JP2005202056A - 光学樹脂レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】 長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない、高耐久性を示す光学樹脂レンズを提供する。
【解決手段】 50重量%以上99重量%未満のシクロオレフィン系樹脂、前記シクロオレフィン系樹脂に対して相溶性を有し、芳香族ビニル化合物残基を含む熱可塑性エラストマーを1%重量以上50%重量未満で含む樹脂組成物であり、それから作成されるフィルムのヘイズが30%未満であることを特徴とする光学樹脂レンズ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学樹脂レンズに関し、特に情報記録装置に用いられる光学樹脂レンズに関する。
光学的に透明なプラスチックはその軽量性、量産性の高さから光学製品に広く用いられている。カメラ、フィルム一体型カメラ(レンズ付きフィルム)、ビデオカメラ等の各種カメラ、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD−Video、MO、DVD等の光ピックアップ装置、複写機及びプリンター等のOA機器といった各種機器等に使用される高性能光学用レンズには、これまでポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロポリオレフィン(CO)等の透明熱可塑性樹脂を用いて射出成型されたプラスチックレンズ等をその光学系の一部または全部に使用されてきた。
例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)は光学異方性が小さくよく利用されている樹脂だが、屈折率が1.49と小さく、吸湿性が大きい、湿度変化による膨縮が大きい、耐熱性が比較的低い等という問題点があった。
この様な欠点を改善する事を目的にメチルメタクリレートの側鎖に嵩高く、疎水性の置換基を有するメタクリレートモノマーを共重合する等の方法が数多く報告されているが、長時間レーザ光を照射した条件下で高精度や高安定性を求められるプラスチックレンズに使用するには、耐熱性の問題が残されていた。
また、従来公知のPC(ポリカーボネート)は、屈折率が1.59と比較的大きく、吸湿性は比較的小さいという特性を有し、レンズ、光ディスク等に用いられているが、一方では、溶融粘度が高く、成型時に歪が残り易い。またベンゼン環が分子配向を起こし易く、成型時に光学異方性が生じ易いという問題点があった。
この問題点を解決する為に、分子量を小さくして溶融粘度を低下させて成型性を向上させたり、分子配向を軽減させる目的で、側鎖にベンゼン環をもつポリスチレンとのブロック共重合をしたり、側鎖にベンゼン環を有するモノマーを用いる等の方法が開示されている。
しかし、成型樹脂の強度低下や相分離の為に光学的な不均一性が生じ易かったり、流動性が改善されにくい等から必ずしも満足し得るものではなく、耐熱性が比較的高い樹脂であるが、成型体が複屈折を生じやすいので、高精度が要求されるプラスチックレンズには用いられていないのが現状である。
また、骨格全体もしくはその一部に環状構造を有するシクロポリオレフィンは青色透過性を持つが、PC(ポリカーボネート)と比較して、光学異方性は小さいものの、高性能プラスチックレンズとして用いるには必ずしも満足できるものではなかったので、その改良が鋭意検討されている。
例えば、低複屈折、高耐熱性、高耐湿性を有するシクロポリオレフィン系重合体(特許文献1参照。)や、シクロポリオレフィン系重合体を水素添加処理することにより、色相改善を目的として開発されたポリマー(特許文献2参照。)、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体の芳香環部分を含む不飽和結合を水素化した特定構造の共重合体が透明性、低複屈折性、機械的強度に優れ、大型で薄型のレンズの作製を可能にした樹脂(特許文献3参照。)など、材料の改良がなされてきたが、PMMAよりも耐熱性の高い材料を使用しても、長時間レーザ光を照射すると、物性が損なわれるといった問題が依然未解決のまま残されていた。
近年CD−R、DVDやMOなどの光を使った高密度高速記録方式が盛んに研究され、実用化されている中で、光学系に求められる基準はさらに厳しくなっている。高速にディスクが回転する場合、光学性能がデータ書込及び読み出し精度に大きく響いてくる。また、高密度を求める場合にも、光学系の集光力とその安定性が記録密度に直接影響する。光学異方性が大きいと、焦点が1点に定まらず、高密度、高速どちらにとっても不利である。
一方、VTRやデジタルスチルカメラ(DSC)などは、より高解像度を求めて研究が盛んに行われているが、これらにはCCD配列と撮影シーンの周波数の関係でモアレ縞を生じ、撮像に縞模様が現れる場合がある。この現象を防ぐためにローパスフィルタが用いられるが、これら撮像機器のプラスチックレンズにPC(ポリカーボネート)を用いる場合が多く、レンズ自体の光学異方性が大きいため1枚のローパスフィルタでは縞模様を解消できず、2枚以上で対応せざるを得ないという問題点が挙げられる。
ローパスフィルタは水晶を用いるため高価であり、これではコスト高となるという問題点がある。上記問題を解決するため光学異方性が小さく、且つ、屈折率が大きい素材としては、フルオレン骨格を含む樹脂または光学用レンズがあげられる(特許文献4〜9参照。)。
しかしながら、光学性能の要求が厳しく、作製も難しい高密度高速記録用、あるいは撮像用などの高性能光学用レンズに適用した例はない。また、近年、これらの高性能レンズは小型軽量化の流れからどんどん小さくなっている。
上記のような高性能光学用レンズを、成型法等を用いて樹脂を加工する場合、前記樹脂の注入部は圧力が集中するので、ひずみが起きやすく、特に小さいレンズを作る場合、面積の割合からそのひずみが光学面に影響を及ぼしやすく、その結果、内部応力が発生し、光学異方性を生じやすいという問題点がある。また、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下での温度が上がれば、レンズ中の白濁発生という問題点が顕著に現れるが、解決手段は提案されていないのが現状である。
特開平11−142645号公報 特開2002−105131号公報 特開2002−148401号公報 特開平7−198901号公報 特開平8−109249号公報 特開平9−302077号公報 特開平8−160222号公報 特開平5−215902号公報 特開平6−287230号公報
本発明の目的は、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学樹脂レンズを提供することである。
上述した課題を解決するために、本発明に係る光学樹脂レンズは、50重量%以上99重量%未満のシクロオレフィン系樹脂、前記シクロオレフィン系樹脂に対して相溶性を有し、芳香族ビニル化合物残基を含む熱可塑性エラストマーを1%重量以上50%重量未満で含む樹脂組成物であり、それから作成されるフィルムのヘイズが30%未満であることを特徴としている。
また、前記シクロオレフィン系樹脂が、2成分以上のモノマーの重合により合成された共重合体であることが好ましい。
また、前記熱可塑性エラストマーに芳香族ビニル化合物残基が20重量%以上含まれることが好ましい。
また、前記シクロオレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)が、80℃以上であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物が、可塑剤または酸化防止剤を含有することが好ましい。
また、光学樹脂レンズは、350nmにおける光透過率が、600nmにおける光透過率の80%以上であることが好ましい。
本発明によれば、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない、高耐久性を示す光学樹脂レンズを提供することができるようになる。
以下、本発明を詳細に説明する。
概して高分子物性には、緩和現象に伴う変化が観察される。成型時の歪みが原因で、経時により高分子が緩和した結果、成型体の形状が設計した寸法から誤差を生じることはよく知られている。そのため光学樹脂レンズの成型では、成型体に歪を残さないよう注意が払われる。また、成型体の物性は、成型条件により変化し、例えば密度に関しても10%前後変化するが、成型体の密度とレンズ性能に関しては不明の点が多い。このような成型体の歪と成型体の特徴を鋭意検討した結果、詳細な理由は不明であるが、オレフィン系樹脂と芳香族環を含む熱可塑性エラストマーとを混合して使用することにより、光学樹脂レンズの耐久性が著しく向上することを本発明者等が見出して、本発明を完成するに至った。
本発明で用いられる樹脂組成物を構成する組み合わせとして、光学樹脂レンズとして用いる波長領域でヘイズ(JIS K 7105準拠)が30%以上に達するものは好ましくなく、樹脂組成物から作成した50×50mmのフィルムで測定したヘイズが、30%未満、好ましくは20%未満0%以上、さらに好ましくは10%未満0%以上を示す組成物が選択される。
また、樹脂組成物を構成するために組み合わせる高分子の指標としてSP値が知られているが、本発明で用いられる樹脂組成物では、配合設計をする時にあって、このSP値に制限されない。先に述べたヘイズの条件を満たす樹脂組成物であれば何でも良い。但しヘイズがこの条件を満たしても特許第3189364号公報に記載されたドメインを形成する組み合わせは、耐久性試験を実施したときにヘイズ値を悪化させる原因となるために好ましくなく、組み合わせる高分子を混合したときに光学特性に影響を与える明確なドメインを形成しない相溶系となっていることが好ましい。
本発明の光学樹脂レンズに用いられる樹脂組成物に50重量%以上含まれるシクロオレフィン系樹脂としては、光学樹脂レンズへの適用が可能な材料であれば、特に限定されないが、光学的耐久性向上の観点から、また、射出成型時の金型への転写性が良好で、目標とする光学性能を容易に得ることができ、最小肉厚を小さくすることが可能であることから、日本ゼオン製「ZEONEX」、三井石油化学工業製「APEL」等の非晶質ポリオレフィン系、日本合成ゴム製「ARTON」等のノルボルネン系の樹脂が好ましい。
本発明の光学樹脂レンズの耐久性向上(耐久性試験条件の詳細は実施例に記載)の観点から、樹脂組成物が示すガラス転移点(Tg)は80℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは100℃以上350℃未満である。また、この樹脂組成物は混合物なので、Tgが複数表れることがある。このとき、50重量%以上を占める高分子のTgがこの範囲であればよいが、観測されるすべてのTgが、この範囲であることが好ましい。
ここで、樹脂組成物のガラス転移点(Tg)とは示差走査熱量法(DSC:Differential Scanning Colorimetry)を用いてJIS K 7121に規定の方法に従い求められた値である。
また、光学樹脂レンズの耐熱性を考慮すると樹脂組成物に、Tgが80℃以上であるオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
このときシクロオレフィン系樹脂は、1成分のモノマーから合成された高分子でもよいが、好適には2成分以上のモノマーを用いて合成された共重合体が選ばれる。この共重合体については、100成分以上のモノマーを用いて製造しても良いが生産効率重合安定性からモノマーの混合は10成分以下が好ましく、さらに好ましいのは5成分以下である。
また、得られたシクロオレフィン系樹脂は、結晶性高分子でも非晶性高分子でもかまわないが、好ましくは非晶性高分子が良い。
前記樹脂組成物に50重量%未満で含まれる熱可塑性エラストマーは少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを含有するブロック共重合体のジエン化合物に基づく二重結合を水素添加してなる熱可塑性エラストマーである。
重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、モノクロルスチレン、モノフルオロスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができる。そのうちでも、重合体ブロックAはスチレンを主体としていることが好適である。重合体ブロックAは、本発明の目的及び効果の妨げにならない限りは、場合により、芳香族ビニル化合物以外のビニル性不飽和化合物に由来する構造単位の1種以上を重合体ブロックAの10質量%以下含まれていても良い。
また、重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。重合体ブロックBはこれらの共役ジエン化合物の1種以上から形成することができる。そのうちでも、重合体ブロックBは1,3−ブタジエン、イソプレン、あるいは1,3−ブタジエンおよびイソプレンの両方から形成されていることが好適である。
重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の結合形態は特に制限されない。例えば、1,3−ブタジエンの場合は、1,2−結合、または1,4−結合をとることができ、イソプレンの場合には1,2−結合、1,4−結合、または3,4−結合をとることができ、そのいずれでも良い。
重合体ブロックBが2種類以上のジエン化合物から形成されている場合にはそれらの結合形態は、完全、交互、ランダム、テーパー、ブロック状またはそれら2種以上の組み合わせからなることも出来る。
また、耐熱性の観点から重合体ブロックBでは、共役ジエン化合物に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加されていることが必要である。水素化率は耐熱性や耐候性の観点から、共役ジエン化合物に基づく二重結合の80モル%以上が水添されていることが好ましく、90モル%以上水添されていることが好適である。
また、重合体ブロックBは、本発明の目的及び効果の妨げにならない限りは、場合により、芳香族ビニル化合物以外の不飽和単量体に由来する構造単位の1種以上が重合体ブロックB中30質量%以下の割合で含まれていても良い。
本発明で使用する熱可塑性エラストマーは少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを含有するブロック共重合体を水素添加してなる熱可塑性エラストマーであるかぎりは、その重合体ブロックの結合様式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらのうちの二つ以上の組み合わさった結合様式のいずれでもよいが、直鎖状に結合したものが好適である。例としては重合ブロック体Aと重合ブロック体BがA−B−Aのトリブロック共重合体の水添物が好適であるが、本発明の熱可塑性エラストマーはこの結合様式に限定されるものではない。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーの分子量は数平均分子量が1万から100万であることが好ましい。さらに、加工性の点から2万から50万が好ましい。なお、本明細書でいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
また、熱可塑性エラストマー中の芳香族ビニル化合物残基の含有量は(シクロ)オレフィンポリマーとの相溶性や樹脂組成物のヘイズの観点から20重量%以上であることが好ましく、25重量%以上で90重量%以下であることがより好ましく、30重量%以上で85重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いる熱可塑性エラストマーの製法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば「熱可塑性エラストマー」(小松公栄著、日刊工業新聞社)にはポリスチレン系熱可塑性エラストマーとして水添前のブロック共重合体の製造法、あるいは水添ブロック共重合体の製造法が示されている。
一般的な製造法として、n−ヘキサンやシクロヘキサンのような不活性溶媒中で芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物をアルキルリチウム触媒により、いわゆるリビングアニオン重合で行われる。例えば、最初に芳香族ビニル化合物をアルキルリチウムにより重合し、続いて共役ジエン化合物を重合し、最後にもう一度芳香族ビニル化合物を重合させればA−B−Aトリブロック共重合体を得ることができる。
熱可塑性エラストマー中の共役ジエン化合物に基づく二重結合は炭化水素溶媒中で公知の水添触媒を用いて水添することができる。公知の水添触媒の例としてはラネーニッケル、あるいは白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなど貴金属やニッケルなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などに担持させたもの、遷移金属とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等との組み合わせからなるチーグラー系の触媒が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物の調製時や樹脂組成物の成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。添加剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明に記載の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
(酸化防止剤)
本発明で用いられる樹脂組成物に含むことのできる酸化防止剤について説明する。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
(耐光安定剤)
本発明で用いられる樹脂組成物に含むことのできる耐光安定剤について説明する。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSと記す)の中でも、THFを溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量Mnが1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSをブロック共重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
このようなHALSの具体例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−〔4,6−ビス−{ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS等が挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
本発明に係る樹脂に対する上記配合量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、樹脂への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
また、本発明に係る樹脂組成物に、さらに最も低いガラス転移点が30℃以下である化合物を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
すなわち本発明においては、本発明の樹脂組成物と、(1)軟質重合体、(2)アルコール性化合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種類の配合剤を含んでなる樹脂組成物が提供される。これらの配合剤を配合することにより、透明性、低吸水性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
これらの中でも、(1)軟質重合体、及び(2)アルコール性化合物が、高温高湿度環境下における白濁防止効果、得られる樹脂組成物の透明性に優れる。
(1)軟質重合体
本発明に用いる軟質重合体は、通常30℃以下のTgを有する重合体であり、Tgが複数存在する場合には、少なくとも最も低いTgが30℃以下であることが好ましい。
これらの軟質重合体の具体例としては、例えば、
液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;
ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;
ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体;
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、などのケイ素含有軟質重合体;
ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体などのα,β−不飽和酸からなる軟質重合体;
ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などの不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールからなる軟質重合体;
エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴム、などのエポキシ系軟質軟質重合体;
フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、などのフッ素系軟質重合体;
天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体;等が挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
上記軟質重合体の中でもジエン系軟質重合体が好ましく、特に該軟質重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械強度、柔軟性、分散性の点で優れる。
(2)アルコール性化合物
また、アルコール性化合物は、分子内に少なくとも1つの非フェノール性水酸基を有する化合物で、好適には、少なくても1つの水酸基と少なくとも1つのエーテル結合またはエステル結合を有する。このような化合物の具体例としては、例えば2価以上の多価アルコール、より好ましくは3価以上の多価アルコール、さらに好ましくは3〜8個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基の1つがエーテル化またはエステル化されたアルコール性エーテル化合物やアルコール性エステル化合物が挙げられる。
2価以上の多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビトール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサンペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、特に3価以上の多価アルコール、さらには3〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。またアルコール性エステル化合物を得る場合には、α、β−ジオールを含むアルコール性エステル化合物が合成可能なグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどが好ましい。
このようなアルコール性化合物として、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリ
トールトリステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートなどの多価アルコール性エステル化物;3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、1,6−ジヒドロオキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキシ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるアルコール性エーテル化合物、p−オクチルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるアルコール性エーテル化合物、p−オクチルフェニルエーテルとジシクロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得られるアルコール性エーテル化合物などが挙げられる。これらの多価アルコール性化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。これらの多価アルコール性化合物の分子量は特に限定されないが、通常500〜2000、好ましくは800〜1500のものが、透明性の低下も少ない。
(1)〜(2)の化合物の配合量は脂環式炭化水素系共重合体と配合される化合物の組み合わせによって決まるが、一般に、配合量が多すぎれば、組成物のガラス転移点や透明性が大きく低下し、光学材料として使用するのに不適である。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下において成型物の白濁を生じる場合がある。配合量としては、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.02〜5質量部、特に好ましくは0.05〜2質量部の割合で配合する。配合量が少なすぎる場合には高温高湿度環境下における白濁防止効果が得られず、配合量が多すぎる場合は成型品の耐熱性、透明性が低下する。
(その他の配合剤)
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて、その他の配合剤として、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などを配合することができ、これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
(樹脂組成物の調製方法)
本発明に係る樹脂組成物の調製方法について説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、成型する工程(成型プロセス)の前に特定の加工処理をすることが好ましく、加工処理の段階で通常樹脂に添加される可塑剤、酸化防止剤、その他の添加剤を加えても良い。
本発明に係る樹脂組成物の調製方法としては、原料としてのシクロオレフィン系樹脂50重量%以上99重量%未満、好ましくは70重量%以上99重量%未満と熱可塑性エラストマー1重量%以上50重量%未満、好ましくは1重量%以上30重量%未満とを混練する混練プロセス、またはシクロオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとからなる混合物を溶媒に溶解、溶媒除去、乾燥を経て組成物を得るプロセス等が好ましい調製方法として挙げられ、特に好ましくは混練プロセスである。また、混練プロセスにおいて、通常の樹脂の配合に用いる装置を用いることができる。例えば、ロール、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダなどを用いることができるが、好ましくは、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダ等が挙げられる。
また、樹脂の酸化を防ぐ目的で、密閉系で混練り可能な装置が好適に使用され、さらに好ましくは、窒素やアルゴンなどの不活性ガス化で混練プロセスを行うことが望ましい。
(光学樹脂レンズの作製方法)
本発明の光学樹脂レンズの作製方法について説明する。
本発明の光学樹脂レンズは、まず、樹脂組成物(樹脂単独の場合もあれば、樹脂と添加剤との混合物の場合もある)を調製し、次いで、得られた樹脂組成物を成型する工程を含む。
本発明に係る樹脂組成物の成型方法について説明する。
本発明に係る樹脂組成物の成型物は、前記樹脂組成物からなる成型材料を成型して得られる。成型方法としては、格別な制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成型物を得る為には溶融成型が好ましい。溶融成型法としては、例えば、市販のプレス成型、市販の押し出し成型、市販の射出成型等が挙げられるが、射出成型が成型性、生産性の観点から好ましい。
成型条件は使用目的、または成型方法により適宜選択されるが、例えば射出成型における樹脂組成物(樹脂単独の場合または樹脂と添加物との混合物の両方がある)の温度は、成型時に適度な流動性を樹脂に付与して成型品のヒケやひずみを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成型物の黄変を効果的に防止する観点から150℃〜400℃の範囲が好ましく、更に好ましくは200℃〜350℃の範囲であり、特に好ましくは200℃〜330℃の範囲である。
本発明に係る成型物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、本発明の光学用樹脂レンズとして用いられるが、その他の光学部品としても好適である。
(光学用樹脂レンズ)
本発明の光学用樹脂レンズは、上記の作製方法により得られるが、光学部品への具体的な適用例としては、以下のようである。
例えば、光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。
光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
これらの中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズやレーザ走査系レンズとして好適であり、ピックアップレンズに最も好適に用いられる。
特に、ピックアップレンズに適用する場合にあっては、光学樹脂レンズは、350nmにおける光透過率が、600nmにおける光透過率の80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明の光学樹脂レンズの用途の一例として、光ディスク用のピックアップ装置に用いる対物レンズとして用いられる例について、図1を用いて説明する。
光ピックアップ装置1は、高密度記録が実現された光ディスクに適用可能な構成とされており、390nm〜420nmの範囲内、特に405nmの波長の青紫色レーザ光を出射する半導体レーザ11を備えている。
半導体レーザ2から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ8にて平行光に変換され、続いて偏光ビームスプリッタ3にてP成分のみが透過されて直線偏光(P偏光)に変換され、1/4波長板9にて右回りの1/4波長分の円偏光を受けて、本発明の光学樹脂レンズが適用された対物光学素子(または対物レンズ)4に入射して、光ディスク5の保護基板5aを透過して情報記録面5b上で合焦するようになっている。
また、光ディスク5からの戻り光は、対物レンズ4を透過して、1/4波長板9にて左回りの1/4波長分の円偏光を受けて、S成分のみの直線偏光(S偏光)に変換され、偏光ビームスプリッタ3にて、入射光の光軸より90度の方向に全反射されて、センサレンズ6を通って、センサ7上で合焦するようになっている。
また、情報記録面5bでの光束径は絞り10にて調整されるとともに、対物レンズ4からのレーザ光のフォーカシングやトラッキングはアクチュエータ11によって行われるようになっている。
このようにして、センサ7にて読み取られた情報は、光電変換されて、再生処理に利用されるようになっている。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
まず、芳香族ビニル化合物残基を含む熱可塑性エラストマーの合成例を示す。例えば特開2003−138073号公報に記載の合成法に準じ、乾燥した窒素で置換した耐圧反応器中に、溶媒としてシクロヘキサン、重合触媒としてs−ブチルリチウム、共触媒であるルイス塩基としてテトラヒドロフランを用い、スチレンモノマー、イソプレンモノマー、スチレンモノマーの順に添加し重合した後、Pd/C触媒を用いて水素圧20Kgで水素化することにより表1に示すA−B−Aの構造を有する水添ブロック共重合体(1:以下WB1)、(2:以下WB2)を得た。共重合体WB1,WB2のスチレン含有量、数平均分子量、および水素添加率はそれぞれ以下の方法により求めた。
1.水添ブロック共重合体のスチレン含有量スチレン含有量は、重合に使用した各モノマー成分の質量から算出した。
2.水添ブロック共重合体の数平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算の数平均分子量から求めた。
3.水添ブロック共重合体の水素添加率は水素添加前後におけるブロック共重合体のヨウ素価から算出した。
Figure 2005202056
実施例1
(光学樹脂レンズ1の作製)
2成分のモノマーの共重合体であるシクロオレフィン系樹脂として199.5gのアペル5014DP(三井化学(株)製:Tg:135℃)と10.5gの共重合体WB1をポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練を行った。前記と同一条件で10バッチ混練を行った材料を作製し、粉砕した。
粉砕された材料についてポリラボシステムにてフィルムを作成した。このフィルムのヘイズは0.5%であった。また、インライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaの条件下で射出成型を行い直径1cmのレンズを作製した。このレンズの350nmにおける光透過率を求めたところ80%であり、これは600nmにおける光透過率の89%であった。
(密度測定及びレンズ1つ当たりの平均体積の算出)
サンプル評価用に10個取り出し、レンズの密度をアルキメデス法(得られる比重を密度に換算する)により求めたところ、1.052であった。
得られたレンズ1つ当たりの平均質量は、0.296gであり、レンズ一つ当たりの平均体積は0.281cm3と求められた。結果を以下に示す。
レンズの密度 :1.052
レンズの平均質量:0.296g
レンズの平均体積:0.281cm3
実施例2
(光学樹脂レンズ2の作製)
光学樹脂レンズ1の作製において、179gのアペル5014DP(三井化学(株)製:Tg:135℃)と31gの共重合体WB1をポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練り後、同様にして、フィルムと直径1cmのレンズとの作製を行った。
フィルムのヘイズは0.8%であった。また、このレンズの350nmにおける光透過率は、600nmにおける光透過率の85%であった。
(密度測定及びレンズ1つ当たりの平均体積の算出)
光学樹脂レンズ1と同様にして密度測定を行い、レンズ1つ当たりの平均体積を求めた。
レンズの密度 :1.054
レンズの平均質量:0.298g
レンズの平均体積:0.283cm3
実施例3
(光学樹脂レンズ3の作製)
光学樹脂レンズ1の作製において、205gのアートンF50(JSR社製:Tg:162℃)に5gの共重合体WB2をポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間での混練操作を行い同様にして、フィルムと直径1cmのレンズとの作製を行った。
実施例4
(光学樹脂レンズ4の作製)
実施例1において、酸化防止剤IRGANOX1010(チバスペシャリティケミカルス製)0.5gを共重合体WB1とともに添加した他は、実施例1と同様にしてフィルムとレンズとを作成した。このとき、フィルムのヘイズは0.6%であった。また、このレンズの350nmにおける光透過率は、実施例1と同様の結果となった。
比較例1
(光学樹脂レンズ5の作製)
三井化学アペル5014DP(Tg:135℃)210gについて、インライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaの条件下で射出成型を行い直徑1cmのレンズを作製した。
比較例2
(光学樹脂レンズ6の作製)
三菱レイヨン株式会社製アクリペット001MFについてインライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度80℃、射出圧力69.0MPaの条件下で射出成型を行い直徑1cmのレンズを作製した。
レンズの耐久性評価
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。
実施例1〜4で作製した光学樹脂レンズ1〜4、比較例1〜2で作製した光学樹脂レンズ5〜6の各々を図1に示すような光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWの青色レーザ光(波長405nm)を500時間連続照射、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察した。
得られた結果を以下の表2に示す。
Figure 2005202056
上記から、比較例1〜2の光学樹脂レンズ5〜6に比べて、実施例1〜4の光学樹脂レンズ1〜4は優れた耐久性を示すことが明らかである。
本発明の光学樹脂レンズが対物レンズとして用いられている光ディスク用のピックアップ装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 半導体レーザ
3 偏光ビームスプリッタ
4 対物レンズ
5 光ディスク
5a 保護基板
5b 情報記録面
6 センサレンズ
7 センサ
8 コリメータレンズ
9 1/4波長板
10 絞り
11 アクチュエータ

Claims (6)

  1. 50重量%以上99重量%未満のシクロオレフィン系樹脂、前記シクロオレフィン系樹脂に対して相溶性を有し、芳香族ビニル化合物残基を含む熱可塑性エラストマーを1%重量以上50%重量未満で含む樹脂組成物であり、それから作成されるフィルムのヘイズが30%未満であることを特徴とする光学樹脂レンズ。
  2. 前記シクロオレフィン系樹脂が、2成分以上のモノマーの重合により合成された共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の光学樹脂レンズ。
  3. 前記熱可塑性エラストマーに芳香族ビニル化合物残基が20重量%以上含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の光学樹脂レンズ。
  4. 前記シクロオレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)が、80℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学樹脂レンズ。
  5. 前記樹脂組成物が、可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学樹脂レンズ。
  6. 350nmにおける光透過率が、600nmにおける光透過率の80%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学樹脂レンズ。
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