JP3366091B2 - 液晶表示素子用補償板 - Google Patents

液晶表示素子用補償板

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JP3366091B2
JP3366091B2 JP32304893A JP32304893A JP3366091B2 JP 3366091 B2 JP3366091 B2 JP 3366091B2 JP 32304893 A JP32304893 A JP 32304893A JP 32304893 A JP32304893 A JP 32304893A JP 3366091 B2 JP3366091 B2 JP 3366091B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は視角特性を改良したST
N液晶表示素子用補償板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年液晶ディスプレイ(LCD)の進歩
はめざましく、軽量、薄型、低消費電力などの特長を生
かして用途分野を拡大しており、今後も大きな伸びが期
待される。このうちスーパーツイステッドネマチック
(STN)モードのLCDは、単純マトリクス駆動に基
づく簡単な構成と低コストのために広く用いられてい
る。
【0003】STN−LCDは複屈折と旋光分散を利用
する表示原理のために、初期の製品は着色している欠点
があったが、色補償のために補償用セルを用いる2層セ
ル型に始まり、現在広く用いられている位相差フィルム
を用いるフィルム補償型に至る技術改良により、無彩色
の白黒表示の製品が実用化されている。色補償板に加え
てカラーフィルターを用いることでカラー型STN−L
CDもまた普及しつつある。このようにLCDの技術改
良は著しいものがあるが、偏光を用いるLCD共通の欠
点である視角特性の悪さについてはあまり技術的改良が
進んでいないのが現状である。この欠点を克服するため
位相差フィルムの屈折率を3次元的に制御し、位相差フ
ィルムでもって色補償と同時に視角特性をも改良しよう
とする試みが行われている。位相差フィルムはポリカー
ボネートなどのポリマーフィルムを精密に延伸すること
により製造されるが、延伸条件の変化などによりフィル
ム膜厚方向の屈折率を大きくしたものが開発されてい
る。これらは一定の効果はみられるがまだ満足すべき視
角改良効果は得られていないのが実状である。
【0004】一方STN−LCDの着色をより完全に改
良するための色補償板として、ねじれネマチック構造を
固定化した高分子液晶よりなる色補償板が提案されてい
る(特開平3−028822,特開平3−08772
0,特開平3−294821など)。
【0005】この高分子液晶を用いた色補償板は複屈折
のみならず、旋光分散をも補償できるため従来の位相差
フィルムに比べてより完全な色補償が可能となった画期
的なものであった。しかしながら視角特性の観点からみ
るとこの高分子液晶型補償板も満足すべきものではなか
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
先に提案したねじれチルト配向フィルムの製造法(特願
平5−248417)を応用し、液晶分子が膜厚方向に
チルトし膜厚方向の屈折率が増大している色補償板を作
れば、ねじれ構造に由来するより高い色補償性能に加え
て、さらに視角特性をも改良した今までになかった補償
板が得られると考え鋭意検討した結果、遂に本発明に到
達した。すなわち本発明はねじれチルト配向を固定化せ
しめた高分子液晶を用いた色補償性能および視角特性に
優れた液晶表示素子用補償板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は1枚の透明基板
および該透明基板上に形成せしめられた配向固定化され
た液晶性高分子層より実質的になる液晶表示素子用補償
板であって、該液晶性高分子層の配向が、液晶性高分子
のダイレクターと基板表面のなす角度の平均値が3°か
ら85°であり、かつ液晶性高分子のダイレクターの基
板表面への投影成分が膜厚方向に連続的に回転している
ねじれチルト配向であることを特徴とする液晶表示素子
用補償板にある。ここに1枚の透明基板とは液晶性高分
子層の上層には基板を配さないことをいう。
【0008】本発明の好ましい態様は透明基板がガラス
であるかまたは表面に配向膜を有するガラスであること
を特徴とする液晶表示素子用補償板であり、さらに透明
基板がプラスチックフィルムであるかまたは表面に配向
膜を有するプラスチックフィルムであることを特徴とす
る液晶表示素子用補償板である。
【0009】本発明のもう一つの好ましい態様は液晶性
高分子が、光学活性単位を含む高分子化合物か、または
光学活性化合物を含む液晶性高分子組成物であり、かつ
液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる液晶性高分
子であることを特徴とする前記液晶表示素子用補償板で
ある。以下に本発明について詳しく説明する。
【0010】本発明の補償板は高分子液晶の配向を自在
に制御する技術を駆使して実現したねじれチルト配向を
固定化せしめた補償板であるために、色補償だけでなく
視角特性の大幅な改良効果をも有する。本発明で言うね
じれチルト配向についてまず説明する。本発明でいう液
晶性高分子のダイレクターとは、液晶分野で広く使われ
る用語であって、あるミクロな領域における液晶分子の
平均配向方向を示すベクトルである。チルト配向とは、
高分子液晶のダイレクターとそのダイレクターの基板平
面への投影成分とのなす角度の平均値をチルト角と定義
すれば、このチルト角が0゜ではなく90°でもないよ
うな配向である。
【0011】本発明の補償板における好適なチルト角は
3°から85°の範囲にあり、好ましくは5°から80
°の範囲にある。チルト角が3°より小さい場合、ある
いは85°より大きい場合は、それぞれホモジニアス配
向、ホメオトロピック配向と実質的に変わらなくなり、
目的とする3次元的な光学特性の自由な制御ができなく
なる。
【0012】チルト配向にはいくつかの種類がある。例
えば液晶層内の液晶分子のダイレクターが、膜厚方向の
どの場所においても常にほぼ一定であるようなチルト配
向が代表的な例である。また基板界面付近ではダイレク
ターが基板平面に略平行で、ホモジニアス配向かそれに
近い配向をしており、基板とは反対側の界面に近づくほ
どダイレクターが段々立ち上がりホメオトロピック配向
かそれに近い配向状態となるようなチルト配向、あるい
はこの逆の場合、すなわち基板界面付近ではホメオトロ
ピック配向かそれに近い配向をしており、基板の反対側
の界面に近づくにしたがって段々とホモジニアス配向に
近づくようなチルト配向もある。ダイレクターとダイレ
クターの基板平面への投影成分とのなす角度が膜厚方向
のどの点においても一定であるようなチルト配向、およ
びこの角度が膜厚方向に連続的に変化するようなチルト
配向のいずれも本発明でいうチルト配向の範囲に包含さ
れる。後者の場合は膜厚方向に連続的に変化するこの角
度の平均値が本発明でいうチルト角となる。
【0013】次にねじれチルト配向とは、上記したチル
ト配向を保持したままさらにねじれが加わった配向を意
味する。すなわち液晶性高分子がチルト配向し、さらに
そのダイレクターの基板平面への投影成分が膜厚方向に
連続的に回転している配向状態を示す。このときのねじ
れ角は任意に選べるが通常は10°から3600゜の範
囲にあり、好ましくは20゜から3000゜の範囲にあ
る。もちろんねじれ方向は右回りおよび左回りのいずれ
でもよい。
【0014】本発明の補償板はこのようなねじれチルト
配向を利用するために、ねじれ角の制御およびチルト角
の制御の両方が可能となる。チルト角を選ぶことにより
補償板の膜厚方向の屈折率が自由に制御し最適化でき、
その結果視角特性の大幅な向上が可能となる。このよう
なねじれチルト配向を達成するために用いられる液晶性
高分子は、液晶相としてねじれネマチック相を持ち、液
晶転移点より上の温度において基板上でねじれチルト配
向構造をとり、またその構造を損なうことなくガラス状
態で固定化できる液晶性高分子であることが必須であ
る。具体的には次のからに示すチルト配向性高分子
に、光学活性を付与した液晶性高分子である。
【0015】チルト配向能およびガラス固定化能を有
する液晶性高分子 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性高
分子と、ガラス固定化能を有する液晶性高分子との組成
物 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性高
分子と、他の液晶性高分子との組成物 チルト配向能を有する液晶性高分子と、ガラス固定化
能を有する液晶性高分子との組成物 光学活性を付与する手段としては、上記からのポリ
マー中に光学活性な単位を導入する方法と、からの
それぞれにさらに低分子あるいは高分子の光学活性化合
物を加えた組成物を用いる方法がある。
【0016】ベースとなるチルト配向性を有する液晶性
高分子としては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポ
リカーボネート、ポリエステルイミドなどの主鎖型液晶
ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリメタクリレ
ート、ポリマロネート、ポリシロキサンなどの側鎖型液
晶ポリマーなどを例示することができる。なかでも合成
の容易さ、配向性、ガラス転移点などからポリエステル
が好ましい。
【0017】チルト配向性もつ液晶性ポリエステルとし
ては、主鎖中に炭素数3以上のアルキル基よりなる置換
基を有する芳香族単位、炭素数3以上のアルキル骨格を
もつ単位、もしくはフッ素または含フッ素置換基を有す
る芳香族単位を構成成分として含むポリエステルを挙げ
ることができる。これらの構造単位を以下に例示する。
【0018】
【化1】 〔ここでA,Bはそれぞれ炭素数3から12の直鎖また
は分枝のアルキル基、−OR,−COOR,−OCOR
(Rは炭素数3から12の直鎖または分枝のアルキル
基),−O(CHCHO)R′(R′はメチル基
またはエチル基を示す)から選ばれる基を示す〕。
【0019】
【化2】 〔ここでR″は炭素数3から12の直鎖または分枝のア
ルキル基を示す)
【0020】
【化3】 等が挙げられ、これらのなかでも特に次のような単位が
好ましい。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】ポリエステルの構成単位としては、(a)
ジカルボン酸類より誘導される単位(以下、ジカルボン
酸単位とよぶ)、(b)ジオール類より誘導される単位
(以下ジオール単位とよぶ)、(c)一つの単位中にカ
ルボキシル基と水酸基を同時にもつオキシカルボン酸類
より誘導される単位(以下オキシカルボン酸単位とよ
ぶ)が挙げられる。ポリエステルはこれらの単位から適
宜選択されて構成される。構造としては、(a)+
(b)型、(a)+(b)+(c)型、(c)単独型が
ある。上記した構造単位を(a),(b)および(c)
単位の少なくとも一つに含むポリエステルがチルト配向
性高分子として有効に作用する。これらの単位のポリエ
ステル中に占める割合は、1から50モル%の範囲にあ
り、なかでも3から40モル%の範囲が好ましく、さら
に好ましくは5から30モル%である。これらチルト配
向性を発現させるために必要な単位の量が1モル%より
R>少ない場合は、目的のチルト配向が得られず好ましく
ない。また50モル%より多い場合は液晶配向性の低下
やフィルムの柔軟性の低下などの悪影響が出るため好ま
しくない。
【0024】これらの高分子はほとんどかさ高い置換
基、フッ素系置換基などを持っており、あるいは主鎖を
なす結合がメタまたはオルソ位にあるような方向族単位
を含んでいるため、おおむねガラス固定化能をもつ。ガ
ラス固定化が可能なチルト配向性高分子に関しては、単
独でまたは他の液晶性高分子と組み合わせた組成物の形
で本発明に用いることができる(上記,,の場
合)。これらの高分子の具体的な例を次に示す。
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】 またチルト配向能はもつがガラス固定可能を持たないポ
リマーでも、他のガラス固定化できる液晶性高分子との
組み合わせによりガラス固定化が可能であり、本発明に
使用できる(上記の場合)。
【0029】ガラス固定化できる液晶性高分子の例を次
に示す。これらは液晶相より低温部でガラス状態をとり
得る液晶性高分子であり、主鎖をなす結合を互いにオル
ソ位とするオルソ置換芳香族単位を構成成分として含む
ポリマーが特に好適に用いられる。具体的には次に示す
ようなカテコール単位、サリチル酸単位、フタル酸単
位、2,3−ナフタレンジオール単位、2,3−ナフタ
レンジカルボン酸単位およびこれらのベンゼン環に置換
基を有するものなどを挙げることができる。
【0030】
【化10】 (Xは水素、Cl、Brなどのハロゲン、メチル基、エ
チル基、メトキシ基、エトキシ基またはフェニル基を示
す。またkは0〜2である)。これらのなかでも特に好
ましい例として次のようなものを例示することができ
る。
【0031】
【化11】 用いられるガラス固定化できる液晶性高分子はまずこの
ようなオルソ置換方向族単位を含むが、ポリエステルを
構成する他の単位、(a)ジカルボン酸単位、(b)ジ
オール単位および(c)オキシカルボン酸単位の例を示
す。(a)のジカルボン酸単位としては以下のものを例
示することができる。
【0032】
【化12】 (Yは水素、Cl、Brなどのハロゲン、メチル基、エ
チル基、メトキシ基、エトキシ基またはフェニル基を示
す。また1は0〜2である)。
【0033】
【化13】 (b)のジオール酸単位としては以下のものを例示する
ことができる。
【0034】
【化14】 (Zは水素、Cl、Brなどのハロゲン、メチル基、エ
チル基、メトキシ基、エトキシ基またはフェニル基を示
す。またmは0〜2である)。
【0035】
【化15】 (c)のオキシカルボン酸単位としては以下のようなも
のを例示できる。
【0036】
【化16】 (Wは水素、Cl、Brなどのハロゲン、メチル基、エ
チル基、メトキシ基、エトキシ基またはフェニル基を示
す。またpは0〜2である)。
【0037】
【化17】 これらポリマーの分子量は、各種溶媒中、例えばフェノ
ール/テトラクロロエタン(60/40)混合溶媒中、
30℃で測定した対数粘度が、通常0.05から3.
0、好ましくは0.07から2.0の範囲が好ましい。
対数粘度が0.05より小さい場合、得られたポリマー
の強度が弱くなる場合があり、また3.0より大きい場
合は、液晶形成時の粘度が高く、配向性の低下や配向に
要する所用時間の増加などが生じることがある。またこ
れらのポリエステルのガラス転移点も重要であり、配向
固定化した後の配向の安定性にも影響を及ぼす。用途に
よるが一般的には室温付近で使用することを考えれば、
ガラス転移点が通常0℃以上、好ましくは30℃以上で
あることが望ましい。ガラス転移点がこれらの温度より
も低い場合室温付近で使用すると一度固定化した液晶構
造が変化する場合があり、液晶構造に由来する機能が低
下することがある。
【0038】本発明で用いるチルト配向性の液晶性ポリ
エステルの合成法は特に制限されるものではなく、当該
分野で公知の重合法、例えば溶融重合法あるいは対応す
るジカルボン酸の酸クロライドを用いる溶液重合法で合
成される。溶融重縮合法で合成する場合、例えば対応す
るジカルボン酸と対応するジオールのアセチル化物を、
高温、高真空下で重合させることによって製造できる。
分子量は重合時間の制御あるいは仕込組成の制御によっ
て容易に行える。重合反応を促進させるためには、従来
から公知の酢酸ナトリウムなどの金属塩を使用すること
もできる。
【0039】溶液重合法により本発明の液晶性ポリエス
テルを製造する場合は、対応するジカルボン酸のジクロ
ライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸
受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポ
リエステルを得ることができる。液晶性高分子として組
成物を使用する場合(前記,,の場合)、チルト
配向能をもつ液晶性高分子の組成物中に占める割合は、
目的とするチルト角によって様々に変化するため一概に
規定できないが、一般的には1から95重量%の範囲に
あり、好ましくは5から90重量%の範囲である。
【0040】以上説明したような液晶性高分子を用いる
ことによりチルト配向を得ることができるが、これらさ
らに光学活性能を付与することによって本発明の補償板
に用いるねじれチルト配向を実現さすことができる。光
学活性を付与するための第1の方法は、〜で示した
チルト配向性ポリマーあるいはガラス固定可能を有する
ポリマー、またはその両者の構造中に光学活性単位をさ
らに導入する方法がある。具体的には以下のような構造
単位を例示することができる(構造式中*は光学活性炭
素を示す)。
【0041】
【化18】
【0042】
【化19】 これらポリマー中に占める光学活性な基の割合は通常
0.5モル%から80モル%であり、好ましくは5モル
%から60モル%である。光学活性を付与する第2の方
法は〜の液晶性高分子中に、さらに光学活性化合物
を加えた組成物を用いる方法である。用いられる光学活
性化合物について説明すると、代表的な例として、まず
光学活性な低分子化合物をあげることができる。光学活
性を有する化合物であればいずれも本発明に使用するこ
とができるが、ベースポリマーとの相溶性の観点から光
学活性な液晶性化合物であることが好ましい。具体的に
は次のような化合物を例示することができる。
【0043】
【化20】
【0044】
【化21】 本発明で用いられる光学活性化合物として、次に光学活
性な高分子化合物をあげることができる。分子内に光学
活性な基を有する高分子であればいずれも使用すること
ができるが、ベースポリマーとの相溶性の観点から液晶
性を示す高分子であることが望ましい。例として光学活
性な基を有する液晶性のポリアクリレート、ポリメタク
リレート、ポリマロネート、ポリシロキサン、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネ
ート、あるいはポリペプチド、セルロースなどをあげる
ことができる。なかでもベースとなるネマチック液晶性
ポリマーとの相溶性から、芳香族主体の光学活性なポリ
エステルが最も好ましい。具体的には次のようなポリマ
ーを例示することができる。
【0045】
【化22】
【0046】
【化23】
【0047】
【化24】
【0048】
【化25】
【0049】
【化26】 これらのポリマー中に占める光学活性な基の割合は通常
0.5モル%〜80モル%であり、好ましくは5モル%
〜60モル%である。また、これらのポリマーの分子量
は、たとえばフェノール/テトラクロロエタン中、30
℃で測定した対数粘度が0.05から5.0の範囲が好
ましい。対数粘度が5.0より大きい場合は粘性が高す
ぎて結果的に配向性の低下を招くことがあり、また0.
05より小さい場合は組成のコントロールが難しいこと
がある。
【0050】これらの組成物の調製は、チルト配向性ポ
リマーと光学活性化合物を所定の割合で、固体混合、溶
液混合あるいはメルト混合などの方法で混合することに
よって行える。組成物中に占める光学活性化合物の割合
は、光学活性化合物中の光学活性な基の比率、あるいは
その光学活性化合物のチルト配向性ポリマーにねじれを
与えるときのねじれ力によって異なるが、一般的には
0.1から60wt%の範囲が好ましく、特に0.5か
ら40wt%の範囲が好ましい。0.1wt%より少な
い場合は十分なねじれを与えることがないことがあり、
また60wt%より多い場合は配向性に悪影響をおよぼ
すことがある。
【0051】本発明の補償板は以上説明したポリマーを
用い、高分子液晶の配向能を有する配向基板上にねじれ
チルト配向せしめ、この配向を固定化して製造される。
配向基板が透明で光学的に使用できるものであれば、配
向基板がそのまま透明基板として使用できる。また配向
基板が透明でないかまたは光学的に大きな異方性を持つ
ような場合は、ねじれチルト配向を固定化して得られた
高分子液晶層を、配向基板上から他の透明基板上に転写
することで補償板が製造される。
【0052】用いることのできる配向基板について説明
する。基板としては通常のホモジニアス配向用基板と同
様に基板表面に沿った異方性を有するという性質がまず
必要であるが、さらに優先プレチルト方向を規定するた
めの異方性を有していることが好ましい。ここでいうプ
レチルトとは基板界面近傍での液晶分子のダイレクター
が、基板平面と0°でないある角度を有して配向してい
る状態を指す。プレチルト方向とは、分子があるプレチ
ルト角をもって立ち上がっている場合、分子の基板によ
り近い末端から基板により遠い末端に向かう基板平面に
平行な方向を指す。したがって優先プレチルト方向があ
るということは、ここで定義したプレチルト方向がほぼ
一定の方向を向いていることを示す。もし優先プレチル
ト方向がなく、プレチルト方向が定まらないような基板
を用いた場合、主たるチルト方向に対して反対向きにチ
ルトした領域が発生する場合があり、液晶層のモノドメ
イン化を妨げる恐れがある。優先プレチルト方向をほと
んど持たない基板でも、電場、磁場、ずり等の外力を加
えることにより、液晶の優先プレチルト方向を規定する
ことができるが、製造の容易さの面で優先プレチルト方
向を有する基板を用いた方が好ましい。
【0053】配向基板の具体的な例としては、ラビング
処理を施したポリイミド膜、ポリビニルアルコール膜あ
るいは二酸化珪素の斜め蒸着膜などを有するガラスまた
はプラスチックフィルム、延伸処理または表面を直接ラ
ビング処理したプラスチックのフィルムなどが挙げられ
る。ラビング処理を行う場合、表面を布等でこする方向
を一方向に限定し、往復操作は行わない方が、プレチル
ト方向を明確に規定してやるためには好ましい。プラス
チックフィルムとしては以下のようなものを挙げること
ができる。例えばポリメチルメタクリレート等のアクリ
ル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミ
ドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエー
テルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトン
サルファイド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂などが代表的なものである。
【0054】本発明の補償板の製造は、上述した液晶性
高分子(組成物を含む)および基板を用いて行われる。
すなわち、ポリマーをまず基板の上に均一に塗布し、次
いでポリマーの液晶温度において熱処理してねじれチル
ト配向させた後、冷却してねじれチルト配向状態を固定
化する。ポリマーの基板への塗布は通常溶液状態もしく
は溶融状態で行われる。溶液を調製する場合、用いるこ
とのできる溶媒はポリマーの種類によって異なるが、通
常はクロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、オル
ソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、これら
とフェノールとの混合溶媒、テトラヒドロフラン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、N−メチルピロリドンなどである。溶液の
濃度はポリマーと溶媒の組み合わせにより異なるが、通
常は5から50%の範囲で使用され、好ましくは10か
ら30%の範囲である。塗布には、スピンコート法、ロ
ールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテン
コート法などを採用でき、塗布後は溶媒を乾燥により除
去する。次いで熱処理操作によりモノドメインなねじれ
チルト配向構造を完成させる。界面効果による配向を助
ける意味でポリマーの粘性は低い方が良く、従って熱処
理温度は高い方が好ましいが、ポリマーは液晶相より高
温部に等方相を有するため、熱処理温度は等方相転移温
度よりは低い温度で行わなければならない。また、ポリ
マーによっては得られるねじれ角およびチルト角が熱処
理温度により異なることがあり、その場合は目的に応じ
たねじれ角およびチルト角を得るための熱処理温度を設
定する必要がある。例えば、あるチルト構造を得るため
に比較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場合、低
い温度ではポリマーの粘性が高く、配向に要する時間が
長くなるので、そのような場合には一旦高温で処理して
モノドメインな配向を得た後に、段階的、もしくは徐々
に熱処理の温度を目的とする温度まで下げる方法が有効
となる。いずれにせよ、そのポリマーの特性に従い、ガ
ラス転移点以上で等方相転移温度以下の温度で熱処理す
る事が好ましく、一般的には50℃から300℃の範囲
が好適で、特に100℃から260℃の範囲が好適であ
る。基板上で液晶状態において充分な配向を得るために
必要な熱処理時間は、ポリマーの組成、熱処理温度によ
り異なり一概にはいえないが、10秒から120分の範
囲が好ましく、特に30秒から60分の範囲が好まし
い。10秒より短い場合は配向が不十分となり、また1
20分より長い場合は生産性が低下し好ましくない。こ
のようにして、まず液晶状態で配向基板上全面にわたっ
て均一なねじれチルト配向を得ることができる。
【0055】こうして得られた配向状態を、次に該高分
子液晶のガラス転移点以下の温度に冷却することによ
り、配向の均一性を全く損なわずに固定化できる。一般
的に液晶相より低温部に結晶相を持っているポリマーを
用いた場合、液晶状態における配向は冷却することによ
って壊れてしまう恐れがある。本発明においては、液晶
相を示す温度領域より下の温度においてガラス相を有す
るポリマー系を使用するためにそのような現象が生じる
ことがなく、完全にモノドメインなねじれチルト配向し
た状態を固定化できる。冷却温度はガラス転移点以下で
あれば特に制限はない。たとえばガラス転移温度より1
0℃以下低い温度に冷却される。冷却する速度は特に制
限はなく、加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気
中に出すだけで固定化される。また、生産の効率を高め
るために、空冷、水冷などの強制冷却を行ってもよい。
ただし、ポリマーによっては冷却速度によって得られる
ねじれ角およびチルト角が若干異なることがある。この
ようなポリマーを使用する場合、厳密にこれら角度を制
御する必要がある場合は、冷却操作も制御された条件下
で行われることが好ましい。
【0056】これらの得られた液晶性高分子フィルム層
の厚さは特に限定されないが、通常0.1〜50μm程
度が望ましい。こうして得られた液晶性高分子フィルム
は、配向基板が透明で光学的に等方であればそのままで
補償板として使用できる。ポリイミド基板のように透過
率の低い基板を用いている場合でも、反射特性を利用す
る用途には使用できる。本発明のもう一つの補償板製造
法として、一旦これらの基板上で液晶性高分子を配向固
定化した後、液晶層を基板から剥離して光学用途により
適した別の基板に移しかえることもできる。例えば使用
する配向基板が、チルト配向状態を得るために必要なも
のであるが、光学素子として使用する場合の性質に好ま
しくない影響を与えるような場合、その基板を配向固定
化後の液晶層から除去して用いることができる。その
際、液晶層自身は膜厚によっては自己支持性のないこと
があるが、他の光学性質上好ましい基板上に接着剤等を
介して固定するなどの方法をとることができる。このよ
うな目的で用いられる透明基板としては、ポリメタクリ
レート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポ
リエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリオレフィン、トリアセチルセルロ
ースなどを例示できる。
【0057】このようにして得られたねじれチルト配向
状態を固定化した補償板は、光学活性単位の量および種
類によりねじれ角を、またポリマーの種類、組成比およ
び熱処理条件によりチルト角を自由に制御できるため、
色補償ばかりでなく視角特性の改良に大きな効果を発揮
する。これらの補償板はそのままで使用しても良いし、
表面保護のために透明プラスチックの保護層を設けても
良い。偏光板などの他の光学素子と組み合わせても良
い。用途としてはまずSTN−LCDの補償板が挙げら
れる。またまた他のモードのLCD、すなわちTFT−
LCD,OMI−LCDあるいはECB−LCDなどの
色補償あるいは視角特性改良にも有効である。
【0058】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法
は以下の通りである。 (1)ポリマーの組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzの−NMR(日本
電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
【0059】(2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。 (3)液晶相系列の決定 DSC(DuPont 990 Thermal An
alizer)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学
(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。 (4)補償板のパラメータの測定 補償板に直線偏光を垂直に入射し、透過光をエリプソメ
ーターにより偏光解析することによりねじれ角およびリ
ターデーション(膜厚と複屈折の積)を求めた。またチ
ルト角は試料に斜めから直線偏光を入射したときの透過
光の偏光状態の入射角依存性および透過偏光スペクトル
の入射角依存性より求めた。
【0060】〔実施例1〕ポリマーA1(ηinh=
0.21),A2(ηinh=0.20),および光学
活性ポリマーA3(ηinh=0.11)を93.5:
5.0:1.5の重量比で含有するポリマーの15wt
%フェノール/テトラクロロエタン溶液を調製した。こ
の溶液をスピンコート法により、ラビングしたポリイミ
ド配向膜を有する厚さ1.1mmの10cm角のガラス
上に塗布した。次に溶媒をホットプレート上で乾燥した
のち、空気恒温槽中で230℃、5分熱処理して補償板
Aを作製した。この補償板のパラメータはリターデーシ
ョン838nm,チルト角4°,ねじれ角−228°で
あった。
【0061】
【化27】
【0062】〔比較例1〕ポリマーB1(ηinh=
0.22)および光学活性ポリマーB2(ηinh=
0.14)を97.0:3.0の重量比で含有するポリ
マーの15wt%フェノール/テトラクロロエタン溶液
を調製した。この溶液をスピンコート法により、ラビン
グしたポリイミド配向膜を有する厚さ1.1mmの10
cm角のガラス上に塗布した。次に溶媒をホットプレー
ト上で乾燥したのち、空気恒温槽中で230℃、5分熱
処理して補償板Bを作製した。この補償板のパラメータ
はリターデーション840nm,チルト角0゜,ねじれ
角−230゜であった。
【0063】
【化28】
【0064】〔実施例2〕図1のように補償板Aおよび
Bを、1/200デューティー駆動、ねじれ角230
°、リターデーション840nmのSTNセルの上面に
貼り付け、その上に偏光板を貼り付けテスト用液晶セル
を作製した。この際の上下偏光板の方向、上下電極基板
のラビング方向、補償板の分子の配向方向は図2に示す
とおりである。上下偏光板のなす角度は90°、下偏光
板と下電極基板のラビング方向のなす角度は45°、上
電極基板のラビング方向と補償板のセル側の分子配向方
向とのなす角度は90°である。
【0065】補償板Aを用いたときおよびBを用いたと
きのいずれも、正面から視認したときは無彩色の十分な
白黒表示が得られたが、図4に示したチルト角が0゜の
補償板Bの場合のコントラスト1の内側の領域すなわち
白黒が反転しない領域は、図3に示したチルト角を有す
る補償板Aを用いたときのほうがはるかに広く、補償板
Aの視角特性は補償板Bに比べて大幅に向上していた。
【0066】〔実施例3〕ポリマーC1(ηinh=
0.16)、C2(ηinh=0.18)、および光学
活性ポリマーC3(ηinh=0.16)を87.3:
9.7:3.0の重量比で含有するポリマーの20wt
%のN−メチルピロリドン溶液を調製した。この溶液を
スピンコート法により、ラビングしたポリイミド配向膜
を有する厚さ1.1mmの10cm角のガラス上に塗布
した。次に溶媒をホットプレート上で乾燥したのち、空
気恒温槽中で220℃、10分熱処理して補償板Cを作
製した。この補償板のパラメータはリターデーション8
38nm,チルト角12°,ねじれ角−230゜であっ
た。補償板Cを用いて実施例2と同様にしてテストセル
を作製したところ、十分な白黒表示が得られ、またコン
トラスト1の内側の白黒表示が反転しない領域は、図5
に示したように補償板Bに比べて広がっていた。
【0067】
【化29】
【0068】〔実施例4〕ポリマーC1,C2,C3の
比率を92.2:4.9:3.0に変えた以外は実施例
3と同様にして補償板C′を作製した。この補償板のパ
ラメータはリターデーション835nm,チルト角5
°,ねじれ角−228°であった。補償板C′を用いて
実施例2と同様にしてテストセルを作製したところ、十
分な白黒表示が得られ、またコントラスト1の内側の白
黒表示が反転しない領域は、図6に示したように補償板
Bに比べて広がっていた。
【0069】〔実施例5〕ポリマーD1(ηinh=
0.13),D2(ηinh=0.14),および光学
活性ポリマーD3(ηinh=0.09)を70.0:
28.0:2.0の重量比で含有するポリマーの18w
t%のp−クロロフェノール/テトラクロロエタン(重
量比80/20)混合溶媒溶液を調製した。この溶液を
カーテンコート法により、表面を直接ラビングしたポリ
イミドフィルム上に塗布した。次に溶媒をオーブン中で
乾燥したのち、空気恒温槽中で210℃、30分熱処理
した。次にこのフィルムの高分子液晶側に光学用接着剤
を用いて厚さ75μmのポリエーテルスルフォンフィル
ムを貼り合わせた。接着剤硬化後静かにポリイミドフィ
ルムと高分子液晶層の界面で引き剥し、液晶層をポリエ
ーテルスルフォンフィルム側に転写した。こうして作製
した補償板Dのパラメータはリターデーション703n
m,チルト角18°,ねじれ角−138°であった。こ
の補償板Dを用いて実施例2と同様にしてテストセルを
作製したところ、十分な白黒表示が得られ、また等コン
トラスト曲線におけるコントラスト1の内側の白黒表示
が反転しない領域は、補償板Bに比べて90°方位で拡
大していた。
【0070】
【化30】
【0071】〔実施例6〕ポリマーE(ηinh=0.
20)の12wt%のテトラクロロエタン溶液を調製し
た。この溶液をスピンコート法により、表面を直接ラビ
ングした厚さ75μmのポリエーテルエーテルケトンフ
ィルム上に塗布した。次に溶媒をオーブン中で乾燥した
のち、空気恒温槽中で230℃、20分熱処理した。次
にこのフィルムの高分子液晶側に光学用接着剤を用い
て、厚さ25μmのトリアセチルセルロースフィルムを
貼り合わせた。紫外線照射による接着剤硬化後、静かに
ポリエーテルエーテルケトンフィルムと高分子液晶層の
界面で引き剥し、液晶層をトリアセチルセルロースフィ
ルム側に転写した。こうして作製した補償板Eのパラメ
ータはリターデーション710nm,チルト角22°,
ねじれ角−141°であった。この補償板Eを用いて実
施例2と同様にしてテストセルを作製したところ、十分
な白黒表示が得られ、また等コントラスト曲線における
コントラスト1の内側の白黒表示が反転しない領域は、
補償板Bに比べて90°および270゜方位で拡大して
いた。
【0072】
【化31】
【0073】〔実施例7〕ポリマーF(ηinh=0.
12)の15wt%のテトラクロロエタン溶液を調製し
た。この溶液をスピンコート法により、表面を直接ラビ
ングした厚さ75μmのポリフェニレンサルファイドフ
ィルム上に塗布した。次に溶媒をオーブン中で乾燥した
のち、空気恒温槽中で220℃、30分熱処理した。次
にこのフィルムの高分子液晶側に光学用接着剤を用い
て、厚さ25μmのトリアセチルセルロースフィルムを
貼り合わせた。紫外線照射による接着剤硬化後、静かに
ポリフェニレンサルファイドフィルムと高分子液晶層の
界面で引き剥し、液晶層をトリアセチルセルロースフィ
ルム側に転写した。こうして作製した補償板Fのパラメ
ータはリターデーション838nm,チルト角13°,
ねじれ角−233°であった。この補償板Fを用いて実
施例2と同様にしてテストセルを作製したところ、十分
な白黒表示が得られ、また等コントラスト曲線における
コントラスト1の内側の白黒表示が反転しない領域は、
補償板Bに比べて全方位で広がっていた。
【0074】
【化32】
【0075】〔実施例8〕ポリマーG1(ηinh=
0.21),G2(ηinh=0.22),および光学
活性ポリマーG3(ηinh=0.18)を2.0:9
6.0:2.0の重量比で含有するポリマーの15wt
%のp−クロロフェノール/テトラクロロエタン(重量
比80/20)混合溶媒溶液を調製した。この溶液をカ
ーテンコート法により、表面を直接ラビングしたポリイ
ミドフィルム上に塗布した。次に溶媒をオーブン中で乾
燥したのち、空気恒温槽中で210℃、30分熱処理し
た。次にこのフィルムの高分子液晶側に光学用接着剤を
用いて厚さ50μmのポリアリレートフィルムを貼り合
わせた。接着剤硬化後静かにポリイミドフィルムと高分
子液晶層の界面で引き剥し、液晶層をポリアリレートフ
ィルム側に転写した。こうして作製した補償板Gのパラ
メータはリターデーション835nm,チルト角10
゜,ねじれ角−145°であった。この補償板Gを用い
て実施例2と同様にしてテストセルを作製したところ、
十分な白黒表示が得られ、また等コントラスト曲線にお
けるコントラスト1の内側の白黒表示が反転しない領域
は、補償板Bに比べて90°方位で拡大していた。
【0076】
【化33】
【0077】〔実施例9〕ポリマーH1(ηinh=
0.10),H2(ηinh=0.12),および光学
活性ポリマーH3(ηinh=0.12)を45.0:
45.0:10.0の重量比で含有するポリマーの20
wt%テトラクロロエタン溶液を調製した。この溶液を
カーテンコート法により、表面を直接ラビングしたポリ
イミドフィルム上に塗布した。次に溶媒をオーブン中で
乾燥したのち、空気恒温槽中で200℃、30分熱処理
した。次にこのフィルムの高分子液晶側に光学用接着剤
を用いて厚さ50μmのポリアリレートフィルムを貼り
合わせた。接着剤硬化後静かにポリイミドフィルムと高
分子液晶層の界面で引き剥し、液晶層をポリアリレート
フィルム側に転写した。こうして作製した補償板Hのパ
ラメータはリターデーション840nm,チルト角12
°,ねじれ角−230。であった。この補償板Hを用い
て実施例2と同様にしてテストセルを作製したところ、
十分な白黒表示が得られ、また等コントラスト曲線にお
けるコントラスト1の内側の白黒表示が反転しない領域
は、補償板Bに比べて全方位で拡大していた。
【0078】
【化34】
【0079】〔実施例10〕ポリマーI1(ηinh=
0.31)およびI2(ηinh=0.23)を80.
0:20.0の重量比で含有するポリマーの20wt%
テトラクロロエタン溶液を調製した。この溶液をカーテ
ンコート法により、表面を直接ラビングしたポリイミド
フィルム上に塗布した。次に溶媒をオーブン中で乾燥し
たのち、空気恒温槽中で190℃、20分熱処理した。
次にこのフィルムの高分子液晶側に光学用接着剤を用い
て厚さ50μmのポリアリレートフィルムを貼り合わせ
た。接着剤硬化後静かにポリイミドフィルムと高分子液
晶層の界面で引き剥し、液晶層をポリアリレートフィル
ム側に転写した。こうして作製した補償板Iのパラメー
タはリターデーション835nm,チルト角18°,ね
じれ角−235°であった。この補償板Iを用いて実施
例2と同様にしてテストセルを作製したところ、十分な
白黒表示が得られ、また等コントラスト曲線におけるコ
ントラスト1の内側の白黒表示が反転しない領域は、補
償板Bに比べて90°方位で特に拡大していた。
【0080】
【化35】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用した液晶セルの断面図で
ある。
【図2】本発明の実施例で用いた液晶セルを構成する各
材料の光学軸の関係を示す。
【図3】実施例2の補償板Aを用いたときのコントラス
ト1の領域を示す等コントラスト曲線である。
【図4】実施例2の補償板Bを用いたときのコントラス
ト1の領域を示す等コントラスト曲線である。
【図5】実施例3の補償板Cを用いたときのコントラス
ト1の領域を示す等コントラスト曲線である。
【図6】実施例4の補償板C′を用いたときのコントラ
スト1の領域を示す等コントラスト曲線である。
【符号の説明】
11 上偏光板 12 本発明の補償板 13 STN液晶セル 14 下偏光板 21 下偏光板透過軸 22 上偏光板透過軸 23 下電極基板ラビング軸 24 上電極基板ラビング軸 25 補償板の上電極基板側の面の分子の配向方向 26 補償板の上偏光板側の面の分子の配向方向 2a 液晶セル中の液晶分子のねじれ角 2b 補償板の高分子液晶のねじれ角 2c 21と23のなす角度 2d 24と25のなす角度 2e 21と22のなす角度 2f 22と26のなす角度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−250166(JP,A) 特開 平5−53016(JP,A) 特開 平5−196815(JP,A) 特開 平5−215921(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30 C09K 19/02 C09K 19/38 G02F 1/1335 510 G02F 1/1337 520

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1枚の透明基板および該透明基板上に形
    成せしめられた配向固定化された液晶性高分子層より実
    質的になる液晶表示素子用補償板であって、該液晶性高
    分子層の配向が、液晶性高分子のダイレクターと基板表
    面のなす角度の平均値が3°から85°であり、かつ液
    晶性高分子のダイレクターの基板表面への投影成分が膜
    厚方向に連続的に回転しているねじれチルト配向である
    ことを特徴とする液晶表示素子用補償板。
  2. 【請求項2】 透明基板がガラスであるかまたは表面に
    配向膜を有するガラスであることを特徴とする請求項1
    記載の液晶表示素子用補償板。
  3. 【請求項3】 透明基板がプラスチックフィルムである
    かまたは表面に配向膜を有するプラスチックフィルムで
    あることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用補
    償板。
  4. 【請求項4】 液晶性高分子が、光学活性単位を含む高
    分子化合物か、または光学活性化合物を含む液晶性高分
    子組成物であり、かつ液晶転移点以下の温度ではガラス
    状態となる液晶性高分子であることを特徴とする請求項
    1記載の液晶表示素子用補償板。
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