JP2003139909A - 導電性反射防止膜および陰極線管用ガラスパネル - Google Patents

導電性反射防止膜および陰極線管用ガラスパネル

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JP2003139909A
JP2003139909A JP2001342719A JP2001342719A JP2003139909A JP 2003139909 A JP2003139909 A JP 2003139909A JP 2001342719 A JP2001342719 A JP 2001342719A JP 2001342719 A JP2001342719 A JP 2001342719A JP 2003139909 A JP2003139909 A JP 2003139909A
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film
refractive index
conductive
antireflection film
conductive antireflection
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JP2001342719A
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Noritoshi Horie
則俊 堀江
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】充分なコントラストを確保でき、基体(裏面)
側および膜面側の低反射性能および電磁波遮蔽性能を併
せ持ち、CRTの製造工程における熱処理後もこれらの
性能が維持され、低コストで製造可能な導電性反射防止
膜および該導電性反射防止膜が形成されたCRT用ガラ
スパネルの提供。 【解決手段】基体側から、幾何学的膜厚が1〜40nm
であって、Sn、InおよびZnのうち少なくとも1種
の金属の酸化物を主成分とする透明導電膜、幾何学的膜
厚が1〜10nmの光吸収膜、屈折率が1.2〜1.8
の低屈折率膜が順次積層された導電性反射防止膜および
該導電性反射防止膜が形成されたCRT用ガラスパネ
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性反射防止膜に
関し、また、導電性反射防止膜を形成した陰極線管用ガ
ラスパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの急速な広がりとと
もに端末オペレータの作業環境を改善するために、ディ
スプレイ表面の反射低減や陰極線管(以下、CRTとも
いう)表面の帯電防止が要求されつつあり、さらに最近
ではコントラスト向上のためにCRT用ガラスパネル
(以下、単に「ガラスパネル」ともいう)の透過率を低
下させたり、また人体に影響を及ぼす極低周波の電磁波
を遮蔽することが求められている。
【0003】これらの要求の答えるために、CRT表示
面には様々な表面処理が施され、外光反射の低減、コン
トラスト向上や帯電防止、電磁波遮蔽などの機能を付与
することが行われている。具体的な事例としては例えば
特開昭60−168102号公報には、低屈折率誘電体
膜、高屈折率誘電体膜、高屈折率導電膜を組み合わせて
反射防止膜を構成することが記載されている。この反射
防止膜により表面視感反射率を0.3%以下、表面シー
ト抵抗を1kΩ/□以下とし、電磁波遮蔽効果を付与さ
せている。
【0004】また、吸収膜を用いてコントラストを改善
させた例として、特開昭64−70701号公報にはガ
ラス基体上に膜厚4nmのステンレス膜、29nmの酸
化チタン膜、95nmのシリカ膜を、真空蒸着法により
積層した反射防止膜が記載されており、この構成により
視感反射率を0.3%以下、表面シート抵抗を1kΩ/
□以下とし、また可視光透過率を数十%低下させてコン
トラストの改善を図っている。
【0005】また、特表平6−510382号公報には
ガラス基体上に順に、窒化ニオブ膜、酸化チタン膜、さ
らにシリカ膜を積層した反射防止膜が提案されている。
また、ドイツ公開特許DE3942990号公報には、
基体側から順に、誘電体を形成する金属酸化物膜、窒化
物膜、誘電体を形成する金属酸化物膜という構成の反射
防止膜が提案されている。
【0006】しかし、上述した従来の反射防止膜をCR
T用ガラスパネルに適用した場合、CRT製造工程にお
ける約450℃での熱処理により、反射防止性能や電磁
波遮蔽性能などの特性が劣化する。
【0007】これに対し、特開平9−156964号公
報には、基体側から順に、チタン、ジルコニウムおよび
ハフニウムから選ばれた金属の窒化物層とシリカ層とが
形成された光吸収性反射防止膜が提案されており、金属
窒化物層を保護するための酸化防止層を導入することで
熱処理工程での特性の変化を防止することが記載されて
いる。
【0008】一方、CRT内面から発せられた光がガラ
スパネルの外表面に形成された膜との界面で反射され、
この裏面反射により映し出された映像が二重に見えると
いう二重像の問題が顕在化しているが、特開平9−15
6964公報には二重像の問題に対する対策について記
載されていない。
【0009】二重像の問題を解決するため、特開平11
−33409公報には、ガラス基体側から、金属を添加
した窒化チタン膜、高屈折率膜、金属を添加した窒化チ
タン膜、さらに低屈折率膜からなる膜構成が提案されて
いるが、4層もの多層構成が必要となり、製造コストの
点で実用上問題があった。
【0010】また、特開2000−356703公報に
は、ガラス基体側から、40〜100nmの膜厚を有す
る透明導電膜、60〜120nmの膜厚を有する着色
膜、低屈折率膜の3層からなる反射防止膜が、また、特
開2001−143643公報には、ガラス基体側か
ら、透明導電膜、50〜150nmの膜厚を有する着色
膜、低屈折率膜の3層からなる反射防止膜が、二重像対
策を講じた膜構成としてそれぞれ提案されているが、着
色層の膜厚が大きく、やはり製造コストの点で実用上問
題があった。
【0011】以上のように、充分なコントラストを確保
でき、基体(裏面)側からの入射光に対する低反射性能
を有し二重像の現象を抑制でき、膜面側(基体側とは反
対側)からの入射光に対する低反射性能および電磁波遮
蔽性能を併せ持つとともに、CRTの製造工程における
熱処理後もこれらの性能が維持され、低コストで製造可
能な導電性反射防止膜膜構成は知られていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、充分なコン
トラストを確保でき、基体(裏面)側からの入射光に対
する低反射性能を有し二重像の現象を抑制でき、膜面側
(基体側とは反対側)からの入射光に対する低反射性能
および電磁波遮蔽性能を併せ持つとともに、CRTの製
造工程における熱処理後もこれらの性能が維持され、低
コストで製造可能な導電性反射防止膜および該導電性反
射防止膜が形成されたCRT用ガラスパネルの提供を目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体上に基体
側から、透明導電膜、光吸収膜、および低屈折率膜がこ
の順に形成された導電性反射防止膜であって、透明導電
膜は幾何学的膜厚が1〜40nmであって、Sn、In
およびZnのうち少なくとも1種の金属の酸化物を主成
分とする膜であり、光吸収膜は幾何学的膜厚が1〜10
nmであり、低屈折率膜は屈折率が1.2〜1.8であ
ることを特徴とする導電性反射防止膜を提供する。
【0014】本発明の導電性反射防止膜は、低屈折率膜
側からの入射光に対する膜の視感反射率(基体の反射は
含まない)が1.5%以下、基体側からの入射光の波長
550nmにおける反射率が10%以下、波長550n
mにおける膜透過率(基体は含まない)が70〜98%
であり、さらに表面抵抗値が1000Ω/□以下である
ことが好ましい。
【0015】本発明における透明導電膜は、Sn、In
およびZnのうち少なくとも1種の金属の酸化物を主成
分とする膜であり、F、Sb、Ga、Alなどが含有さ
れていてもよい。Sn、InおよびZnのうち少なくと
も1種の金属の酸化物の透明導電膜中の含有割合は70
〜100質量%であることが好ましい。透明導電膜の好
適な例としては、SnO膜、Sbを含むSnO膜、
Fを含むSnO膜、In膜、ZnO膜、Gaや
Alを含むZnO膜、およびITO(Snを含むIn
)膜等が挙げられる。特に、生産性およびコストの
点から、ITO膜もしくはSnO膜が好ましい。
【0016】透明導電膜の屈折率は、膜面および裏面の
低反射の観点から、1.9〜2.1であることが好まし
い。透明導電膜の抵抗値は、電磁波遮蔽の観点から、1
000Ω/□以下、特に500Ω/□以下であることが
好ましい。また、透明導電膜の膜厚(幾何学的膜厚の意
であり、他も同様。)は、1〜40nmである。1nm
未満では充分な電磁波遮蔽性能が得られにくく、40n
m超では低反射性能が充分に発現されにくく、また、成
膜時間が長くなり、製造コストの点で不利となる。
【0017】本発明における光吸収膜は膜厚が1〜10
nmである。1nm未満では画像のコントラストを改善
させる効果が得られにくく、10nm超では低反射性能
および二重像抑制能力が不充分であり、また、成膜時間
が長くなり、製造コストの点で不利となる。
【0018】光吸収膜としては、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Au、Cuや、これ
らの金属の窒化物が主成分である膜が挙げられる。本発
明における光吸収膜には酸素および/または炭素が含有
されていてもよい。CRTの製造工程における熱処理
(大気雰囲気中、450℃で1時間程度の熱処理。以下
同じ)に対する耐熱性や成膜容易性の観点から、Tiお
よびZrのうち少なくとも1種の金属の窒化物を主成分
とする膜が好ましい。
【0019】光吸収膜にTiNを用いた場合、コントラ
ストの改善および低反射性能の発現のため、膜中のTi
NにおいてはTiに対する窒素の原子割合が0.5〜
1.5(特に0.75〜1.30)であること、また、
Tiに対する酸素の原子割合が0.5以下(特に0.4
以下)であることが好ましい。光吸収膜にZrNを用い
た場合も同様である。通常のスパッタリング法によりT
iN膜またはZrN膜を成膜する場合、真空槽の残留ガ
ス分などにより膜中に酸素が混入し得るが、酸素の含有
量が上記範囲内であればよい。
【0020】TiNまたはZrNを主成分とする光吸収
膜は、この膜を成膜後、酸化バリア膜(光吸収膜の酸化
を抑制する膜)を形成せず、直接酸化雰囲気中で低屈折
率膜を成膜してもほとんど劣化せず、さらにCRTの製
造工程における熱処理後も光学性能の劣化はわずかで、
充分なコントラストの改善および低反射性能を発現す
る。
【0021】また、本発明における光吸収膜には、A
l、Si、Ta、W、Mo、Cr、Nb、Hf、Ni、
Co、Fe、Pd、Ru、AgおよびPtからなる群か
ら選ばれる1種以上の金属を光吸収膜中の全金属成分に
対して10原子%以下の割合で含んでいると、CRTの
製造工程における熱処理時の酸化による透過率変化、抵
抗値劣化が抑制される。特に、Pd、Ag、Au、Pt
およびNiからなる群から選ばれる1種以上の金属を含
有していると耐熱性向上効果が大きいため好ましい。
【0022】本発明における低屈折率膜は、膜面側およ
び基体(裏面)側から入射する光に対して低反射性能を
発現する上で屈折率が1.2〜1.8である必要があ
り、その材料の例としてはSiO、Si酸窒化物、A
、MgFなどが挙げられる。導電性反射防止
膜がCRT用ガラスパネルの表面部に形成された場合に
は、充分な硬度、耐擦傷性を有する低屈折率膜を用いる
ことが好ましく、その観点から低屈折率膜としてはSi
膜またはSi酸窒化物膜が好ましく、特に生産性お
よび製造コストの点からSiO膜が好ましい。
【0023】SiO膜やSi酸窒化物膜は、B(ホウ
素)、P(リン)など(導電性を向上させ放電をしやす
くするための成分)を含んたシリコンのターゲットを用
いてDCスパッタリング法により形成されることが好ま
しく、得られる膜中には、微量のB、P等が含有されて
いてもよい。
【0024】Si酸窒化物膜は、屈折率が1.2〜1.
8で、優れた耐擦傷性が発現されるように、膜中のSi
に対する酸素の原子比は1.5〜2.0、Siに対する
窒素の原子比は0.1〜0.5であることが好ましい。
【0025】低屈折率膜の膜厚は、膜面側および基体
(裏面)側からのいずれにおいても低反射性能を発現さ
せる観点から、60〜150nmであることが好まし
い。
【0026】本発明の導電性反射防止膜を形成する基体
としては、ガラスまたはプラスチックを使用できる。例
えば、ディスプレイの表示面の前面を構成する、ガラス
基体、プラスチック基体、またはプラスチックフィルム
などが挙げられるが、特に、CRTを構成するガラスパ
ネルが好適である。特に、本発明の導電性反射防止膜
を、中央部の肉厚を10mmに換算した場合の波長55
0nmにおける透過率が50〜85%であるCRT用ガ
ラスパネルの表面に形成すると本発明の効果が顕著であ
る。
【0027】本発明の導電性反射防止膜を構成する各膜
の成膜方法としては、ゾル・ゲル技術を用いたスピンコ
ート法、スプレーコート法、CVD法、真空蒸着法、ス
パッタリング法などを用い得る。膜厚制御が比較的容易
で安定した生産ができ、量産性およびコスト優位性に優
れることから、特にDCスパッタリング法で成膜するこ
とが好ましい。
【0028】
【作用】本発明の導電性反射防止膜は、入射光の一部を
吸収し、透過率を減少させるため、デイスプレイの前面
ガラス(例えばCRT用ガラスパネル)に適用した場
合、画像のコントラストを改善する。本発明において
は、基体、透明導電膜、光吸収膜、低屈折率膜は各界面
での反射フレネル係数と、各界面の間の位相変化量およ
び各層内の振幅減衰量によって決定される総合反射率が
可視光領域で充分に低くなるように設定されている。こ
の総合反射率は膜面側からの光のみならず基体側即ち裏
面側からの光に対しても充分にその反射光が低くなるよ
うに設定されている。
【0029】本発明における透明導電膜は低抵抗膜とし
て機能し、例えば、CRT内部から漏洩してくる電磁波
を遮蔽する役割を果たす。透明導電膜の抵抗値は、CR
Tの製造工程における熱処理後もほとんど変化しないた
め、反射防止膜全体の電磁遮蔽性能は熱処理後も維持さ
れる。
【0030】本発明における光吸収膜は透過率を減少さ
せ、CRT等の画像のコントラストを改善する。光吸収
膜の光学定数はCRTの製造工程における熱処理によっ
てわずかに変化する場合もあるが、コントラスト改善効
果や低反射性能には実用上影響がない。
【0031】透明導電膜および低屈折率膜の光学特性は
CRTの製造工程における熱処理後もほとんど変化せ
ず、また、光吸収膜の光学特性もCRTの製造工程にお
ける熱処理後もほぼ維持されることから、本発明の導電
性反射防止膜の光学特性はCRTの製造工程における熱
処理後も維持される。
【0032】
【実施例】以下、本発明の光吸収性導電性反射防止膜に
ついて実施例に基づいて詳細に説明する。
【0033】[例1]真空槽内に、ITO(Snを含有
するInであって、Inとの総量に対してSnを
10原子%含有する)ターゲット、金属Tiターゲッ
ト、Bドープ多結晶Siターゲット、をそれぞれカソー
ド上に設置し、真空槽内を2×10−3Paまで排気し
た。真空槽内に設置した3mm厚のフロートガラス基板
上に以下の工程により成膜を行った。
【0034】放電ガスとしてアルゴンと酸素の混合ガス
(酸素が10体積%)を導入し、圧力が3×10−1
aとなるようコンダクタンスを調整した。次いで、IT
Oターゲットへ負の直流電圧(投入電力密度は約4.5
W/cm)を印加し、35nmのITOからなる透明
導電膜(屈折率2.00、組成はターゲットとほぼ同
じ)を成膜した(工程1)。
【0035】次にガス導入を停止し、真空槽内を高真空
とした後、放電ガスとしてアルゴンと窒素(窒素が20
体積%)を導入し、圧力が2×10−1Paとなるよう
コンダクタンスを調整した。次いで金属Tiターゲット
に負の直流電圧(投入電力密度は約2.5W/cm
を印加し、1nmの窒化チタン膜を成膜した(工程
2)。
【0036】さらにガス導入を停止し、真空槽内を高真
空とした後、アルゴンと酸素の混合ガス(酸素40体積
%)を導入し、圧力が3×10−1Paとなるようコン
ダクタンスを調整した。次いでBドープ多結晶Siター
ゲットにパルス波形の電圧(投入電力密度は約6.5w
/cm)を印加し、105nmのSiO膜(屈折率
1.47)を成膜した(工程3)。
【0037】以上により本発明の導電性反射防止膜を得
た。また、別途、工程2と同様の方法で窒化チタン膜の
みを成膜し、ESCAで分析し膜組成を確認したとこ
ろ、原子比は、Ti:N:O=1:0.95:0.07
であった。
【0038】[例2〜6]例2〜6においては、例1に
おける窒化チタン膜の膜厚を表1に示すように変化さ
せ、それに応じて光学性能が最良となるように透明導電
膜および低屈折率膜の膜厚を最適化した構成とした以外
は例1と同様に行った。なお、例4〜6は比較例であ
る。
【0039】[例7]例1における膜構成を表1に示す
膜構成とした以外は例1と同様に行い、本発明の導電性
反射防止膜を得た。なお、成膜前に真空槽内を2×10
−3Paまで排気し、工程1と工程2のそれぞれ後にガ
ス導入を停止し、真空槽内を高真空とした点も例1と同
様である。
【0040】例7におけるSnO膜(屈折率2.0
0)の成膜は、金属Snターゲットと、アルゴンと酸素
の混合ガス(酸素が10体積%)を用い、圧力が3×1
−1Paで、直流電圧印加(投入電力密度は約4.5
W/cm)の条件で行った。例7における窒化チタン
膜の成膜は、金属Tiターゲットと、アルゴンと窒素
(窒素が20体積%)を用い、圧力が2×10−1Pa
で、直流電圧印加(投入電力密度は約2.5W/c
)の条件で行った。
【0041】例7におけるSi酸窒化物膜(屈折率1.
50)の成膜は、Bドープ多結晶Siターゲットと、ア
ルゴンと酸素の混合ガス(酸素40体積%)を用い、圧
力が3×10−1Pa、パルス波形の電圧印加(投入電
力密度は約7W/cm)の条件で行った。
【0042】また、例1と同様にして窒化チタン膜の組
成をESCAで分析したところ、原子比は、Ti:N:
O=1:0.95:0.09であった。また、上記と同
様の方法でSi酸窒化物膜の組成をESCAで分析した
ところ、原子比は、Si:O:N=1:1.65:0.
35であった。
【0043】[例8]例1における膜構成を表1に示す
膜構成とした以外は例1と同様に行い、本発明の導電性
反射防止膜を得た。なお、成膜前に真空槽内を2×10
−3Paまで排気し、工程1と工程2のそれぞれ後にガ
ス導入を停止し、真空槽内を高真空とした点も例1と同
様である。
【0044】例8におけるSb含有SnO膜(屈折率
2.05)の成膜は、金属Sn(SbをSnとの総量に
対し3原子%含有)ターゲットと、アルゴンと酸素の混
合ガス(酸素が10体積%)を用い、圧力が3×10
−1Pa、直流電圧印加(投入電力密度は約4.5W/
cm)の条件で行った。Sb含有SnO膜の組成は
ターゲット組成と同じであった。
【0045】例8における窒化ジルコニウム膜の成膜
は、金属Zrターゲットと、アルゴンと窒素(窒素が2
0体積%)を用い、圧力が2×10−1Pa直流電圧印
加(投入電力密度は約2.5W/cm)の条件で行っ
た。
【0046】例8におけるMgF膜(屈折率1.3
8)の成膜は、MgF化合物を蒸着用のルツボに設置
し、圧力を2×10−3Paとし、電子ビーム(EB)
蒸着により行った。また、例1と同様にして窒化ジルコ
ニウム膜の組成をESCAで分析したところ、原子比
は、Zr:N:O=1:0.95:0.05であった。
【0047】[例9]例1における膜構成を表1に示す
膜構成とした以外は例1と同様に行い、本発明の導電性
反射防止膜を得た。なお、成膜前に真空槽内を2×10
−3Paまで排気し、工程1と工程2のそれぞれ後にガ
ス導入を停止し、真空槽内を高真空とした点も例1と同
様である。
【0048】例9におけるGa含有ZnO膜(屈折率
2.06)の成膜は、金属Zn(GaをZnとの総量に
対して6原子%含有)ターゲットと、アルゴンと酸素の
混合ガス(酸素が10体積%)を用い、圧力が3×10
−1Pa、直流電圧印加(投入電力密度は約4.5W/
cm)の条件で行った。Ga含有ZnO膜の組成はタ
ーゲット組成と同じであった。例9における窒化ジルコ
ニウム膜の成膜は例8と同様である。例9におけるSi
膜(屈折率1.47)の成膜は例1と同様である。
【0049】[例10]例1における膜構成を表1に示
す膜構成とした以外は例1と同様に行い、本発明の導電
性反射防止膜を得た。なお、成膜前に真空槽内を2×1
−3Paまで排気し、工程1と工程2のそれぞれ後に
ガス導入を停止し、真空槽内を高真空とした点も例1と
同様である。例10におけるITO膜(屈折率2.0
0)の成膜は例1と同様である。
【0050】例10におけるPd含有窒化チタン膜の成
膜は、金属Ti(PdをTiとの総量に対して3原子%
含有)ターゲットと、アルゴンと窒素(窒素が20体積
%)を用い、圧力が2×10−1Pa、直流電圧印加
(投入電力密度は約2.5W/cm)の条件で行っ
た。Pd含有窒化チタン膜の組成はターゲットとほぼ同
じであった。例10におけるSiO膜(屈折率1.4
7)の成膜は例1と同様である。また、例1と同様にし
てPd含有窒化チタン膜の組成をESCAで分析したと
ころ、原子比は、Ti:N:O:Pd=1:0.95:
0.05:0.0175であった。
【0051】[例11]例1における膜構成を表1に示
す膜構成とした以外は例1と同様に行い、本発明の導電
性反射防止膜を得た。なお、成膜前に真空槽内を2×1
−3Paまで排気し、工程1と工程2のそれぞれ後に
ガス導入を停止し、真空槽内を高真空とした点も例1と
同様である。
【0052】例11におけるAl含有ZnO膜(屈折率
2.05)の成膜は、金属Zn(AlをZnとの総量に
対し9原子%含有)ターゲットと、アルゴンと酸素の混
合ガス(酸素が10体積%)を用い、圧力が3×10
−1Pa、直流電圧印加(投入電力密度は約4.5W/
cm)の条件で行った。Al含有ZnO膜の組成はタ
ーゲット組成とほぼ同じであった。例11における窒化
ニオブ膜の成膜は、金属Nbターゲットと、アルゴンと
窒素(窒素が20体積%)を用い、圧力が2×10−1
Pa、直流電圧印加(投入電力密度は約2.5W/cm
)の条件で行った。
【0053】例11におけるAl膜(屈折率1.
60)の成膜は、金属Alターゲットと、アルゴンと酸
素の混合ガス(酸素40体積%)を用い、圧力が3.5
×10−1Pa、直流電圧印加(投入電力密度は約4.
5W/cm)の条件で行った。また、例1と同様にし
て窒化ニオブ膜の組成をESCAで分析したところ、原
子比は、Nb:N:O=1:0.95:0.15であっ
た。
【0054】[例12](比較例) 例2におけるITO膜を形成しなかったこと以外は例2
と同様にして2層からなる導電性反射防止膜を得た。
【0055】例1〜12で得られた導電性反射防止膜の
光学特性および電気特性を測定した。表2に結果を示
す。膜面側(低屈折率膜側)からの入射光に対する膜の
視感反射率(JIS Z−8105による、以下、膜面
視感反射率ともいう)は、裏側に黒色ラッカーを塗布
し、ガラス面側からの反射を消した状態で測定を行っ
た。裏面反射率は、ガラス基板側からの入射光の波長5
50nmにおける反射率である。透過率は、成膜する前
のガラス基板のみについて波長550nmにおける透過
率Tsubを予め測定しておき、例1〜12で得られた
導電性反射防止膜付きのガラス基板について波長550
nmにおける透過率Ttotalを測定した。そして、
totalをTsubで割って膜のみの透過率を求め
た。
【0056】電気特性については、非接触導抵抗測定器
により表面抵抗値を求めた。また、同じ積層膜付きガラ
スに大気雰囲気中、450℃、1時間の熱処理を施した
後の、同様にして測定した膜面視感反射率、裏面反射
率、透過率、表面抵抗値を表2に示す。なお、表2中の
「熱処理前/後」は、それぞれ「熱処理前/熱処理後」
の意である。
【0057】例1〜3、7〜11(実施例)で得られた
導電性反射防止膜は、膜面視感反射率が1.5%以下と
低いため表面の映りこみがなく、裏面反射率が10%以
下と低いため映像が二重にみえることがなく、透過率が
70〜98%であるため適度なコントラスト向上効果が
あり、さらに表面抵抗値が1000Ω/□以下であるた
め帯電防止および電磁波遮蔽性能も有している。例4お
よび5(比較例)より、光吸収膜(TiN膜)の膜厚が
10nmを超えると、膜面側および裏面側からの反射率
が高くなることがわかる。このような膜面視感反射率の
増大は表面の映りこみによる画像視認性の悪化を引き起
こし、また裏面反射率の増大により二重像が顕著にな
る。
【0058】また、例6(比較例)より、光吸収膜(T
iN膜)の膜厚が1nmより小さいと、膜面視感反射率
および透過率が高くなることがわかる。このような膜面
視感反射率の上昇により表面の映りこみが生じ、透過率
の上昇により画像のコントラスト改善効果が低下する。
また、例12(比較例)より、透明導電膜を形成しない
と、導電層としての役割も担っていた光吸収膜が熱処理
によって酸化され、抵抗値が大幅に増大していることが
わかる。抵抗値の増大により電磁波遮蔽機能が低下す
る。
【0059】[例13]中央部の肉厚が10.8mm、
波長550nmにおける透過率が44%(肉厚10mm
に換算すると透過率56%)の19インチサイズのCR
T用のガラスパネルに、例2と同様にして導電性反射防
止膜を形成し、導電性反射防止膜付きのCRT用ガラス
パネルを得た。このガラスパネルを用いてCRTを製造
したところ、輝度、コントラストとも良好な画像、画質
を達成できた。また、表面の映りこみ、および二重像は
確認できなかった。さらに、表面抵抗値が100Ω/□
以下で、帯電防止性能および電磁波遮蔽性能も有してい
た。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】本発明の導電性反射防止膜は、充分なコ
ントラストを確保でき、基体側からの入射光に対する低
反射性能および二重像抑制能力を備え、膜面側からの入
射光に対する低反射性能を有するとともに、帯電防止お
よび電磁波遮蔽性能をも併せ持ち、CRTの製造工程に
おける熱処理後もこれらの性能を維持できる耐熱性をも
有する。本発明の導電性反射防止膜は、膜総数が3層で
あり、しかも各層の膜厚が小さいため生産性に優れ、低
コストで提供できる。
【0063】また、本発明の導電性反射防止膜をCRT
用ガラスパネルのフェース部表面に形成することによ
り、輝度やコントラストが改善され、表面および裏面の
反射光の低減、二重像の抑制、帯電防止および電磁波遮
蔽が可能なCRT用ガラスパネルが得られる。また、本
発明の導電性反射防止膜は、耐熱性に優れ、陰極線管の
パネルガラスに要求される程度の熱処理には充分耐えら
れるため、耐熱性の要求される各種用途への適用も期待
できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 29/86 G02B 1/10 A 29/88 Z Fターム(参考) 2K009 AA05 AA12 BB02 CC02 CC03 CC06 CC14 DD04 EE03 4F100 AA12C AA17B AA20 AA25B AA28B AA33B AB11 AB12 AB18B AB21B AG00E AT00A BA04 BA05 BA07 BA10A BA10D BA10E EH66 EH662 EJ59 EJ591 GB41 JD08 JD14C JG01B JM02 JN01B JN06 JN18B JN18D JN30C YY00B YY00C 4G059 AA07 AC04 AC12 EA01 EA02 EA03 EA05 EA09 EA12 GA02 GA04 GA12 5C032 AA02 BB04 DD02 DE01 DE03 DG01 DG02 5G435 AA02 AA09 AA17 BB02 DD12 FF02 FF14 GG33 HH03 HH12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に基体側から、透明導電膜、光吸収
    膜および低屈折率膜がこの順に形成された導電性反射防
    止膜であって、透明導電膜は幾何学的膜厚が1〜40n
    mであって、Sn、InおよびZnのうち少なくとも1
    種の金属の酸化物を主成分とする膜であり、光吸収膜は
    幾何学的膜厚が1〜10nmであり、低屈折率膜は屈折
    率が1.2〜1.8であることを特徴とする導電性反射
    防止膜。
  2. 【請求項2】導電性反射防止膜を構成する低屈折率膜側
    からの入射光に対する膜の視感反射率が1.5%以下、
    基体側からの入射光の波長550nmにおける反射率が
    10%以下、波長550nmにおける膜透過率が70〜
    98%であり、さらに表面抵抗値が1000Ω/□以下
    である請求項1に記載の導電性反射防止膜。
  3. 【請求項3】光吸収膜が、TiおよびZrのうち少なく
    とも1種の金属の窒化物を主成分とする膜である請求項
    1または2に記載の導電性反射防止膜。
  4. 【請求項4】透明導電膜の屈折率が1.9〜2.1であ
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性反射防止
    膜。
  5. 【請求項5】低屈折率膜の幾何学的膜厚が60〜150
    nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性
    反射防止膜。
  6. 【請求項6】中央部の肉厚を10mmに換算した場合の
    波長550nmにおける透過率が50〜85%である陰
    極線管用ガラスパネルの表面に請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の導電性反射防止膜が形成された導電性反射
    防止膜付き陰極線管用ガラスパネル。
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