JP2007254663A - 樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007254663A
JP2007254663A JP2006083126A JP2006083126A JP2007254663A JP 2007254663 A JP2007254663 A JP 2007254663A JP 2006083126 A JP2006083126 A JP 2006083126A JP 2006083126 A JP2006083126 A JP 2006083126A JP 2007254663 A JP2007254663 A JP 2007254663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin
general formula
group
stretching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2006083126A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsufumi Takamoto
哲文 高本
Hiroaki Mochizuki
宏顕 望月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006083126A priority Critical patent/JP2007254663A/ja
Publication of JP2007254663A publication Critical patent/JP2007254663A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】透明性、耐熱性、力学物性に優れ、有機溶剤に可溶な樹脂を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される構造と一般式(2)で表される構造とを有していて、主鎖にエステル結合を有することを特徴とする樹脂。
Figure 2007254663

〔R11〜R18は水素原子または置換基;R11〜R14のうち少なくとも一つは水素原子以外;R12、R22は置換基;m、nは0〜3の整数である。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、剛直な構造を有し、耐熱性、透明性に優れた樹脂に関する。また、該樹脂を用いたフィルム特に線熱膨張係数が小さいフィルム、および該フィルムを用いた画像表示装置に関する。
無機ガラス材料は、透明性および耐熱性に優れ、かつ光学異方性も小さいことから、透明材料として広く使用されている。しかし、無機ガラスは、成型しにくいことや、比重が大きく、かつ脆いため、成型されたガラス製品は重く、破損しやすい等の欠点を有している。このような欠点から、近年は、無機ガラス材料に代替する樹脂材料の開発が盛んに行われている。
こうした無機ガラス材料の代替を目的とした樹脂材料として、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が知られている。これらの樹脂材料は、軽量で力学特性に優れ、かつ加工性にも優れているため、最近では、例えばレンズやフィルムなどの様々な用途に使用されている。
樹脂材料をフィルム用途に使用する場合、透明性に加えて、弾性率などの力学物性、耐熱性、熱による変形が小さいなどの様々な特性が求められる。これらの特性を付与するために、主鎖の構造に剛直な構造を導入する検討がされている。
近年、ディスプレイ基板をガラスから樹脂への代替が検討されている。樹脂にすることで、軽量化、耐衝撃性、薄型化できるなどの様々な利点が得られるためである。ガラス代替のためには、耐熱性が求められるが、樹脂の耐熱性を向上させると、溶融による成型が熱による着色、分解などの問題があり、困難となるため、有機溶剤に溶解させることで成型性を確保する必要がある。つまり、溶解性が強く求められている。
剛直な構造を導入する検討として、ビフェノールを原料としたポリアリレート樹脂が多数開発されている。例えば特許文献1では、溶融粘度を下げるためにビフェノールを3〜45モル%導入しているが、結晶化しやすく透明性は低い。特許文献2にはビフェノールとビスフェノールAを共重合することで結晶化を抑制している技術が開示されているが、有機溶剤への溶解性が低く成型性に問題を有している。これらはビフェノールの剛直性のために耐熱性、力学物性に優れた材料であるが、結晶を形成しやすいため透明性が損なわれたり、有機溶剤への溶解性が低下し成型性が損なわれたりする、などの欠点を有している。
特開平1−294735号公報 特開平5−59161号公報
以上のように、剛直成分を含有し、透明性、力学物性、耐熱性に優れた、有機溶剤に可溶な透明樹脂材料が求められていた。
本発明は、透明性、耐熱性、力学物性に優れ、有機溶剤に可溶な樹脂、およびそれを用いた光学部品、フィルムを提供することを目的とする。またこのフィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の構成を有する本発明によれば課題を解決しうることを見出した。
[1]下記一般式(1)で表される構造と下記一般式(2)で表される構造とを有していて、主鎖にエステル結合を有することを特徴とする樹脂。
Figure 2007254663
〔一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R11〜R14のうち少なくとも一つは水素原子ではない。〕
Figure 2007254663
〔一般式(2)中、R12、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。〕
[2]下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする[1]に記載の樹脂。
Figure 2007254663
〔一般式(3)中、R31、R32はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Xは2価の連結基を表す。ただし、Xは環構造の一部ではない。]
[3]樹脂中の前記一般式(1)の含有量(Amol%)と、前記一般式(3)の含有量(Bmol%)とが、下記式(A)を満たすことを特徴とする[2]に記載の樹脂。
式(A):A+B>40
[4]前記一般式(3)における、Xがアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、アミノ基、スルホニル基からなる群より選ばれる基であることを特徴とする[2]または[3]に記載の樹脂。
[5]100μm膜換算の膜厚における400nmの波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂。
[6]ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂。
[7]熱機械分析で測定した長さの変化が、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において極大点を示すことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂。
[8]延伸倍率1.3倍に一軸延伸した後の延伸方向の線熱膨張係数が負であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂。
[9]テトラヒドロフランに1.0質量%以上の濃度で可溶であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに樹脂。
[10]塩化メチレンに1.0質量%以上の濃度で可溶であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに樹脂。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂で作製したことを特徴とする光学材料。
[12][1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂で作製したことを特徴とするフィルム。
[13]フィルム面内での線熱膨張係数の最小値が40ppm/℃以下であることを特徴とする[12]に記載のフィルム。
[14]フィルムのガラス転移温度以上で熱処理した後のフィルム面内での線熱膨張係数の最小値が40ppm/℃以下であることを特徴とする[12]に記載のフィルム。
[15]フィルム面内での線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることを特徴とする[12]に記載のフィルム。
[16]フィルムのガラス転移温度以上で熱処理した後のフィルム面内での線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることを特徴とする[12]に記載のフィルム。
[17]ガスバリア層を設けたことを特徴とする[12]〜[16]のいずれかに記載のフィルム。
[18]透明導電層を設けたことを特徴とする[12]〜[17]のいずれかに記載のフィルム。
[19][12]〜[18]のいずれかに記載のフィルムを用いて作製したことを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、透明性、耐熱性、力学物性に優れ、有機溶剤に可溶な樹脂材料、およびそれを用いた光学部品、フィルム、並びに、該フィルムを用いた画像表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の樹脂、フィルムおよび画像表示装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の樹脂は、下記一般式(1)で表される構造と下記一般式(2)で表される構造とを有する樹脂であって、主鎖にエステル結合を有することを特徴とする。
Figure 2007254663
〔一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R11〜R14のうち少なくとも一つは水素原子ではない。〕
Figure 2007254663
〔一般式(2)中、R12、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。〕
一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、一般式(1)中、R11〜R14のうち少なくとも一つは水素原子ではない。前記一般式(1)中、R11〜R14の全てが水素原子であると、溶解性に不利となる。
前記一般式(1)中、R11〜R18で表される好ましい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アリール基(炭素数6〜20が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基など)、アシル基(炭素数2〜10が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、アシルアミノ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
以下に一般式(1)の具体例(1−1〜1−18)を示すが、本発明で用いることができる一般式(1)の化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007254663
Figure 2007254663
前記一般式(2)中、R12、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
また、一般式(2)中の好ましい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アリール基(炭素数6〜20が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基など)、アシル基(炭素数2〜10が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、アシルアミノ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
一般式(2)において、カルボニル基が連結する位置は、ナフタレン環のどの炭素でもよく、一つの環に二つのカルボニル基が連結していてもよい。カルボニル基の連結位置として好ましくは、2位または3位に一つと、6位または7位とに一つ結合することが好ましく、2位と6位とに一つずつ結合することがさらに好ましい。
また、m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、mとしては0〜2の整数が好ましく、nとしては0〜2の整数が好ましい。
以下に一般式(2)の具体例(2−1〜2−10)を示すが、本発明で用いることができる一般式(2)の化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007254663
本発明の樹脂は、更に下記一般式(3)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2007254663
〔一般式(3)中、R31、R32はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。Xは2価の連結基を表す。ただし、前記単一原子は環構造の一部ではない。]
一般式(3)中のR31、R32で表される好ましい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アリール基(炭素数6〜20が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基など)、アシル基(炭素数2〜10が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、アシルアミノ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
また、一般式(3)中、Xは2価の連結基を表す。前記Xの例としては、アルキリデン基、パーフルオロアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、スルホニル基、−NR’−(R’は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基)、−CO−NH−が挙げられ、好ましくはアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、アミノ基、スルホニル基であり、特に好ましくは、イソプロピリデン、酸素原子である。ただし、Xは環構造の一部ではない。
m、nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、mとしては0〜2の整数が好ましく、nとしては0〜2の整数が好ましい。
一般式(3)中、2つの酸素原子連結基の結合位置はベンゼン環のどこでもよい、4位と4’位が好ましい。
以下に一般式(3)の具体例(3−1〜3−22)を示すが、本発明で用いることができる一般式(3)の化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007254663
Figure 2007254663
本発明の樹脂中には、主鎖にエステル結合が含有される。また、本発明の樹脂中には、エステル結合以外に、エーテル結合、カーボネート結合、スルホン結合、ケトン結合、イミド結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合を単種もしくは複数種含有していてもよい。
本発明の樹脂は、一般にモノマーとしてビフェノール誘導体、ナフタレンジカルボン酸および/またはその誘導体を用いて合成することができる。
置換基を有するビフェノール誘導体の一般的合成法として、Macromolecules誌、1996, 29, 3727-3735頁、繊維化学雑誌、第84巻、第2号(1963)143-145頁に記載の方法を挙げることができる。
ナフタレンジカルボン酸誘導体は、ジアルキルナフタレンに置換基を導入し、アルキル基を酸化することで合成することができる。ジアルキルナフタレンに置換基を導入する一般的方法としては、Journal of Organic Chemistry誌、2003年、68(22)、8373-8378頁;Hetreroatom Chemistry誌, 2001年、12(4)、287-292頁;Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1 : Organic and Bio-Organic Chemistry、1981年、(3)746-750頁;Journal of the Chemical Society [Section] D:Chemical Communications,(24)、1487頁、1969年に記載の方法を挙げることができる。
ナフタレンに置換したアルキル基を酸化する一般的方法としては、Journal of organic Chemistry, 50(22), 4211-4218頁、1985年に記載の方法を挙げることができる。
上記モノマーを用いたポリアリレートの一般的合成法として、新高分子実験学3 高分子の合成・反応(2)、共立出版(87項〜95項)に記載の方法を挙げることができる。
以下に本発明の樹脂の具体例(例示化合物P−1〜P−13)を示すが、本発明で用いることができる樹脂はこれらに限定されるものではない。なお、構造式中の数字は、それぞれの含有量のモル分率である。
Figure 2007254663
Figure 2007254663
Figure 2007254663
本発明の樹脂中、一般式(1)で表される構造の含有量は、1〜50mol%が好ましく、5〜40mol%がより好ましく、10〜40mol%が特に好ましい。一般式(2)で表される構造の含有量は、1〜50mol%が好ましく、5〜40mol%がより好ましく、10〜40mol%が特に好ましい。また、一般式(3)で表される構造の含有量は、1〜40mol%が好ましく、5〜35mol%がより好ましく、10〜30mol%が特に好ましい。
また、本発明の樹脂中の一般式(1)の含有量をAmol%、一般式(3)の含有量をBmol%としたとき、前記一般式(1)の含有量(Amol%)と、前記一般式(3)の含有量(Bmol%)とが、下記式(A)を満たすこと好ましい。
式(A):A+B>40
A+Bの下限値は42以上であることがより好ましく、45以上であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂の重量平均分子量は10,000〜5,000,000が好ましく、15,000〜1,000,000がより好ましく、20,000〜500,000が特に好ましい。
本発明のフィルムのガラス転移温度(Tg)は、100℃〜500℃であることが好ましく、150℃〜450℃であることがさらに好ましく、200℃〜400℃であることが特に好ましい。
また、本発明のフィルムは、熱機械分析で測定した長さの変化が、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において極大点を示すことが好ましい。ここで、熱機械分析とは、JIS規格であるJIS K7197に記載されている分析方法を意味する。また、熱機械分析で測定した長さの変化が極大点を示すとは、長さが収縮した後、膨張し、さらに収縮した場合の挙動を意味する。
本発明の樹脂は100μm膜換算の膜厚における400nmの光線透過率は50%以上である。前記光線透過率が前記範囲にあると、フィルムと密着させたものが透けて見えるという利点がある。前記光線透過率は、70〜100%であることが好ましく、75%〜100%であることがさらに好ましく、80〜100%であることが特に好ましい。
本発明の樹脂を、延伸倍率1.3倍(ここでいう「延伸倍率」とは、延伸後の試料長と延伸前の試料長の比のことである)で一軸延伸後の線熱膨張係数(CTE)が負であることが好ましく、−10ppm/以下であることがさらに好ましく、−20ppm/以下であることが特に好ましい。延伸倍率1.3倍でのCTEが負であれば、二軸延伸した場合に、面内でのCTEが低下しやすく、熱変形量の小さい材料を作製できるという利点がある。
本発明の樹脂は有機溶剤に可溶であることが好ましい。溶解濃度は1.0質量%〜75質量%であることが好ましく、1.5質量%〜70質量%であることがさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。特に、テトラヒドロフラン(THF)および/または塩化メチレンに1.0質量%以上の濃度で可溶であることが好ましく、3質量%以上可溶であることがより好ましく、5質量%以上の濃度で可溶であることがさらに好ましい。有機溶剤に可溶であることで、耐熱性が高い樹脂でも、着色、分解などの加熱による問題を回避できるという利点がある。
使用する溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、アニソール等が挙げられるが、本発明で用いることができる溶媒はこれらに限定されるものではない。
本発明の樹脂は、例えば、光学材料や、後述の本発明のフィルム等に有用である。光学材料としては、例えば偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、電磁波シールドフィルムなどの光学フィルム、ピックアップレンズ、マイクロレンズアレイ、導光板、光ファイバー、光導波路等を好ましく例示することができる。
[フィルム]
本発明の樹脂はフィルムとして用いることができる。本発明のフィルムを製造する方法としては、溶液流延法、押出成形法(溶融成型法)を用いることが好ましい。
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号明細書、米国特許第2367603号明細書、米国特許第2492078号明細書、米国特許第2492977号明細書、米国特許第2492978号明細書、米国特許第2607704号明細書、米国特許第2739069号明細書、米国特許第2739070号明細書、英国特許第640731号明細書、英国特許第736892号明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報に記載がある。
前記溶液流延法を用いて本発明のフィルムを製造する製造装置の例としては、特開2002−189126号公報の段落[0061]〜[0068]に記載された製造装置、図1および2などが挙げられる。但し、本発明で用いることができる製造装置はこれらに限定されるものではない。
前記溶液流延法では、本発明の樹脂等を含む樹脂組成物を溶媒に溶解して溶液を調製する。前記樹脂組成物には、上述の本発明の樹脂や、着色防止剤などの安定化剤が含まれる。溶解に使用される溶媒は、樹脂組成物を溶解可能なものであれば特に制限はないが、特に25℃で固形分濃度10質量%以上を溶解できる溶媒を用いることが好ましい。また、使用する溶媒の沸点は250℃以下のものが好ましく、205℃以下のものがさらに好ましい。沸点が205℃以下であれば、溶媒を十分乾燥でき、フィルム中に溶媒が残存しないため好ましい。
このような溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、アニソール等が挙げられるが、本発明で用いることができる溶媒はこれらに限定されるものではない。
前記溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
前記溶液流延法に用いられる溶液中における樹脂組成物の濃度は、5〜60質量%であることが適当であり、10〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。樹脂組成物の濃度が5〜60質量%であれば、適度な粘度が得られ、厚さの調節が容易であり、かつ良好な製膜性が得られる。また、樹脂組成物中におけるの本発明の樹脂の濃度は、10〜100質量%が好ましく、20〜100質量%が更に好ましく、30〜100質量%が特に好ましい。
本発明のフィルムは延伸することもできる。延伸法としては、公知の方法が使用でき、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、特開平11−48271号各公報などに記載されている、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法、圧延法により延伸することができる。以下に、テンターを用いる延伸法を例に説明する。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施される。フィルムの延伸は、一軸延伸でもよく二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸することができる。また、フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)も可能である。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、0.5〜300%であることが好ましく、さらには1〜200%の延伸が好ましく、特には1〜100%の延伸が好ましい。
延伸速度は5%/分〜1000%/分であることが好ましく、さらに10%/分〜500%/分であることが好ましい。延伸はヒートロールあるいは/および放射熱源(IRヒーター等)、温風により行うことが好ましい。また、温度の均一性を高めるために恒温槽を設けてもよい。
延伸温度は本発明の樹脂のガラス転移温度を基準にして、(Tg−100℃)〜(Tg+25℃)が好ましく、(Tg−80℃)〜(Tg+20℃)がさらに好ましく、(Tg−70℃)〜(Tg+15℃)が特に好ましい。
本発明のフィルムは、延伸後に熱処理をしてもよい。熱処理温度はガラス転移温度Tgを基準にして、(Tg−100℃)〜(Tg+25℃)が好ましく、(Tg−80℃)〜(Tg+20℃)がさらに好ましく、(Tg−70℃)〜(Tg+15℃)が特に好ましい。熱処理をすることで、延伸による収縮応力を緩和し、加熱時の収縮を低減することができる。
本発明のフィルムは、面内の線熱膨張係数(CTE)の最小値が40ppm/℃以下であることが好ましく、30ppm/℃以下であることがさらに好ましく、20ppm/℃以下であることが特に好ましい。特に、フィルムのガラス転移温度以上で熱処理した後のフィルム面内での面内の線熱膨張係数(CTE)の最小値が40ppm/℃以下であることが好ましい。
また、本発明のフィルムは、面内のどの部分においても線熱膨張係数(CTE)が、40ppm/℃以下であることが好ましく、30ppm/℃以下であることがさらに好ましく、20ppm/℃以下であることが特に好ましい。特に、フィルムのガラス転移温度以上で熱処理した後のフィルム面内での面内の線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることが好ましい。面内でのCTEが40ppm/℃以下である場合、フィルム上に無機薄膜を積層した場合、加熱時に膨張率の差によるクラックの発生、フィルムのそりを抑制できるとい利点がある。
本発明でいう線熱膨張係数とは、25℃〜(Tg−30)℃までの温度範囲の値である。
本発明のフィルムの線熱膨張係数は、前記の値であることが好ましく、昇温過程、降温過程両方で前記の値であることが好ましい。また、昇温過程のCTEと降温過程のCTEの差が20ppm/℃以下であることが好ましく、10ppm/℃以下であることがさらに好ましく、5ppm/℃以下であるこが特に好ましい。昇温過程のCTEと降温過程のCTEの差が20ppm/℃以下であることで、昇降温の熱処理前後での変形量が小さくなる利点がある。
(機能層)
本発明のフィルム表面には、用途に応じて他の層を形成してもよい。また他の部品との密着性を高める目的で、フィルム表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行ってもよい。さらに、フィルム表面にアンカー層を設けてもよい。
−ガスバリア層−
本発明のフィルムは、ガス透過性を抑制するために、少なくとも片面にガスバリア層を積層することもできる。好ましいガスバリア層としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウムおよびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物で形成された膜を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物で形成された膜が良好である。これら無機化合物からなるガスバリア層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるスパッタリング法およびCat−CVD法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50〜250℃に昇温してもよい。
前記ガスバリア層の厚みは、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
前記ガスバリア層は、後述する透明導電層と同じ側、反対側いずれに設けてもよい。
本発明のフィルムのガスバリア性能は、40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が0〜5g/m2・dayであることが好ましく、0〜3g/m2・dayであることがより好ましく、0〜2g/m2・dayであることがさらに好ましい。また、40℃、相対湿度90%で測定した酸素透過度は、0〜1ml/m2・day・atm(0〜1×105ml/m2・day・Pa)であることが好ましく、0〜0.7ml/m2・day・atm(0〜0.7×105ml/m2・day・Pa)であることがより好ましく、0〜0.5ml/m2・day・atm(0〜0.5×105ml/m2・day・Pa)であることがさらに好ましい。ガスバリア性能が前記範囲内であれば、例えば有機EL表示装置や液晶表示装置に用いた場合、水蒸気および酸素によるEL素子の劣化を実質的になくすことができるため好ましい。
ガスバリア性能を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を形成することが好ましい。欠陥補償層としては、例えば、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層、(2)米国特許第6413645号明細書に記載の有機物層を用いることができる。これらの欠陥補償層は、真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、または塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させることにより作製することができる。欠陥補償層を塗布方式で作製する場合には、従来の種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
本発明のフィルムには、耐薬品性付与を目的として無機バリア層、有機バリア層、有機−無機ハイブリッドバリア層などを設けてもよい。
−透明導電層−
本発明のフィルムの少なくとも片面側には、透明導電層を積層してもよい。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等を適用できる。中でも、透明性、導電性、機械的特性に優れた金属酸化物膜を透明導電層とすることが好ましい。金属酸化物膜は、例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムまたは酸化スズの金属酸化物膜;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよい。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号公報、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報記載の方法で成膜することができる。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、またはプラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。透明導電層を形成する前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、またはコロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得られた透明導電層の膜厚は、20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
透明導電層の25℃、相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、0.1〜100Ω/□であることがより好ましく。0.5〜60Ω/□であることがさらに好ましい。また、透明導電層の光透過性は、80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
[画像表示装置]
以上説明した本発明のフィルムは、画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置の種類は特に限定されず、従来知られているものを挙げることができる。また、本発明のフィルムを基板として用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製することができる。前記フラットパネルディスプレイとしては液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、無機エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管、発光ダイオード、電界放出型などが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、フラットパネルディスプレイ以外にも太陽電池、タッチパネルなどの用途にも応用が可能である。タッチパネルは、例えば、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
また、本発明のフィルムに薄膜トランジスタTFTを作製することができる。TFTは、特開平11−102867号公報、特表平10−512104号公報、特開2001−68681号公報に開示されている公知の方法で作製することができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
本発明で作製するTFTはアモルファスシリコンTFTでもよく、多結晶シリコンTFTでもよい。アモルファスシリコンの多結晶化にはレーザー照射によるアニール法が好ましく用いられる。
TFTの半導体層のシリコンを製膜する方法として、スパッタリング法、プラズマCVD法、ICP−CVD法、Cat−CVD法などが挙げられるが、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法で作製することでシリコン薄膜中の水素濃度を低減することができ、多結晶化のためのレーザー照射によるシリコン層の剥がれを防ぐことができる。
本発明のフィルム上にTFT作製に必要な真性シリコン薄膜、不純物シリコン薄膜、窒化ケイ素薄膜、酸化ケイ素薄膜などはプラズマCVDで製膜できるが、その際の基板温度は250℃以下であることが好ましい。
画素電極にはITO、IZOをスパッタ法にて作製することができる。抵抗率を下げるための熱処理温度は250℃以下であることが好ましい。
本発明で作製するTFTの構造はチャネルエッチング型、エッチングストッパ型、トップゲート型、ボトムゲート型などいずれの構造であってもよい。
本発明のフィルムを基板として液晶表示装置用途などで使用する場合、光学的均一性を達成するために、フィルムを構成する樹脂組成物は非晶性ポリマーであることが好ましい。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で、固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。
本発明のフィルムは、レターデーション(Re)を制御し、ガス透過性や力学特性を改善する観点からは、異種樹脂組成物を組み合わせて積層等することが好ましい。異種樹脂組成物の好ましい組み合わせは特に制限はなく、前記したいずれの樹脂組成物も使用可能である。
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、および偏光膜の構成を一般に有している。このうち本発明のフィルムは、透明電極および/または上基板として用いることができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に形成することが好ましい。
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、および偏光膜の構成を一般に有している。このうち本発明のフィルムは上透明電極および/または上基板として用いることができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶層(液晶セル)の種類は特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のフィルムは、表示モードの液晶表示装置に用いることも有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置に用いても有効である。
液晶セルおよび液晶表示装置については、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206)、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc.of the−18th−Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP International 99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the−18th−Inter. Displayres. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報、および国際公開第00/65384号パンフレット等に記載されている。
本発明のフィルムは、有機EL表示用途に好適に使用できる。有機EL表示装置の具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
本発明のフィルムが使用できる有機EL表示装置は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40V)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。これら発光素子の駆動については、例えば、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号等の各公報、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
有機EL表示装置のフルカラー表示方式としては、カラーフィルター方式、3色独立発光方式、色変換方式などいずれの方式を用いてもよい。
液晶表示措置、有機EL表示装置の駆動方式としてはパッシブマトリックス、アクティブマトリックスのいずれでもよい。
本発明のフィルムは、光学フィルム、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、透明導電フィルム、表示装置用基板、フレキシブルディスプレイ用基板、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池用基板、タッチパネル用基板、フレキシブル回路用基板、光ディスク保護フィルムなどに用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(ポリマーの合成)
−例示化合物P−2の合成−
攪拌装置を備えた300mlの三つ口フラスコに、2,2’−ビスメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル4.29g、ハイドロサルファイトナトリウム60mg、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド278mg、塩化メチレン65ml、および蒸留水75mlを添加し、窒素気流下攪拌し溶解した。該溶液中に、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド2.54g、イソフタル酸クロライド2.03gを塩化メチレン30mlに溶解した溶液を添加した。さらに2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液21mlおよび水9mlの混合液を20〜23℃で1時間掛けて滴下した。滴下終了後3時間攪拌した後、反応液を1リットルの三つ口フラスコに移し、酢酸350μlおよび酢酸エチル300mlをゆっくり添加した。得られたポリマー粉体を濾取したのち、酢酸エチル300ml、水300ml、メタノール300mlで順次洗浄し乾燥することにより上述の例示化合物P−2を8.13g得た。
GPC(THF溶媒;ポリスチレン換算(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)による測定の結果、重量平均分子量は150000であった。また得られたポリマーを塩化メチレンに溶解し、ガラス板上に流延後、乾燥して得られた厚さ100μmのフィルムについてTMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)を用いてガラス転移温度を測定したところ270℃であった。
−例示化合物P−7の合成−
攪拌装置を備えた300mlの三つ口フラスコに2,2’−ジメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル2.57g、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル2.58g、ハイドロサルファイトナトリウム60mg、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド278mg、塩化メチレン65ml、および蒸留水75mlを添加し、窒素気流下攪拌し溶解した。該溶液中に、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド2.54g、テレフタル酸クロライド2.03gを塩化メチレン30mlに溶解した溶液を添加した。さらに2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液21mlおよび水9mlの混合液を20〜23℃で1時間掛けて滴下した。滴下終了後3時間攪拌した後、反応液を1リットルの三つ口フラスコに移し、酢酸350μlおよび酢酸エチル300mlをゆっくり添加した。得られたポリマー粉体を濾取したのち、酢酸エチル300ml、水300ml、メタノール300mlで順次洗浄し乾燥することにより例示化合物P−7を8.2g得た。
GPC(THF溶媒;ポリスチレン換算(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)による測定の結果、重量平均分子量は160000であった。また得られたポリマーを塩化メチレンに溶解し、ガラス板上に流延後、乾燥して得られた厚さ100μmのフィルムについてTMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)を用いてガラス転移温度を測定したところ280℃であった。
−例示化合物P−8の合成−
攪拌装置を備えた300mlの三つ口フラスコに2,2’−ビスメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル2.57g、ビスフェノールA 4.11g、ハイドロサルファイトナトリウム60mg、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド278mg、塩化メチレン65ml、および蒸留水75mlを添加し、窒素気流下攪拌し溶解した。該溶液中に、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド1.52g、テレフタル酸クロライド3.65gを塩化メチレン30mlに溶解した溶液を添加した。さらに2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液21mlおよび水9mlの混合液を20〜23℃で1時間掛けて滴下した。滴下終了後3時間攪拌した後、反応液を1リットルの三つ口フラスコに移し、酢酸350μlおよび酢酸エチル300mlをゆっくり添加した。得られたポリマー粉体を濾取したのち、酢酸エチル300ml、水300ml、メタノール300mlで順次洗浄し乾燥することにより例示化合物P−8を8.5g得た。
GPC(THF溶媒;ポリスチレン換算(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)による測定の結果、重量平均分子量は200000であった。また得られたポリマーを塩化メチレンに溶解し、ガラス板上に流延後、乾燥して得られた厚さ100μmのフィルムについてTMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)を用いてガラス転移温度を測定したところ265℃であった。
−比較例化合物H−1の合成−
比較例化合物として、下記の構造を持つポリマーを特開2004−13068号公報の段落番号0067〜0074に記載の方法にて合成した。
GPC(THF溶媒;ポリスチレン換算(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)による測定の結果、重量平均分子量は100000であった。また得られたポリマーを塩化メチレンに溶解し、ガラス板上に流延後、乾燥して得られた厚さ100μmのフィルムについてTMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)を用いてガラス転移温度を測定したところ190℃であった。
Figure 2007254663
−比較例化合物H−2の合成−
比較例化合物として、下記の構造を持つポリマーを モノマーとして4,4’−ビフェノールを用いた以外は合成例1と同様の操作にて合成した。しかしながら、重合反応中、ポリマーが析出してきた。析出してきたポリマーは塩化メチレンおよびTHFには溶解性を示さなかった。
Figure 2007254663
[実施例1]
(フィルムの作製、延伸および熱処理)
例示化合物P−2を塩化メチレンに5質量%で溶解させドープを調製した。ガラス板上にドクターブレードにて流延し、40℃にて乾燥させた。ガラス板より剥離し、真空、150℃、5時間乾燥させることで塩化メチレンを完全に除去し、フィルムを作製した。
フィルムを20mm×70mmの大きさに切り出してテンシロンにより自由端一軸延伸した。チャック間50mm、延伸温度250℃、延伸速度50mm/min、延伸距離15mm(延伸倍率1.3倍)とした。延伸後、室温に冷却した後、金枠で延伸方向の両端を固定し、200℃で2時間熱処理を行い、FU−1を作製した。TMAにて線熱膨張係数の測定を行った。
また、フィルムを120mm×120mmの大きさに切り出して、同時二軸延伸機により延伸した。第1段目の延伸条件はチャック間距離100mm(縦、横ともに)、樹脂温度250℃、延伸速度100mm/分(縦、横共に)、延伸距離30mm(縦、横共に)とした。延伸後、二軸延伸機に保持したまま、260℃に加熱し、応力がほぼ一定値になるまで熱処理した。第2段目の延伸条件は、樹脂温度260℃、延伸速度100mm/分(縦、横共に)、延伸距離10mm(縦、横共に)とした。延伸後、フィルム温度を100℃以下に冷却し、二軸延伸機から取り出した。延伸したフィルムを内側120mm角の金枠にセットし、250℃の窒素雰囲気下にて24時間熱処理を行い、延伸フィルムFB−1を作製した。
[実施例2]
例示化合物P−7を用いて実施例1と同様の操作にて一軸延伸フィルムFU−2、二軸延伸フィルムFB−2を作製した。ただし、テンシロンの延伸温度を260℃、二軸延伸の一段目の延伸温度を260℃、延伸後後の熱処理温度および2段目の延伸時の樹脂温度を270℃とした。二軸延伸後の熱処理温度を250℃とした。
[実施例3]
例示化合物P−8を用いて実施例1と同様の操作にて一軸延伸フィルムFU−3、二軸延伸フィルムFB−3を作製した。ただし、テンシロンの延伸温度を250℃、二軸延伸の一段目の延伸温度を250℃、延伸後後の熱処理温度および2段目の延伸時の樹脂温度を260℃とした。二軸延伸後の熱処理温度を250℃とした。
[比較例1]
実施例1と同様の操作にて比較例化合物H−1の一軸延伸フィルムHU−1および二軸延伸フィルムHB−1を作製した。但し、テンシロンの延伸温度を170℃、二軸延伸の一段目の延伸温度を170℃、延伸後後の熱処理温度および2段目の延伸時の樹脂温度を180℃とした。二軸延伸後の熱処理温度を160℃とした。
[比較例2]
実施例1と同様の操作にて比較例化合物H−2の一軸延伸フィルムHU−2および二軸延伸フィルムHB−2を作製しようと試みたが、比較例化合物H−2が溶剤に溶けずフィルムを作製することができなかった。
<重量平均分子量>
東ソー(株)製の「HLC−8120GPC」を用いて、テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定によりポリスチレンの分子量標準品と比較して重量平均分子量を求めた。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(DSC6200、セイコー(株)製)を用いて、窒素中、昇温温度10℃/分の条件で各フィルム試料のTgを測定した。
<フィルムの厚さ>
アンリツ(株)製の「K402B」を用いて、ダイヤル式厚さゲージによりフィルム基板の厚さを測定した。
<線熱膨張係数>
フィルムサンプル(19mm×5mm)を作製し、TMA(理学電機(株)製、TMA8310)を用いて測定した。測定速度は、3℃/minとした。測定は3サンプルを行い、その平均値を用いた。測定は25℃から300℃の温度範囲で行い、線熱膨張係数は昇温時の25℃〜200℃の範囲で計算した。但し、ガラス転移が200℃以下の比較例サンプルについては、25℃〜150℃の温度範囲で算出した。
<光線透過率>
波長400nmにおける光線透過率を分光光度計(島津製作所(株)製、分光光度計UV−3100PC)を用いてフィルム基板の光線透過率を測定した後、膜厚100μmの値に換算した。
<引張弾性率>
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作製し、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)を用いて引張弾性率を測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めることにより評価した(サンプルは25℃、相対湿度60%で一晩放置後使用。チャック間距離3cm)。
Figure 2007254663
表1に示すように、実施例1〜3の一軸延伸フィルムの潜熱膨張係数(CTE)は負の値を示し、また、それぞれの二軸延伸フィルムの潜熱膨張係数(CTE)は小さい値を示している。一方、比較例1のフィルムは一軸延伸でCTEが正の値を示し、この二軸延伸フィルムはCTEが55ppm/℃と大きなものになっている。また、実施例1〜3のフィルムは、引張り弾性率は3.0GPa以上を有し、実用十分な力学物性を持っている。
[実施例4〜6、比較例3]
1.ガスバリア層の形成
前記のフィルムFB−1〜FB−3およびHB−1の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Si02をターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWでスパッタリングし、ガスバリア層付きフィルムFG−1〜FG−3、HG−1をそれぞれ得た。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は0.1g/m2・day以下であった。
2.透明導電層の形成
ガスバリア層を設置した前記フィルムFG−1〜FG−3およびHG−1を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設け、FT−1〜FT−3およびHT−1をそれぞれ得た。FT−1〜FT−3、HT−1の40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度はいずれも0.1g/m2・day以下であり、40℃、相対湿度90%における酸素透過度はいずれも0.1ml/m2・day・atm以下であった。また25℃、相対湿度60%におけるITOの表面電気抵抗はいずれも30Ω/□であった。
<加熱試験によるガスバリア性および表面電気抵抗変化の評価>
前記で作製したガスバリアフィルムFG−1〜FG−3、HG−1と透明導電層付フィルムFT−1〜FT−3、HT−1の加熱処理前後でのガスバリア性と表面電気抵抗の変化を測定した。
加熱処理条件は、窒素下、室温から160℃に昇温後、2時間160℃で保持したのち、室温に冷却した。それぞれの物性変化を表2に示す。
Figure 2007254663
本発明のフィルムFG−1〜FG−3、FT−1〜FT−3は加熱処理前後でガスバリア性、表面電気抵抗ともに変化が見られなかったが、比較例のフィルムHB−1、HT−1は両物性ともに悪化していた。これは、本発明のフィルムは線熱膨張係数が小さいことから、無機層との膨張差が小さくなったためである。
[実施例6]
<有機EL素子の作製および評価>
本発明のフィルムFT−1〜FT−3と比較例フィルムHT−1とをそれぞれ用いて、有機EL素子試料を作製した。
前記で透明導電層を形成したフィルムFT−1〜FT−3、HT−1の透明電極層より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
(組成)
・ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製):40質量部
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
・ジクロロエタン:3200質量部
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとした。
(組成)
・ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
・1−ブタノール:3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物:20質量部
Figure 2007254663
基板XYと基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料を得た。
得られた有機EL素子試料をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。本発明のフィルムFT−1〜FT−3を用いて作製した試料は、発光することを確認した。一方、比較フィルムHT−1を用いて作製した試料は一瞬発光したもののすぐに発光しなくなった。
本発明のフィルムFT−1〜FT−3の線熱膨張係数は小さく、試料作製過程での加熱により、無機層にクラックが入らなかったが、比較フィルムHT−1は線熱膨張係数は大きいため加熱による無機層にクラックが入ったためである。
本発明の樹脂は剛直な構造を有し、耐熱性、透明性に優れる。またこの樹脂を用いたフィルムは小さい線熱膨張係数を示すことから、ガスバリアフィルム、透明導電フィルム、画像表示装置用基板として用いることができる。

Claims (19)

  1. 下記一般式(1)で表される構造と下記一般式(2)で表される構造とを有していて、主鎖にエステル結合を有することを特徴とする樹脂。
    Figure 2007254663

    〔一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R11〜R14のうち少なくとも一つは水素原子ではない。〕
    Figure 2007254663
    〔一般式(2)中、R12、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。〕
  2. 下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂。
    Figure 2007254663
    〔一般式(3)中、R31、R32はそれぞれ独立に置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Xは2価の連結基を表す。ただし、Xは環構造の一部ではない。]
  3. 樹脂中の前記一般式(1)の含有量(Amol%)と、前記一般式(3)の含有量(Bmol%)とが、下記式(A)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の樹脂。
    式(A):A+B>40
  4. 前記一般式(3)における、Xがアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、アミノ基、スルホニル基からなる群より選ばれる基であることを特徴とする請求項2または3に記載の樹脂。
  5. 100μm膜換算の膜厚における400nmの波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂。
  6. ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂。
  7. 熱機械分析で測定した長さの変化が、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において極大点を示すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂。
  8. 延伸倍率1.3倍に一軸延伸した後の延伸方向の線熱膨張係数が負であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂。
  9. テトラヒドロフランに1.0質量%以上の濃度で可溶であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に樹脂。
  10. 塩化メチレンに1.0質量%以上の濃度で可溶であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に樹脂。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂で作製したことを特徴とする光学材料。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂で作製したことを特徴とするフィルム。
  13. フィルム面内での線熱膨張係数の最小値が40ppm/℃以下であることを特徴とする請求項12に記載のフィルム。
  14. フィルムのガラス転移温度以上で熱処理した後のフィルム面内での線熱膨張係数の最小値が40ppm/℃以下であることを特徴とする請求項12に記載のフィルム。
  15. フィルム面内での線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることを特徴とする請求項12に記載のフィルム。
  16. フィルムのガラス転移温度以上で熱処理した後のフィルム面内での線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることを特徴とする請求項12に記載のフィルム。
  17. ガスバリア層を設けたことを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のフィルム。
  18. 透明導電層を設けたことを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載のフィルム。
  19. 請求項12〜18のいずれか1項に記載のフィルムを用いて作製したことを特徴とする画像表示装置。
JP2006083126A 2006-03-24 2006-03-24 樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置 Abandoned JP2007254663A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006083126A JP2007254663A (ja) 2006-03-24 2006-03-24 樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006083126A JP2007254663A (ja) 2006-03-24 2006-03-24 樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007254663A true JP2007254663A (ja) 2007-10-04

Family

ID=38629218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006083126A Abandoned JP2007254663A (ja) 2006-03-24 2006-03-24 樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007254663A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010098111A1 (ja) * 2009-02-25 2010-09-02 富士フイルム株式会社 ポリエステル樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置
WO2011118845A1 (en) 2010-03-26 2011-09-29 Fujifilm Corporation Polyester resin, and optical materials, films and image display devices using the same
JP2012196809A (ja) * 2011-03-18 2012-10-18 Fujifilm Corp ポリエステル樹脂フィルムの製造方法
JP2016078372A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 凸版印刷株式会社 透明ガスバリアフィルム

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05331267A (ja) * 1992-06-04 1993-12-14 Mitsubishi Petrochem Co Ltd 全芳香族ポリエステル
JPH07233249A (ja) * 1994-02-23 1995-09-05 Nippon Oil Co Ltd 液晶性ポリエステル
JPH09136946A (ja) * 1995-11-15 1997-05-27 Unitika Ltd ポリアリレート
JP2002284975A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Dainippon Ink & Chem Inc ポリアリレートと金属酸化物との複合体、及びその製造方法
JP2003098557A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Dainippon Ink & Chem Inc 電気泳動表示装置用フィルム基板とその製造方法、及び電気泳動表示装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05331267A (ja) * 1992-06-04 1993-12-14 Mitsubishi Petrochem Co Ltd 全芳香族ポリエステル
JPH07233249A (ja) * 1994-02-23 1995-09-05 Nippon Oil Co Ltd 液晶性ポリエステル
JPH09136946A (ja) * 1995-11-15 1997-05-27 Unitika Ltd ポリアリレート
JP2002284975A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Dainippon Ink & Chem Inc ポリアリレートと金属酸化物との複合体、及びその製造方法
JP2003098557A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Dainippon Ink & Chem Inc 電気泳動表示装置用フィルム基板とその製造方法、及び電気泳動表示装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010098111A1 (ja) * 2009-02-25 2010-09-02 富士フイルム株式会社 ポリエステル樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置
WO2011118845A1 (en) 2010-03-26 2011-09-29 Fujifilm Corporation Polyester resin, and optical materials, films and image display devices using the same
JP2012196809A (ja) * 2011-03-18 2012-10-18 Fujifilm Corp ポリエステル樹脂フィルムの製造方法
JP2016078372A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 凸版印刷株式会社 透明ガスバリアフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080124534A1 (en) Polyamide, Film, and Image Display Device
JP2007063417A (ja) フィルムおよびフィルムの製造方法、ガスバリア層付フィルム、透明導電層付フィルム、並びに、画像表示装置
JP5086526B2 (ja) ポリマー、該ポリマーの製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2006291163A (ja) フィルム、フィルムの製造方法および画像表示装置
JP2007002023A (ja) フィルムおよび画像表示装置
JP2006089585A (ja) ポリマー、樹脂組成物、光学部品、光学フィルム、ガスバリア層付光学フィルム、透明導電層付光学フィルム、tft付光学フィルムおよび画像表示装置
JP2011202129A (ja) ポリエステル樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置
JP2007204574A (ja) ポリアリレート、光学フィルム、および、画像表示装置
JP2006249116A (ja) ポリイミドおよびそれを用いた光学フィルム
JP2007254663A (ja) 樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置
JP2007056216A (ja) ポリアリレート、光学フィルム、および、画像表示装置
JP2005306983A (ja) 光学フィルムおよび画像表示装置
JP2006111866A (ja) ポリアミドおよび前記ポリアミドからなるフィルム
JP2007084650A (ja) 高耐熱ポリマー前駆体フィルム、光学フィルムおよびその製造方法、並びに、これを用いた画像表示装置
JP2007161930A (ja) 光学フィルムおよび画像表示装置
JP2006077185A (ja) ポリアミドおよび前記ポリアミドからなるフィルム
JP2007051214A (ja) 複合材料、ならびにそれを用いたフィルムおよび画像表示装置
WO2010098111A1 (ja) ポリエステル樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置
JP4231440B2 (ja) 樹脂組成物および該樹脂組成物を用いたフィルム、光学部品、画像表示素子
JP4177778B2 (ja) ポリウレタンおよび前記ポリウレタンからなる光学フィルム
JP5723566B2 (ja) ポリエステルおよびその製造方法、並びに、これを用いた樹脂組成物、フィルム、電子材料、光学材料およびガスバリアフィルム
JP2007145950A (ja) フィルムおよびその製造方法、並びに、画像表示装置
JP2006265383A (ja) 樹脂組成物、それを用いたフィルムおよび画像表示装置
JP2011195594A (ja) ポリエステル樹脂、並びに、これを用いた光学材料、フィルムおよび画像表示装置
JP2012196809A (ja) ポリエステル樹脂フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080924

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120327

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20120413