JPWO2002103432A1 - 光スイッチ - Google Patents
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Abstract
光スイッチはプラットホームを有し、このプラットホームの光ファイバ固定用V溝には、光ファイバが保持されている。プラットホーム上にはスイッチ部材が載置されている。スイッチ部材は枠体を有し、この枠体の下面には、プラットホームと供給された複数の位置決め柱が設けられている。枠体には片持ち梁が固定され、この片持ち梁の先端部にはミラーが取り付けられている。また、プラットホーム上には1対の電極が固定されている。そして、電極と片持ち梁との間に電圧を供給し、両者間に静電気力を発生させることでミラーを上下動させる。
Description
技術分野
本発明は、光通信や光計測等に用いられる光スイッチに関するものである。
背景技術
近年、いわゆるIT革命に象徴されるように、通信技術が世界を大きく変えつつある。その趨勢の中、通信容量が飛躍的に増大しており、それを支える情報通信ネットワーク技術も著しい進歩を遂げている。これまで光ファイバの導入により通信容量が増大されてきたが、更に多くの光ファイバが導入されたとしても、通信容量を更に増大するのは難しくなりつつある。このような状況のもと、波長多重伝送、全光化ネットワークなどに関連する技術が世界中で研究開発されている。
通信容量増大のためのキーデバイスの一つとして、光スイッチが注目されている。波長多重化が進むに従って、処理される情報量は飛躍的に増大すると考えられる。従来の情報通信ネットワークでは、光信号を電気信号に変換し、電気信号をスイッチング処理し、再び電気信号から光信号に変換しているため、電気信号部分での信号伝送速度の低下といった問題がある。このような理由により、光信号そのもののスイッチングを可能とする光スイッチが注目を集めている。
今後、通信ネットワークの複雑化に伴い、通信ネットワークにおいて膨大な数の光スイッチが使用されることが予想される。そのため、光スイッチの小型化および集積化が望まれている。
そこで近年、マイクロマシン技術を用いた光スイッチの開発が活発に行われている。例えば、Robustness and Reliability of Micromachined Scanning Mirrors,Proc.of MOEMS’99,pp.120−125,1999(以下、第1文献という)には、表面マイクロマシニングによって形成したミラーを、同時に形成した静電アクチュエータで基板上に立てて使用するものが記載されている。また、Micromachines for Wavelength Multiplexed Telecommunications,Proc.of MOEMS’99,pp.126−131,1999(以下、第2文献という)には、表面マイクロマシン技術で形成したミラーを、基板上に立てるのでなく、基板上で数度チルトすることで光の反射方向を変える方式が記載されている。
発明の開示
本発明の目的は、小型化及び集積化を図ることができる光スイッチを提供することである。
本発明の一側面に係る光スイッチは、光路を有するベース部材と、ベース部材に支持された片持ち梁と、片持ち梁に取り付けられ、光路上を通る光を遮断するミラーと、光路上を通る光を通過させる第1位置と光路上を通る光を遮断させる第2位置との間でミラーを上下動させる駆動手段とを備え、ミラーが第1位置にあるときは、ミラーがベース部材の上方に位置し、ミラーが第2位置にあるときは、ミラーがベース部材の上面部で位置決めされるように構成されていることを特徴とするものである。
このような光スイッチにおいて、例えばミラーが第1位置にあるときにフリー(初期)状態となる場合に、駆動手段を作動すると、ミラーは、片持ち梁を付勢力に抗して弾性変形させながら下降して第2位置に達する。このようにミラーをベース部材の上面に直交させる方向に上下動させる構成とすることにより、ミラーを水平方向(ベース部材の上面に平行な方向)に移動させる場合に比べて、水平方向のスペースを大きくとらずに済む。これにより、光スイッチの小型化及び集積化を図ることができる。また、ミラーが第2位置にあるときには、ミラーが例えばベース部材の上面部と嵌め合って位置決めされるので、ミラーの向きは反射率の良好な状態に維持される。
好ましくは、駆動手段は、ベース部材上に設けられた電極と、電極と片持ち梁との間に静電気力を発生させる手段とを有する。これにより、駆動手段を簡単かつ小型な構成で実現できる。
この場合、電極上には、ミラーが第2位置にあるときに電極と片持ち梁とのギャップを保持するためのスペーサが設けられている。これにより、ミラーが第2位置にあるときに、片持ち梁と電極とのギャップを一定にすることができる。また、片持ち梁と電極とのギャップが狭い場合に、片持ち梁が電極に接触することを防止できる。
また、好ましくは、ミラーを第1位置または第2位置に保持する位置保持手段を更に備える。これにより、電極と片持ち梁との間に電気信号を供給し続ける必要がなくなるため、電力消費量を抑えることができる。また、停電時などにおいても有効である。
この場合、好ましくは、ミラーは磁性体からなり、電極は永久磁石からなり、位置保持手段は、ミラーと電極との間に生じる磁力によりミラーを第2位置に保持する手段である。これにより、ミラーを簡単な構成で第2位置に自己保持させることができる。
また、ミラーは永久磁石からなり、電極は磁性体からなり、位置保持手段は、ミラーと電極との間に生じる磁力によりミラーを第2位置に保持する手段であってもよい。この場合も、ミラーを簡単な構成で第2位置に自己保持させることができる。
また、好ましくは、位置保持手段によるミラーの位置保持を解除するための電磁石を更に備える。これにより、静電気力のみでミラーの位置保持を解除する場合に比べて、ミラーの位置保持解除時に、電極と片持ち梁との間に供給する電圧値を低くできるため、省電力化が図れる。
また、好ましくは、ミラーは、X線リソグラフィ及び電鋳を用いることにより、片持ち梁と一体的に形成されたものである。これにより、ミラー反射面の平坦度が良くなると共に、ミラー反射面が滑らかになるので、ミラーの反射率が高くなる。
さらに、好ましくは、ミラーの表面には、金、銀、アルミニウムのいずれかの膜がコーティングされている。これにより、赤外光のような光通信用波長帯域の光に対して反射率の高いミラーを得ることができる。
また、好ましくは、片持ち梁を挟むようにベース部材の上部に設けられたシリコン構造体を更に備え、片持ち梁、ミラー及びシリコン構造体でスイッチ部材を構成する。この場合には、シリコン構造体によって封止性が確保されるため、片持ち梁及びミラーを埃や水分等から保護することができる。
この場合、好ましくは、ミラーを有する片持ち梁をシリコン構造体の表面に形成し、フッ素系ガスを用いてシリコン構造体をエッチングすることにより、スイッチ部材を形成した構成とする。これにより、エッチング終了後に、片持ち梁の表面に水分が付着したままの状態となることが無いため、片持ち梁の強度・耐久性が高くなる。
また、好ましくは、スイッチ部材を形成するためのマスクパターン部が設けられたマスクを、マスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して斜め方向の角度をもつようにシリコンウェハの表面に形成し、その後でミラーを有する片持ち梁をシリコンウェハの表面に形成し、エッチング液を用いてシリコンウェハを表面側よりエッチングすることにより、スイッチ部材を形成した構成とする。
ミラーが第1位置にあるときに、ミラーをベース部材の上方に位置させるには、スイッチ部材の製作時に、シリコンを深さ方向及び側方にエッチングすることにより、片持ち梁を反らせるための凹部をシリコン構造体に形成する必要がある。ここで、HF+HNO3に代表される等方性エッチング液では、ほとんどの金属を溶かすため、材料選定の自由度が狭まる。一方、異方性エッチング液では材料の選択肢は増えるが、マスクのマスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して平行または垂直な方向の角度をもつように、シリコンウェハの表面にマスクを形成した場合には、側方に対するエッチングは、結晶方位としてエッチングされにくい(111)面に対応する方向へのエッチングとなる。このため、深さ方向のエッチングだけが進行し、側方のエッチングが進行しないことがある。そこで、上述したようにマスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して斜め方向の角度をもつように、シリコンウェハの表面にマスクを形成することにより、側方に対するエッチングは、(111)面とこれ以外の面とを含む方向へのエッチングとなる。このため、異方性エッチング液を使用した場合であっても、側方のエッチングが進行するようになる。従って、安価なエッチング液を用いて、片持ち梁下のシリコンを効率良くエッチングすることができ、これにより片持ち梁を反らせることが可能となる。
この場合、好ましくは、エッチング液は水酸化テトラメチルアンモニウムである。これにより、片持ち梁及びミラーの材質として、応力制御が容易なニッケル等を使用する場合に、片持ち梁及びミラーを溶かすことなく、片持ち梁下のシリコンをエッチングすることができる。
また、好ましくは、電極の上面には絶縁層が設けられ、片持ち梁は、絶縁層に対して当接・離間可能となるようにベース部材に支持されている。これにより、片持ち梁およびミラーを含む部分と電極を含むベース部材とを同時に形成することが可能となるため、製作に必要な部品点数を減少させることができる。
本発明の他の側面に係る光スイッチは、複数の第1通常用光路と当該各第1通常用光路に対向配置された複数の第2通常用光路と少なくとも1つの予備用光路とを有するベース部材と、ベース部材に支持され、第1通常用光路または予備用光路からの光を水平方向に反射させる複数の可動ミラーと、各可動ミラーを上下方向に移動させる駆動手段とを備えることを特徴とするものである。
このような光スイッチにおいて、例えば、通常時には可動ミラーをベース部材に対して上方に位置させ、第1通常用光路から出射された光を、そのまま第2通常用光路に入射させる。一方、予備用光路を使用するときは、可動ミラーを下げ、第1通常用光路から出射された光を可動ミラーで反射させて予備用光路に入射させる。このように可動ミラーを上下方向に駆動させることにより、各通常用光路におけるチャンネル間ピッチを狭くすることが可能となる。そのため、光スイッチの小型化および集積化を図ることができる。
また、この場合には、空間伝搬型光スイッチを構成したときに、可動ミラーと予備用光路との間の光路長を短くすることができるので、ビーム発散が抑制される。このため、光路に対する光の挿入損失を低減することができる。さらに、各可動ミラーと予備用光路との間の光路長差が小さくなるため、各チャンネル間における光の挿入損失のばらつきを低減することができる。
好ましくは、第1通常用光路と第2通常用光路とを光結合させると共に、第1通常用光路と予備用光路とを光結合させる複数のコリメータレンズを更に備える。この場合には、高性能な空間伝搬型光スイッチを簡単に構成することができる。
また、好ましくは、予備用光路は、各第1通常用光路に対して垂直方向または斜め方向に延びるように構成されている。このように構成することにより、例えば第1通常用光路から出射された光を、可動ミラーで反射させて予備用光路に直接入射させることが可能となる。この場合には、ミラーが一つなので反射による光損失が最小限に抑えられる。
また、予備用光路は、各第1通常用光路に対して平行に延びるように構成され、ベース部材には、可動ミラーで反射された光または予備用光路からの光を水平方向に反射させる固定ミラーが設けられていてもよい。このように構成することにより、例えば第1通常用光路から出射された光を可動ミラーで反射させ、その反射光を更に固定ミラーで反射させて予備用光路に入射させることが可能となる。この場合には、複数の第2通常用光路と予備用光路とを1枚の同一の光ファイバテープ心線で形成することができ、機械的強度が高くなり、有利である。
さらに、好ましくは、駆動手段は、ベース部材に片持ち支持され、可動ミラーが固定された複数の片持ち梁と、各片持ち梁と対向するようにベース部材の上面部に設けられた複数の電極と、片持ち梁と電極との間に静電気力を発生させる手段とを有する。この場合には、駆動手段を簡単な構成で実現することができる。
本発明に係るプロテクション用光スイッチは、上記の光スイッチを応用したことを特徴とする。これにより、小型化および集積化されたプロテクション用の光スイッチが実現される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る光スイッチの好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図であり、図2はその光スイッチの垂直方向の一部断面図である。これらの図において、本実施形態の光スイッチ1は、複数の1×2スイッチをアレイ化したものであり、シリコン等からなるプラットホーム(ベース部材)3を有している。このプラットホーム3の両端上面部には、1組の1×2スイッチに対して、光ファイバ固定用V溝4が2本ずつ形成されている。一端側の光ファイバ固定用V溝4には、光ファイバF1、F2が保持固定され、他端側の光ファイバ固定用V溝4の一つには光ファイバF3が保持固定されている。光ファイバF1、F2およびF3は、光路の一部を構成している。
なお、本実施形態の光スイッチ1は1×2スイッチであるが、残りの光ファイバ固定用V溝4にも光ファイバを保持させることで、2×2スイッチを構成することも可能である。
プラットホーム3の上面部における光ファイバ固定用V溝4の内側には、1対のレンズ固定用V溝5が設けられ、各レンズ固定用V溝5には、セルフォックレンズ6が位置決め固定されている。また、プラットホーム3の上面部における2つのレンズ固定用V溝5間には、後述するミラー12が挿入されるミラー挿入溝13が形成され、このミラー挿入溝13は、各1×2スイッチの配列方向に延びている。なお、このような光ファイバ固定用V溝4及びレンズ固定用V溝5の他に、用途に応じて、他の光学部品との位置合わせに用いるアライメントピンを位置決め接着するための溝などが設けられることもある。
このようなプラットホーム3上には、スイッチ部材7が載置・固定されている。スイッチ部材7はシリコンで形成された枠体10を有し、この枠体10の下面には、プラットホーム3とスイッチ部材7との位置合わせを行うための複数の位置決め柱9が設けられている。各位置決め柱9は、プラットホーム3上に形成された柱固定用穴2に挿入されている。
枠体10には、例えば板バネからなる片持ち梁11がミラー挿入溝13の長手方向に延びるように片持ち的に支持されている。これにより、片持ち梁11は、プラットホーム3と枠体10とに挟まれた状態となる。ここで、片持ち梁11は、容易に破壊しないように、応力制御が容易なニッケル(Ni)等の金属製であることが好ましい。なお、片持ち梁11の材料としては、特にニッケルには限定されず、タングステンやタンタル等の金属をスパッタしたもの、あるいは酸化シリコンや窒化シリコン等といったシリコン系の材料を使用できる。
片持ち梁11の先端部には、ミラー12が下方に突出するように取り付けられている。このミラー12は永久磁石からなっている。例えば、ミラー12は、Co、Ni、Mn、Pを電鋳し着磁することで作成されている。
このようなミラー12は、駆動部40により上下動するように構成されている。駆動部40は、ミラー挿入溝13を挟んでプラットホーム3の上面に対向配置された一対の電極8(図4参照)と、これら電極8と片持ち梁11の間に電圧を供給して、両者間に静電気力を発生させる電圧源41とからなっている。電極8は、磁性体からなっている。電極8は、例えばフォトリソグラフィで導電成膜をパターニングした後、パーマロイめっきを行うことによって形成される。その他にも、ニッケル、パーマロイ等の磁性体膜をスパッタで製作し、その後フォトリソグラフィとエッチングで電極パターンとする方法もある。
以上のように構成した光スイッチ1において、図2に示すようなフリーの状態では、片持ち梁11がプラットホーム3に対して上方に反っており、ミラー12がプラットホーム3の上方位置(第1位置)にある。このような状態では、光ファイバF1から出射された光は、スイッチ部材7をスルーし、光ファイバF3に入射される。
このようなフリー状態において、電圧源41より一対の電極8と片持ち梁11との間に所定の電圧をかけると、両者間に静電気力が発生し、片持ち梁11は、その付勢力に抗して弾性変形して、電極8に対して接近するようになる。それに伴い、ミラー12も下降し、ミラー挿入溝13の底部に突き当たる第2位置に達する。図3は、ミラー12が第2位置にある状態を示す図であり、図4は、図3において矢印X側から見た断面図である。このとき、ミラー12の反射面はプラットホーム3の上面に対して垂直になっている。このような状態では、光ファイバF1から出射される光は、ミラー12で反射されて光ファイバF2に向かう。
このとき、ミラー12は永久磁石で形成され、電極8は磁性体で形成されているので、片持ち梁11が電極8に近づいたときには、片持ち梁11と電極8との間に磁力が働いて片持ち梁11が電極8に吸引される。これにより、ミラー12は、図3及び図4に示す第2位置に保持された状態となる。従って、片持ち梁11と電極8との間に電圧を供給し続ける必要がなくなり、電圧消費量を抑えることができる。また、万が一停電があっても、ミラー12を第2位置に確実に保持しておくことができる。
また、ミラー12を第2位置から図2に示す第1位置に戻すときは、電圧源41により電極8と片持ち梁11との間に逆方向の静電気力を発生させる。すると、片持ち梁11が電極8から離れ、フリーの状態となる。
このように、プラットホーム3上に電極8を配置すると共に、片持ち梁11にミラー12を固定し、静電気力によりミラー12をプラットホーム3に対して上下動させる構成としたので、ミラー12を駆動させるための水平方向のスペースを大きくとらずに済む。これにより、光スイッチの小型化及び集積化を図ることができ、大規模化に適した光スイッチアレイを得ることができる。
また、ミラー12が第2位置にあるときは、ミラー12はミラー挿入溝13の底部に突き当たって、位置決めされた状態となるので、ミラー12はプラットホーム3の上面に対して垂直度が高く、且つ光ファイバF1から出射される光が高効率で反射される状態に維持される。
なお、参考までに、電極8と片持ち梁11との間隔を10μmとした場合に、電極8と片持ち梁11との間に40Vの電圧を印加すると、ミラー12がミラー挿入溝13の底部に突き当たるように構成できる。これは、比較的低い電圧値である。
このようなスイッチ部材7の製作工程の一例を図5に示す。まず、シリコン基板3Aを用意し、このシリコン基板3Aの表面に導電膜、例えばチタンをスパッタしてチタン膜14を形成する。また、シリコン基板3Aの裏面には、シリコンエッチングを行う際に、溶解しない材料(例えば窒化シリコン)の膜15をスパッタ成膜する(図5A参照)。
次に、フォトリソグラフィとエッチングによって、裏面の窒化シリコン膜15をパターニングする(図5B参照)。これは、最後のシリコンエッチングの際にマスクとなる。
続いて、フォトリソグラフィとめっきによって、チタン膜14上にニッケル製の片持ち梁11Aを形成する(図5C参照)。片持ち梁11Aは、圧縮応力がかかるようにめっき、あるいは成膜される。これによって、後の工程(図5G参照)でシリコン基板3Aをエッチングした際に、シリコン基板3A上面よりも下方に曲った片持ち梁11Aが形成されることになる。
その後、チタン膜14上にSR(シンクロトロン放射光)リソグラフィー用のレジスト16を塗布し、SRリソグラフィーを行う(図5D参照)。SRとしては1〜3オングストロームの波長を主に使用する。これは軟X線と呼ばれる領域で、波長が短いので、数μmのパターンであっても回折の影響を受けずに露光できる。また、透過性が良いので、数百μmの厚さのレジスト膜16でも露光可能であり、更に直進性が良いので、基板3Aに対して垂直なレジスト構造体を形成できる。
次に、Co、Ni、Mn、Pを電鋳し、ミラー12A及び位置決め用柱9Aを形成する(図5E参照)。例えば、レジスト16の厚さは例えば110μmとし、めっき後に研磨して高さを調節し、ミラー12Aの高さ及び位置決め用柱9Aの高さは、いずれも例えば100μmとする。
このようにミラー12Aの形成にX線リソグラフィと電鋳を用いると、基板3Aに対するミラー面の垂直度が高くなると共に、表面粗さが小さくなるので、より反射率の高いミラーを得ることができる。
続いて、電鋳により形成したCo、Ni、Mn、Pに対して着磁を行い、この後、レジスト16を除去する(図5F参照)。そして、チタン膜14をウェットエッチングで溶解し、最後にシリコン基板3AをKOH(水酸化カリウム)あるいはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)で異方性エッチングして、枠体を形成する。これにより、片持ち梁11Aの先端側が位置決め用柱9Aに対して、例えば200μmだけ下方に反るようになる(図5G参照)。
スイッチ部材7の製作に関し、上記以外の方法を図6に示す。本工程により作られるスイッチ部材7は、上記の枠体10の代わりに、片持ち梁11を反らせるための凹部をもったシリコン基板を有するものである。
このようなスイッチ部材7を製作する場合は、まずシリコン基板3Aの裏面に、図5と同様に窒化シリコンの膜15を形成し、基板3Aの表面に、エッチングマスクとなるシリコン酸化膜17を形成する(図6A参照)。そして、シリコン基板3Aの表面にチタンをスパッタし、チタン膜14を形成する(図6B参照)。続いて、フォトリソグラフィとめっきによって、チタン膜14上に片持ち梁11Aを形成する(図6C参照)。その後は、図5D〜図5Fと同様の工程を実施する(図6D〜図6F参照)。
続いて、チタン膜14をウェットエッチングで溶解する(図6G参照)。その後、フッ素系ガス、例えばXeF2でシリコン基板3Aを表面側より等方的なドライエッチングを行い、凹部3aを形成する(図6H参照)。これにより、片持ち梁11Aの先端側が凹部3aに入り込み、シリコン基板3Aの上面よりも下方に曲った片持ち梁11Aが形成されることになる。この場合には、裏面側からエッチングしていくよりも、片持ち梁11Aの反り量の制御性が良くなる。また、このようなドライエッチングを用いた場合には、エッチングを終了した後に、水分が片持ち梁11Aの表面に残って付着したままとなる事がないため、片持ち梁11Aの強度・耐久性が高くなる。
上記のようにして得られたスイッチ部材7においては、ミラー12Aと位置決め用柱9Aは同じマスクを用いたリソグラフィーで形成されるので、相対位置精度は非常に高いものとなる。また、片持ち梁11と電極8との間隔についても、高い精度で制御される。
また、プラットホーム3の製作は、以下のようにして行う。即ち、既存のダイシング技術を用いて、柱固定用穴2、光ファイバ固定用V溝4、レンズ固定用V溝5等を形成する。これらの精度は例えば1μm以下となっている。また、光ファイバ固定用V溝4、レンズ固定用V溝5の製作には、シリコンの異方性エッチングを用いることも可能である。そして、プラットホーム3の上面におけるミラー挿入溝13を挟んだ位置に、スパッタ等により一対の電極8を形成する。
このようにスイッチ部材7とプラットホーム3とを組み合わせて光スイッチ1を構成することで、設計の自由度の高い光スイッチが得られる。
なお、本実施形態では、電極8を磁性体で形成し、ミラー12を永久磁石で形成するようにしたが、電極8を永久磁石で形成し、ミラー12を磁性体で形成してもよい。この場合、電極8は、Nd−Fe−Bなどの永久磁石をスパッタして成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによってパターニングするか、あるいはフォトリソグラフィを行った後にスパッタし、リフトオフといわれる方法でパターニングして形成する。また、電極8は、前述したCo、Ni、Mn、Pをめっきして形成してもよい。ミラー12は、例えばパーマロイ電鋳で製作する。
図7は、本発明の第2の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ18は、複数の1×1スイッチ(ON/OFFスイッチ)をアレイ化したものである。光スイッチ18は、プラットホーム19を有している。このプラットホーム19の両端上面部には、一組の1×1スイッチに対して光ファイバ固定用V溝20が一本ずつ形成され、各光ファイバ固定用V溝20には光ファイバF1、F2が保持固定されている。プラットホーム19における両光ファイバ固定用V溝20間には、後述するミラー21が挿入されるミラー挿入溝51が形成され、このミラー挿入溝51は光ファイバ固定用V溝20の長手方向に延びている。
このようなプラットホーム19上には、スイッチ部材52が載置されている。このスイッチ部材52は、第1の実施形態のスイッチ部材7と同様の枠体10を有し、この枠体10の下面に設けられた複数の位置決め柱9がプラットホーム19に固定されている。枠体10には、片持ち梁22がミラー挿入溝51の長手方向に延びるように片持ち的に支持され、この片持ち梁22の先端部にはミラー21が取り付けられている。なお、図示はしないが、プラットホーム19の上面にはミラー挿入溝51を挟んで一対の電極が対向配置されている。
このような光スイッチ18において、フリーの状態では、片持ち梁22がプラットホーム19に対して上方に反っており、ミラー21がプラットホーム19の上方位置(第1位置)にある。この状態では、光ファイバF1から出射された光はスイッチ部材52をスルーして、光ファイバF2に入射される。このようなフリー状態において、片持ち梁22と電極(図示せず)との間に所定の電圧をかけると、両者間に静電気力が発生し、ミラー21が下降してミラー挿入溝51の底部に突き当たる第2位置に達する。このとき、ミラー21の反射面はプラットホーム19の上面に対して垂直となっている。この状態では、光ファイバF1から出射された光は、ミラー21で遮断または反射される。
このようにミラー挿入溝51及び片持ち梁22を光ファイバ固定用V溝20の長手方向に延びるように構成したので、1×1スイッチをアレイ化した場合に狭ピッチ化を図ることが可能となる。
図8は、本発明の第3の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ60は、第1の実施形態における電極8上にギャップ保持用のスペーサ61を設けたものである。このスペーサ61は、ミラー12が光を反射させる位置(第2位置)にあるときに、片持ち梁11と電極8とのギャップを保持するものである。
スペーサ61の材料としては、PZT(チタン酸鉛ジルコネート)、PLZT(鉛ランタン・ジルコネート・チタネート)、チタン酸バリウム等の強誘電体や、アルミナ、ジルコニア、ポリエチレン、ポリイミド等といった電荷が蓄積しにくい絶縁材料を使用するのが好ましい。強誘電体を用いる場合には、駆動電圧を低くすることができ、電荷が蓄積しにくい絶縁材料を用いる場合には、予定外の駆動(動作)を防止できる。
このようなギャップ保持用のスペーサ61の製作工程の一例を図9に示す。まず、シリコン基板62を用意し、このシリコン基板62上に、電極を形成するための膜63をスパッタ成膜し、更にこの膜63上に、スペーサを形成するための膜64をスパッタ成膜する(図9A参照)。次いで、フォトリソグラフィによって、膜64上にレジストパターン65を形成する(図9B参照)。次いで、そのレジストパターン65をマスクとして膜64をエッチングする(図9C参照)。これにより、電極63上にスペーサ64が形成されることになる。
ギャップ保持用のスペーサ61の他の製作工程を図10に示す。まず、シリコン基板66を用意し、このシリコン基板66上に、電極を形成するための膜67をスパッタ成膜する(図10A参照)。次いで、フォトリソグラフィによって、スペーサを形成するためのレジストパターン68を膜67上に形成する(図10B参照)。つまり、フォトレジストをそのままスペーサとして使用する。これにより、電極67上にスペーサ68が形成されることになる。
以上のような光スイッチ60においては、ミラー12が光路上の光をスルーさせるフリー状態(第1位置)にあるときには、片持ち梁11がスペーサ61から離間して上方に反り(図8参照)、ミラー12が光路上の光を遮断させる第2位置にあるときには、片持ち梁11がスペーサ61に接触した状態となる。これにより、ミラー12が第2位置にある状態では、片持ち梁11と電極8とのギャップが一定に保持されるようになる。また、片持ち梁11と電極8とのギャップが狭い場合に、片持ち梁11が電極8に接触することが防止される。
図11は、第3の実施形態の変形例を示したものである。同図において、本実施形態の光スイッチ60Aは、第2の実施形態と異なる構造をもったギャップ保持用のスペーサ61Aを電極8上に設けたものである。スペーサ61Aには、図12に示すように複数の円形状の穴69が形成されており、スペーサ61Aが電極8の一部を覆うように構成されている。なお、そのように電極8の一部を覆うようなスペーサとしては、メッシュ状等の構造を有するものを用いてもよい。
図13は、本発明の第4の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ23は、第1の実施形態におけるプラットホーム3の下面に、ミラー12の位置保持を解除するための電磁石24を設けたものである。片持ち梁11が光を反射させる位置(第2位置)にある状態において、片持ち梁11と電極8との吸引力よりも大きな磁力が発生するように、電磁石24のコイルに電流信号を供給すると、第2位置に自己保持されたミラー12の位置保持が解除され、片持ち梁11は図13に示すようなフリー状態に戻る。これにより、静電気力のみでミラー12の位置保持を解除する場合に比べ、電極8と片持ち梁11との間に供給する電圧値を低くすることができ、省電力化が図られる。
なお、ここでは、電磁石24をプラットホーム3の下部に配置したが、電磁石24を枠体10の上部に取り付けても構わない。
図14は、本発明の第5の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ70は、複数の1×1スイッチをアレイ化したものである。光スイッチ70は、シリコン等からなるプラットホーム71を有し、このプラットホーム71には光路としてのコア72が設けられている。プラットホーム71の上面部には、コア72の延在方向に対して垂直な方向に延びるミラー挿入溝73が形成されており、このミラー挿入溝73によってコア72が分断され、光路A,Bを形成している。また、プラットホーム71の上面には、ミラー挿入溝73の延在方向に配列された複数の電極74が設けられ、この電極74上にはギャップ保持用のスペーサ75が設けられている。
スペーサ75上には、スイッチ部材76が載置・固定されている。スイッチ部材76はシリコン基板77を有し、このシリコン基板77の表面(下面)には、SiO2等の絶縁層78を介して片持ち梁79が設けられている。片持ち梁79は、図15に示すように複数本有し、これらの片持ち梁79がプラットホーム71上の各電極74に対向するように配列されている。そして、各片持ち梁79の基端側が、スペーサ75に接合されている。
各片持ち梁79の先端部にはミラー80が取り付けられており、このミラー80がミラー挿入溝73に入り込むことで、光路A上を通る光が遮断される。ミラー80の表面には、めっきやスパッタリング等によって、光通信に用いられる赤外領域の波長の光に対して反射率の高い金属製の反射膜がコーティングされている。反射膜は、金、銀、アルミニウム等で形成されている。このような反射膜をミラー80の表面に設けることにより、ミラー80による光の吸収率が低くなるため、反射時の光損失が低減される。
また、シリコン基板77には、ミラー80が光路A上を通る光をスルーさせる位置にあるフリー状態において、片持ち梁79を上方に反らせるための凹部81が設けられている。この凹部81は、後述する等方的なエッチングによって形成されたものであり、矩形状の底面81aと4つのテーパ状の側面81bとを有している。このように片持ち梁79を上方に反らせるための構造を開放構造ではなく凹部81とすることにより、高い封止性が確保されるため、埃や水分等が片持ち梁79及びミラー80に付着することが防止される。これにより、片持ち梁79の作動に悪影響を及ぼすことは無い。
このようなスイッチ部材76の製作工程の一例を図16に示す。まず、図17に示すようなオリエンテーションフラット(オリフラ)82を有するシリコンウェハ83を用意する。このシリコンウェハ83としては、例えば厚さが1mmの3インチタイプのものを使用する。
そして、フォトリソグラフィとエッチングによって、最後のシリコンエッチングを行うためのハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成する(図16A参照)。このハードマスク84は、SiO2等で形成されている。また、ハードマスク84は、図17に示すように、複数のスイッチ部材76を形成するための矩形状のマスクパターン部85を有している。このマスクパターン部85には、各スイッチ部材76に対応する複数のスイッチ形成パターン86がマトリックス状に設けられている。
このようなハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成するときは、マスクパターン部85がオリフラ82に対して斜め方向の角度、好ましくは45度の角度をもつようにする。つまり、マスクパターン部85の縦横に対するスイッチ形成パターン86の配列方向がオリフラ82に対して斜め方向の角度をもつように、ハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成する。
続いて、シリコンウェハ83の表面にチタンの導電膜87を形成する(図16B参照)。続いて、フォトリソグラフィとめっきによって、導電膜87上にニッケル製の片持ち梁88を形成する(図16C参照)。続いて、SRリソグラフィーとめっきによって、片持ち梁88上にニッケル製のミラー89を形成する(図16D参照)。続いて、めっき又はスパッタリング等によって、ミラー89の表面に、金、銀、アルミニウム等の反射膜90を成膜する。また、片持ち梁88の下側以外に存在するチタンの導電膜87をウェットエッチングする(図16E参照)。
続いて、シリコンウェハ83を表面側からウェットエッチングすると共に、片持ち梁88下のチタンの導電膜87をウェットエッチングする(図16F参照)。ここで、シリコンウェハ83のエッチングにおいては、ニッケル製の片持ち梁88やチタンの導電膜87が溶け出さないように、エッチング液としてTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を使用するのが好ましい。そして、エッチング液の温度を70℃程度にして、25〜30μm/hのエッチングレートで、シリコンウェハ83を深さ方向に120〜400μm程度エッチングする。また、導電膜87のエッチングにおいては、エッチング液として例えばH2O2とNH4OHとの混合液(混合比1:1)を使用する。そして、エッチング液の温度を室温程度にして、0.1〜0.4μm/minのエッチングレートで、厚さ1μmの導電膜87をエッチングする。
このようなエッチングが終了した後、洗浄処理を行い、更に凍結乾燥法や臨界点乾燥法を用いた乾燥処理を行う。これにより、片持ち梁88がシリコンウェハ83に貼り付くことが防止される。
なお、ここでは、ニッケルやチタンの溶融を防止すべく、TMAHを用いてシリコンエッチングを行うものとしたが、片持ち梁88及びミラー89が溶けないものであれば、TMAH以外の異方性エッチング液、例えばKOHやNaOH等を使用してもよく、あるいは等方性エッチング液を使用してもよい。
ところで、シリコンウェハの結晶方位としては、表面の(100)面と、オリフラの(110)面と、表面に対して54度の(111)面とを有している。一般に(100)面はエッチングされやすいが、(111)面はエッチングされにくい。他方、本実施形態のように片持ち梁88下のシリコンウェハ83をエッチングするには、深さ方向にエッチングするだけではなく、側方にもエッチングしていく、いわゆる等方的なエッチングを行う必要がある。
ここで、ハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成する場合は、図18に示すように、マスクパターン部85がオリフラ82に対して平行・垂直な角度をもつ、つまりマスクパターン部85の縦横に対するスイッチ形成パターン86の配列方向がオリフラ82に対して平行・垂直な角度をもつようにするのが一般的である。この場合には、上記のようにTMAHを用いたシリコンウェハ83のエッチング工程において、等方的なエッチングが困難になる。具体的には、側方に対するエッチングは、エッチングが進行しにくい(111)面が隙間無く並んでいる方向へのエッチングとなる。このため、図19に示すように、(100)面に対応する深さ方向のエッチングに対して、側方のエッチングがほとんど進まないため、片持ち梁88下のシリコン83がエッチングされず、結果的に片持ち梁88を反らせることはできない。
これに対し本実施形態では、マスクパターン部85がオリフラ82に対して斜め方向の角度をもつように、シリコンウェハ83の表面にハードマスク84を形成したので、側方に対するエッチングは、(111)面に対して傾いた方向へのエッチングとなる。つまり、この場合には、(111)面と(111)面でない面とを含む方向にエッチングされることになるため、(111)面でない面によって側方のエッチングが進んでいく。これにより、図16Fに示すように、片持ち梁88下のシリコン83が確実にエッチングされるため、片持ち梁88の先端側を反らせることができる。
このように高価なドライエッチングを使用しなくても、片持ち梁88及びミラー89を溶かすことなく、片持ち梁88下のシリコン83をエッチングすることができる。従って、低コスト化およびエッチング時間の短縮化を図ることが可能となる。
図20は、本発明の第6の実施形態による光スイッチを示す平面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ26はプラットホーム25を有し、このプラットホーム25の上面部には、第1の実施形態と同様の光ファイバ固定用V溝4及びレンズ固定用V溝5が設けられている。光ファイバ固定用V溝4には、光ファイバF1〜F3が保持され、レンズ固定用V溝5には、セルフォックレンズ6が固定されている。
プラットホーム25の上面部における2つのレンズ固定用V溝5間にはスイッチ部材29が設けられている。スイッチ部材29は、図21に示すように、プラットホーム25上に固定された電極30を有し、この電極30の上面には絶縁層31が設けられている。この絶縁層31としては、窒化シリコン、シリコン酸化膜などの他、パレリンなどの樹脂薄膜が使用される。
また、プラットホーム25の上面には片持ち梁28が片持ち的に支持され、この片持ち梁28は、図示しない電圧源により絶縁層31に対して当接・離間可能となるように構成されている。また、片持ち梁28の先端部には、ミラー27が上方に突出するように取り付けられている。
このような光スイッチ26において、フリーの状態では、図21Aに示すように、片持ち梁28がプラットホーム25に対して上方に反っており、ミラー27がプラットホーム25の上方位置にある。この状態において、電圧源(図示せず)により片持ち梁28と電極30との間に所定の電圧をかけると、両者間に静電気力が発生し、片持ち梁28が電極30に対して接近するようになり、それに伴ってミラー27も下降する。そして、図21Bに示すように片持ち梁28が絶縁層31に突き当たることで、ミラー27が位置決め保持される。
このような光スイッチ26においては、スイッチ部材29とプラットホーム25とを同一の工程で製作することができる。これにより、製作に必要な部品点数の削減を図ることが可能となり、製造負担が軽減できる。
なお、本実施形態において、電極30を、導電性を有する永久磁石の膜で作成し、ミラー27及び片持ち梁28の少なくともどちらか一方をパーマロイのような磁性体で形成すると、電圧を切った状態でも、ミラー27の位置は固定される。なお、電極30を磁性体とし、ミラー27及び片持ち梁28の少なくともどちらか一方を永久磁石としても良い。
図22は、本発明に係る光スイッチの第7の実施形態を示す水平方向断面図であり、図23は図22のII−II線断面図であり、図24は図22のIII−III線断面図である。図22〜図24において、本実施形態の光スイッチ100は、8対の通常用光路と1つの予備用光路とを有するプロテクション用光スイッチである。
光スイッチ100はプラットホーム200を有し、このプラットホーム200の一端部には、テープファイバ130と接続された光ファイバアレイ104が配置され、プラットホーム200の他端部には、テープファイバ150と接続された光ファイバアレイ106が配置されている。
光ファイバアレイ104は、テープファイバ130から露出させた8本の光ファイバ117を互いに並列に保持しており、これらの光ファイバ117は第1通常用光路を構成している。光ファイバアレイ106は、テープファイバ150から露出させた8本の光ファイバ117を各光ファイバ117と対向するように互いに並列に保持しており、これらの光ファイバ118は第2通常用光路を構成している。光ファイバ117,118の配列ピッチは、例えば0.25mmである。
光ファイバアレイ104,106間には、コリメータレンズアレイ109,110が対向配置されている。このコリメータレンズアレイ109,110は、それぞれ、光ファイバ117,118同士を光結合させる8つのコリメータレンズ111,112を有している。これらのコリメータレンズ111,112は、例えば100〜150μm程度のコリメート径をもった光を作り出すようなレンズである。これらのレンズは、すべて同じでも良いし、光路の違いに応じて異なっていても良い。
プラットホーム200の一側部には、予備用光路を構成する1本の光ファイバ113が、光ファイバ117,118の軸心に対して垂直に延びるように配置されている。また、プラットホーム200上には、光ファイバ113を光ファイバ117に対して光結合させるコリメータレンズ114が配置されている。このコリメータレンズ114は、コリメータレンズ111,112と同じ構造をもったレンズである。
さらに、プラットホーム200上には、主ベース基板105と補助ベース基板115とがコリメータレンズ114を挟むように配置されている。これらのベース基板105,115は、Siやガラス等で形成されている。
主ベース基板105には、光ファイバ117,118の軸心方向に延びる8つの溝部107が形成され、補助ベース基板115には、各溝部107に対応した8つの溝部108が形成されている。これらの溝部107,108は、コリメータレンズ111,112間で光を空間伝搬させるために設けられたものである。なお、溝部107,108の幅は、光のコリメート径よりも大きな寸法であることは言うまでもない。
主ベース基板105の上面には、溝部107に沿って延びる細長状の複数の電極119が設けられ、この電極119はNi、Ti、Cr、Au/Cr、Au/Ti等の金属で形成されている。各電極119上には、SiO2、Si3N4、樹脂、TaO2、強誘電体等からなる絶縁層120が設けられている。
なお、プラットホーム200、光ファイバアレイ104,106、コリメータレンズアレイ109,110、主ベース基板105及び補助ベース基板115は、光スイッチ100のベース部材を構成するものである。
主ベース基板105及び補助ベース基板115の上部には、スイッチ部材121が載置・固定されている。スイッチ部材121は、Si等で形成されたスイッチ基板122を有している。スイッチ基板122の表面(下面)には、SiO2等からなる絶縁層123を介して、Ni、Cu、Ni合金、Cu合金等からなる導電性構造体124が設けられている。この導電性構造体124には8本の片持ち梁125が一体成形されており、この片持ち梁125は、電極119と対向するように主ベース基板105を突出した位置まで延びている。
各片持ち梁125の先端部には、光ファイバ117からの光を光ファイバ118に向けて水平方向に反射させるミラー126が固定されている。このミラー126は、光ファイバ117,118の軸心に対して45度で傾くように設けられており、これにより、光ファイバ117からの光が光ファイバ113に向けて垂直方向に反射するようになる。ミラー126は、導電性構造体124及び片持ち梁125と同じ金属で形成され、ミラー面にAu、Al、Ag等をスパッタ或いはめっきによりコートすることで、安定した光反射率を有している。また、ミラー126は、主ベース基板105と補助ベース基板115との間の空間に配置されているので、光導波路にミラー収納溝が設けられたような構造と異なり、光伝搬時のクロストークはほとんど生じない。
このようなスイッチ部材121は、導電性構造体124が主ベース基板105及び補助ベース基板115の上面部に固着されている。また、スイッチ基板122には、片持ち梁125を上方に反らせるための凹部122aが設けられている(図25参照)。これにより、ミラー126は上下方向に移動可能となる。
導電性構造体124と各電極119とは、電圧源127及び電気スイッチ128を介して接続されている。そして、電圧源127により導電性構造体124と電極119との間に所定の電圧を印加することで、片持ち梁125と電極119との間に静電気力(静電引力)を発生させ、ミラー126を上下動させる。電気スイッチ128は、各ミラー126を個別に駆動できるように複数(8個)有している。
なお、電極119、導電性構造体124、片持ち梁125、電圧源127及び電気スイッチ128は、各ミラー126を上下方向に移動させる駆動手段を構成するものである。
ここで、通常は、図25に示すように電気スイッチ128はオフ状態であり、全ての片持ち梁125は、導電性構造体124を支点として上方に反っている。よって、ミラー126は、上方位置(第1位置)に保持される。この状態では、光ファイバアレイ104の各光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を介して、主ベース基板105の溝部107及び補助ベース基板115の溝部108を空間伝搬し、コリメータレンズ112を介して光ファイバアレイ106の対応する光ファイバ118に入射される。
一方、電気スイッチ128をオンすると、電圧源127によって片持ち梁125と電極119との間に所定の電圧が印加され、片持ち梁125と電極119との間に生じる静電気力によって片持ち梁125が電極119に引き寄せられ、図23に示すようにミラー126が下降し、下方位置(第2位置)に保持される。このとき、片持ち梁125と電極119との間には絶縁層120が存在するため、片持ち梁125が電極119に接触することは無い。この状態では、光ファイバアレイ104の光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を介して主ベース基板105の溝部107を空間伝搬し、ミラー126で垂直方向に反射される。そして、その反射光は、主ベース基板105と補助ベース基板115との間を空間伝搬し、コリメータレンズ114を介して光ファイバ113に入射される。
なお、ここでは、プラットホーム200上に主ベース基板105及び補助ベース基板115を設ける構成としたが、主ベース基板105だけでスイッチ部材121を十分に支持できるのであれば、補助ベース基板115は特に設けなくてもよい。
図26は、スイッチ部材121の製作プロセスの一例を示したものである。同図において、まずSi基板300を用意し、このSi基板300の表面の一部に熱酸化膜(SiO2膜)131をパターンニングする(図26A)。続いて、フォトリソグラフィ及びNiめっきによって、Si基板300及び熱酸化膜131上に片持ち梁部132を形成する(図26B)。続いて、SR(シンクロトロン放射光)リソグラフィーによって、片持ち梁部132上にレジスト133を形成する(図26C)。続いて、Niめっきによって、片持ち梁部132上にミラー部134を形成する(図26D)。続いて、片持ち梁部132上のレジスト133を剥離する(図26E)。次いで、ミラー面にAu、Al、Ag等をスパッタ或いはめっきによりコートする。続いて、Si基板300における片持ち梁132部の下側部分をエッチングする(図26F)。これにより、上記のスイッチ部材121が得られる。そして、そのスイッチ部材121をひっくり返して、別途製作された主ベース基板105及び補助ベース基板115に組み付ける(図26G)。
以上のような光スイッチ1は、図27及び図28に示すように、箱状のパッケージ135に収納されている。このようなパッケージ135に光スイッチ1を組み入れる場合は、まず光ファイバアレイ104,106、コリメータレンズアレイ109,110、光ファイバ113及びコリメータレンズ114が予め実装されたプラットホーム200を、パッケージ135のパッケージ本体136内に入れて固定させる。続いて、スイッチ部材121、主ベース基板105及び補助ベース基板115からなる光スイッチデバイスを、プラットホーム200の所定位置にアライメントして実装する。続いて、スイッチ部材121の導電性構造体124と主ベース基板105の各電極119とを、パッケージ本体136の外部に配置された電圧源127及び電気スイッチ128に配線接続する。そして最後に、パッケージ本体136の上部にパッケージ蓋137を取り付けて封止する。
以上のように構成した光スイッチ100において、通常使用時は、図25に示すように、全てのミラー126を上方に待避させておく。この場合には、光ファイバアレイ104の各光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111,112を介して、そのまま光ファイバアレイ106の対応する光ファイバ118に入射される。
一方、いずれかの光ファイバ118に断線、故障等の不具合が生じたときは、図23に示すように、その光ファイバ118に対応するミラー126を下げる。この場合には、当該光ファイバ118に対応する光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を通った後、ミラー126で反射し、その反射光がコリメータレンズ114を介して予備用光路である光ファイバ113に入射される。従って、光伝送不能になることが回避される。
ここで、ミラー126は上下方向に駆動可能な構成となっているので、ミラー126を水平方向に駆動させる場合に比べて、光が空間伝搬する主ベース基板105の各溝部107の配列ピッチ(チャンネル間ピッチ)を大幅に小さくすることが可能となる。この場合には、ミラー126で反射された光が空間伝搬する時のビーム発散が抑制されるため、光ファイバ113に対する光の挿入損失が低減される。特に、光ファイバ113から離れた位置を空間伝搬する光において、そのような効果が顕著に現れる。また、チャンネル間ピッチを小さくすることで、各ミラー126と光ファイバ113との間の光路長差が小さくなるため、各チャンネル間における光の挿入損失のばらつきも低減される。
また、ミラー126で反射された光がそのままコリメータレンズ114を介して光ファイバ113に入射されるので、ミラーの反射による光損失を最小限に抑えることができる。この場合には、光の伝搬距離を長くすることが可能となる。
なお、本実施形態では、予備用光路としての光ファイバ113を、通常用光路としての光ファイバ117,118に対して垂直方向に延びるように設けたが、光ファイバ113を光ファイバ117,118に対して斜め方向に延びるように構成してもよい。この場合には、光ファイバ117からの光がミラー126で反射したときに、確実に光ファイバ113に向かうように、ミラー126の配置角度を設定する。
また、本実施形態では、光ファイバ117から出射された光を光ファイバ118に入射させるものとしたが、これとは逆に、光ファイバ118から出射された光を光ファイバ117に入射させてもよい。この場合、予備用光路としての光ファイバ113の使用時には、光ファイバ113から出射された光は、コリメータレンズ114を通った後にミラー126で反射し、その反射光がコリメータレンズ111を介して光ファイバ117に入射されることになる。
図29は、本発明に係る光スイッチの第8の実施形態を示す水平方向断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ400は、上述した実施形態における光ファイバアレイ106、コリメータレンズアレイ110及び補助ベース基板115の代わりに、光ファイバアレイ141、コリメータレンズアレイ142及び補助ベース基板143を有している。
光ファイバアレイ141は、テープファイバ140から露出させた9本の光ファイバ145を互いに並列に保持しており、そのうち8本の光ファイバ145aは第2通常用光路を構成し、一端側に位置する残りの1本の光ファイバ145bは予備用光路を構成している。従って、光ファイバ145bは、各光ファイバ117,145aに対して平行に延びることになる。
コリメータレンズアレイ142は9つのコリメータレンズ146を有し、そのうち8つのコリメータレンズ146aは、通常用光路である光ファイバ117,145a同士を光結合させるものであり、他の1つのコリメータレンズ146bは、光ファイバ145bを光ファイバ117に対して光結合させるものである。
また、補助ベース基板143には9つの溝部147が形成されており、これらの溝部147は、各コリメータレンズ146aに対応する8つの溝部147aと、コリメータレンズ146bに対応する1つの溝部147bとからなっている。
主ベース基板105と補助ベース基板143との間における溝部147bに対応する位置には、ミラー126で反射した光を光ファイバ145aに向けて水平方向に反射させる固定ミラー148が配置されている。この固定ミラー148も、ミラー126と同様に、光ファイバ117,145の軸心に対して45度で傾くように設けられている。
このように構成した光スイッチ400において、予備用光路に切り換えるべくミラー126を下げた場合、光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を介して主ベース基板105の溝部107内を空間伝搬し、ミラー126で反射される。そして、その反射光は、主ベース基板105と補助ベース基板143との間を空間伝搬し、固定ミラー148で反射される。そして、その反射光は、補助ベース基板143の溝部147b内を空間伝搬し、コリメータレンズ146bを介して光ファイバ145aに入射される。
以上のような本実施形態にあっては、複数の通常用光路としての光ファイバ145aと予備用光路としての光ファイバ145bとを、1つの光ファイバアレイ141及び1枚の光ファイバテープ心線144でまとめて形成したので、予備用光路としての光ファイバの強度が高くなり、信頼性が向上する。また、予備用光路としての光ファイバをプラットホーム200に組み付ける作業(アセンブリ)が簡便に行える。さらに、通常用光路に対応する複数のコリメータレンズ146aと予備用光路に対応するコリメータレンズ146bとを、1つのコリメータレンズアレイ142としてまとめて形成したので、コリメータレンズのアセンブリが簡便に行える。
図30は、本発明に係る光スイッチの第9の実施形態を示す水平方向断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ500は、3対の通常用光路に対して1つの予備用光路を有するものを2組設けた光スイッチである。
この光スイッチ500においては、光ファイバアレイ141に保持された9本の光ファイバ145のうち、6本の光ファイバ145aを通常用光路として使用し、2本の光ファイバ145bを予備用光路として使用し、残りの1本を未使用としている。また、コリメータレンズアレイ142のコリメータレンズ146(146a,146b)及び補助ベース基板143の溝部147(147a,147b)は、光ファイバ145(145a,145b)に対応して構成されている。
主ベース基板105と補助ベース基板143との間には、光ファイバ145bの本数に対応して2つの固定ミラー148が配置されている。また、光スイッチ500は、上述した実施形態におけるスイッチ部材121の代わりに、6本の片持ち梁125をもったスイッチ部材151を有している。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、静電気力を用いてミラーを上下動させる構成としたが、特にこれに限らず、例えば電磁力によりミラーを上下動させてもよい。
また、上記実施形態では、ミラーが光路上を通る光を通過させる位置をフリー状態としているが、ミラーが光路上を通る光を遮断させる位置をフリー状態としてもよい。この場合には、例えば磁力によって、光路上を通る光を通過させる位置にミラーを自己保持させることもできる。
さらに、上記実施形態の光スイッチは、1×2スイッチや1×1スイッチ等をアレイ化したものであるが、単独の1×2スイッチや1×1スイッチ等であってもよい。また、本発明は、n×nマトリクススイッチ等にも適用可能である。
また、上記実施形態では、同一の光スイッチを複数配列したものを示したが、特にこれに限らず、異なる光スイッチを複数配列しても良い。
また、上記実施形態の光スイッチは、光アッテネータとして機能させることも可能である。即ち、静電気力や電磁力を制御してミラーの駆動ストロークを調整することにより、光の透過度を変化させることができる。
また、上記実施形態は、片持ち梁と電極との間に生じる静電気力によってミラーを上下動させるものであるが、特にこれに限らず、電磁力等を利用してミラーを上下動させる構成としてもよい。
また、本発明に係る光スイッチの光路の一部が光ファイバで構成されたが、本発明は、光路の一部が光導波路で構成された光スイッチにも適用可能である。
さらに、上記の第7、第8、および第9の実施形態では、予備用光路が1つのものに限らず、通常用光路数/予備用光路数が異なる多種多様なタイプの光スイッチを構成することができる。
産業上の利用可能性
本発明は、ベース部材に支持された片持ち梁にミラーを取り付け、光路上を通る光を通過させる第1位置と光路上を通る光を遮断させる第2位置との間でミラーを上下動させるようにしたので、小型で集積化されたON/OFFスイッチ、1×2スイッチ、n×nマトリクススイッチ等を得ることができる。
その結果、光通信や光計測等の分野において、光スイッチの小型化及び集積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
図2は、図1に示すミラーが光を通過させる位置にある状態を示す垂直方向断面図である。
図3は、図1に示すミラーが光を遮断させる位置にある状態を示す垂直方向断面図である。
図4は、図2に示す片持ち梁と電極の配置部位を示す断面図である。
図5A〜図5Gは、図2に示すスイッチ部材の製作工程の一例を示す図である。
図6A〜図6Hは、図2に示すスイッチ部材の製作工程の他の例を示す図である。
図7は、本発明の第2の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
図8は、本発明の第3の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。
図9A〜図9Cは、図8に示すギャップ保持用スペーサの製作工程の一例を示す図である。
図10A,図10Bは、図8に示すギャップ保持用スペーサの製作工程の他の例を示す図である。
図11は、本発明の第3の実施形態による光スイッチの変形例を示す垂直方向断面図である。
図12は、図11に示すギャップ保持用スペーサの平面図である。
図13は、本発明の第4の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。
図14は、本発明の第5の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。
図15は、図14に示すスイッチ部材の平面図である。
図16A〜図16Fは、図14に示すスイッチ部材の製作工程の一例を示す図である。
図17は、図14に示すスイッチ部材の製作工程において、シリコンウェハの表面にハードマスクを形成した状態を示す図である。
図18は、シリコンウェハの表面にハードマスクを形成した状態の一般例を示す図である。
図19は、図18に示すハードマスクが形成されたシリコンウェハをウェットエッチングした状態を示す図である。
図20は、本発明の第6の実施形態による光スイッチを示す平面図である。
図21A,図21Bは、図20に示すミラーが光を通過させる位置と光を遮断させる位置にある状態を示す垂直方向断面図である。
図22は、本発明の第7の実施形態による光スイッチの一実施形態を示す水平方向断面図である。
図23は、図21のII−II線断面図である。
図24は、図21のIII−III線断面図である。
図25は、図23に示す光スイッチが通常使用時にあるときの状態を示す断面図である。
図26A〜図26Gは、図23及び図24に示すスイッチ部材の製作プロセスの一例を示す図である。
図27は、図21に示す光スイッチがパッケージに収納された状態を示す水平方向断面図である。
図28は、図21に示す光スイッチがパッケージに収納された状態を示す垂直方向断面図である。
図29は、本発明の第8の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
図30は、本発明の第9の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
本発明は、光通信や光計測等に用いられる光スイッチに関するものである。
背景技術
近年、いわゆるIT革命に象徴されるように、通信技術が世界を大きく変えつつある。その趨勢の中、通信容量が飛躍的に増大しており、それを支える情報通信ネットワーク技術も著しい進歩を遂げている。これまで光ファイバの導入により通信容量が増大されてきたが、更に多くの光ファイバが導入されたとしても、通信容量を更に増大するのは難しくなりつつある。このような状況のもと、波長多重伝送、全光化ネットワークなどに関連する技術が世界中で研究開発されている。
通信容量増大のためのキーデバイスの一つとして、光スイッチが注目されている。波長多重化が進むに従って、処理される情報量は飛躍的に増大すると考えられる。従来の情報通信ネットワークでは、光信号を電気信号に変換し、電気信号をスイッチング処理し、再び電気信号から光信号に変換しているため、電気信号部分での信号伝送速度の低下といった問題がある。このような理由により、光信号そのもののスイッチングを可能とする光スイッチが注目を集めている。
今後、通信ネットワークの複雑化に伴い、通信ネットワークにおいて膨大な数の光スイッチが使用されることが予想される。そのため、光スイッチの小型化および集積化が望まれている。
そこで近年、マイクロマシン技術を用いた光スイッチの開発が活発に行われている。例えば、Robustness and Reliability of Micromachined Scanning Mirrors,Proc.of MOEMS’99,pp.120−125,1999(以下、第1文献という)には、表面マイクロマシニングによって形成したミラーを、同時に形成した静電アクチュエータで基板上に立てて使用するものが記載されている。また、Micromachines for Wavelength Multiplexed Telecommunications,Proc.of MOEMS’99,pp.126−131,1999(以下、第2文献という)には、表面マイクロマシン技術で形成したミラーを、基板上に立てるのでなく、基板上で数度チルトすることで光の反射方向を変える方式が記載されている。
発明の開示
本発明の目的は、小型化及び集積化を図ることができる光スイッチを提供することである。
本発明の一側面に係る光スイッチは、光路を有するベース部材と、ベース部材に支持された片持ち梁と、片持ち梁に取り付けられ、光路上を通る光を遮断するミラーと、光路上を通る光を通過させる第1位置と光路上を通る光を遮断させる第2位置との間でミラーを上下動させる駆動手段とを備え、ミラーが第1位置にあるときは、ミラーがベース部材の上方に位置し、ミラーが第2位置にあるときは、ミラーがベース部材の上面部で位置決めされるように構成されていることを特徴とするものである。
このような光スイッチにおいて、例えばミラーが第1位置にあるときにフリー(初期)状態となる場合に、駆動手段を作動すると、ミラーは、片持ち梁を付勢力に抗して弾性変形させながら下降して第2位置に達する。このようにミラーをベース部材の上面に直交させる方向に上下動させる構成とすることにより、ミラーを水平方向(ベース部材の上面に平行な方向)に移動させる場合に比べて、水平方向のスペースを大きくとらずに済む。これにより、光スイッチの小型化及び集積化を図ることができる。また、ミラーが第2位置にあるときには、ミラーが例えばベース部材の上面部と嵌め合って位置決めされるので、ミラーの向きは反射率の良好な状態に維持される。
好ましくは、駆動手段は、ベース部材上に設けられた電極と、電極と片持ち梁との間に静電気力を発生させる手段とを有する。これにより、駆動手段を簡単かつ小型な構成で実現できる。
この場合、電極上には、ミラーが第2位置にあるときに電極と片持ち梁とのギャップを保持するためのスペーサが設けられている。これにより、ミラーが第2位置にあるときに、片持ち梁と電極とのギャップを一定にすることができる。また、片持ち梁と電極とのギャップが狭い場合に、片持ち梁が電極に接触することを防止できる。
また、好ましくは、ミラーを第1位置または第2位置に保持する位置保持手段を更に備える。これにより、電極と片持ち梁との間に電気信号を供給し続ける必要がなくなるため、電力消費量を抑えることができる。また、停電時などにおいても有効である。
この場合、好ましくは、ミラーは磁性体からなり、電極は永久磁石からなり、位置保持手段は、ミラーと電極との間に生じる磁力によりミラーを第2位置に保持する手段である。これにより、ミラーを簡単な構成で第2位置に自己保持させることができる。
また、ミラーは永久磁石からなり、電極は磁性体からなり、位置保持手段は、ミラーと電極との間に生じる磁力によりミラーを第2位置に保持する手段であってもよい。この場合も、ミラーを簡単な構成で第2位置に自己保持させることができる。
また、好ましくは、位置保持手段によるミラーの位置保持を解除するための電磁石を更に備える。これにより、静電気力のみでミラーの位置保持を解除する場合に比べて、ミラーの位置保持解除時に、電極と片持ち梁との間に供給する電圧値を低くできるため、省電力化が図れる。
また、好ましくは、ミラーは、X線リソグラフィ及び電鋳を用いることにより、片持ち梁と一体的に形成されたものである。これにより、ミラー反射面の平坦度が良くなると共に、ミラー反射面が滑らかになるので、ミラーの反射率が高くなる。
さらに、好ましくは、ミラーの表面には、金、銀、アルミニウムのいずれかの膜がコーティングされている。これにより、赤外光のような光通信用波長帯域の光に対して反射率の高いミラーを得ることができる。
また、好ましくは、片持ち梁を挟むようにベース部材の上部に設けられたシリコン構造体を更に備え、片持ち梁、ミラー及びシリコン構造体でスイッチ部材を構成する。この場合には、シリコン構造体によって封止性が確保されるため、片持ち梁及びミラーを埃や水分等から保護することができる。
この場合、好ましくは、ミラーを有する片持ち梁をシリコン構造体の表面に形成し、フッ素系ガスを用いてシリコン構造体をエッチングすることにより、スイッチ部材を形成した構成とする。これにより、エッチング終了後に、片持ち梁の表面に水分が付着したままの状態となることが無いため、片持ち梁の強度・耐久性が高くなる。
また、好ましくは、スイッチ部材を形成するためのマスクパターン部が設けられたマスクを、マスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して斜め方向の角度をもつようにシリコンウェハの表面に形成し、その後でミラーを有する片持ち梁をシリコンウェハの表面に形成し、エッチング液を用いてシリコンウェハを表面側よりエッチングすることにより、スイッチ部材を形成した構成とする。
ミラーが第1位置にあるときに、ミラーをベース部材の上方に位置させるには、スイッチ部材の製作時に、シリコンを深さ方向及び側方にエッチングすることにより、片持ち梁を反らせるための凹部をシリコン構造体に形成する必要がある。ここで、HF+HNO3に代表される等方性エッチング液では、ほとんどの金属を溶かすため、材料選定の自由度が狭まる。一方、異方性エッチング液では材料の選択肢は増えるが、マスクのマスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して平行または垂直な方向の角度をもつように、シリコンウェハの表面にマスクを形成した場合には、側方に対するエッチングは、結晶方位としてエッチングされにくい(111)面に対応する方向へのエッチングとなる。このため、深さ方向のエッチングだけが進行し、側方のエッチングが進行しないことがある。そこで、上述したようにマスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して斜め方向の角度をもつように、シリコンウェハの表面にマスクを形成することにより、側方に対するエッチングは、(111)面とこれ以外の面とを含む方向へのエッチングとなる。このため、異方性エッチング液を使用した場合であっても、側方のエッチングが進行するようになる。従って、安価なエッチング液を用いて、片持ち梁下のシリコンを効率良くエッチングすることができ、これにより片持ち梁を反らせることが可能となる。
この場合、好ましくは、エッチング液は水酸化テトラメチルアンモニウムである。これにより、片持ち梁及びミラーの材質として、応力制御が容易なニッケル等を使用する場合に、片持ち梁及びミラーを溶かすことなく、片持ち梁下のシリコンをエッチングすることができる。
また、好ましくは、電極の上面には絶縁層が設けられ、片持ち梁は、絶縁層に対して当接・離間可能となるようにベース部材に支持されている。これにより、片持ち梁およびミラーを含む部分と電極を含むベース部材とを同時に形成することが可能となるため、製作に必要な部品点数を減少させることができる。
本発明の他の側面に係る光スイッチは、複数の第1通常用光路と当該各第1通常用光路に対向配置された複数の第2通常用光路と少なくとも1つの予備用光路とを有するベース部材と、ベース部材に支持され、第1通常用光路または予備用光路からの光を水平方向に反射させる複数の可動ミラーと、各可動ミラーを上下方向に移動させる駆動手段とを備えることを特徴とするものである。
このような光スイッチにおいて、例えば、通常時には可動ミラーをベース部材に対して上方に位置させ、第1通常用光路から出射された光を、そのまま第2通常用光路に入射させる。一方、予備用光路を使用するときは、可動ミラーを下げ、第1通常用光路から出射された光を可動ミラーで反射させて予備用光路に入射させる。このように可動ミラーを上下方向に駆動させることにより、各通常用光路におけるチャンネル間ピッチを狭くすることが可能となる。そのため、光スイッチの小型化および集積化を図ることができる。
また、この場合には、空間伝搬型光スイッチを構成したときに、可動ミラーと予備用光路との間の光路長を短くすることができるので、ビーム発散が抑制される。このため、光路に対する光の挿入損失を低減することができる。さらに、各可動ミラーと予備用光路との間の光路長差が小さくなるため、各チャンネル間における光の挿入損失のばらつきを低減することができる。
好ましくは、第1通常用光路と第2通常用光路とを光結合させると共に、第1通常用光路と予備用光路とを光結合させる複数のコリメータレンズを更に備える。この場合には、高性能な空間伝搬型光スイッチを簡単に構成することができる。
また、好ましくは、予備用光路は、各第1通常用光路に対して垂直方向または斜め方向に延びるように構成されている。このように構成することにより、例えば第1通常用光路から出射された光を、可動ミラーで反射させて予備用光路に直接入射させることが可能となる。この場合には、ミラーが一つなので反射による光損失が最小限に抑えられる。
また、予備用光路は、各第1通常用光路に対して平行に延びるように構成され、ベース部材には、可動ミラーで反射された光または予備用光路からの光を水平方向に反射させる固定ミラーが設けられていてもよい。このように構成することにより、例えば第1通常用光路から出射された光を可動ミラーで反射させ、その反射光を更に固定ミラーで反射させて予備用光路に入射させることが可能となる。この場合には、複数の第2通常用光路と予備用光路とを1枚の同一の光ファイバテープ心線で形成することができ、機械的強度が高くなり、有利である。
さらに、好ましくは、駆動手段は、ベース部材に片持ち支持され、可動ミラーが固定された複数の片持ち梁と、各片持ち梁と対向するようにベース部材の上面部に設けられた複数の電極と、片持ち梁と電極との間に静電気力を発生させる手段とを有する。この場合には、駆動手段を簡単な構成で実現することができる。
本発明に係るプロテクション用光スイッチは、上記の光スイッチを応用したことを特徴とする。これにより、小型化および集積化されたプロテクション用の光スイッチが実現される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る光スイッチの好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図であり、図2はその光スイッチの垂直方向の一部断面図である。これらの図において、本実施形態の光スイッチ1は、複数の1×2スイッチをアレイ化したものであり、シリコン等からなるプラットホーム(ベース部材)3を有している。このプラットホーム3の両端上面部には、1組の1×2スイッチに対して、光ファイバ固定用V溝4が2本ずつ形成されている。一端側の光ファイバ固定用V溝4には、光ファイバF1、F2が保持固定され、他端側の光ファイバ固定用V溝4の一つには光ファイバF3が保持固定されている。光ファイバF1、F2およびF3は、光路の一部を構成している。
なお、本実施形態の光スイッチ1は1×2スイッチであるが、残りの光ファイバ固定用V溝4にも光ファイバを保持させることで、2×2スイッチを構成することも可能である。
プラットホーム3の上面部における光ファイバ固定用V溝4の内側には、1対のレンズ固定用V溝5が設けられ、各レンズ固定用V溝5には、セルフォックレンズ6が位置決め固定されている。また、プラットホーム3の上面部における2つのレンズ固定用V溝5間には、後述するミラー12が挿入されるミラー挿入溝13が形成され、このミラー挿入溝13は、各1×2スイッチの配列方向に延びている。なお、このような光ファイバ固定用V溝4及びレンズ固定用V溝5の他に、用途に応じて、他の光学部品との位置合わせに用いるアライメントピンを位置決め接着するための溝などが設けられることもある。
このようなプラットホーム3上には、スイッチ部材7が載置・固定されている。スイッチ部材7はシリコンで形成された枠体10を有し、この枠体10の下面には、プラットホーム3とスイッチ部材7との位置合わせを行うための複数の位置決め柱9が設けられている。各位置決め柱9は、プラットホーム3上に形成された柱固定用穴2に挿入されている。
枠体10には、例えば板バネからなる片持ち梁11がミラー挿入溝13の長手方向に延びるように片持ち的に支持されている。これにより、片持ち梁11は、プラットホーム3と枠体10とに挟まれた状態となる。ここで、片持ち梁11は、容易に破壊しないように、応力制御が容易なニッケル(Ni)等の金属製であることが好ましい。なお、片持ち梁11の材料としては、特にニッケルには限定されず、タングステンやタンタル等の金属をスパッタしたもの、あるいは酸化シリコンや窒化シリコン等といったシリコン系の材料を使用できる。
片持ち梁11の先端部には、ミラー12が下方に突出するように取り付けられている。このミラー12は永久磁石からなっている。例えば、ミラー12は、Co、Ni、Mn、Pを電鋳し着磁することで作成されている。
このようなミラー12は、駆動部40により上下動するように構成されている。駆動部40は、ミラー挿入溝13を挟んでプラットホーム3の上面に対向配置された一対の電極8(図4参照)と、これら電極8と片持ち梁11の間に電圧を供給して、両者間に静電気力を発生させる電圧源41とからなっている。電極8は、磁性体からなっている。電極8は、例えばフォトリソグラフィで導電成膜をパターニングした後、パーマロイめっきを行うことによって形成される。その他にも、ニッケル、パーマロイ等の磁性体膜をスパッタで製作し、その後フォトリソグラフィとエッチングで電極パターンとする方法もある。
以上のように構成した光スイッチ1において、図2に示すようなフリーの状態では、片持ち梁11がプラットホーム3に対して上方に反っており、ミラー12がプラットホーム3の上方位置(第1位置)にある。このような状態では、光ファイバF1から出射された光は、スイッチ部材7をスルーし、光ファイバF3に入射される。
このようなフリー状態において、電圧源41より一対の電極8と片持ち梁11との間に所定の電圧をかけると、両者間に静電気力が発生し、片持ち梁11は、その付勢力に抗して弾性変形して、電極8に対して接近するようになる。それに伴い、ミラー12も下降し、ミラー挿入溝13の底部に突き当たる第2位置に達する。図3は、ミラー12が第2位置にある状態を示す図であり、図4は、図3において矢印X側から見た断面図である。このとき、ミラー12の反射面はプラットホーム3の上面に対して垂直になっている。このような状態では、光ファイバF1から出射される光は、ミラー12で反射されて光ファイバF2に向かう。
このとき、ミラー12は永久磁石で形成され、電極8は磁性体で形成されているので、片持ち梁11が電極8に近づいたときには、片持ち梁11と電極8との間に磁力が働いて片持ち梁11が電極8に吸引される。これにより、ミラー12は、図3及び図4に示す第2位置に保持された状態となる。従って、片持ち梁11と電極8との間に電圧を供給し続ける必要がなくなり、電圧消費量を抑えることができる。また、万が一停電があっても、ミラー12を第2位置に確実に保持しておくことができる。
また、ミラー12を第2位置から図2に示す第1位置に戻すときは、電圧源41により電極8と片持ち梁11との間に逆方向の静電気力を発生させる。すると、片持ち梁11が電極8から離れ、フリーの状態となる。
このように、プラットホーム3上に電極8を配置すると共に、片持ち梁11にミラー12を固定し、静電気力によりミラー12をプラットホーム3に対して上下動させる構成としたので、ミラー12を駆動させるための水平方向のスペースを大きくとらずに済む。これにより、光スイッチの小型化及び集積化を図ることができ、大規模化に適した光スイッチアレイを得ることができる。
また、ミラー12が第2位置にあるときは、ミラー12はミラー挿入溝13の底部に突き当たって、位置決めされた状態となるので、ミラー12はプラットホーム3の上面に対して垂直度が高く、且つ光ファイバF1から出射される光が高効率で反射される状態に維持される。
なお、参考までに、電極8と片持ち梁11との間隔を10μmとした場合に、電極8と片持ち梁11との間に40Vの電圧を印加すると、ミラー12がミラー挿入溝13の底部に突き当たるように構成できる。これは、比較的低い電圧値である。
このようなスイッチ部材7の製作工程の一例を図5に示す。まず、シリコン基板3Aを用意し、このシリコン基板3Aの表面に導電膜、例えばチタンをスパッタしてチタン膜14を形成する。また、シリコン基板3Aの裏面には、シリコンエッチングを行う際に、溶解しない材料(例えば窒化シリコン)の膜15をスパッタ成膜する(図5A参照)。
次に、フォトリソグラフィとエッチングによって、裏面の窒化シリコン膜15をパターニングする(図5B参照)。これは、最後のシリコンエッチングの際にマスクとなる。
続いて、フォトリソグラフィとめっきによって、チタン膜14上にニッケル製の片持ち梁11Aを形成する(図5C参照)。片持ち梁11Aは、圧縮応力がかかるようにめっき、あるいは成膜される。これによって、後の工程(図5G参照)でシリコン基板3Aをエッチングした際に、シリコン基板3A上面よりも下方に曲った片持ち梁11Aが形成されることになる。
その後、チタン膜14上にSR(シンクロトロン放射光)リソグラフィー用のレジスト16を塗布し、SRリソグラフィーを行う(図5D参照)。SRとしては1〜3オングストロームの波長を主に使用する。これは軟X線と呼ばれる領域で、波長が短いので、数μmのパターンであっても回折の影響を受けずに露光できる。また、透過性が良いので、数百μmの厚さのレジスト膜16でも露光可能であり、更に直進性が良いので、基板3Aに対して垂直なレジスト構造体を形成できる。
次に、Co、Ni、Mn、Pを電鋳し、ミラー12A及び位置決め用柱9Aを形成する(図5E参照)。例えば、レジスト16の厚さは例えば110μmとし、めっき後に研磨して高さを調節し、ミラー12Aの高さ及び位置決め用柱9Aの高さは、いずれも例えば100μmとする。
このようにミラー12Aの形成にX線リソグラフィと電鋳を用いると、基板3Aに対するミラー面の垂直度が高くなると共に、表面粗さが小さくなるので、より反射率の高いミラーを得ることができる。
続いて、電鋳により形成したCo、Ni、Mn、Pに対して着磁を行い、この後、レジスト16を除去する(図5F参照)。そして、チタン膜14をウェットエッチングで溶解し、最後にシリコン基板3AをKOH(水酸化カリウム)あるいはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)で異方性エッチングして、枠体を形成する。これにより、片持ち梁11Aの先端側が位置決め用柱9Aに対して、例えば200μmだけ下方に反るようになる(図5G参照)。
スイッチ部材7の製作に関し、上記以外の方法を図6に示す。本工程により作られるスイッチ部材7は、上記の枠体10の代わりに、片持ち梁11を反らせるための凹部をもったシリコン基板を有するものである。
このようなスイッチ部材7を製作する場合は、まずシリコン基板3Aの裏面に、図5と同様に窒化シリコンの膜15を形成し、基板3Aの表面に、エッチングマスクとなるシリコン酸化膜17を形成する(図6A参照)。そして、シリコン基板3Aの表面にチタンをスパッタし、チタン膜14を形成する(図6B参照)。続いて、フォトリソグラフィとめっきによって、チタン膜14上に片持ち梁11Aを形成する(図6C参照)。その後は、図5D〜図5Fと同様の工程を実施する(図6D〜図6F参照)。
続いて、チタン膜14をウェットエッチングで溶解する(図6G参照)。その後、フッ素系ガス、例えばXeF2でシリコン基板3Aを表面側より等方的なドライエッチングを行い、凹部3aを形成する(図6H参照)。これにより、片持ち梁11Aの先端側が凹部3aに入り込み、シリコン基板3Aの上面よりも下方に曲った片持ち梁11Aが形成されることになる。この場合には、裏面側からエッチングしていくよりも、片持ち梁11Aの反り量の制御性が良くなる。また、このようなドライエッチングを用いた場合には、エッチングを終了した後に、水分が片持ち梁11Aの表面に残って付着したままとなる事がないため、片持ち梁11Aの強度・耐久性が高くなる。
上記のようにして得られたスイッチ部材7においては、ミラー12Aと位置決め用柱9Aは同じマスクを用いたリソグラフィーで形成されるので、相対位置精度は非常に高いものとなる。また、片持ち梁11と電極8との間隔についても、高い精度で制御される。
また、プラットホーム3の製作は、以下のようにして行う。即ち、既存のダイシング技術を用いて、柱固定用穴2、光ファイバ固定用V溝4、レンズ固定用V溝5等を形成する。これらの精度は例えば1μm以下となっている。また、光ファイバ固定用V溝4、レンズ固定用V溝5の製作には、シリコンの異方性エッチングを用いることも可能である。そして、プラットホーム3の上面におけるミラー挿入溝13を挟んだ位置に、スパッタ等により一対の電極8を形成する。
このようにスイッチ部材7とプラットホーム3とを組み合わせて光スイッチ1を構成することで、設計の自由度の高い光スイッチが得られる。
なお、本実施形態では、電極8を磁性体で形成し、ミラー12を永久磁石で形成するようにしたが、電極8を永久磁石で形成し、ミラー12を磁性体で形成してもよい。この場合、電極8は、Nd−Fe−Bなどの永久磁石をスパッタして成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングによってパターニングするか、あるいはフォトリソグラフィを行った後にスパッタし、リフトオフといわれる方法でパターニングして形成する。また、電極8は、前述したCo、Ni、Mn、Pをめっきして形成してもよい。ミラー12は、例えばパーマロイ電鋳で製作する。
図7は、本発明の第2の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ18は、複数の1×1スイッチ(ON/OFFスイッチ)をアレイ化したものである。光スイッチ18は、プラットホーム19を有している。このプラットホーム19の両端上面部には、一組の1×1スイッチに対して光ファイバ固定用V溝20が一本ずつ形成され、各光ファイバ固定用V溝20には光ファイバF1、F2が保持固定されている。プラットホーム19における両光ファイバ固定用V溝20間には、後述するミラー21が挿入されるミラー挿入溝51が形成され、このミラー挿入溝51は光ファイバ固定用V溝20の長手方向に延びている。
このようなプラットホーム19上には、スイッチ部材52が載置されている。このスイッチ部材52は、第1の実施形態のスイッチ部材7と同様の枠体10を有し、この枠体10の下面に設けられた複数の位置決め柱9がプラットホーム19に固定されている。枠体10には、片持ち梁22がミラー挿入溝51の長手方向に延びるように片持ち的に支持され、この片持ち梁22の先端部にはミラー21が取り付けられている。なお、図示はしないが、プラットホーム19の上面にはミラー挿入溝51を挟んで一対の電極が対向配置されている。
このような光スイッチ18において、フリーの状態では、片持ち梁22がプラットホーム19に対して上方に反っており、ミラー21がプラットホーム19の上方位置(第1位置)にある。この状態では、光ファイバF1から出射された光はスイッチ部材52をスルーして、光ファイバF2に入射される。このようなフリー状態において、片持ち梁22と電極(図示せず)との間に所定の電圧をかけると、両者間に静電気力が発生し、ミラー21が下降してミラー挿入溝51の底部に突き当たる第2位置に達する。このとき、ミラー21の反射面はプラットホーム19の上面に対して垂直となっている。この状態では、光ファイバF1から出射された光は、ミラー21で遮断または反射される。
このようにミラー挿入溝51及び片持ち梁22を光ファイバ固定用V溝20の長手方向に延びるように構成したので、1×1スイッチをアレイ化した場合に狭ピッチ化を図ることが可能となる。
図8は、本発明の第3の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ60は、第1の実施形態における電極8上にギャップ保持用のスペーサ61を設けたものである。このスペーサ61は、ミラー12が光を反射させる位置(第2位置)にあるときに、片持ち梁11と電極8とのギャップを保持するものである。
スペーサ61の材料としては、PZT(チタン酸鉛ジルコネート)、PLZT(鉛ランタン・ジルコネート・チタネート)、チタン酸バリウム等の強誘電体や、アルミナ、ジルコニア、ポリエチレン、ポリイミド等といった電荷が蓄積しにくい絶縁材料を使用するのが好ましい。強誘電体を用いる場合には、駆動電圧を低くすることができ、電荷が蓄積しにくい絶縁材料を用いる場合には、予定外の駆動(動作)を防止できる。
このようなギャップ保持用のスペーサ61の製作工程の一例を図9に示す。まず、シリコン基板62を用意し、このシリコン基板62上に、電極を形成するための膜63をスパッタ成膜し、更にこの膜63上に、スペーサを形成するための膜64をスパッタ成膜する(図9A参照)。次いで、フォトリソグラフィによって、膜64上にレジストパターン65を形成する(図9B参照)。次いで、そのレジストパターン65をマスクとして膜64をエッチングする(図9C参照)。これにより、電極63上にスペーサ64が形成されることになる。
ギャップ保持用のスペーサ61の他の製作工程を図10に示す。まず、シリコン基板66を用意し、このシリコン基板66上に、電極を形成するための膜67をスパッタ成膜する(図10A参照)。次いで、フォトリソグラフィによって、スペーサを形成するためのレジストパターン68を膜67上に形成する(図10B参照)。つまり、フォトレジストをそのままスペーサとして使用する。これにより、電極67上にスペーサ68が形成されることになる。
以上のような光スイッチ60においては、ミラー12が光路上の光をスルーさせるフリー状態(第1位置)にあるときには、片持ち梁11がスペーサ61から離間して上方に反り(図8参照)、ミラー12が光路上の光を遮断させる第2位置にあるときには、片持ち梁11がスペーサ61に接触した状態となる。これにより、ミラー12が第2位置にある状態では、片持ち梁11と電極8とのギャップが一定に保持されるようになる。また、片持ち梁11と電極8とのギャップが狭い場合に、片持ち梁11が電極8に接触することが防止される。
図11は、第3の実施形態の変形例を示したものである。同図において、本実施形態の光スイッチ60Aは、第2の実施形態と異なる構造をもったギャップ保持用のスペーサ61Aを電極8上に設けたものである。スペーサ61Aには、図12に示すように複数の円形状の穴69が形成されており、スペーサ61Aが電極8の一部を覆うように構成されている。なお、そのように電極8の一部を覆うようなスペーサとしては、メッシュ状等の構造を有するものを用いてもよい。
図13は、本発明の第4の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ23は、第1の実施形態におけるプラットホーム3の下面に、ミラー12の位置保持を解除するための電磁石24を設けたものである。片持ち梁11が光を反射させる位置(第2位置)にある状態において、片持ち梁11と電極8との吸引力よりも大きな磁力が発生するように、電磁石24のコイルに電流信号を供給すると、第2位置に自己保持されたミラー12の位置保持が解除され、片持ち梁11は図13に示すようなフリー状態に戻る。これにより、静電気力のみでミラー12の位置保持を解除する場合に比べ、電極8と片持ち梁11との間に供給する電圧値を低くすることができ、省電力化が図られる。
なお、ここでは、電磁石24をプラットホーム3の下部に配置したが、電磁石24を枠体10の上部に取り付けても構わない。
図14は、本発明の第5の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ70は、複数の1×1スイッチをアレイ化したものである。光スイッチ70は、シリコン等からなるプラットホーム71を有し、このプラットホーム71には光路としてのコア72が設けられている。プラットホーム71の上面部には、コア72の延在方向に対して垂直な方向に延びるミラー挿入溝73が形成されており、このミラー挿入溝73によってコア72が分断され、光路A,Bを形成している。また、プラットホーム71の上面には、ミラー挿入溝73の延在方向に配列された複数の電極74が設けられ、この電極74上にはギャップ保持用のスペーサ75が設けられている。
スペーサ75上には、スイッチ部材76が載置・固定されている。スイッチ部材76はシリコン基板77を有し、このシリコン基板77の表面(下面)には、SiO2等の絶縁層78を介して片持ち梁79が設けられている。片持ち梁79は、図15に示すように複数本有し、これらの片持ち梁79がプラットホーム71上の各電極74に対向するように配列されている。そして、各片持ち梁79の基端側が、スペーサ75に接合されている。
各片持ち梁79の先端部にはミラー80が取り付けられており、このミラー80がミラー挿入溝73に入り込むことで、光路A上を通る光が遮断される。ミラー80の表面には、めっきやスパッタリング等によって、光通信に用いられる赤外領域の波長の光に対して反射率の高い金属製の反射膜がコーティングされている。反射膜は、金、銀、アルミニウム等で形成されている。このような反射膜をミラー80の表面に設けることにより、ミラー80による光の吸収率が低くなるため、反射時の光損失が低減される。
また、シリコン基板77には、ミラー80が光路A上を通る光をスルーさせる位置にあるフリー状態において、片持ち梁79を上方に反らせるための凹部81が設けられている。この凹部81は、後述する等方的なエッチングによって形成されたものであり、矩形状の底面81aと4つのテーパ状の側面81bとを有している。このように片持ち梁79を上方に反らせるための構造を開放構造ではなく凹部81とすることにより、高い封止性が確保されるため、埃や水分等が片持ち梁79及びミラー80に付着することが防止される。これにより、片持ち梁79の作動に悪影響を及ぼすことは無い。
このようなスイッチ部材76の製作工程の一例を図16に示す。まず、図17に示すようなオリエンテーションフラット(オリフラ)82を有するシリコンウェハ83を用意する。このシリコンウェハ83としては、例えば厚さが1mmの3インチタイプのものを使用する。
そして、フォトリソグラフィとエッチングによって、最後のシリコンエッチングを行うためのハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成する(図16A参照)。このハードマスク84は、SiO2等で形成されている。また、ハードマスク84は、図17に示すように、複数のスイッチ部材76を形成するための矩形状のマスクパターン部85を有している。このマスクパターン部85には、各スイッチ部材76に対応する複数のスイッチ形成パターン86がマトリックス状に設けられている。
このようなハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成するときは、マスクパターン部85がオリフラ82に対して斜め方向の角度、好ましくは45度の角度をもつようにする。つまり、マスクパターン部85の縦横に対するスイッチ形成パターン86の配列方向がオリフラ82に対して斜め方向の角度をもつように、ハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成する。
続いて、シリコンウェハ83の表面にチタンの導電膜87を形成する(図16B参照)。続いて、フォトリソグラフィとめっきによって、導電膜87上にニッケル製の片持ち梁88を形成する(図16C参照)。続いて、SRリソグラフィーとめっきによって、片持ち梁88上にニッケル製のミラー89を形成する(図16D参照)。続いて、めっき又はスパッタリング等によって、ミラー89の表面に、金、銀、アルミニウム等の反射膜90を成膜する。また、片持ち梁88の下側以外に存在するチタンの導電膜87をウェットエッチングする(図16E参照)。
続いて、シリコンウェハ83を表面側からウェットエッチングすると共に、片持ち梁88下のチタンの導電膜87をウェットエッチングする(図16F参照)。ここで、シリコンウェハ83のエッチングにおいては、ニッケル製の片持ち梁88やチタンの導電膜87が溶け出さないように、エッチング液としてTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を使用するのが好ましい。そして、エッチング液の温度を70℃程度にして、25〜30μm/hのエッチングレートで、シリコンウェハ83を深さ方向に120〜400μm程度エッチングする。また、導電膜87のエッチングにおいては、エッチング液として例えばH2O2とNH4OHとの混合液(混合比1:1)を使用する。そして、エッチング液の温度を室温程度にして、0.1〜0.4μm/minのエッチングレートで、厚さ1μmの導電膜87をエッチングする。
このようなエッチングが終了した後、洗浄処理を行い、更に凍結乾燥法や臨界点乾燥法を用いた乾燥処理を行う。これにより、片持ち梁88がシリコンウェハ83に貼り付くことが防止される。
なお、ここでは、ニッケルやチタンの溶融を防止すべく、TMAHを用いてシリコンエッチングを行うものとしたが、片持ち梁88及びミラー89が溶けないものであれば、TMAH以外の異方性エッチング液、例えばKOHやNaOH等を使用してもよく、あるいは等方性エッチング液を使用してもよい。
ところで、シリコンウェハの結晶方位としては、表面の(100)面と、オリフラの(110)面と、表面に対して54度の(111)面とを有している。一般に(100)面はエッチングされやすいが、(111)面はエッチングされにくい。他方、本実施形態のように片持ち梁88下のシリコンウェハ83をエッチングするには、深さ方向にエッチングするだけではなく、側方にもエッチングしていく、いわゆる等方的なエッチングを行う必要がある。
ここで、ハードマスク84をシリコンウェハ83の表面に形成する場合は、図18に示すように、マスクパターン部85がオリフラ82に対して平行・垂直な角度をもつ、つまりマスクパターン部85の縦横に対するスイッチ形成パターン86の配列方向がオリフラ82に対して平行・垂直な角度をもつようにするのが一般的である。この場合には、上記のようにTMAHを用いたシリコンウェハ83のエッチング工程において、等方的なエッチングが困難になる。具体的には、側方に対するエッチングは、エッチングが進行しにくい(111)面が隙間無く並んでいる方向へのエッチングとなる。このため、図19に示すように、(100)面に対応する深さ方向のエッチングに対して、側方のエッチングがほとんど進まないため、片持ち梁88下のシリコン83がエッチングされず、結果的に片持ち梁88を反らせることはできない。
これに対し本実施形態では、マスクパターン部85がオリフラ82に対して斜め方向の角度をもつように、シリコンウェハ83の表面にハードマスク84を形成したので、側方に対するエッチングは、(111)面に対して傾いた方向へのエッチングとなる。つまり、この場合には、(111)面と(111)面でない面とを含む方向にエッチングされることになるため、(111)面でない面によって側方のエッチングが進んでいく。これにより、図16Fに示すように、片持ち梁88下のシリコン83が確実にエッチングされるため、片持ち梁88の先端側を反らせることができる。
このように高価なドライエッチングを使用しなくても、片持ち梁88及びミラー89を溶かすことなく、片持ち梁88下のシリコン83をエッチングすることができる。従って、低コスト化およびエッチング時間の短縮化を図ることが可能となる。
図20は、本発明の第6の実施形態による光スイッチを示す平面図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ26はプラットホーム25を有し、このプラットホーム25の上面部には、第1の実施形態と同様の光ファイバ固定用V溝4及びレンズ固定用V溝5が設けられている。光ファイバ固定用V溝4には、光ファイバF1〜F3が保持され、レンズ固定用V溝5には、セルフォックレンズ6が固定されている。
プラットホーム25の上面部における2つのレンズ固定用V溝5間にはスイッチ部材29が設けられている。スイッチ部材29は、図21に示すように、プラットホーム25上に固定された電極30を有し、この電極30の上面には絶縁層31が設けられている。この絶縁層31としては、窒化シリコン、シリコン酸化膜などの他、パレリンなどの樹脂薄膜が使用される。
また、プラットホーム25の上面には片持ち梁28が片持ち的に支持され、この片持ち梁28は、図示しない電圧源により絶縁層31に対して当接・離間可能となるように構成されている。また、片持ち梁28の先端部には、ミラー27が上方に突出するように取り付けられている。
このような光スイッチ26において、フリーの状態では、図21Aに示すように、片持ち梁28がプラットホーム25に対して上方に反っており、ミラー27がプラットホーム25の上方位置にある。この状態において、電圧源(図示せず)により片持ち梁28と電極30との間に所定の電圧をかけると、両者間に静電気力が発生し、片持ち梁28が電極30に対して接近するようになり、それに伴ってミラー27も下降する。そして、図21Bに示すように片持ち梁28が絶縁層31に突き当たることで、ミラー27が位置決め保持される。
このような光スイッチ26においては、スイッチ部材29とプラットホーム25とを同一の工程で製作することができる。これにより、製作に必要な部品点数の削減を図ることが可能となり、製造負担が軽減できる。
なお、本実施形態において、電極30を、導電性を有する永久磁石の膜で作成し、ミラー27及び片持ち梁28の少なくともどちらか一方をパーマロイのような磁性体で形成すると、電圧を切った状態でも、ミラー27の位置は固定される。なお、電極30を磁性体とし、ミラー27及び片持ち梁28の少なくともどちらか一方を永久磁石としても良い。
図22は、本発明に係る光スイッチの第7の実施形態を示す水平方向断面図であり、図23は図22のII−II線断面図であり、図24は図22のIII−III線断面図である。図22〜図24において、本実施形態の光スイッチ100は、8対の通常用光路と1つの予備用光路とを有するプロテクション用光スイッチである。
光スイッチ100はプラットホーム200を有し、このプラットホーム200の一端部には、テープファイバ130と接続された光ファイバアレイ104が配置され、プラットホーム200の他端部には、テープファイバ150と接続された光ファイバアレイ106が配置されている。
光ファイバアレイ104は、テープファイバ130から露出させた8本の光ファイバ117を互いに並列に保持しており、これらの光ファイバ117は第1通常用光路を構成している。光ファイバアレイ106は、テープファイバ150から露出させた8本の光ファイバ117を各光ファイバ117と対向するように互いに並列に保持しており、これらの光ファイバ118は第2通常用光路を構成している。光ファイバ117,118の配列ピッチは、例えば0.25mmである。
光ファイバアレイ104,106間には、コリメータレンズアレイ109,110が対向配置されている。このコリメータレンズアレイ109,110は、それぞれ、光ファイバ117,118同士を光結合させる8つのコリメータレンズ111,112を有している。これらのコリメータレンズ111,112は、例えば100〜150μm程度のコリメート径をもった光を作り出すようなレンズである。これらのレンズは、すべて同じでも良いし、光路の違いに応じて異なっていても良い。
プラットホーム200の一側部には、予備用光路を構成する1本の光ファイバ113が、光ファイバ117,118の軸心に対して垂直に延びるように配置されている。また、プラットホーム200上には、光ファイバ113を光ファイバ117に対して光結合させるコリメータレンズ114が配置されている。このコリメータレンズ114は、コリメータレンズ111,112と同じ構造をもったレンズである。
さらに、プラットホーム200上には、主ベース基板105と補助ベース基板115とがコリメータレンズ114を挟むように配置されている。これらのベース基板105,115は、Siやガラス等で形成されている。
主ベース基板105には、光ファイバ117,118の軸心方向に延びる8つの溝部107が形成され、補助ベース基板115には、各溝部107に対応した8つの溝部108が形成されている。これらの溝部107,108は、コリメータレンズ111,112間で光を空間伝搬させるために設けられたものである。なお、溝部107,108の幅は、光のコリメート径よりも大きな寸法であることは言うまでもない。
主ベース基板105の上面には、溝部107に沿って延びる細長状の複数の電極119が設けられ、この電極119はNi、Ti、Cr、Au/Cr、Au/Ti等の金属で形成されている。各電極119上には、SiO2、Si3N4、樹脂、TaO2、強誘電体等からなる絶縁層120が設けられている。
なお、プラットホーム200、光ファイバアレイ104,106、コリメータレンズアレイ109,110、主ベース基板105及び補助ベース基板115は、光スイッチ100のベース部材を構成するものである。
主ベース基板105及び補助ベース基板115の上部には、スイッチ部材121が載置・固定されている。スイッチ部材121は、Si等で形成されたスイッチ基板122を有している。スイッチ基板122の表面(下面)には、SiO2等からなる絶縁層123を介して、Ni、Cu、Ni合金、Cu合金等からなる導電性構造体124が設けられている。この導電性構造体124には8本の片持ち梁125が一体成形されており、この片持ち梁125は、電極119と対向するように主ベース基板105を突出した位置まで延びている。
各片持ち梁125の先端部には、光ファイバ117からの光を光ファイバ118に向けて水平方向に反射させるミラー126が固定されている。このミラー126は、光ファイバ117,118の軸心に対して45度で傾くように設けられており、これにより、光ファイバ117からの光が光ファイバ113に向けて垂直方向に反射するようになる。ミラー126は、導電性構造体124及び片持ち梁125と同じ金属で形成され、ミラー面にAu、Al、Ag等をスパッタ或いはめっきによりコートすることで、安定した光反射率を有している。また、ミラー126は、主ベース基板105と補助ベース基板115との間の空間に配置されているので、光導波路にミラー収納溝が設けられたような構造と異なり、光伝搬時のクロストークはほとんど生じない。
このようなスイッチ部材121は、導電性構造体124が主ベース基板105及び補助ベース基板115の上面部に固着されている。また、スイッチ基板122には、片持ち梁125を上方に反らせるための凹部122aが設けられている(図25参照)。これにより、ミラー126は上下方向に移動可能となる。
導電性構造体124と各電極119とは、電圧源127及び電気スイッチ128を介して接続されている。そして、電圧源127により導電性構造体124と電極119との間に所定の電圧を印加することで、片持ち梁125と電極119との間に静電気力(静電引力)を発生させ、ミラー126を上下動させる。電気スイッチ128は、各ミラー126を個別に駆動できるように複数(8個)有している。
なお、電極119、導電性構造体124、片持ち梁125、電圧源127及び電気スイッチ128は、各ミラー126を上下方向に移動させる駆動手段を構成するものである。
ここで、通常は、図25に示すように電気スイッチ128はオフ状態であり、全ての片持ち梁125は、導電性構造体124を支点として上方に反っている。よって、ミラー126は、上方位置(第1位置)に保持される。この状態では、光ファイバアレイ104の各光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を介して、主ベース基板105の溝部107及び補助ベース基板115の溝部108を空間伝搬し、コリメータレンズ112を介して光ファイバアレイ106の対応する光ファイバ118に入射される。
一方、電気スイッチ128をオンすると、電圧源127によって片持ち梁125と電極119との間に所定の電圧が印加され、片持ち梁125と電極119との間に生じる静電気力によって片持ち梁125が電極119に引き寄せられ、図23に示すようにミラー126が下降し、下方位置(第2位置)に保持される。このとき、片持ち梁125と電極119との間には絶縁層120が存在するため、片持ち梁125が電極119に接触することは無い。この状態では、光ファイバアレイ104の光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を介して主ベース基板105の溝部107を空間伝搬し、ミラー126で垂直方向に反射される。そして、その反射光は、主ベース基板105と補助ベース基板115との間を空間伝搬し、コリメータレンズ114を介して光ファイバ113に入射される。
なお、ここでは、プラットホーム200上に主ベース基板105及び補助ベース基板115を設ける構成としたが、主ベース基板105だけでスイッチ部材121を十分に支持できるのであれば、補助ベース基板115は特に設けなくてもよい。
図26は、スイッチ部材121の製作プロセスの一例を示したものである。同図において、まずSi基板300を用意し、このSi基板300の表面の一部に熱酸化膜(SiO2膜)131をパターンニングする(図26A)。続いて、フォトリソグラフィ及びNiめっきによって、Si基板300及び熱酸化膜131上に片持ち梁部132を形成する(図26B)。続いて、SR(シンクロトロン放射光)リソグラフィーによって、片持ち梁部132上にレジスト133を形成する(図26C)。続いて、Niめっきによって、片持ち梁部132上にミラー部134を形成する(図26D)。続いて、片持ち梁部132上のレジスト133を剥離する(図26E)。次いで、ミラー面にAu、Al、Ag等をスパッタ或いはめっきによりコートする。続いて、Si基板300における片持ち梁132部の下側部分をエッチングする(図26F)。これにより、上記のスイッチ部材121が得られる。そして、そのスイッチ部材121をひっくり返して、別途製作された主ベース基板105及び補助ベース基板115に組み付ける(図26G)。
以上のような光スイッチ1は、図27及び図28に示すように、箱状のパッケージ135に収納されている。このようなパッケージ135に光スイッチ1を組み入れる場合は、まず光ファイバアレイ104,106、コリメータレンズアレイ109,110、光ファイバ113及びコリメータレンズ114が予め実装されたプラットホーム200を、パッケージ135のパッケージ本体136内に入れて固定させる。続いて、スイッチ部材121、主ベース基板105及び補助ベース基板115からなる光スイッチデバイスを、プラットホーム200の所定位置にアライメントして実装する。続いて、スイッチ部材121の導電性構造体124と主ベース基板105の各電極119とを、パッケージ本体136の外部に配置された電圧源127及び電気スイッチ128に配線接続する。そして最後に、パッケージ本体136の上部にパッケージ蓋137を取り付けて封止する。
以上のように構成した光スイッチ100において、通常使用時は、図25に示すように、全てのミラー126を上方に待避させておく。この場合には、光ファイバアレイ104の各光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111,112を介して、そのまま光ファイバアレイ106の対応する光ファイバ118に入射される。
一方、いずれかの光ファイバ118に断線、故障等の不具合が生じたときは、図23に示すように、その光ファイバ118に対応するミラー126を下げる。この場合には、当該光ファイバ118に対応する光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を通った後、ミラー126で反射し、その反射光がコリメータレンズ114を介して予備用光路である光ファイバ113に入射される。従って、光伝送不能になることが回避される。
ここで、ミラー126は上下方向に駆動可能な構成となっているので、ミラー126を水平方向に駆動させる場合に比べて、光が空間伝搬する主ベース基板105の各溝部107の配列ピッチ(チャンネル間ピッチ)を大幅に小さくすることが可能となる。この場合には、ミラー126で反射された光が空間伝搬する時のビーム発散が抑制されるため、光ファイバ113に対する光の挿入損失が低減される。特に、光ファイバ113から離れた位置を空間伝搬する光において、そのような効果が顕著に現れる。また、チャンネル間ピッチを小さくすることで、各ミラー126と光ファイバ113との間の光路長差が小さくなるため、各チャンネル間における光の挿入損失のばらつきも低減される。
また、ミラー126で反射された光がそのままコリメータレンズ114を介して光ファイバ113に入射されるので、ミラーの反射による光損失を最小限に抑えることができる。この場合には、光の伝搬距離を長くすることが可能となる。
なお、本実施形態では、予備用光路としての光ファイバ113を、通常用光路としての光ファイバ117,118に対して垂直方向に延びるように設けたが、光ファイバ113を光ファイバ117,118に対して斜め方向に延びるように構成してもよい。この場合には、光ファイバ117からの光がミラー126で反射したときに、確実に光ファイバ113に向かうように、ミラー126の配置角度を設定する。
また、本実施形態では、光ファイバ117から出射された光を光ファイバ118に入射させるものとしたが、これとは逆に、光ファイバ118から出射された光を光ファイバ117に入射させてもよい。この場合、予備用光路としての光ファイバ113の使用時には、光ファイバ113から出射された光は、コリメータレンズ114を通った後にミラー126で反射し、その反射光がコリメータレンズ111を介して光ファイバ117に入射されることになる。
図29は、本発明に係る光スイッチの第8の実施形態を示す水平方向断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ400は、上述した実施形態における光ファイバアレイ106、コリメータレンズアレイ110及び補助ベース基板115の代わりに、光ファイバアレイ141、コリメータレンズアレイ142及び補助ベース基板143を有している。
光ファイバアレイ141は、テープファイバ140から露出させた9本の光ファイバ145を互いに並列に保持しており、そのうち8本の光ファイバ145aは第2通常用光路を構成し、一端側に位置する残りの1本の光ファイバ145bは予備用光路を構成している。従って、光ファイバ145bは、各光ファイバ117,145aに対して平行に延びることになる。
コリメータレンズアレイ142は9つのコリメータレンズ146を有し、そのうち8つのコリメータレンズ146aは、通常用光路である光ファイバ117,145a同士を光結合させるものであり、他の1つのコリメータレンズ146bは、光ファイバ145bを光ファイバ117に対して光結合させるものである。
また、補助ベース基板143には9つの溝部147が形成されており、これらの溝部147は、各コリメータレンズ146aに対応する8つの溝部147aと、コリメータレンズ146bに対応する1つの溝部147bとからなっている。
主ベース基板105と補助ベース基板143との間における溝部147bに対応する位置には、ミラー126で反射した光を光ファイバ145aに向けて水平方向に反射させる固定ミラー148が配置されている。この固定ミラー148も、ミラー126と同様に、光ファイバ117,145の軸心に対して45度で傾くように設けられている。
このように構成した光スイッチ400において、予備用光路に切り換えるべくミラー126を下げた場合、光ファイバ117から出射された光は、コリメータレンズ111を介して主ベース基板105の溝部107内を空間伝搬し、ミラー126で反射される。そして、その反射光は、主ベース基板105と補助ベース基板143との間を空間伝搬し、固定ミラー148で反射される。そして、その反射光は、補助ベース基板143の溝部147b内を空間伝搬し、コリメータレンズ146bを介して光ファイバ145aに入射される。
以上のような本実施形態にあっては、複数の通常用光路としての光ファイバ145aと予備用光路としての光ファイバ145bとを、1つの光ファイバアレイ141及び1枚の光ファイバテープ心線144でまとめて形成したので、予備用光路としての光ファイバの強度が高くなり、信頼性が向上する。また、予備用光路としての光ファイバをプラットホーム200に組み付ける作業(アセンブリ)が簡便に行える。さらに、通常用光路に対応する複数のコリメータレンズ146aと予備用光路に対応するコリメータレンズ146bとを、1つのコリメータレンズアレイ142としてまとめて形成したので、コリメータレンズのアセンブリが簡便に行える。
図30は、本発明に係る光スイッチの第9の実施形態を示す水平方向断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光スイッチ500は、3対の通常用光路に対して1つの予備用光路を有するものを2組設けた光スイッチである。
この光スイッチ500においては、光ファイバアレイ141に保持された9本の光ファイバ145のうち、6本の光ファイバ145aを通常用光路として使用し、2本の光ファイバ145bを予備用光路として使用し、残りの1本を未使用としている。また、コリメータレンズアレイ142のコリメータレンズ146(146a,146b)及び補助ベース基板143の溝部147(147a,147b)は、光ファイバ145(145a,145b)に対応して構成されている。
主ベース基板105と補助ベース基板143との間には、光ファイバ145bの本数に対応して2つの固定ミラー148が配置されている。また、光スイッチ500は、上述した実施形態におけるスイッチ部材121の代わりに、6本の片持ち梁125をもったスイッチ部材151を有している。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、静電気力を用いてミラーを上下動させる構成としたが、特にこれに限らず、例えば電磁力によりミラーを上下動させてもよい。
また、上記実施形態では、ミラーが光路上を通る光を通過させる位置をフリー状態としているが、ミラーが光路上を通る光を遮断させる位置をフリー状態としてもよい。この場合には、例えば磁力によって、光路上を通る光を通過させる位置にミラーを自己保持させることもできる。
さらに、上記実施形態の光スイッチは、1×2スイッチや1×1スイッチ等をアレイ化したものであるが、単独の1×2スイッチや1×1スイッチ等であってもよい。また、本発明は、n×nマトリクススイッチ等にも適用可能である。
また、上記実施形態では、同一の光スイッチを複数配列したものを示したが、特にこれに限らず、異なる光スイッチを複数配列しても良い。
また、上記実施形態の光スイッチは、光アッテネータとして機能させることも可能である。即ち、静電気力や電磁力を制御してミラーの駆動ストロークを調整することにより、光の透過度を変化させることができる。
また、上記実施形態は、片持ち梁と電極との間に生じる静電気力によってミラーを上下動させるものであるが、特にこれに限らず、電磁力等を利用してミラーを上下動させる構成としてもよい。
また、本発明に係る光スイッチの光路の一部が光ファイバで構成されたが、本発明は、光路の一部が光導波路で構成された光スイッチにも適用可能である。
さらに、上記の第7、第8、および第9の実施形態では、予備用光路が1つのものに限らず、通常用光路数/予備用光路数が異なる多種多様なタイプの光スイッチを構成することができる。
産業上の利用可能性
本発明は、ベース部材に支持された片持ち梁にミラーを取り付け、光路上を通る光を通過させる第1位置と光路上を通る光を遮断させる第2位置との間でミラーを上下動させるようにしたので、小型で集積化されたON/OFFスイッチ、1×2スイッチ、n×nマトリクススイッチ等を得ることができる。
その結果、光通信や光計測等の分野において、光スイッチの小型化及び集積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
図2は、図1に示すミラーが光を通過させる位置にある状態を示す垂直方向断面図である。
図3は、図1に示すミラーが光を遮断させる位置にある状態を示す垂直方向断面図である。
図4は、図2に示す片持ち梁と電極の配置部位を示す断面図である。
図5A〜図5Gは、図2に示すスイッチ部材の製作工程の一例を示す図である。
図6A〜図6Hは、図2に示すスイッチ部材の製作工程の他の例を示す図である。
図7は、本発明の第2の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
図8は、本発明の第3の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。
図9A〜図9Cは、図8に示すギャップ保持用スペーサの製作工程の一例を示す図である。
図10A,図10Bは、図8に示すギャップ保持用スペーサの製作工程の他の例を示す図である。
図11は、本発明の第3の実施形態による光スイッチの変形例を示す垂直方向断面図である。
図12は、図11に示すギャップ保持用スペーサの平面図である。
図13は、本発明の第4の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。
図14は、本発明の第5の実施形態による光スイッチを示す垂直方向断面図である。
図15は、図14に示すスイッチ部材の平面図である。
図16A〜図16Fは、図14に示すスイッチ部材の製作工程の一例を示す図である。
図17は、図14に示すスイッチ部材の製作工程において、シリコンウェハの表面にハードマスクを形成した状態を示す図である。
図18は、シリコンウェハの表面にハードマスクを形成した状態の一般例を示す図である。
図19は、図18に示すハードマスクが形成されたシリコンウェハをウェットエッチングした状態を示す図である。
図20は、本発明の第6の実施形態による光スイッチを示す平面図である。
図21A,図21Bは、図20に示すミラーが光を通過させる位置と光を遮断させる位置にある状態を示す垂直方向断面図である。
図22は、本発明の第7の実施形態による光スイッチの一実施形態を示す水平方向断面図である。
図23は、図21のII−II線断面図である。
図24は、図21のIII−III線断面図である。
図25は、図23に示す光スイッチが通常使用時にあるときの状態を示す断面図である。
図26A〜図26Gは、図23及び図24に示すスイッチ部材の製作プロセスの一例を示す図である。
図27は、図21に示す光スイッチがパッケージに収納された状態を示す水平方向断面図である。
図28は、図21に示す光スイッチがパッケージに収納された状態を示す垂直方向断面図である。
図29は、本発明の第8の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
図30は、本発明の第9の実施形態による光スイッチを示す水平方向断面図である。
Claims (20)
- 光路を有するベース部材と、
前記ベース部材に支持された片持ち梁と、
前記片持ち梁に取り付けられ、前記光路上を通る光を遮断するミラーと、
前記光路上を通る光を通過させる第1位置と前記光路上を通る光を遮断させる第2位置との間で前記ミラーを上下動させる駆動手段とを備え、
前記ミラーが前記第1位置にあるときは、前記ミラーが前記ベース部材の上方に位置し、前記ミラーが前記第2位置にあるときは、前記ミラーが前記ベース部材の上面部で位置決めされるように構成されていることを特徴とする光スイッチ。 - 前記駆動手段は、前記ベース部材上に設けられた電極と、前記電極と前記片持ち梁との間に静電気力を発生させる手段とを有することを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
- 前記電極上には、前記ミラーが前記第2位置にあるときに前記電極と前記片持ち梁とのギャップを保持するためのスペーサが設けられていることを特徴とする請求項2記載の光スイッチ。
- 前記ミラーを前記第1位置または前記第2位置に保持する位置保持手段を更に備えることを特徴とする請求項2記載の光スイッチ。
- 前記ミラーは磁性体からなり、前記電極は永久磁石からなり、
前記位置保持手段は、前記ミラーと前記電極との間に生じる磁力により前記ミラーを前記第2位置に保持する手段であることを特徴とする請求項4記載の光スイッチ。 - 前記ミラーは永久磁石からなり、前記電極は磁性体からなり、
前記位置保持手段は、前記ミラーと前記電極との間に生じる磁力により前記ミラーを前記第2位置に保持する手段であることを特徴とする請求項4記載の光スイッチ。 - 前記位置保持手段による前記ミラーの位置保持を解除するための電磁石を更に備えることを特徴とする請求項4記載の光スイッチ。
- 前記ミラーは、X線リソグラフィ及び電鋳を用いることにより、前記片持ち梁と一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
- 前記ミラーの表面には、金、銀、アルミニウムのいずれかの膜がコーティングされていることを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
- 前記片持ち梁を挟むように前記ベース部材の上部に設けられたシリコン構造体を更に備え、
前記片持ち梁、前記ミラー及び前記シリコン構造体でスイッチ部材を構成したことを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。 - 前記ミラーを有する前記片持ち梁を前記シリコン構造体の表面に形成し、フッ素系ガスを用いて前記シリコン構造体をエッチングすることにより、前記スイッチ部材を形成したことを特徴とする請求項10記載の光スイッチ。
- 前記スイッチ部材を形成するためのマスクパターン部が設けられたマスクを、前記マスクパターン部がシリコンウェハのオリエンテーションフラットに対して斜め方向の角度をもつように前記シリコンウェハの表面に形成し、その後で前記ミラーを有する前記片持ち梁を前記シリコンウェハの表面に形成し、エッチング液を用いて前記シリコンウェハを表面側よりエッチングすることにより、前記スイッチ部材を形成したことを特徴とする請求項10記載の光スイッチ。
- 前記エッチング液は水酸化テトラメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項12記載の光スイッチ。
- 前記電極の上面には絶縁層が設けられ、
前記片持ち梁は、前記絶縁層に対して当接・離間可能となるように前記ベース部材に支持されていることを特徴とする請求項2記載の光スイッチ。 - 複数の第1通常用光路と当該各第1通常用光路に対向配置された複数の第2通常用光路と少なくとも1つの予備用光路とを有するベース部材と、
前記ベース部材に支持され、前記第1通常用光路または前記予備用光路からの光を水平方向に反射させる複数の可動ミラーと、
前記各可動ミラーを上下方向に移動させる駆動手段とを備えることを特徴とする光スイッチ。 - 前記第1通常用光路と前記第2通常用光路とを光結合させると共に、前記第1通常用光路と前記予備用光路とを光結合させる複数のコリメータレンズを更に備えることを特徴とする請求項15記載の光スイッチ。
- 前記予備用光路は、前記各第1通常用光路に対して垂直方向または斜め方向に延びるように構成されていることを特徴とする請求項15記載の光スイッチ。
- 前記予備用光路は、前記各第1通常用光路に対して平行に延びるように構成され、
前記ベース部材には、前記可動ミラーで反射された光または前記予備用光路からの光を水平方向に反射させる固定ミラーが設けられていることを特徴とする請求項15記載の光スイッチ。 - 前記駆動手段は、前記ベース部材に片持ち支持され、前記可動ミラーが固定された複数の片持ち梁と、前記各片持ち梁と対向するように前記ベース部材の上面部に設けられた複数の電極と、前記片持ち梁と前記電極との間に静電気力を発生させる手段とを有することを特徴とする請求項15記載の光スイッチ。
- 請求項5に記載の光スイッチを応用したことを特徴とするプロテクション用光スイッチ。
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