明 細 書
電磁式燃料噴射弁
技術分野
[0001] 本発明は、弁座を有する弁座部材ならびに該弁座部材に前端が同軸に連結される 磁性円筒体から成る弁ハウジングと、前記弁座への着座を可能として弁ハウジングに 収容される弁体ならびに後端面を可動側吸引作用面として前記弁体に同軸に連接 される可動コアで構成されるとともに前記弁体を前記弁座に着座させる側にばね付 勢される弁組立体と、前記可動コアの一部を囲繞するようにして前記磁性円筒体の 後端に前端が同軸に結合される非磁性円筒体と、前記可動側吸引作用面に対向す る固定側吸引作用面を前端に有するとともに前記非磁性円筒体の後部に前部が嵌 合、固定される固定コアとを備える電磁式燃料噴射弁に関する。
背景技術
[0002] このような電磁式燃料噴射弁は、たとえば特許文献 1により既に知られている。
特許文献 1 :日本特開 2000— 8990号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] ところが、上記従来のものでは、可動コアに非磁性円筒体の内面に摺接する環状 の摺接凸部が設けられており、磁性円筒体および可動コア間のサイドギャップが比較 的大きくなり、磁束の受け渡し効率が優れているとは言えず、開弁応答性に優れてい るとは言えない。
[0004] 本発明は、力かる事情に鑑みてなされたものであり、可動コアおよび磁性円筒体間 での磁束の受け渡し効率を高め、開弁応答性の向上を図った電磁式燃料噴射弁を 提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0005] このような目的を達成するために、本発明は、弁座を有する弁座部材ならびに該弁 座部材に前端が同軸に連結される磁性円筒体力 成る弁ハウジングと、前記弁座へ の着座を可能として弁ハウジングに収容される弁体ならびに後端面を可動側吸引作
用面として前記弁体に同軸に連接される可動コアで構成されるとともに前記弁体を前 記弁座に着座させる側にばね付勢される弁組立体と、前記可動コアの一部を囲繞す るようにして前記磁性円筒体の後端に前端が同軸に結合される非磁性円筒体と、前 記可動側吸引作用面に対向する固定側吸引作用面を前端に有するとともに前記非 磁性円筒体の後部に前部が嵌合、固定される固定コアとを備える電磁式燃料噴射 弁において、前記可動コアは、前記磁性円筒体の軸線に沿う所定長さにわたって該 磁性円筒体の後部内周面に摺接する外周面を有する摺動筒部と、前記可動側吸引 作用面を後端に有して前記摺動筒部の後端に同軸にかつ一体に連なるとともに外 周を前記非磁性円筒体の内周に対向させる後部対向筒部と、外周を前記磁性円筒 体の内周に対向させて前記摺動筒部の前端に同軸にかつ一体に連なる前部対向 筒部とから成り、前記後部対向筒部の直径を Dl、前記前部対向筒部の直径を D2、 前記摺動筒部の直径を D3としたときに、 Dl < D2< D3に設定されることを第 1の特 徴とする。
[0006] また本発明は、上記第 1の特徴の構成に加えて、前記所定長さが lmm以下に設 定されることを第 2の特徴とする。
[0007] 本発明は、上記第 1または第 2の特徴の構成に加えて、前記後部対向筒部の直径 Dl、前記前部対向筒部の直径 D2、前記摺動筒部の直径 D3が(D3— D2)Z(D3 -D1)≤0. 5を満足するように設定されることを第 3の特徴とする。
[0008] 本発明は、上記第 1〜3のいずれかの特徴の構成に加えて、請求項 4記載の発明 は、請求項 1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記可動側吸引作用 面が前記後部対向筒部の外周面とほぼ直角にして後部対向筒部の後端に形成され 、前記固定側吸引作用面の直径を D4としたときに、 D1≤D4に設定されることを第 4 の特徴とする。
[0009] さらに本発明は、上記第 1〜4のいずれかの特徴の構成に加えて、前記可動コアお よび前記弁体力 Sフ ライト系の高硬度磁性材によって一体に形成されるとともに前記 磁性円筒体がフ ライト系の高硬度磁性材によって形成され、前記弁体に設けられ るジャーナル部が前記弁座部材の内周面に摺動可能に嵌合されることを第 5の特徴 とする。
発明の効果
[0010] 本発明の第 1の特徴の構成によれば、可動コアの摺動筒部が、磁性円筒体の軸線 に沿う所定長さにわたって該磁性円筒体の内周面に摺接するので、可動コアおよび 磁性円筒体間のサイドギャップは部分的には実質的に「0」となり、また非磁性円筒体 の内周に外周を対向させるようにして可動コアの一部を構成する後部対向筒部の直 径 D1が、磁性円筒体の内周に外周を対向させるようにして可動コアの一部を構成す る前部対向筒部の直径 D2よりも小さいので、可動コアおよび磁性円筒体間での磁 束の受け渡し効率を高め、開弁応答性の向上を図ることができる。
[0011] また本発明の第 2の特徴の構成によれば、摺動筒部は磁性円筒体の後部内周面 に lmm以下の比較的短い長さだけ摺接するものであり、通電停止後に磁性円筒体 および可動コア間に生じる磁気保持力を小さく抑え、閉弁応答性が悪化することを回 避することができる。また前部対向筒部の長さを比較的長くして、前部対向筒部およ び磁性円筒体間のサイドギャップを一定に管理し易くし、個々の性能にばらつきが生 じるのを防止し、前記サイドギャップのばらつきによって閉弁応答性に悪影響が及ぶ ことを極力回避することができる。
[0012] 本発明の第 3の特徴の構成によれば、前部対向筒部および磁性円筒体間の間隔 を、後部対向筒部および非磁性円筒体間の間隔の半分以下として、前部対向筒部 の外周を磁性円筒体の内周により近接させるようにして、開弁応答性をより一層高め ることがでさる。
[0013] 本発明の第 4の特徴の構成によれば、固定コアの軸線に対して可動コアの軸線が 偏心したときでも固定コアおよび可動コア間で磁束を効率的に受け渡し、可動側吸 引作用面の面積を有効に活用して固定コアへの可動コアの吸引力を高めることがで きる。
[0014] さらに本発明の第 5の特徴の構成によれば、一体である可動コアおよび弁体と、磁 性円筒体とがフェライト系の高硬度磁性材によって形成されることにより、クロムメツキ 等の表面処理を可動コアおよび磁性円筒体に施す必要がなぐ表面処理によって形 成される非磁性の膜が形成されないので、可動コアおよび磁性円筒体間での磁束の 受け渡し効率をより一層高め、可動コアの吸引力を高めて開弁応答性を飛躍的に高
o
めることが可能となり、製造コストの面でも有利となる。しかも弁組立体の軸方向に離 隔し -た 2箇所が、弁ハウジングを構成する弁座部材および磁性円筒体に摺接するの で、弁組立体の軸線が弁ハウジング内で傾くことを極力防止し、可動コアおよび磁性 円筒体間のサイドギャップを全周にわたってほほ均等にかつ小さく設定することを可 能とし、磁束の受け渡し効率を高め、開弁応答性の向上を図ることができる。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]図 1は電磁式燃料噴射弁の縦断面図である。(第 1実施例)
[図 2]図 2は図 1の 2矢示部拡大図である。(第 1実施例)
符号の説明
弁ハウジング
9. · .磁性円筒体
10·' ··弁座部材
13·' ··弁座
17·· ··弁組立体
18·' ··可動コア
18a' ···摺動筒部
18b ···後部対向筒部
18c' ···前部対向筒部
20·' ··弁体
20a • . 'ジャーナノレ咅 |5
22·· ··固定コア
26·· ··非磁性円筒体
41·' ··可動側吸引作用面
42·· ··固定側吸引作用面
発明を実施するための最良の形態
[0017] 以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づい て説明する。
実施例 1
[0018] 図 1および図 2を参照しつつ本発明の一実施例について説明すると、先ず図 1にお いて、図示しないエンジンに燃料を噴射するための電磁式燃料噴射弁は、前端に弁 座 13を有する弁ハウジング 8内に前記弁座 13に着座する方向にばね付勢される弁 体 20が収容される弁部 5と、前記弁座 13から離座させる側に前記前記弁体 20を駆 動する電磁力を発揮し得るコイル組立体 24が前記弁ハウジング 8に連設されるソレノ イドハウジング 25内に収容されるソレノイド部 6と、前記コイル組立体 24のコイル 30に 連なる接続端子 38…を臨ませる力ブラ 40を一体に有して少なくとも前記コイル組立 体 24および前記ソレノイドハウジング 25を埋封せしめた合成樹脂製の被覆部 7とを 備える。
[0019] 弁ハウジング 8は、磁性金属により形成される磁性円筒体 9と、該磁性円筒体 9の前 端に液密に結合される弁座部材 10とで構成される。弁座部材 10は、その後端部を 磁性円筒体 9の前端部に嵌合した状態で、磁性円筒体 9に溶接されるものであり、こ の弁座部材 10には、その前端面に開口する燃料出口孔 12と、該燃料出口孔 12の 内端に連なるテーパ状の弁座 13と、前記弁体 20をガイドするようにして前記弁座 13 の後端大径部に連なるガイド孔 14とが同軸に設けられる。また弁座部材 10の前端に は、燃料出口孔 12に通じる複数の燃料噴孔 15…を有する鋼板製のインジェクタプレ ート 16が液密に全周溶接される。
[0020] ソレノイド部 6は、前記可動コア 18と、該可動コア 18に対向する円筒状の固定コア 2 2と、可動コア 18を固定コア 22から離反させる側に付勢するばね力を発揮する戻し ばね 23と、戻しばね 23のばね力に杭して可動コア 18を固定コア 22側に吸引する電 磁力を発揮することを可能としつつ弁ハウジング 8の後部および固定コア 22を囲繞 するように配置されるコイル組立体 24と、弁ハウジング 8に前端部が連設されるように してコイル組立体 24を囲むソレノイドハウジング 25とを備える。
[0021] 弁ハウジング 8内の後部には、前記可動コア 18が摺動可能に嵌合されており、前 記弁座 13に着座して燃料出口孔 12を閉鎖し得る前記弁体 20に可動コア 18が同軸 に連接されることによって弁組立体 17が構成される。この実施例では、前記可動コア 18と、該可動コア 18に一体に連なる弁軸 19と、該弁軸 19の前端に一体に形成され
る弁体 20とで弁組立体 17が構成され、この弁組立体 17には、弁ハウジング 8内に通 じる通孔 21が前端を閉じた有底状にして同軸に形成され、弁組立体 17は弁体 20を 弁座 13に着座させる側に戻しばね 23により付勢される。
[0022] 図 2を併せて参照して、弁ハウジング 8における磁性円筒体 9の後端は、非磁性もし くは固定コア 22よりも弱磁性の材料、この実施例ではステンレス鋼等の非磁性金属 により形成される非磁性円筒体 26を介して前記固定コア 22の前端に同軸に結合さ れるものであり、磁性円筒体 9の後端は非磁性円筒体 26の前端に突き合わせ溶接さ れ、非磁性円筒体 26の後端は、固定コア 22の前端部を非磁性円筒体 26に嵌合せ しめた状態で固定コア 22に溶接される。
[0023] 固定コア 22には、軸方向に延びる一条のスリット 27aを有して略 C字状の横断面形 状を有する筒状のリテーナ 27が同軸に圧入されており、前記戻しばね 23は、リテー ナ 27および可動コア 18間に介装される。可動コア 18の後端部内周には、可動コア 1 8が固定コア 22に直接接触することを回避すベぐ非磁性材カも成るリング状のストッ パ 28が可動コア 18の後端面から固定コア 22側にわずかに突出するようにして圧入 される。またコイル組立体 24は、弁ハウジング 8の後部、非磁性円筒体 26および固 定コア 22を囲繞するボビン 29にコイル 30が卷装されて成るものである。
[0024] ソレノィドノ、ウジング 25は、コイル組立体 24の弁部 5側端部に対向する環状の端壁 31aを一端に有してコイル組立体 24を囲繞する円筒状にして磁性金属により形成さ れる磁性枠 31と、前記固定コア 22の後端部から半径方向外方に張出してコイル組 立体 24の弁部 5とは反対側の端部に対向するフランジ部 22aとから成るものであり、 フランジ部 22aは磁性枠 31の他端部に磁気的に結合される。しかも磁性枠 31にお ける端壁 31aの内周には、前記弁ハウジング 8における磁性円筒体 9を嵌合せしめる 嵌合筒部 31bが同軸に設けられており、ソレノイドノヽウジング 25は、その嵌合筒部 31 bに弁ハウジング 8を嵌合せしめることで弁ハウジング 8に連設される。
[0025] 固定コア 22の後端には、円筒状である入口筒 33がー体にかつ同軸に連設されて おり、その入口筒 33の後部に燃料フィルタ 34が装着される。し力も入口筒 33、リテー ナ 23および固定コア 22には、可動コア 18の通孔 21に通じる燃料通路 35が同軸に 設けられる。
[0026] 被覆部 7は、ソレノイドハウジング 25およびコイル組立体 24だけでなぐソレノイドノヽ ウジング 25およびコイル組立体 24間の間隙を満たしつつ、弁ハウジング 8の一部お よび入口筒 33の大部分を埋封せしめるように形成されるものであり、ソレノイドハウジ ング 25の磁性枠 31には、コイル組立体 24のボビン 29に一体に形成される腕部 29a をソレノイドハウジング 25外に配置するための切欠き部 36が設けられる。
[0027] 前記被覆部 7には、前記コイル組立体 24におけるコイル 30の両端に連なる接続端 子 38…を臨ませる力ブラ 40がー体に設けられるものであり、前記接続端子 38の基端 は前記腕部 29aに埋設されており、前記コイル 30のコイル端 30a…が接続端子 38〜 に溶接される。
[0028] ところで、被覆部 7は、ソレノイドノヽウジング 25を覆うとともに前記カプラ 40の一部を 構成する第 1榭脂成形層 7aと、第 1榭脂成形層 7aを覆う第 2榭脂成形層 7bとから成 る。力ブラ 40の中間部から先端側で第 1榭脂成形層 7aは第 2榭脂成形層 7bによって 覆われることはなく外部に露出されており、また入口筒 33の後部は第 2榭脂成形層 7 bで覆われることなく外部に露出されており、さらに弁ハウジング 8の後部に対応する 部分で第 1榭脂成形層 7aの一部は第 2榭脂成形層 7bによって覆われることはなく外 部に露出されている。而して力ブラ 40の中間部および弁ハウジング 8の後部に対応 する部分での第 1榭脂成形層 7aには、第 2榭脂成形層 7bの端部を係合せしめる無 端状の係合溝 48, 49が形成され、入口筒 33の中間部外周には、第 2榭脂成形層 7 bの端部を係合せしめる無端状の係合溝 50が設けられる。すなわち第 2被覆部 7bの 端部は第 1被覆部 7aおよび入口筒 33に凹凸係合されることになる。
[0029] 図 2において、非磁性円筒体 26の前端は、後端面を可動側吸引作用面 41とした 可動コア 18の一部を囲繞するようにして、弁ハウジング 8における磁性円筒体 9の後 端に突き合わせ溶接により同軸に結合され、非磁性円筒体 26の後部には、前端面 を固定側吸引作用面 42とした固定コア 22の前部力 可動側吸引作用面 41に固定 側吸引作用面 42を対向させるようにして嵌合、固定される。
[0030] 固定コア 22の前部には、前方に臨む環状の段部 43を外周側に形成する小径嵌合 部 22bが、その前端で固定側吸引作用面 42を形成するようにして同軸に設けられて おり、この小径嵌合部 22bが、固定側吸引作用面 42に対応する部分では非磁性円
筒体 26の中間部内面に密接するようにして、段部 43を非磁性円筒体 26の後端に当 接させるまで非磁性円筒体 26の後部に嵌合され、その状態で、溶接により固定コア 22が非磁性円筒体 26に固定される。
[0031] し力も非磁性円筒体 26の内面には、固定コア 22における固定側吸引作用面 42の 外周に面一に連なる平面部 44aを有する環状凹部 44が、可動コア 18の後部外周と の間に環状室 45を形成するようにして設けられる。
[0032] また環状凹部 44よりも前方側の非磁性円筒体 26の内周で、固定側吸引作用面 42 の外径よりも大きな内径を有する中心孔 46が形成されるものであり、磁性円筒体 9の 内周には、弁座部材 10のガイド孔 14よりも大径であるガイド孔 47が前記中心孔 46 に面一に連なるようにして設けられる。
[0033] 一方、可動コア 18には、固定側吸引作用面 42と略同一外径の可動側吸引作用面 41が後端面に形成されるのである力 この可動コア 18は、磁性円筒体 9の軸線に沿 う所定長さ Lにわたつて該磁性円筒体 9の後部内周面であるガイド孔 47の内面に摺 接する外周面を有する摺動筒部 18aと、可動側吸引作用面 42を後端に有して摺動 筒部 18aの後端に同軸にかつ一体に連なるとともに外周を非磁性円筒体 26の内周 に対向させる後部対向筒部 18bと、外周を磁性円筒体 9の内周であるガイド孔 47の 内周に対向させて摺動筒部 18aの前端に同軸にかつ一体に連なる前部対向筒部 1 8cと力も成る。
[0034] しかも後部対向筒部 18bの直径を Dl、前部対向筒部 18cの直径を D2、摺動筒部 18aの直径を D3としたときに、 D1 < D2く D3に設定され、しかも前記所定長さ Lは 1 mm以下に設定される。
[0035] また(D3— D2)Z(D3— D1)≤0. 5を満足するように前記 D1〜D3が設定される ものであり、この条件を満足すべく(D3— D2)がたとえば 0. 036〜0. 056mmとされ 、(D3— D1)がたとえば 0. 086〜0. 112mmとされる。これにより前部対向筒部 18c および摺動筒部 18aの外周間の段差が 0. 018-0. 028mmとなるのに対し、後部 対向筒部 18bおよび摺動筒部 18aの外周間の段差は 0. 043-0. 056mmとなり、 前部対向筒部 18cおよび磁性円筒体 9間の間隔が、後部対向筒部 18bおよび非磁 性円筒体 26間の間隔の半分以下となる。
[0036] また可動側吸引作用面 42は前記後部対向筒部 18bの外周面とほぼ直角にして後 部対向筒部 18bの後端に形成されるものであり、固定コア 22の前端における固定側 吸引作用面 42の直径を D4としたときに、 D1≤D4に設定される。
[0037] さらに可動コア 18および弁体 20がー体に形成されて成る弁組立体 17と、磁性円 筒体 9とはフェライト系の高硬度磁性材によって形成され、弁体 20には、弁座部材 1 0の内周面すなわちガイド孔 14に摺動可能に嵌合されるジャーナル部 20aが設けら れている。
[0038] 次にこの実施例の作用について説明すると、可動コア 18は、磁性円筒体 9の軸線 に沿う所定長さ Lにわたつて該磁性円筒体 9の後部内周面に摺接する外周面を有す る摺動筒部 18aと、可動側吸引作用面 42を後端に有して摺動筒部 18aの後端に同 軸にかつ一体に連なるとともに外周を非磁性円筒体 26の内周に対向させる後部対 向筒部 18bと、外周を磁性円筒体 9の内周に対向させて摺動筒部 18aの前端に同軸 にかつ一体に連なる前部対向筒部 18cとから成り、後部対向筒部 18bの直径を Dl、 前部対向筒部 18cの直径を D2、摺動筒部 18aの直径を D3としたときに、 DK D2 < D3に設定されている。
[0039] このような可動コア 18の形状によれば、摺動筒部 18aが、磁性円筒体 9の軸線に沿 う所定長さ Lにわたつて該磁性円筒体 9の内周面に摺接することにより、可動コア 18 および磁性円筒体 9間のサイドギャップは部分的には実質的に「0」となり、また非磁 性円筒体 26の内周に外周を対向させるようにして可動コア 18の一部を構成する後 部対向筒部 18bの直径 D1が、磁性円筒体 9の内周に外周を対向させるようにして可 動コア 18の一部を構成する前部対向筒部 18cの直径 D2よりも小さいので、可動コア 18および磁性円筒体 9間での磁束の受け渡し効率を高めて、開弁応答性の向上を 図ることができる。
[0040] また前記所定長さ Lが lmm以下に設定されるので、摺動筒部 18aは磁性円筒体 9 の後部内周面に lmm以下の比較的短い長さだけ摺接するものであり、通電停止後 に磁性円筒体 9および可動コア 18間に生じる磁気保持力を小さく抑え、閉弁応答性 が悪ィ匕することを回避することができる。また前部対向筒部 18cの長さを比較的長くし て、前部対向筒部 18cおよび磁性円筒体 9間のサイドギャップを一定に管理し易くし
、個々の性能にばらつきが生じるのを防止し、前記サイドギャップのばらつきによって 閉弁応答性に悪影響が及ぶことを極力回避することができる。
[0041] また後部対向筒部 18bの直径 Dl、前部対向筒部 18cの直径 D2、摺動筒部 18aの 直径 D3が(D3— D2)Z(D3— D1)≤0. 5を満足するように設定されるので、前部 対向筒部 18cおよび磁性円筒体 9間の間隔を、後部対向筒部 18bおよび非磁性円 筒体 26間の間隔の半分以下として、前部対向筒部 18cの外周を磁性円筒体 9の内 周により近接させるようにして、開弁応答性をより一層高めることができる。
[0042] また固定コア 22の前端の固定側吸引作用面 42に対向する可動側吸引作用面 41 が前記後部対向筒部 18bの外周面とほぼ直角にして後部対向筒部 18bの後端に形 成され、固定側吸引作用面 42の直径を D4としたときに、 D1≤D4に設定されるので 、固定コア 22の軸線に対して可動コア 18の軸線が偏心したときでも固定コア 22およ び可動コア 18間で磁束を効率的に受け渡し、可動側吸弓 I作用面 41の面積を有効 に活用して固定コア 22への可動コア 18の吸引力を高めることができる。
[0043] さらに可動コア 18および弁体 20がフェライト系の高硬度磁性材によって一体に形 成されるとともに磁性円筒体 9がフェライト系の高硬度磁性材によって形成されるので 、クロムメツキ等の表面処理を可動コア 18および磁性円筒体 9に施す必要がなぐ表 面処理によって形成される非磁性の膜が形成されないので、可動コア 18および磁性 円筒体 9間での磁束の受け渡し効率をより一層高め、可動コア 18の吸引力を高めて 開弁応答性を飛躍的に高めることが可能となり、製造コストの面でも有利となる。
[0044] し力も弁体 20に設けられるジャーナル部 20aが弁座部材 10の内周面に摺動可能 に嵌合されることにより、弁組立体 17の軸方向に離隔した 2箇所が、弁ハウジング 8を 構成する弁座部材 10および磁性円筒体 9に摺接するので、弁組立体 17の軸線が弁 ハウジング 8内で傾くことを極力防止し、可動コア 18および磁性円筒体 9間のサイド ギャップを全周にわたつてほほ均等にかつ小さく設定することを可能とし、磁束の受 け渡し効率を高め、開弁応答性の向上を図ることができる。
[0045] 以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでは なぐ特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行う ことが可能である。