JP2005234175A - 光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法 - Google Patents

光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、透明性、低複屈折性、機械的強度に優れ、酸素雰囲気下長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法を提供することである。
【解決手段】 光学用樹脂レンズであって、3級炭素の割合が50質量%未満である樹脂組成物を、100℃以上の温度で成形することで成型物を得る工程、及び前記成型物に対してさらに熱処理を施す工程、とを経て得られることを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【選択図】 なし

Description

本発明は光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法に関する。
光学的に透明なプラスチックはその軽量性、量産性の高さから光学製品に広く用いられている。カメラ、フィルム一体型カメラ(レンズ付きフィルム)、ビデオカメラ等の各種カメラ、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD−Video、MO、DVD等の光ピックアップ装置、複写機及びプリンター等のOA機器といった各種機器等に使用される高性能光学用レンズには、これまでポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロポリオレフィン(CO)等の透明熱可塑性樹脂を用いて射出成型されたプラスチックレンズ等が使用されており、その光学系の一部または全部に使用されてきた。
例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)は光学異方性が小さく、よく利用されている樹脂であるが、屈折率が1.49と小さく、また、吸湿性が大きい、湿度変化による膨縮が大きい、耐熱性が比較的低い等の問題点があった。
この様な欠点を改善することを目的にメチルメタクリレートの側鎖に嵩高く、疎水性の置換基を有するメタクリレートモノマーを共重合する等の方法が数多く報告されているが、長時間レーザ光を照射した条件下で高精度や高安定性を求められるプラスチックレンズに使用するには、耐熱性の問題が残されていた。
また、従来公知のPC(ポリカーボネート)は、屈折率が1.59と比較的大きく、吸湿性は比較的小さいという特性を有し、レンズ、光ディスク等に用いられているが、一方では、溶融粘度が高く、成型時に歪が残り易い。またベンゼン環が分子配向を起こし易く、成型時に光学異方性が生じ易いという問題点があった。
この問題点を解決する為に、分子量を小さくして溶融粘度を低下させて成型性を向上させたり、分子配向を軽減させる目的で、側鎖にベンゼン環をもつポリスチレンを有するブロック共重合としたり、側鎖にベンゼン環を有するモノマーを用いる等の方法が開示されている。
しかし、成型樹脂の強度低下や相分離の為に、光学的な不均一性が生じ易かったり、流動性が改善されにくい等から、必ずしも満足し得るものではなく、耐熱性が比較的高い樹脂であるが、成型体が複屈折を生じやすいので、高精度が要求されるプラスチックレンズには用いられていないのが現状である。
また、骨格全体もしくはその一部に環状構造を有するシクロポリオレフィンは青色透過性をもち、またPC(ポリカーボネート)と比較して光学異方性は小さいが、高性能プラスチックレンズとして用いるには必ずしも満足できるものではなく、その改良が鋭意検討されている。
例えば、低複屈折、高耐熱性、高耐湿性を有するシクロポリオレフィン系重合体(例えば、特許文献1参照)や、シクロポリオレフィン系重合体を水素添加処理することにより、色相改善を目的として開発されたポリマー(例えば、特許文献2参照)、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体の芳香環部分を含む不飽和結合を水素化した特定構造の共重合体であって、透明性、低複屈折性、機械的強度に優れ、大型で薄型のレンズの作製を可能にした樹脂(例えば、特許文献3参照)など、材料面での改良がなされてきたが、PMMAよりも耐熱性の高い材料を使用しても、長時間レーザ光を照射することにより、物性が損なわれるといった問題は依然未解決のまま残されていた。
近年CD−R、DVDやMOなどの光を使った高密度高速記録方式が盛んに研究され、実用化されている中で、光学系に求められる基準はさらに厳しくなっている。高速にディスクが回転する場合、光学性能は、データ書込及び読み出し精度に大きく響いてくる。高密度を求める場合にも、光学系の集光力とその安定性が記録密度に直接影響する。また、光学異方性が大きいと、焦点が1点に定まらず、高密度、高速どちらにとっても不利である。
一方、VTRやデジタルスチルカメラ(DSC)などは、より高解像度を求めて研究が盛んに行われているが、これらにはCCD配列と撮影シーンの周波数の関係でモアレ縞を生じ、撮像に縞模様が現れる場合がある。この現象を防ぐためにローパスフィルタが用いられるが、これら撮像機器のプラスチックレンズにPC(ポリカーボネート)を用いる場合が多く、レンズ自体の光学異方性が大きいため1枚のローパスフィルタでは縞模様を解消できず、2枚以上で対応せざるを得ないという問題点が挙げられる。
ローパスフィルタは水晶を用いるため高価であるため、これではコスト高となるという問題点がある。上記問題を解決するため光学異方性が小さく、且つ、屈折率が大きい素材としては、フルオレン骨格を含む樹脂または光学用レンズがあげられる(例えば、特許文献4〜9参照)。
しかしながら、光学性能の要求が厳しく、作製も難しい高密度高速記録用、あるいは撮像用などの高性能光学用レンズに適用した例はない。また、近年、これらの高性能レンズは小型軽量化の流れからどんどん小さくなっている。
上記のような高性能光学用レンズを、成型法等を用いて樹脂を加工する場合、前記樹脂の注入部は圧力が集中するので、ひずみが起きやすく、特に小さいレンズを作る場合、面積の割合からそのひずみが光学面に影響を及ぼしやすく、その結果、内部応力が発生し、光学異方性(複屈折)を生じやすいという問題点がある。また、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下での温度が上がれば、レンズ中の白濁発生という問題点が顕著に現れるが、解決手段は提案されていないのが現状である。
特開平5−230148号公報 特開2002−105131号公報 特開2002−148401号公報 特開平7−198901号公報 特開平8−109249号公報 特開平9−302077号公報 特開平8−160222号公報 特開平5−215902号公報 特開平6−287230号公報
本発明の目的は、透明性、低複屈折性、機械的強度に優れ、酸素雰囲気下長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成1〜8によって達成された。
(請求項1)
光学用樹脂レンズであって、3級炭素の割合が50質量%未満である樹脂組成物を、100℃以上の温度で成形することで成型物を得る工程、及び前記成型物に対してさらに熱処理を施す工程、とを経て得られることを特徴とする光学用樹脂レンズ。
(請求項2)
前記樹脂組成物がTg(ガラス転移温度)80℃以上のオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学用樹脂レンズ。
(請求項3)
前記成型物が、可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学用樹脂レンズ。
(請求項4)
前記成型物に対して熱処理を施す工程が、前記成型物を前記樹脂組成物のTg−70℃未満の温度に冷却する工程、及び前記冷却された成型物に対して前記樹脂組成物のTg/2以上、Tg以下の温度で1時間以上200時間未満の熱処理を施す工程、を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
(請求項5)
光学用樹脂レンズの製造方法であって、3級炭素の割合が50質量%未満である樹脂組成物を100℃以上の温度で成形することで成型物を得る工程、及び前記成型物に対してさらに熱処理を施す工程、とを有することを特徴とする光学用樹脂レンズの製造方法。
(請求項6)
前記樹脂組成物が、Tg80℃以上のオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の光学用樹脂レンズの製造方法。
(請求項7)
前記成型物が、可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の光学用樹脂レンズの製造方法。
(請求項8)
前記成型物に対して熱処理を施す工程が、前記成型物を、前記樹脂組成物のTg−70℃未満の温度に冷却する工程、及び前記冷却された成型物に対して、前記樹脂組成物のTg/2以上、Tg以下の温度で、1時間以上、200時間未満の熱処理を施す工程、を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学用樹脂レンズの製造方法。
本発明により、光学特性、機械的強度に優れ前記長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法を得ることができた。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
有機物である樹脂は骨格を主に構成する炭素原子に水素もしくは水素以外の炭素原子を含む原子が結合して組み立てられている。このときある炭素原子に水素が三つついていれば1級炭素、2つついていれば2級炭素、1つついている場合は3級炭素と呼ばれる。
一方、これまで光学樹脂レンズ用材料については数多くの材料が検討され、透明性や成形性の観点からポリオレフィン系材料が主流になりつつある。ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系材料を光学樹脂レンズに用いる時の問題点としては、耐熱性があり、これまで樹脂のTg(ガラス転移温度)を高める検討がなされてきた。樹脂のTgを高める方法としては側鎖基を嵩高くし、主鎖の分子運動性を下げ耐熱性をあげる方法が一般に行われる。例えば特開2001−26718では、嵩高い脂環式構造を有する環状オレフィンモノマーとα−オレフィンの共重合を行い、耐熱性の高い樹脂を得ることに成功し、光学樹脂レンズに利用可能であることが述べられている。従来の光学用レンズとして用いた場合には、このような方法で特に問題の発生は認められていなかった。特開2003−270401では短波長レーザにも用いることが可能な材料として、ある積算光量照射後の光線透過率が照射前後で変化していない組成物を提案しているが、樹脂については側鎖基が脂環式構造を有していることとその含有量が重要であることを述べている。
これまでオレフィン系光学用樹脂レンズ材料においては、耐熱性を高めるために嵩高い脂環式構造を導入することが行われてきたため、その結果光学用樹脂レンズには3級炭素が多く含まれるようになってきた。
しかしながら、このような樹脂を用いたレンズを短波長レーザ、例えば、405nmのブルーレーザ光等の短波長の光を長時間透過させたときに、レンズに白濁が発生するという問題が見いだされた。これらの3級炭素の影響については、これまで十分な検討がなされてこなかったが、発明者らはこのような問題が樹脂材料中において3級炭素の影響であることを発見し、その回避方法を鋭意検討した結果、3級炭素の影響を見出す方法ならびに3級炭素が樹脂に含まれていると光学樹脂レンズの耐久性に問題が生じる量を見極め、3級炭素が含まれていても問題を回避できる製造条件を見出し、本発明に至った。すなわちポリオレフィン系材料を用いた光学樹脂レンズにおいては、樹脂を構成する3級炭素の量が多いと樹脂の安定性、特に耐酸化性が劣り樹脂を加工する過程で酸化されてヒビワレ、白濁など成型体の問題あるいは耐久性や変形など使用時の問題を引き起こしたりすることがあることを発見し、これらの問題を低減できる3級炭素の量を50質量%以下であることを見出した。さらに40質量%以下であることが好ましく、30質量%未満であることが好ましく、3級炭素が全く含まれていないことが最も好ましい。
しかしながら、単に3級炭素の量を減らしただけでは、上述の短波長の光を長時間照射した場合に発生する白濁の発生という問題については、充分に解決することはできず、更なる製造条件の工夫が必要であった。この問題については、上述の3級炭素量を満たす樹脂組成物を、樹脂の熱劣化が始まる100℃以上の温度で成型し、成型後に熱処理を行うことにより解決できることが分かった。成型後の熱処理方法については特に制限をしないが、樹脂のTgを基準に熱処理方法を述べれば、Tg以上では短時間に処理を終えることができるが、Tg以下では30分以上の熱処理が必要である。本発明では熱処理温度については、Tg以上でもTg以下でもその温度について特に制限をしないが、好ましくは大量に処理した時に管理しやすいTg以下が選ばれる。熱処理の温度として好ましくはTg以下で1時間以上の熱処理が、さらにはTg/2以上Tg以下の温度が好ましい。より好ましい条件を詳しく述べれば、成型物をTg−70℃未満に冷却する工程、及び、該成型物をTg/2以上Tg以下の温度で1時間以上200時間未満で熱処理する工程、となる。このような熱処理を加えることにより上述の問題を更に低減することができる。
樹脂組成物に含まれる三級炭素の割合は、樹脂組成物に含まれる炭素原子の量だけを使用して次のように計算される。
樹脂組成物に含まれる各成分X,Y・・の一分子を構成する全炭素量(モル)をそれぞれCtX、CtY・・、その分子に含まれる三級炭素の量(モル)をそれぞれ、C3X、C3Y・・とし、各成分X、Y・・における三級炭素の割合(%)、R3X=(100×C3X)/CtX、R3Y=(100×C3Y)/CtY・・を求める。各成分X、Y、・・の樹脂組成物における組成比(質量%)をそれぞれrX%、rY%、・・とした時、各成分X、Y・・について、rX・R3X/100、rY・R3Y/100、・・の値を求め、樹脂組成物を構成する全ての成分に関するこの値の総和を樹脂組成物に含まれる三級炭素の割合とする。例えば成分A、成分B、成分Cで構成される樹脂組成物については、次のように計算される。
成分名: 成分A 成分B 成分C
全炭素の量(モル): 10 15 8
三級炭素の量(モル): 2 0 2
三級炭素の割合(%): 20 0 25
組成比(%): 90 9 1
樹脂組成物に含まれる三級炭素の割合:
90×20/100+9×0/100+1×25/100=20.5(%)
本発明の樹脂組成物に用いる高分子は、必ずその単量体であるモノマーが存在し、少なくとも1工程のモノマーを重合する工程を経ることで高分子が製造されるものとする。この前提において、高分子は素材であるモノマーの組み合わせと、重合工程その他の工程を含む高分子の製造条件の組み合わせで、異なる材料ができる。
素材であるモノマーの仕込み量比率が同一でも、製造条件が異なると材料物性が異なることは公知である。従って、本発明では、素材であるモノマーから高分子が製造される過程が異なって入れば、材料物性が異なる高分子が得られる。すなわち、素材であるモノマーから高分子が製造される過程が異なっていれば、同一のモノマーから合成された場合であっても異なった成分が得られる。従って、この高分子(成分)の素材であるモノマーから高分子が製造される製造過程の少なくとも一部が異なっている高分子が2種類混合された場合には、2成分の樹脂組成物となる。すなわち樹脂組成物の成分を区別するのは、高分子の合成時に使用する原料(モノマー)の種類だけではなく、樹脂組成物を製造する直前までの高分子(成分)の製造過程の差異も含む。原料と製造過程が同一な場合には同一の高分子として扱うことができる。
このような前提で、同一の高分子で分子量分布が存在する場合には、分子量の異なる高分子をそれぞれ区別せず同一の高分子として扱い、原料であるモノマーの構造から三級炭素の割合を計算できる。例えば、エチレンとスチレンとの共重合比(モル比)が1:1の高分子を水素添加して二重結合が0%の高分子を合成した場合を説明する。重合後水素添加処理した時に三級炭素を生成する炭素はスチレンに2モル含まれる。全炭素量は、エチレンに2モル、スチレンに8モルだから10モルとなる。エチレンとスチレンの重合比はモル比で1:1だが、質量比は1:4.07なので、0.803×2×100/8=20.1。ゆえにこの化合物に含まれる三級炭素の割合は、20.1(約20)%と計算される。複雑なモノマーの組み合わせもすべてこの例のように、合成高分子に仮定される繰り返し単位の炭素割合から3級炭素の割合を計算することが可能である。
もし合成された高分子について、13C−NMRなどの分析手段で構造解析できるならば、合成後の高分子の分析データから3級炭素の割合を計算しても良い。またこの方法を拡張すれば組成物からも3級炭素の割合を計算可能である。本発明では3級炭素の見積もりにいかなる方法を用いるかは特に制限しない。大切なことは、組成物に含まれる3級炭素が成型物になっても存在し、その量がレンズの性質を左右していることである。
これら3級炭素の少ないポリマーは酸化雰囲気下での安定性に優れているため、レーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化せず高耐久性を示す。
上記の本発明の光学用樹脂レンズに係る樹脂について説明する。
本発明の光学用樹脂レンズに係る樹脂(樹脂材料、プラスチック材料ともいう)としては、前記の3級炭素比率を有する樹脂であって、光学用樹脂レンズへの適用が可能な材料であれば、特に限定されないが、好ましくは、オレフィン化合物の重合により形成されるオレフィン系樹脂であり、オレフィン系樹脂とは、α−オレフィン系樹脂、また、ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂、また、α−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体を水素添加処理して得られる環状オレフィン系樹脂、さらにオレフィンとスチレン等の芳香族オレフィンとの共重合体を水素添加処理して得られるオレフィン系樹脂等を含むものである。例えば、具体的には、日本ゼオン製「ZEONEX」、三井石油化学工業製「APEL」等の非晶質ポリオレフィン系、日本合成ゴム製「ARTON」等のノルボルネン系の種々の樹脂材料のうち、前記3級炭素の割合が前記の値を満たすものを選択できる。
本発明に於いては、光学特性、機械的強度に優れ、光学特性の劣化がない高耐久性の光学樹脂用レンズをうるには、これらのポリオレフィン系樹脂中でも、前記オレフィン系樹脂組成物中の3級炭素の割合が前記の値を満たすことのほか、(樹脂の熱劣化が始まる)100℃以上の高い温度で成型するため、特に、ガラス転移点の高い樹脂が好ましく、Tg(ガラス転移温度)80℃以上であることが好ましく、さらに好ましくはTg(ガラス転移温度)は100℃以上350℃未満である。
ここで、樹脂のガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いてJIS−K−7121に規定の方法に従い求められた値である。
本発明の光学用樹脂レンズの製造方法について説明する。
本発明の光学用樹脂レンズは、まず、樹脂組成物(樹脂単独の場合もあれば、樹脂と添加剤との混合物の場合もある)を調製し、次いで、得られた樹脂組成物を成型する工程を含む。
本発明の光学樹脂レンズの製造方法としては射出成型法が好ましい。
ここで、射出成型を行う樹脂組成物とは、樹脂材料のみでもよく、また、前記樹脂に可塑剤、酸化防止剤、その他の添加剤等を加えた場合の混合物でもよい。
よって、樹脂組成物のTgとは、樹脂組成物が樹脂単独の場合は、前記樹脂のTg(ガラス転移点)を表し、樹脂と添加剤の混合物の場合には、前記混合物のTg(ガラス転移点)が樹脂組成物のTg(ガラス転移点)として表記される。
(樹脂組成物の調製方法)
本発明に係る樹脂組成物の調製方法としては、下記の混練プロセスまたは混合物を溶媒に溶解、溶媒除去、乾燥を経て組成物を得るプロセス等が好ましい調製方法として挙げられるが、特に好ましい調製方法は、混練プロセスである。
尚、混練プロセスは樹脂に添加剤を加え添加剤の分散を目的として、樹脂組成物のTg以上の温度で混練する。
混練装置としては、通常の樹脂の配合に用いる装置を用いることもできる。例えば、ロール、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダなどを用いることができるが、好ましくは、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダ等が挙げられる。
樹脂の酸化を防ぐ目的で、密閉系で混練り可能な装置が好適に使用され、さらに好ましくは、窒素やアルゴンなどの不活性ガス化で混練プロセスを行うことが望ましい。
(混合物を溶媒に溶解、溶媒除去、乾燥を経て組成物を得るプロセス)
混練以外に樹脂もしくは可塑剤または酸化防止剤その他を混合して得られた樹脂組成物を溶媒に溶かし、溶解後乾燥して得られた材料を用いて作製する方法も良い。
用いられる溶媒に関しては、樹脂を溶解可能な溶媒であれば何でもよく、その種類を限定しないが、例えば、樹脂が脂肪族系骨格を有するならば、好ましい溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、n−ペンタン等の脂肪族系炭化水素等が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物の成型物は、前記樹脂組成物からなる成型材料を成型して得られる。成型方法としては、格別な制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成型物を得る為には溶融成型が好ましい。溶融成型法としては、例えば、市販のプレス成型、市販の押し出し成型、市販の射出成型等が挙げられるが、射出成型が成型性、生産性の観点から好ましい。
成型条件は使用目的、または成型方法により適宜選択されるが、例えば射出成型における樹脂組成物(樹脂単独の場合または樹脂と添加物との混合物の両方がある)の温度は、成型時に適度な流動性を樹脂に付与して成型品のヒケやひずみを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成型物の黄変を効果的に防止する観点から100℃以上、好ましくは150℃以上であり、150〜400℃の範囲が好ましく、更に好ましくは200℃〜350℃の範囲である。
また前記のように、成型後に、前記の熱処理を行うことが好ましい。好ましいは熱処理とは、前記のように、成型物を一旦、Tg−70℃未満に、冷却したのち、該成型物をTg/2以上Tg未満の温度で1時間以上200時間未満で熱処理することである。
本発明に係る成型物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、本発明の光学用樹脂レンズとして用いられるが、その他の光学部品としても好適である。
本発明の光学用樹脂レンズの光学部品への具体的な適用例としては、例えば、光学レンズや光学プリズム、カメラの撮像系レンズ、眼鏡レンズ、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ、レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ、カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。
これらの中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズやレーザ走査系レンズとして好適であり、ピックアップレンズに最も好適に用いられる。
本発明に係る樹脂組成物の調製時や樹脂組成物の成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。
本発明に於いては特に前記樹脂成型物のTgを低下させ成型加工を容易ならしめるため、可塑剤を含有することは好ましいことである。
可塑剤はオレフィン系樹脂のメルトインデックスを調節するため、必要に応じて添加される。可塑剤としては、例えば、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリ−n−ブチルアセチル、エポキシ化大豆油、2−エチルヘキシルエポキシ化トール油、塩素化パラフィン、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸−t−ブチルフェニル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、Santicizer 278、Paraplex G40、Drapex 334F、Plastolein 9720、Mesamoll、DNODP−610、HB−40等の公知のものが適用可能である。可塑剤の選定及び添加量の決定は、ポリオレフィン系材料の透過性や環境変化に対する耐性を損なわないことを条件に適宜行なわれる。
本発明の光学用樹脂レンズ中には、また酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る樹脂100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコール、ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
また、本発明に於いては、紫外線吸収剤を含有させることもできる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例としては以下に記載の化合物が挙げられる。
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−第三−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−第三−ブチル−5′−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−第三−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中でも、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等である。
また、本発明においては、耐光安定剤を含有することが出来る。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSと記す。)の中でも、THFを溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSをブロック共重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
このようなHALSの具体例としては、N,N′,N″,N′″−テトラキス−〔4,6−ビス−{ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS等が挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
本発明に係る樹脂に対して、上記紫外線吸収剤を添加剤に含む場合の上記紫外線吸収剤およびHALSの配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜20質量部、より好ましくは0.02質量部〜15質量部、特に好ましくは0.05質量部〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、樹脂への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
本発明に係る樹脂組成物には、添加剤については、格別限定はないが、必要に応じて、その他の配合剤として、熱安定剤、耐候安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、難燃剤、フィラーなどなどを配合することができ、これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いることができ、これらの配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明の構成により、透明性、低複屈折性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも白濁等、光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズが得られる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
〈製造例1〉
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製重合器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレン60部、およびジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレン8部とイソプレン12部とからなる混合モノマー20部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。得られたブロック共重合体のMwは102,100、Mw/Mnは1.11であった。
次いで、上記重合反応溶液400部を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、シリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮化学工業社製;E22U、ニッケル担持量60%)10部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度を高く160℃に設定し、圧力4.5MPaにて8時間反応することにより、芳香環まで水素化を行った。水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、シクロヘキサン800部を加えて希釈し、該反応溶液を3500部のイソプロパノール(クラス1000のクリーンルームで、孔径1μmのフィルターにてろ過したもの)中に注いでブロック共重合体を析出させ、ろ過により分離回収し、80℃にて48時間減圧乾燥させた。得られたブロック共重合体は、スチレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以降Stと略記する)、およびスチレンとイソプレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以降St/Ipと略記する)とからなる2元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックのモル比は、St:St/Ip=69:31(St:Ip=10:21)であった。該ブロック共重合体のMwは85,100、Mw/Mnは1.17、主鎖および芳香環の水素化率は99.9%、Tgは126.5℃であった。
水素化率をほぼ100%とし、三級炭素の割合を前記の方法で計算すると約22%であった。
〈樹脂組成物の製造〉
(樹脂組成物1)
重合体製造例1で得られたブロック共重合体100部に対し、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン・ブロック共重合体(クラレ社製、セプトン2002)0.1部、および酸化防止剤としてテトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガノックス1010)0.1部、およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、TINUVIN P)を0.1部、さらにHALSとして、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物〔HALS(A)、Mn=3,000〕0.1部をそれぞれ添加し、2軸混練機(東芝機械社製、TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数150rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、ストランド状に押し出した。これを水冷してペレタイザーで切断し、ペレット化した。
本組成物の三級炭素量を計算すると、約23%であった。
実施例1
樹脂組成物1に記載した方法で得られたペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、インライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い直徑1cmの成型物1を作製した。
13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約23%であった。
成型後、この成型物1を35℃まで放冷した後、この成型物1を100℃12時間の熱処理を行い、光学用樹脂レンズ1を得た。その後13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約23%で変化は無かった。
実施例2
189gのアートンF50(JSR、Tg162℃)に21gのスチレンと無水マレイン酸のコポリマー(無水マレイン酸含有量8%、EMS JAPAN Co.,LTD.、Tg111℃)をポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間での混練操作を行い、実施例1と同様にして直径1cmの成型物2を作成した。その後13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約48%であった。更に、この成型物1に対して100℃で1時間熱処理を行い、光学用樹脂レンズ2を得た。その後13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約48%で変化は無かった。
比較例1
アペル5014DP(三井化学(株)製:Tg:135℃)を、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、インライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い直徑1cmの成型物3を作製した。この成型物3に対しては、熱処理を行わず、光学用樹脂レンズ3とした。13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約56%であった。
比較例2
189gのアペル5014DP(三井化学(株)製:Tg:135℃)と21gのアペル6015T(三井化学(株)製)をポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練を行った。前記と同一条件で10バッチ混練を行った材料を作製し、粉砕した。空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、インライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い直徑1cmの成型物4を作製した。13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約58%であった。
一旦この成型物4を35℃まで放冷した後、この成型物4を100℃で1時間、熱処理を行い、光学用樹脂レンズ4を得た。その後13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約58%で変化は無かった。
比較例3
樹脂組成物1に記載した方法で得られたペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、インライン射出成型機を用い、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い直徑1cmの成型物5を作製した。この成型物5に対しては熱処理を行わず、光学用樹脂レンズ5とした。13C−NMRにより分析したデータから三級炭素量を計算すると、約23%であった。
《レンズの酸素耐久性評価》
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ1,2、比較の光学用樹脂レンズ3〜5の各々を図1に示すような光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、70℃の酸素雰囲気下、15mWの青色レーザ光(波長405nm)を200時間連続照射、500時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下に示す。
レンズ 200時間 500時間
光学用樹脂レンズ1(本発明) ○ ○
光学用樹脂レンズ2(本発明) ○ ○△
光学用樹脂レンズ3(比較1) △ ×
光学用樹脂レンズ4(比較2) △ ×
光学用樹脂レンズ5(比較3) △ ×
○:白濁発生等が全くない(実用可)
○△:複数個実験した時にその中のいくつかが僅かに白濁発生が観察される(実用可)
△:すべてにおいて僅かに白濁発生が観察される(実用不可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記から、比較のレンズ3〜5に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ1,2は優れた耐久性を示すことが明らかである。
本発明の光学用樹脂レンズが対物レンズとして用いられている光ディスク用のピックアップ装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 レーザダイオード
3 ビームスプリッタ
4 対物光学素子(対物レンズともいう)
5 光ディスク
5a 保護基板
5b 情報記録面
6 センサーレンズ
7 センサー
8 コリメータ
9 1/4波長板
10 絞り
11 アクチュエータ

Claims (8)

  1. 光学用樹脂レンズであって、3級炭素の割合が50質量%未満である樹脂組成物を、100℃以上の温度で成形することで成型物を得る工程、及び前記成型物に対してさらに熱処理を施す工程、とを経て得られることを特徴とする光学用樹脂レンズ。
  2. 前記樹脂組成物がTg(ガラス転移温度)80℃以上のオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学用樹脂レンズ。
  3. 前記成型物が、可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学用樹脂レンズ。
  4. 前記成型物に対して熱処理を施す工程が、前記成型物を前記樹脂組成物のTg−70℃未満の温度に冷却する工程、及び前記冷却された成型物に対して前記樹脂組成物のTg/2以上、Tg以下の温度で1時間以上200時間未満の熱処理を施す工程、を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
  5. 光学用樹脂レンズの製造方法であって、3級炭素の割合が50質量%未満である樹脂組成物を100℃以上の温度で成形することで成型物を得る工程、及び前記成型物に対してさらに熱処理を施す工程、とを有することを特徴とする光学用樹脂レンズの製造方法。
  6. 前記樹脂組成物が、Tg80℃以上のオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の光学用樹脂レンズの製造方法。
  7. 前記成型物が、可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の光学用樹脂レンズの製造方法。
  8. 前記成型物に対して熱処理を施す工程が、前記成型物を、前記樹脂組成物のTg−70℃未満の温度に冷却する工程、及び前記冷却された成型物に対して、前記樹脂組成物のTg/2以上、Tg以下の温度で、1時間以上、200時間未満の熱処理を施す工程、を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学用樹脂レンズの製造方法。
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