JP5250851B2 - プラスチック製光学素子及びプラスチック製光学素子の製造方法 - Google Patents

プラスチック製光学素子及びプラスチック製光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高温高湿下での安定性及び環境変動に対する安定性に優れたプラスチック製光学素子及びプラスチック製光学素子の製造方法に関するものである。
近年、従来の光情報記録媒体であるCD(Compact Disk)と同程度の大きさで、大容量化させた高密度の光ディスクであるDVD(Digital Versatile Disk)に対し、更に高密度な青色半導体レーザを用いた次世代の光ディスク(例えば、HD−DVDやBlu−Ray)が実用化されてきている。
このような光ディスクなどを媒体とした光学式記録再生装置においては、記録情報信号の高密度化を図るため、あるいは高密度な記録情報信号を再生するために、対物レンズが記録媒体上に集光するスポット径を小さくすることが要求されている。このスポット径は、周知のようにλ/NA(ただし、λは光源の波長、NAは対物レンズの開口数)に比例する。このために、光学式記録再生装置で使用される光源の短波長化及び、光ディスクに対向して配置される対物レンズの高NA化が検討されている。
光学式記録再生装置においては、一般的に情報の再生時のレーザパワーよりも記録時のレーザパワーの方が大きいため、再生から記録に切り替える際に出力変化により中心波長がずれてしまう場合がある。このような現象に起因して発生するフォーカス位置ずれは、対物レンズをフォーカシングすることで除去できるが、対物レンズがフォーカシングするまでの間は、フォーカス位置ずれによる記録不良等の不具合が生じる。このフォーカス位置ずれは、光源波長が短くなるほど大きくなる。以上の理由から、青色半導体レーザを光源として使用する光学式記録再生装置では、波長変化に対する集光スポットのフォーカス位置ずれの補正が必要とされる。
このような問題の解決のため、光学面上に輪帯状の回折パターンを形成し、かかる回折パターンの回折作用により軸上色収差を補正することによって、波長変化に対するフォーカス位置ずれを小さく抑えた、青紫色半導体レーザを光源として使用する光ピックアップ装置用の対物レンズが開示されている(例えば、特許文献1)。
ところで、対物レンズの高NA化やレーザの短波長化が図られてくると、CDやDVDなどの従来の光ディスクに対して情報の記録又は再生を行うような比較的長波長のレーザと低NAの対物レンズとの組み合わせからなる光学式記録再生装置ではほとんど無視できる問題でも、より顕在化されることが予想される。その一つが、湿度変化による対物レンズの球面収差の問題である。
一般に、レンズに用いられる材料の屈折率は、水分含有率が高いほど高くなる。したがって、例えば、湿度が上昇した場合には、空気中の水分がレンズの表面から徐々にレンズ内部に吸収され、吸収が進行している間は表面に近い側の屈折率は相対的に高くなり、中心に近い側の屈折率は周辺より遅れて高くなる。このように、レンズ内部で屈折率分布が発生するため、球面収差が発生する。現在、CDやDVDの対物レンズには、生産性、コストの観点からポリオレフィン系、アクリル系などの樹脂レンズが使用されている。しかし、樹脂は吸湿性が高いため、湿度変化時の変形、屈折率変化が大きい。かかる屈折率変化による球面収差の変動も、レーザの短波長化と対物レンズの高NA化の組み合わせにおいては、無視できない量となり、安定した記録再生が行えない恐れがある。
ところで、対物レンズの高NA化やレーザの短波長化が図られてくると、CDやDVDなどの従来の光ディスクに対して情報の記録又は再生を行うような比較的長波長のレーザと低NAの対物レンズとの組み合わせからなる光学式記録再生装置ではほとんど無視できる問題でも、より顕在化されることが予想される。その一つが、湿度変化による対物レンズの球面収差の問題である。
一般に、レンズに用いられる材料の屈折率は、水分含有率が高いほど高くなる。したがって、例えば、湿度が上昇した場合には、空気中の水分がレンズの表面から徐々にレンズ内部に吸収され、吸収が進行している間は表面に近い側の屈折率は相対的に高くなり、中心に近い側の屈折率は周辺より遅れて高くなる。このように、レンズ内部で屈折率分布が発生するため、球面収差が発生する。現在、CDやDVDの対物レンズには、生産性、コストの観点からポリオレフィン系、アクリル系などの樹脂レンズが使用されている。しかし、樹脂は吸湿性が高いため、湿度変化時の変形、屈折率変化が大きい。かかる屈折率変化による球面収差の変動も、レーザの短波長化と対物レンズの高NA化の組み合わせにおいては、無視できない量となり、安定した記録再生が行えない恐れがある。
このような問題を解決するため、樹脂レンズ全面をガスバリア性能のひとつである防湿性を有する光透過性コート層で覆うことにより樹脂レンズ内部への吸湿が妨げられ、吸湿による球面収差の変動を抑制する技術が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。
特開平9−311271号公報 特開2004−361732号公報 特開2005−173326号公報 特開2006−119485号公報
しかしながら、同じようなガスバリア性を備えた均質の膜質でレンズ全面を覆った場合、高温環境や急激な温度変化する環境下で長期間使用すると、ガスバリア性能の低下が見られることが判明した。なお、ここでいうガスバリア性能の低下原因については、未だ明確ではないが、常温及び高温のような環境変化を与えたとき、樹脂レンズとガスバリア性を有する膜との熱変形量が異なるため、ガスバリア性を有する膜に応力がかかり、それによりガスバリア性を有する膜にダメージを与え、ガスバリア性能の低下が生じると考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、優れたガスバリア性能を有し、かつ高温環境および急激な環境条件変化下で使用してもガスバリア性能の劣化が少ないプラスチック製光学素子とその製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.表面全面にガスバリア性を有する膜を設けたプラスチック製光学素子において、表面の光路以外の領域Bの少なくとも一部が、表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する第1の膜よりも展性が大きいガスバリア性を有する第2の膜を有することを特徴とするプラスチック製光学素子。
2.前記第2の膜が、金属膜であることを特徴とする前記1に記載のプラスチック製光学素子。
3.前記金属膜が、アルミニウムを主成分とする膜であることを特徴とする前記2に記載のプラスチック製光学素子。
4.前記金属膜が、真空蒸着で形成されたことを特徴とする前記2または3に記載のプラスチック製光学素子。
5.前記第1の膜が、酸化珪素を主成分とする膜であることを特徴とする前記1乃至4のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
6.前記酸化珪素を主成分とする膜が、炭素を1乃至40原子数%含有する第一酸化珪素膜、炭素を1原子数%未満含有する第二酸化珪素膜、及び炭素を1乃至40原子数%含有する第三酸化珪素膜から構成されていることを特徴とする前記1乃至5のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
7.前記酸化珪素を主成分とする膜が、大気圧プラズマCVD法で形成されたことを特徴とする前記5または6に記載のプラスチック製光学素子。
8.波長480nm以下のレーザに使用するレンズであることを特徴とする前記1乃至7のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
9.表面全面にガスバリア性を備えた膜を有する前記1乃至8のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子を製造するプラスチック製光学素子の製造方法であって、該プラスチック製光学素子の表面の光路領域を、大気圧プラズマCVDで形成した透明な酸化金属を主成分とする膜でコーティングする工程と、プラスチック製光学素子の表面の光路以外の領域の少なくとも一部を、真空蒸着で形成した金属膜でコーティングする工程とを有することを特徴とするプラスチック製光学素子の製造方法。
本発明により、優れたガスバリア性能を有し、かつ高温環境および急激な環境条件変化下で使用してもガスバリア性能の劣化が少ないプラスチック製光学素子とその製造方法を提供することができた。
本発明のプラスチック製光学素子を有する光ピックアップ装置の全体構成の一例を示す概略図である。 本発明のプラスチック製光学素子を適用した光ディスク用対物レンズの正面図である。 本発明のプラスチック製光学素子を適用した光ディスク用対物レンズの断面図である。 図3に破線の楕円形で示した領域の拡大断面図である。 本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 本発明に有用な対向電極間で光学素子を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 光源
4 光軸
5 光情報記録媒体
10 対物レンズ(プラスチック製光学素子、対物光学素子)
10a 光学面
11 レンズ基体(光学素子基体)
12 レンズ面
13 フランジ部
14 外周部
15 ゲート除去部
16 光路領域A設けるガスバリア性を有する膜
17 膜16よりも展性が大きいガスバリア性を有する膜(金属膜)
110、510 プラズマ放電処理装置
111 第1電極
112 第2電極
114 処理位置
118 支持台
121、502 第1電源
122、521 第2電源
136B 誘電体
508 ステージ電極(第1電極)
511、512 角筒型固定電極群(第2電極)
136a 角筒型電極
136A 金属質母材
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、表面全面にガスバリア性を有する膜を設けたプラスチック製光学素子において、表面の光路以外の領域Bの少なくとも一部が、表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する第1の膜よりも展性が大きいガスバリア性を有する第2の膜を有することを特徴とするプラスチック製光学素子により、優れたガスバリア性能を有し、かつ高温環境および急激な環境条件変化下で使用してもガスバリア性能の劣化が少ないプラスチック製光学素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明のプラスチック光学素子は、光源出射される光を用いて、光情報記録媒体に対して情報の再生または記録を行う光ピックアップ装置に用いられるプラスチック製光学素子である。
本発明のプラスチック製光学素子の少なくとも1つを有する光ピックアップ装置により、例えば、Blu−Ray Disc等のいわゆる次世代光ディスク、情報の記録、再生に波長400nm近傍の光を用いても、光学素子がこのような短波長の光照射を受けても、光学素子自身が白濁したり、屈折率が変動を受けことがなく、極めて製品寿命長く、かつ高い精度の光学特性を具備し、更に樹脂材料表面の設ける機能膜との密着性が極めて高くなり、反射防止機能、防汚性、耐擦り傷性に優れたプラスチック製光学素子と、それを用いて良好なピックアップ特性を有した光ピックアップ装置を実現できることを見出した。
本発明でいう光学素子とは、光ピックアップ装置の光学系を構成する、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等の部材として使用することができるものを指す。
また、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。
本発明でいう光情報記録媒体とは、CD、DVD、CD−R、MD、MO、高密度DVD等の所定の波長の光束を用いて情報の再生及び/又は記録を行う一般的な光ディスクを指す。
また、情報の再生とは光情報記録媒体の情報記録面上に記録された情報を再生することをいい、情報の記録とは光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することをいう。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
また、本発明のプラスチック製光学素子は、情報の記録だけあるいは再生だけを行う装置に用いるものであってもよいし、記録と再生の両方を行うための装置に用いるものであってもよい。
本発明のプラスチック製光学素子は、後述する熱可塑性樹脂、例えば、脂環式炭化水素系共重合体からなる成形材料を成形して得られる。成形方法としては、格別な制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた光学素子を得る為には溶融成形が好ましい。溶融成形法としては、例えばプレス成形、押し出し成形、射出成形等が挙げられるが、射出成形が成形性、生産性の観点から好ましい。成形条件は使用目的、又は成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形品にヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、光学素子が黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。
本発明のプラスチック製光学素子は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れる。
特に、本発明のプラスチック製光学素子は、波長480nm以下のレーザに使用するレンズであることが好ましく、例えば、400nmといった短波長の光の照射を継続的に受けても、白濁や屈折率の変動が抑えられる。よって、Blu−Ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に対して、長期間にわたって良好なピックアップ特性で情報の読み書きを行うことができる。したがって、光ピックアップ装置として信頼性の高いものを得ることができる。
プラスチック製光学素子の具体例としては、以下のものが挙げられる。光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザービームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザー走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
これらの中でも、低複屈折性が要求される光ピックアップ装置を構成する光学系レンズやレーザー走査系レンズとして好適であり、光ピックアップ装置の光学系レンズに最も好適である。
光ピックアップ装置の光学系レンズとしては、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等として使用することができる。
対物レンズユニットは、複数の単玉光学レンズを光軸方向に一体に組み合わせて構成してなるレンズ群であり、前記複数の単玉光学レンズのうちの少なくとも一つの単玉光学レンズとして本発明のプラスチック製光学素子を使用することが好ましい。
次いで、本発明のプラスチック製光学素子を組み込んだ光ピックアップ装置について、図を交えて説明する。
図1は、本発明のプラスチック製光学素子を有する光ピックアップ装置の全体構成の一例を示す概略図である。
図1において、本発明の光ピックアップ装置1は、波長650nmの光を適用する現行のDVD(以下、現行DVDと表記)、波長405nmの光を適用するいわゆる次世代の光ディスク(以下、次世代DVDと表記)の2種類の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行う装置である。
光ピックアップ装置1は、光源(レーザー発振器)2から出射されるレーザ光(光)を、コリメータレンズ3、対物レンズ(プラスチック製光学素子)10を通過させて、光軸4上で光情報記録媒体5の情報記録面6に集めて集光スポットを形成し、情報記録面6からの反射光を、偏向ビームスプリッタ7で取り込み、検出器8の受光面に再びビームスポットを形成するものである。
光源2は、レーザーダイオードを有して構成されており、公知の切り換え方法により、650nm、405nmという2種類の波長の光を選択して出射できる構成となっている。
コリメータレンズ3、対物レンズ(本発明のプラスチック製光学素子)10、偏向ビームスプリッタ7により、光学素子ユニットを構成している。
本発明に係る対物レンズ10は、本発明に係る樹脂組成物を射出成形で成形することにより作製される。対物レンズ10は、両面非球面の単レンズであり、その一方(光源側)の光学面10a上に、該光学面10aを通過する所定の波長の光に対して予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有している。
次いで、本発明のプラスチック光学素子の各構成要素について説明する。
《光学素子》
〔有機重合体(ホスト材料)〕
本発明のプラスチック製光学素子を形成する樹脂材料、具体的には、熱可塑性複合材料を構成する有機重合体からなるホスト材料について説明する。
本発明において、有機重合体ホスト材料としては、光学材料として一般的に用いられる透明の熱可塑性樹脂材料であれば特に制限はないが、光学素子としての加工性を考慮すると、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリイミド樹脂であることが好ましく、例えば、特開2003−73559号公報に記載の化合物を挙げることができ、その好ましい化合物を表1に示す。
本発明において、熱可塑性樹脂材料は、有機重合体からなるホスト材料が、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体を水素添加処理して得られる環状構造を有するオレフィン系重合体であること、特開平7−145213号公報の段落番号〔0032〕〜同〔0054〕に示されている化合物や、脂環式構造を有する繰り返し単位からなる脂環式炭化水素系共重合体であることが好ましい。本発明に好ましく用いられる環状オレフィン樹脂としては、ZEONEX(日本ゼオン)、APEL(三井化学)、アートン(JSR)、TOPAS(チコナ)などが挙げられるが、これらに限るものではない。
〔各種添加剤〕
本発明に係る熱可塑性樹脂材料には、その調製時や樹脂組成物の成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。添加剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;軟質重合体、アルコール性化合物等の白濁防止剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明に記載の効果を損なわない範囲で適宜選択される。本発明においては、特に、重合体が少なくとも可塑剤または酸化防止剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSともいう)の中でも、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1,000〜10,000であるものが好ましく、2,000〜5,000であるものがより好ましく、2,800〜3,800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSをブロック共重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
本発明に係る熱可塑性樹脂材料に対する上記配合量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、樹脂への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂材料に、更に最も低いガラス転移温度が30℃以下である化合物を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
《光学素子の表面加工》
本発明のプラスチック製光学素子は、表面全面にガスバリア性を備えた膜を有し、表面の光路以外の領域の少なくとも一部が、表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する膜よりも展性が大きいガスバリア性を有する膜を有することを特徴とする。
はじめに、光学素子(対物レンズ)の基本的な構成について、図を交えて説明する。
図2は、本発明のプラスチック製光学素子を適用した光ディスク用対物レンズ10の正面図であり、図3は断面図である。これらの図面に示す対物レンズ10のレンズ基体は、前記説明した熱可塑性樹脂、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを射出成形などすることにより形成されている。図2に示すように、この対物レンズ10の中央部は、少なくとも光線透過領域(図3中、矢印Aで示す。)を含み、凸レンズとして機能するレンズ面12が設けられており、光線を光ディスクの情報記録面上へ良好に集光する。好ましくは、安定した記録再生を行うために、RMS波面収差で0.045λRMS以下がよい。
レンズ面12の周囲には、光学式記録再生装置に設けられたレンズホルダ部(不図示)に対物レンズ10を装着するフランジ部13が形成されている。図2に示すように、フランジ部13の外周面14は円柱面として形成されているが、その一部は、平面状のゲート除去部15として形成される。このゲート除去部15は、射出成形の際に形成されて外周面14から突出するゲートを除去することにより作り出される。すなわち、レンズ基体11の外周面14からいわゆるバリを突出させないために、レンズ基体11のフランジ部13の一部をNC加工装置などによって、ゲートと共に平面状に切断し、ゲート除去部15を形成している。
図3に示すように、この対物レンズ10には、レンズ基体11を外気から遮断するべく、レンズ基体11の全面を覆うように、表面の光路領域Aにはガスバリア性を有する膜16が形成され、表面の光路以外の領域Bには、表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する膜16よりも展性が大きいガスバリア性を有する膜17が設けられている。これにより、レンズ基体11の吸湿を防止でき、湿度変化時にレンズの変形、屈折率変化が生じないため、球面収差の変動が起こらない。
特に、近年、波長405nmの程度の、いわゆる青色半導体レーザが用いられるようになった。このような短波長領域では多くの場合、光の吸収が増大してしまうため、光学部品として使用可能な樹脂材料に限りがある。そのため、アクリル系樹脂などが吸収の少なく、光学特性のよい材料として使用される場合が多い。しかし、このような材料は、吸湿性が高いため、それに伴う屈折率の変化、ひいては光学特性の変化が大きくなる。このため、それを防ぐ手段が必要となる。
また、表面の光路領域A設けるガスバリア性を有する膜16は、使用するレーザの波長域での光の透過率が高くまた吸収がないことが好ましく、さらに光線を効率よく透過させるため、透過する光線波長付近の光線反射率が3%以下となるような、反射防止機能を有していることが好ましい。ガスバリア性を有する膜16だけで、透過する光線波長付近の光線反射率が3%以下にならない場合は、ガスバリア性を有する膜16上に透過する光線波長付近の光線反射率が3%以下になるように反射防止膜を別途設けることが好ましい。
透過光線の反射率が3%以下であれば、光ディスク装置の信号レベルの低下、ジッター特性の劣化は許容範囲である。また、光線透過領域外においては、膜16及び膜17の光線反射率は制限されず、耐湿性を有した膜構造であればよい。
本発明のプラスチック製光学素子においては、表面の光路領域Aに設けるガスバリア性を有する膜16及びそれ以外の領域に設ける膜よりも展性が大きいガスバリア性を有する膜17の形成順序としては特に、制限はないが、図4に示す構成とすることが好ましい。
図4は、図3に破線の楕円形で示した領域の拡大断面図である。
光学素子への各膜の形成手順としては、特に限定はないが、はじめに光学素子の全面にスバリア性を有する膜16を形成した後、表面の光路領域Aをマスク部材で遮蔽した後、それ以外の領域Bに対し、はじめに形成した膜16よりも展性が大きいガスバリア性を有する膜17を形成する方法が好ましい。
以下に、光学素子の光路領域Aに形成する膜(膜16)及び光路以外の領域Bに形成する膜(膜17)の詳細について更に説明する。
〔表面の光路以外の領域Bに形成する膜〕
本発明に係る表面の光路以外の領域Bに形成する膜は、光路領域Aを形成する膜に対し展性が大きいガスバリア性を有する膜であることを特徴とする。
本発明でいう展性とは、金属物質等を圧力や打撃により薄い箔に広げられる特性であり、例えば、金の場合は、厚さ1nm程度の箔を形成することができ、この様な特性を展性と称している。展性に関する格別の規定はないが、一般的には、「伸び」は延性の指標として、「絞り」は展性の指標とされている。
展性の指標である絞りは、以下の様に定義されている。すなわち、引っ張る前の試験片の断面積をS0とし、引っ張り破断後の試験片の破断部(最もくびれている部分)の面積をS1としたとき、絞り(%)は、100×(S0−S1)/S0で表される。
本発明においては、光路以外の領域Bの少なくとも一部を形成する膜が、金属膜であることが好ましい。光路領域以外に金属膜を設けることによって、ガスバリア性の他に、帯電防止機能も付与でき、ごみや汚れがつきにくくなる効果もある。
本発明に係る金属膜を形成する材料としては、光路領域Aを形成する膜材料に対し展性が大きい材料により形成され、光路領域Aを形成する膜が酸化珪素を主成分とする膜である場合には、それより展性の高い金属を選択する。この様な展性の高い金属としては、金属の中で最も展性の高いAuの他に、Pd、Pt、Ag、Ni、Cr、Cu、Al、Zn、Fe等が好ましく、その中でも経済性及びガスバリア性の観点から、この金属膜が、アルミニウムを主成分とする膜であることが特に好ましい。
本発明においては、本発明に係る金属膜を形成する方法としては、特に制限はなく、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。また、スパッタリング法によるマスク蒸着や全面蒸着又は塗布した後、フォトリソグラフィ法でパターニングする方法、またスクリーン印刷などで形成することができる。
本発明においては、精緻に均一金属膜を形成できる観点から、真空蒸着法を用いることが好ましい。
真空蒸着は、真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱し気化もしくは昇華して、離れた位置に置かれた基板の表面に付着させ、薄膜を形成するというものである。蒸着材料、基板の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。蒸着材料を蒸発させるには溶融する方法としては色々とある。中でも抵抗加熱、電子銃(Electron Beam、Beam Gun)等が使用される。
真空蒸着のステップとしては、1)金属膜を形成する光学素子と金属膜の形成原料を容器内に入れ、真空状態にする。この時、図4に示す様に、予め光学素子の全表面にガスバリア性を備えた膜が形成されている場合には、光学素子の光路領域Aには、金属膜を形成しない様にマスク部材で遮蔽をしておく。次いで2)全体を真空状態にして、原料を熱で溶かして蒸発させる。3)原料が気体分子となり、光学素子に衝突、付着し、金属が形成される。この真空蒸着法は、原料分子が光学素子に達する前に残存気体分子に衝突しない為、また、気体分子自体が光学素子に衝突しない様、真空度としては1×10-3〜1×10-4Pa程度を維持する必要がある。
〔表面の光路領域Aに形成する膜〕
本発明の光学素子においては、光学素子基体表面の光路領域Aにガスバリア性を有する膜を設けることを特徴とする。
光路領域Aに設ける膜としては、ガスバリア性を備えていれば特に制限はないが、酸化珪素を主成分とする膜であることが好ましく、更にはこの酸化珪素を主成分とする膜が、炭素を1〜40原子数%含有する第一酸化珪素膜、炭素を1原子数%未満含有する第二酸化珪素膜、及び炭素を1〜40原子数%含有する第三酸化珪素膜から構成されていることが好ましい。更には、炭素を1原子数%未満含有する第二酸化珪素膜と、炭素を1〜40原子数%含有する第三酸化珪素膜の間に、炭素を1〜40原子数%含有する第四酸化珪素膜と、炭素を1原子数%未満含有する第五酸化珪素膜をそれぞれ1つ以上含む構成をとっても良い。
以下、酸化珪素を主成分とするガスバリア膜について説明する。
本発明の光学素子では、光路領域Aに酸化珪素を含有し、好ましくは、それぞれ炭素含有率が異なり、従って、膜密度が異なる3つの層を光学素子上に順次形成した積層構成を有することが好ましい。その他、公知の製造方法で形成したガスバリア膜を適用することもできる。
即ち、光路領域Aに、好ましく光学素子全面に炭素含有率が1〜40原子数%である酸化珪素を含有する第一の層と、炭素含有率が0.1原子数%以下である酸化珪素を含有する第二の層と、炭素含有率が1〜40原子数%である酸化珪素を含有する第三の層(からなる一組のユニット)を、順次形成した積層構成を有しているガスバリア性膜を形成するである。
酸化珪素膜においては、炭素含有率が低下することで、ガスバリア性能が向上し、また、炭素含有率が高くなると、ガスバリア性能が低下し、また、このとき、膜の柔軟性は増すことが知られている。これらの性質を用い、炭素含有率の低い緻密な酸化珪素(層)膜をガスバリア層として、これに、炭素含有率が低い柔軟な酸化珪素膜(層)を応力緩和層として組あわせ交互に積層したガスバリア性膜である。
本発明においては、炭素含有率の低い第二の酸化珪素層を中間層として、光学素子表面側に応力緩和層となる炭素含有率がこれよりも高い第一の酸化珪素層、最表面に同じく応力緩和作用を有する第一の酸化珪素層と同様の炭素含有率を有する第三の酸化珪素層とした積層体構造をもたせることで、光学素子表面との密着性が飛躍的に向上するものである。
即ち、炭素含有率が1〜40原子数%である酸化珪素を含有する層は、酸化珪素層としてはやや柔軟性のある密度の低い(好ましくは1.80以上2.05以下である)、曲げ、引っ掻き等に耐性のある応力緩和層としての性質を有すると同時に、接着性の良好な層であり、この層によって、水蒸気、酸素等に対するガスバリア性の高い炭素含有率が0.1原子数%以下である密度の高い(2.15以上2.50以下であることが好ましい)酸化珪素を含有し、緻密で弾性率が高い第二の層を挟持する積層構造とすることで、柔軟で、かつガスバリア性が高く、かつ表面に傷がつきにくいと同時に、光学素子表面との密着性が大きく向上したガスバリア性膜が得られる。
これら本発明に係る酸化珪素から構成される膜については、物理気相成長法または化学気相成長法を用いることでこれを成膜することができる。
また、物理気相成長法または化学気相成長法を用いると、膜原料、また、その条件等を変更するのみで、前記第一、第二、及び第三の酸化珪素層を、順次、樹脂基材上に成膜可能であり、同じ製造方法を用いて、連続的にこれを形成することもできる。
物理的気相成長法は、気相中で物質の表面に物理的手法により目的とする物質(この場合酸化珪素)の薄膜を堆積する方法であり、これらの方法としては、蒸着(抵抗加熱法、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー)法、また、イオンプレーティング法、スパッタ法等があり、いずれの方法でもよいが、これらの方法のうちでは、高融点の材料にも適用が容易なスパッタ法等が酸化珪素膜には好ましい。
また、化学気相成長法は、基板物質上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面或いは気相での化学反応により膜を堆積する方法であり、また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがある。
これらの化学気相成長法としては、原料ガスの変更調整により容易に異なった酸化珪素膜の成膜が可能な熱CVD法、プラズマCVD(真空、大気圧)法等があるが、これらのうちでは、成膜速度が速い大気圧プラズマCVD法が、特に好ましい方法である。大気圧プラズマCVD法及び大気圧プラズマCVD法による酸化珪素膜の形成条件の詳細については後述する。
この様に気相成長法、特に大気圧プラズマCVD法を用いて、光学素子上に、順次、炭素含有率が1〜40原子数%である酸化珪素を含有する第一の層、炭素含有率が0.1原子数%以下である酸化珪素を含有する第二の層、炭素含有率が1〜40原子数%である酸化珪素を含有する第三の層を順次形成したガスバリア性薄膜積層体は、概ね、0.01g/m2/day未満、1×10-7g/m2/day以上の水蒸気透過率を有し、高い透過率を有すると共に、光学素子の高温高湿下での優れた安定性を実現することができる。
本発明において、水蒸気透過率は、PET(ポリエステルテレフタラート)フィルム上に同一の成膜条件にてガスバリア性薄膜積層体を設けたものを、JIS K 7129Bに記載された方法により測定する。なお、測定にはMOCON社製 水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W 3/33 MGモジュールを使用することができる[g/m2/day]。
また、酸素透過率についても同じく、JIS K 7126Bに従って、MOCON社製 酸素透過率測定装置 OX−TRAN 2/21 MLモジュールを使用して測定することができる[cm3/m2/day/atm]。
本発明における前記、第一の酸化珪素層(膜)、第二の酸化珪素層(膜)、第三の酸化珪素層(膜)からなるガスバリア層(薄膜積層体)は、従って、いずれも同一組成物を含有する層である。本発明でいう同一組成物を含有するとは、各膜を構成している物質の50%以上が同一の化合物(この場合酸化珪素)により構成されていることを意味し、好ましくは70%以上である。
本発明に係る炭素含有率の異なる酸化珪素膜からなるガスバリア層積層体の厚さは、用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、1〜5000nmの範囲内であることが好ましく、更に好ましいのは5〜500nmの範囲内である。ガスバリア性薄膜積層体の厚さが、上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性を得ることが困難であるからである。また、特に第二の酸化珪素膜の厚さは、1〜5000nmの範囲内、更には5〜500nmの範囲が好ましい。第二の酸化珪素膜が上記の範囲より厚い場合には、引っ張り等の外的要因により、ガスバリア性樹脂基材に亀裂が生じる等のおそれがあるからである。
第一又第三の酸化珪素膜は、本発明の構成において、応力緩和の役割をもつ層であるが、光学素子とバリア膜間の密着性を改善する密着膜としても用いられる場合、1〜500nmが好ましく、さらに好ましいのは20〜200nmである。
また、最上層にある酸化珪素膜は同じく炭素含有率が1〜40原子数%である応力緩和膜であるが、また、保護膜として用いられ、このとき酸化珪素膜は、1〜1000nmの厚みが、さらには20nm〜800nmの厚みが好ましい。
次に、本発明における酸化珪素層(膜)の原子数濃度(原子数%)について説明する。
〈原子数密度(原子数%)〉
本発明において、酸化珪素膜を緻密な密度の高い膜とするには、例えば、本発明において、ガスバリア層となる第二の酸化珪素膜の場合、炭素含有量が0.1原子数%以下(0原子数%以上)である炭素原子の含有量が少ない膜であることが好ましく。これにより酸化珪素膜はガスバリア性の高い膜となる。また、第一、第三の酸化珪素膜は、応力緩和作用をもつ緩衝膜(応力緩和層)であり、ガスバリア層と同一組成物を含有しかつ柔軟な層とするには、炭素含有量のより高い膜とすればよく、本発明においては、炭素含有量が1〜40原子数%の範囲にある酸化珪素膜であることが好ましい。ここでいう原子数%は、原子数濃度%(atomic concentration)を表す。
酸化珪素膜の原子数濃度%は、公知の分析手段を用いて求めることができるが、本発明においては下記のXPS法によって算出されるもので、以下に定義されるものである。
原子数濃度(atomic concentration)=炭素原子の個数/全原子の個数×100
XPS表面分析装置としては、本発明では、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いる。具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定する。
測定としては、先ず、結合エネルギ0eV〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求める。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定する。
得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを防止するために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、分析ターゲットの元素(炭素、酸素、ケイ素等)の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求める。
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなう。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps×eV)を用いる。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いる。また、Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
本発明に係る第一、第三の酸化珪素膜、また第二の酸化珪素膜は、同一の組成物を含有すると共に密度が異なる膜である。これは、同一組成物といっても、気相成長法を用いて薄膜を形成する場合、例えば、大気圧プラズマCVD法の場合において、製造条件、又用いる薄膜形成ガス(原料ガス、添加ガス等の種類、比率等)によって、酸化珪素粒子の充填の程度、また混入する微量の不純物粒子等に差が生じることでそれに伴う物性、例えば密度等は異なってくることによる。
本発明に係る第一、第三の酸化珪素膜は、膜密度が1.80以上、2.05以下の膜であることが好ましく、また第二の酸化珪素膜は、2.15以上、2.50以下の膜密度を有することが好ましい。本発明において、これらの膜密度は、X線反射率法により求めることができ、X線反射率法の概要は、X線回折ハンドブック 151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)や化学工業1999年1月No.22を参照して行うことができる。
酸化珪素膜の密度は、前記の炭素含有量と密接に相関があり、例えば、ガスバリア性の高い第二の酸化珪素膜は、炭素原子濃度が低い膜であるが、密度が高く、また、第一、第三の酸化珪素膜は、炭素原子濃度がこれよりも高い膜であり、より柔らかい組成物であり、膜密度もより低い膜である。
本発明に係る前記第一、第二、或いは第三の酸化珪素膜を製造する方法において、気相成長法のうち、特に大気圧プラズマCVD法による製造方法で用いられる原料化合物について説明する。
本発明の酸化珪素膜は、大気圧プラズマCVD法において、原料(原材料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、酸化珪素、また酸化珪素を主体とした金属酸化物、また、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物等との混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物など)等の組成を作り分けることができる。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、シラザン等を原料化合物として用いれば、酸化窒化珪素が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような酸化珪素膜の形成原料としては、珪素化合物であれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
このような珪素化合物としては、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
また、これら珪素を含む原料ガスを分解して酸化珪素膜を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
珪素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、酸化珪素、また、窒化物、炭化物等を含有する酸化珪素膜を得ることができる。
プラズマCVD法においては、これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、薄膜形成(混合)ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
次いで、本発明に係るガスバリア膜の形成に好適に用いられる大気圧プラズマCVD法について説明する。
本発明に係る表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する膜の形成には、物理、或いは化学気相成長法が用いられる。中でも、これらのうち最も好ましい方法であり、大気圧プラズマCVD法について、以下説明する。
大気圧プラズマCVD法は、例えば、特開平10−154598号公報や特開2003−49272号公報、WO02/048428号パンフレットなどに記載されているが、特に、特開2004−68143号公報に記載されている薄膜形成方法が、緻密でガスバリア性が高い酸化珪素膜を形成するには好ましい。
本発明に係る上記の大気圧プラズマCVD法は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマCVD法であり、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
本発明の光路領域Aにガスバリア膜を有するプラスチック製光学素子の製造において、使用される大気圧プラズマ製膜装置の一例について、図5〜図7に基づいて説明する。
図5または図6に示す大気圧プラズマ放電処理装置は、ガス供給手段から、金属を含む原料ガス、分解ガスを適宜選択して、またこれらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合してプラズマ放電発生装置にガスを送りこむことで、酸化珪素を主成分とするガスバリア膜を得ることができる。
放電ガスとしては、前記のように窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
図5は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図であり、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図5では図示してないが、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置110は、第1電極111と第2電極112から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極111からは第1電源121からの周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界が印加され、また第2電極112からは第2電源122からの周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源121は第2電源122より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加出来、また第1電源121の第1の周波数ω1は第2電源122の第2の周波数ω2より低い周波数を印加できる。
第1電極111と第1電源121との間には、第1フィルタ123が設置されており、第1電源121から第1電極111への電流を通過しやすくし、第2電源122からの電流をアースして、第2電源122から第1電源121への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極112と第2電源122との間には、第2フィルター124が設置されており、第2電源122から第2電極112への電流を通過しやすくし、第1電源121からの電流をアースして、第1電源121から第2電源122への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極111と第2電極112との対向電極間(放電空間)113に、ガス供給手段(不図示)からガスGを導入し、第1電極111と第2電極112から高周波電界を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と支持台118とで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、この処理空間に設置される光学素子11上に、処理位置114付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図6に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラができるだけ生じないように、電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べ、同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることができるので、何回も処理され高速で処理することもできる。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射することにより、本発明における好ましい態様である炭素含有率の異なる酸化珪素層からなる積層薄膜を形成することができる。
図6は、本発明に有用な対向電極間で光学素子を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置510、二つの電源を有する電界印加手段502及び521、ガス供給手段(図示していない)、電極温度調節手段(図示していない)を有している装置である。
図6は、基材を保持するステージ電極(第1電極)508と角筒型固定電極群(第2電極)511及び512との対向電極間(放電空間)で、基材をプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ステージ電極(第1電極)508と角筒型固定電極群(第2電極)511及び512との間の放電空間(対向電極間)に、ステージ電極(第1電極)508には第1電源502から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また角筒型固定電極群(第2電極)511及び512には第2電源521から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ステージ電極(第1電極)508と第1電源502との間には、第1フィルタ501が設置されており、第1フィルタ501は第1電源502から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源521からの電流をアースして、第2電源521から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)511及び512と第2電源521との間には、第2フィルタ523が設置されており、第2フィルター523は、第2電源521から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源502からの電流をアースして、第1電源502から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ステージ電極508を第2電極、また角筒型固定電極群511及び512を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
また、電流はI1<I2となることが好ましい。第1の高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3mA/cm2〜20mA/cm2、さらに好ましくは1.0mA/cm2〜20mA/cm2である。また、第2の高周波電界の電流I2は、好ましくは10mA/cm2〜100mA/cm2、さらに好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2である。
ガス供給手段のガス発生装置で発生させたガスGは、流量を制御して給気口よりプラズマ放電処理容器内に導入する。
前工程から搬送されてきた光学素子11を、ステージ電極(第1電極)508に保持されたまま角筒型固定電極群511及び512との間に移送し、ステージ電極508と角筒型固定電極群(第2電極)511及び512との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)で放電プラズマを発生させる。光学素子11はステージ電極508に保持されたまま搬送され、プラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。光学素子11は、ステージ電極に保持されたまま、放電空間を出て、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口より排出する。
薄膜形成中、ステージ電極(第1電極)508及び角筒型固定電極群(第2電極)511及び512を加熱または冷却するために、電極温度調節手段で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。
図7は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図7において、角筒型電極136aは、導電性の金属質母材136Aに対し、誘電体136Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
図7に示した角筒型電極136aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図7において、角筒型電極136aは、それぞれ導電性の金属質母材136Aの上に誘電体136Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度の被覆であればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。またステージ電極508も同様である。
導電性の金属質母材136Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができるが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
対向する第1電極および第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことを言う。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことを言う。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.2〜2mmである。
本発明に係る大気圧プラズマ処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成出来、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm2以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
1:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
2:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
3:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
4:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
5:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
6:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
7:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
8:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1項または2項および5〜8項が好ましく、特に1項が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《光学素子基体の作製》
(樹脂材料の調製)
酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤及び滑剤、可塑剤を所定量加えたシクロオレフィン樹脂APEL5014(三井化学製)を、溶融、混練した。溶融、混練には、株式会社東洋精機製作所製のラボプラストミルKF−6Vを用い、窒素下において、100rpmで10分間混練し、終了2分前に2.66kPaで減圧脱気を行った。
(成型体の作製)
上記得られた樹脂材料を、160℃、1.33kPaの減圧下でプレスし、図3に記載の成型体を作製し、さらに成型体の表面を研磨し、プラスチック製の光学素子基体を作製した。
《プラスチック製光学素子の作製》
〔光学素子1の作製:本発明〕
上記作製したプラスチック製の光学素子基体の図2,3に示す光路領域A上に、下記の条件に従って、大気圧プラズマCVD法で3層からなる酸化珪素膜を形成し、次いで、光路以外の領域Bに、以下の条件で真空蒸着法によりアルミニウム膜の形成を行い、プラスチック製の光学素子1を作製した。
[酸化珪素膜の形成]
図6に記載のステージ電極型の大気圧プラズマ放電処理装置を用いてプラズマ放電処理を実施し、酸化珪素膜を形成した。大気圧プラズマ放電処理装置は、ステージ電極に対向して棒状電極を複数個、光学素子基体の搬送方向に対し平行に設置し、各電極部に混合ガス組成物及び電力を投入できる構造を有する。
ここで各電極を被覆する誘電体は対向する電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。
以下の作製条件で、炭素含有率が18原子数%である第一酸化珪素膜(20nm)、炭素含有率が0.1原子数%以下(検出下限以下)である第二酸化珪素膜(30nm)、炭素含有率が20原子数%である第三酸化珪素膜(50nm)と順次薄膜形成を行い、光学素子基体の全面に酸化珪素膜を形成した。
(第一酸化珪素膜の形成)
〈第一酸化珪素膜形成用の混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 98.85体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.15体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈第一酸化珪素膜の成膜条件〉
第1電極側:電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm2(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 60℃
第2電極側:電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm2(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
(第二酸化珪素膜の形成)
〈第二酸化珪素膜形成用の混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.99体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.01体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈第二酸化珪素膜の成膜条件〉
第1電極側:電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 12W/cm2(この時の電圧Vpは8kVであった)
電極温度 60℃
第2電極側:電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm2(この時の電圧Vpは2kVであった)
電極温度 90℃
(第三酸化珪素膜の形成)
〈第三酸化珪素膜形成用の混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.5体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.5体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈第三酸化珪素膜の成膜条件〉
第1電極側:電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm2(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 60℃
第2電極側:電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm2(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
[金属膜の形成]
上記作製した酸化珪素膜を形成した光学素子について、表面の光路領域Aをマスク材で遮蔽した後、下記の真空蒸着法を用いて、表面の光路領域以外の領域Bに金属膜としてアルミニウム膜を形成し、プラスチック製光学素子である光学素子1を作製した。
(アルミニウム膜の形成)
抵抗加熱型の真空蒸着装置に、光路領域Aをマスクした上記光学素子をセットし、5×10-4Paまで減圧した。所定の圧力まで減圧したら、原料となるアルミニウム(アルドリッチ社製、純度99.99%)を載せたボート(電気化学工業社製 デンカBNコンポジットEC)に電流を投入し、成膜速度(蒸着装置に付いている水晶膜厚計にて計測)が5nm/secになるように投入電流を調整した。所定の成膜速度になった後、シャッターを開け、200nmのアルミニウム薄膜の成膜を行った。
〔光学素子2の作製:本発明〕
上記光学素子1の作製において、光学素子の光路領域Aへの酸化珪素膜の形成方法として、大気圧プラズマCVD法に代えて、下記に示すスパッタ法を用いた以外は同様にして、光学素子2を作製した。
(酸化珪素膜の形成:スパッタ法)
大阪真空機器製作所製の対向ターゲット方式のマグネトロンスパッタ装置を用いた。ターゲットとしてはSiOを用い、スパッタリング室の圧力が5×10-4Paまで排気し、その後、放電ガスとしてアルゴンと酸素を導入して0.5Paとした。電源は、パール工業社製の13.56MHzを用い、出力密度2.5W/cm2投入し、酸化珪素膜100nm成膜を行った。
〔光学素子3の作製:比較例〕
上記光学素子2の作製において、同様のスパッタ法により、光学素子全面に100nmの酸化珪素膜を形成し、金属膜の形成を行わなかった以外は同様にして、光学素子3を作製した。
〔光学素子4の作製:比較例〕
上記光学素子2の作製において、表面の光路領域以外の領域Bに、金属膜に代えて、光学素子2の作製で用いたのと同様のスパッタ法により、膜厚が500nmの酸化珪素膜を形成した以外は同様にして、光学素子4を作製した。
〔光学素子5の作製:本発明〕
上記光学素子1の作製において、表面の光路領域以外の領域Bに金属膜としてアルミニウム膜に代えて、銅膜を形成した以外は同様にして、光学素子5を作製した。
〔光学素子6の作製:本発明〕
上記光学素子1の作製において、表面の光路領域以外の領域Bに金属膜としてアルミニウム膜に代えて、金膜を形成した以外は同様にして、光学素子6を作製した。
《光学素子の評価》
上記作製した各光学素子について、下記の方法に従って各評価を行った。
〔高温高湿耐性の評価〕
上記作製した各光学素子を図1に記載の光ピックアップ装置の対物レンズとして組み入れ、85℃、85%RHの環境下で、各光学素子上に光源2のレーザーダイオードから405nmの波長の光を直径1mmの円形スポット光として500時間に亘り連続照射した。500時間照射後に、そのレーザ照射箇所を目視観察し、下記基準に従って、球面収差変動を評価した。
◎:連続照射後、変動が見られない
○:連続照射後、変動が±0.001の範囲内にあり、実用上許容の範囲にある
×:連続照射後、変動が±0.001の範囲外にあり、実用上問題がある
〔環境変動耐性の評価〕
上記作製した各光学素子を、−10℃から85℃までの昇降温を300回(1サイクル60min)繰り返した後、処理後の各光学素子を図1に記載の光ピックアップ装置の対物レンズとして組み入れ、60℃、90%RHの環境下で、各光学素子上に光源2のレーザーダイオードから405nmの波長の光を直径1mmの円形スポット光として100時間に亘り連続照射した。100時間照射後に、そのレーザ照射箇所を目視観察し、下記基準に従って、球面収差変動を評価した。
◎:連続照射後、変動が見られない
○:連続照射後、変動が±0.001の範囲内にあり、実用上許容の範囲にある
×:連続照射後、変動が±0.001の範囲外にあり、実用上問題がある
以上により得られた結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかな様に、表面の光路以外の領域の少なくとも一部に、表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する膜よりも展性が大きいガスバリア性を有する金属膜を有する本発明の光学素子は、比較例に対し、優れた高温高湿耐性を有すると共に、急激な温度変化に曝されても、ガスバリア性能の劣化が少ないことが分かる。
更に、本発明で作製したプラスチック製の光学素子上に、真空蒸着法により反射防止膜を形成したものを対物レンズとして、図1に記載の各光ピックアップ装置を用いて、レーザーダイオードによる405nmの波長の光を用いて、次世代DVDへの記録及び再生を行った。
この結果でも、本発明のプラスチック製光学素子は、長時間連続照射しても、実用上許容できるピックアップ特性を示し、黄変や白濁も見られなかった。また、本発明のプラスチック製光学素子は、長時間の使用においても、埃等による汚れはほとんど見られなかった。

Claims (9)

  1. 表面全面にガスバリア性を有する膜を設けたプラスチック製光学素子において、表面の光路以外の領域Bの少なくとも一部が、表面の光路領域Aに設けたガスバリア性を有する第1の膜よりも展性が大きいガスバリア性を有する第2の膜を有することを特徴とするプラスチック製光学素子。
  2. 前記第2の膜が、金属膜であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製光学素子。
  3. 前記金属膜が、アルミニウムを主成分とする膜であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
  4. 前記金属膜が、真空蒸着で形成されたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラスチック製光学素子。
  5. 前記第1の膜が、酸化珪素を主成分とする膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
  6. 前記酸化珪素を主成分とする膜が、炭素を1乃至40原子数%含有する第一酸化珪素膜、炭素を1原子数%未満含有する第二酸化珪素膜、及び炭素を1乃至40原子数%含有する第三酸化珪素膜から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
  7. 前記酸化珪素を主成分とする膜が、大気圧プラズマCVD法で形成されたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプラスチック製光学素子。
  8. 波長480nm以下のレーザに使用するレンズであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
  9. 表面全面にガスバリア性を備えた膜を有する請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子を製造するプラスチック製光学素子の製造方法であって、該プラスチック製光学素子の表面の光路領域を、大気圧プラズマCVDで形成した透明な酸化金属を主成分とする膜でコーティングする工程と、プラスチック製光学素子の表面の光路以外の領域の少なくとも一部を、真空蒸着で形成した金属膜でコーティングする工程とを有することを特徴とするプラスチック製光学素子の製造方法。
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