JP5807644B2 - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents
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Description
特許文献2には、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物に、一分子内にリン酸エステル構造及びフェノール構造を有する酸化防止剤を配合した樹脂組成物が、青紫レーザ等の短波長で強度の光線を照射しても着色しない成形体を与えることが開示されている。
特許文献3、4には、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物にある種のリン系酸化防止剤を配合した樹脂組成物が、高温環境下での使用によっても経時的な色相変化を起こさない成形体を与えることが開示されている。また、特許文献3には、リン系酸化防止剤と共に、更に分子量350以上のフェノール系酸化防止剤を併用すると、高温条件下での酸化劣化を防止することが記載されている。
特許文献5は、ノルボルネン系開環重合体とα−オレフィンとの付加共重合体に、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を配合した樹脂組成物が、波長400nmの光に対して、長期に亘って安定な成形体を与えることが開示されている。
以上のように、これまでにも、優れた光学特性を示す成形体を得ることができる、脂環構造含有重合体に、酸化防止剤や光安定剤を配合した樹脂組成物が種々提案されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物から得られる成形体であっても、青紫色レーザなどの短波長レーザ光に対して十分な光安定性(耐短波長レーザ性)が得られない場合があった。
また、特許文献3、4に具体的に記載されている、極性基を有するノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物を用いた場合には、短波長レーザ光に対する光安定性が不十分であることが確認された。
また、極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物を用いた場合であっても、特許文献1に記載されたような、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用した場合には、例えヒンダードアミン系光安定剤をさらに添加したとしても、短波長レーザ光に対しては十分な光安定性が得られないことがわかった。
更に、特許文献5において用いられているノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加共重合体では、短波長レーザ光に対しては十分な光安定性が得られないことが確認された。
(1)極性基を有しないノルボルネン系重合体に、
(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01〜0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び
(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05〜1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物が配合されてなり、かつ、
(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記(c)のヒンダードフェノール化合物が、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物、又は、2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)(1)記載の樹脂組成物を成形して成る樹脂成形体。
本発明の樹脂組成物は、ピックアップレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、光ディスク類等の光学フィルム等の強力なレーザ光が照射されるような部品;等の光学部品を形成するのに好適に用いられる。
本発明の樹脂成形体は、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類として、波長390〜430nmの短波長レーザを用いる装置に好適に用いられる。
1)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、極性基を有しないノルボルネン系重合体(I)に、
(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01〜0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び
(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05〜1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物
が配合されてなり、
(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物においては、極性基を有しないノルボルネン系重合体を用いる。極性基を有しないノルボルネン系重合体(以下、「ノルボルネン系重合体(I)」ということがある。)を用いることで、短波長レーザ光に対する光安定性を向上させることができる。
ノルボルネン系重合体(I)は、置換基として、極性基(ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、シリル基、イミド基)を有しないノルボルネン系重合体である。
なかでも、成形体の光安定性の観点から、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)であるのがより好ましい。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(1a)は、極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られる重合体である。
極性基を有しないノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、等の2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、等の3環式単量体;7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体、等の4環式単量体;等が挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルキリデン基等のヘテロ原子のない炭化水素基が例示できる。極性基を有しないノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。
なかでも、耐熱性の面から、全単量体中に含まれる2環式単量体の量は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜15重量%であり、全単量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量は、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%である。特に耐熱性が要求される分野においては、4環式単量体の量は、好ましくは40〜100重量%である。
極性基を有しないノルボルネン系単量体の開環重合は、メタセシス重合触媒を用いる公知の重合方法に従って行うことができる。
メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金等から選ばれる金属の、ハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、及びJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100等に開示されている公知のシュロック型やグラッブス型のリビング開環メタセシス触媒等を用いることができる。
これらの触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択されればよいが、全単量体量に対するモル比で、通常1/1,000,000〜1/10、好ましくは、1/100,000〜1/100である。
用いる極性化合物としては、例えば、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸等が挙げられる。
含窒素化合物としては、脂肪族又は芳香族第三級アミンが好ましい。具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン等が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。その使用量は、適宜選択されるが、上記触媒中の金属との比、すなわち、極性化合物/金属の比(モル比)で、通常1〜100,000、好ましくは5〜10,000の範囲である。
前記極性基を有しないノルボルネン系開環重合体中の炭素―炭素の二重結合を、常法に従って、水素化触媒の存在下に極性基を有しないノルボルネン系開環共重合体を水素と接触させ水素化することによって極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物を得ることができる。
水素化触媒としては、公知の水素化触媒、例えば、特開昭58−43412号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭64−24826号公報、特開平1−138257号公報、特開平7−41550号公報等に記載されているものを使用することができる。
触媒は均一系でも不均一系でもよい。均一系触媒は、水素化反応液中で分散しやすいので添加量が少なくてよく、また、高温高圧にしなくとも活性を有するので重合体の分解やゲル化が起こらず、低コスト性及び品質安定性等に優る。不均一系触媒は、高温高圧下に高活性となり、短時間で水素化でき、さらに除去が容易である等、生産効率の面で優る。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して反応させればよい。
水素化触媒の種類や反応温度によって水素化率は変わり、極性基を有しないノルボルネン系単量体が芳香族環を有する場合、芳香族環の残存率も変化させることがでる。上記の水素化触媒を用いた場合、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させるためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くする等の制御を行えばよい。
必要に応じて、水やアルコール等の触媒不活性化剤を利用したり、活性白土やアルミナ等の吸着剤を添加したりしてもよい。医療用器材等、残留した遷移金属が溶出するのが好ましくない用途では、実質的に遷移金属が残留しないようにする。そのような重合体水素化物を得るためには、特開平5−317411号公報等で開示されているような、特定の細孔容積と比表面積を持ったアルミナ類等の吸着剤を用いたり、重合体溶液を酸性水と純水で洗浄したりすることが好ましい。
遠心方法やろ過方法は、用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。ろ過による除去は、簡便かつ効率的であるので好ましい。ろ過する場合、加圧ろ過しても、吸引ろ過してもよく、また、効率の点から、珪藻土、パーライト等のろ過助剤を用いることが好ましい。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めることができる。
〈α−オレフィン〉
上述した、極性基を有しないノルボルネン系単量体と付加重合するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合する方法としては、例えば特開平05-310845号公報に記載されているように、炭化水素溶媒中で、(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒系又は(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒系の存在下でエチレンと、芳香族含有ノルボルネン誘導体とを共重合させることによって製造することができる。
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとは、目的とする共重合比となるよう供給量を設計する。
付加重合に際しては、水素等の分子量調節剤を用いることもできる。
上記のようにして極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合させると、通常極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加重合体を含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、付加重合体が得られる。
ノルボルネン系付加重合体(Ib)のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物(以下、「亜リン酸エステル化合物(a)」ということがある。)は、分子内にフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物である。
また、Aは、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜8のアルキレン基を表す。
前記式(1)で表される化合物の具体例としては、6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、6−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩等が挙げられる。
本発明に用いるヒンダードアミン化合物(以下、「ヒンダードアミン化合物(b)」ということがある。)としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤は、窒素原子の結合態様に着目して、NH型(H=水素原子)、NMe型(Me=メチル基)、及びNR型(R=メチル基以外の有機基)に分類することができる。本発明では、これらの何れのタイプのものも使用することができる。
ヒンダードアミン化合物は、亜リン酸エステル構造を有しない限り、ヒンダードフェノール構造を有していてもよい。
本発明に用いる、亜リン酸エステル化合物(a)以外のヒンダードフェノール化合物(以下、「ヒンダードフェノール化合物(c)」ということがある。)は、一般的には、ベンゼン環に、イソプロピル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基等のかさ高い基を置換基として有する(好ましくはかさ高い基を複数個有する)フェノール化合物である。ヒンダードフェノール化合物(c)としては、ヒンダードアミン構造を有しない以下の(c1)、(c2)の2種の化合物が挙げられる。
具体例としては、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール等が挙げられる。
具体例としては、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6−ジオキサオクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコールビス(5−t−チル−4−ヒドロキシ−3−メチルシンナメート)、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
これらは、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物には、所期の目的を損なわない範囲内で、上記ノルボルネン系重合体(I)以外の高分子材料、その他の各種添加剤、ゴム質重合体、その他の熱可塑性樹脂、離型剤等等の配合剤を配合することができる。
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン又はスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレスチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等を挙げることができる。
これらの熱可塑性エラストマーのうち、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等が好ましく、具体的には、特開平2−133,406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報等に記載されているものを挙げることができる。
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の異種の熱可塑性樹脂、及び前記のノルボルネン系重合体以外のノルボルネン系重合体等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、炭化水素系離型剤、脂肪酸系離型剤、アルコール系離型剤、脂肪族エステル系離型剤、脂肪酸アマイド系離型剤、脂肪酸金属石ケン系離型剤、シリコーン系離型剤等が挙げられる。
より具体的には、パラフィン類、ナフテン類、芳香族類、低分子ポリエチレンワックス、低分子ポリプロピレンワックス、低分子ポリスチレンワックス又はそれらの酸化物やカルボン酸、水酸基、エステル基等の変性物等の炭化水素系離型剤;ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ヒドロキシステアリン酸、エルカ酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、ヒドロキシヘプタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシエイコサン酸、ヒドロキシドコサン酸、ヒドロキシヘキサコサン酸、ヒドロキシトリアコンタン酸等の脂肪酸系離型剤;グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール、ステアリルアルコール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビタン、ソルビトール、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサン、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、デシルテトラデカノール、ヘキサコサノール、トリアコンタノール、1,2−ヘキサデカンジオール、2,3−ヘプタデカンジオール、1,3−オクタデカンジオール、1,2−デシルテトラデカンジオール等のアルコール系離型剤;グリセリンステアレート、ブチルステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、12−ヒドロキシステアリン酸ステアリルアルコール、ペンタエリスリトール−テトラ−12−ヒドロキシステアレート、エチレングリコール−ジ−12−ヒドロキシステアレート、プロピレングリコール−ジ−12−ヒドロキシステアレート等、前記脂肪酸とアルコール系化合物の縮合体である脂肪族エステル系離型剤;ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリル酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、ジオレイルアジピン酸アマイド、ジオレイルセバシン酸アマイド、ステアロイドエチルステアレート〔C17H35CONH(CH2)2OCOC17H35〕等、前記脂肪酸とアンモニア又はエチレンジアミン等との縮合体である脂肪酸アマイド系離型剤;ステアリン酸カルシウム等、金属と前記脂肪酸との金属塩である脂肪酸金属石ケン系離型剤;シリコーン系離型剤;等が挙げられる。
離型剤の配合割合は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部の範囲である。
必要に応じて配合される添加剤としては、適用する用途分野で一般的に使用されているものであれば特に制限なく用いることができる。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、結晶核剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、有機又は無機の充填剤、スリップ剤、防曇剤、天然油、合成油、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、充填剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、着色剤、シリコーンオイル、発泡剤、界面活性剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、上記ノルボルネン系重合体(I)、所定量の、亜リン酸エステル化合物(a)、ヒンダードアミン化合物(b)、及び、ヒンダードフェノール化合物(c)を混練することにより調製することができる。
ゴム質重合体を配合剤とする場合には、例えば二軸混練機等でノルボルネン系重合体を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散混合した後に、溶媒を凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法等がある。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体である。本発明の樹脂組成物は、光学材料に好適であることから、本発明の樹脂成形体は、光学部品であるのが好ましい。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を加熱溶融成形することにより好適に製造することができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、キャスト成形法等の通常の成形方法を用いることができる。
光学レンズ等の立体形状の光学部品を製造するには、射出成形法を採用することが好ましい。
(1)分子量
水素化物(I)及び重合体(II)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリイソプレン換算値として以下の装置を用い、以下の条件にて測定した。標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製、標準ポリイソプレン、Mw=602、1,390、3,920、8,050、13,800、22,700、58,800、71,300、109,000、280,000の計10点を用いた。
〈測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC〉
・カラム:東ソー社製 TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXL及びTSKgel G2000HXLを3本直列に繋いたものを用いた。
・流速:1.0ml/分
・サンプル注入量:100μml
・カラム温度:40℃
主鎖及び環状炭化水素構造の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定し算出した。
Tgは示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 7121に基づいて測定した。
窒素雰囲気下に、脱水したトルエン690部に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン210部、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン75部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン15部、1−ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3重量%トルエン溶液11部及びトリイソブチルアルミニウム0.5部を加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、重量平均分子量(Mw)は24,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。なお、重合体のMw及びMnはテトラヒドロフラン(THF)を溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した。
水素化物(Ia1)の数平均分子量(Mn)は16,500、重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7で、ガラス転移温度(Tg)は145℃であった。
窒素雰囲気下に、脱水したトルエン690部に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン300部、1−ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3重量%トルエン溶液11部及びテトラブチルスズ0.6部を加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は18,500、重量平均分子量(Mw)は37,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。なお、重合体のMw及びMnはTHFを溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した。
得られた水素化物(以下、「水素化物(Ia2)」という)の収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。
水素化物(Ia2)の数平均分子量(Mn)は24,000、重量平均分子量(Mw)は44,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8で、ガラス転移温度(Tg)は140℃であった。
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン94モル%、1,5−シクロオクタジエン(以下、1,5−CODと略記)6モル%からなる単量体混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したトルエン1500部、分子量調節剤として1−ヘキセン3.8部、ジイソプロピルエ−テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部及び六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液35部を入れ、50℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を50℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体混合物693部と六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液52部を150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したしたところ、モノマーのポリマーへの転化率は100%であった。
水素化物(Ia3)の数平均分子量(Mn)は10,500、重量平均分子量(Mw)は34,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.2で、ガラス転移温度(Tg)は135℃であった。
窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン235mlを装入し、液相及び気相を50リットル/hrの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブに2mlのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」と略記する。)、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記式(2)に示す構造のジアルコキシジクロロチタン触媒を0.001mmol加え重合を開始した。エチレンガス雰囲気下25℃常圧で10分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を5mlの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出後、攪拌後グラスフィルターで濾過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TCD共重合体を得た。
エチレン/TCD共重合体(以下、「重合体(Ib1)」という)の重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=65,000、Mw/Mn=2.15であった。また、ガラス転移温度は132℃であった。
乾燥窒素で置換したステンレス製耐圧容器に、スチレン76部及びイソプレン4部を密封し、攪拌して、混合モノマーを調製した。次に、乾燥窒素で置換した電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン320部、混合モノマー4部、及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、これらを50℃で撹拌しているところに、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)0.18部を添加して重合を開始した。
反応開始から0.5時間経過した時点(転化率96%)で、重合反応溶液に混合モノマー76部を1時間かけて連続的に添加し、重合反応を継続させた。混合モノマー添加の終了時(転化率95%)からさらに0.5時間経過した時点で、イソプロピルアルコール0.1部を添加して重合反応を停止させた。このようにして、重合体を得た。
この重合体の重量平均分子量(Mw)は、150,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、1.12であった。
水素化物(II)は、水素添加率が99.8%、重量平均分子量(Mw)が100,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.28、ガラス転移温度が125℃であった。
製造例1で得られた水素化物(Ia1)100部と、6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d、f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン(以下、「亜リン酸エステル化合物(a1)」という。)0.1部、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−ヘキサメチレンジアミン(以下、「ヒンダードアミン化合物(b1)」という。)0.3部とを2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物1を得た。
樹脂組成物1を用いて、以下に示す方法で成形体を作成し、光線透過率を測定し、屈折率温度依存性及び耐短波長レーザ性の試験を行った。
上記ペレットを80℃で4時間加熱し乾燥させ、次いで射出成形装置を用いて、寸法65mm×65mm×厚さ3mmの平板状の成形体を得た。この成形体の波長400nm、光路長3mmにおける光線透過率を、分光光度計(製品名:V−570、日本分光社製)を用いて測定した。
上記ペレットを80℃で4時間加熱し乾燥させ、次いで射出成形装置を用いて、寸法90mm×55mm×厚さ5mmの平板状の成形体を得た。得られた成形体の屈折率を自動屈折計(製品名:KPR−200、カルニュー光学工業社製)を用いて、波長587.6nmの屈折率を、試料温度を10℃から60℃まで変化させて測定した。
10℃から60℃での屈折率の温度変化率をdn/dTとして求めた。
上記寸法65mm×65mm×厚さ3mmの平板状の成形体に、70℃の環境下で、405±10nm、1400mW/cm2のダイオードレーザを1000時間照射した。レーザ照射後の成形体の光線透過率を、分光光度計(製品名「V−570」、日本分光社製)を用いて測定し、レーザ照射前の光線透過率からの低下量を求めた。この低下量が小さいほど耐レーザ性に優れていることを示す。
結果を表1に示す。
実施例1において、亜リン酸エステル化合物(a1)の添加量を0.1部から0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2を調製した。次いで、該樹脂組成物2を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、亜リン酸エステル化合物(a1)の使用割合を0.1部から0.25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物3を調製した。次いで、該樹脂組成物3を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、更にテトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(以下、「ヒンダードアミン化合物(b2)」という。)を0.3部添加したこと以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物4を調製した。次いで、該樹脂組成物4を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、更にペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、「ヒンダードフェノール化合物(c1)」という)を0.05部添加したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物5を調製した。次いで、該樹脂組成物5を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、製造例2で得られた水素化物(Ia2)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物6を調製した。次いで、該樹脂組成物6を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、製造例3で得られた水素化物(Ia3)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物7を調製した。次いで、該樹脂組成物7を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、製造例4で得られた重合体(Ib1)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物8を調製した。次いで、該樹脂組成物8を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、製造例5で得られた水素化物(II)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物9を調製した。次いで、該樹脂組成物9を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例5において、ヒンダードフェノール化合物(c1)を0.05部から0.1部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂組成物10を調製した。次いで、該樹脂組成物10を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例5において、ヒンダードフェノール化合物(c1)を0.05部から0.3部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂組成物11を調製した。次いで、該樹脂組成物11を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、更にオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(以下、「ヒンダードフェノール化合物(c2)」という)を0.3部添加したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物12を調製した。次いで、該樹脂組成物12を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例4において、亜リン酸エステル化合物(a1)の添加量を0.15部から0.4部に変更したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物13を調製した。次いで、該樹脂組成物13を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、ヒンダードアミン化合物(b)を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物14を調製した。次いで、該樹脂組成物14を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
特許文献2に記載されているような、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物を用いると、屈折率温度依存性が高くなる(実施例1〜8と比較例1)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物を0.05部以上添加すると、耐短波長レーザ性に劣る(比較例2、3)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物を0.05部以上添加すると、耐短波長レーザ性に劣る(比較例4)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を0.3部以上添加すると、耐レーザ性に劣る(比較例5)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を0.01〜0.3部添加しても、ヒンダードアミン化合物が0.05〜1.0部添加されていないと耐短波長レーザ性に劣る(比較例6)。
本発明の樹脂組成物は、屈折率温度依存性と耐短波長レーザ性のバランスに優れる(実施例1〜8)。
Claims (5)
- 極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物に、
(a)前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して0.01〜0.25重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び
(b)前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して0.05〜1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物
が配合されてなり、
(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記ノルボルネン系開環重合体水素化物が、全単量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量が、全単量体に対し70〜100重量%である単量体を、開環重合して得られる開環重合体を水素化して得られるものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(c)のヒンダードフェノール化合物が、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物、又は、2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記ヒンダードアミン化合物が、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−ヘキサメチレンジアミンから選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
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