WO2006025119A1

WO2006025119A1 - インクジェット方式の印刷機

Info

Publication number: WO2006025119A1
Application number: PCT/JP2004/013751
Authority: WO
Inventors: Haruhiko Koto; Masaru Nakano; Hiroyuki Santo; Osamu Satake; Makoto Miyaji
Original assignee: Hamada Printing Press Co., Ltd.
Priority date: 2004-09-02
Filing date: 2004-09-21
Publication date: 2006-03-09
Also published as: JP2006069742A; US20080098910A1; US7909454B2

Abstract

　シートをきわめて安定よく保持できるようにしたインクジェット式の印刷機を提供する。　一方向に回転される印刷ドラム１の外周にインクジェット３を設ける。印刷ドラム１にシートＳの先端部をくわえる開閉可能なくわえ爪１５とシートＳの後端部を押える開閉可能なクランプ２１とを設ける。クランプ２１を開放位置から閉鎖位置に移動させる際に、クランプ２１を印刷ドラム１の回転方向後行側に移動させ、そのクランプ２１との接触によりシートＳの後端部に引張り力を付与してシートＳを緊張させ、その緊張状態でシートＳの後端部をクランプ２１で押えるようにする。また、クランプ２１を吸着手段により印刷ドラム１の周面に密着させてシートＳの押えを確実なものとする。

Description

インクジェット方式の印刷機

技術分野

[0001] この発明は、インクジェットを用いて枚葉紙等のシートに印刷を施すインクジェット方式の印刷機に関するものである。

背景技術

[0002] 回転する印刷ドラムの外周囲にインクジェットヘッドを設け、そのインクジェットヘッド力も印刷ドラムの周面に保持された枚葉紙等のシートにインキを噴射して印刷を行なうインクジェット方式の印刷機は従来力も知られている。

[0003] 上記のようなインクジェット方式の印刷機においては、インクジェットヘッドの複数のノズルを有するヘッドとシートとのギャップが小さければ小さいほど吐出されたインクドットに対する外乱が少なくなるため、印字品質が良好になる。しかし、逆に、上記ギヤップが小さ過ぎるとシートの状態によってはインクジェットヘッドと接触し、汚れや事故の原因となる。実用的にはインクジェットヘッドとシートが印字のための相対運動をするにあたって機械的接触などの不都合が無い限界までインクジェットヘッドとシートを近接させて用いられる。通常、このギャップはきわめて小さいため、印刷ドラムの周面へのシートの保持が不十分であると、精度の高い印刷を行なうことができず、また、シートがヘッドに接触してシートの印刷面に汚れが生じるおそれがある。

[0004] したがって、上記印刷機においては、印刷ドラム上においてシートをその全体が印刷ドラムの周面に密着するよう安定よく保持する必要がある。

[0005] シートの保持に際し、静電気やエアの吸引によって印刷ドラムの周面に直接吸着させる方式と、帯状又は分割されたクランプによってシートの端部を押える方式とが従来力知られている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] ところで、特許第 2868723号公報に開示されているような静電気などの面的な吸着によるシートの保持方法においては、シート保持はせん断方向の力は強いが垂直方向の力は弱い傾向にあるため、腰の強いシートを印刷する場合、シート端部の吸着が不十分になり易ぐ特にシートが厚い場合にシート端部が印刷ドラムの周面から浮き上がるという不都合がある。また、高速で回転するシートを保持しておくためには大量の静電気力が必要で、インクジェットヘッドを印刷ドラム近傍に配置しなければならないインクジェット方式の印刷機では放電等の危険を伴う。

[0007] また、特許第 2868723号公報に開示されているような負圧による印刷ドラムへのシートの保持方法については、シート中央部のような閉ざされた場所ではシートを印刷ドラムに良好に吸着することができるが、シート端部では端力も気体を吸い込むため負圧を維持できず、シート端部を効果的に吸着保持することができない。さらにシートが紙のような吸収性のシートである場合、シートに付与される負圧によってインクジヱットヘッドにより塗布されたインクがシート内へ浸透し、この浸透具合で発色が変化し、安定した印字品質を得ることができな、場合がある。

[0008] 一方、クランプなどの機械的な押えによるシートの保持方法においては、シートの端部を押えるため、シート端部の浮き上がりを防止することができるという特徴を有するものの、以下のような不具合がある。

[0009] すなわち、一般的な構造のクランプ装置は印刷ドラムの半径方向に開閉させる構成であるため、シートに引張り力を付与することができず、シートにたるみが生じて印刷ドラムの周面力浮き上がり、シートの全体が印刷ドラムの周面に密着する安定した取付け状態を得ることができな、と、う不都合がある。

[0010] クランプを用いてシートに張力を付与する装置として特開平 7— 195780号公報に記載の装置が知られているが、シート後端部分に対応する回転ドラムの一部を分割可動にして張力を付与する構造のため、様々なサイズのシートを高速で印刷する汎用的な印刷機には適して、な、と、う問題があった。

[0011] また、クランプは印刷ドラムの軸方向に延びる両端部をドラム中心側に引き寄せてシートを押えるため、厚みが厚いシートを押えたとき、シート端部にクランプが斜めに乗り上げる状態になり、シート上でクランプが湾曲して波打ち、クランプの長さ方向中央部が印刷ドラム表面力半径方向外側に大きく突出する。このため、クランプは剛 '性の高い厚みのあるものでなければならない。この場合、インクジェットのヘッドと印刷ドラムの周面間に適切な寸法のギャップを確保することができな、。

[0012] また、特許第 2559043号公報に開示されているように、印刷ドラムの軸方向に複数に分割されたシート後端クランプも実用化されているが、シート後端の一部のみを押えるため、あらかじめ端が折れたシートが供給された場合は、その折れた部分を押えることができない場合があった。また、この方式の印刷ドラムはシートを保持するドラム表面を円周方向にリング状に分割し、そのリングの間に分割クランプを円周方向移動自在に保持することにより様々なサイズのシートを保持できるようにして!/、るが、この分割されたシートを滑らかな状態で保持すべき印刷ドラム表面を平坦な状態にするために複雑で精度が要求される機構を必要とし、装置が非常に高価になるという欠点がめった。

[0013] この発明の課題は、印刷ドラムの周面にシートをきわめて安定よく保持することができるようにして精度良く高速に印刷が行なえるようにしたインクジェット方式の印刷機を提供することである。

課題を解決するための手段

[0014] 上記の課題を解決するために、第 1の発明においては、回転する印刷ドラムと、その印刷ドラムの外周囲に設けられたインクジェットヘッドとを有し、前記インクジェットヘッドのノズルから印刷ドラムの周面に保持されたシートにインキを噴射して印刷を行うインクジェット方式の印刷機において、前記印刷ドラムに、シート先端部を保持するシート保持機構と、シートの後端部を印刷ドラムの周面に押える開閉可能なクランプと、前記クランプを開閉する開閉機構と、長さが異なるシートの後端位置に対応して前記クランプを前記開閉機構と共に印刷ドラムの周方向に位置調整する位置変更機構と、前記クランプをシートの後端部と共に印刷ドラムの外周面に吸着する吸着力発生手段とを設けた構成を採用している。

[0015] また、第 2の発明においては、前記クランプを印刷ドラムの軸方向に延びる帯状の薄板によって形成し、そのクランプの厚みとシートの厚みをカ卩えた大きさを印刷ドラムの外周とインクジェットヘッド間に形成されたギャップよりも小さくなるようにクランプの厚みを設定してインクジェットヘッドに干渉せずにシートを保持できるようにした構成としている。 [0016] また、第 3の発明においては、新たに印刷ドラムに保持されるべく供給されたシートをシート保持機構が保持した後、そのシートの後端をクランプによって保持しようとする際、前記クランプがクランプ開放位置力シートの後端部と印刷ドラムの周面に跨力 ¾閉鎖位置への移動時に印刷ドラムの回転方向後行側に向けて移動させるようにすることにより、クランプとシートの接触面の摩擦力によりシートに張力を与えてたるみを除去しシートを安定的に保持し得るようにして!/、る。

[0017] また、第 4の発明においては、シート保持機構によるシート保持力が、第 3の発明における前記クランプのシート保持動作時にシートに与える印刷ドラム周面接線方向張力より強ぐかつ、シートとクランプの接触による摩擦力がシートと印刷ドラム表面の接触による摩擦力より大きく設定して、クランプがシートに張力を与えてたるみを除去する動作時にシートの先端がシート保持機構力も外れることのな、ようにしたのである。

[0018] 第 1乃至第 3の発明に係るインクジェット方式の印刷機において、前記印刷ドラムに複数のシート保持機構をドラム周方向に等間隔に設け、各保持機構に対応してクランプを設けると、複数のシートを同時に印刷することができ、印刷効率の向上を図ることがでさる。

[0019] 第 1および第 2の発明に係るインクジェット方式の印刷機において、前記吸着力発生手段として、印刷ドラムの外周を磁気吸着力を有する吸着体で構成し、前記クランプを磁性体で形成し、そのクランプを吸着体で吸着するようにした構成力なるものや、印刷ドラムの外周全体に多数の吸引孔を形成し、印刷ドラムの内部には吸引へッドを設け、その吸引ヘッドによってクランプにより閉鎖される吸引孔に吸引力を付与して、クランプを印刷ドラムの周面に吸着させるようにした構成力も成るものを採用することがでさる。

[0020] ここで、印刷ドラムの外周囲には、印刷ドラムの周面に対して接離自在とされ、接触時にシート保持機構で先端部がくわえられたシートを印刷ドラム表面に密着させる回転自在の押えローラを設けておくと、上記押えローラによってシートを印刷ドラムの外周に押し付けることができるため、印刷ドラムに対してシートをより効果的に密着させることがでさる。

発明の効果 [0021] 本発明によれば、閉鎖位置でのクランプはシートサイズに合せて調整され、吸着機構によりシートの後端部を印刷ドラム表面に吸着された状態で押えるため、シートのサイズによらずシートの後端部を確実に保持することができると共に、クランプとして剛性の低い薄肉厚の金属薄板を採用することができる。このため、インクジェットへッドとシート間のギャップを非常に小さく設定できるため、高品質の印刷が可能になる。また、クランプでシート後端を押える面積が小さくても確実に保持力を発生できるため、シートの後端近くまで広く有効印刷工リアとして印刷を行なうことができる。

[0022] また、印刷ドラム表面の吸着力はクランプ部分のみに作用し、シート自体にほとんど影響を及ぼさないため、シートのサイズや材質によらず良好な印字品質が得られる。

[0023] さらに、シートの後端部を押えるクランプを開放位置か閉鎖位置に移動させる際に、印刷ドラムの回転方向後行側に移動させて、そのクランプとの接触による摩擦力によりシートの後端部に引張り力を与えるようにしたので、シートをその全体が印刷ドラムの周面に密着する安定した状態に保持することができ、インクジェットによってきわめて精度の高、印刷を施すことができる。

図面の簡単な説明

[0024] [図 1]この発明に係る印刷機の実施の形態を示す一部切欠正面図

[図 2]図 1に示す印刷ドラムの縦断側面図

[図 3]印刷ドラムの一部を拡大して示す断面図

[図 4]印刷ドラムの一部を拡大して示す縦断正面図

[図 5]クランプ部を示す断面図

[図 6]吸着手段の他の例を示す縦断正面図

[図 7]図 6の縦断側面図

[図 8]図 6の平面図

符号の説明

[0025] 1 印刷ドラム

3 インクジェットヘッド

15 くわえ爪

20 吸着体 21 クランプ

45 押えローラ

50 吸引孔

51 吸引ヘッド

52 吸盤

発明を実施するための最良の形態

[0026] 以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図 1に示すように、この発明に係る印刷機は、回転される印刷ドラム 1と、その印刷ドラム 1に枚葉紙等のシート Sを供給する給紙装置 2と、印刷ドラム 1の外周上部に設けられて印刷ドラム 1の周面に保持されて周方向に搬送されるシート Sにインキを噴射して印刷を行なうインクジエツトヘッド 3と、印刷後のシート Sを印刷ドラム 1から受け取って排紙部 4まで搬送する排紙装置 5とを有している。

[0027] 給紙装置 2は、シートコンペャ 2aによってシート Sを一枚ずつ連続して一方向に搬送し、シートコンペャ 2aの排出端まで送られたシート Sの先端部をスインググリッパ 2b の揺動側端部でつかみ、そのスインググリッパ 2bを一方向に回転する渡し胴 2cに向けて揺動させて、上記渡し胴 2cに設けられたくわえ爪とスインググリッパ 2bの相互間でシート Sの受け渡しを行なうと共に、渡し胴 2cと印刷ドラム 1との間でシート Sの受け渡しを行なうようにしている。

[0028] インクジェットヘッド 3はノズル面 3aを有し、そのノズル面 3aと印刷ドラム 1の周面間に lmm程度のギャップ Gが設けられて!/、る。このインクジェットヘッド 3はノズル面 3a に設けられた多数のノズル（図示省略)から印刷ドラム 1の周面に向けてインキを噴射してシート Sに印刷を行なうようになって、る。

[0029] 排紙装置 5は、紙取り胴 5aにかけられたチェーン 5bに複数のグリッパバー 5cを等間隔に取付けたチェーンデリバリから成り、前記印刷ドラム 1とグリッパバー 5cとの間でシート Sの受け渡しを行な!/、、グリッパバー 5cで保持されたシート Sをチェーン 5bの移動により排紙部 4まで搬送してシート Sの保持を解除するようにしている。

[0030] 図 2乃至図 4は印刷ドラム 1を示す。印刷ドラム 1はドラム軸 10を両端部に有し、そのドラム軸 10が印刷機の一対のフレーム 11によって回転自在に支持されて、る。 [0031] 印刷ドラム 1の一端部にはギヤ 12が取付けられ、そのギヤ 12に対する駆動トルクの伝達によって印刷ドラム 1は図 1および図 4の矢印方向に回転される。

[0032] 印刷ドラム 1の外周には軸方向に延びる溝状の凹部 13が周方向に等間隔に形成され、各凹部 13内に爪軸 14が設けられている。

[0033] 爪軸 14は上記凹部 13の両端壁部に回転自在に支持され、その爪軸 14の上記凹部 13内に位置する部分に複数のくわえ爪 15が取付けられている。なお、ここでは、シート保持機構としてくわえ爪を例に説明しているが、シート先端部を適切に保持できる機構であれば負圧、静電気力等の方式も利用可能である。

[0034] 図 2に示すように、くわえ爪 15は開閉機構としてのカム機構 16によって開閉される。

カム機構 16は、爪軸 14の両端部それぞれにローラアーム 17の一端部を取付け、各ローラアーム 17の他端部に支持された回転自在のローラ 18をフレーム 11の内面に取付けられた爪開閉用カム 19の外周に図示省略したスプリングを介して弾性接触させ、印刷ドラム 1の回転によりローラ 18を爪開閉用カム 19の外周に沿って転動させてくわえ爪 15を開閉させるようにしており、左右の爪開閉用カム 19は共役カムになっている。なお、ここでは、クランプ開閉機構としてカム機構を採用しているが、クランプを開閉するための機構であればモーター、ソレノイド等の方式も利用可能である。

[0035] くわえ爪 15は通常閉鎖状態に保持され、印刷ドラム 1の回転中にシート Sが供給される必要がある場合には渡し胴 2cと対向する位置で爪開閉用カム 19の動作により一時的にくわえ爪 15が開閉し、開放状態力も閉鎖状態に切り換わるときに渡し胴 2c 力もシート Sを受け渡される。また、印刷ドラム 1に保持されたシート Sを排出する必要がある場合には、紙取り胴 5aに対向する位置において爪開閉用カム 19の動作により一時的にくわえ爪 15が開閉し、閉鎖状態力も開放状態に切り換わるときに排紙装置 5のグリッパバー 5cへシート Sを受け渡すようになって!/、る。

[0036] 図 1および図 4に示すように、印刷ドラム 1の前記凹部 13間における各周面は厚さ 3 . 2mmの磁気吸着力を有するシート状磁性ゴム (ゴム磁石)である吸着体 20によって構成されている。このとき、吸着体 20の印刷ドラム 1の回転方向先端はアンビル 20a に、及び後端はバー 20bにそれぞれ接着剤によって固定されており、アンビル 20a 及びバー 20bは印刷ドラム 1に対して着脱自在に固定されており吸着体 20を交換可能にしている。吸着体 20の表面は平面状に研磨仕上げされており、円筒状に研磨仕上げされている印刷ドラム 1に密着保持されることによりインクジェットヘッド 3とのギヤップを正確に保つことができる。なお、印刷ドラム 1表面にシート状磁性ゴムである吸着体 20を密着保持後、円筒状に研磨仕上げしてもギャップの精度を確保できる。さらに吸着体を別部品とせず、印刷ドラム 1そのものを磁性体で構成することも考えられる。

[0037] なお、磁性ゴムとして、使用するインクに対する耐食性のあるゴム基材を用いるか、表面を耐食コートすることが必要である。

[0038] 各吸着体 20上にくわえ爪 15によって先端部がくわえられたシート Sの後端部を吸着体 20の外周に押し付けるクランプ 21が設けられてヽる。

[0039] クランプ 21は磁性体から成る厚さ 0. 2mm、幅 20mmのステンレス薄板 SUS304C SPから形成されて吸着体 20により吸着可能とされている。クランプ 21の厚さは薄い方が印刷ドラム 1の外周に沿って湾曲しやすぐシート Sを確実に押し付けることができるが、一方、磁力による吸引力はクランプ厚さの厚いほうが大きい。したがって、クランプ 21として 0. 05—0. 5mm望ましくは 0. 1—0. 3mmの厚みのステンレス薄板が使われる。なお、クランプの材質は磁力、強度、耐食性からステンレス合金が優れるが用途によっては強い磁性を持つばね鋼なども利用できる。

[0040] 図 3に示すように、クランプ 21は印刷ドラム 1の軸方向に 1枚物として長く伸び、その両端部は印刷ドラム 1の内部方向に直角に折り曲げられたコの字形状をして、る。この折り曲げ部は印刷ドラム 1の外周両端部に設けられたスロット 23内に挿入され、各折曲部にクランプアーム 24の先端部が連結されている。

[0041] 図 3および図 4に示すように、クランプアーム 24の後端部にはショートリンク 25の一端部が連結され、その連結位置よりアーム後端側にロングリンク 26の一端部が連結されている。ショートリンク 25の他端部は第 1軸 27に支持され、その第 1軸 27は印刷ドラム 1の内部に設けられた 2枚の環状板 28によって回転自在に支持され、上記第 1 軸 27を中心としてショートリンク 25が揺動可能とされている。

[0042] 一方、ロングリンク 26の他端部は第 2軸 29によって支持され、その第 2軸 29は上記環状板 28によって回転自在に支持され、上記第 2軸 29を中心してロングリンク 26が揺動自在とされている。

[0043] ここで、 2枚の環状板 28は、その環状板 28間に渡された複数のステー 30により連結されて印刷ドラム 1の軸心と同心の操作軸 44を中心に回転、摺動自在に支持され、上記環状板 28を回転させることにより複数のクランプ 21が同時に周方向に位置調整されるようになっている。

[0044] 上記のように、クランプ 21を印刷ドラム 1の周方向に位置調整自在とすることによつてサイズの異なるシート Sの後端部を押えることができる。

[0045] クランプ 21は、図 2に示すカム機構 31によって開閉される。カム機構 31は、印刷ドラム 1の両端部から外部に臨む第 2軸 29の両端部それぞれにローラアーム 32の一端部を取付け、各ローラアーム 32の他端部に支持された回転可能なローラ 33をフレーム 11の内面に取付けられたクランプ開閉用カム 34の外周に図示省略したスプリングを介して弾性接触させ、印刷ドラム 1の回転によりローラ 33をクランプ開閉用カム 3 4の外周に沿って転動させてクランプ 21を開閉させるようにしている。なお、左右のクランプ開閉用カム 34は共役カムになっている。

[0046] ここで、クランプアーム 24に連結されたショートリンク 25は前述のように、第 1軸 27を中心にして揺動自在であり、一方、ロングリンク 26は第 2軸 29を中心にして揺動自在であるため、開放位置のクランプ 21がシート状磁性ゴム 20の周面に当接する閉鎖位置に移動される際、クランプ 21は図 5の矢印で示すように、印刷ドラム 1の回転方向先行側に移動したのち後行側に向けて移動して閉鎖状態とされる。

[0047] クランプ 21はその閉鎖状態において、シート Sの後端部と吸着体 20の周面に跨がるようシート Sのサイズに応じて予め位置調整される。

[0048] クランプ 21を周方向に位置調整する前記環状板 28は図 3に示すロック機構 35によつて印刷ドラム 1に対してロックされる。

[0049] ロック機構 35は、一方の環状板 28の外側に印刷ドラム 1と一体に回転する制動板 3 6を設け、環状板 28の他側方にパッド 37を設け、そのパッド 37を環状板 28に向けて移動させて、環状板 28を制動板 36に押し付けるようにして、る。

[0050] パッド 37を環状板 28に向けて移動させるため、ここでは、制動板 36に固定された支持片 38にピン 39を介してレバー 40を揺動自在に支持し、そのレバー 40の一端部にパッド 37を取付け、レバー 40の他端部と制動板 36とを二接リンク 41で連結し、その二接リンク 41の屈曲部にリンク 42の一端部を連結し、リンク 42の他端部に連結された L形アーム 43を印刷ドラム 1の軸心上に配置された操作軸 44に取付け、その操作軸 44の軸方向の移動によってパッド 37を環状板 28に対して移動させるようにしている。

[0051] 図 1に示すように、給紙装置 2における渡し胴 2cの上側には押えローラ 45が設けられている。押えローラ 45は印刷ドラム 1の外周に対して接離自在とされ、接触時にはくわえ爪 15によって先端部がくわえられて印刷ドラム 1の周方向に搬送されるシート S を印刷ドラム 1の周面に密着させるようになつている。

[0052] 実施の形態で示す印刷機は上記の構造力成り、給紙装置 2によって印刷ドラム 1 にシート Sが供給されると、このシート Sはくわえ爪 15によって先端部がくわえられ、印刷ドラム 1の回転によって周方向に搬送される。

[0053] このとき、押えローラ 45は印刷ドラム 1と接触する位置に配置されている。このため、印刷ドラム 1の周方向に搬送されるシート Sは押えローラ 45により印刷ドラム 1の周面に押し付けられてドラム周面に密着される。

[0054] 印刷ドラム 1の周面にシート Sが沿う状態になると、クランプ開閉用のカム機構 31の作用により、クランプ 21は印刷ドラム 1の周面に当接する閉鎖位置とされる。

[0055] このとき、クランプ 21はショートリンク 25およびロングリンク 26の揺動によって印刷ドラム 1の回転方向先行側に移動したのち後行側に移動して閉鎖状態となるため、シート Sの後端部はクランプ 21との接触により引張り力が付与されることになる。

[0056] ここで、シート供給時のシート Sとクランプ 21の相対位置関係について述べると、シート Sを保持する直前状態にあるとき、クランプ 21は図 5の 21aの位置にあり、シート S の後端と全く干渉しない位置にある。次に、クランプ 21bの位置では印刷ドラム 1の半径方向遠方力もシート Sの後端を上力も押え込むように動作する。クランプ 21cの位置ではクランプ 21の中央部はシート状磁性ゴム 20に吸引されて凹状に湾曲しクランプ 21の一部がシート Sをはさんだ状態でシート状磁性ゴム 20に接触する。部分的にシート Sの後端を押えながら印刷ドラム回転方向後行側に移動しつつ半径方向内側へも移動し、最後にクランプ 21の全面がシート S後端を挟んだ状態でシート状磁性ゴム 20に吸着される位置 21dで固定される。この時、くわえ爪 15によるシート Sの保持力： K、クランプ 21とシート Sとのすベり摩擦力： Μ、シート Sと印刷ドラム 1 (吸着体 20) 表面とのすべり摩擦力： Dとすれば K>M>Dの関係になっており、クランプ 21がシート Sと接触しながら後行側へ移動することによりクランプ 21につられてシート Sには印刷ドラム後行側へ張力が付与される。この一連の動作によりシート Sをくわえ爪 15 で安定的に保持しつつたるみ無く後端まで確実に印刷ドラム表面に密着保持することが可能である。また、このようなクランプ機構は、オフセット印刷機などの渡し胴や、その他複雑な回転ドラム構成の装置に利用する場合でも、紙傷や汚れの防止において充分な効果がある。

[0057] このように、クランプ 21を閉鎖状態とすることによってシート Sをその全体が印刷ドラム 1の周面に密着する安定した状態に確実に保持することができるため、インクジエツトヘッド 3をシート Sに対して適切なギャップを設定でき精度の高い印刷を施すことができると共に、クランプ 21がシート Sを押えるシート押え寸法を短くすることができるため、シート Sの後端近くまで印刷を施すことができる。具体的には紙厚の 3倍ないし 2 00倍、望ましくは 20倍ないし 100倍のシート押え寸法であれば、安定して紙を押えることができ、かつ有効印刷範囲を広くできる。

[0058] シート Sに印刷が施されると、印刷ドラム 1と排紙装置 5との間でシート Sの受け渡しが行なわれる。その受け渡しに際し、印刷ドラム 1のくわえ爪 15が開放し、グリッパバ一 5cがシート Sの先端部をくわえた後、シート Sの後端が印刷ドラム 1の周面力も離れる位置まで回転すると、あら力じめクランプを開くための位置にセットされた開閉用力ム 34によりカム機構 31が動作しクランプ 21を開放してシート Sの後端部の押えを解除する。その時、カム機構 31によるクランプ 21の解離力は、クランプ 21に対する吸着体 20の吸着力よりも大きぐ例えば吸着体を電磁石で構成し吸着力のオンオフなどをするような複雑な構成をとることなぐ極めて簡単にクランプを開放できる。

[0059] 印刷後のシート Sは排紙装置 5により排紙部 4まで搬送されて排出される。

[0060] 印刷されるシート Sのサイズが変更になると、シート Sのサイズに応じてクランプ 21の位置を調整する。

[0061] クランプ 21の位置調整に際しては、あら力じめ設けられているクランプ開閉用の力ム（図示省略）においてクランプが全て開状態になされた後、フレーム 11からピン（図示省略)を出してフレーム 11に対して環状板 28を位相固定する。この後、図 3に示すロック機構 35を作動して環状板 28のロックを解除し、そのロック解除後に、ギア 12へ駆動力を与えることにより印刷ドラム 1を印刷されるシート Sのサイズに応じて必要量回転させる。このとき、複数のクランプ 21は環状板 28に支持されているため、複数のクランプ 21を同時に位置調整することができる。

[0062] クランプ 21の位置調整後は、ロック機構 35を作動させて環状板 28をロックし、フレーム 11からピンを弓 Iき抜、て環状板 28のロックを解除する。

[0063] 図 5に示す例においては、印刷ドラム 1の周面に磁気吸着体を取付け、その磁気吸着体によりクランプ 21を吸着するようにしたが、クランプ 21を吸着する吸着手段はこれに限定されるものではな、。

[0064] 例えば、図 6および図 7に示すように、印刷ドラム 1の周壁に軸方向に等間隔に並ぶ複数の吸引孔 50を印刷ドラム 1の周方向に形成し、印刷ドラム 1の内側には吸引ヘッド 51を設け、クランプ 21の閉鎖時に、そのクランプ 21によって閉鎖される吸引孔 50を吸引ヘッド 51で吸引するようにしてもよい。

[0065] 上記のような吸引手段においては、吸引ヘッド 51とクランプ 21とを同位相で周方向に位置調整できるようにしてサイズの異なるシート Sにも対応できるようにしておく。

[0066] クランプ 21と吸引孔 50及び吸盤 52の位置関係を印刷ドラム上部から見た一例を図 8に示す。印刷ドラム 1の表面に直径 3mmの吸弓 |孔 50を印刷ドラム周方向に 1 Om mピッチ Pで配置し、軸方向には 11列配置し、各列はそれぞれ周方向に lmmの間隔 Oずつオフセットして配置する。吸引ヘッド 51は幅 20mmのクランプ 21の直下、印刷ドラム 1内部にクランプ 21と同位相で移動可能に配置し、吸盤 52は有効吸引径 15 mmとし、吸引孔 50と軸方向間隔を同一にして配置している。このような配置にすれば、クランプがどのような位相にあってもクランプ 21直下の吸引孔 50の各周方向列の内の少なくとも一つには吸引力を付与でき、確実にクランプを吸着することができるため様々なサイズのシートに対応可能である。

[0067] また、図 1乃至図 5に示す実施形態では、くわえ爪 15で先端部がくわえられたシート Sの後端部を引っ張るようにクランプ 21を印刷ドラム 1の回転方向後行側に移動させるようにした力押えローラ 45を設けることにより、その押えローラ 45でシート Sを印刷ドラム 1の周面に密着させることができるため、クランプ 21を印刷ドラム 1の半径方向に開閉自在に設けるようにしてもょ、。

Claims

請求の範囲

[1] 回転する印刷ドラムと、その印刷ドラムの外周囲に設けられたインクジェットヘッドとを有し、前記インクジェットヘッドのノズルから印刷ドラムの周面に保持されたシートにインキを噴射して印刷を行うインクジェット方式の印刷機にぉヽて、前記印刷ドラムに、シート先端部を保持するシート保持機構と、シートの後端部を印刷ドラムの周面に押える開閉可能なクランプと、前記クランプを開閉する開閉機構と、長さが異なるシートの後端位置に対応して前記クランプを前記開閉機構と共に印刷ドラムの周方向に位置調整する位置変更機構と、前記クランプをシートの後端部と共に印刷ドラムの外周面に吸着する吸着力発生手段とを設けたことを特徴とするインクジェット方式の印刷機。

[2] 前記クランプが、印刷ドラムの軸方向に延びる帯状の薄板力も成り、そのクランプの厚みとシートの厚みを加えた大きさを印刷ドラムの外周面とインクジェットヘッド間に形成されたギャップよりも小さくした請求項 1に記載のインクジェット方式の印刷機。

[3] 前記クランプが、印刷ドラムの周面より離れた開放位置力もシートの後端部と印刷ドラムの周面に跨がる閉鎖位置への移動時に印刷ドラムの回転方向先行側力後行側に向けて移動するようにした請求項 1又は 2に記載のインクジェット方式の印刷機。

[4] 前記シート保持機構によるシートの保持力 :K、クランプとシートとのすべり摩擦力： Μ、シートと印刷ドラム表面とのすべり摩擦力： Dとしたとき、 K>M>Dの関係になるようにした請求項 3に記載のインクジェット方式の印刷機。

[5] 前記シート保持機構の複数をドラム周方向に等間隔に設け、各前記シート保持機構に対応して前記クランプを設けた請求項 1乃至 4のいずれかに記載のインクジエツト方式の印刷機。

[6] 前記吸着力発生手段が、印刷ドラムの外周を磁気吸着力を有する吸着体とし、前記クランプを磁性体で形成し、そのクランプを吸着体で吸着するようにした構成からなる請求項 1乃至 5のいずれかに記載のインクジェット方式の印刷機。

[7] 前記吸着体が、前記印刷ドラム外周に沿って変形可能なシート状磁性ゴム力なる請求項 6に記載のインクジェット方式の印刷機。

[8] 前記吸着力発生手段が、印刷ドラムの外周全体に多数の吸引孔を形成し、印刷ドラムの内部には吸引ヘッドを設け、その吸引ヘッドによってクランプにより閉鎖される吸引孔に吸引力を付与して、クランプを印刷ドラムの周面に吸着させるようにした構成力成る請求項 1乃至 5のいずれかに記載のインクジェット方式の印刷機。

[9] 前記印刷ドラムの外周囲に、その印刷ドラムの周面に対して接離自在とされ、接触時に前記シート保持機構により先端部が保持されて印刷ドラムと共に回転するシートを印刷ドラムの周面に押し付ける回転可能な押えローラを設けた請求項 1乃至 8のいずれかに記載のインクジェット方式の印刷機。

[10] 前記開閉機構のクランプ解離力を前記吸着力発生手段によるクランプ吸着力より大きくした請求項 1乃至 9のいずれかに記載のインクジェット方式の印刷機。