JPH07138324A - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光学成形品 - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光学成形品

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JPH07138324A
JPH07138324A JP31423793A JP31423793A JPH07138324A JP H07138324 A JPH07138324 A JP H07138324A JP 31423793 A JP31423793 A JP 31423793A JP 31423793 A JP31423793 A JP 31423793A JP H07138324 A JPH07138324 A JP H07138324A
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resin
mold
lens
temperature
lenses
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JP31423793A
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Hironobu Shinohara
弘信 篠原
Kikuko Honda
喜久子 本多
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Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐湿性に優れ、複屈折が小さく、高
い表面精度を有し、かつ成形による着色、焼けのない光
学成形品に関するものであり、特に大型で、しかも高精
度を有するレンズなどの光学成形品を提供する。 【構成】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光学成
形品であって、該樹脂を、該樹脂のガラス転移温度以上
の温度にあらかじめ昇温された射出成形金型内に注入充
填後、該金型に対する樹脂の注入口を閉じ、次いで該金
型を、該樹脂のガラス転移点温度以下の温度まで徐冷す
ることによって成形されたものであることを特徴とする
光学成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂からなる耐熱性、耐湿性に優れ、複屈折が小さ
く、高い表面精度を有し、かつ成形による着色、焼けの
ない光学成形品に関するものであり、特に大型で、しか
も高精度を有するレンズなどの光学成形品に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶プロジェクター用コンデンサ
ーレンズ、レーザービーム、プリンター用fθレンズな
どの用途に、従来用いられてきたガラス製レンズの代り
に安価で量産可能なプラスチックレンズを用いる要望が
ある。これらの用途に用いられるプラスチックレンズ
は、複屈折が小さく、表面精度が高く、しかも長期間使
用にわたってレンズ周りの温度や湿度の変化に対し、レ
ンズ精度の変化の少ない高精度のレンズであることが求
められている。しかもこれらのレンズは、レンズ径が大
きいため、特にこれらの性能が重要視されている。
【0003】従来、高精度のプラスチックレンズを得る
方法として、材料となる樹脂を、該樹脂のガラス転移温
度以上の温度にあらかじめ昇温された射出成形金型内に
注入充填後、該金型に対する樹脂の注入口を閉じ、次い
で該金型を、該樹脂のガラス転移温度以下の温度まで徐
冷することによって成形するゲートシール成形法が、特
開昭62−11619号公報、特開昭64−36421
号公報、特開平4−282218号公報などに開示され
ている。これら公報により、上記のようなゲートシール
法に用いる樹脂として、アクリル系樹脂やポリカーボネ
ート樹脂が知られているが、アクリル系樹脂は元来複屈
折は小さいものの熱変形温度が低く、また吸水性が大き
い樹脂であるので、例えゲートシール成形法によって高
精度のレンズを得たとしても、実際にレンズとして使用
するうちにレンズ周辺の温度、湿度の変化によりレンズ
の表面精度が変化してしまうという問題がある。また、
レンズの精度を高める目的で、反射防止膜をレンズに付
与して使用することが多いが、反射防止膜を付与させる
処理は80℃以上の高温を要するので、アクリル系樹脂
のように熱変形温度の低い樹脂では、反射防止膜処理の
熱によりレンズそのものの精度が狂ってしまう問題もあ
るため、アクリル系樹脂で高精度レンズを得ることは困
難である。また、ポリカーボネート樹脂は、光弾性係数
が大きく、成形歪みが起きやすい樹脂であり、ゲートシ
ール成形法によって成形したものであっても複屈折を十
分に小さくすることは難しく、特に大型で、なおかつ高
精度のレンズをポリカーボネート樹脂で得るためには厳
密な成形条件が必要であり、採算性に欠けるという問題
がある。
【0004】一方、アクリル系樹脂なみの光学特性を有
し、しかもアクリル系樹脂には欠けているものである耐
熱性、耐湿性にも優れている樹脂として、熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂を用いた光学成形品や光学部品が、特開
平1−132626号公報、特開平4−204501号
公報などによって開示されている。上記公報などによっ
て知られている方法により、耐熱性、耐湿性に優れ、し
かも低複屈折であり表面精度の高いレンズが提供されて
いる。
【0005】しかしながら、例えば液晶プロジェクター
用コンデンサーレンズのような用途に用いられるレンズ
は大型で、しかも精度の高いことが要求されており、こ
のようなレンズは成形時の着色や焼けがないことが必要
である。これに対し、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、
元来精度の高いレンズを得ることのできる樹脂ではある
ものの、前記公報などによって知られている熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂の成形法によって複屈折の十分小さい
レンズを得ようとする場合、成形時の樹脂温度を十分高
く設定する必要がある。ところが熱可塑性ノルボルネン
系樹脂は、ノルボルナン骨格中に三級炭素を数多く有
し、そこに結合した三級水素の反応性が高いので、成形
時の樹脂温度を高くしていくと、熱によって着色や焼け
が生じやすくなるという問題があり、したがって、従来
知られている方法で着色や焼けのないレンズを得ること
は難しかった。こうした事情から、耐熱性、耐湿性に優
れ、成形時の着色や焼けがなく、しかも複屈折が十分に
小さく、高い表面精度を持ったレンズが望まれている
が、従来知られている技術によってなるレンズで、上記
の要望をすべて満たしうるものはなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂の種類
と成形方法を特定のものに組み合わせることによって、
前記課題を一挙に解決したものであり、耐熱性、耐湿性
に優れ、成形による着色、焼けがなく、しかも複屈折が
小さく、かつ表面精度の高い、高精度を有する光学成形
品が要求される用途に好適な光学成形品を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に用いられる熱可
塑性ノルボルネン系樹脂は、その繰り返し単位中にノル
ボルナン骨格を有するものである。例えば、この熱可塑
性樹脂としては、一般式(I)〜(IV)で表わされる
ノルボルナン骨格を含むものである。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】(式中、A、B、CおよびDは、水素原子
または1価の有機基を示す。)
【0013】本発明で使用されるノルボルナン骨格を有
する熱可塑性樹脂は、十分な強度を得るために、その重
量平均分子量は5,000〜1,000,000、好ま
しくは8,000〜200,000である。
【0014】本発明において使用することのできるノル
ボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂としては、例えば特
開昭60−168708号公報、特開昭62−2524
06号公報、特開昭62−252407号公報、特開平
2−133413号公報、特開昭63−145324号
公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−2
40517号公報、特公昭57−8815号公報などに
記載されている樹脂などを挙げることができる。この熱
可塑性樹脂の具体例としては、下記一般式(V)で表わ
される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体、
または該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和環
状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素
添加して得られる水添重合体を挙げることができる。
【0015】
【化5】
【0016】(式中、A〜Dは、前記に同じ。)
【0017】前記一般式(V)で表わされるテトラシク
ロドデセン誘導体において、A、B、CおよびDのうち
極性基を含むことが反射防止膜との密着性、耐熱性に優
れ、しかも金型表面との親和性がよいために高い表面精
度が得られる点で好ましい。さらに、この極性基が−
(CH2 n COOR1 (ここで、R1 は炭素数1〜2
0の炭化水素基、nは0〜10の整数を示す。)で表わ
される基であることが、得られる水添重合体が高いガラ
ス転移温度を有し、反射防止膜処理による熱変形がない
など高い耐熱性を有するものとなるので好ましい。
【0018】特に、この−(CH2 n COOR1 で表
わされる極性置換基は、一般式(V)のテトラシクロド
デセン誘導体の1分子あたりに1個含有されることが好
ましい。前記一般式において、R1 は炭素数1〜20の
炭化水素基であるが、炭素数が多くなるほど得られる水
添重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得ら
れる水添重合体のガラス転移温度とのバランスの点か
ら、炭素数1〜4の鎖状アルキル基または炭素数5以上
の(多)環状アルキル基であることが好ましく、特にメ
チル基、エチル基、シクロヘキシル基であることが好ま
しい。
【0019】さらに、−(CH2 n COOR1 で表わ
される極性置換基が結合した炭素原子に、同時に炭素数
1〜10の炭化水素基が置換基として結合されている一
般式(V)のテトラシクロドデセン誘導体は、吸湿性を
低下させるので好ましい。特に、この置換基がメチル基
またはエチル基である一般式(V)のテトラシクロドデ
セン誘導体は、その合成が容易な点で好ましい。具体的
には、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシク
ロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕ドデカ−8−エンが
好ましい。これらのテトラシクロドデセン誘導体、ある
いはこれと共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、
例えば特開平4−77520号公報第4頁右上欄第12
行〜第6頁右下欄第6行に記載された方法によって、メ
タセシス重合、水素添加され、本発明に使用される熱可
塑性樹脂とすることができる。
【0020】本発明において、熱可塑性樹脂として使用
される前記水添重合体は、クロロホルム中、30℃で測
定される固有粘度(ηinh )が、0.2〜1.5dl/
gである。固有粘度(ηinh )が0.2dl/g未満で
は、機械的特性に劣り、耐衝撃性が低下し、一方、1.
5dl/gを超えると、加工性、射出成形性が劣る。ま
た、水添重合体の水素添加率は60MHz、 1H−NM
Rで測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、
さらに好ましくは98%以上である。水素添加率が高い
ほど、熱や光に対する安定性が優れる。また本発明にお
いて、熱可塑性樹脂のゲル含量が5重量%以下であるこ
とが好ましく、さらに1重量%以下であることがより精
密な光学成形品を成形する場合に好ましい。
【0021】本発明に使用される熱可塑性ノルボルネン
系樹脂には、必要に応じてその耐候性および耐光性を向
上させるために、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系など
の紫外線吸収剤をはじめ、ヒンダードアミン系、ニッケ
ル錯塩系、ベンゾエート系などの紫外線安定剤を配合す
ることができる。また、酸化防止剤、黄変防止剤、内部
離型剤、帯電防止剤、レベリング剤などのいわゆる添加
剤を加えることも可能である。
【0022】本発明の光学成形品は、上記のような熱可
塑性ノルボルネン系樹脂を、該樹脂のガラス温度以上の
温度にあらかじめ昇温された射出成形金型に注入充填
後、該金型に対する樹脂の注入口を閉じ、次いで該金型
を、該樹脂のガラス転移点温度以下の温度まで徐冷する
ことによって成形される。次に、本発明の光学成形品の
成形法を説明する。
【0023】本発明の光学成形品の成形に用いる成形機
は、材料となる樹脂を加熱溶融し、次いで金型内に射出
した後、金型内で固化するタイプの一般に用いられてい
る射出成形機を用いることができる。まず、上記の熱可
塑性ノルボルネン系樹脂を、必要に応じて本発明の効果
を損なわない量の他の安定剤、帯電防止剤などの添加剤
とともに、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、
ヘンシェルミキサーなどで混合あるいは混合後、押出
機、バンバリーミキサー、二本ロールなどで溶融混合す
るか、炭化水素や芳香族溶媒に溶解してポリマー溶液の
状態で混合し、その後、単軸押出機、ベント付き押出
機、二本スクリュー押出機、三本スクリュー押出機、円
錐型二本スクリュー押出機、コニーダー、プラティフィ
ケーター、ミクストケーター、二軸コニカルスクリュー
押出機、遊星ねじ押出機、歯車型押出機、スクリューレ
ス押出機などを用いて、光学成形品形状のキャビティー
を有する金型内に射出注入し充填する。
【0024】ここで、上記の金型は、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)以上にあらかじめ
昇温されているが、好ましくはTg〜Tg+30℃、特
に好ましくはTg+10℃〜Tg+20℃の範囲の温度
に昇温されていることが望ましい。金型温度がTgより
30℃を超えると、樹脂を注入充填後、金型の温度をT
g以下に徐冷するのに時間がかかり、サイクルタイムが
長くなる。また、樹脂注入時に金型の温度が熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂のTgより低い場合は、充填直後の注
入樹脂の温度分布・圧力分布および配向が均一になる前
に樹脂が冷却されるので歪みが生じてしまい、高精度の
光学成形品を得ることが困難である。
【0025】また、金型に射出されるときの熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂の樹脂温度は該樹脂のTg+70℃〜
Tg+180℃の範囲であることが好ましく、特にTg
+90℃〜Tg+150℃の範囲であることが好まし
い。樹脂温度がTg+70℃より低い場合、成形された
光学成形品に歪みが生じ、複屈折が大きくなり、光学特
性が劣るものとなり、また金型面の転写精度が悪くなっ
たり、特に高温、高湿環境下での寸法安定性が悪化する
場合がある。一方、樹脂温度がTg+180℃より高い
場合は、樹脂が黄色に着色したり、分解、焼けを起こし
たりする恐れがあり、いずれの場合も本発明の性能を兼
ね備えた光学成形品を得ることが困難となる。
【0026】該樹脂を金型内に充填した直後の樹脂圧力
は特に限定されないが、冷却が終了し、型から取り出す
ときに大気圧となるように設定するのが好ましい。上記
のごとく熱可塑性ノルボルネン系樹脂を金型内に注入充
填後、樹脂注入口を閉じることにより樹脂の流出、流入
を防ぐが、ここで樹脂注入口を閉じる方法としては、注
入口を強制的に部分冷却することによる方法や、注入口
に小球を入れておき、金型の内圧により注入口を閉じる
方法など、通常に行なわれている方法を用いることがで
きる。
【0027】樹脂注入口を上記の方法で閉じた後に、樹
脂が充填された金型を熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガ
ラス転移温度以下の温度まで冷却するが、その冷却速度
は特に限定されないが、0.5〜4.0℃/minの範
囲にあることが好ましい。冷却の方法としては、自然放
置による方法や冷却装置による方法が用いられるが、自
然放置による方法は、環境条件によって冷却速度が大き
く変化することがあるので、冷却装置によって冷却する
方法がより望ましい。
【0028】本発明の光学成形品は、前記のような形を
行なった後、直接、反射防止、表面硬化、防曇、撥水な
どの表面処理を施すことができる。これらの処理は、具
体的には金属酸化物、金属フッ化物、無機化合物などの
真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法、
シリコン化合物の熱硬化法、多官能アクリレート系樹脂
の熱硬化、紫外線硬化もしくは電子線硬化法などによっ
て行なわれる。なかでも、反射防止性、光透過性の向上
のために、SiO、SiO2 、ZrTiO4 などの無機
化合物、金属酸化物によって表面処理膜を形成させるこ
とが好ましく、特にこれらの無機化合物、金属酸化物を
多層膜として成膜することが好ましい。本発明の光学成
形品は、耐熱性が優れていることにより、前記表面処理
を高い温度条件で行なうことができるため、生産性の向
上につなげることができるほか、コーティング層の密着
性も良好なものとすることができる。
【0029】本発明の光学成形品は、あらゆる光学用途
に好適に用いることができるが、特にレンズとして好適
である。また従来のプラスチックレンズでは使用するこ
とができなかった、大型でかつ高精度が要求されるレン
ズ用途にも好適に用いることができる。したがって、本
発明の光学成形品は、カメラ関係におけるファインダー
レンズ、撮影レンズ、使い捨てカメラ用レンズ、CD、
LDなどの光ディスクのピックアップレンズやセンサー
レンズ、プロジェクトTV用レンズ、液晶プロジェクタ
ー用コンデンサーレンズ、VTRのファインダーレンズ
やズームレンズ、ファクシミリ用単眼レンズやロッドレ
ンズ、レーザービームプリンター用fθレンズ、ハンデ
ィーコピーや電子黒板用読み取りレンズ、双眼鏡用対物
および接眼レンズ、眼鏡用レンズ、コンタクトレンズな
どの光学用レンズのほか、自動車や照明、玩具用レン
ズ、コンパクトディスク、レーザーディスクなど広範な
用途に用いることができる。
【0030】
【実施例】以下に実施例、参考例および比較例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例の
みに限定されるものではない。
【0031】参考例1 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕ドデカ−3−エン10
0g、1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサ
ン240g、1−ヘキセン9g、およびジエチルアルミ
ニウムクロライド0.96モル/リットルのトルエン溶
液3.4mlを、内容積1リットルのオートクレーブに
加えた。一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの
0.05モル/リットルの1,2−ジメトキシエタン溶
液20mlとパラアルデヒドの0.1モル/リットルの
1,2−ジメトキシエタン溶液10mlを混合した。こ
の混合溶液4.9mlを、前記オートクレーブ中の混合
物に添加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して2時
間撹拌を行なった。得られた重合体溶液に、1,2−ジ
メトキシエタンとシクロヘキサンの2/8(重量比)の
混合溶媒を加えて、重合体/溶媒が1/10(重量比)
にした後、トリエタノールアミン20gを加えて10分
間撹拌した。この重合溶液に、メタノール500gを加
えて30分間撹拌して静置した。2層に分離した上層を
除き、再びメタノールを加えて撹拌、静置後、上層を除
いた。同様の操作をさらに2回行ない、得られた下層を
シクロヘキサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈
し、重合体濃度が10%のシクロヘキサン−1,2−ジ
メトキシエタン溶液を得た。この溶液に20gのパラジ
ウム/シリカマグネシア〔日揮化学(株)製、パラジウ
ム量=5%〕を加えて、オートクレーブ中で水素圧40
kg/cm2 として165℃で4時間反応させた後、水
添触媒をろ過によって取り除き、水添重合体溶液を得
た。
【0032】また、この水添重合体溶液に、酸化防止剤
であるペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕を、水添重合体に対して0.1%加えてから、
380℃で減圧下に脱溶媒を行なった。次いで、溶融し
た樹脂をチッ素雰囲気下で押出機によりペレット化し、
固有粘度0.45dl/g(30℃、クロロホルム
中)、水添率99.5%、ガラス転移温度170℃、数
平均分子量35,000、重量平均分子量/数平均分子
量=3.5の熱可塑性樹脂Aを得た。
【0033】参考例26−エチリデン−2−テトラシク
ロドデセンを、参考例1と同様にメタセシス開環重合し
た後水添し、ペレット化して固有粘度0.45dl/g
(30℃、クロロホルム中)、水添率99%、ガラス転
移温度140℃の熱可塑性樹脂Bを得た。
【0034】実施例1 参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aのペレットを原料と
して、樹脂注入口に注入口封止機構として小球を有する
射出成形機を用い、樹脂温度300℃、金型温度190
℃、樹脂圧力1300kg/cm2 にて金型キャビティ
ー内に射出充填を行ない、樹脂注入口を封止した後、冷
却速度0.5℃/minで徐冷を行なった。金型内圧力
が大気圧と等しくなったときの温度130℃で成形品を
金型から取り出し、80mm×60mm×15mmのコ
ンデンサーレンズを得た。このコンデンサーレンズにつ
いて、表面形状精度、複屈折による光学歪み、光透過率
およびイエローインデックス(Y1)値を測定した。結
果を表1に示す。なお、各測定は以下のように行なっ
た。
【0035】表面精度 成形されたレンズを90℃、90%RH、96時間の条
件下に置き、その後レンズ中心部の湾曲状態を肉眼によ
り観察し、下記ランクにより分類した。 A;まったく湾曲がない(設計時の曲率と設計レンズの
曲率の差が0〜1%未満)。 B;やや湾曲している(前記曲率の差が1〜5%未
満)。 C;若干湾曲している(前記曲率の差が5〜10%未
満)。 D;湾曲している(前記曲率の差が10%以上)。
【0036】光学歪み 形成されたレンズの複屈折による光学歪みを、白色光源
の上に直交ニコルの置かれた偏光板の間に成形品を置
き、これらの上から目視で観察し判定した。判定は次の
ように行なった。 ○;全体に黒〜灰色で、色は付かず光学歪みは十分小さ
い。 ×;色の付いた縞模様があり、光学歪みが大きい。
【0037】光透過率 ASTM D1003−61に従って測定した。Y1値 JIS K7103に従って透過光で測定した。
【0038】実施例2 参考例2で得られた熱可塑性樹脂Bを用い、実施例1と
同様にしてコンデンサーレンズを作成し評価した。結果
を表1に示す。
【0039】実施例3、4 比較例1、2 参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aを用い、それぞれ表
1に示した樹脂温度、金型温度、冷却速度に設定したほ
かは、実施例1と同様にしてコンデンサーレンズを作成
し評価した。結果を表1に示す。
【0040】比較例3 帝人化成(株)製、ポリカーボネート(PC)「パンラ
イト」を用い、表1に示した樹脂温度、金型温度、冷却
速度に設定したほかは、実施例1と同様にしてコンデン
サーレンズを作成し評価した。結果を表2に示す。
【0041】比較例4 三菱レーヨン(株)製、ポリメチルメタクリレート「ア
クリペットVH」を用い、表1に示した樹脂温度、金型
温度、冷却速度に設定したほかは、実施例1と同様にし
てコンデンサーレンズを作成し評価した。結果を表2に
示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明の光学成形品は、熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂からなる耐熱性、耐湿性に優れ、複屈折が
小さく、高い表面精度を有し、しかも成形時の着色、焼
けがない光学成形品であり、汎用のレンズ用途に加え、
従来のプラスチックレンズでは使用することができなか
った、大型でかつ高精度が要求されるレンズ用途にも好
適に用いることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光
    学成形品であって、該樹脂を、該樹脂のガラス転移温度
    以上の温度にあらかじめ昇温された射出成形金型内に注
    入充填後、該金型に対する樹脂の注入口を閉じ、次いで
    該金型を、該樹脂のガラス転移点温度以下の温度まで徐
    冷することによって成形されたものであることを特徴と
    する光学成形品。
JP31423793A 1993-11-19 1993-11-19 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光学成形品 Pending JPH07138324A (ja)

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JP31423793A Pending JPH07138324A (ja) 1993-11-19 1993-11-19 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる光学成形品

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JP (1) JPH07138324A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001074915A (ja) * 1999-06-29 2001-03-23 Mitsui Chemicals Inc トーリックレンズ
JP2005234175A (ja) * 2004-02-19 2005-09-02 Konica Minolta Opto Inc 光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂レンズの製造方法

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