JP2004109484A - 光ファイバ固定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバを溝部の開口端側から挿入するだけで予め決められた位置に固定でき、光ファイバを実装するときの作業性を向上できるようにする。
【解決手段】2枚のガラス基板2,3間にシリコン基板4を挟んで互いに接合することにより装置のハウジング1を構成する。このとき、シリコン基板4に形成されたファイバ取付部6の溝部6Bと、ガラス基板3に形成された掘込み部3Bとを、光ファイバ11の外径寸法よりも小さい間隔で互いに対向して配置する。そして、ハウジング1内に光ファイバ11A〜11Dを組付けるときには、溝部6Bの開口端6C側から光ファイバ11をハウジング1内に挿入し、ファイバ取付部6の可動梁部6Aを撓み変形させることにより、光ファイバ11をファイバ取付部6の溝部6Bと掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持して固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】2枚のガラス基板2,3間にシリコン基板4を挟んで互いに接合することにより装置のハウジング1を構成する。このとき、シリコン基板4に形成されたファイバ取付部6の溝部6Bと、ガラス基板3に形成された掘込み部3Bとを、光ファイバ11の外径寸法よりも小さい間隔で互いに対向して配置する。そして、ハウジング1内に光ファイバ11A〜11Dを組付けるときには、溝部6Bの開口端6C側から光ファイバ11をハウジング1内に挿入し、ファイバ取付部6の可動梁部6Aを撓み変形させることにより、光ファイバ11をファイバ取付部6の溝部6Bと掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持して固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光スイッチ等の光学機器に対し光ファイバを固定して組付けるのに好適に用いられる光ファイバ固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、マイクロマシニング技術を用いることによって基板に微小な静電アクチュエータを形成し、この静電アクチュエータにより光の進路を切換える構成とした光スイッチ装置は知られている(例えば、米国特許第6315462号明細書等)。
【0003】
この種の従来技術による光スイッチ装置は、シリコン基板等からなる2枚の基板を互いに衝合して設け、これらの基板のうち一方の基板には前記静電アクチュエータを形成すると共に、該一方の基板には他方の基板との間に互いに対向して略直線状に延びる複数のファイバ取付溝を形成し、これらのファイバ取付溝には複数本の光ファイバを互いに間隔をもって対向させた状態で固定する構成としている。
【0004】
そして、従来技術による光スイッチ装置は、これらの光ファイバによる光の進路を切換えるため前記静電アクチュエータを電圧の印加で駆動し、これに従ってミラー等の光切換部を前記光ファイバ間に進退させることにより、光通信等の制御を行うものである。
【0005】
また、他の従来技術として、例えば特開平8−313756号公報には、信頼性の高い光ファイバ接続を可能にするようにした光ファイバ固定溝付き平面光回路部品が記載されている。
【0006】
そして、この光回路部品にあっては、シリコン材料からなる基板の表面に複数のV字状溝を形成し、これらのV字状溝にそれぞれ光ファイバを整列させて載せた状態で接着剤等を塗布し、この上にガラス材料等からなる押え板を重ね合わせることにより、各光ファイバをV字状溝と押え板との間に挟持して固定する構成としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、光ファイバをファイバ取付溝またはV字状溝に抜止め状態で固定するため、これらの溝内に光ファイバを配置する作業、その後に接着剤等を塗布する作業が必要な上に、さらに、溝の上から押え板等を押付ける作業が必要となり、光ファイバを固定する作業が繁雑となって作業が悪いという問題がある。
【0008】
しかも、この場合の光ファイバは、前記溝内で接着剤が固化するまでの間、例えば押え板が押付けられるまでの間に外力の作用で微妙に位置ずれしたり、または押え板が押付けられるときの押付け力等によって前記溝の長さ方向に位置ずれしたりすることがある。
【0009】
このため、上述した各従来技術による光ファイバの固定装置では、光ファイバを予め決められた位置に安定して固定することが難しく、光ファイバを実装して固定する作業に余分な手間がかかる上に、光ファイバが位置ずれしたときには光通信等の行う上での信頼性が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、光ファイバを溝部の開口端側から挿入するだけで予め決められた位置に固定することができ、光ファイバを実装するときの作業性を向上できるようにした光ファイバ固定装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、光ファイバを予め決められた位置に安定して固定することができ、光学機器としての信頼性を向上できるようにした光ファイバ固定装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、光ファイバによる光路を形成するため少なくとも2枚の基板を用いて構成され、前記光ファイバを各基板間に挟込んだ状態で固定してなる光ファイバ固定装置に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記各基板のうちいずれか一方の基板には該基板の外側端面に開口し前記光ファイバが挿入される溝部を形成し、他方の基板には前記光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって該溝部に対向する対向面部を形成し、前記各基板は、互いに衝合して接合した状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときに、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方を前記光ファイバの径方向に撓み変形させることにより前記光ファイバを弾性的に挟持して固定する構成としている。
【0014】
このように構成することにより、少なくとも2枚の基板を互いに衝合して接合した状態では、一方の基板に形成され外側端面に開口する光ファイバ挿入用の溝部と他方の基板に形成された対向面部とを、光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって互いに対向配置することができる。そして、この状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入すれば、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方が光ファイバの径方向に撓み変形することにより、この光ファイバを前記溝部と対向面部との間で弾性的に挟持して固定でき、光ファイバの実装、固定作業を効率的に行うことができる。
【0015】
また、請求項2の発明によると、溝部が形成された一方の基板と対向面部が形成された他方の基板のうち、光ファイバを挿入するときに撓み変形する方の基板には、薄肉に形成されて弾性変形可能となった可動梁部を設ける構成としている。
【0016】
これにより、前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときには、前記溝部と対向面部のいずれか一方を可動梁部を介して弾性的に撓み変形させることができ、光ファイバを溝部内に挿入して実装する作業を容易に行うことができる。
【0017】
一方、請求項3の発明によると、溝部が形成された一方の基板は、光ファイバによる光路の切換えを行う光スイッチ用のアクチュエータが微細加工される機能基板を構成し、対向面部が形成された他方の基板は、該機能基板に接合され前記アクチュエータの固定部側を支持する支持基板を構成している。
【0018】
これにより、例えばシリコン基板等からなる機能基板には光スイッチ用のアクチュエータと溝部とを、マイクロマシニング技術による微細加工、例えばエッチング加工等を施して形成することができる。そして、このような機能基板を支持基板に衝合状態で接合したときには、予め機能基板に形成された前記アクチュエータの固定部側を支持基板上に安定して支持または固定することができ、支持基板側の対向面部と機能基板側の溝部とを対向させて配置できる。
【0019】
また、請求項4の発明によると、機能基板の一側面には支持基板を接合して設けると共に、前記機能基板の他側面には他の支持基板を接合して設け、これら2枚の支持基板は前記機能基板を積層状態に挟んで固定する構成としている。これにより、2枚の支持基板間に機能基板を挟込んで固定でき、これらを積層構造とすることにより、光ファイバを安定して挟持、固定することができる。
【0020】
また、請求項5の発明によると、機能基板には、アクチュエータによって駆動され光ファイバの光路を切換える切換部と、該切換部から離間した位置で溝部内に挿入された光ファイバの先端に当接し前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部とを設ける構成としている。
【0021】
この場合には、機能基板に設けたストッパ部により前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制でき、光ファイバの位置決め精度を向上できると共に、光路の切換えを行う切換部と光ファイバの先端面との間の距離を一定に保つことができる。
【0022】
また、請求項6の発明によると、機能基板には、溝部の途中に位置し基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成してなる構成としている。
【0023】
これにより、溝部の途中に位置する可動壁部を用いて基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持できると共に、基板の板厚方向では前述した溝部と対向面部とにより光ファイバを弾性的に挟持できるので、光ファイバをより安定して固定し保持することができる。
【0024】
さらに、請求項7の発明は、溝部が形成された一方の基板と対向面部が形成された他方の基板はそれぞれ支持基板を構成し、これら2枚の支持基板間には、光ファイバによる光路の切換えを行う光スイッチ用のアクチュエータと前記光ファイバが前記支持基板間に位置して挿入されるファイバ挿入部とが微細加工により形成された機能基板を積層化して設け、前記2枚の支持基板は前記機能基板のファイバ挿入部内に挿入された光ファイバを基板の板厚方向で弾性的に挟持する構成とし、前記機能基板のファイバ挿入部には、前記基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成してなる構成としている。
【0025】
この場合には、2枚の支持基板間に機能基板を積層化して設けることができ、光ファイバを機能基板のファイバ挿入部内に挿入したときには、前記2枚の支持基板間で光ファイバを板厚方向において弾性的に挟持できると共に、前記機能基板のファイバ挿入部においては、可動壁部により前記板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態による光ファイバ固定装置を、光スイッチ装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0027】
ここで、図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は光スイッチ装置のハウジングで、該ハウジング1は、後述する2枚のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3間に積層状態で配置された後述のシリコン基板4とにより構成され、全体として扁平な四角形状の直方体として形成されている。
【0028】
2,3はシリコン基板4を上,下両側から積層状態で挟んだ支持基板としてのガラス基板で、該ガラス基板2,3は、例えばガラス材料によって数ミリないし数センチ程度の大きさをもった四角形状の板体として形成されている。そして、これらのガラス基板2,3は、上,下両側の衝合面2A,3Aが後述するシリコン基板4の一側面,他側面(上,下面)に、例えば陽極接合等の手段を用いて衝合状態で接合されている。
【0029】
また、ガラス基板2,3のうち下側のガラス基板2には、図3、図4に示す如く後述のファイバ取付部6と上,下で対向する位置に凹窪部2Bがそれぞれ設けられ、これらの凹窪部2Bは衝合面2Aを断面コ字状に堀込んだ溝条として形成されている。
【0030】
そして、この凹窪部2Bは、後述する光ファイバ11A,11Cの光軸O1 −O1 と、これに直交する光ファイバ11B,11Dの光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、後述する各溝部6Bの開口端6C側でハウジング1の外部に開口するものである。
【0031】
また、上側のガラス基板3にも、ファイバ取付部6と上,下で対向する位置に複数の浅い掘込み部3Bが、衝合面3Aを断面コ字状に浅く堀込むことにより形成され、該掘込み部3Bも光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延びて配置されている。
【0032】
そして、掘込み部3Bの底面側は、後述するファイバ取付部6の溝部6Bと上,下で対向する対向面部を構成し、図3に示す如く溝部6Bとの間で後述の光ファイバ11(11B)を挟持するものである。この場合、掘込み部3Bの深さは、後述する溝部6Bから光ファイバ11がはみ出す高さよりも予め小さい寸法に形成されている。
【0033】
なお、ガラス基板2,3のうち下側のガラス基板2は、ハウジング1の支持台等により構成してもよく、後述するシリコン基板4の下面側に必ずしも接合して設ける必要はない。従って、場合によってはガラス基板2を省略することも可能である。
【0034】
4はガラス基板2,3の衝合面2A,3A間に挟んで設けられた機能基板としてのシリコン基板で、該シリコン基板4は、例えば単結晶または多結晶のシリコン材料からなり、ガラス基板2,3とほぼ同じ大きさをもった四角形の板体として形成されている。そして、シリコン基板4の上,下面は、例えば陽極接合等の手段を用いてガラス基板2,3の衝合面2A,3Aに接合されている。
【0035】
また、ガラス基板2,3間に挟まれたシリコン基板4には、図2に示す如く略正方形状をなす光路空間5と、該光路空間5の位置で互いに交差するように略十字状をなして延びる後述のファイバ取付部6と、後述の静電アクチュエータ7等とがマイクロマシニング技術によるエッチング加工等の手段で微細加工を施すことにより形成されている。
【0036】
6,6,…はシリコン基板4に形成された合計4本のファイバ取付部で、該各ファイバ取付部6は、図2に示す如く光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、光路空間5の位置で互いに交差するように配置されている。そして、ファイバ取付部6は、図3、図4に示す如くガラス基板2の凹窪部2Bとガラス基板3の掘込み部3Bとの間に位置して断面凹形状をなす可動部として微細加工により成形され、その左,右両側は弾性変形可能に薄肉に形成された可動梁部6A,6Aとなっている。
【0037】
また、各ファイバ取付部6には、ガラス基板3の掘込み部3Bと対向して断面コ字形状の溝部6Bがそれぞれ形成されている。そして、該各溝部6Bは、その溝深さ(板厚方向の寸法)が光ファイバ11の外径よりも小さく、その溝幅(板厚方向と直交する方向の寸法)は光ファイバ11の外径にほぼ一致する寸法となっている。
【0038】
また、ファイバ取付部6の溝部6Bは、図1、図2に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って直線状に延び、一方の端部がシリコン基板4の外側端面に開口する開口端6Cとなっている。そして、溝部6Bは他方の端部がシリコン基板4内の光路空間5に開口しているものである。
【0039】
ここで、ファイバ取付部6は、溝部6B内に光ファイバ11(11A〜11D)を挿入するまでは図4に示す如くガラス基板3の掘込み部3B側に接近し、光ファイバ11A〜11Dの外径寸法よりも小さい間隔をもって溝部6Bを掘込み部3Bに対向させる。
【0040】
そして、溝部6B内に光ファイバ11を挿入したときには、図3に示す如く左,右の可動梁部6A,6Aが弾性的に撓み変形し、ファイバ取付部6の溝部6Bはガラス基板3の掘込み部3Bとの間で光ファイバ11を挟持し、光ファイバ11をハウジング1内に弾性的に位置決めして保持するものである。
【0041】
7はシリコン基板4に微細加工を施すことにより形成されたアクチュエータとなる静電アクチュエータで、該静電アクチュエータ7は、図2に示す如く光路空間5に対して、例えば斜め45度となる位置(方向)に配置され、後述する光ファイバ11A〜11Dの先端部間に向けて直線状に延びる細長い可動腕部8と、該可動腕部8に一体形成された可動電極9と、該可動電極9に対向して配置された一対の固定電極10,10とにより大略構成されている。また、可動電極9と各固定電極10は、ガラス基板2,3のいずれかに設けられた外部電極にスルーホール(いずれも図示せず)を介して接続されている。
【0042】
ここで、静電アクチュエータ7の可動腕部8は、例えば可動電極9と固定電極10の前,後に位置する複数本の支持梁8A等を用いて矢示A,B方向に変位可能に支持されている。また、可動腕部8の先端側には、空路空間5内に位置して後述の如く光路の切換え行う切換部としてのミラー部8Bが設けられ、該ミラー部8Bは、図2中に実線と二点鎖線で示すように可動腕部8により矢示A,B方向に進退駆動されるものである。
【0043】
この場合のミラー部8Bは、その表面側に金属材料等からなる薄膜(図示せず)をメッキ、スパッタ、蒸着等の手段を用いて成膜し、鏡面仕上げすることにより形成されている。そして、ミラー部8Bは後述の光ファイバ11A〜11D間、即ち光軸O1 −O1 、光軸O2 −O2 上に進退することにより、ミラー部8Bの表面で光を反射させ、光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 との間で光路の切換えを行うものである。
【0044】
また、静電アクチュエータ7の可動電極9と固定電極10は、櫛歯型の電極または平行平板型の電極等を用いて形成され、電極9,10間に外部から電圧を印加すると、両者の間に静電引力が発生することによって、支持梁8A等を撓み変形させつつ可動腕部8をミラー部8Bと共に矢示A,B方向に進退変位させるものである。
【0045】
この場合、静電アクチュエータ7の固定部側となる固定電極10、10は、図1に示す上,下のガラス基板2,3間に挟持され、これらのガラス基板2,3を用いて予め決められた位置(図2に例示した位置)に固定されている。一方、静電アクチュエータ7の可動腕部8、可動電極9等は、上,下のガラス基板2,3間に隙間をもって配置され、これらのガラス基板2,3に対しては相対変位可能に配置されているものである。
【0046】
11A,11B,11C,11Dはシリコン基板4のファイバ取付部6にそれぞれ取付けられた光ファイバ(全体として光ファイバ11という)で、該光ファイバ11A〜11Dは、ハウジング1内に光軸O1 −O1 ,O2 −O2 に沿って2本ずつ合計4本取付けられ、ハウジング1内に位置決め状態で固定されるものである。
【0047】
ここで、光ファイバ11(11A〜11D)は、図1中に例示した光ファイバ11Bのように、ハウジング1の外側端面(溝部6Bの開口端6C)からファイバ取付部6の溝部6Bとガラス基板3の堀込み部3Bとの間に挿入される。そして、光ファイバ11は、このときにファイバ取付部6の各可動梁部6Aが図3に示す如く撓み変形することにより、ファイバ取付部6の溝部6Bとガラス基板3の掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持され、ハウジング1内に位置決めされ保持されるものである。
【0048】
そして、これらの光ファイバ11A〜11Dのうち光ファイバ11A,11Cは、図2に示すように光軸O1 −O1 上に位置決めされ、両者の先端は光路空間5内で一定間隔をもって対向配置される。また、光ファイバ11B,11Dは、光軸O1 −O1 と直交する光軸O2 −O2 上に位置決めされ、これらの先端も光路空間5内で一定間隔をもって対向配置されるものである。
【0049】
本実施の形態による光スイッチ装置は、上述の如き構成を有するもので、次にその製造手順について説明する。
【0050】
まず、ガラス基板2の衝合面2Aには凹窪部2Bを形成し、ガラス基板3の衝合面3Aには浅底の堀込み部3Bを形成する。また、ガラス基板2、3には、光路空間5および静電アクチュエータ7の固定電極10以外の部分と上,下で対向する位置にそれぞれ溝(図示せず)を形成しておく。
【0051】
また、シリコン基板4には、その裏面側からファイバ取付部6等をエッチング加工により形成する。そして、シリコン基板4にファイバ取付部6の溝部6B等を形成する前の段階で、シリコン基板4をガラス基板2の衝合面2A上に陽極接合等の手段を用いて接合し、この状態でシリコン基板4には、その表面側から図2に示す光路空間5、略十字状をなして延びるファイバ取付部6の溝部6Bおよび静電アクチュエータ7等をエッチング加工により形成する。
【0052】
次に、この状態でガラス基板3をシリコン基板4上に、即ちシリコン基板4をガラス基板2,3の衝合面2A,3A間に挟込むように配置し、シリコン基板4の上面を陽極接合等の手段を用いてガラス基板3の衝合面3Aに接合することにより、ハウジング1を製作する。
【0053】
次に、光ファイバ11(11A〜11D)を図1中に例示した光ファイバ11Bの如く、ファイバ取付部6の溝部6B内に向けてハウジング1の外側端面に開口する開口端6Cから挿入し、このときにファイバ取付部6の各可動梁部6Aを図3に示す如く撓み変形させることにより、ファイバ取付部6の溝部6Bとガラス基板3の掘込み部3Bとの間で光ファイバ11を弾性的に挟持させ、ハウジング1内に光ファイバ11A〜11Dをそれぞれ仮固定する。
【0054】
そして、この仮固定状態で光ファイバ11A〜11Dのそれぞれの光軸合わせ、または必要に応じて特性検査等を行い、検査完了後にハウジング1の外側面から、例えばファイバ取付部6の溝部6Bと光ファイバ11との間に接着剤等を流込んで固化させることにより、各光ファイバ11をそれぞれのファイバ取付部6等に対して固定する。
【0055】
次に、このようにして製作された本実施の形態による光スイッチ装置のスイッチング動作、即ちその光路の切換動作について説明する。
【0056】
まず、ハウジング1のガラス基板2,3間に位置してシリコン基板4に形成された静電アクチュエータ7は、ガラス基板2,3のいずれかに設けられた前記外部電極を通じて可動電極9と固定電極10との間に電圧を印加するまでの間は、図2に実線で示す位置に留まり、可動腕部8は支持梁8Aを撓み変形させることなく、ミラー部8Bを光ファイバ11A〜11Dの先端間から矢示B方向に後退した位置に保持する。
【0057】
このため、光ファイバ11A〜11Dのうち光ファイバ11Aから出射された光は、光軸O1 −O1 に沿って直進し、光ファイバ11C側に入射されることにより、これらの光ファイバ11A,11C間で光軸O1 −O1 に沿った光通信等が行われる。
【0058】
また、光ファイバ11Bから出射された光は、光軸O2 −O2 に沿って直進するので、この光が光ファイバ11D側に入射されることにより、これらの光ファイバ11B,11D間で光軸O2 −O2 に沿った光通信等が行われる。
【0059】
次に、静電アクチュエータ7の可動電極9と固定電極10との間に電圧を印加したときには、可動電極9と固定電極10との間に静電引力が発生し、静電アクチュエータ7の可動腕部8は、可動電極9を固定電極10側に接近させるように支持梁8Aを撓み変形させつつ、ミラー部8Bを図2中に二点鎖線で示す位置まで矢示A方向に進出させる。
【0060】
これにより、ミラー部8Bを光ファイバ11A〜11Dの先端間に配置することができる。このため、光ファイバ11A〜11Dのうち、例えば光ファイバ11Aから光軸O1 −O1 に沿って出射した光を、ミラー部8Bにより光軸O2 −O2 側へと反射して光路の切換えを行うことができ、この反射光は光ファイバ11D側に入射されることにより、これらの光ファイバ11A,11D間で光通信等が行われる。
【0061】
また、光ファイバ11Bから光軸O2 −O2 に沿って出射した光を、ミラー部8Bにより光軸O1 −O1 側へと反射して光路の切換えを行うことができ、この反射光は光ファイバ11C側に入射されることにより、これらの光ファイバ11B,11C間で光通信等が行われる。
【0062】
かくして、本実施の形態によれば、2枚のガラス基板2,3間にシリコン基板4を挟んで、これらの基板2〜4を衝合状態で接合することにより光スイッチ装置のハウジング1を形成している。そして、この状態では、シリコン基板4に形成されハウジング1の外側端面に開口するファイバ取付部6の溝部6Bと、ガラス基板3に形成された対向面部となる掘込み部3Bとを、光ファイバ11の外径寸法よりも小さい間隔をもって互いに対向配置する構成としている。
【0063】
このため、ハウジング1内に複数の光ファイバ11(11A〜11D)を組付けるときには、前記溝部6Bの開口端6C側から光ファイバ11をハウジング1内に向けて挿入し、予め決められた長さ分だけ光ファイバ11を押込むだけで、前記ファイバ取付部6の可動梁部6Aが光ファイバ11の径方向に撓み変形することにより、光ファイバ11をファイバ取付部6の溝部6Bとこれに対向する掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持でき、ハウジング1内に光ファイバ11を容易に位置決めして固定することができる。
【0064】
従って、本実施の形態によれば、光ファイバ11(11A〜11D)を溝部6Bの開口端6C側からハウジング1内に向けて挿入するだけで、ハウジング1内の予め決められた所定位置に光ファイバ11を仮固定することができ、光ファイバ11をハウジング1内に実装するときの作業性を向上できる。
【0065】
また、ハウジング1内に光ファイバ11を挿入した後には、例えば溝部6Bの開口端6C側から適宜に接着剤等を流込むことにより、光ファイバ11をハウジング1内の所定位置に安定して固定することができ、光スイッチ装置としての信頼性を向上できる。
【0066】
このように、本実施の形態による光スイッチ装置は、ハウジング1に対する光ファイバ11の取付け性を向上でき、光ファイバ11の実装、固定作業を効率的に行うことができると共に、従来技術で述べたように光ファイバ11が位置ずれする等の問題を解消でき、光通信等の行う上での信頼性を確実に向上することができる。
【0067】
また、支持基板となるガラス基板2,3間に積層化して設けた機能基板としてシリコン基板4には、各ファイバ取付部6の溝部6B等と共に光スイッチ装置の静電アクチュエータ7を、マイクロマシニング技術によるエッチング加工等を用いて微細加工を施すことによって一体的に、かつ高精度に形成できる。
【0068】
このため、光ファイバ11A〜11Dの光軸O1 −O1 、光軸O2 −O2 と、静電アクチュエータ7側のミラー部8Bとを高い精度で位置合わせすることができ、前述したミラー部8Bによる光路の切換動作を安定して行うことができると共に、これによっても光スイッチ装置の信頼性を高めることができる。
【0069】
次に、図5および図6は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、シリコン基板4に設けたファイバ取付部21に、後述の如くV字状の溝部21Bを形成したことにある。
【0070】
ここで、ファイバ取付部21は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部21A,21Aと、溝部21B等とを有している。しかし、この場合の溝部21Bは、図5に示す如く二等辺三角形状をなすV字溝として異方性エッチング等の手段により形成され、光ファイバ11の挿入時には溝部21Bから光ファイバ11の一部が掘込み部3B側に向けてはみ出すものである。
【0071】
そして、ハウジング1内に向けて光ファイバ11を挿入したときには、図5に示す如くファイバ取付部21の可動梁部21Aが光ファイバ11の径方向(基板4の板厚方向)に撓み変形することにより、光ファイバ11をファイバ取付部21の溝部21Bとこれに対向する掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持でき、ハウジング1内に光ファイバ11を容易に位置決めして固定することができるものである。
【0072】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ファイバ取付部21にV字状の溝部21Bを形成しているので、光ファイバ11がシリコン基板4の板厚方向と直交する方向に位置ずれするのを容易に抑えることができ、光軸の位置合わせ等を簡単に行うことができる。
【0073】
次に、図7ないし図10は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シリコン基板に形成するファイバ取付部に光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0074】
図中、31,31,…はシリコン基板4に形成された合計4本のファイバ取付部で、該各ファイバ取付部31は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部31A,31A、溝部31Bおよび開口端31C等を有している。
【0075】
しかし、この場合のファイバ取付部31は、図7に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って開口端31Cとは反対側となる端部がシリコン基板4の光路空間5に向け予め決められた寸法分だけ突出し、その突出端側に後述のストッパ部32が形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっているものである。
【0076】
32,32,…は各ファイバ取付部31の突出端側にそれぞれ一体形成したストッパ部で、該ストッパ部32は、例えば図8に示す如くファイバ取付部31の溝部31B内に挿入された光ファイバ11Aの先端側に当接し、溝部31Bに対する光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制するものである。
【0077】
また、ストッパ部32には、図9に示すようにコ字形状の切欠き32Aが形成され、この切欠き32Aは、例えば溝部31B内に挿入された光ファイバ11Aの光軸O1 −O1 に沿った光路がストッパ部32によって遮断されるのを防ぎ、光ファイバ11による前記光路の確保と挿入量の規制機能とをストッパ部32に与えるものである。
【0078】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、シリコン基板4の光路空間5内に向けて突出するファイバ取付部31の突出端側にストッパ部32を一体形成しているので、下記のような作用効果を得ることができる。
【0079】
即ち、シリコン基板4にファイバ取付部31と一体に設けたストッパ部32により、溝部31Bに対する光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制でき、ハウジング1内での光ファイバ11の位置決め精度を向上することができる。そして、光路の切換えを行う静電アクチュエータ7のミラー部8Bと光ファイバ11A〜11Dの先端面との間の距離を、予め決められた寸法に安定して設定することができ、光スイッチ装置としての信頼性をより確実に高めることができる。
【0080】
次に、図11および図13は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0081】
然るに、本実施の形態の特徴は、シリコン基板4に設けたファイバ取付部41に後述の如くV字状の溝部41Bを形成すると共に、ファイバ取付部41の先端側には光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部42を設ける構成としたことにある。
【0082】
ここで、ファイバ取付部41は、前記第3の実施の形態で述べたファイバ取付部31とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部41A,41A、溝部41Bおよび開口端41C等を有している。そして、ファイバ取付部41は、図12に例示するように光軸O1 −O1 に沿って開口端41Cとは反対側となる端部がシリコン基板4の光路空間5に向け予め決められた寸法分だけ突出し、その突出端側にストッパ部42が形成されている。
【0083】
しかし、この場合の溝部41Bは、図11、図13に示す如く二等辺三角形状をなすV字溝として、例えば異方性エッチング等の手段により形成され、光ファイバ11の挿入時には溝部41Bから光ファイバ11の一部が掘込み部3B側に向けてはみ出すものである。
【0084】
また、ファイバ取付部41の突出端(先端)側にエッチング加工等の手段を用いて一体形成したストッパ部42は、例えば図12に示す如くファイバ取付部41の溝部41B内に挿入された光ファイバ11Aの先端側に当接し、溝部41Bに対する光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制するものである。
【0085】
さらに、ストッパ部42には、図13に示すようにコ字形状の切欠き42Aがエッチング加工等の手段により形成され、該切欠き42Aの大きさは、V字状の溝部41Bよりも小さい寸法となっている。そして、この切欠き42Aは、例えば溝部41B内に挿入された光ファイバ11Aの光軸O1 −O1 に沿った光路がストッパ部42によって遮断されるのを防ぎ、光ファイバ11による前記光路の確保と挿入量の規制機能とをストッパ部42に与えるものである。
【0086】
かくして、このように構成される本実施の形態では、前述した第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ファイバ取付部41にV字状の溝部41Bを形成しているので、光ファイバ11がシリコン基板4の板厚方向と直交する方向に位置ずれするのを容易に抑えることができ、光軸の位置合わせ等を簡単に行うことができる。
【0087】
次に、図14ないし図18は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、2枚の支持基板間に機能基板を挟んで設け、該機能基板には各支持基板間に位置して光ファイバ用のファイバ挿入部を形成すると共に、該ファイバ挿入部内に挿入された光ファイバを2枚の支持基板を用いて基板の板厚方向で弾性的に挟持する構成とし、さらに前記機能基板のファイバ挿入部には、基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成する構成としたことにある。
【0088】
なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0089】
図中、51は本実施の形態で採用した光スイッチ装置のハウジングで、該ハウジング51は、前述した第1の実施の形態による図1に示すハウジング1とほぼ同様に構成され、全体として扁平な四角形状の直方体として形成されている。しかし、この場合のハウジング51は、図17、図18に示す如く後述のガラス基板52,53と、これらのガラス基板52,53間に積層状態で配置された後述のシリコン基板55とにより構成されている。
【0090】
52,53はシリコン基板55を上,下両側から積層状態で挟んだ支持基板としてのガラス基板で、該ガラス基板52,53は、例えばガラス材料によって数ミリないし数センチ程度の大きさをもった四角形状の板体として形成されている。そして、これらのガラス基板52,53は、上,下両側の衝合面52A,53Aが後述するシリコン基板55の上,下面に、例えば陽極接合等の手段を用いて衝合状態で接合されている。
【0091】
また、ガラス基板52,53のうち下側のガラス基板52には、図17、図18に示す如く後述のファイバ押え部54と上,下で対向する位置に溝部としての凹溝52Bがそれぞれ設けられ、これらの凹溝52Bは第1の実施の形態で述べた凹窪部2Bとほぼ同様に構成されている。
【0092】
そして、凹溝52Bは、衝合面52Aを断面コ字状に堀込んだ溝条として形成され、光ファイバ11A,11Cの光軸O1 −O1 と光ファイバ11B,11Dの光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延びると共に、後述する各ファイバ挿入部56の開口端56A側でハウジング51の外部に開口するものである。
【0093】
また、上側のガラス基板53には、凹溝52Bと板厚方向(上,下)で対向する位置に凹溝52Bよりも大なる溝幅をもった浅溝53Bが、衝合面53Aを断面コ字状に浅く堀込むことにより形成され、この浅溝53Bの上側部位が後述のファイバ押え部54となっている。また、上側のガラス基板53には、光路空間5の上側に位置して四角形状をなす開口53Cが図16に示す如く形成されている。
【0094】
そして、ガラス基板52の凹溝52Bとガラス基板53の浅溝53Bとは、後述するシリコン基板55のファイバ挿入部56を挟んで上,下(板厚方向)で対向し、これらの凹溝52Bと浅溝53Bの溝深さは、ファイバ挿入部56から基板55の板厚方向に光ファイバ11がはみ出す高さよりも予め小さい寸法に形成されている。
【0095】
54,54,…は浅溝53Bの上側に位置してガラス基板53に形成されたファイバ押え部で、該各ファイバ押え部54は、図16に示す如く光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、ガラス基板53の開口53C(光路空間5)の位置で互いに交差するように形成されている。また、各ファイバ押え部54は、図17、図18に示す如くファイバ挿入部56を挟んでガラス基板52の凹溝52Bと上,下で対向するように配置されている。
【0096】
そして、ファイバ押え部54は、ガラス基板53の浅溝53B上に断面凸形状をなす可動部として形成され、その左,右両側は弾性変形可能に薄肉に形成された可動梁部54A,54Aとなっている。また、ファイバ押え部54は、ガラス基板52の凹溝52Bと上,下(基板52,53の板厚方向)で対向する面が平坦な対向面部54Bとして形成されている。
【0097】
ここで、ファイバ押え部54は、後述のファイバ挿入部56内に光ファイバ11(11A〜11D)を挿入するまでは図18に示す如くシリコン基板55の表面(上面)側に接近し、光ファイバ11A〜11Dの外径寸法よりも小さい間隔をもって対向面部54Bを凹溝52Bに対向させる。
【0098】
そして、ファイバ挿入部56内に光ファイバ11を挿入したときには、図17に示す如く左,右の可動梁部54A,54Aが弾性的に撓み変形し、ファイバ押え部54の対向面部54Bはガラス基板52の凹溝52Bとの間で光ファイバ11を挟持し、光ファイバ11を基板52,53の板厚方向で弾性的に位置決めして保持するものである。
【0099】
55はガラス基板52,53の衝合面52A,53A間に挟んで設けられた機能基板としてのシリコン基板で、該シリコン基板55は、第1の実施の形態で述べたシリコン基板4とほぼ同様に構成され、その上,下面側は、例えば陽極接合等の手段を用いてガラス基板52,53の衝合面52A,53Aに接合されている。
【0100】
そして、シリコン基板55には、第1の実施の形態で述べたシリコン基板4と同様に、図14、図15に示す如く光路空間5および静電アクチュエータ7等がエッチング加工等の手段で微細加工を施すことにより形成されると共に、後述のファイバ挿入部56が形成されている。
【0101】
56,56,…はシリコン基板55に形成された合計4本のファイバ挿入部を示し、該各ファイバ挿入部56は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、図14、図15に示す如く光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、光路空間5の位置で互いに交差するように配置されている。
【0102】
そして、これらのファイバ挿入部56は、図14、図15に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って直線状に延び、一方の端部がシリコン基板55の外側端面に開口する開口端56Aとなっている。また、ファイバ挿入部56は、他方の端部がシリコン基板55内の光路空間5に開口しているものである。
【0103】
しかし、この場合のファイバ挿入部56は、図17、図18に示す如くシリコン基板55の上,下面に貫通するスリットとして形成され、ファイバ挿入部56の側壁(シリコン基板55の板厚方向と直交する方向の側面)側には、後述の可動壁部57が微細加工を施すことにより形成されている点で、第1の実施の形態によるファイバ取付部6とは異なっているものである。
【0104】
57,57,…は各ファイバ挿入部56の側壁にそれぞれ設けられた可動壁部で、該各可動壁部57は、図15に示すようにファイバ挿入部56に対する光ファイバ11の挿入方向(図15中に示す矢示C方向)へとクランク形状をなして延びる可動突起として形成され、ファイバ挿入部56の途中位置に1個または複数個配置されている。
【0105】
そして、これらの可動壁部57は、ファイバ挿入部56の側壁から前記板厚方向とは直交する方向に突出し、光ファイバ11を図14に示す如くファイバ挿入部56内に挿入したときには、可動壁部57の先端側が光ファイバ11に当接することにより弾性的に撓み変形する。これにより、可動壁部57は、図17に示す如くファイバ挿入部56内で光ファイバ11B(11)を、シリコン基板55の板厚方向と直交する方向において弾性的に挟持するものである。
【0106】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、シリコン基板55のファイバ挿入部56内に挿入した光ファイバ11を、ガラス基板52の凹溝52Bとガラス基板53側のファイバ押え部54との間で基板55の板厚方向において弾性的に挟持することができる。
【0107】
また、シリコン基板55の板厚方向と直交する方向においては、ファイバ挿入部56の側壁と可動壁部57との間で光ファイバ11を弾性的に挟持することができる。これによって、ハウジング1内での光ファイバ11の位置決め精度を向上できると共に、光スイッチ装置としての信頼性をより確実に高めることができる。
【0108】
次に、図19ないし図23は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シリコン基板に形成するファイバ取付部を、その途中位置で分断し、この分断部の位置に可動壁部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0109】
図中、61,61,…はシリコン基板4に形成された合計4本のファイバ取付部で、該各ファイバ取付部61は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部61A,61A、溝部61Bおよび開口端61C等を有している。
【0110】
しかし、この場合のファイバ取付部61は、図19に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って延びる途中位置に分断部61Dが形成され、これらの分断部61Dは、ファイバ取付部61の左,右の可動梁部61A,61Aを残して、ファイバ取付部61の溝部61B側を光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )の方向で複数個に分断しているものである。
【0111】
また、ファイバ取付部61の溝部61Bは、光ファイバ11の外径寸法よりも大なる溝幅をもって形成され、この溝部61B内には図20に示す如く、光ファイバ11が基板4の板厚方向と直交する方向に隙間をもって挿入される。しかし、光ファイバ11は、後述の可動壁部62により前記板厚方向と直交する方向で弾性的に挟持されるものである。
【0112】
62,62,…は各ファイバ取付部61の分断部61Dにそれぞれ設けられた可動壁部で、該各可動壁部62は、前記第5の実施の形態で述べた可動壁部57とほぼ同様に、図19に示す如くクランク形状をなして延びる可動突起として形成され、ファイバ取付部61の分断部61Dの位置にそれぞれ配置されている。
【0113】
そして、これらの可動壁部62は、ファイバ取付部61の各可動梁部61Aのうち一方の可動壁部61Aの側壁から前記板厚方向とは直交する方向に突出し、光ファイバ11を図21に示す如くファイバ取付部61内に挿入したときには、可動壁部62の先端側が光ファイバ11に当接することにより弾性的に撓み変形する。これにより、可動壁部62は、図21に示す如くファイバ取付部61内で光ファイバ11B(11)を、シリコン基板4の板厚方向と直交する方向において弾性的に挟持するものである。
【0114】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、シリコン基板4のファイバ取付部61と掘込み部3Bとの間に挿入した光ファイバ11を、ガラス基板3の掘込み部3Bとファイバ取付部61の溝部61Bとの間で基板4の板厚方向において弾性的に挟持することができる。
【0115】
また、シリコン基板4の板厚方向と直交する方向においては、ファイバ取付部61の可動梁部61A側壁と可動壁部62との間で光ファイバ11を弾性的に挟持することができる。これによって、ハウジング1内での光ファイバ11の位置決め精度を向上できると共に、光スイッチ装置としての信頼性をより確実に高めることができる。
【0116】
次に、図24および図25は本発明の第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ハウジングの一部を構成する支持基板の掘込み部側に、ファイバ取付部の溝部と対向して凸部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0117】
図中、71はハウジング1の一部を構成する支持基板としてのガラス基板で、該ガラス基板71は、第1の実施の形態で述べたガラス基板3とほぼ同様に構成され、ガラス基板2との間でシリコン基板4を積層状態に挟んでいるものである。そして、ガラス基板71の衝合面71A側には、後述のファイバ取付部72と上,下で対向する位置に浅い掘込み部71Bが形成されている。
【0118】
しかし、この場合のガラス基板71には、掘込み部71Bの底面側から後述の溝部72B側に向けて突出する凸部71Cが形成され、該凸部71Cの突出側端面は、溝部72Bと上,下で対向する対向面部を構成している。この場合、凸部71Cの幅寸法は、光ファイバ11の外径寸法よりも小さく、その突出高さは、ガラス基板71の衝合面71Aにほぼ一致する高さ、または衝合面71Aよりも僅かに低い高さに設定されている。
【0119】
72はシリコン基板4に形成されたファイバ取付部で、該ファイバ取付部72は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右可動梁部72A,72Aおよび断面コ字形状の溝部72Bがそれぞれ形成されている。そして、ファイバ取付部72の溝部72Bは、その溝幅が凸部71Cの幅寸法よりも大なる寸法を有している。
【0120】
ここで、ファイバ取付部72は、溝部72B内に光ファイバ11を挿入するまでは図25に示す如くガラス基板71の掘込み部71B側に接近し、光ファイバ11の外径寸法よりも小さい間隔をもって溝部72Bを掘込み部71B側の凸部71Cに対向させる。
【0121】
そして、溝部72B内に光ファイバ11を挿入したときには、図24に示す如く左,右の可動梁部72A,72Aが弾性的に撓み変形し、ファイバ取付部72の溝部72Bはガラス基板71の凸部71Cとの間で光ファイバ11を挟持し、光ファイバ11をハウジング1内に弾性的に位置決めして保持するものである。
【0122】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ガラス基板71の掘込み部71B内に凸部71Cを形成しているので、下記のような効果を得ることができる。
【0123】
即ち、シリコン基板4とガラス基板71とを衝合面71A側で接合するときに、ファイバ取付部72の溝部72B(可動梁部72Aの上面)側がガラス基板71側に誤って接合される等の不具合を、凸部71Cによって回避することができる。また、ガラス基板71の凸部71Cとファイバ取付部72の溝部72Bとの間に光ファイバ11を挿入して挟持した状態で、両者の間に接着剤を塗布したり、流込んだりする場合でも接着剤の使用量を凸部71Cによって低減することができる。
【0124】
次に、図26および図27は本発明の第8の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第7の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0125】
しかし、本実施の形態の特徴は、ガラス基板71の凸部71Cと上,下で対向してシリコン基板4に設けるファイバ取付部81の溝部81Bを、V字状溝として形成する構成としたことにある。
【0126】
ここで、ファイバ取付部81は、第7の実施の形態で述べたファイバ取付部72とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部81A,81Aと、溝部81B等とを有している。しかし、この場合の溝部81Bは、図27に示す如く二等辺三角形状をなすV字溝として形成され、光ファイバ11の挿入時には溝部81Bから光ファイバ11の一部が凸部71C側に向けてはみ出すものである。
【0127】
そして、ハウジング1内に向けて光ファイバ11を挿入したときには、図26に示す如くファイバ取付部81の可動梁部81Aが光ファイバ11の径方向に撓み変形することにより、光ファイバ11をファイバ取付部81の溝部81Bとこれに対向する凸部71Cとの間で弾性的に挟持でき、ハウジング1内に光ファイバ11を容易に位置決めして固定することができるものである。
【0128】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第7の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ファイバ取付部81にV字状の溝部81Bを形成しているので、光ファイバ11がシリコン基板4の板厚方向と直交する方向に位置ずれするのを容易に抑えることができ、光軸の位置合わせ等を簡単に行うことができる。
【0129】
なお、前記第1の実施の形態では、支持基板としてガラス基板2,3を用い、機能基板としてシリコン基板4を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、支持基板をガラス以外の材料(例えば、シリコン等)を用いて形成してもよく、機能基板についてもシリコン以外の微細加工が可能な材料を用いて形成してもよい。この点は、前述した第2〜第8の実施の形態についても同様である。
【0130】
また、前記各実施の形態では、静電アクチュエータ7の可動電極9と固定電極10との間に電圧を印加したときに、可動電極9と固定電極10との間に静電引力を発生させ、静電アクチュエータ7の可動腕部8は、可動電極9を固定電極10側に接近させるように支持梁8Aを撓み変形させつつ、例えば図2に示すミラー部8Bを二点鎖線で示す位置まで矢示A方向に進出させる構成とした場合を例に挙げて説明した。
【0131】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば電圧を印加する前に静電アクチュエータ7の可動腕部8が予め矢示A方向に進出した位置に配置され、その後に電圧を印加したときには、静電アクチュエータ7の可動腕部8が矢示B方向に後退する構成としてもよいことは勿論である。
【0132】
そして、この場合には非通電時(電圧を印加する前の段階)において、図2に例示した光ファイバ11A〜11D間の光路上にミラー部8Bを配置しておくことができるので、光ファイバ11A〜11Dに対するミラー部8Bの位置合せ精度を向上できるものである。
【0133】
また、前記各実施の形態では、静電アクチュエータ7の可動腕部8にミラー部8Bを形成し、光ファイバ11A〜11D間の光路(光の進路)をミラー部8Bにより反射させて切換える場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばミラー部8Bの位置に遮光板等のシャッタを光切換部として設け、光の光路をON,OFFさせる光シャッタ等の光スイッチ装置に適用してもよい。
【0134】
さらに、前記各実施の形態では、光ファイバ11の固定装置として光スイッチ装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、このような光スイッチ装置に限るものではなく、例えば従来技術として挙げた特開平8−313756号公報のように、光導波路、光カプラ等の光学機器に適用される光ファイバ固定装置に用いてもよいものである。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、少なくとも2枚の基板のうちいずれか一方の基板には該基板の外側端面に開口し光ファイバが挿入される溝部を形成し、他方の基板には前記光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって該溝部に対向する対向面部を形成し、前記各基板は互いに衝合して接合した状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入する構成としているので、各基板を衝合して光学機器のハウジングを予め組立てた状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入することにより、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方を光ファイバの径方向に撓み変形させつつ、この光ファイバを前記溝部と対向面部との間で弾性的に挟持して固定することができる。従って、光ファイバを溝部の開口端側から挿入するだけで予め決められた位置に固定することができ、光ファイバを実装するときの作業性を向上できると共に、光学機器としての信頼性を向上することができる。
【0136】
また、請求項2に記載の発明によると、溝部と対向面部のいずれか一方を撓み変形させるため薄肉に形成されて弾性変形可能となった可動梁部を基板に設ける構成としているので、前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときには、前記溝部と対向面部のいずれか一方を可動梁部を介して弾性的に撓み変形させつつ、光ファイバを溝部内に挿入して実装する作業をより効率的に行うことができる。
【0137】
一方、請求項3に記載の発明によると、溝部が形成された一方の基板は光スイッチ用のアクチュエータが微細加工される機能基板を構成し、対向面部が形成された他方の基板は該機能基板に接合され前記アクチュエータの固定部側を支持する支持基板を構成しているので、機能基板には光スイッチ用のアクチュエータと溝部とを微細加工により形成することができる。そして、このような機能基板を支持基板に衝合状態で接合したときには、予め機能基板に形成された前記アクチュエータの固定部側を支持基板上に安定して支持または固定することができ、支持基板側の対向面部と機能基板側の溝部とを対向させて配置できる。
【0138】
また、請求項4に記載の発明によると、機能基板の一側面には支持基板を接合して設けると共に、前記機能基板の他側面には他の支持基板を接合して設け、これら2枚の支持基板は前記機能基板を積層状態に挟んで固定する構成としているので、2枚の支持基板間に機能基板を挟込んで固定でき、これらを積層構造とすることにより、光ファイバを安定して挟持し、固定することができる。
【0139】
また、請求項5に記載の発明によると、機能基板には、光ファイバの光路を切換える切換部と、溝部内に挿入された光ファイバの先端に当接し前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部とを設ける構成としているので、機能基板に設けたストッパ部により前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制でき、光ファイバの位置決め精度を向上できると共に、光路の切換えを行う切換部と光ファイバの先端面との間の距離を予め設定した寸法に保つことができ、光スイッチ装置等の光学機器としての信頼性を向上できる。
【0140】
また、請求項6に記載の発明によると、機能基板には、溝部の途中に位置し基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成しているので、溝部の途中に位置する可動壁部を用いて基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持できると共に、基板の板厚方向では前述した溝部と対向面部とにより光ファイバを弾性的に挟持でき、光ファイバをより安定して固定し保持することができる。
【0141】
さらに、請求項7に記載の発明は、溝部が形成された一方の基板と対向面部が形成された他方の基板とをそれぞれ支持基板とし、これら2枚の支持基板間には、光スイッチ用のアクチュエータとファイバ挿入部とが微細加工により形成された機能基板を積層化して設ける構成としているので、2枚の支持基板間に機能基板を積層化して設けることができ、光ファイバを機能基板のファイバ挿入部内に挿入したときには、2枚の支持基板間で光ファイバを板厚方向において弾性的に挟持できると共に、前記機能基板のファイバ挿入部においては、可動壁部により板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持することができ、光ファイバをより安定して固定し保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光スイッチ装置を示す斜視図である。
【図2】ハウジングに各光ファイバを挿入した状態で図1中の矢示II−II方向からみた光スイッチ装置の断面図である。
【図3】ファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を図2中の矢示III−III 方向からみた拡大断面図である。
【図4】図3中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図5】第2の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図6】図5中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図7】第3の実施の形態による光スイッチ装置を示す断面図である。
【図8】光ファイバの挿入量を規制するストッパ部等を図7中の矢示VIII−VIII方向からみた拡大断面図である。
【図9】図8中の矢示IX−IX方向からみたストッパ部等の拡大断面図である。
【図10】ファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を図7中の矢示X−X方向から示す拡大断面図である。
【図11】第4の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図10と同様位置での拡大断面図である。
【図12】第4の実施の形態による光ファイバの挿入量を規制するストッパ部等を示す図8と同様位置での拡大断面図である。
【図13】図12中の矢示 XIII−XIII 方向からみたストッパ部等の拡大断面図である。
【図14】第5の実施の形態による光スイッチ装置を示す断面図である。
【図15】図14に示す光ファイバを挿入する前の状態で光スイッチ装置のハウジングを示す断面図である。
【図16】第5の実施の形態による光スイッチ装置を上方からみた平面図である。
【図17】ファイバ挿入部内に光ファイバを挿入した状態を図14中の矢示XVII−XVII方向からみた拡大断面図である。
【図18】ファイバ挿入部内に光ファイバを挿入する前の状態を図15中の矢示XVIII−XVIII方向からみた拡大断面図である。
【図19】第6の実施の形態による光スイッチ装置を示す断面図である。
【図20】ファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を図19中の矢示XX−XX方向からみた拡大断面図である。
【図21】ファイバ取付部の可動壁部により光ファイバを挟持した状態を図19中の矢示XXI−XXI方向からみた拡大断面図である。
【図22】図20に示すファイバ取付部部と掘込み部とを光ファイバ挿入前の状態で示す拡大断面図である。
【図23】図21に示す可動壁部等を光ファイバ挿入前の状態で示す拡大断面図である。
【図24】第7の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図25】図24中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図26】第8の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図27】図26中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1,51 ハウジング
2,3,52,53,71 ガラス基板(支持基板)
2A,3A,52A,53A,71A 衝合面
2B 凹窪部
3B 掘込み部(対向面部)
4,55 シリコン基板(機能基板)
5 光路空間
6,21,31,41,61,72,81 ファイバ取付部
6A,21A,31A,41A,61A,72A,81A 可動梁部
6B,21B,31B,41B,61B,72B,81B 溝部
6C,31C,41C,56A,61C 開口端
7 静電アクチュエータ
8 可動腕部
8B ミラー部(光切換部)
9 可動電極
10 固定電極
11、11A,11B,11C,11D 光ファイバ
32,42 ストッパ部
52B 凹溝(溝部)
54 ファイバ押え部
54A 可動梁部
54B 対向面部
56 ファイバ挿入部
57,62 可動壁部
71B 掘込み部
71C 凸部(対向面部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光スイッチ等の光学機器に対し光ファイバを固定して組付けるのに好適に用いられる光ファイバ固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、マイクロマシニング技術を用いることによって基板に微小な静電アクチュエータを形成し、この静電アクチュエータにより光の進路を切換える構成とした光スイッチ装置は知られている(例えば、米国特許第6315462号明細書等)。
【0003】
この種の従来技術による光スイッチ装置は、シリコン基板等からなる2枚の基板を互いに衝合して設け、これらの基板のうち一方の基板には前記静電アクチュエータを形成すると共に、該一方の基板には他方の基板との間に互いに対向して略直線状に延びる複数のファイバ取付溝を形成し、これらのファイバ取付溝には複数本の光ファイバを互いに間隔をもって対向させた状態で固定する構成としている。
【0004】
そして、従来技術による光スイッチ装置は、これらの光ファイバによる光の進路を切換えるため前記静電アクチュエータを電圧の印加で駆動し、これに従ってミラー等の光切換部を前記光ファイバ間に進退させることにより、光通信等の制御を行うものである。
【0005】
また、他の従来技術として、例えば特開平8−313756号公報には、信頼性の高い光ファイバ接続を可能にするようにした光ファイバ固定溝付き平面光回路部品が記載されている。
【0006】
そして、この光回路部品にあっては、シリコン材料からなる基板の表面に複数のV字状溝を形成し、これらのV字状溝にそれぞれ光ファイバを整列させて載せた状態で接着剤等を塗布し、この上にガラス材料等からなる押え板を重ね合わせることにより、各光ファイバをV字状溝と押え板との間に挟持して固定する構成としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、光ファイバをファイバ取付溝またはV字状溝に抜止め状態で固定するため、これらの溝内に光ファイバを配置する作業、その後に接着剤等を塗布する作業が必要な上に、さらに、溝の上から押え板等を押付ける作業が必要となり、光ファイバを固定する作業が繁雑となって作業が悪いという問題がある。
【0008】
しかも、この場合の光ファイバは、前記溝内で接着剤が固化するまでの間、例えば押え板が押付けられるまでの間に外力の作用で微妙に位置ずれしたり、または押え板が押付けられるときの押付け力等によって前記溝の長さ方向に位置ずれしたりすることがある。
【0009】
このため、上述した各従来技術による光ファイバの固定装置では、光ファイバを予め決められた位置に安定して固定することが難しく、光ファイバを実装して固定する作業に余分な手間がかかる上に、光ファイバが位置ずれしたときには光通信等の行う上での信頼性が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、光ファイバを溝部の開口端側から挿入するだけで予め決められた位置に固定することができ、光ファイバを実装するときの作業性を向上できるようにした光ファイバ固定装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、光ファイバを予め決められた位置に安定して固定することができ、光学機器としての信頼性を向上できるようにした光ファイバ固定装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、光ファイバによる光路を形成するため少なくとも2枚の基板を用いて構成され、前記光ファイバを各基板間に挟込んだ状態で固定してなる光ファイバ固定装置に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記各基板のうちいずれか一方の基板には該基板の外側端面に開口し前記光ファイバが挿入される溝部を形成し、他方の基板には前記光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって該溝部に対向する対向面部を形成し、前記各基板は、互いに衝合して接合した状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときに、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方を前記光ファイバの径方向に撓み変形させることにより前記光ファイバを弾性的に挟持して固定する構成としている。
【0014】
このように構成することにより、少なくとも2枚の基板を互いに衝合して接合した状態では、一方の基板に形成され外側端面に開口する光ファイバ挿入用の溝部と他方の基板に形成された対向面部とを、光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって互いに対向配置することができる。そして、この状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入すれば、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方が光ファイバの径方向に撓み変形することにより、この光ファイバを前記溝部と対向面部との間で弾性的に挟持して固定でき、光ファイバの実装、固定作業を効率的に行うことができる。
【0015】
また、請求項2の発明によると、溝部が形成された一方の基板と対向面部が形成された他方の基板のうち、光ファイバを挿入するときに撓み変形する方の基板には、薄肉に形成されて弾性変形可能となった可動梁部を設ける構成としている。
【0016】
これにより、前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときには、前記溝部と対向面部のいずれか一方を可動梁部を介して弾性的に撓み変形させることができ、光ファイバを溝部内に挿入して実装する作業を容易に行うことができる。
【0017】
一方、請求項3の発明によると、溝部が形成された一方の基板は、光ファイバによる光路の切換えを行う光スイッチ用のアクチュエータが微細加工される機能基板を構成し、対向面部が形成された他方の基板は、該機能基板に接合され前記アクチュエータの固定部側を支持する支持基板を構成している。
【0018】
これにより、例えばシリコン基板等からなる機能基板には光スイッチ用のアクチュエータと溝部とを、マイクロマシニング技術による微細加工、例えばエッチング加工等を施して形成することができる。そして、このような機能基板を支持基板に衝合状態で接合したときには、予め機能基板に形成された前記アクチュエータの固定部側を支持基板上に安定して支持または固定することができ、支持基板側の対向面部と機能基板側の溝部とを対向させて配置できる。
【0019】
また、請求項4の発明によると、機能基板の一側面には支持基板を接合して設けると共に、前記機能基板の他側面には他の支持基板を接合して設け、これら2枚の支持基板は前記機能基板を積層状態に挟んで固定する構成としている。これにより、2枚の支持基板間に機能基板を挟込んで固定でき、これらを積層構造とすることにより、光ファイバを安定して挟持、固定することができる。
【0020】
また、請求項5の発明によると、機能基板には、アクチュエータによって駆動され光ファイバの光路を切換える切換部と、該切換部から離間した位置で溝部内に挿入された光ファイバの先端に当接し前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部とを設ける構成としている。
【0021】
この場合には、機能基板に設けたストッパ部により前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制でき、光ファイバの位置決め精度を向上できると共に、光路の切換えを行う切換部と光ファイバの先端面との間の距離を一定に保つことができる。
【0022】
また、請求項6の発明によると、機能基板には、溝部の途中に位置し基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成してなる構成としている。
【0023】
これにより、溝部の途中に位置する可動壁部を用いて基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持できると共に、基板の板厚方向では前述した溝部と対向面部とにより光ファイバを弾性的に挟持できるので、光ファイバをより安定して固定し保持することができる。
【0024】
さらに、請求項7の発明は、溝部が形成された一方の基板と対向面部が形成された他方の基板はそれぞれ支持基板を構成し、これら2枚の支持基板間には、光ファイバによる光路の切換えを行う光スイッチ用のアクチュエータと前記光ファイバが前記支持基板間に位置して挿入されるファイバ挿入部とが微細加工により形成された機能基板を積層化して設け、前記2枚の支持基板は前記機能基板のファイバ挿入部内に挿入された光ファイバを基板の板厚方向で弾性的に挟持する構成とし、前記機能基板のファイバ挿入部には、前記基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成してなる構成としている。
【0025】
この場合には、2枚の支持基板間に機能基板を積層化して設けることができ、光ファイバを機能基板のファイバ挿入部内に挿入したときには、前記2枚の支持基板間で光ファイバを板厚方向において弾性的に挟持できると共に、前記機能基板のファイバ挿入部においては、可動壁部により前記板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態による光ファイバ固定装置を、光スイッチ装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0027】
ここで、図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は光スイッチ装置のハウジングで、該ハウジング1は、後述する2枚のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3間に積層状態で配置された後述のシリコン基板4とにより構成され、全体として扁平な四角形状の直方体として形成されている。
【0028】
2,3はシリコン基板4を上,下両側から積層状態で挟んだ支持基板としてのガラス基板で、該ガラス基板2,3は、例えばガラス材料によって数ミリないし数センチ程度の大きさをもった四角形状の板体として形成されている。そして、これらのガラス基板2,3は、上,下両側の衝合面2A,3Aが後述するシリコン基板4の一側面,他側面(上,下面)に、例えば陽極接合等の手段を用いて衝合状態で接合されている。
【0029】
また、ガラス基板2,3のうち下側のガラス基板2には、図3、図4に示す如く後述のファイバ取付部6と上,下で対向する位置に凹窪部2Bがそれぞれ設けられ、これらの凹窪部2Bは衝合面2Aを断面コ字状に堀込んだ溝条として形成されている。
【0030】
そして、この凹窪部2Bは、後述する光ファイバ11A,11Cの光軸O1 −O1 と、これに直交する光ファイバ11B,11Dの光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、後述する各溝部6Bの開口端6C側でハウジング1の外部に開口するものである。
【0031】
また、上側のガラス基板3にも、ファイバ取付部6と上,下で対向する位置に複数の浅い掘込み部3Bが、衝合面3Aを断面コ字状に浅く堀込むことにより形成され、該掘込み部3Bも光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延びて配置されている。
【0032】
そして、掘込み部3Bの底面側は、後述するファイバ取付部6の溝部6Bと上,下で対向する対向面部を構成し、図3に示す如く溝部6Bとの間で後述の光ファイバ11(11B)を挟持するものである。この場合、掘込み部3Bの深さは、後述する溝部6Bから光ファイバ11がはみ出す高さよりも予め小さい寸法に形成されている。
【0033】
なお、ガラス基板2,3のうち下側のガラス基板2は、ハウジング1の支持台等により構成してもよく、後述するシリコン基板4の下面側に必ずしも接合して設ける必要はない。従って、場合によってはガラス基板2を省略することも可能である。
【0034】
4はガラス基板2,3の衝合面2A,3A間に挟んで設けられた機能基板としてのシリコン基板で、該シリコン基板4は、例えば単結晶または多結晶のシリコン材料からなり、ガラス基板2,3とほぼ同じ大きさをもった四角形の板体として形成されている。そして、シリコン基板4の上,下面は、例えば陽極接合等の手段を用いてガラス基板2,3の衝合面2A,3Aに接合されている。
【0035】
また、ガラス基板2,3間に挟まれたシリコン基板4には、図2に示す如く略正方形状をなす光路空間5と、該光路空間5の位置で互いに交差するように略十字状をなして延びる後述のファイバ取付部6と、後述の静電アクチュエータ7等とがマイクロマシニング技術によるエッチング加工等の手段で微細加工を施すことにより形成されている。
【0036】
6,6,…はシリコン基板4に形成された合計4本のファイバ取付部で、該各ファイバ取付部6は、図2に示す如く光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、光路空間5の位置で互いに交差するように配置されている。そして、ファイバ取付部6は、図3、図4に示す如くガラス基板2の凹窪部2Bとガラス基板3の掘込み部3Bとの間に位置して断面凹形状をなす可動部として微細加工により成形され、その左,右両側は弾性変形可能に薄肉に形成された可動梁部6A,6Aとなっている。
【0037】
また、各ファイバ取付部6には、ガラス基板3の掘込み部3Bと対向して断面コ字形状の溝部6Bがそれぞれ形成されている。そして、該各溝部6Bは、その溝深さ(板厚方向の寸法)が光ファイバ11の外径よりも小さく、その溝幅(板厚方向と直交する方向の寸法)は光ファイバ11の外径にほぼ一致する寸法となっている。
【0038】
また、ファイバ取付部6の溝部6Bは、図1、図2に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って直線状に延び、一方の端部がシリコン基板4の外側端面に開口する開口端6Cとなっている。そして、溝部6Bは他方の端部がシリコン基板4内の光路空間5に開口しているものである。
【0039】
ここで、ファイバ取付部6は、溝部6B内に光ファイバ11(11A〜11D)を挿入するまでは図4に示す如くガラス基板3の掘込み部3B側に接近し、光ファイバ11A〜11Dの外径寸法よりも小さい間隔をもって溝部6Bを掘込み部3Bに対向させる。
【0040】
そして、溝部6B内に光ファイバ11を挿入したときには、図3に示す如く左,右の可動梁部6A,6Aが弾性的に撓み変形し、ファイバ取付部6の溝部6Bはガラス基板3の掘込み部3Bとの間で光ファイバ11を挟持し、光ファイバ11をハウジング1内に弾性的に位置決めして保持するものである。
【0041】
7はシリコン基板4に微細加工を施すことにより形成されたアクチュエータとなる静電アクチュエータで、該静電アクチュエータ7は、図2に示す如く光路空間5に対して、例えば斜め45度となる位置(方向)に配置され、後述する光ファイバ11A〜11Dの先端部間に向けて直線状に延びる細長い可動腕部8と、該可動腕部8に一体形成された可動電極9と、該可動電極9に対向して配置された一対の固定電極10,10とにより大略構成されている。また、可動電極9と各固定電極10は、ガラス基板2,3のいずれかに設けられた外部電極にスルーホール(いずれも図示せず)を介して接続されている。
【0042】
ここで、静電アクチュエータ7の可動腕部8は、例えば可動電極9と固定電極10の前,後に位置する複数本の支持梁8A等を用いて矢示A,B方向に変位可能に支持されている。また、可動腕部8の先端側には、空路空間5内に位置して後述の如く光路の切換え行う切換部としてのミラー部8Bが設けられ、該ミラー部8Bは、図2中に実線と二点鎖線で示すように可動腕部8により矢示A,B方向に進退駆動されるものである。
【0043】
この場合のミラー部8Bは、その表面側に金属材料等からなる薄膜(図示せず)をメッキ、スパッタ、蒸着等の手段を用いて成膜し、鏡面仕上げすることにより形成されている。そして、ミラー部8Bは後述の光ファイバ11A〜11D間、即ち光軸O1 −O1 、光軸O2 −O2 上に進退することにより、ミラー部8Bの表面で光を反射させ、光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 との間で光路の切換えを行うものである。
【0044】
また、静電アクチュエータ7の可動電極9と固定電極10は、櫛歯型の電極または平行平板型の電極等を用いて形成され、電極9,10間に外部から電圧を印加すると、両者の間に静電引力が発生することによって、支持梁8A等を撓み変形させつつ可動腕部8をミラー部8Bと共に矢示A,B方向に進退変位させるものである。
【0045】
この場合、静電アクチュエータ7の固定部側となる固定電極10、10は、図1に示す上,下のガラス基板2,3間に挟持され、これらのガラス基板2,3を用いて予め決められた位置(図2に例示した位置)に固定されている。一方、静電アクチュエータ7の可動腕部8、可動電極9等は、上,下のガラス基板2,3間に隙間をもって配置され、これらのガラス基板2,3に対しては相対変位可能に配置されているものである。
【0046】
11A,11B,11C,11Dはシリコン基板4のファイバ取付部6にそれぞれ取付けられた光ファイバ(全体として光ファイバ11という)で、該光ファイバ11A〜11Dは、ハウジング1内に光軸O1 −O1 ,O2 −O2 に沿って2本ずつ合計4本取付けられ、ハウジング1内に位置決め状態で固定されるものである。
【0047】
ここで、光ファイバ11(11A〜11D)は、図1中に例示した光ファイバ11Bのように、ハウジング1の外側端面(溝部6Bの開口端6C)からファイバ取付部6の溝部6Bとガラス基板3の堀込み部3Bとの間に挿入される。そして、光ファイバ11は、このときにファイバ取付部6の各可動梁部6Aが図3に示す如く撓み変形することにより、ファイバ取付部6の溝部6Bとガラス基板3の掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持され、ハウジング1内に位置決めされ保持されるものである。
【0048】
そして、これらの光ファイバ11A〜11Dのうち光ファイバ11A,11Cは、図2に示すように光軸O1 −O1 上に位置決めされ、両者の先端は光路空間5内で一定間隔をもって対向配置される。また、光ファイバ11B,11Dは、光軸O1 −O1 と直交する光軸O2 −O2 上に位置決めされ、これらの先端も光路空間5内で一定間隔をもって対向配置されるものである。
【0049】
本実施の形態による光スイッチ装置は、上述の如き構成を有するもので、次にその製造手順について説明する。
【0050】
まず、ガラス基板2の衝合面2Aには凹窪部2Bを形成し、ガラス基板3の衝合面3Aには浅底の堀込み部3Bを形成する。また、ガラス基板2、3には、光路空間5および静電アクチュエータ7の固定電極10以外の部分と上,下で対向する位置にそれぞれ溝(図示せず)を形成しておく。
【0051】
また、シリコン基板4には、その裏面側からファイバ取付部6等をエッチング加工により形成する。そして、シリコン基板4にファイバ取付部6の溝部6B等を形成する前の段階で、シリコン基板4をガラス基板2の衝合面2A上に陽極接合等の手段を用いて接合し、この状態でシリコン基板4には、その表面側から図2に示す光路空間5、略十字状をなして延びるファイバ取付部6の溝部6Bおよび静電アクチュエータ7等をエッチング加工により形成する。
【0052】
次に、この状態でガラス基板3をシリコン基板4上に、即ちシリコン基板4をガラス基板2,3の衝合面2A,3A間に挟込むように配置し、シリコン基板4の上面を陽極接合等の手段を用いてガラス基板3の衝合面3Aに接合することにより、ハウジング1を製作する。
【0053】
次に、光ファイバ11(11A〜11D)を図1中に例示した光ファイバ11Bの如く、ファイバ取付部6の溝部6B内に向けてハウジング1の外側端面に開口する開口端6Cから挿入し、このときにファイバ取付部6の各可動梁部6Aを図3に示す如く撓み変形させることにより、ファイバ取付部6の溝部6Bとガラス基板3の掘込み部3Bとの間で光ファイバ11を弾性的に挟持させ、ハウジング1内に光ファイバ11A〜11Dをそれぞれ仮固定する。
【0054】
そして、この仮固定状態で光ファイバ11A〜11Dのそれぞれの光軸合わせ、または必要に応じて特性検査等を行い、検査完了後にハウジング1の外側面から、例えばファイバ取付部6の溝部6Bと光ファイバ11との間に接着剤等を流込んで固化させることにより、各光ファイバ11をそれぞれのファイバ取付部6等に対して固定する。
【0055】
次に、このようにして製作された本実施の形態による光スイッチ装置のスイッチング動作、即ちその光路の切換動作について説明する。
【0056】
まず、ハウジング1のガラス基板2,3間に位置してシリコン基板4に形成された静電アクチュエータ7は、ガラス基板2,3のいずれかに設けられた前記外部電極を通じて可動電極9と固定電極10との間に電圧を印加するまでの間は、図2に実線で示す位置に留まり、可動腕部8は支持梁8Aを撓み変形させることなく、ミラー部8Bを光ファイバ11A〜11Dの先端間から矢示B方向に後退した位置に保持する。
【0057】
このため、光ファイバ11A〜11Dのうち光ファイバ11Aから出射された光は、光軸O1 −O1 に沿って直進し、光ファイバ11C側に入射されることにより、これらの光ファイバ11A,11C間で光軸O1 −O1 に沿った光通信等が行われる。
【0058】
また、光ファイバ11Bから出射された光は、光軸O2 −O2 に沿って直進するので、この光が光ファイバ11D側に入射されることにより、これらの光ファイバ11B,11D間で光軸O2 −O2 に沿った光通信等が行われる。
【0059】
次に、静電アクチュエータ7の可動電極9と固定電極10との間に電圧を印加したときには、可動電極9と固定電極10との間に静電引力が発生し、静電アクチュエータ7の可動腕部8は、可動電極9を固定電極10側に接近させるように支持梁8Aを撓み変形させつつ、ミラー部8Bを図2中に二点鎖線で示す位置まで矢示A方向に進出させる。
【0060】
これにより、ミラー部8Bを光ファイバ11A〜11Dの先端間に配置することができる。このため、光ファイバ11A〜11Dのうち、例えば光ファイバ11Aから光軸O1 −O1 に沿って出射した光を、ミラー部8Bにより光軸O2 −O2 側へと反射して光路の切換えを行うことができ、この反射光は光ファイバ11D側に入射されることにより、これらの光ファイバ11A,11D間で光通信等が行われる。
【0061】
また、光ファイバ11Bから光軸O2 −O2 に沿って出射した光を、ミラー部8Bにより光軸O1 −O1 側へと反射して光路の切換えを行うことができ、この反射光は光ファイバ11C側に入射されることにより、これらの光ファイバ11B,11C間で光通信等が行われる。
【0062】
かくして、本実施の形態によれば、2枚のガラス基板2,3間にシリコン基板4を挟んで、これらの基板2〜4を衝合状態で接合することにより光スイッチ装置のハウジング1を形成している。そして、この状態では、シリコン基板4に形成されハウジング1の外側端面に開口するファイバ取付部6の溝部6Bと、ガラス基板3に形成された対向面部となる掘込み部3Bとを、光ファイバ11の外径寸法よりも小さい間隔をもって互いに対向配置する構成としている。
【0063】
このため、ハウジング1内に複数の光ファイバ11(11A〜11D)を組付けるときには、前記溝部6Bの開口端6C側から光ファイバ11をハウジング1内に向けて挿入し、予め決められた長さ分だけ光ファイバ11を押込むだけで、前記ファイバ取付部6の可動梁部6Aが光ファイバ11の径方向に撓み変形することにより、光ファイバ11をファイバ取付部6の溝部6Bとこれに対向する掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持でき、ハウジング1内に光ファイバ11を容易に位置決めして固定することができる。
【0064】
従って、本実施の形態によれば、光ファイバ11(11A〜11D)を溝部6Bの開口端6C側からハウジング1内に向けて挿入するだけで、ハウジング1内の予め決められた所定位置に光ファイバ11を仮固定することができ、光ファイバ11をハウジング1内に実装するときの作業性を向上できる。
【0065】
また、ハウジング1内に光ファイバ11を挿入した後には、例えば溝部6Bの開口端6C側から適宜に接着剤等を流込むことにより、光ファイバ11をハウジング1内の所定位置に安定して固定することができ、光スイッチ装置としての信頼性を向上できる。
【0066】
このように、本実施の形態による光スイッチ装置は、ハウジング1に対する光ファイバ11の取付け性を向上でき、光ファイバ11の実装、固定作業を効率的に行うことができると共に、従来技術で述べたように光ファイバ11が位置ずれする等の問題を解消でき、光通信等の行う上での信頼性を確実に向上することができる。
【0067】
また、支持基板となるガラス基板2,3間に積層化して設けた機能基板としてシリコン基板4には、各ファイバ取付部6の溝部6B等と共に光スイッチ装置の静電アクチュエータ7を、マイクロマシニング技術によるエッチング加工等を用いて微細加工を施すことによって一体的に、かつ高精度に形成できる。
【0068】
このため、光ファイバ11A〜11Dの光軸O1 −O1 、光軸O2 −O2 と、静電アクチュエータ7側のミラー部8Bとを高い精度で位置合わせすることができ、前述したミラー部8Bによる光路の切換動作を安定して行うことができると共に、これによっても光スイッチ装置の信頼性を高めることができる。
【0069】
次に、図5および図6は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、シリコン基板4に設けたファイバ取付部21に、後述の如くV字状の溝部21Bを形成したことにある。
【0070】
ここで、ファイバ取付部21は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部21A,21Aと、溝部21B等とを有している。しかし、この場合の溝部21Bは、図5に示す如く二等辺三角形状をなすV字溝として異方性エッチング等の手段により形成され、光ファイバ11の挿入時には溝部21Bから光ファイバ11の一部が掘込み部3B側に向けてはみ出すものである。
【0071】
そして、ハウジング1内に向けて光ファイバ11を挿入したときには、図5に示す如くファイバ取付部21の可動梁部21Aが光ファイバ11の径方向(基板4の板厚方向)に撓み変形することにより、光ファイバ11をファイバ取付部21の溝部21Bとこれに対向する掘込み部3Bとの間で弾性的に挟持でき、ハウジング1内に光ファイバ11を容易に位置決めして固定することができるものである。
【0072】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ファイバ取付部21にV字状の溝部21Bを形成しているので、光ファイバ11がシリコン基板4の板厚方向と直交する方向に位置ずれするのを容易に抑えることができ、光軸の位置合わせ等を簡単に行うことができる。
【0073】
次に、図7ないし図10は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シリコン基板に形成するファイバ取付部に光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0074】
図中、31,31,…はシリコン基板4に形成された合計4本のファイバ取付部で、該各ファイバ取付部31は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部31A,31A、溝部31Bおよび開口端31C等を有している。
【0075】
しかし、この場合のファイバ取付部31は、図7に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って開口端31Cとは反対側となる端部がシリコン基板4の光路空間5に向け予め決められた寸法分だけ突出し、その突出端側に後述のストッパ部32が形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっているものである。
【0076】
32,32,…は各ファイバ取付部31の突出端側にそれぞれ一体形成したストッパ部で、該ストッパ部32は、例えば図8に示す如くファイバ取付部31の溝部31B内に挿入された光ファイバ11Aの先端側に当接し、溝部31Bに対する光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制するものである。
【0077】
また、ストッパ部32には、図9に示すようにコ字形状の切欠き32Aが形成され、この切欠き32Aは、例えば溝部31B内に挿入された光ファイバ11Aの光軸O1 −O1 に沿った光路がストッパ部32によって遮断されるのを防ぎ、光ファイバ11による前記光路の確保と挿入量の規制機能とをストッパ部32に与えるものである。
【0078】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、シリコン基板4の光路空間5内に向けて突出するファイバ取付部31の突出端側にストッパ部32を一体形成しているので、下記のような作用効果を得ることができる。
【0079】
即ち、シリコン基板4にファイバ取付部31と一体に設けたストッパ部32により、溝部31Bに対する光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制でき、ハウジング1内での光ファイバ11の位置決め精度を向上することができる。そして、光路の切換えを行う静電アクチュエータ7のミラー部8Bと光ファイバ11A〜11Dの先端面との間の距離を、予め決められた寸法に安定して設定することができ、光スイッチ装置としての信頼性をより確実に高めることができる。
【0080】
次に、図11および図13は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0081】
然るに、本実施の形態の特徴は、シリコン基板4に設けたファイバ取付部41に後述の如くV字状の溝部41Bを形成すると共に、ファイバ取付部41の先端側には光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部42を設ける構成としたことにある。
【0082】
ここで、ファイバ取付部41は、前記第3の実施の形態で述べたファイバ取付部31とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部41A,41A、溝部41Bおよび開口端41C等を有している。そして、ファイバ取付部41は、図12に例示するように光軸O1 −O1 に沿って開口端41Cとは反対側となる端部がシリコン基板4の光路空間5に向け予め決められた寸法分だけ突出し、その突出端側にストッパ部42が形成されている。
【0083】
しかし、この場合の溝部41Bは、図11、図13に示す如く二等辺三角形状をなすV字溝として、例えば異方性エッチング等の手段により形成され、光ファイバ11の挿入時には溝部41Bから光ファイバ11の一部が掘込み部3B側に向けてはみ出すものである。
【0084】
また、ファイバ取付部41の突出端(先端)側にエッチング加工等の手段を用いて一体形成したストッパ部42は、例えば図12に示す如くファイバ取付部41の溝部41B内に挿入された光ファイバ11Aの先端側に当接し、溝部41Bに対する光ファイバ11の挿入量を予め決められた長さに規制するものである。
【0085】
さらに、ストッパ部42には、図13に示すようにコ字形状の切欠き42Aがエッチング加工等の手段により形成され、該切欠き42Aの大きさは、V字状の溝部41Bよりも小さい寸法となっている。そして、この切欠き42Aは、例えば溝部41B内に挿入された光ファイバ11Aの光軸O1 −O1 に沿った光路がストッパ部42によって遮断されるのを防ぎ、光ファイバ11による前記光路の確保と挿入量の規制機能とをストッパ部42に与えるものである。
【0086】
かくして、このように構成される本実施の形態では、前述した第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ファイバ取付部41にV字状の溝部41Bを形成しているので、光ファイバ11がシリコン基板4の板厚方向と直交する方向に位置ずれするのを容易に抑えることができ、光軸の位置合わせ等を簡単に行うことができる。
【0087】
次に、図14ないし図18は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、2枚の支持基板間に機能基板を挟んで設け、該機能基板には各支持基板間に位置して光ファイバ用のファイバ挿入部を形成すると共に、該ファイバ挿入部内に挿入された光ファイバを2枚の支持基板を用いて基板の板厚方向で弾性的に挟持する構成とし、さらに前記機能基板のファイバ挿入部には、基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成する構成としたことにある。
【0088】
なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0089】
図中、51は本実施の形態で採用した光スイッチ装置のハウジングで、該ハウジング51は、前述した第1の実施の形態による図1に示すハウジング1とほぼ同様に構成され、全体として扁平な四角形状の直方体として形成されている。しかし、この場合のハウジング51は、図17、図18に示す如く後述のガラス基板52,53と、これらのガラス基板52,53間に積層状態で配置された後述のシリコン基板55とにより構成されている。
【0090】
52,53はシリコン基板55を上,下両側から積層状態で挟んだ支持基板としてのガラス基板で、該ガラス基板52,53は、例えばガラス材料によって数ミリないし数センチ程度の大きさをもった四角形状の板体として形成されている。そして、これらのガラス基板52,53は、上,下両側の衝合面52A,53Aが後述するシリコン基板55の上,下面に、例えば陽極接合等の手段を用いて衝合状態で接合されている。
【0091】
また、ガラス基板52,53のうち下側のガラス基板52には、図17、図18に示す如く後述のファイバ押え部54と上,下で対向する位置に溝部としての凹溝52Bがそれぞれ設けられ、これらの凹溝52Bは第1の実施の形態で述べた凹窪部2Bとほぼ同様に構成されている。
【0092】
そして、凹溝52Bは、衝合面52Aを断面コ字状に堀込んだ溝条として形成され、光ファイバ11A,11Cの光軸O1 −O1 と光ファイバ11B,11Dの光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延びると共に、後述する各ファイバ挿入部56の開口端56A側でハウジング51の外部に開口するものである。
【0093】
また、上側のガラス基板53には、凹溝52Bと板厚方向(上,下)で対向する位置に凹溝52Bよりも大なる溝幅をもった浅溝53Bが、衝合面53Aを断面コ字状に浅く堀込むことにより形成され、この浅溝53Bの上側部位が後述のファイバ押え部54となっている。また、上側のガラス基板53には、光路空間5の上側に位置して四角形状をなす開口53Cが図16に示す如く形成されている。
【0094】
そして、ガラス基板52の凹溝52Bとガラス基板53の浅溝53Bとは、後述するシリコン基板55のファイバ挿入部56を挟んで上,下(板厚方向)で対向し、これらの凹溝52Bと浅溝53Bの溝深さは、ファイバ挿入部56から基板55の板厚方向に光ファイバ11がはみ出す高さよりも予め小さい寸法に形成されている。
【0095】
54,54,…は浅溝53Bの上側に位置してガラス基板53に形成されたファイバ押え部で、該各ファイバ押え部54は、図16に示す如く光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、ガラス基板53の開口53C(光路空間5)の位置で互いに交差するように形成されている。また、各ファイバ押え部54は、図17、図18に示す如くファイバ挿入部56を挟んでガラス基板52の凹溝52Bと上,下で対向するように配置されている。
【0096】
そして、ファイバ押え部54は、ガラス基板53の浅溝53B上に断面凸形状をなす可動部として形成され、その左,右両側は弾性変形可能に薄肉に形成された可動梁部54A,54Aとなっている。また、ファイバ押え部54は、ガラス基板52の凹溝52Bと上,下(基板52,53の板厚方向)で対向する面が平坦な対向面部54Bとして形成されている。
【0097】
ここで、ファイバ押え部54は、後述のファイバ挿入部56内に光ファイバ11(11A〜11D)を挿入するまでは図18に示す如くシリコン基板55の表面(上面)側に接近し、光ファイバ11A〜11Dの外径寸法よりも小さい間隔をもって対向面部54Bを凹溝52Bに対向させる。
【0098】
そして、ファイバ挿入部56内に光ファイバ11を挿入したときには、図17に示す如く左,右の可動梁部54A,54Aが弾性的に撓み変形し、ファイバ押え部54の対向面部54Bはガラス基板52の凹溝52Bとの間で光ファイバ11を挟持し、光ファイバ11を基板52,53の板厚方向で弾性的に位置決めして保持するものである。
【0099】
55はガラス基板52,53の衝合面52A,53A間に挟んで設けられた機能基板としてのシリコン基板で、該シリコン基板55は、第1の実施の形態で述べたシリコン基板4とほぼ同様に構成され、その上,下面側は、例えば陽極接合等の手段を用いてガラス基板52,53の衝合面52A,53Aに接合されている。
【0100】
そして、シリコン基板55には、第1の実施の形態で述べたシリコン基板4と同様に、図14、図15に示す如く光路空間5および静電アクチュエータ7等がエッチング加工等の手段で微細加工を施すことにより形成されると共に、後述のファイバ挿入部56が形成されている。
【0101】
56,56,…はシリコン基板55に形成された合計4本のファイバ挿入部を示し、該各ファイバ挿入部56は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、図14、図15に示す如く光軸O1 −O1 と光軸O2 −O2 とに沿って略十字状に延び、光路空間5の位置で互いに交差するように配置されている。
【0102】
そして、これらのファイバ挿入部56は、図14、図15に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って直線状に延び、一方の端部がシリコン基板55の外側端面に開口する開口端56Aとなっている。また、ファイバ挿入部56は、他方の端部がシリコン基板55内の光路空間5に開口しているものである。
【0103】
しかし、この場合のファイバ挿入部56は、図17、図18に示す如くシリコン基板55の上,下面に貫通するスリットとして形成され、ファイバ挿入部56の側壁(シリコン基板55の板厚方向と直交する方向の側面)側には、後述の可動壁部57が微細加工を施すことにより形成されている点で、第1の実施の形態によるファイバ取付部6とは異なっているものである。
【0104】
57,57,…は各ファイバ挿入部56の側壁にそれぞれ設けられた可動壁部で、該各可動壁部57は、図15に示すようにファイバ挿入部56に対する光ファイバ11の挿入方向(図15中に示す矢示C方向)へとクランク形状をなして延びる可動突起として形成され、ファイバ挿入部56の途中位置に1個または複数個配置されている。
【0105】
そして、これらの可動壁部57は、ファイバ挿入部56の側壁から前記板厚方向とは直交する方向に突出し、光ファイバ11を図14に示す如くファイバ挿入部56内に挿入したときには、可動壁部57の先端側が光ファイバ11に当接することにより弾性的に撓み変形する。これにより、可動壁部57は、図17に示す如くファイバ挿入部56内で光ファイバ11B(11)を、シリコン基板55の板厚方向と直交する方向において弾性的に挟持するものである。
【0106】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、シリコン基板55のファイバ挿入部56内に挿入した光ファイバ11を、ガラス基板52の凹溝52Bとガラス基板53側のファイバ押え部54との間で基板55の板厚方向において弾性的に挟持することができる。
【0107】
また、シリコン基板55の板厚方向と直交する方向においては、ファイバ挿入部56の側壁と可動壁部57との間で光ファイバ11を弾性的に挟持することができる。これによって、ハウジング1内での光ファイバ11の位置決め精度を向上できると共に、光スイッチ装置としての信頼性をより確実に高めることができる。
【0108】
次に、図19ないし図23は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シリコン基板に形成するファイバ取付部を、その途中位置で分断し、この分断部の位置に可動壁部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0109】
図中、61,61,…はシリコン基板4に形成された合計4本のファイバ取付部で、該各ファイバ取付部61は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部61A,61A、溝部61Bおよび開口端61C等を有している。
【0110】
しかし、この場合のファイバ取付部61は、図19に示すように光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )に沿って延びる途中位置に分断部61Dが形成され、これらの分断部61Dは、ファイバ取付部61の左,右の可動梁部61A,61Aを残して、ファイバ取付部61の溝部61B側を光軸O1 −O1 (または、光軸O2 −O2 )の方向で複数個に分断しているものである。
【0111】
また、ファイバ取付部61の溝部61Bは、光ファイバ11の外径寸法よりも大なる溝幅をもって形成され、この溝部61B内には図20に示す如く、光ファイバ11が基板4の板厚方向と直交する方向に隙間をもって挿入される。しかし、光ファイバ11は、後述の可動壁部62により前記板厚方向と直交する方向で弾性的に挟持されるものである。
【0112】
62,62,…は各ファイバ取付部61の分断部61Dにそれぞれ設けられた可動壁部で、該各可動壁部62は、前記第5の実施の形態で述べた可動壁部57とほぼ同様に、図19に示す如くクランク形状をなして延びる可動突起として形成され、ファイバ取付部61の分断部61Dの位置にそれぞれ配置されている。
【0113】
そして、これらの可動壁部62は、ファイバ取付部61の各可動梁部61Aのうち一方の可動壁部61Aの側壁から前記板厚方向とは直交する方向に突出し、光ファイバ11を図21に示す如くファイバ取付部61内に挿入したときには、可動壁部62の先端側が光ファイバ11に当接することにより弾性的に撓み変形する。これにより、可動壁部62は、図21に示す如くファイバ取付部61内で光ファイバ11B(11)を、シリコン基板4の板厚方向と直交する方向において弾性的に挟持するものである。
【0114】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、シリコン基板4のファイバ取付部61と掘込み部3Bとの間に挿入した光ファイバ11を、ガラス基板3の掘込み部3Bとファイバ取付部61の溝部61Bとの間で基板4の板厚方向において弾性的に挟持することができる。
【0115】
また、シリコン基板4の板厚方向と直交する方向においては、ファイバ取付部61の可動梁部61A側壁と可動壁部62との間で光ファイバ11を弾性的に挟持することができる。これによって、ハウジング1内での光ファイバ11の位置決め精度を向上できると共に、光スイッチ装置としての信頼性をより確実に高めることができる。
【0116】
次に、図24および図25は本発明の第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ハウジングの一部を構成する支持基板の掘込み部側に、ファイバ取付部の溝部と対向して凸部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0117】
図中、71はハウジング1の一部を構成する支持基板としてのガラス基板で、該ガラス基板71は、第1の実施の形態で述べたガラス基板3とほぼ同様に構成され、ガラス基板2との間でシリコン基板4を積層状態に挟んでいるものである。そして、ガラス基板71の衝合面71A側には、後述のファイバ取付部72と上,下で対向する位置に浅い掘込み部71Bが形成されている。
【0118】
しかし、この場合のガラス基板71には、掘込み部71Bの底面側から後述の溝部72B側に向けて突出する凸部71Cが形成され、該凸部71Cの突出側端面は、溝部72Bと上,下で対向する対向面部を構成している。この場合、凸部71Cの幅寸法は、光ファイバ11の外径寸法よりも小さく、その突出高さは、ガラス基板71の衝合面71Aにほぼ一致する高さ、または衝合面71Aよりも僅かに低い高さに設定されている。
【0119】
72はシリコン基板4に形成されたファイバ取付部で、該ファイバ取付部72は、第1の実施の形態で述べたファイバ取付部6とほぼ同様に構成され、左,右可動梁部72A,72Aおよび断面コ字形状の溝部72Bがそれぞれ形成されている。そして、ファイバ取付部72の溝部72Bは、その溝幅が凸部71Cの幅寸法よりも大なる寸法を有している。
【0120】
ここで、ファイバ取付部72は、溝部72B内に光ファイバ11を挿入するまでは図25に示す如くガラス基板71の掘込み部71B側に接近し、光ファイバ11の外径寸法よりも小さい間隔をもって溝部72Bを掘込み部71B側の凸部71Cに対向させる。
【0121】
そして、溝部72B内に光ファイバ11を挿入したときには、図24に示す如く左,右の可動梁部72A,72Aが弾性的に撓み変形し、ファイバ取付部72の溝部72Bはガラス基板71の凸部71Cとの間で光ファイバ11を挟持し、光ファイバ11をハウジング1内に弾性的に位置決めして保持するものである。
【0122】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ガラス基板71の掘込み部71B内に凸部71Cを形成しているので、下記のような効果を得ることができる。
【0123】
即ち、シリコン基板4とガラス基板71とを衝合面71A側で接合するときに、ファイバ取付部72の溝部72B(可動梁部72Aの上面)側がガラス基板71側に誤って接合される等の不具合を、凸部71Cによって回避することができる。また、ガラス基板71の凸部71Cとファイバ取付部72の溝部72Bとの間に光ファイバ11を挿入して挟持した状態で、両者の間に接着剤を塗布したり、流込んだりする場合でも接着剤の使用量を凸部71Cによって低減することができる。
【0124】
次に、図26および図27は本発明の第8の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第7の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0125】
しかし、本実施の形態の特徴は、ガラス基板71の凸部71Cと上,下で対向してシリコン基板4に設けるファイバ取付部81の溝部81Bを、V字状溝として形成する構成としたことにある。
【0126】
ここで、ファイバ取付部81は、第7の実施の形態で述べたファイバ取付部72とほぼ同様に構成され、左,右の可動梁部81A,81Aと、溝部81B等とを有している。しかし、この場合の溝部81Bは、図27に示す如く二等辺三角形状をなすV字溝として形成され、光ファイバ11の挿入時には溝部81Bから光ファイバ11の一部が凸部71C側に向けてはみ出すものである。
【0127】
そして、ハウジング1内に向けて光ファイバ11を挿入したときには、図26に示す如くファイバ取付部81の可動梁部81Aが光ファイバ11の径方向に撓み変形することにより、光ファイバ11をファイバ取付部81の溝部81Bとこれに対向する凸部71Cとの間で弾性的に挟持でき、ハウジング1内に光ファイバ11を容易に位置決めして固定することができるものである。
【0128】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第7の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、ファイバ取付部81にV字状の溝部81Bを形成しているので、光ファイバ11がシリコン基板4の板厚方向と直交する方向に位置ずれするのを容易に抑えることができ、光軸の位置合わせ等を簡単に行うことができる。
【0129】
なお、前記第1の実施の形態では、支持基板としてガラス基板2,3を用い、機能基板としてシリコン基板4を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、支持基板をガラス以外の材料(例えば、シリコン等)を用いて形成してもよく、機能基板についてもシリコン以外の微細加工が可能な材料を用いて形成してもよい。この点は、前述した第2〜第8の実施の形態についても同様である。
【0130】
また、前記各実施の形態では、静電アクチュエータ7の可動電極9と固定電極10との間に電圧を印加したときに、可動電極9と固定電極10との間に静電引力を発生させ、静電アクチュエータ7の可動腕部8は、可動電極9を固定電極10側に接近させるように支持梁8Aを撓み変形させつつ、例えば図2に示すミラー部8Bを二点鎖線で示す位置まで矢示A方向に進出させる構成とした場合を例に挙げて説明した。
【0131】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば電圧を印加する前に静電アクチュエータ7の可動腕部8が予め矢示A方向に進出した位置に配置され、その後に電圧を印加したときには、静電アクチュエータ7の可動腕部8が矢示B方向に後退する構成としてもよいことは勿論である。
【0132】
そして、この場合には非通電時(電圧を印加する前の段階)において、図2に例示した光ファイバ11A〜11D間の光路上にミラー部8Bを配置しておくことができるので、光ファイバ11A〜11Dに対するミラー部8Bの位置合せ精度を向上できるものである。
【0133】
また、前記各実施の形態では、静電アクチュエータ7の可動腕部8にミラー部8Bを形成し、光ファイバ11A〜11D間の光路(光の進路)をミラー部8Bにより反射させて切換える場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばミラー部8Bの位置に遮光板等のシャッタを光切換部として設け、光の光路をON,OFFさせる光シャッタ等の光スイッチ装置に適用してもよい。
【0134】
さらに、前記各実施の形態では、光ファイバ11の固定装置として光スイッチ装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、このような光スイッチ装置に限るものではなく、例えば従来技術として挙げた特開平8−313756号公報のように、光導波路、光カプラ等の光学機器に適用される光ファイバ固定装置に用いてもよいものである。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、少なくとも2枚の基板のうちいずれか一方の基板には該基板の外側端面に開口し光ファイバが挿入される溝部を形成し、他方の基板には前記光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって該溝部に対向する対向面部を形成し、前記各基板は互いに衝合して接合した状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入する構成としているので、各基板を衝合して光学機器のハウジングを予め組立てた状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入することにより、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方を光ファイバの径方向に撓み変形させつつ、この光ファイバを前記溝部と対向面部との間で弾性的に挟持して固定することができる。従って、光ファイバを溝部の開口端側から挿入するだけで予め決められた位置に固定することができ、光ファイバを実装するときの作業性を向上できると共に、光学機器としての信頼性を向上することができる。
【0136】
また、請求項2に記載の発明によると、溝部と対向面部のいずれか一方を撓み変形させるため薄肉に形成されて弾性変形可能となった可動梁部を基板に設ける構成としているので、前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときには、前記溝部と対向面部のいずれか一方を可動梁部を介して弾性的に撓み変形させつつ、光ファイバを溝部内に挿入して実装する作業をより効率的に行うことができる。
【0137】
一方、請求項3に記載の発明によると、溝部が形成された一方の基板は光スイッチ用のアクチュエータが微細加工される機能基板を構成し、対向面部が形成された他方の基板は該機能基板に接合され前記アクチュエータの固定部側を支持する支持基板を構成しているので、機能基板には光スイッチ用のアクチュエータと溝部とを微細加工により形成することができる。そして、このような機能基板を支持基板に衝合状態で接合したときには、予め機能基板に形成された前記アクチュエータの固定部側を支持基板上に安定して支持または固定することができ、支持基板側の対向面部と機能基板側の溝部とを対向させて配置できる。
【0138】
また、請求項4に記載の発明によると、機能基板の一側面には支持基板を接合して設けると共に、前記機能基板の他側面には他の支持基板を接合して設け、これら2枚の支持基板は前記機能基板を積層状態に挟んで固定する構成としているので、2枚の支持基板間に機能基板を挟込んで固定でき、これらを積層構造とすることにより、光ファイバを安定して挟持し、固定することができる。
【0139】
また、請求項5に記載の発明によると、機能基板には、光ファイバの光路を切換える切換部と、溝部内に挿入された光ファイバの先端に当接し前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部とを設ける構成としているので、機能基板に設けたストッパ部により前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制でき、光ファイバの位置決め精度を向上できると共に、光路の切換えを行う切換部と光ファイバの先端面との間の距離を予め設定した寸法に保つことができ、光スイッチ装置等の光学機器としての信頼性を向上できる。
【0140】
また、請求項6に記載の発明によると、機能基板には、溝部の途中に位置し基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成しているので、溝部の途中に位置する可動壁部を用いて基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持できると共に、基板の板厚方向では前述した溝部と対向面部とにより光ファイバを弾性的に挟持でき、光ファイバをより安定して固定し保持することができる。
【0141】
さらに、請求項7に記載の発明は、溝部が形成された一方の基板と対向面部が形成された他方の基板とをそれぞれ支持基板とし、これら2枚の支持基板間には、光スイッチ用のアクチュエータとファイバ挿入部とが微細加工により形成された機能基板を積層化して設ける構成としているので、2枚の支持基板間に機能基板を積層化して設けることができ、光ファイバを機能基板のファイバ挿入部内に挿入したときには、2枚の支持基板間で光ファイバを板厚方向において弾性的に挟持できると共に、前記機能基板のファイバ挿入部においては、可動壁部により板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持することができ、光ファイバをより安定して固定し保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光スイッチ装置を示す斜視図である。
【図2】ハウジングに各光ファイバを挿入した状態で図1中の矢示II−II方向からみた光スイッチ装置の断面図である。
【図3】ファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を図2中の矢示III−III 方向からみた拡大断面図である。
【図4】図3中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図5】第2の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図6】図5中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図7】第3の実施の形態による光スイッチ装置を示す断面図である。
【図8】光ファイバの挿入量を規制するストッパ部等を図7中の矢示VIII−VIII方向からみた拡大断面図である。
【図9】図8中の矢示IX−IX方向からみたストッパ部等の拡大断面図である。
【図10】ファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を図7中の矢示X−X方向から示す拡大断面図である。
【図11】第4の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図10と同様位置での拡大断面図である。
【図12】第4の実施の形態による光ファイバの挿入量を規制するストッパ部等を示す図8と同様位置での拡大断面図である。
【図13】図12中の矢示 XIII−XIII 方向からみたストッパ部等の拡大断面図である。
【図14】第5の実施の形態による光スイッチ装置を示す断面図である。
【図15】図14に示す光ファイバを挿入する前の状態で光スイッチ装置のハウジングを示す断面図である。
【図16】第5の実施の形態による光スイッチ装置を上方からみた平面図である。
【図17】ファイバ挿入部内に光ファイバを挿入した状態を図14中の矢示XVII−XVII方向からみた拡大断面図である。
【図18】ファイバ挿入部内に光ファイバを挿入する前の状態を図15中の矢示XVIII−XVIII方向からみた拡大断面図である。
【図19】第6の実施の形態による光スイッチ装置を示す断面図である。
【図20】ファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を図19中の矢示XX−XX方向からみた拡大断面図である。
【図21】ファイバ取付部の可動壁部により光ファイバを挟持した状態を図19中の矢示XXI−XXI方向からみた拡大断面図である。
【図22】図20に示すファイバ取付部部と掘込み部とを光ファイバ挿入前の状態で示す拡大断面図である。
【図23】図21に示す可動壁部等を光ファイバ挿入前の状態で示す拡大断面図である。
【図24】第7の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図25】図24中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図26】第8の実施の形態による光スイッチ装置のファイバ取付部と掘込み部との間で光ファイバを挟持した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図27】図26中のファイバ取付部と掘込み部との間に光ファイバを挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1,51 ハウジング
2,3,52,53,71 ガラス基板(支持基板)
2A,3A,52A,53A,71A 衝合面
2B 凹窪部
3B 掘込み部(対向面部)
4,55 シリコン基板(機能基板)
5 光路空間
6,21,31,41,61,72,81 ファイバ取付部
6A,21A,31A,41A,61A,72A,81A 可動梁部
6B,21B,31B,41B,61B,72B,81B 溝部
6C,31C,41C,56A,61C 開口端
7 静電アクチュエータ
8 可動腕部
8B ミラー部(光切換部)
9 可動電極
10 固定電極
11、11A,11B,11C,11D 光ファイバ
32,42 ストッパ部
52B 凹溝(溝部)
54 ファイバ押え部
54A 可動梁部
54B 対向面部
56 ファイバ挿入部
57,62 可動壁部
71B 掘込み部
71C 凸部(対向面部)
Claims (7)
- 光ファイバによる光路を形成するため少なくとも2枚の基板を用いて構成され、前記光ファイバを各基板間に挟込んだ状態で固定してなる光ファイバ固定装置において、
前記各基板のうちいずれか一方の基板には該基板の外側端面に開口し前記光ファイバが挿入される溝部を形成し、他方の基板には前記光ファイバの外径寸法よりも小さい間隔をもって該溝部に対向する対向面部を形成し、
前記各基板は、互いに衝合して接合した状態で前記溝部の開口端側から光ファイバを挿入するときに、前記溝部と対向面部のうち少なくともいずれか一方を前記光ファイバの径方向に撓み変形させることにより前記光ファイバを弾性的に挟持して固定する構成としたことを特徴とする光ファイバ固定装置。 - 前記溝部が形成された前記一方の基板と前記対向面部が形成された前記他方の基板のうち、前記光ファイバを挿入するときに撓み変形する方の基板には、薄肉に形成されて弾性変形可能となった可動梁部を設けてなる請求項1に記載の光ファイバ固定装置。
- 前記溝部が形成された前記一方の基板は、前記光ファイバによる光路の切換えを行う光スイッチ用のアクチュエータが微細加工される機能基板を構成し、前記対向面部が形成された前記他方の基板は、該機能基板に接合され前記アクチュエータの固定部側を支持する支持基板を構成してなる請求項1または2に記載の光ファイバ固定装置。
- 前記機能基板の一側面には前記支持基板を接合して設けると共に、前記機能基板の他側面には他の支持基板を接合して設け、これら2枚の支持基板は前記機能基板を積層状態に挟んで固定する構成としてなる請求項3に記載の光ファイバ固定装置。
- 前記機能基板には、前記アクチュエータによって駆動され前記光ファイバの光路を切換える切換部と、該切換部から離間した位置で前記溝部内に挿入された光ファイバの先端に当接し前記溝部に対する光ファイバの挿入量を予め決められた長さに規制するストッパ部とを設けてなる請求項3または4に記載の光ファイバ固定装置。
- 前記機能基板には、前記溝部の途中に位置し前記基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成してなる請求項3,4または5に記載の光ファイバ固定装置。
- 前記溝部が形成された前記一方の基板と前記対向面部が形成された前記他方の基板はそれぞれ支持基板を構成し、
これら2枚の支持基板間には、前記光ファイバによる光路の切換えを行う光スイッチ用のアクチュエータと前記光ファイバが前記支持基板間に位置して挿入されるファイバ挿入部とが微細加工により形成された機能基板を積層化して設け、
前記2枚の支持基板は、前記機能基板のファイバ挿入部内に挿入された光ファイバを基板の板厚方向で弾性的に挟持する構成とし、
前記機能基板のファイバ挿入部には、前記基板の板厚方向とは直交する方向で光ファイバを弾性的に挟持する可動壁部を形成してなる請求項1または2に記載の光ファイバ固定装置。
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