JP5807644B2 - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、極性基を有しないノルボルネン系単量体、特定の化学構造を有する亜リン酸エステル化合物及びヒンダードアミン化合物を特定量含有し、特定構造のヒンダードフェノール化合物をほとんど含有しない樹脂組成物とその利用に関する。
ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン系開環重合体とα−オレフィンとの付加共重合体、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物等に代表される脂環構造含有重合体は、酸化防止剤や光安定剤を配合することにより、優れた光学特性を示すことが知られている。
例えば、特許文献1には、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物にフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用した樹脂組成物が、機械的強度、伸び、耐薬品性及び耐候性に優れた成形体を与えることが開示されている。また、この文献には、ヒンダードアミン系光安定剤を併用することで、耐候性を改善できることも記載されている。
特許文献2には、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物に、一分子内にリン酸エステル構造及びフェノール構造を有する酸化防止剤を配合した樹脂組成物が、青紫レーザ等の短波長で強度の光線を照射しても着色しない成形体を与えることが開示されている。
特許文献3、4には、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物にある種のリン系酸化防止剤を配合した樹脂組成物が、高温環境下での使用によっても経時的な色相変化を起こさない成形体を与えることが開示されている。また、特許文献3には、リン系酸化防止剤と共に、更に分子量350以上のフェノール系酸化防止剤を併用すると、高温条件下での酸化劣化を防止することが記載されている。
特許文献5は、ノルボルネン系開環重合体とα−オレフィンとの付加共重合体に、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を配合した樹脂組成物が、波長400nmの光に対して、長期に亘って安定な成形体を与えることが開示されている。
以上のように、これまでにも、優れた光学特性を示す成形体を得ることができる、脂環構造含有重合体に、酸化防止剤や光安定剤を配合した樹脂組成物が種々提案されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物から得られる成形体であっても、青紫色レーザなどの短波長レーザ光に対して十分な光安定性(耐短波長レーザ性)が得られない場合があった。
特開平11−217481号公報 特開2004−083813号公報 特開2001−261943号公報 特開2010−013659号公報 特開2006−143927号公報
本発明は上記した従来技術に鑑みてなされたものであって、耐短波長レーザ性に優れる成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、種々の樹脂組成物について鋭意検討した。その結果、特許文献2に記載された芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物を用いた場合には、耐ダイオードレーザ性には優れるものの、屈折率の温度依存性が高く、光学レンズに際して、設計自由度を低下させることがわかった。
また、特許文献3、4に具体的に記載されている、極性基を有するノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物を用いた場合には、短波長レーザ光に対する光安定性が不十分であることが確認された。
また、極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物を用いた場合であっても、特許文献1に記載されたような、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用した場合には、例えヒンダードアミン系光安定剤をさらに添加したとしても、短波長レーザ光に対しては十分な光安定性が得られないことがわかった。
更に、特許文献5において用いられているノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加共重合体では、短波長レーザ光に対しては十分な光安定性が得られないことが確認された。
本発明者はかかる知見に基づき、更なる検討を行った。その結果、極性基を有しないノルボルネン系重合体に対して、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物(具体的には、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物と2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物)を、一般的に酸化劣化の防止効果を示すと言われている量程度を配合した樹脂組成物を用いると、得られる成形体の耐短波長レーザ性が低下するという知見を得た。また、フェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物の配合量を特定量とすることで、得られる成形体の耐短波長レーザ性が向上することを見いだし、これらの知見を基に、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、下記(1)、(2)の樹脂組成物、及び、(3)の樹脂成形体が提供される。
(1)極性基を有しないノルボルネン系重合体に、
(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01〜0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び
(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05〜1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物が配合されてなり、かつ、
(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記(c)のヒンダードフェノール化合物が、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物、又は、2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)(1)記載の樹脂組成物を成形して成る樹脂成形体。
本発明の樹脂組成物によれば、耐短波長レーザ性に優れる成形体を形成することができる。
本発明の樹脂組成物は、ピックアップレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、光ディスク類等の光学フィルム等の強力なレーザ光が照射されるような部品;等の光学部品を形成するのに好適に用いられる。
本発明の樹脂成形体は、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類として、波長390〜430nmの短波長レーザを用いる装置に好適に用いられる。
以下、本発明を、1)樹脂組成物、及び、2)樹脂成形体、に項分けして詳細に説明する。
1)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、極性基を有しないノルボルネン系重合体(I)に、
(a)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.01〜0.3重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び
(b)前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05〜1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物
が配合されてなり、
(c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボンルネン系重合体100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする。
(I)極性基を有しないノルボルネン系重合体
本発明の樹脂組成物においては、極性基を有しないノルボルネン系重合体を用いる。極性基を有しないノルボルネン系重合体(以下、「ノルボルネン系重合体(I)」ということがある。)を用いることで、短波長レーザ光に対する光安定性を向上させることができる。
ノルボルネン系重合体(I)は、置換基として、極性基(ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、シリル基、イミド基)を有しないノルボルネン系重合体である。
ノルボルネン系重合体(I)の好ましい具体例としては、(Ia)極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られるノルボルネン系開環重合体水素化物(以下、「ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)」ということがある。)、(Ib)極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合して得られるノルボルネン系付加重合体(以下、「ノルボルネン系付加重合体(Ib)」が挙げられる。
なかでも、成形体の光安定性の観点から、ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)であるのがより好ましい。
(Ia)ノルボルネン系開環重合体水素化物(1a)
ノルボルネン系開環重合体水素化物(1a)は、極性基を有しないノルボルネン系単量体を開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られる重合体である。
〈極性基を有しないノルボルネン系単量体〉
極性基を有しないノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、等の2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、等の3環式単量体;7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体、等の4環式単量体;等が挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルキリデン基等のヘテロ原子のない炭化水素基が例示できる。極性基を有しないノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。
これらの極性基を有しないノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
なかでも、耐熱性の面から、全単量体中に含まれる2環式単量体の量は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜15重量%であり、全単量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量は、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%である。特に耐熱性が要求される分野においては、4環式単量体の量は、好ましくは40〜100重量%である。
〈開環重合〉
極性基を有しないノルボルネン系単量体の開環重合は、メタセシス重合触媒を用いる公知の重合方法に従って行うことができる。
メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金等から選ばれる金属の、ハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、及びJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100等に開示されている公知のシュロック型やグラッブス型のリビング開環メタセシス触媒等を用いることができる。
これらの触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択されればよいが、全単量体量に対するモル比で、通常1/1,000,000〜1/10、好ましくは、1/100,000〜1/100である。
極性基を有しないノルボルネン系単量体の開環重合の際には、反応系に極性化合物を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。
用いる極性化合物としては、例えば、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸等が挙げられる。
含窒素化合物としては、脂肪族又は芳香族第三級アミンが好ましい。具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン等が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。その使用量は、適宜選択されるが、上記触媒中の金属との比、すなわち、極性化合物/金属の比(モル比)で、通常1〜100,000、好ましくは5〜10,000の範囲である。
重合反応は、通常2−ヘキセン等のα−オレフィンに代表される分子量調整剤(極性基を有しないノルボルネン系単量体100モルに対して、通常0.1〜3モル程度)存在下、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば格別な制限はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロノナン等の脂環族炭化水素;ジクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;等が挙げられる。
開環重合する形態に格別な制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー連続添加法(モノマーを連続添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー連続添加法を用いるとよりランダムな連鎖構造を有し好ましい。
分子量調整剤の添加方法としては、溶媒に全量の分子量調整剤を添加した後に、ノルボルネン系単量体を連続添加していく方法、ノルボルネン系単量体と分子量調整剤とを同時に連続添加していく方法等が挙げられ、特にノルボルネン系単量体と分子量調整剤とを同時に連続添加していく方法がランダムな連鎖構造を有して好ましい。
重合温度は、通常−50℃〜+250℃、好ましくは−30℃〜+200℃、より好ましくは−20℃〜+150℃の範囲である。重合圧力は、通常0〜50kg/cm、好ましくは0〜20kg/cmの範囲である。重合時間は、重合条件により適宜選択されるが、通常30分から20時間、好ましくは1〜10時間の範囲である。
得られる極性基を有しないノルボルネン系開環重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、5,000〜100,000、好ましくは6,000〜70,000であり、より好ましくは7,000〜60,000である。重量平均分子量(Mw)は、通常、10,000〜350,000、好ましくは12,000〜245,000、より好ましくは14,000〜210,000である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリイソプレン換算値として表す。分子量が、これらの範囲にあるとき機械的強度と成形性とのバランスに優れる。分子量の分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4の範囲である。
〈水素化触媒及び水素化方法〉
前記極性基を有しないノルボルネン系開環重合体中の炭素―炭素の二重結合を、常法に従って、水素化触媒の存在下に極性基を有しないノルボルネン系開環共重合体を水素と接触させ水素化することによって極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物を得ることができる。
水素化触媒としては、公知の水素化触媒、例えば、特開昭58−43412号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭64−24826号公報、特開平1−138257号公報、特開平7−41550号公報等に記載されているものを使用することができる。
触媒は均一系でも不均一系でもよい。均一系触媒は、水素化反応液中で分散しやすいので添加量が少なくてよく、また、高温高圧にしなくとも活性を有するので重合体の分解やゲル化が起こらず、低コスト性及び品質安定性等に優る。不均一系触媒は、高温高圧下に高活性となり、短時間で水素化でき、さらに除去が容易である等、生産効率の面で優る。
均一系触媒としては、例えば、ウィルキンソン錯体、すなわち、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I);遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒、具体的には、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせが挙げられる。
不均一系触媒としては、例えば、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh等の水素化触媒金属を担体に担持させたものが挙げられる。特に、不純物等の混入が少ないほど好ましい場合は、担体として、アルミナや珪藻土等の吸着剤を用いることが好ましい。
水素化反応は、通常、有機溶媒中で実施する。有機溶媒としては、触媒に不活性なものであれば格別な限定はないが、生成する水素化物の溶解性に優れていることから、通常は炭化水素系溶媒が用いられる。炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロノナン等の脂環族炭化水素類;等を挙げることができ、これらの中でも、シクロヘキサノン等の低沸点の脂環族炭化水素類が好ましい。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して反応させればよい。
水素化反応は、常法に従って行えばよい。
水素化触媒の種類や反応温度によって水素化率は変わり、極性基を有しないノルボルネン系単量体が芳香族環を有する場合、芳香族環の残存率も変化させることがでる。上記の水素化触媒を用いた場合、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させるためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くする等の制御を行えばよい。
水素化反応終了後、触媒は、遠心、ろ過等の常法にしたがって除去することができる。
必要に応じて、水やアルコール等の触媒不活性化剤を利用したり、活性白土やアルミナ等の吸着剤を添加したりしてもよい。医療用器材等、残留した遷移金属が溶出するのが好ましくない用途では、実質的に遷移金属が残留しないようにする。そのような重合体水素化物を得るためには、特開平5−317411号公報等で開示されているような、特定の細孔容積と比表面積を持ったアルミナ類等の吸着剤を用いたり、重合体溶液を酸性水と純水で洗浄したりすることが好ましい。
遠心方法やろ過方法は、用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。ろ過による除去は、簡便かつ効率的であるので好ましい。ろ過する場合、加圧ろ過しても、吸引ろ過してもよく、また、効率の点から、珪藻土、パーライト等のろ過助剤を用いることが好ましい。
得られるノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)が、芳香族環を有する繰り返し単位を有する場合には、主鎖構造中の炭素−炭素二重結合の水素化反応において、側鎖の芳香環族構造を残存させることもできるが、完全に水素化しても構わない。なお、H−NMRによる分析により、主鎖構造中の炭素−炭素二重結合は、芳香族環構造中の不飽和結合と区別して認識することができる。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)の数平均分子量は、通常5,000〜100,000、好ましくは6,000〜70,000であり、より好ましくは7,000〜60,000である。重量平均分子量は、通常10,000〜350,000、好ましくは12,000〜245,000、より好ましくは14,000〜210,000である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリイソプレン換算値として表す。分子量が、これらの範囲にあるとき溶液安定性、機械的強度と成形性とのバランスに優れる。分子量の分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4の範囲である。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)のガラス転移温度(Tg)は、通常100〜200℃、好ましくは115〜180℃、より好ましくは130〜160℃である。Tgが低いと耐熱性が低く使用環境が制限される恐れがあり、Tgが高いと流動性が低下し成形性が悪化する恐れがある。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)は、重合体中の主鎖二重結合の水素化率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。水素化率が高いと、耐熱性及び防湿性に優れ、成形する際に樹脂焼けが起こり難く、特にレンズを成形する際には、光線透過率の低下を抑制することができる点で、好ましい。
ノルボルネン系開環重合体水素化物(Ia)の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定して求めることができる。
(Ib)ノルボルネン系付加重合体
〈α−オレフィン〉
上述した、極性基を有しないノルボルネン系単量体と付加重合するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。
〈付加重合方法〉
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合する方法としては、例えば特開平05-310845号公報に記載されているように、炭化水素溶媒中で、(i)可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒系又は(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される触媒系の存在下でエチレンと、芳香族含有ノルボルネン誘導体とを共重合させることによって製造することができる。
炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素及びそのハロゲン誘導体、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素及びそのハロゲン誘導体、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びクロロベンゼン等のハロゲン誘導体等が用いられる。これら溶媒は混合して用いてもよい。
付加重合は、バッチ法、連続法いずれにおいても実施することができる。この際用いられる触媒の濃度は以下のとおりである。触媒(i)が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物は、重合容積1リットル当たり、通常、0.01〜5mmol、好ましくは0.05〜3mmolの量で、また、有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。また可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物(共重合が連続法で実施される場合には)の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。
可溶性バナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物は、通常、それぞれ液状の単量体及び/又は上述の炭化水素溶媒で希釈されて重合系に供給される。この際、該可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調製して重合系内に供給されることが望ましい。
触媒(ii)が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物は、重合容積1リットル当たり、通常約0.00005〜0.1mmol、好ましくは約0.0001〜0.05mmolの量で、有機アルミニウムオキシ化合物は、メタロセン化合物中の遷移金属原子1モルに対して、有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子が、通常約1〜10000mol、好ましくは10〜5000molとなるような量で用いられる。
上記のような触媒(i)又は(ii)の存在下に行なわれる共重合反応は、通常、温度が−50℃〜+150℃、好ましくは−30℃〜+100℃、さらに好ましくは−20℃〜+70℃で、圧力が0超過4.9MPa(50Kgf/cm、ゲージ圧)以下、好ましくは0超過2.0MPa(20Kgf/cm、ゲージ圧)以下の条件下で行われる。また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、用いられる単量体の種類、触媒濃度、重合温度等の条件によっても異なるが、通常2分から5時間、好ましくは5分から3時間である。
極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとは、目的とする共重合比となるよう供給量を設計する。
付加重合に際しては、水素等の分子量調節剤を用いることもできる。
上記のようにして極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとを付加重合させると、通常極性基を有しないノルボルネン系単量体とα−オレフィンとの付加重合体を含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、付加重合体が得られる。
ノルボルネン系付加重合体(Ib)の数平均分子量は、通常5,000〜100,000、好ましくは6,000〜70,000であり、より好ましくは7,000〜60,000である。重量平均分子量は、通常10,000〜350,000、好ましくは12,000〜245,000、より好ましくは14,000〜210,000である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリイソプレン換算値として表す。分子量が、これらの範囲にあるとき溶液安定性、機械的強度と成形性とのバランスに優れる。分子量の分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4の範囲である。
ノルボルネン系付加重合体(Ib)のガラス転移温度(Tg)は、通常100〜200℃、好ましくは110〜170℃である。Tgが低いと耐熱性が低く使用環境が制限される恐れがあり、Tgが高いと流動性が低下し成形性が悪化する恐れがある。
ノルボルネン系付加重合体(Ib)のガラス転移温度は、示差走査熱量分析計を用いてJIS K 7121に基づいて測定することができる。
(a)1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物
1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物(以下、「亜リン酸エステル化合物(a)」ということがある。)は、分子内にフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物である。
亜リン酸エステル化合物(a)としては、式:(i):HP(=O)(OH)(OR)、式(ii):HP(=O)(OR)(OR)、及び、式(iii):P(OR)(OR)(OR)が挙げられる。
式(i)〜(iii)中、Rはフェノール構造を有する基であり、R、Rは、それぞれ独立して、フェノール構造を有する基:メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の置換基を有していてもよいアリール基;を表す。また、ORとORは、互いに一緒になって、環を形成していてもよい。
前記フェノール構造を有する基としては、例えば、下記式(α)、(β)で表される基が挙げられる。
Figure 0005807644
式(α)、(β)中、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基を表す。
また、Aは、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜8のアルキレン基を表す。
これらの中でも、本発明に用いる亜リン酸エステル化合物(a)としては、前記式(iii)で表される化合物が好ましく、下記式(1)に示す化合物が特に好ましい。
Figure 0005807644
式(1)中、R〜R、Aは前記と同じ意味を表す。
前記式(1)で表される化合物の具体例としては、6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、6−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩等が挙げられる。
亜リン酸エステル化合物(a)の使用量は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、0.05〜0.3重量部、好ましくは0.05〜0.25重量部である。亜リン酸エステル化合物(a)の使用量が多すぎても少なすぎても、耐短波長レーザ性が低下する。
(b)ヒンダードアミン化合物
本発明に用いるヒンダードアミン化合物(以下、「ヒンダードアミン化合物(b)」ということがある。)としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤は、窒素原子の結合態様に着目して、NH型(H=水素原子)、NMe型(Me=メチル基)、及びNR型(R=メチル基以外の有機基)に分類することができる。本発明では、これらの何れのタイプのものも使用することができる。
ヒンダードアミン化合物は、亜リン酸エステル構造を有しない限り、ヒンダードフェノール構造を有していてもよい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−アルキレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスアルキレン脂肪酸アミド、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ポリ[〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン縮重合物等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−ヘキサメチレンジアミン等の分子量1,000以下のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
ヒンダードアミン化合物(b)の使用量は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、0.05〜1.0重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。
(c)亜リン酸エステル化合物(a)以外のヒンダードフェノール化合物
本発明に用いる、亜リン酸エステル化合物(a)以外のヒンダードフェノール化合物(以下、「ヒンダードフェノール化合物(c)」ということがある。)は、一般的には、ベンゼン環に、イソプロピル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基等のかさ高い基を置換基として有する(好ましくはかさ高い基を複数個有する)フェノール化合物である。ヒンダードフェノール化合物(c)としては、ヒンダードアミン構造を有しない以下の(c1)、(c2)の2種の化合物が挙げられる。
(c1)亜リン酸エステル構造を有さず、1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物
具体例としては、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール等が挙げられる。
(c2)2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物
具体例としては、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6−ジオキサオクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコールビス(5−t−チル−4−ヒドロキシ−3−メチルシンナメート)、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
これらは、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒンダードフェノール化合物(c)の使用量(複数種類ある場合はその合計量)は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、0.05重量部以下である。0.05重量部以下の使用であれば、耐短波長レーザ性に対する実質的な影響は出ないが、それより多い使用では悪影響が出るおそれがあり、0.1重量部以上の使用で、耐短波長レーザ性が顕著に低下する。
(e)配合剤
本発明の樹脂組成物には、所期の目的を損なわない範囲内で、上記ノルボルネン系重合体(I)以外の高分子材料、その他の各種添加剤、ゴム質重合体、その他の熱可塑性樹脂、離型剤等等の配合剤を配合することができる。
(e1)ゴム質重合体
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン又はスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレスチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等を挙げることができる。
これらの熱可塑性エラストマーのうち、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等が好ましく、具体的には、特開平2−133,406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報等に記載されているものを挙げることができる。
(e2)その他の熱可塑性樹脂
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の異種の熱可塑性樹脂、及び前記のノルボルネン系重合体以外のノルボルネン系重合体等が挙げられる。
これらのその他の熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他の熱可塑性樹脂の配合割合は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜70重量部、より好ましくは1〜50重量部の範囲である。
(e3)離型剤
離型剤としては、例えば、炭化水素系離型剤、脂肪酸系離型剤、アルコール系離型剤、脂肪族エステル系離型剤、脂肪酸アマイド系離型剤、脂肪酸金属石ケン系離型剤、シリコーン系離型剤等が挙げられる。
より具体的には、パラフィン類、ナフテン類、芳香族類、低分子ポリエチレンワックス、低分子ポリプロピレンワックス、低分子ポリスチレンワックス又はそれらの酸化物やカルボン酸、水酸基、エステル基等の変性物等の炭化水素系離型剤;ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ヒドロキシステアリン酸、エルカ酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、ヒドロキシヘプタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシエイコサン酸、ヒドロキシドコサン酸、ヒドロキシヘキサコサン酸、ヒドロキシトリアコンタン酸等の脂肪酸系離型剤;グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール、ステアリルアルコール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビタン、ソルビトール、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサン、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、デシルテトラデカノール、ヘキサコサノール、トリアコンタノール、1,2−ヘキサデカンジオール、2,3−ヘプタデカンジオール、1,3−オクタデカンジオール、1,2−デシルテトラデカンジオール等のアルコール系離型剤;グリセリンステアレート、ブチルステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、12−ヒドロキシステアリン酸ステアリルアルコール、ペンタエリスリトール−テトラ−12−ヒドロキシステアレート、エチレングリコール−ジ−12−ヒドロキシステアレート、プロピレングリコール−ジ−12−ヒドロキシステアレート等、前記脂肪酸とアルコール系化合物の縮合体である脂肪族エステル系離型剤;ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリル酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、ジオレイルアジピン酸アマイド、ジオレイルセバシン酸アマイド、ステアロイドエチルステアレート〔C1735CONH(CHOCOC1735〕等、前記脂肪酸とアンモニア又はエチレンジアミン等との縮合体である脂肪酸アマイド系離型剤;ステアリン酸カルシウム等、金属と前記脂肪酸との金属塩である脂肪酸金属石ケン系離型剤;シリコーン系離型剤;等が挙げられる。
これらの離型剤の中でも、揮発性が低い点で、パラフィンワックス;ステアリルステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、グリセリントリステアレート等の脂肪酸エステル系離型剤;N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等の脂肪酸アマイド系離型剤;が好ましい。
離型剤の配合割合は、ノルボルネン系重合体(I)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部の範囲である。
(e4)その他の各種添加剤
必要に応じて配合される添加剤としては、適用する用途分野で一般的に使用されているものであれば特に制限なく用いることができる。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、結晶核剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、有機又は無機の充填剤、スリップ剤、防曇剤、天然油、合成油、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、充填剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、着色剤、シリコーンオイル、発泡剤、界面活性剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
(f)樹脂組成物の調製
本発明の樹脂組成物は、上記ノルボルネン系重合体(I)、所定量の、亜リン酸エステル化合物(a)、ヒンダードアミン化合物(b)、及び、ヒンダードフェノール化合物(c)を混練することにより調製することができる。
前記配合剤を添加する場合、その添加方法としては、これらの配合成分がノルボルネン系重合体中で十分に分散する方法であれば格別な限定はなく、例えば、重合中の任意の過程で添加するか、あるいは溶融押出する任意の過程で添加する方法が挙げられる。
ゴム質重合体を配合剤とする場合には、例えば二軸混練機等でノルボルネン系重合体を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散混合した後に、溶媒を凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法等がある。
混練するために、例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の溶融混練機を用いることができる。混練温度は、好ましくは200〜400℃、さらに好ましくは240〜350℃である。また、混練するに際しては、各成分を一括して混練しても数回に分けて添加しながら混練してもよい。
本発明の樹脂組成物の用途は特に限定されるものではないが、ピックアップレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、光ディスク類等の光学フィルム;等の強力なレーザ光が照射されるような光学材料に好適である。
2)樹脂成形体
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体である。本発明の樹脂組成物は、光学材料に好適であることから、本発明の樹脂成形体は、光学部品であるのが好ましい。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を加熱溶融成形することにより好適に製造することができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、キャスト成形法等の通常の成形方法を用いることができる。
光学レンズ等の立体形状の光学部品を製造するには、射出成形法を採用することが好ましい。
成形された樹脂成形体の表面には、無機化合物、シランカップリング剤等の有機シリコン化合物、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等からなるハードコート層を形成することができる。ハードコート層の形成手段としては、熱硬化法、紫外線硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法が挙げられる。これによって、成形体の耐熱性、光学特性、耐薬品性、耐摩耗性及び耐水性等を向上させることができる。
光学部品としては、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、回折格子、ビデオカメラ用レンズ、望遠鏡レンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類;光学式ビデオディスク、オーディオディスク、文書ファイルディスク、メモリディスク等の光ディスク類;OHPフィルム等の光学フィルム等の光学材料;フォトインタラプター、フォトカプラー、LEDランプ等の光半導体封止材;液晶表示装置用の位相差板、光拡散板、導光板、偏光板保護膜、集光シート等の各種光学部材;等が挙げられる。
なかでも、光学部品は、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、センサーレンズ、レーザビーム用fθレンズ等のレンズ類として、波長390〜430nmの短波長レーザを用いる装置に使用するのに適している。光学部品の形状は、球状、棒状、板状、ファイバー状、筒状、その他の立体形状等任意である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。以下において、部又は%は、特に断りが無い限り重量基準であり、圧力はゲージ圧力である。
なお、各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)分子量
水素化物(I)及び重合体(II)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリイソプレン換算値として以下の装置を用い、以下の条件にて測定した。標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製、標準ポリイソプレン、Mw=602、1,390、3,920、8,050、13,800、22,700、58,800、71,300、109,000、280,000の計10点を用いた。
〈測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC〉
・カラム:東ソー社製 TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXL及びTSKgel G2000HXLを3本直列に繋いたものを用いた。
・流速:1.0ml/分
・サンプル注入量:100μml
・カラム温度:40℃
(2)水素化率
主鎖及び環状炭化水素構造の水素化率は、H−NMRスペクトルを測定し算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
Tgは示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 7121に基づいて測定した。
〔製造例1〕
窒素雰囲気下に、脱水したトルエン690部に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン210部、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン75部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン15部、1−ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3重量%トルエン溶液11部及びトリイソブチルアルミニウム0.5部を加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は14,000、重量平均分子量(Mw)は24,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。なお、重合体のMw及びMnはテトラヒドロフラン(THF)を溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した。
この重合反応溶液240部にアルミナ担持ニッケル触媒(触媒1部中にニッケル0.70部及び酸化ニッケル0.2部含有、細孔容積0.8cm/g、比表面積300cm/cm)4部を加え、オートクレーブ中で190℃、45kgf/cmで5時間水素化反応させた。濾過によって触媒を除去した水素化反応溶液をアセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液に、攪拌しながら注いで、水素化物を沈澱させ、濾別して回収した。回収した水素化物をさらにアセトン200部で洗浄し、次いで1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させた。得られた水素化物(以下、「水素化物(Ia1)」という)の収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。
水素化物(Ia1)の数平均分子量(Mn)は16,500、重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7で、ガラス転移温度(Tg)は145℃であった。
〔製造例2〕
窒素雰囲気下に、脱水したトルエン690部に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン300部、1−ヘキセン1.1部、塩化タングステンの0.3重量%トルエン溶液11部及びテトラブチルスズ0.6部を加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は18,500、重量平均分子量(Mw)は37,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。なお、重合体のMw及びMnはTHFを溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した。
この重合反応溶液240部にアルミナ担持ニッケル触媒(触媒1部中にニッケル0.70部及び酸化ニッケル0.2部含有、細孔容積0.8cm3/g、比表面積300cm/cm)6部とイソプロピルアルコール5部とを加え、オートクレーブ中で230℃、45kgf/cmで5時間水素化反応させた。濾過によって触媒を除去した水素化反応溶液をアセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液に、攪拌しながら注いで、水素化物を沈澱させ、濾別して回収した。回収した水素化物をさらにアセトン200部で洗浄し、次いで1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させた。
得られた水素化物(以下、「水素化物(Ia2)」という)の収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。
水素化物(Ia2)の数平均分子量(Mn)は24,000、重量平均分子量(Mw)は44,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8で、ガラス転移温度(Tg)は140℃であった。
〔製造例3〕
乾燥し、窒素置換した重合反応器に、テトラシクロ(9.2.1.02,10.03,8)テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン94モル%、1,5−シクロオクタジエン(以下、1,5−CODと略記)6モル%からなる単量体混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)、脱水したトルエン1500部、分子量調節剤として1−ヘキセン3.8部、ジイソプロピルエ−テル1.3部、イソブチルアルコール0.33部、トリイソブチルアルミニウム0.84部及び六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液35部を入れ、50℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を50℃に保持し、攪拌しながら、前記重合反応器中に前記単量体混合物693部と六塩化タングステン0.66%シクロヘキサン溶液52部を150分かけて連続的に滴下し、さらに滴下終了後30分間攪拌した後にイソプロピルアルコール1.0部を添加して重合反応を停止させた。ガスクロマトグラフィーによって重合反応溶液を測定したしたところ、モノマーのポリマーへの転化率は100%であった。
次いで、上記開環共重合体を含有する重合反応溶液300部を攪拌器付きオートクレーブに移し、シクロヘキサン100部及び珪藻土担持ニッケル触媒(製品名:T8400RL、日揮化学社製、ニッケル担持率58%)8.0部を加えた。オートクレーブ内を水素で置換した後、170℃、4.5MPaの水素圧力下で8時間反応させた。水素化反応終了後、珪藻土(製品名:ラヂオライト(登録商標)♯500、昭和化学工業社製)をろ過床として、加圧ろ過器(フンダフィルタ−、IHI社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、無色透明な開環共重合体水素化物の溶液を得た。この開環共重合体水素化物溶液をアセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液に、攪拌しながら注いで、開環共重合体水素化物を沈澱させ、濾別して回収した。回収した水素化物をさらにアセトン200部で洗浄し、次いで1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、水素化物(以下、「水素化物(Ia3)」という)を得た。収率は99%であった。重合体主鎖の二重結合の水素化率は99.9%以上、芳香環構造の水素化率は99.8%であった。
水素化物(Ia3)の数平均分子量(Mn)は10,500、重量平均分子量(Mw)は34,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.2で、ガラス転移温度(Tg)は135℃であった。
〔製造例4〕
窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン235mlを装入し、液相及び気相を50リットル/hrの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブに2mlのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」と略記する。)、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記式(2)に示す構造のジアルコキシジクロロチタン触媒を0.001mmol加え重合を開始した。エチレンガス雰囲気下25℃常圧で10分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を5mlの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出後、攪拌後グラスフィルターで濾過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TCD共重合体を得た。
エチレン/TCD共重合体(以下、「重合体(Ib1)」という)の重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=65,000、Mw/Mn=2.15であった。また、ガラス転移温度は132℃であった。
Figure 0005807644
[製造例5]
乾燥窒素で置換したステンレス製耐圧容器に、スチレン76部及びイソプレン4部を密封し、攪拌して、混合モノマーを調製した。次に、乾燥窒素で置換した電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン320部、混合モノマー4部、及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、これらを50℃で撹拌しているところに、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)0.18部を添加して重合を開始した。
反応開始から0.5時間経過した時点(転化率96%)で、重合反応溶液に混合モノマー76部を1時間かけて連続的に添加し、重合反応を継続させた。混合モノマー添加の終了時(転化率95%)からさらに0.5時間経過した時点で、イソプロピルアルコール0.1部を添加して重合反応を停止させた。このようにして、重合体を得た。
この重合体の重量平均分子量(Mw)は、150,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、1.12であった。
次いで、該重合体を含む反応溶液400質量部に、安定化ニッケル水素化触媒(65%ニッケル担持−アルミナ担体)8部を添加し、それをステンレス鋼製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内部を水素ガスで置換し、オートクレーブ内の圧力を4.5MPaに保つように水素を供給し、160℃で6時間水素化反応を行った。次いで、ラジオライト#800を濾過床とする加圧濾過器(製品名:フンダフィルター、IHI社製)を用いて、圧力0.25MPaで加圧濾過して、触媒を除去した無色透明な溶液を得た。
この水素化反応溶液を、アセトン250部とイソプロパノール250部との混合溶液中に攪拌しながら注いで、水素化物を沈澱させ、次いで、濾別して回収した。回収した水素化物を、さらにアセトン200部で洗浄した後、1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、水素化物(以下、「水素化物(II)」という)を収率99%で得た。
水素化物(II)は、水素添加率が99.8%、重量平均分子量(Mw)が100,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.28、ガラス転移温度が125℃であった。
〔実施例1〕
製造例1で得られた水素化物(Ia1)100部と、6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d、f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン(以下、「亜リン酸エステル化合物(a1)」という。)0.1部、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−ヘキサメチレンジアミン(以下、「ヒンダードアミン化合物(b1)」という。)0.3部とを2軸混練機で混練して押し出し、ペレット化した樹脂組成物1を得た。
樹脂組成物1を用いて、以下に示す方法で成形体を作成し、光線透過率を測定し、屈折率温度依存性及び耐短波長レーザ性の試験を行った。
(光線透過率)
上記ペレットを80℃で4時間加熱し乾燥させ、次いで射出成形装置を用いて、寸法65mm×65mm×厚さ3mmの平板状の成形体を得た。この成形体の波長400nm、光路長3mmにおける光線透過率を、分光光度計(製品名:V−570、日本分光社製)を用いて測定した。
(屈折率温度依存性)
上記ペレットを80℃で4時間加熱し乾燥させ、次いで射出成形装置を用いて、寸法90mm×55mm×厚さ5mmの平板状の成形体を得た。得られた成形体の屈折率を自動屈折計(製品名:KPR−200、カルニュー光学工業社製)を用いて、波長587.6nmの屈折率を、試料温度を10℃から60℃まで変化させて測定した。
10℃から60℃での屈折率の温度変化率をdn/dTとして求めた。
(耐短波長レーザ性)
上記寸法65mm×65mm×厚さ3mmの平板状の成形体に、70℃の環境下で、405±10nm、1400mW/cmのダイオードレーザを1000時間照射した。レーザ照射後の成形体の光線透過率を、分光光度計(製品名「V−570」、日本分光社製)を用いて測定し、レーザ照射前の光線透過率からの低下量を求めた。この低下量が小さいほど耐レーザ性に優れていることを示す。
結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、亜リン酸エステル化合物(a1)の添加量を0.1部から0.15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2を調製した。次いで、該樹脂組成物2を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、亜リン酸エステル化合物(a1)の使用割合を0.1部から0.25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物3を調製した。次いで、該樹脂組成物3を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例2において、更にテトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(以下、「ヒンダードアミン化合物(b2)」という。)を0.3部添加したこと以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物4を調製した。次いで、該樹脂組成物4を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
実施例4において、更にペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、「ヒンダードフェノール化合物(c1)」という)を0.05部添加したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物5を調製した。次いで、該樹脂組成物5を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
実施例4において、製造例2で得られた水素化物(Ia2)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物6を調製した。次いで、該樹脂組成物6を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
実施例4において、製造例3で得られた水素化物(Ia3)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物7を調製した。次いで、該樹脂組成物7を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔実施例8〕
実施例4において、製造例4で得られた重合体(Ib1)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物8を調製した。次いで、該樹脂組成物8を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例4において、製造例5で得られた水素化物(II)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物9を調製した。次いで、該樹脂組成物9を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例5において、ヒンダードフェノール化合物(c1)を0.05部から0.1部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂組成物10を調製した。次いで、該樹脂組成物10を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例5において、ヒンダードフェノール化合物(c1)を0.05部から0.3部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂組成物11を調製した。次いで、該樹脂組成物11を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
実施例4において、更にオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(以下、「ヒンダードフェノール化合物(c2)」という)を0.3部添加したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物12を調製した。次いで、該樹脂組成物12を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
実施例4において、亜リン酸エステル化合物(a1)の添加量を0.15部から0.4部に変更したこと以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物13を調製した。次いで、該樹脂組成物13を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
実施例2において、ヒンダードアミン化合物(b)を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物14を調製した。次いで、該樹脂組成物14を用いて、実施例1と同様にして成形体を作成し、試験等を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005807644
表1から、次のことが分かる。
特許文献2に記載されているような、芳香族ビニル単量体の重合体の芳香環水素化物を用いると、屈折率温度依存性が高くなる(実施例1〜8と比較例1)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物を0.05部以上添加すると、耐短波長レーザ性に劣る(比較例2、3)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物を0.05部以上添加すると、耐短波長レーザ性に劣る(比較例4)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を0.3部以上添加すると、耐レーザ性に劣る(比較例5)。
極性基を有しないノルボルネン系重合体に1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物を0.01〜0.3部添加しても、ヒンダードアミン化合物が0.05〜1.0部添加されていないと耐短波長レーザ性に劣る(比較例6)。
本発明の樹脂組成物は、屈折率温度依存性と耐短波長レーザ性のバランスに優れる(実施例1〜8)。

Claims (5)

  1. 極性基を有しないノルボルネン系開環重合体水素化物に、
    (a)前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して0.01〜0.25重量部の、1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物、及び
    (b)前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して0.05〜1.0重量部の、ヒンダードアミン化合物
    が配合されてなり、
    (c)前記(a)の1つのフェノール構造を有する亜リン酸エステル化合物以外のヒンダードフェノール化合物の含有量が、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物100重量部に対して0.05重量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ノルボルネン系開環重合体水素化物が、全単量体に含まれる3環及び4環式単量体の合計量が、全単量体に対し70〜100重量%である単量体を、開環重合して得られる開環重合体を水素化して得られるものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(c)のヒンダードフェノール化合物が、リン酸エステル構造を有さず1つのフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物、又は、2以上のフェノール性水酸基を有するヒンダードフェノール化合物である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ヒンダードアミン化合物が、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−ヘキサメチレンジアミンから選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
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