JP4519751B2 - 基板現像方法および基板現像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)の現像処理を行う基板現像方法および基板現像装置に関する。
周知のように、半導体や液晶ディスプレイなどの製品は、上記基板に対して洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、層間絶縁膜の形成、熱処理、ダイシングなどの一連の諸処理を施すことにより製造されている。これらの諸処理のうち、現像処理は露光処理後の基板表面に現像液を供給してレジスト膜の露光部分(または非露光部分)を溶かし、回路パターンに対応するレジストマスクを形成する工程である。
一方、近年、半導体デバイス等の急速な高密度化に伴って、レジストマスクのパターンをさらに微細化することが強く要望されている。このため、露光処理を行う露光装置の光源としては旧来の紫外線ランプに代えて比較的波長の短いKrFエキシマレーザ光源やArFエキシマレーザ光源といった遠紫外線光源(Deep UV)が主流を占めつつある。ところが、最近のさらなる微細化要求に対してはArFエキシマレーザ光源でさえも十分ではない。これに対応するためには、より波長の短い光源、例えばF2レーザ光源を露光装置に採用することも考えられるが、コスト面の負担を低減しつつさらなるパターン微細化を可能にする露光技術として液浸露光処理法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
液浸露光処理法は、投影光学系と基板との間に屈折率nが大気(n=1)よりも大きな液体(例えば、n=1.44の純水)を満たした状態で「液浸露光」を行うことにより、開口率を大きくして解像度を向上させる技術である。この液浸露光処理法によれば、従来のArFエキシマレーザ光源(波長193nm)をそのまま流用したとしても、その等価波長を134nmにすることができ、コスト負担増を抑制しつつレジストマスクのパターンを微細化することができる。
国際公開99/49504号パンフレット
しかしながら、液浸露光処理法を採用する場合には、露光時に基板の表面に直接液体が接触するため、レジスト膜を保護する目的で基板表面にカバー膜を形成する場合がある。カバー膜はレジスト膜の上層に形成するものであるため、現像時には当然これを剥離除去する必要が生じる。カバー膜には、現像処理用の現像液に可溶なものと現像液とは異なる溶媒に可溶なものとがあり、現像可溶のカバー膜を使用した場合には現像処理装置にて従来と同様の現像処理工程を実行し、カバー膜の剥離除去処理とレジスト膜の現像処理とを同時に行っていた。
近年の一般的な現像処理法は、静止基板の表面に現像液を液盛り(パドル)することによって現像を進行させるいわゆる静止現像である。しかしながら、レジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した基板に上記静止現像を行った場合は、局所的にカバー膜が剥離しにくい部分が生じることがある。このような場合は、カバー膜が容易に剥離した領域と剥離しにくい領域とでレジスト現像時間に差異が生じることとなり、パターンの線幅均一性が悪化したり、或いは現像欠陥が発生する。
また、カバー膜を溶解した現像液にてレジストを現像することとなるため、現像反応を起こす主成分であるアルカリ成分の濃度にばらつきが生じ、その結果パターンの線幅均一性が悪化するという問題も生じる。
さらには、静止現像法では現像液を供給してから所定時間経過後に純水を基板表面に供給して現像液濃度を低下させることにより現像を停止させるのであるが、このときに現像液中に溶解したカバー膜が基板表面に再付着して現像欠陥を引き起こすおそれもある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、レジスト膜の上に形成されたカバー膜を確実に除去して現像欠陥を防止することができる基板現像方法および基板現像装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、レジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した基板の現像処理を行う基板現像方法において、基板の表面に現像液を供給して現像処理を行う現像工程と、前記現像工程の前に、前記現像液よりも濃度の低い希釈現像液を当該基板の表面に供給してカバー膜の剥離処理を行う剥離工程と、前記現像工程と前記剥離工程との間に、前記基板の表面に純水を供給して洗浄処理を行う洗浄工程と、を備える。
また、請求項の発明は、請求項1の発明に係る基板現像方法において、前記基板に供給する希釈現像液の温度を一定温度に温調する温調工程をさらに備える。
また、請求項の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る基板現像方法において、前記希釈現像液の濃度を、前記基板上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な下限濃度より低くしている。
また、請求項の発明は、レジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した基板の現像処理を行う基板現像装置において、基板に現像液を供給する現像液供給手段と、基板に前記現像液よりも濃度の低い希釈現像液を供給する希釈現像液供給手段と、基板に純水を供給する純水供給手段と、基板表面に希釈現像液を供給した後に、当該基板表面に純水を供給し、さらにその後当該基板表面に現像液を供給するように前記希釈現像液供給手段、前記純水供給手段および前記現像液供給手段を制御する供給制御手段と、を備える。
また、請求項の発明は、請求項4の発明に係る基板現像装置において、前記希釈現像液供給手段に、希釈現像液の温度を一定温度に温調する温調手段を含ませる。
また、請求項の発明は、請求項4または請求項5の発明に係る基板現像装置において、前記希釈現像液の濃度を、前記基板上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な下限濃度より低くしている。
請求項1の発明によれば、現像工程の前に、現像液よりも濃度の低い希釈現像液を基板の表面に供給してカバー膜の剥離処理を行っているため、レジスト膜の実質的な現像処理を進行させることなくカバー膜の剥離除去処理を行うことができ、レジスト膜の上に形成されたカバー膜を確実に除去して現像欠陥を防止することができる。また、現像工程と剥離工程との間に、基板の表面に純水を供給して洗浄処理を行うため、カバー膜をより確実に除去して現像欠陥を防止することができる。
また、請求項の発明によれば、基板に供給する希釈現像液の温度を一定温度に温調するため、カバー膜を安定して剥離除去することができる。
また、請求項の発明によれば、希釈現像液の濃度が基板上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な下限濃度より低いため、希釈現像液によってレジスト膜の実質的な現像処理を進行させることなくカバー膜の剥離除去処理のみを行うことができる。
また、請求項の発明によれば、基板表面に希釈現像液を供給した後に、当該基板表面に現像液を供給するため、レジスト膜の実質的な現像処理を進行させることなくカバー膜の剥離除去処理を行うことができ、レジスト膜の上に形成されたカバー膜を確実に除去して現像欠陥を防止することができる。また、基板表面に希釈現像液を供給した後であって現像液を供給する前に純水を供給するため、カバー膜をより確実に除去して現像欠陥を防止することができる。
また、請求項の発明によれば、希釈現像液の温度を一定温度に温調するため、カバー膜を安定して剥離除去することができる。
また、請求項の発明によれば、希釈現像液の濃度が基板上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な下限濃度より低いため、希釈現像液によってレジスト膜の実質的な現像処理を進行させることなくカバー膜の剥離除去処理のみを行うことができる。

以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る基板現像装置の平面図である。図2および図3は、図1の基板現像装置の要部を示すV−V線断面図である。この基板現像装置1は、露光処理がなされた基板(ここでは円形の半導体ウェハ)の現像処理を行う装置であり、主として基板Wを保持して回転させる保持回転部10と、基板Wの表面に現像液を吐出する現像液吐出ノズル20と、その現像液吐出ノズル20に現像液を送給する現像液送給機構30と、基板Wの表面に希釈現像液を吐出する希釈現像液吐出ノズル40と、その希釈現像液吐出ノズル40に希釈現像液を送給する希釈現像液送給機構50と、これらの要素の各駆動部を制御する制御部90と、を備える。
保持回転部10は、基板Wを水平姿勢にて保持するとともに基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで基板Wを回転させるためのスピンチャック11を備える。スピンチャック11は、電動モータ12によって回転される回転軸13の上端に固定されている。また、スピンチャック11には吸気路(図示せず)が形成されるとともに、その吸気路が図外の真空ポンプと連通されており、スピンチャック11上に基板Wを載置した状態で吸気路内を排気することにより、基板Wの下面をスピンチャック11に真空吸着し、基板Wを水平姿勢で保持することができる。スピンチャック11が基板Wを吸着保持した状態にて、電動モータ12が回転軸13を回転駆動させると、スピンチャック11および基板Wが水平面内にて回転する。
また、保持回転部10は、スピンチャック11に保持された基板Wの周囲を囲繞する円環形状の内側カップ15を備える。内側カップ15は、図示を省略する昇降機構によって鉛直方向に沿って昇降可能とされている。内側カップ15は、回転する基板Wの周縁部から飛散した処理液(現像液、希釈現像液、純水を総括して処理液と称する)を受け止めて回収する。内側カップ15の外側には平面視矩形形状の外側カップ19が設けられている。
図1に示すように、外側カップ19の横方向両側には待機ポット6,7がそれぞれ配置されている。また、外側カップ19の手前側にはガイドレール8が基板現像装置1の全長にわたって配設され、外側カップ19の後背側には希釈現像液吐出ノズル40が設置されている。
現像液吐出ノズル20は、下端部にスリット状吐出口を有するいわゆるスリットノズルである。当該スリット状吐出口のスリット幅は0.02mm〜0.5mmであり、長手方向長さは基板Wの直径以上である。現像液吐出ノズル20は、その長手方向がガイドレール8の延伸方向と垂直となるようにノズルアーム21によって保持されている。ノズルアーム21は、アーム駆動部22によってガイドレール8に沿って図1の矢印Aの方向にスライド移動可能とされている。従って、現像液吐出ノズル20は、待機ポット6の位置からスピンチャック11に保持された基板Wの直上を通過して待機ポット7の位置まで平行移動可能である。なお、現像液吐出ノズル20が基板Wの中心部直上を通過するときには、上記スリット状吐出口が基板Wの径全体を覆う。
図2に示すように、現像液吐出ノズル20には、ポンプ33とバルブ34とを備える現像液送給機構30から現像液が送給される。また、現像液吐出ノズル20には、ポンプ38とバルブ39とを備える純水送給機構35から純水が送給される。すなわち、現像液吐出ノズル20のスリット状吐出口には配管31の先端部が連通接続されている。配管31の基端部側は分岐配管31a,31bの二股に分岐されており、分岐配管31aは現像液を貯留する液貯留部32(例えば現像液ボトル)に連通接続され、分岐配管31bは純水供給源37(例えば工場ユーティリティ)に連通接続されている。分岐配管31aの経路途中にはポンプ33およびバルブ34が介挿されている。分岐配管31bの経路途中にはポンプ38およびバルブ39が介挿されている。ポンプ33を駆動してバルブ34を開放することにより現像液吐出ノズル20に現像液が送給され、そのスリット状吐出口から現像液が吐出される。一方、ポンプ38を駆動してバルブ39を開放することにより現像液吐出ノズル20に純水が送給され、スリット状吐出口から純水が吐出される。なお、バルブ34およびバルブ39はいずれか一方が択一的に開放されるものである。
希釈現像液吐出ノズル40は下端部に一穴の吐出口を有する吐出ノズルである。希釈現像液吐出ノズル40は、ノズルアーム41の先端部に固定保持されている。ノズルアーム41の基端部は回動モータ42に接続されている。回動モータ42の駆動によってノズルアーム41が図1の矢印Rの方向に回動し、希釈現像液吐出ノズル40がスピンチャック11に保持された基板Wの中心部近傍直上位置と外側カップ19の外部の待機位置(図1の位置)との間で往復移動する。
図3に示すように、希釈現像液吐出ノズル40には希釈現像液送給機構50から希釈現像液が送給される。ここで、「希釈現像液」とは露光済み基板Wのレジスト膜の現像処理に使用する現像液よりも濃度の低い現像液である。希釈現像液送給機構50は、ポンプ53,55およびバルブ54,56を備える。希釈現像液吐出ノズル40の吐出口には配管51の先端部が連通接続されている。配管51の基端部側はミキシングバルブ57を介して分岐配管51a,51bの二股に分岐されており、分岐配管51aは現像液を貯留する液貯留部52に連通接続され、分岐配管51bは純水供給源37に連通接続されている。なお、液貯留部52に貯留されている現像液の濃度は液貯留部32の現像液と同じであり、液貯留部52を液貯留部32と共通のものとしてもよい。分岐配管51aの経路途中にはポンプ53およびバルブ54が介挿されている。分岐配管51bの経路途中にはポンプ55およびバルブ56が介挿されている。分岐配管51aおよび分岐配管51bはミキシングバルブ57を介して合流し、配管51に繋がる。配管51の経路途中には濃度計58および温調ユニット59が介挿されている。
ポンプ53,55を駆動するとともにバルブ54,56を開放することにより、ミキシングバルブ57に現像液と純水とが送給されて混合され、その結果希釈現像液が生成されて配管51に送り出される。配管51を流れる希釈現像液は濃度計58によって濃度測定がなされる。さらに、希釈現像液は温調ユニット59に流れ込んで一定温度に温調される。そして、温調ユニット59にて温調済みの希釈現像液が希釈現像液吐出ノズル40に送給され、その吐出口から希釈現像液が吐出される。希釈現像液吐出ノズル40から吐出される希釈現像液の濃度は、バルブ54およびバルブ56のそれぞれの開放の程度を調整してミキシングバルブ57に流入する現像液および純水のそれぞれの流量を制御することによって調整される。
制御部90のハードウェア構成は一般的なコンピュータと同じである。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。制御部90は、電動モータ12、アーム駆動部22、回動モータ42、ポンプ33,38,53,55、バルブ34,39,54,56、濃度計58および温調ユニット59と電気的に接続されている。制御部90は、電動モータ12、アーム駆動部22および回動モータ42をそれぞれ制御してスピンチャック11に保持された基板Wの回転、現像液吐出ノズル20のスライド移動および希釈現像液吐出ノズル40の回動動作を管理する。また、制御部90は、ポンプ33,38およびバルブ34,39をそれぞれ個別に制御して現像液吐出ノズル20からの現像液吐出および純水吐出を管理する。さらに、制御部90は、ポンプ53,55およびバルブ54,56をそれぞれ個別に制御して希釈現像液吐出ノズル40からの希釈現像液吐出を管理する。このときに制御部90は、濃度計58による希釈現像液の濃度測定結果に基づいてバルブ54およびバルブ56の開放の程度を個別に制御し、ミキシングバルブ57によって混合生成される希釈現像液の濃度が所定濃度となるように調整する。また、制御部90は、温調ユニット59を制御して希釈現像液吐出ノズル40に送給される希釈現像液が所定温度となるようにする。
次に、上記構成を有する基板現像装置1における処理動作について説明する。図4は、基板現像装置1における処理手順を示すフローチャートである。同図に示す処理手順は制御部90が基板現像装置1の各駆動部を制御することによって実行される。
まず、露光処理済みの基板Wが基板現像装置1に搬入され、スピンチャック11に水平姿勢にて吸着保持される。ここで処理対象とされる基板Wは液浸露光処理に対応してレジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した半導体ウェハである。続いて、スピンチャック11に保持された基板Wが電動モータ12によって回転される(ステップS1)。
次に、希釈現像液吐出ノズル40が回動動作によって基板Wの回転中心近傍の直上まで移動し、基板Wの表面に希釈現像液を供給する(ステップS2)。現像可溶のカバー膜はレジスト膜露光部分よりも現像液に対して溶けやすく、現像処理に使用する現像液よりも低濃度の希釈現像液であっても容易に溶解する。このため、基板Wの表面に供給された希釈現像液によってカバー膜が剥離除去される。
ここで、希釈現像液の濃度は、カバー膜が溶解する濃度以上であることは勿論であるが、基板W上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な現像液下限濃度より低いものとなるように調整される。露光処理による当然の結果として基板W上に形成されたレジスト膜には露光部分と非露光部分とが生じる。レジスト膜の露光部分であっても非露光部分から離れた領域では現像液に対する保護率が低く、比較的低濃度の現像液にも溶解する。一方、レジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分については現像液に対する保護率が高く、現像処理に使用するような比較的高濃度の現像液でなければ溶解しない。希釈現像液の濃度は、そのような境界近傍部分を溶解可能な現像液の下限濃度よりも低く、希釈現像液によって当該境界近傍部分は溶解されない。
従って、基板Wの表面に希釈現像液を供給すると、カバー膜が溶解して剥離除去されるとともに、レジスト膜の露光部分のうち非露光部分から離れた一部領域も若干溶解するものの、非露光部分との境界近傍部分は溶解しない。現像処理工程において、線幅均一性に大きな影響を与えるのは、この境界近傍部分の溶解の程度である。すなわち、希釈現像液を供給するカバー膜剥離工程においては、レジスト膜の露光部分の一部が希釈現像液によって若干溶解するものの、そのことが現像処理結果に重大な影響を与えることはない。
また、希釈現像液吐出ノズル40から吐出される希釈現像液は温調ユニット59によって一定温度に温調されている。現像液の溶解レートには温度依存性があり、希釈現像液を一定温度に温調しておけば、カバー膜の溶解速度を一定にして安定した剥離除去が可能になるとともに、カバー膜剥離工程が線幅均一性に影響を与えることも防止できる。
基板Wの表面への希釈現像液供給を開始してから所定時間経過後に、希釈現像液の供給を停止するとともに、希釈現像液吐出ノズル40から基板Wの表面に純水を吐出することにより洗浄処理を行う(ステップS3)。この純水リンス工程(洗浄工程)のときには、バルブ54を閉止してバルブ56のみを開放することにより希釈現像液吐出ノズル40に純水を送給する。なお、基板Wの回転は継続されている。回転する基板Wの表面に純水を供給することによって、残留している希釈現像液および剥離したカバー膜を基板表面から洗い流す。このリンス処理によって、基板Wの表面から完全にカバー膜が取り除かれ、残留するカバー膜の小片が後続の現像処理に影響を与えたり、基板Wの表面に再付着して現像欠陥となることを防止できる。
次に、基板Wの表面への純水供給を開始してから所定時間経過後に、純水の供給を停止するとともに、基板Wの回転をも停止する(ステップS4)。続いて、希釈現像液吐出ノズル40が回動動作によって外側カップ19の外部の待機位置まで待避し、基板Wの現像処理工程が実行される(ステップS5)。
現像処理工程は一般的な現像プロセスと同じである。すなわち、現像液吐出ノズル20が待機ポット6から上昇して外側カップ19まで水平移動し、外側カップ19内の所定位置にて下降する。そして、現像液吐出ノズル20は、所定の走査速度にてスライド移動を開始し、スピンチャック11に保持された基板W上に到達する前に所定流量にてスリット状吐出口から現像液の吐出を開始する。なお、現像液吐出ノズル20から吐出される現像液の濃度は通常の現像処理用濃度である。現像液吐出ノズル20は、現像液をカーテン状に吐出しながら基板W上をスライド移動する。これにより、基板W表面の全面に現像液が均一に供給される。供給された現像液は、表面張力によって基板W上に保持され、いわゆる液盛りされた状態となる。
基板W上を完全に通過した現像液吐出ノズル20は、現像液吐出を停止し、再度上昇して待機ポット7まで移動して下降する。基板W上に現像液が液盛りされた状態を所定時間維持することによってレジスト膜の現像処理が進行する。その後、再び希釈現像液吐出ノズル40から基板W表面に純水を供給して現像処理を停止させ、続いて基板Wを高速回転させることによって基板W上から現像液を振り切り、基板Wを乾燥させて現像処理工程を終了する。なお、希釈現像液吐出ノズル40から純水を吐出して現像を停止するのに代えて、待機ポット6に帰還した現像液吐出ノズル20を再度スライド移動させつつ純水を吐出させて現像処理を停止するようにしても良い。
以上のように、本実施形態においては、基板Wの表面に現像液を供給して現像処理を行う前に、基板W表面に希釈現像液を供給してカバー膜の剥離除去処理を別途行っている。このカバー膜剥離工程にて供給する希釈現像液は現像液よりも低濃度であるため、カバー膜を溶解して剥離するものの、線幅均一性には影響を与えない。そして、カバー膜剥離除去処理によってレジスト膜の上に形成されたカバー膜を確実に除去してからレジスト膜の現像処理を行うため、カバー膜の剥離不足に起因した線幅均一性の低下および現像欠陥の発生を防止することができる。また、現像処理工程において、現像液の濃度ばらつきに起因した線幅均一性の低下を防止することができる。さらには、剥離したカバー膜の再付着による現像欠陥の発生を防止することができる。
換言すれば、本発明は、カバー膜が比較的低濃度の現像液であっても溶解することに着目して完成されたものであり、まず希釈現像液供給によってレジスト膜に実質的な現像処理を行うことなくカバー膜の剥離除去処理のみを行ってレジスト膜の上に形成されたカバー膜を確実に除去し、その後通常濃度の現像液供給によって現像処理を行うというものである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、希釈現像液吐出ノズル40を一穴の吐出口を有する吐出ノズルとしていたが、これに限定されるものではなく、現像液吐出ノズル20と同様のスリットノズルとしても良いし、複数穴の吐出口を有する吐出ノズルとしても良い。なお、希釈現像液吐出ノズル40としてスリットノズルを使用する場合には、基板Wを停止させたまま希釈現像液供給を行う。
また、逆に、現像液吐出ノズル20を希釈現像液吐出ノズル40と同様の一穴の吐出口を有する吐出ノズルとしてしても良いし、複数穴の吐出口を有する吐出ノズルとしても良い。これらの場合には、基板Wを回転させつつ現像液供給を行う。
また、上記実施形態においては、通常濃度の現像液に純水を混合して希釈現像液を生成していたが、予め所定濃度に調製した希釈現像液を生成しておき、それを希釈現像液吐出ノズル40に送給して吐出するようにしても良い。
また、本発明に係る基板処理技術の処理対象となる基板は半導体ウェハに限定されるものではなく、液晶表示装置用のガラス基板等であっても良い。
本発明に係る基板現像装置の平面図である。 図1の基板現像装置の要部を示すV−V線断面図である。 図1の基板現像装置の要部を示すV−V線断面図である。 図1の基板現像装置における処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 基板現像装置
6,7 待機ポット
10 保持回転部
11 スピンチャック
12 電動モータ
13 回転軸
20 現像液吐出ノズル
30 現像液送給機構
35 純水送給機構
40 希釈現像液吐出ノズル
50 希釈現像液送給機構
58 濃度計
59 温調ユニット
90 制御部

Claims (6)

  1. レジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した基板の現像処理を行う基板現像方法であって、
    基板の表面に現像液を供給して現像処理を行う現像工程と、
    前記現像工程の前に、前記現像液よりも濃度の低い希釈現像液を当該基板の表面に供給してカバー膜の剥離処理を行う剥離工程と、
    前記現像工程と前記剥離工程との間に、前記基板の表面に純水を供給して洗浄処理を行う洗浄工程と、
    を備えることを特徴とする基板現像方法。
  2. 請求項1記載の基板現像方法において、
    前記基板に供給する希釈現像液の温度を一定温度に温調する温調工程をさらに備えることを特徴とする基板現像方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の基板現像方法において、
    前記希釈現像液の濃度は、前記基板上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な下限濃度より低いことを特徴とする基板現像方法。
  4. レジスト膜の上に現像液に可溶なカバー膜を形成した基板の現像処理を行う基板現像装置であって、
    基板に現像液を供給する現像液供給手段と、
    基板に前記現像液よりも濃度の低い希釈現像液を供給する希釈現像液供給手段と、
    基板に純水を供給する純水供給手段と、
    基板表面に希釈現像液を供給した後に、当該基板表面に純水を供給し、さらにその後当該基板表面に現像液を供給するように前記希釈現像液供給手段、前記純水供給手段および前記現像液供給手段を制御する供給制御手段と、
    を備えることを特徴とする基板現像装置
  5. 請求項4記載の基板現像装置において、
    前記希釈現像液供給手段は、希釈現像液の温度を一定温度に温調する温調手段を含むことを特徴とする基板現像装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の基板現像装置において、
    前記希釈現像液の濃度は、前記基板上に形成されたレジスト膜の露光部分のうち非露光部分との境界近傍部分を溶解可能な下限濃度より低いことを特徴とする基板現像装置。
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