JP4177051B2 - 可変光減衰器及び光部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信に用いられる光部品の小型化に必要な可変光減衰装置及び光部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型化を目的にシリコン基板を加工して形成されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として、例えば、平面鏡の角度を変化させることで入射した光ビームの反射方向を変化させる1×8光スイッチ(例えば、IEEE Journal of selected topics in quantum electronics, Vol. 5, No. 1, January/February 1999, pp. 26-32)や、入・出射ウエーブガイドとレンズとを有するコリメータを備えた可変光減衰器(例えば、USP No. 6,137,941)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記1×8光スイッチは、マイクロモータによって回転される平面鏡の周囲に複数の出力ファイバを放射状に配置し、入力ファイバから導入された光ビームを、平面鏡の角度を変化させることによって角度方向にスキャンさせて反射させ、所望の出力ファイバに出力するものである。このため、上記1×8光スイッチは、光ビームを角度方向にスキャンさせることはできるが、マイクロモータの回転が間欠的なため、光ビームを角度方向に連続的にスキャンさせることができないと共に、光軸に垂直な方向に光ビームを平行してスキャンさせることができない。従って、上記1×8光スイッチは、光軸に垂直な方向に平行して光ビームをスキャンさせる光部品への応用に制限があった。
【0004】
一方、上述した可変光減衰器は、図22に示すように、ファイバキャピラリ100に設けられた入力ウェーブガイド102から入射した光をレンズ104を介して反射面110で反射させ、再度レンズ104を通して入射光と平行な出力ウェーブガイド112に入射させている。このとき、可変光減衰器は、回動角度を検出するピエゾ素子108を備え、支点106を中心として回動自在な反射面110の角度を変えることで反射面110への入射角を変更している。これにより、可変光減衰器は、反射光のレンズ104への入射位置、従って出力ウェーブガイド112への入射位置をずらし、出力ウェーブガイド112へ入射する光量を減衰させている。このため、可変光減衰器は、レンズ104によって光ビームを反射面110に結像させる必要があり、ファイバキャピラリ100とレンズ104とを反射面に対して高精度に位置決めしなければならず、高い製造技術が必要とされるという問題があった。
【0005】
また、MEMS技術を用いて作製した微小アクチュエータで平面鏡などの構造物を駆動する場合、前記構造物の駆動距離や駆動角度が小さいため、光ビームをスキャンできる距離や角度が小さく、光部品設計上の自由度が小さいという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、小型で製造が容易で、光部品設計上の自由度が大きく、効率良く所望の光量に減衰することができる光減衰器及び光部品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる可変光減衰器は、シリコン基板を微細加工して製造され、入射光を減衰させて出射可能な光減衰器であって、光ファイバコリメータを備える入射光導波路と、光ファイバコリメータを備える出射光導波路と、前記入射光導波路の出射口の近くに配置され、前記入射光導波路からの入射光を入射角45度で直接受光する反射部及びその反射光をさらに入射角45度で受光して反射する反射部の2つの反射部を有する第1の反射板と、前記出射光導波路の入射口の近くに配置され、前記第1の反射板からの反射光を反射して、該反射光を前記出射光導波路に直接照射する少なくとも一つの第2の反射板を備える反射体と、マイクロアクチュエータにより、前記第1の反射を光軸に対して垂直方向に移動させる第1の駆動部と、マイクロアクチュエータにより、前記第2の反射板の少なくとも一つの角度を変化させる第2の駆動部とを備える駆動手段と、 前記駆動手段により前記第1の反射板及び第2の反射板を駆動することにより、前記第2の反射板からの反射光をその中心軸が前記出射光導波路の前記入射口からずれるような偏心位置に移動させることにより、出射光を減衰させることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、第1反射板を前記入射光の光軸に対して直交する方向に移動させ、第2反射板を前記入射光の光軸方向に対する角度が変化する方向に動かすことで、複数枚の反射板の移動距離および角度変化が少なくても減衰量を大きく変化させることができる。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項2の発明にかかる光部品は、請求項1に記載の可変減衰器が多数配列されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、1個の光部品で多数チャンネルの光線路の取り扱いを可能としている。
【0011】
また、上述した課題を解決し目的を達成するため、請求項3の発明にかかる光部品は、請求項2に記載の光部品が複数積層されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明にかかる光ビームスキャン装置および光部品の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1である光ビームスキャン装置の概要構成を示す図である。図1(a)は光ビームスキャン装置の平面図で、図1(b)は光ビームスキャン装置の右側面である。また、図2は、図1の固定電極3、可動電極4、弾性梁5,6、アーム7及び反射体8などの構造体を拡大した拡大平面図である。この実施の形態1にかかる光ビームスキャン装置1は、光ファイバコリメータ9が固定される固定溝2a及び光ビームが通過する光路溝2bがシリコン基板2に形成され、光路溝2bの外端に図示しない受光装置を配置して使用される。
【0018】
光ビームスキャン装置1は、図1及び図2に示すように、シリコン基板2に対して固定電極3、可動電極4、弾性梁5,6、アーム7及び反射体8などの構造体が後述するマイクロマシン加工技術によって形成され、シリコン基板2の下面には図示しない絶縁基板が貼付されている。
【0019】
シリコン基板2は、略中央にアーム7を配置する挿通路2c(図2参照)が形成され、図1に示すように、表面にはボンディングパッド2d〜2fが形成されている。また、シリコン基板2は、固定電極3、可動電極4、弾性梁5,6、アーム7及び反射体8などの構造体間に、構造体相互を電気的に絶縁する絶縁隙間2gが多数形成されている。
【0020】
固定電極3は、図1及び図2に示すように、シリコン基板2に形成した挿通路2cの両側に微細なピッチの櫛歯3aが多数形成されている。可動電極4は、固定電極3と対向配置されて弾性梁5,6と共に静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータを構成し、多数の櫛歯3aと噛み合う多数の櫛歯4bが支持梁4aに形成されている。そして、固定電極3に形成された左右の櫛歯3aは、シリコン基板2の表面に形成されたボンディングパッド2d,2eを介してアースされ、可動電極4には、ボンディングパッド2fを介して電圧が印加される。従って、可動電極4は、電圧の印加と解除により、図2に矢印で示すように、多数の櫛歯4bが多数の櫛歯3aと噛み合う方向に沿って固定電極3に対し離接作動する。
【0021】
弾性梁5,6は、可動電極4の左右近傍に配置され、図2に示すように、複数個所で折曲されて一端が可動電極4に、他端がシリコン基板2に、それぞれ連結され、可動電極4を浮動状態に支持している。アーム7は、一端が可動電極4の中央に連結される梁で、挿通路2cを通って延出した他端に反射体8が設けられている。このとき、アーム7は、挿通路2cに沿って移動可能なように、シリコン基板2に対して浮動状態で連結されている。
【0022】
反射体8は、90度の交差角に設定された2枚の反射板8a,8bを有している。反射板8a,8bは、光ファイバコリメータ9を通って入射する光ビームの光軸方向に対して±45度の角度となるように傾斜配置されている。反射板8a,8bは、光路溝2bに対向する面に反射膜となる金,アルミニウム等の金属膜が形成されている。光ファイバコリメータ9は、SMファイバの先端にGIファイバを融着接続したもので、固定溝2aにエポキシ系接着剤によって接着され、伝搬する光ビームがコリメートされる。
【0023】
以上のように構成される光ビームスキャン装置1は、半導体微細加工技術によって製造され、製造方法の一例を以下に説明する。図3は、光ビームスキャン装置1の製造工程を説明する模式的断面図である。
【0024】
先ず、異方性エッチングによってシリコン基板の表面に固定溝2aや光路溝2bなどに相当するV溝を形成する。このとき、シリコン基板は、面方位が(100)で、光ビームスキャン装置1のシリコン基板2を複数切り出せる大きさのものを使用する。面方位が(100)のシリコン基板に異方性エッチングを施すことにより、表面に対して54.7°傾斜した(111)面に沿ってエッチングが進行し、断面形状がV字型の固定溝2aや光路溝2bなどに相当するV溝が形成される。
【0025】
次に、図3(a)に示すように、シリコン基板2の下面FLであって、上面FU側に形成される可動電極4などの構造体に対向する面以外の領域にレジスト11を形成する。レジスト11は、後述する凹部12を形成する際のエッチングに耐性を有する材料を使用する。
【0026】
次いで、下面FLに露出したシリコンを、上面FU側に形成される構造体の厚み分を残して下方からエッチングし、図3(b)に示すように、凹部12を形成する。レジスト11は、凹部12を形成した後、除去する。
【0027】
その後、図3(c)に示すように、シリコン基板2の下面FLに、表面に酸化膜が形成されたシリコン基板からなる絶縁基板19を貼付する。さらに、図3(d)に示すように、シリコン基板2の上面FUに構造体に対応したレジスト13を形成する。
【0028】
そして、図3(e)に示すように、レジスト13によってマスキングされた以外の領域に露出したシリコンを、深異方性の反応性イオンエッチング法による乾式エッチングでシリコン基板2を貫通するまで深さ方向にエッチングする。これにより、シリコン基板2には、アーム7や反射体8などの反射部14、固定電極3や可動電極4などの電極部15、弾性梁5,6などの梁部16、などを備えた構造体が形成される。このとき、反射部14、電極部15あるいは梁部16間の隙間が構造体相互間を電気的に絶縁する絶縁隙間2g(図1,2参照)となる。
【0029】
次に、図3(f)に示すように、構造体表面とシリコン基板2の表面に金属膜を形成する。ここで、シリコン基板2表面の金属膜は、固定電極3や可動電極4の櫛歯3a,4bに電圧を印加するボンディングパッド2d〜2fなどのパッド部17として機能する。また、構造体表面の金属膜は、反射体8における反射板8a,8bのミラー膜18として機能する。
【0030】
その後、シリコン基板上に形成された複数の光ビームスキャン装置1を、ダイシングによって個々に切り出し、図3(g)に示す光ビームスキャン装置1が製造される。このとき、図示のように、反射部14、電極部15の可動電極4及び弾性梁5,6などの梁部16は、絶縁基板19から浮いた状態にある。
【0031】
以上のように構成される光ビームスキャン装置1は、固定溝2aに光ファイバコリメータ9を接着すると共に、光路溝2bの外端に受光装置を配置して使用される。光ビームスキャン装置1は、可動電極4に電圧を印加しない状態においては、光ファイバコリメータ9から光ビームが入射すると、図1,4に実線で示すように、反射板8aで光ビームを反射して90度進行方向を変更させた後、再度反射板8bで光ビームを反射して進行方向を90度変更させる。この結果、光ビームは、入射時の状態から180度進行方向が変えられ、光路溝2bを通って外端に配置された前記受光装置に入射する。
【0032】
そして、光ビームスキャン装置1は、光ファイバコリメータ9から入射した光ビームをスキャンする場合、固定電極3における左右の櫛歯3aをボンディングパッド2d,2eを介してアースし、可動電極4にボンディングパッド2fを介して電圧を印加する。すると、光ビームスキャン装置1は、印加した電圧に応じた静電力によって可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、可動電極4が弾性梁5,6を変形させて図1において下方へと移動する。
【0033】
これにより、光ビームスキャン装置1においては、反射体8の2枚の反射板8a,8bが、図4に示すように、実線で示す位置から点線で示す位置へ距離ΔLだけ平行に移動される。この結果、光ファイバコリメータ9から出射された光ビームは、2枚の反射板8a,8bによって1点鎖線で示す経路を通って反射され、光路溝2bへと出射されてゆく。このとき、可動電極4の移動によって反射板8a,8bが距離ΔLだけ移動すると、光ビームは、図4に示すように、距離ΔLの2倍である距離2ΔLだけ光軸に垂直な方向へ平行にスキャンされて光路溝2bへ出射される。
【0034】
一方、ボンディングパッド2fへの電圧の印加を解除すると、光ビームスキャン装置1においては、可動電極4が、変形した弾性梁5,6の復元力によって固定電極3から引き離され、図1及び図4に実線で示す元の位置に復帰する。
【0035】
光ビームスキャン装置1は、以上のようにして可動電極4への電圧の印加あるいは解除により可動電極4、従って反射板8a,8bを移動させ、光ビームを光軸に垂直な方向へ平行にスキャンする。ここで、光ビームスキャン装置1は、可動電極4へ印加する電圧の大きさを設計仕様の範囲内で変更することで、光ビームをスキャンする量を適宜変更することができる。
【0036】
以上のように、光ビームスキャン装置1は、固定電極3、可動電極4及び弾性梁5,6を有する静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータによって光ビームをスキャンしたい距離の半分だけ反射体8を移動させるだけでよい。このため、光ビームスキャン装置1は、小型にもかかわらず、光ビームをスキャンできる距離が大きく、光ファイバコリメータ9を固定溝2aに固定するだけで、光ファイバコリメータ9を反射体8に対して高精度に位置決めする必要がない。従って、光ビームスキャン装置1は、製造が容易で、光部品設計上の自由度が大きいという利点を有している。
【0037】
ここで、光ビームスキャン装置1は、図5に示すように、光路溝2bに変えて固定溝2hをシリコン基板2に固定溝2aと平行に形成し、固定溝2hに光ファイバコリメータ9(出射光導波路)を固定することで可変光減衰器とすることができる。すなわち、固定溝2a、2hに光ファイバコリメータ9(入射光導波路及び出射光導波路)を固定した可変光減衰器1は、固定溝2aに固定した光ファイバコリメータ9(入射光導波路)によって伝送されてきた光ビームを2枚の反射板8a、8bで反射して固定溝2hに固定した光ファイバコリメータ9(出射光導波路)へと出射する。従って、可変光減衰器1は、反射体8の移動距離に応じて、固定溝2hに固定した光ファイバコリメータ9(出射光導波路)へと出射する光ビームの光量を変化させることができ、可変光減衰器として機能する。このとき、可変光減衰器1は、光ビームを大きく減衰させるには反射体8を光軸に垂直な方向へ大きく移動させる必要があるが、反射体8は光ビームを最終移動目標距離の半分だけ移動させればよい。このため、可変光減衰器は、小型でありながら効率よく光ビームを所望の光量に減衰させることができる。
【0038】
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では、静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータを1組用いていたのに対し、この実施の形態2では4組用いている。
【0039】
図6は、この発明の実施の形態2である光ビームスキャン装置20の構成を示す平面図である。また、図7は、図6の左上に配置される弾性梁を中心とする部分を拡大して示す平面図である。なお、図6〜図21に示す各実施の形態における光ビームスキャン装置及び光部品は光ビームスキャン装置1と同じ半導体微細加工技術によって製造され、光ビームスキャン装置1と同一構成部分には同一符号を付している。
【0040】
この実施の形態2にかかる光ビームスキャン装置20は、図6に示すように、上下方向に配置されるアーム7の両側にそれぞれ2組の櫛歯マイクロアクチュエータが対称に配置され、反射体8はアーム7の中央左側に設けられている。そして、2組の櫛歯マイクロアクチュエータを構成する2つの固定電極3は、図6及び図7に示すように、内側に2つの可動電極4を配置している。また、2つの可動電極4は、両可動電極4間に一端が連結された弾性梁21を介してシリコン基板2と連結され、各弾性梁21によって浮動状態に支持されている。反射体8は、アーム7との間に設けられた複数の支持板8cによって反射板8a,8bが補強支持されている。
【0041】
以上のように構成される光ビームスキャン装置20は、固定溝2aに光ファイバコリメータ9を接着すると共に、光路溝2bの外端に図示しない受光装置を配置して使用される。そして、光ビームスキャン装置20は、光ファイバコリメータ9から光ビームを入射すると、反射板8a,8bで光ビームを順次反射して進行方向を90度ずつ変更する。この結果、光ビームは、入射時の状態から180度進行方向が変えられ、光路溝2bを通って外端に配置した前記受光装置に入射する。
【0042】
そして、光ファイバコリメータ9から入射する光ビームをスキャンする場合、光ビームスキャン装置20は、図6において、上側に配置された2組の櫛歯マイクロアクチュエータの最も上側の固定電極3をシリコン基板2の上側のボンディングパッド2jを介してアースし、最も上側の固定電極3と対向する可動電極4にボンディングパッド2fを介して電圧を印加する。同時に、光ビームスキャン装置20は、図6において、下側に配置された2組の櫛歯マイクロアクチュエータの最も上側の固定電極3をシリコン基板2の上側のボンディングパッド2d,2eを介してアースし、最も上側の固定電極3と対向する可動電極4にボンディングパッド2fを介して電圧を印加する。
【0043】
これにより、光ビームスキャン装置20は、上下各組の櫛歯マイクロアクチュエータにより、印加した電圧に応じた静電力によって可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、アーム7、従って反射体8が、弾性梁21を変形させながら図6において上方へ移動する。
【0044】
この結果、光ビームスキャン装置20においては、光ファイバコリメータ9から入射した光ビームが2枚の反射板8a,8bによって反射され、反射板8a,8bの移動量の2倍だけ光軸に垂直な上方へ平行にスキャンされて光路溝2bへ出射される。
【0045】
ここで、光ビームスキャン装置20は、アースするボンディングパッドを変更することにより、反射体8を下方へ移動させることもできる。また、光ビームスキャン装置20は、図6において、上側に配置された2組の櫛歯マイクロアクチュエータの最も上側の固定電極3をシリコン基板2の上側のボンディングパッド2jを介して電圧を印加し、最も上側の固定電極3と対向する可動電極4をボンディングパッド2fを介してアースする。また、下側に配置された2組の櫛歯マイクロアクチュエータの最も上側の固定電極3をシリコン基板2の上側のボンディングパッド2d,2eに電圧を印加し、最も上側の固定電極3と対向する可動電極4をボンディングパッド2fを介してアースしても、反射体8を上方へ移動させることができる。このように、光ビームスキャン装置20は、ボンディングパッド2d,2e,2f,2jを適宜組み合わせてアースしたり、電圧を印加したりすることで、図6において、反射体8を上方あるいは下方のいずれの方向へも移動させることができる。
【0046】
一方、スキャンされた光ビームを元に戻すときは、電圧の印加を解除する。すると、光ビームスキャン装置20においては、固定電極3に引き寄せられていた可動電極4が、変形した弾性梁21の復元力によってアーム7と共に図6において下方へ移動し、元の位置に復帰する。これにより、光ビームスキャン装置20においては、スキャンされた光ビームが元に戻される。
【0047】
以上のように、光ビームスキャン装置20は、光ビームスキャン装置1の効果に加えて、2組の櫛歯マイクロアクチュエータによる大きな駆動力で反射体8を移動させることができる。しかも、光ビームスキャン装置20は、アーム7の両端側にそれぞれ2組の櫛歯マイクロアクチュエータを対称に配置したので、アーム7、従って、反射体8を両方向に円滑に移動させることができる。
【0048】
(実施の形態3)
次に、この発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1,2では2枚の反射板を入射光の光軸に垂直な方向へ同時に移動するようにしていたが、この実施の形態3では、2枚の反射板を入射光の光軸に対する角度が変化する方向に動くようにした光ビームスキャン装置を可変光減衰器としたものである。
【0049】
図8は、この発明の実施の形態3である可変光減衰器の平面図である。図9は、図8の可変光減衰器における静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータ、弾性梁及び反射体を拡大した図である。図10は、図8の可変光減衰器における櫛歯マイクロアクチュエータの作動に伴う弾性梁の変形を示す拡大図である。また、図11は、入射光が反射体の2枚の反射板によって角度方向にスキャンされる様子を示す模式図である。
【0050】
可変減衰器25は、図8に示すように、シリコン基板2に平行に形成された2本の固定溝2aに光ファイバコリメータ9a(入射光導波路)、9b(出射光導波路)が固定され、シリコン基板2の長手方向に配置されるアーム7の両端にそれぞれ1組の櫛歯マイクロアクチュエータが直交する方向に配置されている。各組の櫛歯マイクロアクチュエータを構成する可動電極4は、図9に示すように、弾性梁5,6によってシリコン基板2と連結され、浮動状態に支持されている。一方、反射板26、27は、図9に示すように、基端が弾性梁5,6にそれぞれ連結された支持梁26a、27aの先端に設けられている。反射板26、27は、光ファイバコリメータ9aを通って入射する光ビームの光軸方向に対して±45度の角度となるように傾斜配置されている。
【0051】
以上のように構成される可変光減衰器25は、可動電極4に電圧を印加しない状態においては、光ファイバコリメータ9aから光ビームを導入すると、光ファイバコリメータ9aの光軸に対して±45度に傾斜させた反射板26,27が光ビームを反射し、図11に実線で示すように、光ビームの進行方向を90度ずつ変化させる。この結果、光ビームは、入射時の状態から180度進行方向が変えられて光ファイバコリメータ9bに入射する。
【0052】
そして、光ビームをスキャンする場合、可変光減衰器25は、図8において、固定電極3をボンディングパッド2dを介してアースし、可動電極4にボンディングパッド2fを介して電圧を印加する。これにより、可変光減衰器25は、印加した電圧に応じた静電力によって可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、アーム7が図8,9において右方へ移動する。このため、可変光減衰器25は、弾性梁5,6が右方へ引き伸ばされ、例えば、弾性梁5が図10に示すように変形する。弾性梁5,6の変形により、支持梁26aが下方へ、支持梁27aが上方へ、それぞれ僅かに変位し、反射板26,27が光ファイバコリメータ9aの光軸に対してなす角が±45度よりも僅かに小さい、例えば、±44度程度となる。
【0053】
これにより、図11に示すように、光ファイバコリメータ9aから入射した光ビームは、反射板26,27によって図11に1点鎖線で示すように反射される。この結果、光ファイバコリメータ9aから入射した光ビームは、反射板26,27の角度変化量をθとすると、反射板26,27の角度が変化しない場合の出射方向に対して4θだけ角度がスキャンされて出射される。即ち、可変光減衰器25は、小型でありながら反射板26,27の僅かな角度変化に対し、光ビームの出射方向を角度変化量の4倍に増大して角度方向にスキャンしている。但し、図11は、反射板26,27の角度変化を誇張して描いてあり、反射板26,27の角度変化量はθ=1度程度である。このため、可変光減衰器25においては、反射板26で反射した光ビームは、実際には4θ=4度程度出射角度がスキャンされ、入射光に略平行する方向に進行方向が変えられて光ファイバコリメータ9bに入射する。
【0054】
ここで、可変光減衰器25は、図8において、固定電極3にボンディングパッド2dを介して電圧を印加し、可動電極4をボンディングパッド2fを介してアースしても、可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、反射板26,27の角度を変化させることができる。
【0055】
一方、ボンディングパッド2fへの電圧の印加を解除すれば、可変光減衰器25は、固定電極3に引き寄せられていた可動電極4が、変形した弾性梁5,6の復元力によってアーム7と共に図8において左方へ移動し、元の位置に復帰する。これにより、可変光減衰器25においては、スキャンされた光ビームが元に戻される。
【0056】
このように、可変光減衰器25は、櫛歯マイクロアクチュエータによって反射板26,27のなす角度を変えることで、小型で、光ビームをスキャンできる角度が大きくなり、光ファイバコリメータ9a,9bと反射板26,27とを高精度に位置決めする必要がないので、製造が容易で、光部品設計上の自由度も大きいという効果を奏する。
【0057】
(実施の形態4)
次に、この発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4の可変光減衰器は、2枚の反射板を同時に駆動する静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータを横向きに配置したものである。
【0058】
図12は、この発明の実施の形態4である可変光減衰器の平面図である。図13は、図12の可変光減衰器における静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータ、弾性梁及び反射体を拡大した図である。図14は、図12の可変光減衰器における櫛歯マイクロアクチュエータの作動に伴う弾性梁の変形を示す拡大図である。また、図15は、図12の可変光減衰器を複数並べたアレイ型可変光減衰器の平面図である。
【0059】
可変光減衰器30は、図12に示すように、シリコン基板2に平行に形成された2本の固定溝2aに光ファイバコリメータ9a,9bが固定され、シリコン基板2の長手方向に沿ってそれぞれ1組の櫛歯マイクロアクチュエータが配置されている。各組の櫛歯マイクロアクチュエータは、固定電極3がシリコン基板2の幅方向外側に、可動電極4が幅方向内側に、それぞれ配置されている。各可動電極4は、図12に示すように、弾性梁5,6によってシリコン基板2と連結され、浮動状態に支持されている。一方、2つの反射板31は、基端が弾性梁5にそれぞれ連結された支持梁31aの先端に設けられ、光ファイバコリメータ9aを通って入射する光ビームの光軸方向に対して±45度の角度となるように傾斜配置されている。
【0060】
以上のように構成される可変光減衰器30は、可動電極4に電圧を印加しない状態においては、光ファイバコリメータ9aから光ビームを導入すると、光ビームの光軸方向に対して±45度の角度に傾斜させた2つの反射板31によって光ビームを反射し、図12に実線で示すように、進行方向を90度ずつ変更する。この結果、光ビームは、入射時の状態から180度進行方向が変えられて光ファイバコリメータ9bに入射する。
【0061】
そして、可変光減衰器30は、図12において、固定電極3をボンディングパッド2d,2eを介してアースし、可動電極4にボンディングパッド2fを介して電圧を印加する。これにより、可変光減衰器30は、印加した電圧に応じた静電力によって可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、弾性梁5,6が上方へ引き伸ばされる。これにより、弾性梁5,6、例えば、弾性梁5は、図14に示すように反射板31側が広がるように変形する。弾性梁5,6の変形により、支持梁31aが僅かに変位し、反射板31が光ファイバコリメータ9aの光軸に対してなす角が±45度よりも僅かに小さくなる。
【0062】
このように、可変光減衰器30においては、実施の形態3である可変光減衰器25と同様に、光ファイバコリメータ9aから導入された光ビームは、反射板31の角度変化量をθとすると、反射板31の角度が変化しない場合の出射方向に対して4θだけ角度がスキャンされて出射される。即ち、可変光減衰器30は、小型でありながら反射板31の僅かな角度変化に対し、光ビームの出射方向を角度変化量の4倍に増大して角度方向にスキャンしている。
【0063】
ここで、可変光減衰器30は、図12に示すボンディングパッド2dに電圧を印加し、ボンディングパッド2fをアースしても、可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、反射板31の角度を変化させることができる。
【0064】
一方、ボンディングパッド2fへの電圧の印加を解除すると、可変光減衰器30は、固定電極3に引き寄せられていた可動電極4が、変形した弾性梁5,6の復元力によって図12において下方へ移動し、元の位置に復帰する。これにより、可変光減衰器30においては、スキャンされた光ビームが元に戻される。
【0065】
以上のように、可変光減衰器30は、櫛歯マイクロアクチュエータによって2つの反射板31のなす角度を変えることで、小型で、光ビームをスキャンできる角度が大きくなり、光ファイバコリメータ9a,9bを反射板31に対して高精度に位置決めする必要がないので、製造が容易で、光部品設計上の自由度も大きいという効果を奏する。
【0066】
ここで、可変光減衰器30は、図15に示すように、シリコン基板2に250μm間隔で多数(偶数)平行に形成した固定溝2aに光ファイバコリメータ9a,9bを固定すると共に、多数配列してアレイ型可変光減衰器モジュール33としてもよい。このとき、多数の固定電極3は、フレキシブル基板と半田で固定し、共通のグランド端子と接続しておく。また、ボンディングパッドは、ボンディングパッド2dとボンディングパッド2fを交互に形成する。多数の光ファイバコリメータ9a,9bは、固定溝2aの間隔が250μmなので、複数の光ファイバをテープ状に成形した光ファイバテープを個々の光ファイバに分離して利用することができる。また、多数の光ファイバコリメータ9a,9bは、固定溝2aに配置後、図示しないガラス板をシリコン基板2上に接着して固定する。可変光減衰器30をこのようにアレイ化すると、1個のモジュールで多数チャンネルの光線路を取り扱うことができる。
【0067】
(実施の形態5)
次に、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5の可変光減衰器は、図15に示すアレイ型可変光減衰器モジュール33を複数積層したものである。
【0068】
図16は、この発明の実施の形態5である可変光減衰器の斜視図で、アレイ型可変光減衰器モジュール33は、上に行くほど前後方向におけるチップサイズを小さくすることで、ボンディングパッド2d,2fの位置が上下の可変光減衰器モジュール33相互間で重ならないようにしている。そして、最上部のアレイ型可変光減衰器モジュール33は、ガラス板34をシリコン基板の上に接着して多数の光ファイバコリメータ9a,9bを固定溝2aに固定している。このようにして可変光減衰器モジュール33を複数積層すると、図15に示す可変光減衰器30を多数アレイ化したものに比べ、多数チャンネルの光線路を少ない占有面積で取り扱うことができる。
【0069】
(実施の形態6)
次に、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6の可変光減衰器は、2枚の反射板を静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータで、1枚の反射板を電磁石アクチュエータで、それぞれ同時に駆動し、光軸に垂直な方向へ光ビームを平行にスキャンさせると共に、角度方向にスキャンさせるものである。実施の形態1〜5においては、入射した光ビームの進行方向を180度変化させたが、この実施の形態6では入射した光ビームの進行方向を90度変化させる。
【0070】
図17は、この発明の実施の形態6である可変光減衰器の平面図である。また、図18は、図17の可変光減衰器において、反射体の2枚の反射板によって光軸に対して垂直な方向に入射光を平行してスキャンした後、1枚の反射板によって角度方向にスキャンする様子を示す模式図である。なお、図17〜図20に示す各実施の形態における可変光減衰器は、光ビームスキャン装置1,20と同一構成部分には同一符号を付している。
【0071】
可変光減衰器35は、上下方向に配置されるアーム7の一端側に2組の櫛歯マイクロアクチュエータが対称に配置され、反射体8はアーム7の他端に設けられている。2組の櫛歯マイクロアクチュエータは、固定電極3を可動電極4に対向させて、2つの固定電極3の間に2つの可動電極4が配置されている。また、反射体8と対向する位置には、光ファイバコリメータ9の光軸に対して45度傾斜配置した反射板36がシリコン基板2にカンチレバー状に形成した支持梁36aによって支持され、支持梁36aと隣接する位置にはコイル体37が設けられている。支持梁36aには、永久磁石の薄膜を形成した突起36bが形成されている。
【0072】
コイル体37は、下側に鉄−ニッケルからなるコアが形成され、通電によって電磁石となり、突起36bを電磁的に吸引する。これにより、支持梁36aが、シリコン基板2との連結点を支点として図17において上下に揺動し、反射板36の角度が僅かに変化する。コイル体37は、アーム7や反射体8などの反射部14、固定電極3や可動電極4などの電極部15、弾性梁5,6などの梁部16、などを備えた構造体と共に半導体微細加工技術を利用して形成される。
【0073】
以上のように構成される可変光減衰器35においては、固定溝2aに固定した光ファイバコリメータ9から光ビームを導入すると、光ビームは、図18に実線で示すように、反射板8a,8bで順次反射されて進行方向が90度ずつ変更され、入射時の状態から180度進行方向が変えられた後、反射板36で反射されて進行方向が90度変更され、光路溝2bへと出射される。
【0074】
そして、光ファイバコリメータ9から入射する光ビームをスキャンする場合には、可変光減衰器35は、図17において、2組の櫛歯マイクロアクチュエータの固定電極3をボンディングパッド2d,2eを介してアースし、固定電極3と対向する可動電極4にボンディングパッド2fを介して電圧を印加する。これと並行してコイル体37に通電する。
【0075】
すると、可変光減衰器35は、櫛歯マイクロアクチュエータにより、印加した電圧に応じた静電力によって可動電極4が固定電極3に引き寄せられ、アーム7、従って反射体8が、弾性梁21を変形させながら図17において下方へ移動する。また、コイル体37への通電により、反射体8の移動と同時に、突起36bが電磁的に吸引されて支持梁36aがコイル体37側へと撓み、反射板36が反時計方向へ僅かに傾く。
【0076】
これにより、可変光減衰器35においては、光ファイバコリメータ9から入射した光ビームは、図18に1点鎖線で示すように、2枚の反射板8a,8bによって反射された後、反射板36で反射される。従って、可変光減衰器35においては、光ファイバコリメータ9から入射した光ビームは、反射板8a,8bの移動量の2倍だけ光軸に垂直な上方へ平行にスキャンされる共に、反射板36の傾斜角度の2倍だけ角度方向にスキャンされて光路溝2bへ出射される。
【0077】
このとき、可変光減衰器35は、アースするボンディングパッドを変更することにより、反射体8を上方へ移動させることもできる。また、可変光減衰器35は、図17において、固定電極3にボンディングパッド2jを介して電圧を印加し、可動電極4をボンディングパッド2fを介してアースしても、反射体8を上方へ移動させることができる。このように、可変光減衰器35は、ボンディングパッド2d,2e,2f,2jを適宜組み合わせてアースしたり、電圧を印加したりすることにより、図17において、反射体8を上方あるいは下方のいずれの方向へも移動させることができる。
【0078】
一方、スキャンされた光ビームを元に戻すときは、ボンディングパッドへの電圧の印加と、コイル体37への通電を解除すれば、可変光減衰器35は、固定電極3に引き寄せられていた可動電極4が、変形した弾性梁21の復元力によってアーム7と共に図17において上方へ移動し、元の位置に復帰する。また、突起36bのコイル体37への吸引解除により、支持梁36aが反射板36と共に元の位置へ復帰する。これにより、可変光減衰器35においては、スキャンされた光ビームが元に戻される。
【0079】
このように、可変光減衰器35は、光ビームを光軸に垂直な方向と角度方向の双方にスキャンさせることができるので、光ビームを複雑にスキャンさせることが可能となり、利用上の自由度が増す。しかも、電磁石アクチュエータであるコイル体37は、固定電極3と可動電極4とを有する櫛歯マイクロアクチュエータよりも小型なので、配置上の自由度が高い。
【0080】
(実施の形態7)
次に、この発明の実施の形態7について説明する。この実施の形態7の可変光減衰器は、4枚の反射板を静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータで同時に駆動し、光軸に垂直な方向へ光ビームを平行にスキャンさせる可変光減衰器としたものである。実施の形態1〜6においては、入射した光ビームを90度あるいは180度進行方向を変化させたが、この実施の形態7では入射した光ビームを光軸に垂直な方向へ平行にスキャンさせるだけで、進行方向を変化させることなく出射している。図19は、この発明の実施の形態7である可変光減衰器の平面図である。また、図20は、図19に示す可変光減衰器における光ビームの反射によるスキャンの様子を示す模式図である。
【0081】
可変光減衰器40は、2組の櫛歯マイクロアクチュエータを備えた2つの反射体8が対向配置されている。このため、光ファイバコリメータ9から入射した光ビームは、2つの反射体8によって図20に実線で示すように反射して光路溝2bへ出射される。そして、可変光減衰器40は、例えば、ボンディングパッド2d〜2jを適宜にアースしたり、電圧を印加したりすることにより、上側の反射体8を上方へ、下側の反射体8を下方へ移動させる。すると、可変光減衰器40においては、光ファイバコリメータ9から入射した光ビームは、図20に1点鎖線で示すように反射し、反射体8が移動した距離の4倍まで光軸に垂直な方向へ平行にスキャンされる。
【0082】
ここで、可変光減衰器40は、図21に示すように、各反射体8から反射板8bを削除し、反射板8aのみとしてもよい。可変光減衰器40は、このように構成すると、2枚の反射板8aが平行に配置され、図19との比較から明らかなように、光ビームのスキャン量が小さくてもよい場合に対応することができる。
【0083】
なお、実施の形態1〜7に記載した光ビームスキャン装置や可変光減衰器では、複数枚の反射板を動かす駆動手段として静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータや電磁石アクチュエータを使用した。しかし、本発明の光ビームスキャン装置においては、シリコン基板を加工して形成されるMEMSであれば、キャパシタプレートやスクラッチドライブアクチュエータ(SDA)を使用することができる。
【0084】
ここで、キャパシタプレートは、ばねによってシリコン基板と対向させて支持され、レバーアームの一端が連結されている。レバーアームは、中間に支点があり、他端は金を被覆したシャッターが設けられ、光ファイバ光路を遮っている。このキャパシタプレートは、シリコン基板との間への電圧のオン,オフにより、シリコン基板に対して離接作動するアクチュエータとなる。このため、前記レバーアームが、支点を中心として回動し、シャッターが光ファイバ光路を遮ることで全体として光スイッチとして機能する(例えば、IEEE ournal of selected topics in quantum electronics, Vol. 5, No. 1, January/February 1999, pp. 18-25 参照)。
【0085】
一方、SDAは、ポリシリコン製の板と短片状のブッシングとを有する側面視L字形の板である。このSDAは、表面に絶縁フィルムが形成されたシリコン基板上に載置し、シリコン基板との間に双極性矩形パルスを印加すると、ポリシリコン製の板の部分がシリコン基板に離接し、ステップモーションと呼ばれる動作を繰り返しながらシリコン基板を移動してゆくアクチュエータである(例えば、Proceedings IEEE Microelectromech. Syst. Amsterdam the Netherlands, Feb., 1995, pp. 310-315参照)。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1から3の発明によれば、複数枚の反射鏡を入射光の光軸と直交する方向に動かしたり、入射光の光軸に対する角度が変化する方向に動かしたりするので、反射板の僅かな動きであっても、光ビームを光軸に垂直な方向や角度方向に大きく動かすことができる可変光減衰器または光部品を製造することができる。また、半導体微細加工技術によって製造するので、小型で、光ビームを移動可能な距離や角度が大きく、製造が容易で、光部品設計上の自由度が大きい可変光減衰器や光部品を製造することができるという効果を奏する。また、複数の反射板を互いに平行に配置する等により、入射光の進行方向に対して平行に出射する等、種々の設計変更が可能になるという効果を有する。
【0087】
また、請求項の発明によれば、請求項1乃至のいずれか1項に記載の可変光減衰器が多数配列されているので、一個の光部品で多数チャンネルの光線路の取り扱いが可能になるという効果を奏する。
【0088】
また、請求項の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光部品が複数積層されているので、多数チャンネルの光線路を少ない占有面積で取り扱うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である光ビームスキャン装置の概要構成を示す図である。
【図2】 図1の固定電極、可動電極、弾性梁アーム及び反射体などの構造体を拡大すると共に弾性梁の中間部分を省略した拡大平面図である。
【図3】 図1に示す光ビームスキャン装置の製造方法の一例を製造工程に従って説明する模式的断面図である。
【図4】 図1に示す光ビームスキャン装置における光ビームの反射によるスキャンの様子を示す模式図である。
【図5】 図1の光ビームスキャン装置を利用した可変光減衰器の構成を示す平面図である。
【図6】 この発明の実施の形態2である光ビームスキャン装置の構成を示す平面図である。
【図7】 図6の光ビームスキャン装置の左上に配置される弾性梁を中心とする部分を拡大して示す平面図である。
【図8】 この発明の実施の形態3である可変光減衰器の平面図である。
【図9】 図8の可変光減衰器における静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータ、弾性梁及び反射体を拡大した図である。
【図10】 図8の可変光減衰器における櫛歯マイクロアクチュエータの作動に伴う弾性梁の変形を示す拡大図である。
【図11】 入射光が反射体の2枚の反射板によって角度方向にスキャンされる様子を示す模式図である。
【図12】 この発明の実施の形態4である可変光減衰器の平面図である。
【図13】 図12の可変光減衰器における静電駆動型の櫛歯マイクロアクチュエータ、弾性梁及び反射体を拡大した図である。
【図14】 図12の可変光減衰器における櫛歯マイクロアクチュエータの作動に伴う弾性梁の変形を示す拡大図である。
【図15】 入射光が反射体の2枚の反射板によって角度方向にスキャンされる様子を示す模式図である。
【図16】 この発明の実施の形態5である可変光減衰器の斜視図である。
【図17】 この発明の実施の形態6である可変光減衰器の平面図である。
【図18】 図17の可変光減衰器において、反射体の2枚の反射板によって入射光を光軸に垂直な方向へ平行にスキャンした後、1枚の反射板によって角度方向にスキャンする様子を示す模式図である。
【図19】 この発明の実施の形態7である可変光減衰器の平面図である。
【図20】 図19に示す可変光減衰器における光ビームの反射によるスキャンの様子を示す模式図である。
【図21】 図19に示す可変光減衰器の変形例を示す平面図である。
【図22】 従来の可変光減衰器の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1,20 光ビームスキャン装置
2 シリコン基板
2a,2h 固定溝
2b 光路溝
2d,2e,2f,2j ボンディングパッド
2g 絶縁隙間
3 固定電極
3a 櫛歯
4 可動電極
4b 櫛歯
5,6,21 弾性梁
7 アーム
8 反射体
8a,8b 反射板
9 光ファイバコリメータ
9a,9b 光ファイバコリメータ
11 レジスト
12 凹部
13 レジスト
14 反射部
15 電極部
16 梁部
17 パッド部
18 ミラー膜
19 絶縁基板
25,30,35,40 可変光減衰器
26,27,31,36 反射板
26a,27a,31a,36a 支持梁
33 可変光減衰器モジュール
36b 突起
37 コイル体

Claims (3)

  1. シリコン基板を微細加工して製造され、入射光を減衰させて出射可能な光減衰器であって、
    光ファイバコリメータを備える入射光導波路と、
    光ファイバコリメータを備える出射光導波路と、
    前記入射光導波路の出射口の近くに配置され、前記入射光導波路からの入射光を入射角45度で直接受光する反射部及びその反射光をさらに入射角45度で受光して反射する反射部の2つの反射部を有する第1の反射板と、前記出射光導波路の入射口の近くに配置され、前記第1の反射板からの反射光を反射して、該反射光を前記出射光導波路に直接照射する少なくとも一つの第2の反射板を備える反射体と、
    マイクロアクチュエータにより、前記第1の反射板を光軸に対して垂直方向に移動させる第1の駆動部と、マイクロアクチュエータにより、前記第2の反射板の少なくとも一つの角度を変化させる第2の駆動部とを備える駆動手段と、
    前記駆動手段により前記第1の反射板及び第2の反射板を駆動することにより、前記第2の反射板からの反射光をその中心軸が前記出射光導波路の前記入射口からずれるような偏心位置に移動させることにより、出射光を減衰させることを特徴とする可変光減衰器。
  2. 請求項1に記載の可変減衰器が多数配列されていることを特徴とする光部品。
  3. 請求項2に記載の光部品が複数積層されていることを特徴とする光部品。
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