JP5489603B2 - 光学物品およびその製造方法 - Google Patents
光学物品およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5489603B2 JP5489603B2 JP2009197786A JP2009197786A JP5489603B2 JP 5489603 B2 JP5489603 B2 JP 5489603B2 JP 2009197786 A JP2009197786 A JP 2009197786A JP 2009197786 A JP2009197786 A JP 2009197786A JP 5489603 B2 JP5489603 B2 JP 5489603B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- sample
- lens
- antireflection
- ion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
1.1 レンズ基材
レンズ基材1は、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。レンズ基材1の屈折率は、たとえば、1.64〜1.75程度である。この実施形態においては、屈折率は上記の範囲でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。
ハードコート層2は、耐擦傷性を向上するものである。ハードコート層2に使用される材料として、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂およびこれらの混合物もしくは共重合体等を挙げることができる。ハードコート層2の一例は、シリコーン系樹脂であり、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート層を形成できる。このコーティング組成物にはコロイダルシリカ、および多官能性エポキシ化合物等の成分が含まれていてもよい。
ハードコート層2の上に形成される反射防止層3の典型的なものは無機系の反射防止層と有機系の反射防止層である。無機系の反射防止層は多層膜で構成され、例えば、屈折率が1.3〜1.6である低屈折率層と、屈折率が1.8〜2.6である高屈折率層とを交互に積層して形成することができる。層数としては、5層あるいは7層程度が好ましい。反射防止層を構成する各層に使用される無機物の例としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、TaO2、Ta2O5、NdO2、NbO、Nb2O3、NbO2、Nb2O5、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3、HfO2、Y2O3などが挙げられる。これらの無機物は単独で用いるかもしくは2種以上を混合して用いる。
反射防止層3の上に撥水膜、または親水性の防曇膜(防汚層)4を形成することが多い。防汚層4は、光学物品(レンズ)10の表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、反射防止層3の上に、フッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる層を形成したものである。フッ素を含有する有機ケイ素化合物としては、例えば、特開2005−301208号公報や特開2006−126782号公報に記載されている含フッ素シラン化合物を好適に使用することができる。
2.1 実施例1(サンプルS1)
2.1.1 レンズ基材の選択およびハードコート層の成膜
ハードコート層2を形成するための塗布液(コーティング液)を次のように調製した。エポキシ樹脂−シリカハイブリッド(商品名:コンポセランE102(荒川化学工業(株)製))20重量部に、酸無水物系硬化剤(商品名:硬化剤液(C2)(荒川化学工業(株)製))4.46重量部を混合、攪拌して塗布液(コーティング液)を得た。このコーティング溶液を所定の厚さになるようにスピンコーターを用いて基材1の上に塗布してハードコート層2を成膜した。
2.1.2.1 蒸着装置
次に、図2に示す蒸着装置100により無機系の反射防止層3を製造(成膜)した。例示した蒸着装置100は電子ビーム蒸着装置であり、真空容器110、排気装置120およびガス供給装置130を備えている。真空容器110は、ハードコート層2までが形成されたレンズサンプル10が載置されるサンプル支持台115と、サンプル支持台115にセットされたレンズサンプル10を加熱するための基材加熱用ヒーター116と、熱電子を発生するフィラメント117とを備えており、電子銃(不図示)により蒸発源(るつぼ)112および113にセットされた蒸着材料に熱電子114を照射し蒸発させ、レンズサンプル10に材料を蒸着する。
ハードコート層2が形成されたレンズサンプル10をアセトンにて洗浄し、真空容器110の内部にて約70°Cの加熱処理を行い、レンズサンプル10に付着した水分を蒸発させる。次に、レンズサンプル10の表面にイオンクリーニングを実施した。具体的には、イオン銃118を用いて酸素イオンビームを数百eVのエネルギーでレンズサンプル10の表面に照射し、レンズサンプル10の表面に付着した有機物の除去を行った。この方法により、レンズサンプル10の表面に形成する膜の付着力を強固なものとすることができる。なお、酸素イオンの代わりに不活性ガス、例えばAr、キセノン(Xe)、N2を用いて同様の処理を行ってもよいし、酸素ラジカルや酸素プラズマを照射してもよい。
第6層(TiO2層)32を成膜後、第7層(SiO2層)31を成膜する前に、蒸着装置100を用い、Si(金属シリコン)を、アルゴンイオンを用いたイオンアシスト蒸着により第6層の表面33に添加し、図1に示すように、第6層の表面33を改質した。この処理により第6層の表面33はシリサイド化したと考えられる。イオンアシスト蒸着の条件はイオン種がアルゴン、イオンアシスト電圧は1000eV、電流は150mAであり、処理時間(蒸着時間)は10秒である。そして、電子銃の加速電圧は7kV、電流は400mAとした。7層構造でシリサイド化を施したタイプの層構造をタイプA1と呼ぶことにする。
反射防止層3を形成した後、酸素プラズマ処理を施し、真空容器110内で、分子量の大きなフッ素含有有機ケイ素化合物を含む「KY−130」(商品名、信越化学工業(株)製)を含有させたペレット材料を蒸着源として、約500°Cで加熱し、KY−130を蒸発させて、防汚層4を成膜した。蒸着時間は、約3分間程度とした。酸素プラズマ処理を施すことにより最終のSiO2層の表面にシラノール基を生成できるので、反射防止層3と防汚層4との化学的密着性(化学結合)を向上できる。蒸着終了後、真空蒸着装置100からレンズサンプル10を取り出し、反転して再び投入し、上記の2.1.2〜2.1.4の工程を同じ手順で繰り返し、反射防止層の成膜、シリサイド化および防汚層の成膜を行った。その後、レンズサンプル10を真空蒸着装置100から取り出した。これにより、レンズ基材1の両面にハードコート層2、シリサイド化されたタイプA1の反射防止層3、および防汚層4を備えた実施例1のレンズサンプルS1が得られた。
レンズ以外の光学物品の実施例として、光学基材1としてカバーガラスを用い、その表面に反射防止層3が形成されたサンプルS2を製造した。このサンプルS2では、光学基材1は、透明な白板ガラス(B270)である。この光学基材1の上に、ハードコート層を成膜せず、直に反射防止層3を成膜した。成膜方法は、上記の2.1.2と同じである。さらに、上記の2.1.3と同様にシリサイド化した。したがって、このサンプルS2は、タイプA1の反射防止層3を備えている。また、反射防止層3の上に防汚層4を形成している。
レンズサンプルS1と、カバーガラスのサンプル(ガラスサンプル)S2とについて、2.1.3のシリサイド化のための処理条件を変えた幾つかのサンプルS3〜S8を製造した。レンズサンプルS3およびガラスサンプルS4は、シリサイド化のためのイオンアシスト蒸着の条件をイオン種がアルゴン、イオンアシスト電圧は1000eV、電流は150mA、イオンアシスト蒸着により処理時間(蒸着時間)を5秒とした。レンズサンプルS5およびガラスサンプルS6は、シリサイド化のイオンアシスト蒸着の条件をイオン種がアルゴン、イオンアシスト電圧は500eV、電流は150mA、処理時間を10秒とした。レンズサンプルS7およびガラスサンプルS8は、シリサイド化のイオンアシスト蒸着の条件をイオン種がアルゴンと酸素の1対1、イオンアシスト電圧は250eV、電流は150mA、処理時間を5秒とした。
上記の実施例により得られたレンズサンプルおよびガラスサンプルと比較するために、実施例1および実施例2と同様にレンズサンプルR1およびガラスサンプルR2を製造した。ただし、シリサイド化(2.1.3)は行わなかった。すなわち、比較例1により製造されたレンズサンプルR1は、レンズ基材1と、ハードコート層2と、シリサイド化された層を含まないタイプAの反射防止層3と、防汚層4とを含む。比較例2により製造されたガラスサンプルR2は、ガラス基材1と、シリサイド化された層を含まないタイプAの反射防止層3と、防汚層4とを含む。
上記の実施例により得られたレンズサンプルと比較するために、透明な導電層としてITO(酸化インジウムスズ)層を備えたレンズサンプルR3〜R8を製造した。これらのレンズサンプルR3〜R8は、上記の実施例1と同様にレンズ基材1を選択し、ハードコート層2を成膜した(2.1.1参照)。さらに、実施例1と同様に基本的には7層からなる反射防止層3を成膜した(2.1.2参照)。
上記により製造されたサンプルS1〜S8およびR1〜R8について、シート抵抗、ごみの付着試験、吸収損失、耐薬品性(剥がれの発生の有無)、耐湿性(むくみの発生の有無)について評価した。それらの評価結果を図4にまとめて示している。
図5(A)および(B)に、各サンプルのシート抵抗を測定する様子を示している。この例では、測定対象、たとえば、レンズサンプル10の表面10Aにリングプローブ61を接触し、レンズサンプル10の表面10Aのシート抵抗を測定した。測定装置60は、三菱化学(株)製高抵抗抵抗率計ハイレスタUP MCP−HT450型を使用した。使用したリングプローブ61は、URSタイプであり、2つの電極を有し、外側のリング電極61Aは外径18mm、内径10mmであり、内側の円形電極61Bは直径7mmである。それらの電極間に1000V〜10Vの電圧を印加し、各サンプルのシート抵抗を計測した。
プラスチックレンズの表面上で、眼鏡レンズ用拭き布を1kgの垂直荷重にて10往復こすりつけ、このときに発生した静電気によるごみの付着の有無を調べた。ここで、ごみとしては、発泡スチロールを約5mmの大きさに砕いたものを使用した。判断基準は以下の通りである。
○:ごみの付着が認められなかった。
△:ごみが数個付着していることが認められた。
×:数多くのごみが付着していることが認められた。
光の吸収損失を測定した。光の吸収損失は、表面が湾曲していたりすると測定が難しい。このため、上記のサンプルS1〜S8のうち、ガラスサンプルS2、S4、S6およびS8について吸収損失を測定し、ガラスサンプルR2の吸収損失と比較した。
吸収率(吸収損失)=100%−透過率−反射率 ・・・・(A)
以下、吸収率は波長550nm付近の吸収率を記している。
各サンプルの表面に傷をつけ、その後、薬液浸漬を行い、反射防止膜の剥がれの有無を観察して耐薬品性を評価した。
図6(A)に示す容器(ドラム)71の内壁に図6(B)に示すように評価用のサンプル10を4つ貼り付け、擦傷用として不織布73とオガクズ74を入れる。そして、蓋をした後、図7に示すようにドラム71を30rpmで30分間回転させる。
人の汗を模した薬液(純水に乳酸を50g/L、塩を100g/L溶解した溶液)を用意した。(1)の擦傷工程を経たサンプル10を、50°Cに保持した薬液に100時間浸漬した。
上記の工程を経たサンプル10を従来のサンプルであるサンプルR1およびR2を基準に目視により評価した。判断基準は以下の通りである。
○:基準のサンプルと比較し、傷がほとんど見えず、同等の透明性がある。
△:基準のサンプルに対して傷が見え、透明性が劣る。
×:基準のサンプルに対して層の剥離および多数の傷が見え、透明性が著しく低下した。
(1)恒温恒湿度環境試験
作製した各サンプルを恒温恒湿度環境(60°C、98%RH)で8日間放置した。
上記の恒温恒湿度環境試験を経た各サンプルの表面または裏面の表面反射光を観察し、むくみの有無を判断した。具体的には、図8に示すように、サンプル10の凸面10Aにおける蛍光灯75の反射光を観察した。図9(A)に示すように、蛍光灯75の反射光76の像の輪郭がくっきりと明瞭に観察できる場合は「むくみ無し」と判定した。一方、図9(B)に示すように、蛍光灯75の反射光77の像の輪郭がぼやけている、またはかすれて観察できるときは「むくみ有り」と判定した。
図4に示す様にシリサイド化を施したサンプルS1〜S8についてはむくみの発生は観測されず、すぐれた耐湿性を示した。一方、ITO層を成膜したサンプルR3〜R8については、ITO層の膜厚が厚くなるとむくみの発生がみられ、ITO層を成膜することによりサンプルの耐湿性が低下する可能性があることを示している。
以上の各評価より、反射防止層3の1つの層の表面をシリサイド化したサンプルS1〜S8については、シート抵抗が大幅に低下し、その一方で、耐薬品性および耐湿性の劣化はなく、帯電防止などの特性を持ち、さらに、耐久性の良い光学物品であることがわかった。シリサイド化することにより、若干の吸収損失の増加が観測される。しかしながら、帯電防止および電磁波遮断などの他の目的に応じた適切な導電性が得られる程度にシリサイド化を施すことにより、吸収損失の影響は光学物品としてほとんど無視できる程度のものを提供できる。このため、ある層の表面をシリサイド化することにより、良好な透光性と、さらに、優れた帯電防止性能および電磁波遮断性能とを備えた光学物品を提供できる。
4.1 実施例9(サンプルS9)
4.1.1 サンプルS9の製造
上記の実施例1と同様にレンズ基材1を選択し、ハードコート層2を成膜した(2.1.1参照)。さらに、実施例1と同様の蒸着装置100を用いて同様の工程で反射防止層3を成膜した(2.1.2参照)。ただし、実施例9のサンプルレンズS9には、図11に示すように、二酸化ケイ素(SiO2)層を低屈折率層31として形成し、酸化ジルコニウム(ZrO2)層を高屈折率層32として形成した。図11に示すように、第1層、第3層および第5層が低屈折率層31であり、イオンアシストは行わず、真空蒸着によりSiO2層を成膜した。成膜レートは2.0nm/secとした。第2層および第4層が高屈折率層32であり、タブレット状のZrO2焼結体材料を電子ビームで加熱蒸発させZrO2層として成膜した。成膜レートは0.8nm/secとした。第1〜第5層の膜厚は、150nm、30nm、21nm、55nm、85nmに管理した。この5層からなる層構造、すなわち、第1層、第3層および第5層がSiO2層、第2層および第4層がZrO2層の層構造をタイプBの層構造と呼ぶことにする。反射防止層3を形成した後、実施例1と同様に防汚層4を成膜した(2.1.4参照)。
第4層(ZrO2層)を成膜後、第5層(SiO2層)を成膜する前に、Si(金属シリコン)を、アルゴンイオンを用いてイオンアシスト蒸着して添加し、表面33を改質した。この処理により、第4層(ZrO2層)32の表面33がシリサイド化されたと考えられる。イオンアシスト蒸着の条件はイオン種がアルゴン、イオンアシスト電圧は1000eV、電流は150mAであり、イオンアシスト蒸着の時間(処理時間)は10秒である。この5層構造でシリサイド化を施したタイプの層構造をタイプB1と呼ぶことにする。
実施例2と同様にレンズ以外の光学物品の実施例として、光学基材1としてカバーガラスを用い、その表面に反射防止層3が形成されたサンプルS10を製造した。このサンプルS10では、光学基材1は、透明な白板ガラス(B270)である。この光学基材1の上に、ハードコート層を成膜せず、直に反射防止層3を成膜した。成膜方法は、上記の4.1と同じである。さらに、上記の4.1.2と同様にシリサイド化した。したがって、このサンプルS10は、タイプB1の反射防止層3を備えている。また、反射防止層3の上に、防汚層4を形成した。
レンズサンプルS9と、カバーガラスのサンプル(ガラスサンプル)S10とについて、4.1.2のシリサイド化の条件を変えた幾つかのサンプルS11〜S16を製造した。レンズサンプルS11およびガラスサンプルS12は、イオンアシストを実施しないで第4層(ZrO2層)の表面に厚さ1nm程度に達するTiO2層(或いはTiOx層)を作成して下地処理した。その後、シリコンSiをイオンアシスト蒸着して添加した。この処理により、第4層(ZrO2層)32の表面33をシリサイドに改質できたと考えられる。シリサイド化のイオンアシスト蒸着の条件をイオン種がアルゴン、イオンアシスト電圧は500eV、電流は150mA、処理時間(イオンアシスト蒸着の時間)を10秒とした。
上記の実施例により得られたレンズサンプルおよびガラスサンプルと比較するために、実施例10と同様にガラスサンプルR9を製造した。ただし、シリサイド化(4.1.2に相当)は行わなかった。すなわち、比較例9により製造されたガラスサンプルR9は、ガラス基材1と、シリサイド化された層を含まないタイプBの反射防止層3とを含む。
上記3.と同様に、サンプルS9〜S16およびR9〜R11について、シート抵抗、ごみの付着試験、吸収損失、耐薬品性(剥がれの発生の有無)、耐湿性(むくみの発生の有無)について評価した。それらの評価結果を図13にまとめて示している。
5.1 実施例17(サンプルS17)
5.1.1 サンプルS17の製造
図14に示すように有機系反射防止層35を備えたレンズサンプルS17を製造した。まず、上記の実施例1と同様にレンズ基材1を選択し、ハードコート層2を成膜した(2.1.1参照)。このハードコート層2の表面に有機系の層35により反射防止層3を形成した。
反射防止層35を成膜後、防汚層4を成膜する前に、反射防止層35の表面36に、イオンアシストの実施をせず厚さ2nm程度のTiOx層(或いはTiO2層)を作る下地処理を行い、Si原子をイオンアシスト蒸着により添加した。この処理により有機系の反射防止層35の表面をシリサイドに改質した。イオンアシスト蒸着の条件はイオン種がアルゴン、イオンアシスト電圧は1000eV、電流は150mAであり、処理時間(イオンアシスト蒸着時間)は10秒である。
上記3.と同様に、サンプルS17について、シート抵抗、吸収損失、耐薬品性(剥がれの発生の有無)、耐湿性(むくみの発生の有無)について評価した。シート抵抗は、1×1010[Ω/□]であり、優れた帯電防止性能が得られた。波長550nm付近の光の吸収損失は0.5%程度であり、眼鏡レンズとして問題のない値であり、十分な透光性を備えている。また、耐薬品性は○であり、日常的に用いられる環境において、優れた耐薬品性を示した。むくみの発生は観測されず、すぐれた耐湿性を示した。
図15に、上記のサンプルS1〜S16およびR3〜R8において測定されたシート抵抗をシリサイド化のためにシリコンを添加する処理時間と、ITO層を成膜するための処理時間(ITOの蒸着時間)の関係を示している。
Claims (6)
- 光学基材に直にまたは他の層を介して透光性の第1の層を形成することと、
前記第1の層の表面を低抵抗化することと、
を含み、
前記第1の層は金属酸化物を含む層であり、かつ
前記低抵抗化することは、前記第1の層の表面にシリコンを添加しシリサイド化することを含む、
光学物品の製造方法。 - 請求項1において、
前記低抵抗化することは、金属を添加することを含む、
光学物品の製造方法。 - 光学基材と、
前記光学基材に直にまたは他の層を介して形成された透光性の第1の層と、
を有し、
前記第1の層の表面がシリサイド化されており、かつ
波長550nmにおいて、下記式(A):
吸収率=100%−透過率―反射率 ・・・(A)
にて算出される吸収率が3%以下である、
光学物品。 - 請求項3において、
多層構造の反射防止層を有し、
前記第1の層は前記反射防止層に含まれる、
光学物品。 - 請求項3または請求項4において、前記光学基材は、プラスチックレンズ基材である、光学物品。
- 眼鏡レンズである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009197786A JP5489603B2 (ja) | 2009-01-14 | 2009-08-28 | 光学物品およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009005414 | 2009-01-14 | ||
JP2009005414 | 2009-01-14 | ||
JP2009197786A JP5489603B2 (ja) | 2009-01-14 | 2009-08-28 | 光学物品およびその製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010186159A JP2010186159A (ja) | 2010-08-26 |
JP2010186159A5 JP2010186159A5 (ja) | 2012-09-06 |
JP5489603B2 true JP5489603B2 (ja) | 2014-05-14 |
Family
ID=42766832
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009197786A Expired - Fee Related JP5489603B2 (ja) | 2009-01-14 | 2009-08-28 | 光学物品およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5489603B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012032690A (ja) | 2010-08-02 | 2012-02-16 | Seiko Epson Corp | 光学物品およびその製造方法 |
CN103105632A (zh) * | 2012-11-09 | 2013-05-15 | 江苏淘镜有限公司 | 真空镀膜方法得到的超防水保护膜 |
JP2016080943A (ja) * | 2014-10-20 | 2016-05-16 | 株式会社コシナ | 反射防止膜及び光学素子 |
JP6611192B2 (ja) * | 2014-10-20 | 2019-11-27 | 日本板硝子株式会社 | 低反射コーティング付きガラス板及びそれを用いた合わせガラス |
JP6986339B2 (ja) * | 2015-08-18 | 2021-12-22 | 日本精化株式会社 | 反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法 |
CN114578462A (zh) * | 2021-03-22 | 2022-06-03 | 浙江舜宇光学有限公司 | 光学成像镜头 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6111749A (ja) * | 1984-06-27 | 1986-01-20 | Toppan Printing Co Ltd | フオトマスクブランク |
JPH03297143A (ja) * | 1990-04-16 | 1991-12-27 | Oki Electric Ind Co Ltd | 金属シリサイド膜の形成方法およびこの方法を用いた半導体装置の製造方法 |
JP2984030B2 (ja) * | 1990-06-05 | 1999-11-29 | アルバック成膜株式会社 | フォトマスク材用基板、フォトマスク材及びそれらの製造法 |
JP2005352494A (ja) * | 2000-04-07 | 2005-12-22 | Canon Inc | マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ及びそれらを用いた固体撮像装置 |
JP2002071902A (ja) * | 2000-08-25 | 2002-03-12 | Asahi Glass Co Ltd | 光吸収性反射防止体 |
JP2004341052A (ja) * | 2003-05-13 | 2004-12-02 | Ito Kogaku Kogyo Kk | 光学要素 |
-
2009
- 2009-08-28 JP JP2009197786A patent/JP5489603B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010186159A (ja) | 2010-08-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5489604B2 (ja) | 光学物品の製造方法 | |
JP5622468B2 (ja) | レンズの製造方法及びレンズ | |
US8789944B2 (en) | Optical article and optical article production method | |
EP2286985B1 (en) | Method of producing a plastic lens having an antistatic coating | |
JP5489603B2 (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2010231171A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
EP2199835A1 (en) | Optical component and manufacturing method of the optical component | |
JP5698902B2 (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2010102157A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP5867794B2 (ja) | 眼鏡レンズの製造方法および光学物品の製造方法 | |
JP2010140008A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
TWI706921B (zh) | 光學鍍膜的方法、裝置及產品 | |
JP5779317B2 (ja) | 光学物品の製造方法 | |
JP2006171204A (ja) | 光学要素の製造方法 | |
JP2010072636A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP5922324B2 (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
AU2015388446B2 (en) | Anti-reflective sputtering stack with low RV and low RUV | |
JP2010072635A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2011017949A (ja) | 光学物品の製造方法およびその方法により製造された光学物品 | |
JP2001290112A (ja) | プラスチック製ミラーコートレンズ | |
JP2016075964A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP2005070616A (ja) | 光学物品 | |
JP2011145443A (ja) | 光学物品およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120724 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120724 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20130418 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130829 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130903 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131203 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140212 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140225 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5489603 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |