JP2007332289A - フィルム、並びに該フィルムを用いたフレキシブルデバイスおよび画像表示装置 - Google Patents

フィルム、並びに該フィルムを用いたフレキシブルデバイスおよび画像表示装置 Download PDF

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靖也 桜井
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Abstract

【課題】フォトリソプロセス耐性に優れたフィルムを提供する。
【解決手段】1)ヘキサメチルジシラザンを0.5g/m2で表面に塗布して60℃で10分加熱した後、あるいは2)エチルセルソルブアセテートを70質量%含むポジ型ノボラック系レジスト樹脂組成物を3.3g/m2で表面に塗布後、あるいは3)テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを2.4%含む25℃の水溶液に3分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱し、あるいは4)N−メチル−2−ピロリドン40%とジメチルスルホキシド60%からなる25℃の混合溶液に5分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱し、その後25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置した際の寸法変化が±100ppm以内である、硬化樹脂層を有するフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明はフォトリソプロセス耐性に優れたフィルムおよび該フィルムを用いたフレキシブルデバイスおよび画像表示装置に関する。
近年、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という)等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置では、プラスチック基板に対する強い要望がある。
また、ガラス基板を用いたフラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイ(以下LCDとも称する)、プラズマディスプレイなど家庭用テレビとして40インチ以上の大型商品が相次いで開発されており、生産性向上の観点からより大きなガラス基板上に表示素子を組み上げる生産プロセスが用いられている。しかしながら硬くて脆いガラス基板の大型化は搬送性の問題からほぼ限界に到達していると考えられており、究極のプロセスとしてロール・トゥ・ロールプロセスを用いて連続的に生産可能なプラスチック基板が求められている。
上記のようなロール・トゥ・ロールプロセスを用いたフレキシブルデバイスの例として、富士電機システムズ株式会社からポリイミドフィルム上に形成された太陽電池(非特許文献1参照)が発売されており、軽量かつ曲げられる半導体デバイスを生産性よく製造している例として注目されている。また、プラスチックフィルム上にTFTを形成したフィルムを用いた各種センサなど、画像表示装置以外の分野でもプラスチック基板を用いたフレキシブルデバイスの検討が盛んである。
上記のようにガラス基板からプラスチック基板に置き換えることで軽い、割れにくい、曲げられる、ロール・トゥ・ロールプロセスを用いて生産可能である、といった多数のメリットが挙げられるが、プラスチック基板にはガラス基板に比べて多くの欠点もある。
まず第1に、プラスチックフィルムは一般に耐熱性がガラスに対して低い。画像表示装置や各種半導体デバイスを作製する過程で半導体や絶縁材料、電極材料を形成する場合、高温プロセスを用いることが多い。この場合、半導体材料や絶縁材料、電極材料の材料を変更して低温プロセスを用いてプラスチックフィルム上に形成する検討もなされている。一方、市販ポリイミドに近い耐熱性と透明性に優れたフィルムも知られている。特許文献1には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下「ビスフェノールフルオレン」とも称する)とイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルフィルムに関する記載がある。また特許文献2には、アルキル置換されたビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルフィルムに関する記載がある。特許文献3には、フェノールのオルト位をハロゲン等で置換したビスフェノールフルオレンから誘導されるポリエステルフィルムの記載がある。これらの置換または無置換のビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルは、いずれもガラス転移温度(Tg)が300℃付近またはそれ以上であり、透明性、破断伸びに優れた柔軟なフィルムが作製される。
第2に、プラスチックフィルムは一般にガスバリア能がガラスに対して低い。画像表示装置や各種半導体デバイスに用いられる半導体材料や電極材料は空気中の酸素や水で劣化が進む場合が多い。特許文献4によれば、プラスチック基板をディスプレイ素子用として用いるために求められる水分、酸素の透過率は、LCDの場合は、それぞれ、0.1g/m2・day以下(水分)、0.1cc/m2・day以下(酸素)でなければならない。さらに、発光物質が水分に特に弱い有機電界発光表示素子(Organic electroluminescent display device:以下OLEDとも称する)の場合は、10-4〜10-6g/m2・day以下(水分)及び10-4〜10-6cc/m2・day以下(酸素)程度の極めて低い透湿率及び透酸素率が求められる。
このようなガスバリア能の高い(ガス透過性の低い)フィルムは、有機物を主体とするプラスチックフィルムのみでは実現が困難であり、プラスチックフィルム上に金属や金属酸化物、金属窒化物などの無機皮膜を形成することで可能となる。しかしながらOLEDに使用可能なガスバリア能はプラスチックフィルム上に無機皮膜を単層で形成するだけでは難しく、複数層の無機層を積層する形態で種々検討がなされている。さらに無機層の積層のみでは、微小なクラックの生成を抑えることが困難であり、折り曲げてもクラックの発生が少ないガスバリアフィルムとして有機層と無機層を交互に積層する方法が提案されている。その例として特許文献5には、蒸着やスパッタリングなどにより真空下で製膜されることの多い無機皮膜に対してアクリル樹脂を真空下でコーティング後、紫外線硬化することで生産性を改善した有機層、無機層積層ガスバリアフィルムに関する記載がある。
第3に、プラスチックフィルムは一般に寸法安定性がガラスに対して低い。画像表示装置や各種半導体デバイスに用いられる半導体材料や絶縁材料、電極材料は、一般に基材一面に製膜された後にフォトリソプロセスと呼ばれるパターニングに供される。フォトリソプロセスは、1)レジスト樹脂と呼ばれる感光性樹脂を上記半導体材料や絶縁材料、電極材料が一面に形成された基板上に塗布する工程、2)プリベークと呼ばれるレジスト樹脂に含まれる揮発性溶剤を除去する加熱工程、3)所望のパターンにレジスト樹脂を感光させる工程、4)現像と呼ばれる所望のパターン以外のレジストを除去する工程、5)エッチングと呼ばれる所望のパターン以外の半導体材料や絶縁材料、電極材料を除去する工程、6)レジスト剥離と呼ばれる所望のパターン上に残されたレジスト樹脂を除去する工程からなる。通常、画像表示装置や各種半導体デバイスは所望のパターンの半導体層、絶縁層、電極層などを順に積層するため、上記フォトリソプロセス複数回繰り返して作製される。
上記フォトリソプロセスを複数回繰り返し行った場合に基板の寸法変化が大きいと微細な積層パターンを作製することが困難となるため、通常ガラス基板は成形後の冷却速度を低下させるなど熱的な緩和処理を行って寸法変化を小さくしてから用いられる。一方、プラスチックフィルムも熱的な緩和処理を行うことで熱的な寸法変化を小さくすることができるが、ガラスでは問題になりにくい耐薬液性や吸水性に関わる寸法変化に注意が必要となる。フォトリソプロセスでは、レジスト樹脂に含まれる有機溶剤、現像液に用いられる塩基性水溶液、レジスト剥離液に用いられるN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと称する)やジメチルスルホキシド(以下DMSOと称する)などに接触もしくは浸漬した場合においても寸法変化が少ないことが必要である。また、各工程間で複数回行われる水洗工程後の乾燥はより短時間で乾燥が終了するために十分に吸水性が低いことが求められる。
一般にプラスチックフィルムに耐薬液性を付与するためには、プラスチックフィルム表面に高度に架橋された硬化樹脂層を積層する方法が取られる。また、特許文献6などプラスチックフィルム自身を高度に架橋した硬化樹脂フィルムとする場合もあるが、プラスチックフィルムが脆く割れやすくなる傾向が高く、ロール・トゥ・ロールプロセスのような連続プロセスでの搬送は困難となる傾向がある。さらに、上記で挙げたガスバリア性を付与するための無機酸化物層や無機窒化物を積層することによっても飛躍的に耐薬液性を高めることが可能である。このような手法を用いて寸法変化を小さくしたプラスチックフィルム基板を用いた画像表示装置やフレキシブルデバイスなどが種々提案されている。
特開平3−28222号公報(特許請求の範囲) 国際公開第99/18141号パンフレット(クレーム) 特開2002−145998号公報(特許請求の範囲) 特表2005−510757〔背景技術[0005]〕 特開平10−278167(特許請求の範囲) 特開2002−80615号公報(特許請求の範囲) 「21世紀のクリーンな発電として 太陽電池(原理から応用まで)」谷辰夫 共著、パワー社(2004)
しかしながら、今後の大面積化、高精細化に伴う寸法変化抑制への影響と生産性の観点から種々検討した結果、上記公知の手法ではフォトリソプロセスを連続的に処理した場合の寸法変化が、必ずしも十分ではないことが明らかになった。これは、特に無機酸化物層、無機窒化物層をプラスチックフィルム上に積層すればフォトリソプロセス耐性は十分であるとされていた従来の考え方を覆すものである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、フォトリソプロセス耐性に優れたフィルムおよび該フィルムを用いたフレキシブルデバイスまたは画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、フォトリソプロセス耐性に優れたフィルムを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段によって達成される。
[1] 下記1)〜4)のいずれの処理を行っても処理前後の寸法変化が±100ppm以内である硬化樹脂層を有するフィルム。
1) ヘキサメチルジシラザンを0.5g/m2で表面に塗布後、60℃で10分
加熱
2) エチルセルソルブアセテートを70質量%含むポジ型ノボラック系レジスト
樹脂組成物を3.3g/m2で表面に塗布後、90℃で20分加熱し、さら
に25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
3) テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを2.4%含む25℃の水溶
液に3分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱
し、さらに25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
4) NMP40%とDMSO60%からなる25℃の混合溶液に5分間浸漬後、
40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱し、さらに25℃・
相対湿度60%の環境下に3日間放置
[2] 平衡含水率が0.6%以下である[1]に記載のフィルム。
[3] 硬化樹脂層のみからなる[1]または[2]に記載のフィルム。
[4] 熱可塑性樹脂を50質量%以上含む層の少なくとも片面に硬化樹脂層が積層された[1]または[2]に記載のフィルム。
[5] 硬化樹脂層の平衡含水率が1.0%以下である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のフィルム。
[6] 硬化樹脂層の熱変形温度が150℃以上である[1]〜[5]のいずれか一項に記載のフィルム。
[7] 硬化樹脂層が脂環構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性樹脂を硬化させてなる[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフィルム。
[8] 熱可塑性樹脂の平衡含水率が0.6%以下である[4]〜[7]のいずれか一項に記載のフィルム。
[9] 熱可塑性樹脂がポリエステルである[4]〜[8]のいずれか一項に記載のフィルム。
[10] 熱可塑性樹脂の熱変形温度が150℃以上である[4]〜[9]のいずれか一項に記載のフィルム。
[11] 熱可塑性樹脂が全芳香族ポリエステルである[4]〜[10]のいずれか一項に記載のフィルム。
[12] 熱可塑性樹脂の熱変形温度が250℃以上である[4]〜[11]のいずれか一項に記載のフィルム。
[13] 熱可塑性樹脂が下記一般式(1)で表されるスピロ構造または一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を含むポリマーである[4]〜[12]のいずれか一項に記載のフィルム。
Figure 2007332289
[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよく、2つの環αはスピロ結合によって結合している。]
Figure 2007332289
[一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよい。また、環βおよび環γは、環β上の1つの4級炭素原子によって連結される。]
[14] 熱可塑性樹脂がポリエチレンナフタレートである[4]〜[10]のいずれか一項に記載のフィルム。
[15] ポリエチレンナフタレート(PEN)または下記一般式(1)で表されるスピロ構造または一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を含むポリマーからなるフィルムの少なくとも片面に脂環構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性樹脂を硬化させてなる硬化樹脂層が積層されたフィルム。
Figure 2007332289
[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよく、2つの環αはスピロ結合によって結合している。]
Figure 2007332289
[一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよい。また、環βおよび環γは、環β上の1つの4級炭素原子によって連結される。]
[16] 波長420nmの光線透過率が80%以上である[1]〜[15]のいずれか一項に記載のフィルム。
[17] 少なくとも片面に無機酸化物層が積層された[1]〜[16]のいずれか一項に記載のフィルム。
[18] 少なくとも片面に硬化樹脂層と無機酸化物層が交互に積層された[1]〜[17]のいずれか一項に記載のフィルム。
[19] [1]〜[18]のいずれか一項に記載のフィルムを用いる画像表示装置。
[20] [1]〜[18]のいずれか一項に記載のフィルムを用いるフレキシブルデバイス。
本発明により、フォトリソプロセスを通しても寸法変化の少ないフィルムを提供することができる。さらに該フィルムを用いることで大画面高精細フレキシブルデバイスや画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明のフィルムおよび該フィルムを用いたフレキシブルデバイスまたは画像表示装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のフィルムは、上記1)〜4)のいずれの処理を行っても寸法変化が±100ppm以内のフィルムである。ここで寸法変化が±100ppm以内とは、処理前の寸法に対して処理後の寸法が+100ppm以下であって−100ppm以上であることを意味する。処理前後の寸法変化は、好ましくは±60ppm以下であり、より好ましくは±30ppm以下である。
上記1)〜4)の処理はフォトリソプロセスで行われる代表的なプロセスを示したものであり、本発明のフィルムはフォトリソプロセスにおける寸法変化が少なく、大画面高精細フレキシブルデバイスまたは画像表示装置に有用である。
なお、一般にポジ型ノボラック系レジスト樹脂組成物とは、アルカリ可溶性ノボラック型樹脂に、キノンジアジド基含有化合物、特にキノンジアジド基含有ベンゾフェノン系化合物からなる感光成分を組み合わせたポジ型ホトレジスト組成物であり、例えば、米国特許第4377631号明細書、特開昭62−35349号公報、特開平1−142548号公報、特開平1−179147号公報に記載されているものを挙げることができる。フォトリソプロセスでは、これらのポジ型ノボラック系レジスト樹脂組成物を用いることができる。
本発明のフィルムは硬化樹脂層を有するフィルムである。硬化樹脂層を有するものであれば、硬化樹脂層のみからなるものであってもよいし、熱可塑性樹脂層と硬化樹脂層とを有するものであってもよい。また、全体として熱可塑性樹脂を主体とするフィルムであってもよい。
本発明のフィルムの平衡含水率は0.6%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下である。ここでいう平衡含水率は、25℃の純水に4日間浸漬させたフィルムをカールフィッシャー法により測定した値である。
一般に硬化樹脂層を有するフィルムは、高度に架橋したり、平衡含水率を低くしたりすれば、フォトリソプロセスにおける寸法変化が小さくなる点で好ましいが、その反面、脆いフィルムとなりやすくなり、搬送が難しくなる。さらに、透明性の高い硬化樹脂フィルムとして有用な多官能アクリレートを主体とするフィルムは、アクリル酸エステル結合が現像工程におけるアルカリ加水分解耐性が低く注意を要する。
本発明のフィルムの好ましい形態は、脆く搬送性が低くてアルカリ加水分解耐性の低い硬化樹脂の構成割合を可能な限り減少させたものであり、具体的な好ましい構成を以下に詳細に記載する。
本発明のフィルムの好ましい形態は、熱可塑性樹脂を50質量%以上含む層の少なくとも片面に硬化樹脂層が積層されたフィルムである。ここでいう熱可塑性樹脂を50質量%以上含む層は、熱可塑性樹脂を50質量%以上含めばよいが、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。ここで熱可塑性樹脂以外の成分として硬化樹脂、無機材料、可塑剤、紫外線吸収剤など種々のフィルムに公知である各種添加剤を用いることができる。本発明のフィルムの硬化樹脂層は熱可塑性樹脂を50質量%以上含むフィルムの少なくとも片面に積層されており、好ましくは両面に積層されている。ここで硬化樹脂層は耐薬液性確保ために必要であり、片面に積層したフィルムを薬液に浸漬させる場合には、別途ラミネートなどを行うことで対処は可能となるが、両面に積層されていることでそのまま薬液に浸漬しても寸法変化を小さくできる。
上記で用いる硬化樹脂層の好ましい形態を以下に記載する。硬化樹脂層の平衡含水率は1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.6%以下である。また、硬化樹脂層の平衡含水率は有機概念図におけるI/O値とある程度の相間があり、目安にすることができる。好ましいI/O値は0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.4以下である(なお、I/O値は「藤田穆・赤塚政美、『系統的有機定性分析(混合物編)』、風間書房(1974)」に記載の方法で分子構造から計算が可能である)。また、硬化樹脂層の熱変形温度は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上である。ここで熱変形温度はTMA引張荷重法にて測定した値である。
また、硬化系に特に制限はないが、紫外線や電子線を用いた硬化や加熱による硬化が任意に選択可能で透明な皮膜を形成しやすいエチレン性不飽和基を有する化合物のラジカル硬化系が最も好ましい。また、紫外線による硬化させる場合にはエポキシ化合物などの開環重合系を用いても、ラジカル重合系と任意に併用してもよい。以上のように特に好ましい硬化樹脂層は平衡含水率が1.0%以下であり、熱変形温度が150℃以上であるエチレン性不飽和基を有する化合物をラジカル重合させてなる硬化樹脂層である。硬化性樹脂層を形成するエチレン性不飽和基を有する化合物は同一分子内に複数個のエチレン性不飽和基が含まれることで、硬化(架橋)可能となるが、平衡含水率を低下させるためにスチレンを混入させたり、無機層との接着性を改善させるためにアクリル酸を混入させたり、分子内に1つのエチレン性不飽和基を含む化合物と併用してもよい。また紫外線や電子線を用いた硬化速度が速く、透明性が高いことから多官能アクリレート化合物を好ましく用いることができる。この中でも特に本発明では硬化樹脂層が脂環構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性樹脂を硬化させてなる硬化性樹脂層であることが特に好ましい。
上記で挙げた好ましい硬化樹脂層を形成できる多官能アクリレート化合物の例を以下に示すが、本発明で用いることができる多官能アクリレート化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007332289
本発明のフィルムの好ましい形態は、熱可塑性樹脂を50質量%以上含む層の少なくとも片面に硬化樹脂層が積層されたフィルムである。ここで用いられる熱可塑性樹脂は平衡含水率が0.6%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.4%以下である。また、熱可塑性樹脂がポリエステルであることが好ましく、熱変形温度が150℃以上であることが好ましい。より好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上である。このような熱可塑性樹脂の好ましい例の市販されているものとして、ポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。また、全芳香族ポリエステルであることも好ましく、好ましい例としてユニチカ(株)製U−ポリマーが挙げられる。更に本発明のフィルムは、熱的な緩和処理を行い熱的な寸法変化を小さくしたものが好ましい。熱的な寸法変化は、最高使用温度条件下での寸法変化で表すことが可能であり、最高使用温度条件は本発明のフィルム上に製膜される各種無機層、半導体層、絶縁膜層、電極層などの製膜条件にもよるが、好ましくは120℃で1時間、より好ましくは150℃で1時間、更に好ましくは200℃で1時間、特に好ましくは250℃で1時間であり、これら温度条件下前後の寸法変化率が±100ppm以内が好ましく、より好ましくは±60ppm以内、特に好ましくは30ppm以内である。このような熱的な寸法変化を低減させる方法として好ましくはフィルムのガラス転移温度よりも低い温度で加熱処理を行う方法が挙げられる。
また、耐熱性の観点から特に好ましい熱可塑性樹脂の例として、下記一般式(1)で表されるスピロ構造または一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を含むポリマーを挙げることができる。
Figure 2007332289
[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよく、2つの環αはスピロ結合によって結合している。]
Figure 2007332289
[一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよい。また、環βおよび環γは、環β上の1つの4級炭素原子によって連結される。]
一般式(1)で表されるスピロ構造を含む繰り返し単位を有するポリマーの好ましい例として、下記一般式(3)で表されるスピロビクロマン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーを挙げることができる。また、一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を有するポリマーの好ましい例として、下記一般式(4)で表されるフルオレン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーを挙げることができる。
前記一般式(1)における環αは単環式または多環式の環を表し、例えば、インダン環、クロマン環、ベンゾフラン環が挙げられる。また、2つの環αはスピロ結合によって結合される。前記一般式(1)で表されるスピロ構造を含む繰り返し単位を有するポリマーの好ましい例として、下記一般式(3)で表されるスピロビクロマン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーを挙げることができる。
また、前記一般式(2)における環βは、単環式または多環式の環を表し、例えばフルオレン環、1,4−ビベンゾシクロヘキサン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環が挙げられ、環γとしては、フェニレン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α-ピロン環が挙げられる。環βは4級炭素原子を含むものであり、係る4級炭素原子によって環βおよび環γは連結される。環γは、単環式または多環式の環を表し、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。2つの環γはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよい。また、一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を有するポリマーの好ましい例として、下記一般式(4)で表されるフルオレン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーを挙げることができる。
Figure 2007332289
一般式(3)中、R41は水素原子または置換基を表す。R42は置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基である。R41のより好ましい例は、水素原子、メチル基、フェニル基であり、R42のより好ましい例は、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基である。
Figure 2007332289
一般式(4)中、R61は置換基を表す。R62は置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。jおよびkは0〜4の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基である。R61のより好ましい例は、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基である。およびR62のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基である。
一般式(1)〜(4)で表される構造を繰り返し単位中に含むポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなど種々の結合方式で連結されたポリマーであってもよいが、一般式(1)〜(4)で表される構造を有するビスフェノール化合物から誘導されるポリエステルが吸湿性、耐熱性、透明性の観点で好ましい。
一般式(1)〜(4)で表される構造を有するビスフェノール化合物から誘導されるポリエステル(以下本発明のポリエステルとも称する)の好ましい例として、下記一般式(5)または(6)で表される繰り返し単位を有するポリエステルを挙げることができる。
Figure 2007332289
一般式(5)中、環βは単環式または多環式の置換基を有していてもよい環を表す。好ましい環βは、少なくとも1つの芳香環を含む多環式の環である。環β上の好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基が挙げられる。Lは置換基を有していてもよい炭化水素からなる2価の連結基を表す。好ましいLは、アルキレン基、アリーレン基であり、好ましいアルキレン基は脂環構造を含むアルキレン基である。この中でも特にアリーレン連結が特に好ましくフェニレン基、ナフタレン基、ビフェニレン基などを挙げることができる。また、アリーレン連結の好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、メチル基、塩素原子、臭素原子である。また、一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリエステルは、Lの異なる2種以上の繰り返し単位の共重合体とすることで透明性が向上し、特に好ましい。好ましい組合せとして、パラフェニレンとメタフェニレンの組合せ、パラフェニレン、2,6−ナフタレン、4,4'−ビフェニレンの3種の中から2種以上選択する組合せを挙げることができる。R1、R2はそれぞれ置換基を表し、好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基が挙げられる。lおよびmは0〜4の整数を表す。
Figure 2007332289
一般式(6)中、環αは単環式または多環式の置換基を有していてもよい環を表し、2つの環はスピロ結合によって結合する。Lは置換基を有していてもよい炭化水素からなる2価の連結基を表す。好ましいLは、アルキレン基、アリーレン基であり、好ましいアルキレン基は脂環構造を含むアルキレン基である。この中でも特にアリーレン連結が特に好ましくフェニレン基、ナフタレン基、ビフェニレン基などを挙げることができる。また、アリーレン連結の好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、メチル基、塩素原子、臭素原子である。また、一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリエステルは、Lの異なる2種以上の繰り返し単位の共重合体とすることで透明性が向上し、特に好ましい。好ましい組合せとして、パラフェニレンとメタフェニレンの組合せ、パラフェニレン、2,6−ナフタレン、4,4'−ビフェニレンの3種の中から2種以上選択する組合せを挙げることができる。R1、R2はそれぞれ置換基を表し、好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基が挙げられる。lおよびmは0〜3の整数を表す。
一般式(5)で表される繰り返し単位の好ましい例として、下記一般式(7)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2007332289
一般式(7)中、R3、R4はそれぞれ置換基を表し、好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基が挙げられる。jおよびkは0〜4の整数を表す。Lは置換基を有していてもよい炭化水素からなる2価の連結基を表す。好ましいLは、アルキレン基、アリーレン基であり、好ましいアルキレン基は脂環構造を含むアルキレン基である。この中でもアリーレン連結が特に好ましくフェニレン基、ナフタレン基、ビフェニレン基などを挙げることができる。また、アリーレン連結の好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、メチル基、塩素原子、臭素原子である。また、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリエステルは、Lの異なる2種以上の繰り返し単位の共重合体とすることで透明性が向上し、特に好ましい。好ましい組合せとして、パラフェニレンとメタフェニレンの組合せ、パラフェニレン、2,6−ナフタレン、4,4'−ビフェニレンの3種の中から2種以上選択する組合せを挙げることができる。R1、R2はそれぞれ置換基を表し、好ましい置換基はアルキル基、アリール基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基が挙げられる。lおよびmは0〜4の整数を表す。
以下に一般式(1)〜(7)で表されるくり返し単位を有するポリエステルの好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができるポリエステルはこれらに限定されるものではない。なお、繰り返し単位の数字は共重合比(mol%)を表し、ホモポリマーは100と記載する。
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
Figure 2007332289
本発明で用いるポリマーの分子量は、重量平均分子量で10,000以上であることが好ましい。より好ましくは重量平均分子量で20,000〜300,000であり、特に好ましくは30,000〜150,000である。分子量が10,000以上の場合、フィルムなどの成形品に応用する場合、得られる成形品の力学特性が有利となる。一方、分子量が300,000以下の場合、合成上の分子量コントロールの点で有利であり、さらに溶液の粘度も高すぎず、取り扱い上有利である。なお、分子量の代わりに対応する粘度を目安にすることもできる。
本発明で用いるポリマーは、一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位を複数種有するコポリマーであってもよい。また、一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位以外の公知の繰り返し単位を本発明の効果を損ねない範囲で共重合してもよい。
本発明で用いるポリマー中における一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位の合計のモル百分率は、40〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましく、80〜100モル%であることがさらに好ましい。本発明で用いるポリマーが一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位を複数種有する場合、透明性が向上する場合があり好ましい。この場合、いずれか1種の割合が5〜95mol%であることが好ましく、20〜80mol%であることがより好ましく、特に好ましくは30〜70mol%である。本発明で用いるポリマー中における一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位の割合が上記の場合、透明性、耐熱性、溶解性の観点で有利である。
本発明で用いる一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位を有するポリマーの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるガラス転移温度を目安にすることができる。この場合、好ましいガラス転移温度は250℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好ましくは350℃以上である。また、測定範囲内(例えば420℃以下)で実質的にガラス転移温度が観測されない場合も好ましい。本発明で用いるポリマーに含まれる一般式(1)〜(7)で表される構造を含む繰り返し単位を有するポリマーのうち一般式(4)、(7)で表される構造を含む繰り返し単位を有するポリマーが耐熱性が高くてより好ましい。
上記で説明した本発明のフィルムの好ましい形態である、熱可塑性樹脂を50質量%以上含むフィルムの少なくとも片面に硬化樹脂層が積層されたフィルムは、実質的に無色透明であることが好ましい。波長420nmの光線透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
また、少なくとも片面に無機酸化物層または無機窒化物が積層されていることが好ましく、これによりエッチング耐性やガスバリア能も付与することができる。より好ましい形態としては、フィルムに隣接して硬化樹脂層が設置され、さらに両面に無機酸化物層、無機窒化物層が形成されていることで、別途ラミネートなど用いなくともエッチング工程も含めた寸法変化を小さくできる。
さらに少なくとも片面に硬化樹脂層と無機酸化物層が交互に積層することも好ましく、これを所望の回数積層することでOLEDの要求レベルまでガスバリア能を高めることが可能となる。
本発明のフィルムの厚みは、特に規定されないが30〜700μmであることが好ましく、40〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。また、いずれの場合もヘイズは3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また、全光線透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるTgを目安にすることができる。本発明のフィルムのTgは好ましくは250℃以上であり、より好ましいTgは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上、特に好ましくは400℃以上である。なお、DSCによりTgを検出しにくい場合は、TMAを用いた熱変形温度をガラス転移温度として取り扱うこともできる。
本発明のフィルムの表面には用途に応じて他の層、あるいは部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行うことができる。さらに、フィルム表面に接着層、アンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
本発明のフィルムには、透明導電層を設けることができる。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号各公報記載の方法で成膜する事ができる。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点からは、スパッタリング法が好ましい。
スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
透明導電層の膜厚は20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
また、透明導電層の25℃・相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は0.1〜200Ω/□であることが好ましく、0.1〜100Ω/□であることがより好ましく、0.5〜60Ω/□であることがさらに好ましい。また透明導電層の光透過性は80%以上、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。
本発明のフィルムは、ガス透過性を抑制するために、ガスバリア層を設けることも好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素酸化物またはケイ素窒化物が良好である。
これら無機のガスバリア層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。また、ガスバリア層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
ガスバリア層の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。
ガスバリア層は、透明導電層と同じ側または反対側いずれに設けてもよいが、反対側に設けることが好ましい。
ガスバリア層を設けたフィルムのガスバリア性は、40℃・相対湿度100%で測定した水蒸気透過度が0〜1g/m2・dayであることが好ましく、0〜0.1g/m2・dayであることがより好ましく、0〜0.001g/m2・dayであることがさらに好ましい。また、40℃・相対湿度90%で測定した酸素透過度は0〜1ml/m2・day・atmであることが好ましく、0〜0.1ml/m2・day・atmであることがより好ましく、0〜0.001ml/m2・day・atmであることがさらに好ましい。
本発明のフィルムは、バリア性を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を設けることが好ましい。欠陥補償層は、(1)米国特許第6171663号、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法、(2)米国特許第6413645号、同64163645号明細書記載のように有機物層を利用する方法で作製できる。また、欠陥補償層は、前記文献に記載されているように、真空下で蒸着後、紫外線もしくは電子線で硬化させる方法、または塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させる方法で作製することが好ましい。塗布方式で作製する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
[画像表示装置]
本発明のフィルムは、薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法は、特表平10−512104号公報に記載された方法等が挙げられる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターはいかなる方法を用いて作製してもよいが、好ましくはフォトリソグラフィー手法で作製することが好ましい。
本発明のフィルムは、必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示素子に用いることができる。ここで、画像表示素子としては特に限定されず、従来知られているものを用いることができる。また、本発明のフィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代替する基板として用いることができる。さらに、本発明のフィルムは太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。太陽電池は、特開平9−148606号公報、特開平11−288745号公報、新しい有機太陽電池のオールプラスチック化への課題と対応策(2004年、技術情報協会出版)などに記載のものに応用できる。タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用できる。
本発明のフィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために非晶性ポリマーであることが好ましい。また、複屈折は小さい方が好ましく、特に面内レタデ−ション(Re)は50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。複屈折の小さいフィルムを得るためには、製膜時の冷却温度を適宜調節し、または必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)およびその波長分散を制御する目的で、固有複屈折の符号が異なる樹脂や添加剤を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂や添加剤を組み合わせたりすることもできる。また、本発明のフィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で、異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
一方、光学異方性をコントロールすることで、本発明のフィルムを位相差板として用いることもできる。この場合、必ずしも複屈折が小さい必要はなく、所望の複屈折を有していればよい。所望の複屈折を得る方法としては、本発明のフィルムを延伸したり、複屈折を有する化合物を混合したり、塗設したり公知のあらゆる方法を用いることができる。
反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明のフィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルム、他の位相差板(例えば視野角補償フィルム)として用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明のフィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルム、他の位相差板(例えば視野角補償フィルム)として用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラ−表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、
OCB(Optically Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モ−ドを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
これらは特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers (予稿集)30(1999)206、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational`99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報、および国際公開第00/65384号パンフレット等に記載されている。
本発明のフィルムは、必要に応じてガスバリア層、TFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用できる。
有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
本発明のフィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
これら有機EL素子の駆動については、特開平2−148687号、特開平6−301355号、特開平5−29080号、特開平7−134558号、特開平8−234685号、特開平8−241047号の各公報、米国特許第5828429号、同6023308号各明細書、日本特許第2784615号公報等に記載された方法を利用できる。
[フレキシブルデバイス]
本発明のフィルムを用いれば、種々のフレキシブルデバイスを製造することができる。上記の画像表示装置の技術のうち、フレキシブルデバイスにも応用しうるものについては、本発明のフィルムを用いたフレキシブルデバイスの製造に利用することができる。また、本発明のフィルム上に軽量で曲げられる半導体デバイスを製造したり、本発明のフィルム上にTFTを形成した各種センサを製造したりすることも可能である。フレキシブルデバイスの具体例としては、「フレキシブル基板への印刷技術」東レリサーチセンター(2005)に記載されているフレキシブル電池、ICカードやICタグ、フレキシブルセンサなどを挙げることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(1)熱緩和処理済みPENフィルムの作製
<熱緩和処理>
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テオネックスQ65:厚さ125μm)に対して110℃で50時間の加熱処理を施し、熱的な寸法変化の小さいPENフィルムを作製した。
<熱的な寸法変化率の測定>
上記で加熱処理を施したPENフィルムを25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置した後、120mm×20mmの大きさに裁断した。裁断したフィルム中央部からそれぞれ50mmの位置に印をつけた(2点間距離は100mm)。その後、120℃で1時間加熱処理を行い、25℃・相対湿度60%の環境下3日間放置後、2点間距離を測定した。この操作を3回行い平均値を求めることで寸法変化率を算出したところ、22ppmの収縮が見られた。
<平衡含水率の測定>
上記で加熱処理を施したPENフィルムを25℃の純水に4日間浸漬した。その後、表面の水滴を十分にふき取り、カールフィッシャー法により含水量を測定した。この操作を3回行い、測定値を平均することにより平衡含水率を算出したところ、0.32%であった。
<熱変形温度>
上記で加熱処理を施したPENフィルムを25℃・相対湿度60%の環境下3日間放置後、5mm×20mmの大きさに裁断した。引張荷重100mNの条件下、TMA(リガク(株)製、TMA8310)の引張荷重法にて得られる熱変形温度を測定したところ、235℃であった。
<波長420nmの光線透過率>
上記で加熱処理を施したPENフィルムを25℃・相対湿度60%の環境下で3日間放置した後、島津製作所製、分光光度計UV−3100PCを用いて波長420nmの光線透過率を測定したところ、81%であった。
(2)PF−7フィルムの作製
21質量部のポリマーPF−7(重量平均分子量60000、DSC測定によるガラス転移温度350℃)をジクロロメタン79質量部に溶解し、ガラス基板上にキャストした。その後、露点6℃の送風下、22℃で2分間、70℃で3分間乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離し、内径が32cm×100cmの金属枠に枠張りをした状態でさらに140℃で30分乾燥させた。ついで枠張りをしたまま300℃で15時間、枠から外して300℃で15時間の加熱処理を行い、本発明のポリマーPF−7からなるフィルムを得た。得られたPF−7フィルムについて、上記PENフィルムと同様の測定を行ったところ、熱的な寸法変化率は−10ppm(加熱処理は300℃、1時間)、平衡含水率は0.48%、熱変形温度は358℃、波長420nmの光線透過率は86%であった。
(3)積層フィルムの作製
<積層>
上記で作製したPENフィルムまたはPF−7フィルムの両面に、表1に記載される層(PG層、SiN層、脂環アクリレート層(表1中では脂環層と表記)、脂環アクリレート層とSiN層の積層)を設置したフィルムを作成した。各層の積層は以下の手順で行った。
<PG層の設置>
特開平10−278167号公報記載の汎用多官能アクリレート化合物としてトリプロピレングリコールジアクリレート(PGと称する)96質量部と光ラジカル発生剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3質量部とカヤキュアDETX−S(日本化薬(株)製)1質量部をメチルエチルケトンに溶解しフィルム上に塗布した。メタルハライドランプにて紫外線照射(照射量500mj/cm2)を行うことで膜厚2μmのPG層を設置した。
これとは別に、ガラス基板上に上記の方法により約20μmの厚さになるようにPG層を形成した。その後、ガラス基板上から破断しないように注意深く剥離し、PG層単独フィルムを得た。PENフィルムと同様の方法で測定した含水率は1.15%、熱変形温度は102℃であった。
<SiN層の設置>
ターゲット金属にSi、反応ガスとして窒素を用いて反応性スパッタ法にて窒化ケイ素層(SiN層と称する)をフィルム上に100nmの膜厚で設置した。
<脂環アクリレート層の設置>
以下に示す脂環構造を有する多官能アクリレートTCDDMDA96質量部と光ラジカル発生剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3質量部とカヤキュアDETX−S(日本化薬(株)製)1質量部をメチルエチルケトンに溶解しフィルム上に塗布した。メタルハライドランプにて紫外線照射(照射量500mj/cm2)を行うことで膜厚2μmの脂環アクリレート層を設置した。
Figure 2007332289
これとは別に、ガラス基板上に上記の方法により約20μmの厚さになるように脂環アクリレート層を形成した。その後、ガラス基板上から破断しないように注意深く剥離し、脂環アクリレート層単独フィルムを得た。PENフィルムと同様の方法で測定した含水率は0.63%、熱変形温度は268℃であった。
<脂環アクリレート層とSiN層の積層>
フィルム上に上記の方法で脂環アクリレート層を設置後、上記の方法でSiN層を設置した。
(4)薬液処理後の寸法変化率測定
作製した各フィルムを25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置後、120mm×20mmの大きさに裁断した。裁断したフィルム中央部からそれぞれ50mmの位置に印をつけた(2点間距離は100mm)。その後、下記の1)〜4)の各薬液処理を行い、各薬液処理後の2点間距離を測定して寸法変化を算出した。結果を表1に示す。表1中の「測定不可」は、フィルムの変形が大き過ぎて測定できなかったことを示すものである。
1) ヘキサメチルジシラザンを0.5g/m2で表面に塗布後、60℃で10分
加熱した後、25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
2) レジスト樹脂を含むエチルセルソルブアセテート溶液(商品名OFPR−8
00:東京応化工業(株)製レジスト液)を表面に塗布後、90℃で20分
加熱し、さらに25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
3) テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを2.4%含む25℃の水溶
液に3分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱
し、さらに25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
4) NMP40%とDMSO60%からなる25℃の混合溶液に5分間浸漬後、
40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱し、さらに25℃・
相対湿度60%の環境下に3日間放置
Figure 2007332289
(5)マスク露光精度の確認
上記で作製した比較試料101、201、本発明の試料104、204を5cm×24cmの大きさに裁断し、ガラス基板上に4角をテープで貼り付けた。それぞれの試料を以下の方法によりマスク露光精度を確認した。比較試料101、201上に形成したレジストパターン幅はいずれもおよそ約160μmであり、マスク線幅に対して太くなっていたが、本発明の試料104、204上に形成したレジストパターンは100μm〜110μmの範囲であり、ほぼマスク線幅を再現していた。
<マスク露光精度確認方法>
1)エチルセルソルブアセテートを含むポジ型ノボラック系レジスト樹脂組成物(商品名OFPR−800:東京応化工業(株)製レジスト液)をエチルセルソルブアセテート含量が70質量%になるように希釈し、3.3g/m2で試料表面に塗布後、90℃で20分加熱し、さらに25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置した。
2)この上にあらかじめ作製したメタルマスク(5cm×22cmサイズ、中心よりそれぞれ10cm位置に線幅100μmの遮光部を2本形成したもの)試料表面に重ね合わせ露光した。
3)テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを2.4%含む25℃の水溶液に3分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱した。
4)再び1)〜3)を繰り返した。この際のメタルマスクは上記1)〜3)で形成したレジストパターンのいずれか一方に合わせて位置決めを行った。
5)処理後のレジストパターンを顕微鏡で観察した。
本発明のフィルムは、フォトリソプロセスを通しても寸法変化が少ないという特徴を有する。このため、本発明のフィルムを用いれば、高精細で露光精度が高い大画面の画像表示装置やフレキシブルデバイスを提供することが可能である。したがって、本発明の産業上の利用可能性は高い。

Claims (20)

  1. 下記1)〜4)のいずれの処理を行っても処理前後の寸法変化が±100ppm以内である硬化樹脂層を有するフィルム。
    1) ヘキサメチルジシラザンを0.5g/m2で表面に塗布後、60℃で10分
    加熱した後、25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
    2) エチルセルソルブアセテートを70質量%含むポジ型ノボラック系レジスト
    樹脂組成物を3.3g/m2で表面に塗布後、90℃で20分加熱し、さら
    に25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
    3) テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを2.4%含む25℃の水溶
    液に3分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120℃で1時間加熱
    し、さらに25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
    4) N−メチル−2−ピロリドン40%とジメチルスルホキシド60%からなる
    25℃の混合溶液に5分間浸漬後、40℃の温水中に1時間浸漬し、120
    ℃で1時間加熱し、さらに25℃・相対湿度60%の環境下に3日間放置
  2. 平衡含水率が0.6%以下である請求項1に記載のフィルム。
  3. 硬化樹脂層のみからなる請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 熱可塑性樹脂を50質量%以上含む層の少なくとも片面に硬化樹脂層が積層された請求項1または2に記載のフィルム。
  5. 硬化樹脂層の平衡含水率が1.0%以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
  6. 硬化樹脂層の熱変形温度が150℃以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
  7. 硬化樹脂層が脂環構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性樹脂を硬化させてなる請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
  8. 熱可塑性樹脂の平衡含水率が0.6%以下である請求項4〜7のいずれか一項に記載のフィルム。
  9. 熱可塑性樹脂がポリエステルである請求項4〜8のいずれか一項に記載のフィルム。
  10. 熱可塑性樹脂の熱変形温度が150℃以上である請求項4〜9のいずれか一項に記載のフィルム。
  11. 熱可塑性樹脂が全芳香族ポリエステルである請求項4〜10のいずれか一項に記載のフィルム。
  12. 熱可塑性樹脂の熱変形温度が250℃以上である請求項4〜11のいずれか一項に記載のフィルム。
  13. 熱可塑性樹脂が下記一般式(1)で表されるスピロ構造または一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を含むポリマーである請求項4〜12のいずれか一項に記載のフィルム。
    Figure 2007332289
    [一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよく、2つの環αはスピロ結合によって結合している。]
    Figure 2007332289
    [一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよい。また、環βおよび環γは、環β上の1つの4級炭素原子によって連結される。]
  14. 熱可塑性樹脂がポリエチレンナフタレートである請求項4〜10のいずれか一項に記載のフィルム。
  15. ポリエチレンナフタレート(PEN)または下記一般式(1)で表されるスピロ構造または一般式(2)で表されるカルド構造を含む繰り返し単位を含むポリマーからなるフィルムの少なくとも片面に脂環構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性樹脂を硬化させてなる硬化樹脂層が積層されたフィルム。
    Figure 2007332289
    [一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよく、2つの環αはスピロ結合によって結合している。]
    Figure 2007332289
    [一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同一若しくは異なっていてもよい。また、環βおよび環γは、環β上の1つの4級炭素原子によって連結される。]
  16. 波長420nmの光線透過率が80%以上である請求項1〜15のいずれか一項に記載のフィルム。
  17. 少なくとも片面に無機酸化物層が積層された請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルム。
  18. 少なくとも片面に硬化樹脂層と無機酸化物層が交互に積層された請求項1〜17のいずれか一項に記載のフィルム。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のフィルムを用いる画像表示装置。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のフィルムを用いるフレキシブルデバイス。
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