JP3521916B2 - コレステリック液晶性フィルムの製造方法 - Google Patents

コレステリック液晶性フィルムの製造方法

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JP3521916B2
JP3521916B2 JP29858091A JP29858091A JP3521916B2 JP 3521916 B2 JP3521916 B2 JP 3521916B2 JP 29858091 A JP29858091 A JP 29858091A JP 29858091 A JP29858091 A JP 29858091A JP 3521916 B2 JP3521916 B2 JP 3521916B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】特定の波長の光を選択的に反射す
ることのできるコレステリック液晶フィルムの製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】コレステリック構造を持ったフィルム、
あるいはねじれネマチック構造を持ったフィルムは、そ
のヘリカルピッチに応じて特定の波長の右円偏光、もし
くは左円偏光を選択的に反射するという特徴を有してお
り、このため種々の光学用素子、光エレクトロニクス材
料として使用することができる。特に選択反射光波長が
可視域にある場合は、反射光、あるいは透過光が鮮やか
な色を呈し、その美しさは見る者の心を魅了してやまな
いが、コレステリック液晶が装飾用材料として利用され
うる所以である。また、反射波長が赤外にある場合は、
赤外線カットフィルターとしての応用も考えられる。従
来のコレステリックフィルムの製造法としては、本発明
者らが先に発明した光学活性なアミノ酸を原料とするポ
リペブチド化合物を使用する方法(特開昭62−116
629、平1−261420)、側鎖型液晶を利用する
方法(特開平3−134090等)などがあげられる
が、これらの高分子液晶を用いた場合液晶分子の配向工
程に手間がかかるという問題があり、より簡便な方法が
望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、すでに
TN(特願平2−165718)およびSTN(特開平
3−87720)の色補償板としてねじれ構造をもつネ
マチック液晶性高分子のフィルムよりなる光学素子の発
明に至っているが、該発明においては、用いたオルソ置
換芳香族単位を含む液晶ポリエステルあるいはその組成
物が容易にモノドメインなねじれネマチック構造をとり
得ることが成功の一つの大きな要因であった。本発明者
らは、オルソ置換芳香族単位を含む液晶性高分子の良好
な配向性、配向工程の容易さに再び注目し、さらにポリ
マーあるいはポリマー組成物中に占める光学活性単位の
割合をコントロールすることにより任意のヘリカルピッ
チ長のコレステリック(ねじれネマチック)構造を得る
ことができると考え鋭意検討した結果、ついに本発明に
到達した。特にポリエステル系のポリマーを使用した場
合、選択反射光が可視域にあるときその反射光はポリペ
プチド系等にくらべ非常に鮮やかで、視覚に訴える用途
に最適なフィルムを作製することができる。すなわち、
本発明はコレステリック液晶フィルムの製造法に関し、
簡便で、配向が良好で、ピッチ長の制御が容易なコレス
テリック液晶フィルムの製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも炭
素数3〜8の炭化水素基および/またはハロゲンを置換
基として有する芳香族単位、多環炭化水素単位およびオ
ルソ置換芳香族単位からなる群より選択された炭化水素
環単位を構成成分として含む光学活性なポリエステル、
または該炭化水素環単位を構成成分として含む液晶性ポ
リエステルと光学活性化合物を含有する組成物からな
り、液晶状態で厚み方向に1周期以上のらせん構造を有
し、かつピッチ長が0.3μm以下のコレステリック
造を有し、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる
液晶性高分子よりなるコレステリック液晶性フィルムに
関する。また本発明は、少なくとも炭素数3〜8の炭化
水素基および/またはハロゲンを置換基として有する芳
香族単位、多環炭化水素単位およびオルソ置換芳香族単
位からなる群より選択された炭化水素環単位を構成成分
として含む光学活性なポリエステル、または該炭化水素
環単位を構成成分として含む液晶性ポリエステルと光学
活性化合物を含有する組成物を、配向膜上で該ポリエス
テルのガラス転移点以上の温度で処理した後、該ポリエ
ステルのガラス転移点以下の温度に冷却し、厚み方向に
1周期以上のらせん構造を有し、かつピッチ長が0.3
μm以下のコレステリック構造を固定化することを特徴
とするコレステリック液晶フィルムの製造方法に関す
る。
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のコレステリック液晶性フィルムの製造方法は、透
光性基板上に形成された配向膜上に、均一でモノドメイ
ンなネマチック配向性を示しかつその配向状態を容易に
固定化できる高分子液晶に、所定量の光学活性化合物を
加えた組成物、または均一でモノドメインなコレステリ
ック配向性を示しかつその配向状態を容易に固定化でき
る高分子液晶を、塗布、乾燥、熱処理し、均一でモノド
メインなコレステリック構造を形成させたのち冷却する
ことによって、液晶状態における配向を損なうことなく
固定化して製造するものである。本発明でいうコレステ
リック配向とは、その目的の用途により適宜ピッチ長を
選択しうるが、通常、本発明者らが先に発明した液晶表
示素子用色補償板(特開平3−87720、特願平2−
165718)におけるねじれネマチック液晶性構造に
おけるものに比べて短いピッチ長を有しているものであ
り、具体的には、厚み方向に1周期以上のらせん構造を
有しているものであり、またピッチ長は通常、3μm以
下、好ましくは2μm以下である。
【0006】まず前者のネマチック液晶性高分子と光学
活性化合物よりなる組成物を用いる製造法について説明
すると、ベースとなる均一でモノドメインなネマチック
配向性を示しかつその配向状態を容易に固定化できる高
分子液晶は、以下のような性質を有することが必須であ
る。ネマチック配向の安定した固定化を行うためには、
液晶の相系列でみた場合、ネマチック相より低温部に結
晶相を持たないことが重要である。これらの相が存在す
る場合固定化のために冷却するとき必然的にこれらの相
を通過することになり、結果的に一度得られたネマチッ
ク配向が破壊されてしまい、透明性、性能が不満足なも
のになってしまう。したがって本発明の製造方法では、
ネマチック相より低温部にガラス相を有する高分子液晶
を用いることが必須である。これらのポリマーに光学活
性化合物を加えることにより、液晶状態ではコレステリ
ック配向とし、液晶転移点以下ではガラス相をとるため
に、コレステリック構造を容易に固定化できる。
【0007】用いられる液晶性ポリマーの種類として
は、液晶状態で液晶転移以下ではガラス状態となるもの
はすべて使用でき、例えばポリエステル、ポリアミド、
ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの主鎖型液
晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリメタクリ
レート、ポリマロネート、ポリシロキサンなどの側鎖型
液晶ポリマーなどを例示することができる。なかでも合
成の容易さ、透明性、配向性、ガラス転移点などからポ
リエステルが好ましい。用いられるポリエステルとして
はオルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポリマー
が最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わりにか
さ高い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素または含
フッ素置換基を有する芳香族などを構成成分として含む
ポリマーもまた使用することができる。本発明で言うオ
ルソ置換芳香族単位とは、主鎖をなす結合を互いにオル
ソ位とする構造単位を意味する。具体的には次に示すよ
うなカテコール単位、サリチル酸単位、フタル酸単位お
よびこれらの基のベンゼン環に置換基を有するものなど
をあげることができる。
【0008】
【化1】 (Xは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数が1から
4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはフェニル基
を示す、またkは0〜2である。)これらのなかでも特
に好ましい例として次のようなものを例示することがで
きる。
【0009】
【化2】 (Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基を
示す。)
【0010】
【化3】
【0011】本発明で好ましく用いられるポリエステル
としては(a)ジオール類より誘導される構造単位(以
下、ジオール成分という)およびジカルボン酸類より誘
導される構造単位(以下、ジカルボン酸成分という)お
よび/または(b)一つの単位中にカルボン酸と水酸基
を同時に含むオキシカルボン酸類より誘導される構造単
位(以下、オキシカルボン酸成分という)を構成成分と
して含み、好ましくは前記オルソ置換芳香族単位を含む
ポリマーが例示できる。
【0012】これらのうち、ジオール成分としては次の
ような芳香族および脂肪族のジオールを挙げることがで
きる。
【0013】
【化4】 (Yは水素、Cl、Br等のハロゲン炭素数1から4の
アルキル基もしくはアルコキシまたはフェニル基を示
す。1は0〜2である。)、
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】 (nは2から12の整数を表わす。)
【0016】なかでも、
【化7】 などが好ましく用いられる(式中、Meはメチル基、B
uはブチル基を示す)。またジカルボン酸成分としては
次のようなものを例示することができる。
【0017】
【化8】 (Zは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数が1から
4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはフェニル基
を示す。mは0〜2である。)、
【0018】
【化9】
【0019】なかでも、
【化10】 などが好ましい。オキシカルボン酸成分としては、具体
的には次のような単位を例示することができる。
【0020】
【化11】
【0021】ジカルボン酸とジオールのモル比は、一般
のポリエステルと同様、大略1:1である(オキシカル
ボン酸を用いている場合は、カルボン酸基と水酸基の割
合)。またポリエステル中に占めるオルソ置換芳香族単
位の割合は5モル%から40モル%の範囲が好ましく、
さらに好ましくは10モル%から30モル%の範囲であ
る。5モル%より少ない場合は、ネマチック相の下に結
晶相が現れる傾向があり好ましくない。また40モル%
より多い場合は、ポリマーが液晶性を示さなくなる傾向
があり好ましくない。代表的なポリエステルとしては次
のようなポリマーを例示することができる。
【0022】
【化12】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0023】
【化13】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0024】
【化14】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0025】
【化15】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0026】
【化16】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0027】
【化17】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0028】
【化18】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0029】
【化19】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0030】また、本発明においては、オルソ置換芳香
族に変えて以下に示すようなかさ高い芳香族、多環炭化
水素を構成成分としたポリエステルもまた配向処理後の
冷却固定化時に良好なガラス化状態を示し用いることが
できる。かかるかさ高い芳香族とは、炭素数3〜8、好
ましくは3〜6の炭化水素基および/またはハロゲンを
置換基として有する芳香族をいうものであり、具体的に
は、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル
基、イソヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、ト
リル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル
基などの炭化水素基、フッ素、塩素などの置換基(体)
により置換されたベンゼン環、ビフェニルなどが挙げら
れる。もちろん、該炭化水素基は、その一部もしくは全
てがハロゲン原子で置換されているものも同様に用いる
ことができる。また、多環炭化水素としては、炭素数7
〜12、好ましくは7〜10のナフタレン環などの縮合
多環芳香族やノルボルナンを基本構造とする縮合多環炭
化水素などがあげられる。このようなかさ高い芳香族、
多環炭化水素を含むポリエステル構成単位、すなわち本
発明でいう芳香族単位、多環炭化水素単位としては、
【0031】
【化20】
【0032】
【化21】
【0033】
【化22】
【0034】などが挙げられる。なお、これらのかさ高
い芳香族単位、多環炭化水素単位などと前記オルソ置換
芳香族単位の両方を含むポリマーもまた本発明の補償板
の製造方法において好ましく用いられる。これらのポリ
マーの分子量は、各種溶媒中たとえばフェノール/テト
ラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30
℃で測定した対数粘度が0.05から3.0、が好まし
く、さらに好ましくは0.07から2.0の範囲であ
る。対数粘度が0.05より小さい場合、得られた高分
子液晶の強度が弱くなり好ましくない。また3.0より
大きい場合、液晶形成時の粘性が高すぎて、配向性の低
下や配向に要する時間の増加など問題点が生じる場合が
ある。またこれらポリエステルのガラス転移点も重要で
あり、配向固定化した後の配向の安定性に影響を及ぼ
す。用途にもよるが、ガラス転移点が通常0℃以上、好
ましくは10℃以上であり、一般的には室温付近で使用
すると考えれば、ガラス転移点が30℃以上であること
が望ましく、特に50℃以上であることが望ましい。ガ
ラス転移点が0℃よりも低い場合、室温付近で使用する
と一度固定化した液晶構造が変化する場合があり、液晶
構造に由来する機能が低下してしまい好ましくない。
【0035】これらポリマーの合成法は特に制限される
ものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重
合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用
いる酸クロライド法で合成される。溶融重合法で合成す
る場合、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオー
ルのアセチル化物を、高温、高真空下で重合させること
によって製造でき、分子量は重合時間のコントロールあ
るいは仕込組成のコントロールによって容易に行える。
重合反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナ
トリウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶
液重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロ
ライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸
受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポ
リエステルを得ることができる。
【0036】これらネマチック液晶性ポリマーにらせん
構造を誘起するために混合される光学活性化合物につい
て説明すると、代表的な例としてまず光学活性な低分子
化合物をあげることができる。光学活性を有する化合物
であればいずれも本発明に使用することができるが、ベ
ースポリマーとの相溶性の観点から光学活性な液晶化合
物であることが望ましい。具体的には次のような化合物
を例示することができる。
【0037】
【化23】
【0038】
【化24】 コレステロール誘導体、など。
【0039】本発明で用いられる光学活性化合物とし
て、次に光学活性な高分子化合物をあげることができ
る。分子内に光学活性な基を有する高分子であればいず
れも使用することができるが、ベースポリマーとの相溶
性の観点から液晶性を示す高分子であることが望まし
い。例として光学活性な基を有する液晶性のポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシ
ロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルア
ミド、ポリカーボネート、あるいはポリペプチド、セル
ロースなどをあげることができる。なかでもベースとな
るネマチック液晶性ポリマーとの相溶性から、芳香族主
体の光学活性なポリエステルが最も好ましい。具体的に
は次のようなポリマーを例示することができる。
【0040】
【化25】 の構造体から構成されるポリマー、
【0041】
【化26】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0042】
【化27】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0043】
【化28】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0044】
【化29】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0045】
【化30】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0046】
【化31】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0047】
【化32】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0048】
【化33】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0049】
【化34】 の構造単位から構成されるポリマー、
【0050】
【化35】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0051】これらのポリマー中に占める光学活性な基
の割合は通常2モル%〜80モル%であり、好ましくは
5モル%〜60モル%が望ましい。また、これらのポリ
マーの分子量は、たとえばフェノール/テトラクロロエ
タン中、30℃で測定した対数粘度が0.05から5.
0の範囲が好ましい。対数粘度が5.0より大きい場合
は粘性が高すぎて結果的に配向性の低下を招くので好ま
しくなく、また0.05より小さい場合は組成のコント
ロールが難しくなり好ましくない。
【0052】これらの組成物の調製は、ネマチック液晶
性ポリエステルと光学活性化合物を所定の割合で、固体
混合、溶液混合あるいはメルト混合などの方法によって
行える。組成物中に占める光学活性化合物の割合は、光
学活性化合物中の光学活性な基の比率によっても異な
り、また目標とするピッチ長によっても異なるが一般的
には0.5wt%から70wt%の範囲が好ましく、特
に1wt%から60wt%の範囲が好ましい。0.5w
t%より少ない場合はネマチック液晶に十分ならせん構
造を付与することができず、また70wt%より多い場
合は良好な配向性が得られない場合がある。
【0053】本発明の製造方法はまた、他の光学活性化
合物を用いることなく自身で均一でモノドメインなコレ
ステリック配向をし、かつその配向状態を容易に固定化
できる高分子液晶を用いることもできる。これらのポリ
マーは主鎖中に光学活性基を有し自身が光学活性である
ことが必須であり、具体的には光学活性なポリエステ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミ
ドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリシロキサンなどの側鎖型
液晶ポリマーなどを例示することができる。なかでも合
成の容易さ、配向性、ガラス転移点などからポリエステ
ルが好ましい。用いられるポリエステルとしてはオルソ
置換芳香族単位を構成成分として含むポリマーが最も好
ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わりに前記したよ
うなかさ高い置換基を有する芳香族、あるいはハロゲン
または含ハロゲン置換基を有する芳香族あるいは多環炭
化水素などを構成成分として含むポリマーもまた使用す
ることができる。これらの光学活性なポリエステルは、
今まで説明してきた液晶性ポリエステルに、さらに光学
活性なジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸を用
いて次に示すような光学活性基を導入することにより得
られる。(式中*印は光学活性炭素を示す)
【0054】
【化36】
【0055】
【化37】
【0056】これら光学活性の基のポリマー中に占める
割合は、1から50モル%の範囲が好ましく、特に2か
ら40モル%の範囲が好ましい。1モル%以上のときは
液晶状態での配向性に悪い影響を及ぼし好ましくない。
これらのポリマーの分子量は、各種溶媒中たとえばフェ
ノール/テトラクロロエタン(60/40)混合溶媒
中、30℃で測定した対数粘度が0.05から3.0が
好ましく、さらに好ましくは0.07から2.0の範囲
である。対数粘度が0.05より小さい場合、得られた
高分子液晶の強度が弱くなり好ましくない。また3.0
より大きい場合、液晶形成時の粘性が高すぎて、配向性
の低下や配向に要する時間の増加など問題が生じる。
【0057】また、これらポリエステルのガラス転移点
は、用途にもよるが、通常0℃以上、好ましくは10℃
以上、一般的には室温付近で使用すると考えれば、ガラ
ス転移点が30℃以上であることが望ましく、特に50
℃以上であることが望ましい。ガラス転移点が0℃より
低い場合、室温付近で使用すると一度固定化した液晶構
造が変化する場合があり、液晶構造に由来する機能が低
下してしまい好ましくない。
【0058】以上述べてきた本発明に用いることのでき
る液晶性高分子の代表的な例としては、具体的には、
【化38】 Ch;コレステリル基、で示されるポリマー(m/n=
通常99.5/0.5〜20/80、好ましくは99/
1〜30/70、さらに好ましくは98/2〜40/6
0)
【化39】 で示されるポリマー(m/n=通常99.5/0.5〜
20/80、好ましくは99/1〜30/70、さらに
好ましくは98/2〜40/60)
【0059】
【化40】 で示されるポリマー(m/n=通常99.5/0.5〜
20/80、好ましくは99/1〜30/70、さらに
好ましくは98/2〜40/60、p.q:2〜20の
整数)
【0060】
【化41】 で示されるポリマー(m/n=通常99.5/0.5〜
20/80、好ましくは99/1〜30/70、さらに
好ましくは98/2〜40/60、p.q:2〜20の
整数)
【0061】
【化42】 で示されるポリマー(m/n=通常、99.5/0.5
〜30/70、好ましくは99/1〜40/60)
【0062】
【化43】 で示されるポリマー(m/n=1/90〜70/30、
好ましくは2/98〜60/40)
【0063】
【化44】 で示されるポリマー(k=l+m+n、k/n=99/
1〜60/40、好ましくは98/2〜70/30、l
/m=5/95〜95/5、R、RはH、Clもし
くは炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基)
【0064】
【化45】 で示されるポリマー(k=l+m+n、k/n=98.
5/1.5〜60/40、好ましくは、97/3〜70
/30、l/m=5/95〜95/5、R、R
H、Clもしくは炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキ
ル基)
【化46】 で示されるポリマーの混合物((A)/(B)=通常9
9/1〜30/70(重量比)、好ましくは98/2〜
40/60、さらに好ましくは95/5〜50/50、
k=l+m、l/m=85/15〜15/85、p=q
+r、r/q=0/100〜80/20、R、R
H、Clもしくは炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキ
ル基)
【0065】
【化47】 で示されるポリマー混合物((A)/(B)=99/1
〜40/60(重量比)、好ましくは98/2〜50/
50、さらに好ましくは95/5〜55/45、m=k
+l、k/l=80/20〜20/80)
【0066】
【化48】 で示されるポリマーの混合物((A)/(B)=通常9
9/1〜30/70(重量比)、好ましくは98/2〜
40/60、さらに好ましくは95/5〜50/50、
k=l+m、l/m=15/85〜85/15、p=q
+r、q/r=20/80〜80/20、R、R
はH、Clもしくは炭素数1〜6の直鎖又は分枝ア
ルキル基)
【0067】
【化49】 で示されるポリマーの混合物((A)/(B)=98/
2〜40/60(重量比)、好ましくは96/4〜50
/50、さらに好ましくは90/10〜55/45、k
=l+m、l/m=85/15〜25/75)
【0068】
【化50】 で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常98
/2〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、
k=l+m、l/m=70/30〜30/70、p=q
+r、r/q=0/100〜90/10、好ましくは1
0/90〜80/20、Rは炭素数3〜6の直鎖又は分
子のアルキル基)
【0069】
【化51】 で示されるポリマーと光学活性化合物の混合物((A)
/(B)=通常98/2〜60/40(重量比)、好ま
しくは95/5〜70/30、k=l+m、l/m=8
5/15〜30/70)(なお、*印は光学活性炭素を
示す)などが挙げられる。
【0070】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒中
たとえばテトラヒドロフラン、アセトン、シクロヘキサ
ノン、フェノール/テトラクロロエタン(60/40)
混合溶媒などで、30℃で測定した対数粘度が0.05
から3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07から
2.0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい場
合、得られた高分子液晶の強度が弱くなり好ましくな
い。また3.0より大きい場合、液晶形成時の粘性が高
すぎて、配向性の低下や配向に要する時間の増加など問
題が生じる。
【0071】本発明によって製造されるコレステリック
液晶フィルムの代表的な形態は、透光性基板上に形成さ
れた配向膜上に形成せしめられるものである。
【0072】用いられる透光性基板の種類としては、ガ
ラス、透光性プラスチックフィルム、プラスチックシー
ト、偏光フィルムなどを例示することができる。ガラス
としては、ソーダガラス、シリカコートソーダガラス、
ホウケイ酸ガラスなどが用いられる。またプラスチック
基板については光学的に等方性であることが好ましく、
たとえばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニ
レンサルファイド、アモルファスポリオレフィン、トリ
アセチルセルロースあるいはエポキシ樹脂などを用いる
ことができる。なかでもポリメチルメタクリレート、ポ
リカーボネート、ポリエーテルスルホン、アモルファス
ポリオレフィン、トリアセチルセルロースなどが好まし
く用いられる。また配向膜としてラビング処理したポリ
イミドフィルムが好適に用いられるが、酸化珪素の斜め
蒸着膜、ポリビニルアルコールのラビング処理膜など当
該分野で公知の配向膜ももちろん用いることができる。
また、プラスチックフィルムによっては、ポリイミド等
を塗布することなく、直接布等で一方向にこすることに
よって配向能を付与することもできる。
【0073】この透光性基板上に形成された配向膜上に
適当なピッチ長をもつ高分子液晶膜を形成してコレステ
リック液晶フィルムが製造させる。ネマチック液晶性ポ
リマーと光学活性化合物よりなる組成物を用いる場合に
は、溶液混合の場合を例にとると、まず両成分を所定の
割合で溶媒に溶解し所定濃度の溶液を調製する。また高
分子液晶組成物の代わりに自身でコレステリック配向性
を示す光学活性ポリマーを用いる場合は、単独で所定の
溶媒に所定濃度で溶解し溶液を調製する。この際の溶媒
はポリマーの種類によって異なるが、通常はアセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル
類、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、オル
ソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、これら
とフェノールとの混合溶媒、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを用い
ることができる。溶液の濃度はポリマーの粘性によって
大きく異なるが、通常は5から50%の範囲で使用さ
れ、好ましくは10から35%の範囲である。この溶液
を次ぎに配向処理した透光性ガラス板上、プラスチック
板上あるいはプラスチックフィルム上に塗布する。配向
処理の方法は特に制限されるものではないが、液晶分子
を界面と平行に配向させるものであればよく、例えば基
板上にポリイミドを塗布し、ラビング処理したポリイミ
ドラビング処理ガラスあるいはフィルムなどが好適に用
いられる。塗布の方法としては、スピンコート法、ロー
ルコート法、プリント法、カーテンコート法、浸漬引き
上げ法などを採用できる。塗布後溶媒を乾燥により除去
し、所定温度で所定時間熱処理してモノドメインなコレ
ステリック配向を完成させる。界面効果による配向を助
ける意味でポリマーの粘性は低いほうが良く、したがっ
て温度は高いほうが好ましいが、あまり温度が高いとコ
ストの増大と作業性の悪化を招き好ましくない。またポ
リマーの種類によっては、液晶相より高温部に等方相を
有するので、この温度域で熱処理しても配向は得られな
い。
【0074】ただしポリマーによっては最終的に得られ
るコレステリック層のピッチが若干の熱処理温度依存性
を示すので、ピッチ長に厳密さを要求する用途に対して
は熱処理条件の設定により留意を払う必要があるが、反
面ポリマーの種類、組成を変えることなくピッチ長の異
なるフィルムを作製できるという製法上の利点でもあ
る。熱処理条件によってピッチ長を制御する具体的な方
法としては、単に熱処理温度を変える方法と、まず配向
に充分な温度で処理した後、ポリマーのガラス転移点以
上の適当な温度まで下げることによって、下げた温度に
応じたらせん構造の変化を得て、次いで次の工程である
ガラス転移点以下への冷却を行なう方法がある。なお、
同一条件で熱処理を行なう限りコレステリック層のピッ
チは再現性よく同一のものを得ることができる。
【0075】以上のようにそのポリマーの特性にしたが
い、ガラス転移点以上で等方性への転移点以下の温度で
熱処理することが好ましく、一般的には50℃から30
0℃の範囲が好適で、特に100℃から250℃の範囲
が好適である。配向膜上で液晶状態において十分な配向
を得るために必要な時間は、ポリマーの組成、分子量に
よって異なり一概にはいえないが、30秒から100分
の範囲が好ましく、特に60秒から60分の範囲が好ま
しい。30秒より短い場合は配向が不十分となり、また
100分より長い場合は得られるコレステリック層の透
明性が低下することがある。またポリマーを溶融状態
で、配向処理した基板上に塗布したのち熱処理をすると
によっても、同様の配向状態を得ることができる。これ
らの処理を行うことによって、まず、液晶状態で配向膜
上全面にわたって均一なコレステリック配向を得ること
ができる。
【0076】こうして得られた配向状態を、次ぎに該高
分子液晶のガラス転移点以下の温度に冷却することによ
ってコレステリック構造をくずすことなく固定化でき
る。一般的に液晶相より低温部に結晶相を持っているポ
リマーを用いた場合、液晶状態における配向は冷却する
ことによって壊れてしまう。本発明の方法によれば、液
晶相の下にガラス相を有するポリマー系を使用するため
にそのような現象が生ずることなく、完全にコレステリ
ック配向を固定化することができる。
【0077】冷却速度は特に制限はなく、加熱雰囲気中
からガラス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定化さ
れる。また生産の効率を高めるために、空冷、水冷など
の強制冷却を行ってもよい。ただし、冷却速度によって
得られるコレステリック層のらせんピッチは多少異なっ
てくるので、再現よく同一ピッチのコレステリック構造
を得たい時には冷却条件を統一しておくことが望まし
い。
【0078】本発明の特徴は、上記のようにフィルムの
片面のみを配向膜と接触させて配向制御し、他の面はフ
リーの状態で、例えば空気相と接触させた状態で高度な
配向制御とその固定化ができることである。一般に液晶
の配向制御は両界面を配向膜と接触させて行うのが普通
であり、片面が空気相のときは空気界面の分子配向は一
様でなくその影響により、膜厚方向の全領域における均
一な配向は得られない。本発明の場合、片面のみの制御
によりモノドメインのコレステリック配向ができ、さら
にそれを固定化できるという大きな特徴を有する。
【0079】本発明によって製造されるコレステリック
液晶層が十分な性能を発揮するにはある程度の膜厚が要
求され、用途にもよるが、通常ピッチ長以上の厚みが必
要である。膜厚がピッチ長以下であると充分な選択反射
が得られなかったり、用途によっては充分な光のカット
ができないことがある。
【0080】らせんピッチの制御は、光学活性なポリマ
ーを使用する場合はポリマー中に占める光学活性単位の
割合もしくは光学活性単位の光学純度を変えることによ
り行なうことができるし、ネマチックポリマーとねじれ
を与えるための光学活性化合物との混合組成物を使用す
る場合にはその混合比を変えることによって容易に行な
うことができる。単独ではそれぞれ異なったピッチ長の
らせん構造をとる2種以上のポリマーあるいはポリマー
組成物を適当な割合で混合して用いることにより中間的
なピッチ長を持つコレステリック層を得ることもでき
る。また、熱処理条件を変えることによりある程度なら
ピッチ長制御を行なうことができる。
【0081】このようにして得られるコレステリック液
晶フィルムは、赤外、可視、紫外領域の光に対しピッチ
長に応じた選択反射現象を示し、種々の光学用素子、光
エレクトロニクス素子、装飾用材料として使用すること
ができる。代表的な具体的用途としては、選択反射現象
により特定の波長の反射光を得る光学素子もしくは特定
の波長の光をカットする光学フィルター、赤外光を選択
反射するコレステリック液晶層を有し室温の上昇を抑え
ることのできる窓ガラス、赤、緑、青色の可視光の選択
反射光を利用する反射型のカラー液晶表示素子(M.S
chadt:日本学術振興会情報科学用有機材料第14
2委員会A部会 第48回研究会資料pp.3−21
(1991))の部材、可視光の選択反射光の鮮やかさ
を利用した装飾品などが挙げられるが、これらはほんの
一例であり応用範囲はきわめて広い。なお、本発明の製
造法により得られる透光性基板上のコレステリック液晶
フィルムは、そのままの形態で使用しても良いし、表面
保護のための透明プラスチックの保護層を設けてもよい
し、他の部材と一体化した形で使用してもよい。装飾用
として使用する場合には、適当な形にカットしてもよい
し、基板ごと粉砕したり、コレステリックの膜のみはぎ
取って粉砕したりすることによって粉体状で使用するこ
ともできる。
【0082】以上のように本発明の製造法は、全体にわ
たり均一でモノドメインでコレステリック構造を固定化
した良質のフィルムを提供することができ、ピッチ長の
コントロールが容易であることから種々の光学、装飾用
途に応じたコレステリック液晶フィルムを提供できる。
また工程が簡便であることから製造コストを低く抑える
ことができ、工業的にきわめて価値が大きい。
【0083】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法
は以下の通りである。 (1)ポリマーの組成の決定 ポリマーの重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzの 1 −NMR(日
本電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
(2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。 (3)液晶相系列の決定 DSC(DuPont 990 Thermal An
alizer)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学
(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。 (4)選択反射光波長の測定 分光光度計(日立自記分光光度計330型)を用い、選
択反射に起因する透過光量の減少を観測し、透過率の極
小から選択反射光波長を求めた。
【0084】実施例1 テレフタル酸100mmol、メチルヒドロキノンジア
セテート50mmol、4−メチルカテコールジアセテ
ート50mmolおよび酢酸ナトリウム100mgを用
いて窒素雰囲気下で、180℃で1時間、200℃で1
時間、250℃で1時間と段階状に昇温しながら重合を
行なった。次ぎに窒素ガスを流しながら250℃で2時
間重合を続け、さらに減圧下で同じ温度で1時間重合を
行なった。次に得られたポリマーをテトラクロロエタン
に溶解したのち、メタノールで再沈澱を行なって式
(1)の精製ポリマー17.0gを得た。このポリマー
の対数粘度は0.16、液晶相として唯一ネマチック相
をもち、ガラス転移点は105℃であった。このポリエ
ステルと式(2)に示すS−メチルブタンジオール単位
を含む光学活性なポリエステルを重量比80:20の割
合で混合し、テトラクロロエタンに溶解し、全ポリマー
濃度12wt%の塗布溶液を調製した。次に、ラビング
処理したポリイミド層を有する10cm×10cmの大
きさで厚さが1.1mmのガラス基板に、スクリーン印
刷法によりポリマー溶液を塗布し、乾燥し、235℃×
15分熱処理後空冷却して、厚さ3.0μmの赤色の光
を反射するガラス上の膜を得た。この膜を偏光顕微鏡で
コノスコープ観察したところ、明瞭なアイソジャイヤー
が視野の中心に見られ、さらに鋭敏色検板を挿入したと
ころ、負の結晶に特有のリターデションの増減が見ら
れ、光軸が厚さ方向に向いた負の一軸性結晶とみなせる
こと、すなわちコレステリック構造を有していることが
確認できた。なお、選択反射の極大波長は760nmで
あった。
【0085】
【化52】
【0086】実施例2 実施例1で用いた式(1)のポリマーと式(2)のポリ
マーを重量比で80:10、85:15、75:25、
70:30および65:35の割合で混合し、それぞれ
実施例1と同様な方法でラビングポリイミド膜を有する
ガラス上に配向固定化させた。これらのフィルムの選択
反射光波長とポリマー組成との関係を図1に示した(実
施例1の結果も含む)。
【0087】実施例3 実施例1で用いた式(1)のポリマーと式(2)のポリ
マーを重量比で99.9:0.1、99.8:0.2お
よび99.7:0.35の割合で混合し、それぞれ実施
例1と同様な方法でラビングポリイミド膜を有するガラ
ス上に配向固定化させた。得られたフィルムは直線偏光
に対しそれぞれ30,60,90度の右まわりの旋光能
を有し、式(2)のポリマーは右ねじれ構造を誘起する
ことがわかった。このことより、実施例1および2で得
られたフィルムも右ねじれ構造を有し、右円偏光成分を
選択反射しているものと推定された。
【0088】実施例4 式(3)の光学活性ポリマー(対数粘度0.14、Tg
=84℃)の25wt%N−メチルピロリドン溶液を調
製した。ラビング処理したポリイミド層を有する10c
m×10cmの大きさで厚さが1.1mmのガラス基板
にこの溶液をスピンコート法により塗布したのち乾燥し
3枚同じものを作製した。次いで、3枚をオーブン中で
190℃×30分熱処理し、1枚を取り出して空冷し、
残り2枚は5℃/minの速度で170℃あるいは15
0℃まで徐冷した後、オーブンから取り出して空冷し
た。得られたフィルムはいずれも厚さ6μmであった。
これらを偏光顕微鏡でコノスコープ観察したところ、い
ずれも明瞭なアイソジャイヤーが視野の中心に見られ、
さらに鋭敏色検板を挿入したところ、負の結晶に特有の
リターデションの増減が見られ、コレステリック構造を
有していることがわかった。またこれらの透過スペクト
ルを図2に示したが、近赤外域にブロードな反射がみら
れ、低温で処理したものほど反射波長は短かった。
【0089】
【化53】
【0090】実施例5 式(4)で示した混合組成物(ベースポリマーの対数粘
度0.12、Tg=75℃)の8wt%テトラクロロエ
タン溶液を調製した。ラビング処理したポリイミド膜を
有する幅50cmで厚さが100μmのポリエーテルス
ルフォンフィルム上に、ロールコーターを用いて長さ5
mにわたって溶液を塗布し、乾燥後、150℃で10分
熱処理し、冷却固定化して、厚さ2μmの緑色の光を反
射するプラスチックフィルム上のコレステリック液晶の
膜を作製した。偏光顕微鏡でコノスコープ観察したとこ
ろ、明瞭なアイソジャイヤーが視野の中心に見られ、さ
らに鋭敏色検板を挿入したところ、負の結晶に特有のリ
ターデションの増減が見られた。
【0091】
【化54】
【0092】実施例6 式(5)のネマチックポリマー(対数粘度0.18、T
g=98℃)と式(6)の光学活性ポリマー(相系列は
降温時で等方性→コレステリック相→スメクチックA相
→スメクチックC相→ガラス相、対数粘度0.15、T
g=35℃)を重量比70:30で混合し、20wt%
のテトラクロロエタン溶液を調製した。ラビング処理し
たポリイミド層を有する10cm×10cmの大きさで
厚さが1.1mmのガラス基板にこの溶液をスクリーン
印刷法により塗布したのち乾燥し、オーブン中で200
℃×30分、180℃×5分、150℃×5分熱処理し
た後、空気中に取り出し冷却固定化した。得られたコレ
ステリック層は厚み3.2μmで、正面から見たときほ
ぼ透明で、斜めからみるとやや紫がかった色に見えた。
なお、選択反射の極大波長は390nmであった。
【0093】
【化55】
【0094】実施例7 式(7)の混合組成物(ベースポリマーの対数粘度0.
16、Tg=90℃)の15.5wt%のトリクロロエ
チレン溶液を調製した。ラビング処理したポリイミド層
を有する10cm×10cmの大きさで厚さが1.1m
mのガラス基板にこの溶液をスクリーン印刷法により塗
布したのち乾燥し、オーブン中で190℃×30分熱処
理した後、水で急冷して液晶構造を固定化した。得られ
たコレステリック層は厚さ5.0μmで選択反射光の極
大波長は680nmであり赤色を呈していた。
【0095】
【化56】
【0096】
【発明の効果】本発明のコレステリックフィルムの製造
法は、全体にわたり均一でモノドメインなコレステリッ
ク構造を固定化した良質のフィルムを提供することがで
き、ピッチ長のコントロールが容易であることから種々
の光学、装飾用途に応じたコレステリック液晶フィルム
を提供できる。また工程が簡便であることから製造コス
トを低く抑えることができ、工業的にきわめて価値が大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたサンプルの選択反射光波長
とポリマーの組成の関係を示す図である。縦軸は、波長
の逆数が比例するように目盛ってある。
【図2】実施例4で得られたサンプルの透過スペクトル
である。
【化51】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 宏之 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本 石油株式会社中央技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−191203(JP,A) 特開 平3−87720(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも炭素数3〜8の炭化水素基お
    よび/またはハロゲンを置換基として有する芳香族単
    位、多環炭化水素単位およびオルソ置換芳香族単位から
    なる群より選択された炭化水素環単位を構成成分として
    含む光学活性なポリエステル、または少なくとも炭素数
    3〜8の炭化水素基および/またはハロゲンを置換基と
    して有する芳香族単位、多環炭化水素単位およびオルソ
    置換芳香族単位からなる群より選択された炭化水素環単
    位を構成成分として含む液晶性ポリエステルと光学活性
    化合物を含有する組成物からなり、液晶状態で厚み方向
    に1周期以上のらせん構造を有し、かつピッチ長が3μ
    m以下のコレステリック構造を有し、液晶転移点以下の
    温度ではガラス状態となる液晶性高分子よりなることを
    特徴とする非積層コレステリック液晶性ポリエステル
    ィルム。
  2. 【請求項2】 オルソ置換芳香族単位を構成成分として
    含む光学活性なポリエステル、またはオルソ置換芳香族
    単位を構成成分として含む液晶性ポリエステルと光学活
    性化合物を含有する組成物からなり、液晶状態で厚み方
    向に1周期以上のらせん構造を有し、かつピッチ長が3
    μm以下のコレステリック構造を有し、液晶転移点以下
    の温度ではガラス状態となる液晶性高分子よりなること
    を特徴とする非積層コレステリック液晶性ポリエステル
    フィルム。
  3. 【請求項3】 少なくとも炭素数3〜8の炭化水素基お
    よび/またはハロゲンを置換基として有する芳香族単
    位、多環炭化水素単位およびオルソ置換芳香族単位から
    なる群より選択された炭化水素環単位を構成成分として
    含む液晶性ポリエステルと光学活性化合物を含有する組
    成物を、配向膜上で該ポリエステルのガラス転移点以上
    の温度で処理した後、該ポリエステルのガラス転移点以
    下の温度に冷却し、厚み方向に1周期以上のらせん構造
    を有し、かつピッチ長が0.3μm以下のコレステリッ
    ク構造を固定化することを特徴とするコレステリック液
    晶フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 オルソ置換芳香族単位を構成成分として
    含む光学活性なポリエステル、またはオルソ置換芳香族
    単位を構成成分として含む液晶性ポリエステルと光学活
    性化合物を含有する組成物を、配向膜上で該ポリエステ
    ルのガラス転移点以上の温度で処理した後、該ポリエス
    テルのガラス転移点以下の温度に冷却し、厚み方向に1
    周期以上のらせん構造を有し、かつピッチ長が0.3μ
    m以下のコレステリック構造を固定化することを特徴と
    するコレステリック液晶フィルムの製造方法。
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