JPH0848935A - 反射防止膜を備えた減反射材及びその製造法 - Google Patents

反射防止膜を備えた減反射材及びその製造法

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JPH0848935A
JPH0848935A JP6187163A JP18716394A JPH0848935A JP H0848935 A JPH0848935 A JP H0848935A JP 6187163 A JP6187163 A JP 6187163A JP 18716394 A JP18716394 A JP 18716394A JP H0848935 A JPH0848935 A JP H0848935A
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antireflection
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哲也 伊藤
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育弘 木村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】式CH2=CX1-COO-Y1-OCO-CX2=CH2(X1,X2=H,C
H3、Y1=フルオロアルキレン基、フルオロシクロアルキ
レン基、-C(Y2)HCH2-(Y2=フルオロアルキル基、フルオ
ロシクロアルキル基))と、式CH2=CX3-COO-Y3(X3=前
記X1,X2、Y3=前記Y2)及び/又は式化1(Z=分岐アルキ
ル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル置換基を持
つ分岐アルキル基、シクロアルキル基、Y4=前記Y2)を5
0%以上有する重合体とを含む含フッ素硬化性塗液を重
合硬化した反射防止膜を、基材の片面又は両面に形成し
た反射防止膜を備えた減反射材及びその製造法。 【化1】 【効果】前記減反射材は、外光反射を低減し、光透過性
を向上させることができ、耐候性、耐熱性、撥水撥油性
に優れ、表面硬度が高く、低屈折率なので、表示装置の
構成部品等に有用である。またこの製造法では、減反射
材を容易に連続的に生産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性、耐熱性等に優
れ、高い表面硬度を有し、しかも低屈折率で、表示装置
の構成部品等に利用可能な減反射材及びその製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】フィルムの最外層に、基板よりも低屈折
率の物質からなる反射防止膜を可視光波長の1/4の膜
厚(約100nm)で形成すると、干渉効果により表面
反射が低減し、透過率が向上することが知られている。
このような原理は、液晶表示装置等の表面反射の低減が
必要とされる分野において、減反射フィルム及び減反射
シート等として応用されており、該減反射フィルム及び
減反射シートを生産するには、例えばフッ化マグネシウ
ム等を蒸着、スパッタリングする方法等が行われてい
る。しかしながら、これらの方法は、真空条件下にて行
われるため生産性が悪く、大面積化も困難である。
【0003】そこで最近では、前記減反射フィルムを有
機系物質の連続塗布法を用いて作成する方法が提案され
ている。例えば、前述のような減反射を提供しうる低屈
折率の含フッ素重合体等の樹脂を溶解した溶液を塗布、
乾燥させる方法、あるいは前記含フッ素単量体を必要に
応じて溶液としてから塗布し、活性エネルギー線照射、
加熱等により重合させる方法等が考えられる。
【0004】このうち前者の方法を行うには、透明な溶
媒可溶性の含フッ素重合体が必要である。従来汎用の含
フッ素重合体は溶媒不溶性で不透明なものが多く、前者
の方法には不向きであったが、近年、アクリル酸含フッ
素アルキルエステル重合体やメタクリル酸含フッ素アル
キルエステル重合体、商品名「サイトップ」(旭硝子
(株)製)、商品名「テフロンAF」(デュ・ポン社
製)、その他非結晶性共重合体等の溶媒可溶性である透
明含フッ素重合体等が合成され、減反射防止フィルムへ
の応用が試みられている(特開昭64−16873号公
報、特開平1−149808号公報、特開平6−115
023号公報)。しかしながら、これらの含フッ素重合
体はいずれも硬度が低いため、耐摩耗性が劣るという欠
点がある。
【0005】一方後者の方法を行うための含フッ素単量
体としては、例えばアクリル酸含フッ素アルキルエステ
ルやメタクリル酸含フッ素アルキルエステル等が知られ
ているが、これらを重合硬化して得られる含フッ素重合
体は、前者の方法に用いる樹脂と同様硬度が低く、耐摩
耗性が著しく悪いという欠点がある。
【0006】これらの含フッ素重合体の硬度が低いの
は、いずれも線状構造を有するからである。従って、硬
度が高く、耐摩耗性に優れた含フッ素重合体を提供する
には、三次元網目構造を付与する必要がある。このよう
な網目状重合体は一般に溶媒不溶性であるため、被塗装
物に硬化固定させるには、含フッ素多官能重合性単量体
を塗布した後、重合硬化させる方法を選択しなければな
らない。しかしながら、重合性単量体を約100nmの
膜厚で塗布した後、重合硬化させる場合には、酸素によ
る重合阻害を受けやすくなる、通常の加熱あるいは紫外
線照射による重合硬化では単量体が重合する以前に蒸発
してしまう、単量体だけでは、塗布後塗液が直ちに基板
にはじかれてしまう等の問題が生じるので、通常行われ
る10〜1000μmの膜厚での重合硬化とは全く異な
り非常に困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、形成
される反射防止膜の膜厚が約100nm程度の場合であ
っても、優れた耐候性、耐熱性等を示し、表面硬度が高
く、しかも光透過性で低屈折率を示す減反射材を提供す
ることにある。
【0008】また本発明の別の目的は、前記減反射フィ
ルムを生産性良く製造することができる方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式化7で表わされる含フッ素ジ(メタ)アクリル酸エ
ステル(以下ジ(メタ)アクリル酸エステル1と称す)
と、下記一般式化8で表わされる含フッ素(メタ)アク
リル酸エステル(以下(メタ)アクリル酸エステル2と
称す)及び/又は下記一般式化9で表わされるフマル酸
ジエステル(以下フマル酸ジエステル3と称す)を構成
単位として50%以上含有する重合体(以下重合体4と
称す)とを含む含フッ素硬化性塗液を重合硬化して得ら
れる反射防止膜を、基材の片面又は両面に形成したこと
を特徴とする反射防止膜を備えた減反射材が提供され
る。
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】
【0013】また本発明によれば、前記ジ(メタ)アク
リル酸エステル1と、前記(メタ)アクリル酸エステル
2及び/又は前記フマル酸ジエステル3を構成単位とし
て50%以上含有する重合体4とを含む含フッ素硬化性
塗液を基材に塗布し、電子線照射法により重合硬化させ
て基材の片面又は両面に反射防止膜を形成することを特
徴とする前記反射防止膜を備えた減反射材の製造法が提
供される。
【0014】以下本発明を更に詳細に説明する。
【0015】本発明の減反射材は、特定の含フッ素硬化
性塗液を重合硬化して得られる反射防止膜を、基材の片
面又は両面に形成したものである。
【0016】前記特定の含フッ素硬化性塗液は、前記一
般式化7で表わされるジ(メタ)アクリル酸エステル1
と、前記一般式化8で表わされる(メタ)アクリル酸エ
ステル2及び/又は前記一般式化9で表わされるフマル
酸ジエステル3を構成成分として特定量含有する重合体
4とを含む塗液であって、硬化させた際には、三次元網
目構造を呈し、ガラス転移温度が高く、耐熱性、耐候性
等に優れた硬化被膜を得ることができる。前記一般式化
7、化8及び化9において、Y1及びY2の炭素数が15
以上の場合には製造が困難である。
【0017】前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1とし
ては、例えばジ(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリ
フルオロエチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリ
ル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエ
チレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,
3,3,4,4,4,−ヘプタフルオロブチルエチレン
グリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,
4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレング
リコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシ
ルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,
2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ト
リデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオク
チルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ト
リデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−
ノナデカフルオロデシルエチレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデ
カフルオロデシルエチレングリコール、ジ(メタ)アク
リル酸−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフ
ルオロプロピルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリ
ル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフル
オロブチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸
−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプ
ロピルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1
−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオ
ロブチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−
2,2,3,3−テトラフルオロブタンジオール、ジ
(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4−ヘキサ
フルオロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキ
サンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,
3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタンジ
オール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン
ジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカ
フルオロノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,
2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,9,9−ヘキサデカフルオロデカンジオール、ジ
(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−オ
クタデカフルオロウンデカンジオール、ジ(メタ)アク
リル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−エ
イコサフルオロドデカンジオール等を好ましく挙げるこ
とができ、使用に際しては単独若しくは混合物として用
いることができる。
【0018】前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1を調
製するには、例えば相当する含フッ素エポキシと(メ
タ)アクリル酸との通常の開環反応により容易に得るこ
とができるヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステルと、
(メタ)アクリル酸とを通常のエステル化反応させる方
法、相当する含フッ素1,2−ジオールと(メタ)アク
リル酸とを通常のエステル化反応させる方法、あるいは
相当する含フッ素ジオールと(メタ)アクリル酸とを通
常のエステル化反応させる方法等により容易に得ること
ができる。
【0019】前記重合体4は、前記(メタ)アクリル酸
エステル2及び/又はフマル酸ジエステル3により構成
される構成単位を50重量%以上、好ましくは70重量
%以上含む重合体であって、他の共重合可能なモノマー
により構成される構成単位を50重量%以下含んでいて
も良く、各構成単位はランダムでもブロックでも良い。
この際(メタ)アクリル酸エステル2及び/又はフマル
酸ジエステル3で構成される構成単位が50重量%未満
の場合には、ジ(メタ)アクリル酸エステル1の相溶性
が悪くなり、均一な塗膜が得られない。また前記(メ
タ)アクリル酸エステル2及びフマル酸ジエステル3の
両方の構成単位を含む場合の各構成単位の配合割合は、
合計が50重量%以上となれば特に限定されるものでは
ない。
【0020】前記重合体4の構成単位となりうる前記
(メタ)アクリル酸エステル2としては、例えば(メ
タ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、
(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフル
オロプロピル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,
4,4,4−ヘプタフルオロブチル、(メタ)アクリル
酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオ
ロペンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチ
ル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフル
オロオクチル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオ
ロオクチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,1
0,10,10−ノナデカフルオロデシル、(メタ)ア
クリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,
8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオ
ロデシル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチ
ル−3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アク
リル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフ
ルオロブチル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,
2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)ア
クリル酸−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−
ヘプタフルオロブチル等を好ましく挙げることができ、
使用に際しては単独若しくは混合物として用いることが
できる。
【0021】また前記重合体4の構成単位となりうる前
記フマル酸ジエステル3としては、例えばフマル酸イソ
プロピル−2,2,2−トリフルオロエチル、フマル酸
イソプロピル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプ
ロピル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,
4,4−ヘプタフルオロブチル、フマル酸イソプロピル
−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ
ペンチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシ
ル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチ
ル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフル
オロオクチル、フマル酸イソプロピル−3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフ
ルオロオクチル、フマル酸イソプロピル−2,2,3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、フマ
ル酸イソプロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデ
カフルオロデシル、フマル酸イソプロピル−2−トリフ
ルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、フ
マル酸イソプロピル−3−トリフルオロメチル−4,
4,4−トリフルオロブチル、フマル酸イソプロピル−
1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロ
ピル、フマル酸イソプロピル−1−メチル−2,2,
3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、フマル酸
−tert−ブチル−2,2,2−トリフルオロエチ
ル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,3
−ペンタフルオロプロピル、フマル酸−tert−ブチ
ル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチ
ル、フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,
4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、フマル酸
−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、フマル酸
−tert−ブチル−2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、
フマル酸−tert−ブチル−2,2,3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカ
フルオロオクチル、フマル酸−tert−ブチル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ト
リデカフルオロオクチル、フマル酸−tert−ブチル
−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,
8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロ
デシル、フマル酸−tert−ブチル−3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,
10,10−ヘプタデカフルオロデシル、フマル酸−t
ert−ブチル−2−トリフルオロメチル−3,3,3
−トリフルオロプロピル、フマル酸−tert−ブチル
−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロ
ブチル、フマル酸−tert−ブチル−1−メチル−
2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、フマル
酸−tert−ブチル−1−メチル−2,2,3,3,
4,4,4−ヘプタフルオロブチル等を好ましく挙げる
ことができ、使用に際しては単独若しくは混合物として
用いることができる。
【0022】更に前記重合体4において、必要に応じて
構成単位となりうる前記他の共重合可能なモノマーとし
ては、オレフィン、(メタ)アクリル酸及びそれらのア
ルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン
酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸等
の不飽和多塩基酸及びそれらのアルキルエステル、脂肪
酸のビニルエステル、スチレン類、ハロゲン化ビニル、
ハロゲン化ビニリデン、ビニルアルキルエーテル、ビニ
ルアルキルケトン、ブタジエン類等を好ましく挙げるこ
とができ、具体的には、例えばエチレン、プロピレン、
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸ブチルアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステア
リン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、スチレン、α−メチ
ルスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸アリー
ル、ビニルブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニ
ルエチルケトン、ビニルカルバゾール、1,3−ブタジ
エン、イソプレン等を好ましく挙げることができる。
【0023】前記重合体4を調製するには、一般に用い
られるラジカル重合法等により容易に合成できる。具体
的には、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
シクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスバレロニトリ
ル等のアゾ系ラジカル重合開始剤;過酸化ベンゾイル、
tert−ブチルヒドルパーオキシド、クメンパーオキ
シド、ジアシルパーオキシド等の有機過酸化物系ラジカ
ル重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等
の無機系ラジカル重合開始剤;過酸化水素−水酸化ナト
リウム系等のレドックス系開始剤等の各種ラジカル重合
開始剤系を用いて、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸
濁重合又は放射線重合等の公知のラジカル重合法等によ
り得ることができる。この際反応温度は10〜100
℃、反応時間は1〜100時間であるのが好ましい。こ
のようにして得られる前記重合体4の平均分子量は10
00〜300000であるのが望ましい。
【0024】前記特定の含フッ素硬化性塗液において、
前述の反応を阻害しない限り、含フッ素溶媒を含有して
いても良く、該含フッ素溶媒としては、具体的には例え
ばトリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(トリフ
ルオロメチル)ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ヘ
キサフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシ
クロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、オ
クタフルオロデカリン、1,1,2−トリクロロ−1,
2,2−トリフルオロメチルエタン等を挙げることがで
き、また商品名「アサヒクリン(AK225)」(旭硝
子(株)製)等の市販品を用いることもできる。
【0025】前記特定の含フッ素硬化性塗液において、
前記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と、前記重合体4
との配合割合は、ジ(メタ)アクリル酸エステル1 1
00重量部に対して、重合体4が好ましくは0.001
〜50重量部、特に0.01〜25重量部が望ましい。
前記重合体4の配合割合が0.001重量部未満の場合
には薄膜塗装性を改善することができず、50重量部を
超えると硬化後の表面硬度が低下するので好ましくな
い。また、前記含フッ素溶媒の配合割合は、特に限定さ
れないが、好ましくは含フッ素硬化性塗液中の硬化性成
分全量に対し3〜40重量倍が望ましい。
【0026】前記特定の含フッ素硬化性塗液において
は、必要に応じて他の硬化性成分として通常用いられる
エネルギー線硬化性樹脂等を配合することができる。例
えば重合性不飽和基を2個以上有する多官能性モノマ
ー、具体的には、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオー
ル、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)
アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリ
ル酸トリシクロデカンジメタノール、トリ(メタ)アク
リル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル
酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジ
ペンタエリスリトール、トリス(アクリロキシエチル)
イソシアヌレート、ジビニルベン、ジエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることがで
きる。前記他の硬化性成分の配合割合は、前記ジ(メ
タ)アクリル酸エステル1 100重量部に対して10
0重量部以下、特に50重量部以下であるのが好まし
い。硬化性成分の配合割合が100重量部を超える場合
には、重合硬化した際に屈折率が上昇し、所望の反射防
止膜が形成できないので好ましくない。
【0027】前記反射防止膜は、前記含フッ素硬化性塗
液を重合硬化して得られるものであって、屈折率が好ま
しくは1.44以下、特に好ましくは1.41以下で、
膜厚は好ましくは70〜150nm、特に好ましくは9
0〜110nmである。
【0028】本発明の減反射材を製造するには、前記含
フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、電子線照射法により
重合硬化させて基材の片面又は両面に反射防止膜を形成
する方法により製造できる。この際、前記塗布は通常行
われる塗布方法、例えばロールコート法、グラビアコー
ト法、ディップコート法及びスピンコート法等により、
乾燥時の膜厚が好ましくは70〜150nmとなるよう
にする。また電子線照射の条件として、加速器電圧は1
00〜300kVが好ましく、特に125〜175kV
が望ましい。更にビーム電流は1〜50mAが好まし
く、特に10〜30mAが望ましい。更にまた吸収線量
は1〜100Mradが好ましく、特に5〜50Mra
dが望ましい。
【0029】前記基材としては、特に限定されるもので
はないが、フィルム状又はシート状が良く、例えばポリ
エチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチ
ルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリオレ
フィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等を好ましく挙げ
ることができる。
【0030】また本発明の基材の反射率を、下記式数1
により求めることができる。例えばポリエチレンテレフ
タレート(以下PETと略す)の屈折率は1.65であ
るから、その反射率は6.0%となる。
【0031】
【数1】
【0032】また減反射材の分光反射率の最小値は、下
記式数2により求めることができる。例えば減反射PE
Tの分光反射率の最小値を1%以下にするためには、反
射防止膜の屈折率を1.42以下とする。
【0033】
【数2】
【0034】更に反射防止膜の膜厚d(nm)と分光反
射率の最小値を示す波長λ(nm)との関係を下記式数
3により求めることができる。分光反射率の最小値を示
す波長とは、可視光領域、即ち380〜800nmであ
るが、可視光領域全域にわたり減反射を満足させるため
には500〜650nmであることが望ましい。例えば
屈折率1.39の反射防止膜を用いた波長550nmに
分光反射率の最小値を呈す減反射材を作製するには反射
防止膜の膜厚を99nmにすればよい。
【0035】
【数3】
【0036】
【発明の効果】本発明の減反射材は、硬化成分として前
記ジ(メタ)アクリル酸エステル1と重合体4とを含む
含フッ素硬化性塗液を重合硬化させて得られる反射防止
膜を片面又は両面に形成しているので、外光反射を低減
し、光透過性を向上させることができ、耐候性、耐熱
性、撥水撥油性に優れ、更に表面硬度が高いので耐摩耗
性にも優れ、しかも低屈折率なので、表示装置の構成部
品等に有用である。またこの減反射材の製造法は、従来
のフッ化マグネシウムの蒸着法に比べ真空にする必要が
ないので、低コスト且つ大面積化が容易で、連続的に生
産することができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例及び比較例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
【実施例1】ジアクリル酸−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタ
デカフルオロノニルエチレングリコール(以下F17EG
DAと略す)10重量部、ポリ(アクリル酸−3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,1
0,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(以下P
17Aと略す)1重量部、トリフルオロメチルベンゼン
89重量部を混合し含フッ素硬化性塗液を調製した。次
いでマイクログラビアコーター(康井精機社製)を用い
てポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフ
ィルムと略す)の片面に乾燥後の膜厚が100nmにな
るように塗布し、電子線照射器(岩崎電気社製)により
加速器電圧125kV、ビーム電流35mAで吸収線量
30Mradの電子線を照射、硬化して反射防止膜を調
製して片面減反射PETフィルムを得た。得られた片面
減反射PETフィルムの分光反射率、両面分光反射率、
分光透過率、鉛筆硬度及び密着性を以下の方法により測
定した。また別に、前記調製した含フッ素硬化性塗液を
乾燥後の厚さが500μmになるようガラス上に塗布
し、電子線照射器(岩崎電気社製)により加速電圧17
5kV、ビーム電流5mAで吸収線量5Mradの電子
線を照射、硬化して、反射防止膜を調製した。得られた
反射防止膜の屈折率を以下の方法により測定した。
【0039】(1)分光反射率;5°正反射測定装置の
ついたUVスペクトル(日本分光社製、商品名「U−b
est 35」)により測定した。但し塗布面を測定面
とし裏面は反射を遮るためサンドペーパーで荒らし黒色
マジックで着色して測定した。結果を図1に示す。また
550nmにおける減反射フィルム及び基材フィルムの
反射率を測定した。結果を表1に示す。
【0040】(2)両面分光反射率;分光反射率と同様
に、裏面の処理を行わずに測定した。結果を図2に示
す。
【0041】(3)分光透過率;UVスペクトル(ヒュ
ーレットパッカード社製、商品名「HP89530A
J」)により測定した。結果を図3に示す。
【0042】(4)鉛筆硬度;JIS K5400に従
って測定した。結果を表1に示す。
【0043】(5)密着性;碁盤目剥離試験をJIS
K5400に従って行った。結果を表1に示す。
【0044】(6)反射防止膜の屈折率;得られた反射
防止膜をガラスから剥離し、アッベ屈折計(アタゴ株式
会社)を用いて屈折率を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
【実施例2】実施例1で得られた減反射PETフィルム
の未塗布面に、実施例1と同様に反射防止膜を調製して
両面減反射PETフィルムを得、両面分光反射率、透過
率を測定した。結果を図2、図3に示す。
【0046】
【比較例1】実施例1と同様に基材フィルムであるPE
Tフィルムの分光反射率、両面分光反射率、分光透過率
を測定した。結果を図1、図2、図3に示す。また55
0nmにおける分光反射率を測定した。結果を表1に示
す。
【0047】
【実施例3〜5】PETフィルムの代わりに、ポリカー
ボネート(以下PCと略す)フィルム(実施例3)、ポ
リメチルメタクリレート(以下PMMAと略す)フィル
ム(実施例4)又はトリアセチルセルロース(以下TA
Cと略す)フィルム(実施例5)を用いた以外は、実施
例1と同様に反射防止膜を調製して片面減反射フィルム
を得、片面減反射フィルム及び基材フィルムの550n
mにおける分光反射率、片面減反射フィルムの鉛筆硬
度、密着性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に
示す。
【0048】
【実施例6〜7、比較例2】表1に示すジエステル1及
び重合体4を用いた以外、また実施例8においては表1
に示す他の共重合成分を用いた以外は、実施例1と同様
にして片面減反射PETフィルム及び反射防止膜を得、
片面減反射材の550nmにおける分光反射率、鉛筆硬
度、密着性及び反射防止膜の屈折率を測定した。結果を
表1に示す。
【0049】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1と比較例1との分光反射率を
比較するグラフである。
【図2】図2は、実施例1及び2と、比較例1との両面
分光反射率を比較するグラフである。
【図3】図3は、実施例1及び2と、比較例1との分光
透過率を比較するグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 育弘 茨城県つくば市春日2−26−2 (72)発明者 後藤 義隆 茨城県筑波郡谷和原村絹の台6−5−7

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で表わされる含フッ素ジ
    (メタ)アクリル酸エステルと、 【化1】 下記一般式化2で表わされる含フッ素(メタ)アクリル
    酸エステル 【化2】 及び/又は下記一般式化3で表わされるフマル酸ジエス
    テル 【化3】 を構成単位として50%以上含有する重合体とを含む含
    フッ素硬化性塗液を重合硬化して得られる反射防止膜
    を、基材の片面又は両面に形成したことを特徴とする反
    射防止膜を備えた減反射材。
  2. 【請求項2】 前記反射防止膜の屈折率が1.44以下
    で、且つ膜厚が70〜150nmであることを特徴とす
    る請求項1記載の減反射材。
  3. 【請求項3】 下記一般式化4で表わされる含フッ素ジ
    (メタ)アクリル酸エステルと、 【化4】 下記一般式化5で表わされる含フッ素(メタ)アクリル
    酸エステル 【化5】 及び/又は下記一般式化6で表わされるフマル酸ジエス
    テル 【化6】 を構成単位として50%以上含有する重合体とを含む含
    フッ素硬化性塗液を基材に塗布し、電子線照射法により
    重合硬化させて基材の片面又は両面に反射防止膜を形成
    することを特徴とする反射防止膜を備えた減反射材の製
    造法。
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