JP5723566B2 - ポリエステルおよびその製造方法、並びに、これを用いた樹脂組成物、フィルム、電子材料、光学材料およびガスバリアフィルム - Google Patents

ポリエステルおよびその製造方法、並びに、これを用いた樹脂組成物、フィルム、電子材料、光学材料およびガスバリアフィルム Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性と熱安定性に優れ、透明性が高くて、フィルム化したときの線熱膨張係数が小さいポリエステルとその製造方法に関する。また、該ポリエステルを用いた樹脂組成物、フィルム、電子材料、光学材料およびガスバリアフィルムにも関する。
近年、ディスプレイ基板をガラスから樹脂へ代替することが検討されており、特に、ITO(酸化インジウムスズ)をのせることができるような樹脂基板等が求められている。樹脂にすることで、軽量化、耐衝撃性、薄型化できるなどの様々な利点が得られるためである。このような樹脂基板がガラスに代替するためには、ある程度の耐熱性(およそ150℃から270℃)が必要となる。また、樹脂を加熱しながらディスプレイ基板を製造する場合、特に樹脂にITOをのせてからアニールする場合には、フィルム化した際に低い線熱膨張係数を有するようにすることが寸法安定性の観点から求められている。
耐熱性と低い線熱膨張係数とを両立するために、芳香族ジオール(その中でも特にビフェノール)とジカルボン酸のポリアリレート構造を有する樹脂を用いた低線熱膨張係数のフィルムの検討がされている(特許文献1参照)。同文献には、ポリアリレートの合成に用いられる芳香族ジオールとして、各種のビフェノール(ビフェニレン骨格を有するもの)やビスフェノールが記載されている。
しかし、特許文献1には、芳香族ジオールとしてビフェノールとビスフェノールを併用して合成したポリアリレートが、これらを併用せずに合成したポリアリレートとは異なる性状を示すことを示唆する記載はない。また、特許文献1には、ビフェノールやビスフェノールとして、広範な置換基で置換されたビフェノールやビスフェノールを使用しうることが記載されているが、特にアリール基で置換されたものを選択して使用することや、ビスフェノールの連結基の炭素数を選択することは記載されておらず、またそのような選択をした場合の効果についても一切記載されていない。
一方、特許文献2には、置換ビスフェノールから誘導される構造単位と、ビスフェノールAから誘導される構造単位を含みうる広範なポリエステルが開示されている。しかしながら、特許文献2のポリマーは液晶性を示すものであり、室温では白濁した不透明なポリエステルである。また、ビスフェノールA以外のビスフェノールは記載されておらず、置換ビスフェノールの置換基としてアリール基を選択した場合の効果についても言及がない。
さらに、特許文献3には、芳香族ジオールとしてビフェノール1種とビスフェノール1種とを組み合わせることで、電気的特性、溶媒への溶解性および保存安定性が改善された樹脂が開示されている。具体的には、4,4’−ビフェノールの置換基の位置が3,3’−ジメチルの例、3,3’,5,5’−テトラメチルの例、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルの例について、それぞれビスフェノールA、ビスフェノールCまたはビスフェノールZと組み合わせた樹脂が開示されているに過ぎない。特許文献3にも、ビフェノールをアリール基で置換するとともに、ビスフェノールの連結基の炭素数を変えることについて言及はなく、その効果についても示唆はない。
また、特許文献4には、芳香族ジオールとしてビフェノール1種とビスフェノール1または2種とを組み合わせることで、耐熱性、強度、耐加水分解性が改善された樹脂が開示されている。具体的には、4,4’−ビフェノールの置換基の位置が3,3’,5,5’−テトラメチルの例について、ビスフェノールAと組み合わせた樹脂が開示されている。特許文献4にも、ビフェノールをアリール基で置換するとともに、ビスフェノールの連結基の炭素数を変えることについて言及はなく、その効果についても示唆はない。
特開2007−254663号公報 特開平3−229722号公報 特開平10−017658号公報 特開昭58−180525号公報
本発明者らが、従来提案されているポリマーの耐熱性、熱安定性、透明性、およびフィルム化したときの線熱膨張係数を検討したところ、これらのすべてを十分に満足するものではないことが判明した。特に、上記特許文献に記載されているポリマーは、高温時においてゲル化しやすいため、ポリマー溶解時に不溶物が残りやすいという問題がある。このため、高温プロセスで効率良くフィルム等を製造することができず、また製膜したフィルムの熱寸法安定性も劣るという問題がある。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、耐熱性と熱安定性に優れ、透明性が高くて、フィルム化したときの線熱膨張係数が小さいポリエステルとその製造方法を提供することを本発明の目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、本発明者らは、特定の構造単位を組み合わせて有するポリエステルが優れた性質を有することを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを有することを特徴とするポリエステル。
Figure 0005723566
[一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11〜R18の少なくとも1つは置換または無置換のアリール基である。]
Figure 0005723566
[一般式(2)中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Xは炭素数4〜30の2価の連結基である。]
[2] 前記一般式(1)において、R11〜R18の少なくとも1つが炭素数6〜15のアリール基であることを特徴とする[1]に記載のポリエステル。
[3] 前記一般式(1)において、R15〜R18の少なくとも1つが置換または無置換のアリール基であることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステル。
[4] 前記一般式(1)において、R11〜R18の少なくとも1つが置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、または置換または無置換のビフェニル基であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリエステル。
[5] 前記一般式(2)において、Xが炭素数4〜20の2価の連結基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリエステル。
[6] 前記一般式(2)において、Xが環構造を有する炭素数4〜20の2価の連結基であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載のポリエステル。
[7] 前記一般式(1)で表されるモノマー由来の構造単位を10〜40モル%含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載のポリエステル。
[8] 前記一般式(2)で表されるモノマー由来の構造単位を10〜25モル%含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載のポリエステル。
[9] 下記式(A)で定義されるα値が0.68以下であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載のポリエステル。
Figure 0005723566
[上記式(A)において、ポリエステルがn種類のモノマー単位で構成されている場合、Miはi番目のモノマー単位の分子量を表し、Aiはi番目のモノマー単位に含まれる芳香族性炭素に置換した脂肪族炭化水素基の分子量を表し、Ciはポリエステル中でi番目のモノマー単位が占める質量分率を表す。]
[10] 重量平均分子量が7000〜2000000であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載のポリエステル。
[11] 下記一般式(I)で表されるモノマーと下記一般式(II)で表されるモノマーとを少なくとも含むジオール系モノマーと、カルボン酸系モノマーとを反応させることを特徴とするポリエステルの製造方法。
Figure 0005723566
[一般式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または前記ジカルボン酸系モノマーと反応してエステル結合を形成しうる置換基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11〜R18の少なくとも1つは置換または無置換のアリール基である。]
Figure 0005723566
[一般式(II)中、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子または前記ジカルボン酸系モノマーと反応してエステル結合を形成しうる置換基を表し、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Xは炭素数4〜30の2価の連結基である。]
[12] 一般式(I)におけるR1およびR2がいずれも水素原子であり、かつ、一般式(II)におけるR3およびR4がいずれも水素原子であることを特徴とする[11]に記載のポリエステルの製造方法。
[13] 一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーとを少なくとも含む芳香族モノマーに脂肪酸無水物を添加してアシル化する工程と、
該アシル化物と芳香族ジカルボン酸とを溶融重合または高温溶液重合によりエステル交換して芳香族ポリエステルを得る工程と
を含むことを特徴とする[12]に記載のポリエステルの製造方法。
[14] 前記アシル化工程において、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することを特徴とする[13]に記載のポリエステルの製造方法。
[15] [11]〜[14]のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるポリエステル。
[16] [1]〜[10]または[15]のいずれか一項に記載のポリエステルを含有する樹脂組成物。
[17] [16]に記載の樹脂組成物より作製したフィルム、電子材料、光学材料またはガスバリアフィルム。
本発明のポリエステルは、耐熱性と熱安定性に優れ、透明性が高くて、フィルム化したときの線熱膨張係数が小さいという性質を有する。このようなポリエステルは、溶融重縮合による本発明の製造方法によって、効率良く製造することができる。また、本発明のポリエステルは成形時の透明性や熱安定性に優れているため、フィルム、電子材料、光学材料およびガスバリアフィルムに好適に用いることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
《本発明のポリエステル》
(構造的特徴)
本発明のポリエステルは、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とを有することを特徴とする。このような構造単位を組み合わせて含むことにより、本発明のポリエステルは耐熱性と熱安定性に優れ、透明性が高くて、フィルム化したときの線熱膨張係数が小さいという優れた性質を有している。
(一般式(1)で表される構造単位)
本発明のポリエステルに含まれる一般式(1)の構造単位は以下の通りである。
Figure 0005723566
一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11〜R18の少なくとも1つは置換または無置換のアリール基である。
一般式(1)のR11〜R18の少なくとも1つが表すアリール基は、1つのベンゼン環からなるものであってもよいし、2以上のベンゼン環が融合または単結合により結合したものであってもよい。そのようなアリール基として、フェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基、2−ナフチル基を挙げることができる)、ビフェニル基(3−ビフェニル基、4−ビフェニル基を挙げることができ、4−ビフェニル基が好ましい)等を挙げることができる。また、フェニレン基やナフチレン基が鎖状または分枝状に連結した1価の基も挙げることができる。好ましいのはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基であり、より好ましいのはフェニル基、2−ナフチル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基である。アリール基の炭素数は6以上であり、6〜15であることが好ましい。
アリール基は置換されていてもよい。置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(炭素数1〜3が好ましく、炭素数1〜2がより好ましく、炭素数1がさらに好ましい)、炭素数1〜6のアルコキシ基(炭素数1〜3が好ましく、炭素数1〜2がより好ましく、炭素数1がさらに好ましい)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、フッ素原子が好ましい)、シアノ基を挙げることができる。アリール基は置換されていないものであることが好ましい。
一般式(1)のR11〜R18のうち、R15〜R18の少なくとも1つがアリール基であることが好ましい。また、R15〜R18の少なくとも2つがアリール基であることがより好ましい。R11〜R14がアリール基である場合も、R11〜R14の少なくとも2つがアリール基であることがより好ましい。また、これらのアリール基は一般式(1)で表される構造単位が対称形となるように置換されていることが好ましい。さらに、一般式(1)のR11〜R18のうちの2以上がアリール基である場合、それらのアリール基はすべて同一種のアリール基であることが好ましい。
一般式(1)のR11〜R18は、それらのうちの少なくとも1つがアリール基であれば、その他はアリール基以外の置換基であってもよい。アリール基以外の置換基としては、アルキル基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、フッ素原子が好ましい)、アシル基(炭素数2〜6が好ましく、炭素数2〜4が好ましく、炭素数2〜3がさらに好ましい)、アシルアミノ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ニトロ基、シアノ基、およびこれらを組み合わせた基などが挙げられる。アリール基以外のR11〜R18は、いずれも水素原子であることが好ましい。
以下に一般式(1)で表される構造単位の具体例を示すが、本発明で採用することができる一般式(I)で表される構造単位はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005723566
(一般式(2)で表される構造単位)
本発明のポリエステルに含まれる一般式(2)の構造単位は以下の通りである。
Figure 0005723566
一般式(2)中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Xは炭素数4〜30の2価の連結基である。
一般式(2)のR21〜R28の置換基としては、アリール基(炭素数6〜15が好ましく、炭素数6〜12がよりこのましい)、アルキル基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、フッ素原子が好ましい)、アシル基(炭素数2〜6が好ましく、炭素数2〜4が好ましく、炭素数2〜3がさらに好ましい)、アシルアミノ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ニトロ基、シアノ基、およびこれらを組み合わせた基などが挙げられる。置換基として好ましいのは、アリール基である。
一般式(2)のR21〜R28は、いずれも水素原子であることが好ましい。
一般式(2)のXが表す2価の連結基の例としては、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンチオアルキレン基、フェニレンアルキレンフェニレン基などを挙げることができる。また、Xは環構造の一部でもよく、すなわちX自体が環を含む連結基であってもよく、前記XがR21〜R28のうち少なくとも一つ(好ましくはR21〜R24のうち少なくとも一つ)とともにXの両側に連結しているベンゼン環の一方および/または両方と融合環を作ってもよいことを意味する。X自体が環を含む連結基の例としては、フルオレン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、クロマン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、インドリン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環等が挙げられる。上記の連結基は置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、アリール基(炭素数6〜15が好ましく、炭素数6〜12がよりこのましい)、アルキル基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、フッ素原子が好ましい)、アシル基(炭素数2〜6が好ましく、炭素数2〜4が好ましく、炭素数2〜3がさらに好ましい)、アシルアミノ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ニトロ基、シアノ基、およびこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
一般式(2)のXが表す2価の連結基の炭素数は4〜30である。炭素数の下限値は5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましい。炭素数の上限値は28以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。
以下に一般式(2)で表される構造単位の具体例を示すが、本発明で採用することができる一般式(2)で表される構造単位はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005723566
(その他のジオール系構造単位)
本発明のポリエステルには、一般式(1)や一般式(2)で表される構造単位以外のジオール系構造単位が含まれていてもよい。
そのようなジオール系構造単位として種々の構造単位を含むことが可能であるが、アリーレン基を含むジオール系構造単位を含むことが好ましい。ここでいうアリーレン基は、1つのベンゼン環からなるものであってもよいし、2以上のベンゼン環が融合または単結合により結合したものであってもよい。そのようなアリーレン基として、フェニレン基(好ましくは1,4−フェニレン基)、ナフチレン基(好ましくは2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基)、ビフェニレン基(好ましくは2,5−ビフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基であり、より好ましくは4,4’−ビフェニレン基)を挙げることができる。当該アリーレン基は置換されていてもよく、その場合の置換基としては、アルキル基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、フッ素原子が好ましい)、アシル基(炭素数2〜6が好ましく、炭素数2〜4が好ましく、炭素数2〜3がさらに好ましい)、アシルアミノ基(炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1〜2がさらに好ましい)、ニトロ基、シアノ基を挙げることができる。アリーレン基を含むジオール系構造単位には、アリーレン基が2以上含まれていてもよい。好ましいのはアリーレン基が1つまたは2つ含まれているモノマーである。アリーレン基が2つ含まれている場合は、対称構造を有するモノマーが好ましく、2つのアリーレン基の間に2価の連結基を有するものであることが好ましい。当該2価の連結基としては、アルキレン基(炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、2,2−プロピレン基を例示することができる)、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=O)NH−、−C(=S)NH−、−NR31−(ここでR31は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、−NH−、−N(CH3)−を例示することができる)を挙げることができる。
本発明で用いることができる、一般式(1)や一般式(2)で表される構造単位以外のジオール系構造単位の具体例を以下に挙げるが、本発明で採用することができるジオール系構造単位はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005723566
(ジカルボン酸系構造単位)
本発明のポリエステルには、ジカルボン酸系構造単位が含まれている。
ジカルボン酸系構造単位は、2つのカルボニルオキシ基の間を2価の連結基で結合した構造を有する。2価の連結基としては、アリーレン基を含むものが好ましく、アリーレン基を1つまたは2つ含むものがより好ましい。アリーレン基が2つ含まれている場合は、対称構造を有するモノマーが好ましく、2つのアリーレン基の間に2価の連結基を有するものであることが好ましい。当該2価の連結基の説明と好ましい範囲、アリーレン基の説明と好ましい範囲、アリーレン基の置換基の説明と好ましい範囲については、上記のその他のジオール系構造単位の対応する記載を参照することができる。
以下に、本発明のポリエステルに含ませることができるジカルボン酸構造単位の具体例を挙げるが、本発明で採用することができるジカルボン酸構造単位はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005723566
(ヒドロキシカルボン酸系構造単位)
本発明のポリエステルには、ヒドロキシカルボン酸系構造単位が含まれていてもよい。
本発明で用いることができるヒドロキシカルボン酸系構造単位は、ヒドロキシ基とカルボキシル基の間を2価の連結基で結合した構造を有する。2価の連結基としては、アリーレン基を含むものが好ましく、アリーレン基を1つまたは2つ含むものがより好ましい。アリーレン基が2つ含まれている場合は、対称構造を有するモノマーが好ましく、2つのアリーレン基の間に2価の連結基を有するものであることが好ましい。当該2価の連結基の説明と好ましい範囲、アリーレン基の説明と好ましい範囲、アリーレン基の置換基の説明と好ましい範囲については、上記のその他のジオール系構造単位の対応する記載を参照することができる。
以下に、本発明のポリエステルに含ませることができるヒドロキシカルボン酸系構造単位の具体例を挙げるが、本発明で採用することができるヒドロキシカルボン酸系構造単位はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005723566
(構造単位の存在割合)
本発明のポリエステル中における一般式(1)で表される構造単位は、共重合成分の構造によっても異なるが、線熱膨張係数低下、透明性、熱安定性及び諸物性とのバランスの観点から10〜40モル%含有されることが好ましく、15〜34モル%含有されることがより好ましく、18〜30モル%含有されることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル中における一般式(2)で表される構造単位も、共重合成分の構造によっても異なるが、延伸性、耐熱性(ガラス転移温度)及び諸物性とのバランスの観点から、5〜40モル%含有されることが好ましく、16〜35モル%含有されることがより好ましく、20〜32モル%含有されることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル中における一般式(1)や一般式(2)の構造単位以外のジオール系構造単位の割合は、用いる構造によっても異なるが、諸性能とのバランスの観点から、0〜35モル%であることが好ましく、0〜18モル%であることがより好ましく、0〜12モル%であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル中におけるジカルボン酸系構造単位の割合は、線熱膨張係数低下、透明性等の観点から、41〜50モル%であることが好ましく、44〜50モル%であることがより好ましく、46〜50モル%であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル中におけるヒドロキシカルボン酸系構造単位の割合は、線熱膨張係数低下、透明性等の観点から、0〜18モル%であることが好ましく、0〜12モル%であることがより好ましく、0〜8モル%であることがさらに好ましい。
(α値)
熱安定性の観点から、本発明のポリエステルに占める芳香族炭素上に置換した炭化水素基の含率は低いことが好ましく、芳香族炭素上に炭化水素基が置換していないことがさらに好ましい。本発明のポリエステルに占める芳香族炭素上に置換した炭化水素基の含率に関連する値として、αを下記数式(A)のように定義する。
Figure 0005723566
上記式(A)において、ポリエステルがn種類の構造単位(繰り返し単位)で構成されている場合、Miはi番目の構造単位の分子量を表し、Aiはi番目の構造単位に含まれる芳香族性炭素に置換した脂肪族炭化水素基の分子量を表し、Ciはポリエステル中でi番目の構造単位が占める質量分率を表す。ここでいう脂肪族炭化水素基とは、炭素原子と水素原子からなる脂肪族原子団のみならず、このような脂肪族原子団が任意の置換基により置換されたものも包含される。脂肪族原子団が任意の置換基により置換されている場合、置換基の分子量はAiに含まれない。例えば、i番目の構造単位に含まれる芳香族炭素の置換基が、*−CH2−O−CH3である場合(*は芳香族炭素を表す)、芳香族炭素に置換した脂肪族炭化水素基はメチレン基であるから、Ai=14.03である。この場合、メトキシ基は置換基であり、メチル基は芳香族炭素に置換した脂肪族炭化水素基とは見做さない。
α値は0.68以下であることが好ましく、0.32以下であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
以下に本発明のポリエステルを構成する構造単位の組み合わせ例を挙げるが、本発明のポリエステルの範囲は以下の例示によって限定的に解釈されることはない。
Figure 0005723566
Figure 0005723566
Figure 0005723566
《本発明のポリエステルの製造方法》
本発明のポリエステルは、モノマーを重合することにより製造することができる。
具体的には、下記一般式(I)で表されるモノマーと下記一般式(II)で表されるモノマーとを少なくとも含むジオール系モノマーと、カルボン酸系モノマーとを反応させることによって製造することができる。
Figure 0005723566
一般式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または前記ジカルボン酸系モノマーと反応してエステル結合を形成しうる置換基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11〜R18の少なくとも1つは置換または無置換のアリール基である。
1およびR2は典型的には水素原子であるが、エステル結合を形成するために反応させるモノマーの種類や重合時の環境(使用触媒、温度条件、pHなど)によっては、反応によってエステル結合を形成しうる置換基であってもよい。そのような基としてアシル基等を挙げることができる。R11〜R18の説明と好ましい範囲については、上記の一般式(1)の対応する説明を参照することができる。
置換基を有するビフェノール誘導体の一般的合成法として、Macromolecules誌、1996, 29, 3727-3735頁、繊維化学雑誌、第84巻、第2号(1963)143-145頁に記載の方法を挙げることができる。
Figure 0005723566
一般式(II)中、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子または前記ジカルボン酸系モノマーと反応してエステル結合を形成しうる置換基を表し、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Xは炭素数4〜30の2価の連結基である。
1およびR2も典型的には水素原子であるが、エステル結合を形成するために反応させるモノマーの種類や重合時の環境(使用触媒、温度条件、pHなど)によっては、反応によってエステル結合を形成しうる置換基であってもよい。そのような基としてアシル基等を挙げることができる。R21〜R28の説明と好ましい範囲については、上記の一般式(2)の対応する説明を参照することができる。
重合反応を行う際には、上記一般式(I)で表されるモノマーや上記一般式(II)で表されるモノマー以外のジオール系モノマーも用いることもできる。具体的には、上記のその他のジオール系構造単位に対応するジオール系モノマーを挙げることができる。
これらのジオール系モノマーは、カルボン酸系モノマーと反応させて重合させる。ここでいうカルボン酸系モノマーとは、少なくとも1つのカルボキシル基を有する2官能以上のモノマーである。
上記のジカルボン酸系構造単位に対応するジカルボン酸や、上記のヒドロキシカルボン酸系構造単位に対応するヒドロキシカルボン酸などをモノマーとして用いることができる。
上記モノマーを用いたポリエステルの一般的合成法として、新高分子実験学3 高分子の合成・反応(2)、共立出版(87項〜95項)に記載の方法を挙げることができる。また、合成時に各モノマー成分を添加する順番については特に制限はなく、全てのモノマー成分を同時に添加してもよいし、ビフェノールかビスフェノールのいずれかを先行して重合させてもよい。
また二価カルボン酸ハライドと二価フェノールを有機溶剤中にて反応させる溶液重合、二価のカルボン酸と二価のフェノールをジアリルカーボネートもしくは無水酢酸の存在下で反応させる溶融重縮合により合成してもよい。
《本発明のポリエステルの製造方法》
本発明では、R1およびR2がいずれも水素原子である一般式(I)で表されるモノマーと、R3およびR4がいずれも水素原子である一般式(II)で表されるモノマーを用いて、下記の好ましい方法によりポリエステルを製造することが好ましい。
本発明の好ましい製造方法では、一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーを少なくとも含む芳香族モノマーに脂肪酸無水物を添加してアシル化する工程の後に、該アシル化物と芳香族ジカルボン酸とを溶融重合または高温溶液重合によりエステル交換して芳香族ポリエステルを得る工程を実施する。この製造方法によれば、ゲル化を抑えながら重合させやすく、低コストで効率よく良質なポリエステルを製造することができる。
(アシル化工程)
アシル化工程では、 芳香族ジオールに脂肪酸無水物を添加する。これによって、アシル化反応後に前記脂肪酸無水物から遊離する脂肪酸を加熱して系外に取り除くことでアシル化反応の平衡を進行方向に移動させ、芳香族ジオールのアシル化率を高めることができる。その結果、溶融重合または高温溶液重合により得られるポリエステルのゲル化を抑制することができる。
前記脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2−エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸等が挙げられるが、特に限定されるものでない。これらは2種類以上を混合して用いてもよい。経済性と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、無水酢酸がより好ましい。
ポリエステルの重合に用いられる全ての芳香族ジオールのフェノール性水酸基に対する前記脂肪酸無水物の使用量は、1.0〜1.4倍当量が好ましく、1.0〜1.30倍当量がより好ましく、1.03〜1.15倍当量が特に好ましい。前記脂肪酸無水物の使用量が、前記フェノール性水酸基に対して1.0倍当量以上の場合には、アシル化反応が十分に進行し、ポリエステルの重合度が上がりやすくなると共に、重合時に未反応の芳香族ジオールまたは芳香族ジカルボン酸が昇華したりせず、反応系が閉塞しにくい傾向があるため好ましい。また1.4倍当量以下の場合には、得られるポリエステルの重合度が上がりやすくなる傾向があり、好ましい。
本発明の好ましい製造方法では、アシル化反応後に前記脂肪酸無水物から遊離する脂肪酸を加熱して系外に取り除きやすくする観点から、前記アシル化工程を開放系(大気圧下)で行うことが好ましい。
本発明の好ましい製造方法では、アシル化を促進するために、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することが好ましい。これらの添加剤を添加することで、特に芳香族ジオールのアシル化反応の添加率が向上し、ポリエステルの重合度を上げることができる。これらの添加剤は製造工程の任意の時期に添加することができるが、特に本発明の好ましい製造方法では、前記アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を、少なくとも前記アシル化工程において添加することが、アシル化反応の反応速度を促進して樹脂組成物をゲル化させないように加熱時間を短縮する観点から好ましい。
前記アルカリ金属塩としては、アルカリ金属の無機酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩が挙げられ、これらのうち、リチウム、ナトリウム、カリウムの無機酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウムの無機酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩記金属のカルボン酸塩がより好ましく、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウムが汎用性、経済性の観点から特に好ましい。
前記アルカリ土類金属塩としては、アルカリ土類金属の無機酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩が挙げられ、これらのうち、マグネシウム、カルシウム、バリウムの無機酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩が好ましく、マグネシウム、カルシウムの無機酸塩、脂肪酸塩、炭酸塩記金属のカルボン酸塩が特に好ましい。
前記アミン化合物としては、1級アミンでも2級アミンでも3級アミンでもよく、脂肪族アミンでも芳香族アミンでもよい。これらの具体例としては、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−N−(2−アミノエチル)エタノールアミンなどに代表されるアルカノールアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、メタキシレンジアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、およびピリジン化合物類、キノリン化合物類、イミダゾール化合物類、トリアゾール化合物類、ジピリジリル化合物類、フェナントロリン化合物類、ジアザフェナントレン化合物類、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン、N,N−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。これらのうち、キノリン化合物類、ピリジン化合物類、イミダゾール化合物類が好ましく、1−メチルイミダゾールが反応性の観点からより好ましい。
前記キノリン化合物類の好ましい例としては、イソキノリン等が挙げられる。
前記ピリジン化合物類の好ましい例としては、β−ピコリン、γ−ピコリン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、4−プロピルピリジン、4−ブチルピリジン、4−イソブチルピリジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、3,4−ジエチルピリジン、3,5−ジエチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン等のアルキルピリジン類、3−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン等のアルキルオキシピリジン類が挙げられる。
前記イミダゾール化合物類の好ましい例としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−4エチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−エチル−2−エチルイミダゾール、1−エチル−2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。
前記アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物は、ポリエステルの重合に用いられる全てのモノマー(全ての芳香族ジオール類、全ての芳香族ジカルボン酸類など)に対して、0.0001〜2.0質量%添加することが好ましく、0.001〜1.0質量%添加することがより好ましく、0.01〜0.5質量%添加することが特に好ましい。
アシル化反応は、130℃〜180℃で30分〜20時間反応させることが好ましく、140〜160℃で1〜5時間反応させることがより好ましい。
本発明の好ましい製造方法は、前記エステル交換工程開始時における、ポリエステルの重合に用いられる全ての芳香族ジオールのフェノール性ヒドロキシル基の平均アシル化率が高いことが好ましい。具体的には96%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、99%以上であることが特に好ましい。この範囲とすることで、反応系内の反応点濃度が高くなり、エステル交換(重縮合)工程での反応率が高まり、より短時間で重合度を向上することが可能となる。
すなわち、本発明の好ましい製造方法におけるアシル化工程の終点は、芳香族ジオール量に対する(導入された)アシル基量を定量することで任意に好ましい時点を決定することができる。すなわち、下記式(1)よりアシル化反応の転化率を算出し、この転化率(平均アシル化率)が一定の値に達した時点をもってアシル化反応の終点とすることが好ましい。
Figure 0005723566
前記平均アシル化率とは、ポリエステルの重合に用いられる全ての芳香族ジオールのアシル化工程前のフェノール性ヒドロキシル基に対する、アシル化工程後にアシル化されている全ての芳香族ジオール由来のフェノール性ヒドロキシル基の割合(百分率)のことを言う。
前記アシル化率は、以下のアシル基量の定量方法で測定することができる。
アシル基量の定量法としては、既知のいかなる手法を用いても良いが、好ましい例としては、反応系中の溶液を一部採取し、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定して定量することが挙げられる。
なお、各芳香族ジオールのアシル化率も同様にして、各芳香族ジオールのアシル化工程前のフェノール性ヒドロキシル基に対する、アシル化工程後にアシル化されている各芳香族ジオール由来のフェノール性ヒドロキシル基の割合(百分率)として求めることができる。
(エステル交換工程)
本発明の好ましい製造方法におけるエステル交換工程は、溶融重合または高温溶液重合によって、前記芳香族ジオールのアシル化物と芳香族ジカルボン酸とをエステル交換して芳香族ポリエステルを得る工程である。
本明細書において、溶融重合とは、重合のどの工程でも実質的に(脱離成分以外の)溶媒を含まない状態で重合する方法のことを言う。
また、高温溶液重合とは、重合のいずれかの工程において意図的に溶媒を添加する方法のことを言う。本発明の好ましい製造方法において、高温溶液重合を行うときに好ましく用いられる溶媒としては、「新高分子実験学第3巻 高分子の合成・反応(2)」(共立出版)の92ページに記載のもの及び、特開平7−188405号公報の[0012]項記載の化合物を挙げることができ、これらのうちでジフェニルエーテルが特に好ましい。溶媒の含有量としては、全ての原料および添加剤と溶媒の合計に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。溶媒は製造開始時から添加されていてもよいが、前記の範囲内となる量を製造工程の任意の時期に添加してもよい。すなわち、前記アシル化工程のみにおいて前記溶媒を添加してもよいし、前記エステル交換工程のみにおいて前記溶媒を添加しても、製造工程全体を通じて前記溶媒を添加して製造してもよい。
前記芳香族ジオールを前記脂肪酸無水物でアシル化したアシル化物に対する、前記芳香族ジカルボン酸の使用量は、0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換(重縮合)反応は、130〜400℃の範囲で2時間〜16時間反応させることが好ましく、140℃〜350℃の範囲で4時間〜8時間反応させることがより好ましく、150〜320℃の範囲で4時間〜6時間反応させることが特に好ましい。反応中に段階的に昇温することも好ましく、この場合、0.1〜50℃/分の割合で昇温させることが好ましく、0.3〜5℃/分の割合で昇温させることがより好ましい。
アシル化された前記芳香族ジオールのアシル化物(脂肪酸エステル)とカルボン酸とをエステル交換反応させる際、平衡をずらすために、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させて系外へ留去することが好ましい。
必要に応じて、反応系内を減圧することで、蒸発を促進してもよい。この場合反応系内の圧は、750Torr〜0.1Torrであることが好ましく、300Torr〜0.1Torrであることがより好ましく、120Torr〜1Torrであることが特に好ましい。また、減圧する際には、上記の範囲内で段階的に減圧することが好ましい。
留出する脂肪酸の一部を還流させて反応器に戻すことによって、脂肪酸と同伴して蒸発または昇華する原料などを凝縮または逆昇華し、反応器に戻すこともできる。この場合、析出した芳香族ジカルボン酸を脂肪酸とともに反応器に戻すことが可能である。
本発明の好ましい製造方法では、少なくとも一種のオニウム塩を添加することが好ましい。特に、前記エステル交換工程において少なくとも一種のオニウム塩を添加することが、前記エステル交換反応の反応速度を挙げて樹脂組成物をゲル化させないように加熱時間を短縮する観点から好ましい。
前記オニウム塩としては、アンモニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレノニウム塩などが挙げられる。中でもアンモニウム塩またはホスホニウム塩が好ましい。
前記アンモニウム塩の好ましい例としては、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ(n−ブチル)アンモニウムハライド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムハライド等が挙げられる。
前記ホスホニウム塩の好ましい例としては、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ(n−ブチル)ホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等が挙げられる。
その中でもテトラ(n−ブチル)アンモニウムハライドを用いることが好ましい。
本発明の好ましい製造方法は、前記芳香族ジカルボン酸に対する、前記オニウム塩の添加量が、0.001〜3.0質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%であることがより好ましく、0.1〜1.0質量%であることが特に好ましい。
本発明の好ましい製造方法における添加剤は、反応系にそのまま添加してもよいが、特に固体、粉末である場合は溶媒に溶解または分散された形態で添加することが、反応系の均一性の観点から好ましい。溶媒としては、反応に用いている脂肪酸無水物もしくは該脂肪酸無水物より生成する脂肪酸を用いることが好ましく、また高温溶液重合による合成の場合には、反応に用いている溶媒と同種のものを用いることも好ましい。添加剤と溶媒との比率は、質量基準で100対0〜1対50であることが好ましく、10対1〜1対20であることがより好ましく、1対1〜1対10であることが特に好ましい。
(固相重合)
前記エステル交換工程によって得られたポリエステルは、必要に応じて固相重合により重合度をさらに上げることができる。具体的には、溶融重縮合または高温溶液重合により得られたポリエステルを固化させた後、粉砕した後、ポリエステル粉末を常圧下または減圧下のいずれの雰囲気で加熱するものである。例えば、ジフェニルとジフェニルエーテルとの混合物やジフェニルスルホンなどの高沸点溶媒中でポリエステル粉末を加熱下で攪拌した後、高沸点溶媒を除去する方法、またはポリエステル粉末を造粒機によりペレット化するなど形状を変化させた後、不活性気体雰囲気下又は減圧下に熱処理する方法などが挙げられる。前記の加熱温度および熱処理の温度は、通常、200〜350℃程度であり、処理時間は、通常、1〜20時間程度である。熱処理の装置としては、例えば、既知の乾燥機、反応機、イナートオーブン、混合機、電気炉等が挙げられる。
《本発明のポリエステルの特性》
(分子量)
本発明のポリエステルの重量平均分子量は、耐熱性(ガラス転移温度)、延伸性の観点から、7000〜200000であることが好ましく、30000〜150000であることがより好ましく、40000〜100000であることが特に好ましい。
また、本発明のポリエステルは共重合体であるが、その重合形式はランダム共重合であっても、ブロック共重合であっても、その他の重合形式であってもよい。
本発明のポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、170〜300℃であることが好ましく、190〜280℃であることがより好ましく、200〜270℃であることがさらに好ましい。本発明の樹脂はTgが高いために、高温を要するプロセス(例えば、光学フィルムとして用いてITOとの積層を行うプロセス等)を行う際の寸法安定性を高めることができる。
(溶解性)
本発明のポリエステルは、有機溶媒に溶解させることができ、このため溶液製膜することが可能である。本発明のポリエステルは、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の溶媒に可溶であることが好ましく、沸点の低い塩化メチレンに溶解することが溶液製膜等の観点から特に好ましい。
《フィルム》
(フィルムの製造方法)
本発明のポリエステルはフィルムとして好ましく用いることができる。本発明のフィルムを製造する方法としては、溶液流延法、押出成形法(溶融成型法)を用いることが好ましく、装置の簡便さから押出成形法を用いることがより好ましい。
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号明細書、米国特許第2367603号明細書、米国特許第2492078号明細書、米国特許第2492977号明細書、米国特許第2492978号明細書、米国特許第2607704号明細書、米国特許第2739069号明細書、米国特許第2739070号明細書、英国特許第640731号明細書、英国特許第736892号明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報に記載がある。
押出成形法については、この分野における公知の方法を採用することができ、特に制限はない。
前記押出成形法を用いて本発明のフィルムを製造する製造装置については、この分野における公知の製造装置を採用することができる。但し、本発明で用いることができる製造装置はこれらに限定されるものではない。
前記押出成形法では、特に制限はないが、製膜前に本発明のポリエステル等を含む樹脂組成物を一度ペレット状に成形することが好ましい。パレット状に成型する場合は、まず、前記樹脂組成物を混練機によって溶融混練し、ヌードル状で取り出したあとカットし、ペレット状の樹脂組成物を調製することが好ましい。
前記樹脂組成物には、上述の本発明の樹脂の他、着色防止剤などの安定化剤、その他の本発明の趣旨に反しない添加剤が含まれていてもよい。
前記溶融混練の温度は、250℃〜350℃であることが好ましく、260℃〜350℃であることがより好ましく、270℃〜340℃であることが特に好ましい。
次に、前記ペレット状の樹脂組成物を溶融押し出し機に導入し、溶融押し出し機の出口に設置してあるダイに樹脂組成物を供給し、ダイから樹脂組成物を溶融押し出しし、これをキャストロール上に押し出し剥ぎ取ることでフィルムを作製することが好ましい。
前記溶融押し出し機としては、特に制限はなく公知の溶融押し出し機を使用でき、例えば、溶融押し出し機を使用することができる。その中でも、二軸押し出し機であることが好ましい。前記ダイの形状は、特に制限はなく公知のダイを用いることができ、Tダイ、ハンガーコートダイなどを用いることができ、ハンガーコートダイを用いることが好ましい。
また、前記溶融押し出し機内における樹脂組成物の温度は、250℃〜350℃であることが好ましく、260℃〜350℃であることがより好ましく、270℃〜340℃であることが特に好ましい。
また、溶融混練の時間は特に制限はない。
前記キャストロールとしては、特に制限はなく公知のキャストロールを使用できる。また、キャストロールの温度は特に制限はない。
本発明のフィルムは延伸することもできる。延伸法としては、公知の方法が使用でき、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、特開平11−48271号各公報などに記載されている、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法、圧延法により延伸することができる。以下に、テンターを用いる延伸法を例に説明する。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施される。フィルムの延伸は、一軸延伸でもよく二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸することができる。また、フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)も可能である。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、0.5〜300%であることが好ましく、さらには1〜200%の延伸が好ましく、特には1〜100%の延伸が好ましい。
延伸速度は5%/分〜1000%/分であることが好ましく、さらに10%/分〜500%/分であることが好ましい。延伸はヒートロールあるいは/および放射熱源(IRヒーター等)、温風により行うことが好ましい。また、温度の均一性を高めるために恒温槽を設けてもよい。
延伸温度は本発明の樹脂のガラス転移温度を基準にして、(Tg−100℃)〜(Tg+25℃)が好ましく、(Tg−80℃)〜(Tg+20℃)がさらに好ましく、(Tg−70℃)〜(Tg+15℃)が特に好ましい。
本発明のフィルムは、延伸後に熱処理をしてもよい。熱処理温度はガラス転移温度Tgを基準にして、(Tg−100℃)〜(Tg+25℃)が好ましく、(Tg−80℃)〜(Tg+20℃)がさらに好ましく、(Tg−70℃)〜(Tg+15℃)が特に好ましい。熱処理をすることで、延伸による収縮応力を緩和し、加熱時の収縮を低減することができる。
(フィルム物性)
また、本発明のフィルムは、熱機械分析で測定した長さの変化が、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において極大点を示すことが好ましい。ここで、熱機械分析とは、JIS規格であるJIS K7197に記載されている分析方法を意味する。また、熱機械分析で測定した長さの変化が極大点を示すとは、長さが収縮した後、膨張し、さらに収縮した場合の挙動を意味する。
本発明のフィルムは100μm膜換算の膜厚における400nmの光線透過率は50%以上であることが好ましい。前記光線透過率が前記範囲にあると、フィルムと密着させたものが透けて見えるという利点がある。前記光線透過率は、70〜100%であることがより好ましく、75%〜100%であることがさらに好ましく、80〜100%であることが特に好ましい。
また、本発明のフィルムは、面内のどの部分においても線熱膨張係数(CTE)が、40ppm/K以下であることが好ましく、30ppm/K以下であることがより好ましく、20ppm/K以下であることがさらに好ましく、15ppm/K以下であることが特に好ましい。CTEが40ppm/K以下である場合、フィルム上に無機薄膜を積層した場合、加熱時に膨張率の差によるクラックの発生、フィルムのそりを抑制できるという利点がある。
本発明でいう線熱膨張係数とは、25℃〜(Tg−10)℃までの温度範囲の値である。
本発明のフィルムの線熱膨張係数は、前記の値であることが好ましく、昇温過程、降温過程両方で前記の値であることが好ましい。また、昇温過程のCTEと降温過程のCTEの差が20ppm/K以下であることが好ましく、10ppm/K以下であることがさらに好ましく、5ppm/K以下であるこが特に好ましい。昇温過程のCTEと降温過程のCTEの差が20ppm/K以下であることで、昇降温の熱処理前後での変形量が小さくなる利点がある。
(破断伸度)
本発明のフィルムは破断伸度が10%以上であることが延伸性の観点から好ましい。前記破断伸度は、15%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることが特に好ましい。
(機能層)
本発明のフィルム表面には、用途に応じて他の層を形成してもよい。また他の部品との密着性を高める目的で、フィルム表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行ってもよい。さらに、フィルム表面にアンカー層を設けてもよい。
−ガスバリア層−
本発明のフィルムは、ガス透過性を抑制するために、少なくとも片面にガスバリア層を積層することもできる。好ましいガスバリア層としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウムおよびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物で形成された膜を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物で形成された膜が良好である。これら無機化合物からなるガスバリア層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるスパッタリング法およびCat−CVD法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50〜250℃に昇温してもよい。
前記ガスバリア層の厚みは、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
前記ガスバリア層は、後述する透明導電層と同じ側、反対側いずれに設けてもよい。
本発明のフィルムには、耐薬品性付与を目的として無機バリア層、有機バリア層、有機−無機ハイブリッドバリア層などを設けてもよい。
−透明導電層−
本発明のフィルムの少なくとも片面側には、透明導電層を積層してもよい。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等を適用できる。中でも、透明性、導電性、機械的特性に優れた金属酸化物膜を透明導電層とすることが好ましい。金属酸化物膜は、例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムまたは酸化スズの金属酸化物膜;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
《本発明の用途》
本発明のポリエステルは、例えば、電子材料や光学材料として有用である。これらの材料として用いる際には、フィルム化したり成形したりするなどして所望の形状に加工する。光学材料としては、例えば偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、電磁波シールドフィルムなどの光学フィルム、透明導電フィルム、表示装置用基板、フレキシブルディスプレイ用基板、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池用基板、タッチパネル用基板、フレキシブル回路用基板、光ディスク保護フィルム、ピックアップレンズ、マイクロレンズアレイ、導光板、光ファイバー、光導波路等を好ましく例示することができる。
(画像表示装置)
本発明のフィルムは、特に画像表示装置に好ましく用いることができる。ここで、画像表示装置の種類は特に限定されず、従来知られているものを挙げることができる。また、本発明のフィルムを基板として用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製することができる。前記フラットパネルディスプレイとしては液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、無機エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管、発光ダイオード、電界放出型などが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、フラットパネルディスプレイ以外にも太陽電池、タッチパネルなどの用途にも応用が可能である。タッチパネルは、例えば、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
また、本発明のフィルムに薄膜トランジスタTFTを作製することができる。TFTは、特開平11−102867号公報、特表平10−512104号公報、特開2001−68681号公報に開示されている公知の方法で作製することができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
本発明で作製するTFTはアモルファスシリコンTFTでもよく、多結晶シリコンTFTでもよい。アモルファスシリコンの多結晶化にはレーザー照射によるアニール法が好ましく用いられる。
TFTの半導体層のシリコンを製膜する方法として、スパッタリング法、プラズマCVD法、ICP−CVD法、Cat−CVD法などが挙げられるが、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法で作製することでシリコン薄膜中の水素濃度を低減することができ、多結晶化のためのレーザー照射によるシリコン層の剥がれを防ぐことができる。
本発明のフィルム上にTFT作製に必要な真性シリコン薄膜、不純物シリコン薄膜、窒化ケイ素薄膜、酸化ケイ素薄膜などはプラズマCVDで製膜できるが、その際の基板温度は250℃以下であることが好ましい。
画素電極にはITO、IZOをスパッタ法にて作製することができる。抵抗率を下げるための熱処理温度は250℃以下であることが好ましい。
本発明で作製するTFTの構造はチャネルエッチング型、エッチングストッパ型、トップゲート型、ボトムゲート型などいずれの構造であってもよい。
本発明のフィルムを基板として液晶表示装置用途などで使用する場合、光学的均一性を達成するために、フィルムを構成する樹脂組成物は非晶性ポリマーであることが好ましい。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で、固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。
本発明のフィルムは、レターデーション(Re)を制御し、ガス透過性や力学特性を改善する観点からは、異種樹脂組成物を組み合わせて積層等することが好ましい。異種樹脂組成物の好ましい組み合わせは特に制限はなく、前記したいずれの樹脂組成物も使用可能である。
本発明のフィルムは、有機EL表示用途に好適に使用できる。有機EL表示装置の具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
本発明のフィルムが使用できる有機EL表示装置は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40V)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。これら発光素子の駆動については、例えば、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号等の各公報、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
有機EL表示装置のフルカラー表示方式としては、カラーフィルター方式、3色独立発光方式、色変換方式などいずれの方式を用いてもよい。
液晶表示措置、有機EL表示装置の駆動方式としてはパッシブマトリックス、アクティブマトリックスのいずれでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本明細書で用いている略号が示す化合物(モノマー)は以下の通りである。
Figure 0005723566
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
NDA:2, 6−ナフタレンジカルボン酸
HBA:4−ヒドロキシ安息香酸
HNA:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
《ポリエステルの製造》
(実施例1)
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えた反応容器に、40.37gの3,3’−ジフェニル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル(OPP−BP)、11.61gの4,4’−(α-メチルベンジリデン)ビスフェノール(Bis−AP)、14.02gの9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF)、26.58gのテレフタル酸(TPA)、8.65gのナフタレンジカルボン酸(NDA)、42.88gの無水酢酸、28.60gのジフェニルエーテルを仕込み、75.3mgのN−メチルイミダゾールを0.2gの酢酸に溶解した溶液を添加した。反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で150℃まで昇温し、撹拌しつつ還流状態で2時間反応した。アシル化反応は大気圧、窒素ガス気流下で行った。その後2時間かけて280℃まで昇温し、7時間保持した。さらに300℃まで昇温し、2時間保持した後、内容物を取り出た。エステル交換反応は大気圧、窒素ガス気流下で行った。得られた樹脂は室温まで冷却した後粉砕し、目開き2mmのメッシュを通した。これをテフロンシート上に互いに重なり合わないように敷きつめ、窒素ガス気流下140℃で8時間、240℃で40時間加熱(固相重合)し本発明のポリエステルP−1を得た。
(実施例2〜10、比較例1および2)
実施例1におけるモノマーの組成を下記表3に記載した組成に変更した以外はすべて実施例1と同様の操作を行うことにより実施例2〜10と比較例1および2を実施し、本発明のポリエステルP−2〜P−10および比較例のポリエステルC−1,C−2を得た。
《ポリエステルの評価》
製造した各ポリエステルについて、以下の手順にしたがって測定と評価を行った。
(換算分子量)
ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=1/2(質量比)を溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により、GPC(東ソー(株)製、HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。得られたチャートの、主ピークの溶出時間に相当するポリスチレン分子量標準品の分子量を、換算分子量として採用した。
(熱安定性)
重合時の加熱により、ポリエステルがゲル化等の劣化を起こすことなく分子量を増加した場合、熱安定性ありと判定した。具体的には上記GPC測定の結果のチャート形状(測定溶媒に溶解する場合)と、ペンタフルオロフェノールへの溶解性から、下記基準に基づき判定した。
A:ペンタフルオロフェノールに対し不溶分なく2質量%以上溶解し、
主ピークより高分子量側に目立った肩やピークが認められない
B:ペンタフルオロフェノールに対し不溶分なく2質量%以上溶解し、
主ピークより高分子量側に僅かに肩が見られる
C:ペンタフルオロフェノールに対し不溶分なく2質量%以上溶解し、
主ピークより高分子量側に明確なピークが認められる
X:ペンタフルオロフェノールに対する溶解性が2質量%未満である。
得られた結果を表3にそれぞれ記載した。
Figure 0005723566
《フィルムの製造》
(実施例11〜20および比較例11)
本発明のポリエステルP−1〜10および比較例のポリエステルC−1、2を、それぞれ塩化メチレンに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解した。ここで、C−2は塩化メチレンへの溶解性が低く、均質な溶液を得ることが出来なかったため、これ以降の評価に供することができなかった。ポリエステルP−1〜10とC−1の各溶液を1μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。塩化メチレンの急速な蒸発を防ぐ目的で、流延後直ちにフィルム上に覆いを設け、この状態で室温で18時間、覆いを外し窒素雰囲気下45℃で30分、窒素雰囲気下100℃で30分、さらに真空下100℃で1時間加熱乾燥を行った。得られたフィルムをガラス基板より剥離し、本発明のフィルムF−1〜F−10および比較例のフィルムF−11を作製した。
《フィルムの評価》
製造した各フィルムについて、以下の手順にしたがって測定と評価を行った。
(ガラス転移温度(Tg))
フィルムサンプル(5mm×22mm)を作成し、以下の測定条件下でバイブロン(UBM社製 Rheogel−E400)を用いてガラス転移温度を測定した。貯蔵弾性率の低下が開始する温度をもってガラス転移温度とした。測定は3回行い、その平均値をガラス転移温度として採用した。(サンプルは25℃、相対湿度60%で一晩放置後使用。)
チャック間距離:12mm
温度範囲:50〜350℃
昇温速度:5℃/分
周波数:1Hz
(透明性)
得られたフィルムサンプルの全光線透過率を、スガ試験(株)社製ヘイズメーター(HGM−2DP)により測定し、この値から下記基準に基づき評価した。
A:全光線透過率が80%以上
B:全光線透過率が60%以上80%未満
C:全光線透過率が50%以上60%未満
(破断点伸度)
フィルムサンプル(20mm×70mm片)を作製し、以下の測定条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)を用いて破断点伸度を測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めることにより評価した(サンプルは25℃、相対湿度60%で一晩放置後使用)。
チャック間距離:50mm
温度:(Tg−5)℃
引張速度:100mm/分
(線熱膨張係数)
上記破断点伸度の測定と同様の条件にて、フィルムF−1〜F−11の延伸サンプルを作成した。延伸倍率は30%とし、延伸したフィルムは、たるみの無い状態で両端を金枠にセットし、(Tg−15)℃の窒素雰囲気下にて2時間、さらに金枠より外した状態で窒素雰囲気下にて2時間熱処理を行って延伸フィルムを得た。
得られた各延伸フィルム試料についてフィルムサンプル(19mm×5mm)を作製し、TMA(理学電機(株)製、TMA8310)を用いて線熱膨張係数を測定した。測定速度は、3℃/分とした。測定は3サンプルを行い、その平均値を用いた。測定は25℃から250℃の温度範囲で行い、線熱膨張係数は昇温時の25℃〜(熱処理温度−10)℃の範囲で計算した。
また、本発明のフィルムの熱処理温度を、使用可能上限温度の目安として表4に記載した。
得られた結果を表4にそれぞれ記載した。
Figure 0005723566
表3、表4から分かる通り、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位を有する本発明のポリエステルは高いガラス転移温度を有しており、延伸することによって広い温度範囲で低い線熱膨張係数を示す。また、熱安定性に優れるため、高温プロセスで効率的に製造し使用することが可能である。これに対し、一般式(2)で表される構造を含まない比較例1のポリエステルは、ガラス転移温度が低く、高温での使用用途に適さない。また、一般式(1)で表される構造を含まない比較例2のポリエステルは、熱安定性に乏しく、高温プロセスでの製造に適さないため、著しく生産性に劣る。
《ガスバリアフィルムと有機EL素子の作製と評価》
(実施例21)
1.ガスバリア層の形成
本発明の実施例のフィルムの両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Si02をターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWでスパッタリングし、膜厚は60nmのガスバリア層付きのフィルムを得る。
2.透明導電層の形成
ガスバリア層を設置したフィルムを100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設ける。
3.有機EL素子の作製および評価
フィルムの透明電極層より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成する。透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成する。これを基板Xとする。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成する。これを転写材料Yとする。
(組成)
・ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製):40質量部
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
・ジクロロエタン:3200質量部
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成する。これを基板XYとする。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成する。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成する。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成する。これを基板Zとする。
(組成)
・ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
・1−ブタノール:3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物:20質量部
Figure 0005723566
基板XYと基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/分で加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料を得る。
得られた有機EL素子試料をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し、発光することを確認できる。
本発明のフィルムの線熱膨張係数が小さいため、試料作製過程での加熱により、無機層にクラックは入らなかったことがうかがえる。
本発明のポリエステルは、耐熱性と熱安定性に優れ、透明性が高くて、フィルム化した際の線熱膨張係数が小さいという特徴を有する。このため、高温プロセスを経てもゲル化することがなく、高い溶解性を維持することができる。したがって、高温プロセスが必要とされる場合を含め、広範な材料や装置の製造に効果的に利用することが可能であり、その応用範囲は多岐にわたる。したがって、本発明のポリエステルは産業上の利用可能性が高い。

Claims (19)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを有することを特徴とするポリエステル。
    Figure 0005723566
    [一般式(1)中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R15とR17は置換または無置換のアリール基である。]
    Figure 0005723566
    [一般式(2)中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Xは少なくとも1つのアリール基で置換されたアルキレン基を有する炭素数8〜30の2価の連結基、またはフルオレン環構造を有する炭素数13〜30の2価の連結基である。]
  2. 前記一般式(2)において、Xが少なくとも2つのアリール基で置換されたアルキレン基を有する炭素数13〜30の2価の連結基、またはフルオレン環構造を有する炭素数13〜30の2価の連結基であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル。
  3. 前記一般式(2)において、Xがフルオレン環構造を有する炭素数13〜30の2価の連結基であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル。
  4. 前記一般式(1)において、R15およびR17の少なくとも1つが炭素数6〜15のアリール基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステル。
  5. 前記一般式(1)において、R15およびR17の少なくとも1つが置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、または置換または無置換のビフェニル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル。
  6. 前記一般式(2)において、Xが表す2価の連結基の炭素数が13〜20であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエステル。
  7. 前記一般式(1)で表されるモノマー由来の構造単位を10〜40モル%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエステル。
  8. 前記一般式(2)で表されるモノマー由来の構造単位を10〜25モル%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリエステル。
  9. 下記式(A)で定義されるα値が0.68以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリエステル。
    Figure 0005723566
    [上記式(A)において、ポリエステルがn種類のモノマー単位で構成されている場合、
    Miはi番目のモノマー単位の分子量を表し、Aiはi番目のモノマー単位に含まれる芳香族性炭素に置換した脂肪族炭化水素基の分子量を表し、Ciはポリエステル中でi番目のモノマー単位が占める質量分率を表す。]
  10. 重量平均分子量が7000〜2000000であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリエステル。
  11. 下記一般式(I)で表されるモノマーと下記一般式(II)で表されるモノマーとを少なくとも含むジオール系モノマーと、カルボン酸系モノマーとを反応させることを特徴とするポリエステルの製造方法。
    Figure 0005723566
    [一般式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または前記ジカルボン酸系モノマーと反応してエステル結合を形成しうる置換基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R15とR17は置換または無置換のアリール基である。]
    Figure 0005723566
    [一般式(II)中、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子または前記ジカルボン酸系モノマーと反応してエステル結合を形成しうる置換基を表し、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Xは少なくとも1つのアリール基で置換されたアルキレン基を有する炭素数8〜30の2価の連結基、またはフルオレン環構造を有する炭素数13〜30の2価の連結基である。]
  12. 前記一般式(II)において、Xが少なくとも2つのアリール基で置換されたアルキレン基を有する炭素数13〜30の2価の連結基、またはフルオレン環構造を有する炭素数13〜30の2価の連結基であることを特徴とする請求項11に記載のポリエステルの製造方法
  13. 前記一般式(II)において、Xがフルオレン環構造を有する炭素数13〜30の2価の連結基であることを特徴とする請求項11または12に記載のポリエステルの製造方法
  14. 一般式(I)におけるR1およびR2がいずれも水素原子であり、かつ、一般式(II)におけるR3およびR4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のポリエステルの製造方法。
  15. 一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーとを少なくとも含む芳香族モノマーに脂肪酸無水物を添加してアシル化する工程と、
    該アシル化物と芳香族ジカルボン酸とを溶融重合または高温溶液重合によりエステル交換して芳香族ポリエステルを得る工程と
    を含むことを特徴とする請求項14に記載のポリエステルの製造方法。
  16. 前記アシル化工程において、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することを特徴とする請求項15に記載のポリエステルの製造方法。
  17. 請求項11〜16のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるポリエステル。
  18. 請求項1〜10または17のいずれか一項に記載のポリエステルを含有する樹脂組成物。
  19. 請求項18に記載の樹脂組成物より作製したフィルム、電子材料、光学材料またはガスバリアフィルム。
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