JPH0720304A - 薄膜の形成方法 - Google Patents
薄膜の形成方法Info
- Publication number
- JPH0720304A JPH0720304A JP5163403A JP16340393A JPH0720304A JP H0720304 A JPH0720304 A JP H0720304A JP 5163403 A JP5163403 A JP 5163403A JP 16340393 A JP16340393 A JP 16340393A JP H0720304 A JPH0720304 A JP H0720304A
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- Japan
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- thin film
- forming
- film
- fluoride
- electron beam
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- Pending
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 例えば光学部品などに使用される反射防止膜
の形成方法に関するもので、赤外用反射防止膜の形成方
法の中で、内部応力を緩和しクラック発生の防止効果を
持つことを提供することを目的とする。 【構成】 基板ホルダ3に保持された基板表面上に、蒸
発源2より、酸化物誘電体、または弗化物誘電体の蒸気
を供給して蒸着膜を任意の厚さに蒸着、形成する際、同
時に、基板表面に電子銃4から電子線を照射するか、ま
たは薄膜形成後に電子線照射を行う。
の形成方法に関するもので、赤外用反射防止膜の形成方
法の中で、内部応力を緩和しクラック発生の防止効果を
持つことを提供することを目的とする。 【構成】 基板ホルダ3に保持された基板表面上に、蒸
発源2より、酸化物誘電体、または弗化物誘電体の蒸気
を供給して蒸着膜を任意の厚さに蒸着、形成する際、同
時に、基板表面に電子銃4から電子線を照射するか、ま
たは薄膜形成後に電子線照射を行う。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜の形成方法に関
し、例えば光学部品の反射防止膜等の形成に用いて有用
なものである。
し、例えば光学部品の反射防止膜等の形成に用いて有用
なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、レンズなどの光学材料には無機硝
子やプラスチックなどが光学部品として用いられてい
る。しかしながら、これらの光学部品のほとんどが表面
での光の反射が大きいという欠点があり、この欠点を解
消するために反射防止膜を形成し、表面の反射を防ぐこ
とは一般技術として知られている。
子やプラスチックなどが光学部品として用いられてい
る。しかしながら、これらの光学部品のほとんどが表面
での光の反射が大きいという欠点があり、この欠点を解
消するために反射防止膜を形成し、表面の反射を防ぐこ
とは一般技術として知られている。
【0003】特にこれらに用いられる反射防止膜として
は酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)な
どの酸化物誘電体や、弗化バリウム(BaF2)、弗化
カルシウム(CaF2)などの弗化物誘電体、硫化亜鉛
(ZnS)などが知られており、これらの材料はそれぞ
れ可視及び赤外域において透明で屈折率が高く、また蒸
着も容易に行えることから特に有用に使用されている光
学材料である。
は酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)な
どの酸化物誘電体や、弗化バリウム(BaF2)、弗化
カルシウム(CaF2)などの弗化物誘電体、硫化亜鉛
(ZnS)などが知られており、これらの材料はそれぞ
れ可視及び赤外域において透明で屈折率が高く、また蒸
着も容易に行えることから特に有用に使用されている光
学材料である。
【0004】このうち、Si基板に酸化チタン(TiO
2)の単層反射防止膜を例に用いて、以下図面を参照し
ながら従来の酸化チタン(TiO2)の反射防止膜とそ
の形成方法について説明する。
2)の単層反射防止膜を例に用いて、以下図面を参照し
ながら従来の酸化チタン(TiO2)の反射防止膜とそ
の形成方法について説明する。
【0005】図2は、Si基板6の表面に酸化チタン
(TiO2)の反射防止膜7をnd=λ0/4(nd:光
学的厚み、λ0:反射防止膜の中心波長)の厚みで形成
したときの断面図である。酸化チタン(TiO2)の反
射防止膜7は、例えば図3に示す蒸着装置を用いて通常
真空蒸着法によって形成される。つまり蒸発源2より供
給される蒸着蒸気によってホルダ3に保持された基板
(図示せず)表面上に薄膜を形成する。なお、5は基板
を加熱するためのヒ−タ−である。
(TiO2)の反射防止膜7をnd=λ0/4(nd:光
学的厚み、λ0:反射防止膜の中心波長)の厚みで形成
したときの断面図である。酸化チタン(TiO2)の反
射防止膜7は、例えば図3に示す蒸着装置を用いて通常
真空蒸着法によって形成される。つまり蒸発源2より供
給される蒸着蒸気によってホルダ3に保持された基板
(図示せず)表面上に薄膜を形成する。なお、5は基板
を加熱するためのヒ−タ−である。
【0006】一方、特に硫化亜鉛(ZnS)などでは基
板側の温度が室温程度であると、蒸着したZnS膜は付
着が弱く傷つき易い。しかし基板を約150℃に加熱
し、さらに蒸着の直前に5分以内のグロー放電による処
理をおこなうと、付着が強く傷つきにくい膜が得られる
ことは一般技術としてよく知られている(たとえば「真
空蒸着」9−3−1 ZnS、沢木司著、日刊工業新聞
社)。
板側の温度が室温程度であると、蒸着したZnS膜は付
着が弱く傷つき易い。しかし基板を約150℃に加熱
し、さらに蒸着の直前に5分以内のグロー放電による処
理をおこなうと、付着が強く傷つきにくい膜が得られる
ことは一般技術としてよく知られている(たとえば「真
空蒸着」9−3−1 ZnS、沢木司著、日刊工業新聞
社)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化物
誘電体、弗化物誘電体、硫化亜鉛ともに蒸着により形成
した薄膜は内部応力が大きくなることが知られており、
上記の方法により反射防止膜を形成したとしても、遠赤
外線のような長い波長域に合わせて膜厚を厚くした場
合、形成後にきわめてクラックが生じ易くなるという欠
点がある。
誘電体、弗化物誘電体、硫化亜鉛ともに蒸着により形成
した薄膜は内部応力が大きくなることが知られており、
上記の方法により反射防止膜を形成したとしても、遠赤
外線のような長い波長域に合わせて膜厚を厚くした場
合、形成後にきわめてクラックが生じ易くなるという欠
点がある。
【0008】また薄膜の機械的強度や充填密度、付着力
の向上などのために基板を加熱する工程が伴う材料も多
品種あり、量産性に優れているとは言い難い。
の向上などのために基板を加熱する工程が伴う材料も多
品種あり、量産性に優れているとは言い難い。
【0009】このため最近ではイオン源で生成した不活
性ガスイオンを数百〜数kVに加速し、形成されつつあ
る被膜に照射すること(以下イオンビームアシストと記
す)により被膜の内部応力の緩和を行い、また同時に充
填密度の増大、付着力の改善など、従来の手法では得ら
れない諸性質を得る方法も提案されている。
性ガスイオンを数百〜数kVに加速し、形成されつつあ
る被膜に照射すること(以下イオンビームアシストと記
す)により被膜の内部応力の緩和を行い、また同時に充
填密度の増大、付着力の改善など、従来の手法では得ら
れない諸性質を得る方法も提案されている。
【0010】しかしこの方法でも、弗化物誘電体では弗
素が解離してしまったり、特にZnS膜に関してはむし
ろ結晶性が良くなりすぎクラックを発生させたりしてい
る。
素が解離してしまったり、特にZnS膜に関してはむし
ろ結晶性が良くなりすぎクラックを発生させたりしてい
る。
【0011】そこで本発明は上記問題点に鑑み、クラッ
クを発生することなく、安定した薄膜の形成方法を提供
しようとするものである。
クを発生することなく、安定した薄膜の形成方法を提供
しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明では、薄膜を真空蒸着により蒸着する際に、
その膜に電子線照射をおこないつつ薄膜を形成するも
の、または蒸着後に薄膜に電子線を照射し、薄膜の形成
を完了するものである。
めに本発明では、薄膜を真空蒸着により蒸着する際に、
その膜に電子線照射をおこないつつ薄膜を形成するも
の、または蒸着後に薄膜に電子線を照射し、薄膜の形成
を完了するものである。
【0013】
【作用】本発明は上記した構成の薄膜の形成方法によっ
て薄膜の耐クラック性、付着力、耐久性を向上させるこ
とが出来る。
て薄膜の耐クラック性、付着力、耐久性を向上させるこ
とが出来る。
【0014】
【実施例】以下本発明の実施例として、、酸化チタン
(TiO2)の薄膜を反射防止膜として形成する場合を
例にとり、図面を参照しながら説明する。
(TiO2)の薄膜を反射防止膜として形成する場合を
例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0015】反射防止膜の構造としては従来のものと何
ら変わりはないので、図2は本発明の実施例の断面図で
もある。本実施例では基板はSiである。図2におい
て、6はSi基板であり、7は酸化チタン(TiO2)
膜である。
ら変わりはないので、図2は本発明の実施例の断面図で
もある。本実施例では基板はSiである。図2におい
て、6はSi基板であり、7は酸化チタン(TiO2)
膜である。
【0016】図1で反射防止膜の形成時の様子を示す。
酸化チタン(TiO2)膜の形成条件は次の通りであ
る。真空蒸着槽1の内部を2.0×10-5Torrまで
排気した後、基板ホルダ3に取り付けた無加熱の基板に
対し電子銃4からの電子線を照射しつつ、蒸発源2より
蒸発してくるTiO2を光学的膜厚nd=λ0/4(λ0
=10μm)になるよう蒸着速度約30〜50Å/se
cで基板上に形成した。
酸化チタン(TiO2)膜の形成条件は次の通りであ
る。真空蒸着槽1の内部を2.0×10-5Torrまで
排気した後、基板ホルダ3に取り付けた無加熱の基板に
対し電子銃4からの電子線を照射しつつ、蒸発源2より
蒸発してくるTiO2を光学的膜厚nd=λ0/4(λ0
=10μm)になるよう蒸着速度約30〜50Å/se
cで基板上に形成した。
【0017】形成中のTiO2に電子線を照射すること
により、イオンビームアシストと同様、内部応力の緩和
が行われクラックの発生を抑え、密着力を向上させる効
果がある。
により、イオンビームアシストと同様、内部応力の緩和
が行われクラックの発生を抑え、密着力を向上させる効
果がある。
【0018】上記実施例の反射防止膜の密着性、耐久性
を確認するために行った試験は、 (a)粘着テープ剥離試験 温度40℃、相対湿度85%の高温・高湿雰囲気中に1
000時間放置した後、粘着テープを光学部品表面に密
着し、引きはがす (b)耐湿試験 温度40℃、相対湿度95%の高温・高湿雰囲気中に1
000時間放置 (c)熱衝撃試験 温度−40℃、120℃の低温・高温雰囲気中に交互に
30分間ずつ放置を約100時間である。
を確認するために行った試験は、 (a)粘着テープ剥離試験 温度40℃、相対湿度85%の高温・高湿雰囲気中に1
000時間放置した後、粘着テープを光学部品表面に密
着し、引きはがす (b)耐湿試験 温度40℃、相対湿度95%の高温・高湿雰囲気中に1
000時間放置 (c)熱衝撃試験 温度−40℃、120℃の低温・高温雰囲気中に交互に
30分間ずつ放置を約100時間である。
【0019】これらの剥離試験及び耐湿試験結果を(表
1)に示す。
1)に示す。
【0020】
【表1】
【0021】(表1)から分かるように本実施例の反射
防止膜は、密着性、耐久性に優れている。
防止膜は、密着性、耐久性に優れている。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の光学部品の反射防止膜は、光学材料の表面に酸化チタ
ン(TiO2)からなる蒸着膜を真空蒸着により任意の
厚さに蒸着、形成する際、その膜に電子線照射をおこな
いつつ膜を形成することによりクラック発生の防止効果
を持ち、密着力、耐久性の向上を可能としている。
の光学部品の反射防止膜は、光学材料の表面に酸化チタ
ン(TiO2)からなる蒸着膜を真空蒸着により任意の
厚さに蒸着、形成する際、その膜に電子線照射をおこな
いつつ膜を形成することによりクラック発生の防止効果
を持ち、密着力、耐久性の向上を可能としている。
【図1】本発明の薄膜形成方法の一実施例を具現化した
薄膜形成装置の要部構成図
薄膜形成装置の要部構成図
【図2】同実施例方法で形成された反射防止膜の断面図
【図3】従来の薄膜形成装置の要部構成図
1 真空蒸着槽 2 蒸発源 3 基板ホルダ 4 電子銃 5 ヒータ 6 基板 7 酸化チタン(TiO2)膜
Claims (6)
- 【請求項1】酸化物誘電体からなる薄膜を形成するにあ
たり、基板となる表面に電子線照射を行いつつ酸化物誘
電体層を形成する薄膜の形成方法。 - 【請求項2】弗化物誘電体からなる薄膜を形成するにあ
たり、基板となる表面に電子線照射を行いつつ弗化物誘
電体を形成する薄膜の形成方法。 - 【請求項3】弗化物誘電体が弗化鉛(PbF2)、弗化
セリウム(CeF3)、弗化バリウム(BaF2)、弗化
カルシウム(CaF2)、弗化イットリウム(YF3)、
弗化ランタン(LaF3)、弗化ネオジム(NdF3)、
弗化アルミニウム(AlF3)の何れかである請求項2
記載の薄膜の形成方法。 - 【請求項4】酸化物誘電体からなる薄膜を形成するにあ
たり、薄膜を形成した後、薄膜の表面に電子線照射を行
う薄膜の形成方法。 - 【請求項5】弗化物誘電体からなる薄膜を形成するにあ
たり、薄膜を形成した後、薄膜の表面に電子線照射を行
う薄膜の形成方法。 - 【請求項6】硫化亜鉛(ZnS)からなる薄膜を形成す
るにあたり、薄膜を形成した後、薄膜の表面に電子線照
射を行う薄膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5163403A JPH0720304A (ja) | 1993-07-01 | 1993-07-01 | 薄膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5163403A JPH0720304A (ja) | 1993-07-01 | 1993-07-01 | 薄膜の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0720304A true JPH0720304A (ja) | 1995-01-24 |
Family
ID=15773236
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5163403A Pending JPH0720304A (ja) | 1993-07-01 | 1993-07-01 | 薄膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0720304A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002148407A (ja) * | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 赤外線レーザ用光学部品とその製造方法 |
-
1993
- 1993-07-01 JP JP5163403A patent/JPH0720304A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002148407A (ja) * | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 赤外線レーザ用光学部品とその製造方法 |
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