明 細 書
リンス処理方法、現像処理方法およびコンピュータ読取可能な記憶媒体 技術分野
[0001] 本発明は、露光パターンを現像処理した後の半導体ウェハ等の基板をリンス処理 するリンス処理方法と、そのようなリンス処理を含む現像処理方法と、この現像処理方 法を実行するための装置に用いられるコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。 背景技術
[0002] 例えば、半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウェハ(以下「ウェハ」 という)の表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜を所定パタ ーンで露光処理し、こうしてレジスト膜に形成された露光パターンを現像するという、 V、わゆるフォトリソグラフィー技術が用いられて 、る。
[0003] このようなフォトリソグラフィー技術の 1プロセスである現像処理においては、ウェハ に現像液を供給して現像液パドルを形成し、所定時間自然対流により現像処理を進 行させた後に現像液を振り切り、続いて洗浄液として純水を供給してウェハ上に残存 する現像液を洗い流し、その後、ウェハを高速で回転して、ウェハ上に残存する現像 液および洗浄液を振り切り、ウェハを乾燥させている。
[0004] ここで、近時、露光技術等の進歩により、半導体デバイスの回路構造の微細化が一 層進行しており、微細かつ高アスペクト比のレジストパターンが出現するに至り、上述 のような現像工程における最終の振り切り乾燥において、リンス液がパターン間から 抜け出る際に、リンス液の表面張力によりレジストパターンが引っ張られて倒れるとい う、 V、わゆる「パターン倒れ」が発生することが問題となって 、る。
[0005] このような問題を解決する技術として、例えば、特開平 7— 142349号公報には、リ ンス液中に界面活性剤溶液を混入してリンス液の表面張力を低下させる技術が提案 されている。また、特開 2001— 5191号公報には、現像処理後に基板のリンス処理 を行う際に界面活性剤を供給するプロセスが開示されている。
[0006] し力しながら、リンス液にこのような界面活性剤を用いる場合には、従来の純水とは 異なり、界面活性剤がパーティクルになってウェハを汚染するという問題、換言すれ
ば、界面活性剤に起因する析出系欠陥が生じて品質を低下させるという問題が生じ ている。また、界面活性剤がレジストパターンを溶解させたり、 CD (Critical Dimension )に変動を与えたりするという問題も発生している。界面活性剤を用いたリンス処理に お!、て、これらの問題を考慮した最適なプロセスは未だ見出されて ヽな 、。
発明の開示
[0007] 本発明の目的は、現像処理における析出系欠陥の発生を抑制するリンス処理方法 および現像処理方法を提供することにあり、本発明の他の目的は CD変動を抑制す るリンス処理方法および現像処理方法を提供することにあり、本発明のさらに他の目 的は、リンス液によるレジストパターンの溶解を抑制するリンス処理方法および現像処 理方法を提供することにあり、本発明のさらに他の目的は、このような現像処理方法 を実施するための装置に用いられるコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供するこ とにある。
[0008] 上記課題を解決するために、本発明の第 1の観点では、露光パターンを現像処理 した後の基板に、分子量が 1280以上で疎水基の炭素数が 14以上であり、前記疎水 基が二重結合および三重結合を有していないポリエチレングリコール系またはァセチ レンダリコール系の界面活性剤を臨界ミセル濃度以下で含有するリンス液を供給して リンス処理するリンス処理方法、を提供する。
[0009] 本発明の第 2の観点では、露光パターンを現像処理した後の基板に、水溶性で分 子量が 1280以上かつ疎水基の炭素数が 14以上であり、前記疎水基が二重結合お よび三重結合を有していないポリエチレングリコール系またはアセチレングリコール系 の界面活性剤を含有するリンス液を供給してリンス処理するリンス処理方法、を提供 する。
[0010] これら第 1,第 2の観点に係るリンス処理方法に用いられるポリエチレングリコール系 の界面活性剤としては、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリェチ レングリコール直鎖アルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、直鎖 アルキル付カ卩型のポリエチレングリコールフエ-ルエーテル、分岐鎖アルキル付加型 のポリエチレングリコールフエ-ルエーテルのいずれかが好適に用いられ、前記ァセ チレングリコール系の界面活性剤としては、 EO付加型のアセチレングリコールが好
適に用いられる。
[0011] リンス液の基板への供給には、リンス液を略帯状に吐出するノズルを用いることが好 ましぐノズルを基板上でスキャンさせながらこのノズルカゝら前記リンス液を略帯状に 吐出する方法、または、ノズルを基板の径方向に一致するように基板上に配置し、基 板を所定の回転数で回転させながらこのノズル力 リンス液を略帯状に吐出する方 法、が好適に用いられる。
[0012] 本発明ではこのようなリンス処理方法を用いた現像処理方法を提供する。すなわち 、本発明の第 3の観点では、基板上に形成されたレジスト膜を所定パターンに露光し た後、露光パターンを現像する現像処理方法であって、
基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗布し、現像を進行させる工程と、 現像後の基板から現像液を振り切る工程と、
基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコー ル系の界面活性剤を含有するリンス液を供給する工程と、
前記基板に純水を供給して、前記基板上のリンス液を純水に置換する工程と、 前記基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り、基板を乾燥させる 工程と、
を有する現像処理方法、を提供する。
[0013] 本発明の第 4の観点では、基板上に形成されたレジスト膜を所定パターンに露光し た後、露光パターンを現像する現像処理方法であって、
基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗布し、現像を進行させる工程と、 現像後の基板から現像液を振り切る工程と、
基板上に純水を供給する工程と、
基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコー ル系の界面活性剤を含有するリンス液を供給して、基板上の純水を前記リンス液に 置換する工程と、
前記基板を回転させて基板上のリンス液を広げるとともに振り切り、基板を乾燥させ る工程と、
を有する現像処理方法、を提供する。
[0014] 本発明の第 5の観点では、基板上に形成されたレジスト膜を所定パターンに露光し た後、露光パターンを現像する現像処理方法であって、
基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗布し、現像を進行させる工程と、 現像後の基板から現像液を振り切る工程と、
基板上に純水を供給する工程と、
基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコー ル系の界面活性剤を含有するリンス液を供給して、基板上の純水を前記リンス液に 置換する工程と、
基板上に純水を供給して、基板上のリンス液を純水に置換する工程と、 基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り、基板を乾燥させる工程と を有する現像処理方法、を提供する。
[0015] 本発明の第 6の観点では、基板上に形成されたレジスト膜を所定パターンに露光し た後、露光パターンを現像する現像処理方法であって、
基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗布し、現像を進行させる工程と、 現像後の基板から現像液を振り切る工程と、
基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコー ル系の界面活性剤を含有するリンス液を供給する工程と、
基板からリンス液を振り切る工程と、
基板上に再び現像液を塗布し、現像を進行させる工程と、
現像後の基板から現像液を振り切る工程と、
基板上に純水を供給する工程と、
基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り、基板を乾燥させる工程と を有する現像処理方法、を提供する。
[0016] 本発明の第 7の観点では、基板上に形成されたレジスト膜を所定パターンに露光し た後、露光パターンを現像する現像処理方法であって、
基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコー
ル系の界面活性剤を含有するリンス液を基板に供給する工程と、
基板カゝら前記リンス液を振り切り、基板を乾燥させる工程と、
基板上に現像液を塗布し、前記レジスト膜の現像を進行させる工程と、 現像後の基板から現像液を振り切る工程と、
基板上に純水を供給する工程と、
基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り、基板を乾燥させる工程と を有する現像処理方法、を提供する。
[0017] これらの現像処理方法でも、リンス液に含まれる界面活性剤の分子量は 1280以上 であり、かつ、その疎水基の炭素数は 14以上であることが好ましぐその疎水基は二 重結合および三重結合を有して 、な 、ことが好ま 、。前記ポリエチレングリコール 系およびアセチレングリコール系界面活性剤の好ましい物質例およびリンス液の供 給方法は前述の通りである。
[0018] 本発明は、上述した第 3〜第 7の観点に係る現像処理方法を実行するための装置 に用いられるコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供する。
すなわち、本発明の第 8の観点では、コンピュータに制御プログラムを実行させるソ フトウェアが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、(a)基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗 布し、現像を進行させ、(b)現像後の基板から現像液を振り切り、(c)基板上に臨界ミ セル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコール系の界面活性 剤を含有するリンス液を供給し、(d)基板に純水を供給して、基板上のリンス液を純 水に置換し、(e)基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り、基板を乾 燥させる処理を実行して、前記基板を現像するように現像処理装置を制御する、コン ピュータ読取可能な記憶媒体、を提供する。
[0019] 本発明の第 9の観点では、コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウェア が記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、(a)基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗 布し、現像を進行させ、(b)現像後の基板から現像液を振り切り、(c)基板上に純水
を供給し、 (d)基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはァセ チレングリコール系の界面活性剤を含有するリンス液を供給して、基板上の純水を前 記リンス液に置換し、 (e)基板を回転させて基板上のリンス液を広げるとともに振り切 り、基板を乾燥させる処理を実行して、前記基板を現像するように現像処理装置を制 御する、コンピュータ読取可能な記憶媒体、を提供する。
[0020] 本発明の第 10の観点では、コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウェア が記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、(a)基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗 布し、現像を進行させ、(b)現像後の基板から現像液を振り切り、(c)基板上に純水 を供給し、 (d)基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレングリコール系またはァセ チレングリコール系の界面活性剤を含有するリンス液を供給して、基板上の純水を前 記リンス液に置換し、(e)基板上に純水を供給して、基板上のリンス液を純水に置換 し、(f)基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り、基板を乾燥させる 処理を実行して、前記基板を現像するように現像処理装置を制御する、コンピュータ 読取可能な記憶媒体、を提供する。
[0021] 本発明の第 11の観点では、コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウェア が記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、(a)基板上の露光後のレジスト膜に現像液を塗 布し、現像を進行させ、(b)現像後の基板から現像液を振り切り、(c)基板上に臨界ミ セル濃度以下のポリエチレングリコール系またはアセチレングリコール系の界面活性 剤を含有するリンス液を供給し、(d)基板からリンス液を振り切り、(e)基板上に再び 現像液を塗布し、現像を進行させ、(f)現像後の基板から現像液を振り切り、(g)基 板上に純水を供給し、(h)基板を回転させて基板上の純水を広げるとともに振り切り 、基板を乾燥させる処理を実行して、前記基板を現像するように現像処理装置を制 御する、コンピュータ読取可能な記憶媒体、を提供する。
[0022] 本発明の第 12の観点では、コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウェア が記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、(a)基板上に臨界ミセル濃度以下のポリエチレ
ングリコール系またはアセチレングリコール系の界面活性剤を含有するリンス液を基 板に供給し、(b)基板力 前記リンス液を振り切り、基板を乾燥させ、(c)基板上に現 像液を塗布し、前記レジスト膜の現像を進行させ、(d)現像後の基板から現像液を振 り切り、(e)基板上に純水を供給し、(f)基板を回転させて基板上の純水を広げるとと もに振り切り、基板を乾燥させる処理を実行して、前記基板を現像するように現像処 理装置を制御する、コンピュータ読取可能な記憶媒体、を提供する。
[0023] 本発明によれば、界面活性剤を含有するリンス液を用いたリンス処理を行うことによ るパーティクル等の析出系欠陥の発生を抑制することができる。また、 CD変動を抑え 、レジストパターンの溶解を抑制することができる。こうして精密なレジストパターンを 得ることができる。勿論、本発明はパターン倒れの問題をも解決する。
図面の簡単な説明
[0024] [図 1]現像処理装置の概略構造を示す平面図。
[図 2]現像処理装置の概略構造を示す断面図。
[図 3]現像処理装置の液供給系の概略構成を示す図。
[図 4]疎水基の構造が異なる界面活性剤を純水に溶解したときのその濃度と表面張 力の関係を示すグラフ。
[図 5]界面活性剤 A〜Eを含有する水溶液を用いて現像処理の後にリンス処理を行つ たときの CD変動を示すグラフ。
[図 6]界面活性剤を含有する水溶液を用いて現像処理の後にリンス処理を行ったとき のパーティクル等の析出系欠陥の数を示すグラフ。
[図 7]現像処理の後に界面活性剤を含有する水溶液を用いてリンス処理を行った場 合の、界面活性剤の分子量と CD変動との関係を表すグラフ。
[図 8]現像処理の後に界面活性剤を含有する水溶液を用いてリンス処理を行った場 合の、界面活性剤の分子量と析出系欠陥数との関係を表すグラフ。
[図 9]現像処理の後に界面活性剤 C · Dの濃度が lOOppmの水溶液を用いてリンス処 理を行った場合の CD変動を示すグラフ。
[図 10]現像処理の後に界面活性剤 C · Dの濃度が lOOppmの水溶液を用いてリンス 処理を行った場合の析出系欠陥数を示すグラフ。
[図 11]第 1の現像プロセスを示すフローチャート。
[図 12]第 2の現像プロセスを示すフローチャート。
[図 13A]第 1〜第 6の現像プロセスを模式的に示す図。
[図 13B]第 1〜第 6の現像プロセスを模式的に示す図。
[図 13C]第 1〜第 6の現像プロセスを模式的に示す図。
[図 13D]第 1〜第 6の現像プロセスを模式的に示す図。
[図 13E]第 1〜第 6の現像プロセスを模式的に示す図。
[図 13F]第 1〜第 6の現像プロセスを模式的に示す図。
発明を実施するための最良の形態
[0025] 以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図 1は現像処理装置の概略構造を示す平面図であり、図 2はその断面図である。こ れら図 1,図 2に示すように、水平面の直交する 2方向を X方向、 Y方向とし、垂直方 向を Z方向とする。
[0026] 現像処理装置 (DEV)は筐体 1を有し、筐体 1の天井部には筐体内に清浄空気の ダウンフローを形成するためのファン ·フィルタユニット Fが設けられている。また、筐 体 1内の中央部には環状のカップ CPが配置され、カップ CPの内側にはスピンチヤッ ク 2が配置されて 、る。スピンチャック 2は真空吸着によってウェハ Wを固定保持する 。スピンチャック 2の下方には駆動モータ 3が配置されており、スピンチャック 2は駆動 モータ 3によって回転駆動される。駆動モータ 3は床板 4に取り付けられている。
[0027] カップ CPの中には、ウェハ Wを受け渡しする際の昇降ピン 5がエアシリンダ等の駆 動機構 6により昇降可能に設けられている。また、カップ CP内には、廃液用のドレイ ンロ 7が設けられている。このドレイン口 7に廃液管 8が接続され、この廃液管 8は図 1 に示すように、底板 4と筐体 1との間の空間 Nを通って、下方の図示しない廃液口へ 接続されている。
[0028] 筐体 1の側壁には、ウェハ搬送装置の搬送アーム Tが侵入するための開口 laが形 成されており、この開口 laはシャツタ 9により開閉可能となっている。そしてウェハ W の搬入出に際しては、シャツタ 9が開けられて搬送アーム Tが筐体 1内に侵入する。 搬送アーム Tとスピンチャック 2との間のウェハ Wの受け渡しは、昇降ピン 5が上昇し
た状態で行われる。
[0029] カップ CPの上方には、ウェハ Wの表面に現像液を供給するための現像液ノズル 1 1と、現像後のウェハ Wに水系洗浄液を供給する純水ノズル 12と、界面活性剤を純 水に溶解させてなるリンス液を供給するリンス液ノズル 13と力 ウェハ W上の供給位 置とウェハ Wの外方の待機位置との間で移動可能に設けられている。以下の説明で は、水系洗浄液として純水(DIW)を取り上げて説明することとする。
[0030] 現像液ノズル 11は長尺状をなし、その長手方向を水平にして配置されている。現 像液ノズル 11は、その下面に複数の吐出口を有しており、吐出された現像液は全体 で帯状になる。現像液ノズル 11は、第 1のノズルスキャンアーム 14の先端部に保持 部材 15aを介して着脱可能に取り付けられている。第 1のノズルスキャンアーム 14は 、底板 4の上に Y方向に沿って敷設された第 1のガイドレール 21上力も垂直方向に 延びた第 1の垂直支持部材 22の上端部に取り付けられている。こうして、現像液ノズ ル 11は、第 1の垂直支持部材 22とともに Y軸駆動機構 23によって Y方向に沿って水 平移動することができる。また、第 1の垂直支持部材 22は Z軸駆動機構 24によって昇 降自在である。これにより、現像液ノズル 11は、第 1の垂直支持部材 22の昇降によつ てウエノ、 Wに近接した吐出可能位置とその上方の非吐出位置との間で移動すること ができる。
[0031] ウェハ Wに現像液を塗布する際には、現像液ノズル 11はウェハ Wの上方に位置さ れ、現像液ノズル 11から現像液を帯状に吐出させながら、ウェハ Wを 1Z2回転以上 、例えば 1回転させることにより、現像液がウェハ W全面に塗布される。こうしてウェハ W上に現像液パドルが形成される。なお、現像液吐出の際には、ウェハ Wを回転さ せずに現像液ノズル 11を第 1のガイドレール 21に沿ってスキャンさせてもよ!、。
[0032] 純水ノズル 12にはストレートタイプのノズルが用いられている。この純水ノズル 12は 、第 2のノズルスキャンアーム 16の先端部に着脱可能に取り付けられている。底板 4 の上の第 1のガイドレール 21の外側には第 2のガイドレール 25が敷設されており、第 2のノズルスキャンアーム 16は、第 2のガイドレール 25上から垂直方向に延びた第 2 の垂直支持部材 26の上端部に X軸駆動機構 29を介して取り付けられている。こうし て、純水ノズル 12は、第 2の垂直支持部材 26とともに Y軸駆動機構 27によって Y方
向に沿って水平移動することができる。また、第 2の垂直支持部材 26は Z軸駆動機構 28によって昇降自在となっており、これにより純水ノズル 12は、第 2の垂直支持部材 26の昇降によってウェハ Wに近接した吐出可能位置とその上方の非吐出位置との 間で移動することができる。また、第 2のノズルスキャンアーム 16は、 X軸駆動機構 29 により X方向に沿って移動可能に設けられており、これにより純水ノズル 12は X方向 にも移動自在である。なお、純水ノズル 12の形状は特に限定されず、現像液ノズル 1 1と同様、長尺で多数の吐出口が設けられているものであってもよぐ吐出口がスリツ ト状のスリットノズルであってもよ ヽ。
[0033] リンス液ノズル 13は現像液ノズル 11と同様に長尺状をなし、その長手方向を水平 にして配置されている。リンス液ノズル 13は、その下面に複数の吐出口を有しており 、吐出されたリンス液は全体で帯状となる。リンス液ノズル 13は、第 3のノズルスキャン アーム 18の先端部に保持部材 15bによって着脱可能に取り付けられている。底板 4 の上の第 2のガイドレール 25の外側には第 3のガイドレール 30が敷設されており、第 3のノズルスキャンアーム 18は、この第 3のガイドレール 30上から垂直方向に延びた 第 3の垂直支持部材 31の上端部に X軸駆動機構 34を介して取り付けられている。こ うして、リンス液ノズル 13は、第 3の垂直支持部材 31とともに Y軸駆動機構 32によつ て Y方向に沿って水平移動することができる。なお、純水ノズル 12とリンス液ノズル 1 3は、 Y方向で相互に追い越し可能となっている。また、第 3の垂直支持部材 31は Z 軸駆動機構 33によって昇降可能であり、これによりリンス液ノズル 13は、第 3の垂直 支持部材 31の昇降によってウェハ Wに近接した吐出可能位置とその上方の非吐出 位置との間で移動することができる。さらに、第 3のノズルスキャンアーム 18は、 X軸 駆動機構 34により X方向に沿って移動可能に設けられており、これによりリンス液ノズ ル 13は X方向にも移動自在である。
[0034] ウェハ Wへリンス液を供給する第 1の方法は、リンス液ノズル 13をウェハ Wの上方 に位置させ、ウェハ Wを回転させながら、このリンス液ノズル 13からリンス液を帯状に 吐出する方法である。ウェハ Wへリンス液を供給する別の方法は、リンス液ノズル 13 をウェハ W上で Y方向にスキャンさせながら、このリンス液ノズル 13からリンス液を帯 状に吐出する方法である。この第 2の方法では、ウェハ Wは回転させてもよいし、静
止させた状態でもよい。また、リンス液ノズル 13の Y方向スキャンは、ウェハ Wの Y方 向端間で行ってもよいし、ウェハ Wの Y方向端とウェハ Wの中心との間で行ってもよ い。リンス液は、ウェハ Wからリンス液が流れ落ちるように連続的に供給してもよいし、 リンス液のパドルを形成して、所定時間保持してもよ!/ヽ、
[0035] 図 1に示すように、カップ CPの右側には、現像液ノズル 11が待機する現像液ノズル 待機部 71が設けられて 、る。この現像液ノズル待機部 71には現像液ノズル 11を洗 浄する洗浄機構(図示せず)が設けられている。また、カップ CPの左側には純水ノズ ル 12およびリンス液ノズル 13がそれぞれ待機する純水ノズル待機部 72およびリンス 液ノズル待機部 73が設けられており、これらにはそれぞれ純水ノズル 12およびリンス 液ノズル 13を洗浄する洗浄機構(図示せず)が設けられて ヽる。
[0036] 図 3に現像処理装置 (DEV)の液供給系の概略構成を表す図を示す。現像液ノズ ル 11には、現像液を貯留した現像液タンク 41から現像液を供給する現像液供給配 管 42が接続されている。現像液供給配管 42には、現像液を供給するためのポンプ 4 3およびオン ·オフバルブ 44が介装されて!、る。
[0037] 純水ノズル 12には、純水を貯留した純水タンク 46から純水を供給する純水供給配 管 47が接続されている。純水供給配管 47には、純水を供給するためのポンプ 48お よびオン ·オフバルブ 49が介装されている。
[0038] リンス液ノズル 13には、純水タンク 46から純水を供給する純水供給配管 52が接続 されている。純水供給配管 52の途中には、ミキシングバルブ 54が設けられており、こ のミキシングバルブ 54には界面活性剤溶液を貯留する界面活性剤溶液タンク 55か ら延びる界面活性剤溶液供給配管 56が接続されて ヽる。ミキシングバルブ 54にお いて純水と界面活性剤溶液とが混合される。したがって、リンス液ノズル 13からは、純 水と界面活性剤溶液とが混合した界面活性剤入りリンス液を吐出することができる。 純水供給配管 52および界面活性剤溶液供給配管 56におけるミキシングバルブ 54 の上流側には、それぞれポンプ 53および 57が介装されている。また、純水供給配管 52におけるミキシングバルブ 54の下流側にはオン ·オフバルブ 58が介装されている
[0039] このようにして界面活性剤溶液力インラインで希釈する構成としたのは、処理条件
やパターンの違いにより必要な界面活性剤量が異なることに対応するためである。そ のため、全ての場合に対応し得る濃度の高 ヽ界面活性剤溶液を適宜純水で希釈し て用いる。
[0040] 現像処理装置 (DEV)を構成する各種の駆動装置、例えば、 Y軸駆動機構 23, 27 , 32、 Z軸駆動機構 24, 28, 33、 X軸駆動機構 29, 34、駆動モータ 3、ポンプ 43, 4 8, 53, 57およびオン'オフノ レブ 44, 49, 58、ミキシングバルブ 54等の制御は、現 像処理装置 (DEV)おけるウェハ Wの一連の処理を制御する制御部 80により行われ る。
[0041] ウェハ Wの処理を制御するための制御部(つまり、コンピュータ) 80には、工程管理 者がウェハ Wの処理条件等を決定するためのコマンド入力操作等を行うキーボード 、制御部 80による演算結果、洗浄処理の進行状態等を可視化して表示するディスプ レイ等を有するデータ入出力部 81と、現像処理装置 (DEV)を制御するためのプロ グラムやレシピ、実行された処理に関係するデータ等が記憶された記憶部 82と、が 接続されている。
[0042] 記憶部 82には、具体的には、後に詳細に説明する、ウェハ Wに対して現像処理、 リンス処理、乾燥処理という一連の処理を施すために、現像処理装置 (DEV)におけ るウェハ Wの回転数制御、各種ノズルの駆動制御、現像液等の供給 Z停止の制御 等の各種制御を制御部 80に実行させるためのプログラムや、ウェハ Wの一連の処理 における時間配分、現像液等の供給流量および時間等が記憶されたレシピが記憶さ れている。これらの処理プログラムやレシピは、例えば、ハードディスク(HD)、メモリ 一(RAM等)の固定記憶媒体や、 CD— ROM (または CD— R等)、 DVD— ROM ( または DVD— R等)、 MOディスク等の可搬性のある各種記憶媒体に記憶されており 、制御部 80によって読み取り可能に記憶されている。
[0043] また、記憶部 82には、現像処理装置 (DEV)で実行された処理に関するデータ、例 えば、ウェハ wのロット番号、用いられた処理レシピ、処理日時、処理中の各種駆動 機構の動作不良の有無等の実行データを記憶することができるようになつている。こ のような実行データは、 CD— Rや MOディスク等の可搬性のある各種記憶媒体にコ ピーや移し替えできるようになって!/、る。
[0044] 次に、リンス液ノズル 13から吐出されるリンス液 (つまり、界面活性剤溶液タンク 55 に貯留された界面活性剤溶液そのものカ^ンス液として用いられる場合にはその界 面活性剤溶液を指し、界面活性剤溶液と純水とを所定の割合で混合する場合には 混合によって得られる希釈溶液)について、詳細に説明する。
[0045] ポリエチレングリコール系の界面活性剤の 1つであるポリエチレングリコールソルビタ ン脂肪酸エステルであって、その疎水基の構造が異なる 5種類の界面活性剤 A〜E を純水に溶解したときのその濃度と表面張力の関係を示すグラフを図 4に、界面活性 剤 A〜Eを所定濃度含有する水溶液を用いて、現像処理の後にリンス処理を行った ときの CD変動を示すグラフを図 5に、界面活性剤 A〜Eを所定濃度含有する水溶液 を用いて、現像処理の後にリンス処理を行ったときのパーティクル等の析出系欠陥の 数を示すグラフを図 6に、それぞれ示す。また、表 1に、界面活性剤 A〜Eの疎水基 の構造と分子量、 HLB (hydrophile-lipophile balance)値、二重結合の有無を示す。
[0046] [表 1]
[0047] ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルの一般式は、下記化 1式で示され る。ここで、 R1は疎水基を示している。
[0048] [化 1]
[0049] 表 1に示されるように、界面活性剤 A〜Eの HLB値は 10以上である。これは HLB値 が 10未満の場合には、界面活性剤による乳化(つまり、ミセルの発生)が起こり易ぐ このミセルがウェハ W上に残ってパーティクルとなるおそれがあるためである。
[0050] 図 4に示されるように、界面活性剤 A〜Eの濃度を高くしていくと、水溶液の表面張 力が低下し、やがて一定となる。また、界面活性剤を純水に溶解させようとすると、一 定濃度以上では界面活性剤の分子どうしの集合体であるミセルが形成されるようにな る。このミセルの形成が始まると水溶液の表面張力は一定となるので、逆に水溶液の 表面張力の変化から臨界ミセル濃度(以下「CMC」と記す)を知ることができる。図 4 に示されるように、界面活性剤 A〜Eでは、 CMCはおおよそ 50〜100ppmの範囲に 収まっていることがわ力る。
[0051] 図 5に示されるように、 CD変動は、界面活性剤の濃度の低い 50ppm (CMC以下 の濃度)のもので最も小さく、界面活性剤濃度の高!ヽ 300ppm (CMC以上)で大きく なっている。また、図 6に示されるように、析出系欠陥数は、界面活性剤の濃度が 50p pm以下の場合には、界面活性剤 A〜Eのいずれを用いても、リンス液として純水を 用いた場合と比較して、大きくその数が低下していることがわかる。し力しながら、界 面活性剤 Aでは lOOppm以上で、界面活性剤 B〜Dでは 300ppmで、リンス液として 純水を用いた場合と比較して、より多くの析出系欠陥が測定される結果となった。こ れは、水溶液中に発生したミセルの影響と考えられる。また、同じ 300ppmの濃度で も界面活性剤 A〜Eで析出系欠陥数に差があるのは、その濃度でのミセルの形成の しゃすさが関係して!/ヽるものと考えられる。
[0052] これら図 5および図 6に示される結果によれば、 CD変動を抑制し、かつ、析出系欠 陥の発生を抑制する観点から、リンス液における界面活性剤濃度は CMC以下とす べきことがわ力つた。一方、リンス液における界面活性剤の濃度が極端に低いと、水 溶液の表面張力が低下しないために、ウェハ Wに供給されたリンス液をウエノ、 Wから 振り切る際にパターン倒れが生ずるおそれがあり、また、 CD変動および析出系欠陥 の発生の抑制効果が得られなくなる。したがって、このパターン倒れを防止する観点 をも踏まえると、リンス液における界面活性剤の濃度は、 CMC近傍であって、水溶液 にミセルが発生しない濃度とすることが好ましい。界面活性剤 A〜Eでは、特に界面
活性剤 Eを用いることが好ましぐその濃度は、 50ppmまたはその前後とすることが好 ましいことがわ力る。
[0053] 図 7に、現像処理の後に界面活性剤 A〜Cの lOOppm濃度の水溶液を用いてリン ス処理を行った場合の、界面活性剤の分子量と CD変動との関係を表すグラフを示 す。また、図 8に、現像処理の後に界面活性剤 A〜Cの lOOppm濃度の水溶液を用 いてリンス処理を行った場合の、界面活性剤の分子量と析出系欠陥数との関係を表 すグラフを示す。図 7および図 8に示されるように、界面活性剤の分子量が大きくなる と CD変動が抑えられ、また析出系欠陥数も低下することがわ力つた。
[0054] このことから、界面活性剤の分子量は、純水に溶解する範囲で大き 、ことが好まし いことがわかる力 その中でも界面活性剤の分子量としては、図 6に示す純水を用い たリンス処理による析出系欠陥数である約 3500を下回る値、つまり 1280以上である ことが望ましいと判断される。また、界面活性剤 A〜Eは基本的に親水基部の分子量 はほぼ同じであることから、表 1と照合して、疎水基の炭素数は 14以上であることが 好ましいと判断される。なお、親水基部の重合度には分布があるために、界面活性 剤 A〜Eの分子量の差は各疎水基の分子量の差と完全には一致しない。
[0055] 図 9に、現像処理の後に界面活性剤 C'Dの濃度が lOOppmの水溶液を用いてリン ス処理を行った場合の CD変動を表すグラフを示す。また、図 10に、現像処理の後 に界面活性剤 C · Dの濃度が lOOppmの水溶液を用いてリンス処理を行った場合の 析出系欠陥数を表すグラフを示す。図 9および図 10に示されるように、界面活性剤 C の方が界面活性剤 Dよりも CD変動が抑えられ、また析出系欠陥数も低下して 、るこ とがわかる。
[0056] 界面活性剤 Cと界面活性剤 Dとの違いは、疎水基における二重結合の有無である ので、図 9および図 10に示す結果は、疎水基の二重結合がレジストパターンを溶解 すること〖こよって生じたものと考えられる。このことから、リンス液には、疎水基が二重 結合を含まず、単結合のみからなる界面活性剤を用 ヽることが好ま ヽことが明らか となった。なお、疎水基に三重結合を有する界面活性剤は、二重結合を有する界面 活性剤と同様の性質を有すると考えられ、リンス液に含有させないことが好ましいと考 えられる。
[0057] 上述の通り、図 4〜6, 8〜10に示した結果から、界面活性剤を含有するリンス液で は、界面活性剤の濃度が CMC以下であること、界面活性剤の分子量が大きく(好ま しくは 1280以上)、疎水基の炭素数が 14以上であること、疎水基に二重結合が含ま れないこと、の 3つ条件のいずれかを満たすことで、 CD変動および析出系欠陥の発 生が抑制される。リンス液は、これら 3つ条件を同時に満足していること力 最も好まし い。
[0058] なお、界面活性剤溶液タンク 55に貯留された界面活性剤溶液に界面活性剤のミセ ルが生成すると、そのような界面活性剤溶液を純水で希釈しても、ミセルが完全に分 解してミセルを構成して 、た界面活性剤が純水に溶解した状態にならな 、おそれが ある。このため、界面活性剤溶液タンク 55に貯留される界面活性剤溶液の濃度を C MC以下とすることが望まし 、。
[0059] リンス液に溶解される界面活性剤はポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステ ルに限定されるものではなぐその他のポリエチレングリコール系の界面活性剤、具 体的には、下記の化 2式に示すポリエチレングリコール直鎖アルキルエーテル、下記 の化 3式に示すポリエチレングリコール脂肪酸エステル、下記の化 4式に示す直鎖ァ ルキル付カ卩型のポリエチレングリコールフエ-ルエーテル、下記の化 5式に示す分岐 鎖アルキル付加型のポリエチレングリコールフエ-ルエーテルでも、上述した界面活 性剤濃度や疎水基の炭素数等の条件を満たすことで、ポリエチレングリコールソルビ タン脂肪酸エステルを用いた場合と同じ効果が得られる。さらに下記の化 6式に示す アセチレングリコール系の界面活性剤である EO付加型のアセチレングリコールにつ いても同様である。なお、化 2式〜化 6式において、 R2〜R5は疎水基を示している。
[0060] [化 2]
[0062] [化 4]
[0063] [化 5]
[0064] [化 6]
[0065] 次に、現像処理装置 (DEV)による現像処理プロセスについて説明する。この現像 処理では、勿論、上述した界面活性剤を所定濃度含有するリンス液をリンス処理に用 いる。
[0066] 図 11に第 1の現像プロセスのフローチャートを示す。先ず、所定のパターンで露光 され、ポストェクスポージャーベータ処理され、その後に冷却処理されたウェハ Wが、 ウェハ搬送装置の搬送アーム Tによってカップ CPの真上まで搬送される。このウェハ Wは昇降ピン 5に受け渡され、スピンチャック 2上に載置され、真空吸着される(STE
Pl)。
[0067] 次いで、現像液ノズル 11がウェハ Wの中心の上方に移動し、この現像液ノズル 11 力 現像液が帯状に吐出されながら、ウェハ Wを 1Z2回転以上、例えば 1回転させ ることにより、現像液がウェハ W全面に塗布され、現像液パドルが形成される(STEP 2)。なお、現像液ノズル 11をガイドレール 21に沿ってスキャンしながら現像液を吐出 してちよい。
[0068] こうして現像液をウェハ W上に塗布した状態で、所定時間、例えば 60秒間静止さ せることにより現像を進行させる(STEP3)。この間に、現像液ノズル 11をカップ CP 外に待避させ、リンス液ノズル 13のノズルアーム 18を移動させて、リンス液ノズル 13 をウェハ Wの中心の上方に位置させる(STEP4)。
[0069] 上記現像時間が経過した後に、ウェハ Wを回転させてウェハ W上の現像液を振り 切る(STEP5)。続いて、リンス液ノズル 13から、先に説明した界面活性剤を所定量 含有するリンス液を帯状に吐出しながら、ウェハ Wを所定の回転数 (例えば、 500〜 2000rpm)で回転させて、リンス処理を行う(STEP6)。ここで、リンス液の供給前に は、待避位置においてリンス液ノズル 13のダミーデイスペンスを行って、リンス液ノズ ル 13に付着した界面活性剤の残渣等がウェハ Wに供給されないようにすることが望 ま 、。これによりリンス液に起因するパーティクルの発生をより確実に排除すること ができる。
[0070] リンス液ノズル 13を用いることにより、リンス液を低インパクトでウェハ Wに短時間で 供給することができ、これにより CD変動の抑制効果を高めることができる。なお、この リンス処理は、ウェハ Wを静止させた状態またはウェハ Wを所定の回転数 (例えば、 lOOOrpm以下)で回転させた状態で、リンス液ノズル 13をガイドレール 30に沿って スキャンさせることによって行ってもよい。
[0071] 所定時間、リンス液を供給した後に、リンス液ノズル 13をカップ CP外に待避させる。
その後、ウェハ Wの回転数を上昇させて、このリンス液をウェハ Wで拡げてウェハ W から振り切り、ウェハ Wを乾燥させる(STEP7)。この工程では、先ず、ウェハ Wの回 転数を 300rpm超 lOOOrpm未満、例えば 500rpmとし、 5〜15秒、例えば 10秒間 行い、引き続き、ウェハ Wの回転数を 1000〜4000rpm、例えば 2000rpmとし、 10
〜20秒間、例えば 15秒間行うことが好ましい。このようにしてリンス液をウェハ Wから 振り切ってウェハ Wをスピン乾燥することによって、パターン倒れの発生を効果的に 抑帘 Uすることができる。
[0072] こうして乾燥処理されたウェハ Wは、昇降ピン 5によってスピンチャック 2の上に持ち 上げられ、ウェハ搬送装置の搬送アーム Tによって現像処理装置 (DEV)から搬出さ れる(STEP8)。その後、ウェハ Wにはポストベータ処理が施される。
[0073] このような第 1の現像プロセスでは、先に説明した所定の条件を満たす界面活性剤 を所定濃度含有するリンス液を用いることによって、純水によるリンス処理を行わなく とも、パーティクル等の析出系欠陥の発生が抑制され、また、 CD変動およびレジスト ノターンの溶解が抑制され、さらにパターン倒れの発生も防止することができる。これ によって、高清浄性で精密なレジストパターンを得ることができる。
[0074] 次に、第 2の現像プロセスについて、図 12に示すフローチャートを参照しながら説 明する。最初に、第 1の現像プロセスと同様にして、露光処理されたウエノ、 Wがスピン チャック 2に真空吸着される(STEP101)。次いで、現像液ノズル 11がウェハ Wの中 心の上方に移動し、この現像液ノズル 11から現像液が帯状に吐出されながら、ゥェ ハ Wを 1Z2回転以上、例えば 1回転させることにより、現像液がウェハ W全面に塗布 され、現像液パドルが形成される(STEP102)。
[0075] このようにして現像液をウェハ W上に塗布した状態で適宜の時間、例えば 60秒間 静止させることにより現像を進行させる(STEP103)。この間に、現像液ノズル 11のノ ズルアーム 14をカップ CP外に待避させて、純水ノズル 12を移動させて、純水ノズル 12をウェハ Wの中心の上方に位置させる(STEP 104)。
[0076] 現像反応を進行させるための所定時間が経過した後に、ウェハ Wをスピンチャック 2により回転させ、現像液を振り切る(STEP105)。次いで、純水によるリンス処理を 行う(STEP106)。このリンス処理では、ウエノ、 Wの回転数力 00〜2000rpm、例え ば lOOOrpmになった時点でその回転数を維持しながら純水を 2秒間以上、例えば 5 秒間供給し、次いで、純水を供給したままウェハ Wの回転数を 100〜1000rpm、例 えば 500rpmまで低下させ、その回転数で 2秒間以上、例えば 10秒間維持すること が好ましい。 STEP106でのウェハ Wの回転数については、処理するウェハ Wのサ
ィズに合わせて最適な値が選択される。
[0077] なお、現像液を振り切った後に直接純水を供給するとウェハ W上のレジスト膜に通 常のリンスでは除去し難い難溶ィ匕層が形成される場合がある。しかし、純水のみのリ ンスに先立って純水 +現像液のリンスを行うことにより、レジスト膜上の難溶ィ匕層の生 成を防止することができる。
[0078] このような純水リンスの後、純水ノズル 12をカップ CP外に待避させ、リンス液ノズル 13のノズルアーム 18を移動させて、リンス液ノズル 13をウェハ Wのほぼ中央上方に 位置させる(STEP107)。そして、ウェハ Wを好ましくは 500rpm以下、例えば lOOr pmで回転させながら、上述した界面活性剤を所定量含有するリンス液をウェハ Wに 供給して、レジスト膜上の純水および残留して ヽる現像液の大部分をリンス液に置換 する(STEP108)。すなわち、レジスト膜の表面がリンス液に置換された状態となる。 このように界面活性剤入りのリンス液供給の際にウェハ Wを 500rpm以下で回転させ ることにより、リンス液の良好な置換性を維持しつつ飛散するリンス液の量を少なくす ることができるため、リンス液の使用量を極力少なくすることができる。
[0079] こうしてウェハ W上にリンス液を供給した後に、ウェハ Wの回転数を上昇させて、リ ンス液を広げるとともにリンス液を振り切って、ウェハ Wを乾燥させる(STEP109)。こ の工程は、最初に、ウェハ Wの回転数を 300rpm超 lOOOrpm未満、例えば 500rp mとし、 5〜15秒、例えば 10秒間行い、引き続き、ウェハ Wの回転数を 1000〜400 Orpm、例えば 2000rpmとし、 10〜20秒間、例えば 15秒間が行うことが好ましい。こ のようにしてリンス液をウェハ W力 振り切ってウェハ Wをスピン乾燥することによって 、ノターン倒れの発生を効果的に抑制することができる。
[0080] こうして乾燥処理されたウェハ Wは、昇降ピン 5によってスピンチャック 2の上に持ち 上げられ、ウェハ搬送装置の搬送アーム Tによって現像処理装置 (DEV)から搬出さ れ(STEP110)、ポストベータ処理が施される。
[0081] このような第 2の現像プロセスを用いた場合でも、先に説明した所定の条件を満た す界面活性剤を所定濃度含有するリンス液を用いることによって、純水によるリンス 処理を行わなくとも、パーティクル等の析出系欠陥の発生が抑制され、また、 CD変 動およびレジストパターンの溶解が抑制される。さらに界面活性剤を所定濃度含むリ
ンス液がウェハ Wに供給された後に、これを振り切ってウェハ Wを乾燥させるために
、ノターン倒れの発生も防止することができる。
[0082] 図 13A〜 13Fに第 1〜第 6の現像プロセスの概略の処理フローを模式的に示す。
これら図 13A〜13Fに示された符号 111は現像処理を、符号 112は界面活性剤を 含有するリンス液によるリンス処理を、符号 113は乾燥処理を、符号 114は純水によ るリンス処理を、それぞれ示している。図 13Aに示す第 1のプロセスと、図 13Bに示す 第 2のプロセスについては先に説明しているのでここでの説明は割愛することとし、図 13C〜13Fに示されるプロセスについて以下に説明することとする。
[0083] 第 3の現像プロセスは、現像液による現像処理、界面活性剤を含有するリンス液に よるリンス処理、純水によるリンス処理、乾燥処理の順序で行われる。第 4の現像プロ セスは、現像液による現像処理、純水によるリンス処理、界面活性剤を含有するリン ス液によるリンス処理、純水によるリンス処理、乾燥処理の順序で行われる。第 5の現 像プロセスは、現像液による現像処理、界面活性剤を含有するリンス液によるリンス 処理、現像液による現像処理、純水によるリンス処理、乾燥処理の順序で行われる。 第 6の現像プロセスは、界面活性剤を含有するリンス液によるリンス処理、乾燥処理、 現像液による現像処理、純水によるリンス処理、乾燥処理の順序で行われる。これら のプロセスによっても、析出系欠陥の発生や CD変動、レジストパターンの溶解を抑 ff¾することができる。
[0084] なお、図 13Cに示す第 3の現像プロセスと、図 13Eに示す第 5の現像プロセスと、図 13Fに示す第 6の現像プロセスはいずれも、最終的に純水がウェハ Wの表面に供給 された状態で、ウェハ W力 この純水を振り切ってウェハ Wを乾燥させるプロセスで ある。このため、これらのプロセスは、純水の表面張力によるパターン倒れの問題が 問題とならないレジストパターンの場合に好適に用いられる。
[0085] 本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記 説明においては、水系洗浄液として純水を例示したが、純水に他の物質を多少添カロ したものであってもよい。また、リンス液ノズル 13として帯状にリンス液を吐出する形態 のものを示した力 リンス液ノズル 13としては、純水ノズル 12と同様のストレートタイプ のものを用いてもよい。この場合には、必要なリンス液流量が得られる範囲で、できる
だけウェハ wへのインパクトが小さくなる構造のものを用いることが好ましい。
[0086] さらに、上記実施の形態では本発明を半導体ウェハの現像処理に適用した力 こ れに限らず、微細なレジストパターンが形成される基板であれば、液晶表示装置 (LC D)用基板等、他の基板の現像処理にも適用することができる。さらに、本発明の範 囲を逸脱しない限り、上記実施の形態の構成要素を適宜組み合わせたもの、あるい は上記実施の形態の構成要素を一部取り除いたものも本発明の範囲内である。
[0087] 以上説明した実施の形態は、あくまでも本発明の技術的内容を明らかにすることを 意図するものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるもので はなぐ本発明の精神とクレームに述べる範囲で、種々に変更して実施することがで きるものである。
産業上の利用可能性
[0088] 本発明は、半導体装置やフラットパネルディスプレイの製造プロセス、およびそのた めの装置に好適である。