JP3719843B2 - 基板処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学増幅型レジストが塗布された半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板などの各種の基板の処理方法に係り、特に、基板の現像処理に先立って基板表面を処理液で処理する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の基板処理方法を半導体ウエハの製造工程を例に採って説明する。
フォトレジストが塗布された半導体ウエハ(以下、単に「基板」という)は、露光工程に送られて回路パターンが露光される。露光された基板は現像工程に送られる。現像工程では、基板の現像処理を行う前にプリウエット処理と呼ばれる、基板上に塗布されたレジスト膜表面の親水化処理が行われる。このプリウエット処理は、フォトレジストが塗布された基板表面に例えば純水を供給することにより行われる。基板表面を親水性にすることにより、後の現像処理において、基板表面と現像液とのなじみを良くして、現像液のハジキを防止するとともに、現像液中の微小な気泡が基板表面に付着して現像欠陥が発生するのを防止している。
【0003】
一般的な基板現像装置には、基板を水平姿勢に保持して回転させるスピンチャックの傍らに、純水を供給する純水供給ノズルと、現像液を供給する現像液供給ノズルとが備えられている。スピンチャック上に基板が移載されるとスピンチャックが回転する。回転している基板の表面に純水供給ノズルから純水が供給されるとともに、スピンチャックの回転に伴って基板上の余剰の純水が振り切られる。このプリウエット処理に続いて、現像液供給ノズルから基板表面に現像液が供給されて現像処理が行われる。現像処理後、純水供給ノズルから基板表面に純水が供給されて洗浄処理を行った後、基板を高速回転させて基板を乾燥させる。
【0004】
ところで、最近ではエキシマレーザを光源とするステッパと呼ばれる露光装置の普及により、フォトレジストとして化学増幅型レジストが多く用いられるようになっている。周知のように、化学増幅型レジストは、露光で発生した酸により、続く熱処理(PEB)において触媒反応が誘起され、現像液に対して不溶化(ネガ型)または可溶化(ポジ型)が促進されるレジストである。このような化学増幅型レジストを用いた場合、露光時に発生する定在波やハレーションを低減させたり、あるいは大気中の塩基成分による影響を回避するために、レジスト表面にTARC(top anti-reflecting coat)と呼ばれる反射防止膜が形成される。この反射防止膜は現像処理に先立って除去される。一般的な基板現像装置では、上述したプリウエット処理と同様にして、スピンチャック上に基板を搭載した後に、基板上に純水を供給することによって反射防止膜を溶解除去している。反射防止膜を除去した後は、上述したと同様に現像・洗浄・乾燥処理がその順に行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように化学増幅型レジストは、露光後の熱処理によって触媒反応が進むので、現像後のパターンの線幅の均一性を向上するために、露光後の基板の熱履歴を厳密に管理することが要請されている。特に、常温付近でも反応が進む化学増幅型レジストの場合、大気中に放置する時間が基板ごとに異なると、基板間での線幅のバラツキの要因になるので、大気中での放置時間を一定にするなどの配慮がなされている。
【0006】
しかしながら、従来、基板の熱履歴を厳密に管理しているにもかかわらず、現像後のパターンの線幅の均一性は必ずしも充分なものではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、現像後のパターンの線幅の均一性を向上することができる基板処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、基板の現像処理に先立って行われる、基板上に塗布されたレジスト膜表面を親水性にするためのプリウエット処理や、レジスト膜表面の反射防止膜を除去するための処理に、現像後のパターンの線幅の均一性をばらつかせる要因があることが明らかになった。
【0009】
すなわち、上述したプリウエット処理や反射膜除去処理に用いられる純水は常温であり、この常温の純水がスピンチャックに保持回転される基板の中央部に供給され、基板の周辺部に拡がって振り切られる。つまり、基板の中央部と周辺部とでは常温の純水にさらされる時間に差があるので、常温の純水による温度の影響は基板の中央部と周辺部とでは厳密には同じではない。このような常温の純水が基板に与える温度の影響の不均一性が現像後のパターンの線幅にバラツキを生じさせていることが判った。
【0010】
以上の知見に基づいてなされた本発明は次のように構成されている。
すなわち、請求項1に記載の発明は、化学増幅型レジストが塗布された基板の現像処理に先立って、冷却された処理液で基板を処理する基板処理方法において、前記冷却された処理液は、基板の現像処理の前には、基板上に塗布されたレジスト膜表面を親水性にするプリウエット処理にだけ用いられる処理液であることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、化学増幅型レジストが塗布された基板の現像処理に先立って、冷却された処理液で基板を処理する基板処理方法において、前記冷却された処理液は、基板の現像処理の前には、基板上に塗布されたレジスト膜の上にさらに塗布された反射防止膜を溶解除去するための処理にだけ用いられる処理液であることを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明の作用は次のとおりである。
請求項1に記載の発明によれば、化学増幅型レジストが塗布された基板の現像処理に先立って基板表面に供給される処理液を冷却しているので、この処理液が基板に与える温度の影響は僅かである。したがって、仮に処理液が基板の中央部から周辺部へと拡がることにより、基板の中央部と周辺部との間に処理液にさらされる時間に差が生じても、レジストの温度履歴は基板の中央部と周辺部との間でほとんど差がない。その結果、現像後のパターンの線幅の均一性が向上する。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、プリウエット処理に用いられる処理液が冷却され、また、請求項2に記載の発明によれば、反射防止膜を溶解除去するのに用いられる処理液が冷却されるので、基板に与えられる処理液の温度の影響が最小限に抑えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明に係る基板処理方法を用いた基板現像装置の一実施例の概略構成を示した図、図2はその平面図である。
本実施例では、半導体ウエハ(以下、単に「基板」という)の表面に現像液を液盛りして静止状態で現像する、いわゆるパドル現像を行う装置を例に採って説明する。
【0018】
この基板現像装置は、基板Wを水平姿勢で吸着した状態で回転可能なスピンチャック1を備え、このスピンチャック1がモータ2の出力軸に連結されている。スピンチャック1の周囲には、基板Wの回転に伴って基板Wから振り切られた現像液や純水が飛散するのを防止する飛散防止カップ3が配設されている。この飛散防止カップ3は昇降可能に構成され、その底部には図示しない排液口や排気口が設けられている。図2に示すように、飛散防止カップ3の周囲に平面視で正方形の外側カップ4が配設されている。なお、上述したスピンチャック1およびモータ2は、本発明装置における回転保持手段に相当する。
【0019】
また、この基板現像装置は、基板Wの表面に現像液を供給する現像液供給機構5を備えている。この現像液供給機構5は、スリット状の現像液吐出孔6aが形成された現像液供給ノズル6を備えている。現像液吐出孔6aは処理対象である基板Wの直径と同じ長さか、あるいは少し長く形成されている。現像液供給ノズル6は管状のノズルアーム7に連結され、このノズルアーム7の基端が可動部材8に支持されている。ノズルアーム7の基端は可動部材8を介して、図示しない現像液供給配管に連通接続されており、この現像液供給配管を流通してきた現像液がノズルアーム7を介して現像液供給ノズル6に送られるようになっている。可動部材8は外側カップ4の側辺に沿って配設されたガイドレール9に摺動自在に嵌め付けらている。この可動部材8が、図示しない駆動機構によって水平往復駆動されることにより、現像液供給ノズル6が基板Wの上方を通過するようになっている。また、可動部材8には現像液供給ノズル6を昇降させる図示しない昇降機構が備えられている。現像液供給ノズル6の移動開始端および終端には、現像液供給ノズル6を収容する待機ポット10a、10bが設けられている。上述した現像液供給機構5は、本発明装置における現像液供給手段に相当する。
【0020】
さらに、この基板現像装置は、外側カップ4の傍らに基板Wの表面に純水を供給する純水供給機構11を備えている。以下、図3も参照しながら純水供給機構11の構成を説明する。
純水供給機構11は、図3の(b)に示すような3重管構造のノズルアーム12を備えている。一番内側の内管12aが純水を流通させる管であり、この内管12aの先端に純水供給ノズル13が取付けられている(図3の(a)参照)。この内管12aの外側に冷却水をノズルアーム12の先端側に向けて流通させる中管12bがある。この中管12bの外側にノズルアーム12の先端側から戻ってくる冷却水を流通させる外管12cがある。
【0021】
図1および図3の(c)に示すように、ノズルアーム12の基端側において、外管12cの末端は継手部14を介して配管15の一端に連通接続されている。この配管15の他端は冷却ユニット20の入水口に接続されている。ノズルアーム12の中管12bは継手部14を貫いて延出され、その末端は継手部16を介して配管17の一端に連通接続されている。この配管17の他端は冷却ユニット20の出水口に接続されている。ノズルアーム12の内管12aは継手部15を貫いて延出され、その末端は純水供給源に接続されている。
【0022】
冷却ユニット20から出水された冷却水は配管17および継手部16を介して、内管12aと中管12bとの隙間に流入してノズルアーム12の先端側へ送られる。ノズルアーム12の先端側に至った冷却水は、図3の(a)示すように、中管12bの先端開口から流出して、中管12bと外管12cとの隙間に流入し、ノズルアーム12の基端側へと戻る。ノズルアーム12の基端側に戻ってきた冷却水は、継手部14および配管15を介して冷却ユニット20に取り入れられて再び冷却される。このようにノズルアーム12内に冷却水を循環流通させることにより、内管12aを介して純水を冷却するようになっている。なお、ノズルアーム12は図示しない駆動機構によって水平揺動および昇降可能に構成されている。上述した純水供給機構11は本発明装置における処理液供給手段に、ノズルアーム12の3重管構造および冷却ユニット20は本発明装置における冷却手段に、それぞれ相当する。
【0023】
以下に実施例装置を使ったプリウエット処理および現像処理の一例を説明する。
まず、化学増幅型レジストが塗布された基板Wは露光装置で露光され、続いてレジスト内の触媒反応を進めるための熱処理(PEB)を受けた後に、本実施例の基板現像装置に搬入される。処理対象となる基板Wは図示しない基板搬送ロボットによってスピンチャック1上に移載される。
【0024】
(1)プリウエット処理
スピンチャック1が基板Wを吸着保持すると、純水供給機構11のノズルアーム12が待機位置から基板W上に水平揺動する。純水供給ノズル13が基板Wの中央に達すると、純水供給位置にまで下降する。続いてモータ2が始動して基板Wを1000rpmで回転させながら、純水供給ノズル13から基板W上に冷却された純水を供給し、基板Wの全面に行き渡らせる。これを3〜5秒程度継続する。このときの純水供給量は1リットル/分程度である。その後、冷却された純水の供給を停止してノズルアーム12を待機位置に戻す。これと同時に基板Wの回転数を3000rpm程度に上げて、その状態を5〜10秒間程度保持して基板Wから余剰の純水を振り切る。以上の処理により、純水が分子レベルで基板Wのレジスト表面を覆い、基板Wの表面が親水性に変わる。
【0025】
(2)現像処理
プリウエット処理が終わると、待機ポット10aにあった現像液供給ノズル6が上昇、水平移動、下降して現像液の吐出開始位置に来る。現像液供給ノズル6が現像液を吐出しながら基板Wに近接して水平移動することにより、基板Wに現像液が液盛りされる。この状態で基板Wを所定時間だけ静止状態で保持することにより、レジストの現像を行う。現像液供給ノズル6は現像液の供給を停止した後、上昇、水平移動、下降して反対側の待機ポット10bに入る。基板Wがパドル現像を受けている間に、現像液供給ノズル6は元の待機ポット10aに戻る。所定時間の現像処理が終わると、基板Wを回転させて現像液を振り切るとともに、純水供給ノズル13が純水供給位置に移動して基板Wにリンス液としての純水を供給して、基板Wの表面を洗浄する。続いて、基板Wを高速回転させて純水を振り切り、基板Wを乾燥させる。現像処理の終わった基板Wは、図示しない基板搬送ロボットによって搬出される。
【0026】
次に本発明方法の効果を確認するために行った実験例を示す。
図4は、プリウエット処理時の純水の温度を変化させたときの現像後のパターンの線幅の基板内における平均値とバラツキを示したものである。図4中の○印が線幅の平均値を、×印が線幅のバラツキ(3シグマ)をそれぞれ示している。この実験結果から明らかなように、プリウエット処理時の純水の温度を下げるに従って、基板内の線幅のバラツキは小さくなっている。半導体製造工程のクリーンルーム内の純水の常温が23°C(夏期では24〜25°C)程度であるので、プリウエット処理時の純水を好ましくは21°C以下に、さらに好ましくは19°C以下にまで冷却することにより、現像後のパターンの線幅のバラツキを小さく抑えることができる。
【0027】
なお、本発明は上記の実施例に限らず次のように変形実施することができる。
(1)実施例ではプリウエット処理時の純水を冷却する場合を例に採って説明したが、本発明は化学増幅型レジストの表面に反射防止膜が塗布されている場合にも適用することができる。この反射防止膜は現像処理前に基板表面に純水を供給することによって溶解除去されるが、このときの純水の温度が高いと現像後のパターンの線幅のバラツキを引き起こす。したがって、反射防止膜を除去するのに使われる純水を冷却することにより、現像後のパターンの線幅のバラツキを抑制することができる。上記の実施例装置はこのような処理にもそのまま適用可能である。
【0028】
(2)実施例では基板表面を親水性にするプリウエット処理に純水を用いたが、純水に代えて現像液を希釈した溶液を冷却して用いてもよい。ただし、この場合は洗浄処理用に純水を供給するノズルを別途設ける必要がある。
【0029】
(3)実施例装置ではプリウエット処理と洗浄処理に共通の純水供給機構11を用いたが、洗浄処理には冷却機能を持たない通常の純水供給機構を用いるようにしてもよい。
【0030】
(4)実施例ではパドル現像を例に採って説明したが、本発明は基板を回転させながら基板表面に現像液を供給して現像処理する、いわゆる回転現像処理にも適用することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次の効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、化学増幅型レジストが塗布された基板の現像処理に先立って基板表面を処理液で処理するにあたり、この処理液を冷却しているので、処理液の温度がレジストに与える影響を少なくすることができ、その結果、現像後のパターンの線幅の均一性を向上することができる。
【0032】
請求項1に記載の発明によれば、現像処理に先立ってプリウエット処理を行うにあたり、プリウエット処理に用いられる処理液を冷却しているので、現像後のパターンの線幅の均一性を向上することができる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、現像処理に先立って反射防止膜を溶解除去するにあたり、溶解除去処理に用いられる処理液を冷却しているので、現像後のパターンの線幅の均一性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板現像装置の一実施例の概略構成を示した図である。
【図2】実施例装置の平面図である。
【図3】(a)はノズルアームの先端部の縦断面図、(b)はノズルアームの横断面図、(c)はノズルアームの基端部の縦断面図である。
【図4】プリウエット処理時の純水の温度と現像後のパターンの線幅のバラツキとの関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1…スピンチャック
2…モータ
5…現像液供給機構
6…現像液供給ノズル
11…純水供給機構
12…ノズルアーム
13…純水供給ノズル
20…冷却ユニット
Claims (2)
- 化学増幅型レジストが塗布された基板の現像処理に先立って、冷却された処理液で基板を処理する基板処理方法において、前記冷却された処理液は、基板の現像処理の前には、基板上に塗布されたレジスト膜表面を親水性にするプリウエット処理にだけ用いられる処理液であることを特徴とする基板処理方法。
- 化学増幅型レジストが塗布された基板の現像処理に先立って、冷却された処理液で基板を処理する基板処理方法において、前記冷却された処理液は、基板の現像処理の前には、基板上に塗布されたレジスト膜の上にさらに塗布された反射防止膜を溶解除去するための処理にだけ用いられる処理液であることを特徴とする基板処理方法。
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