JPH1087348A - 光吸収性反射防止体とその製造方法 - Google Patents
光吸収性反射防止体とその製造方法Info
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- JPH1087348A JPH1087348A JP9142644A JP14264497A JPH1087348A JP H1087348 A JPH1087348 A JP H1087348A JP 9142644 A JP9142644 A JP 9142644A JP 14264497 A JP14264497 A JP 14264497A JP H1087348 A JPH1087348 A JP H1087348A
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Abstract
る光吸収性反射防止体とその製造方法の提供。 【解決手段】幾何学的膜厚5〜25nmでO/Ti(原
子数比)=0.11〜0.33の酸窒化チタン膜と、幾
何学的膜厚70〜130nmでシリカを主成分とする膜
とが形成された光吸収性反射防止体。
Description
体およびその製造方法に関する。
防止と電磁波遮蔽は、基体側から、可視光に実質的に透
明な低屈折率誘電体膜、高屈折率誘電体膜、高屈折率導
電体膜を積層することにより達成されていた(特開昭6
0−168102)。しかしこの多層構成の反射防止膜
においては、低反射となる波長範囲を広くするために
は、反射防止膜を構成する層の数を増す必要があり、こ
れに伴って製造コストが大きくなるという問題があっ
た。
るための膜構成をきわめて単純にしたものとして、基体
側から光吸収性膜とシリカ膜を積層した2層の反射防止
膜も提案(DE3942990)されているが、この窒
化チタン層などの光吸収性膜とシリカ膜とからなる2層
構成の光吸収性反射防止膜を用いても、得られる光吸収
性反射防止体の低反射の波長領域は狭く、その反射防止
特性は不充分であった。
成で、充分な反射防止特性を発現する光吸収性反射防止
体およびその製造方法の提供を目的とする。本発明は、
また、単純な層構成で耐熱性に優れた光吸収性反射防止
体およびその製造方法の提供を目的とする。
体側から、幾何学的膜厚が5〜25nmの酸窒化チタン
膜と、幾何学的膜厚が70〜130nmのシリカを主成
分とする膜とがこの順に形成され、シリカを主成分とす
る膜側からの入射光の反射を低減させる光吸収性反射防
止体であって、前記酸窒化チタンにおける酸素のチタン
に対する原子数比が0.11〜0.33であることを特
徴とする光吸収性反射防止体(以下、第1の発明とい
う)を提供する。
幾何学的膜厚が15〜30nmの酸窒化チタン膜と、幾
何学的膜厚が10〜30nmであり屈折率が1.7以上
であって可視光に実質的に透明である誘電体膜と、幾何
学的膜厚が50〜90nmのシリカを主成分とする膜と
がこの順に形成され、シリカを主成分とする膜側からの
入射光の反射を低減させる光吸収性反射防止体であっ
て、前記酸窒化チタンにおける酸素のチタンに対する原
子数比が0.11〜0.33であることを特徴とする光
吸収性反射防止体(以下、第2の発明という)を提供す
る。
ン層を含んでおり、この酸窒化チタンに含まれる酸素の
量を変化させると、その屈折率nと消衰係数kは変化
し、これに伴って、低反射となる波長範囲も変化する。
つまり、酸窒化チタン中の酸素量を調整することによ
り、反射防止性能を向上しうる。本発明における最も単
純な膜構成は、第1の発明に示すように、酸素含有量を
最適とした酸窒化チタン膜とシリカを主成分とする膜と
からなる2層構成である。
実質的に透明である誘電体膜を用いた反射防止体におい
ては、ある特定の波長(設計波長と呼ばれる)における
反射率をゼロにするように各々の層の屈折率と膜厚を決
めうる。しかし、設計波長以外の波長では、反射率が急
激に増加する、いわゆる「Vコート」となり、広い波長
範囲において低反射とはならない。
物質、つまり、光吸収性物質を用いると2層構成であっ
ても広い波長範囲において低反射となる反射防止体を形
成できる。その光吸収性物質の屈折率と消衰係数の波長
依存性(波長分散)は、その膜厚が決まれば決定され
る。つまり、屈折率と消衰係数の両方の波長分散が同時
に最も望ましいものとなる光吸収性物質を用いることが
本発明の要点である。
となる反射防止体に用いる光吸収性物質として酸窒化チ
タンを見出し、さらに、その酸素含有量が特定範囲にあ
ることが低反射波長範囲を広くするためには肝要である
ことを見出した。
に、実用的な、低反射の波長範囲の広い反射防止体を得
るうえで、酸窒化チタンにおける酸素のチタンに対する
原子数比は0.11〜0.33であることが重要であ
る。より低反射能が要求される場合は、酸素のチタンに
対する原子数比は、0.14〜0.28、特に0.16
〜0.26であることが好ましい。
る膜としては、導電性のシリコンターゲットを酸化性ガ
スの存在下で直流スパッタして得られる膜がある。シリ
カを主成分とする膜の形成法としては、特に限定され
ず、CVD法やスパッタ法などの乾式法や、スプレー
法、スピンコート法、ディップ法などの湿式法を採用で
きる。スパッタ法としては、高周波(RF)スパッタ法
や直流反応性スパッタ法が挙げられる。
リコンターゲットに導電性を付与するため、ホウ素、リ
ン、またはアルミニウムなどの金属が混入される。その
結果、得られるシリカにもこれらの元素が不純物として
混入するが、本発明におけるシリカとは、シリカとほぼ
同じ屈折率を持つもののことである。
〜25nmの酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚が70〜
130nmのシリカを主成分とする膜とを用いることが
重要である。
反射となる波長領域は広がるが、反射率が大きくなり、
また、25nm超では低反射となる波長領域は狭くな
り、さらに膜厚を大きくすると反射率は大きくなる。
さくすると低反射となる波長範囲は低波長領域になり、
シリカを主成分とする膜の膜厚を大きくすると低反射と
なる波長範囲は長波長領域になる。つまり、低反射とな
る波長領域を可視光領域とするためには、シリカを主成
分とする膜の膜厚を70〜130nmの範囲にすること
が必要となる。酸窒化チタン膜の幾何学的膜厚は、7〜
20nm、特に8〜15nmが好ましい。この範囲に酸
窒化チタンの膜厚を限定することにより、低反射となる
波長領域は広がり、かつ、反射率も低くできる。
は、80〜100nmが好ましい。この膜厚範囲とする
ことにより、低反射となる波長領域は、可視光領域の中
央付近になり、反射防止体としてはさらに性能が向上す
る。
5〜30nmの酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚が10
〜30nmであり屈折率が1.7以上であって可視光に
実質的に透明である誘電体膜と、幾何学的膜厚が50〜
90nmのシリカを主成分とする膜とを用いることが重
要である。前記誘電体膜としては、酸化チタン膜などが
挙げられる。
前記シリカを主成分とする膜との間に、幾何学的膜厚が
1〜20nmの、金属または金属窒化物を主成分とする
層が形成されていることが好ましい。また、第2の発明
においては、酸窒化チタン膜と前記誘電体膜との間に、
幾何学的膜厚が1〜20nmの、金属または金属窒化物
を主成分とする層が形成されていることが好ましい。
酸化を防止する層(以下、バリア層という)として前記
の金属または金属窒化物を主成分とする層を挿入するこ
とにより、成膜時の酸化を防いだり、耐熱性を向上させ
うる。
ゆるLow−Eガラスにおいては広く実施されており、
銀膜上に続いて形成される酸化膜の成膜時に、銀膜が酸
化されることを防ぐ目的で、バリア層を形成することが
示されている(USP4548691および特開昭59
−165001)。このように、このバリア層は、その
下に形成されている別の層の酸化を防ぐために形成され
る薄膜であり、光学的には意味を持たない(すなわち、
反射防止特性や可視光線透過率にほとんど影響を与えな
い)ものである。また、光学的には意味を持たせないこ
とが重要である。
を損なわないために20nm以下であることが望まし
い。また、このバリア層の膜厚が1nm未満では耐熱性
の向上が不充分となる。したがって、1〜20nmの膜
厚のバリア層を挿入すると耐熱性を効果的に向上させう
ることから好ましい。
意味を持たないことが重要なので、バリア層が光吸収性
(例えば光吸収性の窒化シリコン)である場合は、厚み
は約5nm以下にすべきである。
屈折率により許容される膜厚が異なる。屈折率が約2.
0の材料(例えば窒化シリコンや窒化アルミニウム)を
用いた場合に最も許容膜厚が大きくなり、約20nm以
下のバリア層を下層の光吸収膜と上層の誘電体膜との間
に、低反射特性を維持しながら挿入できる。
ングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、亜鉛、ニ
ッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、インジウ
ム、スズおよびシリコンからなる群の1種以上の金属を
主成分とする膜もしくはこれらの窒化物を主成分とする
膜、または、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムか
らなる群の1種以上の金属を主成分とする膜、を用いる
と、充分な酸化防止性能の向上と、優れた反射防止特性
の維持を両立させうるので好ましい。特に、シリコンま
たはシリコン窒化物を主成分とする層が好ましい。
合には、他の多くの金属や金属窒化物において見られる
ような表面から酸素が深さ方向に濃度勾配をもって拡散
していく酸化機構(酸化機構A)でなく、表面から1原
子層ずつ酸化物層が形成されていく酸化機構(酸化機構
B)を示す。
の成膜時に、またはその後の熱処理時に酸化される可能
性がある。シリコンまたはシリコン窒化物は、酸窒化チ
タンの酸化を防止するために用いられ、このために、シ
リコンまたはシリコン窒化物は、部分酸化物あるいは酸
窒化シリコンとなることがある。
は金属窒化物が完全に酸化される以前においても酸窒化
チタンが酸化されていく可能性があるのに比べ、後者の
酸化機構Bを示すシリコンまたはシリコン窒化物は、完
全に酸化されるまでは酸窒化チタンを酸化から守りう
る。
うに、酸化後の状態を見込んでシリコンまたはシリコン
窒化物を主成分とする層の膜厚を設定することもでき
る。可視光に対し透明なシリコン窒化物は、反射防止体
の光学特性にほとんど影響を与えないことから膜厚を大
きくでき、酸窒化チタンの酸化を効果的に防げるので好
ましい。
幾何学的膜厚が5〜25nmの酸窒化チタン膜と、幾何
学的膜厚が70〜130nmのシリカを主成分とする膜
とがこの順に形成され、シリカを主成分とする膜側から
の入射光の反射を低減させる光吸収性反射防止体の製造
方法であって、前記酸窒化チタンを、チタンを主成分と
するターゲットを用いてスパッタ法により形成し、酸素
のチタンに対する原子数比を0.11〜0.33とする
ことを特徴とする光吸収性反射防止体の製造方法を提供
する。
幾何学的膜厚が15〜30nmの酸窒化チタン膜と、幾
何学的膜厚が10〜30nmであり屈折率が1.7以上
であって可視光に実質的に透明である誘電体膜と、幾何
学的膜厚が50〜90nmのシリカを主成分とする膜と
がこの順に形成され、シリカを主成分とする膜側からの
入射光の反射を低減させる光吸収性反射防止体の製造方
法であって、前記酸窒化チタンを、チタンを主成分とす
るターゲットを用いてスパッタ法により形成し、酸素の
チタンに対する原子数比を0.11〜0.33とするこ
とを特徴とする光吸収性反射防止体の製造方法を提供す
る。
されず、CVD法やスパッタ法などを採用できる。スパ
ッタ法としては、RFスパッタ法や直流反応性スパッタ
法が挙げられる。特に、直流反応性スパッタ法を用い、
スパッタガスとして、窒素、希ガスおよび酸化性ガスか
らなる混合ガスを用いることが好ましい。
に基体を加熱する必要がなく、また、成膜過程における
基体の温度上昇もRFスパッタ法に比較して小さいため
に、基体として使用できる物質の制限が小さく、さら
に、大面積の基体に反射防止体を形成するのも容易であ
る。
電力に対応してガスの組成比を調整でき、結果として、
酸窒化チタンにおける酸素のチタンに対する原子比を調
整できることから、窒素、希ガスおよび酸化性ガスの混
合ガスを用いることが好ましい。
化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素および水
からなる群から選ばれる1種以上のガスを用いることが
好ましい。その理由は、これらのガスが、得られる膜に
酸素原子を導入するうえで、酸窒化チタンに含まれる酸
素のチタンに対する原子数比を最適にするように調整す
ることが容易となる酸化性ガスだからである。
域が広くなる酸窒化チタンを得るうえで、チタンターゲ
ットに投入する電力の範囲が広くなり、酸窒化チタンの
成膜がより容易になることから、前記混合ガスとして、
酸素を含有しかつ酸素の含有量が5体積%以下であるガ
スを用いることが好ましい。この混合ガス中の酸素含有
量は、2体積%以下がより好ましく、1.2体積%以下
がさらに好ましい。
ラスチック、プラスチックフィルムなどが挙げられる。
具体的には、ディスプレイ用の表示部を構成するガラ
ス、プラスチック、プラスチックフィルムなどや、建築
物や自動車などの移動体の窓部を構成するガラス、プラ
スチック、プラスチックフィルムなどが挙げられる。ま
た、展示物などの収納物を保護し、かつ、視認性を確保
する部分を構成するガラス、プラスチック、プラスチッ
クフィルムなども挙げられる。プラスチック、プラスチ
ックフィルムの材料としてはPET(ポリエチレンテレ
フタレート)などが挙げられる。
射防止体をCRTの前面発光板(パネル)として用いた
場合が挙げられる。本発明における光吸収性反射防止膜
をこうしたパネルに成膜後、CRTを構成するほかの2
つの構成部材であるファンネルと電子銃を、低融点粉末
ガラスを接着剤として用いて加熱し、パネルに融着する
必要がある。この加熱融着工程は、約450℃の温度に
これら構成部材を密着した状態で30分間維持するもの
であり、CRTの完成のためには、この工程を2回行う
必要がある。この加熱融着工程において、本発明におけ
るバリア層は、酸窒化チタン膜の酸化を防止する役目を
負うことになる。
酸素のチタンに対する原子数比はESCAとヘリウムの
ラザフォード散乱法から求めた。この手順を以下に詳し
く述べる。ラザフォード散乱法のための試料として、グ
ラファイト基板上に酸窒化チタンを100nm成膜し、
この上に、酸化防止と汚染防止のために窒化シリコンを
10nm成膜した。この試料の入射エネルギー2.3M
eVを持つ質量数4のHe正イオンの後方散乱強度のエ
ネルギー分光を行い、酸素のチタンに対する原子数比を
求めた。この値の誤差は、通常10%以内である。
酸窒化チタンと同じ成膜条件でソーダライムガラス上に
酸窒化チタンを20nm成膜し、この上に、窒化シリコ
ンを3nm成膜したものを用意し、これをアルゴンイオ
ンで4分間スパッタすることにより、汚染されていない
酸窒化チタンを真空中で露出させ、この表面の組成分析
をESCAにより行った。このESCAにより得られた
酸素に対するチタンの原子数比とラザフォード散乱によ
り得られた酸素に対するチタンの原子数比との比を求
め、ESCAにより得られた酸素に対するチタンの原子
数比を補正するための係数として用いた。
による表面反応層と汚染層の除去が必要となるが、この
処理により、酸素のチタンに対する原子数比は、実際の
ものより小さくなる。また、さらに、このスパッタの時
間とともに酸素のチタンに対する原子数比は徐々に小さ
くなる。したがって以下の例における酸窒化チタンの酸
素に対するチタンの原子数比は、各々の例の条件で前記
同様に、ソーダライムガラス上に酸窒化チタン20n
m、窒化シリコン3nmをこの順に成膜し、アルゴンイ
オンによるスパッタを4分間行って、ESCAにより組
成分析し、先に求めた補正係数を用いて求めた。
めに、反射率が0.6%となる低波長側の波長で、高波
長側の波長を除したものをバンド幅比と定義し、これを
求めた。
た後、窒素ガス濃度10体積%、酸素ガス濃度0.69
体積%、残部アルゴンガスからなるスパッタガスを成膜
室に導入し、20cm×7cm×0.5cmの大きさの
チタンターゲットに0.26kWの電力を投入して、直
流反応性スパッタ法により膜厚9nmの酸窒化チタンを
ソーダライムガラス平板上に形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、20cm×7
cm×0.5cmの大きさのn型シリコンターゲットに
0.39kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法
により膜厚5nmの窒化シリコンを形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、20cm×7
cm×0.5cmの大きさのn型シリコンターゲットに
0.77kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法
により膜厚90nmのシリカを形成した。
素のチタンに対する原子数比は0.21であった。得ら
れた試料の膜の形成されていないガラス面に黒色塗料を
塗布し、膜の形成されている側の分光反射率を測定し
た。得られた分光反射率を図1に示す。バンド幅比は
1.71であった。このように、低反射波長範囲のきわ
めて広い光吸収性反射防止体が得られた。
のスパッタガスとして、窒素ガス濃度10体積%、酸素
ガス濃度0.69体積%、残部アルゴンガスからなるス
パッタガスに代えて、窒素ガス濃度10体積%、残部ア
ルゴンガスからなるスパッタガスを用いた以外は例1と
同様にして、膜厚9nmの窒化チタンをソーダライムガ
ラス平板上に形成した。次に、例1と同様にして、膜厚
5nmの窒化シリコンと膜厚90nmのシリカをこの順
序で形成した。
含まれ、その酸素のチタンに対する原子数比は0.09
であった。例1と同様にして測定した、膜の形成されて
いる側の分光反射率を図2に示す。バンド幅比は1.4
64であった。例1と比べれば、スパッタガス中に酸素
を混入しなければ、低反射性能が不充分であることがわ
かる。
のスパッタガスとして、窒素ガス濃度10体積%、酸素
ガス濃度0.69体積%、残部アルゴンガスからなるス
パッタガスに代えて、窒素ガス濃度10体積%、酸素ガ
ス濃度1.85体積%、残部アルゴンガスからなるスパ
ッタガスを用いた以外は例1と同様にして、膜厚9nm
の酸窒化チタンをソーダライムガラス平板上に形成し
た。次に、例1と同様にして、膜厚5nmの窒化シリコ
ンと膜厚90nmのシリカを形成した。
素のチタンに対する原子数比は0.78であった。例1
と同様にして測定した、膜の形成されている側の分光反
射率を図3に示す。バンド幅比は1.091であった。
例1と比べれば、酸窒化チタンに含まれる酸素濃度が適
当でない酸窒化チタンを光吸収物質として用いると得ら
れる光吸収性反射防止体の低反射範囲は狭く、低反射性
能が不充分であることがわかる。
ガスとして、窒素ガス濃度10体積%とし、酸素ガス濃
度を各種濃度に変化させ、残部アルゴンガスとしたスパ
ッタガスを用いた以外は例1と同様にして各種光吸収性
反射防止体を得た。
素のチタンに対する原子数比、バンド幅比を求め、縦軸
をバンド幅比とし、横軸を酸素のチタンに対する原子数
比として図4にプロットした。なお、図4には、例1〜
3の値も併せてプロットしてある。
チタンに対する原子数比の増加とともに、バンド幅比は
いったん増加した後に減少する、すなわち、低反射範囲
は広くなった後に再び狭くなることがわかる。このこと
から、光吸収性反射防止体の所望の低反射性能に応じ
て、酸窒化チタンに含まれる酸素が特定の範囲になるよ
うに酸窒化チタンを形成する必要があることがわかる。
わち、バンド幅比が1.5以上となる反射防止体に用い
られる酸窒化チタンの酸素原子数のチタン原子数に対す
る比は0.11〜0.33となる。
は、さらに低反射の波長領域の広い、すなわち、バンド
幅比が1.60以上となる酸窒化チタンが用いられ、酸
素原子数のチタン原子数に対する比は0.14〜0.2
8となる。
途に対しては、さらに低反射の波長領域の広い、すなわ
ち、バンド幅比が1.65以上となる酸窒化チタンが用
いられ、酸素原子数のチタン原子数に対する比は0.1
6〜0.26となる。
率を測定したところ、図7のようになった。図7より、
酸窒化チタンに含まれる酸素のチタンに対する原子数比
の増加に伴い、光吸収性反射防止体の可視光透過率は、
単調に増加していることがわかる。
酸窒化チタンをソーダライムガラス平板上に形成した。
次に、酸素ガス濃度60体積%、残部アルゴンガスから
なるスパッタガスを用いて、20cm×7cm×0.5
cmの大きさのn型シリコンターゲットに0.34kW
の電力を投入して、膜厚90nmのシリカを形成した。
素のチタンに対する原子数比は0.25であった。例1
と同様にして測定した、膜の形成されている側の分光反
射率を図5に示す。バンド幅比は1.649であった。
このように、低反射波長範囲のきわめて広い光吸収性反
射防止体が得られた。例1と比較して、例5の低反射領
域はわずかに狭いが、これは、酸窒化チタンが、シリカ
の成膜時に若干酸化されたためと考えられる。
た後、窒素ガス濃度10体積%、酸素ガス濃度0.69
体積%、残部アルゴンガスからなるスパッタガスを成膜
室に導入し、20cm×7cm×0.5cmの大きさの
チタンターゲットに0.26kWの電力を投入して、直
流反応性スパッタ法により膜厚15nmの酸窒化チタン
をソーダライムガラス平板上に形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、20cm×7
cm×0.5cmの大きさのn型シリコンターゲットに
0.39kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法
により膜厚5nmの窒化シリコンを形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、20cm×7
cm×0.5cmの大きさのチタンターゲットに、0.
77kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法によ
り膜厚18nmの酸化チタンを形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、20cm×7
cm×0.5cmの大きさのn型シリコンターゲットに
0.77kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法
により膜厚63nmのシリカを形成した。
素のチタンに対する原子数比は0.21であった。例1
と同様にして測定した、膜の形成されている側の分光反
射率を図6に示す。バンド幅比は1.800であった。
このように、低反射波長範囲のきわめて広い光吸収性反
射防止体が得られた。
た後、窒素ガス濃度10体積%、酸素ガス濃度0.69
体積%、残部アルゴンガスからなるスパッタガスを成膜
室に導入し、200cm×70cm×1.2cmの大き
さのチタンターゲットに26kWの電力を投入して、直
流反応性スパッタ法により膜厚9nmの酸窒化チタンを
CRTのパネル上に形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、200cm×
70cm×1cmの大きさのn型シリコンターゲットに
39kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法によ
り膜厚5nmの窒化シリコンを形成した。
ゴンガスからなるスパッタガスを用いて、200cm×
70cm×1cmの大きさのn型シリコンターゲットに
77kWの電力を投入して、直流反応性スパッタ法によ
り膜厚90nmのシリカを形成した。得られた試料の酸
窒化チタンに含まれる酸素のチタンに対する原子数比は
0.21であった。
中に30分置く熱処理を2回繰り返した。熱処理後、膜
の形成されている側の分光反射率を測定したが、熱処理
前後でほとんど変化しないことが確認された。この結果
から、本発明の光吸収性反射防止体は、充分な耐熱性を
持っていることがわかる。
層構成で、充分な反射防止特性を発現する。また、耐熱
性に優れている。本発明の光吸収性反射防止体は、特
に、CRT用パネルやCRTの前面に取り付けられるテ
レパネルとして好ましく用いられる。
ンに対する原子数比とバンド幅比との関係を示すグラ
フ。
との関係を示すグラフ。
Claims (10)
- 【請求項1】基体上に、基体側から、幾何学的膜厚が5
〜25nmの酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚が70〜
130nmのシリカを主成分とする膜とがこの順に形成
され、シリカを主成分とする膜側からの入射光の反射を
低減させる光吸収性反射防止体であって、前記酸窒化チ
タンにおける酸素のチタンに対する原子数比が0.11
〜0.33であることを特徴とする光吸収性反射防止
体。 - 【請求項2】前記酸窒化チタン膜と前記シリカを主成分
とする膜との間に、幾何学的膜厚が1〜20nmであっ
て金属または金属窒化物を主成分とする層が形成されて
いる請求項1記載の光吸収性反射防止体。 - 【請求項3】基体上に、基体側から、幾何学的膜厚が1
5〜30nmの酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚が10
〜30nmであり屈折率が1.7以上であって可視光に
実質的に透明である誘電体膜と、幾何学的膜厚が50〜
90nmのシリカを主成分とする膜とがこの順に形成さ
れ、シリカを主成分とする膜側からの入射光の反射を低
減させる光吸収性反射防止体であって、前記酸窒化チタ
ンにおける酸素のチタンに対する原子数比が0.11〜
0.33であることを特徴とする光吸収性反射防止体。 - 【請求項4】前記酸窒化チタン膜と前記誘電体膜との間
に、幾何学的膜厚が1〜20nmであって金属または金
属窒化物を主成分とする層が形成されている請求項3記
載の光吸収性反射防止体。 - 【請求項5】前記金属または金属窒化物を主成分とする
層が、シリコンまたはシリコン窒化物を主成分とする層
である請求項2または4記載の光吸収性反射防止体。 - 【請求項6】基体上に、基体側から、幾何学的膜厚が5
〜25nmの酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚が70〜
130nmのシリカを主成分とする膜とがこの順に形成
され、シリカを主成分とする膜側からの入射光の反射を
低減させる光吸収性反射防止体の製造方法であって、前
記酸窒化チタンを、チタンを主成分とするターゲットを
用いてスパッタ法により形成し、酸素のチタンに対する
原子数比を0.11〜0.33とすることを特徴とする
光吸収性反射防止体の製造方法。 - 【請求項7】基体上に、基体側から、幾何学的膜厚が1
5〜30nmの酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚が10
〜30nmであり屈折率が1.7以上であって可視光に
実質的に透明である誘電体膜と、幾何学的膜厚が50〜
90nmのシリカを主成分とする膜とがこの順に形成さ
れ、シリカを主成分とする膜側からの入射光の反射を低
減させる光吸収性反射防止体の製造方法であって、前記
酸窒化チタンを、チタンを主成分とするターゲットを用
いてスパッタ法により形成し、酸素のチタンに対する原
子数比を0.11〜0.33とすることを特徴とする光
吸収性反射防止体の製造方法。 - 【請求項8】前記酸窒化チタンの形成法として直流反応
性スパッタ法を用い、スパッタガスとして窒素、希ガス
および酸化性ガスからなる混合ガスを用いる請求項6ま
たは7記載の光吸収性反射防止体の製造方法。 - 【請求項9】前記酸化性ガスとして、酸素、オゾン、一
酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素および
水からなる群から選ばれる1種以上のガスを用いる請求
項8記載の光吸収性反射防止体の製造方法。 - 【請求項10】前記混合ガスとして、酸素を含有しかつ
酸素の含有量が5体積%以下であるガスを用いる請求項
8記載の光吸収性反射防止体の製造方法。
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