JP2002071902A - 光吸収性反射防止体 - Google Patents

光吸収性反射防止体

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JP2002071902A
JP2002071902A JP2000256060A JP2000256060A JP2002071902A JP 2002071902 A JP2002071902 A JP 2002071902A JP 2000256060 A JP2000256060 A JP 2000256060A JP 2000256060 A JP2000256060 A JP 2000256060A JP 2002071902 A JP2002071902 A JP 2002071902A
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absorbing
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Tomohiro Yamada
朋広 山田
Satoru Takagi
悟 高木
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Asahi Glass Co Ltd
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低い表面抵抗値、低反射性能、耐熱性を有し、
可視域において透過率がほぼ一定な光吸収性反射防止体
の提供。 【解決手段】基体10側から順に、第1の光吸収膜1
1、屈折率が1.9〜2.7の高屈折率膜12、第2の
光吸収膜13、屈折率が1.35〜1.6の低屈折率膜
14が形成されてなり、第1の光吸収膜11が、Ti、
ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上の金属
とSiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の元
素との合金からなる金属膜であり、第2の光吸収膜13
が、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種
以上の金属を含む金属膜または窒化物膜である光吸収性
反射防止体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光吸収性反射防止
体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの急速な普及ととも
に、端末オペレータの作業環境を改善するために、ディ
スプレイ表面の反射低減や帯電防止が要求されつつあ
る。特にCRT(陰極線管)では、コントラスト向上の
ためにCRTパネルガラスの透過率を低下させたり、電
磁波を遮蔽することが求められるようになってきてい
る。
【0003】一方、近年、CRTディスプレイの平面化
が進み、CRTパネルガラスの中央部と周辺部に、従来
の曲面管に比べて大きな肉厚差が強度上必須となるた
め、従来のように、透過率の低いガラス素地を用いてコ
ントラストを向上させる手段では、画面中央部と画面周
辺部の明るさが異なる欠点が生ずるようになってきた。
【0004】そこで、CRTパネルガラスに、より透過
率の高いガラス素地を用いることが提案されている。そ
の一方で、高透過率のガラス素地を用いた場合にはコン
トラストの低下をまねく。そこで、CRT表面に形成す
る反射防止膜として、透過率を低くしたものが要求され
ている。
【0005】従来技術として、基体側から順に、遷移金
属窒化物膜/透明膜/遷移金属窒化物膜/透明膜の4層
の多層膜からなる低透過率の反射防止膜が提案されてい
る(米国特許第5,091,244号)。しかし、この
反射防止膜では、波長650nm付近の透過率が波長5
50nm付近の透過率に比べてかなり低下する。結果、
CRTの赤色の輝度を上げるためにカソード電流の増加
が必要になるが、その場合、電子ビームのスポット精度
が悪化する(スポット精度の悪化は、特に赤色に用いら
れる電子ビームで顕著)ため、高解像度化が難しいとい
う問題があった。
【0006】また別の従来技術として、基体側から順
に、Cr膜/Siの窒化物膜/Tiの窒化物膜/Siの
酸化物膜の4層の多層膜からなる低透過率の反射防止膜
が提案されている(特開2000−193801)。一
方、反射防止膜は、熱処理に耐えられることが望まれて
いる。例えば、CRTパネルガラスの表面に反射防止膜
を成膜した後、該CRTパネルガラスにはCRTとして
製品化される工程において、大気雰囲気で約450℃の
熱処理が施される。前記の特開2000−193801
記載の反射防止膜では、前記熱処理前後で可視光反射率
が変化し、実用上、耐熱性は必ずしも充分ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電磁波遮蔽
性能を発現しうる低い表面抵抗値を有するとともに、膜
面側からの入射光に対して低反射性能を有し、かつ40
0〜700nmの波長域の全域において透過率がほぼ一
定であって、耐熱性に優れた光吸収性反射防止体の提供
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体側から順
に、膜厚(幾何学的膜厚の意であり、以下も同様。)が
1〜30nmの第1の光吸収膜、膜厚が20〜100n
mの高屈折率膜、膜厚が1〜30nmの第2の光吸収
膜、膜厚が50〜150nmの低屈折率膜が形成されて
なる光吸収性反射防止体であって、第1の光吸収膜が、
Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上
の金属とSiおよびAlからなる群から選ばれる1種以
上の元素との合金からなる合金膜であり、高屈折率膜が
波長400〜700nmにおいて1.9〜2.7の屈折
率を有する膜であり、第2の光吸収膜が、前記高屈折率
膜とは異なる組成からなり、かつ該第2の光吸収膜が、
Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上
の金属からなる金属膜、該金属の窒化物膜、Ti、Zr
およびHfからなる群から選ばれる1種以上の金属とS
iおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の元素と
の合金からなる合金膜、または、該合金の窒化物膜であ
り、低屈折率膜が波長400〜700nmにおいて1.
35〜1.6の屈折率を有する膜である光吸収性反射防
止体である。
【0009】本発明における第1の光吸収膜は、Ti、
ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上の金属
(A群)とSiおよびAlからなる群から選ばれる1種
以上の元素(B群)との合金からなる金属膜である。特
に、光学特性および生産性の観点から、A群の金属とし
てはTiであることが好ましい。第1の光吸収膜として
具体的には、TiSi合金膜、TiAl合金膜が挙げら
れる。
【0010】なお、TiSi合金膜の場合には、反射防
止能の観点から、Si/(Ti+Si)の原子比が0超
0.7未満であることが好ましい。本発明における第1
の光吸収膜の好ましい膜厚は1〜25nmである。
【0011】本発明における第2の光吸収膜は、A)T
i、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上の
金属からなる金属膜、B)該金属の窒化物膜、C)T
i、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上の
金属とSiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上
の元素との合金からなる合金膜、または、D)該合金の
窒化物膜、である。耐久性や生産性の観点から、第2の
光吸収膜は、B)の膜、特にTiの窒化物膜であること
が好ましい。Tiの窒化物を含む膜の代表例であるTi
の窒化物膜は、後述する低屈折率膜として好適なSiの
酸化物膜と組合わせて用いられることにより、低屈折率
膜側からの入射光に対する低反射性能発現に有利な光学
定数をとる。本発明における第2の光吸収膜の好ましい
膜厚は1〜25nmである。
【0012】本発明における高屈折率膜は、Siおよび
Alからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物
膜、該元素の酸窒化物膜、または、Sn、Zn、Zr、
In、Ta、Nb、Ti、BiおよびCrからなる群か
ら選ばれる1種以上の金属の酸化物膜であることが好ま
しい。特に、400〜700nm(以下、可視域とい
う)の全域における消衰係数が0.03以下である透明
高屈折率膜であることが好ましい。
【0013】前記の透明高屈折率膜としては、Siおよ
びAlからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物
膜や、Sn、Zn、Zr、In、Ta、NbおよびTi
からなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物膜が挙
げられる。特に、屈折率、耐久性の観点から、Siの窒
化物膜であることが好ましい。
【0014】高屈折率膜としては、微吸収性高屈折率膜
も用い得る。より低い透過率を発現させるうえでは微吸
収性高屈折率膜を用いることが好ましい。微吸収性高屈
折率膜は、可視域における消衰係数が0.05〜0.6
(特に0.05〜0.4)の範囲にあり、かつその消衰
係数が短波長側ほど大きい材料からなることが好まし
い。
【0015】前記の微吸収性高屈折率膜としては、Si
の窒化物膜、Siの酸窒化物膜、Biの酸化物膜または
Crの酸化物膜が挙げられる。特に、屈折率、耐久性の
観点から、Siの窒化物膜(例えば酸素をわずかに含有
するSiの窒化物膜)であることが好ましい。本発明に
おける高屈折率膜の好ましい膜厚は30〜100nmで
ある。
【0016】本発明における低屈折率膜は、可視域全域
における消衰係数が0.03以下である透明低屈折率膜
であることが好ましい。前記透明低屈折率膜としては、
Siの酸化物膜またはMgのフッ化物膜が挙げられる。
特に、屈折率、耐久性の観点から、Siの酸化物膜であ
ることが好ましい。本発明における低屈折率膜の好まし
い膜厚は60〜130nmである。
【0017】本発明における各種の膜の成膜方法は特に
限定されず、スパッタリング法、CVD法、スピンコー
ト法、ディップコート法などが挙げられる。生産性の観
点からは、いずれの膜もスパッタリング法で成膜される
ことが好ましい。
【0018】第1の光吸収膜については、例えば、T
i、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1種以上の
金属とSiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上
の元素との合金からなるターゲットを不活性ガス雰囲気
中でスパッタリングする。成膜された第1の光吸収膜に
は少量の不純物が含まれてもよい。高屈折率膜であるS
iの窒化物膜については、例えば、導電性のSiターゲ
ットを窒素ガスの存在下でスパッタリングする。ターゲ
ットに導電性を持たせるために少量の不純物が添加され
得るが、成膜されたSiの窒化物膜中に該不純物が含ま
れてもよい。また、Siの窒化物膜には微量の酸素が含
まれてもよい。
【0019】第2の光吸収膜である前記A)の膜につい
ては、例えば、Ti、ZrおよびHfからなる群から選
ばれる1種以上の金属からなるターゲットを不活性ガス
雰囲気中でスパッタリングする。第2の光吸収膜である
前記B)の膜については、例えば、Ti、ZrおよびH
fからなる群から選ばれる1種以上の金属からなるター
ゲットを窒素ガスの存在下でスパッタリングする。
【0020】第2の光吸収膜である前記C)の膜につい
ては、例えば、Ti、ZrおよびHfからなる群から選
ばれる1種以上の金属とSiおよびAlからなる群から
選ばれる1種以上の元素との合金からなるターゲットを
不活性ガス雰囲気中でスパッタリングする。第2の光吸
収膜である前記D)の膜については、例えば、Ti、Z
rおよびHfからなる群から選ばれる1種以上の金属と
SiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の元素
との合金からなるターゲットを窒素ガスの存在下でDC
スパッタリングする。成膜された第2の光吸収膜には少
量の不純物が含まれてもよい。
【0021】低屈折率膜であるSiの酸化物膜について
は、例えば、導電性のSiターゲットを酸素ガスの存在
下でスパッタリングする。ターゲットに導電性を持たせ
るために少量の不純物が添加され得るが、成膜されたS
iの酸化物膜中に該不純物が含まれてもよい。
【0022】本発明の光吸収性反射防止体は、視認性向
上の観点から、低屈折率膜側からの入射光に対する膜面
のみの可視光反射率(以下、膜面可視光反射率という)
が0.6%以下であることが好ましい。膜面可視光反射
率は、基体の裏面(膜が形成された面とは反対側の面)
に黒色ラッカーを塗布して裏面反射を消して、膜面のみ
の可視光反射率として測定される。
【0023】本発明において用いられる基体は特に限定
されず、ガラス基体、プラスチック基体などの透明基体
が挙げられる。ガラス基体としては、CRTを構成する
パネルガラス、熱封着後のCRT(パネル表面に成膜さ
れる)、ディスプレイ(例えばCRTやPDP等)と操
作者との間に設置されるフィルタを構成するガラス基板
などが挙げられる。
【0024】プラスチック基体としては、ポリエチレン
テレフタレート(PET)からなるプラスチック基板や
プラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチック
フィルムはディスプレイ等の表面に貼付して用いられ
る。基体としてプラスチック基体を用いた場合は、本発
明の耐熱性改善の効果を利用できないが、基体としてガ
ラス基体(特にCRT用パネルガラス)を用いた場合
は、本発明の耐熱性改善の効果が顕著にあらわれる。
【0025】光吸収性反射防止体は、コントラスト向上
およびディスプレイの輝度の観点から、可視光透過率が
35〜90%(特に35〜70%)であることが好まし
い。光吸収性反射防止体は、二重像(ディスプレイに映
る像が二重に見えること)を軽減する観点から、本発明
における4層の膜が形成された側とは反対側からの入射
光に対する可視光反射率が10%以下であることが好ま
しい。
【0026】熱処理(大気雰囲気、450℃)前後での
透過率変化を効果的に抑えられることから、基体と第1
の光吸収膜との間に、Siの窒化物膜および/またはS
iの炭化物膜が形成されることが好ましい。膜厚は1〜
10nm、特に2〜7nmであることが好ましい。低反
射性の観点からは、Siの炭化物膜であることが好まし
い。
【0027】
【実施例】[例1(実施例)]真空槽内に、Ti−15
at%Si合金と、多結晶Si(Bドープ)と、金属T
iとをそれぞれターゲットとしてカソード上に設置し、
真空槽を5×10- 4Paまで排気した。真空槽内に設置
したソーダライムガラス基板10上に、次のようにして
図1に示す4層膜を形成した。なお、Ti−15at%
Si合金とは、TiとSiの総量に対してSiが15原
子%含有された合金の意であり、以下も同様とする。
【0028】(1)まず放電ガスとしてアルゴンを導入
し、圧力が3×10- 1Paになるようコンダクタンスを
調整した。次いでTi−15at%Siのカソードに
1.4W/cm2の電力密度で直流を投入し、直流(D
C)スパッタリングにより5nmのTiSix膜11を
成膜した。 (2)ガス導入を停止し、真空槽内を高真空とした後、
放電ガスとしてアルゴンと窒素の混合ガス(Ar/N2
=1/1)を導入し、圧力が3×10- 1Paになるよう
コンダクタンスを調整した。次いでSiのカソードに
2.8W/cm2の電力密度で直流を投入し、DCスパ
ッタリングにより60nmの透明なSiN x膜12を形
成した。
【0029】(3)ガス導入を停止し、真空槽内を高真
空とした後、放電ガスとしてアルゴンと窒素の混合ガス
(Ar/N2=4/1)を導入し、圧力が3×10- 1
aになるようコンダクタンスを調整した。次いでTiの
カソードに1.9W/cm2の電力密度で直流を投入
し、DCスパッタリングにより10nmのTiNx膜1
3を成膜した。 (4)ガス導入を停止し、真空槽内を高真空とした後、
放電ガスとしてアルゴンと酸素の混合ガス(Ar/O2
=1/2)を導入し、圧力が3×10- 1Paになるよう
コンダクタンスを調整した。次いでSiのカソードに
5.6W/cm2の電力密度で直流を投入し、DCスパ
ッタリングにより100nmの透明なSiO2膜14を
形成した。
【0030】得られた光吸収性反射防止体について、分
光透過率を測定した。また、このサンプルの膜面可視光
反射率を求めるために膜が形成された側の分光反射率
(以下膜面分光反射率という)を測定した。膜面分光反
射率はガラス基板の裏面(膜が形成された面とは反対側
の面)に黒色ラッカーを塗布して裏面反射を消した状態
で測定した。また、ガラス基板の裏面側の分光反射率
(以下ガラス面側分光反射率という)も測定した。得ら
れた分光透過率の曲線15、ガラス面側分光反射率の曲
線16および膜面分光反射率の曲線17を図2に示し
た。
【0031】[例2〜5(実施例)、例6〜7(比較
例)]例1における一部の条件を表1、2に示すように
変更した以外は例1と同様にして、各種の光吸収性反射
防止体を作製した。ただし、表1には示していないが、
例5では基板10と膜11との間にSiNx膜を5nm
形成した。例1〜7の膜構成を表3に示す。例2〜7で
得られた光吸収性反射防止体の分光透過率曲線、ガラス
面側分光反射率曲線および膜面分光反射率曲線を、それ
ぞれ図4、図6、図8、図10、図12、図14に示し
た。
【0032】例1〜7の光吸収性反射防止膜付きガラス
を約5cm角に切り出し、シート抵抗値を非接触式の導
電率計で測定した。シート抵抗値は電磁波遮蔽の観点か
ら、1kΩ/□以下、特に500Ω/□以下であること
が好ましい。シート抵抗値、分光曲線から求めた膜面可
視光反射率(膜面のみ)、可視光透過率(ガラス基板込
み)およびガラス面側可視光反射率(ガラス基板込み)
を表4に示す。なお、可視光透過率およびガラス面側可
視光反射率はJIS R3106に基づいて測定した。
【0033】また、例1〜6の光吸収性反射防止膜付き
ガラスにそれぞれ大気雰囲気中、450℃、30分の熱
処理を2回施した。例1〜6の熱処理後の光吸収性反射
防止体の分光透過率曲線、ガラス面側分光反射率曲線お
よび膜面分光反射率曲線を、それぞれ図3、図5、図
7、図9、図11、図13に示した。該熱処理後の、シ
ート抵抗値、分光曲線から求めた膜面可視光反射率(膜
面のみ)、可視光透過率(ガラス基板込み)およびガラ
ス面側可視光反射率(ガラス基板込み)も表4に示す。
【0034】本発明の光吸収性反射防止体(例1〜5)
は、650nm付近の透過率が550nm付近の透過率
に比べて大きく低下することがなく、熱処理後も膜面可
視光反射率の絶対値の増加は0.2%以下に抑えられて
いる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な膜構成で総膜厚
をあまり大きくすることなく、適度な光吸収率を有し、
膜面側からの入射光に対して低反射性能を有する光吸収
性反射防止体を得ることができる。また、本発明の光吸
収性反射防止体は、特定の光吸収膜を2層有するのでシ
ート抵抗値が低く、実用上充分な電磁波遮蔽性能を発現
する。
【0040】本発明の光吸収性反射防止体を、ディスプ
レイの表示面を構成するガラス(例えばCRT用パネル
ガラスやPDP用の前面ガラス)、フェイスプレートガ
ラス、フィルタガラス等として用いれば、表示画面のコ
ントラストを改善でき、その効果は透明反射防止体を用
いた場合より顕著となる。また、本発明の光吸収性反射
防止体は、裏面からの入射光に対しても反射率が低く、
いわゆる二重像の程度が軽減される。したがって、フラ
ットな表面形状を有するCRTに本発明の光吸収性反射
防止体を用いれば、中央部と周辺部での輝度差がなく、
また二重像による視認性の低下もないCRTが得られ
る。
【0041】また、本発明の光吸収性反射防止体は、可
視域にわたってほぼ一定な透過特性を有するため、電子
ビームのスポット精度が悪化するほどにはカソード電流
を増す必要がなく、高解像度化に有利である。また、耐
熱性に優れるため、CRT製造における真空熱封着工程
に要求される程度の熱処理には充分耐えられる。したが
って、CRT用パネルガラスに本発明の光吸収性反射防
止体を用いれば、成膜した後に熱処理し、CRTを組み
立てることができる。また、CRTに限らず、耐熱性の
要求される用途への適用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す模式的断面図。
【図2】例1の分光透過率、ガラス面側分光反射率およ
び膜面分光反射率を示す図。
【図3】例1の熱処理後の分光透過率、ガラス面側分光
反射率および膜面分光反射率を示す図。
【図4】例2の分光透過率、ガラス面側分光反射率およ
び膜面分光反射率を示す図。
【図5】例2の熱処理後の分光透過率、ガラス面側分光
反射率および膜面分光反射率を示す図。
【図6】例3の分光透過率、ガラス面側分光反射率およ
び膜面分光反射率を示す図。
【図7】例3の熱処理後の分光透過率、ガラス面側分光
反射率および膜面分光反射率を示す図。
【図8】例4の分光透過率、ガラス面側分光反射率およ
び膜面分光反射率を示す図。
【図9】例4の熱処理後の分光透過率、ガラス面側分光
反射率および膜面分光反射率を示す図。
【図10】例5の分光透過率、ガラス面側分光反射率お
よび膜面分光反射率を示す図。
【図11】例5の熱処理後の分光透過率、ガラス面側分
光反射率および膜面分光反射率を示す図。
【図12】例6の分光透過率、ガラス面側分光反射率お
よび膜面分光反射率を示す図。
【図13】例6の熱処理後の分光透過率、ガラス面側分
光反射率および膜面分光反射率を示す図。
【図14】例7の分光透過率、ガラス面側分光反射率お
よび膜面分光反射率を示す図。
【符号の説明】
10:基板 11:第1の光吸収膜 12:高屈折率膜 13:第2の光吸収膜 14:低屈折率膜 15、18、21、24、27、30、33、36、3
9、42、45、48、51:分光透過率 16、19、22、25、28、31、34、37、4
0、43、46、49、52:ガラス面側分光反射率 17、20、23、26、29、32、35、38、4
1、44、47、50、53:膜面分光反射率
フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA05 BB02 CC02 CC03 CC06 CC14 DD04 4F100 AA05E AA12C AA12D AA12E AA13C AA16E AA17C AA20E AA21C AA22C AA25C AA27C AA28C AB01B AB01D AB10B AB10D AB11B AB11D AB12B AB12D AB19B AB19D AB31B AB31D AD04C AD04D AD05 AD05E AD08E AG00A AT00A BA05 BA07 BA10A BA10E BA13 BA26 EH66 GB41 JA20B JA20C JA20D JA20E JD08 JD08B JD08D JD14B JD14D JG04 JJ03 JN06 JN06A JN06E JN08 JN18C JN18E JN30B JN30D YY00 YY00A YY00B YY00C YY00D YY00E 5C032 AA02 DD02 DE01 DE03 DF05 DG01 DG02 DG04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に、基体側から順に、膜厚が1〜3
    0nmの第1の光吸収膜、膜厚が20〜100nmの高
    屈折率膜、膜厚が1〜30nmの第2の光吸収膜、膜厚
    が50〜150nmの低屈折率膜が形成されてなる光吸
    収性反射防止体であって、 第1の光吸収膜が、Ti、ZrおよびHfからなる群か
    ら選ばれる1種以上の金属とSiおよびAlからなる群
    から選ばれる1種以上の元素との合金からなる合金膜で
    あり、 高屈折率膜が波長400〜700nmにおいて1.9〜
    2.7の屈折率を有する膜であり、 第2の光吸収膜が、前記高屈折率膜とは異なる組成から
    なり、かつ該第2の光吸収膜が、Ti、ZrおよびHf
    からなる群から選ばれる1種以上の金属からなる金属
    膜、該金属の窒化物膜、Ti、ZrおよびHfからなる
    群から選ばれる1種以上の金属とSiおよびAlからな
    る群から選ばれる1種以上の元素との合金からなる合金
    膜、または、該合金の窒化物膜であり、 低屈折率膜が波長400〜700nmにおいて1.35
    〜1.6の屈折率を有する膜である光吸収性反射防止
    体。
  2. 【請求項2】高屈折率膜が、SiおよびAlからなる群
    から選ばれる1種以上の元素の窒化物膜、該元素の酸窒
    化物膜、または、Sn、Zn、Zr、In、Ta、N
    b、Ti、BiおよびCrからなる群から選ばれる1種
    以上の金属の酸化物膜である請求項1に記載の光吸収性
    反射防止体。
  3. 【請求項3】低屈折率膜が、Siの酸化物膜またはMg
    のフッ化物膜である請求項1または2に記載の光吸収性
    反射防止体。
  4. 【請求項4】低屈折率膜側からの入射光に対する膜面の
    みの可視光反射率が0.6%以下である請求項1、2ま
    たは3に記載の光吸収性反射防止体。
  5. 【請求項5】基体がガラス基体である請求項1〜4のい
    ずれかに記載の光吸収性反射防止体。
  6. 【請求項6】可視光透過率が35〜90%である請求項
    1〜5のいずれかに記載の光吸収性反射防止体。
  7. 【請求項7】前記4層の膜が形成された側とは反対側か
    らの入射光に対する可視光反射率が10%以下である請
    求項1〜6のいずれかに記載の光吸収性反射防止体。
  8. 【請求項8】基体と第1の光吸収膜との間に、Siの窒
    化物膜および/またはSiの炭化物膜が形成されてなる
    請求項1〜7のいずれかに記載の光吸収性反射防止体。
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