JPH07233249A - 液晶性ポリエステル - Google Patents

液晶性ポリエステル

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JPH07233249A
JPH07233249A JP6196194A JP6196194A JPH07233249A JP H07233249 A JPH07233249 A JP H07233249A JP 6196194 A JP6196194 A JP 6196194A JP 6196194 A JP6196194 A JP 6196194A JP H07233249 A JPH07233249 A JP H07233249A
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Akira Takagi
彰 高木
Koichi Iwamoto
孝一 岩本
Takuya Matsumoto
卓也 松本
Iwane Shiozaki
岩根 塩崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶配向のガラス固定化が容易で複屈折の波
長分散の大きい、光学素子への応用に好適な液晶性ポリ
エステルを提供する。 【構成】 ポリエステルの構成単位として主鎖をなす結
合中にビフェニル骨格、ナフタレン骨格およびスチルベ
ン骨格から選ばれた少なくとも1の骨格を含む単位を有
し、且つ液晶転移点より高い温度において液晶状態を示
し、液晶転移点より低い温度においてガラス状態を示
し、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比
60/40)中、30℃で測定した固有粘度の値が0.
05〜0.5であり、光の波長450nmにおける複屈
折と600nmにおける複屈折の比で表した複屈折の波
長分散の値が1.15〜1.40である液晶性ポリエス
テル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶配向のガラス固定化
が容易で複屈折の波長分散の大きい、光学素子への応用
に好適な液晶性ポリエステルに関する。
【0002】
【従来技術】近年高分子液晶は、高い耐熱性、成形性な
どを利用した高性能材料分野、および液晶相構造の熱あ
るいは電場などの外部場による変化と相の固定化を利用
した機能性材料分野において活発に研究開発され、高性
能材料分野においてはすでに商品化されている。一方機
能性材料分野では、光記録、非線形光学材料、液晶配向
膜、光ファイバー、液晶表示素子用光学素子などへの応
用を目指して活発に研究されているが、いまだ商品化さ
れたものはない。高分子液晶を機能性材料に応用する場
合、液晶の相転移の動的な変化を利用する用途、および
液晶独特の分子配向を固定化して静的な素子として利用
する用途に大別できるが、いずれも液晶の光に対する性
質を用いるものが大部分である。後者の液晶配向を固定
化した光学素子へ応用できる高分子液晶の重要な要件と
して、液晶配向の固定化が容易でかつ固定化後の液晶配
向が安定であること、および光に対する性質、すなわち
屈折率、複屈折、複屈折の波長分散などを自由に制御で
きることが挙げられる。特に最近ディスプレイ分野で要
望の強い、複屈折の波長分散の大きい光学素子を高分子
液晶で製造できれば、固定化された液晶配向構造のもつ
独自の偏光に対する性質と合わせて、画期的な光学素子
を製造できる。
【0003】しかしながらこのような光学素子の材料と
なりうる、複屈折の波長分散が大きくて、かつ液晶配向
を安定して固定化できるような高分子液晶が開発された
例はなく、研究例もほとんどないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは複屈折の
波長分散が大きくて、かつ液晶配向を安定して固定化で
き、光学素子の材料として用いることのできる高分子液
晶を探し求めた結果、液晶転移点以下の温度においてガ
ラス相を有し、構成単位として主鎖をなす結合中にビフ
ェニル骨格、ナフタレン骨格あるいはスチルベン骨格を
含む単位を有するポリエステルがこれらの要請を満足す
ることを見いだし、遂に本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明はポリエ
ステルの構成単位として主鎖をなす結合中にビフェニル
骨格、ナフタレン骨格およびスチルベン骨格から選ばれ
た少なくとも1の骨格を含む単位を有し、且つ液晶転移
点より高い温度において液晶状態を示し、液晶転移点よ
り低い温度においてガラス状態を示し、フェノール/テ
トラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、3
0℃で測定した固有粘度の値が0.05〜0.5であ
り、光の波長450nmにおける複屈折と600nmに
おける複屈折の比で表した複屈折の波長分散の値が1.
15〜1.40であることを特徴とする液晶性ポリエス
テルに関する。
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のポリエステルは、構成単位として、ビフェニル骨
格、ナフタレン骨格、およびスチルベン骨格からなる群
より選ばれる少なくとも1単位を必須に含有するもので
あり、これらの単位が本発明の効果である大きな複屈折
の波長分散を実現するための重要な役割を果たしてい
る。
【0007】これら単位のビフェニル骨格としては一般
式(a)で表される構成単位、ナフタレン骨格としては
一般式(b)で表される構成単位、スチルベン骨格とし
ては一般式(c)で表される構造単位が挙げられる。
【0008】
【化2】
【0009】一般式(a),(b)および(c)中、A
およびBは各々カルボニル結合(C=O)またはOを示
し、同一でも異なってもよく、XおよびYは各々、F,
Cl,Brおよび炭素数1〜4のアルキル基(例えばメ
チル基(以下Me基)、エチル基(以下Et基)、プロ
ピル基(以下Pr基)、イソプロピル基(以下i−Pr
基)、ブチル基(以下Bu基)、イソブチル基(以下i
−Bu基)、sec−ブチル基(以下s−Bu基)、t
ert−ブチル基(以下t−Bu基)が挙げられる)か
らなる群より選ばれ、同一でも異なってもよく、mおよ
びnは0〜4の整数を示すものであり、同一でも異なっ
てもよい。
【0010】また、かかる式中におけるXまたはYの置
換位置は、特に限定されるものではないが、通常構成単
位(a)においては、2、2′、3、3′、5、5′、
6、6′、2と6′、2′と6、3と5′、3′と5、
3と5と3′と5′、2と3と5と6と2′と3′と
5′と6′、また構成単位(b)においては、1、3、
4、5、7、8、1と5、4と8、また構成単位(c)
においては、2、2′、3、3′、5、5′、6、
6′、2と2′、3と5′、3′と5、3と5と3′と
5′、2と3と5と6と2′と3′と5′と6′などが
各々好適なものとして挙げられる。
【0011】これらの単位は、ビフェニルジカルボン酸
またはその誘導体、置換ビフェニルジカルボン酸または
その誘導体、ビフェノールまたはその誘導体、置換ビフ
ェノールまたはその誘導体、4−ヒドロキシ−4′−ビ
フェニルカルボン酸またはその誘導体、置換4−ヒドロ
キシ−4′−ビフェニルカルボン酸またはその誘導体、
2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体、置
換2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体、
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸またはその誘導体、置
換6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸またはその誘導体、
2,6−ジヒドロキシナフタレンまたはその誘導体、置
換2,6−ジヒドロキシナフタレンまたはその誘導体、
スチルベンジカルボン酸またはその誘導体、置換スチル
ベンジカルボン酸またはその誘導体、4,4′−ジヒド
ロキシスチルベンまたはその誘導体あるいは置換4,
4′−ジヒドロキシスチルベンまたはその誘導体、4′
−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸またはその誘
導体および置換4′−ヒドロキシ−4−スチルベンカル
ボン酸またはその誘導体から誘導される単位であり、具
体的には次のような単位が例示できる。
【0012】
【化3】 など。これらの中でも特に次のような単位が好ましい。
【0013】
【化4】
【0014】ポリエステルの構成単位としては、(ア)
ジカルボン酸類より誘導される単位(以下、ジカルボン
酸単位とよぶ)、(イ)ジオール類より誘導される単位
(以下ジオール単位とよぶ)、(ウ)一つの単位中にカ
ルボキシル基と水酸基を同時にもつオキシカルボン酸類
より誘導される単位(以下オキシカルボン酸単位とよ
ぶ)が挙げられる。ポリエステルはこれらの単位から適
宜選択されて構成される。構造としては、(ア)+
(イ)型、(ア)+(イ)+(ウ)型、(ウ)単独型が
ある。上記した構造単位(a),(b),(c)を
(ア),(イ)および(ウ)単位の少なくとも一つに導
入することによって、本発明の複屈折の波長分散の大き
いポリエステルを得ることができる。
【0015】本発明のポリエステルのもう一つの重要な
特徴は、液晶転移点より高い温度において液晶状態を示
し、液晶転移点より低い温度においてガラス状態を示す
こと、さらに好ましくは、液晶転移点より低い温度にお
いて結晶相を経ることなく直接ガラス相を有することで
あり、これにより液晶配向をガラス固定化でき光学素子
として用いることができる。このような性質を発現せし
めるためには、主鎖をなす結合を互いにオルソ位とする
オルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポリマーが
特に好適に用いられる。具体的には次に示すようなカテ
コール単位、サリチル酸単位、フタル酸単位、2,3−
ナフタレンジオール単位、2,3−ナフタレンジカルボ
ン酸単位およびこれらのベンゼン環に置換基を有する置
換カテコール単位、置換サリチル酸単位、置換フタル酸
単位、置換2,3−ナフタレンジオール単位、置換2,
3−ナフタレンジカルボン酸単位などを挙げることがで
きる。
【0016】
【化5】 (Xは水素,Cl,Brなどのハロゲン,メチル基,エ
チル基,メトキシ基,エトキシ基またはフェニル基を示
す。またkは0〜2である)。なお、かかる一般式にお
ける置換基Xの置換位置は、特に限定されないが、通常
以下のものが挙げられる。
【0017】
【化6】 これらのなかでも特に好ましい例として次のようなもの
を例示することができる。
【0018】
【化7】
【0019】本発明のポリエステルを構成する他の単
位、(ア)ジカルボン酸単位、(イ)ジオール単位およ
び(ウ)オキシカルボン酸単位の例を次に示す。(ア)
のジカルボン酸単位としては以下のものを例示すること
ができる。
【0020】
【化8】 (Yは水素,Cl,Brなどのハロゲン,メチル基,エ
チル基,メトキシ基,エトキシ基またはフェニル基を示
す。また1は0〜2である)。なお、かかる一般式にお
ける置換基Yの置換位置は、特に限定されないが、通常
以下のものが挙げられる。
【0021】
【化9】 さらに具体的には、例えば
【0022】
【化10】 などが挙げられる。また、
【0023】
【化11】 なども挙げられる。
【0024】(イ)のジオール単位としては以下のもの
を例示することができる。
【0025】
【化12】 (Zは水素,Cl,Brなどのハロゲン,メチル基,エ
チル基,メトキシ基,エトキシ基またはフェニル基を示
す。またmは0〜2である)。なお、かかる一般式にお
ける置換基Zの置換位置は特に限定されないが、通常以
下のものが挙げられる。
【0026】
【化13】
【0027】さらに具体的には、例えば
【0028】
【化14】 などが挙げられる。さらに
【0029】
【化15】 などが挙げられる。
【0030】(ウ)のオキシカルボン酸単位としては以
下のようなものを例示できる。
【0031】
【化16】 (Wは水素,Cl,Brなどのハロゲン,メチル基,エ
チル基,メトキシ基,エトキシ基またはフェニル基を示
す。またPは0〜2である)。なお、かかる一般式にお
ける置換基Wの置換位置は、特に限定されないが、通常
以下のものが挙げられる。
【0032】
【化17】
【0033】さらに具体的には、例えば
【0034】
【化18】 などが挙げられる。さらに
【0035】
【化19】 なども挙げられる。
【0036】本発明の好ましい液晶性ポリエステルは、
これら単位から適宜選択されて構成((ア)+(イ)
型,(ア)+(イ)+(ウ)型,(ウ)単独型など)さ
れ、かつ前記構造単位(a),(b)および(c)から
なる群より選ばれる少なくとも1以上の構成単位を含む
ものである。これらのポリエステルについて好適なもの
としては、以下のものがあげられる。
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】
【化23】
【0041】
【化24】
【0042】
【化25】
【0043】
【化26】
【0044】なお、上記構造単位のa,b,c,dなど
の数字はモル組成比を示すものであり、その配置は特に
限定されるものではなく、ブロック、ランダム等いずれ
でもよい。
【0045】以上述べたように本発明のポリエステル
は、構成成分としてポリマーの主鎖をなす結合中にビフ
ェニル骨格、ナフタレン骨格あるいはスチルベン骨格を
含む単位を有することが必須であり、さらに好ましくは
液晶配向のガラス固定化を容易にするために、ポリマー
の主鎖をなす結合を互いにオルソ位とするオルソ置換芳
香族単位を構成成分として含む。これらのポリマー中に
しめる割合は、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格あるい
はスチルベン骨格を含む単位が5モル%以上であり、さ
らに好ましくは7モル%以上である。この量が5モル%
より少ない場合は、目的とする複屈折の分散の大きいポ
リマーは得られず好ましくない。また、上限は、通常5
0%以下、好ましくは40モル%以下であることが望ま
しい。またオルソ置換芳香族単位の割合は、通常5モル
%から40モル%の範囲が好ましく、特に10モル%か
ら35モル%の範囲が好ましい。この値が5モル%より
小さい場合はポリマーが液晶転移点より低い温度領域で
結晶相を持つ場合があり、液晶配向のガラス固定化が難
しくなる場合があり40モル%より大きい場合は、液晶
性を低下させる場合がある。
【0046】これらポリマーの分子量は、各種溶媒中、
例えばフェノール/テトラクロロエタン(60/40)
混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が、通常0.0
5から0.5、好ましくは0.06から0.4の範囲が
好ましい。対数粘度が0.05より小さい場合、得られ
たポリマーの強度が弱くなり、また0.5より大きい場
合は、液晶形成時の粘度が高く、配向性の低下や配向に
要する所用時間の増加などが光学素子への応用をめざす
場合好ましくない。またこれらのポリエステルのガラス
転移点も重要であり、配向固定化した後の配向の安定性
にも影響を及ぼす。用途によるが一般的には室温付近で
使用することを考えれば、ガラス転移点が通常0℃以
上、好ましくは30℃以上であることが望ましい。ガラ
ス転移点がこれらの温度よりも低い場合室温付近で使用
すると一度固定化した液晶構造が変化する場合があり、
液晶構造に由来する機能が低下することがある。
【0047】また、ガラス転移点の上限は、通常300
℃程度である。これらのポリマーの複屈折の波長分散値
は、(1)式で示される光の波長が450nmの時の複
屈折(Δn)と波長が600nmの時の複屈折の比であ
るK値で示される。
【0048】 K=Δn(450nm)/Δn(600nm) (1)
【0049】本発明のポリエステルのK値は、主にポリ
マー中に導入されたビフェニル骨格、ナフタレン骨格あ
るいはスチルベン骨格を含む単位の量によって支配され
るが、1.15から1.40の範囲にあり、非常に大き
な分散値を有する。一般的にはこれら単位の量が増すと
K値も増加するので、本発明のポリエステルは自在にK
値を制御できる。本発明の液晶層はネマチック液晶層を
好適に発現する。
【0050】本発明の液晶性ポリエステルの合成法は、
特に制限されるものではなく、当該分野で公知の重合
法、例えば溶媒を用いない溶融重合法、または対応する
ジカルボン酸の酸クロライドを用いる溶液重合法で合成
される。溶融重合法で合成する場合、例えば、前記構造
単位に対応するジカルボン酸と前記構造単位に対応する
ジオールのアセチル化物、さらにもしくはあるいは前記
構造単位に対応するヒドロキシカルボン酸のアセチル化
物を高温において常圧下、または減圧下、または真空下
で重合させることにより製造できる。
【0051】前記構造単位に対応するジカルボン酸とし
ては、前述の一般式(a),(b),(c)およびオル
ソ置換芳香族単位に対応するジカルボン酸や前記
「(ア)ジカルボン酸単位」などが相当する。かかるカ
ルボン酸単位としては、具体的には
【0052】
【化27】
【0053】
【化28】
【0054】
【化29】 などがあげられる。
【0055】前記構造単位に対応するジオールのアセチ
ル化物としては、前述の一般式(a),(b),(c)
およびオルソ置換芳香族単位に対応するジオールのアセ
チル化物や前記「(イ)ジオール単位」などが相当す
る。かかるジオールアセチル化物としては具体的には
【0056】
【化30】
【0057】
【化31】
【0058】
【化32】 などが挙げられる。
【0059】前記構造単位に対応するヒドロキシカルボ
ン酸のアセチル化物としては、前述の一般式(a),
(b)および(c)およびオルソ置換芳香族単位のヒド
ロキシカルボン酸や「(ウ)オキシカルボン酸単位」な
どが相当する。かかるヒドロキシカルボン酸のアセチル
化物としては具体的には
【0060】
【化33】
【0061】
【化34】
【0062】分子量は重合時間の制御あるいは仕込み組
成の制御により容易に調節しうる。その場合の重合条件
は特に限定されないが、通常150℃〜350℃、好ま
しくは200〜300℃、反応時間は30分以上、好ま
しくは1時間から20時間程度である。重合反応を促進
させるためには、従来から公知の酢酸ナトリウム、酢酸
亜鉛などの金属塩あるいはイミダゾール類などを使用す
ることもできる。
【0063】溶液重合法により本発明の液晶性ポリエス
テルを製造する場合は、対応するジカルボン酸のジクロ
ライド、あるいはヒドロキシカルボン酸クロライドとジ
オールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸受容体の存
在下に加熱することにより容易に目的のポリエステルを
得ることができる。
【0064】前記構造単位に対応するジカルボン酸のジ
クロライドとしては、前述の一般式(a),(b),
(c),オルソ置換芳香族単位に対応するジカルボン酸
ジクロリド、や前記「(ア)ジカルボン酸単位」に相当
するジカルボン酸ジクロリド等であり、係るカルボン酸
ジクロリドとしては、具体的には
【0065】
【化35】
【0066】
【化36】
【0067】
【化37】 などがあげられる。
【0068】前記構造単位に対応するヒドロキシカルボ
ン酸クロライドとしては、一般式(a),(b),
(c)およびオルソ置換芳香族単位に対応するヒドロキ
シカルボン酸クロライドや前記「(ウ)オキシカルボン
酸単位」に相当するヒドロキシカルボン酸クロライド等
であり、かかるヒドロキシカルボン酸クロライドとして
は、具体的には
【0069】
【化38】
【0070】
【化39】
【0071】前記構造単位に対応するジオールとして
は、前述の一般式(a),(b),(c)およびオルソ
置換芳香族単位に対応するジオールや前記「(イ)ジオ
ール単位」に相当するジオール等であり、かかるジオー
ルとしては、具体的には
【0072】
【化40】
【0073】
【化41】
【0074】用いる溶媒としては特に限定されないが、
例えばo−ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキ
サイド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DM
F)、N−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶
媒、テトラハイドロフラン(THF)、ジオキサンなど
のエーテル系溶媒などが挙げられる。また、酸受容体と
しては、特に限定されないが、ピリジン、トリエチルア
ミン、トリプロピルアミンなどが挙げられる。溶液重合
の際の条件は特に限定されないが、通常温度50〜20
0℃、好ましくは60〜150℃、反応時間は1時間〜
10時間、好ましくは2時間〜7時間である。原料成分
の仕込組成は、前記のポリエステルとしての構造単位組
成と同様の組成が望ましく、また、実質的に原料モノマ
ーがエステル結合を形成する範囲であれば、特に限定さ
れない。
【0075】
【発明の効果】本発明の液晶性ポリエステルは、大きな
複屈折の波長分散特性を示し、また液晶転移点より低い
温度において結晶性を有さずガラス状態を有するため
に、液晶状態を示す温度から液晶転移点(ガラス転移
点)以下の温度に冷却することで、液晶状態の配向構造
を固定化することができる。こうして得られた透明で液
晶配向構造を保持した材料は、各種機能材料等、特に光
学素子に好適に使用でき工業的に極めて価値が高い。ま
た、本発明の液晶性ポリエステルは、工業的に容易に構
造できるなどその製法についても工業的に優れているも
のである。
【0076】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお、実施例で用いた各分析
法は以下のとおりである。 (1)ポリマーの組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzのH−NMR(日
本電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
【0077】(2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。 (3)DSCの測定 DuPont990 Thermal Analize
r を用いて測定した。 (4)光学顕微鏡観察 オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡を用いて液晶
性等を観察した。
【0078】(5)複屈折の波長分散の測定 測定に使用した試料は、50mm×50mmで1mm厚
のラビングしたポリイミド配向膜付きガラス上にポリマ
ーを1から4μmの厚さで塗布し、180℃から240
℃で5から60分間熱処理したのち、冷却して配向固定
化したものを用いた。フィルムの複屈折の測定はモノク
ロメータ(ニコン製P−250:600本/mmグレー
ティング使用,波長範囲170nmから1600nm)
から出射する単色光を用い、波長範囲800nmから3
50nmで10nmおきにセナルモン法により行った。
セナルモン法による測定では各波長に対する入/4板と
してバビネソレイユ補償器(応用光電製:位相可変範囲
波長900nmに対して±180°)を用い、偏光子
としてグラントムソンプリズム(応用光電製:消光比1
×10−5以上)を用い、検出器としては積分球にとり
つけた光電子増倍管(浜松ホトニクス製R636)を用
いた。得られた測定値を式1で表されるコーシーの式で
フィッティングして試料の波長分散を求めた。
【0079】 式1において、λは測定波長,Δnd(λ)は波長λに
おける試料のリターデーション,a,b,cは試料の複
屈折の分散を表すパラメータである。
【0080】本測定により決定できる分散特性は正確に
は試料のリターデーション(試料の複屈折と厚さの積)
の分散特性である。しかし、同一試料に対して各波長で
の測定を行えば試料の厚さ(d)は不変であるので、得
られた分散特性をある波長(たとえば550nm)で規
格化を行えば、同じ波長(ここでは550nm)で規格
化を行った複屈折の分散特性と等価になる。
【0081】〔実施例1〕テレフタル酸80mmol、
4,4′−ビフェニルジカルボン酸20mmol、ヒド
ロキノンジアセテート30mmolおよびカテコールジ
アセテート70mmolを、300mlの酢酸流出用冷
却管付きフラスコ中で、窒素気流下に270℃、8時間
加熱攪拌しポリマーを合成した。得られたポリマーをテ
トラクロロエタンに溶解して、大量のメタノール中に投
入することにより、ポリマーを精製した。得られたポリ
マーの組成およびηinhを表1に示した。DSC測
定、偏光顕微鏡観察より、Tgは108℃でガラス相を
有しており、それより高い温度においてネマチック液晶
相を示した。ポリマーを少量スライドグラス上に取り、
上にカバーグラスを乗せてホットプレート上で220
℃、10分加熱しずりを加えたのち、ホットプレートよ
り降ろして冷却したサンプルは透明であり、偏光顕微鏡
観察よりネマチック液晶相が完全に固定化されていた。
またこのポリマーのK値は1.16と大きな値を示し、
本実施例のポリマーが大きな複屈折の波長分散を有して
いることが分かった。
【0082】〔比較例1〕テレフタル酸100mmo
l、ヒドロキノンジアセテート30mmolおよびカテ
コールジアセテート70mmolを、300mlの酢酸
流出用冷却管付きフラスコ中で、窒素気流下に270
℃、8時間加熱攪拌しポリマーを合成した。得られたポ
リマーをテトラクロロエタンに溶解して、大量のメタノ
ール中に投入することにより、ポリマーを精製した。得
られたポリマーの組成およびηinhを表1に示した。
DSC測定、偏光顕微鏡観察より、Tgは106℃でガ
ラス相を有しており、それより高い温度においてネマチ
ック液晶相を示した。ポリマーを少量スライドグラス上
に取り、上にカバーグラスを乗せてホットプレート上で
220℃、10分加熱しずりを加えたのち、ホットプレ
ートより降ろして冷却したサンプルは透明であり、偏光
顕微鏡観察よりネマチック液晶相が完全に固定化されて
いた。しかしながらこのポリマーは実施例1のポリマー
から4,4′−ビフェニルジカルボン酸単位を除いたポ
リマーであるために、K値は1.13と小さく複屈折の
波長分散は不満足なものであった。
【0083】〔実施例2〕テレフタル酸ジクロライド8
5mmol、2,2′−ジメチル−4,4′−ビフェニ
ルジカルボン酸ジクロライド38mmol、メチルヒド
ロキノン50mmolおよびカテコール78mmol
を、500mlのo−ジクロロベンゼン中に溶解し、酸
受容体としてピリジン50mlを加えて70℃で4時間
窒素気流下で加熱撹拌してポリマーを合成した。反応溶
液を大量のメタノール中に投入し、析出したポリマーを
回収した。得られたポリマーの組成およびηinhを表
1に示した。DSC測定、偏光顕微鏡観察より、Tgは
107℃でガラス相を有しており、それより高い温度に
おいてネマチック液晶相を示した。ポリマーを少量スラ
イドグラス上に取り、上にカバーグラスを乗せてホット
プレート上で200℃、15分加熱したのちずりを加
え、ホットプレートより降ろして冷却したサンプルは透
明であり、偏光顕微鏡観察よりネマチック液晶相が完全
に固定化されていた。またこのポリマーのK値は1.1
7と大きな値を示し、本実施例のポリマーが大きな複屈
折の波長分散を有していることが分かった。
【0084】〔比較例2〕テレフタル酸ジクロライドの
仕込量を117mmolに、また2,2′−ジメチル−
4,4′−ビフェニルジカルボン酸ジクロライドの仕込
量を8mmolに変えた以外は実施例2と同様にして表
1に示したポリマーを合成した。このポリマーはネマチ
ック液晶相を有し、また液晶配向のガラス固定化もでき
たが、ビフェニルジカルボン酸単位のポリマー中に占め
る割合が3モル%と少ないため、K値が1.14と小さ
く複屈折の波長分散特性が不十分であった。
【0085】〔実施例3〜17〕実施例6,7,11,
14および17は実施例2に準じた対応する酸の酸クロ
ライドを用いる溶液重合法で、また他の実施例は実施例
1に準じた溶融重縮合法で、それぞれポリマーを合成し
た。得られたポリマーの性質を表1に示したが、いずれ
のポリマーも1.15から1.26の大きなK値を示
し、大きな複屈折の波長分散特性を有することが分かっ
た。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩崎 岩根 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルの構成単位として主鎖をな
    す結合中にビフェニル骨格、ナフタレン骨格およびスチ
    ルベン骨格から選ばれた少なくとも1の骨格を含む単位
    を有し、且つ液晶転移点より高い温度において液晶状態
    を示し、液晶転移点より低い温度においてガラス状態を
    示し、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量
    比60/40)中、30℃で測定した固有粘度の値が
    0.05〜0.5であり、光の波長450nmにおける
    複屈折と600nmにおける複屈折の比で表した複屈折
    の波長分散の値が1.15〜1.40であることを特徴
    とする液晶性ポリエステル。
  2. 【請求項2】 ビフェニル骨格を含む単位が一般式
    (a)、ナフタレン骨格を含む単位が一般式(b)、ス
    チルベン骨格を含む単位が一般式(c)で表わされ、且
    つそれら全体のポリエステル中の含有量が5モル%以上
    である請求項1記載の液晶性ポリエステル。 【化1】 但しAおよびBは各々カルボニル結合または酸素原子を
    示し、同一でも異なってもよく、XおよびYは各々F,
    Cl,Brおよび炭素数1〜4のアルキル基からなる群
    より選ばれ、同一でも異なってもよく、mおよびnは0
    〜4の整数を示すものであり、同一でも異なってもよ
    い。
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