JPH1090532A - 光導波路及びその作製方法 - Google Patents

光導波路及びその作製方法

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JPH1090532A
JPH1090532A JP24467996A JP24467996A JPH1090532A JP H1090532 A JPH1090532 A JP H1090532A JP 24467996 A JP24467996 A JP 24467996A JP 24467996 A JP24467996 A JP 24467996A JP H1090532 A JPH1090532 A JP H1090532A
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JP
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substrate
optical waveguide
resin
index
clad
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JP24467996A
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Inventor
Teruyuki Kataoka
照幸 片岡
Akio Miyata
昭雄 宮田
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コアからの光の漏洩がなく、光学特性に優れ
ると共に、特殊な装置を用いることなく容易に作製する
ことができ、生産性の向上を図ることができる光導波路
及びその作製方法を提供すること。 【解決手段】 低屈折率の基板の主面に高屈折率の透明
樹脂を塗布する工程と、前記溝の外部の透明樹脂を除去
する工程と、前記溝の内部の透明樹脂を硬化させる工程
と、前記主面に低屈折率の樹脂を塗布する工程と、前記
低屈折率の樹脂の上に透明平板を乗せて押圧する工程
と、前記透明平板を介して前記低屈折率の樹脂を硬化さ
せる工程とを経て作製し、前記透明樹脂としてウレタン
系紫外線硬化樹脂前駆体を用いる。これにより、主面に
溝が形成された低屈折率の基板と、前記溝に充填された
高屈折率の透明樹脂と、前記主面を覆う低屈折率の樹脂
とを有する光導波路を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縮小型イメージセ
ンサ等の光学系を構成する光導波路及びその作製方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光導波路を用いた縮小型イメージ
センサが提案されている。この縮小型イメージセンサ
は、原稿面からの光像を光導波路により光学的に縮小し
て光電変換素子の受光面に入射し、原稿面に表された文
字などのイメージを検出するものである。このように、
光導波路を用いることにより、センサの小型化、低価格
化が可能になると共に、光学系の複雑な調整が不要にな
るという利点がある。
【0003】この光導波路の作製方法として、以下に説
明するように、幾つかの方法が知られている。先ず、第
1の作製方法として、図8(a)〜(d)に示すよう
に、光の通路となるコアの材料(以下、「コア材」と記
す)を充填するための溝20aが形成されたポリメチル
メタクリレート(以下、「PMMA」と記す)等の高分
子材料からなるクラッド基板20を射出成形法を用いて
準備する(同図(a))。このクラッド基板20の溝2
0aにコア材として、高分子材料のポリマー前駆体21
を充填し(同図(b))、PMMA等からなるクラッド
平板22を押圧して圧着する(同図(c))。そして、
紫外線を照射してポリマー前駆体を重合させて光導波路
を得る(同図(d))。
【0004】次に、第2の作製方法として、図9(a)
〜(d)に示すように、先ず、後述する活性光線が照射
された領域の屈折率を低下させるための単量体30aを
含有する高屈折率のポリマーシート30を準備する(同
図(a))。次に、フォトマスク31を介してポリマー
シート30に活性光線を照射し、ポリマーシート30が
含有する単量体30aを選択的に反応させてコア領域以
外の領域の屈折率を低下させる(同図(b)斜線領
域)。次に、未反応の単量体30aを真空除去し(同図
(c))、ポリマーシート30の両面を低屈折率のポリ
マー32によりコーティングして(同図(d))、光導
波路を得る。
【0005】次に、第3の作製方法として(図示な
し)、先ず、溝が形成されたクラッド基板の一面にクラ
ッド平板を密着させて、キャピラリが形成されたクラッ
ド体を準備する。次に、キャピラリの一端側を密封して
クラッド体を真空容器内におき、キャピラリの内部から
大気を除去する。次に、キャピラリの開口部(他端側)
をコア材であるモノマー溶液に浸して真空容器内の気圧
を徐々に大気圧にまで回復させ、キャピラリの内部と外
部との間の気圧差を利用してキャピラリ内部にモノマー
溶液を充填する。次に、充填されたモノマー溶液に紫外
線等を照射して重合させ、ポリマーをコアとする光導波
路を得る。
【0006】最後に、第4の作製方法として(図示な
し)、特開平2−191906号公報に開示された方法
がある。即ち、この方法によれば、先ず、溝が形成され
たシリコン系樹脂やエポキシ系樹脂等からなるクラッド
基板の主面に、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、また
はポリカーボネート等のコア材を塗布した後、スキージ
材で掃いて溝の外部の余分なコア材を取り除く。そし
て、紫外線を照射して溝の内部のコア材を硬化させた後
に、クラッド材をクラッド基板の主面に塗布して、光導
波路を得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の光導波路の作製方法は、以下のような問題を有し
ている。即ち、前述の第1の作製方法によれば、溝が形
成されているクラッド基板にコア材を塗布した後、クラ
ッド平板を張り合わせる際、クラッド基板とクラッド平
板との隙間にコア材が残る。このため、各コアの間が1
〜10ミクロン程度の膜状のコア材で接続され、コアか
ら光が漏れ出て、或るコアに入射した光が他のコアに拡
散するという問題がある。
【0008】また、前述の第2の作製方法によれば、未
反応の単量体を真空除去するための特殊な装置を必要と
すると共に、フォトリソグラフィ技術を用いて基板に溝
を形成するため、工程が複雑化するという問題がある。
【0009】さらに、第3の作製方法によれば、クラッ
ド体に形成されたキャピラリにコア材を充填するにあた
って、キャピラリ内部から大気を除去するための装置を
必要とする上、キャピラリの内部と外部との間の気圧差
を利用するため、粘度の高いコア材の充填に時間を要
し、生産性が低下するという問題がある。
【0010】さらにまた、第4の作製方法によれば、コ
ア材として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカ
ーボネート等を用いた場合、コア材の充填率が悪く、溝
の内部に均一にコア材が充填されないという問題があ
る。しかも、コア材の種類によっては、モノマー状のコ
ア材がクラッド基板を溶解し、クラッド基板に微細加工
して形成された溝の形状が損なわれる場合があり、良好
な光学特性を得ることができないという問題がある。
【0011】即ち、詳細な実験によれば、PMMAを材
料とするクラッド基板の場合、一般にPMMAを溶解し
ないとされているアクリル系紫外線硬化樹脂の一部のも
のは、0.1um/min 程度の速度でPMMAを溶解すること
が判明し、また、PMMAの溶解が認められないアクリ
ル系紫外線硬化樹脂の他のものでは、クラッド基板に形
成された溝への充填率が著しく低く、10〜20パーセ
ント程度の充填率しか得られなかった。
【0012】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、光導波路を構成するコアからの光の漏洩
がなく、光学特性に優れると共に、特殊な装置を用いる
ことなく容易に作製することができ、生産性の向上を図
ることができる光導波路及びその作製方法を提供するこ
とを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決達成するため、以下の構成を有する。請求項1に記載
の発明に係る光導波路は、主面に溝が形成された低屈折
率の基板と、前記溝に充填された高屈折率の透明樹脂
と、前記主面を覆う低屈折率の樹脂とを有し、前記透明
樹脂は、ウレタン系紫外線硬化樹脂であることを特徴と
する光導波路の構成を有する。
【0014】請求項2に記載の発明に係る光導波路は、
低屈折率の基板は、射出成形法により成形されたアクリ
ル系基板であることを特徴とする請求項1に記載の光導
波路の構成を有する。
【0015】請求項3に記載の発明に係る光導波路は、
低屈折率の基板は、2P成形法により成形された紫外線
硬化樹脂からなる基板であることを特徴とする請求項1
に記載の光導波路の構成を有する。
【0016】請求項4に記載の発明に係る光導波路は、
予め溝が形成された低屈折率の基板の主面に高屈折率の
透明樹脂を塗布する工程と、前記主面を掃いて前記溝の
外部の透明樹脂を除去する工程と、前記溝の内部の透明
樹脂を硬化させる工程と、前記主面に低屈折率の樹脂を
塗布する工程と、前記低屈折率の樹脂の上に透明平板を
乗せて押圧する工程と、前記透明平板を介して前記低屈
折率の樹脂を硬化させる工程とを有し、前記透明樹脂と
してウレタン系紫外線硬化樹脂前駆体を用いることを特
徴とする光導波路の作製方法の構成を有する。
【0017】請求項5に記載の発明に係る光導波路は、
低屈折率の基板として射出成形法により成形されたアク
リル系基板を用いることを特徴とする請求項4に記載の
光導波路の作製方法の構成を有する。
【0018】請求項6に記載の発明に係る光導波路は、
低屈折率の基板として2P成形法により成形された紫外
線硬化樹脂からなる基板を用いることを特徴とする請求
項4に記載の光導波路の作製方法の構成を有する。
【0019】上記構成された本発明は、以下のように作
用する。即ち、請求項1に記載の発明に係る光導波路に
よれば、低屈折率の基板の溝に充填された高屈折率の透
明樹脂は、前記低屈折率の基板と低屈折率の樹脂とに囲
まれる。そして、前記透明樹脂に入射した光は、前記基
板及び樹脂(低屈折率)と前記透明樹脂(高屈折率)と
の界面で反射されて前記透明樹脂の内部を伝達する。
【0020】また、請求項2に記載の発明に係る光導波
路によれば、請求項1に記載の発明に係る光導波路にお
いて、高屈折率の透明樹脂は、射出成形法により成形さ
れたアクリル系基板(低屈折率の基板)と低屈折率の樹
脂とに囲まれ、前記透明樹脂に入射した光が、前記透明
樹脂の内部を伝達する。
【0021】さらに、請求項3に記載の発明に係る光導
波路によれば、請求項1に記載の発明に係る光導波路に
おいて、高屈折率の透明樹脂は、2P成形法により成形
された紫外線硬化樹脂からなる基板(低屈折率の基板)
と低屈折率の樹脂とに囲まれ、前記透明樹脂に入射した
光が、前記透明樹脂の内部を伝達する。
【0022】さらにまた、請求項4に記載の発明に係る
光導波路によれば、予め溝が形成された低屈折率の基板
の主面に高屈折率の透明樹脂を塗布し、前記主面を掃い
て前記溝の外部の透明樹脂を除去し、前記溝の内部の透
明樹脂を硬化させ、前記主面に低屈折率の樹脂を塗布
し、前記低屈折率の樹脂の上に透明平板を乗せて押圧
し、前記透明平板を介して前記低屈折率の樹脂を硬化さ
せて、光導波路を作製する。ここで、ウレタン系紫外線
硬化樹脂前駆体が、前記低屈折率の基板を溶解すること
なく、しかも前記透明樹脂が前記溝の内部に有効に充填
されるという特性に着目し、前記透明樹脂としてウレタ
ン系紫外線硬化樹脂前駆体を用いることにより、前記溝
の形状を損なうことなく、しかも充填率を高くして、前
記溝に前記透明樹脂が充填される。
【0023】さらにまた、請求項5に記載の発明に係る
光導波路によれば、請求項4に記載の発明に係る光導波
路の作製方法において、低屈折率の基板として射出成形
法により成形されたアクリル系基板を用いて、光導波路
を作製する。
【0024】さらにまた、請求項6に記載の発明に係る
光導波路によれば、請求項4に記載の発明に係る光導波
路の作製方法において、低屈折率の基板として2P成形
法により成形された紫外線硬化樹脂からなる基板を用い
て、光導波路を作製する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図1から図6を参照して、
本発明の実施の形態に係る光導波路及びその作製方法に
ついて説明する。ここで、図1及び図2は本実施形態の
光導波路を構成するクラッド基板の製作方法を説明する
ための説明図であり、図3はクラッド基板の斜視図であ
る。また、図4はクラッド基板にコア材を充填して光導
波路を作製する方法を説明するための説明図であり、図
5はクラッド基板にコア材を充填する際に用いるスキー
ジ材の斜視図である。さらに、図6及び図7は、コア材
の充填状態を説明するための説明図である。
【0026】先ず、図1を用いて、本実施形態の光導波
路を構成するクラッド基板(低屈折率の基板)の作製方
法について説明する。図1(a)に示すように、先ず、
シリコン基板1の主面にフォトレジスト2を塗布した
後、同図(b)に示すように、フォトマスク3を介して
紫外線を照射し、後述のコア材を充填する溝のパターン
をフォトレジスト2に露光する。次に、同図(c)に示
すように、溝のパターンが露光されたフォトレジストを
エッチング処理して、凹部4を形成する。
【0027】次に、同図(d)に示すように、凹部4が
形成されたシリコン基板1の主面側に電気メッキ法を用
いて金属膜5を形成する。次に、同図(e)に示すよう
に、金属膜5の上に支持板6をエポキシ系の接着剤等に
より接着して補強した後、レジスト剥離剤を用いて金属
膜5をシリコン基板1から分離して、リブ状の凸部5a
が複数形成された金型7を得る。
【0028】次に、このようにして作製した金型7を用
いてクラッド基板を作製する。即ち、図2(a)に示す
ように、例えば、射出成形法や2P成形法により、金型
7にクラッド基板8の材料を密着させて、同図(b)に
示すように、金型7のリブ状の凸部に対応して複数の溝
8aが形成されたクラッド基板8を作製する。なお、図
1に示すフォトレジスト2の膜厚及びフォトマスク3の
パターン幅は、後述するように、クラッド基板8の溝8
aに形成されるコアの断面形状を定める。
【0029】ここで、2P成形法とは、光硬化性樹脂を
用いた複製法の一種であり、光ディスク等の作製に適用
されている方法である。この2P成形法を用いてクラッ
ド基板を作製する場合、先ず、凹凸状のパターンが形成
されたマスター原版(金型)の表面に光硬化性樹脂を流
し込む。次に、その上に透明支持体を乗せて光硬化性樹
脂を硬化させた後に、硬化した光硬化性樹脂をマスター
原版から剥がして、表面に凹凸のパターンが形成された
透明樹脂体(クラッド基板)を得る。なお、光ディスク
を作製する場合には、さらに得られた透明樹脂体の凹凸
面にアルミニウムなどの反射層を蒸着した後、保護膜を
コーティングして完成する。
【0030】次に、図3にその全体を例示するように、
このようにして作製したクラッド基板8の主面の光入射
側には、溝8aの一端側が原稿の幅にわたって粗に形成
され、光出射側には、溝8aの他端側が光電変換素子
(図示なし)の受光面の幅にわたって密に形成されてい
る。このように一端側を粗に、他端側を密にして溝8a
を形成することにより、後述するコアに導かれる光像
(原稿のイメージ)が光学的に縮小されるものとなる。
なお、図3に例示するクラッド基板8のサイズは、幅11
0mm×高さ18mm×厚さ1.5mmであり、864本の溝8a
が、光入射側のピッチを125ミクロン、光出射側を1
4ミクロンとして形成されている。
【0031】次に、クラッド基板8の溝8aにコア材を
充填して光導波路を作製する方法について、図4を用い
て説明する。先ず、同図(a)に示すように、上述の方
法により、主面に複数の溝8aが形成されたクラッド基
板8(低屈折率の基板)を準備し、同図(b)に示すよ
うに、このクラッド基板8の主面にウレタン系紫外線硬
化樹脂などのコア材9(高屈折率の透明樹脂)を塗布す
る。次に、同図(c)に示すように、溝8aの外部に存
在する余分なコア材9aをスキージ材10により掃き取
って除去し、溝8aの内部にコア材9を充填する。そし
て、同図(d)に示すように、紫外線を照射して溝の内
部のコア材9を硬化させ、光導波路のコア(高屈折率の
透明樹脂)を形成する。以下、コア材9を硬化して得ら
れる「コア」を、「コア材」と同一符号「9」を用いて
表す。
【0032】次に、同図(e)に示すように、コア9が
形成されたクラッド基板8の主面にクラッド材11(低
屈折率の樹脂)を塗布してクラッド平面基板12(透明
平板)を置く。さらにその上に、図示しない石英ガラス
を乗せて押圧して圧着した後、同図(f)に示すよう
に、紫外線を照射してクラッド材11を硬化させて、光
導波路を得る。
【0033】以下に、本発明の実施例を紹介しておく。
図1において、フォトレジスト2の膜厚及びフォトマス
ク3のパターン幅としては、それぞれ8ミクロンを設定
し、塩化ニッケルの水溶液を用いた電気メッキによりニ
ッケル金属膜5を形成した。これにより、幅と高さとが
8ミクロンのリブ状の凸部が形成されたニッケル製の金
型7を作製し、この金型7を用いて、図2に示すよう
に、幅及び深さが8ミクロンの溝8aが形成されたクラ
ッド基板8を作製した。
【0034】このクラッド基板8の材料としては、アク
リル系高分子樹脂であるPMMA(屈折率1.49)を使用
し、上述の金型7を用いて射出成形法によりクラッド基
板8の主面にコア材9を充填する溝8aを形成した。ま
た、2P成形法により成形する場合には、クラッド基板
8の材料として、屈折率1.53 を有する「MP107」
(三菱レイヨン社製)などの2P用紫外線硬化樹脂を用
いた。
【0035】また、クラッド平面基板12の材料として
は、PMMA(屈折率1.49)を用い、コア材9として
は、屈折率1.55 を有する「J−91」(サマーズ社
製)などのウレタン系紫外線硬化樹脂を用いた。さら
に、クラッド材11としては、クラッド基板8がPMM
Aの場合に、屈折率1.47を有するアクリル系樹脂「SK
−9」(サマーズ社製)を用い、クラッド基板8が「M
P107」の場合には、同じく「MP107」を用い
た。
【0036】スキージ材10としては、図5に示すよう
に、幅120mm×高さ50mm×厚さ3mmのサイズの硬度90°
のウレタンゴムを用い、クラッド基板8の主面を掃くエ
ッジ部分10aの曲率半径を10ミクロン以下とした。
また、クラッド基板8の主面を掃くにあたって、クラッ
ド基板8に対するスキージ材10の角度を約45°と
し、掃く速度を1.25〜2[cm/sec]程度とした。
【0037】次に、クラッド基板8としてPMMAを用
いて作製した場合と、「MP107」を用いて作製した
場合のそれぞれの光導波路の諸特性について参考的に紹
介しておく。なお、コア材9としては、「J−91」を
共通に用いた。先ず、クラッド基板8に形成された溝8
aへのコア材9の充填状態を、図6及び図7を用いて説
明する。ここで、図6及び図7は光導波路の光入出力部
端部を鏡面研磨して光学顕微鏡により観察された光導波
路の断面スケッチであり、同図(a)及び(b)は、そ
れぞれ溝を深く(8μm)形成した場合の光出射側及び
光入射側の断面スケッチである。また、図7(a)及び
(b)は、それぞれ溝を浅く(4μm)形成した場合の
光出射側及び光入射側のスケッチである。
【0038】図6及び図7に示すように、溝8aに充填
されたコア材9の上部にはおよそ0.2〜0.3μm以下の凹
みが存在するものの、溝8aの底面及び側壁にはコア材
9が完全に密着しており、溝8aの形状や密集度によら
ずコア材9は90パーセント以上の良好な充填率で溝8
aの内部に充填されている。また、図6(a)及び図7
(a)に示す例では、クラッド基板8に形成された隣り
合う溝8aの形状は損なわれておらず、クラッド基板8
がコア材9に溶解された形跡は認められない。
【0039】また、コア材として「J−91」を用いた
場合の、クラッド基板(PMMA)の溶解度の時間依存
性について、以下のように詳細に評価した。先ず、幅及
び深さが8ミクロンの溝が形成された4枚のクラッド基
板を準備する。各クラッド基板の溝にコア材(J−9
1)を充填し、それぞれ10分、20分、30分、40
分だけ放置した後、紫外線を照射してコア材を硬化させ
る。
【0040】このように、コア材を充填した後の放置時
間が異なる4枚の基板を用いて、4種類の光導波路を作
製し、コア周辺の断面形状を光学顕微鏡により比較観察
した(図示なし)。この観察の結果、何れにおいても溝
の形状に違いはなく、コア材によるクラッド基板の溶解
は認めらなかった。このことから、クラッド基板にコア
材を塗布してから紫外線を照射して硬化させるまで、少
なくとも40分の余裕があることが確認された。
【0041】さらに、カットバック法(Cut-back metho
d)を用いて、レーザー光に対する導波損失を測定した。
この結果、導波損失として0.2dB/cm が得られ、光学特
性においても良好な結果が得られた。また、コア間での
光の漏洩はなく、クロストークも認められなかった。
【0042】なお、上述の本実施形態(実施例)では、
射出成形法を用いて作製する場合のクラッド基板の材料
としてPMMAを用い、2P成形法を用いて作製する場
合のクラッド基板の材料として2P用紫外線硬化樹脂
「MP107」を用いた事例について説明したが、クラ
ッド基板の材料としては、コア材よりも小さな屈折率を
有するものであれば、例えばポリスチレン、ゼオニク
ス、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(C
R−39)、アートン等のように、PMMA以外の光学
プラスチック材料を用いてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1から3に記載の発明によれば、透明樹脂(コア材)と
してウレタン系紫外線硬化樹脂前駆体を用いたので、光
導波路のコア及びクラッドの各形状に優れると共に、こ
れらの界面状態が良好な光導波路を得ることができる。
この結果、光導波路の光学特性を向上させることができ
る。
【0044】請求項4から6に記載の発明によれば、透
明樹脂(コア材)としてウレタン系紫外線硬化樹脂前駆
体を用いたので、低屈折率の基板(クラッド基板)を溶
解することなく(溝の形状を損なうことなく)、しかも
前記基板の溝に対する透明樹脂の充填率を高めることが
できる。従って、光導波路のコア及びクラッドの各形状
に優れると共に、これらの界面状態が良好な光導波路を
作製することができる。
【0045】この結果、光導波路のコアから光が漏洩す
ることなく、光学特性に優れる光導波路を作製すること
ができ、しかも特殊な装置を用いることなく容易に作製
することができ、生産性の大幅な向上を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、本発明の実施形態の光導波
路を構成するクラッド基板の金型の作製方法を説明する
ための説明図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の実施形態の光導
波路を構成するクラッド基板の作製方法を説明するため
の説明図である。
【図3】クラッド基板の斜視図である。
【図4】(a)〜(f)は、クラッド基板にコア材を充
填して光導波路を作製する方法を説明するための説明図
である。
【図5】クラッド基板にコア材を充填する際に用いるス
キージ材の斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は、深い溝(8μm)におけ
るコア材の充填状態を説明するための説明図である。
【図7】(a)及び(b)は、浅い溝(4μm)におけ
るコア材の充填状態を説明するための説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、第1の従来の作製方法を説
明するための説明図である。
【図9】(a)〜(d)は、第2の従来の作製方法を説
明するための説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 フォトレジスト 3 フォトマスク 4 凹部 5 金属膜 5a リブ状の凸部 6 支持板 7 金型 8 クラッド基板 8a 溝 9 コア材 10 スキージ材 11 クラッド材 12 クラッド平面基板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主面に溝が形成された低屈折率の基板
    と、 前記溝に充填された高屈折率の透明樹脂と、 前記主面を覆う低屈折率の樹脂とを有し、 前記透明樹脂は、ウレタン系紫外線硬化樹脂であること
    を特徴とする光導波路。
  2. 【請求項2】 低屈折率の基板は、射出成形法により成
    形されたアクリル系基板であることを特徴とする請求項
    1に記載の光導波路。
  3. 【請求項3】 低屈折率の基板は、2P成形法により成
    形された紫外線硬化樹脂からなる基板であることを特徴
    とする請求項1に記載の光導波路。
  4. 【請求項4】 予め溝が形成された低屈折率の基板の主
    面に高屈折率の透明樹脂を塗布する工程と、 前記主面を掃いて前記溝の外部の透明樹脂を除去する工
    程と、 前記溝の内部の透明樹脂を硬化させる工程と、 前記主面に低屈折率の樹脂を塗布する工程と、 前記低屈折率の樹脂の上に透明平板を乗せて押圧する工
    程と、 前記透明平板を介して前記低屈折率の樹脂を硬化させる
    工程とを有し、 前記透明樹脂としてウレタン系紫外線硬化樹脂前駆体を
    用いることを特徴とする光導波路の作製方法。
  5. 【請求項5】 低屈折率の基板として射出成形法により
    成形されたアクリル系基板を用いることを特徴とする請
    求項4に記載の光導波路の作製方法。
  6. 【請求項6】 低屈折率の基板として2P成形法により
    成形された紫外線硬化樹脂からなる基板を用いることを
    特徴とする請求項4に記載の光導波路の作製方法。
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