JP4144096B2 - 減反射材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い表面硬度を有し、しかも低反射率で、表示装置の構成部品等に利用可能な減反射材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルムの最外層に、基板よりも低屈折率の物質からなる反射防止膜を可視光波長の1/4の膜厚(約100nm)で形成すると、干渉効果により表面反射が低減し、透過率が向上することが知られている。このような原理は、液晶表示装置等の表面反射の低減が必要とされる分野において、減反射フィルム及び減反射シート等として応用されている。
【0003】
該減反射フィルム及び減反射シートを生産するには、例えば(i)フッ化マグネシウム等を蒸着、スパッタリングする方法、(ii)低屈折率の含フッ素重合体等の樹脂を溶解した溶液を塗布、乾燥させる方法等が行われている。しかしながら、前者の(i)の蒸着−スパッタリングの塗布−乾燥の方法は真空条件下で行われるため生産性が悪く、大面積化も困難であり、後者の(ii)の方法は生産性もよく大面積化も可能であるが、含フッ素重合体はいずれも硬度が低いため、耐摩耗性が劣るという欠点がある。
【0004】
また含フッ素単量体を必要に応じて溶液としてから塗布し、活性エネルギー線照射、加熱等により重合する方法が提案されている。この方法を行うための含フッ素単量体としては例えば、アクリル酸含フッ素アルキルエステルやメタクリル酸含フッ素アルキルエステル等が知られている。しかしこれらを重合硬化して得られる含フッ素重合体は、前記(ii)の方法に用いる樹脂と同様に、硬度が低く耐摩耗性が著しく悪いという欠点がある。
【0005】
そこで含フッ素多官能重合性単量体を塗布した後、電子線照射により重合硬化させる方法が提案されている(特開平8−48935号公報)。この方法を用いることで通常困難であった約100nmの膜厚の重合性単量体の硬化を行うことができ、硬度が高く、耐摩耗性に優れた含フッ素重合体による減反射材を提供することができる。しかし電子線照射装置を用いることにより、大型の製造設備が必要となり、また電子線照射による硬化は基板および塗膜への着色などの悪影響を与えることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、表面硬度が高く、しかも光透過性で低反射率を示す減反射材を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記の表面硬度が高く、しかも光透過性で低反射率を示す減反射材を生産性良く製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルと特定の含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体と光重合開始剤を配合した塗液を基材に塗付した後、紫外線照射して硬化すると優れた減反射材となることを見い出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)である。
【0008】
(1)A成分として下記一般式[1]
【0009】
【化5】
【0010】
[式中X1及びX2は、同一若しくは異なる基であって、水素原子又はメチル基を示し、Y1はフッ素原子を2個以上有する炭素数1〜14のフルオロアルキレン基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数3〜14のフルオロシクロアルキレン基又は−C(Y2)HCH2−を示す(但しY2は、フッ素原子を3個以上有する炭素数1〜14のフルオロアルキル基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数3〜14のフルオロシクロアルキル基を示す。)]
で表わされる含フッ素ジ(メタ)アクリル酸エステル、
B成分として下記一般式[2]
【0011】
【化6】
【0012】
(式中X3は、水素原子又はメチル基を示し、Y3はフッ素原子を3個以上有する炭素数2〜14のフルオロアルキル基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数4〜14のフルオロシクロアルキル基を示す。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成単位として50重量%以上含有する重合体、および
C成分として光重合開始剤
を含む含フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、基材の片面または両面に硬化して反射防止膜を形成してなる減反射材。
(2)前記の基材がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびトリアセチルセルロースから選択される1種である前記の減反射材。
【0013】
(3)A成分として下記一般式[1]
【0014】
【化7】
【0015】
[式中X1及びX2は、同一若しくは異なる基であって、水素原子又はメチル基を示し、Y1はフッ素原子を2個以上有する炭素数1〜14のフルオロアルキレン基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数3〜14のフルオロシクロアルキレン基又は−C(Y2)HCH2−を示す(但しY2は、フッ素原子を3個以上有する炭素数1〜14のフルオロアルキル基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数3〜14のフルオロシクロアルキル基を示す。)]
で表わされる含フッ素ジ(メタ)アクリル酸エステル、
B成分として下記一般式[2]
【0016】
【化8】
【0017】
(式中X3は、水素原子又はメチル基を示し、Y3はフッ素原子を3個以上有する炭素数2〜14のフルオロアルキル基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数4〜14のフルオロシクロアルキル基を示す。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成単位として50重量%以上含有する重合体、および
C成分として光重合開始剤
を含む含フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、不活性ガス雰囲気下で紫外線照射により重合硬化させて基材の片面または両面に反射防止膜を形成することを特徴とする減反射材の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明により製造される減反射材は、特定の含フッ素硬化性塗液を重合硬化して得られる反射防止膜を、基材の片面又は両面に形成したものである。
【0019】
前記特定の含フッ素硬化性塗液は、
A成分として前記一般式[1]で表わされるジ(メタ)アクリル酸エステル(以下ジ(メタ)アクリル酸エステル1と称す)とB成分として前記一般式[2]で表わされる以下(メタ)アクリル酸エステル(以下(メタ)アクリル酸エステル2と称す)を構成成分として50重量%以上含有する重合体(以下重合体3と称す)とC成分として光重合開始剤とを含む塗液であって、硬化させた際には、三次元網目構造を呈し、硬化被膜を得ることができる。
前記一般式[1]、[2]において、Y1及びY2の炭素数が15以上の場合には製造が困難である。
【0020】
前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1としては、例えば、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,4−トリフルオロブタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキサン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノナン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデカン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−5−トリフルオロメチル−6,6,6−トリフルオロヘキサン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4−トリフルオロメチル−5,5,5−トリフルオロペンタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−トリフルオロメチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン、1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチル−4,4,5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキサン等を好ましく挙げることができる。それらのジメタアクリル酸エステル1は、使用に際しては単独もしくは混合物として用いることができる。
【0021】
前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1を調製するには、例えば相当する含フッ素エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との通常の開環反応により容易に得ることができる。ヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸との通常のエステル化反応させる方法、相当する含フッ素1,2−ジオールと(メタ)アクリル酸とを通常のエステル化反応させる方法、あるいは相当する含フッ素ジオールと(メタ)アクリル酸とを通常のエステル化反応させる方法等により容易に得ることができる。
【0022】
前記重合体3は、前記(メタ)アクリル酸エステル2を構成単位として、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上含む重合体である。
また他の共重合可能なモノマーにより構成される構成単位を50重量%未満含んでいても良く、各構成単位はランダムでもブロックでも良い。この際(メタ)アクリル酸エステル2で構成される構成単位が50重量%未満の場合には、ジ(メタ)アクリル酸エステル1との相溶性が悪くなり、均一な塗膜が得られない。
【0023】
前記重合体3の構成単位となりうる前記(メタ)アクリル酸エステル2としては、例えば(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
【0024】
更に前記重合体3において、必要に応じて構成単位となりうる前記の他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸及びそれらのアルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の脂肪酸のビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;ビニルブチルエーテル等のビニルアルキルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン等のビニルアルキルケトン;1,3−ブタジエン、イソブチレン等の不飽和炭化水素類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;さらに、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和多塩基酸及びそれらのアルキルエステル;ビニルカルバゾール、酢酸アリール等を好ましく挙げることができる。
より好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。
【0025】
前記重合体3を調製するには、一般に用いられるラジカル重合法等により容易に合成できる。具体的には、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系ラジラル重合開始剤;過酸化ベンゾイル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジアシルペルオキシド等の有機過酸化物系ラジカル重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機系ラジカル重合開始剤;過酸化水素−水酸化ナトリウム系等のレドックス系開始剤等の各種ラジカル重合開始剤系を用いて、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合又は放射線重合等の公知のラジカル重合法等により得ることができる。この際反応温度は10〜100℃、反応時間は1〜100時間であるのが好ましい。このようにして得られる前記重合体3の数平均分子量は1000〜300000であるのが望ましい。
前記重合体3の数平均分子量が1000未満であるときれいな膜ができにくいので好ましくなく、前記重合体3の数平均分子量が300000を超えると配合品の粘度が高くなるので好ましくない。
【0026】
前記特定の含フッ素硬化性塗液に配合する光重合開始剤としては紫外線照射による重合開始能を有するものであれば良い。具体的には例えば、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、ビス4−ジメチルアミノフェニルケトン、フェニルベンゾイルケトン、3,3'4,4'−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;チオ安息香酸S−フェニル系開始剤、オキシムケトン系開始剤、アシルホスフィンオキシド系開始剤、アシルホスフォナート系開始剤、チタノセン系開始剤等を挙げることができる。これらは単独もしくは混合物として用いることができる。また重合開始剤の種類によってはp−ジメチルアミノ安息香酸エステル等の三級アミンを添加するなどの反応促進剤を併用する方法でもよい。重合開始剤の配合割合は、含フッ素硬化性塗液中の硬化性成分全量に対し、0.001〜20重量部であることが望ましい。開始剤の配合割合が0.001重量部未満の場合には硬化後の表面硬度が低下し、20重量部を越えると重合硬化した際に屈折率が上昇し、所望の反射防止膜が形成できないので好ましくない。
【0027】
前記特定の含フッ素硬化性塗液において、塗液の粘度調整や塗布後の表面のレベリングのために、反応を阻害しない限り、溶媒を含有していても良い。該溶媒としては、具体的には例えば、トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ヘキサフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、オクタフルオロデカリン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロメチルエタン、「アサヒクリン(AK225)」(旭硝子(株)社製、商品名)等の市販品等の含フッ素溶媒;さらにイソプロパノール、2−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等の非フッ素系溶媒を挙げることができる。
前述の溶媒の選択においては(イ)塗布後の乾燥がしやすいこと、(ロ)紫外線硬化反応を阻害しないこと(ハ)環境汚染をしないことなどの観点から、特にトリフルオロメチルベンゼンが好ましく挙げられる。
【0028】
前記特定の含フッ素硬化性塗液において、前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と、前記重合体3との配合割合は、ジ(メタ)アクリル酸エステル1の100重量部に対して、重合体3が好ましくは0.001〜50重量部、特に0.01〜25重量部が望ましい。前記重合体3の配合割合が0.001重量部未満の場合には薄膜塗装性を改善することができず、50重量部を越えると硬化後の表面硬度が低下するので好ましくない。また、前記含フッ素溶媒または非フッ素系溶媒の配合割合は、特に限定されないが、好ましくは含フッ素硬化性塗液中の硬化性成分全量に対し3〜100重量倍が望ましい。
【0029】
前記特定の含フッ素硬化性塗液においては、必要に応じて他の硬化性成分として通常用いられるエネルギー線硬化性樹脂等を配合することができる。例えば重合性不飽和基を2個以上有する多官能性モノマー、具体的には、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジビニルベン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることができる。前記の多官能性モノマーを添加配合すると表面硬度の改善等が図れる。
前記他の硬化性成分の配合割合は、前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1 100重量部に対して100重量部以下、特に50重量部以下であるのが好ましい。硬化成分の配合割合が、100重量部を越える場合には、重合硬化した際に屈折率が上昇し、所望の反射防止膜が形成できないので好ましくない。
【0030】
前記反射防止膜は、前記含フッ素硬化性塗液を重合硬化して得られるものであって、屈折率が好ましくは1.44以下、特に好ましくは1.41以下であり、膜厚は好ましくは70〜150nm、特に好ましくは90〜110nmである。
【0031】
本発明の減反射材の製造方法は、前記含フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、不活性ガス雰囲気下で紫外線照射により重合硬化させて基材の片面又は両面に反射防止膜を形成する方法である。前記溶媒を含む塗液の場合は、塗付した後、乾燥等により溶媒を蒸発させてから、紫外線照射により重合硬化させて反射防止膜を成形させる。
【0032】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、前記の化合物以外にその他の成分を含んでも構わない。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、無機充填剤、無機または有機の顔料、前記以外の重合体、および重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、光吸収剤、レベリング剤などの添加剤が挙げられる。
【0033】
前記塗布は通常行われる塗布方法を用いることができる。具体的には例えばロールコート法、グラビアコート法、ディップコート法及びスピンコート法等がある。これらの方法により乾燥時の膜厚が好ましくは70〜150nmとなるように塗布する。
【0034】
紫外線照射に用いられる紫外線灯の種類は一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件として、照射線量は10mJ以上が好ましく、100mJ以上がさらに好ましい。照射線量10mJより少ない場合は重合硬化後、十分な表面硬度が得られないため好ましくない。また重合硬化後に、紫外線照射による後硬化をさらに1回以上行ってもよい。紫外線照射時の酸素濃度は、重合硬化時および後硬化時とも窒素、アルゴンなどの不活性ガスを吹き込むことにより1000ppm以下に抑えることが好ましい。
【0035】
前記基材としては、特に限定されるものではないが、フィルム状又はシート状が良く、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等を好ましく挙げることができる。
またさらに、基材として、表面に防眩処理や透明な着色等を施したものも用いてもよい。
【0036】
また、前記含フッ素重合性塗液の硬化物による反射防止膜と基板との間にもう一つ以上の層を設けてもよい。この間の層は無機物、有機物、もしくはこれらの混合物を用いることができ、その厚みは0.01〜20μmが好ましい。また層の成形方法は特に限定されず、例えば蒸着、スパッタ、ウェットコーティング等の方法をとることができる。またこの層には高屈折率、帯電防止、防曇、防眩、硬度の向上、特定波長の光の遮断等の機能を一種類以上付与することができる。
【0037】
本発明の減反射材は通常の樹脂フィルムに減反射処理をしてあるので、TV、特に平面の大画面のPDP(プラズマデスプレイ)や、平面CRT、液晶表示画面、および額縁、ショーウインドウなどの表面に張り合わせることなどによって背景からくる例えば蛍光灯等の映り込みを少なくすることができる。そのため視認性が著しく向上して、目の疲れ等を軽減することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の減反射材の製造方法は、硬化性成分として前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と重合体3および光重合開始剤とを含む含フッ素硬化性塗液を重合硬化させて得られる反射防止膜を片面又は両面に形成し、外光反射を低減し光透過率を向上させることができる。更に表面硬度が高いので耐摩耗性にも優れ、しかも低屈折率なので、表示装置の構成部品等に有用な減反射材を製造することができる。またこの減反射材の製造方法は電子線照射法に比べ、低コスト且つ基板および塗膜が着色することなく連続的に生産することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1
1,2−ジアクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカン10重量部、ポリ{アクリル酸ブチル−アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル}1重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(IRGACURE184、チバガイギー社製、商品名、以下I−184と略す)2重量部、トリフルオロメチルベンゼン89重量部を混合し含フッ素硬化性塗液を調製した。
【0040】
製造例2
酸化亜鉛微粒子{住友大阪セメント(株)社製、商品名「ZS300」}80重量部、トリアクリロイルオキシメチルエタノール20重量部、イソプロパノール1000重量部、光重合開始剤としてI−184 2重量部を混合して高屈折率層用塗液を調製した。
【0041】
実施例1
製造例1で調製した含フッ素硬化性塗液をディップコーターを用いて、厚さ100μmのPETフィルム{帝人(株)社製、商品名「HLW」}の片面に乾燥膜厚がおよそ100nmになるように塗布した。ついで窒素雰囲気で紫外線照射装置(アイグラフィック社製)で120W高圧水銀灯を用いて400mJの紫外線を照射して硬化させて、片面減反射PETフィルムを得た。
得られた片面減反射PETフィルムの分光反射率、両面分光反射率、分光透過率、鉛筆硬度及び密着性を以下の方法により測定した。
【0042】
(1)分光反射率;5゜正反射測定装置のついたUVスペクトル(日本分光社製、商品名「U−best 50」)により測定した。但し塗布面を測定面とし裏面は反射を遮るためサンドペーパーで荒らし測定した。結果を図1に示した。また550nmにおける減反射フィルム及び基材フィルムの反射率を測定した。結果を表1に示した。
【0043】
(2)両面分光反射率;分光反射率と同様に、裏面の処理を行わずに測定した。結果を図2に示した。
【0044】
(3)分光透過率;UVスペクトル(日本分光社製、商品名「U−best 50」)により測定した。結果を図3に示した。
【0045】
(4)鉛筆硬度;JIS K5400に従って測定した。結果を表1に示した。
【0046】
(5)密着性;碁盤目剥離試験をJIS K5400に従って行った。結果を表1に示した。
【0047】
実施例2
実施例1で得られた減反射PETフィルムの未塗布面に、実施例1と同様に反射防止膜を調製して両面減反射PETフィルムを得た。その試料の両面分光反射率、透過率を測定した。結果を図2、図3に示した。
【0048】
比較例1
実施例1と同様に基材フィルムであるPETフィルムの分光反射率、両面分光反射率、分光透過率を測定した。結果を図1、図2、図3に示した。また550nmにおける分光反射率を測定した。結果を表1に示した。
【0049】
実施例3
PETフィルムの代わりに、PCフィルムを用いた以外は、実施例2と同様に反射防止膜を調製して両面減反射フィルムを得た。その試料の両面分光反射率、分光透過率を実施例1と同様に測定した。両面分光反射率を図4に、分光透過率を図5に示した。また色差計(日本電色工業製「1001DP」)を用いてL*、a*、b*を測定した。結果を表2に示した。
なお、L*、a*、b*はそれぞれ表色系における明度指数及びクロマテイクネス指数を表す。
【0050】
比較例2
基材フィルムであるPCフィルムの未処理品について、両面分光反射率、分光透過率、およびL*、a*、b*を実施例3と同様に測定した。結果をそれぞれ図4、図5、および表2に示した。
【0051】
比較例3
電子線照射装置(ESI社製「CB175/15/180L」)を用いて125eV、10Mradの電子線により硬化した以外は、実施例3と同様にして両面減反射フィルムを得た。その試料の両面分光反射率、分光透過率、L*、a*、b*を実施例3と同様に測定した。結果をそれぞれ図4、図5、および表2に示した。
【0052】
表2において電子線で硬化した反射防止フィルム(比較例3)のb*の値が正に大きく、黄色に着色したことを示している。また図5の400〜500nmで透過率が低下していることも、同様の結果を示している。
【0053】
実施例4
多官能アクリレートモノマー{日本化薬(株)社製、商品名「DV−2475」}100重量部、I−184、2重量部の混合液を塗布して、硬化させたPETフィルム{東洋紡績(株)商品名「A4100」厚さ100μm}に、製造例2のアクリレート系の高屈折率層塗液を硬化した後、さらに、製造例1の含フッ素重合性塗液を実施例1と同様に塗布、硬化して高屈折率層−低屈折率層の2層型の減反射フィルムを得た。得られた2層型減反射PETフィルムの片面分光反射率を実施例1と同様に測定した。結果を図6に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実施例1と比較例1の波長400〜800nmにおける片面分光反射率を示す図である。
【図2】 図2は実施例1および2と、比較例1の波長400〜800nmにおける両面分光反射率を示す図である。
【図3】 図3は実施例1および2と、比較例1の波長400〜800nmにおける分光透過率を示す図である。
【図4】 図4は実施例3と比較例2および3の波長400〜800nmにおける両面分光反射率を示す図である。
【図5】 図5は実施例3と比較例2および3の波長400〜800nmにおける分光透過率を示す図である。
【図6】 図6は実施例3と比較例1の波長400〜800nmにおける片面分光反射率を示す図である。
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