JP2784680B2 - 位相差板の製造方法 - Google Patents

位相差板の製造方法

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JP2784680B2 JP2093170A JP9317090A JP2784680B2 JP 2784680 B2 JP2784680 B2 JP 2784680B2 JP 2093170 A JP2093170 A JP 2093170A JP 9317090 A JP9317090 A JP 9317090A JP 2784680 B2 JP2784680 B2 JP 2784680B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は1/2波長板、1/4波長板あるいは液晶表示素子
用補償板などに用いられる光学的位相差板の製造方法に
関する。
(従来の技術および発明が解決しようとする課題) 近年、光学分野および光エレクトロニクス分野などに
おいては光の位相を制御する位相差板は重要な光学素子
の一つとなつており、特に液晶デイスプレイ(LCD)の
分野においては、表示品位を向上さすために位相差板は
必須の光学素子となつている。なかでもSTN液晶デイス
プレイはマルチプレツクス駆動ドツトマトリクス方式で
大画面表示が可能で、従来のツイステツドネマチツク
(TN)型液晶デイスプレイに比べてコントラストが高く
また視野角が広いなどの特徴があるため、パーソナルコ
ンピユーター、ワードプロセツサー、各種データターミ
ナルなど大画面表示を必要とする液晶デイスプレイの分
野で広く用いられている。しかしながらSTN方式は、そ
の原理から白黒モードで表示することができず、たとえ
ば電圧無印加時には緑から黄赤色で、電圧印加時は青色
になるといつた着色モードになることを避けられない。
この着色モードによる表示は使用する側から好まれない
ばかりでなく、カラー化に対応できないという重大な欠
点を有する。この欠点を解消するために種々の工夫がな
されている。代表的な方法として1軸または2軸延伸し
たポリカーボネートあるいはポリビニルアルコールなど
の高分子フイルムから成る位相差フイルムを用いて、光
がLCDを透過したときに生じる位相差を補償して白黒表
示を実現する方法がある。しかしながらこのSTN−LCD用
位相差フイルムを製造するためには、大面積にわたつて
高度に均一なリターデーシヨン(複屈折×膜厚)の値を
有するフイルムの製造が必要で、工業的にきわめて困難
であり、歩留まりが悪く、高価なものとなつてしまう。
また1/2波長板、1/4波長板などの光学素子においても、
その位相差を正確に制御することは困難でコスト高のも
のになつてしまう。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは従来の位相差板が有する上記問題点を克
服するために、均一なモノドメイン構造を有するネマチ
ツク配向の固定化された高分子液晶フイルムに着目し、
鋭意検討した結果ついに本発明に到達した。
本発明は、上記の問題点を解決した光学的位相差板、
特に配向固定化された高分子液晶フイルムを用いてなる
液晶表示素子用色補償板に好適な位相差板の製造方法を
提供するものである。
本発明は、透光性基板上に配向膜を形成し、該配向膜
上に液晶状態でネマチック配向し、液相転移点以下では
ガラス状態となる液晶性高分子を塗布した後、該液晶性
高分子のガラス転移点以下の温度で熱処理し、次いで該
液晶性高分子のガラス転移点以下の温度に冷却してネマ
チック構造を固定化することを特徴とする位相差板の製
造方法に関する。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の位相差板は、均一でモノドメインなネマチツ
ク配向性を示しかつその配向状態を容易に固定化できる
液晶性高分子を配向膜上で熱処理し、均一、モノドメイ
ンなネマチツク構造を形成させたのち冷却することによ
つて、液晶状態における配向を損なうことなく固定化し
て製造されるものである。
本発明で用いられる液晶性高分子は均一でモノドメイ
ンなネマチツク配向性を示しかつその配向状態を容易に
固定化できるものであり、以下のような性質を有するこ
とが必須である。ネマチツク配向の安定した固定化を行
うためには、液晶の相系列でみた場合、ネマチツク相よ
り低温部に結晶相を持たないことが重要である。これら
の相が存在する場合固定化のために冷却するとき必然的
にこれらの相を通過することになり、結果的に一度得ら
れたネマチツク配向が破壊されてしまう。したがつてこ
の目的のために用いられる液晶性高分子は、界面効果に
よる良好な配向性を有することとともに、ネマチツク相
より低温部にガラス相を有することが必須である。
用いられる液晶性高分子の種類としては、液晶状態で
ネマチツク配向し、液晶転移点以下ではガラス状態とな
るものはすべて使用できる。例えばポリエステル、ポリ
アミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの
主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリ
メタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンなど
の側鎖型液晶ポリマーなどを例示することができる。な
かでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などからポ
リエステルが好ましい。用いられるポリエステルとして
はオルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポリマー
が最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わりにか
さ高い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素または含
フッ素置換基を有する芳香族などを構成成分として含む
ポリマーもまた好ましく使用することができる。なお、
本発明で言うオルソ置換芳香族単位とは、主鎖をなす結
合を互いにオルソ位とする構造単位を意味し、具体的に
は次に示すようなカテコール単位、サリチル酸単位、フ
タル酸単位およびこれらの基のベンゼン環に置換基を有
するものなどをあげることができる。
(Xは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数が1から4の
アルキル基もしくはアルコキシ基またはフエニル基を示
す。またkは0〜2である。) これらのなかでも特に好ましい例として次のようなも
のを例示することができる。
(Me;メチル基、Et;エチル基、Bu:ブチル基) 本発明で好ましく用いられるポリエステルとしては、
(a)ジオール類より誘導される構造単位(以下、ジオ
ール成分という)およびジカルボン酸類より誘導される
構造単位(以下、ジカルボン酸成分という)および/ま
たは(b)一つの単位中にカルボン酸と水酸基を同時に
含むオキシカルボン酸類より誘導される構造単位(以
下、オキシカルボン酸成分という)を構成成分として含
み、好ましくはさらに前記オルソ置換芳香族単位を含む
ポリマーが例示できる。
これらのうち、ジオール成分としては次のような芳香
族および脂肪族のジオールを挙げることができる。
(Yは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数1から4のア
ルキル基もしくはアルコキシまたはフエニル基を示す。
lは0〜2である。)、 (nは2から12の整数を表わす) などが好ましく用いられる。
またジカルボン酸成分としては次のようなものを例示
することができる。
(Zは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数が1から4の
アルキル基もしくはアルコキシ基またはフエニル基を示
す。mは0〜2である。)、 などが好ましい。
オキシカルボン酸成分としては、具体的には次のよう
な単位を例示することができる。
ジカルボン酸とジオールのモル比は、一般のポリエス
テルと同様、大略1:1である(オキシカルボン酸を用い
ている場合は、カルボン酸基と水酸基の割合)。またポ
リエステル中に占めるオルソ置換芳香族単位の割合は通
常5モル%から40モル%の範囲が好ましく、さらに好ま
しくは10モル%から30モル%の範囲である。5モル%よ
り少ない場合は、ネマチツク相の下に結晶相が現れる傾
向があり好ましくない。また40モル%より多い場合は、
ポリマーが液晶性を示さなくなり好ましくない。代表的
なポリエステルとしては次のようなポリマーを例示する
ことができる。
の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー。
オルソ置換芳香族単位に変えて次に示すようなかさ高
い置換基を含む芳香族単位、あるいはフツ素または含フ
ツ素置換基を含む芳香族単位を構成成分とするポリマー
もまた好ましく用いられる。
(Pr;プロピル基) ポリエステル中に占める前記かさ高い置換基を含む芳
香族単位あるいはフツ素または含フツ素置換基を含む芳
香族単位の割合は、通常5〜40モル%である。
これらのポリエステルの分子量は、各種溶媒中たとえ
ばフエノール/テトラクロロエタン(60/40(重量
比))混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が0.05から
3.0、が好ましく、さらに好ましくは0.07から2.0の範囲
である。対数粘度が0.05より小さい場合、得られた高分
子液晶の強度が弱くなり好ましくない。また3.0より大
きい場合、液晶形成時の粘性が高すぎて、配向性の低下
や配向に要する時間の増加など問題点が生じる。またこ
れらポリエステルのガラス転移点も重要であり、配向固
定化した後の配向の安定性に影響を及ぼす。用途にもよ
るが、一般的には室温付近で使用すると考えれば、ガラ
ス転移点が30℃以上であることが望ましく、特に50℃以
上であることが望ましい。ガラス転移点が30℃より低い
場合、室温付近で使用すると一度固定化した液晶構造が
変化する場合があり、液晶構造に由来する機能が低下し
てしまい好ましくない。
これらポリエステルの合成法は特に制限されるもので
はなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重合法あ
るいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用いる酸
クロライド法で合成される。溶融重縮合法で合成する場
合、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオールの
アセチル化物を、高温、高真空下で重合させることによ
つて製造でき、分子量は重合時間のコントロールあるい
は仕込組成のコントロールによつて容易に行える。重合
反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナトリ
ウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶液重
合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロライ
ドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸受容
体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポリエ
ステルを得ることができる。
本発明の位相差板は基本的に透光性基板、透光性基板
上に形成された配向膜および配向膜上に形成された液晶
性高分子膜の三層構造よりなる。透光性基板としてはガ
ラス、透光性プラスチツクフイルム、プラスチツクシー
トなどを用いることができる。これらのうちプラスチツ
ク基板については光学的に等方性であることが好まし
く、たとえばポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフオン、ポリ
フエニレンサルフアイド、ポリオレフインあるいはエポ
キシ樹脂などを用いることができる。また配向膜として
はラビング処理したポリイミドフイルムが好適に用いら
れるが、二酸化珪素の斜め蒸着膜、ポリビニルアルコー
ルのラビング処理膜など当該分野で公知の配向膜ももち
ろん用いることができる。この透光性基板上に形成され
た配向膜上に高分子液晶膜を形成して本発明の位相差板
が製造される。
まず本発明の液晶性高分子を所定の溶媒に所定濃度で
溶解し溶液を調製する。この際の溶媒はポリマーの種類
によつて異なるが、通常はクロロホルム、ジクロロエタ
ン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラ
クロロエチレン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲ
ン化炭化水素、これらとフエノールとの混合溶媒、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシドなどを用いることができる。溶液の濃度はポ
リマーの粘性によつて大きく異なるが、通常は5から50
%の範囲で使用され、好ましくは10から30%の範囲であ
る。この溶液を次ぎに配向処理した透光性ガラス板上、
プラスチツク板上あるいはプラスチツクフイルム上に塗
布する。配向処理の方法は特に制限されるものではない
が、液晶分子を界面と平行に配向させるものであればよ
く、例えば基板上にポリイミドを塗布し、ラビング処理
したポリイミドラビング処理ガラスあるいはフイルムな
どが好適に用いられる。塗布の方法としては、スピンコ
ート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法
などを採用できる。塗布後溶媒を乾燥により除去し、所
定温度で所定時間熱処理してモノドメインなネマチツク
配向を完成させる。界面効果による配向を助ける意味で
ポリマーの粘性は低いほうが良く、したがつて温度は高
いほうが好ましいが、あまり温度が高いとコストの増大
と作業性の悪化を招き好ましくない。またポリマーの種
類によつては、ネマチツク相より高温部に等方相を有す
るので、この温度域で熱処理しても配向は得られない。
以上のようにそのポリマーの特性にしたがい、ガラス転
移点以上で等方相への転移点以下の温度で熱処理するこ
とが好ましく、一般的には50℃から300℃の範囲が好適
で、特に100℃から250℃の範囲が好適である。配向膜上
で液晶状態において十分な配向を得るために必要な時間
は、ポリマーの組成、分子量によつて異なり一概にはい
えないが、10秒から60分の範囲が好ましく、特に30秒か
ら30分の範囲が好ましい。10秒より短い場合は配向が不
十分となり、また60分より長い場合は生産性が低下し好
ましくない。
またポリマーを溶融状態で、配向処理した基板上に塗
布したのち熱処理をすることによつても、同様の配向状
態を得ることができる。本発明の液晶性高分子を用いて
これらの処理を行うことによつて、まず液晶状態で配向
膜上全面にわたつて均一なネマチツク配向を得ることが
できる。こうして得られた配向状態を、次に該液晶性高
分子のガラス転移点以下の温度に冷却することによつ
て、配向を全く損なわずに固定化できる。一般的に液晶
相より低温部に結晶相を持つているポリマーを用いた場
合、液晶状態における配向は冷却することによつて壊れ
てしまう。本発明の方法によれば、液晶相の下にガラス
相を有するポリマー系を使用するためにそのような現象
が生ずることなく、完全にネマチツク配向を固定化でき
る。冷却速度は特に制限はなく、加熱雰囲気中からガラ
ス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定化される。ま
た生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの強制冷
却を行つても良い。固定化後の膜厚は100μmまでの範
囲が好ましく、特に50μmまでの範囲が好ましい。膜厚
が100μmを超えると配向膜の効果が弱くなり、均一な
配向が得られにくくなる。
本発明の特徴の一つは、上記のようにフイルムの片面
のみを配向膜と接触させて配向制御し、他の面はフリー
の状態で、例えば空気相と接触させた状態で高度な配向
制御とその固定化ができることである。一般に液晶の配
向制御は両界面を配向膜と接触させて行うのが普通であ
り、片面が空気相のときは空気界面の分子配向は一様で
なくその影響により、膜厚方向の全領域における均一な
配向は得られない。本発明の場合、片面のみを制御によ
りモノドメインのネマチツク配向ができ、さらにそれを
固定化できるという大きな特徴を有する。
このようにして得られた位相差板は、そのままで使用
しても良いし、表面保護のために透明プラスチツクの保
護層を設けてもよい。また偏光板などの他の光学素子と
組み合わせた形で使用してもよい。以上のように本発明
の方法によつて製造された位相差板は、1/2波長板、1/4
波長板などの光学素子に好適であり、また液晶デイスプ
レイ用光学素子として好適である。特にSTN液晶デイス
プレイの着色を解消するための色補償用位相差板として
好適であり、高品位な白黒表示を可能にするばかりでな
く、製造コストが安く生産性が高いため、きわめて工業
的な価値の大きなものである。
(実施例) 以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに制限され
るものではない。なお実施例で用いた各分析法は以下の
通りである。
(1) ポリマーの組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリ
フルオロ酢酸に溶解し、400MHzの1H−NMR(日本電子製J
NM−GX400)で測定し決定した。
(2) 対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フエノール/テトラクロ
ロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定し
た。
(3) DSCの測定 DuPont 990 Thermal Analizerを用いて測定した。
(4) 光学顕微鏡観察 オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡を用いて観察
した。
実施例 1. テレフタル酸50mmol、メチルヒドロキノンジアセテー
ト25mmol、カテコールジアセテート25mmolおよび酢酸ナ
トリウム100mgを用いて窒素雰囲気化で、100℃で30分、
130℃で30分、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で
1時間と階段状に昇温しながら重合を行つた。次に窒素
ガスを流しながら250℃で2時間重合を続け、さらに減
圧下に同じ温度で1時間重合を行つた。次に得られたポ
リマーをテトラクロロエタンに溶解し過したのち、メ
タノールで再沈澱を行つて、表1に示す性状を有する精
製ポリマー9.0gを得た。
このポリマーを用いて濃度15wt%のテトラクロロエタ
ン溶液を調製し、片面にラビング処理したポリイミドの
配向膜を有する12cm×12cmのガラス板上(EHC社製)
に、スピンコート法で塗布したのち乾燥した。
次にこの試料を空気恒温槽中で200℃で10分間熱処理
したのち、恒温槽より取り出して放冷固定化した。得ら
れたガラス上のフイルムは、膜厚が1.1μmの完全透明
で平滑なフイルムであつた。このフイルムの配向状態を
偏光顕微鏡のクロスニコル下で観察したところ、全領域
にわたつて欠陥がまつたくみられなかつた。次に偏光解
析をおこなつてこのフイルムのリターデーシヨン(△n
・d,△nは復屈折をまたdは膜厚をしめす)を測定した
ところ、0.25μm(630nmの値)の値が得られ、ネマチ
ツク構造が固定化されていることがわかつた。(△n=
0.227μm) 実施例 2. 実施例1のポリマーを用いて、5cm×10cmの大きさで
厚さが0.1cmのラビング処理したポリイミド層を有する
ガラス板上に、スクリーン印刷機を用いてキヤストした
のち乾燥し、実施例1と同様の条件下に熱処理と固定化
を行い厚さが2.6μmのネマチツク構造を固定化した位
相差フイルムを作製した。こうして作製した位相差板
を、第1図に示す配置にしたがい1/200デユーテイー駆
動のSTN液晶セルの上面に積層し、さらにその上に偏光
板を貼付けて反射型セルを作製した。この際の上下偏光
板の方向、上下電極基板のラビング方向、ネマチツクフ
イルム(位相差フイルム)の分枝の配向方向は第2図に
示すとおりで、液晶セル中での液晶分子のねじれ角は24
0゜、上下偏光板の偏光軸のなす角度は60゜、上電極基
板のラビング方向とネマチツクフイルムにおける分子の
配向方向とのなす角度は90゜、下偏光板の偏光軸と下電
極基板のラビング方向とのなす角度は約45゜である。こ
の液晶セルの表示色はほぼ完全な白黒表示が実現でき
た。
実施例 3〜11. テレフタル酸ジクロライド60mmol、メチルヒドロキノ
ン25mmol、カテコール25mmol、1,6−ヘキサンジオール1
0mmolおよびピリジン30mlを250mlのオルソジクロロベン
ゼン中に溶解した溶液を、窒素気流下、70℃で3時間重
合した。次に反応液を過したのちメタノールに投入し
てポリマーを沈澱させ、過後減圧乾燥して表1に示す
性状を有するポリエステルを合成した。収量は11.0gで
あつた。
ここで示した酸クロライド法および実施例1で示した
溶融重縮合法を用いて、表1に示す各種のポリエステル
を合成した。これらのポリマーを用い、表2に示す条件
下にガラス上またはプラスチツクフイルム上にネマチツ
ク構造を固定化した位相差板を作製し、実施例2と同様
にして色補償効果を調べた。その結果いずれの場合も白
黒表示が得られ、本発明の位相差板の効果が明らかにな
つた。
実施例 12. 実施例3で合成したポリマーを用い、実施例2と同様
の方法でそれぞれリターデーシヨンの値が0.35μmの2
枚の位相差板を作製した。この2枚の位相差板を用い
て、第3図に示す配置にしたがい1/200デユーテイー駆
動のSTN液晶セルの上面および下面に1枚ずつ積層し透
過型セルを作製した。この際の上下偏光板の方向、上下
電極基板のラビング方向、2枚の位相差板の分子の配向
方向は第4図に示したように設定した。液晶セル中での
液晶分子のねじれ角は240゜、上下偏光板の偏光軸のな
す角度は70゜、上電極基板のラビング方向と上位相差フ
イルムにおける分子の配向方向とのなす角度は80゜、下
電極基板のラビング方向と下位相差フイルムにおける分
子の配向方向とのなす角度は100゜、上偏光板の偏光軸
と上位相差フイルムの分子の配向方向とのなす角度は約
60゜、下偏光板の偏光軸と下位相差フイルムの分子の配
向方向とのなす角度は約30゜である。この透過型液晶セ
ルの表示色はほぼ完全な白黒表示であつた。
比較例 1. テレフタル酸ジクロライド60mmol、メチルヒドロキノ
ン40mmol、1,6−ヘキサンジオール20mmol、およびピリ
ジン30mlを250mlのオルソジクロロベンゼン中に溶解し
た溶液を、窒素気流下、70℃で2.5時間重合した。次に
反応液を過したのちメタノールに投入してポリマーを
沈澱させ、過後減圧乾燥して表1に示す性状を有する
ポリエステルを得た。このポリエステルを用いて20wt%
テトラクロロエタン溶液を調製し、実施例1と同様にし
て配向固定化を試みた。しかしながら得られたフイルム
は透明性のない白濁したフイルムであり、偏光顕微鏡で
調べた結果、一部にネマチツク配向は残つているもの
の、大部分は配向の乱れたもので位相差フイルムとして
用いることはできなかつた。
(発明の効果) 本発明の位相差板は製造が容易で各種光学素子として
用いることができ、特に液晶デイスプレイ用位相差板と
して好適に用いることができる。なかでもSTN液晶デイ
スプレイスプレイの欠点である着色表示を白黒表示に変
換でき、きわめて工業的価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図および第3図は本発明の実施例で用いた液晶セル
の断面図を示す。ただし各層を貼合わせるために用いた
粘着剤の層は省略してある。 第2図および第4図は本発明の実施例で用いた液晶セル
を構成する材料の各軸の相互の関係を示す。 1:上偏光板 2:位相差板 3:液晶セル 4:下偏光板 5:上偏光板の透過軸方向 6:下偏光板(反射板付)の透過軸方向 7:上電極基板のラビング方向 8:下電極基板のラビング方向 9:位相差フイルム分子長軸方向 10:表示セル液晶分子のねじれ角と方向 11:上下偏光板の透過軸のなす方向 12:7と9のなす角度 13:6と8のなす角度 14:上偏光板 15:下偏光板 16:上電極基板のラビング方向 17:下電極基板のラビング方向 18:上位相差フイルム分子長軸方向 19:下位相差フイルム分子長軸方向 20:表示セル液晶分子のねじれ角と方向 21:14と15のなす角度 22:16と18のなす角度 23:17と19のなす角度 24:14と18のなす角度 25:15と19のなす角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 宏之 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本 石油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 滝口 康之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 金本 明彦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 飯村 治雄 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平3−83001(JP,A) 特開 平1−113727(JP,A) 特開 昭62−71905(JP,A) 特開 昭62−70407(JP,A) 特開 平2−74924(JP,A) 特許2592694(JP,B2) 特許2651870(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 5/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基板上に配向膜を形成し、該配向膜
    上に液晶状態でネマチック配向し、液相転移点以下では
    ガラス状態となる液晶性高分子を塗布した後、該液晶性
    高分子のガラス転移点以下の温度で熱処理し、次いで該
    液晶性高分子のガラス転移点以下の温度に冷却してネマ
    チック構造を固定化することを特徴とする位相差板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】液晶性高分子が実質的にオルソ置換芳香族
    単位を含むポリエステルから成ることを特徴とする請求
    項第1項記載の方法。
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