JP3572671B2 - 反射防止膜を備えた減反射材及びその製造法 - Google Patents
反射防止膜を備えた減反射材及びその製造法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、耐候性、耐熱性等に優れ、高い表面硬度を有し、しかも低屈折率で、表示装置の構成部品等に利用可能な減反射材及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルムの最外層に、基板よりも低屈折率の物質からなる反射防止膜を可視光波長の1/4の膜厚(約100nm)で形成すると、干渉効果により表面反射が低減し、透過率が向上することが知られている。このような原理は、液晶表示装置等の表面反射の低減が必要とされる分野において、減反射フィルム及び減反射シート等として応用されており、該減反射フィルム及び減反射シートを生産するには、例えばフッ化マグネシウム等を蒸着、スパッタリングする方法等が行われている。しかしながら、これらの方法は、真空条件下にて行われるため生産性が悪く、大面積化も困難である。
【0003】
そこで最近では、前記減反射フィルムを有機系物質の連続塗布法を用いて作成する方法が提案されている。例えば、前述のような減反射を提供しうる低屈折率の含フッ素重合体等の樹脂を溶解した溶液を塗布、乾燥させる方法、あるいは前記含フッ素単量体を必要に応じて溶液としてから塗布し、活性エネルギー線照射、加熱等により重合させる方法等が考えられる。
【0004】
このうち前者の方法を行うには、透明な溶媒可溶性の含フッ素重合体が必要である。従来汎用の含フッ素重合体は溶媒不溶性で不透明なものが多く、前者の方法には不向きであったが、近年、アクリル酸含フッ素アルキルエステル重合体やメタクリル酸含フッ素アルキルエステル重合体、商品名「サイトップ」(旭硝子(株)製)、商品名「テフロンAF」(デュ・ポン社製)、その他非結晶性共重合体等の溶媒可溶性である透明含フッ素重合体等が合成され、減反射防止フィルムへの応用が試みられている(特開昭64−16873号公報、特開平1−149808号公報、特開平6−115023号公報)。しかしながら、これらの含フッ素重合体はいずれも硬度が低いため、耐摩耗性が劣るという欠点がある。
【0005】
一方後者の方法を行うための含フッ素単量体としては、例えばアクリル酸含フッ素アルキルエステルやメタクリル酸含フッ素アルキルエステル等が知られているが、これらを重合硬化して得られる含フッ素重合体は、前者の方法に用いる樹脂と同様硬度が低く、耐摩耗性が著しく悪いという欠点がある。
【0006】
これらの含フッ素重合体の硬度が低いのは、いずれも線状構造を有するからである。従って、硬度が高く、耐摩耗性に優れた含フッ素重合体を提供するには、三次元網目構造を付与する必要がある。このような網目状重合体は一般に溶媒不溶性であるため、被塗装物に硬化固定させるには、含フッ素多官能重合性単量体を塗布した後、重合硬化させる方法を選択しなければならない。しかしながら、重合性単量体を約100nmの膜厚で塗布した後、重合硬化させる場合には、酸素による重合阻害を受けやすくなる、通常の加熱あるいは紫外線照射による重合硬化では単量体が重合する以前に蒸発してしまう、単量体だけでは、塗布後塗液が直ちに基板にはじかれてしまう等の問題が生じるので、通常行われる10〜1000μmの膜厚での重合硬化とは全く異なり非常に困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、形成される反射防止膜の膜厚が約100nm程度の場合であっても、優れた耐候性、耐熱性等を示し、表面硬度が高く、しかも光透過性で低屈折率を示す減反射材を提供することにある。
【0008】
また本発明の別の目的は、前記減反射フィルムを生産性良く製造することができる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式化7で表わされる含フッ素ジ(メタ)アクリル酸エステル(以下ジ(メタ)アクリル酸エステル1と称す)と、下記一般式化8で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(以下(メタ)アクリル酸エステル2と称す)及び/又は下記一般式化9で表わされるフマル酸ジエステル(以下フマル酸ジエステル3と称す)を構成単位として50%以上含有する重合体(以下重合体4と称す)とを含む含フッ素硬化性塗液を重合硬化して得られる反射防止膜を、基材の片面又は両面に形成したことを特徴とする反射防止膜を備えた減反射材が提供される。
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】
【0013】
また本発明によれば、前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と、前記(メタ)アクリル酸エステル2及び/又は前記フマル酸ジエステル3を構成単位として50%以上含有する重合体4とを含む含フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、電子線照射法により重合硬化させて基材の片面又は両面に反射防止膜を形成することを特徴とする前記反射防止膜を備えた減反射材の製造法が提供される。
【0014】
以下本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
本発明の減反射材は、特定の含フッ素硬化性塗液を重合硬化して得られる反射防止膜を、基材の片面又は両面に形成したものである。
【0016】
前記特定の含フッ素硬化性塗液は、前記一般式化7で表わされるジ(メタ)アクリル酸エステル1と、前記一般式化8で表わされる(メタ)アクリル酸エステル2及び/又は前記一般式化9で表わされるフマル酸ジエステル3を構成成分として特定量含有する重合体4とを含む塗液であって、硬化させた際には、三次元網目構造を呈し、ガラス転移温度が高く、耐熱性、耐候性等に優れた硬化被膜を得ることができる。前記一般式化7、化8及び化9において、Y1及びY2の炭素数が15以上の場合には製造が困難である。
【0017】
前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1としては、例えばジ(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,4,−ヘプタフルオロブチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−オクタデカフルオロウンデカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−エイコサフルオロドデカンジオール等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
【0018】
前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1を調製するには、例えば相当する含フッ素エポキシと(メタ)アクリル酸との通常の開環反応により容易に得ることができるヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸とを通常のエステル化反応させる方法、相当する含フッ素1,2−ジオールと(メタ)アクリル酸とを通常のエステル化反応させる方法、あるいは相当する含フッ素ジオールと(メタ)アクリル酸とを通常のエステル化反応させる方法等により容易に得ることができる。
【0019】
前記重合体4は、前記(メタ)アクリル酸エステル2及び/又はフマル酸ジエステル3により構成される構成単位を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含む重合体であって、他の共重合可能なモノマーにより構成される構成単位を50重量%以下含んでいても良く、各構成単位はランダムでもブロックでも良い。この際(メタ)アクリル酸エステル2及び/又はフマル酸ジエステル3で構成される構成単位が50重量%未満の場合には、ジ(メタ)アクリル酸エステル1の相溶性が悪くなり、均一な塗膜が得られない。また前記(メタ)アクリル酸エステル2及びフマル酸ジエステル3の両方の構成単位を含む場合の各構成単位の配合割合は、合計が50重量%以上となれば特に限定されるものではない。
【0020】
前記重合体4の構成単位となりうる前記(メタ)アクリル酸エステル2としては、例えば(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
【0021】
また前記重合体4の構成単位となりうる前記フマル酸ジエステル3としては、例えばフマル酸イソプロピル−2,2,2−トリフルオロエチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル、フマル酸イソプロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、フマル酸イソプロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル、フマル酸イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、フマル酸イソプロピル−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチル、フマル酸イソプロピル−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、フマル酸イソプロピル−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,2−トリフルオロエチル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル、フマル酸−tert−ブチル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、フマル酸−tert−ブチル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル、フマル酸−tert−ブチル−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、フマル酸−tert−ブチル−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチル、フマル酸−tert−ブチル−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、フマル酸−tert−ブチル−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
【0022】
更に前記重合体4において、必要に応じて構成単位となりうる前記他の共重合可能なモノマーとしては、オレフィン、(メタ)アクリル酸及びそれらのアルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和多塩基酸及びそれらのアルキルエステル、脂肪酸のビニルエステル、スチレン類、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン類等を好ましく挙げることができ、具体的には、例えばエチレン、プロピレン、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルアクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸アリール、ビニルブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルカルバゾール、1,3−ブタジエン、イソプレン等を好ましく挙げることができる。
【0023】
前記重合体4を調製するには、一般に用いられるラジカル重合法等により容易に合成できる。具体的には、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系ラジカル重合開始剤;過酸化ベンゾイル、tert−ブチルヒドルパーオキシド、クメンパーオキシド、ジアシルパーオキシド等の有機過酸化物系ラジカル重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機系ラジカル重合開始剤;過酸化水素−水酸化ナトリウム系等のレドックス系開始剤等の各種ラジカル重合開始剤系を用いて、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合又は放射線重合等の公知のラジカル重合法等により得ることができる。この際反応温度は10〜100℃、反応時間は1〜100時間であるのが好ましい。このようにして得られる前記重合体4の平均分子量は1000〜300000であるのが望ましい。
【0024】
前記特定の含フッ素硬化性塗液において、前述の反応を阻害しない限り、含フッ素溶媒を含有していても良く、該含フッ素溶媒としては、具体的には例えばトリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ヘキサフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、オクタフルオロデカリン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロメチルエタン等を挙げることができ、また商品名「アサヒクリン(AK225)」(旭硝子(株)製)等の市販品を用いることもできる。
【0025】
前記特定の含フッ素硬化性塗液において、前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と、前記重合体4との配合割合は、ジ(メタ)アクリル酸エステル1 100重量部に対して、重合体4が好ましくは0.001〜50重量部、特に0.01〜25重量部が望ましい。前記重合体4の配合割合が0.001重量部未満の場合には薄膜塗装性を改善することができず、50重量部を超えると硬化後の表面硬度が低下するので好ましくない。また、前記含フッ素溶媒の配合割合は、特に限定されないが、好ましくは含フッ素硬化性塗液中の硬化性成分全量に対し3〜40重量倍が望ましい。
【0026】
前記特定の含フッ素硬化性塗液においては、必要に応じて他の硬化性成分として通常用いられるエネルギー線硬化性樹脂等を配合することができる。例えば重合性不飽和基を2個以上有する多官能性モノマー、具体的には、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジビニルベン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることができる。前記他の硬化性成分の配合割合は、前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1 100重量部に対して100重量部以下、特に50重量部以下であるのが好ましい。硬化性成分の配合割合が100重量部を超える場合には、重合硬化した際に屈折率が上昇し、所望の反射防止膜が形成できないので好ましくない。
【0027】
前記反射防止膜は、前記含フッ素硬化性塗液を重合硬化して得られるものであって、屈折率が好ましくは1.44以下、特に好ましくは1.41以下で、膜厚は好ましくは70〜150nm、特に好ましくは90〜110nmである。
【0028】
本発明の減反射材を製造するには、前記含フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、電子線照射法により重合硬化させて基材の片面又は両面に反射防止膜を形成する方法により製造できる。この際、前記塗布は通常行われる塗布方法、例えばロールコート法、グラビアコート法、ディップコート法及びスピンコート法等により、乾燥時の膜厚が好ましくは70〜150nmとなるようにする。また電子線照射の条件として、加速器電圧は100〜300kVが好ましく、特に125〜175kVが望ましい。更にビーム電流は1〜50mAが好ましく、特に10〜30mAが望ましい。更にまた吸収線量は1〜100Mradが好ましく、特に5〜50Mradが望ましい。
【0029】
前記基材としては、特に限定されるものではないが、フィルム状又はシート状が良く、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等を好ましく挙げることができる。
【0030】
また本発明の基材の反射率を、下記式数1により求めることができる。例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)の屈折率は1.65であるから、その反射率は6.0%となる。
【0031】
【数1】
【0032】
また減反射材の分光反射率の最小値は、下記式数2により求めることができる。例えば減反射PETの分光反射率の最小値を1%以下にするためには、反射防止膜の屈折率を1.42以下とする。
【0033】
【数2】
【0034】
更に反射防止膜の膜厚d(nm)と分光反射率の最小値を示す波長λ(nm)との関係を下記式数3により求めることができる。分光反射率の最小値を示す波長とは、可視光領域、即ち380〜800nmであるが、可視光領域全域にわたり減反射を満足させるためには500〜650nmであることが望ましい。例えば屈折率1.39の反射防止膜を用いた波長550nmに分光反射率の最小値を呈す減反射材を作製するには反射防止膜の膜厚を99nmにすればよい。
【0035】
【数3】
【0036】
【発明の効果】
本発明の減反射材は、硬化成分として前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と重合体4とを含む含フッ素硬化性塗液を重合硬化させて得られる反射防止膜を片面又は両面に形成しているので、外光反射を低減し、光透過性を向上させることができ、耐候性、耐熱性、撥水撥油性に優れ、更に表面硬度が高いので耐摩耗性にも優れ、しかも低屈折率なので、表示装置の構成部品等に有用である。またこの減反射材の製造法は、従来のフッ化マグネシウムの蒸着法に比べ真空にする必要がないので、低コスト且つ大面積化が容易で、連続的に生産することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
【実施例1】
ジアクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコール(以下F17EGDAと略す)10重量部、ポリ(アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(以下PF17Aと略す)1重量部、トリフルオロメチルベンゼン89重量部を混合し含フッ素硬化性塗液を調製した。次いでマイクログラビアコーター(康井精機社製)を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと略す)の片面に乾燥後の膜厚が100nmになるように塗布し、電子線照射器(岩崎電気社製)により加速器電圧125kV、ビーム電流35mAで吸収線量30Mradの電子線を照射、硬化して反射防止膜を調製して片面減反射PETフィルムを得た。得られた片面減反射PETフィルムの分光反射率、両面分光反射率、分光透過率、鉛筆硬度及び密着性を以下の方法により測定した。また別に、前記調製した含フッ素硬化性塗液を乾燥後の厚さが500μmになるようガラス上に塗布し、電子線照射器(岩崎電気社製)により加速電圧175kV、ビーム電流5mAで吸収線量5Mradの電子線を照射、硬化して、反射防止膜を調製した。得られた反射防止膜の屈折率を以下の方法により測定した。
【0039】
(1)分光反射率;5°正反射測定装置のついたUVスペクトル(日本分光社製、商品名「U−best 35」)により測定した。但し塗布面を測定面とし裏面は反射を遮るためサンドペーパーで荒らし黒色マジックで着色して測定した。結果を図1に示す。また550nmにおける減反射フィルム及び基材フィルムの反射率を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(2)両面分光反射率;分光反射率と同様に、裏面の処理を行わずに測定した。結果を図2に示す。
【0041】
(3)分光透過率;UVスペクトル(ヒューレットパッカード社製、商品名「HP89530AJ」)により測定した。結果を図3に示す。
【0042】
(4)鉛筆硬度;JIS K5400に従って測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(5)密着性;碁盤目剥離試験をJIS K5400に従って行った。結果を表1に示す。
【0044】
(6)反射防止膜の屈折率;得られた反射防止膜をガラスから剥離し、アッベ屈折計(アタゴ株式会社)を用いて屈折率を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
【実施例2】
実施例1で得られた減反射PETフィルムの未塗布面に、実施例1と同様に反射防止膜を調製して両面減反射PETフィルムを得、両面分光反射率、透過率を測定した。結果を図2、図3に示す。
【0046】
【比較例1】
実施例1と同様に基材フィルムであるPETフィルムの分光反射率、両面分光反射率、分光透過率を測定した。結果を図1、図2、図3に示す。また550nmにおける分光反射率を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【実施例3〜5】
PETフィルムの代わりに、ポリカーボネート(以下PCと略す)フィルム(実施例3)、ポリメチルメタクリレート(以下PMMAと略す)フィルム(実施例4)又はトリアセチルセルロース(以下TACと略す)フィルム(実施例5)を用いた以外は、実施例1と同様に反射防止膜を調製して片面減反射フィルムを得、片面減反射フィルム及び基材フィルムの550nmにおける分光反射率、片面減反射フィルムの鉛筆硬度、密着性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0048】
【実施例6〜7、比較例2】
表1に示すジエステル1及び重合体4を用いた以外、また実施例8においては表1に示す他の共重合成分を用いた以外は、実施例1と同様にして片面減反射PETフィルム及び反射防止膜を得、片面減反射材の550nmにおける分光反射率、鉛筆硬度、密着性及び反射防止膜の屈折率を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1と比較例1との分光反射率を比較するグラフである。
【図2】図2は、実施例1及び2と、比較例1との両面分光反射率を比較するグラフである。
【図3】図3は、実施例1及び2と、比較例1との分光透過率を比較するグラフである。
Claims (3)
- 前記反射防止膜の屈折率が1.44以下で、且つ膜厚が70〜150nmであることを特徴とする請求項1記載の減反射材。
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