JP4037144B2 - 表示体用透明フィルム - Google Patents

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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示体用透明フィルムに関する。さらに詳しくは、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子、電気泳動型、サーマルリライタブル型、PDLC方式、カイラルネマチック液晶、エレクトロクロミック方式、ツイストボール型、トナー表示方式などを利用した各種表示体に使用される透明な高分子フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子や有機EL表示素子、デジタルペーパー等の各種表示体について、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性フィルムを表示体の電極基板として用いる検討が続けられている。しかしながら、ガラス基板の替わりにプラスチックフィルムを使用する場合、成型時の歪みに起因する光学的等方性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、ガスバリア性を補う必要がある。
【0003】
従って、例えば液晶表示素子用途では、特開昭59−158015号公報、特開平7−246661号公報に記載されているように、光学等方性、耐熱性、寸法安定性に優れるプラスチックフィルムを支持体に、耐薬品性に優れるコーティング膜、気体透過性が小さいコーティング膜、そして透明導電層を積層したものが用いられている。
【0004】
しかしながら、このような従来の高分子フィルムを用いて作成した表示体では、各種コーティング層と支持体であるプラスチックフィルムとの屈折率差およびコーティング層の膜厚斑に起因する色むらがあり、また外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを生じるため、十分な表示品位が得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みなされたもので、優れた光学等方性と耐熱性を有し、高温加熱後の寸法変化が極めて少なく、さらにはコーティング層と支持体のフィルムの屈折率差に起因する色むらが少なく、外光の映り込みが十分に防止され、耐傷性にも優れた表示体用透明フィルムを提供することを主要な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持体としての高分子フィルムとして特定の分子構造を有するポリカーボネートからなる耐熱性、光学等方性、高温加熱後の寸法変化が極めて少ないプラスチックフィルムを用い、該フィルムの一方の最外層にフィルムよりも屈折率が小さく表面粗さRaが30nmよりも大きく耐傷性に優れるコーティング層を形成し、他方の面の最外層には屈折率が該フィルムとほぼ等しい耐薬品性に優れるコーティング層を形成した透明フィルムが、表示品位に極めて優れたディスプレイ用の透明フィルムとして有望であることを見いだし本発明に至った。
【0007】
即ち本発明は、次のとおりである。
1. 高分子フィルム(F)の一方の面(A面)及び他方の面(B面)に少なくとも一層のコーティング膜をそれぞれ形成した透明フィルムであって、前記高分子フィルム(F)は、フルオレン骨格を有する構成単位を主成分または共重合成分とするポリカーボネートからなり、前記A面側に形成されたコーティング膜(A1)は、シロキサン系樹脂およびシリコーン樹脂微粒子を主成分とし、前記B面側に形成されたコーティング膜(B1)は、フルオレン骨格を有する架橋樹脂を主成分とし、前記コーティング膜(A1)の最表面は中心線平均粗さ(Ra(A))が30nm〜1μmであり、前記コーティング膜(B1)の最表面は中心線平均粗さ(Ra(B))が30nm以下であって、前記コーティング膜(A1)の屈折率をnA1、前記高分子フィルムの屈折率をnF、前記コーティング膜(B1)の屈折率をnB1としたとき、下記式(1)、(2)を満足することを特徴とする表示体用透明フィルム。
nA1<nF かつ nA1<nB1 (1)
nF−0.02<nB1<nF+0.02 (2)
【0008】
2. 前記コーティング膜(A1)の最表面の波長400nmから780nmの光に対する5°正反射率の最小値(a)が、7%以下であり、かつ、前記コーティング膜(B1)の最表面の波長400nmから780nmの光に対する5°正反射率の最小値(b)よりも小さく、前記最小値(a)に対応する光の波長から−40nmの範囲の光に対する5°正反射率の標準偏差σ(a)が0.3%よりも小さいものである上記1の表示体用透明フィルム。
【0011】
. 高分子フィルム(F)が、下記式(5)
【0012】
【化3】
Figure 0004037144
【0013】
[上記式(5)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種である。]
で表される繰り返し単位と、下記式(6)
【0014】
【化4】
Figure 0004037144
【0015】
[上記式(6)において、R〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化水素基である。]
で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートから主としてなり、かつ上記式(5)で表される繰り返し単位が全体の10〜90モル%である上記1または2の表示体用透明フィルム。
【0018】
前記コーティング膜(A1)が、微粒子含有層(P)、高屈折率層(H)、低屈折率層(L)の順番で複数積層され、前記微粒子含有層(P)と前記高屈折率層(H)、前記高屈折率層(H)と前記低屈折率層(L)が接するようにして構成されてなり、かつ、前記高屈折率層(H)、前記低屈折率層(L)の屈折率をnH、nLとし膜厚をdH、dLとしたとき、下記式(7)〜(10)を同時に満足する上記1〜の表示体用透明フィルム。
nL<1.5 (7)
nH≧1.5 (8)
90(nm)<nLdL<180(nm) (9)
90(nm)<nHdH<360(nm) (10)
【0019】
記高屈折率層(H)がTi、Zr及びInから選ばれる少なくともひとつの酸化物を主成分とするコーティング層であり、前記低屈折率層(L)が珪素と酸素を主成分とするコーティング層である上の表示体用透明フィルム。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる高分子フィルム(F)は、透明性及び耐熱性に優れ、低吸水性、水蒸気バリア性及び優れた光学等方性を兼備するだけでなく、高温加熱後の寸法変化が極めて少ないものが好ましく用いられる。
【0021】
耐熱性は、170℃以上、好ましくは190℃以上のガラス転移温度を持ち、光学特性が良好で、溶液製膜ができるものがより好ましい。低吸水性は、表示体の高温高湿環境下での耐久性を確保する点で重要である。ここで低吸水性とは、ASTM D570に準拠した方法で測定した水中24時間後の吸水率が0.4%以下、好ましくは0.2%以下である。
【0022】
また上記高分子フィルムは、水蒸気バリア性に優れていることが重要であり、40℃90%RHにおける水蒸気透過係数が50g・100μm/m2/day以下、好ましくは35g・100μm/m2/day以下であるようなものを選択する。このような高い水蒸気バリア性を有することにより、液晶パネルや有機ELパネル等の基板として用いた際に、水の影響による素子の劣化を抑制することができる。
さらに、光学等方性については下記式(A)及び(B)
|R(550)|≦20(nm) (A)
K=|[nz−(nx+ny)/2]×d|≦100(nm) (B)
を満たすことが好ましい。上記式(A)において、R(550)は波長550nmの光に対するフィルムの面内リターデーション値であり、上記式(B)において、nx、ny、nzはフィルムの厚み方向をz軸としたx軸、y軸、z軸方向の波長550nmの光に対する三次元屈折率であり、dはフィルム厚さである。
【0023】
また、高分子フィルムのリターデーション値は、光が厚さdのフィルムを透過したときフィルム面内の配向方向とそれに垂直な方向の屈折率の差△nとフィルムの厚さdの積△n・d(nm)で表される。なお、この位相差は角度でも表現でき、角度で表現した位相差R1とnmを単位とした位相差R2の換算式はR1(度)=(R2(nm)/λ)×360で表される(λは位相差の測定波長)。
【0024】
本発明における高分子フィルムは、非常に高い耐熱性を有し、高温加熱後の寸法変化が極めて少なく、150℃2時間熱処理した後の高分子フィルムの寸法変化率が0.05%以下であり、表示品位に優れる表示体を提供するものである。寸法変化率は、流れ方向における180℃2時間熱処理した後の寸法変化率が0.1%以下であることがより好ましい。
【0025】
上記高分子フィルムを与える材料としては熱可塑性ポリマーが好適である。該熱可塑性ポリマーとしては特に制限はないが、耐熱性、溶液流延法による製膜性、透明性、取り扱い性、ガスバリア性、機械特性等のバランスが良好であるポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートが好ましいものとして挙げられる。
これらのポリマーは、下記式(X)
【0026】
【化5】
Figure 0004037144
【0027】
で表されるフルオレン骨格を有する構成単位を主成分または共重合成分とするものが、特に上記特性が良好で、特にガスバリア性に優れる。これらの構成単位は2種類以上含まれていてもよい。上記式において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基等のアリール基などの炭化水素基から選ばれる少なくとも一種の基である。
【0028】
ここで、上記式Xを該高分子中に導入するために用いるモノマーの具体的な例として、フルオレン9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)が挙げられる。これらは共重合成分としてポリマー全体の10〜90モル%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜80モル%である。10モル%よりも少ない場合は、後述の十分な優れた等方性、耐熱性が得られず、高温加熱前後の寸法変化も大きくなり、90モル%よりも多いと光線透過率が低下しフィルムが脆くなるので好ましくない。
特に、上記高分子フィルムを構成するポリマー材料として、下記式(5)
【0029】
【化6】
Figure 0004037144
【0030】
で表される繰り返し単位と、下記式(6)
【0031】
【化7】
Figure 0004037144
【0032】
で表される繰り返し単位とを共重合成分とし、上記式(1)で表される繰り返し単位が全体の10〜90モル%であるポリカーボネート共重合体が好ましい。
【0033】
上記式(5)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種である。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の1価のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0034】
上記式(6)において、R9〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれ、Xは炭素数1〜15のアルキレン基等の炭化水素基である。Xの具体例としては、メチレン、1,1−エチレン、2,2−プロピレン、2,2−ブチレン、2,2−(4−メチル)ペンチレン、1,1−シクロへキシレン、1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロへキシレン、ノルボルナン−2,2−ジイル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8,8’−ジイル、フェニルメチレン、ジフェニルメチレン、1,1−(1−フェニル)エチレン、2,2−ヘキサフルオロプロピレン、2,2−(1,1,3,3−テトラフルオロ−1,3−ジクロロ)プロピレン等が挙げられる。
【0035】
特に好ましいポリカーボネートとしては、フルオレン9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)から誘導された上記式(5)で表される繰り返し単位(上記式(5)において、R1〜R8は水素原子(ただし、R2とR3の一方がメチル基であり、R5とR8の一方がメチル基)であるものに対応)と、Xが2,2−プロピレンであり、R9〜R16がすべて水素原子である上記式(6)で表される繰り返し単位とを共重合成分とするポリカーボネートである。ここで、上記式(5)で表される繰り返し単位は全体の10〜90モル%が好ましく、さらには30〜80モル%が好ましい。上記式(6)で表される繰り返し単位を10モル%以上にすることで、ガラス転移温度が170℃以上となり優れた耐熱性が得られ、吸水率ならびに水蒸気透過度が小さい。また、鉛筆硬度等で評価できる表面硬度も格段に向上し、特に高温加熱後の寸法変化が極めて少なくなるため表示体用基板として好ましい特性を示すようになる。さらに、上記式(5)で表される繰り返し単位が多くなるにつれて、フィルムの光学等方性が高くなり、30モル%よりも大きいポリカーボネートを用いた場合、前記のリターデーション値R(550)が10nm以下のものが得られる。さらに、上記式(5)で表される繰り返し単位を50モル%以上含むポリカーボネートを用いてフィルムを成形した場合、後述する溶液流延法でフィルムを成形すると、上記式(A)ならびに(B)を同時に満足することができ、さらに180℃2時間熱処理した後のフィルム寸法変化率が極めて少ない高分子フィルムが得られる。
【0036】
また、本発明における高分子フィルムを構成するポリマー材料として挙げられるポリエステル及びポリエステルカーボネートにおける酸成分としては、炭酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸を用いることができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
【0037】
なお、上記ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートは二種類以上混合して用いてもよい。
【0038】
これら上記のポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートの分子量は、数平均分子量で30,000〜300,000が好ましい。分子量が大きなポリマーほど機械特性ならびに耐熱性が向上するが、大きすぎると成形が難しくなる。
【0039】
一般に、フィルムの成形方法には、溶融押出し製膜法と溶液流延製膜法が挙げられるが、上記式(A)及び(B)を満足するような光学等方性に優れた本発明に用いる高分子フィルムを得るのに好適な成形方法は、溶液流延法である。溶液流延法は生産性においては溶融押出し法に劣るが、ダイライン、ゲル化物、フィッシュアイ等の欠点が少なく表面平滑性も溶融押出し法に比較し遥かに優れている。また、溶液流延法では溶融押出しでは溶融粘度が高すぎたり着色しやすかったり成形が不可能な高分子量の樹脂でも、用いる溶媒に可溶であれば成形が可能であることから、機械特性ならびに耐熱性に優れたフィルムが得られる。また、溶液流延法では、ダイの特性、キャスティングベルトの状況、乾燥条件およびフィルム張力と搬送条件等を調整することにより、フィルムの三次元屈折率を制御できる。上記式(A)ならびに(B)を満足させるためには、成形工程内のフィルムが含有する溶媒量と乾燥温度ならびにフィルムに加わる張力の調整が特に重要である。フィルムが含有する溶媒量によりフィルムの見かけ上とTgが決まるが、乾燥温度は見かけ上のTg以下に設定することが好ましい。また、フィルムに加わる張力は、例えばロール巻き取り方式により成形を行う場合は、フィルム搬送方向の張力が大きくなる傾向があるが、フィルム搬送方向と垂直方向にも張力を加えることができる装置を用い、両張力に出来るだけ差が生じない条件でかつ張力を出来る限り抑えて成形することも有効である。
【0040】
溶液流延法では、フィルム中に製膜に使用した溶媒が残存する場合がある。残留溶媒はフィルムを可塑化させ、ガラス転移温度の低下および機械特性の低下などをもたらす。このため本発明における高分子フィルムにおいては、残留溶媒は完全に除去することが好ましく、1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下にすることが好ましい。なお、フィルムに可塑化剤または界面活性剤等を添加する場合は、これらの残存量は溶媒残存量に含めない。
【0041】
上記高分子フィルムの厚さは、各種表示体に加工された時の表示品位と、基板を成形する工程での取り扱いやすさと、表示体組立て工程での取り扱いやすさ、さらには溶液流延製膜時の製膜効率の観点から、20〜500μm、好ましくは50〜400μm、さらには好ましくは70〜300μmである。
【0042】
また、上記高分子フィルムのA面及び/又はB面の最外層に透明導電層からなる電極を設けて液晶表示体用電極として使用する場合、液晶セルのギャップ斑が表示品位を劣化させるため、フィルムの厚み斑を±5%以下にすることが好ましく、さらには±2.5%以下にするのが好ましい。
【0043】
本発明の表示体用透明フィルムは、上記の高分子フィルム(F)のA,B両面にコーティング膜(A1)及び(B1)をそれぞれ一層またはニ層以上形成したフィルムである。ここで、一方の面(A面)の最外層(最表面)は中心線平均粗さ(Ra(A))が30nm〜1μmであり、かつ、コーティング膜(A1)の屈折率をnA1、該高分子フィルムの屈折率をnF、該コーティング膜(B1)の屈折率をnB1とすると、F,A1,及びB1は下記式(1)
nA1<nF かつ nA1<nB1 (1)
の関係を満たすので、これにより、例えば5°正反射率で評価した場合の、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを小さくすることができる。かかる中心線平均粗さ(Ra(A))は、好ましくは30nm〜0.3μmである。30nmよりも小さいと像の映り込みを十分に抑えることが難しく、0.3μmよりも大きいとディスプレイの解像度が低下するので好ましくない。
【0044】
ここで、コーティング膜(A1)は、耐傷性に優れ、また表示体パネル組立て時の溶剤や化学薬品に対する耐久性を十分に有するものであり、種々の架橋樹脂、例えばポリシロキサン系樹脂の架橋構造体、アクリル系樹脂の架橋構造体、エポキシ系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂等の架橋構造体から主として構成され、かつ、該コーティング層中には微粒子を含有する。該微粒子としては、例えば、シリコーン、アクリル、スチレン、メラミン等を主成分とする樹脂微粒子が好ましく用いられる。該微粒子の平均粒径は1〜10μmが好ましく、さらには1〜5μmがより好ましい。粒径が小さいと、像の映り込みを抑えるのに十分な粗さの表面が形成しにくくなり、粒径が大きすぎると粒子形状が目立ち外観が悪くなる。微粒子の含有量は、前述の架橋構造体100重量部に対して1〜50重量部添加するのが好ましい。含有量が少ないと、十分な粗さの表面が形成しにくくなり、多すぎるとコーティング膜が不連続になりやすい。
【0045】
特に好ましいコーティング膜(A1)は、ポリシロキサン系樹脂の架橋構造体とシリコーン樹脂からなる微粒子を主成分とするもので、夫々の成分の屈折率が1.55以下、さらに好ましくは1.45以下のものである。コーティング膜(A1)の膜厚は、含有する微粒子の平均粒径より薄くかつ1〜10μmの範囲で形成される。
【0046】
次に、高分子フィルム(F)の上記コーティング膜(A1)が形成された面とは反対の面(B)の最表面は中心線平均粗さRa(B)が30nm以下であって、屈折率が高分子フィルム(F)とほぼ等しいコーティング膜(B1)を形成する。これにより、各種コーティング層と支持体であるプラスチックフィルムとの屈折率差およびコーティング層(B1)の膜厚斑に起因する色むらを抑制できる。該(B1)は表示体パネル組立て時の溶剤や化学薬品に対する耐久性を十分に有するものである。かかる中心線平均粗さRa(B)は、好ましくは20nm以下である。特に液晶ディスプレイ用途に本発明の透明フィルムを用いる場合、Ra(B)を20nm以下にするとセルギャップの均一性が保たれ、表示特性に優れるディスプレイが得られる。ここで、「ほぼ等しい」とは、高分子フィルム(F)の屈折率をnFとし、コーティング層(B1)の屈折率をnB1としたとき下記式(2)の条件を満足するB1が色むらを抑制するという点で好ましい。
nF−0.02<nB1<nF+0.02 (2)
【0047】
ここで、コーティング層(B1)としては、表示体パネル組立て時の溶剤や化学薬品に対する耐久性を十分に有する、ポリシロキサン系樹脂の架橋構造体、アクリル系樹脂の架橋構造体、エポキシ系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂等の架橋構造体から構成されることが好ましい。これらの架橋構造体は、紫外線や電子線等の放射線を照射することにより硬化が進行する樹脂からなるもので、具体的には分子あるいは単体構造内にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を含む樹脂が好ましく、中でも反応性の点でアクリロイル基を含むアクリル系樹脂が好ましい。これらの樹脂は単独でも、数種の樹脂を混合して用いてもかまわないが、耐溶剤性の観点から分子あるいは単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有するアクリル系樹脂を用いることが好ましい。こうした多官能アクリレート樹脂としては、例えばウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるのではない。特に好ましいコーティング膜(B1)を構成する樹脂としては、前記式(X)で表されるフルオレン骨格を有するアクリレート系樹脂が好ましい。該フルオレン骨格を有するアクリレート系樹脂は、耐熱性が良好で屈折率が高く、表面粗さが小さい耐傷性の良好なコーティング膜を形成しやすいという特徴があり、本発明の表示体用透明フィルムに好適である。この場合、特に上記式(5)および(6)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートフィルムと組み合わせて用いるのが特に好適である。
【0048】
また、コーティング層(B1)は、微粒子を実質的に含有しなくてもよいが、上記式(2)の条件を満足させる目的で、無機微粒子を含有してもよい。ここで、無機微粒子は、Si、Al、Ti、Mg、Ta、Ce、InおよびZr等から選ばれた少なくとも1種の金属あるいは2種以上の金属混合物の酸化物、フッ化物、窒化物、あるいは酸窒化物からなる粒径が100nm以下の無機微粒子が好ましい。無機微粒子の粒径が大きすぎると、無機微粒子による光散乱が架橋構造体100重量部に対して70重量部以下で添加するのが好ましい。該微粒子の添加量が多すぎると強度的に脆い膜となり、コーティング膜が不連続になる傾向がある。顕著になり表面粗さも顕著になり好ましくない。
【0049】
コーティング膜(B1)の好ましい膜厚は1〜10μmの範囲であり、より好ましくは1〜5μmの範囲である。
【0050】
なお、コーティング膜(A1)ならびに(B1)の形成方法としては、公知の塗工法および硬化法を用いることができる。
【0051】
以上のように、透明高分子フィルム(F)の一方の面にコーティング膜(A1)を形成し、他方の面にコーティング膜(B1)を形成することにより、(A)の波長400nmから780nmの光に対する5°正反射率の最小値(a)が、7%以下でかつ(B)の波長400nmから780nmの光に対する5°正反射率の最小値(b)よりも小さくなり、さらには(a)に対応する光の波長から−40nmの範囲の光に対する5°正反射率の標準偏差σ(a)が0.3%よりも小さくなり、色むらが少なくて外光の映り込みが十分に防止され耐傷性にも優れた表示体用透明フィルムが得られる。
【0052】
ここで、耐傷性は、市販の微小硬度計で硬さや塑性変形率を測定することにより評価できる。例えば、(株)エリオニクス社製のENT−1100においては、測定条件は最大荷重0.49mN、データ取り込みステップ1.96μN、データ取り込み間隔40msec、最大荷重到達時荷重保持時間1sec、使用圧子は先端素材がダイヤモンドである三角錐(115°)、各荷重につき5回連続測定を行なった時の平均値にて、本発明の表示体用透明高分子フィルムの硬さと塑性変形率を測定した場合、下記式[I]で与えられる硬さが18以上であり、塑性変形率は、下記式[II]で与えられる塑性変形率は50%以下である。
硬さ=3.7926×10-2×最大荷重/(最大変位量)2 [I]
(硬さ:kg/mm2、最大荷重:mg、最大変位量:μm)
塑性変形率=除荷後変位量/最大変位量×100 [II]
(塑性変形率:%、除荷後変位量:μm、最大変位量:μm)
【0053】
本発明の表示体用高分子フィルムは、上記のように良好な耐傷性を有することから、例えばHSC(ヒートシールコネクター)やACF(異方導電性フィルム)を用いてプリント配線基板と接続した際に、極めて良好な接続信頼性を確保することができる。また、特に本発明の表示体用高分子フィルムを液晶に応用した際には、液晶パネル内部に配したスペーサーに基板が変形する量がすくなくなり、斑の少ない均一な表示特性の液晶パネルを得ることが可能となる。
【0054】
さらに、本発明の好ましい態様として、本発明の表示体用透明フィルムは前記高分子フィルム(F)のA面側にコーティング層(A1)として、微粒子含有層(P)、高屈折率層(H)、低屈折率層(L)の順番で複数のコーティング膜を積層するものを含む。この場合、A1の最表面は低屈折率層(L)となる。このような構成により、A面の最表面(L)の5°正反射率がいっそう低く、外光の映り込みが十分に防止された表示体用透明フィルムを得ることができる。ここで、高屈折率層(H)ならびに低屈折率層(L)の屈折率をnH、nLとし膜厚をdH、dLとした場合、下記式(7)〜(10)を同時に満足されるように(H)ならびに(L)を形成する。
nL<1.5 ・・・(7)
nH≧1.5 ・・・(8)
90(nm)<nLdL<180(nm)・・・(9)
90(nm)<nHdH<360(nm)・・・(10)
【0055】
該微粒子含有層(P)としては前記のコーティング層(A1)を構成するものと同じものを用いることができるが、この場合(P)の屈折率は1.5以上でnHよりも低いコーティング層を形成すると外光の映り込みをいっそう小さくできるので好ましい。高屈折率層(H)を構成する材料としては、例えばTi、Ce、Zr、In、Al及びSiから選ばれる少なくともひとつの酸化物を主成分としてなるコーティング層が好ましく、特にTi、ZrまたはInの酸化物がより好ましい。低屈折率層(L)を構成する材料としては、珪素と酸素が主成分であるコーティング層が好ましく、さらにはフッ素またはフッ化マグネシウムを含むシロキサン系樹脂を主成分とするコーティング層が好ましい。
【0056】
また、本発明の表示体用高分子フィルムは、水蒸気透過係数が小さく高い水蒸気バリア性を有するが、必要に応じて、該高分子フィルムの少なくとも片面に、ガスバリア層、ならびに、透明導電層等を形成することができる。ガスバリア層、透明導電層は、いずれも該高分子フィルムとコーティング膜(A1),(B1)との間にあってもよく、(A1),(B1)の外層(つまり最表面)にあってもよい。
【0057】
かかるガスバリア層の例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系重合体、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリアクリロニトリル系共重合体、あるいはポリビニリデンクロリド等の公知の高分子コーティング材料と、Si、Al、Ti、MgおよびZr等から選ばれた少なくとも1種の金属あるいは2種以上の金属混合物の酸化物、フッ化物、窒化物あるいは酸窒化物の無機材料が挙げられる。なかでも、Siの酸化物、窒化物、酸窒化物を主成分とする無機材料が透明性とガスバリア性に優れ好ましい。また、珪素と酸素が主成分である酸化ケイ素、あるいは珪素と酸素が主成分であり、少なくともフッ素、マグネシウムを含有し、かつ珪素とフッ素が化学結合している薄膜が、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、膜応力が少ないという点で好ましい。ここで、珪素原子に対する酸素原子の割合は1.5以上2未満が好ましい。この割合により薄膜の透明性とガスバリア性が二律背反性の関係で変化し、1.5未満では表示体用途で要求される透明性が得られないことがある。さらに、フッ素原子は珪素ならびにマグネシウムと化学結合しており、フッ素原子と珪素原子の結合(A)とフッ素原子とマグネシウムの結合(B)の割合が(A)>(B)であることが好ましく、かつガスバリア層中に含まれるマグネシウムの比率は、共存する珪素に対し元素比で2.5〜20atom%の範囲が好ましい。このような割合にすることで、良好なガスバリア性、透明性は勿論のこと、特に膜応力を小さくできると推定され、したがって、ガスバリア層の膜厚を厚くしても表示体用透明高分子フィルムの変形が少なくできる。ガスバリア膜中に存在するフッ素元素の化学結合状態は、例えばX線光電子分光法により分析、決定される。X線光電子分光法において、X線源にAlのKα線を用い、中性炭素C1sの284.6eVで横軸を補正した際、フッ素の化学結合状態は、687eV近傍に観測されるフッ素と珪素の結合に由来するF1sピーク(A)とこれより約1.5eV低結合エネルギー側に観測されるフッ素とマグネシウムの結合に由来するF1sピーク(B)の存在ならびに、これらの強度比により決定される。
【0058】
ガスバリア層の作成方法としては、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法が挙げられる。これらのガスバリア層は単独あるいは二種類以上組み合わせて、目標とする性能が発現できる厚さに設定して用いる。特に、無機薄膜材料をガスバリア層として用いる場合の膜厚は、2nm〜1μmの範囲が好ましい。ガスバリア層の厚みが2nm未満では均一に膜を形成することは困難であり、膜が形成されない部分が発生するため気体透過度が大きくなる。一方、1μmよりも厚くなると透明性を欠くだけでなく、基板を屈曲させた際に、ガスバリア層にクラックが発生して気体透過度が上昇する。
【0059】
これらのガスバリア層は単独あるいは二種類以上組み合わせて、目標とする性能が発現できる厚さに設定して用いる。
【0060】
また、ガスバリア層は前記のコーティング膜(A1)と高分子フィルム(F)との間、コーティング膜(B1)と高分子フィルム(F)との間もしくはコーティング層(B1)の上に形成される。
【0061】
透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。なかでも、インジウム酸化物を主成分とし、酸化錫及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた1種以上の酸化物を含むことを特徴とし、酸化錫が2〜20重量%及び/または酸化亜鉛が2〜20重量%含有する透明導電層が透明性、導電性が優れており好ましく用いられる。また、本発明のフィルムを有機ELに用いる場合、透明導電層の仕事関数を制御して発光効率を向上させる目的で、インジウム酸化物を主成分とし、酸化錫及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた1種以上の酸化物を含む膜に、さらに錫、亜鉛以外の元素を添加してもよい。
【0062】
透明導電層を形成する方法は、主にスパッタリング法が使用され、直流スパッタリング法、高周波マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法などが適用できるが、生産性の観点から、マグネトロンスパッタ法が好ましい。透明導電層の膜厚は、十分な導電性を得るために、10〜1000nmであることが好ましい。本発明の表示体用透明高分子フィルムは、可視光領域に対する全光線透過率が80%以上であることが好ましく、さらには85%以上が好ましい。80%未満では、視認性の低下を招く等の問題が生じることがある。
【0063】
また、透明導電層は前記のコーティング層(B1)が形成された側の面に形成されることが好ましく、(B1)の上に接して設けられることがより好ましい。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体となる高分子フィルムとして特定の分子構造を有するポリカーボネートフィルムを用い、該フィルムの一方の面上にフィルムよりも屈折率が小さく表面粗さRaが30nmよりも大きく耐傷性に優れるコーティング層を形成し、他方の面上に屈折率が該フィルムとほぼ等しい耐薬品性に優れるコーティング層を形成することにより、優れた光学等方性と耐熱性を有し、高温加熱後の寸法変化が極めて少なく耐傷性にも優れ、さらには色むらが少なく外光の映り込みが十分に防止された表示体用透明フィルムを提供することができる。
【0065】
かかるフィルムは、例えば、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子、電気泳動型、サーマルリライタブル型、PDLC方式、カイラルネマチック液晶、エレクトロクロミック方式、ツイストボール型、トナー表示方式などを利用した表示体用の透明基板として好適である。
【0066】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
【0067】
(1)表面粗さRa:日本真空技術(株)製 表面粗さ計 DEKTAK3を用いて測定を行った。
【0068】
(2)5°正反射率:(株)日立製作所製 U−4000形分光光度計を用いて測定を行った。
【0069】
(3)屈折率:(株)アタゴ製 屈折計 2−Tを用いて測定を行った。測定時における温度は25℃、光源はナトリウムランプのD線589nmを用いて行った。コート層はガラス上にコーティングを行い、剥離したものを用いて測定した。
【0070】
(4)硬さ測定:(株)エリオニクス社製の超微小硬度測定装置、ENT−1100を用いて薄膜の硬さを測定した。測定条件は最大荷重0.49mN、データ取り込みステップ1.96μN、データ取り込み間隔40msec、最大荷重到達時荷重保持時間1sec、使用圧子は先端部がダイヤモンドからなる三角錐(115°)、各荷重につき5回連続測定を行なった時の平均であり、硬さは、下記式[I]で与えられる値である。
硬さ=3.7926×10-2×最大荷重/(最大変位量)2 [I]
(硬さ:kg/mm2、最大荷重:mg、最大変位量:μm)
【0071】
(5)塑性変形率測定:塑性変形率は上記硬さ測定と同一、同様の測定によって得られる除荷後変位量と、最大変位量から下記式[II]で与えられる値である。
塑性変形率=除荷後変位量/最大変位量×100 [II]
(塑性変形率:%、除荷後変位量:μm、最大変位量:μm)
なお、後掲の化合物名は以下の略号を用いた。
BisA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
BCF:9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン
IP:3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン
ITO:インジウム−スズ酸化物
ECHETMOS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
APTMOS:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
EVOH:エチレンビニルアルコール共重合体
BPEFA:ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート
DCPA:ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートDCP−A」)
UA:ウレタンアクリレート(新中村化学製「NKオリゴU−15HA」)
【0072】
[実施例1]
ビスフェノール成分がBisA/BCF=50/50(モル比)からなる平均分子量37,000でTgが211℃のポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに20重量%になるように溶解した。そしてこの溶液をダイコーティング法により厚さ175μmのポリエステルフィルム上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度が13重量%になるまで乾燥し、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、得られたポリカーボネートフィルムを温度180℃の乾燥炉で縦横の張力にできるだけ差が生じないように、かつフィルムを保持しうる最小限の張力でバランスさせながら、該フィルム中の残留溶媒濃度が0.3重量%になるまで乾燥させ厚み120μmの透明高分子フィルムを得た。こうして得られた透明高分子フィルムは、R(550)が5nm、180℃2hr熱処理後の寸法変化率が0.03%、屈折率は1.62であった。
【0073】
次に、攪拌機、加温ジャケット、コンデンサーおよび温度計を取付けたフラスコ中に、エタノール70部、メチルトリメトキシシラン68部、水9部および1%塩酸水溶液1.8部を投入し、攪拌しながら65℃の温度で約5時間かけて部分加水分解反応を行い、冷却後、粒径3μmで屈折率1.43のシリコーン微粒子を4重量部とトルエン20部を加えることによりコーティング液(AC1)を得た。この(AC1)を前述のポリカーボネートフィルムの片面上にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、厚みが1.8μmのコーティング膜(A1)を形成した。(A1)の屈折率は1.43であり、中心線平均粗さ(Ra(A))が100nmであった。
【0074】
さらに、BPEF−Aを460重量部、UAを40重量部、希釈溶剤としてトルエンを1150重量部、光開始剤としてチバガイギー社製イルガキュア184を15重量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング社製SH28PAを0.18重量部混合し、コーティング液(BC1)を得た。この(BC1)を前記ポリカーボネートフィルム上の(A)を形成した側と反対の面上にコーティングし、60℃30秒乾燥後、強度160wの高圧水銀ランプで積算光量700mJ/cm2の紫外線を照射し、厚みが4μmのコーティング膜(B1)を形成した。(B1)の屈折率は1.62であり、中心線平均粗さ(Ra(B))は10nmであった。
【0075】
こうして得られた、表示体用透明フィルムの評価結果は表1にしめすように良好であった。すなわち、(A1)の屈折率は高分子フィルムF及び(B1)より小さく、Ra(A)>30nm>Ra(B)なので外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みが少ない透明フィルムが得られた。また、(B1)の屈折率が高分子フィルムFと等しく、正反射率の標準偏差σ(a)<0.3であり、コーティング層の膜厚斑に起因する色むらがなかった。さらに表面硬度、塑性変形率についてもそれぞれ23kg/mm2以上、41%以下であり優れていた。
【0076】
[実施例2]
EVOH100部を、水720部、n−プロパノール1080部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」)を0.1部、酢酸39部加えた後、ECHETMOS211部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液にAPTMOS77部を加えて3時間撹拌した後、粒径3μmで屈折率1.43のシリコーン微粒子を12重量部加え、さらに1時間撹拌することによりコーティング液(PC1)を得た。この(PC1)を、実施例1と同じポリカーボネートフィルムの片面上にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、厚みが1.8μmの微粒子(粒径3μm)含有層(P)を形成した。(P)の屈折率は1.52であり、中心線平均粗さ(Ra(A))が120nmであった。
【0077】
次いで、テトラブトキシチタネートを1部、オクタンを12部、2−ブタノールを12部、2−プロパノールを12部混合してコーティング液(HC1)を得た。この(HC1)を、上記(P)の面上にコーティングし130℃3分熱処理を行い、厚みが78nmの高屈折率層(H)を形成した。(H)の屈折率は1.78であった。
【0078】
さらに、攪拌機、加温ジャケット、コンデンサーおよび温度計を取付けたフラスコ中に、エタノール70部、メチルトリメトキシシラン68部、水9部および1%塩酸水溶液1.8部を投入し、攪拌しながら65℃の温度で約5時間かけて部分加水分解反応を行い、冷却後、トルエン20部を加えることによりコーティング液(LC1)を得た。この(LC1)を上記(H)の面上にコーティングし130℃3分熱処理を行い、厚みが97nmの低屈折率層(L)を形成した。(L)の屈折率は1.42であった。
【0079】
つづいて、実施例1と同様にして、これら(P)、(H)および(L)を形成した側と反対の面上に(B1)を形成した。
【0080】
こうして得られた、表示体用透明フィルムの評価結果は表1にしめすように良好であった。
【0081】
[比較例1]
コーティング液(AC1)に粒径3μmのシリコーン微粒子を用いない以外は、実施例1と同様にして表示体用透明フィルムを得た。得られたフィルムは、(A)面側の中心線平均粗さ(Ra(A))が12nmであり、像の映り込みが激しかった。
【0082】
[比較例2]
コーティング液(BC1)に替えて、DCPAを20重量部、UAを10重量部、1−メトキシ−2−プロパノールを30重量部、開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2重量部を混合して得たコーティング組成物(BC2)を用いてコーティング膜(B2)を形成した以外は、実施例1と同様にして表示体用透明フィルムを得た。(B2)の屈折率は、1.54で、中心線平均粗さは15nmであった。得られたフィルムは、色むらが激しかった。
【0083】
【表1】
Figure 0004037144
【0084】
※(a)は波長400nm〜780nmの光に対する面(A)の5°正反射率の最小値、(b)は波長400nm〜780nmの光に対する面(B)の5°正反射率の最小値、σ(a)は(a)に対応する光の波長から−40nmの範囲の光に対する5°正反射率の標準偏差。

Claims (5)

  1. 高分子フィルム(F)の一方の面(A面)及び他方の面(B面)に少なくとも一層のコーティング膜をそれぞれ形成した透明フィルムであって、
    前記高分子フィルム(F)は、フルオレン骨格を有する構成単位を主成分または共重合成分とするポリカーボネートからなり、
    前記A面側に形成されたコーティング膜(A1)は、シロキサン系樹脂およびシリコーン樹脂微粒子を主成分とし、
    前記B面側に形成されたコーティング膜(B1)は、フルオレン骨格を有する架橋樹脂を主成分とし、
    前記コーティング膜(A1)の最表面は中心線平均粗さ(Ra(A))が30nm〜1μmであり、
    前記コーティング膜(B1)の最表面は中心線平均粗さ(Ra(B))が30nm以下であって、
    前記コーティング膜(A1)の屈折率をnA1、前記高分子フィルムの屈折率をnF、前記コーティング膜(B1)の屈折率をnB1としたとき、下記式(1)、(2)を満足することを特徴とする表示体用透明フィルム。
    nA1<nF かつ nA1<nB1 (1)
    nF−0.02<nB1<nF+0.02 (2)
  2. 前記コーティング膜(A1)の最表面の波長400nmから780nmの光に対する5°正反射率の最小値(a)が、7%以下であり、かつ、前記コーティング膜(B1)の最表面の波長400nmから780nmの光に対する5°正反射率の最小値(b)よりも小さく、
    前記最小値(a)に対応する光の波長から−40nmの範囲の光に対する5°正反射率の標準偏差σ(a)が0.3%よりも小さいものである請求項1記載の表示体用透明フィルム。
  3. 前記高分子フィルム(F)が、下記式(5)
    Figure 0004037144
    [上記式(5)において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種である。]
    で表される繰り返し単位と、下記式(6)
    Figure 0004037144
    [上記式(6)において、R〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化水素基である。]
    で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートから主としてなり、かつ上記式(5)で表される繰り返し単位が全体の10〜90モル%である請求項1または2に記載の表示体用透明フィルム。
  4. 前記コーティング膜(A1)が、微粒子含有層(P)、高屈折率層(H)、低屈折率層(L)の順番で複数積層され、
    前記微粒子含有層(P)と前記高屈折率層(H)、前記高屈折率層(H)と前記低屈折率層(L)が接するようにして構成されてなり、かつ
    前記高屈折率層(H)、前記低屈折率層(L)の屈折率をnH、nLとし膜厚をdH、dLとしたとき、下記式(7)〜(10)を同時に満足する請求項1〜のいずれかに記載の表示体用透明フィルム。
    nL<1.5 (7)
    nH≧1.5 (8)
    90(nm)<nLdL<180(nm) (9)
    90(nm)<nHdH<360(nm) (10)
  5. 記高屈折率層(H)がTi、Zr及びInから選ばれる少なくともひとつの酸化物を主成分とするコーティング層であり、
    前記低屈折率層(L)が珪素と酸素を主成分とするコーティング層である請求項記載の表示体用透明フィルム。
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