JP2003291274A - ディスプレイ用透明フィルム基板 - Google Patents

ディスプレイ用透明フィルム基板

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JP2003291274A JP2002096158A JP2002096158A JP2003291274A JP 2003291274 A JP2003291274 A JP 2003291274A JP 2002096158 A JP2002096158 A JP 2002096158A JP 2002096158 A JP2002096158 A JP 2002096158A JP 2003291274 A JP2003291274 A JP 2003291274A
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徳顕 齋藤
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Toshiaki Yatabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の主な目的は、耐溶剤性、耐傷性に優
れ、干渉斑が少なく、ディスプレイに好適な新規な透明
フィルム基板を提供することにある。 【解決手段】 全光線透過率が80%以上である高分子
フィルムの少なくとも片面に、ガスバリア層と、硬化性
樹脂からなり膜厚が0.01μmから20μmである耐
溶剤性保護層とを有し、該耐溶剤性保護層は該高分子フ
ィルムと接しており、かつ該耐溶剤性保護層の屈折率を
1、該高分子フィルムの屈折率をn2としたとき、下記
式(a)を満たすディスプレイ用透明フィルム基板。 │n2−n1│≦0.02 (a) (上記式中、屈折率n1及びn2は25℃、ナトリウムD
線の波長589nmに対する屈折率である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディスプレイ用透明
フィルム基板に関し、さらに詳しくは電子機器用のディ
スプレイとして有用な、干渉斑が少なく表示品位の良好
なディスプレイ用透明フィルム基板及び透明導電性高分
子基板に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子フィルムは一般的に溶媒や傷に弱
いため、耐溶剤性や耐傷性などの特性を付与することに
より、その利用価値が大きく広がる。とりわけディスプ
レイ用途に高分子フィルムを用いる場合には、通常、レ
ジスト溶剤、酸、アルカリなど多くの溶剤や工程を経て
製品に至る。この高分子フィルムに、それの欠点である
耐溶剤性や耐傷性を付与するには、通常乾式法や湿式法
により高分子フィルムにコーティングし、その表面に耐
溶剤性保護層を設ける方法がある。しかしながらこの場
合は、耐溶剤性保護層と高分子フィルムの界面で反射が
起こり、これに起因する干渉斑が生じやすく、ディスプ
レイ用フィルム基板の表示品位を落とす原因となってい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
耐溶剤性、耐傷性に優れ、干渉斑が少なく、ディスプレ
イに好適な新規な透明フィルム基板を提供することにあ
る。
【0004】また本発明の他の目的は、上記透明フィル
ム基板を用いた透明導電性高分子基板を提供することに
ある。
【0005】さらに本発明の他の目的は、上記透明フィ
ルム基板または透明導電性高分子基板を利用した液晶等
のディスプレイ表示素子、及びこれを有する電子機器を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはコスト的に有利な湿式法によるコーテ
ィング法に重点をおいて検討した。そしてこの方法によ
り高分子フィルム上に形成される耐溶剤性保護層は、高
い精度で膜厚の均一化がしにくいことがわかった。特
に、各種ディスプレイ用途に使用するフィルム基板で
は、極めて高い視認性が要求されるが、厚さの微妙な不
均一が反射光の干渉斑、すなわち視認性の低下を生じさ
せることを突き止めた。そこで、反射を起こす耐溶剤性
保護層と高分子フィルムの界面に着目し、それらの屈折
率差を小さくして、反射光そのものの発生を抑えること
により視認性の良く、ディスプレイ用途に好適な透明フ
ィルム基板が得られることを見いだし本発明に到達する
に至った。
【0007】すなわち本発明は以下の通りのものであ
る。 1. 全光線透過率が80%以上である高分子フィルム
の少なくとも片面に、ガスバリア層と、硬化性樹脂から
なり膜厚が0.01μmから20μmである耐溶剤性保
護層とを有し、該耐溶剤性保護層は該高分子フィルムと
接しており、かつ該耐溶剤性保護層の屈折率をn1、該
高分子フィルムの屈折率をn2としたとき、下記式
(a)を満たすディスプレイ用透明フィルム基板。 │n2−n1│≦0.02 (a) (上記式中、屈折率n1及びn2は25℃、ナトリウムD
線の波長589nmに対する屈折率である) 2. 該耐溶剤性保護層は、分子構造中にフルオレン骨
格を有するモノマーを含むコーティング組成物を該高分
子フィルムの少なくとも片面に塗布し、ついで活性エネ
ルギー線照射および/または熱により生成した硬化性樹
脂からなるものである、上記1のディスプレイ用透明フ
ィルム基板。 3. 該耐溶剤性保護層は、屈折率の異なる少なくとも
2種類のモノマーを含むコーティング組成物を該高分子
フィルムの少なくとも片面に塗布し、ついで活性エネル
ギー線照射および/または熱により生成した硬化性樹脂
からなるものである、上記1または2のディスプレイ用
透明フィルム基板。 4. 該モノマーが、下記式(b)
【0008】
【化4】
【0009】[上記式(b)においてR1〜R2はそれぞ
れ独立に炭素数2〜6の2価の炭化水素基であり、R3
〜R10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および
炭素数1〜6の1価の炭化水素基からなる群から選ばれ
る少なくとも一種の基である。]で表される化合物であ
り、かつ該耐溶剤性保護層が活性エネルギー線照射によ
り硬化したものである上記2または3のディスプレイ用
透明フィルム基板。 5. 該高分子フィルムが下記式(c)
【0010】
【化5】
【0011】[上記式(c)において、R11〜R18はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜
6の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種の基であ
る。]で表される繰り返し単位と、下記式(d)
【0012】
【化6】
【0013】[上記式(d)において、R19〜R26はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜
6の炭化水素基から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化
水素基である。]で表される繰り返し単位とからなるポ
リカーボネートから主としてなり、かつ上記式(c)で
表される繰り返し単位が全体の0〜90モル%である上
記1から4に記載のディスプレイ用透明フィルム基板。 6. ガスバリア層が、珪素、アルミニウム、マグネシ
ウム及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも1種
の酸化物および/または窒化物を含む層である、上記1
から5のいずれかに記載のディスプレイ用透明フィルム
基板。 7. 上記1〜6のいずれかに記載のディスプレイ用透
明フィルム基板の少なくとも一方の面に透明導電層を有
する透明導電性高分子基板。 8. 透明導電層がインジウム酸化物を主成分とし、錫
及び亜鉛から選ばれた1種以上の酸化物を含む上記7の
透明導電性高分子基板。 9. 上記1〜6のいずれかに記載のディスプレイ用透
明フィルム基板または上記7または8の透明導電性高分
子基板を使用してなる表示素子または電子機器。
【0014】特に好適には、耐溶剤性保護層を形成する
コーティング組成物中には少なくとも2種類以上のモノ
マーの混合体を存し、モノマーの一つとして屈折率の高
いビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート
を用い、少なくとも他成分にはこれより屈折率の低いモ
ノマーを適時選択した。そして該二つまたはそれ以上の
モノマーの配合比を自由に変更することによって耐溶剤
性保護層の屈折率を自由に変化させることができ、その
結果、透明性に優れ、低屈折率から高屈折率を有するあ
らゆる高分子フィルムにおいても耐溶剤性保護層の膜厚
斑に起因する干渉斑の少ないディスプレイ用透明フィル
ム基板を与えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細を説明する。
【0016】本発明において重要な点は、高分子フィル
ム上に該高分子フィルム上に接するようにして耐溶剤性
の保護層を設け、該高分子フィルムに耐溶剤性を付与、
改善するが、その際、該高分子フィルムと耐溶剤性保護
層の屈折率差を十分小さくする点にある。特に、該耐溶
剤性保護層の屈折率を自由に調節できる材料を用い、高
分子フィルムと耐溶剤性保護層の可視光範囲における屈
折率を極限まで近づけることにより、高分子フィルムと
耐溶剤性層の界面に生じる反射やこれに起因する干渉斑
を低減させ、ディスプレイ用透明フィルム基板の品位を
向上することができる。
【0017】すなわち、耐溶剤性保護層の屈折率を
1、高分子フィルムの屈折率をn2とした時、下記式
(a) │n2−n1│≦0.02 (a) が成り立つように耐溶剤性保護層及び高分子フィルムを
適宣選択し、屈折率を調節することにある。ここで、屈
折率とは耐溶剤性保護層及び高分子フィルムの屈折率が
│n2−n1│>0.02の場合には、屈折率差が大きく
耐溶剤性保護層の厚み斑による反射光の干渉縞が目立っ
てくる。従って、│n2−n1│≦0.01であることが
より好ましい。ここで、屈折率n1及びn2は25℃、ナ
トリウムD線の波長589nmに対する屈折率である。
【0018】本発明における高分子フィルムは、全光線
透過率が80%以上、好ましくは85%以上であり透明
性が良好である。そのような材料としては熱可塑性高分
子、硬化性高分子が挙げられる。具体的には、例えば、
ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹
脂、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリス
チレン、ポリアリレート、ポリオレフィンなど、可視光
領域において透明なあらゆる高分子を使用することが可
能であり特に限定するものではない。
【0019】また、一般に高分子フィルムはその製法や
延伸等の後処理などによって複屈折(屈折率異方性)を
有する場合があるが、本発明においてはこのような所望
の複屈折を有する高分子フィルムであっても構わない。
例えば該高分子フィルムを液晶表示素子に用いる位相差
フィルムやλ/4板として用いる場合がこれにあたる
が、このような高分子フィルムにおいても、耐溶剤性、
耐傷性付与し、ディスプレイ用透明フィルム基板として
用いる場合には、耐溶剤性保護層の屈折率をn1、高分
子フィルムの3次元屈折率の平均を屈折率n2(すなわ
ち、n2=(nx+ny+nz)/3)として上記式(a)
を満たしていれば、干渉斑をある程度低減する効果が期
待できる。ここで、nxは高分子フィルムのフィルム面
内の最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyは高分子フ
ィルムのフィルム面内のnx方向と直交する方向の屈折
率、nzはフィルムの厚さ方向の屈折率である。ただ
し、屈折率の大きなポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレートなどは、後述するようなコーティ
ング組成物だけでは耐溶剤性保護層の屈折率を近づける
ことは難しいため、金属酸化物粒子や分子中に金属を含
有するポリマーなどをコーティング組成物中に含有させ
ることにより、干渉斑を低減する効果が期待できる。
【0020】しかしながら本発明に用いる高分子フィル
ムは、液晶などのディスプレイ用途に用いる場合におい
ては、複屈折の小さな、例えば波長550nmにおける
リタデーションが20nm以下であることが好ましい。
このような材料としては例えば、ポリカーボネート、ポ
リエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエステルカー
ボネートなどが望ましい。そしてこれらはとりわけ溶融
法または流延法によって製造したものであることが望ま
しい。なかでもフィルムの表面平坦性や光学等方性に優
れる流延法はより望ましい。
【0021】特になかでも光学異方性が小さく、耐熱性
が高く、そして流延法による製膜が可能な高分子とし
て、下記式(c)
【0022】
【化7】
【0023】[上記式(c)において、R11〜R18はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜
6の1価の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であ
る。]で表される繰り返し単位および下記式(d)
【0024】
【化8】
【0025】[上記式(d)において、R19〜R26はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜
6の1価の炭化水素基から選ばれ、Xは炭素数1〜15
の炭化水素基である。]で表される繰り返し単位を合わ
せて80モル%以上、好ましくは実質的に100モル%
含んでなるポリカーボネートは特に優れている。ここで
上記式(c)及び(d)の合計に基づいて、上記式
(c)の組成比が0〜100モル%のとき、屈折率は
1.58〜1.64の比較的大きな値をとる。
【0026】上記式(c)において、R11〜R18は、そ
れぞれ独立に水素原子、塩素、臭素等のハロゲン原子、
炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。かかる炭化水
素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、
シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリ
ール基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基が
好ましい。特にR11またはR13がメチル基であり、かつ
16またはR18がメチル基であるものが取り扱い性が好
適である。
【0027】上記式(d)において、R19〜R26はそれ
ぞれ独立に水素原子、塩素、臭素等のハロゲン原子、炭
素数1〜6の1価の炭化水素基である。かかる炭化水素
基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シ
クロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリー
ル基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基が好
ましい。Xは炭素数1〜15の炭化水素基であり、具体
例としては下記式群
【0028】
【化9】
【0029】が挙げられる。ここで、X中のR27からR
33はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭
素数1から22の1価の炭化水素基から選ばれ、Arは
炭素数6から10のアリール基から選ばれる少なくとも
一種の基である。R27からR33の具体例としては、上記
11〜R26と同じであり、Arの具体例としては、フェ
ニル基、ナフチル基などである。
【0030】上記式(c)及び(d)で表される繰り返
し単位の割合としては、上記式(c)が、ポリカーボネ
ート全体に対して、特に上記式(c)と(d)の合計に
基づいて0〜90モル%、好ましくは30〜80モル%
である。上記式(c)で表される繰り返し単位を10モ
ル%以上にすることでガラス転移点が170℃以上とな
り、光学フィルムとしてデバイスを作製する際のプロセ
スマージンが拡大する。また逆に、上記式(c)で表さ
れる繰り返し単位を90モル%よりも多いと光線透過率
が低下し、フィルムが脆くなるので好ましくない。
【0031】本発明における高分子フィルムの厚さとし
ては、通常20〜500μm、特にディスプレイ用途の
場合には50〜400μmが好ましい。
【0032】本発明における耐溶剤性保護層は、上記高
分子フィルムの少なくとも一方の面に形成される。かか
る耐溶剤性保護層は耐溶剤性、耐傷性などを向上する観
点から硬化性樹脂からなる。その例としては、(メタ)
アクリル系架橋樹脂、ビニル系架橋樹脂、ポリシロキサ
ン系架橋樹脂、エポキシ系架橋樹脂等、三次元架橋構造
を有する樹脂が挙げられる。かかる耐溶剤性保護層は硬
化性樹脂のモノマー及び、通常適宣の溶剤等を含むコー
ティング組成物を高分子フィルムの表面に公知の塗工法
により塗布し、ついで、形成された塗膜に活性エネルギ
ー線を照射するか、または加熱することにより反応がお
こり硬化する。なかでも(メタ)アクリル基、ビニル基
等の不飽和二重結合を有する架橋性モノマーを紫外線、
可視光線、電子線、X線等の活性エネルギー線により架
橋反応させ硬化させることが、生産性の点から好まし
い。これらの中でも特に反応性の面からアクリル基を有
するアクリル系樹脂が好ましく、これら具体例としては
エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエ
ステルアクリレート、シリコーンアクリレートなどが好
ましく挙げられるが、ここではこれらを特に限定するも
のではない。これらの化合物には、適当な開始剤(重合
開始剤、光増感剤など)を併用させることが望ましく、
開始剤を1種単独、あるいは2種以上を組み合わせて用
いても良い。
【0033】このようにして形成された耐溶剤性保護層
の膜厚は、0.01μmから20μm、好ましくは0.
03μmから10μmの範囲から適時選択することがで
きる。
【0034】一般的に(メタ)アクリル系樹脂をはじ
め、ポリシロキサン系樹脂、エポキシ樹脂等の架橋性樹
脂の屈折率は1.58より小さいものが多いため、例え
ば高分子フィルムとしてポリカーボネートを用い、この
表面にこれら架橋性樹脂からなる耐溶剤性保護層を塗工
した場合、高分子フィルムと該耐溶剤性保護層との屈折
率差は大きくなり、塗工の際に生じる耐溶剤性保護層の
厚み斑が反射や干渉により目立つようになる。従って耐
溶剤性保護層には用いる高分子フィルムと耐溶剤性保護
層の屈折率ができるだけ近い材料を用いることが好まし
い。この際、高分子フィルムに用いられている分子骨格
と、耐溶剤性保護層に用いるモノマーの分子骨格が似た
成分を含むことが、耐溶剤性保護層と高分子フィルムの
屈折率を近づける上で好ましい。これは、高分子の屈折
率波長依存性(一般に屈折率波長分散という)と耐溶剤
性保護層の屈折率波長依存性が一般に近くなり、広範囲
の波長領域で屈折率差を低減することができる効果も期
待できるためである。ただし、耐溶剤性保護層の屈折率
を調整する方法は必ずしも上述の限りではない。
【0035】本発明に用いる耐溶剤性保護層は、高分子
フィルムの屈折率と耐溶剤性保護層の屈折率が近くなる
ように、耐溶剤性保護層の屈折率を調整できることを一
つの特徴とする。このためには前述のような架橋性モノ
マーを少なくとも2種類以上適宜選択し、少なくとも1
成分は用いる高分子フィルムより屈折率が高く、少なく
とも1成分は用いる高分子フィルムより屈折率が低いも
のを用いることが望ましい。
【0036】また、耐溶剤性保護層の屈折率を増大させ
る目的で、酸化チタンや酸化亜鉛に代表される金属酸化
物微粒子を上記モノマーと併用し、コーティング組成物
中に添加することも可能である。ただし上記金属酸化物
微粒子の添加は耐溶剤性保護層の表面平滑性が低下した
り、ヘーズが上昇したりすることがあるので、これらが
あまり起こらない範囲で添加しなければならない。ま
た、屈折率を上昇させる材料としては、芳香環、塩素、
臭素、ヨウ素、硫黄を含むモノマーが有効であるが、こ
の他分子内にチタンなど金属を含有するモノマーも有効
である。
【0037】硬化性樹脂を形成する具体的なモノマーと
しては、例えば分子構造中にフルオレン骨格を有するも
の、具体的には、下記式(b)
【0038】
【化10】
【0039】で示される架橋性のアクリレートモノマー
を含むことが特に好ましい。なかでも上記式(b)にお
いてR1〜R2がいずれも炭素数2からなるエチル基であ
り、R 3〜R10が水素原子である場合には、架橋反応し
て形成された耐溶剤性保護層の屈折率を1.63付近ま
で高めることが出来るため、その他上記式(b)よりも
屈折率の低い架橋性モノマー(例えば、上記式(b)以
外の架橋性アクリレートモノマー)とを少なくとも2種
類以上組み合わせて用いることにより、任意の屈折率を
持つ耐溶剤性保護層を調整することができる。
【0040】上記式(b)で表されるアクリレートモノ
マー以外の他のモノマーとしては、例えばフルオレン環
を有さないような架橋性アクリレートモノマー、例えば
フッ素原子やシリコン原子を含み、オレフィン骨格やア
ルキル基を多く有する材料が有効である。このような材
料としてより具体的には、トリフルオロエチルメタクル
レート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリ
ンジメタクリレート、イボニルアクリレート、γ−アク
リロキシプロピルトリメトキシシランなどを指している
が、これらに限定するものではない。このような架橋性
モノマーは、高分子フィルムの屈折率にできるだけ合致
するように適当な割合で混合する。例えば他のアクリレ
ートモノマーを上記式(b)で表されるモノマー全体の
1〜99モル%で混合する。ただし、適応する高分子フ
ィルムの屈折率と配合する2種以上の架橋性モノマーの
屈折率が比較的近い場合、配合する架橋性モノマーの比
率が少しずれても、目標とする屈折率と大きくかけ離れ
ることが少ない点で好ましい。また2種以上の混合する
架橋性モノマーは層分離しない組み合わせ、もしくは層
分離しない混合比の範囲でこれらを組み合わせて用いる
ことが好ましい。
【0041】また、高屈折率を有する架橋性モノマーに
上記式(b)のような2官能性モノマーを用いる場合、
配合する他成分の少なくとも一成分に、一分子中に2個
以上、好ましくは3個以上の架橋点(アクリル基など)
を有することが、耐溶剤性、耐傷性を向上させるため好
ましい。ただし、極度に架橋点の多い(例えば架橋点が
1分子中に10個以上を有するもの)モノマーを上記式
(b)と併用して用いる場合は、該架橋点の多いモノマ
ー成分を多くするほど耐溶剤性や耐傷性を向上すること
はできるが、一方で脆くなりやすい。このため、架橋点
の多いモノマーを併用する場合には、一分子中の架橋点
を少なくした第三成分のモノマーを適宣併用することに
より、脆さを防止することができる。
【0042】該耐溶剤性保護層は、高分子フィルムの片
面に一層または両面に一層ずつ設けてもよい。
【0043】本発明におけるガスバリア層は、空気や水
の透過を防止し高分子フィルムにガスバリア性を付与す
るものである。該ガスバリア層を構成する材料の例とし
ては、例えばポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体等のポリビニルアルコール共重合
体、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体等のポリアクリロニトリル共重合体、あるい
はポリビニリデンクロリド等の公知の高分子コーティン
グ材料や、Si、Al、Ti、MgおよびZr等から選
ばれた少なくとも1種の金属あるいは2種以上の金属混
合物の酸化物、フッ化物、窒化物あるいは酸窒化物を主
成分とする無機材料が透明性とガスバリア性に優れ好ま
しい。
【0044】該ガスバリア層は、一層または二層以上設
けてもよい。
【0045】上記の有機材料を主成分とするガスバリア
層は、公知の湿式法により製膜することができる。ただ
し、有機材料を主成分とするガスバリア層は、酸素透過
度などに湿度や温度の依存性が大きいため、ガス透過性
を特に重要視する用途においてはこれだけで用いること
は好ましくなく、後述の無機材料からなるガスバリア層
と組み合わせて用いることにより、その機能を十分に発
揮することができる。
【0046】無機材料を主成分とするガスバリア層の作
製方法としては、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より
材料を堆積させて膜形成する気相堆積法が挙げられる。
これらのガスバリア層は単独あるいは二種類以上の組み
合わせて、目標とする性能が発現できる厚さに設定して
用いる。特に、無機薄膜材料をガスバリア層として用い
る場合の膜厚は、2nm〜1μmの範囲が好ましい。ガ
スバリア層の厚みが2nm未満では均一に膜を形成する
ことは困難であり、膜が形成されない部分が発生するた
め気体透過度が大きくなる。一方、1μmよりも厚くな
ると透過性を欠くだけでなく、基板を屈曲させた際に、
ガスバリア層にクラックが発生して気体透過度が上昇す
る。
【0047】また特に真空蒸着法を用いてガスバリア層
を製膜する場合、珪素と酸素が主成分である酸化ケイ
素、あるいは珪素と酸素が主成分であり、少なくともフ
ッ素、マグネシウムを含有し、かつ珪素とフッ素が化学
結合している薄膜が、ガスバリア性、透明性、表面平滑
性、膜応力が少ないという点で好ましい。ここで珪素原
子に対する酸素原子の割合は1.5以上2未満が好まし
い。この割合により薄膜の透明性とガスバリア性が二律
背反性の関係で変化し、1.5未満ではディスプレイ用
途で要求される透明性が得られないことがある。さら
に、フッ素原子は珪素ならびにマグネシウムと化学結合
しており、フッ素原子と珪素原子の結合(A)とフッ素
原子とマグネシウムの結合(B)の割合が(A)>
(B)であることが好ましく、かつガスバリア層中に含
まれるマグネシウムの比率は、共存する珪素に対し元素
比で2.5〜20atom%の範囲が好ましい。このよ
うな割合にすることで、良好なガスバリア性、透明性は
勿論のこと、特に膜応力を小さく出来ると推定され、従
って、ガスバリア層の膜厚を厚くしてもディスプレイ用
透明フィルムの変形が少なくできる。ガスバリア膜中に
存在するフッ素元素の化学結合状態は、例えばX線源に
AlのKα線を用い、中性炭素C1sの284.6eV
で横軸を補正した際、フッ素原子の化学結合状態は、6
87eV近傍に観測されるフッ素と珪素の結合に由来す
るF1sピーク(A)とこれより約1.5eV低結合エ
ネルギー側に観測されるフッ素とマグネシウムの結合に
由来するF1sピーク(B)の存在ならびに、これらの
強度比により決定される。
【0048】かくして得られた本発明の透明フィルム基
板は、干渉光による見にくさが少なく、特に表示素子等
のディスプレイ用に好適である。かかる表示素子として
は、例えば液晶表示素子、有機EL素子、ペーパーライ
クディスプレイ、タッチパネル等が挙げられるが、特に
該透明フィルム基板の少なくとも片面に透明電極等とし
ての透明導電層を設けることにより、電極として好適な
透明導電性高分子基板が与えられる。
【0049】かかる透明導電層としては、公知の金属
膜、金属酸化物等が適用できるが、中でも透明性、導電
性、機械特性の観点から、金属酸化物が好ましい。該金
属化合物としては例えば、不純物としてスズ、テルル、
カドミウム、モリブデン、タングステン、フッ素、亜
鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カ
ドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添
加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物が挙げられ
る。なかでもインジウム酸化物を主成分とし、酸化スズ
および酸化亜鉛からなる群から選ばれた1種以上の酸化
物を含むことを特徴とし、酸化スズが2〜20重量%及
び/または酸化亜鉛が2〜20重量%含有する透明導電
層が透明性、導電性に優れており好ましく用いられる。
また、本発明の透明導電性高分子基板を有機ELに用い
る場合、透明導電層の仕事関数や表面平滑性を制御して
発光効率や寿命を向上させる目的で、インジウム酸化物
を主成分とし、酸化スズ及び酸化亜鉛からなら群から選
ばれた1種以上の酸化物を含む膜に、さらにスズ、亜鉛
以外の元素を添加してもよい。
【0050】上記透明導電層を形成する方法は、主にス
パッタリング法が使用され、直流スパッタリング法、高
周波マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパ
ッタリング法等が適応できるが、生産性の観点からマグ
ネトロンスパッタリング法が好ましい。透明導電層の膜
厚は、十分な導電性を得るために、10〜1000nm
であることが好ましい。本発明の透明導電性高分子基板
は、可視光領域に対する全光線透過率が80%以上であ
ることが好ましく、さらには85%以上が好ましい。8
0%未満では、視認性の低下や発光素子の効率低下を招
く問題を生じることがある。
【0051】以上に示した高分子フィルムをA、耐溶剤
性保護層をB、ガスバリア層をC、透明導電層をDとし
たとき、例えば下記の積層構成によってディスプレイ用
透明フィルム基板、あるいは透明導電性高分子基板とし
て利用することが可能である。
【0052】B/A/C、B/C/A、C/A/B、B
/A/C/B、B/C/A/B、C/B/A/B、C/
A/C/B、C/A/C/B、C/A/B/C、C/B
/C/A、B/C/B/C/A、B/C/A/C/B、
B/C/A/B/C、C/B/C/A/B、C/B/A
/C/B、C/B/A/B/C、C/B/A/C/B、
C/A/B/C/B、D/B/A/C、D/B/C/
A、D/C/A/B、D/B/A/C/B、D/B/C
/A/B、D/C/B/A/B、D/C/A/C/B、
D/C/A/C/B、D/C/A/B/C、D/C/B
/C/A、D/B/C/B/C/A、D/B/C/A/
C/B、D/B/C/A/B/C、D/C/B/C/A
/B、D/C/B/A/C/B、D/C/B/A/B/
C、D/C/B/A/C/B、D/C/A/B/C/B 以上の説明に示すような高分子フィルム、耐溶剤性保護
層、ガスバリア層、および透明導電層を用いることによ
り、干渉斑の少なく、耐溶剤性、耐傷性に優れたディス
プレイ用透明フィルム基板または透明導電性高分子基板
を得ることが出来る。
【0053】本発明のディスプレイ用透明フィルム基板
は、液晶表示素子、あるいは有機EL素子などの用途に
使用する際には、さらに該ディスプレイ用透明フィルム
基板上に用途、目的に応じて易滑層、光反射層、光吸収
層、光拡散層などを適宣付与することもできる。本発明
のディスプレイ用透明フィルム基板及び透明導電性高分
子基板は透明性に優れており、光線透過率が通常80%
以上、ヘーズは通常3.0%以下であり、特に液晶表示
素子、有機EL素子、ペーパーライクディスプレイ、タ
ッチパネルに代表されるディスプレイ用途の透明基板材
料、電極材料に用いる場合には、光線透過率が85%以
上、ヘーズは1.0%以下が好ましい。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、高分子フィルムの上
に、該高分子フィルムと極めて近い屈折率に調整した耐
溶剤性保護層を積層することにより、耐溶剤性保護層の
膜厚斑に起因する光干渉を低減し、ディスプレイ用透明
フィルム基板として優れた視認性を維持しつつ、耐溶剤
性、耐傷性などの機能を付与することができる。
【0055】また、耐溶剤性保護層に用いるモノマーと
して、高い屈折率を有するフルオレン誘導体と、低い屈
折率を有するモノマーの少なくとも2種類以上のモノマ
ーを含有し、モノマーの配合比を変更することにより、
適応する高分子フィルムに合わせて自在に屈折率を調整
することが可能である。
【0056】本発明のディスプレイ用透明フィルム基板
は、耐溶剤性、耐傷性を有するばかりでなく、視認性に
も極めて優れており、なかでも液晶表示素子、有機EL
素子、ペーパーライクディスプレイ、タッチパネル等の
表示素子としての機能を有する電子機器、その他ディス
プレイ用の透明フィルム基材として広く利用することが
できる。
【0057】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らな
い限り重量基準である。また、実施例中における各種の
測定は、下記の通り行った。 (1)屈折率:(株)アタゴ製 屈折計 2−Tを用い
て測定を行った。測定時における温度は25℃、光源は
ナトリウムランプのD線を用いて行った。コート層はガ
ラス上にコーティングを行い、剥離したものを用いて測
定した。 (2)干渉斑:3波長蛍光灯下で目視にて干渉色の有無
を観察した。 (3)全光線透過率:日本電色工業社製 COH−30
0Aを用いて測定した。 (4)ヘーズ:日本電色工業社製 COH−300Aを
用いて測定した。 (5)液晶パネル作製 液晶パネルは下記の手順に従って作製した。寸法が縦7
0mm×横50mmである透明導電性高分子基板の透明
導電層にフォトリソグラフィー法により160×100
ドット用の表示電極を形成し、該電極面に1000オン
グストロームの配向膜を形成し、ツイスト角が220°
となるようにラビング処理を施した。次いで6.5μm
のプラスチックビーズをギャップ剤として電極面の内面
に、密度150個/mm2となるように分散し、エポキ
シ樹脂を主成分とするシール剤により電極面を内面にし
て2枚の透明導電性高分子基板を貼り合わせて液晶セル
を作製した。次いでこの液晶セルにカイラルネマチック
液晶を含有するネマチック液晶を注入口より注入した
後、加圧法によりセルギャップを均一化し、注入口をU
V硬化性の樹脂により封止した。最後に該基板の両面に
偏光板を貼付し、さらに偏光板の片面に拡散反射板を貼
付することにより液晶パネルを得た。こうして得られた
液晶パネルの視認性を目視にて確認した。
【0058】なお、後掲の化合物は以下の略号を用い
た。 BisA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン BCF:9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)フルオレン ITO:インジウム−スズ酸化物 BPEF−A:ビスフェノキシエタノールフルオレンジ
アクリレート(大阪ガス製) UA:ウレタンアクリレート(新中村化学製「NKオリ
ゴU−15HA」) DCP−A:ジメチロールトリシクロデカンジアクリレ
ート(共栄社化学製「ライトアクリレートDCP−
A」) ECHETMOS:2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン APTMOS:3−アミノプロピルトリメトキシシラン EVOH:エチレンビニルアルコール共重合体(クラレ
製「エバール」) [実施例1]ビスフェノール成分がBisA/BCF=
70/30(モル比)からなる平均分子量37,000で
Tgが193℃のポリカーボネート樹脂をメチレンクロ
ライドに20重量%になるように溶解した。そしてこの
よう液をダイコーティング法により厚さ175μmのポ
リエステルフィルム上に流延した。次いで乾燥炉で残留
溶媒濃度が13重量%になるまで乾燥し、ポリエステル
フィルムから剥離した。そして、得られたポリカーボネ
ートフィルムを180℃の乾燥炉で縦横の張力に出来る
だけ差が生じないように、かつフィルムを保持しうる最
小限の張力バランスさせながら、該フィルムの残留溶媒
濃度が0.3重量%になるまで乾燥させ、厚みが120
μmとなるように調整した。
【0059】こうして得られた高分子フィルムの片面に
耐溶剤性保護層(ア)となるコーティング組成物をコー
ティングし、60℃30秒乾燥後、強度160wの高圧
水銀ランプで積算光量700mJ/cm2の紫外線を照
射し、厚みが4μmとなるように形成した。なお、耐溶
剤性保護層(ア)となるコーティング組成物は、BPE
F−A:390重量部、UA:110重量部、希釈溶剤
としてトルエン:1150重量部、光開始剤としてチバ
ガイギー社製イルガキュア184:15重量部、レベリ
ング剤として東レ・ダウコーニング社製SH28PA:
0.18重量部を順次加えて均一になるまで攪拌したも
のを使用した。
【0060】次いで、耐溶剤性保護層(ア)と反対の高
分子フィルム基板上に、スパッタリング法により厚さ3
50オングストロームのSiO2からなるガスバリア層
を形成した。
【0061】さらに、SiO2からなる該ガスバリア層
の上に、ガスバリア性を有する耐溶剤性保護層(イ)を
形成するため、以下のように調整した。
【0062】まず、EVOH:100重量部を、水:7
20重量部、n−プロパノール:1080重量部の混合
溶媒に加熱溶解させ、均一液を得た。この溶液にレベリ
ング剤として東レ・ダウコーニング社製SH28PA:
0.1重量部、酢酸:39重量部を加えた後、ECHE
TMOS:211重量部を加え10分間攪拌した。更に
この溶液にAPTMOS:77重量部を加えて3時間攪
拌しコーティング組成物を得た。このコーティング組成
物をSiO2からなるガスバリア層上にコーティング
し、130℃3分間熱処理を行い厚みが2μmの耐溶剤
性保護層(イ)を形成した。以上の工程を経て、ディス
プレイ用透明フィルム基板を得た。
【0063】こうして得たディスプレイ用透明フィルム
基板は、表1に示すとおり視認性に優れ、ディスプレイ
用途に好適なフィルム基板であった。
【0064】[実施例2]実施例1記載のディスプレイ
用透明フィルム基板の耐溶剤性保護層(ア)の上に、I
TOをスパッタリング法によって120nmの厚さで形
成し、透明導電性高分子基板を得た。
【0065】さらに得られた透明導電性高分子基板を前
述の方法で液晶パネルに加工した。
【0066】出来上がった透明導電性高分子基板は、表
1に示す通りディスプレイ用途として良好な特性を示し
た。
【0067】[実施例3]ビスフェノール成分がBis
A/BCF=50/50(モル比)でTgが211℃のポ
リカーボネート共重合体からなる厚みが120μmの基
板であることと、耐溶剤性保護層(ア)に用いるコーテ
ィング組成物2種をそれぞれBPEF−A:460重量
部、UA:40重量部へ変更したこと以外は実施例1と
同様にして透明導電性高分子基板を作製した。
【0068】出来上がった透明導電性高分子基板は、表
1に示す通りディスプレイ用途として良好な特性を示し
た。
【0069】[実施例4]ビスフェノール成分がBis
A=100(モル%)でTgが155℃のポリカーボネー
トからなる厚みが120μmの基板であることと、耐溶
剤性保護層(ア)に用いるコーティング組成物2種をそ
れぞれBPEF−A:304.5重量部、UA:19
5.5重量部へ変更したこと以外は実施例1と同様にし
て透明導電性高分子基板を作製した。
【0070】出来上がった透明導電性高分子基板は、表
1に示す通りディスプレイ用途として良好な特性を示し
た。
【0071】[実施例5]ビスフェノール成分がBis
A=42モル%と3,3,5−トリメチル−1,1−ジ
(4−フェノール)シクロヘキシリデン=58モル%の
ポリカーボネート共重合体(バイエル社製APEC−H
T9371、Tg=205℃)で厚みが120μmの基
板を用いたことと、耐溶剤性保護層(ア)に用いるコー
ティング組成物2種をそれぞれBPEF−A:205重
量部、UA:295重量部へ変更したこと以外は実施例
1と同様にして透明導電性高分子基板を作製した。
【0072】出来上がった透明導電性高分子基板は、表
1に示す通りディスプレイ用途として良好な特性を示し
た。
【0073】[比較例1]実施例2における耐溶剤性保
護層(ア)に用いるコーティング組成物のBPFE−A
をDCP−A:375重量部、UAを125重量部に変
更した以外は、実施例2と同様にして透明導電性高分子
基板を作製した。
【0074】出来上がった透明導電性高分子基板は表1
に示す通り、全光線透過率やヘーズには優れるが、干渉
斑が生じることによって視認性の悪い透明導電性高分子
基板であった。また液晶ディスプレイも、わずかではあ
るが干渉斑が見られた。
【0075】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 87:00 G02B 1/10 Z (72)発明者 齋藤 徳顕 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 (72)発明者 原 寛 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 (72)発明者 谷田部 俊明 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 2K009 AA15 CC21 DD02 DD05 DD06 4F073 AA13 AA17 BA23 BA26 BA27 BB01 CA45 FA03 FA15 GA09 4F100 AA13B AA19B AA20B AA21B AA33D AK01A AK01C AK17C AK21 AK25 AK45A AL05A AL05C AR00B AR00D BA03 BA04 BA10A BA10B BA10D GB41 JB07C JB12C JB13C JB14C JD02B JG01D JK09 JN01A JN01D JN18 JN30 YY00A YY00C

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全光線透過率が80%以上である高分子
    フィルムの少なくとも片面に、ガスバリア層と、硬化性
    樹脂からなり膜厚が0.01μmから20μmである耐
    溶剤性保護層とを有し、該耐溶剤性保護層は該高分子フ
    ィルムと接しており、かつ該耐溶剤性保護層の屈折率を
    1、該高分子フィルムの屈折率をn2としたとき、下記
    式(a)を満たすディスプレイ用透明フィルム基板。 │n2−n1│≦0.02 (a) (上記式中、屈折率n1及びn2は25℃、ナトリウムD
    線の波長589nmに対する屈折率である)
  2. 【請求項2】 該耐溶剤性保護層は、分子構造中にフル
    オレン骨格を有するモノマーを含むコーティング組成物
    を該高分子フィルムの少なくとも片面に塗布し、ついで
    活性エネルギー線照射および/または熱により生成した
    硬化性樹脂からなるものである、請求項1記載のディス
    プレイ用透明フィルム基板。
  3. 【請求項3】 該耐溶剤性保護層は、屈折率の異なる少
    なくとも2種類のモノマーを含むコーティング組成物を
    該高分子フィルムの少なくとも片面に塗布し、ついで活
    性エネルギー線照射および/または熱により生成した硬
    化性樹脂からなるものである、請求項1または2記載の
    ディスプレイ用透明フィルム基板。
  4. 【請求項4】 該モノマーが、下記式(b) 【化1】 [上記式(b)においてR1〜R2はそれぞれ独立に炭素
    数2〜6の2価の炭化水素基であり、R3〜R10はそれ
    ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6
    の1価の炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも
    一種の基である。]で表される化合物であり、かつ該耐
    溶剤性保護層が活性エネルギー線照射により硬化したも
    のである請求項2または3記載のディスプレイ用透明フ
    ィルム基板。
  5. 【請求項5】 該高分子フィルムが下記式(c) 【化2】 [上記式(c)において、R11〜R18はそれぞれ独立に
    水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素
    基から選ばれる少なくとも一種の基である。]で表され
    る繰り返し単位と、下記式(d) 【化3】 [上記式(d)において、R19〜R26はそれぞれ独立に
    水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素
    基から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化水素基であ
    る。]で表される繰り返し単位とからなるポリカーボネ
    ートから主としてなり、かつ上記式(c)で表される繰
    り返し単位が全体の0〜90モル%である請求項1から
    4のいずれかに記載のディスプレイ用透明フィルム基
    板。
  6. 【請求項6】 ガスバリア層が、珪素、アルミニウム、
    マグネシウム及びチタンからなる群から選ばれる少なく
    とも1種の酸化物および/または窒化物を含む層であ
    る、請求項1から5のいずれかに記載のディスプレイ用
    透明フィルム基板。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のディス
    プレイ用透明フィルム基板の少なくとも一方の面に透明
    導電層を有する透明導電性高分子基板。
  8. 【請求項8】 透明導電層がインジウム酸化物を主成分
    とし、錫及び亜鉛から選ばれた1種以上の酸化物を含む
    請求項7記載の透明導電性高分子基板。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載のディス
    プレイ用透明フィルム基板または請求項7または8に記
    載の透明導電性高分子基板を使用してなる表示素子また
    は電子機器。
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