明 細 書
ポリエステル樹脂組成物
技術分野
[0001] 本発明は、特に PETボトル再生フレークを主原料とした溶融成型に関して、榭脂組 成物の結晶化による白化を防止して透明性を保持し、かつ生産効率が良好となる成 型品を提供するものである。
背景技術
[0002] 近年、ポリエステル榭脂の中で、特にポリエチレンテレフタレート(以下 PETと略す ることがある)はその優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤ 性等の特性 により炭酸飲料、ジュース、ミネラルウォ―タ等の清涼飲料やィ匕粧品、医薬品、洗剤 等の中空成形体 (容器)の素材として採用されておりその普及は目覚 U、ものがある
[0003] ポリエステル製の中空成形体の製造法としては、溶融したポリエステルを直接金型に 射出してそのまま成形品にする射出成形法、または溶融榭脂を金型に射出して密封 ノ^ソン (プリフォーム)をー且形成した後にそれをブロー金型に挿入して空気を吹き 込む射出ブロー法、あるいは延伸ブロー成形法が一般に採用されている。
[0004] しかし、射出成形法、射出ブロー法あるいは延伸ブロー成形法は、金型の作製およ び成形工程において高い技術が必要であり、し力も細物、深物、大物の他、取手等 を有する複雑な形状の容器の製造が困難であるという欠点を有している。その上、こ れらの成形法は、金型や成形装置などの設備費が高いために、大量生産される容器 には適している力 多品種 ·少量生産には向かないという問題がある。このような理由 より目薬等の医薬品用容器の成形には、 PETの押出しブロー成形法 (ダイレクトプロ 一成形法)が採用されている。
[0005] ダイレクトブロー成形 (押出ブロー成形)とは溶融可塑ィ匕した樹脂をダイオリフィスに 通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型で挟んで内部に空気を吹き込 む成形方法であり、成形の容易性、高生産性、成形機械や金型などの設備費が比 較的安くてすむなどの特徴を有する。そして、このダイレクトブロー成形による場合は
、成形を円滑に行うために、溶融状態で押出されたパリソンが吹き込み成形時にドロ 一ダウンすることを回避する必要があり、使用樹脂に高い溶融粘度が要求されるため 、一般に高 、溶融粘度を有する塩ィ匕ビュル榭脂ゃポリオレフインなどがこのダイレクト ブロー成形に適し、特に大型の容器を成形するにはポリエステル榭脂は向かないと されてさた。
[0006] 一般に PETは、主としてテレフタル酸、エチレングリコ一ルを原料とし、重縮合触媒と してゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、スズィ匕合物、アルミ-ゥ ム化合物およびこれらの混合物などを用いて製造される。
[0007] 前記の触媒の中で、アンチモンィ匕合物は、安価で、かつ優れた触媒活性を持つ触媒 であるが、これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程度の添加量にて 使用すると、重縮合時に金属アンチモンが生成するため、ポリエステルに黒ずみや 異物が発生すると共に、ゲルマニウム化合物やチタンィ匕合物を触媒として用いた場 合に比べて、得られた PETの結晶化速度が速い。従ってアンチモンィ匕合物を用いて 重合した PETでは着色の少な 、透明性の優れた結晶白化の少ない中空成形体を 得ることが非常に困難である。
[0008] 上記の PETの黒ずみや異物の発生を抑制する試みがいくつも行われている。例え ば、特許文献 1においては、重縮合触媒として三酸ィ匕アンチモンとビスマスおよびセ レンの化合物を用いることで、 PET中の黒色異物の生成を抑制している。また、特許 文献 2においては、重縮合触媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物を含有する三酸ィ匕 アンチモンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制されることを述べている。ところ 力 これらの重縮合触媒では、結局ポリエステル中のアンチモンの含有量を低減する という目的は達成できず、結晶白化を抑制することが難しい。
[0009] PETボトル等の透明性が要求される用途について、アンチモン触媒の有する問題点 を解決する方法として、例えば特許文献 3では、アンチモンィ匕合物とリンィ匕合物の使 用量比を規定することにより透明性を改良される方法が開示されている。しかしなが ら、この方法で得られたポリエステル力ゝらの中空成形品は透明性が十分なものとは ヽ えない。
[0010] また、特許文献 4には、三酸ィ匕アンチモン、リン酸およびスルホン酸化合物を使用し
た透明性に優れたポリエステルの連続製造法が開示されている。し力しながら、この ような方法で得られたポリエステルは熱安定性が悪ぐ得られた中空成形品のァセト アルデヒド含量が高くなるという問題を有し、この方法で得られたポリエステルからの 中空成形品は透明性が十分なものとはいえない。
[0011] 三酸ィ匕アンチモン等のアンチモン系触媒に代わる重縮合触媒の検討も行われており
、テトラアルコキシチタネートに代表されるチタンィ匕合物やスズィ匕合物がすでに提案 されているが、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受け やすぐまたポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。
[0012] アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を有しかつ熱安定性並びに熱酸ィ匕安定性 に優れたポリエステルが得られる触媒として、ゲルマニウム化合物がすでに実用化さ れている。ゲルマニウム触媒を用いたポリエステル榭脂は色相が良ぐ特に PETボト ル用榭脂として多量に使用されている。しかしながらこの触媒は非常に高価であると いう問題点や、重合中に反応系から外へ留出しゃすいため反応系の触媒濃度が変 化し重合の制御が困難になると 、う課題を有して 、る。ここでゲルマニウム触媒を用 Vヽた PET榭脂を用いて成型を行う場合、小型の PETボトルでは大きな問題とならな かったが、大型の容器のブロー成型を行うと特に肉厚部の透明性が低下する問題が あった。また、金型からの離型性が悪化して、成型品表面の光沢ムラの発生や、成型 サイクルが低下する問題もあった。
[0013] 一方で、 PETボトルの廃棄問題が注目され、 PETボトルスクラップ処理は環境問題と して社会問題となった。このような背景力 使用済み PETボトルの再資源化が鋭意検 討されている。し力しながら、当然この PETボトルを再生するための成形時には、上 述と同様、成形物の白化の問題、着色の問題、大型容器のブロー成形が難しいとい つた問題が生じた。このため、特に PETボトル再生フレークを主原料とした溶融成型 に関して、榭脂の結晶化による白化を防止して透明性を保持し、かつ大型容器の生 産効率が良好となるポリエステル榭脂が求められてきた力 まだ提案されて 、な!/、。
[0014] 特許文献 1:特許第 2666502号 (第 2〜4頁)
特許文献 2 :特開平 9 291141号 (第 1〜2頁)
特許文献 3:特開平 6— 279579号公報 (第 2〜7頁)
特許文献 4:特開平 10— 36495号公報 (第 2〜3頁)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0015] 本発明の目的は、ポリエステル榭脂成型品を製造するのに特に適したポリエステル 榭脂組成物を提供することである。特に PETボトル再生フレークを主原料とした溶融 成型に関して、榭脂の結晶化による白化を防止して透明性を保持し、かつ生産効率 が良好となるポリエステル榭脂組成物を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0016] 本発明者らは上記問題を達成すべく鋭意研究した結果、本発明を完成させた。す なわち本発明は、二種以上のポリエステル榭脂を溶融混合して得られるポリエステル 榭脂組成物にお!、て、組成物全体の酸成分の合計量とダリコール成分の合計量の それぞれを 100モル%としたときに、酸成分としてアジピン酸、ァゼライン酸、セバシ ン酸、ダイマー酸、イソフタル酸、 1, 5—ナフタレンジカルボン酸および 2, 6—ナフタ レンジカルボン酸のうち少なくとも 1種以上が 1〜30モル%含まれ、および Zまたは、 グリコール成分として 1, 2—プロピレングリコール、 1, 3—プロピレングリコール、ジェ チレングリコール、トリエチレングリコール、 2—ブチルー 2—ェチルー 1, 3—プロパン ジオール、 2—メチルー 1, 3—プロパンジオール、 1, 5—ペンタンジオール、ネオペ ンチルダリコール、 1, 6—へキサンジオール、 1, 2—シクロへキサンジメタノール、 1, 3—シクロへキサンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、ポリエチレングリ コール、ポリテトラメチレングリコールおよびビスフエノール Aにエチレンォキシドを付 加したグリコールのうち少なくとも 1種以上が 1〜30モル%含まれ、かつ組成物全体 にポリエステルの重合触媒として含まれるゲルマニウム原子 Zアンチモン原子の質量 比率が 10Z90〜99Zlであることを特徴とするポリエステル榭脂組成物に関する。 発明の効果
[0017] 本発明のポリエステル榭脂組成物を用いることにより、 PETボトル再生フレークを主 原料とした溶融成型に関して、榭脂の結晶化による白化を防止し、透明性を維持し た成型品を提供することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明は、二種以上のポリエステル榭脂を溶融混合して得られるポリエステル榭脂 組成物である。本発明において、「組成物全体」とは全てのポリエステル榭脂からなる 榭脂組成物を指し、その組成は全てのポリエステル榭脂にっ ヽての平均組成である
[0019] 本発明にお ヽて、榭脂組成物中にポリエステル榭脂の重合触媒として含まれるゲル マニウム原子 Zアンチモン原子の質量比率が 10Z90〜99Zlである場合、成型品 の透明性が向上し、かつ成型サイクルが向上する。これは、ゲルマニウム原子および アンチモン原子が同時に含まれることによる。ポリエステル重合触媒としてアンチモン 原子が過剰割合含まれる場合、成型時の結晶化が速ぐ成型品が白化し易くなる。 また、ポリエステル重合触媒がアンチモン原子系のみである場合、成型品の耐熱性 が低くなる。また、ポリエステル重合触媒としてゲルマニウム金属系のみである場合、 成型品の耐熱性が高くなり、成型品の透明性も非常に良好となるが、結晶化が遅い 為、金型からの離型性が悪化して、成型品表面の光沢ムラの発生や、成型サイクル が低下するなど、様々な問題が残される。従って、ポリエステル榭脂組成物中に、ゲ ルマニウム原子およびアンチモン原子を同時に含むことで、高耐熱、高透明を維持し
、金型離型性を向上させることができるので好ましい。ゲルマニウム原子とアンチモン 原子の配合比率は、ゲルマニウム原子が多く含まれることが好ましぐポリエステル榭 脂組成物中のゲルマニウム原子とアンチモン原子の比率は、 10Z90〜99Zl質量 %である。さらに好ましくは、 20Ζ80〜95Ζ5質量0 /0であり、最も好ましくは、 25/8 0〜90/10質量%である。また、榭脂組成物全体に含まれるゲルマニウム原子は 1 〜500ppmであることが好ましぐアンチモン原子は l〜700ppmであることが好まし い。さらに好ましくは、榭脂組成物全体に含まれるゲルマニウム原子は 3〜200ppm であることが好ましぐアンチモン原子は 5〜400ppmであることが好ましい。最も好ま しくは、榭脂組成物全体に含まれるゲルマニウム原子は 5〜: LOOppmであることが好 ましぐアンチモン原子は 10〜300ppmであることが好ましい。
[0020] 本発明で用いられるポリエステルを製造する際に使用する重縮合触媒は、重合反応 の任意の段階で反応系に添加することができる。例えばエステルイ匕反応もしくはエス
テル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階もしくは重縮合反応の開始直 前あるいは反応途中に反応系へ添加することができる。
[0021] 本発明で用 ヽられるポリエステルを製造する際に使用する重縮合触媒の添加方法は 、粉末状ないしはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒 のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよぐ特に限定されない。また、他の 成分を予め混合した混合物あるいは錯体として添加してもよいし、これらを別々に添 カロしてちょい。
[0022] 本発明で用いられるポリエステルを製造する際に使用する重縮合触媒は、アンチモ ン化合物、ゲルマニウム化合物以外に、チタン化合物、スズィ匕合物、アルミニウム化 合物などの他の重縮合触媒を、これらの成分の添カ卩が前述のようなポリエステルの特 性、加工性、色調等製品に問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用 いても良い。
[0023] 使用可能なアンチモンィ匕合物としては、好適な化合物として三酸化アンチモン、五酸 ィ匕アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、特に三酸 化アンチモンの使用が好ましい。また、ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマ ユウム、四塩ィ匕ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸ィ匕ゲルマニウムが好ましい。
[0024] また、その他の重合触媒としては、チタン化合物としては、テトラー n—プロピルチタネ ート、テトライソプロピルチタネート、テトラー n—ブチルチタネート、テトライソブチルチ タネート、テトラー tert—ブチルチタネート、テトラシクロへキシルチタネート、テトラフ ェニルチタネート、テトラべンジルチタネートなどが挙げられ、特にテトラブチルチタネ ートの使用が好ましい。またスズィ匕合物としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフエ ニルスズオキサイド、テトラェチルスズ、へキサェチノレジスズオキサイド、トリェチルス ズハイド口オキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズァセテ ート、ジフエ-ルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファ イド、ジブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、ェチルスタンノン酸など が挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズォキサイドの使用が好まし 、。
[0025] 本発明の榭脂組成物は、二種以上のポリエステル榭脂を溶融混合して得られるもの である。従って、組成物全体に触媒として含まれるゲルマニウム原子とアンチモン原
子は、ゲルマニウム触媒により製造したポリエステル榭脂と、アンチモン触媒により製 造したポリエステル榭脂を溶融混合しても良 ヽし、ゲルマニウム触媒とアンチモン触 媒を併用して製造したポリエステル榭脂を用いても良い。
[0026] 本発明に言うポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれら のエステル形成性誘導体カゝら選ばれる一種又は二種以上とグリコールを含む多価ァ ルコール力 選ばれる一種又は二種以上と力 成るもの、又はヒドロキシカルボン酸 およびこれらのエステル形成性誘導体力 成るもの、又は環状エステル力 成るもの をいう。
[0027] ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン 酸、スベリン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン 酸、テトラデカンジカルボン酸、へキサデカンジカルボン酸、 3—シクロブタンジカル ボン酸、 1, 3 シクロペンタンジカルボン酸、 1, 2 シクロへキサンジカルボン酸、 1 , 3 シクロへキサンジカルボン酸、 1, 4ーシクロへキサンジカルボン酸、 2, 5 ノル ボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又は これらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、ィタコン酸などに例示される 不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、 イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニン酸、 1, 3 ナフタレンジカルボン酸、 1, 4 ナフタレンジカルボン酸、 1, 5 ナフタレンジカルボン酸、 2, 6 ナフタレンジカルボ ン酸、 2, 7 ナフタレンジカルボン酸、 4, 4,ービフエニルジカルボン酸、 4, 4,ービ フエ-ルスルホンジカルボン酸、 4, 4,ービフエ-ルエーテルジカルボン酸、 1, 2 ビ ス(フエノキシ)ェタン p, p,ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸 などに例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、 5—ナト リウムスルホイソフタル酸、 2 ナトリウムスルホテレフタル酸、 5 リチウムスルホイソフ タル酸、 2 リチウムスルホテレフタル酸、 5 カリウムスルホイソフタル酸、 2—力リウ ムスルホテレフタル酸などに例示される金属スルホネ ト基含有芳香族ジカルボン酸 又はそれらの低級アルキルエステル誘導体などが挙げられる。
[0028] 上記のジカルボン酸のなかでも、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジ力 ルボン酸の使用が、得られるポリエステルの物理特性等の点で好ましぐ必要に応じ
て他のジカノレボン酸を共重合しても良 、。
[0029] これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、ェタントリカルボン酸、プロパントリ カルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、 3, 4, 3' , 4'ービフエニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが 挙げられる。
[0030] グリコールとしてはエチレングリコール、 1, 2—プロピレングリコール、 1, 3—プロピレ ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、 1, 2—ブチレングリコー ル、 1, 3—ブチレングリコール、 2, 3—ブチレングリコール、 1, 4ーブチレングリコー ル、 1, 5—ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、 1, 6—へキサンジオール、 1 , 2—シクロへキサンジオール、 1, 3—シクロへキサンジオール、 1, 4ーシクロへキサ ンジオール、 1, 2—シクロへキサンジメタノール、 1, 3—シクロへキサンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンジエタノール、 1, 10—デ カメチレングリコール、 1, 12—ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメ チレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒ ドロキノン、 4, 4,一ジヒドロキシビスフエノール、 1, 4—ビス(j8—ヒドロキシエトキシ) ベンゼン、 1, 4—ビス(j8—ヒドロキシエトキシフエ-ル)スルホン、ビス(p—ヒドロキシ フエ-ル)エーテル、ビス(p -ヒドロキシフエ-ル)スルホン、ビス(p -ヒドロキシフエ- ル)メタン、 1, 2—ビス(p—ヒドロキシフエ-ル)ェタン、ビスフエノール A、ビスフエノー ルじ、 2, 5—ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンォキシドが付カ卩され たグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
[0031] 上記のグリコールのなかでも、特に、エチレングリコール、 1, 3—プロピレングリコール 、 1, 4ーブチレングリコール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノールを主成分として使用 することが好適である。これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロール メタン、トリメチローノレエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロー ル、へキサントリオールなどが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、タエ ン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、 3—ヒドロキシ酪酸、 p—ヒドロキシ安息香酸 、 p— (2—ヒドロキシエトキシ)安息香酸、 4ーヒドロキシシクロへキサンカルボン酸、又 はこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
[0032] 環状エステルとしては、 ε一力プロラタトン、 j8—プロピオラタトン、 13ーメチルー j8— プロピオラタトン、 δ—バレロラタトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
[0033] 多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのァ ルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが例示される。
[0034] 本発明で用いられるポリエステルとしては、 70モル%以上の酸成分がテレフタル酸ま たはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル 形成性誘導体であり、 70モル0 /0以上のグリコール成分がアルキレングリコールである ポリエステルが好ましい。
[0035] 本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体として は、上述のジカルボン酸類に例示した 1, 3 ナフタレンジカルボン酸、 1, 4 ナフタ レンジカルボン酸、 1, 5 ナフタレンジカルボン酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸、 2, 7 ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
[0036] また本発明に用いられるポリエステルの好まし 、その他の例としては、プロピレンテレ フタレート単位を 70モル0 /0以上含む線状ポリエステル、プロピレンナフタレート単位 を 70モル0 /0以上含む線状ポリエステル、 1, 4ーシクロへキサンジメチレンテレフタレ -ト単位を 70モル0 /0以上含む線状ポリエステル、ブチレンナフタレート単位を 70モ ル0 /0以上含む線状ポリエステル、またはブチレンテレフタレート単位を 70モル0 /0以上 含む線状ポリエステルである。
[0037] 本発明のポリエステル榭脂組成物においては、上述のポリエステル榭脂の二種以 上を溶融混合して得られるものである。その際、組成物全体の酸成分の合計量とダリ コール成分の合計量のそれぞれを 100モル%としたときに、すなわち酸成分の合計 量 Ζグリコール成分の合計量を 100Ζ100モル%としたときに、テレフタル酸とェチ レンダリコール以外の共重合成分、特に酸成分としてアジピン酸、ァゼライン酸、セバ シン酸、ダイマー酸、イソフタル酸、 1, 5 ナフタレンジカルボン酸および 2, 6 ナフ タレンジカルボン酸のうち少なくとも 1種以上が 1〜30モル0 /0含まれるもの、グリコー ル成分として 1, 2 プロピレングリコール、 1, 3 プロピレングリコール、ジエチレング リコール、トリエチレングリコール、 2 ブチルー 2 ェチルー 1, 3 プロパンジォー ル、 2—メチルー 1, 3 プロパンジオール、 1, 5 ペンタンジオール、ネオペンチル
グリコール、 1, 6—へキサンジオール、 1, 2—シクロへキサンジメタノール、 1, 3—シ クロへキサンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、ポリエチレングリコー ル、ポリテトラメチレングリコールおよびビスフエノール Aにエチレンォキシドが付カロし たグリコールのうち少なくとも 1種以上が 1〜30モル%含まれるもの、あるいは酸成分 とグリコール成分の両方がこれらを満足するものが好ましい。これらの共重合成分が 1 モル%未満では成形時の透明性を高めることが出来ないことがある。一方、 30モル %を越えると透明性は良くなるが、成形性が低下したり、成形物の耐衝撃性が低下し たりすることがある。これらの共重合成分の好ましい共重合量は 2〜25モル%であり、 より好ましくは 3〜20モル0 /0である。
[0038] 上記の共重合成分は、イソフタル酸、 2, 6—ナフタレンジカルボン酸、ジエチレング リコール、ネオペンチルグリコール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、 1, 2—プロ パンジオール、 1, 3—プロパンジオールおよび 2—メチルー 1, 3—プロパンジオール 力もなる群より選ばれる少なくとも 1種以上であることが、透明性と成形性を両立する 上で好ましぐ特にイソフタル酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール力 なる群より選ばれる少なくとも 1種以上であること 力 り好ましい。
[0039] 特に組成物全体の組成として、テレフタル酸 Zイソフタル酸 ZZエチレングリコール の組み合わせ、テレフタル酸//エチレングリコール /1, 4ーシクロへキサンジメタノ ールの組み合わせ、テレフタル酸 ZZエチレングリコール Zネオペンチルグリコール の組み合わせは透明性と成形性を両立する上で好ましい。なお、当然ではあるが、 エステル化 (エステル交換)反応、重縮合反応中に、エチレングリコールの二量化〖こ より生じるジエチレングリコールを少量(5モル%以下)含んでも良いことは言うまでも 無い。
[0040] 本発明の榭脂組成物において、組み合わせる二種以上のポリエステル榭脂として は、一種がポリエチレンテレフタレート榭脂であることが好ましい。また、リサイクル等 環境への配慮を考慮すると一種が PETボトル再生榭脂であることが好ましい。
[0041] 本発明に使用される PETボトル再生榭脂は、使用済み PETボトルを回収後、粉砕、 洗浄工程等を経て再生 PETフレークとなっているものであれば、本発明の原料として
あらゆるものが使用可能である。この場合、 PETボトル再生フレークの形状は、表面 積が小さいものであることが特に好ましい。また、粉砕された PETボトル再生フレーク は、アルカリ条件下にて洗浄されて 、ることが特に好ま 、。
[0042] ポリエチレンテレフタレート榭脂(PETボトル再生榭脂)以外のポリエステル榭脂とし ては、イソフタル酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペン チルダリコール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、 1, 2 プロパンジオール、 1, 3 プロパンジオールおよび 2—メチルー 1, 3 プロパンジオールからなる群より選ば れる少なくとも 1種以上を共重合したものが成形性と透明性を両立する上で好ま 、 。また、イソフタル酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、 1, 4ーシクロ へキサンジメタノール力 なる群より選ばれる少なくとも 1種以上を共重合したものがよ り好ましい。その共重合量は酸成分、グリコール成分それぞれを 100モル%としたと きに、 0. 5〜50モル0 /0が好ましぐより好ましくは 3〜40モル0 /0、さらに好ましくは 5〜 35モル0 /0、最も好ましくは 7〜20モル0 /0である。
[0043] この中でもテレフタル酸 ZZエチレングリコール Zジエチレングリコール(90Z10 〜99. 5/0. 5 (モル比))、テレフタル酸 ZZエチレングリコール Zネオペンチルグリ コール(60Z40〜90Z10 (モル比))、テレフタル酸 ZZエチレングリコール Zl, 4 —シクロへキサンジメタノール(60Z40〜90Z10 (モル比))、テレフタル酸 Ζイソフ タル酸(95Ζ5〜70Ζ30 (モル比)) ΖΖエチレングリコールの組み合わせは、溶融 成形加工性と成形品の透明性を両立させやす 、。
[0044] 本発明の榭脂組成物において、組み合わせる二種以上のポリエステル榭脂の 1種 力 SPETボトル再生榭脂である場合、それの触媒としてゲルマニウム原子とアンチモン 原子を共に含んでいることが好ましい。すなわち、ゲルマニウム触媒とアンチモン触 媒を併用して重合した PET榭脂を用いて成型した PETボトルの再生榭脂を用いても 良!、し、ゲルマニウム触媒を用いて重合した PET榭脂を用いて成型した PETボトル の再生樹脂とアンチモン触媒を用いて重合した PET榭脂を用いて成型した PETボト ルの再生樹脂の混合物を用いても良 ヽ。成形性と透明性を高!ヽレベルで両立するた めには後者がより好ましい。
[0045] 本発明に用いられるポリエステル榭脂の還元粘度は 0. 55〜: L 50dlZgであること
力 S好ましく、より好ましくは 0. 58-1. 30dl/g、さらに好ましくは 0. 60-1. OOdl/g の範囲である。還元粘度が 0. 55dlZg未満では、得られた成形体等の機械的特性 が悪いことがある。また、 1. 50dlZgを越える場合は、成型機等による溶融時に榭脂 温度が高くなつて熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量ィ匕合 物が増力!]したり、成形体が黄色に着色したりする等の問題が起こる場合がある。
[0046] 本発明に用いられるポリエステル榭脂にはカルボキシル基、ヒドロキシル基またはそ れらのエステル形成性基を 3個以上有する多官能化合物(例えばトリメリット酸、ピロメ リット酸、グリセリン、トリメチロールプロパン等)をポリエステルの酸成分、グリコール成 分それぞれの 0.001〜5モル%含有することが成形性を高める上で好ましい。
[0047] 本発明のポリエステル榭脂組成物の還元粘度は、好ましくは 0. 40-1. 50dlZg、 より好ましくは 0. 50-1. 20dlZg、さらに好ましくは 0. 60-1. OOdlZgである。還 元粘度が 0. 40dlZg未満であると、榭脂凝集力不足のために成形品の強伸度が不 足し、脆くなつて使用できないことがある。一方、 1. 50dlZgを越えると溶融粘度が上 力 Sり過ぎるために、成形するのに最適な温度も上がってしまい、結果的に成形加工 性を悪くしてしまう虞がある。
[0048] 本発明のポリエステル榭脂組成物を、ポリエチレンテレフタレート榭脂(PETボトル 再生榭脂)と共重合ポリエステル榭脂の混合物カゝら得る場合、共重合ポリエステル榭 脂の含有量は、組成物全体を 100質量%としたときに 0. 01質量%以上 99. 5質量 %以下が好ましぐ下限は 0. 1質量%以上、上限は 98質量%以下がより好ましい。 9 9. 5質量%を超えると耐衝撃性などの機械的物性が発現しないことがあり、また 0. 0 1質量%未満であると透明性等の改良効果が発現しないことがある。
[0049] 本発明のポリエステル榭脂組成物を用いた成型法としては、射出成型、押出し成形 、異形押出し成形、インジェクションブロー成形、ダイレクトブロー成形、ブローコンプ レツシヨン成形、延伸ブロー成形、カレンダー成形、熱成形 (真空'圧空成形を含む) 、反応射出成形、発泡成形、圧縮成形、粉末成形 (回転,延伸成形を含む)、積層成 形、注型、溶融紡糸等を挙げることができる。これらのうち、本発明の透明性の改良、 および成型サイクル向上という本発明の効果を最大限に発揮する観点力 ブロー成 形、特に好ましくはインジェクションブロー成形が好ま 、。
[0050] 本発明のポリエステル榭脂組成物を溶融成型する際の温度条件としては、組成物全 体が溶融流動できる範囲であれば 、かなる温度でも問題な 、が、ポリエステル榭脂 の性質上、 100°C以上 350°C以下と考えられ、より好ましくは 150°C以上 300°C以下 が好適である。温度が低すぎるとポリマーを送り出しできな 、かまたは成型機に過大 な負荷がかかり、逆に温度が高すぎるとポリマーが熱劣化を起こすため、好ましくな い。成型における吐出量、その他の条件に関しては、機台の適正条件に適宜調整す ることで設定可能である。
[0051] 本発明のポリエステル榭脂組成物を用いて製造される中空成形体は、従来公知の成 形法によって製造が可能である。例えば、ポリエステル延伸ブロー中空成形体の製 造方法について具体的に説明する。
[0052] 本発明のポリエステル中空成形体を製造するには、まず、ポリエステル榭脂組成物か ら予備成形体であるプリフォームを製造するが、該プリフォームは従来公知の方法、 たとえば射出成形、押出成形などによって製造することができる。形成されたプリフォ ームは、延伸ブローに供するため延伸に適した温度に調節し、引き続き延伸ブロー 成形することにより、ポリエステル中空成形体を製造する。
[0053] ポリエステル中空成形体の場合は、例えば、射出成形または押出成形でー且プリフ オームを成形し、そのままあるいはロ栓部、底部をカ卩ェ後、ホットパリソン法あるいは コールドパリソン法などの二軸延伸ブロー成形法が適用される。この場合の成形温度 、具体的には成形機のシリンダー各部およびノズルの温度は通常 260〜290°Cの範 囲である。延伸温度は通常 70〜120°C、好ましくは 80〜110°Cで、延伸倍率は通常 縦方向に 1. 5〜3. 5倍、円周方向に 2〜5倍の範囲で行えばよい。得られた中空成 形体は、そのまま使用できるが、特に果汁飲料、ウーロン茶などのように熱充填を必 要とする飲料の場合には、プリフォームの口栓部を加熱結晶化後、前記のように延伸 ブロー成形し、さらにブロー金型内で熱固定し、耐熱性を付与して使用しても良い。 熱固定は通常圧空などにより、 100〜200°C、好ましくは 120〜180°Cで、数秒〜数 時間、好ましくは数秒〜数分間行われる。
[0054] 熱固定方法には、一個の金型で延伸ブロー成形と熱固定を行う 1段ブロー成形法と 最終形状より大きめに成形した中空成形体を加熱収縮させ再ブローする 2段ブロー
成形法がある。
[0055] また、本発明のポリエステル製押出しブロー中空成形体の製造方法について説明す る。押出しブロー法 (ダイレ外ブロー法)とは、押出成形機または射出成形機で成形 されたノ リソン (またはプリフォーム)力 まだ軟ら力べ可塑性を失わないうちにブロー 成形を完了させてしまうものである。成形機は、従来力 ポリスチレンやポリ塩ィ匕ビ- ルのブロー成形に用いられている装置をそのまま用いることができる。この場合、成 形温度はシリンダー各部やノズルの温度を通常 260〜290°Cで、 240〜290°Cで溶 融押出成形して円筒状のパリソンを形成し、これをブロー用金型に挿入して常法によ り空気を吹き込んでパリソンを所定の形状に延伸膨張させる方法を採用することがで きる。
[0056] 本発明のポリエステル榭脂組成物を用いた中空成形体としては、採血管、試験管な どの射出成形体、清涼飲料用ボトルやエアゾール容器などの延伸ブロー成形体、お よび目薬等の医薬品容器などの押出しブロー成形体が挙げられる。またこれらの成 形体は、ガスバリヤ—性榭脂、酸素吸収性榭脂、あるいは紫外線吸収性榭脂等を含 む榭脂層を少なくとも一層含有する多層積層体であってもよい。
[0057] 本発明の榭脂組成物を用いて成型する際、それぞれのポリエステル榭脂を予め溶融 混合してペレツトイ匕して力も成形しても良 、し、ポリエステル榭脂同士をドライブレンド して直接溶融成形しても良い。成型品の耐衝撃性、色相、透明性、簡便性の観点か ら後者がより好ましい。特に PETボトル再生榭脂を用いる場合は再生のフレークを用 V、て直接ブロー成形しても良!、。
[0058] 本発明の榭脂組成物を用いて中空成形体を製造する場合、特に容量 2000ml以上 の大型容器において、その効果を発揮する。すなわち、通常のポリエステル榭脂を 用いると、大型容器であれば肉厚が厚くなるため、冷却に時間がかかり、冷却工程で 結晶白化が進行しやすぐ透明性が著しく低下する傾向にあるからである。従って、 本発明のポリエステル榭脂組成物を用いて厚み 4mmに成型した板のヘイズは、 15 %以下であることが好ましぐさらに好ましくは 10%以下、最も好ましくは 5%以下であ る。容量の上限は特に限定されないが、 5000000ml未満力 S好ましく、 1000000ml 未満がより好ましぐ 500000ml未満がさらに好ましい。好ましい下限は 5000ml以
上が好ましぐ 10000ml以上がより好ましぐ 15000ml以上がさらに好ましい。
[0059] また、本発明で用いられるポリエステルには、必要に応じて公知の紫外線吸収剤、外 部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、酸ィ匕 防止剤、酸素吸収能あるいは酸素捕獲能のある添加剤、帯電防止剤、染料、顔料な どの各種の添加剤を配合してもよ 、。
[0060] また、有機系、無機系、および有機金属系のトナー、ならびに蛍光増白剤などを配合 することができ、これらを 1種もしくは 2種以上含有することによって、成型品の黄み等 の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。酸ィ匕防止剤としては、芳香 族ァミン系、フエノール系等の酸ィ匕防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸 やリン酸エステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が使用可能である。
[0061] これらの添加剤は、ポリエステルの重合時もしくは重合後、あるいはポリエステル中空 成形体の成型時の任意の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは化 合物の特性やポリエステル中空成形体の要求性能に応じてそれぞれ異なる。
[0062] 本発明のポリエステルの榭脂組成物には、加工時のポリエステル榭脂の熱劣化を 抑制する (熱劣化による樹脂の着色ゃ榭脂ダレの発生を防止する)ために酸ィ匕防止 剤を配合して使用するのが望ましい。当該酸ィ匕防止剤としては、例えば、フエノール 系酸ィ匕防止剤、有機亜リン酸エステル系化合物等が好適である。
[0063] 本発明にお ヽては、さらにポリエステル榭脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、寸法安 定性、表面平滑性、剛性、その他機械特性等を改良する為に、以下のような榭脂を 添加することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン一ェチルアタリ レート共重合体 (EEA)等のポリオレフイン系榭脂、または、エラストマ一、ポリブタジ ェン、ポリイソプレン、ブタジエン一ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル一イソプ レン共重合体、アクリル酸エステル ブタジエン共重合体、アクリル酸エステルーブタ ジェン スチレン共重合体、アクリル酸エステル イソプレン共重合体などの共役ジ ェン系重合体;該共役ジェン系重合体の水素添加物;エチレン プロピレン共重合 体などのォレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノ シロキサン;熱可塑性エラストマ一;エポキシ基、カルボキシル基、イソシァネート基等 を有する熱可塑性エラストマ一;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、こ
れらは 1種または、 2種以上で使用される。中でも、アクリル系ゴム、共役ジェン系共 重合体または共役ジェン系共重合体の水素添加物が好ましい。さらには、エチレン 酢酸ビュル共重合体、エチレン—ブテン— 1共重合体、エチレン—プロピレン—ェ チルデンノルボルネン共重合体、エチレン プロピレン ジシクロペンタジェン共重 合体、エチレン一プロピレン一 1, 4へキサジェン共重合体、エチレン一ブテン一 1— ジシクロペンタジェン共重合体、エチレンーブテン 1 1, 4へキサジェン共重合体 、アクリロニトリル—クロ口プレン共重合体(NCR)、スチレン—クロ口プレン共重合体( SCR)、ブタジエン スチレン共重合体(BS)、エチレン プロピレンェチリデン共重 合体、スチレン一イソプレンゴム、スチレン一エチレン共重合体、ポリ( α—メチノレスチ レン) ポリブタジエン ポリ(α—メチルスチレン)共重合体(a—MES— B— a MES)、ポリ( α—メチルスチレン)一ポリイソプレン一ポリ( α—メチルスチレン)共重 合体、その他の組成のポリエステル等の榭脂または、エラストマ一をポリエステル榭 脂組成物に添加することもできる。
[0064] 本発明にお 、ては成形'性を高める目的で滑剤を配合しても良 、。用いられる滑剤と しては、特に限定されないが、例えばポリオレフイン系ワックス、有機リン酸エステル金 属塩、有機リン酸エステル、アジピン酸またはァゼライン酸と高級脂肪族アルコールと のエステル化合物、エチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アミド 、エチレンビスォレイン酸アマイドなどの脂肪族アマイド、グリセリン高級脂肪酸エステ ル化合物、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、石油または石炭より誘導されるパ ラフィン、ワックス、天然または合成された高分子エステルワックス、高級脂肪酸による 金属石鹼等が挙げられる。これらは、 1種、または 2種以上を併用しても良い。
実施例
[0065] 本発明を更に詳細に説明するために以下に実施例を挙げる力 本発明は実施例 に何ら限定されるものではな 、。合成例に記載された測定値は以下の方法によって 測定したものである。
[0066] 榭脂組成:ポリエステル榭脂組成物の組成は、クロ口ホルム D溶媒中でヴアリアン社 製核磁気共鳴分析計 (NMR)ジエミ- - 200を用いて、 ¾ NMR分析を行なって その積分比より決定した。
[0067] ガラス転移温度、融点:サンプル 5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封 し、セイコーインスツルメンッ (株)製示差走査熱量分析計 (DSC) DSC— 220を用い て、 300°Cまで、昇温速度 20°CZ分にて測定し、融解熱の最大ピーク温度を結晶融 点として求めた。ガラス転移温度は、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と 遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
[0068] 還元粘度:測定用サンプル 0. lgを p—クロロフヱノール Zテトラクロロェタン (質量 比 6Z4)混合溶媒 25mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて 30°Cにて測定した。 単位を dl,gで示した。
[0069] 含有金属分析:蛍光エックス線による元素分析により定量ィ匕した。原料約 lOgをステ ンレス製のリングを用いて、 300°Cの溶融オーブンで 15分間溶融し平滑ィ匕した。冷却 後、リングをはずして試料を力ミソリ刃で削り取り測定試料とし、元素分析を実施した。 測定装置として RIGAKU ZSX100e (4. OkW Rh管球)を用いた。
[0070] [PET榭脂]
PET榭月旨としては以下のものを用いた。
PET(I):ゲルマニウム系触媒 日本ュ-ペット(株) RP553P
IV 0. 85 (dl/g) (ゲノレマ-ゥム量 50ppm)
PET (II):アンチモン系触媒 イーストマンケミカル EASTAPAK9921 IV 0. 83 (dl/g) (アンチモン量 260ppm)
再生 PET:PET(I)を用いて PETボトルをブロー成形した後、粉砕してフレークを得 た。また PET (II)についても同様にしてフレークを得た。 PET(I)と PET (II)のフレー クを 50Z50 (質量比)でブレンドして再生 PETフレークとした。 (ゲルマニウム 25ppm 、アンチモン 130ppm)
[0071] [ポリエステル榭脂 (A)の合成例]
攪拌機及び留出コンデンサーを有する、容積 10Lのエステルイ匕反応槽に、テレフタ ル酸 (TPA) 2414質量部、エチレングリコール(EG) 1497質量部、ネオペンチルグ リコール (NPG) 515質量部を投入し、触媒として、二酸化ゲルマニウムを 8gZLの 水溶液として生成ポリエステルに対してゲルマニウム原子として 30ppm、酢酸コバル ト 4水和物を 50gZLのエチレングリコール溶液として生成ポリマーに対してコバルト
原子として 35ppm含有するように添加した。
[0072] その後、反応系内を最終的に 240°Cとなるまで除々に昇温し、圧力 0. 25MPaでェ ステルイ匕反応を 180分間行った。反応系内からの留出水が出なくなるのを確認した 後、反応系内を常圧に戻し、リン酸トリメチルを 130gZLのエチレングリコール溶液と して生成ポリマーに対してリン原子として 52ppm含有するように添加した。
[0073] 得られたオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、除々に昇温しながら減圧し最終的に 温度が 280°Cで、圧力が 0. 2hPaになるようにした。固有粘度に対応する攪拌翼のト ルク値が所望の数値となるまで反応させ、重縮合反応を終了した。反応時間は 100 分であった。得られた溶融ポリエステル榭脂を重合槽下部の抜き出し口からストランド 状に抜き出し、水槽で冷却した後チップ状に切断した。
[0074] ポリエステル榭脂(A)は NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸 100 モル0 /0、ジオール成分はエチレングリコール 70モル0 /0、ネオペンチルグリコール 30 モル%の組成を有していた。また非晶性でガラス転移温度は 78°C、このときの還元 粘度は 0. 81dlZgであり、ゲルマニウム原子は、 30ppmであった。
[0075] [ポリエステル榭脂(B)の合成例]
ポリエステル榭脂 (A)において、触媒として三酸ィ匕アンチモンを 12gZLのエチレン グリコール溶液として生成ポリマーに対して、アンチモン原子として 300ppm含有させ ること以外は、すべてポリエステル榭脂 (A)と同様にしてポリエステル榭脂(B)を得た
[0076] ポリエステル榭脂(B)は NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸 100 モル0 /0、ジオール成分はエチレングリコール 69モル0 /0、ネオペンチルグリコール 31 モル%の組成を有して、アンチモン原子は、 300ppmであった。
[0077] ポリエステル榭脂(C)〜 (F)は、ポリエステル (A)と同様に、重合触媒として酸化ゲ ルマニウムを用いて製造を行った。残存するゲルマニウム原子は、 30ppmであった。 組成、及び測定結果を表 1に示す。(数値は榭脂中のモル%)
[0078] [表 1]
g¾鹿 ίφ¾蒗\J隨隨^±:ecLB01EW20kcm20Oΰli/u〜〜I^。 »s(M» ¾φ ¾y ¾ ΡΕΤ 60/AO rH〜
〔¾007
内で二軸延伸ブロー成形し、 2000mlの中空成形体 (同部は円形)を得た。
[0080] <押出しブロー中空成形体 >
再生 PETフレーク 60質量部、ポリエステル榭脂 (A) 40質量部を混合し、脱湿窒素を 用いた乾燥機で乾燥した。 日本製鋼所製ダイレ外ブロー成型機「電動式小型中空 成形衡 EB— 7ZP50ZWS60S」を用い、シリンダー各部やノズルの温度を約 285 °Cとし、容量 100mlの中空成形体を押出しブロー成形した。
[0081] <大型中空成形体 >
再生 PETフレーク 60質量部、ポリエステル榭脂 (A) 40質量部を混合し、脱湿窒素を 用いた乾燥機で乾燥し、インジェクションブロー成型機 (SBIII-250LL-50S:青木固 研究所製)により榭脂温度 290°C、プリフォーム温度 60〜: LOO°Cとし、延伸ブロース テーシヨン (金型内部)にて二軸延伸ブローし、容量が 5000mlの中空成形体を得た
[0082] これらの成形体の成形過程における、成形加工性を以下の基準で評価した。
<中空成形体 >
〇:プリフォームの成形性が良好であり、延伸ブロー工程後の製品寸法性が安定して いる。
プリフォームは成形できるが、延伸ブロー工程後の製品寸法性が安定しない。
X:プリフォームの形状が安定せず、延伸ブロー工程後の製品寸法が目標通りにな らない。
<押出しブロー中空成形体 >
〇:溶融状態のプリフォーム成形が良好であり、ブロー後の製品寸法性が安定してい る。
△:溶融状態のプリフォームがややドローダウンし、ブロー後の製品寸法性が安定し ない。
X:溶融状態のプリフォームがドローダウンして成形困難であり、ブロー成形できない <大型中空成形体 >
〇:プリフォームの成形性が良好であり、延伸ブロー工程後の製品寸法性が安定して
いる。
プリフォームは成形できるが、延伸ブロー工程後の製品寸法性が安定しない。
X:プリフォームの形状が安定せず、延伸ブロー工程後の製品寸法が目標通りにな らない。
[0083] また、別途同様の配合処方で成形を行!ヽ、透明性、成形サイクルの評価を行った。
評価基準は以下に従った。
透明性評価:
< 5mm厚みのプレ ト >
乾燥したポリエステルを名機製作所製 M—150C (DM)射出成型機により、シリンダ 一温度 290°Cにお!/、て、 10°Cの水で冷却した段付平板金型 (表面温度約 22°C)を 用いて段付成形板を成形した。得られた段付成形板は、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10 、 11mm厚みの約 3cm X約 5cm角のプレ—トを階段状に備えたもので、 1個の質量 は約 146gである。 5mm厚みのプレートをヘイズ (霞度%)測定に使用した。
〇:ヘイズが 15%未満
X:ヘイズが 15%以上
[0084] <容量 5000mlの中空成形体の胴部 >
ヘイズ (霞度%):上述の大型中空成形体 (容量 5000ml)をそのまま用いた。胴部( 肉厚約 0. 45mm)より試料を切り取り、 日本電色 (株)製ヘイズメーター、 modelNDH 2000で測定し、下記ようにランク付けした。
〇:ヘイズが 5%未満
X:ヘイズが 5%以上
[0085] 金型離型性 (成型サイクル)評価:
射出成形機 (東芝 IS— 80 :型締カ 80トン)にてシリンダー温度 250〜295°C、金型 温度 16°C、背圧 20kgZcm2とし、 ISO 178物性試験用の試験片を作製し、このとき の金型付着性を以下の基準にて判定した。
〇:榭脂の金型離れは、非常にスムーズなものであった
X:榭脂の金型付着性が高まり、金型への離型剤塗布が必要となった。
[0086] [実施例 2〜8、比較例 1〜5]
表 2、 3に記載した原料を用いて、それぞれの表に記載した条件で実施例 1と同様 に、ブロー成形、および評価サンプル成形して各種評価を行った。
[0087] また表中の配合比についてはポリエステル榭脂組成物を 100質量部とし、安定剤、 添加剤はその 100質量部に対する添加量として表した。
酸化防止剤(M) : チノく'スペシャルティ'ケミカルズ製 ヒンダートフエノール系酸化 防止剤 (商品名) IRGANOX1010
紫外線吸収剤(N):チバ'スペシャルティ ·ケミカルズ製(商品名) TINUVIN 234 光安定剤 (O):三共ライフテック製 ヒンダートアミン系光安定剤 HALS (商品名)サノ 一ノレ @LS770
[0088] [表 2]
実施例
ポリエステル樹脂組成物
1 2 3 4 5 6 7 8 9 ボリエステル樹脂 再生 PET 再生 PET 再生 PET 再生 PET 再生 PET 再生 PET PET(II) D (カツコ内は組成物中の重量部) (60) (70) (60) (30) (60) (30) (45) (70)
A 40 20
B 30 30
C 30
D 40
共
〔¾〔008 ポリエステル樹脂 E 70
F 20
G 60
H 10
I 55 酸化防止剤 M 0.1
紫外線吸収剤 N 0.1
光安定剤 O 0.1
ゲルマニウム アンチモン (重量比) 26/74 23ノ 77 26/74 42/58 26/74 42/58 28/72 12/88 19/81 ゲルマニウム,アンチモン (実測値;単位: ppm) 26.8, 77.8 26.8, 91.4 27.3, 78.2 28.2, 38.7 27.1 , 77.3 28.8, 39.6 35.8, 90.7 16.1,1 16 21.4,90.6 テレフタル酸とエチレングリコール以外の共重合成分 NPG C6) 2,6-NDA(10) IPAC27) IPA(7)
NPG (12) CHDM C9) IPA C4) IPAC14) NPG (9)
(カツコ内は組成物中のモル0 1 ,2-PG(15) CHDM (19) NPG C27) NPG C9)
2000ml 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 ブロー成形加工性
(右記値は 100ml 〇 〇 〇 〇 Δ 〇 〇 〇 〇 成型品の容量)
5000ml 〇 〇 〇 〇 Δ 〇 〇 〇 〇 透明性評価(5mm厚みプレート) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 樹脂評価項目
透明性評価(5000ml中空成形体胴部) 〇 〇 〇 〇 Δ 〇 〇 〇 〇
(特性)
金型離型性 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
較例比 〇 〇 ポ脂成物樹組リテスルエ ffl \ ポ樹脂リテスルエ () ())()(00L1I丄ョ00L1丄ョ d
生生()再()再 PET70 PET100
組成物部 (カ内は中重量)のコツ
\ 〇 〇
\ 〇 〇 <1 〇 < ポ共重合樹脂リテスルエ
\ 〇
a.
z
酸防剤化止
線剤紫外収吸
\ _) 〇 安定剤光
ゲウ重量(比)ムアチルンンマモニ
ゲウ実値単位〔測)ムアチルンンマモニ;: ppm,
グ酸成タと外共重合分テチレリ以のレフルンルエコ一
組成物 (カ内は中)のル%モコツ
ブ成加性形ロ工ー
< ω Q ϋ_ CD X Έ Z 〇 右値成型容量 (記は品)の プ透性明評価(厚)トみレ5mmー
樹脂評価特性項()目透性空成体部明評価(中胴)形5000lm
E E
E o
o o o 金離性型型 o o o
eg
[0090] 表 2、 3から分かるように、実施例 1〜9は、テレフタル酸とエチレングリコール以外の 共重合成分が 1〜30モル%含まれ、かつゲルマニウム原子およびアンチモン原子が 質量比率で 10Z90〜99Zlの割合で含まれるため、ブロー成型性が良好であり、 ブロー成型品の透明性および成型サイクルが向上して生産性が良好となる。
[0091] 一方、比較例 1は、二種以上のポリエステル榭脂を溶融混合していないこと、および 共重合成分が含まれていないため、本発明の範囲外である。比較例 2は、ゲルマ-
ゥム原子およびアンチモン原子が質量比率で 10Z90〜99Zlの割合力も外れてい る為、本発明の範囲外である。比較例 3は、二種以上のポリエステル榭脂を溶融混合 していないこと、および共重合成分が含まれていないこと、ゲルマニウム原子および アンチモン原子が質量比率で 10Z90〜99Zlの割合から外れているという理由か ら、本発明の範囲外である。また、このとき成型品の透明性は良好であるが、結晶化 が遅くなる為金型の離型性が悪くなり、生産性が低下した。比較例 4は、二種以上の ポリエステル榭脂を溶融混合して 、な 、こと、および共重合成分が含まれて 、な 、こ と、ゲルマニウム原子およびアンチモン原子が質量比率で 10Z90〜99Zlの割合 力 外れているという理由から、本発明の範囲外である。比較例 5は、ゲルマニウム原 子およびアンチモン原子が質量比率で 10Z90〜99Zlの割合から外れているとい う理由から、本発明の範囲外である。また、この場合は、成形性も悪ぐ押し出しプロ 一成形および大型中空成形 (二軸延伸ブロー成形)は非常に難し力つた。
産業上の利用可能性
本発明のポリエステル榭脂組成物を用いることにより結晶化による白化を防止し、透 明性を維持した成型品を提供することが可能となり、例えば、 PETボトル再生フレー クを主原料とした溶融成型に関して、榭脂組成物の結晶化による白化を防止して透 明性を保持し、かつ成型品の生産効率が良好となる為、産業界への寄与が大である