JP3366073B2 - 液晶性高分子フィルムの製造法 - Google Patents

液晶性高分子フィルムの製造法

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JP3366073B2
JP3366073B2 JP24841793A JP24841793A JP3366073B2 JP 3366073 B2 JP3366073 B2 JP 3366073B2 JP 24841793 A JP24841793 A JP 24841793A JP 24841793 A JP24841793 A JP 24841793A JP 3366073 B2 JP3366073 B2 JP 3366073B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高機能光学素子として有
用な液晶性高分子フィルムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】複屈折性の高分子フィルムは屈折率異方
性をもち光に対し位相、偏光状態を制御する光学素子と
して機能する。工業的には液晶ディスプレーの画質向上
用の位相差フィルム、1/2波長板、1/4波長板など
をはじめとする様々な用途がある。
【0003】従来の複屈折性の高分子フィルムはポリカ
ーボネート等のフィルムの延伸操作によって得られるも
のが主流であった。これらは屈折率あるいは複屈折など
の物性制御の手段が、実質的に加工技術である延伸操作
のみであるため、性能の向上には限界があった。特に最
近要求の強くなっている三次元屈折率構造の制御には限
界があった。
【0004】これに対して液晶性高分子を用いた光学材
料は、延伸フィルムに比べ大きな複屈折性を有し、また
液晶性高分子の配向挙動も多様性に富むため屈折率ある
いは複屈折などの光学的性質を自在に制御できるという
大きな特徴がある。特にねじれネマチック配向する液晶
性高分子は、延伸高分子フィルムでは得られない分子の
ねじれ配向が可能なため、光の偏光方向を回転させるな
どの新規な能力があり、さらに有用な材料である。
【0005】本発明者らはこのようなねじれネマチック
液晶性高分子のもつ特性を利用して、新規な光学材料を
作り出すべく検討を重ねた結果、液晶ディスプレー用色
補償板としての開発に成功し先に提案した(特開平3−
28822、特開平3−87720、特開平3−294
821など)。これらの光学材料は各種光学特性におい
て延伸高分子フィルムからなる従来の位相差フィルムに
比べて優れたものであった。しかしながらこれらを基板
上で配向させた場合、液晶分子のダイレクターと基板平
面のなす角度は略平行であり、3次元方向にわたる屈折
率制御にはいまだ限界があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】液晶分子のダイレクタ
ーと基板平面のなす角度が0°でないある一定の角度を
もちながらねじれたねじれチルト配向が実現できれば、
延伸高分子フィルムはもちろん、通常のねじれネマチッ
ク液晶性高分子を固定化して製造した高分子液晶フィル
ムを用いた光学材料に比べても屈折率制御、特に3次元
方向の屈折率制御の自在性が増す。本発明者らは高分子
液晶フィルムからなる光学材料の性能の向上あるいは新
規特性の発現を目的として、このねじれチルト配向に着
目し、液晶性高分子の種類、配向方法およびその固定化
方法について鋭意検討した結果ついに本発明に到達し
た。従って本発明はフィルムを構成する液晶分子がねじ
れチルト配向した配向構造をもつ液晶性高分子フィルム
の製造法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、1枚の基板上
に液晶性高分子を配向固定化させたフィルムを得る方法
において、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる
液晶性高分子を、基板上で液晶転移点を越える温度にお
いて、液晶性高分子のダイレクターと基板平面のなす角
度の平均値が5°から85°であり、かつ該液晶性高分
子のダイレクターの基板平面への投影成分が膜厚方向に
連続的に回転しているねじれチルト状態で配向させ、次
いで液晶転移点以下の温度に冷却し、該ねじれチルト配
向を固定化することを特徴とする液晶性高分子フィルム
の製造法である。ここで1枚の基板とは、液晶性高分子
の上層には基板を配さないことをいう。
【0008】本発明は好ましくは、基板が優先プレチル
ト方向を有することを特徴とする上記の液晶性高分子フ
ィルムの製造法であり、さらに液晶性高分子が光学活性
単位を含む高分子化合物か、または光学活性化合物を含
む液晶性高分子組成物であることを特徴とする上記の液
晶性高分子フィルムの製造法である。
【0009】以下に本発明について詳しく説明する。本
発明でいう液晶性高分子のダイレクターとは、液晶分野
で広く使われる用語であって、あるミクロな領域におけ
る液晶分子の平均配向方向を示すベクトルである。次に
本発明でいうねじれチルト配向について説明すると、ま
ずチルト配向とは、高分子液晶のダイレクターとそのダ
イレクターの基板平面への投影成分とのなす角度の平均
値をチルト角と定義すれば、このチルト角が0°ではな
く90゜でもないような配向である。
【0010】本発明の製造法で採用されるチルト角は5
°から85°の範囲にあり、好ましくは8°から80°
の範囲にあり、さらに好ましくは10°から70°の範
囲にある。チルト角が5°より小さい場合、あるいは8
5°より大きい場合は、それぞれホモジニアス配向、ホ
メオトロピック配向と実質的に変わらなくなり、目的と
する3次元的な光学特性の自由な制御ができなくなる。
【0011】チルト配向にはいくつかの種類がある。例
えば液晶層内の液晶分子のダイレクターが、膜厚方向の
どの場所においても常にほぼ一定であるようなチルト配
向が代表的な例である。また基板界面付近ではダイレク
ターが基板平面に略平行で、ホモジニアス配向かそれに
近い配向をしており、基板とは反対側の界面に近づくほ
どダイレクターが段々立ち上がりホメオトロピック配向
かそれに近い配向状態となるようなチルト配向、あるい
はこの逆の場合、すなわち基板界面付近ではホメオトロ
ピック配向かそれに近い配向をしており、基板の反対側
の界面に近づくにしたがって段々とホモジニアス配向に
近づくようなチルト配向もある。ダイレクターとダイレ
クターの基板平面への投影成分とのなす角度が膜厚方向
のどの点においても一定であるようなチルト配向、およ
びこの角度が膜厚方向に連続的に変化するようなチルト
配向のいずれも本発明でいうチルト配向の範囲に包含さ
れる。後者の場合は膜厚方向に連続的に変化するこの角
度の平均値が本発明でいうチルト角となる。
【0012】次にねじれチルト配向について説明する。
ねじれチルト配向とは、上記したチルト配向を保持した
ままさらにねじれが加わった配向を意味する。すなわち
液晶性高分子がチルト配向し、さらにそのダイレクター
の基板平面への投影成分が膜厚方向に連続的に回転して
いる配向状態を指す。このときのねじれ角は任意に選べ
るが通常は10°から3600゜の範囲にあり、好まし
くは20°から3000゜の範囲にある。
【0013】したがって本発明で用いられる液晶性高分
子は、液晶相としてねじれネマチック相を持つものであ
り、液晶転移点を越える温度において基板上でねじれチ
ルト配向構造をとり、またその構造を損なうことなくガ
ラス状態で固定化できるものであることが必須である。
チルト配向性を示す液晶性高分子には次のようなものが
ある。 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性高
分子 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性高
分子と、ガラス固定化能を有する液晶性高分子との組成
物 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性高
分子と、他の液晶性高分子との組成物 チルト配向能を有する液晶性高分子と、ガラス固定化
能を有する液晶性高分子との組成物
【0014】本発明のねじれチルト配向を得るために
は、さらにこれらに光学活性を付与する必要がある。上
記からのポリマー中に光学活性な単位を導入する方
法が一つの方法であり、もう一つの方法はからのそ
れぞれにさらに低分子あるいは高分子の光学活性化合物
を加えた組成物を用いる方法である。
【0015】まずベースとなるチルト配向性を有する液
晶性高分子としては、例えばポリエステル、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの主鎖
型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリメタ
クリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンなどの側
鎖型液晶ポリマーなどを例示することができる。なかで
も合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などからポリエ
ステルが好ましい。
【0016】チルト配向能をもつ液晶性ポリエステルと
しては、主鎖中に炭素数3以上のアルキル基よりなる置
換基を有する芳香族単位、炭素数3以上のアルキル骨格
をもつ単位、もしくはフッソまたは含フッソ置換基を有
する芳香族単位を構成成分として含むポリエステルを挙
げることができる。これらの構造単位を以下に例示す
る。
【0017】
【化1】
【0018】(ここでA,Bはそれぞれ炭素数3から1
2の直鎖または分枝のアルキル基、−OR,−COO
R,−OCOR(Rは炭素数3から12の直鎖または分
技のアルキル基)、−O(CHCHO)R′,−
COO(CHCHO)R′,−OCO(CH
O)R′(R′はメチル基またはエチル基を示
す)から選ばれる基を示す。)
【0019】
【化2】
【0020】(ここでR″は炭素数が3から12の直鎖
または分技のアルキル基を示す)
【0021】
【化3】
【0022】などが挙げられ、これらの中でも特に
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】などのような単位が好ましい。
【0026】ポリエステルの構成単位としては、(a)
ジカルボン酸類より誘導される単位(以下、ジカルボン
酸単位とよぶ)、(b)ジオール類より誘導される単位
(以下ジオール単位とよぶ)、(c)一つの単位中にカ
ルボキシル基と水酸基を同時にもつオキシカルボン酸類
より誘導される単位(以下オキシカルボン酸単位とよ
ぶ)が挙げられる。ポリエステルはこれらの単位から適
宜選択されて構成される。構造としては、(a)+
(b)型、(a)+(b)+(c)型、(c)単独型が
ある。前記した構造単位を(a),(b)および(c)
単位の少なくとも一つに含むポリエステルがチルト配向
性高分子として有効に作用する。これらの単位のポリエ
ステル中に占める割合は、1から50モル%の範囲にあ
り、なかでも3から40モル%の範囲が好ましく、さら
に好ましくは5から30モル%である。これらチルト配
向性を発現さすために必要な単位の量が1モル%より少
ない場合は、目的のチルト配向が得られず好ましくな
い。また50モル%より多い場合は液晶配向性の低下や
フィルムの柔軟性の低下などの悪影響が出るため好まし
くない。
【0027】これらの高分子は前記の通りほとんどかさ
高い置換基、フッソ系置換基などを持っており、あるい
は主鎖をなす結合がメタまたはオルソ位にあるような芳
香族単位を含んでいるため、おおむねガラス固定化能を
もつ。ガラス固定化が可能なチルト配向性高分子に関し
ては、単独でまたは他の液晶性高分子と組み合わせた組
成物の形で本発明に用いることができる(上記,,
の場合)。これらの高分子の具体的な例を次に示す。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】またチルト配向能はもつがガラス固定化能
を持たないポリマーでも、他のガラス固定化できる液晶
性高分子との組み合わせによりガラス固定化が可能であ
り、本発明に使用できる(上記の場合)。
【0033】ガラス固定化できる液晶性高分子の例を次
に示す。これらは液晶相より低温部でガラス状態をとり
得る液晶性高分子であり、主鎖をなす結合を互いにオル
ソ位とするオルソ置換芳香族単位単位を構成成分として
含むポリマーが特に好適に用いられる。具体的には次に
示すようなカテコール単位、サリチル酸単位、フタル酸
単位、2,3−ナフタレンジオール単位、2,3−ナフ
タレンジカルボン酸単位およびこれらのベンゼン環に置
換基を有するものなどを挙げることができる。
【0034】
【化10】
【0035】(Xは水素、Cl,Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基またはフ
ェニル基を示す。またkは0〜2である)。
【0036】これらのなかでも特に好ましい例として次
のようなものを例示することができる。
【0037】
【化11】
【0038】用いられるガラス固定化できる液晶性高分
子はまずこのようなオルソ置換芳香族単位を含むが、次
にポリエステルを構成する他の単位、(a)ジカルボン
酸単位、(b)ジオール単位および(c)オキシカルボ
ン酸単位の例を示す。(a)のジカルボン酸単位として
は以下のものを例示することができる。
【0039】
【化12】
【0040】(Yは水素、Cl,Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基またはフ
ェニル基を示す。またlは0〜2である)、
【0041】
【化13】
【0042】(b)のジオール単位としては以下のもの
を例示することができる。
【0043】
【化14】
【0044】(Zは水素、Cl,Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基またはフ
ェニル基を示す。またmは0〜2である)、
【0045】
【化15】
【0046】(c)のオキシカルボン酸単位としては以
下のものを例示することができる。
【0047】
【化16】
【0048】(Wは水素、Cl,Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基またはフ
ェニル基を示す。またpは0〜2である)、
【0049】
【化17】
【0050】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒
中、例えばフェノール/テトラクロロエタン(60/4
0)混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が、通常
0.05〜3.0、好ましくは0.07〜2.0の範囲
が望ましい。対数粘度が0.05より小さい場合、得ら
れた液晶性高分子の強度が弱くなる場合があり、また
3.0より大きい場合、液晶形成時の粘性が高く、配向
性の低下や配向に要する時間の増加など生じることがあ
る。また、これらのポリエステルのガラス転移点も重要
であり、配向固定化した後の配向の安定性にも影響を及
ぼす。用途によるが、一般的には室温付近で使用すると
考えれば、ガラス転移点が、通常0℃以上、好ましくは
30℃以上であることが望ましく、特に50℃以上であ
ることが好ましい。ガラス転移点がこれらの温度よりも
低い場合、室温付近で使用すると一度固定化した液晶構
造が変化する場合があり、液晶構造に由来する機能が低
下することがある。
【0051】これらポリマーの合成法は特に制限される
ものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重
合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用
いる酸クロライド法で合成される。溶融重合法で合成す
る場合、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオー
ルのアセチル化物を、高温、高真空下で重合させること
によって製造でき、分子量は重合時間のコントロールあ
るいは仕込組成のコントロールによって容易に行える。
重合反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナ
トリウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶
液重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロ
ライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸
受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポ
リエステルを得ることができる。
【0052】液晶性高分子として組成物を使用する場合
(前記,,の場合)、チルト配向能をもつ液晶性
高分子の組成物中に占める割合は、目的とするチルト角
によって様々に変化するため一概に規定できないがい、
一般的には1から95重量%の範囲にあり、好ましくは
5から90重量%の範囲である。
【0053】以上説明したような液晶性高分子を用いる
ことによりチルト配向を得ることができるが、これらに
さらに光学活性能を付与することによって本発明のねじ
れチルト配向を実現させることができる。
【0054】光学活性を付与するための第1の方法は、
〜で示したチルト配向性ポリマーあるいはガラス固
定化能を有するポリマー、またはその両者の構造中に光
学活性単位をさらに導入する方法がある。かかる単位と
して具体的には以下のような構造単位を例示することが
できる(構造式中*は光学活性炭素を示す)。
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】これらのポリマー中に占める光学活性な基
の割合は通常0.5モル%〜80モル%であり、好まし
くは5モル%〜60モル%である。
【0058】また、これらのポリマーの分子量は、たと
えばフェノール/テトラクロロエタン中、30℃で測定
した対数粘度が0.05から5.0の範囲が好ましい。
対数粘度が5.0より大きい場合は粘性が高すぎて結果
的に配向性の低下を招くことがあり、また0.05より
小さい場合は組成のコントロールが難しくなることがあ
る。
【0059】光学活性を付与する第2の方法は〜の
液晶性高分子中に、さらに光学活性化合物を加えた組成
物を用いる方法である。
【0060】用いられる光学活性化合物について説明す
ると、代表的な例として、まず光学活性な低分子化合物
をあげることができる。光学活性を有する化合物であれ
ばいずれも本発明に使用することができるが、ベースポ
リマーとの相溶性の観点から光学活性な液晶性化合物で
あることが好ましい。具体的には次のような化合物を例
示することができる。
【0061】
【化20】
【0062】
【化21】
【0063】本発明で用いられる光学活性化合物とし
て、次に光学活性な高分子化合物をあげることができ
る。分子内に光学活性な基を有する高分子であればいず
れも使用することができるが、ベースポリマーとの相溶
性の観点から液晶性を示す高分子であることが望まし
い。例として光学活性な基を有する液晶性のポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシ
ロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルア
ミド、ポリカーボネート、あるいはポリペプチド、セル
ロースなどをあげることができる。なかでもベースとな
るネマチック液晶性ポリマーとの相溶性から、芳香族主
体の光学活性なポリエステルが最も好ましい。具体的に
は次のようなポリマーを例示することができる。
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】
【化24】
【0067】
【化25】
【0068】
【化26】
【0069】これらのポリマー中に占める光学活性な基
の割合は通常0.5モル%〜80モル%であり、好まし
くは5モル%〜60モル%である。
【0070】また、これらのポリマーの分子量は、たと
えばフェノール/テトラクロロエタン中、30℃で測定
した対数粘度が0.05から5.0の範囲が好ましい。
対数粘度が5.0より大きい場合は粘性が高すぎて結果
的に配向性の低下を招くことがあり、また0.05より
小さい場合は組成のコントロールが難しいことがある。
【0071】これらの組成物の調製は、チルト配向性ポ
リマーと光学活性化合物を所定の割合で、固体混合、溶
液混合あるいはメルト混合などの方法で混合することに
よって行える。組成物中に占める光学活性化合物の割合
は、光学活性化合物中の光学活性な基の比率、あるいは
その光学活性化合物のチルト配向性ポリマーにねじれを
与えるときのねじれ力によって異なるが、一般的には
0.1から60wt%の範囲が好ましく、特に0.5か
ら40wt%の範囲が好ましい。0.1wt%より少な
い場合は十分なねじれを与えることがないことがあり、
また60wt%より多い場合は配向性に悪影響をおよぼ
すことがある。
【0072】次に本発明で使用される配向用の基板につ
いて説明する。基板としては通常のホモジニアス配向用
基板と同様に基板表面に沿った異方性を有するという性
質がまず必要であるが、さらに優先プレチルト方向を規
定するための異方性を有していることが好ましい。ここ
でいうプレチルトとは基板界面近傍での液晶分子のダイ
レクターが、基板平面と0°でないある角度を有して配
向している状態を指す。プレチルト方向とは、分子があ
るプレチルト角をもって立ち上がっている場合、分子の
基板により近い末端から基板により遠い末端に向かう基
板平面に平行な方向を指す。したがって優先プレチルト
方向があるということは、ここで定義したプレチルト方
向がほぼ一定の方向を向いていることを示す。もし優先
プレチルト方向がなく、プレチルト方向が定まらないよ
うな基板を用いた場合、主たるチルト方向に対して反対
向きにチルトした領域が発生する場合があり、液晶層の
モノドメイン化合物を妨げる恐れがある。優先プレチル
ト方向をほとんど持たない基板でも、電場、磁場、ずり
等の外力を加えることにより、液晶の優先プレチルト方
向を規定することができるが、製造の容易さの面で優先
プレチルト方向を有する基板を用いた方が好ましい。
【0073】本発明で用いることのできる基板の例とし
ては、ラビング処理を施したポリイミド膜、ポリビニル
アルコール膜などを有する基板、ラビング処理または延
伸処理をしたプラスチックのフィルムまたはシート、二
酸化珪素の斜め蒸着膜などが挙げられる。ラビング処理
を行う場合、表面を布等でこする方向を一方向に限定し
往復操作は行わない方が、プレチルト方向を明確に規定
してやるためには好ましい。プラスチックフィルムまた
はシートとしては以下のようなものを挙げることができ
る。例えばポリメチルメタクリレート等のアクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテル
ケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサル
ファイド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂などが代表的なものである。
【0074】本発明のねじれチルト配向構造を固定化し
たフィルムの製造は、上述した液晶性高分子(組成物を
含む)および基板を用いて行われる。すなわち、ポリマ
ーをまず基板の上に均一に塗布し、次いでポリマーの液
晶温度において熱処理してねじれチルト配向させた後、
冷却してねじれチルト配向状態を固定化する。ポリマー
の基板への塗布は通常溶液状態もしくは溶融状態で行わ
れる。溶液を調製する場合、用いることのできる溶媒は
ポリマーの種類によって異なるが、通常はクロロホル
ム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロ
エチレン、テトラクロロエチレン、オルソジクロロベン
ゼンなどのハロゲン化炭化水素、これらとフェノールと
の混合溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N
−メチルピロリドンなどである。溶液の濃度はポリマー
と溶媒の組み合わせにより異なるが、通常は5から50
重量%の範囲で使用され、好ましくは10から30重量
%の範囲である。塗布には、スピンコート法、ロールコ
ート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート
法などを採用でき、塗布後は溶媒を乾燥により除去す
る。次いで熱処理操作によりモノドメインなねじれチル
ト配向構造を完成させる。界面効果による配向を助ける
意味でポリマーの粘性は低い方が良く、従って熱処理温
度は高い方が好ましいが、ポリマーは液晶相より高温部
に等方相を有するため、熱処理温度は等方相転移温度よ
りは低い温度で行わなければならない。また、ポリマー
によっては得られるねじれ角およびチルト角が熱処理温
度により異なることがあり、その場合は目的に応じたね
じれ角およびチルト角をえるための熱処理温度を設定す
る必要がある。例えば、あるチルト構造を得るために比
較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場合、低い温
度ではポリマーの粘性が高く、配向に要する時間が長く
なるので、そのような場合には一旦高温で処理してモノ
ドメインな配向を得た後に、段階的、もしくは徐々に熱
処理の温度を目的とする温度まで下げる方法が有効とな
る。いずれにせよ、そのポリマーの特性に従い、ガラス
転移点以上で等方相転移温度以下の温度で熱処理するこ
とが好ましく、一般的には50℃から300℃の範囲が
好適で、特に100℃から260℃の範囲が好適であ
る。基板上で液晶状態において充分な配向を得るために
必要な熱処理時間は、ポリマーの組成、熱処理温度によ
り異なり一概にはいえないが、10秒から120分の範
囲が好ましく、特に30秒から60分の範囲が好まし
い。10秒より短い場合は配向が不十分となり、また1
20分より長い場合は生産性が低下し好ましくない。こ
のようにして、まず液晶状態で配向基板上全面にわたっ
て均一なねじれチルト配向を得ることができる。
【0075】こうして得られた配向状態を、次に該高分
子液晶のガラス転移点以下の温度に冷却することによ
り、配向の均一性を全く損なわずに固定化できる。一般
的に液晶相より低温部に結晶相を持っているポリマーを
用いた場合、液晶状態における配向は冷却することによ
って壊れてしまう恐れがある。本発明においては、液晶
相を示す温度領域より下の温度においてガラス相を有す
るポリマー系を使用するためにそのような現象が生じる
ことがなく、完全にモノドメインなねじれチルト配向し
た状態を固定化できる。冷却する速度は特に制限はな
く、加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気中に出
すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるため
に、空冷、水冷などの強制冷却を行ってもよい。ただ
し、ポリマーによっては冷却速度によって得られるねじ
れ角およびチルト角が若干異なることがある。このよう
なポリマーを使用する場合、厳密にこれら角度を制御す
る必要がある場合は、冷却操作も制御された条件下で行
われることが好ましい。
【0076】こうして得られた基板上の液晶性高分子フ
ィルムは、基板が透明であればそのままで透過型として
使用できるし、例えばポリイミド基板のように透過率の
低い基板を用いている場合でも、反射特性を利用する用
途に使用できる。本発明のもう一つのフィルム製造法と
して、一旦これらの基板上で液晶性高分子を配向固定化
した後、液晶層を基板から剥離して光学用途により適し
た別の基板に移しかえることもできる。例えば使用する
配向基板が、ねじれチルト配向状態を得るために必要な
ものであるが、光学素子として使用する場合の性質に好
ましくない影響を与えるような場合、その基板を配向固
定化後の液晶層から除去して用いることができる。その
際、液晶層自身は膜厚によっては自己支持性のないこと
があるが、他の光学性質上好ましい基板上に接着剤等を
介して固定するなどの方法をとることができる。
【0077】このようにして得られたねじれチルト配向
状態を固定化した高分子液晶のフィルムはそのままで使
用してもよいし、表面保護のために透明プラスチックの
保護層を設けてもよい。偏光板などの他の光学素子と組
み合わせてもよい。
【0078】以上説明してきたように、本発明は従来技
術では得られなかった、フィルムを構成する高分子液晶
分子がねじれチルト配向した高分子液晶フィルムの製造
法を提供するものであり、これらフィルムは新規な配向
構造により全く新しい光学性能を有するため、液晶表示
素子等への応用をはじめとして種々の光学用途に利用で
き、きわめて工業的な価値が大きい。
【0079】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法
は以下の通りである。
【0080】(1)ポリマーの組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzの−NMR(日本
電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
【0081】(2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。
【0082】(3)液晶相系列の決定 DSC(DuPont 990 Thermal An
alizer)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学
(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。
【0083】実施例1 テレフタル酸98mmol、(S)−3−メチルアジピ
ン酸2mmol、ヒドロキノンジアセテート50mmo
l、t−ブチルカテコールジアセテート50mmolお
よび触媒として酢酸ナトリウムを用いて窒素雰囲気下
で、280℃で2時間、300℃で2時間重合を行ない
式(1)のポリマーを合成した。次に得られたポリマー
をテトラクロロエタンに溶解したのち、メタノールで再
沈澱を行なって精製ポリマーを得た。このポリマーの対
数粘度は0.25、Tgは107℃であり、DSC測定
および偏光顕微鏡観察の結果、液晶相より低温部に結晶
相をもたずガラス相を有していた。
【0084】このポリエステルを用い10wt%のテト
ラクロロエタン溶液を調製した。この溶液を、ラビング
ポリイミド配向膜付きガラス基板上に、スピンコート法
により塗布したのち乾燥し、220℃×30分熱処理後
室温まで冷却して、膜厚6.4μmの均一に配向した液
晶フィルムを得た。
【0085】この試料を2枚の透過軸を直交させて配置
した偏光板の間に平行に挟んで観察したところ、試料を
面に対して直交する軸の回りでどのように回転させても
暗視野は得られず、この液晶フィルムがねじれ配向して
いることが分かった。
【0086】次にこの試料に直線偏光を垂直に入射し、
透過光をエリプソメーターにより偏光解析することによ
り、試料のネジレ角およびリターデーションを求めた。
また試料のチルト角を、試料に斜めから直線偏光を入射
したときの透過光の偏光状態の入射角依存性および透過
偏光スペクトルの入射角依存性より求めた。その結果ね
じれ角は144°、チルト角は25°であり、本実施例
の液晶フィルムはねじれチルト配向していることが確認
された。
【0087】
【化27】
【0088】(*は光学活性炭素を示す。また構造単位
における数字はモル組成を示す) 〔以下、同様〕
【0089】比較例1 (S)−3−メチルアジピン酸の代わりにラセミ体の3
−メチルアジピン酸を、またt−ブチルカテコールジア
セテートの代わりにカテコールジアセテートを用いた以
外には実施例1と同様にして式(2)のポリマーを合成
した。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶解し
たのち、メタノールで再沈澱を行なって精製ポリマーを
得た。このポリマーの対数粘度は0.23、Tgは10
4℃であり、DSC測定および偏光顕微鏡観察の結果、
液晶相より低温部に結晶相をもたずガラス相を有してい
た。このポリマーを用いて実施例1と同様の方法で、ラ
ビングポリイミド配向膜付きガラス上に厚さ6.5μm
の液晶フィルムを作製した。
【0090】この試料のねじれ角およびチルト角を実施
例1と同様にして測定したところ、それぞれ0°および
1.5°の値が得られた。この試料は用いたポリマーが
光学活性を有しないためにねじれが導入されておらず、
またt−ブチルカテコール単位を用いなかったためにチ
ルトが誘起されていなかった。
【0091】
【化28】
【0092】実施例2 光学活性単位として(S)−2−メチル−1,4−ブタ
ンジオールを用い実施例1の方法に準じて(3)のポリ
マーを合成した。このポリマーの対数粘度は0.18、
Tgは95℃であり、DSC測定および偏光顕微鏡観察
の結果、液晶相より低温部に結晶相をもたずガラス相を
有していた。このポリマーを用いて実施例1と同様の方
法で、ラビングポリイミド配向膜付きの厚さ75μmの
ポリアリレートフィルム上に厚さ5.0μmの液晶フィ
ルムを作製した。
【0093】このフィルムを2枚の透過軸を直交させて
配置した偏光板の間に平行に挟んで観察したところ、試
料を面に対して直交する軸の回りでどのように回転させ
ても暗視野は得られず、この液晶フィルムがねじれ配向
していることが分かった。
【0094】次にこのフィルムのねじれ角およひチルト
角を実施例1の方法にしたがい測定したところ、それぞ
れ180℃および21°の値が得られ、本実施例の液晶
フィルムはねじれチルト配向していることが確認され
た。
【0095】
【化29】
【0096】実施例3 式(4)、(5)のポリマーおよび光学活性ポリマー
(6)を合成した。それぞれの対数粘度は0.22、
0.25、0.18であり、(4)および(5)のポリ
マーはガラス化するポリマーであった。(4)、
(5)、(6)を重量で20%、79%、1%を含む混
合ポリマーを用いて、濃度15wt%のフェノール/テ
トラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒の溶液
を調製した。この溶液を用いて、ラビングポリイミド配
向膜付きの厚さ75μmのポリアリレートフィルム上
に、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥後250℃で
30分熱処理しさらに210℃で20分熱処理し、厚さ
7.3μmの液晶フィルムを作製した。
【0097】このフィルムを2枚の透過軸を直交させて
配置した偏光板の間に平行に挟んで観察したところ、試
料を面に対して直交する軸の回りでどのように回転させ
ても暗視野は得られず、この液晶フィルムがねじれ配向
していることが分かった。
【0098】次にこのフィルムのねじれ角およびチルト
角を実施例1の方法にしたがい測定したところ、それぞ
れ85℃および30°の値が得られ、本実施例の液晶フ
ィルムはねじれチルト配向していることが確認された。
【0099】
【化30】
【0100】比較例2 式(4)のポリマーに変えて式(7)のポリマー(対数
粘度0.19)を用いた以外は実施例3と同様にして液
晶フィルムを作製した。このフィルムのねじれ角および
チルト角を測定したところ、ねじれ角は115°の値が
得られねじれが導入されていることは確認できたが、チ
ルト角は1.3°であり、チルト配向していないことが
分かった。
【0101】
【化31】
【0102】実施例4 式(8)、(9)のポリマーおよひ光学活性ポリマー
(10)を合成した。それぞれの対数粘度は0.20、
0.19、0.12であり、(8)および(9)のポリ
マーはガラス化するポリマーであった。(8)、
(9)、(10)を重量で50%、49%、1%を含む
混合ポリマーを用いて、濃度15wt%のフェノール/
テトラクロロエタン(重量比60/40)混合溶媒の溶
液を調製した。この溶液を用いて、ラビングポリイミド
配向膜付きの厚さ75μmのポリエーテルスルフォンフ
ィルム上に、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥後2
50℃で30分熱処理しさらに210℃で30分熱処理
し、厚さ3.0μmの液晶フィルムを作製した。
【0103】このフィルムを2枚の透過軸を直交させて
配置した偏光板の間に平行に挟んで観察したところ、試
料を面に対して直交する軸の回りでどのように回転させ
ても暗視野は得られず、この液晶フィルムがねじれ配向
していることが分かった。
【0104】次にこのフィルムのねじれ角およびチルト
角を実施例1の方法にしたがい測定したところ、それぞ
れ43°および35°の値が得られ、本実施例の液晶フ
ィルムはねじれチルト配向していることが確認された。
【0105】
【化32】
【0106】実施例5 式(8)、(9)、(10)のポリマーの比率を50:
48:2(重量比)にした混合ポリマーを用いて、濃度
15wt%のN−メチルピロリドン溶液を調製した。こ
の溶液を用いて柄、表面をラビング処理した厚さ100
μmのポリフェニレンサルファイドフィルム上に、スピ
ンコーターを用いて塗布し、乾燥後250℃で30分熱
処理しさらに210℃で30分熱処理し、厚さ8.4μ
mの液晶フィルムを作製した。次にこのフィルムの液晶
ポリマー側に光学接着剤を塗布し厚さ50μmのポリエ
ーテルスルフォンフィルムを貼り合わせた。接着剤を硬
化させたのち、ポリフェニレンサルファイドフィルムと
液晶ポリマーとの界面で剥離し、液晶ポリマー層をポリ
エーテルスルフォンフィルム側に転写した。
【0107】こうして作製したフィルムを2枚の透過軸
を直交させて配置した偏光板の間に平行に挟んで観察し
たところ、試料を面に対して直交する軸の回りでどのよ
うに回転させても暗視野は得られず、この液晶フィルム
がねじれ配向していることが分かった。
【0108】次にこのフィルムのねじれ角およびチルト
角を実施例1の方法にしたがい測定したところ、それぞ
れ240°およひ35°の値が得られ、本実施例の液晶
フィルムはねじれチルト配向していることが確認され
た。
【0109】実施例6 式(11)および(12)のポリマーを合成した。(1
1)のポリマーは対数粘度が0.30のガラス化するポ
リマーであり、(12)のポリマーは対数粘度が0.2
8の結晶層を有するポリマーであった。
【0110】(11)のポリマーを90wt%、(1
2)のポリマーを10wt%含む混合ポリマーの15w
t%N−メチルピロリドン溶液を調製して、実施例5と
同様の方法で液晶層の厚さが4.6μmの積層フィルム
を作製した。このフィルムのねじれ角とチルト角を実施
例1の方法で測定したところ、それぞれ230°および
26°の値が得られ、この液晶フィルムがねじれチルト
配向構造をとっていることが分かった。
【0111】
【化33】
【0112】実施例7 式(13)、(14)のポリマーおよび光学活性ポリマ
ー(15)を合成した。(13)のポリマーは対数粘度
が0.21の結晶相を有するポリマーであり、(14)
のポリマーは対数粘度が0.22のガラス化するポリマ
ーであった。また(15)のポリマーは対数粘度が0.
18の結晶相を有するポリマーであった。(13)、
(14)、(15)を重量比で8:91:1の割合で含
む混合ポリマーを用いて、濃度10wt%のフェノール
/テトラクロロエタン(重量比60/40)溶液を調製
した。この溶液を表面をラビング処理した厚さ125μ
mのポリイミドフィルム上に、ロールコーターを用いて
塗布し、乾燥後250℃で60分熱処理したのち冷却し
厚さ7.7μmの液晶フィルムを作製した。次にこのフ
ィルムの液晶ポリマー側に光学接着剤を塗布し厚さ50
μmのポリエーテルスルフォンフィルムを貼り合わせ
た。接着剤を硬化させたのち、ポリイミドフィルムと液
晶ポリマーとの界面で剥離し、液晶ポリマー層をポリエ
ーテルスルフォンフィルム側に転写した。
【0113】このフィルムのねじれ角とチルト角を実施
例1の方法で測定したところ、それぞれ130°および
31°の値が得られ、この液晶フィルムがねじれチルト
配向構造をとっていることが分かった。
【0114】
【化34】
【0115】実施例8 式(16)、(17)のポリマーおよび光学活性ポリマ
ー(18)を合成した。(16)のポリマーは対数粘度
が0.20のガラス化するポリマーであり、(17)の
ポリマーは対数粘度が0.12のガラス化するポリマー
であった。また(18)のポリマーは対数粘度が0.1
3の結晶相を有するポリマーであった。(16)、(1
7)、(18)を重量比で50:45:5の割合で含む
混合ポリマーを用いて、濃度10wt%のフェノール/
テトラクロロエタン(重量比60/40)溶液を調製し
た。この溶液を厚さ125μmのラビングポリイミド配
向膜付きガラス上に、スピンコーターを用いて塗布し、
乾燥後230℃で60分熱処理したのち冷却し厚さ1.
5μmの液晶フィルムを作製した。
【0116】この試料のねじれ角とチルト角を実施例1
の方法で測定したところ、それぞれ78°および12°
の値が得られ、この液晶フィルムがねじれチルト配向構
造をとっていることが分かった。
【0117】
【化35】
【0118】実施例9 式(19)のポリマーおよび光学活性ポリマー(20)
を合成した。(19)のポリマーは対数粘度が0.31
のガラス化するポリマーであり、(20)のポリマーは
対数粘度が0.22の結晶相を有するポリマーであっ
た。(19)、(20)を重量比で90:10の割合で
含む混合ポリマーを用いて、濃度10wt%のフェノー
ル/テトラクロロエタン(重量比60/40)溶液を調
製した。この溶液をラビングポリイミド配向膜付きの厚
さ75μmのポリアリレートフィルム上に、スピンコー
ターを用いて塗布し、乾燥後210℃で30分熱処理後
冷却し厚さ3.4μmの液晶フィルムを作製した。
【0119】この試料のねじれ角とチルト角を実施例1
の方法で測定したところ、それぞれ70°および23°
の値が得られ、この液晶フィルムがねじれチルト配向構
造をとっていることが分かった。
【0120】
【化36】
【0121】実施例10 式(21)、(22)のポリマーおよび光学活性ポリマ
ー(23)を合成した。(21)のポリマーは対数粘度
が0.25の結晶相を有するポリマーであり、(22)
のポリマーは対数粘度が0.24のガラス化するポリマ
ーであった。また(23)のポリマーは対数粘度が0.
20のポリマーであった。(21)、(22)、(2
3)を重量比で20:77:3の割合で含む混合ポリマ
ーを用いて、濃度15wt%のテトラクロロエタン溶液
を調製した。この溶液を厚さ125μmのポリイミドフ
ィルム上に、ロールコーターを用いて塗布し、乾燥後2
50℃で60分熱処理したのち200℃まで徐冷し、そ
の後室温まで冷却して厚さ5.9μmの液晶フィルムを
作製した。次にこのフィルムの液晶ポリマー側に光学接
着剤を塗布し厚さ75μmのトリアセチルセルロースフ
ィルムを貼り合わせた。接着剤を硬化させたのち、ポリ
イミドフィルムと液晶ポリマーとの界面で剥離し、液晶
ポリマー層をトリアセチルセルロース側に転写した。
【0122】このフィルムのねじれ角とチルト角を実施
例1の方法で測定したところ、それぞれ69°および3
2°の値が得られ、この液晶フィルムがねじれチルト配
向構造をとっていることが分かった。
【0123】
【化37】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−250166(JP,A) 特開 平5−53016(JP,A) 特開 平5−196815(JP,A) 特開 平5−215921(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30 C08J 5/18 C08L 101/00 C09K 19/38 G02F 1/1335

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1枚の基板上に液晶性高分子を配向固定
    化させたフィルムを得る方法において、液晶転移点以下
    の温度ではガラス状態となる液晶性高分子を、基板上で
    液晶転移点を越える温度において、液晶性高分子のダイ
    レクターと基板平面のなす角度の平均値が5°から85
    °であり、かつ該液晶性高分子のダイレクターの基板平
    面への投影成分が膜厚方向に連続的に回転しているねじ
    れチルト状態で配向させ、次いで液晶転移点以下の温度
    に冷却し、該ねじれチルト配向を固定化することを特徴
    とする液晶性高分子フィルムの製造法。
  2. 【請求項2】 基板が優先プレチルト方向を有すること
    を特徴とする請求項第1項記載の液晶性高分子フィルム
    の製造法。
  3. 【請求項3】 液晶性高分子が光学活性単位を含む高分
    子化合物か、または光学活性化合物を含む液晶性高分子
    組成物であることを特徴とする請求項第1項記載の液晶
    性高分子フィルムの製造法。
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