JP5530136B2 - 重合体組成物および該組成物から得られた成形体 - Google Patents

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本発明は、光学特性に優れる重合体組成物、該組成物を成形して得られる光学部品などの成形体、および光学部品を用いた光ピックアップ装置に関するものである。
現在までに、CD(コンパクト・ディスク)、DVD(ディジタル・ビデオ・ディスク、あるいはディジタル・バーサタイル・ディスク)などの光情報記録媒体(光ディスク、あるいはメディアともいう)に対して情報の再生・記録を行うための光ピックアップ装置(光ヘッド、光ヘッド装置などともいわれる)が開発および製造され、一般に普及している。また最近では、より高密度の情報記録を可能とした光情報記録媒体の規格についても研究開発が行われている。
このような光ピックアップ装置は、レーザーダイオードなどの光源から出射された光束を、ビーム整形プリズム、コリメータ、ビームスプリッタ、対物レンズ等の光学部品からなる光学系を介して光ディスクの情報記録面に集光させてスポットを形成する。そして、記録面上の情報記録孔、いわゆるピットからの反射光を、再度光学系を介して今度はセンサー上に集光させ、電気信号に変換することにより情報を再生する。この際、情報記録孔の形状によって反射光の光束も変化するため、これを利用して、「0」、「1」の情報を区別する。なお、光ディスクの情報記録面の上には保護基板として、プラスティック製の保護層、カバーガラスとも言われる保護層が設けられている。
またCD−R、CD−RW等の記録型メディアに情報の記録を行う場合、記録面上にレーザー光束によるスポットを形成し、記録面上の記録材に熱化学変化を生ぜしめる。これによって、たとえばCD−Rの場合は熱拡散性色素が不可逆変化することにより、情報記録孔と同様の形状が形成される。CD−RWの場合は相変化型材料を用いているため、熱化学変化によって結晶状態と非晶質状態との間で可逆変化するので、情報の書き換えが可能となる。
そしてCD規格の光ディスクから情報を再生するための光ピックアップ装置は、対物レンズの開口数(NA)が0.45前後であり、用いられる光源の波長は785nm前後である。また記録用としては、開口数0.50程度のものが用いられることが多い。なお、CD規格の光ディスクの保護基板厚さは1.2mmである。
光情報記録媒体としてCDが広く普及しているが、ここ数年、DVDが普及してきている。DVDは、CDに比べて保護基板厚を薄くし、さらに情報記録孔を小さくすることにより、情報記録量を多くしたものである。DVDは、CDが約600〜700MB程度であるのに対し、約4.7GBという大容量の記録容量を有し、映画等の動画像を記録した頒布媒体として用いられることが多い。
DVD規格の光ディスクから情報を再生するための光ピックアップ装置は、原理的にはCD用の光ピックアップ装置と同様の構造を有している。しかしながら、前述のように情報記録孔が小さくなっていること等から、NAが0.60前後の対物レンズや、655nm前後の光源波長が用いられている。また記録用としては、NAが0.65程度の対物レンズが用いられることが多い。なお、DVD規格の光ディスクの保護基板厚さは0.6mmである。
またDVD規格の光ディスクについても記録型のものが既に実用化されており、DVD−RAM、DVD−RW/R、DVD+RW/Rなどの各規格がある。これらに関する技術的原理もまた、CD規格の場合と同じである。そして上述の通り、さらに高密度・高容量の光ディスクが提案されつつある。このような光ディスクに対しては、405nm前後の光源波長を有する、いわゆる青紫光のレーザー光源が用いられている。「高密度・高容量の光ディスク」については、使用される波長が決まったとしても、保護基板厚、記憶容量、NA等は一律には決まらない。
記録密度を大幅に向上させるためには、光ディスクの保護基板厚を薄くし、それにともなってNAを大きくすることになる。逆に、保護基板厚およびNAを、DVDなどの従来の光ディスクの規格と同様とすることもできる。この際は物理的な記録密度は大幅には増大しないものの、光学系として要求される性能が比較的緩やかになる。
具体的には、保護基板の厚さが0.1mmとなるように薄くしたものや、DVDと同じ0.6mmにしたものなどが提案されている。
上述してきたような光ピックアップ装置に用いられる成形体である光学部品の多くは、プラスティック樹脂によって射出成形されたものか、またはガラス製の押圧成形されたものがほとんどである。このうち、後者のガラス製の光学部品は、一般に温度変化に対する屈折率変化が小さい。そのため、熱源となる光源近くに配置されるビーム整形プリズムに用いられるが、その一方で製造コストが比較的高いという問題がある。このため、コリメータ、カップリングレンズ、対物レンズなどの各光学部品への採用は減少している。これに対して前者のプラスティック樹脂製の光学部品は、射出成形によって安価に製造できるというメリットがあるため、最近では非常に多く用いられている。しかしながら、プラスティック素材は使用波長域に吸収を有し、使用に伴い光学性能が劣化することがある。
また、情報の再生、いわゆる読み出しを高速で行ったり、あるいは情報の記録を高速で行うためには、光量を向上させて、集光スポットを確実に形成する必要がある。光量を向上させる最も簡単な方法は、レーザーダイオードのパワーをあげることによって、ダイオードの発光量を上昇させることである。しかしながら、使用に伴う光学部品の光学性能の劣化が大きくなり、設計通りの光学性能を達成できなくなるという問題が生じる。また、レーザーのパワー上昇に伴い、雰囲気温度が上昇することも、樹脂の劣化を促進する要因となる。また、高速で作動させるためには、アクチュエータを高速で稼動する必要がある。これにより熱が発生するため、同様に樹脂の劣化を促進する要因となる。
そこで光学部品に用いられるプラスティックの、使用時の光学性能の変化を抑制するための様々な工夫が提案されている。
樹脂組成物からなる成形体の耐候性を向上させるために光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤が用いられている。
例えば特許文献1、2には、脂環族構造を有する重合体と特定のヒンダードアミン系化合物を含む樹脂組成物が記載されている。これらの文献には、樹脂組成物中に含まれる鉄原子の含有量が5ppm以下であることが記載されている。鉄原子の含有量を数ppmとすることで、目的を達成している。
国際公開公報第2006/112434号パンフレット 国際公開公報第2008/047468号パンフレット
本発明の課題は、耐光性や透明性などに優れ、青紫レーザー光源使用時における光学特性の劣化が抑制された成形体を得ることのできる重合体組成物、該重合体組成物を成形して得られる光学部品等の成形体、および光学部品を使用した光ピックアップ装置を提供することである。
本発明者らは、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体組成物中に含まれる鉄原子(Fe)の含有量を100ppb以下とすることにより、レーザ照射による劣化に起因する分光透過率の低下、特に405nm分光透過率の低下を、大幅に改善することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体を含有する重合体組成物であって、前記重合体が下記一般式(1)で表され、前記重合体組成物中の鉄原子の含有量が100ppb以下であり、前記重合体100質量部に対して、下記一般式(3)で表されるヒンダードアミン系化合物を0.2〜3質量部含み、前記重合体組成物を重合した重合器内の平均滞留時間から計算される前記重合体組成物の量の3〜5倍の前記重合体組成物を洗浄のために流したあとに得られる、重合体組成物。
Figure 0005530136
(式(1)中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR(Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
、R、RおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
[3]前記重合体が、下記一般式(4)で表される、[1]または[2]に記載の重合体組成物。
Figure 0005530136
(式(4)中、Rは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2価の基である。
は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
およびRは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x,yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。)
[4]前記重合体100質量部に対して、
ヒンダートアミン系化合物を0.05〜5質量部含む、[1]から[3]のいずれかに記載の重合体組成物。
[5]前記ヒンダートアミン系化合物が、下記一般式(2)で表される、[4]に記載の重合体組成物。
Figure 0005530136
[式(3)中、nは1または2を示す。
、Rは、同一でも異なっていてもよく水素原子またはメチル基を示す。
、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、
炭素原子数1〜24のアルキル基、
炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
−R−Ph(−R)p(Rは炭素原子数1〜3のアルキレン基、PhはRで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、または、
炭素原子数2〜4のアルキル基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、窒素原子と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換アルキル基、を示す。
は、炭素原子数1〜4のアルキレン基または単結合を示す。
は、水素原子、
炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基、
炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい、脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
−R7A−Ph(−R7B)p (式中、R7Aは炭素原子数1〜3である2価または3価の飽和炭化水素基を示し、PhはR7Bで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、
−N(R7F)(R7G) (式中、R7F、R7Gはそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基)で表されるN,N−ジアルキルアミノ基、または−N(R7F)− (式中、R7F、は炭素原子数1〜18のアルキル基、−は結合手を表す)で表される基、
炭素原子数2〜4の脂肪族飽和炭化水素基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、Rと直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換脂肪族飽和炭化水素基、または
下記式
Figure 0005530136
(Rは水素原子またはメチル基、*は結合手を示す。)で表される基を示す。]
[6][1]から[5]のいずれかに記載の重合体組成物から得られる、成形体。
[7][6]に記載の成形体からなる、光学部品。
[8]光路差付与構造を有する、[7]に記載の光学部品。
[9]光ピックアップ装置に用いられる、[7]または[8]に記載の光学部品。
[10]前記光ピックアップ装置は、波長の異なる複数の光源を用いるとともに、基板厚の異なる複数種の光情報記録媒体に対して情報の記録または再生を実行する、[9]に記載の光学部品。
[11]前記光源の少なくとも一つが、390nm〜420nmの波長を有する、[10]に記載の光学部品。
[12]前記光学部品の少なくとも一部がアクチュエータに保持されて可動自在である、[7]から[11]のいずれかに記載の光学部品。
[13][7]から[12]のいずれかに記載の光学部品を用いた、光ピックアップ装置。
[14]300nm〜450nmの範囲の波長を含む光源を有する光学系において用いられる、[7]に記載の光学部品。
[15][6]に記載の成形体からなる、屋外用部品。
[16][1]から[5]のいずれかに記載の重合体組成物を光学部品の材料として用いる方法。
本発明によれば、耐光性や透明性などに優れ、青紫レーザー光源使用時における光学特性の劣化が抑制された成形体を得ることのできる重合体組成物、該重合体組成物を成形して得られる光学部品等の成形体、および光学部品を使用した光ピックアップ装置を得ることができる。
本発明に関わる光ピックアップ装置の図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体]
本発明の繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体(以下、単に「脂環族構造を有する重合体」ともいう)は、重合体の繰り返し単位の少なくとも一部に脂環族構造を有するものであればよく、具体的には一般式(1)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体を含むことが好ましい。
また、本発明の重合体組成物においては、重合体組成物中に含まれる鉄原子(Fe)の含有量を100ppb以下とすることにより、レーザ照射による劣化に起因する分光透過率の低下を大幅に改善することができる。特に、405nm分光透過率の低下を、抑制することができる。
Figure 0005530136
式(1)中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数であり、好ましくは0である。
は、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜12の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である(以下、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す)。
は、水素原子、又は、炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
は、炭素原子数2〜10、好ましくは2〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COORである。Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1〜3の炭化水素基である。
なお、R、R、RおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
また前記一般式(1)において、Rは、好ましくは、炭素原子数2〜12の炭化水素基から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、さらに好ましくはn=0の場合、一般式(7)で表される2価の基であり、最も好ましくは、下記一般式(7)において、pが0または1である2価の基である。Rの構造は1種のみ用いても、2種以上を併用しても構わない。
Figure 0005530136
ここで、式(7)中、pは、0〜2の整数である。
また、前記一般式(1)において、Rの例としては水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基等が挙げられるが、好ましくは、水素原子および/またはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
また、前記一般式(1)において、Rの例としては、n=0の場合、以下の一般式(8)〜(10)などが挙げられる。
Figure 0005530136
式(8)〜式(10)中、Rは一般式(1)に同じ。
また、前記一般式(1)において、nは好ましくは0である。
また、重合のタイプは本発明において全く制限されるものではなく、付加重合、開環重合等の公知の様々な重合タイプを適用することができる。付加重合としては、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互共重合等を挙げることができる。本発明においては、光学性能の劣化を抑制する観点からランダム共重合体を用いることが好ましい。
主たる成分として用いられる樹脂の構造が上記のものであると、透明性、屈折率および複屈折率等の光学物性に優れ、高精度の光学部品を得ることができる。
(繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体の例示)
前記一般式(1)で表される重合体を大きくわけると、以下の(i)〜(iv)の4種の重合体に大別される。
(i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体
(ii)開環重合体またはその水素添加物
(iii)ビニル脂環式炭化水素系重合体
(iv)その他の重合体
以下、順に説明する。
((i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体)
(i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体は、一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体である。例えば、エチレンまたは炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位(A)と、環状オレフィン由来の構成単位(B)とからなる。
Figure 0005530136
式(4)中、Rは、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜12の炭化水素基よりなる群から選ばれる2価の基である。
は、水素原子、又は炭素原子数1〜10、好ましくは1〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
なお、RおよびRは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x,yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。好ましくは50/50≦y/x≦95/5、さらに好ましくは、55/45≦y/x≦80/20である。x,yはモル基準である。
(エチレンまたはα−オレフィン由来の構成単位(A))
エチレンまたはα−オレフィン由来の構成単位(A)は、下記のようなエチレン、または炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位である。
具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのなかでは、エチレンが好ましい。これらのエチレンまたはα−オレフィン由来の構成単位は、本発明の効果を損なわない範囲で2種以上含まれていてもよい。
(環状オレフィン由来の構成単位(B))
環状オレフィン由来の構成単位(B)は、下記一般式(11)、一般式(12)および一般式(13)で表される環状オレフィン由来の構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる。
一般式(11)で表される環状オレフィンは、以下の構造を有するものである。
Figure 0005530136
式(11)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なお、wが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。
より具体的には、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、上記炭素原子数1〜20のアルキル基に1個または複数のハロゲン原子が置換した基が挙げられる。またシクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
さらに上記一般式(11)において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して、すなわち互いに共同して、単環または多環の基を形成していてもよい。さらに、このようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。単環よりも多環のほうが少ない含有量で高いガラス転移温度(Tg)の共重合体を得られるので、耐熱性の面から多環が好ましい。またさらに、少ない環状オレフィン仕込み量で製造できる利点がある。ここで形成される単環または多環の基としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
Figure 0005530136
上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(11)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。このアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20である。アルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
一般式(12)で表される環状オレフィンは、以下の構造を有するものである。
Figure 0005530136
式(12)中、xおよびdは0または1以上の正の整数であり、yおよびzは0、1または2である。また、R81〜R99は、お互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、上記式(11)中のハロゲン原子と同じものを例示することができる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数3〜15のシクロアルキル基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、フェニルエチルなどが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)またはプロピレン基(−CHCHCH−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。単環よりも多環のほうが少ない含有量で高いガラス転移温度(Tg)の共重合体を得られるので、耐熱性の面から多環が好ましい。またさらに、少ない環状オレフィン仕込み量で製造できる利点がある。
Figure 0005530136
lは上記一般式(12)におけるdと同じである。
一般式(13)で表される環状オレフィンは、以下の構造を有するものである。
Figure 0005530136
式(13)中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。炭素原子数1〜5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。これらの具体例は上記式(11)のR61〜R78の具体例から明らかである。
上記のような一般式(11)、(12)または(13)で表される環状オレフィン由来の構成単位(B)として、具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物の誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン誘導体などが挙げられる。
また上記の一般式(11)、(12)または(13)で表わされる環状オレフィン由来の構成単位(B)の中で、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,709,14]−4−ヘプタデセン誘導体、および次の構造で表される化合物の誘導体が好ましい態様として例示される。
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
5, 6−(ジフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005530136
1, 4−メタノ−1, 4, 4a, 9a−テトラヒドロフルオレン
Figure 0005530136
1, 4−メタノ−1, 4, 4a, 5, 10, 10a−ヘキサヒドロアントラセン
Figure 0005530136
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物
Figure 0005530136
シクロペンタジエン−ベンザイン付加物(ベンゾノルボルナジエン)
Figure 0005530136
ベンゾノルボルナジエン誘導体
Figure 0005530136
また、特に好ましくは、環状オレフィンが、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、1, 4−メタノ−1, 4, 4a, 9a−テトラヒドロフルオレン、シクロペンタジエン−ベンザイン付加物およびシクロペンタジエン−アセナフチレン付加物からなる群から選ばれるものであり、もっとも好ましくは、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンである。
上記のような一般式(11)または(12)で表される環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とをディールス・アルダー反応させることによって製造することができる。これらの一般式(11)、(12)または(13)で表される環状オレフィン由来の構成単位(B)は、2種以上含まれていてもよい。また、上記モノマーを用いて重合したものは必要に応じて変成することができ、その場合にモノマー由来の構造単位の構造を変化させることができる。たとえば水素添加処理によって、条件によりモノマー由来の構造単位中のベンゼン環等をシクロヘキシル環とすることができる。
本発明において、「(i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体」としては、エチレンと、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体であることが好ましい。
また、共重合のタイプは本発明において全く制限されるものではなく、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互共重合等、公知の様々な共重合タイプを適用することができるが、好ましくはランダムコポリマーである。
((ii)開環重合体またはその水素添加物)
(ii)開環重合体またはその水素添加物とは、前記一般式(1)における好ましい例として挙げた構造のうち、一般式(9)で表わされる構成単位を含む環式オレフィン重合体である。
また、環式オレフィン重合体は、極性基を有するものであってもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基などが挙げられる。
環式オレフィン重合体は、通常、環式オレフィンを重合することによって、具体的には、脂環式オレフィンを開環重合することによって得られる。また、極性基を有する環式オレフィン重合体は、例えば、前記環式オレフィン重合体に極性基を有する化合物を変性反応により導入することによって、あるいは極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって得られる。
環式オレフィン重合体を得るために使用される脂環式オレフィンとして具体的には、
ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メトキシ−カルビニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3−エン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔8.4.0.111,14.03,8〕−テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6.02,7.09,13〕−ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ〔7.4.0.13,6.110,13.02,7〕−ペンタデカ−4,11−ジエンなどのノルボルネン系単量体;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテンのごとき単環のシクロアルケン;ビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体;
シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの脂環式共役ジエン系単量体;などが挙げられる。脂環式オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、共重合可能な単量体を必要に応じて共重合させることができる。その具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂環式オレフィンの重合方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。これらの開環重合物は、耐熱性、安定性、光学物性の面から、水素添加して用いることが好ましい。水素添加方法は公知の方法を用いることができる。
((iii)ビニル脂環式炭化水素系重合体)
(iii)ビニル脂環式炭化水素系重合体は、ビニル芳香族炭化水素化合物を単量体として得られる(共)重合体の水素添加物またはビニル脂環式炭化水素化合物を単量体として得られる(共)重合体である。ビニル化合物としては、ビニル芳香族化合物、ビニル脂環式炭化水素化合物などを挙げることができる。
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレンなどのスチレン類等を挙げることができる。
ビニル脂環式炭化水素化合物としては、ビニルシクロヘキサン、3−メチルイソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン類;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン類等を挙げることができる。
本発明においては、前述の単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させてもよい。共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン系単量体;シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−ジメチルシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン系単量体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのモノ環状オレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、フラン、チオフェン、1,3−シクロヘキサジエンなどの共役ジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのニトリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、などの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系単量体;フェニルマレイミド;メチルビニルエーテル;N−ビニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドンなどの複素環含有ビニル化合物系単量体等が挙げられる。
重合に用いる上記単量体の混合物は、耐熱性、低複屈折性、機械強度等の観点から、ビニル芳香族化合物および/またはビニル脂環式炭化水素化合物を、通常、50質量%以上、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%含有するものが好ましい。単量体混合物は、ビニル芳香族化合物およびビニル脂環式炭化水素化合物の双方を含有していても構わない。
ビニル芳香族炭化水素化合物またはビニル脂環式炭化水素化合物の重合方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。ビニル芳香族炭化水素化合物から得られる(共)重合体は、耐熱性、安定性、光学物性の面から、水素添加物として用いることが好ましい。水素添加方法は公知の方法を用いることができる。
ビニル芳香族炭化水素化合物から得られる(共)重合体の水素添加物は、フェニル基の水素添加率が好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上とすることができる。水素添加処理により、樹脂構造中のフェニル基が水素添加されシクロヘキシル基となる。この樹脂を含む成形体は、短波長側の光線透過率が向上し、また複屈折・光学異方性が低減する。また同時に未反応モノマーおよび不純物が水素添加処理されることで、熱・光に対する耐性が向上する。水素添加率が上記範囲となるように処理することにより、これらの効果に特に優れる。
((iv)その他の重合体)
(iv)その他の重合体としては、例えば、単環シクロアルケンの重合体、脂環式共役ジエン系単量体の重合体、芳香族オレフィン重合体などが挙げられるが、前記(i)〜(iii)に含まれない構造であっても、一般式(1)の範囲内において、任意に選択可能である。例えば、前記、(i)〜(iii)相互、あるいは、公知の共重合可能なモノマーを共重合せしめたものが挙げられる。
また、共重合のタイプは本発明において全く制限されるものではなく、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互共重合等、公知の様々な共重合タイプを適用することができるが、好ましくはランダムコポリマーである。
上記(i)〜(iv)で大別される4種のポリマーのうち、光学特性上好ましいものは(i)エチレンまたはα−オレフィンとシクロオレフィンとの共重合体であり、その中でも最も好ましいものはエチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体である。
(主鎖の一部として用いることのできるその他の構造)
また本発明で用いられる、脂環族構造を有する重合体は、本発明の成形方法によって得られる製品の良好な物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な単量体から誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は限定されないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは0〜10モル%であり、共重合量が20モル%以下であれば、光学物性を損なうことなく、高精度の光学部品を得ることができる。また、共重合の種類は限定されない。
(繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体の分子量)
本発明で用いられる脂環族構造を有する重合体の分子量は限定されるものではないが、分子量の代替指標として極限粘度[η]を用いた場合、好ましくは、温度135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、0.03〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gであり、最も好ましくは0.10〜2dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲にあると、良好な成形性を得ることができるとともに、成形物の機械的強度が損なわれることがない。
(繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体のガラス転移温度)
本発明で使用される繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは、50〜240℃である。さらに好ましくは50〜160℃である。最も好ましくは、100〜150℃である。ガラス転移温度(Tg)が上記範囲であると、成形品を光学部品として使用する際に、十分な耐熱性を得ることができるとともに、良好な成形性を得ることができる。
ガラス転移温度の測定装置等は限定されるものではない。例えば示差走査熱量計(DSC)を用いて、熱可塑性非晶性樹脂のガラス転移温度を測定することができる。例えば、SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて昇温速度10℃/分で測定する方法などが挙げられる。
このような脂環族構造を有する重合体は、各々以下のようにして製造することができる。
(i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体は、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭61−272216号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報などの方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。(ii)開環重合体またはその水素添加物は、特開昭60−26024号公報、特開平9−268250号公報、特開昭63−145324号公報、特開2001−72839号公報などの方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。(iii)ビニル脂環式炭化水素系重合体は、国際公開公報第01/092412号パンフレット、特開2003−276047号公報、特開2004−83813号公報などの方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
さらに、脂環族構造を有する重合体の製造工程において、少なくとも一度、該重合体または該重合体および原料である単量体を含む系に、水素添加触媒および水素を接触させて、該重合体および/または単量体が持つ不飽和結合の少なくとも一部を水素化することで、該重合体の耐熱性、透明性等の光学性能を向上させることができる。なお、上記水素化いわゆる水素添加は、従来公知の方法で行うことができる。
[ヒンダートアミン系化合物]
本発明の重合体組成物は種々の安定剤を含むことができる。安定剤としては、ヒンダートアミン系化合物が好ましい。
本発明の重合体組成物において、上記ヒンダートアミン系化合物と脂環族構造を有する重合体とを用いることにより、成形性、低複屈折、耐熱性、大量生産性、機械強度、光線透過率を維持しつつ、青紫レーザー光源使用中の光線透過率の低下のみならず光学性能劣化が極めて小さい光学部品体を得ることができる。このような重合体組成物からなる光学部品および光ピックアップ装置は、充分な光学性能を有しながら、紫外に近い領域のレーザ光で用いても劣化を起こし難く、また使用に際して性能に変化が生じ難いことから、工業的に極めて価値がある。
ヒンダートアミン系化合物としては、例えば以下の化学式[1]〜[43]で表される化合物を例示することができる。
Figure 0005530136
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Figure 0005530136
Figure 0005530136
好ましいヒンダードアミン系化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005530136
式(3)中、nは1または2を示す。
、Rは、同一でも異なっていてもよく水素原子またはメチル基を示し、好ましくはメチル基である。R、Rがメチル基であることにより、成形体の高温時・酸性物質共存下での着色を防止することができる。
、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、下記(1)〜(5)を例示することができる。
(1)水素原子
(2)炭素原子数1〜24のアルキル基
(3)炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい脂環式骨格含有飽和炭化水素基
脂環式骨格含有飽和炭化水素基としては、例えば、非置換、または炭素原子数1〜4のアルキル基を1〜3個有する炭素原子数5〜12のシクロアルキル基等を挙げることができる。
(4)−R−Ph(−R)p(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキレン基、
PhはRで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基
(5)炭素原子数2〜4のアルキル基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、窒素原子と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換アルキル基
、RおよびRは、同一でも異なっていてもよいが、好ましくは(1)水素原子、(2)炭素原子数1〜24のアルキル基、または(3)非置換、炭素原子数1〜4のアルキル基を1〜3個有する炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を用いることができる。R、RおよびRとしてこのような基を用いることにより、短波長側での透過率が良好となり、特に光学部品用途として好適に用いることができる。
は、炭素原子数1〜4のアルキレン基または単結合を示す。
は、同一でも異なっていてもよく、下記(1)〜(7)を例示することができる。
(1)水素原子
(2)炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基
炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基としては、n=1の場合は、水素原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基を示し、n=2の場合は、炭素原子数1〜17のアルキレン基を示す。
(3)炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい、脂環式骨格含有飽和炭化水素基
脂環式骨格含有飽和炭化水素基は、n=1の場合、1価の基であり、n=2の場合、2価の基である。1価の基としては、例えば、シクロヘキシル基などを挙げることができ、2価の基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロへキシレンなどを挙げることができる。
(4)−R7A−Ph(−R7B)p (式中、R7Aは炭素原子数1〜3である2価または3価の飽和炭化水素基を示し、PhはR7Bで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基
(5)−N(R7F)(R7G) (式中、R7F、R7Gはそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基)で表されるN,N−ジアルキルアミノ基、または−N(R7F)− (式中、R7F、は炭素原子数1〜18のアルキル基、−は結合手を表す)で表される基
(6)炭素原子数2〜4の脂肪族飽和炭化水素基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、Rと直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換脂肪族飽和炭化水素基
なお、前記置換脂肪族飽和炭化水素基において、Rが単結合である場合は窒素原子と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に置換基を有する。
(7)下記式で表される基
Figure 0005530136
(Rは水素原子またはメチル基、*は結合手を示す。)
一般式(3)のRとして、好ましくは、n=1の場合(1)水素原子、(2)炭素原子数1〜17のアルキル基、(3)非置換、または炭素原子数1〜4のアルキル基を1〜3個有する炭素原子数5〜12のシクロアルキル基、(5)−N(R7F)(R7G) (式中、R7F、R7Gはそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基)で表されるN,N−ジアルキルアミノ基、(7)上記式で表される基を用いることができる。一方、n=2の場合、Rとして好ましくは、(2)炭素原子数1〜17のアルキレン基、(3)非置換、または炭素原子数1〜4のアルキル基を1〜3個有する炭素原子数5〜12のシクロアルキレン基、(5)−N(R7F)− (式中、R7F、は炭素原子数1〜18のアルキル基、−は結合手を表す)で表される基を用いることができる。
としてこのような基を用いることにより、短波長側での透過率が良好となり、特に光学部品用途として好適に用いることができる。
前記一般式(3)で表されるヒンダートアミン系化合物としては、上記化学式[4]〜[43]で表される化合物を例示することができる。
また、前記一般式(3)で表されるヒンダートアミン系化合物としては、下記一般式(2)で表されるヒンダートアミン系化合物を用いることができる。このヒンダートアミン系化合物を用いることにより、成形体の高温時における着色を抑制することができる。
Figure 0005530136
[式(2)中、a,bは0または1であり、a+b=1を満たす。
Rは、炭素原子数1〜24のアルキル基を示す。
Yは、下記一般式
Figure 0005530136
(ただし、式中Xは水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基、Rは炭素原子数1〜24のアルキル基を示し、*は結合手を示す。)で表される。
Qは、下記一般式
Figure 0005530136
(式中mは0または1であり、X,Yは前記と同様である。Rは、m=0の場合、炭素原子数1〜24のアルキル基を示し、m=1の場合、炭素原子数1〜24のアルキレン基を示す。*は結合手を示す。)で表される。
複数存在するX,Y,Rは、各々において互いに同一でも異なってもよい。]
前記一般式(2)で表されるヒンダートアミン系化合物としては、上記化学式[12]〜[43]で表される化合物を例示することができる。
前記一般式(2)においてピペリジニル基の4位のXは水素原子またはメチル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。このようなヒンダートアミン系化合物を用いることにより、ヒンダードアミン系安定剤の分解時に生成する低分子量成分を抑えることができ、受光後の光学特性の低下を抑えることができる。
また、前記一般式(2)においてa=0,b=1の場合、前記一般式(2)のQを示す前記一般式のXは、水素原子またはメチル基であることが好ましい。このようなヒンダードアミン系安定剤を用いることにより、ヒンダードアミン系光安定剤の精製や取り扱いが容易になり、得られる重合体組成物の品質が向上することにより、耐光性や光学性能が向上することがある。
(ヒンダートアミン系化合物の添加量)
本発明で使用されるヒンダートアミン系化合物の添加量は、脂環族構造を有する重合体100質量部に対し、好ましくは0.05質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜4質量部であり、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
ヒンダートアミン系化合物の添加量が下限値以上であると、ヒンダートアミン系化合物の官能基の密度が充分となり、その結果耐光性が充分に発現し、使用時における形状や屈折率の変化を抑制することができ、マイクロクラックの発生を抑えることができる。一方、ヒンダートアミン系化合物の添加量が上限値以下であると、重合体組成物中にヒンダートアミン系化合物を均一に分散させることができ、成形体の透明性が確保される。つまり、ヒンダートアミン系化合物を上記範囲で使用することで、成形体の透明性等を損なうことなく、良好な耐光性を得ることができる。
(ヒンダートアミン系化合物の製法)
本発明で使用されるヒンダートアミン系化合物において、例えば一般式(3)表される化合物は、例えば、特開昭52−73886号公報、特開昭63−286448号公報、特開平5−9356号公報、特開平5−43745号公報、国際公開公報2008/047468号などに記載の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
[ピペリジン誘導体またはその塩]
ヒンダードアミン化合物としては、たとえば下記一般式(20)によって示されるピペリジン誘導体を使用してもよい。
一般式(20)
Figure 0005530136
式中、R1〜R3は同一又は異なってもよく炭素原子数1乃至18のアルキル基を表わす。
このような新規なピペリジルアミノトリアジン骨格を有するピペリジン誘導体またはその塩を含む重合体組成物からなる成形体は、優れた耐候性を有する。本発明のピペリジン誘導体またはその塩は、上述の「繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体」との相溶性が高く、この重合体を含む重合体組成物からなる成形体に特に優れた耐光性を付与することができる。
一般式(20)中、アルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれのものであってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等を挙げることができる。
前記一般式(20)において、R1〜R3がいずれも同一であることが好ましく、R1〜R3がいずれも炭素数4〜12のアルキル基であることがより好ましい。
これにより、
炭素数4〜12のアルキル基としては、ドデシル基が最も好ましい。
上記一般式(20)で表されるピペリジン誘導体としては、上記の化学式[31]、[33]、[35]、[42]で表される化合物を例示することができる。
一般式(20)で表される化合物の塩としては、無機酸または有機酸との塩が包含される。この場合の無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、炭酸、リン酸などを挙げることができる。また有機酸としては光学活性な有機酸、光学活性でない有機酸のいずれでもよく、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、マンデル酸などのカルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸、アミノ酸およびその誘導体などを挙げることができる。塩における本発明化合物と酸との組成比は当量もしくは任意の値であってもよい。
本発明の重合体組成物において、上記ピペリジン誘導体またはその塩と一般式(1)で表される重合体とを用いることにより、成形性、低複屈折、耐熱性、大量生産性、機械強度、光線透過率を維持しつつ、青紫レーザー光源使用中の光線透過率の低下のみならず光学性能劣化が極めて小さい光学部品を得ることができる。このような重合体組成物からなる光学部品および光ピックアップ装置は、充分な光学性能を有しながら、紫外に近い領域のレーザ光で用いても劣化を起こし難く、また使用に際して性能に変化が生じ難いことから、工業的に極めて価値がある。
(ピペリジン誘導体またはその塩の添加量)
本発明で使用されるピペリジン誘導体またはその塩の添加量は、脂環族構造を有する重合体100質量部に対し、好ましくは0.05質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜4質量部であり、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
ピペリジン誘導体またはその塩の添加量が下限値以上であると、ピペリジン誘導体またはその塩の官能基の密度が充分となり、その結果耐光性が充分に発現し、使用時における形状や屈折率の変化を抑制することができ、マイクロクラックの発生を抑えることができる。一方、ピペリジン誘導体またはその塩の添加量が上限値以下であると、重合体組成物中にピペリジン誘導体またはその塩を均一に分散させることができ、成形体の透明性が確保される。つまり、ピペリジン誘導体またはその塩を上記範囲で使用することで、成形体の透明性等を損なうことなく、良好な耐光性を得ることができる。
[リン系安定剤]
本発明の重合体組成物は、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体100質量部に対して、リン系安定剤を好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.8質量部、特に好ましくは0.05〜0.8質量部含むことができる。
リン系安定剤の含有量が下限値以上であると、重合体組成物中のリン系安定剤の官能基の密度が充分となる。その結果、得られる成形体の耐光性が充分に発現し、使用時における形状変化を抑制し、さらにマイクロクラックの発生を抑えることができる。一方、リン系安定剤の含有量が上限値以下であると、樹脂中に均一に分散するため、透明性が確保され、使用時の屈折率変化を抑えることができる。つまり、リン系安定剤の含有量が上記数値範囲内であると、使用時における成形体の形状変化を抑制し、さらにマイクロクラックの発生を抑えることができるとともに、透明性を確保し、使用時の屈折率変化を抑えることもできる。
本発明で用いられるリン系安定剤としては、1分子内にリン酸エステル構造およびフェノール構造を有する化合物を用いることができる。このような構造を有するリン系安定剤を用いることにより、成形体の着色を抑えることができ、製造時および使用時のいずれにおいても安定した光線透過率を得ることができる。
1分子内にリン酸エステル構造およびフェノール構造を有するリン系安定剤としては、例えば、下記一般式(5)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005530136
一般式(5)中、R19〜R24はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素原子数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、R25〜R26はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。
Xは単結合、硫黄原子もしくは−CHR27−基(R27は水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を示す。)を表す。
Aは、炭素原子数2〜8のアルキレン基または*−COR28−基(R28は単結合または炭素原子数1〜8のアルキレン基を、*は酸素原子側に結合していることを示す。)を表す。
YおよびZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基または炭素原子数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、もう一方が水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。
このような一般式(5)で表されるリン系安定剤を用いることにより、成形体の着色を効果的に抑えることができ、製造時および使用時のいずれにおいてもより安定した光線透過率を得ることができる。
一般式(5)で表されるリン系安定剤としては、スミライザーGP(商品名、住友化学株式会社製)等を用いることができる。
また、本発明で用いられるリン系安定剤としては、炭素原子数6以上の飽和アルキル鎖構造を有するリン系安定剤を用いることもできる。このような構造を有するリン系安定剤を用いることにより、樹脂への分散性が向上し、透明性が確保され、使用時における形状変化が抑制され、さらにマイクロクラックの発生や屈折率変化も抑制される。
炭素原子数6以上の飽和アルキル鎖構造を有するリン系安定剤としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005530136
(式中、Rは炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数6〜24のアルキル基であり、Rは単結合、硫黄原子もしくは−CHR−基 (Rは水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を示す)である)
一般式(6)で表されるリン系安定剤としては、ADKSTAB HP−10(商品名、株式会社ADEKA製)等を用いることができる。
[親水性安定剤]
本発明の重合体組成物は、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体100質量部に対して、親水性安定剤を0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.08〜4質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部含むことが好ましい。これにより樹脂の耐湿熱特性が向上し、成形時の離型性が向上する。親水性安定剤として例えば、特開平9−241484号公報に記載の多価アルコール類、特開2001−26718号公報に記載の多価アルコール、多価アルコールと脂肪酸のエステル、ソルビトール系誘導体、親水基と疎水基とを有する化合物などが挙げられる。
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、分子量が2000以下で、同一分子中のヒドロキシル基の数に対する炭素原子数の比率が1.5〜30、好ましくは3〜20、特に好ましくは6〜20で、炭素原子数が6以上のものが挙げられる。この比率と炭素原子数の範囲内であれば、熱可塑性樹脂との相溶性が良く、溶融混練時に発泡を起こして透明性に悪影響を及ぼすこともない。好ましい炭素原子数の範囲は6〜100であり、さらに好ましくは、6〜60である。
この多価アルコールとしては、分子中の少なくとも1個のヒドロキシル基が、1級炭素原子と結合しているもの、あるいは、炭素原子数/ヒドロキシル基数の比率が1.5〜30で炭素原子数6以上の多価アルコールが好ましい。
本発明の多価アルコールには、分子内にエーテル結合、チオエーテル結合、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有しているものも含まれるが、好ましくは脂肪族多価アルコールである。
多価アルコールの具体例としては、3,7,11,15−テトラメチル−1,2,3−トリヒドロキシヘキサデカン、ジヒドロキシオクタン、トリヒドロキシオクタン、テトラヒドロキシオクタン、ジヒドロキシノナン、トリヒドロキシノナン、テトラヒドロキシノナン、ペンタヒドロキシノナン、ヘキサヒドロキシノナン、ジヒドロキシトリアコンタン、トリヒドロキシトリアコンタン、エイコサヒドロキシトリアコンタンなどが挙げられる。これらの中では、3,7,11,15−テトラメチル−1,2,3−トリヒドロキシヘキサデカンが好ましい。
また、多価アルコールとして、具体的には1,2−ヘキサデカンジオール、2,3−ヘプタデカンジオール、1,3−オクタデカンジオール、1,2−デシルテトラデカンジオールなども挙げられる。
(多価アルコールと脂肪酸のエステル)
多価アルコールと脂肪酸のエステルとしては、たとえば、特開2001−26682号公報に記載のソルビトール系誘導体等が透明性に優れ、高温高湿度雰囲気下における透明性低下が少ない重合体組成物が得られるので好適に用いられる。
その他のエステルとしては、特公平07−007529号公報記載の多価アルコールの脂肪酸エステルがグリセリンまたはペンタエリスリトールの一部をエステル化したものであるものも好適な例として挙げられる。
(ソルビトール系誘導体)
ソルビトール系誘導体としては、下記の一般式(14)〜(19)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005530136
式(14)中、各R、R'は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数である。
上記式(14)で表される化合物として具体的には、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの2個以上の混合物を例示でき、特に1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの2種以上の混合物が好適に使用できる。
上記のソルビトール系誘導体の中では、下記の一般式(15)で表される化合物を好ましい例として挙げることができる。
Figure 0005530136
式(15)中、R、R'は互いに同一でも異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示す。
Figure 0005530136
式(16)中、各Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、mは0〜3の整数である。
上記の一般式(16)で表される化合物として具体的には、2,4−ベンジリデンソルビトール、2,4−p−n−プロピルベンジリデンソルビトール、2,4−p−i−プロピルベンジリデンソルビトール、2,4−p−n−ブチルベンジリデンソルビトール、2,4−p−s−ブチルベンジリデンソルビトール、2,4−p−t−ブチルベンジリデンソルビトール、2,4−(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−p−メトキシベンジリデンソルビトール、2,4−p−エトキシベンジリデンソルビトール、2,4−p−クロルベンジリデンソルビトールおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
Figure 0005530136
式(17)中、各Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、nは0〜3の整数である。
上記の式(17)で表される化合物として具体的には、1,3−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−n−プロピルベンジリデンソルビトール、1,3−p−i−プロピルベンジリデンソルビトール、1,3−p−n−ブチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−s−ブチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−t−ブチルベンジリデンソルビトール、1,3−(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−メトキシベンジリデンソルビトール、1,3−p−エトキシベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデンソルビトールおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
Figure 0005530136
式(18)中、R〜Rは炭素原子数10〜30の脂肪族アシル基または水素原子である。
上記の一般式(18)で表される化合物として具体的には、1,5−ソルビタンモノステアレート、1,5−ソルビタンジステアレート、1,5−ソルビタントリステアレート、1,5−ソルビタンモノラウレート、1,5−ソルビタンジラウレート、1,5−ソルビタントリラウレート、1,5−ソルビタンモノパルミテート、1,5−ソルビタンジパルミテート、1,5−ソルビタントリパルミテートおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
Figure 0005530136
式(19)中、R〜Rは炭素原子数10〜30の脂肪族アシル基または水素原子である。
上記の式(19)で表される化合物として具体的には、1,4−ソルビタンモノステアレート、1,4−ソルビタンジステアレート、1,4−ソルビタントリステアレート、1,4−ソルビタンモノラウレート、1,4−ソルビタンジラウレート、1,4−ソルビタントリラウレート、1,4−ソルビタンモノパルミテート、1,4−ソルビタンジパルミテート、1,4−ソルビタントリパルミテートおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
上記のソルビトール系誘導体のなかでは、前記式(14)〜(17)で表されるベンジリデンソルビトール誘導体が好ましく、さらには、前記式(14)で表されるジベンジリデンソルビトール誘導体が好ましい。また上記の式(14)〜(19)で表されるソルビトール系誘導体は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上述したソルビトール系誘導体の分散性向上のために、それを脂肪酸と混合して使用してもよい。用いられる脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の脂肪酸が挙げられる。
(その他のエステル)
その他の多価アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、アルコール性水酸基の一部がエステル化されたものを使用する。したがって、使用される多価アルコール脂肪酸エステルの具体例の一部としてグリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等のペンタエリスリトールの脂肪酸エステルが例示できる。
(親水基と疎水基とを有する化合物)
親水基と疎水基とを有する化合物としては、分子中に親水基と疎水基とを有する化合物において、該化合物の親水基がヒドロキシアルキル基であり、疎水基が炭素原子数6以上のアルキル基であるアミン化合物またはアミド化合物が挙げられる。
具体的には、たとえば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素原子数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素原子数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物またはアミド化合物が好ましく用いられる。
上記のような親水性安定剤の配合量は、本発明で使用される脂環族構造を有する重合体100質量部に対して、好ましくは0.0001〜10質量部、さらに好ましくは0.05〜5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部である。上記の量で用いることにより、温度や湿度変化における光線透過率の低下や、微小なクラックの発生を防止することができ、該重合体の持つ良好な光学性能を損なうことがない。
[その他の添加剤]
本発明で用いる重合体組成物には、上述の成分に加えてさらに、本発明の光学部品の良好な特性を損なわない範囲で、公知の親水性安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などが配合されていてもよい。
たとえば、任意成分として配合される耐候安定剤は、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−ジヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−n−オクトキシ・フェニル)ベンゾトリアゾールなどや、市販されているTinuvin 328、Tinuvin PS(共に、チバ・ガイギー社製)、やSEESORB709(2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、白石カルシウム社製)などのベンゾトリアゾール誘導体などが例示される。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−5−スルフォベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノンなどや、Uvinul 490(2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ・ベンゾフェノンと他の四置換ベンゾフェノンの混合物、GAF社製)、Permyl B−100(ベンゾフェノン化合物、Ferro社製)などが例示される。
ヒンダードアミン系化合物としては、たとえば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N' −ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N' −ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジン)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−(トリス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジル−4−オキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ)エチル)−2,4,6,10−テトラオキサロスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等が挙げられる。
また、任意成分として配合される耐熱安定剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2'−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ジヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができ、また、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニル−4,4'−イソプロピリデンジフェノール−ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系安定剤を使用してもよい。
これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配合してもよい。たとえばテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレートとの組み合わせなどを例示できる。これらの安定剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、プロセス酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−第3ブチル−6−(3−第3ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−第3アミル−6−(1−(3,5−ジ−第3アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系フェノール化合物;2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−第3ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3',5'−ジ−第3ブチル−4'−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)、トコフェノールなどのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−第3ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられ、これらの中でも、アクリレート系フェノール化合物やアルキル置換フェノール系化合物が好ましく、アルキル置換フェノール系化合物が特に好ましい。更にテトラキス(メチレン−3−(3',5'−ジ−第3ブチル−4'−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタンは耐熱性、安定性に優れ、好ましい。
イオウ系酸化防止剤は、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げることができる。
ラクトン系酸化防止剤は、ラクトン構造を含む化合物であれば特に限定はされないが、芳香族系のラクトン化合物が好ましい。この中でもベンゾフラノン骨格を有するものがより好ましく、さらにアリール基を置換基としてフラン環の側鎖に有する3−アリールベンゾフラン−2−オンがより好ましく、一例として5,7−ジ−第三ブチル−3−(3、4−ジ−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを挙げることができる。
(無機分散剤・無機微粒子)
本発明の重合体組成物には公知の無機分散剤を添加することができる。また、無機分散剤の粒径によっては透明性が確保できる場合がある。
透明性が確保できる無機分散剤としては平均粒子径が1nm以上、30nm以下の無機微粒子であることが好ましい。無機微粒子は、1nm以上、20nm以下の範囲であることがより好ましく、1nm以上、10nm以下の範囲であることが特に好ましい。平均粒子径が1nm以上であれば、無機微粒子の分散が良好となり光学性能が確保でき、また、平均粒子径が30nm以下であれば、得られる熱可塑性材料組成物の透明性が確保できる。ここで、平均粒子径とは、粒子と同体積の球に換算した時の直径のことを示す。
樹脂に対する無機微粒子の割合は、特に限定されるものではないが、70容量%以下の範囲であることが好ましく、50容量%以下の範囲であることがより好ましい。70容量%以下であることで、得られる熱可塑性材料組成物の透明性を確保することができる。
また、粒子径の分布に関しても、特に制限されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を形成するものよりも、比較的狭い分布を形成するものの方が好適に用いられる。具体的には、変動係数(測定値のばらつきの指標として標準偏差を平均で割った値、無次元数)±30の範囲であることが好ましく、±10の範囲であることがより好ましい。
無機微粒子としては、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子、燐化物、複酸化物微粒子、オキソ酸塩微粒子、複塩微粒子、錯塩微粒子等が挙げられる。より具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム等、これら酸化物との組み合わせで形成されるリン酸塩、硫酸塩等、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
無機微粒子には、半導体結晶組成の微粒子を好適に用いることができる。半導体結晶組成には、特に限定されるものではないが、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光又は蛍光等が生じないものが好ましい。
具体的な組成例としては、炭素、ケイ素、ゲルマニウム及び錫等の周期表第14族元素の単体、
リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、
セレン又はテルル等の周期表第16族元素の単体、
炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、
酸化錫(IV)(SnO)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S)、硫化錫(IV)(SnS)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、
窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、
硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)、テルル化インジウム(InTe)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、
塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、
酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、
硫化砒素(III)(As)、セレン化砒素(III)(AsSe)、テルル化砒素(III)(AsTe)、硫化アンチモン(III)(Sb)、セレン化アンチモン(III)(SbSe)、テルル化アンチモン(III)(SbTe)、硫化ビスマス(III)(Bi)、セレン化ビスマス(III)(BiSe)、テルル化ビスマス(III)(BiTe)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化銅(I)(CuO)、セレン化銅(I)(CuSe)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、
塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、
酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、
四酸化三鉄(Fe)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、
硫化モリブデン(IV)(MoS)、酸化タングステン(IV)(WO)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO)、酸化タンタル(V)(Ta)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化チタン(TiO、Ti、Ti、Ti等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、
硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCrSe)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCrSe)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO)等が挙げられる。
なお、G.Schmidら、Adv.Mater.、1991年、第4巻、p.494に記載の(BN)75(BF1515や、D.Fenskeら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、1990年、第29巻、p.1452に記載のCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示される。
さらに、無機微粒子は、線膨張係数の値が小さいほうが好ましい。これによって、無機微粒子の分散による複合体全体の線膨張係数に影響を低減させることができるからである。
上述した無機微粒子を例に挙げると、窒化ケイ素等は共有結合性が総じて強いため、線膨張係数の低い傾向があり、好適に用いることが可能である。一方、酸化物結晶は、線膨張係数がやや大きい傾向があるが、ケイ酸塩等は線膨張係数が低く、好適に用いることが可能である。
これらの無機微粒子は、1種類の無機微粒子を用いてもよく、また、複数種類の無機微粒子を併用してもよい。複数種類の無機微粒子は、混合型、コアシェル(積層)型、化合物型、1つの母材無機微粒子中に、もう1つの無機微粒子が存在する複合型等、何れであってもよい。
本発明に無機分散剤を用いる場合、無機分散剤を分散させるための変性を行うことができる。変性は、樹脂の分子間力を向上するための極性基の導入、あるいは無機分散剤の凝集を防ぐための水素結合の阻害を目的として、樹脂・無機分散剤双方に対して行うことができる。
樹脂に対して行うことのできる変性方法としては公知の方法が用いられ、たとえば脂環構造を有する重合体のグラフト変性物が挙げられる。
変性剤としては、通常不飽和カルボン酸類が用いられ、具体的に、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1] ヘプト−5− エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、さらにこれら不飽和カルボン酸の誘導体たとえば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不飽和カルボン酸のエステル化合物などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、より具体的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
これらの変性剤うちでも、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物たとえばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わせて用いることもできる。
また、無機分散剤に対して行うことのできる変性方法としては公知の方法が用いられる。たとえば表面処理剤であるシラン系、シリコーンオイル系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系等のカップリング剤により、表面処理を施すことができる。たとえば特開2006−273991号広報、特許第2636204号公報、などに表面変性の方法が例示される。
[重合体組成物の製造方法]
本発明の重合体組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。具体的には、脂環族構造を有する重合体および必要に応じて安定剤などの添加剤を添加して混合した後フラッシュ乾燥、または、各成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、メルトブレンダー、ホモミキサー等を用いて混合した後、押出機を用いてペレット化することで、ペレット状の重合体組成物として得ることができる。さらに、目的とする成形物の形状に応じて、射出成形法、押出成形法、吹込成形法、真空成形法、スラッシュ成形法等により、成形物として得ることができる。
(鉄原子(Fe)の含有量)
本発明の重合体組成物中の鉄原子(Fe)の含有量は100ppb以下であり、好ましくは50ppb以下である。さらに、鉄原子(Fe)の含有量を40ppb以下、30ppb以下とすることもできる。鉄原子の含有量が100ppb以下であると、成形体の白濁および着色を抑制することができ、透明性を確保することができる。また、本発明の重合体組成物中の鉄原子(Fe)の含有量の下限値は、特に限定されないが、たとえば1ppb以上とすることができる。鉄の含有量は、ICP−MS(Inductive Coupling Plasma − Mass Spectrometry )法により計測し、質量濃度として求めた。測定はサンプルに硫酸添加、乾式灰化後ICP−MSにより行う。
次に、本発明の重合体組成物中に含まれる鉄原子(Fe)の含有量を100ppb以下とするための製造工程を説明する。
鉄を低減させる方法としては、以下に示す方法がある。
1. ポリマー製造機器をガラスとするか、ポリマー製造ラインをガラスで表面コートすることで、ポリマーやポリマー溶液が配管などと接触混入する鉄原子を抑制することができる。具体的にはガラス製のフラスコで重合することや、配管をガラスで表面コートすることが挙げられる。
2. ポリマー製造機器に金属を使用する場合、鉄の使用を控え、鉄以外の金属からなる製造機器を用いることで、鉄原子の混入を低減することができる。具体的にはステンレス製の配管や重合装置を用いることが挙げられる。
3. 鉄原子の溶出を防ぐために、ポリマー溶液のpHを制御すること。
4. 鉄原子の混入を防ぐために、バッチ生産ではなく連続生産とすること。
5. 製造設備の系内に微量残留している鉄を除くために、重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄用(パージ用)としてサンプル採取せず、充分にパージされた後にサンプルを採取すること。
本発明の製造工程においては、鉄を低減させる手法として、ポリマー製造設備をステンレス製の配管や重合装置を用い、さらに重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄のために流し、その後サンプルを採取する操作を行った。
上記鉄を低減させる方法に加えて、押出機運転中は押出機内の樹脂温度状態を一定範囲内で安定に保つことで、鉄原子(Fe)の混入を非常に低いレベルに抑えることができる。
このように、ポリマー製造設備をステンレス製の配管や重合装置を用い、さらに重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄のために流し、その後サンプルを採取する、という鉄を低減させる方法に加え、なおかつ押出機運転状態を安定とすることにより、本発明の重合体組成物中に含まれる鉄原子(Fe)の含有量を100ppb以下とすることができる。
(その他の成分)
その他の金属成分についても、樹脂の劣化を促進する可能性がある金属成分については本発明の効果を妨げない範囲内に抑える必要がある。これら金属成分としては、例えばバナジウム、亜鉛、カルシウムなどが挙げられる。本発明においては、原料、触媒、プロセスから樹脂中に混入する金属を最小限とする必要があり、例えば塩酸吸収剤として用いられるステアリン酸亜鉛等の亜鉛化合物にも樹脂劣化促進効果がある。また、残留する金属触媒成分が少ないと透明性等の光学物性を損なうことがなく好ましい。
また本発明の重合体組成物は、塩素含有量が好ましくは10ppm以下、より好ましくは7ppm以下である。残留する塩素が少ないと透明性等の光学物性を損なうことがなく好ましい。塩素含有量はICP−MS法により測定することができる。
[用途]
本発明の重合体組成物から得られる成形体は、耐光性および透明性に優れ、太陽電池、車のサンルーフ、窓枠などの屋外用部品や、後述する光学部品等に用いられる。
(全光線透過率および分光光線透過率)
本発明の重合体組成物を光学用途に使用する場合、光線を透過させることが必須であるので、光線透過率が良好であることが好ましい。光線透過率は用途に応じて分光光線透過率または全光線透過率により規定される。
全光線、あるいは複数波長域での使用が想定される場合、全光線透過率が良いことが必要であり、反射防止膜を表面に設けていない状態での全光線透過率は85%以上、好ましくは88〜93%である。全光線透過率が85%以上であれば必要な光量を確保することができる。全光線透過率の測定方法は公知の方法が適用でき、測定装置等も限定されないが、例えばASTM D1003に準拠して、熱可塑性、非晶性樹脂を厚み3mmのシートに成形し、ヘーズメーターを用いて、本発明の重合体組成物を成形して得られるシートの全光線透過率を測定する方法などが挙げられる。
また特定波長域のみで利用される光学系、たとえばレーザ光学系の場合、全光線透過率が高くなくても、該波長域での分光光線透過率が良ければ使用することができる。この場合、使用波長における、反射防止膜を表面に設けていない状態での分光光線透過率は好ましくは85%以上、さらに好ましくは86〜93%である。分光光線透過率が85%以上であれば必要な光量を確保することができる。また測定方法および装置としては公知の方法が適用でき、具体的には分光光度計を例示することができる。
また本発明の重合体組成物からなる成形体は、300nm〜450nmの波長、さらに390〜420nmの波長、特に400〜420nmの波長、例えばレーザー光の光線透過率に優れる。波長400nmにおける分光光線透過率が85%以上、好ましくは86〜93%であり、且つ劣化を生じ難いことから、光学部品として使用した場合の光学性能の変化が生じにくい。
尚、光学部品として用いる場合、公知の反射防止膜を表面に設けることにより、光線透過率をさらに向上させることができる。
[光学部品]
本発明の重合体組成物から得られる成形体は、300nm〜450nmの範囲の光線透過率に優れる。そのため、300nm〜450nmの範囲の波長を含む光源を有する光学系において、光学部品として用いることができる。光学部品とは光学系機器等に使用される部品であり、具体的には、UV用の検出装置に使用する分析セル、UVカットフィルタを使用しない撮像系に使用される光学部品、太陽電池用フィルター、LEDの封止剤、LED光学系に用いられるレンズ、有機EL関連部材等の発光素子に用いられる光学部品、プロジェクター用レンズ、ディスプレイパネルなどの等が挙げられる。
本発明の重合体組成物から得られる成形体は、さらに光学レンズや光学プリズムとして、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザービームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザー走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズ;センサーレンズ、回折板、コリメータ、対物レンズ、ビームエキスパンダー、ビームシェイパーなどの光ピックアップ装置用レンズなどに、特に好適に用いることができる。本発明の重合体組成物から得られる成形体は、390〜420nmの範囲の光線透過率に特に優れるため、青紫色レーザー光源を用いた光ピックアップ装置用レンズとして好適に用いることができる。光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
本発明の重合体組成物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状などに成形して、例えば上記の種々の形態で使用することができる。
光学部品を成型する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ、その用途および形状にもよるが、射出成形法、押出成形法、吹込成形法、真空成形法、スラッシュ成形法等が適用可能であるが、射出成形法が成形性、生産性の観点から好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。
本発明の重合体組成物は、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、種々の用途に使用でき、特に光ピックアップ装置に使用される光学部品に好適に用いることができる。
(光路差付与構造)
光路差付与構造とは、光学部品の少なくとも一つの光学面に、該光学面を通過する所定の光に対して予め定められた光路差を付与する機能を持つ構造である。
以下、ピックアップ装置に関する図1にて、光路差付与構造をさらに詳細に説明する。
本発明の重合体組成物から得られる成形体は光学部品として、第1光源、第2光源および第3光源の共通光路に配置され、回折構造を有する対物レンズOBLに使用される。そして、対物レンズに鋸歯状の回折構造を設けている。
これは光軸を中心として、同心円状に細かい段差を設けたものであり、隣り合う輪帯を通過した光束は、所定の光路差を与えられる。そしてこの鋸歯のピッチ(回折パワー)や深さ(ブレイズド化波長)を設定することにより、「高密度な光ディスク」に対しては、第1光源からの光束が2次回折光による集光スポットとして形成され、DVDに対しては、第2光源からの光束が1次回折光による集光スポットとして形成されるようになっている。
このように、回折次数が異なる光を利用することにより、各々の場合における回折効率を高くすることができ、光量を確保することができる。
まだCDに対しては、第3光源からの光束を、DVDと同じ次数の回折光にすることが好ましいが、これは適宜他の次数になるようにしても良い。この例では、DVDと同じ1次の回折光として集光スポットを形成するようにしている。
このような回折構造は、光路差付与構造の一例であるが、他に公知の「位相差付与構造」や「マルチレベル構造」も採用することができる。
またここでは、光ディスクフォーマットの基板厚差にもとづく球面収差を補正する目的で光路差付与構造が採用されているが、それだけでなく、使用波長の波長差や、使用波長の変動(モードホップ)に基づいて生じる収差の補正にももちろん使用可能である。前者の場合は50ナノメートル以上の波長差に基づいて生じる球面色収差の補正であり、後者の場合は5nm以内の微小な波長変動を補正する。
この例では、回折構造を対物レンズに設けた例を説明したが、コリメータやカップリングレンズなどの他の光学部品に設けることはもちろん可能である。また屈折面、非球面を有する光学部品に、このような素材を用いることが、もっとも好ましい。本発明の重合体組成物を用いることにより、従来ガラスでのみ実現できた長時間の使用が実現できるようになった上、さらにガラスレンズでは不可能であった光路差付与構造を有するレンズを容易に提供することができる。
[光ピックアップ装置]
光ピックアップ装置とは、光情報記録媒体に対して情報の再生および/または記録を行う機能を有する装置であって、光を出射する光源と、前記光の前記光情報記録媒体への照射および/または前記光情報記録媒体で反射される光の集光を行なう光学部品を備えたものである。光ピックアップ装置の仕様は限定されないが、本願発明の効果を説明するために、図1を参照して、光ピックアップ装置に使用される、本発明の重合体組成物から得られる光学部品の例について説明する。
図1では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザー光源を用いた「高密度な光ディスク」、DVD、CDの3フォーマット互換の光ピックアップ装置をターゲットとしており、第1光情報記録媒体として保護基板厚t1が0.6mmの「高密度な光ディスク」、第2光情報記録媒体として保護基板厚t2が0.6mmのDVD、第3光情報記録媒体として保護基板厚t3が1.2mmのCDを想定している。それぞれD1、D2、D3が基板厚を示している。
図1は、本願発明に関わる光ピックアップ装置を示す模式図である。
レーザーダイオードLD1は、第1光源であり、波長λ1が405nmの青紫色レーザーが用いられるが、波長が390nm〜420nmである範囲のものを適宜採用することができる。LD2は、第2光源であり、波長λ2が655nmの赤色レーザーが用いられるが、波長が630nm〜680nmである範囲のものを適宜採用することができる。LD2は、第3光源でもあり、波長λ3が780nmの赤外レーザーが用いられるが、波長が750nm〜800nmである範囲のものを適宜採用することができる。
レーザーダイオードLD2は、第2の光源(DVD用の光源)、第3の光源(CD用の光源)の、2つの発光点を同一のパッケージに収めた、いわゆる2レーザー1パッケージの光源ユニットである。
このパッケージのうち、第2の光源を光軸上に位置するように調整するので、第3の光源については光軸上からやや離れた処に位置する。そのため、像高が生じてしまうものの、この特性を改善するための技術も既に知られており、それらの技術を必要に応じて適用することができる。ここでは補正板DPを用いることによりその補正を行っている。補正板DPにはグレーティングが形成されており、それによって光軸からのズレを補正する。
なおLD2から実線で描かれているのがDVD用の光源光束であり、点線で描かれているのがCD用の光源光束である。ビームスプリッタBS1はLD1およびLD2から入射する光源光束を対物レンズOBLの方向へ透過または反射させる。
LD1から投光された光束は、ビーム品位向上のため、ビームシェイパーBSLに入射してから上述のBS1を経て、コリメータCLに入射する。これによって無限平行光にコリメートされたのち、ビームスプリッタBS3、さらに凹レンズと凸レンズとから構成されるビームエキスパンダーBEを経て対物レンズOBLに入射する。そして第1光情報記録媒体の保護基板を介して情報記録面上に集光スポットを形成する。そして情報記録面上で反射したのち、同じ経路をたどって、コリメータCLを通過してから、ビームスプリッタBS3によって進行方向を変換された後、センサーレンズSL1を経てセンサーS1に集光する。このセンサーによって光電変換され、電気信号となる。
なおビームエキスパンダーBEと対物レンズOBLとの間には図示しないλ/4(四分の一波長)板が配置されており、行きと帰りとで丁度半波長分位相がずれて偏光方向が変わる。このため復路の光束はBS3によって進行方向が変わる。
さてビームシェイパーBSLは、光軸に対して垂直なある方向と、この方向に対して垂直な方向の、2つの方向に対してそれぞれ異なった曲率を有している(光軸について、回転非対象な曲率を有している)。
光源から出射された光束は、半導体光源の構造上、光軸に対して垂直である方向と、この方向に対して垂直な方向の、2つの方向に対してそれぞれ発散角が異なっており、光軸方向から見て楕円状のビームとなっている。このままでは光ディスク用の光源光束として好ましくないため、ビームシェイパーBSLによって各々の方向に異なった屈折作用を与えることにより、出射光束が略円形断面のビームとなるようにしている。またここではLD1の光路中にビームシェイパーBSLを配置しているが、LD2の光路に配置することも当然可能である。
LD2から投光された光束も、LD1の場合と同様に、光ディスク(第2光情報記録媒体、第3光情報記録媒体)に集光スポットを形成し、反射して最終的にセンサーS2に集光する。BS1によって光路が一致するようにせしめられているだけであって、LD1の場合と変わりはない。
なお対物レンズOBLは、この図では単一のレンズであるが、必要に応じて複数の光学部品から構成されるようにしてもよい。
本発明の重合体組成物からなる成形体は低複屈折性を有することから、これらの構成の装置に最適に使用できることが明らかである。
(アクチュエータ)
光ピックアップ装置に関する図1において、各LDから投光された光束が光ディスクの保護基板を介して情報記録面に集光する状態が描かれているが、再生/記録する光ディスクによって、基本的な位置がアクチュエータによって切り替わり、その基準位置からピント合わせ(フォーカシング)を行う。
そして各々の光情報記録媒体の保護基板厚、さらにピットの大きさにより、対物レンズOBLに要求される開口数も異なる。ここでは、CD用の開口数は0.45、DVDおよび「高密度な光ディスク」の開口数は0.65としている。ただし、CDについては0.43〜0.50、DVDについては0.58〜0.68の範囲で適宜選択可能である。なおIRは不要光をカットするための絞りである。
また対物レンズOBLには平行光が入射しているが、コリメートせずに、有限発散光が入射するような構成であってもよい。
本発明の重合体組成物を用いることにより、従来ガラスでのみ実現できた長時間の使用が実現できるようになった上、さらにアクチュエータ等による駆動に必要なトルクが、ガラスレンズに比べ大幅に軽減できることが明らかである。
以下、参考形態の例を付記する。
<1>繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体を含有する重合体組成物であって、前記重合体組成物中の鉄原子の含有量が100ppb以下である、重合体組成物。
<2>前記重合体が一般式(1)で表される、<1>に記載の重合体組成物。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。まず、実施例において使用したヒンダートアミン系化合物を示す。
(ヒンダートアミン系化合物)
化学式[5]で表される例示化合物を国際公開公報WO2008/047468号に記載の方法で合成した。
Figure 0005530136
化学式[35]で表される例示化合物(N,N',N''−トリドデシル−N,N',N''−トリス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[1,3,5]−トリアジン−2,4,6−トリアミン(T12M))を国際公開公報WO2008/047468号に記載の方法で合成した。
Figure 0005530136
・ADKSTAB LA−67(商品名、ADEKA社製)、下記化合物からなる縮合物
Figure 0005530136
ADKSTAB LA−67の分子量(測定値):900、炭素原子の割合(測定値):72
(リン系安定剤)
リン系安定剤として、以下の化合物を用いた。
・スミライザーGP(商品名、住友化学株式会社製)
Figure 0005530136
(親水性安定剤)
親水性安定剤として、以下の化合物を用いた。
・ペンタエリスリトールモノステアリルエステル(商品名:エキセパールPE−MS、花王株式会社製)
[重合体組成物Aの製造方法]
(触媒の調製)
VO(OC)Clをシクロヘキサンで希釈し、バナジウム濃度が6.7ミリモル/L−シクロヘキサンであるバナジウム触媒を調製した。エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5Cl1.5)をシクロヘキサンで希釈し、アルミニウム濃度が107ミルモル/L−ヘキサンである有機アルミニウム化合物触媒を調製した。
(重 合)
攪拌式重合器(内径500mm、反応容積100L)を用いて、連続的にエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとの共重合反応を行った。
この共重合反応を行う際には、前記方法によって調製されたバナジウム触媒を、重合溶媒として用いられた重合器内のシクロヘキサンに対するバナジウム触媒濃度が0.6ミリモル/Lになるような量で重合器内に供給した。
また、有機アルミニウム化合物であるエチルアルミニウムセスキクロリドを、Al/V=8.0になるような量で重合器内に供給した。重合温度を11℃とし、重合圧力を1.8kg/cmGとして連続的に共重合反応を行った。
(脱 灰)
重合器より抜出した、エチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体溶液を、水およびpH調節剤として、濃度が25質量%のNaOH溶液をこの共重合体溶液に添加し重合反応を停止させ、また、共重合体中に存在する触媒残渣をこの共重合体溶液中から除去(脱灰)した(ポリマー溶液A)。
前記脱灰処理を行った、エチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体のシクロヘキサン溶液(ポリマー溶液A、ポリマー濃度7.7質量%)を、ニッケル/珪藻土触媒(日揮化学製N112)で、反応温度100℃、反応圧力1MPa、LHSV=5/hrの条件で連続的に水素添加することにより該共重合体を水素添加し、表1に記載の溶液状安定剤を添加した後、加熱工程にて熱源として20kg/cmGの水蒸気を用いた二重管式加熱器(外管径2B、内管径3/4B、長さ21m)に、シクロヘキサン溶液中の共重合体の濃度を5質量%とした前記共重合体のシクロヘキサン溶液を150kg/Hの量で供給して、180℃に加熱した。
次いで、熱源として25kg/cmGの水蒸気を用いた二重管式フラッシュ乾燥器(外管径2B、内管径3/4B、長さ27m)とフラッシュホッパー(容積200L)とを用いて、前記加熱工程を経た前記共重合体のシクロヘキサン溶液から重合溶媒であるシクロヘキサンとともに大半の未反応モノマーを除去することでフラッシュ乾燥された溶融状態の環状オレフィンランダム共重合体を得た。次いで、ベント付二軸混練押出機を用い、上記の溶融状態の環状オレフィンランダム共重合体を押出機の樹脂装入部より装入した後、ベント部分より揮発物を除去する目的で、トラップを介し真空ポンプで吸引しつつ、ベント部よりも下流側のシリンダー部に、表1に記載の溶融安定剤を添加し、押出機のベント部より下流側で混練して混合した。この時、押出機ダイバーター部樹脂温度の最大値と最小値の差が3℃以内になるように押出機条件を調整した。次いで、押出機出口に取り付けられたアンダーウォーターペレタイザーによりペレット化し、得られたペレットを温度100℃の熱風にて4時間乾燥した。さらに、鉄原子(Fe)の混入を抑えるため、ポリマー製造設備をステンレス製の配管や重合装置を用い、さらに重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄(パージ)のために流し、その後サンプルを採取する操作を行った。
尚、表中のヒンダートアミン系化合物、リン系安定剤および親水性安定剤の添加量は、重合体100質量部に対する添加量(質量部)である。また、溶融安定剤は、表1に記載の安定剤を容器に入れ、所定の温度で10時間加熱溶融させたものを用いた。重合体組成物A(S),A(E),B,Cの製造方法においても同様である。
[重合体組成物A(S)の製造方法]
重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄(パージ)のために流す操作は行わず、なおかつ前記脱灰処理を行った、エチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体のシクロヘキサン溶液(ポリマー溶液A)をSUS製コンテナに抜き出し、約4ヶ月間保管したこと以外は、重合体組成物Aと同様にして、重合体組成物A(S)を製造した。
[重合体組成物A(E)の製造方法]
前記の環状オレフィンランダム共重合体をベント付二軸混練押出機で溶融混練する際に、押出機ダイバーター部樹脂温度の最大値と最小値の差が17℃になるように押出機条件を調整したこと以外は、重合体組成物Aと同様にして、重合体組成物A(E)を製造した。
[重合体組成物Bの製造方法]
窒素置換した耐圧容器に、スチレン7.68kgとイソプレン0.32kgを添加して混合攪拌し、脱水シクロヘキサン32kg、混合モノマー0.4kg及びジブチルエーテル0.01kgを仕込み、50℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)0.0454kgを添加して重合させた。重合開始から0.5時間経過後、混合モノマー7.6kgを1時間かけて連続的に添加した。混合モノマーの添加終了から0.5時間経過後、イソプロピルアルコール0.01kgを添加し、スチレン−イソプレンランダム共重合体が溶解した重合反応溶液を得た。
次いで、上記重合反応溶液40kgに、安定化ニッケル水素化触媒E22U(日揮化学工業社製;60%ニッケル担持シリカ−アルミナ担体)0.3kgを添加混合し混合液を得、それをオートクレーブに仕込んだ。該オートクレーブに水素ガスを供給し、撹拌しながら、オートクレーブ内を160℃、4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応終了後、濾過により水素化触媒を除去して、無色透明な溶液を得た。
水素化されたスチレン−イソプレンランダム共重合体のシクロヘキサン溶液に、表1に記載の溶液状安定剤を添加した後、加熱工程にて熱源として20kg/cmGの水蒸気を用いた二重管式加熱器(外管径2B、内管径3/4B、長さ21m)に、シクロヘキサン溶液中の共重合体の濃度を5質量%とした前記共重合体のシクロヘキサン溶液を150kg/Hの量で供給して、180℃に加熱した。
次いで、熱源として25kg/cmGの水蒸気を用いた二重管式フラッシュ乾燥器(外管径2B、内管径3/4B、長さ27m)とフラッシュホッパー(容積200L)とを用いて、前記加熱工程を経た前記共重合体のシクロヘキサン溶液から重合溶媒であるシクロヘキサンとともに大半の未反応モノマーを除去することでフラッシュ乾燥された溶融状態のビニル脂環式炭化水素重合体を得た。次いで、ベント付二軸混練押出機を用い、上記の溶融状態のビニル脂環式炭化水素重合体を押出機の樹脂装入部より装入した後、ベント部分より揮発物を除去する目的で、トラップを介し真空ポンプで吸引しつつ、ベント部よりも下流側のシリンダー部に、表1に記載の溶融安定剤を添加し、押出機のベント部より下流側で混練して混合した。次いで、押出機出口に取り付けられたアンダーウォーターペレタイザーによりペレット化し、得られたペレットを温度100℃の熱風にて4時間乾燥した。
[重合体組成物Cの製造方法]
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン50kgに、1−ヘキセン0.082kg、ジブチルエーテル0.015kg、トリイソブチルアルミニウム0.03kgを室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(メチルテトラシクロドデセン、以下、「MTD」と略記する。)20kgと、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)8kgとを、2時間かけて連続的に添加し重合した。
重合溶液にブチルグリシジルエーテル0.106kgとイソプロピルアルコール0.052kgを加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液70kgに対して、シクロヘキサン30kgを加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)0.5kgを加え、水素により5MPaに加圧し、撹拌しながら温度200℃まで加温し、4時間反応させ、さらに濾過により水素化触媒を除去して、無色透明な溶液を得た。
水素化されたMTD開環重合体のシクロヘキサン溶液に、表1に記載の溶液状安定剤を添加した後、加熱工程にて熱源として20kg/cmGの水蒸気を用いた二重管式加熱器(外管径2B、内管径3/4B、長さ21m)に、シクロヘキサン溶液中の共重合体の濃度を5質量%とした前記共重合体のシクロヘキサン溶液を150kg/Hの量で供給して、180℃に加熱した。
次いで、熱源として25kg/cmGの水蒸気を用いた二重管式フラッシュ乾燥器(外管径2B、内管径3/4B、長さ27m)とフラッシュホッパー(容積200L)とを用いて、前記加熱工程を経た前記共重合体のシクロヘキサン溶液から重合溶媒であるシクロヘキサンとともに大半の未反応モノマーを除去することでフラッシュ乾燥された溶融状態のMTD開環重合体の水素添加物を得た。次いで、ベント付二軸混練押出機を用い、上記の溶融状態のMTD開環重合体の水素添加物を押出機の樹脂装入部より装入した後、ベント部分より揮発物を除去する目的で、トラップを介し真空ポンプで吸引しつつ、ベント部よりも下流側のシリンダー部に、表1に記載の溶融安定剤を添加し、押出機のベント部より下流側で混練して混合した。次いで、押出機出口に取り付けられたアンダーウォーターペレタイザーによりペレット化し、得られたペレットを温度100℃の熱風にて4時間乾燥した。
(実施例1〜16および比較例1〜2)
上記の製造方法により、表1に示した、ヒンダートアミン系化合物、リン系安定剤および親水性安定剤を含む重合体組成物A,A(S),A(E),B,Cを製造し、以下の試験を行い、成形体の特性を評価した。
(青紫色レーザ光での信頼性評価)
重合体組成物を、シリンダー温度260℃、金型温度125℃に設定された射出成形機(東芝機械(株)製IS−50)にて射出成形して、45mmφ×3mm(厚さ)の光学面を持つテストピースを作製した。
上記のテストピースを用い、レーザーダイオード(ネオアーク社製TC4030S−F405ASU)を用いて波長405±10nm、60mW/mmの青紫色レーザ光を85℃の恒温槽に載置したテストピースの中心に504時間照射した。照射前、照射168時間後、照射336時間後および照射終了後において、実体顕微鏡によりテストピース照射部位を観察し、外観、白濁の観察を行った。評価結果は次の記号で表記した。結果を表1に示す。
(外観評価)
○:顕著な白濁及び、表面の荒れは観察されなかった。
×:白濁及び、表面の荒れが顕著に観察された。
実施例1〜16に示す本発明の重合体組成物中の成形体は、白濁および着色を抑制することができ、透明性を確保することができた。なお、製造装置の選択やpHを制御する工程を追加すること等により、さらに所望のレベルの鉄の含有量とすることができる。
一方、比較例1や、比較例2においては、重合体組成物中の鉄の含有量が数ppm程度までにしかならず、白濁および着色を抑制することができずに、透明性を確保することができなかった。
Figure 0005530136

Claims (13)

  1. 繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体を含有する重合体組成物であって、前記重合体が下記一般式(1)で表され、前記重合体組成物中の鉄原子の含有量が100ppb以下であり、前記重合体100質量部に対して、下記一般式(3)で表されるヒンダードアミン系化合物を0.2〜3質量部含み、前記重合体組成物を重合した重合器内の平均滞留時間から計算される前記重合体組成物の量の3〜5倍の前記重合体組成物を洗浄のために流したあとに得られる、重合体組成物。
    Figure 0005530136
    (式(1)中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。
    nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
    は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
    は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
    は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
    Qは、COOR(Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
    、R、RおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
    Figure 0005530136
    [式(3)中、nは1または2を示す。
    、R は、同一でも異なっていてもよく水素原子またはメチル基を示す。
    、R およびR は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、
    炭素原子数1〜24のアルキル基、
    炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
    −R −Ph(−R )p(R は炭素原子数1〜3のアルキレン基、PhはR で表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、または、
    炭素原子数2〜4のアルキル基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、窒素原子と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換アルキル基、を示す。
    は、炭素原子数1〜4のアルキレン基または単結合を示す。
    は、水素原子、
    炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基、
    炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい、脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
    −R 7A −Ph(−R 7B )p (式中、R 7A は炭素原子数1〜3である2価または3価の飽和炭化水素基を示し、PhはR 7B で表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、
    −N(R 7F )(R 7G ) (式中、R 7F 、R 7G はそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基)で表されるN,N−ジアルキルアミノ基、または−N(R 7F )− (式中、R 7F 、は炭素原子数1〜18のアルキル基、−は結合手を表す)で表される基、
    炭素原子数2〜4の脂肪族飽和炭化水素基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、R と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換脂肪族飽和炭化水素基、または
    下記式
    Figure 0005530136
    (R は水素原子またはメチル基、*は結合手を示す。)で表される基を示す。]
  2. 前記重合体が、下記一般式(4)で表される、請求項1に記載の重合体組成物。
    Figure 0005530136
    (式(4)中、Rは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2価の基である。
    は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
    およびRは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
    x,yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。)
  3. 請求項1または2に記載の重合体組成物から得られる、成形体。
  4. 請求項に記載の成形体からなる、光学部品。
  5. 光路差付与構造を有する、請求項4に記載の光学部品。
  6. 光ピックアップ装置に用いられる、請求項またはに記載の光学部品。
  7. 前記光ピックアップ装置は、波長の異なる複数の光源を用いるとともに、基板厚の異なる複数種の光情報記録媒体に対して情報の記録または再生を実行する、請求項に記載の光学部品。
  8. 前記光源の少なくとも一つが、390nm〜420nmの波長を有する、請求項に記載の光学部品。
  9. 前記光学部品の少なくとも一部がアクチュエータに保持されて可動自在である、請求項からのいずれかに記載の光学部品。
  10. 請求項からのいずれかに記載の光学部品を用いた、光ピックアップ装置。
  11. 300nm〜450nmの範囲の波長を含む光源を有する光学系において用いられる、請求項に記載の光学部品。
  12. 請求項に記載の成形体からなる、屋外用部品。
  13. 請求項1または2に記載の重合体組成物を光学部品の材料として用いる方法。
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