JP5622468B2 - レンズの製造方法及びレンズ - Google Patents

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Description

本発明は、レンズ及びレンズの製造方法に関するものである。
眼鏡レンズにおいては、典型的には、種々の機能を果たすための基材(光学基材)の表面に、その基材の機能をさらに強化したり保護したりするための種々の機能を備えた層(膜)が形成されている。種々の機能を備えた層(膜)としては、例えば、レンズ基材の耐久性を確保するためのハードコート層、ゴースト及びちらつきを防止するための反射防止層などが公知である。反射防止層の典型的なものは、ハードコート層が積層された基材の表面に異なる屈折率を持つ酸化膜を交互に積層してなる、いわゆる多層反射防止層(多層膜)である。
特許文献1には、低耐熱性基材に好適な帯電防止性能を有する光学素子を提供することが記載されている。プラスチック製の光学基材上に複層構成の反射防止層を備えた眼鏡レンズなどの光学要素において、反射防止層が透明導電層を含み、該透明導電層をイオンアシスト真空蒸着により形成し、他の反射防止層の構成は、電子ビーム真空蒸着などにより形成することが記載されている。導電層としては、インジウム、スズ、亜鉛などのいずれか、又は2種以上の複数を成分とする無機酸化物が挙げられており、特に、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムと酸化錫との混合物)が望ましいことが記載されている。
特開2004−341052号公報
基材の表面に形成される膜或いは層に、帯電防止、電磁遮蔽などを目的として導電性を付与するために、酸化インジウムスズ(ITO)層を挿入することが公知である。しかしながら、ITO層は、透明性と帯電防止性には優れているものの、酸やアルカリなどの薬品により侵されやすい。人の汗は塩分を含んだ酸であるため、ITO層を含む反射防止層は、その耐久性が問題になる可能性がある。
一方、金や銀などの金属の層を薄く形成することで導電性を得ることが可能である。しかしながら、反射防止層、ハードコート層、防汚層などの眼鏡レンズの基材の表面に形成される層は、シリコン(ケイ素)を中心とする化合物或いは酸化物が主成分であることが多く、このような金属の層は、それらとの相性が問題になる。また、例えば金は、一般的に密着性が低く、膜の剥れが発生する虞がある。銀は、酸化により導電性が低下することがある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]光学基材の上に、直に又は他の層を介して透光性の第1の層を形成すること、前記第1の層の表面に、少なくともTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)である部分を有する透光性薄膜を物理的蒸着により形成すること、を有し、前記透光性薄膜を物理的蒸着により形成することは、炭素を含む第1の化合物群に含まれる少なくとも1種を含む第1の気体をイオン化し、TiOX(0<X≦2)に照射することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)は、電気的に低抵抗な素材であり、酸に対する耐久性も高い。一方、炭素を含む第1の化合物群に含まれる少なくとも1種を含む第1の気体をイオン化する工程を含む物理的蒸着では、物理的蒸着において電子ビームを用いたり、イオンアシストする際に、第1の気体がイオン化されたもの、すなわち、炭素の化合物がイオン化されたものを含めたりすることができる。このため、そのような物理蒸着を用いることにより、第1の層の表面に、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)の薄膜を簡単に形成することができ、第1の層を低抵抗化できる。したがって、帯電防止機能及び/又は電磁波遮断機能などを備えたレンズをいっそう容易に製造できる。
物理的蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)は、熱、レーザー光、電子ビームなどによる物理的作用を利用して、固体の薄膜原料を蒸気化して基板に蒸着する蒸着法を一般的に示し、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを含み、近年では反応性真空蒸着、反応性スパッタリング、及び反応性イオンプレーティングも含む概念である。上記の製造方法においては、例えば、電子ビームを照射するイオンガンへ導入するガスに二酸化炭素などの炭素を含む第1の気体を含めたり、イオンガンへ導入するガスを第1の気体に変更したりすることによりイオン化された第1の気体を用い、第1の層を低抵抗化できる。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む薄膜は、薄膜であっても、基材の上に形成された第1の層の表面を十分に低抵抗にすることができる。このため、透光性を良好に確保でき、レンズの表面の抵抗を低減するのに適している。したがって、例えば、レンズに適宜適用される既存の反射防止層の層構造を変えずに、又は、ほとんど変えずに、反射防止層に、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む導電性の薄膜(透光性薄膜)を挿入することができる。
また、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)は、ITOと比較して、酸やアルカリなどの薬品に対して安定している。したがって、帯電防止機能及び/又は電磁波遮断機能を備えており、しかも、酸やアルカリなどの薬品に対する耐久性が良好なレンズを提供できる。このレンズは、帯電防止と耐久性とが要求される身の回りのレンズ(素子、製品)、例えば、眼鏡のレンズ、カメラのレンズ、情報端末の表示装置、DVDなどの多種多様な物品に適用できる。
[適用例2]上記レンズの製造方法であって、前記第1の気体をイオン化することは、TiO2膜に対して前記第1の気体をイオン化して照射することにより、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、第1の層の表面のTiO2膜の全部又は一部にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む透光性薄膜の導電層が形成され、表面の抵抗が小さなレンズを製造できる。
[適用例3]上記レンズの製造方法であって、前記第1の気体をイオン化することは、TiOX(0<X≦2)を蒸着源とし、前記第1の気体をイオンアシストガスとして用い、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、第1の層の表層(表層部、表層域)に、又は表層として、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む透光性薄膜の導電層が形成され、表面の抵抗が小さなレンズを製造できる。
[適用例4]上記レンズの製造方法であって、前記第1の気体をイオン化することは、Tiを含むターゲットに前記第1の気体をイオン化して照射し、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、炭素の化合物がイオン化されたものを含むイオンビームを用いてTiO2をスパッタリングし、第1の層の表面に(表層として)、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む透光性薄膜の導電膜が形成され、表面の抵抗が小さなレンズを製造できる。
[適用例5]上記レンズの製造方法であって、前記第1の気体は、二酸化炭素であることを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、第1の気体のハンドリングが容易である。
[適用例6]上記レンズの製造方法であって、前記レンズは、多層構造の反射防止層を有するものであり、前記第1の層は、前記多層構造の反射防止層に含まれる1つの層であることを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、多層構造の反射防止層の抵抗値(抵抗率)を低減できる。
[適用例7]上記レンズの製造方法であって、前記透光性薄膜の上に、直に又は他の層を介して防汚層を形成することをさらに有することを特徴とするレンズの製造方法。
これによれば、レンズ表面の撥水撥油性能が向上する。また、防汚層を有するレンズであっても、帯電を防止できる。
[適用例8]光学基材と、前記光学基材の上に、直に又は他の層を介して形成された透光性の第1の層と、前記第1の層の表面に形成された、少なくともTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)である部分を有する透光性薄膜と、を含むことを特徴とするレンズ。
これによれば、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)は、低抵抗な素材であり、酸に対する耐久性も高い。したがって、帯電防止機能及び/又は電磁波遮断機能などを備えたレンズをいっそう容易に提供できる。
[適用例9]光学基材と、前記光学基材の上に、直に又は他の層を介して形成された透光性の導電膜でX線光電子分光法(XPS)したときに検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギーに応じて波形分離することにより得られるピークについて、少なくとも290eVにピークトップを有する材料である部分を有する透光性薄膜と、を含むことを特徴とするレンズ。
これによれば、第1の層を低抵抗化できる。したがって、帯電防止機能及び/又は電磁波遮断機能などを備えたレンズをいっそう容易に提供できる。
[適用例10]上記レンズであって、前記透光性薄膜は、少なくともTiOXである部分をさらに有することを特徴とするレンズ。
これによれば、さらに第1の層を低抵抗化できる。
[適用例11]上記レンズであって、前記第1の層を含む多層構造の反射防止層を有することを特徴とするレンズ。
これによれば、多層構造の反射防止層の抵抗値(抵抗率)を低減できる。
[適用例12]上記レンズであって、前記反射防止層の上に、直に又は他の層を介して形成された防汚層をさらに有することを特徴とするレンズ。
これによれば、レンズ表面の撥水撥油性能が向上する。また、防汚層を有するレンズであっても、帯電を防止できる。
[適用例13]上記レンズであって、前記光学基材は、プラスチックレンズ基材であることを特徴とするレンズ。
これによれば、光学基材が熱又はアークによる損傷のない安定した品質のレンズの提供が可能となる。
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、上記のレンズに含まれる眼鏡レンズと、眼鏡レンズが装着されたフレームとを有する眼鏡である。眼鏡レンズの表面の帯電性を抑制できるため、眼鏡レンズの表面にゴミや埃などが付着し難い。また、電磁は遮蔽能力を付与できる。さらに、汗や薬品に強いため、耐久性が良好である。
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、上記のレンズ、窓であって、一方の面が外界に面したレンズ、窓を有し、このレンズ、窓を通して画像を透視するためのシステムである。このシステムの典型的なものは、時計、表示装置、及び表示装置を有する端末などの情報処理装置である。表示装置の表面の帯電性を抑制でき、また、電磁波遮蔽能力を高めることができる。
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、上記のレンズ、窓と、レンズ、窓を通して画像を投影させるための画像形成装置とを有するシステムである。このシステムの典型的なものは、プロジェクターである。この際、レンズ、窓の典型的なものは、投射用のレンズ、ダイクロイックプリズム、カバーガラスなどである。上記の眼鏡レンズを、画像形成装置の1つであるLCD(液晶デバイス)などのライトバルブあるいはそれらに含まれる素子に適用してもよい。
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、上記のレンズ、窓と、レンズ、窓を通して画像を取得するための撮像装置とを有するシステムである。このシステムの典型的なものは、カメラである。この際、レンズ、窓の典型的なものは、結像用のレンズ、カバーガラスなどである。上記の眼鏡レンズを、撮像装置の1つであるCCDなどに適用してもよい。
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、上記のレンズと、レンズを通してアクセスする媒体とを有するシステムである。このシステムの典型的なものは、記録媒体を内蔵し、表面の帯電性が低いことが要望されるDVDなどの情報記録装置、美的表現を発揮する媒体を内蔵した装飾品などである。
本実施形態に係る典型的なレンズの構造を、基材を中心とした一方の面の側より示す断面図。 本実施形態に係るXPS用サンプルの構成を示す図。 本実施形態に係るXPSサンプルの作製条件を示す表。 本実施形態に係る炭酸ガスプラズマの成分を示すグラフ。 本実施形態に係るXPSのC1sスペクトルを示すグラフ。 本実施形態に係るXPSのO1sスペクトルを示すグラフ。 本実施形態に係るXPSのTi2pスペクトルを示すグラフ。 本実施形態に係るC1sスペクトルの波形分離を示すグラフ。 本実施形態に係るXPSの光電子取り出し角度の変化による原子濃度を示す表。 本実施形態に係る反射防止層の構成を示す表。 本実施形態に係る反射防止層の製造に用いる蒸着装置の一例を模式的に示す図。 本実施形態に係る最上(最外)の高屈折率層を第1の層とし、その表面にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層の形成を模式的に示す図。 本実施形態に係る実施例と比較例との評価結果を示す図。 本実施形態に係る各サンプルのシート抵抗を測定する様子を示す図。 図15(A)は、本実施形態に係る耐薬品性試験の擦傷工程に使用される試験装置の外観を示す図、図15(B)は、本実施形態に係る試験装置の内部構造を示す図。 本実施形態に係る耐薬品性試験の擦傷工程に使用する試験装置を回転させることを示す図。 本実施形態に係る耐湿性試験におけるむくみを判定する装置の概略を示す図。 図18(A)は、本実施形態に係るレンズ表面にむくみのない状態を模式的に示す図、図18(B)は、本実施形態に係るレンズ表面にむくみのある状態を模式的に示す図。 本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層を形成する模式的に示す図。 図20は、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層の形成を模式的に示す図、図20(A)は、本実施形態に係るチタンターゲットに二酸化炭素ガス及びアルゴンガスをイオン化して照射している様子を示す図、図20(B)は、本実施形態に係るZrO2層(第6層)の上にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)がスパッタにより形成された様子を示す図。 本実施形態に係る眼鏡の一例を示す図。 本実施形態に係るプロジェクターの一例の概要を示す図。 本実施形態に係るデジタルカメラの一例の概要を示す図。 本実施形態に係る記録媒体の一例の概要を示す図。
以下では、レンズとして眼鏡用のレンズを例示して説明する。
図1は、本実施形態に係る典型的なレンズの構造を、基材を中心とした一方の面の側より示す断面図である。レンズ2は、光学基材(レンズ基材)10と、レンズ基材10の表面に形成されたハードコート層12と、ハードコート層12の上に形成された透光性の反射防止層14と、反射防止層14の上に形成された防汚層16とを含む。なお、防汚層16は省略可能である。
(1)レンズの概要
(1.1)レンズ基材
レンズ基材10に使用される材料は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル樹脂をはじめとして、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)などのアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られるウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物との反応で得られるチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂などを挙げることができる。レンズ基材10の屈折率は、例えば、1.64〜1.75程度である。レンズ基材10の屈折率は、上記の範囲でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。
(1.2)ハードコート層(プライマー層)
ハードコート層12は、耐擦傷性を向上(付与)するものである。ハードコート層12に使用される材料は、例えば、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、及びこれらの混合物若しくは共重合体などを挙げることができる。
ハードコート層12の一例は、シリコン系樹脂である。このようなハードコート層12は例えば、シリコン系樹脂などの樹脂成分、金属酸化物微粒子、及びシラン化合物を含むコーティング組成物を用意し、このコーティング組成物をレンズ基材10に塗布し硬化させることにより形成することができる。このコーティング組成物には、コロイダルシリカや多官能性エポキシ化合物などの成分が含まれていてもよい。
ハードコート層12を形成するためのコーティング組成物(ハードコート層形成用のコーティング組成物)に用いる金属酸化物微粒子の具体例は、SiO2、Al23、SnO2、Sb25、Ta25、CeO2、La23、Fe23、ZnO、WO3、ZrO2、In23、TiO2などの金属酸化物からなる微粒子、又は2種以上の金属の金属酸化物からなる複合微粒子である。これらの微粒子は、例えば、分散媒(例えば、水、アルコール系若しくはその他の有機溶媒)にコロイド状に分散させ、これをコーティング組成物に混合する。
レンズ基材10とハードコート層12との密着性を確保するために、レンズ基材10とハードコート層12との間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、高屈折率レンズ基材の欠点である耐衝撃性を改善するためにも有効である。プライマー層に使用される材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、及びこれらの混合物若しくは共重合体などを挙げることができる。密着性を持たせるためのプライマー層としては、ウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。
ハードコート層12及びプライマー層の製造方法の典型的なものは、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、フロー法によりコーティング組成物を塗布し、その後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥する方法である。
(1.3)反射防止層
ハードコート層12の上に形成される反射防止層14の典型的なものは、無機系の反射防止層である。無機系の反射防止層14は、典型的には多層膜で構成され、例えば、屈折率が1.3〜1.6である低屈折率層18と、屈折率1.8〜2.6である高屈折率層20とを交互に積層して形成することができる。層数の一例は、5層(典型的には、低屈折率層18が3層、高屈折率層20が2層)あるいは7層(典型的には、低屈折率層18が4層、高屈折率層20が3層)である。以下の実施例においては、反射防止層14に透光性薄膜22を加える。透光性薄膜22は反射防止層14の基本的な光学的性質に影響を与えるものではない。したがって、以下において透光性薄膜22を含む5層及び7層の反射防止層14を全体として6層あるいは8層と表現する場合もあるが、光学的な反射防止層14の構成は5層及び7層である。
反射防止層14を構成する各層に使用される無機物の例としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti23、Ti25、Al23、TaO2、Ta25、NdO2、NbO、Nb23、NbO2、Nb25、CeO2、MgO、Y23、SnO2、MgF2、WO3、HfO2、Y23などを挙げることができる。これらの無機物は、単独で用いるか、若しくは2種以上を混合して用いる。
反射防止層14を形成する典型的な方法は、乾式法、すなわち物理的蒸着法であり、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。
(1.4)防汚層
反射防止層14の上に撥水膜、又は親水性の防曇膜(防汚層)16を形成することが多い。防汚層16は、眼鏡レンズ2の表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、反射防止層14の上に形成されるものであり、典型的なものとして、フッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる層を挙げることができる。フッ素を含有する有機ケイ素化合物(含フッ素シラン化合物)としては、例えば、含フッ素シラン化合物を好適に使用することができる。
含フッ素シラン化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液(防汚層形成用のコーティング組成物)として用いることが好ましい。防汚層16は、この撥水処理液を反射防止層14上に塗布することにより形成することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法などを用いることができる。なお、撥水処理液を金属ペレットに充填した後、真空蒸着法などの乾式法を用いて、防汚層16を形成することも可能である。
防汚層16の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μmが好ましい。より好ましくは0.001〜0.03μmである。防汚層16の膜厚が薄すぎると撥水撥油効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。また、防汚層16の厚さが0.03μmより厚くなると反射防止効果が低下する可能性がある。
本実施形態に係る眼鏡レンズ2は、導電層である透光性薄膜22を反射防止層14中に作製することで実施可能である。特に眼鏡レンズ2には、酸やアルカリに対する耐久性、透明度が求められていて、これらを満足する帯電防止材料とその実現方法(プロセス)が必要である。まず、反射防止層14中にTiO2を数nmから数十nm堆積し、その表面に炭酸ガスイオンビームを照射することで導電性を得ることができる。具体的には、炭酸ガス(CO2)をプラズマ化し数百eVのエネルギーを与え、60秒程度イオンビームを照射する。
本実施形態において、イオン化した炭酸ガス(CO、O、CO2、Cを含む)を照射することにより、TiOX(0<X≦2)の表層域では、以下の化学反応が起こる。
TiO2 + CO+ → Ti−CO3 ・・・・(1)
TiO2 + CO+ → TiOX(0<X<2) + CO2 ・・・・(2)
これらの化学反応にて、TiO2膜の表面には、TiO(TiOX)とTi−CO3とが混在した状態になっていると推測できる。
ここで、TiOXは、酸素原子が分離あるいは離脱し、金属原子と酸素原子との化学量論比が所定の化合物としての比から外れた組成(非化学量論な組成)である。TiO2中にTiOXが存在すると、酸素欠損(欠陥)や格子欠陥が多数形成されている。
これらの欠損がキャリアとなって導電性が発現する(シート抵抗が低下する)と考えられる。
また、Ti−CO3は炭酸金属である。Ti−CO3が存在していると格子歪が発生しているために、局在準位が形成されたり、TiOXの酸素欠損の再結合が抑制されることも予想できる。このため、時間とともに導電性が低下するといったことがないか、あるいは少ない。
また、本実施形態では表面反応のみを用いているので、薄い領域(数nm)だけを導電処理している。そのため本来透明性を損なう材料であるTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)、TiOXでも薄くすることが可能となり光吸収が殆どなく、電気抵抗(シート抵抗)を下げることができる。したがって眼鏡レンズ2としての透明性を確保できる。また、これら材料は酸やアルカリに対しての耐食性にも優れ、眼鏡レンズ2としての耐久性も向上する。
(2)X線光電子分光(XPS)用サンプルの製造
図2は、本実施形態に係るXPS用サンプルの構成を示す図である。図3は、本実施形態に係るXPSサンプルの作製条件を示す図である。図4は、本実施形態に係る炭酸ガスプラズマの成分を示すグラフである。図5は、本実施形態に係るXPSのC1sスペクトルを示すグラフである。図6は、本実施形態に係るXPSのO1sスペクトルを示すグラフである。図7は、本実施形態に係るXPSのTi2pスペクトルを示すグラフである。図8は、本実施形態に係るC1sスペクトルの波形分離を示すグラフである。先に、式(1)及び(2)を導き出した実験に関して記載する。先ず、図2に示すように、Siウエハー4上にTiO2層6を8nm堆積する。なお、条件の詳細は図3に示す。その後、炭酸ガスでイオンビームを生成し表面6aに照射する。炭酸ガスでプラズマを生成したときのガスの成分を四重極質量分析計(Q−MAS)で計測したものを図4に示す。CO2の大部分は、CO+、O+となり(CO2 +ではなく)、これらのイオンビームを照射していることになる。
このイオンビームを60秒間TiO2層6の表面6aに照射し、XPSで元素濃度分析、化学結合状態を調査した。比較のために導電処理(イオンビーム照射)なしのサンプルのスペクトルも一緒に図5に表記した。イオンビーム照射したサンプルからC1sスペクトルにおいて新たに290eV付近に結合エネルギーのピーク(炭酸イオン照射により形成された化合物に起因するピーク)を観測することができた(図5の矢印a参照)。また、O1sスペクトルでは532eV付近にケミカルシフトを観測することができた(図6の矢印b参照)。更に、Ti2pスペクトルでは僅かであるが、TiOXの存在も確認できた(図7の矢印c参照)。図8に示すように、CO3、COO、C=O、CO、C−C、C−Hとして波形分離することで、イオンビームの照射によりCO3、COOorC=Oが形成されたことがわかる。(CO、C−C、C−Hはサンプルの表面汚染(サンプル作製からXPS分析の間の汚染)に由来している)これらの結果から、上記式(1)及び(2)が推測できる。
XPSの測定方法は、ULVAC PHI Quantum2000を用いAl−Kα線(1486.6eV)をX線源として使用した。計測は、サンプルを真空蒸着で作製後、一度大気に出してからXPSの装置に投入した。XPS計測前には表面クリーニングを実施せずに行った。OとTiとCとの元素比はAl−Kα線を用いたC1sとTi2pとO1sのピーク面積より感度係数で補正して算出する。用いた感度係数はF1sが1のとき、1sは0.711、C1sは0.296、Ti2pは1.798である。さらにC1sピークのデコンボリュージョンは以下のように行った。測定したC1sナロースペクトルに対して、Shirley法によりバックグランドを差し引いた後、CO3(289.8eV)、C=O or COO(288.6eV)、CO(286.4eV)、C−C or C−H(284.8eV)の成分が存在すると仮定しガウシアン−ローレンツィアンの混合関数、あるいはガウシアン関数を用いて4つのピークの合成でカーブフィッティングした。
図9は、本実施形態に係るXPSの光電子取り出し角度の変化による原子濃度を示す表である。図9(A)に示すように、XPS計測は光電子取り出し角度θを20度、45度、75度で行い、それぞれの角度でカーブフィットと定量分析を実施した。CO(286.4eV)、C−C or C−H(284.8eV)の成分は図5のレファレンスサンプル(TiO2)にも存在するので、本実施形態による表面処理によって生じたものでなく、サンプルを大気中に出したことによる表面汚染によるものであるので定量を行う際にはこれら成分を除いて行っている。結果は、図9(B)に示すように、CO3に起因する成分は約4%(原子数濃度)であった。なお、表面の電気抵抗及び電気抵抗の劣化性は、Siウエハー上では計測できないため、同一ロッドでガラス基板上に形成したサンプルで評価した。
(3)第1の方法によるSiO2−ZrO2系の反射防止層を備えたサンプルの製造
図10は、本実施形態に係る反射防止層の構成を示す表である。本実施形態に係る眼鏡レンズ2は、図10に示すように、上記サンプルの製造工程を眼鏡レンズ2の反射防止層14に適応した。
低屈折率層18としてのSiO2層、高屈折率層20としてのZrO2層を採用した反射防止層14を備えたサンプルを製造した。さらに、以下に詳述するが、最上(最外)の高屈折率層20を第1の層として、その表面にさらにTiOX(0<X≦2)を遷移金属酸化物薄膜として積層(形成)し、TiOX(0<X≦2)の薄膜に対し、炭酸ガス(二酸化炭素の気体)を第1の気体として使用し、その炭酸ガスをイオン化して照射することにより、最上(最外)の高屈折率層20の表面に透光性薄膜22を形成している。
また、以降では、各々の実施例のサンプルはサンプルS1、サンプルS2と呼び、各実施例に共通してサンプルを指す場合にはレンズサンプル2と呼ぶことにする。
(3.1)実施例1(サンプルS1)
(3.1.1)レンズ基材の選択及びハードコート層の成膜
レンズ基材10としては、屈折率1.67の眼鏡用のプラスチックレンズ基材(商品名:セイコースーパーソブリン(SSV)(セイコーエプソン(株)製))を用いた。
ハードコート層12を形成するための塗布液(コーティング液、コーティング組成物)を次のように調整した。エポキシ樹脂−シリカハイブリッド(商品名:コンポセランE102(荒川化学工業(株)製))20重量部に、酸無水物系硬化剤(商品名:硬化剤液(C2)(荒川化学工業(株)製))4.46重量部を混合、攪拌して塗布液(コーティング液)を得た。
このコーティング液を所定の厚さになるようにスピンコートを用いてレンズ基材10の上に塗布した。コーティング液塗布後のレンズ基材を125℃で2時間焼成し、レンズ基材10の上にハードコート層12を成膜した。
(3.1.2)反射防止層の成膜
(3.1.2.1)蒸着装置
図11は、本実施形態に係る反射防止層の製造に用いる蒸着装置の一例を模式的に示す図である。図11に示す蒸着装置100により、ハードコート層12の上に無機系の反射防止層14を製造(成膜)した。
図11に例示した蒸着装置100は電子ビーム蒸着装置であり、真空容器102、排気装置104、及びガス供給装置106を備えている。真空容器102は、ハードコート層12までが形成されたレンズサンプル2が載置されるサンプル支持台108にセットされたレンズサンプル2を加熱するための基材加熱用ヒーター110と、熱電子を発生するフィラメント112とを備えている。
この蒸着装置100では、電子銃(不図示)により熱電子を加速し、蒸発源(るつぼ)114,116にセットされた蒸着材料に熱電子を照射し、これを蒸発させ、レンズサンプル2に材料を蒸着する。
さらに、この蒸着装置100は、容器102の内部に導入したガスをイオン化して加速し、レンズサンプル2に照射するためのイオン銃118を備えている。このような構成を有しているため、この蒸着装置100は、イオンビームを形成したり、イオンアシスト蒸着を行ったりできる。
また、真空容器102には、残留した水分を除去するためのコールドトラップや、層厚を管理するための装置などをさらに設けることができる。層厚を管理する装置としては、例えば、反射型の光学膜厚計や水晶振動子膜厚計などがある。
真空容器102の内部は、排気装置104に含まれるターボ分子ポンプ又はクライオポンプ120と、圧力調整バルブ122とにより、高真空、例えば1×10-4Paに保持することができる。一方、真空容器102の内部は、ガス供給装置106により所定のガス雰囲気とすることも可能である。ガス供給装置106は、ガス容器124、流量制御装置126、圧力計128などを含む。例えば、ガス容器124には、二酸化炭素ガス(CO2)などの第1の気体(炭素、ケイ素、ゲルマニウムのいずれかを含む第1の化合物群に含まれる気体(単体又は混合ガス))、アルゴンガス(Ar)、窒素ガス(N2)、酸素ガス(O2)などが用意される。ガスの流量は流量制御装置126により制御でき、真空容器102の内圧は圧力計128により制御できる。
基材加熱用ヒーター110は、例えば赤外線ランプであり、レンズサンプル2を加熱することによりガス出しあるいは水分飛ばしを行い、レンズサンプル2の表面に形成される層の密着性を確保する。
したがって、この蒸着装置100における主な蒸着条件は、蒸着材料、電子銃の加速電圧及び電流値、イオンアシストの有無である。イオンアシストを利用する場合の条件は、イオンの種類(真空容器102の雰囲気)と、イオン銃118の電圧値及び電流値とにより与えられる。以下において特に記載しないかぎり、電子銃の加速電圧は、5〜10kVの範囲、電流値は50〜500mAの範囲の中で、成膜レートなどをもとに選択される。また、イオンビームを形成したり、イオンアシストを利用したりする場合は、イオン銃118が電圧値200V〜1kVの範囲、電流値が100〜500mAの範囲で、成膜レートなどをもとに選択される。
(3.1.2.2)低屈折率層、高屈折率層、及びTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)の成膜
ハードコート層12が形成されたレンズサンプル2をアセトンにて洗浄し、真空容器102の内部にて約70℃の加熱処理を行い、レンズサンプル2に付着した水分を蒸発させた。次に、レンズサンプル2の表面にイオンクリーニングを実施した。具体的には、イオン銃118を用いて酸素イオンビームを数百eVのエネルギーでレンズサンプル2の表面に照射し、レンズサンプル2の表面に付着した有機物の除去を行った。この方法により、レンズサンプル2の表面に形成する層(膜、後述する第1層18)の付着力を強固なものとすることができる。なお、酸素イオンの代わりに不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)や、窒素(N)を用いて同様の処理を行ってもよいし、酸素ラジカルや酸素プラズマを照射してもよい。
真空容器102の内部を十分に真空排気した後、電子ビーム真空蒸着法により、低屈折率層18及び高屈折率層20を交互に積層して、以下のような多層構造の無機系の反射防止層14を製造した。
(低屈折率層)
第1層及び第3層は低屈折率層18であり、イオンアシストは行わず、真空蒸着によりSiO2層を成膜した。成膜レートは2.0nm/secとし、材料加熱用の電子銃の加速電圧は7kV、電流は100mAとした。
(高屈折率層)
第2層及び第4層は高屈折率層20であり、タブレット状のZrO2焼結体材料を電子ビームで加熱蒸着させZrO2層を成膜した。成膜レートは0.8nm/secとした。材料加熱用の電子銃の加速電圧は7kV、電流は200mAとした。
(Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜))
図12(A)〜(C)は、本実施形態に係る最上(最外)の高屈折率層20を第1の層とし、その表面にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層22の形成を模式的に示す図である。図12(A)〜(C)は、蒸着装置100においてTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)22を形成する様子を示しており、高屈折率層20と透光性薄膜22との上下関係は図1に示したレンズサンプル2とは逆転して示されている。したがって、これらの図は、レンズサンプル2上に、第1層18、第2層20、第3層18、第4層20を成膜した後、蒸着装置100を用い、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層、本実施例では、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層22を第5層(導電層)として成膜する様子を示している。すなわち、本実施例では、第4層20が第1の層、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(第5層)22が透光性薄膜(導電層)である。以下、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層を単にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層と記載する。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22は、以下のようにして成膜した。先ず、TiOX(0<X≦2)材料を電子ビームで加熱蒸発させ、イオンアシスト蒸着にて形成した。このときの蒸着条件は図3に記載の通りである。これにより、第4層20の上にTiOX(0<X≦2)層22aは、厚さが8nmとなるように成膜した。
その後、イオンガンに二酸化炭素ガスを20sccm導入し、プラズマ化し、イオンエネルギー800eV、イオン電流200mAに設定した。これにより、図12(B)に示すように、二酸化炭素ガスからCO2 +、CO+、C+などを含む炭酸ガスイオンビームを生成し、成膜したTiOX(0<X≦2)層22aに照射した。炭酸ガスイオンビームの照射時間は120秒とした。
炭酸ガスイオンビームは、二酸化炭素を原料として生成したイオンビームであり、二酸化炭素イオンの他、分解生成物である一酸化炭素イオン、炭素イオン、酸素イオンなどが含まれていてもよい。また、炭酸ガスイオンビームには、一価のイオンの他、二価や三価の多価イオンも含まれてもよい。炭酸ガスイオンビームをTiOX(0<X≦2)層22aに照射することにより、高屈折率層20の表層を形成しているTiOX(0<X≦2)層22a中で炭素(C)がミキシングされて化学反応し、典型的には、TiOX(0<X≦2)の一部がTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)となる。これにより、図12(C)に示すように、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層22が形成される。
なお、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)は、TiOX層22aの全部又は一部(典型的には表面)の領域に形成されて、導電層として機能する透光性薄膜22を形成する。また、TiOX(0<X≦2)層22a中に導入された炭素(C)は、全てがTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)の生成に寄与するとは限られないが、正孔又は電子を生成することにより電荷のキャリアを増やし透光性薄膜22の導電率を高めることに寄与する可能性がある。
TiOX(0<X≦2)層22aのうちのどの程度の領域(厚さ、深さ)まで炭素(C)が導入されるか(典型的にはTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)が形成されるか)は、炭酸ガスイオンビームの照射時間、イオンエネルギー(電圧)、及びイオン電流によって決まる。本例の条件では、8nmのTiOX(0<X≦2)層22aのほとんどの領域にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)が形成され、導電性の透光性薄膜22が形成されると考えられる。第4層(ZrO2層)20の表面に積層されたTiOX(0<X≦2)層22aは光学的には第4層(ZrO2層)20とともに高屈折率層として機能する。したがって、このサンプルS1の製造方法は、最上又は最外の高屈折率層20を形成するTiOX(0<X≦2)層22aの表面に炭酸ガスイオンビームを照射することにより高屈折率層20の表面(表層)22を低抵抗化することを含む製造方法である。
(低屈折率層)
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22の上に、第6層として、第1及び第3層と同様の条件で、SiO2層(低屈折率層18)を成膜した。成膜レートは2.0nm/secとし、電子銃の加速電圧は7kV、電流は100mAとした。
これらの工程において、反射防止層14の光学的性能を主に決める第1〜第4層及び第6層の層厚は、それぞれ、29nm、40nm、16nm、60nm、91nmに管理した。この層構造、すなわち、第1層、第3層、及び第6層がSiO2層の低屈折率層18、第2層及び第4層がZrO2層の高屈折率層20、そして、最外の高屈折率層20の表面(外側)に第5層としてTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成した。
(3.1.3)防汚層の成膜
反射防止層14までが形成されたレンズサンプル2に酸素プラズマ処理を施し、その後、分子量の大きなフッ素含有有機ケイ素化合物を含む「KY−130」(商品名、信越化学工業(株)製)を含有させたペレット材料を蒸着源として防汚層16を成膜した。より具体的には、真空容器102内において、KY−130を約500℃で加熱して蒸発させて、反射防止層14の上に防汚層16を成膜した。蒸着時間は3分間程度とした。反射防止層14までが形成されたレンズサンプル2に酸素プラズマ処理を施こすことにより、最終のSiO2層(第6層)18の表面にシラノール基を生成することができる。このため、酸素プラズマ処理の後に防汚層16を形成することにより、反射防止層14と防汚層16との化学的密着性(化学結合)を高めることができる。
蒸着終了後、蒸着装置100からレンズサンプル2を取り出し、反転して再び投入し、上記の3.1.2〜3.1.3の工程を同じ手順で繰り返して、反射防止層14の成膜(Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22の形成を含む)及び防汚層16の成膜を行った。その後、レンズサンプル2を蒸着装置100から取り出した。これにより、レンズ基材10の両面に、ハードコート層12、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を層内(第5層)に含む反射防止層14、及び防汚層16を備えた実施例1のサンプルS1が得られた。
(3.2)実施例2(サンプルS2)
TiO2の膜厚を10nmとし、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
(3.3)実施例3(サンプルS3)
TiO2の膜厚を12nmとし、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
(3.4)実施例4(サンプルS4)
TiO2の膜厚を15nmとし、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
(3.5)実施例5(サンプルS5)
TiO2の膜厚を8nm、イオンビームの照射時間を60秒として、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
(3.6)実施例6(サンプルS6)
TiO2の膜厚を8nm、イオンビームの照射時間を90秒として、それ以外の条件を実施例1と同じとしてサンプルを作製した。
(3.8)比較例1(サンプルR1)
本比較例では、実施例1と同じレンズ基材10を用い、同じ条件(3.1.1)でハードコート層12を形成し、さらに、その上に反射防止層14と防汚層16とを形成し、サンプルR1を製造した。
低屈折率層18及び高屈折率層20の成膜方法は、実施例1と同じ条件(3.1.2.2)で行った。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層は成膜しなかった。先ず、TiOX(0<X≦2)材料を電子ビームで加熱蒸発させ、イオンアシスト蒸着にて形成した。このときの蒸着条件は図3に記載の通りである。これにより、第4層20の上にTiOX(0<X≦2)層22aは、厚さが8nmとなるように成膜した。
その後、導電処理は行わなかった。他の条件及び成膜方法は実施例1と同じである(3.1.2.2参照)。そして、反射防止層14を形成した後、実施例1と同様に防汚層16を成膜した(3.1.3参照)。
(3.9)比較例2(サンプルR2)
サンプルR2として、実施例1と同じレンズ基材を用い、同じ条件(3.1.1)でハードコート層を形成し、さらに、その表面に反射防止層を形成し、サンプルR2を製造した。低屈折率層及び高屈折率層は、上記の3.1.2.2と同じ条件で成膜した。
ただし、第5層(導電層)としては、酸化インジウムスズ(ITO)をイオンアシスト真空蒸着により8nmだけ成膜した。すなわち、第4層(ZrO2層)を成膜後、ITOをイオンアシスト真空蒸着により8nm成膜し、第5層(導電層)としてITO層を形成した。ITO層の成膜の際は、材料にITOの焼結材を用い、電子銃の加速電圧を7kV、電流値を50mAとした。また、ITO膜の酸化を促進させるために、真空容器内に15sccmの酸素ガスを導入し、酸素雰囲気とした。イオン銃へは35sccmで酸素ガスを導入し、プラズマ化し、イオンエネルギー500eV、イオン電流値を250mAとして、サンプルに酸素イオンビームを照射した。そして、その上に第6層として、SiO2層を形成した。したがって、反射防止層14は、ITO層を含む6層構造になる。
反射防止層を形成した後、実施例1と同様に防汚層を成膜した(3.1.3参照)。したがって、本比較例により製造されたサンプルR2は、プラスチックレンズ基材と、ハードコート層と、第5層(導電層)にITO層を含む反射防止層と、防汚層とを含む。
(3.10)サンプルの評価
なお、二酸化ケイ素(SiO2)からなる低屈折率層は波長550nmにおける屈折率nは1.462である。また、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる高屈折率層波長550nmにおける屈折率nは2.05、TiOX(0<X≦2)層の波長550nmにおける屈折率nは2.3〜2.4である。ITO層の波長550nmにおける屈折率nは2.1である。
上記により製造されたサンプルS1(実施例1)〜S6(実施例6)、R1(比較例1)、R2(比較例2)について、それぞれ、シート抵抗及び吸収損失を測定した。さらに、耐薬品性(剥がれの発生の有無)、耐湿性(むくみの発生の有無)をそれぞれ試験し、これらを評価した。
図13は、本実施形態に係る実施例と比較例との評価結果を示す図である。
最初に、上記測定方法、試験方法、及び評価方法について説明する。
(3.10.1)測定、試験、及び評価方法
(3.10.1.1)シート抵抗
図14(A)及び(B)は、本実施形態に係る各サンプルのシート抵抗を測定する様子を示す図である。この例では、測定対象、例えば、レンズサンプル2の表面2aにリングプローブ24を接触させ、レンズサンプル2の表面2aのシート抵抗を測定した。測定装置26は、三菱化学(株)製高抵抗抵抗率計ハイレスタUP MCP−HT450型を使用した。使用したリングプローブ24は、URSタイプであり、2つの電極を有し、外側のリング電極24aは、外径18mm、内径10mmであり、内側の円形電極24bは、直径7mmである。それらの電極間に10〜1kVの電圧を印加し、各サンプルのシート抵抗を計測した。
(3.10.1.2)吸収損失
光の吸収損失は、表面が湾曲していたりすると測定が難しい。このため、上記のサンプルS1〜S6と同一ロッドで平面のガラス基板上に形成したサンプルで評価した。
光の吸収損失の測定には、日立製分光光度計U−4100を使用した。分光光度計を用いて反射率と透過率を測定し、式(3)にて吸収率を算出した。
吸収率(吸収損失)=100%−透過率−反射率 ・・・・(3)
以下、吸収率は波長400nmから700nmの平均吸収率として記している。
(3.10.1.3)耐薬品性
各サンプルの表面に傷をつけ、その後、薬液浸漬を行い、反射防止層の剥がれの有無を観察して耐薬品性を評価した。
(擦傷工程)
図15(A)は、本実施形態に係る耐薬品性試験の擦傷工程に使用される試験装置の外観を示す図である。図15(B)は、本実施形態に係る試験装置の内部構造を示す図である。図16は、本実施形態に係る耐薬品性試験の擦傷工程に使用する試験装置を回転させることを示す図である。
図15(A)に示す容器(ドラム)28の内壁に、図15(B)に示すように評価用のレンズサンプル2を4つ貼り付け、さらに、容器(ドラム)28内に擦傷用として不織布30とオガクズ32を入れた。そして、蓋をした後、図16に示すように、ドラム28を30rpmで30分間回転させた。
(薬液浸漬工程)
人の汗を模した薬液(純水に乳酸を50g/L、塩を100g/L溶解した溶液)を用意した。(1)の擦傷工程を経たレンズサンプル2を、50℃に保持した薬液に100時間浸漬した。
(評価方法)
上記の工程を経た各サンプルを、従来のサンプルであるサンプルR2を基準に目視により評価した。判断基準は以下の通りである。
◎:基準のサンプルと比較し、傷がほとんど見えず、同等の透明性がある。
△:基準のサンプルに対して傷が見え、透明性が劣る。
×:基準のサンプルに対して層の剥離及び多数の傷が見え、透明性が著しく低下した。
耐薬品性については、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を含むサンプルS1〜S6の評価はすべて◎であり、本耐久試験において優れた耐薬品性を示した。一方、ITO層を成膜したサンプルR2の評価は×であった。
(3.10.1.4)むくみ(耐湿性)
(恒温恒湿度環境試験)
各サンプルを恒温恒湿度環境(60℃、98%RH)で8日間放置した。
(むくみの判定方法(評価方法))
図17は、本実施形態に係る耐湿性試験におけるむくみを判定する装置の概略を示す図である。図18(A)は、本実施形態に係るレンズ表面にむくみのない状態を模式的に示す図である。図18(B)は、本実施形態に係るレンズ表面にむくみのある状態を模式的に示す図である。
上記の恒温恒湿度環境試験を経た各サンプルの表面又は裏面の表面反射光を観察し、むくみの有無を判断した。具体的には、図17に示すように、レンズサンプル2の凸面2aにおける蛍光灯34の反射光を観察した。図18(A)に示すように、蛍光灯34の反射光36の像の輪郭がくっきりと明瞭に観察できる場合は「むくみなし」と判定した。一方、図18(B)に示すように、蛍光灯34の反射光38の像の輪郭がぼやけている、又はかすれて観察できるときは「むくみ有り」と判定した。図13からわかるように、実施例1〜6では、電気抵抗(シート抵抗)値も問題なく、むくみも発生しない。一方、比較例1はむくみは発生していないが、電気抵抗(シート抵抗)値が大きくごみが付着しており、帯電防止性が劣っている。比較例2は電気抵抗(シート抵抗)値が低く帯電防止性に優れるが、むくみが僅かに発生している。
(3.10.2)結果
(3.10.2.1)シート抵抗の測定結果
図13に示すように、反射防止層14にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を含めたサンプルS1〜S6のシート抵抗の測定値は、それぞれ、2×109[Ω/□]、1×109[Ω/□]、1×109[Ω/□]、2×109[Ω/□]、1×109[Ω/□]、2×109[Ω/□]であった。
これに対し、導電層を含まない(Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を含まない)サンプルR1のシート抵抗の測定値は1×1013[Ω/□]、反射防止層にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層と置換してITO層を含めたサンプルR2のシート抵抗の測定値は1×1010[Ω/□]であった。
サンプルR1の測定結果が示すように、低抵抗化の処理を施していない従来のサンプル(ガラスサンプル)では、シート抵抗は1×1013[Ω/□]である。これに対し、反射防止層14の1つの層20の表面にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成したサンプルS1〜S6においては、シート抵抗が1×109[Ω/□]〜2×109[Ω/□]となり、シート抵抗が従来のサンプルと比較して4桁(104)程度小さくなっている。すなわち、シート抵抗が1/104となっており、導電率が向上している。したがって、これらのサンプルS1〜S6は後述するように十分な帯電防止性能を備えている。
反射防止層14にITO層を含めたサンプルR2では、シート抵抗が、1×1010[Ω/□]であった。実施例のサンプルS1〜S6のシート抵抗は、比較例のサンプルR2のシート抵抗と比較しても、1桁(10)程度小さくなっている。すなわち、シート抵抗が1/10となっており、良好な帯電防止性を有していることが分かる。
このように、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設けることによって反射防止層14の電気抵抗値を大幅に低減でき、例えば8nm程度又はそれ以下の厚みのTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を含めることにより、反射防止層14を含めた光学基材の表面の導電性の向上に有効であることがわかった。
光学物品のシート抵抗を低減することにより幾つかの効果が得られる。典型的な効果は、帯電防止、及び電磁遮蔽である。眼鏡用のレンズにおいて帯電防止性の有無の目安は、シート抵抗が1×1013[Ω/□]以下であると考えられている。使用上の安全性などを考慮すると、上記の測定方法で測定されたシート抵抗が1×1012[Ω/□]以下であることがいっそう好ましい。サンプルS1〜S6は、上記の測定方法で測定されたシート抵抗が1×109[Ω/□]程度であり非常に優れた帯電防止性を備えていることがわかる。
(3.10.2.2)吸収損失の測定結果
光の吸収損失については、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成することにより若干吸収損失が上昇する傾向がみられる。しかしながら、最大でも0.87%程度であり、眼鏡用のレンズとしての許容範囲である透光性を備えている。したがって、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成しても、透光性を確保でき、しかも帯電防止性能の優れた光学物品を提供できることがわかった。
(3.10.2.3)耐薬品性の評価結果
耐薬品性については、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を備えたサンプルS1〜S6の評価はすべて◎であり、日常的に用いられる環境において優れた耐薬品性を有することがわかった。一方、ITO層を備えたサンプルR2の評価は×であった。
(3.10.2.4)むくみ(耐湿性)の評価結果
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を備えたサンプルS1〜S6を含め、すべてのサンプルについてむくみの発生は観測されず、優れた耐湿性を示した。一方、ITO層を備えたサンプルR2の評価は「僅かに発生」であった。
(3.11)考察
以上の各測定結果及び評価より、反射防止層14の1つの層、本実施形態においては最外の高屈折率層20の表面にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設けたサンプルS1〜S6については、シート抵抗が大幅に低下し、その一方で、耐薬品性及び耐湿性の劣化はほとんどみられないことがわかった。したがって、TiO2を予め設け、その表面に第1の気体(炭酸ガス)をイオン化して照射する方法(第1の方法)により、反射防止層14にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設けることができ、表面の電気抵抗が小さく、帯電防止などの特性を持ち、さらに、耐久性の良い光学物品を提供できることがわかった。
さらに、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成することにより、若干の吸収損失の増加が観測されるが、帯電防止及び電磁波遮断などの目的に応じた適切な導電性が得られる程度にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成することにより、吸収損失の影響は光学物品としてほとんど無視できる程度の光学物品を提供できることがわかった。
このように、反射防止層14にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設けることにより、優れた帯電防止性能及び電磁波遮断性能と、良好な透光性と、耐久性とを備えた光学物品を提供できる。
帯電防止性能及び/又は電磁波遮断性能を与えるためには、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)は、必ずしも所定の層(例えばTiOX層)の表面全体に均一に存在しなくてもよく、部分的に存在していてもよい。このようなTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22が存在することにより、反射防止層14の電気抵抗値を低減でき、導電性を高めることができる。このため、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を設ける位置は、最外の高屈折率層20の表面(外側)に限定されず、反射防止層14のいずれかの層の表面あるいは層間に設ければよく、さらに、複数の層上にそれぞれTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を形成してもよい。
本実施形態の条件から、TiO2膜22aの膜厚が8nm以上であり炭酸ガスイオンビームを照射したサンプルは帯電防止としての耐久性に優れる。また、イオンビームの照射時間は60秒以上が必要である(図13からも裏づけられる)。
反射防止層14中にTiO2からなる導電膜があり、その導電膜はTiO2表面に炭酸ガスを出発原料とするイオンビーム照射により導電処理されることにより、導電性が発現する。それは、TiO2薄膜中にXPSのC1sのスペクトルにおいて290eVに結合ピークを持つ材料で構成された導電層(膜)である。これら導電膜は、眼鏡レンズ2として、透明性、導電膜、耐久性を十分に兼ね備えたものである。
比較例では透明性、酸やアルカリに対しての耐食性の評価項目全てにおいて満足するものは得られなかった。実施例1〜6は、導電層の形成条件を変えたものであるが、殆どの評価項目において満足する結果が得られ、帯電防止メガネレンズとして十分な機能を持ったものである。
(4)第2の方法によるSiO2−ZrO2系の反射防止層を備えたサンプルの製造
TiOX(0<X≦2)蒸発源とし、炭酸ガスを第1の気体として蒸着の際のイオンアシストガスとして用い、高屈折率層20を第1の層として、その表面に透光性薄膜を形成する方法(第2の方法)により、低屈折率層18としてSiO2層、高屈折率層20としてZrO2層を採用した反射防止層14を備えたサンプルを製造した。
図19(A)及び(B)は、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層22を形成する模式的に示す図である。図19(A)及び(B)は蒸着装置100においてTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成する様子を示しており、高屈折率層20と透光性薄膜22との上下関係は図1に示したレンズサンプル2とは逆転して示されている。したがって、レンズサンプル2上に、第1層18、第2層20、第3層18、及び第4層20を成膜した後、蒸着装置100を用い、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を第5層(導電層、透光性薄膜)として成膜する様子を示している。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22は、次のようにして成膜した。図19(A)に示すように、TiO2の材料を蒸着源とし、これに熱電子を照射して蒸発させ、蒸発させたTiO2を、炭酸ガスイオンビームを用いて、第5層22形成中に照射した。(イオンアシスト蒸着)蒸着源はTiOX(0<X≦2)であってもよい。炭酸ガスイオンビームは、二酸化炭素(CO2)ガス(第1の気体)を20sccmイオンガンに導入し、プラズマ化し、イオンエネルギー800eV、イオン電流200mAとした。
炭酸ガスイオンビームをイオンアシストに用いることにより、CO2、CO、及びCを含む炭酸ガスイオンがTiO2又はTiOXとともに積層される。このため、図19(B)はTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)となる。本実施形態では、このTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層厚が8nmになるように形成した。
さらに、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22の上に、第6層として、第1及び第3層と同様の条件で、SiO2層(低屈折率層18)を成膜した。
これらの工程において、反射防止層14を形成するため、光学的性能を主に決める第1〜第4層及び第6層の層厚は、それぞれ、150nm、30nm、21nm、55nm、85nmに管理した。第4層20の表層を形成するTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層(第5層)22の厚みは、適当な導電性を得るために変えることができ、例えば厚みを8.0nmとした。
本実施形態によれば、反射防止層14の1つの層22の上に、蒸着源として遷移金属酸化物であるTiOX(0<X≦2)を用い、第1の気体(炭酸ガス)をイオン化してイオンアシストガスとしてイオンアシスト蒸着する方法(第2の方法)で、導電性のTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成することができ、従来とほぼ同等の吸収損失で透光性であり(透明であり)、良好な耐久性を有し、しかも、帯電防止性能及び電磁波遮蔽性能の優れた光学物品を提供できる。
(5)第3の方法によるSiO2−ZrO2系の反射防止層を備えたサンプルの製造
金属Tiあるいは酸化チタンのターゲットに炭酸ガスを第1の気体としてイオン化して照射し、高屈折率層20を第1の層として、その表面に透光性薄膜をスパッタリングにより形成する方法(第3の方法)により、低屈折率層18としてSiO2層、高屈折率層20としてZrO2層を採用した反射防止層14を備えたサンプルを製造した。
図20は、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層の形成を模式的に示す図である。図20(A)は、本実施形態に係るチタンターゲットに二酸化炭素ガス及びアルゴンガスをイオン化して照射している様子を示す図である。図20(B)は、本実施形態に係るZrO2層(第6層)の上にTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)がスパッタにより形成された様子を示す図である。図20(A)及び(B)はTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)22を形成する様子を示しており、高屈折率層20と透光性薄膜22との上下関係は図1に示したレンズサンプル2とは逆転して示されている。したがって、レンズサンプル2上に、第1層18、第2層20、第3層18、第4層20を成膜した後、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層を成膜する様子を示している。
Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22は、以下のようにして成膜した。チャンバ(真空容器)内を十分に真空排気し、二酸化炭素(CO2)ガス(第1の気体)とアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを、二酸化炭素(CO2)ガスの流量を100sccm、アルゴン(Ar)ガスの流量を200sccmとしてチャンバ内に導入し、チャンバ内の圧力を5.0×10-1Paとした。そして、図20(A)に示すように、二酸化炭素ガス及びアルゴンガスを高周波(RF)によりイオン化し、チタンターゲット40に照射した。これにより、図20(B)に示すように、チタンターゲット40からチタン(Ti)元素がスパッタされ、第4層20の上に堆積する。このときのCO2より分解したCO、Oなどのガスと反応し、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22として堆積する。この際、スパッタソースのRFパワーは1.5kWとした。このようにすることにより、第4層20の上に層厚8.0nmのTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を成膜した。
さらに、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22の上に、第6層として、第1層及び第3層及び第5層と同じ条件でSiO2層(低屈折率層)18を成膜した。
本実施形態によれば、反射防止層14の1つの層20の表面に、遷移金属を含むターゲットとし、第1の気体(炭酸ガス)をイオン化し、スパッタリングによりTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を生成する方法(第3の方法)により導電性のTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22を形成でき、従来とほぼ同等の吸収損失で透光性であり(透明であり)、良好な耐久性を有し、しかも、帯電防止性能及び電磁波遮蔽性能の優れた光学物品を提供できる。
なお、第3の方法を含む反射防止層の製造方法(Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層22の成膜方法)は、第1又は第2の方法を含む製造方法と同様に、SiO2−ZrO2系の反射防止層だけでなく、SiO2−TiO2系の反射防止層にも適用できる。
また、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)を含む層(透光性薄膜)は、例えば、3層以下、あるいは9層以上の反射防止層に適用することも可能であり、また、導入される透光性薄膜は1層に限定されない。また、高屈折率層と低屈折率層の組合せは、ZrO2/SiO2、TiO2/SiO2に限定されることはなく、Ta25/SiO2、NdO2/SiO2、HfO2/SiO2、Al23/SiO2などの系であってもよく、これらのいずれかの層の表面に上記透光性薄膜を形成することが可能である。
(6)光学物品(眼鏡レンズ)を含むシステムの例
図21は、本実施形態に係る眼鏡の一例を示す図である。図22は、本実施形態に係るプロジェクターの一例の概要を示す図である。図23は、本実施形態に係るデジタルカメラの一例の概要を示す図である。図24は、本実施形態に係る記録媒体の一例の概要を示す図である。
図21に、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を含む眼鏡レンズ2と、眼鏡レンズ2が装着されたフレーム200とを含む眼鏡202を示している。また、図22に、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を含むレンズ204と、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を含むカバーガラス206と、投射レンズ204及びカバーガラス206とを通して投影する光を生成する画像形成装置を示している。例えばLCD208とを備えたプロジェクター210を示している。また、図23に、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を含む撮像レンズ212と、Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層を含むカバーガラス214と、撮像レンズ212及びカバーガラス214を通して画像を取得するための撮像装置を示している。例えばCCD216とを備えたデジタルカメラ218を示している。また、図24に、本実施形態に係るTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層として形成された透過層220と、光学的な方法により記録を読み書きできる記録層222とを備えた記録媒体、例えばDVD224を示している。
本実施形態の眼鏡レンズは、これらのシステムの光学物品、例えば、レンズ、ガラス、プリズム、カバー層などとして多種多様な用途を備えている。なお、上記に示したシステムは例示にすぎず、当業者が本実施形態を利用しうる光学物品及びシステムは、本実施形態に含まれるものである。
2…レンズ(眼鏡レンズ、レンズサンプル、光学物品) 2a…表面(凸面) 4…Siウエハー 6…TiO2層 6a…表面 10…レンズ基材(光学基材) 12…ハードコート層 14…反射防止層 16…撥水膜(防汚層) 18…低屈折率層(第1層)(第3層)(第6層)(SiO2層)(第8層) 20…高屈折率層(第2層)(第4層)(ZrO2層)(反射防止層の1つの層) 22…透光性薄膜(Ti−CO3を含むTiOX(0<X≦2)層)(表面(表層))(第7層) 22a…TiOX(0<X≦2) 24…リングプローブ 24a…リング電極 24b…円形電極 26…測定装置 28…容器(ドラム) 30…不織布 32…オガクズ 34…蛍光灯 36,38…反射光 40…チタンターゲット 100…蒸着装置 102…真空容器(容器) 104…排気装置 106…ガス供給装置 108…サンプル支持台 110…基材加熱用ヒーター 112…フィラメント 114,116…蒸発源(るつぼ) 118…イオン銃 120…ターボ分子ポンプ(クライオポンプ) 122…圧力調整バルブ 124…ガス容器 126…流量制御装置 128…圧力計 200…フレーム 202…眼鏡 204…レンズ(投射レンズ) 206…カバーガラス 208…LCD 210…プロジェクター 212…撮像レンズ 214…カバーガラス 216…CCD 218…デジタルカメラ 220…透過層 222…記録層 224…DVD。

Claims (13)

  1. 光学基材の上に、直に又は他の層を介して透光性の第1の層を形成すること、
    前記第1の層の表面に、少なくともTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)である部分を有する透光性薄膜を物理的蒸着により形成すること、
    を有し、
    前記透光性薄膜を物理的蒸着により形成することは、炭素を含む第1の化合物群に含まれる少なくとも1種を含む第1の気体をイオン化し、TiOX(0<X≦2)に照射することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
  2. 請求項1に記載のレンズの製造方法において、
    前記第1の気体をイオン化することは、TiO2膜に対して前記第1の気体をイオン化して照射することにより、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
  3. 請求項1に記載のレンズの製造方法において、
    前記第1の気体をイオン化することは、TiOX(0<X≦2)を蒸着源とし、前記第1の気体をイオンアシストガスとして用い、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
  4. 請求項1に記載のレンズの製造方法において、
    前記第1の気体をイオン化することは、Tiを含むターゲットに前記第1の気体をイオン化して照射し、前記第1の層の表面に前記透光性薄膜を形成することを含むことを特徴とするレンズの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズの製造方法において、
    前記第1の気体は、二酸化炭素であることを特徴とするレンズの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズの製造方法において、
    前記レンズは、多層構造の反射防止層を有するものであり、
    前記第1の層は、前記多層構造の反射防止層に含まれる1つの層であることを特徴とするレンズの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンズの製造方法において、
    前記透光性薄膜の上に、直に又は他の層を介して防汚層を形成することをさらに有することを特徴とするレンズの製造方法。
  8. 光学基材と、
    前記光学基材の上に、直に又は他の層を介して形成された透光性の第1の層と、
    前記第1の層の表面に形成された、少なくともTi−CO3を含むTiOX(0<X≦2)である部分を有する透光性薄膜と、
    を含むことを特徴とするレンズ。
  9. 前記透光性薄膜を有する表面において測定されるシート抵抗が、2×10 Ω/□以下である請求項8に記載のレンズ。
  10. 請求項8又は9に記載のレンズにおいて、
    前記透光性薄膜は、少なくともTiOXである部分をさらに有することを特徴とするレンズ。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載のレンズにおいて、
    前記第1の層を含む多層構造の反射防止層を有することを特徴とするレンズ。
  12. 請求項11に記載のレンズにおいて、
    前記反射防止層の上に、直に又は他の層を介して形成された防汚層をさらに有することを特徴とするレンズ。
  13. 請求項8〜12のいずれか一項に記載のレンズにおいて、
    前記光学基材は、プラスチックレンズ基材であることを特徴とするレンズ。
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