JP3676008B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転可能なドラムに印字媒体を保持させかつ回転中の印字媒体にインクを吹付けて印字するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
各色用ノズルユニットを行方向の全長に渡って往復移動させかつその各往動中に印字して1行印字をし、1行印字後に印字媒体(普通紙,OHP用紙等)Mを列方向に1行送りしてこれらを繰り返すいわゆるシリアル型のインクジェットプリンタに比較して大幅な印字高速化を図れかつ多数枚に渡って連続印字運転可能であるとともに、いわゆるレーザープリンタに比較して大幅な小型化を図れるインクジェットプリンタが本出願人から提案(例えば、特願平8−296957号)されている。
【0003】
すなわち、図4において、ドラム10は一定の周速度で回転可能でありかつその外周面11に印字媒体Mを保持可能である。このドラム10の回転(Y)方向には各色用ノズルユニット200が配設されている。したがって、行方向(紙面に垂直方向)の全長に一体型の各色用ノズルユニット200あるいは行方向に複数のノズルユニット要素を並べた一体的な各色用ノズルユニット200を、例えばインクジェットノズル間ピッチ分だけ往復移動させつつ回転中の印字媒体Mに各色用インクジェットノズル207からインクを吹付けて行方向印字させるとともに、インクジェットノズル間ピッチの往動中にドラム10の回転を利用しつつ列方向印字させることができる。つまり、行方向印字と列方向印字とを同時的に進行可能であるから大幅な印字高速化を図れる。
【0004】
また、各色用ノズルユニット200と当該各色用インクタンク(インクカセット)213が離れた位置に配設されているので、各色用ノズルユニット200を軽くでき行方向の往復移動速度をより大幅に高められる点も一層の印字高速化を助長するとともに、各色用インクタンク(インクカセット)213の容量を大幅に拡大できるので、例えば500枚以上の連続印字運転ができるわけである。
【0005】
これらを実現化するために、ドラム10の一方(図4で右)側には媒体給送手段60と媒体供給手段90とが設けられ、他方(図4で左)側には媒体剥離手段140と媒体排出搬送手段160と方向切換手段190とが設けられている。
【0006】
媒体給送手段60は、カセット給送手段71および手差給送手段61のいずれか一方から選択的に1枚ずつ印字媒体Mを給送できる。媒体供給手段90は、給送されて来た印字媒体Mを所定のタイミングでドラム10側へ給送する。媒体剥離手段140は印字後印字媒体Mをドラム10から剥離し、かつ媒体排出搬送手段160は剥離された印字媒体Mを図4で左方向に排出搬送する。方向切換手段190は、排出トレイ192および上部排出トレイ193のいずれかに選択切換する。
【0007】
かくして、印字媒体Mの給送,供給,保持,印字,剥離,排出搬送を連続して行えるから、1分間に例えば20枚以上のA4サイズについて多色カラー印字することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるインクジェットプリンタでは、回転中のドラム10(11)に印字媒体Mを保持させるための媒体保持手段の確実性,安定性が十分であることが重要である。
【0009】
この媒体保持手段としては、負圧吸着力,静電気吸着力や機械的挟持力のいずれかまたはこれらの任意の組合せを利用することが好ましい。かくして、例えばドラム10の直径や回転速度との関係において、静電気吸着力を主(従)としてかつ機械的挟持力を従(主)とした選択をする場合がある。
【0010】
かかる組合せでは、ドラム10へ供給される印字媒体Mに例えば負極帯電させるには、チャージャーを用いて非接触帯電させるのに比較して、帯電ローラを印字媒体Mに接触させつつ帯電させる方が効率的である。一方、回転中のドラム10に機械的挟持力を与えるには、例えば挟持爪をドラム10側に設ける必要がある。したがって、不使用時には挟持爪をドラム外周面より内側に没入させかつ使用時にはドラム外周面に印字媒体Mを押圧挟持可能な姿態としなければならない。
【0011】
しかし、静電気吸着力に関しては、帯電ローラをドラム外周面に常時接触させておくと、例えばA4サイズ1枚をドラム1回転で印字完成させるように構築した場合は問題ないが、ドラム複数回転で印字完成させる場合には先に印字された印字媒体M上のインクに帯電ローラが接触してしまうので印字品質を低下させてしまうという問題が生じる。
【0012】
一方の機械的挟持力に関しては、ドラム1回転およびドラム複数回転のいずれかで1枚印字を完成するように構築したとしても、挟持爪が供給される印字媒体Mの先端を挟持できるように形成するのが有効でかつ具現化容易である。
【0013】
さらに、両者の組合せに関しては、帯電ローラによる帯電を印字媒体が挟持されると同時的に帯電可能とするのが好ましい、しかし、挟持爪と帯電ローラとの干渉が生ずる虞れが強い。
【0014】
かくして、印字品質を維持できかつ高能率の静電気吸着力が得られ、また干渉なく機械的挟持力と静電気吸着力とを得ることのできる媒体保持手段の開発およびこれを備えるインクジェットプリンタの出現が強く望まれている。
【0015】
本発明の第1の目的は、静電気吸着力を高能率で得られかつ印字高品質を維持することのできるインクジェットプリンタを提供することにある。また、第2の目的は干渉なく機械的挟持力と静電気吸着力を確実に得られるインクジェットプリンタを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上述した課題を解決するために、軸線を中心として回転可能なドラムの外周面に帯電ローラを用いて帯電された印字媒体を吸着保持可能かつ回転中の印字媒体にインクを吹付けて印字可能に形成する一方、前記ドラムの外周面に前記印字媒体の一部をドラム外周面に押圧して挟持可能な挟持爪を装着するための凹部を形成し、前記ドラムの外周面で凹部に相当する位置に半径がドラム半径よりも大きくかつドラム周方向の始端および終端がドラム半径に等しくされるとともに前記軸線方向に離隔された複数の円弧形状ガイドを形成し、前記帯電ローラが円弧形状ガイドに沿って相対移行するように構成し、前記帯電ローラが吸着保持された印字媒体の後端側所定部位を離れた後に帯電ローラをドラム外周面から離反可能に形成したことを特徴とするインクジェットプリンタを提供するものである。
【0017】
かかる発明では、印字媒体が供給される以前に帯電ローラを回転中のドラム外周面に接触させておけるから、印字媒体がドラムに供給されると同時的にその長手方向の先端側から帯電することができるとともに、その後端側まで連続的に帯電できる。したがって、帯電を高能率で行えかつ印字媒体をドラム外周面に確実かつ安定して保持できる。印字媒体がドラム外周面に供給されると、凹部内に装着された挟持爪が働きその先端側(一部)をドラム外周面に押圧して挟持する。この時までに、ドラム回転に伴って、帯電ローラがドラムよりも半径の大きな円弧形状ガイドに沿って相対移行し、凹部に落込むことなくドラム外表面に相対移行する。したがって、機械的挟持された直後から帯電ローラにより印字媒体を帯電できる。しかも、連続回転中のドラムの回転に影響を与える帯電ローラの凹部への落込みを防止できるので、帯電ローラの凹部への落込み衝突によるドラムの回転むら、振動の発生を防ぎ、画質低下の原因を排除できる。さらに機械的挟持力を得る凹部および挟持爪と静電気吸着力を得る帯電ローラの干渉がなく挟持力および静電気吸着力を確実かつ高能率で得られる。そして、帯電ローラが当該印字媒体の後端側の所定部位から離れた後に、帯電ローラはドラム外周面から離反される。したがって、ドラムの複数回転を利用して印字完成させる場合でも、帯電ローラが印字インクに触れることがないので、高品質印字を維持できる。
【0018】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載したインクジェットプリンタにおいて、前記帯電ローラの全長Ljとドラムの全長Ld1との関係は、Ld1<Ljとなるように構成されたものである。
【0019】
かかる発明では、印字媒体が供給される以前に帯電ローラを回転中のドラム外周面全幅に接触させておけるから、印字媒体がドラムに供給されると同時的にその長手方向の先端側から帯電することができるとともに、その後端側まで連続的に帯電できる。したがって、帯電を高能率で行えかつ印字媒体をドラム外周面に確実かつ安定して保持できる。そして、請求項1の発明の場合と同様な作用効果を奏し得る他、静電気吸着力を得る帯電ローラ全長がドラムの全長より大きく、印字媒体の全幅に亘って静電気吸着力を確実かつ高能率にできる。
【0020】
さらに、請求項3の発明は、前記円弧形状ガイドの半径が前記ドラムの半径に保持対象印字媒体の厚みを加算した値以上とされているインクジェットプリンタである。
【0021】
かかる発明では、円弧形状ガイドの半径がドラムの半径に印字媒体の厚みを加算した値以上とされているので、挟持爪が印字媒体を押圧するために例えば凹部内軸線を中心にドラム外周面側に円弧運動を起しても円弧形状ガイド上を通る帯電ローラと干渉しない。したがって、請求項1の発明の場合と同様な作用効果を奏し得る他、さらに、挟持爪の押圧・挟持動作のための機構の選択性を拡大できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本インクジェットプリンタは、模式的に表した図1,図2に示す如く、軸線X0を中心として回転可能なドラム10の外周面11に帯電ローラ21を用いて帯電された印字媒体Mを静電気吸着力を利用して吸着保持可能かつ回転中の印字媒体Mにインクを吹付けて印字可能に形成するとともに、帯電ローラ21が吸着保持された印字媒体Mの後端側所定部位を離れた後に帯電ローラ21をドラム外周面11から離反可能に形成されている。
【0023】
この実施形態では、媒体保持手段20を、上記帯電ローラ21による静電気吸着力の利用を主としかつ挟持爪25による機械的挟持力を従(補助的)として形成している。
【0024】
なお、インクジェットプリンタの基本的構成は、先提案プリンタ(図4)の場合と同様に構成した場合について説明する。但し、図4の場合と共通する部分については、それらの説明を簡略化または省略する。
【0025】
すなわち、ドラム10の外周面11に印字媒体Mの一部(先端Mf)を押圧して挟持可能な挟持爪25を装着するための凹部12を形成し、ドラム10の外周面11で凹部12に相当する位置に半径Rfがドラム半径Rdよりも大きくかつドラム周方向の始端41および終端42がドラム半径Rdに等しくされるとともに軸線方向に離隔された複数の円弧形状ガイド40を形成し、帯電ローラ21が円弧形状ガイド40を介して凹部12に落込まないように形成してある。
【0026】
図1,図2において、ドラム10は軸線X0を中心にY方向に回転可能である。この実施形態では、半径Rdが65mmとされかつ回転速度は20ppmを達成可能な120rpmである。
【0027】
図2に示すように、ドラム10の一方側にはその外周面11に印字媒体Mを吸着保持させるための帯電ローラ21が配設され、他方側には各色(C,M,Y,B)用ノズルユニット(200)を収納するノズルユニットケース(印字ヘッド)200Uが配設されている。
【0028】
帯電ローラ21は、回転保持部材31に回転可能に保持されかつソレノイドアクチュエータ等からなる接離駆動手段30によってドラム外周面11に接触・離反することができる。
【0029】
この実施形態では、制御ユニット(図示省略)によって、図3(A)に示す印字準備段階において外周面11に接触されるものとされ、かつ印字媒体Mの後端側の所定部位〔図3(E)の場合は後端Mb〕を離れた後に外周面11から離反されるものと形成されている。
【0030】
なお、後端側の所定部位とは、後端Mbよりも例えば余白分だけ先端Mfへ近づいた部位等であってもよい。また、後端Mbが帯電ローラ21を通過した後に離反させてもよい。
【0031】
挟持爪25は、図1,図3に示す如く,ドラム10の凹部12内に支軸26を中心に回動可能に装着されている。支軸26は、ドラム10の軸線X0方向に伸びかつ軸線X0方向に離隔配設された複数の挟持爪25を同期回動させることができる。この支軸26への回動動力は、外力とドラム回転運動とを利用した挟持解放機構(図示省略)によって所定のタイミングで挟持動作および解放動作される。
【0032】
ここに、ドラム10の軸線X0方向には、複数(2つ)の円弧形状ガイド40,40が離隔配設されている。この実施形態では、ドラム両端側に嵌装するものとしてあるが、ドラム自体に一体に形成してもよい。
【0033】
すなわち、各円弧形状ガイド40は、ドラム10の周方向で凹部12に相当する位置に設けられ、その半径Rfはドラム半径Rdよりも大きくかつ始端41および終端42がドラム半径Rdと等しくされている。つまり、始端41および終端42は、ドラム外周面11と同様にドラム半径Rdの円軌跡上に位置する。
【0034】
したがって、外周面11に接触する帯電ローラ21を、外周面11から円弧形状ガイド40にスムースに相対移行できるとともに凹部12内に落込まずかつ挟持爪25と干渉せずに相対移行させることができ、しかる後に、再び外周面11にスムースに相対移行させることができる。よって、挟持爪25が印字媒体Mの一部(先端Mf)を確実に挟持することを許容するとともに、挟持後に直ちに接触帯電できかつそのまま印字媒体Mの長手方向の全域に連続帯電させることができる。
【0035】
しかし、一層の印字高速化のために、ドラム10の回転速度を一段と高速にする場合、帯電ローラ21とドラム10(11)との相対移行をよりスムース化することが求められると予想される。
【0036】
すなわち、円弧形状ガイド40の半径Rfは小さい程都合がよい。一方において、厚さMtを有する印字媒体Mを挟持爪25で押圧挟持するためには、挟持爪25の支軸26を中心とする回動運動の円軌跡との関係から、挟持爪25の一部がドラム外周面11より一時的に少なくとも媒体厚さMtだけ突出することを許容するのが望ましい。かくすれば、挟持爪25を含む挟持解放機構を簡素化できかつ印字媒体Mを外周面11により確実に押圧挟持し易くなる。
【0037】
かくして、この実施形態では、円弧形状ガイド40の半径Rfをドラム半径Rdに印字媒体Mの厚さMtを加算して値(Rd+Mt)としている。なお、挟持爪25の挟持・解放動作やドラム10の回転速度との関係から、Rf>Rd+Mtであればよい。
【0038】
また、各円弧形状ガイド40の半径をRf≧Rd+Mtとする部位は、凹部12のドラム周方向長さ以上とすることが好ましいが、ドラム外周面11の周方向の有効利用を高めるには挟持・解放動作中の挟持爪25と干渉しないことを条件として、凹部12のドラム周方向長さ以下としてもよい。図3はこれを選択した場合を示す。
【0039】
かくして、図2に示す軸線X0方向のノズルユニットケース200Uの長さLnとドラム10の印字媒体保持有効長さLdとその全長Ld1と帯電ローラ21の全長Ljとの関係は、Ln<Ld<Ld1<Ljとなる。
【0040】
次に、この実施形態の作用・動作を説明する。
図3(A)において、ドラム10のY方向の回転に伴い凹部12が印字媒体Mが供給される位置の手前になると、制御ユニットが接離駆動手段30を駆動して帯電ローラ21をドラム外周面11に接触させ帯電スタンバイ状態を確立する。
【0041】
図3(B)において、印字媒体Mが下方から供給される寸前に、帯電ローラ21はその始端41を介し円弧形状ガイド41上にスムースに相対移行する。凹部12には落込まない。
【0042】
図3(B),(C)において、印字媒体Mの先端Mfがドラム外周面11に接するように供給されると、これと同時的に、挟持解放機構が挟持動作する。つまり、挟持爪25が支軸26を中心に回動してその先端Mfをドラム外周面11に押圧して挟持する。先端Mfをドラム軸線X0方向の複数個所で押圧挟持するので、印字媒体Mをスキューなく正確な姿勢としてドラム10に保持できる。この挟持爪25の回動中に挟持爪25が帯電ローラ21に干渉することはない。Rf>Rdであるからである。
【0043】
図3(C)において、先端Mfが挟持爪25で押圧挟持されると、その直後に帯電ローラ21が印字媒体M(Mf)に接触し帯電開始する。したがって、高能率で帯電でき、印字媒体Mをドラム外周面11に確実に吸着保持できるわけである。
【0044】
図3(D)において、帯電ローラ21は、印字媒体Mの長手方向に連続帯電しつつ円弧形状ガイド40の終端42を通ってドラム外周面11へスムースに相対移行する。ドラム外周面11に沿って相対移行することは、連続帯電作用のほか、印字媒体Mをその長手方向にしごく作用も発揮するので、印字媒体Mをドラム外周面11により確実かつ均一に密接保持させることができる。
【0045】
図3(E)において、印字媒体Mの先端Mfから保持が始まり、その後端Mbが帯電ローラ21を通過す(離れ)る直前あるいは通過後に、接離駆動手段30が帯電ローラ21をドラム10(11)から離反させる。したがって、これ以降、帯電ローラ21が印字媒体Mに印字されたインクに接することはない。したがって、印字高品質を維持できる。
【0046】
しかして、この実施形態によれば、軸線X0を中心として回転可能なドラム10の外周面11に帯電ローラ21を用いて帯電された印字媒体Mを静電気吸着力を利用して吸着保持可能かつ回転中の印字媒体Mにインクを吹付けて印字可能に形成するとともに、帯電ローラが吸着保持された印字媒体の後端側所定部位を離れた後に帯電ローラ21をドラム外周面11から離反可能に形成されているので、印字媒体Mのドラム10(11)への静電気吸着力を高能率で得られかつ印字高品質を維持することができる。
【0047】
また、ドラム10の外周面11に印字媒体Mの一部(先端Mf)を押圧して挟持可能な挟持爪25を装着するための凹部12を形成し、ドラム10の外周面11で凹部12に相当する位置に半径Rfがドラム半径Rdよりも大きくかつドラム周方向の始端41および終端42がドラム半径Rdに等しくされるとともに軸線方向に離隔された複数の円弧形状ガイド40を形成されているので、帯電ローラ21を円弧形状ガイド40を介して凹部12に落込むことなく外周面11上をスムースに相対移行させることができかつ干渉なく機械的挟持力と静電気吸着力を確実に得られる。
【0048】
また、円弧形状ガイド40の半径Rfがドラム10の半径Rdに保持対象印字媒体Mの厚みMtを加算した値以上とされているので、挟持爪25が印字媒体Mを押圧するために例えば凹部12内の軸線26を中心にドラム外周面側11に円弧運動を起しても円弧形状ガイド上を通る帯電ローラに干渉しない。したがって、挟持爪25の押圧・挟持動作のための機構の選択性を拡大できる。
【0049】
さらに、円弧形状ガイド40のRf≧Rd+Mtとなる部位が凹部12のドラム周方向の長さよりも短くされてかつ挟持爪25の回転運動が帯電ローラ21に干渉しない範囲内で終端42を凹部12の終端部に接近配設されているので、機械的挟持力により保持されると同時的に静電気吸着力を掛けてドラム外周面11に吸着保持できる。
【0050】
さらにまた、帯電ローラ21がその先端Mfから後端Mbに向けて印字媒体Mを外周面11にしごくので、印字媒体Mを外周面11により密接保持させることができる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、軸線を中心として回転可能なドラムの外周面に帯電ローラを用いて帯電された印字媒体を吸着保持可能かつ回転中の印字媒体にインクを吹付けて印字可能に形成する一方、前記ドラムの外周面に前記印字媒体の一部をドラム外周面に押圧して挟持可能な挟持爪を装着するための凹部を形成し、前記ドラムの外周面で凹部に相当する位置に半径がドラム半径よりも大きくかつドラム周方向の始端および終端がドラム半径に等しくされるとともに前記軸線方向に離隔された複数の円弧形状ガイドを形成し、前記帯電ローラが円弧形状ガイドを介して凹部に落込まないように構成し、前記帯電ローラが吸着保持された印字媒体の後端側所定部位を離れた後に帯電ローラをドラム外周面から離反可能に形成したので、帯電を高能率で行えかつ印字媒体をドラム外周面に確実かつ安定して保持できるとともにドラムの複数回転を利用して印字完成させる場合でも帯電ローラが印字インクに触れることがないので高品質印字を維持でき、さらに機械的挟持力を得る凹部および挟持爪と静電気吸着力を得る帯電ローラの干渉がなく挟持力および静電気吸着力を確実かつ高能率で得られる。
【0052】
また、請求項2の発明によれば、帯電ローラの全長Ljとドラムの全長Ld1との関係は、Ld1<Ljとなるように構成されたので、請求項1の発明の場合と同様な効果を奏し得る他、さらに静電気吸着力を得る帯電ローラ全長がドラムの外周面に吸着保持される印字媒体の全幅に亘って静電気吸着力を確実かつ高能率に付与でき、印字媒体は全幅に亘って作用する静電気吸着力で安定的にドラムに吸着保持される。
【0053】
さらに、請求項3の発明によれば、円弧形状ガイドの半径がドラムの半径に保持対象印字媒体の厚みを加算した値以上とされているので、請求項1の発明の場合と同様な効果を奏し得る他、さらに、挟持爪の押圧・挟持動作のための機構の選択性を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】同じく、平面図である。
【図3】同じく、動作を説明するための図である。
【図4】先提案プリンタを説明するための図である。
【符号の説明】
10 ドラム
11 外周面
12 凹部
20 媒体保持手段
21 帯電ローラ
25 挟持爪
26 支軸
30 接離駆動手段
31 回転保持部材
40 円弧形状ガイド
41 始端
42 後端
200U ノズルユニットケース
Rd ドラムの半径
Rf 円弧形状ガイドの半径
M 印字媒体
Mf 先端(一部)
Mb 終端
Mt 厚み
X0 軸線

Claims (3)

  1. 軸線を中心として回転可能なドラムの外周面に帯電ローラを用いて帯電された印字媒体を吸着保持可能かつ回転中の印字媒体にインクを吹付けて印字可能に形成する一方、
    前記ドラムの外周面に前記印字媒体の一部をドラム外周面に押圧して挟持可能な挟持爪を装着するための凹部を形成し、
    前記ドラムの外周面で凹部に相当する位置に半径がドラム半径よりも大きくかつドラム周方向の始端および終端がドラム半径に等しくされるとともに前記軸線方向に離隔された複数の円弧形状ガイドを形成し、前記帯電ローラが円弧形状ガイドに沿って相対移行するように構成し、
    前記帯電ローラが吸着保持された印字媒体の後端側所定部位を離れた後に帯電ローラをドラム外周面から離反可能に形成したことを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記帯電ローラの全長Ljとドラムの全長Ld1との関係は、
    Ld1<Lj
    となるように構成された請求項1記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記円弧形状ガイドの半径が前記ドラムの半径に保持対象印字媒体の厚みを加算した値以上とされている請求項1記載のインクジェットプリンタ。
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