JP5530136B2 - 重合体組成物および該組成物から得られた成形体 - Google Patents
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樹脂組成物からなる成形体の耐候性を向上させるために光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤が用いられている。
例えば特許文献1、2には、脂環族構造を有する重合体と特定のヒンダードアミン系化合物を含む樹脂組成物が記載されている。これらの文献には、樹脂組成物中に含まれる鉄原子の含有量が5ppm以下であることが記載されている。鉄原子の含有量を数ppmとすることで、目的を達成している。
[1]繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体を含有する重合体組成物であって、前記重合体が下記一般式(1)で表され、前記重合体組成物中の鉄原子の含有量が100ppb以下であり、前記重合体100質量部に対して、下記一般式(3)で表されるヒンダードアミン系化合物を0.2〜3質量部含み、前記重合体組成物を重合した重合器内の平均滞留時間から計算される前記重合体組成物の量の3〜5倍の前記重合体組成物を洗浄のために流したあとに得られる、重合体組成物。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
Raは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
Rbは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
Rcは、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COORd(Rdは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
Ra、Rb、RcおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
[3]前記重合体が、下記一般式(4)で表される、[1]または[2]に記載の重合体組成物。
Rbは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
RaおよびRbは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x,yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。)
[4]前記重合体100質量部に対して、
ヒンダートアミン系化合物を0.05〜5質量部含む、[1]から[3]のいずれかに記載の重合体組成物。
[5]前記ヒンダートアミン系化合物が、下記一般式(2)で表される、[4]に記載の重合体組成物。
R1、R2は、同一でも異なっていてもよく水素原子またはメチル基を示す。
R3、R4およびR5は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、
炭素原子数1〜24のアルキル基、
炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
−RA−Ph(−RB)p(RAは炭素原子数1〜3のアルキレン基、PhはRBで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、または、
炭素原子数2〜4のアルキル基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、窒素原子と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換アルキル基、を示す。
R6は、炭素原子数1〜4のアルキレン基または単結合を示す。
R7は、水素原子、
炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基、
炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい、脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
−R7A−Ph(−R7B)p (式中、R7Aは炭素原子数1〜3である2価または3価の飽和炭化水素基を示し、PhはR7Bで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、
−N(R7F)(R7G) (式中、R7F、R7Gはそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基)で表されるN,N−ジアルキルアミノ基、または−N(R7F)− (式中、R7F、は炭素原子数1〜18のアルキル基、−は結合手を表す)で表される基、
炭素原子数2〜4の脂肪族飽和炭化水素基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、R6と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換脂肪族飽和炭化水素基、または
下記式
[7][6]に記載の成形体からなる、光学部品。
[8]光路差付与構造を有する、[7]に記載の光学部品。
[9]光ピックアップ装置に用いられる、[7]または[8]に記載の光学部品。
[10]前記光ピックアップ装置は、波長の異なる複数の光源を用いるとともに、基板厚の異なる複数種の光情報記録媒体に対して情報の記録または再生を実行する、[9]に記載の光学部品。
[11]前記光源の少なくとも一つが、390nm〜420nmの波長を有する、[10]に記載の光学部品。
[12]前記光学部品の少なくとも一部がアクチュエータに保持されて可動自在である、[7]から[11]のいずれかに記載の光学部品。
[13][7]から[12]のいずれかに記載の光学部品を用いた、光ピックアップ装置。
[14]300nm〜450nmの範囲の波長を含む光源を有する光学系において用いられる、[7]に記載の光学部品。
[15][6]に記載の成形体からなる、屋外用部品。
[16][1]から[5]のいずれかに記載の重合体組成物を光学部品の材料として用いる方法。
本発明の繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体(以下、単に「脂環族構造を有する重合体」ともいう)は、重合体の繰り返し単位の少なくとも一部に脂環族構造を有するものであればよく、具体的には一般式(1)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体を含むことが好ましい。
Raは、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜12の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である(以下、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す)。
Rbは、水素原子、又は、炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
Rcは、炭素原子数2〜10、好ましくは2〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COORdである。Rdは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1〜3の炭化水素基である。
また、前記一般式(1)において、nは好ましくは0である。
前記一般式(1)で表される重合体を大きくわけると、以下の(i)〜(iv)の4種の重合体に大別される。
(i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体
(ii)開環重合体またはその水素添加物
(iii)ビニル脂環式炭化水素系重合体
(iv)その他の重合体
以下、順に説明する。
(i)エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体は、一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体である。例えば、エチレンまたは炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位(A)と、環状オレフィン由来の構成単位(B)とからなる。
Rbは、水素原子、又は炭素原子数1〜10、好ましくは1〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
なお、RaおよびRbは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
エチレンまたはα−オレフィン由来の構成単位(A)は、下記のようなエチレン、または炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位である。
環状オレフィン由来の構成単位(B)は、下記一般式(11)、一般式(12)および一般式(13)で表される環状オレフィン由来の構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる。
(ii)開環重合体またはその水素添加物とは、前記一般式(1)における好ましい例として挙げた構造のうち、一般式(9)で表わされる構成単位を含む環式オレフィン重合体である。
ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メトキシ−カルビニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3−エン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔8.4.0.111,14.03,8〕−テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6.02,7.09,13〕−ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ〔7.4.0.13,6.110,13.02,7〕−ペンタデカ−4,11−ジエンなどのノルボルネン系単量体;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテンのごとき単環のシクロアルケン;ビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体;
シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの脂環式共役ジエン系単量体;などが挙げられる。脂環式オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(iii)ビニル脂環式炭化水素系重合体は、ビニル芳香族炭化水素化合物を単量体として得られる(共)重合体の水素添加物またはビニル脂環式炭化水素化合物を単量体として得られる(共)重合体である。ビニル化合物としては、ビニル芳香族化合物、ビニル脂環式炭化水素化合物などを挙げることができる。
(iv)その他の重合体としては、例えば、単環シクロアルケンの重合体、脂環式共役ジエン系単量体の重合体、芳香族オレフィン重合体などが挙げられるが、前記(i)〜(iii)に含まれない構造であっても、一般式(1)の範囲内において、任意に選択可能である。例えば、前記、(i)〜(iii)相互、あるいは、公知の共重合可能なモノマーを共重合せしめたものが挙げられる。
また本発明で用いられる、脂環族構造を有する重合体は、本発明の成形方法によって得られる製品の良好な物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な単量体から誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は限定されないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは0〜10モル%であり、共重合量が20モル%以下であれば、光学物性を損なうことなく、高精度の光学部品を得ることができる。また、共重合の種類は限定されない。
本発明で用いられる脂環族構造を有する重合体の分子量は限定されるものではないが、分子量の代替指標として極限粘度[η]を用いた場合、好ましくは、温度135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、0.03〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gであり、最も好ましくは0.10〜2dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲にあると、良好な成形性を得ることができるとともに、成形物の機械的強度が損なわれることがない。
本発明で使用される繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは、50〜240℃である。さらに好ましくは50〜160℃である。最も好ましくは、100〜150℃である。ガラス転移温度(Tg)が上記範囲であると、成形品を光学部品として使用する際に、十分な耐熱性を得ることができるとともに、良好な成形性を得ることができる。
本発明の重合体組成物は種々の安定剤を含むことができる。安定剤としては、ヒンダートアミン系化合物が好ましい。
本発明の重合体組成物において、上記ヒンダートアミン系化合物と脂環族構造を有する重合体とを用いることにより、成形性、低複屈折、耐熱性、大量生産性、機械強度、光線透過率を維持しつつ、青紫レーザー光源使用中の光線透過率の低下のみならず光学性能劣化が極めて小さい光学部品体を得ることができる。このような重合体組成物からなる光学部品および光ピックアップ装置は、充分な光学性能を有しながら、紫外に近い領域のレーザ光で用いても劣化を起こし難く、また使用に際して性能に変化が生じ難いことから、工業的に極めて価値がある。
R1、R2は、同一でも異なっていてもよく水素原子またはメチル基を示し、好ましくはメチル基である。R1、R2がメチル基であることにより、成形体の高温時・酸性物質共存下での着色を防止することができる。
(1)水素原子
(2)炭素原子数1〜24のアルキル基
脂環式骨格含有飽和炭化水素基としては、例えば、非置換、または炭素原子数1〜4のアルキル基を1〜3個有する炭素原子数5〜12のシクロアルキル基等を挙げることができる。
PhはRBで表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基
(1)水素原子
(2)炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基
炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基としては、n=1の場合は、水素原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基を示し、n=2の場合は、炭素原子数1〜17のアルキレン基を示す。
脂環式骨格含有飽和炭化水素基は、n=1の場合、1価の基であり、n=2の場合、2価の基である。1価の基としては、例えば、シクロヘキシル基などを挙げることができ、2価の基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロへキシレンなどを挙げることができる。
Rは、炭素原子数1〜24のアルキル基を示す。
Yは、下記一般式
Qは、下記一般式
複数存在するX,Y,Rは、各々において互いに同一でも異なってもよい。]
また、前記一般式(2)においてa=0,b=1の場合、前記一般式(2)のQを示す前記一般式のXは、水素原子またはメチル基であることが好ましい。このようなヒンダードアミン系安定剤を用いることにより、ヒンダードアミン系光安定剤の精製や取り扱いが容易になり、得られる重合体組成物の品質が向上することにより、耐光性や光学性能が向上することがある。
本発明で使用されるヒンダートアミン系化合物の添加量は、脂環族構造を有する重合体100質量部に対し、好ましくは0.05質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜4質量部であり、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
本発明で使用されるヒンダートアミン系化合物において、例えば一般式(3)表される化合物は、例えば、特開昭52−73886号公報、特開昭63−286448号公報、特開平5−9356号公報、特開平5−43745号公報、国際公開公報2008/047468号などに記載の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
ヒンダードアミン化合物としては、たとえば下記一般式(20)によって示されるピペリジン誘導体を使用してもよい。
一般式(20)
これにより、
炭素数4〜12のアルキル基としては、ドデシル基が最も好ましい。
本発明で使用されるピペリジン誘導体またはその塩の添加量は、脂環族構造を有する重合体100質量部に対し、好ましくは0.05質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜4質量部であり、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
本発明の重合体組成物は、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体100質量部に対して、リン系安定剤を好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.8質量部、特に好ましくは0.05〜0.8質量部含むことができる。
本発明の重合体組成物は、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体100質量部に対して、親水性安定剤を0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.08〜4質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部含むことが好ましい。これにより樹脂の耐湿熱特性が向上し、成形時の離型性が向上する。親水性安定剤として例えば、特開平9−241484号公報に記載の多価アルコール類、特開2001−26718号公報に記載の多価アルコール、多価アルコールと脂肪酸のエステル、ソルビトール系誘導体、親水基と疎水基とを有する化合物などが挙げられる。
多価アルコールとしては、分子量が2000以下で、同一分子中のヒドロキシル基の数に対する炭素原子数の比率が1.5〜30、好ましくは3〜20、特に好ましくは6〜20で、炭素原子数が6以上のものが挙げられる。この比率と炭素原子数の範囲内であれば、熱可塑性樹脂との相溶性が良く、溶融混練時に発泡を起こして透明性に悪影響を及ぼすこともない。好ましい炭素原子数の範囲は6〜100であり、さらに好ましくは、6〜60である。
多価アルコールと脂肪酸のエステルとしては、たとえば、特開2001−26682号公報に記載のソルビトール系誘導体等が透明性に優れ、高温高湿度雰囲気下における透明性低下が少ない重合体組成物が得られるので好適に用いられる。
ソルビトール系誘導体としては、下記の一般式(14)〜(19)で表される化合物を挙げることができる。
その他の多価アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、アルコール性水酸基の一部がエステル化されたものを使用する。したがって、使用される多価アルコール脂肪酸エステルの具体例の一部としてグリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等のペンタエリスリトールの脂肪酸エステルが例示できる。
親水基と疎水基とを有する化合物としては、分子中に親水基と疎水基とを有する化合物において、該化合物の親水基がヒドロキシアルキル基であり、疎水基が炭素原子数6以上のアルキル基であるアミン化合物またはアミド化合物が挙げられる。
本発明で用いる重合体組成物には、上述の成分に加えてさらに、本発明の光学部品の良好な特性を損なわない範囲で、公知の親水性安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などが配合されていてもよい。
本発明の重合体組成物には公知の無機分散剤を添加することができる。また、無機分散剤の粒径によっては透明性が確保できる場合がある。
リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、
セレン又はテルル等の周期表第16族元素の単体、
炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、
酸化錫(IV)(SnO2)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S3)、硫化錫(IV)(SnS2)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、
窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、
硫化アルミニウム(Al2S3)、セレン化アルミニウム(Al2Se3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、セレン化ガリウム(Ga2Se3)、テルル化ガリウム(Ga2Te3)、酸化インジウム(In2O3)、硫化インジウム(In2S3)、セレン化インジウム(In2Se3)、テルル化インジウム(In2Te3)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、
塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、
酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、
硫化砒素(III)(As2S3)、セレン化砒素(III)(As2Se3)、テルル化砒素(III)(As2Te3)、硫化アンチモン(III)(Sb2S3)、セレン化アンチモン(III)(Sb2Se3)、テルル化アンチモン(III)(Sb2Te3)、硫化ビスマス(III)(Bi2S3)、セレン化ビスマス(III)(Bi2Se3)、テルル化ビスマス(III)(Bi2Te3)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化銅(I)(Cu2O)、セレン化銅(I)(Cu2Se)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、
塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、
酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、
四酸化三鉄(Fe3O4)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、
硫化モリブデン(IV)(MoS2)、酸化タングステン(IV)(WO2)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO2)、酸化タンタル(V)(Ta2O5)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化チタン(TiO2、Ti2O5、Ti2O3、Ti5O9等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、
硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、
酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr2O4)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr2Se4)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr2S4)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCr2Se4)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO3)等が挙げられる。
上述した無機微粒子を例に挙げると、窒化ケイ素等は共有結合性が総じて強いため、線膨張係数の低い傾向があり、好適に用いることが可能である。一方、酸化物結晶は、線膨張係数がやや大きい傾向があるが、ケイ酸塩等は線膨張係数が低く、好適に用いることが可能である。
本発明の重合体組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。具体的には、脂環族構造を有する重合体および必要に応じて安定剤などの添加剤を添加して混合した後フラッシュ乾燥、または、各成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、メルトブレンダー、ホモミキサー等を用いて混合した後、押出機を用いてペレット化することで、ペレット状の重合体組成物として得ることができる。さらに、目的とする成形物の形状に応じて、射出成形法、押出成形法、吹込成形法、真空成形法、スラッシュ成形法等により、成形物として得ることができる。
本発明の重合体組成物中の鉄原子(Fe)の含有量は100ppb以下であり、好ましくは50ppb以下である。さらに、鉄原子(Fe)の含有量を40ppb以下、30ppb以下とすることもできる。鉄原子の含有量が100ppb以下であると、成形体の白濁および着色を抑制することができ、透明性を確保することができる。また、本発明の重合体組成物中の鉄原子(Fe)の含有量の下限値は、特に限定されないが、たとえば1ppb以上とすることができる。鉄の含有量は、ICP−MS(Inductive Coupling Plasma − Mass Spectrometry )法により計測し、質量濃度として求めた。測定はサンプルに硫酸添加、乾式灰化後ICP−MSにより行う。
鉄を低減させる方法としては、以下に示す方法がある。
1. ポリマー製造機器をガラスとするか、ポリマー製造ラインをガラスで表面コートすることで、ポリマーやポリマー溶液が配管などと接触混入する鉄原子を抑制することができる。具体的にはガラス製のフラスコで重合することや、配管をガラスで表面コートすることが挙げられる。
2. ポリマー製造機器に金属を使用する場合、鉄の使用を控え、鉄以外の金属からなる製造機器を用いることで、鉄原子の混入を低減することができる。具体的にはステンレス製の配管や重合装置を用いることが挙げられる。
3. 鉄原子の溶出を防ぐために、ポリマー溶液のpHを制御すること。
4. 鉄原子の混入を防ぐために、バッチ生産ではなく連続生産とすること。
5. 製造設備の系内に微量残留している鉄を除くために、重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄用(パージ用)としてサンプル採取せず、充分にパージされた後にサンプルを採取すること。
本発明の製造工程においては、鉄を低減させる手法として、ポリマー製造設備をステンレス製の配管や重合装置を用い、さらに重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄のために流し、その後サンプルを採取する操作を行った。
上記鉄を低減させる方法に加えて、押出機運転中は押出機内の樹脂温度状態を一定範囲内で安定に保つことで、鉄原子(Fe)の混入を非常に低いレベルに抑えることができる。
このように、ポリマー製造設備をステンレス製の配管や重合装置を用い、さらに重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄のために流し、その後サンプルを採取する、という鉄を低減させる方法に加え、なおかつ押出機運転状態を安定とすることにより、本発明の重合体組成物中に含まれる鉄原子(Fe)の含有量を100ppb以下とすることができる。
その他の金属成分についても、樹脂の劣化を促進する可能性がある金属成分については本発明の効果を妨げない範囲内に抑える必要がある。これら金属成分としては、例えばバナジウム、亜鉛、カルシウムなどが挙げられる。本発明においては、原料、触媒、プロセスから樹脂中に混入する金属を最小限とする必要があり、例えば塩酸吸収剤として用いられるステアリン酸亜鉛等の亜鉛化合物にも樹脂劣化促進効果がある。また、残留する金属触媒成分が少ないと透明性等の光学物性を損なうことがなく好ましい。
また本発明の重合体組成物は、塩素含有量が好ましくは10ppm以下、より好ましくは7ppm以下である。残留する塩素が少ないと透明性等の光学物性を損なうことがなく好ましい。塩素含有量はICP−MS法により測定することができる。
本発明の重合体組成物から得られる成形体は、耐光性および透明性に優れ、太陽電池、車のサンルーフ、窓枠などの屋外用部品や、後述する光学部品等に用いられる。
本発明の重合体組成物を光学用途に使用する場合、光線を透過させることが必須であるので、光線透過率が良好であることが好ましい。光線透過率は用途に応じて分光光線透過率または全光線透過率により規定される。
本発明の重合体組成物から得られる成形体は、300nm〜450nmの範囲の光線透過率に優れる。そのため、300nm〜450nmの範囲の波長を含む光源を有する光学系において、光学部品として用いることができる。光学部品とは光学系機器等に使用される部品であり、具体的には、UV用の検出装置に使用する分析セル、UVカットフィルタを使用しない撮像系に使用される光学部品、太陽電池用フィルター、LEDの封止剤、LED光学系に用いられるレンズ、有機EL関連部材等の発光素子に用いられる光学部品、プロジェクター用レンズ、ディスプレイパネルなどの等が挙げられる。
光学部品を成型する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ、その用途および形状にもよるが、射出成形法、押出成形法、吹込成形法、真空成形法、スラッシュ成形法等が適用可能であるが、射出成形法が成形性、生産性の観点から好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。
光路差付与構造とは、光学部品の少なくとも一つの光学面に、該光学面を通過する所定の光に対して予め定められた光路差を付与する機能を持つ構造である。
光ピックアップ装置とは、光情報記録媒体に対して情報の再生および/または記録を行う機能を有する装置であって、光を出射する光源と、前記光の前記光情報記録媒体への照射および/または前記光情報記録媒体で反射される光の集光を行なう光学部品を備えたものである。光ピックアップ装置の仕様は限定されないが、本願発明の効果を説明するために、図1を参照して、光ピックアップ装置に使用される、本発明の重合体組成物から得られる光学部品の例について説明する。
光ピックアップ装置に関する図1において、各LDから投光された光束が光ディスクの保護基板を介して情報記録面に集光する状態が描かれているが、再生/記録する光ディスクによって、基本的な位置がアクチュエータによって切り替わり、その基準位置からピント合わせ(フォーカシング)を行う。
以下、参考形態の例を付記する。
<1>繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体を含有する重合体組成物であって、前記重合体組成物中の鉄原子の含有量が100ppb以下である、重合体組成物。
<2>前記重合体が一般式(1)で表される、<1>に記載の重合体組成物。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。まず、実施例において使用したヒンダートアミン系化合物を示す。
化学式[5]で表される例示化合物を国際公開公報WO2008/047468号に記載の方法で合成した。
リン系安定剤として、以下の化合物を用いた。
親水性安定剤として、以下の化合物を用いた。
・ペンタエリスリトールモノステアリルエステル(商品名:エキセパールPE−MS、花王株式会社製)
(触媒の調製)
攪拌式重合器(内径500mm、反応容積100L)を用いて、連続的にエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとの共重合反応を行った。
この共重合反応を行う際には、前記方法によって調製されたバナジウム触媒を、重合溶媒として用いられた重合器内のシクロヘキサンに対するバナジウム触媒濃度が0.6ミリモル/Lになるような量で重合器内に供給した。
また、有機アルミニウム化合物であるエチルアルミニウムセスキクロリドを、Al/V=8.0になるような量で重合器内に供給した。重合温度を11℃とし、重合圧力を1.8kg/cm2Gとして連続的に共重合反応を行った。
重合器より抜出した、エチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体溶液を、水およびpH調節剤として、濃度が25質量%のNaOH溶液をこの共重合体溶液に添加し重合反応を停止させ、また、共重合体中に存在する触媒残渣をこの共重合体溶液中から除去(脱灰)した(ポリマー溶液A)。
前記脱灰処理を行った、エチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体のシクロヘキサン溶液(ポリマー溶液A、ポリマー濃度7.7質量%)を、ニッケル/珪藻土触媒(日揮化学製N112)で、反応温度100℃、反応圧力1MPa、LHSV=5/hrの条件で連続的に水素添加することにより該共重合体を水素添加し、表1に記載の溶液状安定剤を添加した後、加熱工程にて熱源として20kg/cm2Gの水蒸気を用いた二重管式加熱器(外管径2B、内管径3/4B、長さ21m)に、シクロヘキサン溶液中の共重合体の濃度を5質量%とした前記共重合体のシクロヘキサン溶液を150kg/Hの量で供給して、180℃に加熱した。
次いで、熱源として25kg/cm2Gの水蒸気を用いた二重管式フラッシュ乾燥器(外管径2B、内管径3/4B、長さ27m)とフラッシュホッパー(容積200L)とを用いて、前記加熱工程を経た前記共重合体のシクロヘキサン溶液から重合溶媒であるシクロヘキサンとともに大半の未反応モノマーを除去することでフラッシュ乾燥された溶融状態の環状オレフィンランダム共重合体を得た。次いで、ベント付二軸混練押出機を用い、上記の溶融状態の環状オレフィンランダム共重合体を押出機の樹脂装入部より装入した後、ベント部分より揮発物を除去する目的で、トラップを介し真空ポンプで吸引しつつ、ベント部よりも下流側のシリンダー部に、表1に記載の溶融安定剤を添加し、押出機のベント部より下流側で混練して混合した。この時、押出機ダイバーター部樹脂温度の最大値と最小値の差が3℃以内になるように押出機条件を調整した。次いで、押出機出口に取り付けられたアンダーウォーターペレタイザーによりペレット化し、得られたペレットを温度100℃の熱風にて4時間乾燥した。さらに、鉄原子(Fe)の混入を抑えるため、ポリマー製造設備をステンレス製の配管や重合装置を用い、さらに重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄(パージ)のために流し、その後サンプルを採取する操作を行った。
重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3〜5倍程度の樹脂を洗浄(パージ)のために流す操作は行わず、なおかつ前記脱灰処理を行った、エチレン・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン共重合体のシクロヘキサン溶液(ポリマー溶液A)をSUS製コンテナに抜き出し、約4ヶ月間保管したこと以外は、重合体組成物Aと同様にして、重合体組成物A(S)を製造した。
[重合体組成物A(E)の製造方法]
前記の環状オレフィンランダム共重合体をベント付二軸混練押出機で溶融混練する際に、押出機ダイバーター部樹脂温度の最大値と最小値の差が17℃になるように押出機条件を調整したこと以外は、重合体組成物Aと同様にして、重合体組成物A(E)を製造した。
窒素置換した耐圧容器に、スチレン7.68kgとイソプレン0.32kgを添加して混合攪拌し、脱水シクロヘキサン32kg、混合モノマー0.4kg及びジブチルエーテル0.01kgを仕込み、50℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)0.0454kgを添加して重合させた。重合開始から0.5時間経過後、混合モノマー7.6kgを1時間かけて連続的に添加した。混合モノマーの添加終了から0.5時間経過後、イソプロピルアルコール0.01kgを添加し、スチレン−イソプレンランダム共重合体が溶解した重合反応溶液を得た。
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン50kgに、1−ヘキセン0.082kg、ジブチルエーテル0.015kg、トリイソブチルアルミニウム0.03kgを室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(メチルテトラシクロドデセン、以下、「MTD」と略記する。)20kgと、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)8kgとを、2時間かけて連続的に添加し重合した。
上記の製造方法により、表1に示した、ヒンダートアミン系化合物、リン系安定剤および親水性安定剤を含む重合体組成物A,A(S),A(E),B,Cを製造し、以下の試験を行い、成形体の特性を評価した。
重合体組成物を、シリンダー温度260℃、金型温度125℃に設定された射出成形機(東芝機械(株)製IS−50)にて射出成形して、45mmφ×3mm(厚さ)の光学面を持つテストピースを作製した。
上記のテストピースを用い、レーザーダイオード(ネオアーク社製TC4030S−F405ASU)を用いて波長405±10nm、60mW/mm2の青紫色レーザ光を85℃の恒温槽に載置したテストピースの中心に504時間照射した。照射前、照射168時間後、照射336時間後および照射終了後において、実体顕微鏡によりテストピース照射部位を観察し、外観、白濁の観察を行った。評価結果は次の記号で表記した。結果を表1に示す。
○:顕著な白濁及び、表面の荒れは観察されなかった。
×:白濁及び、表面の荒れが顕著に観察された。
一方、比較例1や、比較例2においては、重合体組成物中の鉄の含有量が数ppm程度までにしかならず、白濁および着色を抑制することができずに、透明性を確保することができなかった。
Claims (13)
- 繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体を含有する重合体組成物であって、前記重合体が下記一般式(1)で表され、前記重合体組成物中の鉄原子の含有量が100ppb以下であり、前記重合体100質量部に対して、下記一般式(3)で表されるヒンダードアミン系化合物を0.2〜3質量部含み、前記重合体組成物を重合した重合器内の平均滞留時間から計算される前記重合体組成物の量の3〜5倍の前記重合体組成物を洗浄のために流したあとに得られる、重合体組成物。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
Raは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
Rbは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
Rcは、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COORd(Rdは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
Ra、Rb、RcおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
R 1 、R 2 は、同一でも異なっていてもよく水素原子またはメチル基を示す。
R 3 、R 4 およびR 5 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、
炭素原子数1〜24のアルキル基、
炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
−R A −Ph(−R B )p(R A は炭素原子数1〜3のアルキレン基、PhはR B で表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、または、
炭素原子数2〜4のアルキル基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、窒素原子と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換アルキル基、を示す。
R 6 は、炭素原子数1〜4のアルキレン基または単結合を示す。
R 7 は、水素原子、
炭素原子数1〜17の脂肪族飽和炭化水素基、
炭素原子数5〜12である脂環式骨格を含み、該脂環式骨格が炭素原子数1〜4のアルキル置換基を1〜3個有していてもよい、脂環式骨格含有飽和炭化水素基、
−R 7A −Ph(−R 7B )p (式中、R 7A は炭素原子数1〜3である2価または3価の飽和炭化水素基を示し、PhはR 7B で表される炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されてもよい置換または無置換のフェニル基を示す。pは0〜3の整数である。)で表される基、
−N(R 7F )(R 7G ) (式中、R 7F 、R 7G はそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基)で表されるN,N−ジアルキルアミノ基、または−N(R 7F )− (式中、R 7F 、は炭素原子数1〜18のアルキル基、−は結合手を表す)で表される基、
炭素原子数2〜4の脂肪族飽和炭化水素基であり、かつOH基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基(複数存在するアルキル基は、同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜4のアルキル基である)から選ばれる少なくとも1つの置換基を、R 6 と直接結合した炭素原子以外の炭素原子に有する置換脂肪族飽和炭化水素基、または
下記式
- 請求項1または2に記載の重合体組成物から得られる、成形体。
- 請求項3に記載の成形体からなる、光学部品。
- 光路差付与構造を有する、請求項4に記載の光学部品。
- 光ピックアップ装置に用いられる、請求項4または5に記載の光学部品。
- 前記光ピックアップ装置は、波長の異なる複数の光源を用いるとともに、基板厚の異なる複数種の光情報記録媒体に対して情報の記録または再生を実行する、請求項6に記載の光学部品。
- 前記光源の少なくとも一つが、390nm〜420nmの波長を有する、請求項7に記載の光学部品。
- 前記光学部品の少なくとも一部がアクチュエータに保持されて可動自在である、請求項4から8のいずれかに記載の光学部品。
- 請求項4から9のいずれかに記載の光学部品を用いた、光ピックアップ装置。
- 300nm〜450nmの範囲の波長を含む光源を有する光学系において用いられる、請求項4に記載の光学部品。
- 請求項3に記載の成形体からなる、屋外用部品。
- 請求項1または2に記載の重合体組成物を光学部品の材料として用いる方法。
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