JP4476001B2 - 光学機器用光学部材および光学機器用光学部材の製法 - Google Patents

光学機器用光学部材および光学機器用光学部材の製法 Download PDF

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Description

本発明は、光学機器用光学部材および光学機器用光学部材の製法に関する。
脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物を種々の形体に成形することによって、透明性、水蒸気低透過性、低複屈折などの諸特性に優れた成形体が得られることは知られている。この脂環構造含有重合体樹脂成形体の諸特性をさらに向上させることを目的として種々の試みがなされている。
例えば、耐候性を向上させるために、フッ素原子を有するノルボルネン系単量体単位を繰り返し単位に有するフッ素原子含有ノルボルネン系重合体が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の重合体から得られる成形体は、内層部及び表層部が同量のフッ素原子を含有する同じ構造組成の樹脂または樹脂組成物で形成される。そのため、光に対する屈折率が成形体全体で一様なものが得られる。しかし、この成形体は、高い製造コストを掛けてフッ素原子を含有させたにも関わらず、光反射率などの光学特性がほとんど変わらず、レンズなどの光学部材等の改良に向かないことがある。
ノルボルネン系重合体からなる成形体の表面にハードコート層などのノルボルネン系樹脂以外の樹脂層を被覆させることによって成形体の表面硬度、耐候性、耐油性を向上させることが知られている(特許文献2)。しかしながら、積層体の層間密着性が低くなる場合や、積層体全体の透明性が低くなる場合があった。
特許文献3には、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の光学高分子材料をフッ素ガスと接触させ、成形体の表層部のみをフッ素化することが記載されている。この方法によると、表面が親水化され、他の物質との密着性が高くなると述べている。しかし、成形体表面が親水化すると、ごみなどの異物が付着しやすくなり、液晶表示装置などに適用した場合には輝点とよばれる光漏れが生じるおそれや、画像の鮮明性が低下するおそれがある。
特開2001−226467号公報 特開平04−348139号公報 特開2000−95862号公報
本発明者は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形体の、光学的特性、化学的安定性、機械的安定性を向上させるために、特に光反射率を低下させ、導光効率を向上させるために、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材の表面処理方法について検討した。その結果、本発明者は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形体表層部に該成形体内層部よりもフッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相を設けることによって、積層に伴う密着性不良、透明性低下などを起こさずに、低光反射率、高光透過率などの光学特性を向上させ、同時に撥水性及び防汚効果を発現する樹脂成形体が得られることを見出した。またこの樹脂成形体は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることによって、得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明の樹脂成形体は、 脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形体表層部に該成形体内層部よりもフッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相があることを特徴とする。
また本発明の樹脂成形体の製法は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることを含む。
本発明の別の樹脂成形体の製法は、(1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材を放置し、(2)フッ素ガスを含有する雰囲気に該成形基材表面を接触させ、(3)次いで不活性ガス雰囲気中又は減圧下に該成形基材を再放置することを含む。
本発明の製法の好適な態様は、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させる直前の成形基材中の酸素及び水分量が共に1重量%以下である。
フッ素ガスを含有する雰囲気中の酸素及び水分濃度が共に100重量ppm以下である。
フッ素ガスを含有する雰囲気が、不活性ガスで希釈されたフッ素ガス濃度0.1〜50重量%のフッ素ガスである。
成形基材表面にフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させるときの温度が−50〜150℃である。
不活性ガス雰囲気中又は減圧下に成形基材を放置又は再放置する際に、成形基材を加熱する。
不活性ガス雰囲気中に放置又は再放置する際の加熱温度が60〜180℃である。
減圧下に放置又は再放置する際の圧力が1〜500mmHgである。
本発明の樹脂成形体は、表層部にフッ素原子含有量の多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相がある。この表層部にある相の屈折率は、内層部の相(すなわち、フッ素原子含有量ゼロまたは少ない脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相)に比べて低くなる。また、本発明の樹脂成形体は、その表面反射率が小さいという効果を奏する。また、本発明の樹脂成形体全体は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物から構成されているので、積層体のような異種物質間の界面が存在しないので、機械的強度にも優れている。
さらに、フッ素原子含有量を、表層部から内層部に向けて傾斜させることによって、光ファイバーのように、内層部に入射した光を表層部で全反射させ、光を遠方へ導波する効果を向上させることができる。
このような効果を奏する本発明の樹脂成形体は、レンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、フレネルレンズ、液晶ディスプレイ用導光板、光拡散板、位相差板、偏光板、視野角補償フィルム、液晶基板、タッチパネル、光ファイバー(ステップインデックス(SI)型あるいはグレーデッドインデックス(GI)型など)、光導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレーター、光送信モジュール、光受信モジュール、光カプラ−、偏向子、光集積回路、屈折率分布型ロッドレンズ、ピックアップレンズ、不均質レンズ、屈折率分布型レンズなどの光学部材に好適に用いられる。
また、本発明の樹脂成形体は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材にフッ素ガスを接触させることによって容易に製造することができる。
本発明の樹脂成形体は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形体表層部に該成形体内層部よりもフッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相があるものである。
本発明に用いる脂環構造含有重合体樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環構造を有する重合体である。機械的強度や耐熱性などの観点から、主鎖に脂環構造を含有する樹脂が好適である。脂環構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環構造としては、単環、多環(縮合多環、橋架け環などを含む)が挙げられる。脂環構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。また、本発明で使用される脂環構造含有重合体樹脂は、通常、熱可塑性のものである。
脂環構造含有重合体樹脂は、通常、脂環構造を有するオレフィン(以下、脂環式オレフィンということがある。)由来の繰り返し単位を含有する。脂環構造含有重合体樹脂中における脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性に劣り好ましくない。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
また、脂環構造含有重合体樹脂は、極性基を有するものであってもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物残基、アミド基、イミド基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物残基が好適である。
脂環構造含有重合体樹脂は、通常、脂環式オレフィンを付加重合若しくは開環重合し、そして必要に応じて不飽和結合部分を水素化することによって、または芳香族オレフィンを付加重合し、そして該重合体の芳香環部分を水素化することによって得られる。また、極性基を有する脂環構造含有重合体樹脂は、例えば、前記脂環構造含有重合体樹脂に極性基を有する化合物を変性反応により導入することによって、あるいは極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって得られる。
脂環構造含有重合体樹脂を得るために使用される脂環式オレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110、13.02、7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンのごときノルボルネン系単量体などの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状オレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。
芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
脂環式オレフィン及び/又は芳香族オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式オレフィン又は芳香族オレフィンと共重合可能な単量体を必要に応じて付加共重合させることができる。その具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂環式オレフィン又は/及び芳香族オレフィンの重合は公知の方法に従って行うことができる。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kgf/cmの重合圧力で重合させる。水素化反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。
脂環構造含有重合体樹脂の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物(エチレンや、α−オレフィンなど)との付加重合体、単環シクロアルケンの重合体、脂環式共役ジエン系単量体の重合体及びその水素化物、ビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素化物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素化物が好ましく、特にノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物が好ましい。
前記の脂環構造含有重合体樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環構造含有重合体樹脂は、その分子量によって特に制限されない。脂環構造含有重合体樹脂の分子量は、シクロヘキサン(シクロヘキサンに溶解しないときはトルエン)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜250,000の範囲である。脂環構造含有重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときには、耐熱性、接着性、表面平滑性などがバランスされ好適である。
脂環構造含有重合体樹脂の分子量分布は、シクロヘキサン(シクロヘキサンに溶解しないときはトルエン)を溶媒とするGPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
脂環構造含有重合体樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上、最も好ましくは120℃以上である。
本発明に用いる脂環構造含有重合体樹脂組成物は、前記脂環構造含有重合体樹脂に、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などを適宜配合したものである。
これらの添加剤の中でも、酸化防止剤及び/又は光安定剤が特に好ましい。
酸化防止剤としては、フェノ−ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノ−ル系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノ−ル系酸化防止剤が好ましい。
フェノ−ル系酸化防止剤としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキスメチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネ−ト)メタン[すなわち、ペンタエリスリチル−テトラキス3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネ−ト)]などのアルキル置換フェノ−ル系化合物;2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ−ト、2,4−ジ−t−アミル−6−{1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル}フェニルアクリレ−トなどのアクリレ−ト系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノ−ル系化合物などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−トなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、酸化防止剤の量は、脂環構造含有重合体樹脂100重量部に対し、通常0.01〜2重量部、好ましくは0.02〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。
一方、光安定剤としては、ヒンダ−ドアミン系光安定剤(HALS)、ベンゾエ−ト系光安定剤などが挙げられ、これらの中でもヒンダ−ドアミン系光安定剤が好ましい。
HALSの具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−〔2−{3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−{3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9,−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、
テトラキス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ−ト、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジノ−ルとトリデシルアルコ−ルとの縮合物、
N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノ−ルとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノ−ルと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などが挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノ−ルとの重合物などの数平均分子量が2,000〜5,000のものが好ましい。
これらの光安定剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、光安定剤の量は、脂環構造含有重合体樹脂100重量部に対し、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部の範囲である。
本発明の樹脂成形体は、その形状、成形方法によって特に限定されない。形状としては、レンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、フレネルレンズ、液晶ディスプレイ用導光板、光拡散板、位相差板、偏光板、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、液晶基板、タッチパネル、光ファイバー、光スイッチ、光アイソレーター、光送信モジュール、光受信モジュール、光カプラ−、偏向子、光集積回路、ロッドレンズ、ピックアップレンズなどの光学部材に適合する形状が挙げられる。更に、カメラや複写機、プリンターに使用される3次元複雑形状プリズム、光ディスク読み取り用ピックアップレンズ、CCD用超小型レンズ、プリンター等に使用される非球面レンズ,シリンドリカルレンズ,トロイダルレンズ,フレネルレンズ、ロッドレンズ、マイクロレンズアレイ、光ファイバー、液晶ディスプレイ用導光板等が挙げられる。また、これらの光学部材を使用したカメラ、眼鏡、複写機、プリンター、携帯電話、液晶ディスプレイ、光ディスクプレーヤー、光学分析機器、医療用分析機器、光ファイバー,光導波路,光分岐器,光合波器,光分波器,光減衰器,光スイッチ,光アイソレーター,光送信モジュール,光受信モジュール,カプラー,偏向子,光集積回路、液晶ディスプレイ、液晶プロジェクター、プロジェクションテレビ等の電子機器、光学機器、医療用機器も本発明が適用できる用途に含まれる。
本発明の樹脂成形体は、その成形体表層部に該成形体内層部よりもフッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相がある。
成形体の表層部とは、成形体最表面から数nm〜数μm程度の深さまでのフッ素原子を含有する樹脂相がある部分である。内層部及び表層部はともに前記脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物から構成され、積層界面が無く、表層部は内層部よりもフッ素原子含有量が多くなっている。フッ素原子含有量はX線電子分光法(ESCA)などの分析装置によって、確認することができる。フッ素原子含有量は、表層部から内層部に向かって徐々に減少していくような分布をなしてもいてもよいし、表層部から内層部に向かって階段的に減少する分布をなしていてもよい。
本発明の樹脂成形体は、X線電子分光法(ESCA)を用いて測定した、成形体最表面のフッ素原子と炭素原子の含有数比が2.0以下、好ましくは1.8以下のものである。2.0を超えると、表層部を構成する樹脂の分子鎖が切断され、入射光が表面で散乱するようになる。
本発明の樹脂成形体の製法は、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材を、フッ素ガスを含有する雰囲気中に放置することによって成形基材表面にフッ素ガスを接触させることを含むものである。
本発明の製法を図を参照しながら具体的に説明をする。図1は本発明製法に使用する反応装置の一例を示すものである。この反応装置はチャンバー1と、チャンバーの温度を制御するための加熱装置5を備え、チャンバーには、フッ素ガス及び不活性ガスを導入するための、フッ素ガス供給ライン2と不活性ガス供給ライン3が繋がっている。そして、不要なガスを抜き出す排気ライン4がチャンバーの別の位置に繋がっている。チャンバーには前記の成形体を置くことができる空間があり、そこに種々形状の成形体を置くことができる。排気ライン4から抜き出されたガスは、そのままあるいは分離精製して、各ガス供給ラインに戻し、循環再利用することができる。
成形基材は、前記用途に適した樹脂成形体を得ることができる形状に、脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物を成形することによって得られる。本発明において成形基材にフッ素ガスを接触させ、フッ素原子を成形基材に導入すると大きさがわずかに変化するので、成形基材は所望の樹脂成形体が得られる大きさ、形状に成形することが好ましい。成形方法としては、押出成形法、射出成形法、インフレーション成形法、キャスト成形法、ブロー成形法、真空成形法など公知の成形法を挙げることができる。得られた成形基材を次の工程によって表面処理し、本発明の樹脂成形体を好適に製造することができる。
(1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形基材を放置する工程。
この工程(1)は必ず行わなければならない工程ではないが、この工程を経ることによって、成形体表層部に、フッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相を面内分布なく存在させることができるようになるので、工程(1)を経ることが好ましい。
工程(1)では、まず、チャンバー1に成形基材を置き、チャンバーを閉じて、不活性ガス供給ライン3の弁を開いて不活性ガスをチャンバーに流入させる。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンなどが挙げられる。本発明においてはアルゴンが好適に用いられる。使用するチャンバーは、ステンレス製もしくはアルミニウム製のものが好ましい。
チャンバーを不活性ガス雰囲気にして、加熱装置によって、チャンバー内の成形基材を加熱することが好ましい。この加熱によって成形基材中に含まれていた水分、酸素、揮発成分を効率的に除去することができる。加熱温度は成形基材表面温度で、通常60〜180℃、好ましくは80〜130℃である。加熱時間は通常1〜360分、好ましくは1〜200分である。
不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下に成形基材を放置してもよい。減圧下に放置する場合は圧力を通常500mmHg以下、好ましくは100mmHg以下にする。圧力の下限は1mmHgである。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがある。減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常15〜100℃である。また、減圧と同時に、高純度不活性ガスを注入することは、酸素及び水の量を効率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は通常1〜360分、好ましくは1〜200分である。
成形基材中に酸素や水分が多量に存在すると、次の工程(2)において成形基材の表面が親水化されやすいので、工程(1)において酸素や水分の量を減らすことが好ましい。好ましい成形基材中の酸素及び水の量は、共に、通常1重量%以下、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは10重量ppm以下である。
(2)フッ素ガスを含有する雰囲気に該成形基材を接触させる工程。
工程(1)の後、不活性ガス供給ラインの弁を閉じ、必要に応じてチャンバーを冷却し、次いでフッ素ガス供給ライン2の弁と、フッ素ガスの濃度を調整するために不活性ガス供給ライン3の弁を開き、フッ素ガスと不活性ガスをライン中で混合し、希釈されたフッ素ガスを得、これをチャンバーに流入させ、チャンバー内をフッ素ガスを含有する雰囲気にする。フッ素ガスを含有する雰囲気は、フッ素ガスだけで構成される雰囲気でもよいが、反応を緩やかにするために、上記のように不活性ガスで希釈されたフッ素ガスで構成することが好ましい。フッ素ガスを含有する雰囲気中には酸素及び水が無いほうが好ましい。具体的には酸素及び水の量が共に100重量ppm以下であることが好ましく、10重量ppm以下であることが更に好ましく、1重量ppm以下であることが特に好ましい。
成形基材表面をフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることによって、フッ素ガスが成形基材の表面から表層部さらには内層部に向かって徐々に分子内でのフッ素原子の導入が起こり、成形基材を構成する脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物中のフッ素原子含有量が増加していく。成形基材表面からのフッ素原子の浸透深さ、フッ素原子の含有量は、フッ素ガスの濃度、温度、時間に依存して変化する。
不活性ガスで希釈したフッ素ガスの濃度は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。フッ素ガスを接触させるときの成形基材表面温度は、特に制限されないが、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜80℃、特に好ましくは0〜50℃である。接触させる時間は、通常0.1秒〜600分、好ましくは0.5秒〜500分、より好ましくは1秒〜400分である。フッ素ガス濃度が高い場合、温度が高い場合、若しくは時間が長い場合には、フッ素原子の浸透深さが深くなり、フッ素原子含有量も多くなる。フッ素原子含有量の増加に伴って、フッ素原子が導入された部分(主に表層部)の屈折率は低下するので、フッ素ガス濃度、温度及び時間を適宜選択することによって、所望の屈折率に制御することができる。光反射率を低減するためには、表層部(最表面:フッ素原子含有量最大の部分)の屈折率と内層部(フッ素原子含有量ゼロの部分)の屈折率との差が0.001以上、好ましくは0.01以上となるようにすることが好ましい。フッ素ガス濃度が極端に高い場合、若しくは極端に高温度長時間の場合は、成形基材を構成する脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物が劣化するので、上記に示した範囲でフッ素ガスを接触させることが好ましい。
(3)フッ素ガスを接触させた後、不活性ガス雰囲気中又は減圧下に、工程(2)を経た成形基材を再放置する工程。
フッ素ガスを接触させ、所定時間経過した後、不活性ガス供給ライン3を開き、フッ素ガス供給ライン2の弁を閉じて、チャンバーを不活性ガス雰囲気にする。不活性ガスは前記工程(1)で説明したものと同じものが挙げられる。そして、加熱装置によって成形基材を加熱することが好ましい。この加熱によって成形基材中に導入しきれなかったフッ素ガスを除去することができる。加熱温度は成形基材表面温度で、通常60〜180℃、好ましくは80〜130℃である。加熱時間は1〜360分、好ましくは1〜200分である。
不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下に該成形基材を放置してもよい。減圧下に放置する場合は圧力を通常500mmHg以下、好ましくは100mmHg以下にする。圧力の下限は1mmHgである。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがあるからである。減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常15〜100℃である。また、減圧と同時に、高純度不活性ガスを注入することは、フッ素ガスを効率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は1〜360分、好ましくは1〜200分である。
この工程(3)は必ず行わなければならない工程ではないが、この工程を経ることによって、成形体表層部に、フッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相を面内分布なく存在させることができるようになるので、工程(3)を経ることが好ましい。
工程(3)を終了後、樹脂成形体をチャンバーから取り出し、それぞれの用途に応じて用いることができる。
次に、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、この実施例は本発明を限定するものでない。
実施例1
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオノア1410:日本ゼオン社製、アルキル置換フェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有)を、キシレン溶液に溶解し、スピンコーターを用いて熱酸化膜付き6インチシリコンウエーハ上にスピンコートし、溶液を流延し、室温で7日間風乾した。更に、オーブン中で、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流を流しながら40℃で2日間、60℃で2日間、80℃で2日間、100℃で2日間、120℃で1日間乾燥した。得られた環状オレフィン重合体樹脂膜の膜厚は800nmであり、波長633nmにおける、プリズムカプラで測定した屈折率は1.523であった。酸素及び水の量は10重量ppm未満であった。
この膜をSUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。次に室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を20℃で導入した。6時間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、120℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
環状オレフィン重合体の膜厚は954nmに変化し、波長633nmにおけるプリズムカプラで測定した膜最表面の屈折率は1.423に変化していた。
また、ESCAによる測定で表層部にフッ素原子が多く存在しており、最表面のフッ素原子と炭素原子の含有数比が1.7であった。さらに、この膜を、超純水中に24時間浸漬した後、ESCAを測定したところ、浸漬前と同様に、フッ素原子が表層部に存在していた。また、FTIR−ATR法で膜表面を測定したところ、C−F伸縮振動に由来する1400〜1000cm−1にブロードなピークが観測された。膜表面はフッ素ガスによる処理前に比べ水の接触角が大きくなり、撥水性が増加していた。
実施例2
実施例1と同じ環状オレフィン重合体樹脂で作製した、直径5mm、高さ100mmのロッド状成形物をステンレス容器に入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、100℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。酸素及び水の量は10重量ppm未満であった。室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を20℃で導入した。20分間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、100℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
このロッド状成形物を輪切りし、切断面中心部と、ロッド状成形物表面とをESCAで測定したところ、表層部にはフッ素原子が多く存在し、最表面のフッ素原子と炭素原子の含有数比が1.6であった。中心部にはフッ素原子が存在しなかった。フッ素原子が多く存在すると屈折率が低下するので、中心部の屈折率が相対的に高くなり、中心部に入射した光は屈折率の小さい表層部で全反射を繰り返し、光はロッド内を長手方向に導波される。
実施例3
実施例1と同じ環状オレフィン重合体樹脂を成形して得た、縦100mm、横10mm、厚さ1mmの板をSUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。酸素及び水の量は10重量ppm未満であった。室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を20℃で導入した。6時間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、120℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
作製した板の表面と、FIBにて約1ミクロンエッチングした後のエッチング面と、板を半分の厚さになるようにスライスした切断面を、ESCAでそれぞれ分析したところ、最表面のフッ素原子と炭素原子の含有数比が1.6、約1ミクロンエッチングした面のフッ素原子と炭素原子の含有数比が約0.5、内層部はフッ素原子と炭素原子の含有数比が0であった。
実施例4
実施例1と同じ環状オレフィン重合体樹脂を成形して得た、縦100mm、横10mm、厚さ1mmの板をSUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。酸素及び水の量は10重量ppm未満であった。室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を20℃で導入した。5分間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、120℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
紫外可視光分光光度計でこの板の光線透過率および光反射率(表面反射率)を測定した。測定結果を図2に示す。350nmから800nmの波長領域において、光線透過率が向上し、光反射率が低下した。また板表面の撥水性が増加していた。
実施例5
実施例1と同じ環状オレフィン重合体樹脂を射出成形し、楔形の液晶ディスプレイ用3.5インチ導光板を得た。この導光板の側面(光入射部)以外を全てマスキングし、SUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。酸素及び水の量は10重量ppm未満であった。室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を20℃で導入した。5分間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、120℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
マスキングを取り外し、光入射部から光を入れ、出射面の輝度を測定したところ、フッ素ガスによる処理をする前に比べ輝度が約10重量%増加していた。
以上のことから、本発明によれば、レンズやプリズム、光ファイバー等の光学部材において、簡便かつ安定に異なる屈折率を、母材に直接付与することが可能になり、簡便に高透過率化、低表面反射率化できるため、レンズ、プリズムや導光板等の透明光学部材を高性能化可能であり、かつ、非常に高価であった屈折率分布を応用したGI型光ファイバーおよびその関連部品を簡便かつ安価に作製できる。さらに、表面の撥水性が高く防汚効果にも優れているので、輝点などの光漏れの原因となる異物付着による傷つきが防止できる。
本発明の方法に用いる、反応装置の一例を示す図。 本発明実施例4におけるフッ素ガス処理前後の樹脂成形体の光透過率及び表面反射率を示した図である。
符号の説明
1・・チャンバー
2・・フッ素ガス供給ライン
3・・不活性ガス供給ライン
4・・排気ライン
5・・加熱装置
6・・成形基材

Claims (9)

  1. (1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形体を放置し、(2)フッ素ガスを含有する雰囲気に該成形体表面を接触させて前記成形体中にフッ素を導入し、(3)次いで不活性ガス雰囲気中又は減圧下に該成形体を再放置して前記成形体中に導入しきれなかったフッ素ガスを除去してなり、
    前記成形体表層部に該成形体内層部よりもフッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物の相があり、X線電子分光法によって求められた成形体最表面のフッ素原子/炭素原子の含有数比が2.0以下であるように構成したことを特徴とする光学機器用光学部材。
  2. (1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物からなる成形体を放置し、(2)フッ素ガスを含有する雰囲気に該成形体表面を接触させて前記成形体中にフッ素を導入し、(3)次いで不活性ガス雰囲気中又は減圧下に該成形体を再放置して前記成形体中に導入しきれなかったフッ素ガスを除去することを含む、光学機器用光学部材の製法
  3. フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させる直前の成形体中の酸素及び水分量が共に1重量%以下である請求項2記載の光学機器用光学部材の製法。
  4. フッ素ガスを含有する雰囲気中の酸素及び水分濃度が共に100重量ppm以下である請求項2記載の光学機器用光学部材の製法。
  5. フッ素ガスを含有する雰囲気が、不活性ガスで希釈されたフッ素ガス濃度0.1〜50重量%のフッ素ガスである請求項2記載の光学機器用光学部材の製法。
  6. 成形体表面にフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させるときの温度が−50〜150℃である請求項2記載の光学機器用光学部材の製法。
  7. 不活性ガス雰囲気中又は減圧下に成形体を放置又は再放置する際に、成形体を加熱する請求項2記載の光学機器用光学部材の製法。
  8. 不活性ガス雰囲気中に放置又は再放置する際の加熱温度が60〜180℃である請求項7記載の光学機器用光学部材の製法。
  9. 減圧下に放置又は再放置する際の圧力が1〜500mmHgである請求項2記載の光学機器用光学部材の製法。
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