JP4204824B2 - 光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弗化物を含む光学系に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
光学レンズ、ディスプレイ、光導波路等の光学系には、反射による光量損失等を抑制するために反射防止膜が形成されている。弗化マグネシウム(MgF2)は、屈折率が1.38と低く、反射防止効果が高いこと、真空蒸着法で容易に形成できること、300℃程度に加熱した基材の表面に形成した場合には十分な耐久性を有すること等から、低屈折率の反射防止材料として広く使用されている。
【0003】
しかし、基材がプラスティックである場合、又は基材に半導体などの電気回路が形成されている場合には、基材を300℃以上に加熱することができない。従って、このような低耐熱性の基材上に弗化マグネシウム膜を形成して成る光学系を製造することはできなかった。なお、特殊なスパッタリング法を用いて弗化マグネシウムを低温で成膜する方法が特開平9−243802号公報に開示されているが、それにより得られた弗化マグネシウム膜の具体的な性状は明らかではない。
【0004】
また、光導波路の分野では、特開平10―90532号公報に、主面に溝が形成された低屈折率の基板と、溝に充填された高屈折率の透明樹脂と、主面を覆う低屈折率の樹脂とを有する光導波路及びその作成方法が開示されている。しかしながら、この光導波路においては、基板として屈折率が比較的高いPMMA(polymethylmethacrylate:屈折率1.49)等を用いている。従って、溝に充填する透明樹脂としては、この基板よりも更に屈折率の高い材料を選ぶ必要があり、また、基板と反応する透明樹脂を用いることはできないため、使用可能な透明樹脂は限られていた。
【0005】
また、タッチパネルの分野では、液晶ディスプレイなどの電子ディスプレイや、電子ディスプレイ上にタッチパネルを備えた機器において、明るい環境下で周囲から機器の表示面に入射する外光の反射により、画像のコントラストが低下し、周囲環境が映り込むことで視認性が損なわれるという問題が存在していた。このため、液晶ディスプレイの表面や、この表面上に設けられたタッチパネルの表面などでの界面反射を防止することでコントラストの向上及び視認性を改善することが求められていた。この界面反射の防止方法としては、液晶ディスプレイであれば偏光板を構成する透明フィルムの表面上に、タッチパネルであれば表面側の透明基板の上に、それぞれフィルムや基板よりも屈折率の低い膜を可視波長の1/4の厚さで形成して干渉効果により反射を低減する方法、及び、屈折率の異なる2種以上の層を積層することでより広い波長範囲で反射をより低減する方法が知られている。
【0006】
偏光板の表面又はタッチパネルの表面に反射防止膜を形成する方法として、▲1▼弗化マグネシウムなどの弗化物を真空蒸着又はスパッタリングにより成膜して反射防止膜とする方法、▲2▼低屈折率の含弗素重合体などの樹脂を溶解した溶液を塗布して乾燥させることにより反射防止膜とする方法(特開平6−115023号公報参照)などがある。
【0007】
しかし、▲1▼の場合は透過率及び耐摩耗性の高い弗化マグネシウム膜を形成するには300℃以上の高温が必要であり、耐熱温度の低い偏光板やタッチパネルに適用することができなかった。また、真空蒸着又はスパッタリング等により形成した弗化マグネシウム膜は、一般に柱状構造を有する多結晶体であるため比表面積が十数m2/g以上の多孔質を成している。従って、水分の吸着能が高いという欠点を有している。即ち、周辺の温度及び湿度の変化に伴って前記弗化マグネシウム膜への水分の吸着量が変化するため、使用される環境条件によって膜の屈折率が変化(シフト)してしまうという問題があった。更に、このような膜の場合、使用する環境条件を想定し、屈折率の変化分を見込んで成膜する必要があった。また、低温での成膜が可能な酸化チタン(TiO2)と酸化シリコン(Si02)とを交互に積層することで反射防止膜を形成する方法があるが、この場合は広い波長範囲で、低い反射率を実現するには5層以上の膜を形成する必要があり生産性が悪くなるという問題がある。
【0008】
また、▲2▼の方法は大面積の反射防止膜を高い生産性で形成することが可能であるが、含弗素重合体は一般に硬度が低く、耐摩耗性が低いという欠点がある。そこで、含弗素多官能重合性単量体を塗布した後、電子線照射により重合硬化させる方法(特開平8−48935公報参照)が提案されている。この方法は、硬度が高くかつ耐摩耗性が向上した含弗素重合体の膜を提供できるが、電子線照射により基材等に着色などのダメージを与える可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、光学特性と耐磨耗性に優れ、かつ低温で形成可能な光学系を提供することを第1の目的としている。
【0010】
また、本発明は、作製が容易で基材材料と充填材料とを自由に選択できる光導波路を提供することを第2の目的としている。
【0011】
また、本発明は、光学特性と耐磨耗性に優れ、且つ基材にダメージを与えないタッチパネルを提供することを第3の目的としている。
【0012】
また、本発明は、水分の吸着量が少なく、温度及び湿度等の環境条件の変化に影響されにくく、安定した光学特性を有する光学系を提供することを第4の目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学系は、少なくとも一部が3nm以上且つ10nm以下の結晶粒径を有する弗化物で構成されている。かかる構成とすると、光学特性と耐磨耗性とに優れる弗化物を低温で形成することができるので、低耐熱性の基材を用いても光学特性と耐磨耗性に優れた光学系を構築することができる。
【0014】
また、前記弗化物が弗化マグネシウムであってもよい。かかる構成とすると、弗化マグネシウムの屈折率が1.38であるので、光学系の透過率制御範囲を広げることができる。
【0015】
また、前記弗化物がシリカ基材上に形成してあってもよい。かかる構成とすると、シリカ基材上に低温で弗化物が形成された光学系を実現できるので、生産に係るエネルギ消費量を抑え且つ生産効率を向上させることができる。
【0016】
また、前記弗化物が樹脂基材上に形成してあってもよい。かかる構成とすると、樹脂基材上に弗化物膜を成膜することによって、例えば反射防止膜等の光学系を形成できるので、シートディスプレイ等の可変性基材上に光学系を構築できる。
【0017】
また、前記光学系が誘電体多層膜反射板であってもよい。かかる構成とすると、前記弗化物を含む誘電体多層膜構造を形成することで、光の透過率及び反射率を任意の値に制御した光学系を構築できる。
【0018】
また、前記光学系が光導波路であってもよい。かかる構成とすると、作製が容易で基材材料と充填材料とを自由に選択できる埋め込み型の光導波路を構築できる。
【0019】
また、前記光学系が反射防止膜であってもよい。
【0020】
また、前記光学系がディスプレイに用いられる偏光板であってもよい。
【0021】
また、前記光学系がディスプレイに用いられるタッチパネルであってもよい。かかる構成とすると、光学特性と耐磨耗性とに優れ、且つ製造時において基材にダメージを殆ど与えないタッチパネルを構築することができる。
【0022】
また、前記タッチパネルが、弗化マグネシウム膜を有する偏光板と1/4波長板とを配置してなるものとしてもよい。
【0023】
また、本発明に係る光学系は、常温から100℃までの範囲の温度において製造され、且つ少なくとも一部が弗化物で構成されている。かかる構成とすると、光学特性と耐磨耗性とに優れる弗化物が低温で形成されているので、低耐熱性の基材を用いても光学特性と耐磨耗性に優れた光学系を構築することができる。
【0024】
また、本発明に係る光学系は、真空チャンバ内に配置されたバイアス供給電極の前面に基材を配置するプロセスと、弗化マグネシウムを蒸発させるプロセスと、前記バイアス供給電極を一方の電極として高周波電圧を供給して前記真空チャンバ内にプラズマを発生させるプロセスと、負の平均値と正の最大値とを有する波状に変化し100kHz以上2.45GHz以下の周波数を有するバイアス電圧を前記バイアス供給電極に印加するプロセスとにより前記基材上に形成された弗化マグネシウム膜を有している。かかる構成とすると、正のパルス状のバイアス電圧の印加により、弗素の解離が抑制され、光学特性と耐磨耗性とに優れた弗化膜を低温で形成することができるので、低耐熱性の基材を用いても光学特性と耐磨耗性とに優れた光学系を構築することができる。
【0025】
また、本発明に係る光学系は、少なくとも一部が1m2/g以上且つ5m2/g以下の比表面積を有する弗化物によって構成されている。膜に吸着される水分量は、該膜の物理的な比表面積にほぼ対応しており、比表面積が小さいほど吸着される水分量は減少する。従って、上述したような構成を成す光学系は、1〜5m2/gという比較的小さい比表面積の弗化物を有するため、水分の吸着を十分に抑制することができ、使用する際の環境条件に左右されにくく、屈折率の変動が少ない良好な光学特性を有する。
【0026】
また、本発明に係る光学系は、前記一部が表層部であってもよく、即ち、少なくとも表層部が1〜5m2/gの比表面積を有する弗化物によって構成されていてもよい。光学系において水分を吸着しやすいのは該光学系の表層部分である。従って、このような構成を成す光学系は、水分を吸着しやすい表層部を比較的小さい比表面積を有する弗化物によって構成するため、湿度及び温度等の環境条件に左右されにくく、屈折率の変動が少ない良質の光学特性を有する。
【0027】
また、本発明に係る光学系は、前記弗化物が、弗化マグネシウムであってもよい。弗化マグネシウムは屈折率が比較的小さいため、上述したような構成を成す光学系は、低屈折率が要求される光学系としてより有望である。
【0028】
また、本発明に係る光学系は、反射防止膜であってもよい。このような構成を成す光学系は、使用する環境条件に左右されにくく、屈折率の変動が少ない良好な反射防止膜を実現することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る光学系の構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態の光学系101は、基材102上に弗化物からなる膜(以下、「弗化物膜」という)103が形成されて構成されている。基材102は、ガラス、シリカ(SiO2)、樹脂等の材料で構成されている。この光学系101では、弗化物膜103の膜厚に応じて可視光の透過率が変化する。従って、弗化物膜103の膜厚を要求される可視光の透過率に応じて設定することにより、任意の可視光透過率を有する光学系101を作成することができる。
【0030】
そして、本実施の形態の特徴の一つは、この弗化物膜103が3nm以上かつ10nm以下の結晶粒径を有していることである。このことは、この弗化物膜103が常温から100℃程度の範囲の温度(以下、「低温」という)下で形成されたことを意味している。この弗化物膜103は、後述するように一定の耐久性を有している。従来は、このように低温下で形成されかつ一定の耐久性を有する弗化物膜を得ることはできなかったが、本件発明者が鋭意努力した結果、次に述べる特殊なイオンプレーティング装置により上述の弗化物膜103を得ることが可能になった。このように、弗化物膜103を低温で形成することが可能であるので、ガラス基材等の耐熱性のある基材に限らず、熱可塑性の樹脂基材,及び半導体回路を含む基材等の低耐熱性基材に対しても、弗化物膜を含む様々の光学系を構築することができる。ここで、弗化物としては、弗化マグネシウム(MgF2)が好ましい。弗化マグネシウムは、屈折率が1.38と低く、反射防止効果が高いこと、及び適正な条件下で成膜した場合には十分な耐久性があること等の理由からである。
【0031】
次に、本実施の形態の光学系101の好適な製造装置の一例を説明する。図2(a)は、光学系101を製造可能な成膜装置10の構成の概略を示す模式図である。該成膜装置10は、成膜の方式としてイオンプレーティングに基づき成膜できるように構成されている。
【0032】
成膜装置10は真空チャンバ1と電力供給ユニット8とを備えており、電力供給ユニット8は高周波電源ユニット11とバイアス電源ユニット12とを備えている。
【0033】
真空チャンバ1内の上部には、成膜される基材5を該基材5の成膜される表面に対する背面側から保持する基材ホルダ2が配設されている。図2(a)に示される該基材ホルダ2は、真空チャンバ1内に電力を供給できるように導電性の材質によって形成されている。そして、前記基材ホルダ2は、後に説明するように、バイアス電力と高周波電力との双方を真空チャンバ1内に供給できる電極を成している。
【0034】
また、基材ホルダ2は図示されないモータによって回転駆動されるように成されており、基材ホルダ2を回転させることにより基材5を回転させつつ成膜できるように成されている。
【0035】
チャンバ1内の下部には、弗化物からなる膜の材料物質を保持し、チャンバ1内の空間に該材料物質を蒸散させるための蒸発源3が配置されている。また、該成膜装置10には、特に図示されない真空ポンプ等の排気手段及びガス供給手段が備えられ、チャンバ1内を所要の真空雰囲気とできるようにされている。即ち、真空チャンバ1内を成膜条件に応じた所要の真空雰囲気に自在に調整できるようにされている。
【0036】
また、真空チャンバ1は、導電性の材質によって形成されており、そのチャンバ壁は接地されている。
【0037】
高周波電源ユニット11は、その出力端子の一端がハイパスフィルタ15を介して基材ホルダ2に接続されており、その出力端子の他端は接地されている。そして、高周波電源ユニット11より出力された高周波電力が基材ホルダ2に印加される。これにより、チャンバ1内にはプラズマを生成され、蒸発源3から蒸散した膜の材料物質はイオン化(励起)される。
【0038】
ハイパスフィルタ15は、高周波電源ユニット11と基材ホルダ2との間に設けられており、高周波電源ユニット11からの出力は基材ホルダ2側へ通過させるとともに、バイアス電源ユニット12からの出力が高周波電源ユニット11へ入力されることを阻止する。
【0039】
高周波電源ユニット11の出力について、その具体的な電力値及び周波数は、成膜しようとする膜の材質の種類や成膜条件に応じて必要な電力値及び周波数が選択される。
【0040】
また、高周波電源ユニット11とハイパスフィルタ15との間には特に図示しないマッチングボックスが設けられる。このマッチングボックスは、コンデンサやコイルからなる周知のマッチング回路により構成されており、該マッチング回路を調整することにより、高周波電源ユニット11側と真空チャンバ1側とのインピーダンスをマッチングさせることができる。
【0041】
バイアス電源ユニット12は、波形生成器13とバイアス電源14とを備えている。波形生成器13は、バイアス電源ユニット12から出力するためのバイアス電圧の波形を生成してバイアス電源14へ入力するものである。この波形生成器13は、定常的に一定値を取る直流成分,各周波数の交流成分,及び方形波又は三角波等の各種の波形を、基本波形として生成させることができ、また、複数の基本波形に基づき他の基本波形に合成することもできる。そして、波形生成器13により生成された基本波形に基づき、バイアス電源14によって所定の大きさの出力のバイアス電圧に増幅される。
【0042】
バイアス電源14は、その出力端子の一端がローパスフィルタ16を介して基材ホルダ2に接続されており、その出力端子の他端は接地されている。そして、バイアス電源14から出力されたバイアス電圧は基材ホルダ2に印加される。
【0043】
ローパスフィルタ16は、バイアス電源14と基材ホルダ2との間に設けられており、バイアス電源14からの出力は基材ホルダ2側へ通過させるとともに、高周波電源ユニット11からの出力がバイアス電源ユニット12側へ入力されることを阻止する。
【0044】
次に、バイアス電源ユニット12から出力されるバイアス電圧について説明する。図2(b)は、バイアス電圧の波形の一例を示している。図2(b)において、横軸は時間(sec.)に対応しており、縦軸は電圧値(V)の大きさに対応している。
【0045】
バイアス電圧は、図2(b)に示されるように周期的に電圧値が正負に変動する。より詳述すると該バイアス電圧は、一周期(TW1+T1)のうちの期間TW1の間は一定の正の電圧値(VP1)をとる正バイアスを成し、該一周期のうちの他の期間T1の間は一定の負の電圧値(−VB1 )をとる負バイアスを成し、方形パルス状の波形を成している。
【0046】
以上に説明した成膜装置10を用い、以下のように成膜することができる。蒸発源3には弗化物からなる膜の材料を装填し、基材ホルダ2には基材5をセットする。基材5を基材ホルダ2にセットするにあたり、成膜しようとする基材5の表面が蒸発源3に対向するようにセットする。
【0047】
そして、蒸発源3にて弗化物を蒸発させつつ電力供給ユニット8を動作させ、高周波電力を基材ホルダ2を介してチャンバ1内に供給し、更にバイアス電圧を該基材ホルダ2に印加する。これにより、真空チャンバ1内にはプラズマが生成される。また、蒸発源3により蒸発された弗化物は前記プラズマによってイオン化(励起)され、弗化物のイオンは基材5に入射・付着されて基材5表面に弗化物膜が成膜される。
【0048】
成膜装置10を用いて基材5に成膜するプロセスにおいて、チャンバ1内にプラズマが存在している状態で基材ホルダ2に高周波電圧が印加されると、基材5の表面近傍には、いわゆる自己バイアスに伴う負電位が形成される。
【0049】
そして、かかる自己バイアスに伴う負電位及びバイアス電圧の負バイアスによって、正電荷を帯びた弗化物のイオンを基材5に向かって加速させることができる。このように、バイアス電圧の負バイアスによって弗化物のイオンを一層加速することができ、基材5に形成される膜をより緻密な構造にすることができる。
【0050】
また、成膜装置10を用いた成膜プロセスにおいては、イオン化した弗化物から結合の弱い弗素が解離され易いが、バイアス電圧が期間VW1の間に正バイアスをとるため、負電荷を帯びた弗素イオンを基材5に取り込むことができる。従って、基材5に形成される膜における弗素の欠乏を防ぐことができ、弗素の欠乏に伴って生ずる膜の機能の低下を防ぐことができる。
【0051】
ここで、前記自己バイアスについて簡単に説明する。ハイパスフィルタ15は、高周波電源ユニット11に対して直列に接続されたブロッキングコンデンサ(図示せず)を有している。該ブロッキングコンデンサは、電流の高周波成分は透過させるが直流成分は遮断するという機能を有している。従って、高周波電力が真空チャンバ1内に供給された場合、該高周波電力の供給によって発生したプラズマから基材ホルダ2に流入した電荷は前記ブロッキングコンデンサに蓄積される。従って、ブロッキングコンデンサの両端には、ブロッキングコンデンサの容量と電荷量によって決まるオフセット電圧が生じ、このオフセット電圧が基材ホルダ2に印加される。また、プラズマ中に存在する電子とイオンとを比較すると、電子の方が速い速度で基材ホルダ側に移動するので、前記オフセット電圧は基材ホルダ2側が負の一定値となる。このような仕組みでプラズマに接する電極(ここでは基材ホルダ2)に発生する電圧を自己バイアスと呼んでいる。
【0052】
次に、この自己バイアスとバイアス電源ユニット12から出力されるバイアス電圧との関係について説明する。ブロッキングコンデンサとバイアス電源ユニット12とは基材ホルダ2に対し互いに並列に接続されている。このような場合には、自己バイアスとバイアス電源ユニット12によるバイアス電圧とのうち、優勢な方の電圧が支配的に基材ホルダ2に印加される。本実施の形態では、バイアス電源ユニット12によるバイアス電圧が優勢であり、このバイアス電圧が支配的に基材ホルダ2に印加される。図3は、基材ホルダ2の電位を示すグラフである。図3に示すように、基材ホルダ2の電位VHは、バイアス電源ユニット12によるバイアス電圧(図2(b)参照)にほぼ従ったものとなり、それと同様に変化する。
【0053】
次に、バイアス電圧の他の例について、図4を参酌しつつ説明する。図4は、バイアス電圧の他の波形の例を示している。図4に示されるバイアス電圧は、全体として滑らかな正弦波状の波形を成し、周期的に電圧値が正負に変動する。より詳述すると該バイアス電圧は、一周期(TW2+T2)のうちの期間TW2の間は正弦波状の正の電圧値(実効値:VP2)をとる正バイアスを成し、該一周期のうちの他の期間T2の間は正弦波状の負の電圧値(実効値:−VB2,VB2>VP2)をとる負バイアスを成している。図4に示される波形のバイアス電圧は、負の一定電圧値をとる直流電圧を交流電圧に加えることによって得ることができる。
【0054】
なお、本実施の形態の光学系101を製造可能な成膜装置としては、上述した成膜装置10に限られない。図5は、前記光学系101を製造可能な他の成膜装置35の構成例の概略を示す模式図である。該成膜装置35は前記成膜装置10と同様に、成膜の方式としてイオンプレーティングに基づき成膜できるように構成されている。成膜装置35は、真空チャンバ36と高周波電源(RF)37とバイアス電源ユニット(DC)38とを備えている。
【0055】
真空チャンバ36内の上部には、成膜される基材5を該基材5の成膜される表面に対する背面側から保持する基材ホルダ39が配設されている。基材ホルダ39は、図5に示される例では、真空チャンバ36内にバイアス電圧を供給するためのバイアス供給電極としても機能させ得るように構成されている。基材ホルダ39は、導電性の材質によって形成されており、バイアス電源ユニット38からのバイアス電圧が印加されるようにされている。
【0056】
バイアス電源ユニット38は、バイアス電圧として一定の正電圧値の直流電圧(DC)を出力することができる。このバイアス電源ユニット38より出力されたバイアス電圧が基材ホルダ39に印加されることにより、負電荷を帯びた弗素イオンを基材5に取り込むことができる。
【0057】
チャンバ36内の下部には、弗化物からなる膜の材料物質を保持し、チャンバ36内の空間に該材料物質を蒸散させるための蒸発源3が配置されている。この蒸発源3は、前記成膜装置10における蒸発源3と同様に構成される。
【0058】
また、チャンバ36内における蒸発源3と基材5との間にはコイル状イオン化電極40が配置されている。コイル状イオン化電極40は高周波電源37に接続されており、イオン化電極40を介してチャンバ36内に高周波電力を供給できる。
【0059】
高周波電源37は、その出力端子の一端がマッチングボックス41を介してイオン化電極40に接続されており、その出力端子の他端は接地されている。マッチングボックス41は、コンデンサやコイルからなる周知のマッチング回路により構成されており、該マッチング回路を調整することにより、高周波電源37側と真空チャンバ36側とのインピーダンスをマッチングさせることができる。このような高周波電源37は、蒸発源3より蒸発してイオン化電極40の内側を通過する膜の材料物質をイオン化(励起)させるべく、プラズマを生成させる高周波電力を前記イオン化電極40内に供給する。
【0060】
また、真空チャンバ36は、特に図示されない真空ポンプ等の排気手段及びガス供給手段により内部空間を所要の真空雰囲気とできるように成されている。従って、真空チャンバ36内を成膜条件に応じた所要の真空雰囲気に自在に調整できるようにされている。
【0061】
以上に説明した成膜装置35を用い、以下のように成膜することができる。蒸発源3には弗化物からなる膜の材料を装填し、基材ホルダ39には基材5をセットする。そして、蒸発源3にて弗化物を蒸発させつつ高周波電源37を動作させ、高周波電力をイオン化電極40を介して真空チャンバ36内に供給し、更にバイアス電源ユニット38を動作させて正電圧の直流電圧を基材ホルダ39に印加する。これにより、イオン化電極40に囲まれた空間にはプラズマが生成される。また、蒸発源3により蒸発された弗化物は前記プラズマによってイオン化(励起)され、弗化物イオンは基材5に入射・付着されて基材5表面に弗化物膜が形成される。
【0062】
また、成膜装置35を用いて基材5に成膜するプロセスにおいて、イオン化した弗化物から結合の弱い弗素原子が解離され易いが、バイアス電源ユニット38から出力された直流電圧が基材ホルダ39に印加されるため、負電荷を帯びた弗素イオンを基板5に取り込むことができる。
【0063】
次に、先に述べた成膜装置10の好ましい製造条件、及び該成膜装置10によって得られた弗化物膜の特性について説明する。なお、以下の実施例では、ガラス基板又は石英基板上に弗化物膜として弗化マグネシウム薄膜を形成したものについて述べる。
【0064】
図6は、ガラス基板上に弗化マグネシウム薄膜が形成されてできた光学フィルタについて、バイアス電圧のパルス周波数に対する該光学フィルタの吸収率の依存性を示すグラフである。図6において、横軸及び縦軸は、それぞれ、光の波長及び吸収率を示す。そして、図2(b)に示す波形のバイアス電圧を用い、そのパルス周波数をパラメータとして、65kHz及び100kHzの2段階に変化させた。その結果、図6に示すように、パルス周波数が100kHzの場合は、65kHzの場合に比べて吸収率が著しく低く、良好な吸収率を有する光学フィルタが得られた。
【0065】
なお、本実施例には示していないが、パルス周波数が65kHzの場合は正バイアスを印加しない場合とほとんど同じ吸収率であった。また、パルス周波数が350kHzであって石英基板を用いた場合を後述する図7に示す。また、パルス周波数が350kHz以上の場合について示していないが、理論的上、なるべく短い周期で短期間に渡って正バイアス期間が存在するのが好ましい。従って、パルス周波数は高いほど好ましい。但し、余りパルス周波数が高くなると、真空チャンバ中のプラズマ放電が不安定になるので、実用的には2.45GHz以下とするのが望ましい。但し、このパルス周波数を2.45GHzとする場合にはECR(electron cyclotron resonance)装置を用いるのが望ましい。
【0066】
図7は、石英(シリカ)基板上に弗化マグネシウム薄膜が形成されてできた光学フィルタについての可視光域における光の吸収率を示すグラフであり、成膜時のバイアス電圧のパルス周波数は350kHzとした。該光学フィルタの吸収率(図7にて実線で示す)は、バイアス電圧のパルス周波数を350kHzとしたことと石英基板を用いたこととが相俟って、図6に示した光学フィルタの吸収率に比べてより低い吸収率が得られた。なお、参考までに、石英の吸収率(図7にて破線で示す)を示す。
【0067】
図8は弗化マグネシウム薄膜の結晶粒径を示す表である。図8に示すように、300℃で蒸着した弗化マグネシウム薄膜の結晶粒径は12〜20nm(ナノメートル)である。また、常温(基板無加熱)で蒸着した弗化マグネシウム薄膜は、結晶化しておらず、結晶粒径を計算することが不可能である。これに対し、成膜装置10により形成した弗化マグネシウム薄膜の結晶粒径は3〜10nmである。従って、本実施例による弗化マグネシウム薄膜は、従来にない結晶粒径を有していることが判る。これは、主に、本実施例による弗化マグネシウム薄膜がイオンプレーティングによって比較的低温(100℃以下)で形成されたためであると考えられる。
【0068】
図9は耐磨耗性試験を説明するための図であって、図9(a)は耐摩耗性試験装置の概要を模式的に示す斜視図、図9(b)は耐摩耗性評価基準を示す図である。
【0069】
図9(a)に示すように、前記耐磨耗性試験装置は、往復動可能な可動台202と、該可動台202の背部に立設されたアーム206と、前記可動台202の上方に位置するように前記アーム206に保持され、前記可動台202と対向する下部にスチールウール204(ここでは、#1000のスチールウールを使用)が取り付けられた押圧子205とを備えている。耐磨耗性試験をする場合は、可動台202上面に試料(薄膜が形成された基材)203を載置し、押圧子205を下げて前記試料が所定の荷重(ここでは700g)で押圧されるようにする。更に可動台202を往復動させ、試料上面をスチールウール204によって摩擦する。
【0070】
耐摩耗性は、図9(b)に示すように、A〜Dの4ランクにランク付けすることによって行った。ここで、ランクAは「傷が付かない」、ランクBは「傷が少し付く」、ランクCは「傷がつき、膜の剥離もある」、ランクDは「膜がほとんど剥離する」というランクである。
【0071】
ところで、図2(a)に示すような成膜装置10により形成された弗化マグネシウム膜には、上述したような特性に加え、比表面積が1〜5m2/gであり環境条件に拘らず屈折率が変動しにくいという光学特性が備えられている。前記弗化マグネシウム膜が有する前記光学特性は、以下に説明するような理由から得られるものと考えられる。即ち、前記弗化マグネシウム膜を生成するに当たり、前述したように正電荷を帯びた弗化物イオンと負電荷を帯びた弗素イオンとが共に基材5へ向かって加速され、該基材5の成膜面に衝突する。この衝突により基材5の成膜面では、結晶成長及び結晶破壊という2つの現象が生じているものと考えられる。
【0072】
実際、生成された弗化マグネシウム膜表層のSEM写真によれば、従来の膜と同様に柱状結晶が形成されているのが確認されたにも拘らず、X線回折ピークからは従来の膜に比較して突出した結晶性が確認されなかったことも、前記2つの現象が生じていることを示唆している。従って、該2つの現象が同時に生じた結果、一般に膜の比表面積を増加させる結晶粒面,結晶柱等の成長が抑制され、本実施の形態に係る弗化マグネシウム膜の比表面積は比較的小さくなっているものと予測される。
【0073】
そこで、本発明者は、前記弗化マグネシウム膜の比表面積について実際に測定した。比表面積の測定に当たっては、Krガスによるガス吸着法を用いた。比表面積の測定法としては、重量法,液吸着法,及びガス吸着法等があるが、この中でガス吸着法は比較的容易であり高精度である。
【0074】
以下に、ガス吸着法について概説する。ガス吸着法によって求められる単位重量当たりの表面積(比表面積)Sは次式(1)により与えられる。
【0075】
S=Nm・σ ・・・(1)
ここで、Nm:単分子層吸着量, σ:吸着分子の占有断面積
膜表面に存在する原子は膜内部に存在する原子に比べて隣接する原子が少なく、この不均衡をなくすため、膜表面の原子は周辺に存在する気体分子を引き付けようとする。この現象をガス吸着という。該ガス吸着により膜表面に吸着分子が隙間無く配列したと仮定すれば、膜表面を占有する吸着分子の数と一個の吸着分子の占める断面積とに基づき、膜表面積を算出することができる。吸着分子としては、不活性であり、膜表面との間で化学反応を起こさず、膜表面の凹凸に入り込める程度に十分に分子径が小さいこと(本実施の形態にあっては、少なくとも水分子より小さいこと)が望まれ、従って本実施の形態ではKr分子を用いている。
【0076】
また、前記表面積Sを算出するためには、表面を占有する吸着分子の数を取得する必要があり、このため本実施の形態ではB.E.T式を用いた。該B.E.T式は、下式(2)により与えられる。
【0077】
【数1】
Figure 0004204824
実際に表面積を求めるに当たっては、初めに本実施の形態に係る弗化マグネシウム膜の表面に付着した水分等の不純物を除去するために、該弗化マグネシウム膜を真空中で加熱処理する。加熱処理後の弗化マグネシウム膜を真空容器中にて所定温度に冷却し、Krガスを段階的に導入する。段階的にKrガスを導入するに従って弗化マグネシウム膜の表面にはKrガスが吸着される。この工程中に容器内の圧力とKr分子の吸着量とをプロットした吸着等温線を作成し、該吸着等温線と上記式(1),(2)とに基づいて表面積を得ることができる。
【0078】
この結果、例えば真空蒸着法により作成した弗化マグネシウム膜の比表面積が十数m2/gであるのに対し、本実施の形態に係る弗化マグネシウム膜の比表面積は1〜5m2/g程度であることが判明した。従って、前述の予測の通り、前記弗化マグネシウム膜の比表面積は、従来の膜に比して極端に小さくなっている。また、前記弗化マグネシウム膜の高次構造は、従来に比して緻密であり、且つ表面形状がより平滑になっていることが予測される。
【0079】
従って、前記弗化マグネシウム膜は、従来の膜と比較して比表面積が小さいが故に水分子が結晶間に入り込みにくく、膜内に吸着される水分量が少ない。その結果、湿度及び温度等の周辺の環境条件に影響されることが少なく屈折率が変動しにくいという光学特性を有するに至ったと考えられる。
【0080】
なお、参考までに付け加えれば、一般にガラスの比表面積は1m2/g程度である。従って、比表面積が1〜5m2/gである本実施の形態に係る弗化マグネシウム膜は、吸水による屈折率の変動を抑制するためには極めて良好なものであり、様々の光学系に用いることにより優れた光学特性を発揮する。
【0081】
図10は本実施例の光学系の多層膜への適用例を説明するための図であって、図10(a)は多層膜の構成を示す図、図10(b)は基板上に形成された多層膜の可視光域における反射率を示す図表である。図10(a)に示すように、本実施例の多層膜は、基板上に、Al2O3(屈折率n=1.63)、ZrO2(屈折率n=2.00)、及びMgF2(屈折率n=1.38)の各膜がこの順に形成されて構成されている。この多層膜の反射率は図10(b)に示すように良好であった。なお、この多層膜は、図2の成膜装置10において、上記3つの膜の材料をそれぞれ備えた3つの蒸発源を用意し、各蒸発源を順次用いて基板上に各膜を順次形成した。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本発明の光学系をディスプレイに用いられる誘電体多層膜反射板に適用した例を示すものである。
【0082】
図11は本実施の形態に係る光学系を適用したアクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図である。本実施の形態における液晶表示装置は、半透過の反射型液晶表示装置である。
【0083】
図11において、SIは半導体層を、PXは画素電極を、TFTは薄膜トランジスタを、DEは薄膜トランジスタのドレイン電極を、SEは薄膜トランジスタのソース電極を、GEは薄膜トランジスタのゲート電極を、THはソース電極と画素電極とを接続するためのスルーホールを夫々示す。また、POLは偏光板を、SUB1,SUB2は透明絶縁基板を、BMは遮光パターンを、CFはカラーフィルタを、OCはオーバーコート膜を、CEは共通電極を、LCは液晶層を、ORI1,ORI2は配向膜を、GIはゲート絶縁膜を、PASは薄膜トランジスタの表面保護膜を、NSIは薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極と半導体層SIとのコンタクトを保証するための電極を、RXはSiO2,SiN,MgF2からなる誘電体多層膜反射板を、NFは位相差板を夫々示す。
【0084】
薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1はTFT基板と称され、このTFT基板と液晶LCを介して対向配置される対向側の透明絶縁基板SUB2はCF基板と称される。
【0085】
本実施の形態では、図11に示すようにCF基板(透明絶縁基板)SUB2は、その液晶層LC側の面に、まずTFT上の画素電極の間隙に各画素領域を画するようにして遮光パターンBMが形成され、この遮光パターンBMの実質的な画素領域を決定する開口部にはカラーフィルタCFが形成されている。そして、遮光パターンBM、及びカラーフィルタCFを覆うように、例えば樹脂膜からなるオーバーコート膜OCが形成され、該オーバーコート膜OCの表面には共通信号電極CEが形成され、更に該共通信号電極CEの表面には配向膜ORI2が形成されている。CF基板SUB2の外側の面(液晶層LC側とは反対の面)には偏光板POLが形成されている。
【0086】
また、CF基板SUB2における更にTFT基板SUB1側には、逆スタガの薄膜トランジスタTFTが配置されている。該薄膜トランジスタTFTでは、走査信号配線GLに薄膜トランジスタTFTのしきい値以上の電圧が加わると、半導体層SIが導通状態となり、薄膜トランジスタTFTの映像信号電極DEとソース電極SEとの間が導通となる。その際に映像信号配線DLに印加されている電圧が、画素電極PXに伝達される。また走査信号配線GLの電圧が薄膜トランジスタTFTのしきい値電圧以下の場合には、該薄膜トランジスタTFTの映像信号電極DEとソース電極SEとの間が絶縁となり、映像信号配線DLに印加されている電圧は画素電極PXに伝達されず、画素電極PXは映像信号電極DEとソース電極SEとが導通状態の時に伝達された電圧を保持する。なお、映像信号電極DE及びソース電極SEとシリコン層Siとの間には、リン等の不純物をドープしたシリコン膜からなる電極NSIが形成されている。
【0087】
スルーホールTHは薄膜トランジスタの表面保護膜PASに形成されており、画素電極PXとソース電極SEとはスルーホールTHを介して電気的に接続されている。画素電極PXは偏光板POL側から入射した光を反射させる機能も有しており、この反射光を用いて表示をする。
【0088】
配向膜ORI1,ORI2はその表面をラビング法等により処理を施すことにより液晶層LCを一定方向に配向させる機能を有している。
【0089】
偏光板POLは入射した光を直線偏光に変換する機能を有している。偏光板POL側から入射した光は液晶層LCを通り誘電体多層膜RXで反射し、再度液晶層LCを通過し偏光板POLに到達する。液晶層LCは屈折率異方性を持っており、液晶層LCの屈折率異方性は液晶層LCに印加された電界によりその特性が変化する。
【0090】
例えば液晶に電界が印加されない状態で白表示をするノーマリーホワイト型の液晶表示装置においては、液晶層LCに電界がかかっている際に、偏光板POLを通過し誘電体多層膜RXで反射して再度偏光板POLに到達した光は、液晶層LCを通過することにより、偏光板POLの吸収軸に対して平行な偏光となる。該偏光は偏光板POLで吸収されて反射型液晶表示装置の外には出射しないため、黒表示となる。一方で液晶層LCに電界が印加されていない状態においては、誘電体多層膜RXで反射し偏光板POLに到達した光が、液晶層LCを通過することにより偏光板POLの吸収軸に対して垂直な偏光となる。該偏光は偏光板POLで吸収されて反射型液晶表示装置の外に出射しないため白表示となる。
【0091】
また、TFT基板SUB1側に配置した図示していないバックライトからの光を用いれば、該光が画素電極PXに到達するまでに位相差板NF等を用いて該光を円偏光とすることにより、外光を用いずに表示することも可能である。ここで、画素電極PX及び誘電体多層膜RXの透過率は、該誘電体多層膜RXの膜厚を制御することにより任意に変更することが可能である。この誘電体多層膜RXの透過率と反射率はトレードオフの関係にあるが、この誘電体多層膜RXは本実施の形態の光学系を構成しており、実施の形態1で図10(b)を用いて説明したように、吸収率の比較的低いものとなっている。そのため、透過率と反射率の和を100%に近い値に設計することが可能である。
【0092】
前記誘電体多層膜RXの具体的な設計例と、該誘電体多層膜RXの光学特性とを図12に示す。なお、図12(a)は、前記誘電体多層膜RXの断面概要図であり、図12(b)は該誘電体多層膜RXの波長に対する反射率及び透過率の変化を示すグラフであるである。
【0093】
図12(a)に示す誘電体多層膜RXは、液晶層LCに近い側から画素電極PXに近い側へAl2O3,SiN,MgF2がこの順に配置され、それぞれの膜厚は160nm、70nm、80nmとされている。ここで、誘電体多層膜RXよりもTFT基板SUB1に近い側に配置されている画素電極PX,薄膜トランジスタの表面保護膜PAS,及びゲート絶縁膜GIの夫々も反射特性に寄与するため、誘電体多層膜RXの設計ではこれらの反射特性についても考慮されている。画素電極PX,薄膜トランジスタの表面保護膜PAS,及びゲート絶縁膜GIは、夫々ITO、SIN、SiNで構成され、その膜厚は60nm,350nm,350nmとされている。図12(a)に示した誘電体多層膜RXの反射率及び透過率は、図12(b)に示すように、透過率重視の設計とした場合には、透過率88%,反射率18%という良好な透過率を有するものとなった。なお、この設計では透過率重視の設計としてあるが、誘電体多層膜の層数,材料,及び膜厚を調整することで任意の透過率及び反射率を有する誘電体多層膜を設計することが可能である。
【0094】
図13は以上のような構成を成す液晶表示装置のTFT基板SUB1側の製造工程を示すプロセスフロー図である。本実施の形態では、具体的には、(A)〜(F)の、6段階のフォトリソグラフィー工程を経て液晶表示装置のTFT基板SUB1側が完成する。以下、工程順に説明する。
【0095】
[工程(A)]透明絶縁基板SUB1を用意し、その表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Cr膜を100〜300nm、好ましくは160nmの膜厚で形成する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてCr膜をエッチングし、ゲート電極GE,走査信号配線GL,及び図示していないが走査信号配線用端子GTM形成領域には走査信号配線GLの延在部を形成する。
【0096】
[工程(B)]工程(A)が遂行された透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、ゲート絶縁膜GIとなる窒化シリコン膜を200〜700nm程度、好ましくは350nmの膜厚で形成する。さらに、このゲート絶縁膜GIの表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、アモルファスシリコン膜を50〜300nm、好ましくは200nmの膜厚で、及びn型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜を10〜100nm、好ましくは20nmの膜厚で順次積層する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてアモルファスシリコン膜をエッチングし、画素領域内に島状パターンSIを形成する。
【0097】
[工程(C)]工程(B)が遂行された透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Cr膜を100〜300nm、好ましくは160nmの膜厚で形成する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてCr膜をエッチングし、画素領域内には薄膜トランジスタTFTのドレイン電極DE,ソース電極SE,映像信号配線DL,及び図示していないが映像信号配線用端子DTM形成領域には映像信号配線DLの延在部を形成する。その後、Cr膜をエッチングしたパターンをマスクとして、n型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜をエッチングする。
【0098】
[工程(D)]工程(C)が遂行された透明絶縁基板SUB1の表面の全域に、例えばプラズマCVD法によって、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASとなる窒化シリコン膜を200nm〜900nm、好ましくは350nmの膜厚で形成する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いて、表面保護膜PASをエッチングし、画素領域内に、該薄膜トランジスタTFTのソース電極SEの一部を露出させるためのスルーホールTHを形成する。これとともに、図示していない走査信号配線GTM形成領域には、表面保護膜PASの下層に位置するゲート絶縁膜GIにまで別個のスルーホールTHを貫通させて、走査信号配線GLの一部を露出させる。図示していない映像信号配線用端子DTM形成領域には映像信号配線DLの延在部を露出させるための更に別個のスルーホールTHを形成する。
【0099】
[工程(E)]工程(D)が遂行された透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、透明導電膜である多結晶ITO膜を60nmの膜厚で形成する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いて、ITO膜をエッチングし、画素領域内には、スルーホールTHを介してソース電極SEに接続された画素電極PXを形成する。また図示していない走査信号配線用端子GTM上,及び映像信号配線用端子DTM上には、夫々端子保護用のパッド電極を形成する。
【0100】
[工程(F)]工程(E)が遂行された透明絶縁基板SUB1の表面全域に、実施の形態1の成膜装置10を用いて、MgF2、SiN、Al2O3をそれぞれ80nm、70nm、160nmの膜厚で順次形成する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いて、前記積層膜をエッチングし、図示していない走査信号配線端子GTM,及び映像信号配線端子DTMを露出させる。
【0101】
以上に示した工程により、液晶表示装置のTFT基板SUB1側が完成する。
一方,CF基板SUB2側には顔料分散法により作製したカラーフィルタCF,及びCr系若しくは有機材料からなる遮光パターンBMが形成される。その後、平坦化層となるオーバーコート膜を形成し、液晶表示装置のTFT基板SUB1側とCF基板SUB2側とを貼り合せ、間に液晶層LCを封入し、更にCF基板SUB2の外側に偏光板POLを配置するとともにTFT基板SUB1の外側に位相差板を配置することにより半透過の反射型液晶表示装置となる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、本発明の光学系を光導波路に適用した例を示したものである。
【0102】
図14は本実施形態に係る光学系としての光導波路の構成を示す断面図である。この光導波路201は、溝部210を有するポリマー材料から成る光導波路基板218、該光導波路基板218の表面上に成膜されたMgF2(弗化マグネシウム)膜214、前記溝部210に充填された透明樹脂から成るコア212、上部保護板245と前記光導波路基板218との接着層を兼ねたクラッド層246、及び前記上部保護板245を有している。コア212は、MgF2膜214及びクラッド層246よりも屈折率が高く、コア212、MgF2膜214及びクラッド層246により光導波部が形成される。
【0103】
図15は、本実施形態に係る光導波路201の作製手順を示す工程図である。まず、射出成形に用いる型の作製手順を説明する。ガラス基板236上に塗布したレジスト234にマスク232を用いて露光する。次いで、レジスト234を現像し、露光部分のレジスト234を取り除く。次いで、レジスト234上にニッケル(Ni)めっき238を行い、ニッケルの型240を作製する。次に、この型240を用いて樹脂材料を射出成型し、コアを形成するための溝部210が形成された光導波路基板218を形成する。次に、実施の形態1の成膜装置10を用いて、この光導波路基板218にMgF2膜214を成膜する。続いて、溝部210を埋めるようにコア材212’を塗布し、紫外線照射又は加熱によりコア材212’を硬化させる。次いで、硬化したコア材212’を溝部210の上端まで研磨し、溝部210以外のコア材212’を取り除く。この研磨後、コア材212’よりも屈折率が低くクラッド層246となる透明樹脂を挟んで上部保護板245を貼り付けて光導波路201を作成する。
【0104】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1の成膜装置10によって正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用いれば、光導波路基板218を加熱することなく透明性に優れ且つ耐磨耗性に優れたMgF2膜214を成膜することができるようになったため、耐熱性の低い基板材料、特に樹脂材料を用いた光導波路基板218にMgF2膜214を成膜することができ、クラッドとして機能させることが可能となった。
【0105】
また、無機材料からなるMgF2膜214は、樹脂からなるコア材212’よりも硬く、研磨の際の研磨停止膜としても機能する。即ち、MgF2膜214を用いない場合は、コア材212’と成型基板(光導波路基板)218との境界で研磨を止めることが難しく成型基板218も研磨される可能性が有り、溝210が浅くなることも起こりやすい。また研磨厚が場所により異なっていると部分的に溝210の深さが変化してしまう問題も起こる。しかしながら本実施の形態にようにMgF2膜214を用いることにより、溝210の深さを減少させることなく、均一にコア材212’を研磨することが可能となる。
【0106】
また、本実施の形態においては、PMMA(polymethylmethacrylate)を用いて光導波路基板218を射出成型した。この場合には、樹脂の光導波路基板218上にMgF2膜214を形成し、その上に液体状の透明樹脂のコア材212’を塗布し硬化させてコア212を形成しているため、コア212の材料としてはその屈折率がMgF2膜214の屈折率よりも大きな材料を用いればよく、光導波路基板218の材料はコア212に拠らずに自由に選ぶことが出来る。従って、従来、屈折率が高く光導波路基板218として用いることが難しかったポリカーカーボネート(PC:屈折率1.59)を用いることもできる。PCを用いた場合には、PMMAを用いた場合よりも耐熱性及び耐湿性に優れた光導波路201を形成することができる。また、PMMA、PC以外にも、クラッド材となる基板218には成形に適した透明ポリマを用いればよく、ポリスチレン、サイクリックポリオレフィン等を用いることもできる。
【0107】
更に、コア材212’と光導波路基板218との間にMgF2膜214が介在するため、コア材212’と光導波路基板218とが反応することがない。そのため、コア材212’として光導波路基板218の材料と反応あるいは融解する材料も用いることができるようになり、コア212には光損失の少ない材料を用いることができるようになる。特に通常の樹脂材料において光吸収が大きい赤外波長での光損失を低減するためには、水素を弗素で置換した弗素化材料を用いることが有効である。しかし、弗素化することにより屈折率が低下した場合、従来射出成形に用いられていた成型用樹脂よりも屈折率が小さくなるため、前記弗素化材料をコアとして用いことができなかった。しかしMgF2膜214は、可視光から赤外波長において屈折率が1.38程度と低いため、射出成型されて表面上に該MgF2膜214が成膜された樹脂材料は、低屈折率のコア212に対してもクラッドとして機能することができる。更に、上述したMgF2膜214は比表面積が1〜5m2/gと小さいため、コア212への水分や空気の進入を遮る効果もあり、光導波路の信頼性向上にも効果がある。
【0108】
本実施形態に用いた射出成形法は、光ディスク基板の作成に用いられている公知の方式とほぼ同様の方法であり、短時間で大量に光導波路基板218を作成できる。ここで、本実施の形態では、溝210の側面にもMgF2膜214を成膜するために、射出成形においては、溝210の側面は垂直に形成するのではなく角度を有するよう形成することが望ましい。但し、光導波路201の作成方法は本実施形態の射出成形に限るものではなく、プレス等によりコア212用の溝210を形成してもよい。
【0109】
また本実施の形態では、硬化したコア材212’を研磨することによりコア212以外の場所におけるMgF2膜214とクラッド層246との間のコア材212’を極力薄くし、導波光が漏れ出すことを抑制している。しかし、光導波路基板218とクラッド層246との間の余分なコア材212’を十分に薄く形成できる場合には、研磨工程を省略してもよい。例えば、上部保護板245を用いてコア材212’を上部から押圧しつつ、加熱又は紫外線照射を行ってコア材212’を硬化させることにより、光導波路基板218及び上部保護板245間における溝210以外の箇所に塗布されたコア材212’の厚みを十分に薄くすることができる。このような場合には研磨工程及びクラッド層246の形成を省略し、屈折率の小さい上部保護板245をクラッドとして用いることもできる。或いは、コア材212’をブレード塗布することにより、光導波路基板218における溝210以外の箇所のコア材212’を掻き取ることにより研磨工程を省略することもできる。
【0110】
さらに、本実施の形態では、溝210が形成された光導波路基板218を用い、溝210にコア212を形成した光導波路について説明している。しかし、樹脂製の平板かならな基板上にMgF2膜を成膜し、MgF2膜上にコア材を塗布して硬化させ、コア材を反応性イオンエッチング等の加工方法を用いて加工し、その上にクラッドを形成することにより光導波路を形成してもよい。このように光導波路を作成しても、本実施の形態と同様に、正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用いて、基板を加熱することなく樹脂基板上に透明性に優れ且つ耐磨耗性に優れたMgF2膜を成膜することができるため、樹脂基板の材料は自由に選ぶことができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4は、本発明の光学系を光コネクタに用いられる反射防止膜に適用した例を示すものである。
【0111】
図16は、本実施の形態に係る光学系としての反射防止膜を用いた光コネクタの側面図である。図16に示すように、光コネクタ354に光ファイバ352が固定されており、該光ファイバ352の先端面にMgF2膜からなる反射防止膜314が形成されている。
【0112】
この場合、実施の形態1の正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用いて成膜することにより、光ファイバ352を加熱することなく反射防止膜314を形成することができる。そのため、光ファイバ352としては、樹脂コートされた光ファイバや、コアもプラスチックで形成されたプラスチック光ファイバにも、MgF2膜を用いた反射防止コートを施すことができる。
【0113】
更に、プラスチックよりなる光コネクタ354に光ファイバ352を固定した後でも、反射防止膜314を形成できる。特に、プラスチック光ファイバにおいては、正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用いて耐磨耗性に優れたMgF2膜からなる反射防止膜314を形成することにより、光ファイバ同士を接続する場合にも、該反射防止膜314及び光ファイバが傷付くことがなく耐久性に優れたものとなる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5は、本発明の光学系を対物レンズに用いられる反射防止膜に適用した例を示すものである。
【0114】
図17は、本実施の形態に係る光学系としての反射防止膜を用いた対物レンズの断面図である。図17において、対物レンズ456の光入射面460には、ホログラム458が形成されている。該ホログラム458が形成された対物レンズ456は、波長の異なる入射光に対して焦点位置を変えることが出来る。従って、該対物レンズ456は、例えばコンパクトディスク(CD)の対物レンズとDVDの対物レンズとして兼用できる二重焦点レンズとして用いられる。
【0115】
本実施の形態に示す対物レンズ456は、透明樹脂を射出成形して作成されている。この対物レンズ456の表面には、実施の形態1の正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用いてMgF2膜が形成され、該MgF2膜は反射防止膜414a,414bを成している。
【0116】
前記プラズマイオンプレーティング法を用いることにより、樹脂製の対物レンズ456を加熱することなく反射防止膜414a,414bを形成できる。また、成膜時の成膜粒子の真空チャンバ内での移動は直進性に優れるため、ホログラム458の溝構造の奥まった箇所にも均一性良く成膜することができる。また、波長の異なる入射光に対して反射防止効果を得るためには、使用される光の波長において反射率が低いことが望ましく、そのために反射防止膜414aは、MgF2膜を含む誘電体多層膜構造とすることが望ましい。
【0117】
また、前記プラズマイオンプレーティング法によれば、対物レンズ456を加熱しなくても耐磨耗性に優れたMgF2膜414a,414bを形成できるため、対物レンズ456に傷が付くことを防止することができ、対物レンズ456のクリーニングが容易である。また、CD又はDVD等の光ディスクの対物レンズとして用いた場合に、万が一、該光ディスクと接触してもレンズに傷が付くのを防止できる。
【0118】
本実施の形態では、ホログラム458を用いて二重焦点レンズとして用いる場合について例示しているが、例えば光源波長が変動しても焦点位置が変動しない色消しレンズとして用いることもできる。
【0119】
更に、前記プラズマイオンプレーティング法による反射防止膜は、単レンズに限ることなく、レンズアレイでもよ。例えばマイクロレンズアレイに反射防止膜を施し、液晶プロジェクタにおけるインテグレータ又はライトバルブ等に用いることもできる。また、樹脂を成形することにより、ホログラムに限らず、レンズアレイ、凹面鏡、ミラー、プリズム等を一体に成形することができ、これらの光透過部の反射防止膜に用いることもできる。このような複雑な構成を成す光学部品であっても前記プラズマイオンプレーティング法における成膜粒子の優れた直進性により、良好な反射防止膜を形成することができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6は、本発明の光学系を反射防止構造に適用した例を示すものである。
【0120】
図18は、本実施の形態に係る光学系としての反射防止構造を示す図であって、図18(a)は斜視図、図18(b)は断面図である。図18において、本実施の形態では、樹脂基板501を射出成形することにより、波長以下の周期で凹凸を成す表面構造を形成し、反射防止構造548としている。
【0121】
所望の波長において1次以上の回折光が生じず0次光のみとなるような格子周期の小さなテーパ状の2次元格子548は、反射防止構造となることが知られている。反射率が小さくなるテーパのアスペクト比は、基板501を構成する媒質の屈折率にも依存するが、通常1以上とすることが望ましい。しかし、このような高アスペクト比においては、テーパ部の頂上や底部を急峻に形成することが困難であり平坦部が生じやすい。
【0122】
そこで、頂点或いは底部に平坦部があり、反射防止が不十分な場合には、図18(b)に示すように、基板501の表面に該基板501よりも屈折率が小さいMgF2膜514を形成することによりさらに反射率を低減することができる。実施の形態1の正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用いることにより、このような高アスペクト比の構造に対してもテーパ構造を埋めることなくMgF2膜を形成することができる。
【0123】
このような微細構造は、反射防止のみではなく、偏光素子、波長選択フィルター等の光学素子においても形成されるものである。従って、これらの光学素子にMgF2膜514を形成することにより、良好な反射防止効果が得られる。MgF2膜514による反射防止効果は、言うまでも無く通常の透過型回折格子やホログラムに対しても効果があるものである。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7は、本発明の光学系をディスプレイに用いられる偏光板に適用した例を示すものである。
【0124】
図19は、本実施の形態に係る光学系としての偏光板の構造を示す断面図である。図19において、本実施の形態の偏光板601は、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを延伸し、これにヨウ素を吸収させて偏光機能を付与した偏光膜602と、この偏光膜602の両面を被覆し、該偏光膜602を保護するトリアセチルセルロース(TAC)などの保護フィルム603,604を有している。尚、偏光膜602にはヨウ素の代わりに2色性有機染料を用いても良い。
【0125】
そして、偏光板601は、観察者側の保護フィルム603の表面に、さらに反射防止膜614が形成されている。この反射防止膜614は、保護フィルム603の表面上にアルミナ(Al2O3)層605、ジルコニア(ZrO2)層606、弗化マグネシウム(MgF2)層607がこの順序により積層形成されている。
【0126】
この反射防止膜614は、実施の形態1の正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用い、且つ、干渉効果によって広い波長範囲で反射率が低減されるような膜厚条件で成膜されている。この際、実質的に常温で成膜されるので、熱による偏光板601の性能劣化を伴うことなく、耐摩耗性が高く且つ透過率の大きい弗化マグネシウムの膜が形成できる。よって、この偏光板601を用いることで、明るい環境下でもコントラスト比が高く、映り込みが比較的少ない視認性の良いディスプレイを実現することができる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8は、本発明の光学系をタッチパネルに用いられる反射防止膜に適用した例を示すものである。
【0127】
図20は、本実施の形態に係る光学系としての反射防止膜が用いられるタッチパネルの構造を示す断面図である。図20において、タッチパネル701は、電子ディスプレイの表面に配置し、指や入力用ペンなどで接触した位置を検出し、その信号に基いて入力操作等を行うものである。タッチパネル701の方式としては光学式、超音波式、電磁誘導式、抵抗膜式、静電容量式が知られているが、液晶ディスプレイとの組み合わせでは抵抗膜式が多く用いられており、本実施の形態に係るタッチパネル701も抵抗膜式のものを示している。
【0128】
本実施の形態のタッチパネル701は、片面に透明導電膜704が形成されたガラスなどの平坦で透明な材質から成る透明基板702と、同じく片面に透明導電膜705が形成されたポリエステル樹脂などからなる透明樹脂基板703とを備え、スペーサ706を介させることにより一定の空隙を設けて前記透明導電膜704,705同士が対向するように配置された構成となっている。
【0129】
抵抗膜式の前記タッチパネル701では、使用者が透明樹脂基板703を押した場合に、対向している透明導電膜704,705同士が接触される。そしてその接触位置の電位に基き、図示しない制御手段がパネル上の接触位置を判断する。
【0130】
本実施の形態に係るタッチパネル701では更に、透明樹脂基板703の外表面にアルミナ(Al2O3)層707、ジルコニア(ZrO2)層708、及び弗化マグネシウム(MgF2)層709がこの順序で形成されており、これらの層707〜709が反射防止膜710を構成している。この反射防止膜710は、実施の形態1の正パルスバイアスを印加するプラズマイオンプレーティング法を用い、且つ、干渉効果によって広い波長範囲で反射率が低減するような膜厚条件で成膜されている。
【0131】
本実施の形態によれば、耐摩耗性が高く且つ透過率の大きいMgF2層709が最表面に形成できるので、広い波長範囲で表面の反射率が小さく、表面の耐摩耗性の高いタッチパネル701が実現できる。
【0132】
また、このタッチパネル701を電子ディスプレイと組み合わせることでで明るい環境下でもコントラスト比が高く、映り込みが少ない視認性の良いディスプレイを実現することができる。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9は、本発明の光学系をタッチパネルに用いられる偏光板に適用した例を示すものである。
【0133】
図21は、本実施の形態に係る光学系としての偏光板が用いられるタッチパネルの構造を示す断面図である。図21において図20と同一符号を成す構成要素は同一又は相当する構成要素を示す。
【0134】
図21に示すようにタッチパネル801は、図20に示すタッチパネル701と同様に構成された透明基板702,703と、透明導電膜704,705とを備えている。該透明導電膜704,705は蒸着又はスパッタリングにより形成され、その材質としてはインジウム錫酸化物などの金属酸化物、又は、金,パラジウム,アルミニウム,銀などの金属を用いることができる。これら金属酸化物や金属の薄膜は一般に屈折率が大きく、スペーサ706によって形成される空隙と透明導電膜704,705との界面反射は、タッチパネル801の表面反射よりも大きくなる。
【0135】
本実施の形態のタッチパネル801は、図20に示したタッチパネル701において反射防止膜710に代え、透明樹脂基板703の外表面上に1/4波長板803及び偏光板601がこの順に積層され、更に、透明基板702の外面には、必要に応じて1/4波長板802が配置されている。偏光板601は実施の形態7の偏光板(図19参照)であり、実施の形態1の正パルスを印加するプラズマイオンプレーティング法により形成された反射防止膜を最外層に有するものである。偏光板601と1/4波長板803とは所謂円偏光板を構成するもので以下の通り作用する。
【0136】
外部から偏光板601に入射した光は、偏光板601で特定の直線偏光成分が吸収され、これと偏光軸が直交する直線偏光成分は透過する。偏光板601を透過した直線偏光は1/4波長板803を通過することにより略円偏光となる。この光の一部は透明樹脂基板703と透明導電膜705との界面、及び透明導電膜705と空気との界面で反射するが、反射の際、位相がπずれて円偏光の回転方向が逆方向となる。この反射光は再び1/4波長板803を通過することにより偏光板601で吸収される直線偏光に変換されて偏光板601で吸収されるため、外部には漏洩しない。即ち、タッチパネル801の各界面で生じる反射は、円偏光板を構成する偏光板601及び1/4波長板803にて吸収されて外部へは漏洩しない。
【0137】
また、タッチパネル801の最表面での反射が、弗化マグネシウムなどで構成される多層膜により低く抑えられるため、外部から入射された光の反射が極めて少なくなる。更に最表面が耐摩耗性の高い弗化マグネシウムであるため耐摩耗性の高いタッチパネルが実現する(図19参照)。
【0138】
尚、タッチパネル801の下に配置される電子ディスプレイが液晶ディスプレイの場合、表示光は一般に直線偏光である。従って液晶ディスプレイの場合には、タッチパネル801の最裏面にも1/4波長板802を配置することにより、タッチパネル801の表面側に配置した1/4波長板803と裏面側に配置した1/4波長板との共同作用によって表示光が偏光板601を通過できる直線偏光に変換されるように構成する。このような構成とすることにより、液晶ディスプレイの表示光が偏光板601にて吸収されにくくなるため、表示が明るくなる。
【0139】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態のタッチパネル801によれば、円偏光板の作用により、タッチパネル801の各界面での反射が抑制される。従って、該タッチパネル801と電子ディスプレイと組み合わせた場合、明るい環境下でもコントラストが高く、映り込みが少ない視認性の良いディスプレイを実現することできる。
【0140】
【発明の効果】
本発明は以上に説明したような形態で実施され、以下のような効果を奏する。
【0141】
第1に、光学特性と耐磨耗性に優れ、かつ低温で形成可能な光学系を提供できる。
【0142】
第2に、作製が容易で基板材料と充填材料とを自由に選択できる光導波路を提供できる。
【0143】
第3に、光学特性と耐磨耗性に優れ、かつ基材にダメージを与えないタッチパネルを提供できる。
【0144】
第4に、水分の吸着量が少なく、温度及び湿度等の環境条件の変化に影響されにくく、安定した光学特性を有する光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学系の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す光学系を製造可能な成膜装置を説明する図であって、(a)は成膜装置の構成の概略を示す模式図、(b)はバイアス電源ユニットから出力されるバイアス電圧の波形を示すグラフである。
【図3】基材ホルダの電位を示すグラフである。
【図4】バイアス電源ユニットから出力されるバイアス電圧の他の波形を示すグラフである。
【図5】図1の光学系を製造可能な他の成膜装置の構成例の概略を示す模式図である。
【図6】ガラス基板上に弗化マグネシウム薄膜が形成されてできた光学フィルタについて、バイアス電圧のパルス周波数に対する該光学フィルタの吸収率の依存性を示すグラフである。
【図7】石英(シリカ)基板上に弗化マグネシウム薄膜が形成されてできた光学フィルタについての可視光域における光の吸収率を示すグラフである。
【図8】弗化マグネシウム薄膜の結晶粒径を示す表である。
【図9】耐磨耗性試験を説明するための図であって、(a)は耐摩耗性試験装置の概要を模式的に示す斜視図、(b)は耐摩耗性評価基準を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1の光学系の多層膜への適用例を説明するための図であって、(a)は多層膜の構成を示す図、(b)は基板上に形成された多層膜の可視光域における反射率を示す図表である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る光学系を適用したアクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図である。
【図12】誘電体多層膜を示す図であって、(a)は誘電体多層膜の断面概要図、(b)は誘電体多層膜の波長に対する反射率及び透過率の変化を示すグラフである。
【図13】図12に示す液晶表示装置のTFT基板の製造工程を示すプロセスフロー図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る光学系としての光導波路の構成を示す断面図である。
【図15】図14の光導波路の作製手順を示す工程図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係る光学系としての反射防止膜を用いた光コネクタの側面図である。
【図17】本発明実施の形態5に係る光学系としての反射防止膜を用いた対物レンズの断面図である。
【図18】本発明の実施の形態6に係る光学系としての反射防止構造を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図19】本発明の実施の形態7に係る光学系としての偏光板の構造を示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態8に係る光学系としての反射防止膜が用いられるタッチパネルの構造を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態9に係る光学系としての偏光板が用いられるタッチパネルの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1,36 真空チャンバ
2,39 基材ホルダ
3 蒸発源
5 基材
8 電力供給ユニット
10,35 成膜装置
11 高周波電源ユニット
12 バイアス電源ユニット
13 波形生成器
14 バイアス電源
15 ハイパスフィルタ
16 ローパスフィルタ
37 高周波電源(RF)
38 バイアス電源ユニット(DC)
40 イオン化電極
41 マッチングボックス(MB)
101 光学系
102 基材
103 弗化物膜
201 光導波路
202 可動台
203 試料
204 スチールウール
205 押圧子
206 アーム
210 溝
212 コア
214 MgF2
218 光導波路基板
245 上部保護板
246 クラッド層
314 反射防止膜
352 光ファイバ
354 光コネクタ
414a,414b 反射防止膜
456 対物レンズ
458 ホログラム
501 樹脂基板
514 反射膜
548 周期構造
601 偏光板
602 偏光膜
603,604 保護フィルム
605,707 Al23
606,708 ZrO2
607,709 MgF2
614,710 反射防止膜
701,801 タッチパネル
702 透明基板
703 透明樹脂基板
704,705 透明樹脂基板
706 スペーサ
802,803 1/4波長板

Claims (13)

  1. 少なくとも一部が3nm以上且つ10nm以下の結晶粒径から構成されると共に1m 2 /g以上且つ5m 2 /g以下の比表面積を有する弗化物で構成されていることを特徴とする光学素子
  2. 前記弗化物が弗化マグネシウムである請求項1に記載の光学素子
  3. 前記弗化物がシリカ基材上に形成されている請求項1に記載の光学素子
  4. 前記弗化物が樹脂基材上に形成されている請求項1に記載の光学素子
  5. 誘電体多層膜反射板である請求項1に記載の光学素子
  6. 光導波路である請求項1に記載の光学素子
  7. 反射防止膜である請求項1に記載の光学素子
  8. ディスプレイに用いられる偏光板である請求項2に記載の光学素子
  9. ディスプレイに用いられるタッチパネルである請求項2に記載の光学素子
  10. 前記タッチパネルが、弗化マグネシウム膜を有する偏光板と1/4波長板とを配置してなる請求項9に記載の光学素子
  11. 常温から100℃までの範囲の温度において製造されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子
  12. 真空チャンバ内に配置されたバイアス供給電極の前面に基材を配置するプロセスと、弗化マグネシウムを蒸発させるプロセスと、前記バイアス供給電極を一方の電極として高周波電圧を供給して前記真空チャンバ内にプラズマを発生させるプロセスと、負の平均値と正の最大値とを有して波状に変化し100kHz以上2.45GHz以下の周波数を有するバイアス電圧を前記バイアス供給電極に印加するプロセスとにより前記基材上に形成された弗化マグネシウム膜を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子
  13. 前記一部が表層部であることを特徴とする請求項に記載の光学素子
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