乾燥して電気絶縁した。
[0155] 別に脂環式構造含有重合体榭脂を成形して、該容器の天面および底面の開口を 塞ぐための肉厚 lmmの円板形状の天板およびホログラム形状の面を有する底板を 得た。
[0156] 前記容器基材を SUS316L (日本国工業規格、以下同じ)製のチャンバ一内に入 れ、酸素及び水分含有量 1重量 ppb以下の高純度アルゴン気流下、 120°Cで 3時間 加熱して、酸素及び水を 10重量 ppm未満になるまで除去した。室温まで冷却し、外 気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴン ガスで希釈された 1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量 1重量 ppm未満)を 30 °Cで導入した。 10分間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量 1重量 ppb
以下の高純度アルゴンを導入し、 120°Cで 1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した
[0157] 次に、フッ素ガスで処理された上記容器基材の内面を X線光電子分光 (ESCA)に より測定し、その表層部にフッ素原子が多く存在していることを確認した。さらに、この 容器基材を、超純水中に 24時間浸漬した後、 X線光電子分光 (ESCA)により測定し たところ、浸漬前と同様に、フッ素原子が表層部に多く存在していた。また、 FTIR- ATR法で膜表面を測定したところ、 1400〜 1000cm—1に C F伸縮振動に由来す るブロードなピークが観測された。容器内面は、水の接触角が 110度になり、撥水性 が増加していた。
[0158] 次いで、この容器にシリコーンオイルと食塩水とを入れ、天板および底板で封入す ることにより、図 2に示す光学素子と同様の構成の光学素子 (第 1発明の素子)を得た 。電極に電圧を印加するとシリコーンオイルと食塩水の界面の形状が変化し、屈折率 が変化することを確認した。また容器内面において界面形状に乱れは生じず、電圧 変化に対しての応答性がフッ素ガスで処理して ヽな 、容器に封入した光学素子に比 ベ高くなつていた。
[0159] (実施例 2)
金製の筒状電極と電極とを、脂環式構造含有重合体榭脂 (ゼォネックス 480R:日 本ゼオン社製、ヒンダードアミン系光安定剤及びアルキル置換フエノール系酸ィ匕防 止剤をそれぞれ 0. 05重量%含有)でインサート成形して、内寸直径 5mm、高さ 3m m、肉厚 lmmの両端開口の筒形状の容器基材を得た。次に、容器内面に露出した 筒状電極表面に脂環式構造含有重合体榭脂溶液を塗布し乾燥して電気絶縁した。 別に脂環式構造含有重合体榭脂を成形して該容器の天面を塞ぐための凸レンズ形 状の天板およびフレネルレンズ形状の面を有する底板を得た。
[0160] この容器基材を SUS316L製チャンバ一に入れ、酸素及び水分含有量 1重量 ppb 以下の高純度アルゴン気流下、 120°Cで 3時間加熱し酸素及び水を除去した。室温 まで冷却し、外気力も酸素や水分が混入しないようにバルブを切り替えて、アルゴン ガスで希釈された 1重量%フッ素ガスを 30°Cで導入した。 10分間経過後、バルブを 切り替えて高純度アルゴンを導入し、 120°Cで 1時間加熱しフッ素ガスを除去した。
[0161] この容器にシリコーンオイルと食塩水とを入れ、天板および底板で封入することによ り、図 2に示す光学素子と同様の構成の光学素子 (第 1発明の素子)を得た。電極に 電圧を印加するとシリコーンオイルと食塩水の界面の形状が変化し、屈折率が変化 することを確認した。また容器内面において界面形状に乱れは生じず、電圧変化に 対しての応答性がフッ素ガスで処理して 、な 、容器に封入した光学素子に比べ高く なっていた。
[0162] (製造例 1)
窒素置換したステンレス製耐圧容器に、スチレン 76. 8部とイソプレン 3. 2部を添カロ し混合攪拌することにより混合モノマーを調製した。次に、窒素置換した電磁撹拌装 置を備えたステンレス鋼製オートクレープに、脱水シクロへキサン 320部、混合モノマ 一 4部及びジブチルエーテル 0. 1部を仕込み、 50°Cで撹拌しながら n—ブチルリチ ゥムのへキサン溶液 (濃度 15%) 0. 454部を添加して重合を開始させた。重合開始 力も 0. 5時間経過(この時点での重合転ィ匕率は約 96%であった)後、混合モノマー 7 6部を 1時間かけて連続的に添加した。混合モノマーの添加終了(この時点での重合 転化率は約 95%であった)から 0. 5時間経過後、イソプロピルアルコール 0. 1部を 添加して反応を停止させ、スチレン イソプレンランダム共重合体が溶解した重合反 応溶液を得た。
[0163] 次 、で、上記重合反応溶液 400部に、安定ィ匕ニッケル水素化触媒 E22U (60%- ッケル担持シリカ アルミナ担体、 日揮ィ匕学工業社製) 3部を添加混合して混合液を 得た。この混合液を、電熱加熱装置と電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートク レーブに仕込んだ。該オートクレープに水素ガスを供給し、撹拌しながら、オートタレ 一ブ内を 160°C、 4. 5MPaを保つようにして 6時間水素化反応を行った。水素化反 応終了後、ラジオライト # 800を濾過床として備える加圧濾過器 (フンダフィルター、 石川島播磨重工社製)を使用して、圧力 0. 25MPaで加圧濾過して、脂環式構造含 有重合体榭脂を含む無色透明な溶液を得た。
[0164] 得られた無色透明溶液 (重合体榭脂固形分 100部)に、ヒンダードアミンィ匕合物とし て、分子量力 s2, 000〜2, 500のポジ〔{6—(1, 1, 3, 3—テ卜ラメチノレブチノレ)ァミノ - 1, 3, 5 トリアジン一 2, 4 ジィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)
イミノ}へキサメチレン { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4—ピペリジル)イミノ}〕(じ AS— No. : 71878— 19— 8) (クロ口ホルム 5重量%溶液の光路長 10mm石英セルによる 400nmの光線透過率が 97. 0%) 0. 1部、及びスチレン一イソプレン一スチレンブロ ック共重合体の主鎖水素化物(SEPS、スチレン Zイソプレン重量比 = 30Z70、メル トフローレート約 70gZ分(230°C、 2. 16kgf) ) 0. 2部を加えて溶解させた。
[0165] 次に、この溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径 0. 5 m、 -チダイ社製)にて 濾過した。次いで濾液をゼータプラスフィルター 30S (孔径 0. 5〜1 111、キュノ社製 )で濾過し、更に、金属ファイバー製フィルター(孔径 0. 2 m、 -チダイ社製)で濾 過して異物を除去した。
[0166] 次 、で、得られた濾液 (重合体濃度: 20重量%)を 250°Cに加熱し、圧力 3MPaで 円筒型濃縮乾燥機(日立製作所製)に連続的に供給した。濃縮乾燥機内の圧力が 6 OkPa、乾燥器内の重合体榭脂溶液の温度が 260°Cになるように調節して濃縮した。 次いで濃縮された溶液を 260°Cを保ったまま、更に同型の濃縮乾燥機に圧力 1. 5M Paで供給した。二段目の濃縮乾燥機内の圧力は 1. 5kPa、重合体榭脂の温度は 27 0°Cになるように調節して、溶媒を除去した。
[0167] 得られた重合体榭脂は、その水素化率はほぼ 100% (水素化されていない芳香族 ビニル単量体単位と水素化された芳香族ビニル単量体単位との合計量に対する、水 素化されていない芳香族ビュル単量体単位の量が 0. 01モル%以下、水素化されて
V、な 、共役ジェン単量体単位と水素化された共役ジェン単量体単位との合計に対 する、水素化されていない共役ジェン単量体単位の量が 0モル%)であり、ガラス転 移温度 (Tg)は 125°Cであった。
[0168] 次に、溶媒を除去した重合体榭脂を融解状態で濃縮乾燥機から連続的に導出し、 クラス 100のクリーンルーム内で押出成形し、水で冷やし、ペレタイザ一(OSP— 2、 長田製作所社製)でカッティングしてペレット 1を得た。
[0169] ペレット 1をクロ口ベンゼンに溶解させ、ガスクロマトグラフィー(G— 3000、 日立製 作所社製、検出限界 lOppm)により分析したところ、揮発成分含有量は 150ppmで めつに。
[0170] ペレット 1をテトラヒドロフランに溶解させ、それをゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ
ィ一で測定して、標準ポリスチレンの分子量と対比して分子量を決定し、重量平均分 子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。 Mwは 85, 000、重量平均分子量(Mw
) Z数平均分子量 (Mn)は 1. 18であった。
[0171] ペレット 1を孔径 0. 2 mのフィルターで濾過精製したテトラリンに溶解させて 1. 5
%溶液を得、光散乱式微粒子検出器 (KS— 58、リオン社製)を用いて、該溶液中の 粒径 0. 5 m以上の異物個数を測定した。異物個数は 2. 1 X 103個 Zgであった。
[0172] ペレット 1の 40°Cにおける水蒸気透過速度は、 1mm厚の平板で 0. 01g/m2. day 以下であり、吸水性 (ASTM D570)力 0. 001%であった。
また、波長 405nmでの光線透過率が lmm厚の平板で 90%以上であり、且つ温度
25°C、照射強度 4000WZm2、及び照射時間 2000時間で、波長 405nmの光を照 射した後の波長 405nmでの光線透過率の低下が照射前の光線透過率に対して 1
%以下であった。
[0173] (製造例 2)
窒素置換したガラス製反応容器に、テトラシクロドデセンとエチレンの付加型重合体 (極限粘度〔 r?〕 0. 54dlZg、 Tg69°C、テトラシクロドデセンとエチレンのモル比 1: 3) を 100部とシクロへキサン 900部を入れ、 50°Cに加温した。撹拌しながら塩化アルミ -ゥム 20部を添加し、そのまま反応温度 50°Cで反応させた。 24時間反応させた後、 反応溶液を 2000部のイソプロピルアルコールに撹拌しながら入れ、沈澱した変成体 を採取し、 1. 3 X 102Pa (ltorr)以下の減圧下で 24時間乾燥して、無色の脂環式構 造含有重合体榭脂 98部を得た。
[0174] 次に、得られた重合体榭脂 100部に対して、ヒンダードアミンィ匕合物として、分子量 2, 000〜2, 500のポリ {〔6— (1, 1, 3, 3—テ卜ラメチルブチル)ァミノ— 1, 3, 5—卜 リアジン一 2, 4—ジィル〕 [ (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4—ピペリジル)ィミノ〕へキサ メチレン〔(2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4ーピペリジル)ィミノ〕 } (クロ口ホルム 5重量0 /0 溶液の光路長 10mm石英セルによる 400nmの光線透過率が 97. 0%) 0. 1部を添 カロして、二軸押出機にて 230°Cで溶融混練してペレット 2を得た。
[0175] ペレット 2の 40°Cにおける水蒸気透過速度は、 lmm厚の平板で 0. 04g/m2. day 以下であり、吸水性 (ASTM D570)は 0. 03%であった。
また、波長 405nmでの光線透過率が lmm厚の平板で 90%以上であり、且つ温度 25°C、照射強度 4000WZm2、及び照射時間 2000時間で、波長 405nmの光を照 射した後の波長 405nmでの光線透過率の低下が照射前の光線透過率に対して 1 %以下であった。
[0176] (比較製造例 1)
ヒンダードァミン化合物として、分子量約 2, 500の、ポリ {〔6—(1, 1, 3, 3—テトラ メチルブチル)アミノー 1, 3, 5 トリアジンー 2, 4 ジィノレ〕 [ (2, 2, 6, 6—テトラメチ ルー 4ーピペリジル)ィミノ〕へキサメチレン〔(2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4ーピベリジ ル)ィミノ〕 } (クロ口ホルム 5重量%溶液の光路長 10mm石英セルによる 400nmの光 線透過率が 89. 0%) 0. 1部を添加した他は製造例 2と同様の方法でペレット 3を得 た。
[0177] ペレット 3の 40°Cにおける水蒸気透過速度は、 lmm厚の平板で 0. 06g/m2. day 以下であり、吸水性 (ASTM D570)は 0. 05%であった。
[0178] (比較製造例 2)
ヒンダードァミン化合物として、分子量 722の 1 [2—〔3— (3, 5 ジー t—ブチル —4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ルォキシ〕ェチル]—4—〔3— (3, 5—ジ— t— ブチルーヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ルォキシ〕 2, 2, 6, 6—テトラメチルピベリジ ン(クロ口ホルム 5重量%溶液の光路長 10mm石英セルによる 400nmの光線透過率 力 0%) 0. 1部を添加した他は製造例 2と同様の方法でペレット 4を得た。
[0179] ペレット 4の 40°Cにおける水蒸気透過速度は、 lmm厚の平板で 0. 07g/m2. day 以下であり、吸水性 (ASTM D570)は 0. 07%であった。
[0180] (実施例 3)
金製の筒状電極と、電極と、製造例 1で得たペレット 1とをインサート成形して、内寸 直径 5mm、高さ 3mm、肉厚 lmmの両端開口の筒形状の容器基材を得た。容器内 面に露出した筒状電極表面に、製造例 1で得たペレット 1の溶液を塗布し、乾燥して 電気絶縁した。
[0181] 別に、製造例 1で得たペレット 1を成形して該容器の天面および底面の開口を塞ぐ ための肉厚 lmmの円板形状の天板およびホログラム形状の面を有する底板を得た
この容器基材を SUS316L製チャンバ一に入れ、酸素及び水分含有量 1重量 ppb 以下の高純度アルゴン気流下、 120°Cで 3時間加熱し酸素及び水を 10重量 ppm未 満になるまで除去した。室温まで冷却し、外気から酸素や水分が混入しないようにバ ルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された 1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含 有量 1重量 ppm未満)を 30°Cで導入した。 10分間経過後、バルブを切り替えて酸素 及び水分含有量 1重量 ppb以下の高純度アルゴンを導入し、 120°Cで 1時間加熱し 余剰のフッ素ガスを除去した。
[0182] フッ素ガスで処理された上記容器基材の内面を、 X線光電子分光 (ESCA)により 測定し、その表層部にフッ素原子が多く存在していることを確認した。さらに、この容 器基材を、超純水中に 24時間浸漬した後、 X線光電子分光 (ESCA)により測定した ところ、浸漬前と同様にフッ素原子が表層部に多く存在していた。また、 FTIR-AT R法で膜表面を測定したところ、 1400〜: LOOOcm—1に、 C—F伸縮振動に由来する ブロードなピークが観測された。容器内面は水の接触角が 110度になり、撥水性が 増加していた。
[0183] 次に、この容器基材にシリコーンオイルと食塩水とを入れ、天板および底板で封入 することにより、図 2に示す光学素子と同様の構成を有する光学素子 (第 2発明の素 子)を得た。電極に電圧を印加するとシリコーンオイルと食塩水の界面の形状が変化 し、屈折率が変化することを確認した。また容器内面において界面形状に乱れは生 じず、電圧変化に対しての応答性が良好であった。
[0184] レーザダイオード (TC4030S—F405ASU、ネオアーク社製)を用いて 405 ± 10η m、 2500mWZcm2の青色レーザを、 60°Cの部屋に載置した該光学素子の天板及 び底板に、 72時間透過させた。天板及び底板表面の形状を光学顕微鏡 (OLYMP US社製、 X60)を用いて観察した力 アブレーシヨン (成形品表面の浮き)は無かつ た。
[0185] またレーザダイオード(TC4030S—F405ASU、ネオアーク社製)を用いて 405士 10nm、 200mWZcm2の青色レーザを、 60°Cの部屋に載置した該光学素子の天板 及び底板に 240時間透過させた。レーザ照射後の光学素子に、側面から強い光を
照射したが、白濁は無力つた。
[0186] (実施例 4)
金製の筒状電極と電極とを、脂環式構造含有重合体榭脂 (ゼォネックス 480R、 日 本ゼオン社製、ヒンダードアミン系光安定剤及びアルキル置換フエノール系酸ィ匕防 止剤をそれぞれ 0. 05重量%含有)でインサート成形して、内寸直径 5mm、高さ 3m m、肉厚 lmmの両端開口の筒形状の容器基材を得た。容器内面に露出した筒状電 極表面に脂環式構造含有重合体榭脂溶液を塗布し乾燥して電気絶縁した。
[0187] 別に、製造例 2で得たペレット 2を成形して、該容器の天面を塞ぐための凸レンズ形 状の天板およびフレネルレンズ形状の面を有する底板を得た。この容器基材にシリコ ーンオイルと食塩水とを入れ、天板および底板で封入することにより、図 2に示す光 学素子と同様の構成を有する光学素子 (第 2発明の素子)を得た。
[0188] この光学素子について、実施例 1と同様にして評価したところ、電極に電圧を印加 するとシリコーンオイルと食塩水の界面の形状が変化し、屈折率が変化することが確 認された。また、容器内面において界面形状に乱れは生じず、電圧変化に対しての 応答性がフッ素ガスで処理して ヽな 、容器に封入した光学素子に比べ高くなつて ヽ た。青色レーザ照射後の光学素子はアブレーシヨン (成形品表面の浮き)、及び白濁 は無かった。
[0189] (比較例 1)
製造例 2で得たペレット 2の代わりに、比較製造例 1で得たペレット 3を用いた他は 実施例 4と同様にして光学素子を得た。青色レーザ照射後の光学素子には、アブレ ーシヨンが生じ、わずかに白濁も生じていた。
[0190] (比較例 2)
製造例 2で得たペレット 2の代わりに、比較製造例 2で得たペレット 4を用いた他は 実施例 4と同様にして光学素子を得た。青色レーザ照射後の光学素子には、アブレ ーシヨンがおこり、白濁も生じていた。
[0191] 以上のことから、ヒンダードァミン化合物として、分子量 2, 000〜2, 500のポリ {〔6 ー(1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル)アミノー 1, 3, 5 トリアジン 2, 4 ジィル〕〔( 2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4 ピペリジル)ィミノ〕へキサメチレン〔(2, 2, 6, 6—テト
ラメチル一 4 ピペリジル)ィミノ〕 }であっても、その光線透過率が 97. 0%のものを用 いた場合 (実施例 3及び 4)は、青色レーザ照射後に光学素子表面にアブレーシヨン がなく、白濁もないことがわかる。
[0192] 一方、その光線透過率が 89. 0%のものを用いた場合 (比較例 1)にはアブレーショ ンが生じ、わずかに白濁の生じることがわかる。
また、ヒンダードアミンィ匕合物として、光線透過率が 95%であっても、分子量 722の 1 - [2- [3- (3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ルォキシ〕 ェチル]ー4 〔3—(3, 5—ジ tーブチルーヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ルォキシ ] 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジンを用いた場合 (比較例 2)はアブレーシヨンがお こり、白淘ち生じることがゎカゝる。
[0193] (実施例 5)
銅製の筒状電極と、電極とを、脂環式構造含有重合体榭脂 (ゼォネックス 480R、 日本ゼオン社製、ヒンダードアミン系光安定剤及びアルキル置換フエノール系酸ィ匕 防止剤をそれぞれ 0. 05重量%含有)でインサート成形して、内寸直径 5mm、高さ 3 mm、肉厚 lmmの底面及び天面のな!、筒形状の容器基材を得た。
[0194] 別に、脂環式構造含有重合体榭脂を成形して該容器の天面及び底面を塞ぐため の肉厚 lmmの円板形状の天板及び底板を得た。
この容器基材を平行平板型プラズマ CVD装置に入れ、ォクタフルォロシクロペンテ ンを流量: 6. 668 X 10—4リットル Z秒で、アルゴンを流量: 6. 668 X 10—3リットル Z 秒で流し、圧力 33Pa (250mTorr)、 RF出力(周波数は 13. 56MHz) 400W、基板 温度 260°Cでプラズマ CVDを行い、容器内面に厚さ 0. 5 mの CVD膜を得た。こ の膜はボイドの発生もなく緻密で均一であり、内面への密着性も良好であった。また 、膜の比誘電率は 2. 4であり、水に対する接触角が 109度であった。得られた CVD 膜は絶縁性と撥水性とを備えて 、ることがわかる。
[0195] 次に、この容器にシリコーンオイルと食塩水とを入れ、天板及び底板で封入すること により、図 2に示す光学素子と同様の構成を有する光学素子 (第 3発明の素子)を得 た。電極に電圧を印加するとシリコーンオイルと食塩水の界面の形状が変化し、屈折 率が変化することを確認した。また容器内面において界面形状に乱れは生じず、電
圧変化に対しての応答性がフッ素ガスで処理して ヽな 、容器に封入した光学素子に 比べ高くなつていた。
[0196] (実施例 6)
脂環式構造含有重合体榭脂(ゼォネックス 480R:日本ゼオン社製、ヒンダードアミ ン系光安定剤、及びアルキル置換フエノール系酸ィ匕防止剤をそれぞれ 0. 05重量% 含有)でインサート成形して、内寸直径 5mm、高さ 3mm、肉厚 lmmの底面及び天 面のな 、筒形状の容器基材を得た。
[0197] 次に、容器側面に蒸着法により ITO膜を製膜して、リング状電極を形成した。
別に、脂環式構造含有重合体榭脂を成形して該容器の天面及び底面を塞ぐため の肉厚 lmmの円板形状の天板及び底板を得た。底板の内面に蒸着により ITO膜を 製膜して、電極を形成した。
[0198] 次 、で、前記容器基材を平行平板型プラズマ CVD装置に入れ、ォクタフルォロシ クロペンテンを流量:6. 668 X 10—4リットル Z秒で、アルゴンを流量: 6. 668 X 10—3 リットル Z秒で流し、圧力 33Pa (250mTorr)、 RF出力(周波数は 13. 56MHz) 40 籠、基板温度 260°Cでプラズマ CVDを行い、容器内面に厚さ 0. 5 μ mの CVD膜 を得た。
この膜はボイドの発生もなく緻密で均一であり、 ITO膜 (リング状電極)への密着性 も良好であった。膜の比誘電率は 2. 3であり、水に対する接触角が 110度であった。
[0199] この容器にシリコーンオイルと食塩水とを入れ、天板と底板で封入することにより、 図 2に示す光学素子と同様の構成を有する光学素子 (第 3発明の素子)を得た。電極 に電圧を印加するとシリコーンオイルと食塩水の界面の形状が変化し、屈折率が変 化することを確認した。また容器内面において界面形状に乱れは生じず、電圧変化 に対しての応答性がフッ素ガスで処理して ヽな 、容器に封入した光学素子に比べ高 くなつていた。
産業上の利用可能性
[0200] 本発明の光学素子は、小型化を図ることができ、簡単な構成で効率よく通過する光 に対する屈折力を制御でき、可変焦点レンズ、可変フォーカスレンズ等に好適で、且 つ青色レーザ (短波長レーザ)を持続的に透過、集光できる光学素子である。
従って、本発明の光学素子は、カメラや複写機、プリンターに使用されるレンズ、光 ディスク読み取り用ピックアップレンズ、 CCD用超小型レンズ、等の可変焦点レンズ 又は可変フォーカスレンズに好適に用いることができる。