JPH09243802A - 光学薄膜の成膜方法および成膜装置 - Google Patents

光学薄膜の成膜方法および成膜装置

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JPH09243802A
JPH09243802A JP8057836A JP5783696A JPH09243802A JP H09243802 A JPH09243802 A JP H09243802A JP 8057836 A JP8057836 A JP 8057836A JP 5783696 A JP5783696 A JP 5783696A JP H09243802 A JPH09243802 A JP H09243802A
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film
temperature
forming
thin film
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JP8057836A
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Takeshi Kawamata
健 川俣
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Tadashi Watanabe
正 渡邉
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Norikazu Urata
憲和 浦田
Toshiaki Oimizu
利明 生水
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光吸収のないMgF2 膜をスパッタリング法
により高速で形成する光学薄膜の成膜方法および成膜装
置を提供する。 【解決手段】 少なくともMgF2 を含む材料をターゲ
ット3としたスパッタリング法により基板2上に光学薄
膜を形成する際、放電ガスを真空槽1内に導入し、交流
電力を高周波電源6からターゲット3に印加しプラズマ
9を発生させる。このときターゲット3の温度を赤外放
射温度計12により測定し、ターゲット3の温度を制御
回路装置13を介して投入電力、または放電ガス圧力に
フィードバックしてターゲット3の温度を所定の範囲に
保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
により、MgF2 等のフッ化物からなる光学薄膜を成膜
する方法および成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、反射防止膜やハーフミラー、エッ
ジフィルターなどの光学薄膜を形成する場合、手法の容
易さや成膜速度の速さなどの点から、真空蒸着法が多く
用いられてきた。一方、近年になり、真空蒸着法に比較
して自動化・省力化・大面積基板への適用性などの点で
有利なスパッタリング法によるコーティングの要求が高
まってきた。しかし、スパッタリング法は蒸着法と比較
して成膜速度が遅いという欠点がある。また、光学薄膜
として代表的な低屈折率物であるMgF2 等のフッ化物
をスパッタリングするとMg等とFとに解離してしま
い、膜中ではFが不足するため可視光の吸収が生じてし
まうという欠点があり、このことがスパッタリング法を
光学薄膜に適用する上での大きな障害となっていた。
【0003】光学薄膜にスパッタリング法を適用した例
としては、例えば特開平4−223401号公報があ
る。ここでは、MgF2 をスパッタリングすると可視光
の吸収が生じてしまうこと、MgF2 にSiを添加した
ものをターゲットとしてスパッタリングをすることによ
り光吸収のほとんど無い低屈折率膜を形成すること等が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例で
は、2.8W/cm2 の高周波電力を投入しても、成膜
速度は最高で10nm/分以下であり、成膜速度が遅い
というスパッタリング法の欠点を解消できていない。こ
の成膜装置では、例えば可視域に適用される単層の反射
防止膜を形成するのに10分以上の時間を要してしま
い、工業的な普及は困難であると言わざるを得ない。
【0005】また、我々の追実験によれば、上記従来例
に従い板状のMgF2 上にウエハーを載置したものをタ
ーゲットとしてスパッタリングしてみても、可視域で光
吸収が実用上問題無い程度であって、屈折率が1.4以
下となるような膜を形成することはできなかった。
【0006】本発明は、上記したような問題点に鑑みて
なされたものであり、光吸収のないMgF2 膜をスパッ
タリング法により高速で形成する光学薄膜の成膜方法お
よび該方法を実現できる成膜装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下のように構成した。請求項1の発明
は、少なくともフッ化物を含む材料をターゲットとした
スパッタリング法により基板上に光学薄膜を形成する方
法において、スパッタリング中の前記ターゲットの温度
を測定し、この測定結果に基づいて前記ターゲットの温
度を制御しつつ成膜することとした。
【0008】請求項2の発明は、少なくともフッ化マグ
ネシウム(MgF2 )を含む材料をターゲットとしたス
パッタリング法により基板上に光学薄膜を形成する装置
において、放電ガスを成膜室に導入する手段と、交流電
力をターゲットに印加しプラズマを発生させる手段と、
ターゲットの温度を測定する手段と、前記ターゲット温
度の測定結果を投入電力、または放電ガス圧力にフィー
ドバックする手段とを有することとした。
【0009】請求項3の発明は、少なくともフッ化マグ
ネシウム(MgF2 )を含む材料をターゲットとしたス
パッタリング法により基板上に光学薄膜を形成する装置
において、交流電力をターゲットに投入しプラズマを発
生させる手段と、ターゲットの温度を測定する手段と、
前記ターゲット温度が所定の温度になるように加熱する
手段とを有することとした。
【0010】請求項4の発明は、少なくともフッ化マグ
ネシウム(MgF2 )を含む材料をターゲットとし、放
電ガスを成膜室に導入しつつ交流電力をターゲットに印
加することによりプラズマを発生させ、スパッタリング
法により基板上に光学薄膜を形成する方法において、タ
ーゲットの温度を測定し、このターゲット温度が所定の
温度になるように投入電力、またはガス圧力を変化させ
ることとした。
【0011】請求項5の発明は、少なくともフッ化マグ
ネシウム(MgF2 )を含む材料をターゲットとし、放
電ガスを成膜室に導入しつつ交流電力をターゲットに投
入することによりプラズマを発生させ、スパッタリング
法により基板上に光学薄膜を形成する方法において、タ
ーゲットの温度を測定し、このターゲット温度が所定の
温度になるようにターゲットを加熱手段により加熱する
こととした。
【0012】次に、請求項1の作用を説明する。従来の
スパッタリング法では、イオンがターゲットに衝突した
際、ターゲット内の原子間結合を切ってターゲットから
原子を飛び出させる必要があり、加速されたイオンのエ
ネルギーの一部は原子間結合を切ることにより費やされ
るために、スパッタ収率が低くなり、その結果成膜速度
が遅くなるという欠点があった。一方、膜原料であるタ
ーゲットの温度を上昇させておくことで予め結合力を弱
めておいて、イオンをターゲットに衝突させると、加速
されたイオンのエネルギーの大部分はスパッタリングに
使われるためにスパッタ収率が高くなり、その結果従来
法と比較して成膜速度を著しく速くすることができるこ
とが判明した。また、膜原料である少なくともフッ化物
を含むターゲットの温度を上昇させておくと熱振動によ
り結合力の強い箇所と弱い箇所ができ、跳び出す粒子の
形態が膜原料と同じFと結合した分子状態となる場合が
生じる。このため、基板上にはFが不足していない膜が
形成され、光吸収がない光学薄膜を成膜することができ
る。
【0013】請求項2、4の作用を説明する。請求項2
の発明にあっては、請求項1と同様に、成膜速度を著し
く速くすることができる。また、従来のスパッタリング
法では、原子間結合が切れてターゲットからMgやFと
いった原子が跳び出すが、一方膜原料であるターゲット
の温度を上昇させておくと熱振動により結合力の強い箇
所と弱い箇所ができ、跳び出す粒子の形態がMgF2
子となる場合が生じる。この場合には従来と異なり、可
視域で光吸収がないMgF2 膜を形成することができ
る。
【0014】ここで、ターゲットの温度が非常に重要な
パラメータとなる。すなわち、ターゲットの温度により
成膜速度や光吸収量が変化するので、ターゲット温度を
ある一定の範囲に保ちながら成膜を行う必要がある。タ
ーゲットは通常水冷されており、冷却水による冷却能と
ターゲット上部に発生したプラズマによる加熱との釣り
合った温度になるので、その温度は、冷却水量・水圧・
温度、ターゲットの熱伝導度、及びプラズマの状態を決
める放電ガス種・圧力、投入電力などの条件によって変
わる。該ターゲット温度を成膜時に制御するという観点
では、応答速度・制御性・効果等からこれらのパラメー
タのうちガス圧力、または投入電力を制御することが最
も望ましい。可能であればその両方を制御しても構わな
い。
【0015】請求項3、5の作用を説明する。ターゲッ
ト温度をより積極的に制御するために、ターゲットを加
熱するヒータを別途設けることもできる。プラズマの状
態を一定に保つことは非常に困難であり、そのプラズマ
により加熱することでターゲット温度を所定の値に保つ
のも、やはり非常に難しい技術であるが、プラズマとは
別に制御性の良い加熱手段を設けることで容易にかつ精
度良くターゲット温度を一定の温度に保つことができ
る。ここで言う加熱手段とは例えば、抵抗加熱ヒータや
赤外線ヒータ等、特に限定するものではない。また、ヒ
ータによる温度制御と、投入電力・放電ガス圧力へのフ
ィードバック制御とを組み合わせて用いても良い。
【0016】なお、本発明において、フッ化物には、M
gF2 、AlF3 、LiF、NaF、CaF2 、SrF
2 、BaF2 、CeF3 、NdF3 、LaF3 、SmF
3 、Na3 AlF6 、Na5 AlF14の内、一種又は二
種以上を選択して用いることができる。この中でもMg
2 を主成分としたターゲットを用いると、温湿度の変
化に対する耐久性の高い膜を得ることができる。さら
に、少なくともMgF2を含む材料としたのはMgF2
を主成分とする材料であれば他の材料がターゲットに混
合されていても、上記したと同様の作用が得られるから
である。
【0017】
【発明の実施の形態】
[発明の実施の形態1]本発明の実施形態1を図1に基
づいて説明する。図1は本実施形態の成膜装置を示す概
略構成図である。本実施形態1の成膜装置には、真空槽
1の上方に基板2が配置され自転可能になっている。粒
径1〜2.5mmのMgF2 顆粒からなるターゲット3
は、石英製の皿4に入れて直径5インチ(約126m
m)のマグネトロンカソード5上に載置されている。カ
ソード5は13.56MHzの高周波電源6と接続され
ている。また、カソード5の下面には水温を20±1℃
に制御された冷却水16が流れている。真空槽1の側面
には放電ガスの導入口7が設けられており、導入口7か
ら真空槽1内に導入されるガスの流量はマスフローコン
トローラ8によって制御され、真空槽1内のガス圧力が
制御できるようになっている。
【0018】また、真空槽1の側面には石英製の窓11
(以下、石英窓11という)が設けられており、ターゲ
ット3からの赤外放射光10を石英窓11を通して真空
槽1外に設置された赤外放射温度計12に取り込むこと
により、ターゲット3の温度を測定可能となっている。
赤外放射温度計12の出力は制御回路装置13の入力と
なり、制御回路装置13の出力に接続されている高周波
電源6及びマスフローコントローラ8にフィードバック
されるようになっている。したがって、ターゲット3の
温度が所定の値となるように、制御回路装置13により
高周波電力及びガス圧を制御することができる。なお、
石英窓11はターゲット3から十分に遠く奥まった位置
に設定されているので、膜が石英窓11に付着し赤外放
射温度計12に取り込む赤外放射強度に影響を及ぼすこ
とは無視できる。また、真空槽1内の上方には、成膜速
度及び膜厚を監視できるように水晶式膜厚計15が設置
されている。さらに、基板2とターゲット3の間にはシ
ャッター14が開閉自在に設けられている。
【0019】次に、光学薄膜の成膜方法を説明する。B
K7(屈折率1.52)からなる光学ガラスである基板
2を真空槽1内に設置した後、不図示の真空ポンプによ
り真空槽1内を5×10-4Paまで排気する。このとき
基板2の加熱は特に行わなかった。その後、O2 ガスを
マスフローコントローラ8により流量を制御しながら、
ガス導入口7から真空槽1内に導入し、ガス圧力が3×
10-1Paになるようにする。
【0020】高周波電源6から高周波電力をマグネトロ
ンカソード5に供給し、プラズマ9を発生させる。この
プラズマ9により、MgF2 のターゲット3は加熱さ
れ、同時にプラズマ9中の放電ガスの正イオンにより、
スパッタリングされる。ターゲット3の温度が610℃
に保たれるように高周波電源6からの投入電力を制御し
た。このとき投入電力は700〜800W程度となっ
た。ここで、基板2を回転させ、シャッター14を開け
ると、基板2上にMgF2 膜が成膜される。水晶式膜厚
計15により膜厚及び成膜速度を監視し、基板2上に形
成されるMgF2 膜の膜厚が物理的膜厚にして100n
mとなるようシャッター14を閉じた。
【0021】このときのターゲット温度、投入電力、成
膜速度の変化を図2に示す(成膜速度はシャッター14
を開状態にした以降のみ)。図2に示すように、ターゲ
ット温度はほぼ一定に保たれ、成膜速度もほぼ一定であ
り、その成膜速度は約200nm/minと真空蒸着以
上に速かった。
【0022】こうして得られたMgF2 膜の屈折率は
1.38と真空蒸着法で得たものと同等に低かった。そ
して、図3に示すように、MgF2 膜の分光反射率は可
視域(波長400〜700nm)で2%以下であり反射
防止膜として有効であった。また、可視域での膜の光吸
収も0.5%以下と真空蒸着法で得たものと同等に少な
く、光学的に何ら問題はなかった。同じ条件で50回繰
り返して成膜したが、光学性能や耐久性に全く差はな
く、十分に再現性があることが確認できた。
【0023】なお、本実施形態では真空槽1内に導入す
るガスとしてO2 を用いたが、これに限られず、不活性
ガスまたはN2 、O2 との混合ガスでも同様の結果を得
ることができた。さらに、高周波電源として13.56
MHzのものを用いたが、27.12MHz等他の周波
数のものでも同様の結果を得た。また、ターゲット温度
を測定するのに赤外放射温度計12を用いたが、熱電対
等他の測定手段のものでも何ら問題はない。
【0024】[比較例]実施形態1と同様の成膜装置、
材料を用いて光学薄膜を基板上に成膜した。本比較例で
は、ターゲット温度を高周波電力にフィードバックせ
ず、投入電力を720W一定とした。このときのターゲ
ット温度、投入電力、成膜速度の変化を図4に示す。タ
ーゲット温度は経時的に不安定であり、また成膜速度が
安定していない。また、同じ条件で10回繰り返して成
膜したが、膜の光吸収が増えたり、膜の機械的強度が劣
化したりするものがあり、再現性に乏しかった。
【0025】[発明の実施の形態2]本発明の実施形態
1と同じ成膜装置を用いた。ターゲット3には、MgF
2 とAlF3 を重量比で2:1に混合した顆粒(粒径
0.5〜1mm)のものを用いた。基板2としてプラス
チック(アモルファスポリオレフィン製)を設置した。
ガラス導入口7からO2 ガスを1×10-1Paとなるよ
う導入した。高周波電源6から720Wの電力を投入し
た。
【0026】この材料・投入電力の場合、図5に示すよ
うに、ガス量が少ない方がターゲット温度が高く、多い
方が低くなるので、図5のグラフに従ってターゲット3
の温度が590℃に保たれるように導入するガス量を制
御した。この時、ガス圧力は1×10-1〜2Pa程度に
制御されていた。この状態で実施形態1と同様にして物
理的膜厚にして100nmの反射防止膜を形成した。
【0027】こうして得られた膜は、実施形態1と同様
に屈折率が低く、可視域での光吸収も少なく、可視域の
反射防止膜として極めて有効であった。また、繰り返し
再現性も非常に良かった。
【0028】[発明の実施の形態3]本発明の実施形態
3を図6に基づいて説明する。図6は本実施形態で用い
る成膜装置を示す概略構成図である。本実施形態の成膜
装置には、石英製の皿4の周囲にシーズヒータ17が設
置されている。そして、赤外放射温度計12により測定
したターゲット3の温度が所定の値となるように、制御
回路装置13によりシーズヒータ17の出力を制御する
ことができるように構成されている。その他の構成は、
実施形態1の成膜装置と同様であり、同一部材には同一
番号を付してその説明を省略する。
【0029】光学ガラス基板2を真空槽1内に設置した
後、不図示の真空ポンプにより真空槽1内を2×10-4
Paまで排気する。ガス導入口7からArとO2 の混合
ガス(混合比1:3)を8×10-1Paとなるよう導入
した。高周波電源6から700Wの高周波電力をマグネ
トロンカソード5に供給し、プラズマ9を発生させる。
このプラズマ9により、MgF2 のターゲット3は加熱
され、同時にプラズマ9中の放電ガスの正イオンによ
り、スパッタリングされる。
【0030】このままスパッタリングを行うとターゲッ
ト3の温度は比較例と同様に経時的に変化し安定しない
が、本実施形態ではターゲット3の温度が620℃に保
たれるようにシーズヒータ17の出力を制御した。ここ
で、基板2を回転させ、シャッター14を開けると、基
板2上にMgF2 膜が成膜される。水晶式膜厚計15に
より膜厚及び成膜速度を監視し、基板2上に形成される
MgF2 膜の膜厚が物理的膜厚にして100nmとなる
ようシャッター14を閉じた。このようにすることで、
実施形態1と同様に光吸収が少ないMgF2 膜を再現性
良く得ることができる。
【0031】本発明の実施形態3では、シーズヒータ1
7を石英製の皿4の周囲に設置したが、これは他の箇
所、例えば皿4の下側等に設けても良いのはもちろんで
ある。また、赤外線ヒータ等他の種類のヒータでも良
い。そして、装置の機構上のトラブルが起こらないので
あれば、冷却水16は必ず流す必要はない。
【0032】[発明の実施の形態4]本発明の実施形態
1〜3ではMgF2 の単層反射防止膜を成膜する例を示
してきたが、他の高屈折率層等と組み合わせて、多層の
反射防止膜やエッジフィルター、ビームスプリッター等
を作製することができる。ここでは1例として、表1に
示す膜構成からなる5層の反射防止膜の例を示す。
【0033】
【表1】
【0034】本実施形態では、光学ガラスであるF
2 (屈折率1.62)を基板に用い、基板側からMgF
2 層とTa2 5 層を交互に表1に示す膜厚で成膜し
た。ここで、MgF2 層は実施形態3と同様の方法で形
成し、高屈折率層であるTa2 5層はTaをターゲッ
トとしAr及びO2 ガスを導入しながら反応性DCスパ
ッタリング法により形成した。
【0035】こうして得られた多層の反射防止膜の分光
反射特性を図7に示す。本実施形態の方法により成膜し
た反射防止膜は、波長450〜650nmで反射率が1
%以下と極めて良好な特性が得られた。
【0036】[発明の実施の形態5]本発明の実施形態
5では、ハーフミラーの例を示す。光学ガラスであるB
K7(屈折率1.52)を基板を用い、表2に示す膜構
成で成膜した。MgF2 層は実施形態3と同様の方法で
形成し、高屈折率層であるZrO2 層は、Zrをターゲ
ットとしAr及びO2 ガスを導入しながら反応性RFス
パッタリング法により形成した。
【0037】
【表2】
【0038】こうして得られたハーフミラーの分光反射
特性を図8に示す。本実施形態の方法により得られたハ
ーフミラーは、波長450〜650nmで反射率・透過
率が共に約50%と良好な特性が得られた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
および請求項2〜5の光学薄膜の成膜方法及び成膜装置
によれば、ターゲット温度を制御しながら薄膜を形成す
るので、光吸収が少ないフッ化物の膜およびMgF2
を高速で、かつ極めて再現性良く得ることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の成膜装置を示す概略構成
図である。
【図2】本発明の実施形態1の成膜方法におけるターゲ
ット温度、投入電力、成膜速度を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1で成膜した反射防止膜の分
光反射率を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の比較例におけるターゲッ
ト温度、投入電力、成膜速度を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2の成膜方法におけるターゲ
ット温度と導入ガス圧との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態3の成膜装置を示す概略構成
図である。
【図7】本発明の実施形態4で成膜した反射防止膜の分
光反射率を示す図である。
【図8】本発明の実施形態5で成膜したハーフミラーの
分光反射率と分光透過率を示す図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 基板 3 ターゲット 4 皿 5 マグネトロンカソード 6 高周波電源 7 放電ガスの導入口 8 マスフローコントローラ 9 プラズマ 10 赤外放射光 11 石英窓 12 赤外放射温度計 13 制御回路装置 14 シャッター 15 水晶式膜厚計 16 冷却水 17 シーズヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 浩 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 豊原 延好 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 浦田 憲和 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともフッ化物を含む材料をターゲ
    ットとしたスパッタリング法により基板上に光学薄膜を
    形成する方法において、スパッタリング中の前記ターゲ
    ットの温度を測定し、この測定結果に基づいて前記ター
    ゲットの温度を制御しつつ成膜することを特徴とする光
    学薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】 少なくともフッ化マグネシウム(MgF
    2 )を含む材料をターゲットとしたスパッタリング法に
    より基板上に光学薄膜を形成する装置において、放電ガ
    スを成膜室に導入する手段と、交流電力をターゲットに
    印加しプラズマを発生させる手段と、ターゲットの温度
    を測定する手段と、前記ターゲット温度を投入電力、ま
    たは放電ガス圧力にフィードバックする手段とを有する
    ことを特徴とする光学薄膜の成膜装置。
  3. 【請求項3】 少なくともフッ化マグネシウム(MgF
    2 )を含む材料をターゲットとしたスパッタリング法に
    より基板上に光学薄膜を形成する装置において、交流電
    力をターゲットに投入しプラズマを発生させる手段と、
    ターゲットの温度を測定する手段と、前記ターゲットを
    加熱する手段とを有することを特徴とする光学薄膜の成
    膜装置。
  4. 【請求項4】 少なくともフッ化マグネシウム(MgF
    2 )を含む材料をターゲットとし、放電ガスを成膜室に
    導入しつつ交流電力をターゲットに印加することにより
    プラズマを発生させ、スパッタリング法により基板上に
    光学薄膜を形成する方法において、ターゲットの温度を
    測定し、このターゲット温度が所定の温度になるように
    投入電力、またはガス圧力を変化させることを特徴とす
    る光学薄膜の成膜方法。
  5. 【請求項5】 少なくともフッ化マグネシウム(MgF
    2 )を含む材料をターゲットとし、放電ガスを成膜室に
    導入しつつ交流電力をターゲットに投入することにより
    プラズマを発生させ、スパッタリング法により基板上に
    光学薄膜を形成する方法において、ターゲットの温度を
    測定し、このターゲット温度が所定の温度になるように
    ターゲットを加熱手段により加熱することを特徴とする
    光学薄膜の成膜方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2009041091A (ja) * 2007-08-10 2009-02-26 Olympus Corp 成膜方法および成膜装置

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