JP3987169B2 - 光学薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、反射防止膜等の光学薄膜の製造方法に関し、さらに詳しくは、基板上に無機フッ化物を成膜する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機フッ化物の光学薄膜は、広い波長域にわたり光吸収が少なく、また、膜の屈折率が低いため単層でも十分な反射防止効果を得ることができ、光学薄膜として極めて有用である。
【0003】
従来、基板上に無機フッ化物の光学薄膜を形成するには、基板を300℃近くの温度まで加熱するとともに、無機フッ化物からなる膜原料を抵抗加熱や電子銃を用いて蒸発させ、この蒸発粒子を上記基板に蒸着する真空蒸着法が多く用いられてきた。基板加熱を行うことにより、膜の硬度や密着性を向上させている。しかし、この方法では、成膜する基板を300℃近くの温度まで加熱するため、耐熱性の低いプラスチック部品や、熱変形により性能劣化が生じる高精度ガラス部品を基板とすることは不可能である。
【0004】
このような問題を解決する手法として、例えば特開平6−102401号公報には、基板は無加熱のまま、基板表面に電子線を照射しつつフッ化マグネシウムを蒸着する反射防止膜の形成方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平6−102401号公報に記載の方法では、基板に対して電子線を照射するための電子銃を別途設ける必要があり、装置が複雑となる。また、基板加熱して行う従来の蒸着法に比べ、膜の硬度が低いという問題点を有していた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、基板加熱することなく、基板加熱を行って成膜した膜と同等の膜硬度等の特性を有する光学薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、無機フッ化物からなる膜原料を抵抗加熱により蒸発させて蒸発粒子を形成し、この蒸発粒子を、水素又はヘリウムの少なくとも一方を含む、酸素、窒素、又は水素の中から選ばれた1種以上のガスからなるプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする。
【0011】
この発明において、膜原料を抵抗加熱により蒸発させる理由は、電子銃により蒸発させるよりも、加熱された膜原料からの輻射熱が小さく、基板の温度上昇を抑えることが可能となるためである。これは、耐熱性の低い基板に成膜するときに特に有効である。
【0012】
また、プラズマ中に水素又はヘリウムの少なくとも一方を含ませる理由は、蒸発粒子の活性をさらに高めるためである。つまり請求項1に記載の発明のように電子銃により蒸発させた蒸発粒子に比べ、抵抗加熱により蒸発させた蒸発粒子は活性が低い。それを補うために、プラズマ中に水素又はヘリウムの少なくとも一方を含ませている。なお、プラズマ領域中を通過させる理由、および酸素、窒素、又は水素の中から選ばれた1種以上のガスを用いてプラズマを形成する理由は、請求項1に記載の発明と同じである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、無機フッ化物からなる膜原料を加熱して高圧になった蒸発粒子を孔から噴出させ、断熱膨張によりクラスター状になるように蒸発粒子を形成し、この蒸発粒子を、酸素、窒素、又は水素の中から選ばれた1種以上のガスを主成分とするプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする。
【0016】
この発明において、膜原料をクラスター状にするためには、小さいルツボの中で膜原料を蒸発させ、ルツボ内部を比較的高い圧力にして小さい孔から吹き出させることで可能となる。このクラスター状の蒸発粒子は、103個程度の原子団であり、従来の方法で形成した蒸発粒子よりもプラズマにさらされる表面積が小さく、それだけプラズマ中で金属とフッ素に解離しにくい。したがって、Ar等の不活性ガスが少量であればプラズマ中に存在していても良い。但し、この量は経験的には全圧の20%程度以下であり、やはり酸素、窒素、水素の中から選ばれた1種以上のガスからなるプラズマの方が好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明に関連した参考例及び本 発明の具体的な実施の形態を説明する。
(参考例1)図1には、本発明に関連した参考例1における成膜装置を示す。
【0018】
この成膜装置は、内部を減圧状態に維持可能な真空槽としての真空チャンバー1と、基板2を保持するために、上記真空チャンバー1の内部上面に設けた基板ホルダー3と、膜原料4を収納するために、真空チャンバー1内の下部に上記基板ホルダー3と対峙する状態に配置した蒸発源であるモリブデンボートのハース5と、上記膜原料4を加熱して蒸発させるための電子銃6と、上記基板2とハース5との間にプラズマ領域を形成するために、上記真空チャンバー1の内部中央に設けた高周波コイル7と、上記真空チャンバー1内に所望のガスを導入するためのガス導入口8とを有する。上記高周波コイル7は、プラズマ発生手段に該当する。
【0019】
次に、上記基板2としてはポリカーボネート製のレンズを、上記膜原料4としては無機フッ化物のうちMgF2を、上記ガスとしては酸素ガスをそれぞれ用いて、レンズ上にMgF2の光学薄膜を成膜する方法について説明する。
【0020】
基板ホルダー3に基板2であるレンズを取り付け、不図示の真空ポンプにより真空チャンバー1内部の排気を開始する。真空チャンバー1内の圧力が1×10-3Paに達したら、ガス導入口8から酸素ガスを真空チャンバー1内に導入し、内部圧力を6×10-2Paに設定する。
【0021】
その後、高周波コイル7に対して、不図示の高周波電源から13.56MHzの高周波を印加することにより高周波コイル7の内部にプラズマを発生させ、基板2と蒸発源であるハース5との間に酸素のプラズマ領域を形成する。この状態で、ハース5にあらかじめセットされていた膜原料4であるMgF2を電子銃6で加熱して蒸発させ、蒸発粒子を形成した。そして蒸発粒子を、上記プラズマ領域中を通過させて、基板2の表面に光学膜厚で130nmになるまで成膜を行った。
【0022】
成膜した基板表面の反射率は波長520nmに対し1%程度であった。また、成膜した基板2に対して各種耐久試験を行った。耐久試験としては、セロハンテープを成膜基板に密着させ、テープを基板2の表面から垂直に一気に剥がし、膜の剥離状態を確認するテープ剥離試験、40℃、相対湿度90%の雰囲気に30時間放置する高温高湿試験、成膜した基板2上に径1/8インチのアルミナ・ボール圧子を25gの加圧力で20回往復運動させ、傷の有無を確認する擦傷性試験を採用した。
【0023】
上記テープ剥離試験による膜密着性、高温高湿試験の膜密着性、擦傷性試験による膜硬度評価を行ったが、各試験結果は、ガラス基板を加熱して真空蒸着法により成膜されたものと同等であった。また膜の光吸収に関しても可視域で0.3%以下であり、まったく問題のないレベルであった。
【0024】
なお、酸素に代えて、窒素または水素を用いても、これらの混合ガスを用いても、同様の結果が得られた。また、MgF2に代えてAlF3、CaF2等の無機フッ化物を用いても同様の結果が得られた。
【0025】
(参考例2)上記参考例1と同様の方法で、基板2であるアモルファスポリオレフィン製のプリズムの表面に、低屈折率膜であるMgF2と高屈折率膜であるWO3とを組み合わせた5層構成の反射防止膜を形成した。この膜構成を表1に示す。
【0026】
基板2上に形成した反射防止膜は、波長450nmから650nmの間での平均反射率が0.2%以下であり、高性能な反射防止膜を形成することができた。また、上記参考例1と同様に、テープ剥離試験による膜密着性、高温高湿試験の膜密着性、擦傷性試験による膜硬度評価を行ったが、各試験結果は、基板加熱して真空蒸着法により成膜されたものと同等であった。また、膜の光吸収に関しても問題ないレベルであった。
【0027】
【表1】
【0028】
(実施の形態1)本実施の形態1で用いる成膜装置は、図1の電子銃6による膜原料4の加熱を抵抗加熱に変えたものである。基板2は、表示装置のカバー等に用いるPMMA製の板とした。
【0029】
成膜を行うには、基板ホルダー3に基板2であるPMMA製の板を取り付け、真空チャンバー1内の排気を行う。その後、酸素と水素の混合ガス(圧力比9:1)をガス導入口8から真空チャンバー1内に導入し、内部圧力を3×10-2Paに設定する。
【0030】
その後、高周波コイル7により蒸発源であるハース5と基板2との間に混合ガスのプラズマ領域を形成する。この状態で、ハース5であるモリブデンボートに予めセットされていた膜原料のMgF2を加熱して蒸発させ、蒸発粒子を形成した。そして蒸発粒子を、上記プラズマ領域中を通過させて、基板2上に光学膜厚で130nmになるまで成膜を行った。
【0031】
成膜した基板表面の反射率は波長520nmに対し1.2%程度であった。また、成膜した基板2に対する耐久試験を上記参考例1と同様に行ったが、各試験とも良好な結果であった。膜の光吸収に関しても可視域で0.3%以下であり、まったく問題のないレベルであった。
【0032】
なお、酸素と水素の混合ガスに代えて、酸素とヘリウム、窒素と水素、窒素とヘリウム、水素とヘリウム、酸素と窒素と水素、酸素と窒素とヘリウム、酸素と水素とヘリウム、窒素と水素とヘリウム、酸素と窒素と水素とヘリウムの各混合ガス、又は単独の水素ガスを用いても、いずれも同様の結果が得られた。酸素と窒素を共に用いる場合には、市販の乾燥空気を使用すると、入手性が容易でかつ低コストであるため、実用上有益である。また、MgF2に代えてAlF3、CaF2等の無機フッ化物を用いても同様の結果が得られた。
【0033】
本実施の形態1によれば、抵抗加熱法を用いて膜原料を蒸発させるので、輻射熱によって基板が加熱されるのを低減でき、樹脂の中でも特に耐熱性の低いPMMA上に耐久性の高い膜を形成することが出来た。また、本手法を用いれば、熱変形のしやすいフィルム状の樹脂基板にも耐久性の高いMgF2膜を形成することが可能である。
【0034】
さらに、同様の手法で、低屈折率膜であるMgF2と高屈折率膜であるTiO2とを組み合わせた5層構成の反射防止膜を形成した場合には、波長450nmから650nmの間での平均反射率が0.6%以下の膜が得られ、より高性能な反射防止膜を形成することができた。
【0035】
(参考例3)図2には、本発明に関連する参考例3における成膜装置を示す。この成膜装置は、内部を減圧状態に維持可能な真空チャンバー11と、基板12を保持するために、上記真空チャンバー11の内部上面に設けた基板ホルダー13と、膜原料14を収納するために、真空チャンバー11内の下部に上記基板ホルダー13と対峙する状態に配置した蒸発源であるルツボ15と、上記膜原料14を加熱して蒸発させるためのプラズマを発生させるため、真空チャンバー11の壁面の中間部に配置したプラズマ銃16と、このプラズマ銃16により発生させたプラズマを上記膜原料14に導くための収束コイル17と、上記真空チャンバー11内に所望のガスを導入するためのガス導入口18とを有する。上記プラズマ銃16は、プラズマ発生手段に該当する。
【0036】
このプラズマ銃16は、内部に高周波コイルを有し、この高周波コイルにより、その内部に導入したガスに対して放電を起こして、電子、イオン、ラジカル等が混在したプラズマを発生させるものである。
【0037】
次に、上記基板12としてBK7の光学ガラスを、上記膜原料14として無機フッ化物のうちMgF2を、上記ガスとして酸素ガスをそれぞれ用いて、ガラス上にMgF2の光学薄膜を成膜する方法について説明する。
【0038】
基板ホルダー13に基板12であるガラスを取り付け、不図示の真空ポンプにより真空チャンバー11内部の排気を開始する。真空チャンバー11内の圧力が7×10-4Paに達したら、ガス導入口18から酸素ガスを真空チャンバー11内に導入し、内部圧力を7×10-2Paに設定する。
【0039】
その後、プラズマ銃16に酸素ガスを導入しながら発生させたプラズマを、収束コイル17の作用により偏向させてルツボ15の上方にプラズマ領域を形成するとともに、そのプラズマをルツボ15内の膜原料14に導く。このプラズマの熱により膜原料14を加熱して蒸発させ、蒸発粒子を形成した。そして蒸発粒子を、上記プラズマ領域中を通過させて、基板12の表面に光学膜厚で130nmになるまで成膜を行った。
【0040】
成膜した基板表面の反射率は波長520nmに対し1.2%程度であった。また、成膜した基板12に対する耐久試験を上記実施の形態1と同様に行ったが、各試験とも良好な結果であった。膜の光吸収に関しても可視域で0.1%以下であり、まったく問題のないレベルであった。
【0041】
なお、酸素に代えて窒素、または水素を用いても、これらの混合ガスを用いても、同様の結果が得られた。また、MgF2に代えてAlF3、CaF2等の無機フッ化物を用いても同様の結果が得られた。
【0042】
上記参考例3によれば、プラズマ銃16により発生させたプラズマにより膜原料14を加熱するので、電子銃や抵抗加熱等の膜原料加熱手段が不要であるという利点がある。また、蒸発粒子は蒸発してすぐにプラズマ領域19を通過することになるので、最も温度の高い状態でプラズマにさらされることになるが、この温度の高い状態が最もMgとFとに解離しにくいことから、光吸収を低減するという観点からしても、本実施の形態の手法は有効である。
【0043】
(実施の形態2)図3には、本発明の実施の形態2における成膜装置を示す。この成膜装置は、内部を減圧状態に維持可能な真空チャンバー21と、基板22を保持するために、上記真空チャンバー21の内部上面に設けた基板ホルダー23と、膜原料24を収納するために、真空チャンバー21内の下部に上記基板ホルダー23と対峙する状態に配置した蒸発源であるルツボ25と、このルツボ25を介して上記膜原料24を加熱する高周波コイル26と、真空チャンバー21の壁面の中間部位置に対向配置した収束コイル27を有するプラズマ銃28及び対向電極29と、上記真空チャンバー21内に所望のガスを導入するためのガス導入口30とを有する。上記プラズマ銃28及び対向電極29は、プラズマ発生手段に該当する。また、上記基板22と真空チャンバー21とは電気的に絶縁されている。
【0044】
上記ルツボ25の上部には、加熱された膜原料24によってルツボ25の内部圧力が高くなるように、また蒸発粒子を吹き出させるための小さな孔31が開いている。
【0045】
次に、上記基板22としてSF系の光学ガラスからなるレンズを、上記膜原料24として無機フッ化物のうちMgF2を、上記ガスとして酸素とアルゴンの混合ガスをそれぞれ用いて、レンズ上にMgF2の光学薄膜を成膜する方法について説明する。
【0046】
基板ホルダー23に基板22であるレンズを取り付け、不図示の真空ポンプにより真空チャンバー21内部の排気を開始する。真空チャンバー21内の圧力が7×10-4Paに達したら、ガス導入口30から酸素とアルゴンの混合ガス(圧力比8:2)を真空チャンバー21内に導入し、内部圧力を4×10-2Paに設定する。
【0047】
その後、プラズマ銃28に酸素ガスを導入しながらプラズマを発生させ、このプラズマを、高電圧を印加している対向電極29に向けて放射し、基板22と膜原料24を収納しているルツボ25との間にプラズマ領域32を形成する。この状態で、高周波コイル26に高周波を印加することによりルツボ25を介して膜原料24であるMgF2を加熱し、断熱膨張によりクラスター状になるように蒸発させて蒸発粒子を形成し、この蒸発粒子を孔31から吹き出させる。
【0048】
そして、孔31から吹き出したクラスター状の蒸発粒子により、基板22の表面に光学膜厚で130nmになるまで成膜を行った。成膜した基板表面の反射率は波長520nmに対し1.2%程度であった。また、成膜した基板22に対する耐久試験を上記参考例1と同様に行ったが、各試験とも良好な結果であった。膜の光吸収に関しても可視域で0.3%以下であり、まったく問題のないレベルであった。
【0049】
なお、導入するガスは酸素のみでも、また酸素に代えて窒素や水素を用いても、それらの混合ガスを用いても、同様の結果が得られた。また、MgF2に代えてAlF3、CaF2等でも同様の結果が得られた。
【0050】
このような形態により実施される本発明は、その他にも本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
MgF2等の無機フッ化物の場合、得られる膜の屈折率は一般に低く、この薄膜は単層でも十分な反射防止効果を有し、レンズやプリズム、光ファイバー、眼鏡、サングラス、ゴーグル等の光学部品、機器類、ブラウン管、液晶等の表示素子、各種窓材、スクリーン等への反射防止膜として使用できるものである。また、高屈折率膜と組み合わせた多層構成にすることで、より高性能な反射防止膜、ハーフミラー、エッジフィルター等の光学薄膜を形成することができる。
【0051】
なお、基板を必ずしも加熱する必要がないことから、本技術を適用できる材質についてはなんら制限はない。光学ガラスや窓ガラス等のガラス類、PMMAやポリカーボネート、ポリオレフィン等の各種樹脂類、その他金属、セラミックス等どのようなものにも適用できる。基板の形状についても、板状、フィルム状、球状など特に制限はない。
【0052】
さらに、本発明の製造方法は、基板の材質が耐熱性のものであれば、基板加熱した状態で行うことも可能である。
以上、本発明の実施形態に基づいて説明したが本明細書中には以下の発明が含まれる。すなわち、
(1) 真空槽中で無機フッ化物からなる膜原料を電子銃により蒸発させるとともに、この蒸発粒子を、プラズマ発生手段により蒸発源と成膜基板との間に形成された、酸素・窒素・水素の中から選ばれた1種以上のガスからなるプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
(2) 真空槽中で無機フッ化物からなる膜原料を抵抗加熱により蒸発させるとともに、この蒸発粒子を、プラズマ発生手段により蒸発源と成膜基板との間に形成された、酸素及び/または窒素と、水素またはヘリウムからなるプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
(3) 真空槽中で無機フッ化物からなる膜原料をプラズマ発生手段により発生させた酸素・窒素・水素の中から選ばれた1種以上のガスからなるプラズマにより加熱し蒸発させ、この蒸発粒子を、基板上に成膜することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
(4) 真空槽中で無機フッ化物からなる膜原料をクラスター状になるように蒸発させ、この蒸発粒子を、プラズマ発生手段により発生された酸素・窒素・水素の中から選ばれた1種以上のガスを主成分とするプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
(5) 無機フッ化物からなる膜原料を蒸発させて蒸発粒子を形成し、この蒸発粒子を、窒素、又は水素の中から選ばれた1種以上のガスからなるプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする薄膜の製造方法。
(6) 上記無機フッ化物は、フッ化マグネシウムである上記(1)〜(5)の薄膜の製造方法。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、基板加熱することなく、基板加熱を行って成膜した膜と同等の膜硬度、耐久性、光吸収等の特性を有する光学薄膜が得られる。また、基板加熱を行わないので、基板材料に制限がなく、従来無機フッ化物の成膜が困難とされていたプラスチック部品や高精度ガラス部品への成膜が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る成膜装置を示す。
【図2】 参考例3に係る成膜装置を示す。
【図3】 本発明の実施の形態2に係る成膜装置を示す。
【符号の説明】
1 真空チャンバー
2 基板
3 基板ホルダー
4 膜原料
6 電子銃
7 高周波コイル
Claims (2)
- 無機フッ化物からなる膜原料を抵抗加熱により蒸発させて蒸発粒子を形成し、この蒸発粒子を、水素又はヘリウムの少なくとも一方を含む、酸素、窒素、又は水素の中から選ばれた1種以上のガスからなるプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
- 無機フッ化物からなる膜原料を加熱して高圧になった蒸発粒子を孔から噴出させ、断熱膨張によりクラスター状になるように蒸発粒子を形成し、この蒸発粒子を、酸素、窒素、又は水素の中から選ばれた1種以上のガスを主成分とするプラズマ領域中を通過させて、基板上に成膜することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
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