JP4078520B2 - 表示装置用反射防止機能付フィルターの製造方法 - Google Patents

表示装置用反射防止機能付フィルターの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す。)、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プロジェクションTV、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の表示装置の前面に設置される反射防止機能付フィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来PDPに代表される表示装置は非常に精密な電機製品で構成されているために、そのままの状態で使用すると、外部から表面に力が加わるような場合に破損する危険性が非常に高かった。したがって、それを防止するために何らかの保護をする必要があり、これまで表示装置の前面にガラス樹脂板などの保護板を取り付けることが提案されている。
また、PDPは大型の画像表示装置として知られているが、その高輝度の表示を実現するために強力なプラズマ放電を必要とする。このため放電領域からPDPの前方(観察者側)に向かって、電磁波とともに近赤外線が放出される。従来、電磁波遮蔽層や近赤外線遮蔽層を備え、PDPの保護を兼ねたフィルターが提案されているが、視認性向上のために、観察者側にフッ素樹脂コートや反射防止フィルム貼付による反射防止処理が施されることが多い。
【0003】
このような要望に応えて、WO98/13850号公報においてPDP用保護板が提案されている。この公報には、導電性機能を有するガラスの両面に反射防止樹脂フィルムを各々貼り合わせたPDP用保護板が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
反射防止樹脂フィルムを貼付する場合には、フィルム貼り合せ加工時にゴミや空気を巻き込む確率が高くなることや、生産性の面でも問題がある。また、観察者側が直接触れることができるため、フッ素樹脂コートや反射防止フィルムでは耐擦傷性や外観においても問題がある。また、フィルター端部のフィルムは、面内に比べて剥れやすく、フィルム裁断時に形成した剥離部がデバイスに取り付けた後に外から見えたり、高湿下で端部から粘着剤に水分が混入し、そのためフィルムが剥れたり、浮いたりする確率が高くなる。
【0005】
従って、本発明の目的は、生産性および外観に優れ、観察者に対する耐擦傷性にも優れた表示装置用反射防止フィルターの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の課題は、下記の表示装置用反射防止フィルターの製造方法により達成された。以下に好ましい実施態様と共に列挙する。
【0007】
(1) ガラス基板の片面上に反射防止膜をスパッタリング法によって成膜する工程(工程1)と、前記ガラス基板を所定の大きさに切断した後切断部分を面取する工程(工程2)と、前記ガラス基板全体を熱処理し強化する工程(工程3)と、前記ガラス基板の反射防止膜を成膜する面とは反対側に電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層を設ける工程(工程4)とをこの順に含むことを特徴とする表示装置用反射防止フィルターの製造方法。
【0010】
) 前記電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層を設ける工程が、ガラス基板面上に電磁波遮蔽層をスパッタリング法により成膜する工程又は電磁波遮蔽層が成膜されたフィルムを積層する工程と、前記電磁波遮蔽層上に低反射フィルムを貼り付ける工程とからなることを特徴とする前記表示装置用反射防止フィルターの製造方法。
) 前記電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層を設ける工程が、ガラス基板面上に電磁波遮蔽メッシュ付きフィルムを貼り付ける工程と、前記電磁波遮蔽メッシュ付きフィルム上に近赤外線遮蔽機能と色調補正機能を含む低反射フィルムを貼り付ける工程とからなることを特徴とする前記表示装置用反射防止フィルターの製造方法。
【0011】
本発明の製造方法によれば、反射防止膜をスパッタリング法により基板面上に形成するため、大面積の基板に均一な膜厚でコーティングが可能となり、生産性に優れる。また、面内の反射色ムラが抑えられ、均一な外観を得ることができる。さらに、観察者側の基板面上にスパッタコートするため、耐擦傷性にも優れる。
また本発明はガラス基板表面上にきわめて薄い膜がスパッタコートされているため、従来の反射防止フィルムを貼り付けたフィルターや、フッ素樹脂コートされたフィルターと比べて端部まで欠点なく外観にも優れる。
更に、本発明の製造方法において、特定の膜材料を用いたときには後加熱が可能となり、生産性に特に優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の表示装置用反射防止フィルターの製造方法についての実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下に説明するものに限定されるものではない。
【0013】
本発明で用いられるガラス基板は特に限定されず、例えば、透明または着色のフロートガラス(フロート法で製造されたガラス)が挙げられる。具体的にはフロート法によるソーダライムガラスが好適に用いられる。
ガラス基板の厚みとしては特に限定されないが、好適には1〜5mm、より好適には2〜4mmの範囲である。
【0014】
本発明においては、前記ガラス基板の片面上に反射防止膜をスパッタリング法によって成膜する。
スパッタリング法は、例えば、DC(直流)スパッタリング方式、AC(交流)スパッタリング方式、RF(高周波)スパッタリング方式が挙げられる。中でも、プロセスが安定しており、大面積への成膜が容易であるという利点があるので、DCマグネトロンスパッタリング法またはACスパッタリング法が好ましい。なお、DCマグネトロンスパッタリング法には、パルス化(パルス波状に電圧を印加する)DCマグネトロンスパッタリング法を含む。ACスパッタリング法及びパルス化DCマグネトロンスパッタリング法は、異常放電の防止に有効である。
本発明において、スパッタリング法を用いる場合、例えばターゲットとしてスズを用い、スパッタガスとして酸素ガスと窒素原子を含むガスとを含有するガスを用いて反応性スパッタリング法を行う。
ターゲットは、スズ単独でもよいが、Al、Si、Zn等公知のドーパントを本発明の特徴を損なわない範囲でドープしてもよい。
【0015】
スパッタガスとしては各種反応性ガスが用いられ、例えば、酸素ガスと窒素原子を含むガスとを含有するものが挙げられる。具体的には、酸素ガスおよび窒素ガスの混合ガス、酸素ガス、窒素ガスおよび不活性ガスの混合ガスを用いることができる。また、窒素原子を含むガスとしては、窒素ガス(N2)以外にも、N2O、NO、NO2、NH3等を用いることができる。
不活性ガスは、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスが挙げられる。中でも、経済性および放電のし易さの点から、アルゴンが好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0016】
スパッタガスにおける酸素ガスおよび窒素原子を含むガスの分圧、ならびにスパッタガスの全圧は、特に限定されず、グロー放電が安定に行われる圧力であればよい。
【0017】
スパッタリング法を行う場合、スパッタリングチャンバーの大きさは特に限定されない。基板の大きさ等を考慮し、適当な大きさのスパッタリングチャンバーを用いることができる。例えば、0.1〜35m3のスパッタリングチャンバーが好適に用いられる。
スパッタリング法を行う場合、電力密度は、0.9〜3.6W/cm2であるのが好ましく、0.9〜1.8W/cm2であるのがより好ましい。
成膜時間は、成膜速度および所望の膜厚に応じて決定すればよい。
【0018】
反射防止膜としては、酸化物膜、酸炭化物膜、窒化物膜、窒炭化物膜、酸窒化物膜等を複数積層させた多層膜であることが好ましい。
【0019】
反射防止膜を構成する膜の具体例としては、チタン、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ビスマスおよびニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物膜、酸窒化物膜もしくは酸炭化物膜、または、ケイ素、アルミニウムおよびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の窒化物膜もしくは窒炭化物膜などが挙げられる。
【0020】
反射防止膜の具体的な態様としては、基板側から順に酸窒化スズ層、二酸化ケイ素(SiO2)層を積層した2層構成や、酸窒化スズ層、酸化チタン(TiO2)層、SiO2層を積層した3層構成などが挙げられる。本発明では特に酸窒化スズ層、SiO2層を積層した2層構成が好ましい。
以下に酸窒化スズ層について具体的に説明する。
【0021】
酸窒化スズ層中のSn、OおよびNの組成比は特に限定されないが、Nの含有量は、Sn、OおよびNの合計に対して、0at%超、4.0at%未満が好ましい。上記範囲であると、酸窒化スズ膜付き基板を高温で熱処理した際に、基板に実用上問題となる程度の反りが生じたり、酸窒化スズ膜にクラックが生じたりすることがない。酸窒化スズ膜におけるNの含有量は、Sn、OおよびNの合計に対してより好ましくは0at%超、0.9at%未満である。上記範囲であると、高温で熱処理しても組成の変化が小さく、個体ごとのバラツキが小さいため、工業的生産が容易となる。
【0022】
なお、本発明においては、酸窒化スズ膜のN、OおよびSnの組成はX線光電子分光法(XPS)により分析することができる。具体的にはXPS測定装置(PHI社勢ESCA5400)を用いて以下の条件で測定することができる。
【0023】
<XPS測定条件>
X線源:MgKα線、ビーム径2mm、出力15kV、400W
Ar+イオンビーム(4keV、25mmA/cm2)を用いて、サンプル面上3mm×3mmの領域をラスタースキャンし、表面層をスパッタエッチングした面を測定する。
光電子の検出角度:45°、
光電子分析器のパスエネルギー幅:71.55eV
上記条件で測定したN1s、O1s、Sn3d5/2ピークの各ピーク面積を求め、相対感度係数を用いて表面原子数比を算出し、窒素の含有割合at%(原子%)を求める。相対感度係数は、N1sは0.499、O1sは0.733、Sn3d5/2は4.890である。
【0024】
反射防止膜の膜厚としては、2層構成の場合には第1層の膜厚は好ましくは90〜140nm、より好ましくは100〜120nmであり、第2層の膜厚は60〜110nm、より好ましくは70〜90nmである。また、3層構成の場合には第1層の膜厚は好ましくは75〜105nm、より好ましくは80〜95nmであり、第2層の膜厚は好ましくは10〜45nm、より好ましくは15〜30nmであり、第3層の膜厚は好ましくは85〜115nm、より好ましくは90〜100nmである。
【0025】
なお、前記酸窒化スズ層、二酸化ケイ素層および酸化チタン層ともに、本発明における作用効果を損なわない範囲で他の元素を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の製造方法において、ガラス基板の前記反射防止膜を成膜する面とは反対面に設ける、電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層の構成としては、電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と反射防止機能とを発現する積層膜が挙げられる。具体的には、ガラス基板側から、1)導電膜(電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能を発現する)、防湿性および色調補正機能を備えた反射防止フィルムの順に積層された積層膜、2)導電メッシュ層(電磁波遮蔽機能を発現する)、近赤外線吸収剤含有反射防止フィルム(近赤外線遮蔽機能と反射防止機能を発現する)の順に積層された積層膜、3)導電膜(電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能を発現する)、近赤外線遮蔽フィルム、反射防止フィルムの順に積層された積層膜、などが挙げられる。尚、本発明において「電磁波遮蔽」とは周波数30〜1000MHzの領域を遮蔽しうることを意味し、「近赤外線遮蔽」とは波長800〜1300nmの領域を遮蔽しうることを意味する。
【0027】
導電膜としては、高屈折率透明層と銀(Ag)層からなる多層膜が好ましく、具体的には、1)高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層の順に積層された多層膜、2)高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層の順に積層された多層膜、3)高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層、銀層、高屈折率透明層の順に積層された多層膜、などが挙げられる。
高屈折率透明層としては、屈折率が1.8〜2.4程度の層であることが好ましく、例えばZnO層が挙げられ、特にAlが添加されたZnO層が好ましい。銀層とは、銀を主成分とする層であり、銀の比抵抗を大きく減じない範囲でパラジウム、金、ニッケル、チタニウムなど他の金属を添加することができるが、とりわけパラジウム(Pd)は、それが少量添加されることにより、導電膜(電磁波遮蔽膜)の耐湿性および耐熱性が向上するので好ましい。
なお、銀の耐久性を向上させるために防湿性に優れた層やフィルムを銀層の上に積層することが好ましい。そのために防湿性を備えた反射防止機能付フィルムを用いると工程が少なくてすむため好ましい。更に、このフィルムに色素を含有させて着色することで色調補正や透過率調整を行うこともできる。
【0028】
反射防止フィルムとしては、樹脂フィルムが挙げられる。また、反射防止フィルムは色調調整のために、有色のフィルムとすることもできる。
本発明において用いることができる反射防止フィルムとして、具体的には旭硝子社製のARCTOP(商品名)を挙げることができる。ARCTOP(商品名)は、自己修復性と飛散防止特性とを有するポリウレタン系軟質樹脂フィルムの片面に、非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率の反射防止層を形成して反射防止処理を施したものである。また、日本油脂社製のリアルック(商品名)も挙げることができる。
【0029】
導電メッシュ層としては、導電性物質をメッシュ状に付着させてなるフィルム等が代表例として挙げられ、その具体的なフィルム構成や導電性物質の付着方法などについては特開平9−330667号公報に記載されている。
【0030】
本発明において、反射防止フィルムや導電性メッシュフィルム等各種フィルムを接着するに際して、熱によって両者を貼り合せることもできるが、粘着剤層を介して両者を接着させることもできる。この粘着剤層に使用することができる粘接着剤としては、例えばアクリル系、アクリル共重合系、シリコーン系、ゴム系、ポリビニルエーテル系等の粘着剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系、ポリアミド等のホットメルト型の接着剤、ウレタン系、エポキシ系、アミノ樹脂系、フェノール樹脂系、アクリレート系等の熱硬化型あるいは紫外線硬化型接着剤等が挙げられる。
【0031】
なお、本発明においては、反射防止フィルム及び/または粘着剤を着色させて色調補正を行うことが好ましい。
【0032】
本発明のフィルターに近赤外線遮蔽機能をもたせるためには、メッシュフィルム、粘着剤、および反射防止フィルムの少なくとも1つに近赤外線遮蔽性物質を含有させてもよいし、これらとは別に近赤外線遮蔽機能を有するフィルムを設けてもよい。また、これらのフィルムに可視光の色素を添加、着色することで色調補正してもよい。
【0033】
本発明の製造方法の好ましい態様としては、ガラス基板を所定の大きさに切断した後切断部分を面取(切面)したのちに、ガラス基板の片面の周辺全体に着色セラミック層と銀ぺーストとをこの順に印刷して電極を形成する。ここで、「所定の大きさ」とはPDPなどの表示装置の前面に取り付けるために適切な大きさであり、表示装置の画面サイズに応じて適宜決められる。印刷方法としてはスクリーン印刷が挙げられる。例えば、ガラス基板の片面の周辺全体に着色セラミック層と銀ペーストとをこの順に印刷する。この印刷の工程は、工程2と工程3の間に行われることが好ましく、次工程の熱処理を電極形成のための焼成に利用することができる。電極用銀ペーストは、銀とガラスフリットを含むペーストであり、着色セラミック層は、電極が観察者側から直接見えてしまうことを隠蔽するために設けるもので主に顔料、ガラスフリットからなる。
【0034】
熱処理は、特に限定されず、所望の特性に応じて条件を変動させることができる。中でも、好適な具体例の一つとして、酸素ガスを含有する雰囲気(例えば、大気雰囲気)の中で、500〜700℃で3〜5分間熱処理することが挙げられる。
【0035】
本発明において、生産性の観点から反射防止膜をスパッタリング法によって成膜した後に基板を切面する。
【0036】
このようにして製造された反射防止機能付フィルターは、PDP等の表示装置前面に取り付けて使用する。尚、本発明によるフィルターを取り付ける際には反射防止膜をスパッタコートした基板面が表側(観察者側)となるようにする。
【0037】
本発明の製造方法によって得られる反射防止フィルターの可視光線透過率は30〜70%が好ましく、より好ましくは40〜60%である。尚、ここでいう「可視光線透過率」とは、透明基板として2.5mm厚のソーダライムガラスを用いて測定した値であり、JIS K6714に準じて測定されたものである。尚、色調はユーザーの嗜好に応じて適宜調整すればよく、またPDPから発光される590nmのネオン光をカットする光吸収機能を付与してもよい。
【0038】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
[例1]
図1を参照しながら、本実施例を説明する。真空槽内に、縦431mm、横127mmの平板形状の、金属スズ(Sn)およびシリコン(Si)をスパッタターゲットとしてそれぞれカソード上に設置し、真空槽(ILS1600、Airco社製)を圧力が2.6×10-3Paとなるまで排気した。真空槽内に設置した無着色のソーダライムガラス基板1(厚み2.5mm)上に、次のようにして反射防止層2を形成した。
【0040】
<第1層>
放電ガスとして酸素250sccmと窒素350sccmとの混合ガスを導入した。このとき、圧力は0.45Paとなった。ついで、Snの反応性DCスパッタリング(電力密度1.5W/cm2)により、膜厚が107nmの酸窒化スズ膜(波長550nmにおける屈折率が1.95、窒素含有割合が0.5原子%)を第1層として前記基板に直接成膜した。
【0041】
<第2層>
放電ガスとしてアルゴン100sccmと酸素500sccmとの混合ガスを真空槽内に導入した。このとき、圧力は0.5Paとなった。ついで、シリコンの反応性ACスパッタリング(電力密度1.5W/cm2)により、膜厚が72nmの二酸化ケイ素(SiO2、波長550nmにおける屈折率が1.46)を第2層として成膜した。
【0042】
上記のようにして反射防止層を成膜したガラス基板を必要な大きさに切断、面取りした後、洗浄した。次いで、ガラス基板の反射防止層を成膜した面とは反対側の面周辺全体に着色セラミック層3用のインクをスクリーン印刷で印刷し、充分に乾燥した。その後、その上に電極用の銀ペースト4を、ガラス板周辺全体にスクリーン印刷し乾燥した。更に、インク及びペーストの焼成とガラスの強化処理を目的として、このガラスを大気雰囲気中で660℃まで加熱し、その後風冷強化を施した。
【0043】
こうして作製したガラス板の電極が形成されている面上に、電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能とを発現する透明導電膜5を以下の方法により形成した。
すなわち、前記のガラス基板をスパッタリング装置内にセットし、10-6Torr台まで排気した。次に、ガラス/3Al−ZnO(40nm)/2.5Pd−Ag(15nm)/3Al−ZnO(80nm)/2.5Pd−Ag(15nm)/3Al−ZnO(40nm)の多層導電膜を成膜した。それぞれの膜の成膜条件は表1のとおりである。
なお、3Al−ZnOとは、AlをAlとZnとの総量に対し3原子%含有するZnOの意であり、2.5Pd−Agとは、PdをPdとAgとの総量に対し2.5原子%含有するAgの意であり、他も同様である。
【0044】
【表1】
Figure 0004078520
次に、前記導電膜上に色調補正したPET付反射防止フィルム6(旭硝子社製、商品名:ARCTOP(着色タイプ))をアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ反射防止フィルターを作製した。尚、この着色はフィルター色がニュートラルグレイになるように調整されたものである。
【0045】
このようにして作製した反射防止フィルターの可視光線透過率は58%、反射率は2%、透過色はニュートラルグレイであり、反射防止効果を確認した。尚、可視光線透過率はJIS K6714に準じて測定されたものであり、反射率はJIS Z8701に準じて測定されたものである。
【0046】
[例2]
例1において、PET付反射防止フィルム(ARCTOP)の代わりに、TAC反射防止フィルム(リアルック)を着色粘着剤を介して貼り合わせて反射防止フィルターを作製した。
【0047】
このようにして作製した反射防止フィルターの透過色はニュートラルグレイであり、反射防止効果を確認した。
【0048】
[例3]
例1において、スパッタリング法によって成膜した導電膜の代わりに、日立化成工業(株)製電磁波遮蔽メッシュフィルム(着色タイプ)を無色透明のアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ、更に近赤外線遮蔽フィルムと着色ARCTOPを貼り合わせた。
【0049】
このようにして作製した反射防止フィルターの透過色はニュートラルグレイであり、反射防止効果を確認した。
【0050】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、反射防止膜をスパッタリング法により基板面上に形成するため、生産性に優れる。また、本発明により得られるフィルターは、観察者側の基板面上に反射防止膜がスパッタコートされるため、従来の反射防止フィルムを貼り付けたフィルターや、フッ素樹脂コートされたフィルターと比べて耐擦傷性に優れ、外観にも優れる。
更に、本発明の製造方法において、特定の膜材料を用いたときには後加熱が可能となり、生産性に特に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法によって得られる表示装置用反射防止フィルターの一例の層構造を示す模式的概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 反射防止層
3 着色セラミック層
4 銀ペースト
5 導電膜
6 反射防止フィルム

Claims (3)

  1. ガラス基板の片面上に反射防止膜をスパッタリング法によって成膜する工程と、前記ガラス基板を所定の大きさに切断した後切断部分を面取する工程と、前記ガラス基板全体を熱処理し強化する工程と、前記ガラス基板の反射防止膜を成膜する面とは反対側に電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層を設ける工程とをこの順に含むことを特徴とする表示装置用反射防止フィルターの製造方法。
  2. 前記電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層を設ける工程が、ガラス基板面上に電磁波遮蔽層をスパッタリング法により成膜する工程又は電磁波遮蔽層が成膜されたフィルムを積層する工程と、前記電磁波遮蔽層上に低反射フィルムを貼り付ける工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用反射防止フィルターの製造方法。
  3. 前記電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽機能と色調補正機能と反射防止機能の少なくとも1つを発現する層を設ける工程が、ガラス基板面上に電磁波遮蔽メッシュ付きフィルムを貼り付ける工程と、前記電磁波遮蔽メッシュ付きフィルム上に近赤外線遮蔽機能と色調補正機能を含む低反射フィルムを貼り付ける工程とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置用反射防止フィルターの製造方法。
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