明 細 書
光ケーブルのファイバ固定方法
技術分野
[0001] 本発明は、主に、光ケーブルのファイバ固定方法に関するものである。
背景技術
[0002] 従来、例えば、実開平 06—60804や実開平 03—77904に開示されているように、 光コネクタとしてのプラグに、光ケーブルを接続する場合、光ケーブルの終端部にお いてファイバをどのようにコネクタ本体に固定するかについては、例えば、金属製クラ ンプ部材で力しめて固定するものや、 V字型の溝にファイバをおレ、てそれを蓋部材で 上から押さえつけて固定するもの、又は、フエルールに接着剤で固定するもの、ハウ ジングにファイバを貫通させてそれを金属製クランプ部材の脚部で挟装させてフアイ バ被覆部の一部に食い込むようにして固定する等の各方法が知られている。
[0003] しかし、このような従来のファイバ固定方法では、光コネクタの組立作業現場で接着 剤の使用となるので、作業能率が低下し好ましいものではない。また、ファイバの被 覆部にクランプ部材を食い込ませるのは、亀裂が入り繰り返し固定するには不向きな 方法である。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] このように、光コネクタにおけるファイバの固定において、固定強度を大きくし、接着 剤を使用しないで、確実に固定することが課題である。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明に係る光ケーブルのファイバ固定方法の要旨は、ハウジングに光ケーブル のファイバを固定する方法において、前記ハウジングの側壁と、該側壁の間に立設さ れた壁とに囲まれて形成される凹部に前記ファイバを貫通させて挿通させ、前記両 側の壁のうち片側の壁が可撓性を有して形成されていて、前記片側の壁と他側の壁 との間隙をファイバ挟装手段で狭めて当該凹部に挿通されたファイバを固定すること である。
[0006] 前記凹部を形成する両側の壁と該凹部に挿通されるファイバとの熱膨張率が同一 、若しくは、ほぼ同一であること、
前記本体部から突出しその途中に段部が設けられた突起片を有するストッパーが ファイバ挟装手段として設けられ、前記ストッパーにより、前記突起片を凹部における 片側の壁の後ろ側に挿入して、当該突起片の段部によって前記片側の壁を他側の 壁方向に押圧して移動させること、
前記ストッパーは、仮止め用の係止部によってハウジングに仮止めされること、 前記ファイバ挟装手段は、パネによる弾性手段であること、
を含むものである。
発明の効果
[0007] 本発明の光ケーブルのファイバ固定方法によれば、ファイバの固定強度が強くなる 。ファイバ固定において接着剤を現場で使用しないので、組立作業の能率が向上す るとともに、安価に製造することができる。
また、ストッパーをハウジングに仮止めすることができるので、該ストッパーを仮止め した状態で、例えば光コネクタとして納品することができ、部品管理も容易となる。更 には、 自動組立等に対応しやすいという利点がある。
更に、ファイバと該ファイバを挟装する壁が、同じ、若しくは、ほぼ同じ熱膨張率に することで、温度変化があっても、挟装されているファイバの損失が増大しない。 ファイバ挟装手段を、板パネやコイルパネ、トーシヨンパネ等のパネによる弾性手段 とすれば、作業性も向上し、外しやすい。
図面の簡単な説明
[0008] [図 1]本発明に係るファイバ固定方法における光コネクタの、コネクタハウジング 1の 一部を断面にして示す平面図 (A)、同正面図(B)、同側面図(C)である。
[図 2]同光コネクタの他側の壁 lbに設けられる溝 lgの各実施例を示す説明図 (A)、 ( B)、 (C)である。
[図 3]本発明のファイバ固定方法における光コネクタの、ストッパー 2の一部を断面に して示す平面図 (A)、同正面図(B)、同側面図(C)である。
[図 4]本発明のファイバ固定方法を示す説明図 (A)、 (B)である。
[図 5]本発明のファイバ固定方法によってファイバが固定された状態の光コネクタの、 側面図 (A)、正面図(B)である。
[図 6]本発明に係るファイバ固定方法の他の実施例を示す平面図 (A)、 (B)である。 発明を実施するための最良の形態
[0009] 本発明に係るファイバ固定方法は、コネクタやカップリング等の種々のものに適用 できるが、例えば、光コネクタの場合で説明すると、図 1に示すように、光コネクタにお ける合成樹脂製のコネクタハウジング 1を設ける。このハウジング 1の底部 la側から立 設された両側の壁 lb、 lcに囲まれた凹部 Idに前記ファイバ 3 (図 4参照)を貫通させ て挿通させる様にする。
[0010] 前記両側の壁のうち片側の壁 lcは、直接に前記底部 laから立設されているわけで はなぐ中央島部 leの前壁面から前方に突出させて可撓性を有して形成された突起 片 Ifの外側の壁である。よって、コネクタハウジング 1と別部材でこの壁 lcを形成する 場合には、挟装するファイバ 3に悪影響を与えないように、他側の壁 lb及びファイバ 3とほぼ同じ熱膨張率の材料とするのが好ましい。
[0011] また、他側の壁 lbの下部には、図 1 (C)に示すように、ファイバ用の位置決め溝 lg
(半孔)が設けられている。ファイバ 3の位置決めのためである。この溝は、図 2 (A)、 ( B)、 (C)に示すように、 V溝や U溝、若しくは台形溝であってもよぐ更には、両壁 lb 、 lcの両方に位置決め溝 lgを設けても良レ、。これにより、ファイバ 3が挟装される際 に所定の位置に位置決めされるものである。
前記中央島部 leの前壁面には、中央壁 lhが有り、前記突起片 Ifとの間で、ストツ パー用の揷入空間部 ljが形成されている。
[0012] 前記コネクタハウジング 1の後方には、光ケーブル 4 (図 4参照)の端部が挿入され 固定される。また、このハウジング 1の前部は、光コネクタのレセプタクル(図示せず) に嵌合 '挿入される。
[0013] 図 3に示すように、前記コネクタハウジング 1に仮止めされる係止部 2aを有し、本体 部 2bから突出し、その途中に段部 2cが設けられた突起片 2dを有する合成樹脂製の ストッパー 2が形成される。
[0014] 前記本体部 2bの左右端部には、ファイバ 3挿通用の長孔 2eが貫通させて設けられ
ている。
[0015] 前記コネクタハウジング 1と前記ストッパー 2とで、光コネクタにおけるプラグが構成さ れる。図 4 (A)に示すように、予め、コネクタハウジング 1の挿入空間部 ljに突起 2dを 揷入し、係止部 2aで仮止め壁 lkに仮止めさせて、前記コネクタハウジング 1に、前記 ストッパー 2を仮止めさせておく。
[0016] そして、光ケーブル 4の被覆を剥がし、 2本のファイバ 3を凹部 Idの揷通孔 lg及び 仮止めしているストッパー 2の長孔 2eに、それぞれ揷通させる。次に、図 4 (B)に示す ように、ストッパー 2をコネクタハウジング 1の後方に押し込む。
[0017] ストッパー 2の突起 2dが揷入空間部 ljにその奥まで揷入され、この突起 2dの段部 2 cによって、可撓性の突起片 Ifが左右に押圧されて移動される。この作用により、前 記片側の壁 lcと他側の壁 lbとの間隙が狭められ、前記凹部 Idに揷通されたフアイ バ 3を押圧して、コネクタハウジング 1に固定する。
[0018] また、ストッパー 2の係止部 2aが、ハウジング側の係止部 lmに係合して係止され、 ストッパー 2が前方に抜けないように保持される。
[0019] こうして、コネクタハウジング 1に光ケーブル 4のファイバ 3がしつ力りと固定されること になる。この後、コネクタハウジング 1の前部から突出している余分なファイバ 3を治具 で切断してそのファイバ端面を仕上げるものである。
[0020] 本発明の他の実施例として、図 6 (A)に示すように、中央島部 leの前方に形成され る挿入空間部 ljに、ファイバ挟装手段として、パネ部材 5を用レ、るものである。この板 状のパネ部材 5を、その脚部 5aを挿入空間部 ljの奥部に引っかけておき、仮止めす る。そして、図 6 (B)に示すように、挿入空間部 ljの後方に前記パネ部材 5を押し込 む。
[0021] 前記パネ部材 5の左右側部 5bが揷入空間部 ljに入り込んで、その弾発力により可 橈性の片側の壁 lcが他側の壁 lbに向かって移動する。これにより、前記両壁 lb、 1 cで形成される凹部 Idに揷通されたファイバ 3が挟装されて、固定されるものである。 このバネ部材 5としては、このほか、図示しないが、例えば、バネ部材としてコイルスプ リング若しくはトーシヨンパネを用レ、、そのコイルスプリングを揷入空間部 ljの左右方 向に配置して、若しくはトーシヨンパネの脚部で、可撓性の片側の壁 lcを押圧するよ
うにしても良い。
産業上の利用可能性
本発明に係る光ケーブルのファイバ固定方法は、光ケーブル用のコネクタは勿論 のこと、カプラーなどにも適用できるものである。