JP5622468B2 - レンズの製造方法及びレンズ - Google Patents
レンズの製造方法及びレンズ Download PDFInfo
- Publication number
- JP5622468B2 JP5622468B2 JP2010166795A JP2010166795A JP5622468B2 JP 5622468 B2 JP5622468 B2 JP 5622468B2 JP 2010166795 A JP2010166795 A JP 2010166795A JP 2010166795 A JP2010166795 A JP 2010166795A JP 5622468 B2 JP5622468 B2 JP 5622468B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- lens
- tio
- gas
- thin film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/10—Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
- G02B1/11—Anti-reflection coatings
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/0021—Reactive sputtering or evaporation
- C23C14/0036—Reactive sputtering
- C23C14/0057—Reactive sputtering using reactive gases other than O2, H2O, N2, NH3 or CH4
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/06—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
- C23C14/08—Oxides
- C23C14/083—Oxides of refractory metals or yttrium
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/10—Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
- G02B1/12—Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements by surface treatment, e.g. by irradiation
Description
また、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)は、ITOと比較して、酸やアルカリなどの薬品に対して安定している。したがって、帯電防止機能及び/又は電磁波遮断機能を備えており、しかも、酸やアルカリなどの薬品に対する耐久性が良好なレンズを提供できる。このレンズは、帯電防止と耐久性とが要求される身の回りのレンズ(素子、製品)、例えば、眼鏡のレンズ、カメラのレンズ、情報端末の表示装置、DVDなどの多種多様な物品に適用できる。
図1は、本実施形態に係る典型的なレンズの構造を、基材を中心とした一方の面の側より示す断面図である。レンズ2は、光学基材(レンズ基材)10と、レンズ基材10の表面に形成されたハードコート層12と、ハードコート層12の上に形成された透光性の反射防止層14と、反射防止層14の上に形成された防汚層16とを含む。なお、防汚層16は省略可能である。
(1.1)レンズ基材
レンズ基材10に使用される材料は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル樹脂をはじめとして、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)などのアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られるウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物との反応で得られるチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂などを挙げることができる。レンズ基材10の屈折率は、例えば、1.64〜1.75程度である。レンズ基材10の屈折率は、上記の範囲でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。
ハードコート層12は、耐擦傷性を向上(付与)するものである。ハードコート層12に使用される材料は、例えば、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、及びこれらの混合物若しくは共重合体などを挙げることができる。
ハードコート層12の上に形成される反射防止層14の典型的なものは、無機系の反射防止層である。無機系の反射防止層14は、典型的には多層膜で構成され、例えば、屈折率が1.3〜1.6である低屈折率層18と、屈折率1.8〜2.6である高屈折率層20とを交互に積層して形成することができる。層数の一例は、5層(典型的には、低屈折率層18が3層、高屈折率層20が2層)あるいは7層(典型的には、低屈折率層18が4層、高屈折率層20が3層)である。以下の実施例においては、反射防止層14に透光性薄膜22を加える。透光性薄膜22は反射防止層14の基本的な光学的性質に影響を与えるものではない。したがって、以下において透光性薄膜22を含む5層及び7層の反射防止層14を全体として6層あるいは8層と表現する場合もあるが、光学的な反射防止層14の構成は5層及び7層である。
反射防止層14の上に撥水膜、又は親水性の防曇膜(防汚層)16を形成することが多い。防汚層16は、眼鏡レンズ2の表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、反射防止層14の上に形成されるものであり、典型的なものとして、フッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる層を挙げることができる。フッ素を含有する有機ケイ素化合物(含フッ素シラン化合物)としては、例えば、含フッ素シラン化合物を好適に使用することができる。
TiO2 + CO+ → Ti−CO3 ・・・・(1)
TiO2 + CO+ → TiOX(0<X<2) + CO2 ・・・・(2)
これらの化学反応にて、TiO2膜の表面には、TiO(TiOX)とTi−CO3とが混在した状態になっていると推測できる。
ここで、TiOXは、酸素原子が分離あるいは離脱し、金属原子と酸素原子との化学量論比が所定の化合物としての比から外れた組成(非化学量論な組成)である。TiO2中にTiOXが存在すると、酸素欠損(欠陥)や格子欠陥が多数形成されている。
これらの欠損がキャリアとなって導電性が発現する(シート抵抗が低下する)と考えられる。
また、Ti−CO3は炭酸金属である。Ti−CO3が存在していると格子歪が発生しているために、局在準位が形成されたり、TiOXの酸素欠損の再結合が抑制されることも予想できる。このため、時間とともに導電性が低下するといったことがないか、あるいは少ない。
図2は、本実施形態に係るXPS用サンプルの構成を示す図である。図3は、本実施形態に係るXPSサンプルの作製条件を示す図である。図4は、本実施形態に係る炭酸ガスプラズマの成分を示すグラフである。図5は、本実施形態に係るXPSのC1sスペクトルを示すグラフである。図6は、本実施形態に係るXPSのO1sスペクトルを示すグラフである。図7は、本実施形態に係るXPSのTi2pスペクトルを示すグラフである。図8は、本実施形態に係るC1sスペクトルの波形分離を示すグラフである。先に、式(1)及び(2)を導き出した実験に関して記載する。先ず、図2に示すように、Siウエハー4上にTiO2層6を8nm堆積する。なお、条件の詳細は図3に示す。その後、炭酸ガスでイオンビームを生成し表面6aに照射する。炭酸ガスでプラズマを生成したときのガスの成分を四重極質量分析計(Q−MAS)で計測したものを図4に示す。CO2の大部分は、CO+、O+となり(CO2 +ではなく)、これらのイオンビームを照射していることになる。
図10は、本実施形態に係る反射防止層の構成を示す表である。本実施形態に係る眼鏡レンズ2は、図10に示すように、上記サンプルの製造工程を眼鏡レンズ2の反射防止層14に適応した。
(3.1.1)レンズ基材の選択及びハードコート層の成膜
レンズ基材10としては、屈折率1.67の眼鏡用のプラスチックレンズ基材(商品名:セイコースーパーソブリン(SSV)(セイコーエプソン(株)製))を用いた。
(3.1.2.1)蒸着装置
図11は、本実施形態に係る反射防止層の製造に用いる蒸着装置の一例を模式的に示す図である。図11に示す蒸着装置100により、ハードコート層12の上に無機系の反射防止層14を製造(成膜)した。
ハードコート層12が形成されたレンズサンプル2をアセトンにて洗浄し、真空容器102の内部にて約70℃の加熱処理を行い、レンズサンプル2に付着した水分を蒸発させた。次に、レンズサンプル2の表面にイオンクリーニングを実施した。具体的には、イオン銃118を用いて酸素イオンビームを数百eVのエネルギーでレンズサンプル2の表面に照射し、レンズサンプル2の表面に付着した有機物の除去を行った。この方法により、レンズサンプル2の表面に形成する層(膜、後述する第1層18)の付着力を強固なものとすることができる。なお、酸素イオンの代わりに不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)や、窒素(N2)を用いて同様の処理を行ってもよいし、酸素ラジカルや酸素プラズマを照射してもよい。
第1層及び第3層は低屈折率層18であり、イオンアシストは行わず、真空蒸着によりSiO2層を成膜した。成膜レートは2.0nm/secとし、材料加熱用の電子銃の加速電圧は7kV、電流は100mAとした。
第2層及び第4層は高屈折率層20であり、タブレット状のZrO2焼結体材料を電子ビームで加熱蒸着させZrO2層を成膜した。成膜レートは0.8nm/secとした。材料加熱用の電子銃の加速電圧は7kV、電流は200mAとした。
図12(A)〜(C)は、本実施形態に係る最上(最外)の高屈折率層20を第1の層とし、その表面にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層22の形成を模式的に示す図である。図12(A)〜(C)は、蒸着装置100においてTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)22を形成する様子を示しており、高屈折率層20と透光性薄膜22との上下関係は図1に示したレンズサンプル2とは逆転して示されている。したがって、これらの図は、レンズサンプル2上に、第1層18、第2層20、第3層18、第4層20を成膜した後、蒸着装置100を用い、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層、本実施例では、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層22を第5層(導電層)として成膜する様子を示している。すなわち、本実施例では、第4層20が第1の層、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(第5層)22が透光性薄膜(導電層)である。以下、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層を単にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層と記載する。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22の上に、第6層として、第1及び第3層と同様の条件で、SiO2層(低屈折率層18)を成膜した。成膜レートは2.0nm/secとし、電子銃の加速電圧は7kV、電流は100mAとした。
反射防止層14までが形成されたレンズサンプル2に酸素プラズマ処理を施し、その後、分子量の大きなフッ素含有有機ケイ素化合物を含む「KY−130」(商品名、信越化学工業(株)製)を含有させたペレット材料を蒸着源として防汚層16を成膜した。より具体的には、真空容器102内において、KY−130を約500℃で加熱して蒸発させて、反射防止層14の上に防汚層16を成膜した。蒸着時間は3分間程度とした。反射防止層14までが形成されたレンズサンプル2に酸素プラズマ処理を施こすことにより、最終のSiO2層(第6層)18の表面にシラノール基を生成することができる。このため、酸素プラズマ処理の後に防汚層16を形成することにより、反射防止層14と防汚層16との化学的密着性(化学結合)を高めることができる。
TiO2の膜厚を10nmとし、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
TiO2の膜厚を12nmとし、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
TiO2の膜厚を15nmとし、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
TiO2の膜厚を8nm、イオンビームの照射時間を60秒として、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
TiO2の膜厚を8nm、イオンビームの照射時間を90秒として、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
本比較例では、実施例1と同じレンズ基材10を用い、同じ条件(3.1.1)でハードコート層12を形成し、さらに、その上に反射防止層14と防汚層16とを形成し、サンプルR1を製造した。
サンプルR2として、実施例1と同じレンズ基材を用い、同じ条件(3.1.1)でハードコート層を形成し、さらに、その表面に反射防止層を形成し、サンプルR2を製造した。低屈折率層及び高屈折率層は、上記の3.1.2.2と同じ条件で成膜した。
なお、二酸化ケイ素(SiO2)からなる低屈折率層は波長550nmにおける屈折率nは1.462である。また、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる高屈折率層波長550nmにおける屈折率nは2.05、TiOX(0<X≦2)層の波長550nmにおける屈折率nは2.3〜2.4である。ITO層の波長550nmにおける屈折率nは2.1である。
図13は、本実施形態に係る実施例と比較例との評価結果を示す図である。
(3.10.1.1)シート抵抗
図14(A)及び(B)は、本実施形態に係る各サンプルのシート抵抗を測定する様子を示す図である。この例では、測定対象、例えば、レンズサンプル2の表面2aにリングプローブ24を接触させ、レンズサンプル2の表面2aのシート抵抗を測定した。測定装置26は、三菱化学(株)製高抵抗抵抗率計ハイレスタUP MCP−HT450型を使用した。使用したリングプローブ24は、URSタイプであり、2つの電極を有し、外側のリング電極24aは、外径18mm、内径10mmであり、内側の円形電極24bは、直径7mmである。それらの電極間に10〜1kVの電圧を印加し、各サンプルのシート抵抗を計測した。
光の吸収損失は、表面が湾曲していたりすると測定が難しい。このため、上記のサンプルS1〜S6と同一ロッドで平面のガラス基板上に形成したサンプルで評価した。
吸収率(吸収損失)=100%−透過率−反射率 ・・・・(3)
以下、吸収率は波長400nmから700nmの平均吸収率として記している。
各サンプルの表面に傷をつけ、その後、薬液浸漬を行い、反射防止層の剥がれの有無を観察して耐薬品性を評価した。
図15(A)は、本実施形態に係る耐薬品性試験の擦傷工程に使用される試験装置の外観を示す図である。図15(B)は、本実施形態に係る試験装置の内部構造を示す図である。図16は、本実施形態に係る耐薬品性試験の擦傷工程に使用する試験装置を回転させることを示す図である。
人の汗を模した薬液(純水に乳酸を50g/L、塩を100g/L溶解した溶液)を用意した。(1)の擦傷工程を経たレンズサンプル2を、50℃に保持した薬液に100時間浸漬した。
上記の工程を経た各サンプルを、従来のサンプルであるサンプルR2を基準に目視により評価した。判断基準は以下の通りである。
◎:基準のサンプルと比較し、傷がほとんど見えず、同等の透明性がある。
△:基準のサンプルに対して傷が見え、透明性が劣る。
×:基準のサンプルに対して層の剥離及び多数の傷が見え、透明性が著しく低下した。
(恒温恒湿度環境試験)
各サンプルを恒温恒湿度環境(60℃、98%RH)で8日間放置した。
図17は、本実施形態に係る耐湿性試験におけるむくみを判定する装置の概略を示す図である。図18(A)は、本実施形態に係るレンズ表面にむくみのない状態を模式的に示す図である。図18(B)は、本実施形態に係るレンズ表面にむくみのある状態を模式的に示す図である。
(3.10.2.1)シート抵抗の測定結果
図13に示すように、反射防止層14にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を含めたサンプルS1〜S6のシート抵抗の測定値は、それぞれ、2×109[Ω/□]、1×109[Ω/□]、1×109[Ω/□]、2×109[Ω/□]、1×109[Ω/□]、2×109[Ω/□]であった。
光の吸収損失については、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成することにより若干吸収損失が上昇する傾向がみられる。しかしながら、最大でも0.87%程度であり、眼鏡用のレンズとしての許容範囲である透光性を備えている。したがって、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成しても、透光性を確保でき、しかも帯電防止性能の優れた光学物品を提供できることがわかった。
耐薬品性については、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を備えたサンプルS1〜S6の評価はすべて◎であり、日常的に用いられる環境において優れた耐薬品性を有することがわかった。一方、ITO層を備えたサンプルR2の評価は×であった。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を備えたサンプルS1〜S6を含め、すべてのサンプルについてむくみの発生は観測されず、優れた耐湿性を示した。一方、ITO層を備えたサンプルR2の評価は「僅かに発生」であった。
以上の各測定結果及び評価より、反射防止層14の1つの層、本実施形態においては最外の高屈折率層20の表面にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設けたサンプルS1〜S6については、シート抵抗が大幅に低下し、その一方で、耐薬品性及び耐湿性の劣化はほとんどみられないことがわかった。したがって、TiO2を予め設け、その表面に第1の気体(炭酸ガス)をイオン化して照射する方法(第1の方法)により、反射防止層14にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設けることができ、表面の電気抵抗が小さく、帯電防止などの特性を持ち、さらに、耐久性の良い光学物品を提供できることがわかった。
TiOX(0<X≦2)蒸発源とし、炭酸ガスを第1の気体として蒸着の際のイオンアシストガスとして用い、高屈折率層20を第1の層として、その表面に透光性薄膜を形成する方法(第2の方法)により、低屈折率層18としてSiO2層、高屈折率層20としてZrO2層を採用した反射防止層14を備えたサンプルを製造した。
金属Tiあるいは酸化チタンのターゲットに炭酸ガスを第1の気体としてイオン化して照射し、高屈折率層20を第1の層として、その表面に透光性薄膜をスパッタリングにより形成する方法(第3の方法)により、低屈折率層18としてSiO2層、高屈折率層20としてZrO2層を採用した反射防止層14を備えたサンプルを製造した。
図21は、本実施形態に係る眼鏡の一例を示す図である。図22は、本実施形態に係るプロジェクターの一例の概要を示す図である。図23は、本実施形態に係るデジタルカメラの一例の概要を示す図である。図24は、本実施形態に係る記録媒体の一例の概要を示す図である。
Claims (13)
- 光学基材の上に、直に又は他の層を介して透光性の第1の層を形成すること、
前記第1の層の表面に、少なくともTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)である部分を有する透光性薄膜を物理的蒸着により形成すること、
を有し、
前記透光性薄膜を物理的蒸着により形成することは、炭素を含む第1の化合物群に含まれる少なくとも1種を含む第1の気体をイオン化し、TiOX(0<X≦2)に照射することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。 - 請求項1に記載のレンズの製造方法において、
前記第1の気体をイオン化することは、TiO2膜に対して前記第1の気体をイオン化して照射することにより、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。 - 請求項1に記載のレンズの製造方法において、
前記第1の気体をイオン化することは、TiOX(0<X≦2)を蒸着源とし、前記第1の気体をイオンアシストガスとして用い、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。 - 請求項1に記載のレンズの製造方法において、
前記第1の気体をイオン化することは、Tiを含むターゲットに前記第1の気体をイオン化して照射し、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズの製造方法において、
前記第1の気体は、二酸化炭素であることを特徴とするレンズの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズの製造方法において、
前記レンズは、多層構造の反射防止層を有するものであり、
前記第1の層は、前記多層構造の反射防止層に含まれる1つの層であることを特徴とするレンズの製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンズの製造方法において、
前記透光性薄膜の上に、直に又は他の層を介して防汚層を形成することをさらに有することを特徴とするレンズの製造方法。 - 光学基材と、
前記光学基材の上に、直に又は他の層を介して形成された透光性の第1の層と、
前記第1の層の表面に形成された、少なくともTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)である部分を有する透光性薄膜と、
を含むことを特徴とするレンズ。 - 前記透光性薄膜を有する表面において測定されるシート抵抗が、2×10 9 Ω/□以下である請求項8に記載のレンズ。
- 請求項8又は9に記載のレンズにおいて、
前記透光性薄膜は、少なくともTiOXである部分をさらに有することを特徴とするレンズ。 - 請求項8〜10のいずれか一項に記載のレンズにおいて、
前記第1の層を含む多層構造の反射防止層を有することを特徴とするレンズ。 - 請求項11に記載のレンズにおいて、
前記反射防止層の上に、直に又は他の層を介して形成された防汚層をさらに有することを特徴とするレンズ。 - 請求項8〜12のいずれか一項に記載のレンズにおいて、
前記光学基材は、プラスチックレンズ基材であることを特徴とするレンズ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010166795A JP5622468B2 (ja) | 2010-07-26 | 2010-07-26 | レンズの製造方法及びレンズ |
US13/187,386 US20120019913A1 (en) | 2010-07-26 | 2011-07-20 | Lens Manufacturing Method and Lens |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010166795A JP5622468B2 (ja) | 2010-07-26 | 2010-07-26 | レンズの製造方法及びレンズ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012027300A JP2012027300A (ja) | 2012-02-09 |
JP5622468B2 true JP5622468B2 (ja) | 2014-11-12 |
Family
ID=45493402
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010166795A Expired - Fee Related JP5622468B2 (ja) | 2010-07-26 | 2010-07-26 | レンズの製造方法及びレンズ |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20120019913A1 (ja) |
JP (1) | JP5622468B2 (ja) |
Families Citing this family (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011013654A (ja) * | 2008-10-23 | 2011-01-20 | Seiko Epson Corp | 多層反射防止層およびその製造方法、プラスチックレンズ |
JP2010231171A (ja) * | 2009-03-04 | 2010-10-14 | Seiko Epson Corp | 光学物品およびその製造方法 |
JP5588135B2 (ja) * | 2009-08-10 | 2014-09-10 | ホーヤ レンズ マニュファクチャリング フィリピン インク | 光学物品の製造方法 |
JP5523066B2 (ja) * | 2009-11-17 | 2014-06-18 | ホーヤ レンズ マニュファクチャリング フィリピン インク | 光学物品の製造方法 |
JP2012032690A (ja) | 2010-08-02 | 2012-02-16 | Seiko Epson Corp | 光学物品およびその製造方法 |
JP6253009B2 (ja) * | 2013-08-28 | 2017-12-27 | 東海光学株式会社 | 光学製品及び眼鏡レンズ |
CN104199129B (zh) * | 2014-08-29 | 2016-04-20 | 南阳格瑞光电科技股份有限公司 | 一种防水防污光学透镜及其加工工艺 |
CN105977357B (zh) * | 2016-05-17 | 2019-05-24 | 西安交通大学 | 一种绝缘介质薄膜固态发光器件发光增强方法 |
EP3705293B1 (en) | 2017-09-29 | 2023-11-29 | NIKE Innovate C.V. | Structurally-colored articles and methods for making and using structurally-colored articles |
US10816858B2 (en) * | 2018-10-29 | 2020-10-27 | Liqxtal Technology Inc. | Electrically tunable phase modulation element |
JP2020106751A (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-09 | ホヤ レンズ タイランド リミテッドHOYA Lens Thailand Ltd | 眼鏡レンズ |
US20200305527A1 (en) * | 2019-03-27 | 2020-10-01 | Nike, Inc. | Structurally-Colored Articles and Methods for Making and Using Structurally-Colored Articles |
US11597996B2 (en) | 2019-06-26 | 2023-03-07 | Nike, Inc. | Structurally-colored articles and methods for making and using structurally-colored articles |
CN114206149A (zh) | 2019-07-26 | 2022-03-18 | 耐克创新有限合伙公司 | 结构着色的物品以及用于制造和使用结构着色的物品的方法 |
US11889894B2 (en) | 2020-08-07 | 2024-02-06 | Nike, Inc. | Footwear article having concealing layer |
CN112458400B (zh) * | 2020-11-25 | 2023-01-03 | 湖北久之洋红外系统股份有限公司 | 一种抗砂尘防潮防霉窗口复合增透膜的制备方法 |
US20220316045A1 (en) * | 2021-03-31 | 2022-10-06 | Kla Corporation | System and method for ion-assisted deposition of optical coatings |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7067346B2 (en) * | 2000-06-06 | 2006-06-27 | Simon Foster University | Titanium carboxylate films for use in semiconductor processing |
TWI281748B (en) * | 2001-12-18 | 2007-05-21 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Non-volatile memory |
US20040247904A1 (en) * | 2003-06-05 | 2004-12-09 | Maxford Technology Ltd. | Method of surface-treating a solid substrate |
AT501356A1 (de) * | 2003-06-18 | 2006-08-15 | Hueck Folien Gmbh | Sicherheitselemente und sicherheitsmerkmale mit farbeffekten |
DE102004041371B4 (de) * | 2004-08-25 | 2007-08-02 | Novaled Ag | Bauelement auf Basis einer organischen Leuchtdiodeneinrichtung und Verfahren zur Herstellung |
WO2007030679A2 (en) * | 2005-09-07 | 2007-03-15 | The Regents Of The University Of California | Materials for the formation of polymer junction diodes |
TWI447442B (zh) * | 2008-06-26 | 2014-08-01 | Eternal Chemical Co Ltd | 具有非球形粒子之光學薄膜 |
TWI428282B (zh) * | 2007-10-03 | 2014-03-01 | Nissan Chemical Ind Ltd | 金屬氧化物複合溶膠,塗佈組成物及光學構件 |
US20100055447A1 (en) * | 2008-08-28 | 2010-03-04 | Seoul National University Industry Foundation | Optical article and a method for preparing the same |
JP2011013654A (ja) * | 2008-10-23 | 2011-01-20 | Seiko Epson Corp | 多層反射防止層およびその製造方法、プラスチックレンズ |
JP2010102157A (ja) * | 2008-10-24 | 2010-05-06 | Seiko Epson Corp | 光学物品およびその製造方法 |
JP5489604B2 (ja) * | 2009-01-14 | 2014-05-14 | ホーヤ レンズ マニュファクチャリング フィリピン インク | 光学物品の製造方法 |
JP5280293B2 (ja) * | 2009-04-30 | 2013-09-04 | ホーヤ レンズ マニュファクチャリング フィリピン インク | 光学物品 |
-
2010
- 2010-07-26 JP JP2010166795A patent/JP5622468B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2011
- 2011-07-20 US US13/187,386 patent/US20120019913A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20120019913A1 (en) | 2012-01-26 |
JP2012027300A (ja) | 2012-02-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5622468B2 (ja) | レンズの製造方法及びレンズ | |
US8789944B2 (en) | Optical article and optical article production method | |
JP5489604B2 (ja) | 光学物品の製造方法 | |
JP5588135B2 (ja) | 光学物品の製造方法 | |
US8128225B2 (en) | Optical article and process for producing the same | |
JP2012128135A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2010102157A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2010231171A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP5867794B2 (ja) | 眼鏡レンズの製造方法および光学物品の製造方法 | |
TWI706921B (zh) | 光學鍍膜的方法、裝置及產品 | |
JP2010140008A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP6313941B2 (ja) | 眼鏡レンズ | |
JP5489603B2 (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP5779317B2 (ja) | 光学物品の製造方法 | |
JP2010072636A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP5922324B2 (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2010072635A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2011017949A (ja) | 光学物品の製造方法およびその方法により製造された光学物品 | |
JP2016075964A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2011145443A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2009093067A (ja) | 酸化ジルコニウム層、耐擦傷性物品および光学物品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20130418 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130522 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140303 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140507 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140807 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140826 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140922 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5622468 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |