JP2005255990A - フィルム及び該フィルムを用いた画像表示装置 - Google Patents

フィルム及び該フィルムを用いた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高温で各種機能層を設置可能な耐熱性を有し、かつ光学特性及び力学特性にも優れたフィルム、該フィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置の提供。
【解決手段】 一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレートを含有するフィルム。
【化1】
Figure 2005255990

一般式(1)中、Xは下記構造で表されるナフタレン又はビフェニル構造を有する連結基を表し、Aは下記一般式(2)で表される連結基を表す。
【化2】
Figure 2005255990

【化3】
Figure 2005255990

一般式(2)中、R1,R2は、それぞれアルキル基及びアリール基のいずれかを表し、j、kは0〜4のいずれかの整数を表す。j、kが2以上である場合、R1どうし及び/又はR2どうしは同一であっても異なっていてもよい。但し、j、kが2以上であり、芳香族環の−O−で表わされる酸素原子に対する一方のオルト位のR1及び/又はR2がフェニル基である場合には、他方のオルト位は水素原子である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた耐熱性、光学特性及び力学特性を有するフィルム、並びに優れた表示品位を有する前記フィルムを用いた画像表示装置に関する。
近年、液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置においてその要望が特に高い。
ガラス基板の代替としてプラスチック基板を用いる場合、プラスチック基板には導電性が必要とされる。そこで、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、又は錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を表示素子の電極基板として用いることが検討されている。
この目的に使用されるプラスチックとしては、耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)に透明導電層、ガスバリア層を積層したものが知られている。
しかしこのような耐熱性プラスチックを用いてもプラスチック基板として十分な耐熱性が得られなかった。すなわち、これらの耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板に導電層を形成させた後、配向膜などを付与するため150℃以上の温度に晒した場合、導電性とガスバリア性が大きく低下するという問題があった。また、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、更なる耐熱性が要求される。
特許文献4には、SiH4を含むガスをプラズマ分解することにより300℃より低い温度で多結晶シリコン膜を形成する方法が記載されている。また、特許文献5には、エネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンが混合された半導体層を形成する方法が記載されている。また、特許文献6には、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射してプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法が記載されている。このように300℃より低い温度でTFT用多結晶シリコン膜を形成する方法は種々提案されているが、プロセスや製造装置が複雑であり、高コストになるという問題があったため、フラットパネルディスプレイ分野でプラスチック基板を用いるためには、300〜350℃以上の耐熱性が要求される。
特許文献7には、脂肪族テトラカルボン酸無水物から誘導されるポリイミドフィルムを用いた薄膜トランジスタ基板が記載されている。特許文献7の実施例に記載されているポリイミドフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が315℃、全光線透過率が85%と、耐熱性及び透明性に優れている。しかるに、原料となる脂肪族テトラカルボン酸無水物が高価であり、高沸点溶媒を用いた高温での製膜が必要である等、製造上好ましくない。
特許文献8及び特許文献9には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下ビスフェノールフルオレンとも称する)とイソフタル酸及びテレフタル酸から誘導されるポリアリレートフィルムに関する記載がある。また特許文献10には、アルキル置換されたビスフェノールフルオレンとイソフタル酸及びテレフタル酸から誘導されるポリアリレートフィルムに関する記載がある。これらのアルキル置換又は無置換のビスフェノールフルオレンとイソフタル酸及びテレフタル酸から誘導されるポリアリレートは、安価な原料から合成可能であり、かつTg300℃付近以上であり、ジクロロメタン、シクロヘキサノンなどの低沸点溶剤を用いて透明性、破断伸びに優れた柔軟なフィルムが作製される。しかしながら、プラスチック基板に求められる力学特性の要求に対しては必ずしも十分とはいえなかった。
特許文献11には、フェノールのオルト位をハロゲン等で置換されたビスフェノールフルオレンから誘導されるポリアリレートフィルムの記載がある。特許文献11の実施例によると、オルトジブロモ及びジクロロ置換されたビスフェノールフルオレンと、イソフタル酸及びテレフタル酸とから誘導されるポリアリレートフィルムは、低沸点溶剤であるジクロロメタンを用いて製膜されており、かつ優れた耐熱性を有しているため好ましい。しかしながら、前記ポリアリレートフィルムを用いて導電膜、半導体膜等を設置する場合、高温下にさらされるため、ハロゲンイオンが発生し導電膜、半導体膜の電気特性を低下させる懸念がある。
上記のようにビスフェノールフルオレン誘導体とイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリアリレートを用いたフィルムは、ジクロロメタンなどの低沸点溶剤を用いて容易に製膜可能であり、かつ透明性、破断伸びに優れ、Tg300℃付近以上の優れた耐熱性を有する。しかしながら、上記ポリアリレートフィルムは、ハロゲンフリーで更なる耐熱性向上、力学特性の要求に対しては必ずしも十分ではなかった。
特許文献12には、ビスフェノールフルオレン誘導体とナフタレンジカルボン酸から誘導されるポリアリレートを用いた電子写真感光体に関する記載がある。しかし、このポリアリレートは、電荷輸送層の結着樹脂として耐磨耗性、耐久性を意図したものであり、フィルムへの応用を示唆するものではない。
特開2000−227603号公報(請求項7、[0009]〜[0019]) 特開2000−284717号公報([0010]、[0021]〜[0027]) 特開2001−150584号公報([0027]〜[0039]) 特開平7−81919号公報(請求項3、[0016]〜[0020]) 特表平10−512104号公報(第14〜22頁、図1、図7) 特開平11−102867号公報(請求項1〜10、[0036]) 特開2003−168800号公報([0021]) 特開昭57−192432号公報(請求項1、第8頁実施例6の表) 特開平3−28222号公報(請求項1) WO99/18141号公報(請求項9〜12) 特開2002−145998号公報(請求項1〜8、実施例) 特開2000−131858号公報(請求項1〜7)
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、高温で各種機能層を設置可能な耐熱性を有し、かつ光学特性及び力学特性にも優れたフィルムを提供することにある。
さらに本発明のもう一つの目的は、前記フィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、ポリアリレートの構造に着目して耐熱性、光学特性及び力学特性につき鋭意検討した結果、所定の構造を有するポリアリレートからなるフィルムが耐熱性、光学特性及び力学特性の条件を全て満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
(1)一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレートを含有するフィルム。
Figure 2005255990
一般式(1)中、Xは下記構造で表されるナフタレン又はビフェニル構造を有する連結基を表し、Aは一般式(2)で表される連結基を表す。
Figure 2005255990
Figure 2005255990
一般式(2)中、R1,R2は、それぞれアルキル基及びアリール基のいずれかを表し、j、kは0〜4のいずれかの整数を表す。j、kが2以上である場合、R1、R2同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。但し、j、kが2以上であり、芳香族環の−O−で表わされる酸素原子に対する一方のオルト位のR1及び/又はR2がフェニル基である場合には、他方のオルト位は水素原子である。
(2)一般式(1)で表される繰り返し単位を複数種有する(1)に記載のフィルム。
(3)前記ポリアリレートのガラス転移温度が300℃以上である(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4)全光線透過率が80%以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5)少なくとも片面にガスバリア層が積層されていることを特徴とする(1)〜(4)に記載のフィルム。
(6)少なくとも片面に透明導電層が積層されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルムを用いた画像表示装置。
本発明のフィルムは、上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリアリレートからなる。これにより、本発明のフィルムによれば、優れた耐熱性、光学特性及び力学特性が得られる。また、ガスバリア層及び/又は透明導電層を有する場合、本発明のフィルムによれば、高温処理した場合であっても良好なガスバリア性及び導電性が得られる。
また、本発明の画像表示素子によれば、前記フィルムを基板として用いているため、表示品位に優れた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイを提供できる。
以下、本発明のフィルム及び該フィルムを用いた画像表示素子について説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
[フィルム]
本発明のフィルムは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート(以下本発明のポリアリレートとも称する)を含有するフィルムである。
Figure 2005255990
一般式(1)中、Xは下記構造で表されるナフタレン又はビフェニル構造を有する連結基を表し、Aは下記一般式(2)で表される連結基を表す。
Figure 2005255990
Figure 2005255990
一般式(2)中、R1,R2は、それぞれアルキル基及びアリール基のいずれかを表し、j、kは0〜4の整数を表す。j、kが2以上である場合、R1どうし及び/又はR2どうしは同一であっても異なっていてもよい。
1、R2の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基及びフェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも一種であり、特に好ましくはメチル基である。
但し、j、kが2以上であり、一般式(2)の芳香族環の−O−で表わされる酸素原子に対する一方のオルト位のR1及び/又はR2がフェニル基である場合には、他方のオルト位は水素原子である。
一般式(2)で表される連結基の好ましい例をビスフェノールの態様で以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005255990
上記で挙げた一般式(2)で表される連結基のうち耐熱性の観点からはA−1、A−2及びA−3のいずれかであることが特に好ましい。
本発明で用いるポリアリレートは、耐熱性及び透明性の観点から一般式(1)で表される繰り返し単位を複数種有することが好ましい。例えば、上記A−1〜A−14で示される構造を有する連結基から選ばれる2種以上を任意の割合で重合させたものが挙げられる。
また、本発明で用いるポリアリレートは、耐熱性を損なわない範囲で2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸以外のジカルボン酸を共重合させることも好ましい。共重合可能なジカルボン酸の好ましい例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸などが挙げられる。この中でもテルフタル酸が耐熱性に優れ、特に好ましい。また、耐熱性と透明性を損なわない範囲で種々公知のビスフェノール化合物を共重合してもよい。
本発明で用いるポリアリレートの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるガラス転移温度を目安にすることができる。この場合、好ましいガラス転移温度は250℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好ましくは330℃以上である。また、測定範囲内(例えば400℃以下)で実質的にガラス転移温度が観測されない場合も本発明のポリアリレートに含まれる。
本発明で用いるポリアリレートの好ましい分子量は、重量平均分子量で10,000〜500,000、より好ましくは20,000〜300,000、特に好ましくは、30,000〜200,000である。分子量が10,000未満であると、フィルム成形が難しく、かつ力学特性が低下する場合がある。一方、分子量が500,000を超えると、合成上分子量をコントロールすることが難しく、溶液の粘度が高すぎて取扱いが難しくなる場合がある。なお、分子量は対応する粘度を目安にすることもできる。
本発明で用いるポリアリレートのカルボキシル価は、300μmol/g以下であることが好ましく、100μmol/g以下であることがより好ましく、30μmol/g以下であることがさら好ましく、10μmol/g以下であることが特に好ましい。カルボキシル価が300μ/molを超える場合、耐アーク放電性や誘電率など電気特性に悪影響を与えたり、溶剤に溶解して調製したポリマー溶液の保存安定性にも悪影響したり、溶液キャスト法により得られるキャストフィルムの表面特性に悪影響を与える場合がある。ポリアリレートのカルボキシル価は、電位差滴定装置を利用した中和滴定など公知の方法で測定できる。
本発明で用いるポリアリレート中の残留アルカリ金属量及びハロゲン量は、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることが特に好ましい。残留アルカリ金属量及びハロゲン量が50ppmを超える場合、上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合がある。ポリアリレート中の残留アルカリ金属量及びハロゲン量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法、プラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量できる。
また、本発明で用いるポリアリレート中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒の量は、200ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがさらに好ましい。残留する触媒量が200ppm以上であると、上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合がある。ポリアリレート中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒はHPLC、ガスクロマトグラフ法などを利用して定量できる。
さらに本発明で用いるポリアリレート中に残留するフェノールモノマー及びジカルボン酸量は3000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、100ppmであることがさらに好ましい。残留するフェノールモノマー及びジカルボン酸量が3000ppmを超えると、上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合がある。より具体的には、例えば、フィルム上に透明導電膜を形成する際に、成膜時の加熱やプラズマの影響等が原因で、残留するフェノールモノマーやカルボン酸成分等のガスを発生させたり、熱分解等が生じることにより、透明導電膜中に結晶粒塊が生じたり、また「抜け」と呼ばれるようなコーティングされない部分が生じ、透明導電膜の低抵抗化が阻害されるなどの悪影響を及ぼす場合があり、本発明では残留するフェノールモノマー及びジカルボン酸量を3000ppm以下にすることが好ましい。ポリアリレート及びそのフィルム中に残留するフェノールモノマー及びジカルボン酸量は、HPLCや核磁気共鳴法など公知の方法で分析できる。
本発明で用いられるポリアリレート中に含まれる一般式(1)で示される繰り返し単位のモル百分率は、5〜100モル%であることが好ましく、10〜100モル%であることがより好ましく、20〜100モル%であることがさらに好ましい。
次に、一般式(1)で表わされるポリアリレートの合成方法について説明する。
前記ポリアリレートは、無置換のビスフェノールフルオレン又はアルキル基若しくはアリール基で置換されたビスフェノールフルオレンと、2,6−ナフタレンジカルボン酸又は4,4’−ビフェニルジカルボン酸とを重縮合させて得ることができる。
重縮合方法としては、脱酢酸による溶融重縮合法、脱フェノールによる溶融重縮合法、ジカルボン酸化合物を酸クロライドとして有機塩基を用いポリマーが可溶となる有機溶媒系で行う脱塩酸均一重合法、ジカルボン酸化合物を酸クロライドとしてアルカリ水溶液と水非混和性有機溶媒の2相系で行う界面重縮合法などいずれの公知の方法を用いることができる。前記ポリアリレートのTgが300℃以上である場合、溶融重縮合による重合は困難であるが、例えば、特開平7−188405号公報に記載されているような高沸点可塑剤を併用することにより、300℃程度の温度で重合することもできる。
本発明で用いるポリアリレートを合成する場合、界面重縮合法で重合することが簡便で好ましい。しかし、典型的な公知の界面重縮合方法は、ビスフェノールAとテレフタル酸、イソフタル酸を用いる方法に代表されるように、ビスフェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解し、さらにジカルボン酸クロライドを水非混和性有機溶媒(代表的にはジクロロメタンなど)に溶解して短時間で混合する方法が採られている。これに対し、本発明では、ビスフェノール化合物のアルカリ水溶液に対する溶解度が低い場合がある。また、本発明では、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドが水非混和性有機溶媒に対する溶解度が低く、公知の方法では上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレートを合成できない場合がある。そこで、本発明では、あらかじめ水、水非混和性有機溶媒、ビスフェノール化合物及びジカルボン酸クロライドをスラリー状混合撹拌しておき、高濃度のアルカリ水溶液を徐々に添加していく方法が高分子量化に有効である。この方法の詳細については合成例を挙げて後述する。
本発明で用いるポリアリレートの分子量を調整する方法としては、上記した製造方法によらず、重合時に一官能物質を添加して行うことができる。ここでいう分子量調整剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどの一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどの一価酸クロライド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの一価のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などの一価のカルボン酸などが挙げられる。
以下、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレートの好ましい例をビスフェノールとジカルボン酸単位で示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、上記で例示したビスフェノール化合物はその番号で表し、2,6−ナフタレンジカルボン酸をX−1と表し、4,4’−ビフェニルジカルボン酸をX−2と表す。また、複数のビスフェノール化合物、ジカルボン酸化合物を用いる場合はそれぞれのモル比率も付記する。
Figure 2005255990
次に本発明のポリアリレートの合成例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(合成例1)化合物P−1の合成
JFEケミカル(株)製BPFL(商品名)をアセトニトリルで2回再結晶を行い、70℃、3時間の加熱真空乾燥を行うことによりHPLC純度99.9%以上のA−1を得た(但し、アセトニトリル8.6質量%を含有)。
得られたアセトニトリル8.6質量%を含有するA−1の253.03g(660mmol)と、テトラブチルアンモニウムクロライド9.171g(33mmol)、ジクロロメタン2805ml、及び水2475mlとを攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中で300rpmの攪拌速度で撹拌した。30分後、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド167.03g(660mmol)を粉体のまま投入し、330mlのジクロロメタンで洗い流した。10分後、2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液693mlを水132mlで希釈した液を、滴下装置を用いて1時間かけて滴下し、終了後水165mlで洗い流した。次いで、3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン1Lを添加して有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水6.6mlを水2.5Lで希釈した溶液を添加して有機相を洗浄した。さらに水2.5Lで2回洗浄した後、分離した有機相にジクロロメタン1Lを添加して希釈した後、激しく撹拌した25Lのメタノール中に1時間かけて投入した。
得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥した後、70℃減圧下で3時間乾燥し、化合物P−1を302g得た。
得られた化合物P−1の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量170,000であった。また、DSCで測定したTgは369℃であった。
(合成例2)分子量の異なる化合物P−1の合成
合成例1で得られた、アセトニトリル8.6質量%を含有するA−1の247.97g(646.8mmol)と、テトラブチルアンモニウムクロライド9.171g(33mmol)、ジクロロメタン2805ml及び水2475mlとを、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中で300rpmの攪拌速度で撹拌した。30分後、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド167.03g(660mmol)を粉体のまま投入し、330mlのジクロロメタンで洗い流した。10分後、p−tert−ブチルフェノール3.966g(26.4mmol)を2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液693mlに溶解し、次いで水132mlで希釈した液を、滴下装置を用いて1時間かけて滴下し、終了後165mlの水で洗浄した。次いで、3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン1Lを添加して有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水6.6mlを水2.5Lで希釈した溶液を添加して有機相を洗浄した。さらに水2.5Lで2回洗浄を行った後、分離した有機相にジクロロメタン1Lを添加し、希釈した後、激しく撹拌した25Lのメタノール中に1時間かけて投入した。メタノール中、得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥した後、70℃減圧下で3時間加熱乾燥し、化合物P−1を314g得た。
得られた化合物P−1の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量51000であった。また、DSCで測定したTgは345℃であった。
(合成例3)化合物P−16の合成
特開平8−253437号公報の実施例1に記載された方法に基づき、A−1とA−14の混合物を得た。該混合物からA−14をカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/2体積比)により分取した。
上記で得られたA−14の7.632g(21.8mmol)と、合成例1で得られた8.6質量%のアセトニトリルを含有するA−1の244.68g(638.2mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド9.171g(33mmol)、ジクロロメタン2805ml、及び水2475mlとを攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中で300rpmの攪拌速度で撹拌した。30分後、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド167.03g(660mmol)を粉体のまま投入し、330mlのジクロロメタンで洗い流した。10分後、滴下装置を用いて2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液693mlを水132mlで希釈した液を1時間かけて滴下し、終了後165mlの水で洗い流した。その後、3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン1Lを添加し、有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水6.6mlを水2.5Lで希釈した溶液を添加し、有機相を洗浄した。さらに水2.5Lで2回洗浄を行った後、分離した有機相にジクロロメタン1Lを添加し、希釈した後、激しく撹拌した25Lのメタノール中に1時間かけて投入した。メタノール中、得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥後、70℃減圧下で3時間加熱乾燥し、化合物P−16を308g得た。
得られた化合物P−16の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量258000であった。また、DSCで測定したTgは361℃であった。
次に、上記ポリアリレートをフィルムに成形する方法について説明する。
本発明で用いられるポリアリレートをフィルム状又はシート形状に成形する方法としては、公知の方法を用いることができるが、溶液流延法が好ましい方法として挙げられる。溶液流延法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、米国特許2367603号、米国特許2492078号、米国特許2492977号、米国特許2492978号、米国特許2607704号、米国特許2739069号、米国特許2739070号、英国特許640731号、英国特許736892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。
溶液流延法で製造する場合に用いられる製造装置の例としては、例えば、特開2002−189126号公報の段落[0061]〜[0068]に記載の製造装置、図1及び図2などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない
溶液流延法では、上記ポリアリレートを溶媒に溶解する。使用する溶媒は本発明に用いるポリアリレートを溶解できるものであればいずれの溶媒を用いてもよい。特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が200℃以下であれば、溶媒を充分乾燥でき、フィルム中おける溶媒の残存率を低くできる。また、本発明で用いるポリアリレートの溶解性を損なわない範囲で貧溶媒を混合することもでき、この場合、溶液流延後の剥ぎ取りや乾燥速度の観点で有利になる場合がある。
上記溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよく、乾燥性と溶解性の両立の観点からむしろ混合溶媒が好ましい。また、混合溶媒とすることで、本発明のフィルムの透明性を向上させることができる場合もあり好ましい。
混合溶媒の例としては、塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを1種ないし数種混合した溶媒が挙げられる。この場合、アルコールの含有量は、溶媒全体に対して5〜20質量%であることが好ましい。さらに、炭素数3〜12のエーテル、ケトン及びエステルの適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この際、炭素数1〜5のアルコールを1種ないし数種混合してもよい。
また、発明協会公開技報2001−1745号、段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
溶液流延で用いる溶液中のポリアリレート濃度は、5〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%であることが望ましい。ポリアリレートの濃度が5〜60質量%であれば、適度な粘度が得られ、フィルムの厚みの調整が容易であり、かつ製膜性が良好であるため、ムラを小さくすることができる。また、溶液流延前に必要に応じて濾過することにより、本発明のフィルムの透過率やフィルム内の不純物を低減させることもできる。
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板又はロール上に流延できる。
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が10%以下になる、より好ましくは5%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階として平板又はロールからフィルムを剥がし、60℃以上、樹脂のガラス転移温度以下の範囲で乾燥する。
平板又はロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、一旦冷却してから剥がしてもよい。
本発明のフィルムは、加熱乾燥が不足すれば残留溶媒量が多く、また極度に加熱しすぎるとポリアリレートの熱分解を引き起こし、残留するフェノールモノマー量が多くなる。さらに急激な加熱乾燥は含有溶媒の急速な気化を生じ、フィルムに気泡等の欠陥を生じさせる。
そこで、本発明のフィルムは、残留する溶媒量を好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下とする。残留する溶媒量が2000ppmを超えると、フィルム表面の特性が悪化し表面処理等に悪影響を及ぼしたり、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こしたりする場合がある。本発明のフィルム中に残留する溶媒量は、ガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量できる。
本発明のフィルムの製造は、回転ドラム又はバンド上への溶液流延、剥ぎ取り及び乾燥を連続的に行い、ロール状に巻取ることにより行なう方法が好ましい。この際、フィルムを機械的に搬送するときに、フィルムの力学強度が高いことが好ましい。好ましい力学強度は、搬送装置によって異なるため一概に言えないが、目安としてフィルムの引張試験から得られる破断応力と破断伸度とを用いることができる。好ましい破断応力は、50MPa以上、より好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上である。破断伸度は、サンプル作製条件等によっても変動するため、破断応力よりは信頼性がやや低いが、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。
本発明のフィルムは延伸されていてもよい。延伸により耐折強度など機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下ORSと略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。ORSは、延伸フィルム又は延伸シートに内在する延伸により生じた内部応力である。
延伸は、公知の方法が使用できるが、本発明のポリアリレートが300℃以上のガラス転移温度を有する場合、単なる加熱のみでの延伸は難しいものとなるため、溶媒を含んだ状態での延伸が可能である。この場合、乾燥途中過程で延伸を行うことが好ましく、例えば溶媒を含んだ状態のガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度から、50℃高い温度の間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は好ましくは1.1〜3.5倍、より好ましくは1.2〜2.5倍が用いられる。
本発明のフィルムは、上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリアリレートを1種類だけを含有していてもよく、さらに2種類以上を含有していてもよい。また本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリアリレート以外のポリマーを含んでいてもよい。また、耐溶剤性、耐熱性、力学強度などの観点から架橋樹脂を添加してもよい。
架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。但し、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
Figure 2005255990
放射線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、カチオン硬化性樹脂に大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
本発明のフィルムは、上記に挙げた熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のそれぞれ複数種を混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂を併用してもよい。また、架橋性樹脂と架橋性基を有さないポリマーと混合して用いてもよい。添加量は、上記ポリアリレート100質量部対して架橋樹脂(熱硬化性樹脂又は放射線硬化樹脂)5〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがさらに好ましい。
さらに本発明のフィルムで用いる上記ポリアリレートは架橋性基を導入することも可能であり、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、上記で挙げた汎用の架橋性樹脂を併用せずに架橋することができる。
本発明のフィルムには、金属の酸化物及び/又は金属の複合酸化物、及びゾルゲル反応により得た金属酸化物を含有することができる。この場合、上記で挙げた架橋樹脂と同様に耐熱性、耐溶剤性を付与できる。
本発明のフィルムは、無機層状化合物を含有させることもできる。本発明のフィルムに無機層状化合物を添加することにより、熱変形温度が2〜100℃改善される。また、無機層状化合物を含有する樹脂組成物を使用した場合、本発明のフィルムをガスバリア性フィルムとしての使用可能性も期待できる。ここで使用される無機層状化合物は、特に限定されるものではないが、膨潤性及び/又は劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物及びその類似化合物を好適に用いることができる。
本発明のフィルムは、その他、必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、及び潤滑剤などの各種添加剤(樹脂改質剤)を添加してもよい。また、本発明のフィルムを基板として用いる場合には、剥離フィルムや粘着材を付加することもできる。
本発明のフィルムの厚みは特に規定されないが、30〜700μmであることが好ましく、40〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。また、いずれの場合もヘイズは3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また、本発明のフィルムの全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。
本発明のフィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるガラス転移温度を目安にすることができる。この場合、好ましいガラス転移温度は250℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好ましくは330℃以上である。
なお、本発明のフィルムを前記ポリアリレートのみを用いて溶液流延法により作製した場合、乾燥が十分であれば、用いたポリアリレートのTgとフィルムのTgの差はほとんどなく、測定誤差範囲内である。
本発明のフィルムの表面には用途に応じて他の層、又は部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行うことができる。さらに、フィルム表面に接着層、アンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
本発明のフィルムは、透明導電層を形成することができる。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15重量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、例えば、特許第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号の各公報に記載された方法で成膜することができる。
中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Paであり、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のようにフィルムの表面処理を行うことが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得た透明導電層の膜厚は、20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。また、透明導電層の25℃60%RH(relative humidity)で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、0.1〜100Ω/□であることがより好ましく、0.5〜60Ω/□であることがさらに好ましい。また、透明導電層の光透過性は80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムは、ガス透過性を抑制するために、ガスバリア層を形成することができる。好ましいガスバリア層としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属を主成分とする金属酸化物膜、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物膜又はこれらの混合物からなる膜を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物膜が良好である。これら無機ガスバリア層は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点からは、スパッタリング法を用いることが好ましい。また透明導電層を形成している間に50〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得た無機ガスバリア層の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。またガスバリア層は、透明導電層と同じ側及び反対側いずれに形成してもよい。
得られたフィルムのガスバリア性能は、40℃100%RHで測定した水蒸気透過度が0〜5g/m2・dayであることが好ましく、0〜1g/m2・dayであることがより好ましく、0〜0.5g/m2・dayであることがさらに好ましい。また、40℃90%RHで測定した酸素透過度は、0〜1ml/m2・day・atm(0〜1×105ml/m2・day・Pa)であることが好ましく、0〜0.7ml/m2・day・atm(0〜7×104ml/m2・day・Pa)であることがより好ましく、0〜0.5ml/m2・day・atm(0〜5×104ml/m2・day・Pa)であることがさらに好ましい。ガスバリア性能が上記範囲内であれば、例えば有機ELやLCDに用いた場合、水蒸気及び酸素による素子の劣化を実質的になくすことができるため好ましい。
ガスバリア性能を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を形成することが好ましい。欠陥補償層としては、例えば、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層、(2)米国特許第6413645号明細書、第64163645号明細書に記載の有機物層を用いることができる。これらの欠陥補償層は、真空下で蒸着後、紫外線又は電子線で硬化させる方法、または塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させることにより作製することができる。欠陥補償層を塗布方式で作製する場合には、従来の種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
[画像表示装置]
本発明のフィルムは、必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置としては特に限定されず、従来知られているものを用いることができる。本発明のフィルムは、薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板などの画像表示装置に応用できる。TFTアレイの作製方法は、例えば、特表平10−512104号公報に記載された方法等を用いることができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
また、本発明のフィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明のポリアリレート、プラスチックフィルム基板及びフィルムは、フラットパネルディスプレイ以外にも太陽電池、タッチパネルなどの用途にも応用が可能である。太陽電池は、特開平9−148606号公報、特開平11−288745号公報、新しい有機太陽電池のオールプラスチック化への課題と対応策(2004年、技術情報協会出版)などに記載のものに応用できる。タッチパネルは、例えば、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
本発明のフィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために非晶性ポリマーであることが好ましい。また、複屈折が小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは15nm以下である。本発明のポリアリレートのみを用いて複屈折の小さいフィルムを得るためには、溶液流延時の溶媒および乾燥条件を適宜調節することで可能となる。また、必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。また、本発明のフィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
一方、光学異方性をコントロールすることで、本発明のフィルムを位相差板として用いることもできる。この場合、必ずしも複屈折が小さい必要はなく、所望の複屈折を有していればよい。所望の複屈折を得る方法としては、本発明のフィルムを延伸したり、複屈折を有する化合物を混合したり、塗設したり公知のあらゆる方法を用いることができる。
本発明のフィルムを反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、及び偏光膜の構成を有することが好ましい。このうち本発明のフィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、又は上配向膜と透明電極との間に形成することが好ましい。
本発明のフィルムを透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、及び偏光膜の構成を有することが好ましい。このうち本発明のフィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、又は上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置に用いることも有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置に用いても有効である。
液晶セル及び液晶表示装置は、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206)、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc.of the-18th-Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para-A(LCD/PDP International 99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号公報、特許第3022477号公報、及び国際公開WO00/65384号公報等に記載されている。
本発明のフィルムは、必要に応じてガスバリア層、TFTを設けて、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用できる。有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
本発明のフィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40V)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。これら発光素子の駆動については、例えば、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号等の各公報、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、日本特許第2784615号公報、等に記載の方法を利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[特性値の測定方法]
(1)重量平均分子量
東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用いて、テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定によりポリスチレンの分子量標準品と比較して重量平均分子量を求めた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
セイコー(株)製、DSC6200を用いて、DSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりTgを測定した。
(3)フィルムの厚さ
アンリツ(株)製、K402Bを用いて、ダイヤル式厚さゲージによりフィルムの厚さを測定した。
(4)フィルムの全光線透過率
スガ試験製、直読式ヘイズコンピューターHGM−2DPを用いてフィルムの全光線透過率を測定した。
(5)フィルムの力学特性
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作成し、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)にて測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めた(サンプルは25℃、RH60%で一晩放置後使用。チャック間距離3cm)。
[ポリマーの合成]
前述した例示化合物P−1及びP−16と、P−1の合成法と同様の方法により例示化合物P−2、P−3、P−4、P−11、P−19、P−23をそれぞれ合成した。得られた分子量とTgを表2に示す。
比較例ポリマーとして、フルオレンビスフェノール−イソフタル酸/テレフタル酸から誘導されるポリアリレート(以下「BPFL−I/T」を以下の方法により合成した。
合成例1で得られたアセトニトリルを8.6質量%含有するA−1の253.03g(660mmol)と、テトラブチルアンモニウムクロライド9.171g(33mmol)、ジクロロメタン2227ml及び水2475mlとを攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌を行った。30分後、イソフタル酸クロライド67.0g(330mmol)とテレフタル酸クロライド67.0g(330mmol)を743mlのジクロロメタンに溶解した溶液と、2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液693mlを水132mlで希釈した溶液とを同時に別々の滴下装置を用いて1時間かけて滴下し、終了後、水165ml及びジクロロメタン165mlでそれぞれ洗い流した。次いで、3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン1Lを添加し、有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水6.6mlを水2.5Lで希釈した溶液を添加し、有機相を洗浄した。さらに水2.5Lで2回洗浄を行った後、分離した有機相にジクロロメタン1Lを添加し、希釈した後、激しく撹拌した25Lのメタノール中に1時間かけて投入した。得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥した後、70℃、減圧下で3時間乾燥し、286gの比較ポリマーBPFL−I/Tを得た。
得られたBPFL−I/Tの分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量258000であった。また、DSCで測定したTgは324℃であった。
同様の方法により、ビスフェノールAとイソフタル酸/テレフタル酸(等モル)から誘導されるポリアリレート(BisA−I/T:下記化学式)と、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとイソフタル酸/テレフタル酸(等モル)から誘導されるポリアリレート(BOCFL−I/T)をそれぞれ合成した。得られたBisA−I/TとBOCFL−I/Tの分子量及びTgを表2に示す。
Figure 2005255990
[フィルム試料(試料101〜114)の作製]
上記ポリアリレート及び比較ポリマーをジクロロメタンに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解した。この溶液を5μmのフィルターを通して濾過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、室温で2時間、80℃で2時間、100℃で4時間それぞれ加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離しフィルム試料(試料101〜109及び112〜114)を得た。
また、試料110及び111は溶媒をジクロロメタン単独からジクロロメタン/アニソールの9/1(体積比)混合溶媒とすることで同様の操作で作製した。
得られたフィルム試料の膜厚、全光線透過率、破断応力、破断伸度を測定した。使用したポリマーの分子量、Tgとともに表2に結果を示す。
Figure 2005255990
表2より、本発明のフィルム(試料104〜107および109〜114)は、いずれも比較例(試料101〜103)よりTgが高く、耐熱性に優れることが分かる。本発明のフィルム試料108は比較試料102よりもTgが低いが、ビスフェノールユニットが同じである比較試料103に対してはTgが高く、耐熱性に優れることが分かる。
本発明のフィルム(試料104〜114)は、いずれも破断応力が比較例よりも高く、力学特性に優れていることが分かる。また、透明性は、試料104及び105はやや劣っていたが、溶媒種を変更することで試料110及び111のように透明性は改善され、比較例と遜色のないレベルであった。
[有機EL素子試料の作製]
(ガスバリア層の形成)
上記のフィルム試料101〜103、106、107、110及び112の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Si02をターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。
(透明導電層の形成)
ガスバリア層を設置したフィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In23 95質量%、Sn02 5質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を、片面に設けた。
(透明導電層付フィルムの加熱処理)
上記で得られた透明導電層を設置したフィルム試料をTFT設置を想定して300℃、1hの加熱処理を行った。
(有機EL素子の作製)
上記で加熱処理を行った透明導電層を形成したフィルム試料の透明電極層より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。なお、フィルム試料101から得られた透明導電層を形成したフィルム試料は、変形が激しく、有機EL素子の作製は行えなかった。また、フィルム試料102及び103から得られた透明導電層を設置したフィルム試料も若干の変形が見られたが、顕著ではなかったため、有機EL素子の作製を行った。
透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとした。
ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製): 10質量部
1−ブタノール: 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
Figure 2005255990
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料202、203、206、207、210、及び212を得た。
得られた有機EL素子試料202、203、206、207、210、及び212をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。若干変形の見られた比較試料202及び203は発光が確認できなかったが、本発明の試料206、207、210、及び212は、発光することを確認した。
上記実施例より、本発明のフィルムは、ハロゲンフリーであり、かつ耐熱性、透明性、力学特性に優れていることが明らかとなった。また、ガスバリア層、透明導電層を積層可能でTFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。
本発明のフィルムは、所定の繰り返し単位を有するポリアリレートを含有するため、優れた耐熱性、光学特性及び力学特性を兼ね備えているため、薄型トランジスタ表示素子用基板、液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどのフラットパネルディスプレイの基板として利用できる。

Claims (7)

  1. 一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレートを含有するフィルム。
    Figure 2005255990
    [一般式(1)中、Xは下記構造で表されるナフタレン又はビフェニル構造を有する連結基を表し、Aは下記一般式(2)で表される連結基を表す。]
    Figure 2005255990
    Figure 2005255990
    [一般式(2)中、R1,R2は、それぞれアルキル基及びアリール基のいずれかを表し、j、kは0〜4のいずれかの整数を表す。j、kが2以上である場合、R1どうし及び/又はR2どうしは同一であっても異なっていてもよい。但し、j、kが2以上であり、芳香族環の−O−で表わされる酸素原子に対する一方のオルト位のR1及び/又はR2がフェニル基である場合には、他方のオルト位は水素原子である。]
  2. 一般式(1)で表される繰り返し単位を複数種有する請求項1記載のフィルム。
  3. 前記ポリアリレートのガラス転移温度が300℃以上である請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 全光線透過率が80%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 少なくとも片面にガスバリア層が積層されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
  6. 少なくとも片面に透明導電層が積層されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルムを用いた画像表示装置。
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