JP2005153057A - マイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチ - Google Patents

マイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチ Download PDF

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Abstract

【課題】 片持ち梁構造を持つ可動部を、接触している固定部から離れ易くし、作動不良になり難くする。
【解決手段】 可動部は、固定端が脚部12を介して固定された片持ち梁構造をなす梁部13から構成される。梁部13は、固定端と自由端との間に、機械的に直列に接続された2つの梁構成部14,15を有する。固定端側の梁構成部14は板ばね部である。自由端側の梁構成部15は剛性を有する剛性部である。梁構成部15は、梁部13が力を受けない状態で、固定端側から自由端側に向かう方向に沿って基板11と反対側に反っている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチに関するものである。この光学装置及び光スイッチは、例えば、光通信装置や光伝送装置等で用いることができるものである。
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野においてマイクロアクチュエータの重要性が高まっている。マイクロアクチュエータが用いられている分野の一例として、例えば、光通信などに利用され光路を切り替える光スイッチを挙げることができる。このような光スイッチの一例として、下記の特許文献1に開示された光スイッチを挙げることができる。
マイクロアクチュエータは、固定部と、固定部に対して移動可能とされた可動部とを備えているが、可動部が片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータもある。例えば、特許文献1の図8や、特許文献2の図26、図36〜図40には、可動部が片持ち梁構造を持つ例が開示されている。
ここで、特許文献1の図8に開示された光スイッチについて説明する。この光スイッチは、マトリクス状に光導波路が形成されるとともにその交差点にミラーが進出し得る溝が形成された光導波路基板と、マイクロアクチュエータ及びミラーが形成されたアクチュエータ基板と、を備えている。ミラーがマイクロアクチュエータにより駆動され、ミラーが光導波路基板の前記溝内に進出した時に光がそのミラーで反射される一方、ミラーが前記溝から退出した時に光が直進することにより、光路が切り替えられる。
そして、特許文献1の図8に開示された光スイッチで採用されているマイクロアクチュエータでは、可動部は一様に構成された板ばね部のみで構成されている。板ばね部の先端側にミラーが固定されている。この板ばね部は、駆動力が与えられていない場合には、基板と反対側に反って湾曲しており、駆動力が与えられると、板ばね部の基板側の面全体が基板上の面に当接する。駆動力が与えられなくなると、板ばね部のバネ力(内部応力)によって基板と反対側に反って湾曲した状態に戻る。
また、特許文献2の図26、図36〜図40に開示された光スイッチで採用されているマイクロアクチュエータでは、基板に対して固定された片持ち梁構造を持つ可動部は、その固定端と自由端との間に梁部を有している。該梁部は、前記固定端と前記自由端との間に機械的に直列に接続されたばね部と剛性部とを有している。前記ばね部は、前記剛性部に対して固定端側に配置されている。前記剛性部は、平面を維持するように構成されている。
特開2001−142008号公報 国際公開第03/060592号パンフレット
しかしながら、前述した特許文献1に開示されているマイクロアクチュエータでは、駆動力が与えられたときに、可動部の全体を構成する板ばね部の基板側の面全体が基板上の面に当接するため、両者の間の接触面積がかなり大きくならざるを得ない。したがって、可動部が基板の上面に貼り付いて離れなくなってしまうような事態が生じ易く、作動不良になり易かった。
また、前述した特許文献2に開示されているマイクロアクチュエータでは、剛性部が平面を維持するように構成されているので、可動部が基板に接触する際には、前記剛性部が全体的に基板に接触するため、両者の間の接触面積が比較的大きい。また、剛性部が平面を維持するように構成されているので、可動部が基板に引き寄せられて剛性部が基板に接触した状態では、当該剛性部は、可動部を基板から離れる方向に付勢する力を生ずるように変形するようなことがない。したがって、このマイクロアクチュエータでは、可動部が基板の上面に貼り付いて離れなくなってしまうような事態が比較的生じ易く、作動不良となるのを必ずしも十分に防ぐことは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、片持ち梁構造を持つ可動部が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難いマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるマイクロアクチュエータは、固定部と、該固定部に対して固定端が固定された片持ち梁構造を持つ可動部とを備え、前記可動部は、前記可動部の前記固定端と自由端との間に梁部を有し、前記梁部は、前記固定端と前記自由端との間に機械的に直列に接続されたばね部と剛性部とを有し、前記ばね部は、前記剛性部に対して前記固定端側に配置され、前記剛性部は、前記可動部が力を受けない状態で、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って前記固定部とは反対側に反っているものである。
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1の態様において、前記剛性部は、前記可動部が力を受けない状態で、前記固定部とは反対側に全体的に湾曲していることにより前記固定部とは反対側に反っているものである。
なお、前記第1の態様では、この第2の態様に限定されるものではなく、例えば、前記剛性部は、前記可動部が力を受けない状態で、前記剛性部の途中の一箇所以上で局所的に前記固定部とは反対側に折れ曲がることにより前記固定部とは反対側に反っていてもよい。
本発明の第3の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1又は第2の態様において、前記可動部を前記固定部に引き寄せる力を発生させる手段を備え、前記手段の一部を構成し前記可動部に設けられる要素が、前記剛性部における前記ばね部寄りの部分又は前記ばね部に設けられたものである。
本発明の第4の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第3の態様において、前記要素が静電力を発生するための電極であるものである。
本発明の第5の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記剛性部は、主面部と、該主面部から立ち上がるか又は立ち下がった補強部とを有するものである。
本発明の第6の態様によるマイクロアクチュエータは、前記ばね部及び前記剛性部はそれぞれ薄膜で構成されたものである。
なお、前記第1乃至第6の態様において、前記剛性部と接触する前記固定部の部分、もしくは前記固定部と接触する前記剛性部の部分に、凹凸構造が形成されていてもよい。
本発明の第7の態様による光学装置は、前記第1乃至第6のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられた光学素子と、を備えたものである。
本発明の第8の態様による光スイッチは、前記第1乃至第6のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたものである。
本発明によれば、片持ち梁構造を持つ可動部が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難いマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチを提供することができる。
以下、本発明によるマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態によるマイクロアクチュエータ1及びこれにより駆動される光学素子としてのミラー2を模式的に示す概略平面図である。図1では、基板11上に形成された固定電極16は、想像線で示している。図2は、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。図3は、図1中のY1−Y2線に沿った概略断面図である。説明の便宜上、図1乃至図3に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。また、X軸方向のうち矢印の向きを+X方向と呼び、その反対の向きを−X方向と呼び、Y軸方向及びZ軸方向についても同様とする。XY平面は基板11の面と平行となっている。これらの点は、後述する各図についても同様である。なお、図2及び図3は、駆動信号が供給されていない状態(すなわち、可動部が力を受けていない状態)を示している。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1は、シリコン基板やガラス基板等の基板11と、脚部12と、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた1本の帯板状の梁部13と、固定電極16と、を備えている。
梁部13の固定端(−X方向の端部)は、基板11上のシリコン酸化膜等の絶縁膜17上に形成されたAl膜からなる配線パターン18(図1では省略)を介して基板11から立ち上がる立ち上がり部を持つ脚部12を介して、基板11に機械的に接続されている。梁部13の+X方向の端部は自由端となっている。したがって、本実施の形態では、梁部13は片持ち梁となっており、梁部13が、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。また、本実施の形態では、基板11、絶縁膜17及び固定電極16が、固定部を構成している。
本実施の形態では、梁部13の自由端側の上部(すなわち、後述する梁構成部15の上部)には、被駆動体としてのAu、Ni又はその他の金属からなるミラー2が設けられている。
梁部13は、その固定端と自由端との間に機械的にX軸方向に直列に接続された2つの梁構成部14,15を、有している。梁構成部14,15は、いずれもZ軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた帯板状に構成されている。固定端側(−X側)の梁構成部14はZ軸方向に撓み得る板ばね部となっているのに対し、自由端側(+X側)の梁構成部15はZ軸方向(基板11側及びその反対側)の撓み及びその他の方向の撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部となっている。
梁構成部14は、下側のSiN膜21と上側のAl膜22とが積層された2層の薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。梁構成部15は、梁構成部14からそのまま連続して当該梁構成部15における全領域に延びたSiN膜21と、梁構成部14からそのまま連続して当該梁構成部15における梁構成部14側の領域においてSiN膜21上に部分的に積層されたAl膜22と、からなる薄膜で構成されている。このように、Al膜22は、梁構成部15においては、最も梁構成部14寄りの部分に設けられている。梁構成部15は、梁構成部14とは異なり、Z軸方向から見た平面視で短冊状の平面状の主面部15aの他に、主面部15aにおける外周付近に当該主面部15aを周回するようにZ軸方向から見た平面視でロの字状に形成され主面部15aから+Z方向に突出した凸条部15bを有している。凸条部15bは、主面部15aから立ち上がる立ち上がり部を有し、この立ち上がり部が主面部15aを補強する補強部となって、梁構成部15に前述した剛性を持たせている。
例えば、凸条部15bの外周側の立ち上がり部のみを残し、凸条部15bの内周側の立ち上がり部をなくして主面部15aの高さを本実施の形態で凸条部15bの上面と同一にしても、同様の補強効果が得られる。ただし、この場合に比べて本実施の形態の方が、梁部13が力を受けていない状態で、可動電極として兼用される梁構成部15におけるAl膜22と固定電極16との間の距離が短くなり、静電力の駆動電圧が低減できるので好ましい。凸条部15bは、本実施の形態では前述したようにロの字状に形成されているが、例えば、+Y側及び−Y側において平面視でX軸方向に延びる部分のみを形成し、+X側及び−X側においてY軸方向に延びる部分については形成しなくてもよい。凸条部15bをこのように形成しても、Z軸方向の撓みに対する剛性を梁構成部15に持たせることができる。
なお、梁構成部14,15の材料や層数は前述した例に限定されるものではなく、例えば、SiN膜21に代えて他の絶縁膜を用いてもよいし、Al膜22に代えて他の導電膜を用いてもよい。
また、梁構成部14は、図2に示すように、駆動信号が供給されていない状態において、膜21,22の応力によって、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って全体的に上方(基板11と反対側、+Z側)に湾曲している。梁構成部15は、駆動信号が供給されていない状態において(本実施の形態では、駆動信号が供給されている状態においても)、膜21,22の応力によって、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って上方(基板11と反対側、+Z側)に反っている。本実施の形態では、梁構成部15は、梁構成部14の曲率より小さい曲率で全体的に湾曲することにより、上方に反っている。もっとも、梁構成部15は、その途中の一箇所以上で局所的に上方に折れ曲がることにより、上方に反っていてもよい。
本実施の形態では、脚部12は、梁構成部14を構成するSiN膜21及びAl膜22がそのまま連続して延びることによって構成されている。Al膜22は、脚部12においてSiN膜21に形成された開口を介して配線パターン18に電気的に接続されている。なお、脚部12の上部には、脚部12の強度を補強するために、凸条部19がZ方向から見た平面視で口の字状に形成されている。
本実施の形態では、静電力を駆動力として作動するように構成されている。具体的には、本実施の形態では、梁構成部15におけるAl膜22が可動電極として兼用され、梁構成部15におけるAl膜22(したがって、梁構成部15における最も梁構成部14寄りの部分)と対向する基板11上の絶縁膜17上の領域に、Al膜からなる固定電極16が形成されている。なお、固定電極16がこの領域に形成されていれば、梁構成部15の全領域においてAl膜22がSiN膜21上に形成されていても良く、梁構成部15のAl膜22における固定電極16との対向部分のみが静電力を発生させるための可動電極となる。また、可動電極が梁構成部15における最も梁構成部14寄りではないが梁構成部14寄りの部分となるように、梁構成部15におけるAl膜22の配置及び固定電極16の配置を設定してもよい。
梁構成部15におけるSiN膜21は、Al膜22と固定電極16とが電気的に接触しないようにするための絶縁層としても機能している。なお、図面には示していないが、固定電極16を構成するAl膜は配線パターンとしても延びており、前記配線パターン18と共に利用することによって、固定電極16と可動電極として兼用された梁構成部15におけるAl膜22との間に電圧を、駆動信号として印加できるようになっている。
この電圧(駆動信号)を印加すると、固定電極16と梁構成部15における可動電極としてのAl膜22との間に静電力(駆動力)が作用し、梁構成部14のバネ力(内部応力)に抗して、梁構成部15の梁構成部14寄りの部分が基板11側へ引き寄せられて、それに伴い梁構成部14が変形する。そして、梁構成部15が基板11側に当接した位置で停止し、それによりミラー2が基板11へ近接した位置へ移動した状態となる。図4は、この状態を示しており、図2に対応する概略断面図である。一方、この電圧を印加しないと、固定電極16と梁構成部15における可動電極としてのAl膜22との間に静電力(駆動力)が作用しなくなり、梁構成部14のバネ力(内部応力)によって、図2に示す状態に戻り、ミラー2は基板11から離れた元の上方位置へ戻る。基板11には、外部からの制御信号に応じてこの駆動信号を生成する駆動回路を搭載しておいてもよく、この点は後述する各実施の形態についても同様である。
図1乃至図4に示すミラー2を搭載したマイクロアクチュエータ1は、図2及び図3に示すように入射光を入射させることで、光スイッチとして用いることができる。図2及び図3において、Kは、ミラー2の進出位置に対する入射光の光路の断面を示している。図2に示す状態では、ミラー2が入射光の光路に進出して、入射光を反射させる。なお、入射光の入射角度は、このときに所望の角度でミラー2により反射されるように設定される。一方、図3に示す状態では、ミラー2が入射光の光路から退出し、入射光はミラー2で反射されることなくそのまま通過する。このようにして、入射光が反射される状態とそのまま通過される状態とに切り替えられる。
前述したように、本実施の形態では、駆動信号によって生ずる静電力によって駆動される。もっとも、本発明では、磁気力やローレンツ力など他の駆動力や任意の2種類以上を複合した駆動力により駆動されるように構成することもできる。また、例えば、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層の、熱膨張による変形を利用した駆動方式を採用してもよい。この場合、例えば、光や赤外線の吸収や電気抵抗部への通電などによって、前記変形のための熱を与えることができ、照射光量や通電量を駆動信号として用いることができる。
次に、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1の製造方法の一例について、図5を参照して説明する。図5は、この製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図であり、図2に対応している。
まず、シリコン基板11の上面に熱酸化によってシリコン酸化膜17を成膜し、その上にAl膜を蒸着又はスパッタ法等によりデポした後に、フォトリソエッチング法により、そのAl膜を固定電極16、配線パターン18及びその他の配線パターンの形状にパターニングする(図5(a))。次いで、この状態の基板上に、犠牲層となるレジスト30を塗布し、このレジスト30に、脚部12のコンタクト部に応じた開口30aをフォトリソエッチング法により形成する(図5(b))。
次に、図5(b)に示す状態の基板の全面に犠牲層となるレジスト31を塗布し、フォトリソエッチング法により、レジスト31における凸条部15b,19に対応した部分のみを島状に残して他の部分を除去する(図5(c))。
その後、脚部12及び梁部13(梁構成部14,15)となるべきSiN膜21をプラズマCVD法等により形成した後、フォトリソエッチング法によりパターニングし、それらの形状とする(図5(d))。このとき、脚部12におけるコンタクト部には開口を形成しておく。
次いで、脚部12及び梁部13(梁構成部14、及び、梁構成部15の一部)となるべきAl膜22を蒸着又はスパッタ法等によりデポした後に、フォトリソエッチング法によりパターニングし、それらの形状にする(図5(e))。
次に、図5(e)に示す状態の基板の全面に犠牲層となるレジスト32を厚塗りし、レジスト32を露光、現像してミラー2が成長される領域をレジスト32に形成した後、電解メッキによりミラー2となるべきAu、Ni又はその他の金属を成長させる(図5(f))。最後に、レジスト30〜32をプラズマアッシング法等により除去する。これにより、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1が完成する。
なお、前述した製造工程において、レジスト30〜32を除去した際に、梁構成部14が上方に相対的に大きい曲率で湾曲するとともに梁構成部15が上方に相対的に小さい曲率で湾曲するような内部応力が、梁構成部14,15の構成膜に残るような条件で、当該構成膜の成膜や前記犠牲層の形成などを行う。
ここで、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1と比較される比較例によるマイクロアクチュエータ41を、図6乃至図8に示す。図6は、このマイクロアクチュエータ41及びこれにより駆動されるミラー2を模式的に示す概略平面図である。図7は、図6中のX3−X4線に沿った概略断面図であり、駆動信号が供給されていない状態(すなわち、可動部が力を受けていない状態)を示している。図8は、図6中のX3−X4線に沿った概略断面図であり、駆動信号が供給されている状態を示している。図6乃至図8は、図1、図2及び図4にそれぞれ対応している。図面には示していないが、図6中のY3−Y4線に沿った概略断面図は図3と同様となる。図6乃至図8において、図1乃至図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
この比較例によるマイクロアクチュエータ41が本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1と異なる所は、以下に説明する点のみである。
マイクロアクチュエータ41では、梁構成部15の全領域においてAl膜22がSiN膜21上に形成され、固定電極16が梁構成部15と対向する基板11上の絶縁膜17上の領域に形成されている。これにより、梁構成部15の全領域のAl膜22が可動電極となっている。
また、マイクロアクチュエータ41では、梁構成部15は、駆動信号が供給されていない状態において、Z軸方向に実質的に湾曲しておらず、平面を維持している。製造時に、梁構成部14,15の成膜や犠牲層の形成などの条件を適宜設定することで、梁構成部15を平面を維持するようにしておくことができる。
この比較例によるマイクロアクチュエータ41では、梁構成部15が力を受けない状態で図7に示すように平面を維持するように構成されていることから、駆動信号が供給されると、図8に示すように、梁構成部(剛性部)15の全体が固定電極16に接触するので、その接触面積が比較的大きい。また、梁構成部15が力を受けない状態で図7に示すように平面を維持するように構成されているので、図8に示すように梁構成部15が固定電極16に接触した状態において、梁構成部15は、梁構成部15を固定電極16から離れる方向に付勢する力を生ずるように変形するようなことがない。したがって、このマイクロアクチュエータ41では、梁構成部15が固定電極16に貼り付いて離れなくなってしまうような事態が比較的生じ易く、作動不良となるのを必ずしも十分に防ぐことは困難である。
これに対して、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1では、梁構成部15が力を受けない状態で図2に示すように上方に反っているとともに、可動電極及び固定電極16が梁構成部15における梁構成部14寄りに配置されていることから、駆動信号が供給されると、図4に示すように、梁構成部15(剛性部)の一部のみが固定電極16に接触するだけに留まる。このため、両者の間の接触面積が小さくなる。したがって、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ1では、比較例によるマイクロアクチュエータ41に比べて、梁構成部15が、接触している固定電極16から離れ易くなって、作動不良となり難い。
なお、梁構成部15と接触する基板11側の部分、もしくは基板11側と接触する梁構成部15の部分に、凹凸構造を形成しておくと、両者の間の接触面積をより小さくすることができ、ひいては、両者の間がより離れ易くなって、より作動不良となり難くなるので、好ましい。
本実施の形態では、前述したように、可動電極を梁構成部15における梁構成部14寄りの部分に設けているが、その代わりに、可動電極を梁構成部14に設けてもよい。この場合、例えば、固定電極16を梁構成部14と対向する絶縁膜17上の領域に形成することで、梁構成部14におけるAl膜22を可動電極として兼用すればよい。ただし、可動電極の位置が固定端側に寄るほど、てこの原理によって作動に必要な駆動力が大きくなって、必要な駆動電圧は大きくなる。
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態によるマイクロアクチュエータ50及びこれにより駆動されるミラー2を模式的に示す概略断面図であり、駆動信号が供給されていない状態(すなわち、可動部が力を受けていない状態)を示している。図9は、図2及び図7に対応している。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ50が前記第1の実施の形態によるマイクロアクチュエータ1と異なる所は、マイクロアクチュエータ50では、図6乃至図8に示す前記比較例によるマイクロアクチュエータ41と同じく、梁構成部15の全領域においてAl膜22がSiN膜21上に形成され、固定電極16が梁構成部15と対向する基板11上の絶縁膜17上の領域に形成され、これにより、梁構成部15の全領域のAl膜22が可動電極となっている点のみである。
したがって、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ50が前記比較例によるマイクロアクチュエータ41と異なる所は、マイクロアクチュエータ41では、梁構成部15は、駆動信号が供給されていない状態において、Z軸方向に実質的に湾曲しておらず、平面を維持しているのに対し(図7参照)、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ50では、梁構成部15は、図9に示すように、前記第1の実施の形態によるマイクロアクチュエータ1と同じく、上方に反っている点のみである。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ50では、駆動信号が供給されると、図8に示す状態と同じ状態となって、梁構成部(剛性部)15の全体が固定電極16に接触するので、前記比較例によるマイクロアクチュエータ41と同じくその接触面積が比較的大きい。しかしながら、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ50では、梁構成部15が力を受けない状態で図9に示すように上方に反っているので、梁構成部(剛性部)15の全体が固定電極16に接触したときに、梁構成部15が平板状に変形する。この変形は、梁構成部15を固定電極16から離れる方向に付勢する力を生ずるような変形である。したがって、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ50では、比較例によるマイクロアクチュエータ41に比べて、梁構成部15が、接触している固定電極16から離れ易くなって、作動不良となり難い。
[第3の実施の形態]
図10は、本発明の第3の実施の形態によるマイクロアクチュエータ111及びこれにより駆動されるミラー2を模式的に示す概略平面図である。図10では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って形成された保護膜としてのSiN膜144は省略して示し、本来実線で書くべき凸条部149,150のラインを破線で示し、Al膜142,143にそれぞれ異なるハッチングを付している。図11は、図10中のX11−X12線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図10中のX19−X20線に沿った概略断面図は図11と同様となる。図12は、図10中のX13−X14線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図10中のX17−X18線に沿った概略断面図は図12と同様となる。図13は、図10中のX15−X16線に沿った概略断面図である。図14は、図10中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。図15は、図10中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。図16は、図10中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。図17は、図10中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。なお、図11乃至図17では、梁構成部132〜135がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132,134は、実際には、図1中の梁構成部14と同様に、可動部が力を受けていない状態において+Z方向に相対的に大きい曲率で湾曲している。また、梁構成部133,135は、実際には、図1中の梁構成部15と同様に、可動部が力を受けていない状態において+Z方向に相対的に小さい曲率で湾曲している。
前記第1の実施の形態によるマイクロアクチュエータ1が静電力のみを駆動力とするように構成されていたのに対し、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ111は、静電力及びローレンツ力の両方を駆動力とするように構成されている。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ111は、シリコン基板やガラス基板等の基板121と、脚部122,123と、Z軸方向から見た平面視で主としてX軸方向に並行して延びた2本の帯板状の梁部124,125と、梁部124,125の先端(自由端、+X方向の端部)に設けられそれらの間を機械的に接続する平面視で長方形状の接続部126と、梁部124を構成する梁構成部133及び梁部125を構成する梁構成部135の固定端側同士を補強のために機械的に接続する接続部127と、固定電極128と、を備えている。
梁部124の固定端(−X方向の端部)は、基板121上のシリコン酸化膜等の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる配線パターン130,131(図10では省略)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部122a,122bからなる脚部122を介して、基板121に機械的に接続されている。同様に、梁部125の固定端(−X方向の端部)は、基板121上の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる2つの配線パターン(図示せず)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部123a,123bからなる脚部123を介して、基板121に機械的に接続されている。前述したように、梁部124,125の自由端間が接続部126で機械的に接続され、梁構成部132,134の固定端側同士が接続部127で機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が、全体として、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。本実施の形態では、基板121、固定電極128及び絶縁膜129が、固定部を構成している。
梁部124は、前記可動部の固定端と自由端との間に機械的にX軸方向に直列に接続された2つの梁構成部132,133を有している。梁構成部132は、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた帯板状に構成されている。梁構成部133は、帯板状に構成され、図10に示すように、Z軸方向から見た平面視で、主としてX軸方向に延びているものの、−X側の位置でY軸方向に折れ曲がったような形状を有している。固定端側(−X側)の梁構成部132はZ軸方向に撓み得る板ばね部となっているのに対し、自由端側(+X側)の梁構成部133はZ軸方向(基板121側及びその反対側)の撓み及びその他の方向の撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部となっている。
梁構成部132は、下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。Al膜142とAl膜143とは、同一階層に形成されているが、図10に示すように、若干Y軸方向に隙間をあけて形成され、互いに電気的に分離されている。これは、Al膜142を静電力用の可動電極への配線として用い、Al膜143をローレンツ力用の電流経路を形成するための配線として用いるためである。静電力用の配線ではほとんど電流を流さない一方、ローレンツ力用の配線では比較的大きい電流を流すため、ローレンツ力用の配線の電気抵抗を低減するべく、Al膜142は幅が狭く形成され、Al膜143は幅が広く形成されている。
梁構成部133は、梁構成部132からそのまま連続して延びた下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143が形成されていない箇所では2層)の薄膜で、構成されている。後述する凸条部149,150を形成することによって、梁構成部133に前述した剛性を持たせている。
図11では、梁構成部132がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132は、実際には、図1中の梁構成部14と同様に、可動部が力を受けていない状態において、膜141〜144の応力によって、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って全体的に上方(基板121と反対側、+Z側)に湾曲している。また、図11では、梁構成部133がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部133は、実際には、図1中の梁構成部15と同様に、可動部が力を受けていない状態において、膜141〜144の応力によって、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って全体的に梁構成部132の曲率より小さい曲率で上方(基板121と反対側、+Z側)に湾曲している。このような湾曲状態は、膜141,142,144の成膜条件や犠牲層の形成条件などを適宜設定することにより、実現することができる。
本実施の形態では、脚部122は、梁構成部132を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成され、2つの個別脚部122a,122bを有している。脚部122が2つの個別脚部122a,122bを有しているのは、静電力用の配線とローレンツ力用の配線とを分離して、Al膜142とAl膜143とを基板121上の別々の配線パターン130,131にそれぞれ電気的に接続させるためである。Al膜142は、個別脚部122aにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン130に電気的に接続されている。Al膜143は、個別脚部122bにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン131に電気的に接続されている。なお、脚部122の上部には、脚部122の強度を補強するために、凸条部151がZ方向から見た平面視で個別脚部122a,122bを一括して囲むように口の字状に形成されている。
梁部125及び脚部123は、前述した梁部124及び脚部122とそれぞれ全く同一の構造を有している。梁部125を構成する梁構成部134,135は、梁部124を構成する梁構成部132,133に相当している。脚部123を構成する個別脚部123a,123bは、脚部122を構成する個別脚部122a,122bにそれぞれ相当している。また、脚部123の上部には、前述した凸条部151に相当する凸条部152が形成されている。
接続部126は、梁構成部133,135からそのまま連続して延びた下側のSiN膜141と中間のAl膜143と上側のSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜143が形成されていない箇所では2層)の薄膜で、構成されている。接続部126には、被駆動体としてのAu、Ni又はその他の金属からなるミラー2が設けられている。
接続部127は、梁構成部133,135からそのまま連続して延びた下側のSiN膜141と中間のAl膜142と上側のSiN膜144とが積層された3層の薄膜で、構成されている。
本実施の形態では、梁構成部133,135及び接続部126,127に一括して剛性を付与するべく、図10中の破線で示すように、平面視でこれらの一括した領域の外周側において周回するように凸条部149が形成され、前記一括した領域の内周側に周回するように凸条部150が形成されている。この凸条部149,150によって、梁構成部133,135及び接続部126,127が補強されて剛性を有している。したがって、梁構成部133,135の間が接続部126,127で機械的に接続されていることから、梁構成部133,135及び接続部126,127が全体として1つの剛性部を構成している。
接続部127におけるAl膜142の部分が静電力用の可動電極として兼用され、接続部127におけるAl膜142の部分と対向する基板121上の領域には、Al膜からなる静電力用の固定電極128が形成されている。これによって、梁構成部133,135及び接続部126,127が全体としてなす剛性部における梁構成部132,134寄りの部分に、静電力用の可動電極が設けられている。図面には示していないが、固定電極128を構成するAl膜は配線パターンとしても延びており、前記配線パターン130と共に利用することによって、固定電極128と可動電極として兼用された接続部127におけるAl膜142との間に電圧を、静電力用駆動信号として印加できるようになっている。
一方、前述した説明からわかるように、Al膜143によって、脚部122の個別脚部122b下の配線パターン131から、梁構成部132→梁構成部133→接続部126→梁構成部135→梁構成部134を経て、脚部123の個別脚部123b下の配線パターン(図示せず)へ至る、電流経路が構成されている。この電流経路のうち、接続部126におけるY軸方向に沿った電流経路(電流方向−Y方向)が、X軸方向の磁界内に置かれたときに、基板121側(−Z方向)へ向かうローレンツ力を発生させる部分となっている。したがって、永久磁石等(図示せず)を用いてX軸方向の磁界内に置き、前記電流経路へ電流(ローレンツ力用駆動信号)を流すと、その電流の向きに応じて、接続部126におけるAl膜143にローレンツ力(駆動力)が−Z方向又は+Z方向へ作用する。
なお、本実施の形態では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って、保護膜としてのSiN膜144が形成されているが、このSiN膜144は形成しなくてもよい。ただし、この場合、Al膜142,143の電気的な絶縁を確保するため、ミラー2の下部にはSiN膜144を残しておく。なお、前述した第1及び第2の実施の形態においても、SiN膜144に相当する保護膜を形成しておいてもよい。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ111も、前記第1の実施の形態によるマイクロアクチュエータ1と同様の製造方法により、製造することができる。
本実施の形態によれば、ローレンツ力と静電力の両方を駆動力として用いることが可能である。例えば、ローレンツ力のみまたはローレンツ力と静電力の両方で可動部を基板121側へ押し下げ、接続部126が基板121に当接するかあるいはその手前の設定位置まで達したら、ローレンツ力を切り静電力だけで、接続部126を基板121に当接した状態に保持することができる。
図10乃至図17に示すミラー2を搭載したマイクロアクチュエータ111も、図1乃至図4に示すミラー2を搭載したマイクロアクチュエータ1と同様に、光スイッチとして用いることができる。
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。すなわち、梁構成部133,135が力を受けない状態で上方に反っているとともに、可動電極及び固定電極128が梁構成部133,135及び接続部126,127が全体としてなす剛性部における梁構成部132,134寄りの位置に(すなわち、接続部127に)配置されていることから、静電力で可動部が基板121側に保持されている状態では、当該剛性部の一部のみ(接続部127の付近のみ)が固定電極128に接触するだけに留まる。このため、両者の間の接触面積が小さくなる。したがって、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ111では、可動部が、接触している基板121側から離れ易くなって、作動不良となり難い。
本実施の形態では、前述したように可動電極が接続部127に設けられ、これに対向する領域に固定電極128が形成されているが、本発明では、その代わりに、例えば、可動電極を接続部126に設け、これに対向する領域に固定電極128を形成してもよい。この場合、可動部が静電力によって基板121側に保持されているときには、前記第2の実施の形態によるマイクロアクチュエータ50と同様に、梁構成部133,135の全体が基板121側に接触し、両者の接触面積が大きくなる。しかしながら、このマイクロアクチュエータでは、本実施の形態と同じく梁構成部133,135が力を受けない状態で上方に反っているので、梁構成部133,135の全体が基板121側に接触したときに、梁構成部133,135が平板状に変形する。この変形は、梁構成部133,135を基板121側から離れる方向に付勢する力を生ずるような変形である。したがって、このマイクロアクチュエータにおいても、梁構成部133,135が基板121側から離れ易くなって、作動不良となり難い。
[第4の実施の形態]
図18は、本発明の第4の実施の形態によるマイクロアクチュエータ61及びこれにより駆動されるミラー部64を示す概略斜視図である。図19(a)は図18中のマイクロアクチュエータ61の可動板63を示す概略平面図であり、図19(b)は図19(a)中のM−M断面図である。図20は、図18中のマイクロアクチュエータ61の可動板63を上から見たときのAl膜72のパターン形状を示す図である。理解を容易にするため、図20において、Al膜72の部分にハッチングを付している。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ61は、固定部を構成する基板62と、基板62に設けられた可動部としての可動板63と、を備えている。可動板63には、光学素子部としてのミラー部64が搭載されている。ミラー部64は、光学素子として、光学膜からなるミラー81を含んでいる。以下の説明からわかるように、マイクロアクチュエータ61は、前記第3の実施の形態によるマイクロアクチュエータ111と基本的に同様に構成されている。
可動板63は、図19及び図20に示すように、可動板63の平面形状の全体に渡る下側の窒化ケイ素膜(SiN膜)71及び上側のSiN膜73と、これらの膜71,73の間において部分的に形成された中間のAl膜72とから構成されている。すなわち、可動板63は、下から順にSiN膜71,73を積層した2層膜からなる部分と、下から順にSiN膜71、Al膜72及びSiN膜73を積層した3層膜からなる部分とを、併有している。このように、可動板63は薄膜で構成されている。Al膜72のパターン形状は図20に示す通りであるが、これについては後述する。
可動板63は、図18及び図19(a)に示すように、ミラー部64を搭載するための搭載部としての長方形状のミラー部搭載板63bと、ミラー部搭載板63bの端部に接続された2本の帯状の支持板63cとを含む。支持板63cは、それぞれの端部に脚部63a及び脚部63dを有している。脚部63a及び63dは、いずれも基板62に固定されており、可動板63は、脚部63a及び63dを固定端とする片持ち梁構造を持つ可動部となっている。各脚部63aは図10中の脚部122a,123aにそれぞれ相当し、各脚部63dは図10中の脚部122b,123bにそれぞれ相当している。
可動板63には、図18及び図19に示すように、可動板63のミラー部64を搭載している部分を取り囲むように、凸部74が設けられている。凸部74は、図19(b)に示すように、可動板63を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。この凸部74は、可動板63の支持板63cの一部の領域にも設けられている。なお、支持板63cの脚部63a,63d寄りの領域には、凸部74は設けられていない。
本実施の形態では、このように凸部74を設けることにより、段差(主面部から立ち上がる又は立ち下がる立ち上がり部又は立ち下がり部)が生じ、この段差が主面部を補強する補強部となる。これにより、可動板63のうち、凸部74で囲まれた領域及び凸部74が設けられた領域、すなわち、支持板63cのミラー部搭載板63b寄りの部分及びミラー部搭載板63bが、実質的に剛性を有する剛性部となっている。支持板63cのミラー部搭載板63b寄りの部分及びミラー部搭載板63bが、図10中の梁構成部133,135及び接続部126,127が全体としてなす剛性部に相当している。ただし、可動板63では、図10中の梁構成部133,135及び接続部126,127により囲まれた開口部分に相当する開口部分はない。
また、凸部74の一部74a,74bは、図19(a)に示すように、可動板63のうちミラー部搭載板63bの中央部に向かって延びている。これにより、凸部74で囲まれたミラー部搭載板63bの中央部の面積が大きい場合であっても、中央部の領域の形状を一定に維持することができる。また、凸部74の一部74bは、後述する薄膜立体構造体65の1段目を兼用している。
支持板63cの脚部63a,63dに近い領域は、凸部74が設けられていないことにより、Z軸方向に撓み得る板ばね部となっている。各支持板63cの脚部63a,63dに近い部分が、図10中の梁構成部132,134に相当している。
図面には示していないが、本実施の形態では、各支持板63cの脚部63a,63dに近い部分は、図1中の梁構成部14と同様に、可動板63が力を受けていない状態で、膜71〜73の応力によって、固定端側(−Y側)から自由端側(+Yに向かう方向に沿って全体的に上方(基板62と反対側、+Z側)に湾曲している。また、図面には示していないが、支持板63cのミラー部搭載板63b寄りの部分及びミラー部搭載板63bがなす剛性部は、図1中の梁構成部15と同様に、可動板63が力を受けていない状態において、膜71〜73の応力によって、固定端側から自由端側に向かう方向に沿って全体的に梁構成部132の曲率より小さい曲率で上方(基板62と反対側、+Z側)に湾曲している。このような湾曲状態は、膜71〜73の成膜条件や犠牲層の形成条件などを適宜設定することにより、実現することができる。
ここで、可動板63のAl膜72の形状について説明する。本実施の形態では、前記第3の実施の形態によるマイクロアクチュエータ111と同様にローレンツ力と静電力の両方を用いて可動板63を駆動するために、図20に示すような形状に、Al膜72をパターニングしている。
Al膜72のうちパターン72aは、2つの脚部63dのうちの一方から、可動板63の外周の縁に沿って延びて可動板63の先端まで到達した後、可動板63の反対側の縁に沿って他方の脚部63dに達するパターンである。このパターン72aは、ローレンツ力により可動板63を駆動する際に、ローレンツ力を生じさせるための電流を流す配線として用いられる。パターン72aは、脚部63dにおいて基板62に設けられた配線(図示せず)と接続され、脚部63dを介して基板62からローレンツ力用駆動信号としての電流が供給される。パターン72aのうち、可動板63の先端の一辺63eに沿ってY軸方向に延びた直線部分が、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路(ローレンツ力用電流路)を構成している。したがって、永久磁石等(図示せず)を用いてローレンツ力用電流路をX軸方向の磁界内に置き、パターン72aに電流を供給すると、ローレンツ力用電流路に、その電流の向きに応じて、+Z方向又は−Z方向のローレンツ力が生ずる。
また、Al膜72のうちパターン72bは、2つの脚部63aのそれぞれから、可動板63の内側の縁に沿ってミラー部搭載板63bの固定端側(−X側)まで延び、ミラー部搭載板63bの固定端側に配置された長方形状のパターン72dに接続されている。パターン72dもAl膜72のうちのパターンである。パターン72bは、脚部63aにおいて基板62に設けられた配線(図示せず)と接続され、基板62の固定電極との間に電圧が印加される。これにより、パターン72dと基板62の固定電極との間に静電力が生じ、可動板63は基板62に引き寄せられる。図面には示していないが、基板62の固定電極は、パターン72dと対向する領域に形成されている。
本実施の形態によるマイクロアクチュエータ61も、前記第3の実施の形態によるマイクロアクチュエータ111と同様に、ローレンツ力と静電力の両方を駆動力として用いることが可能である。例えば、ローレンツ力のみまたはローレンツ力と静電力の両方で可動板63を基板62側へ押し下げ、可動板63が基板62に当接するかあるいはその手前の設定位置まで達したら、ローレンツ力を切り静電力だけで、可動板63を基板62に当接した状態に保持することができる。
次に、ミラー部64の構造について、図18の他に、図21及び図22を参照して説明する。
図21は、図18中のミラー部64を示す概略斜視図である。図22(a)は、図18中のミラー部64を示す概略断面図である。図22(b)は、図22(a)中のA矢視図である。
本実施の形態では、ミラー部64は、図18、図21及び図22に示すように、光学膜からなるミラー81の他に、2本の支持部(第1の膜部材)82と、2つの接続部84と、2本の支持部(第2の膜部材)83と、ミラー81を直接的に支持する光学膜支持部85とを有している。支持部82と支持部83は、例えば、帯状に形成され、いずれも長手方向に円弧状に湾曲している。また、接続部84と光学膜支持部85とミラー81には、剛性を高めるために、縁に段差(折り返し)が形成されている。2本の支持部82の一方の端部は、脚部82cにより可動板63のミラー部搭載板63bに固定されている。2本の支持部82の先端には、それぞれ接続部84を介して支持部83の上端が接続されている。2本の支持部83は下向きに垂れ下がり、それらの先端は、光学膜支持部85の両端を支持している。光学膜支持部85には、ミラー81が搭載されている。これにより、ミラー81を搭載した光学膜支持部85は、2本の支持部83によって吊り下げられた構成となっている。
湾曲した支持部82は、図22(a)に示すようにSiN膜82aとAl膜82bとを積層した2層膜である。一方、支持部83は、Al膜83aとSiN膜83bとを積層した2層膜である。支持部82,83は、いずれも、Al膜とSiN膜との熱膨張係数の差異によって生じる応力並びに成膜時に生じる応力によって円弧状に湾曲している。このとき、図21及び図22(a)に示すように、支持部82は、可動板63に突出する様に湾曲しているのに対して、支持部83は、支持部82とは逆向きに湾曲している。このような湾曲を実現するために、支持部82は、可動板63側からSiN膜82a、Al膜82bの順に積層され、支持部83は、可動板63側からAl膜83a、SiN膜83bの順に積層されている。
このように支持部83を支持部82に対して逆向きに湾曲させることにより、図22(a)のように、ミラー81が支持される位置を、可動板63に近い低い位置にすることができるとともに、水平方向については、支持部82の脚部82cに近い位置にミラー81を支持することができる。また、温度変化により支持部82,83の湾曲状態が変化してもミラー81の位置が大きく変化しにくい。これにより、ミラー部64は、ミラー81が振動しにくく、ミラー81の位置を安定させることができる。
さらに、可動板63のミラー部搭載板63b上には、図18及び図21に示すように、光学膜支持部85の片面側(脚部82cが配置されている側とは逆の側)に、2つの薄膜立体構造体65がストッパとして搭載されている。薄膜立体構造体65は、光学膜支持部85の両脇を図21中の−Y方向に押して支える位置に配置されている。このように薄膜立体構造体65が光学膜支持部85を図21の−Y方向に支えることにより、温度変化により支持部82,83の湾曲状態が変化しても、ミラー81の位置及び向きを安定して一定に維持することができる。
次に、薄膜立体構造体65の構造について、図23(a),(b),(c)を参照して説明する。図23(a)は図18中の薄膜立体構造体65を示す概略平面図、図23(b)は図23(a)中のB−B’矢視図、図23(c)は図23(a)中のC−C’矢視図である。
本実施の形態では、薄膜立体構造体65は、4段の単位構造部材91〜94を積み重ねた構造である。1段目の単位構造部材91は、可動板63のミラー部搭載板63bの凸部74の一部74bと兼用されており、可動板63と一体に構成されている。単位構造部材92,93は、図23(c)に示すように、複数の支持部51と、平面部52とを有している。平面部52は、両端が支持部51によって支えられている。2段目の単位構造部材92は、1段目の単位構造部材91上に配置された3つの支持部51と、3つの支持部51の間に支持された2つの平面部52とを有する。3段目の単位構造部材93は、2段目の単位構造部材92の2つの平面部52の上にそれぞれ配置された2つの支持部51と、その間に支持された1つの平面部52とを有する。最上段の4段目の単位構造部材94は、3段目の単位構造部材93の1つの平面部52上に配置された1つの支持部51を有し、平面部52は有していない。最上段の単位構造部材94は、最下段の単位構造部材91の幅よりも突出する突起部49が備えられている。この突起部49が、図21に示すように光学膜支持部85と接して−Y方向に押し、光学膜支持部85を支持している。
単位構造部材92,93は、それぞれ連続した一つの膜によって、支持部51と平面部52とが一体に形成されている。また、単位構造部材94は、連続した一つの膜によって支持部と突起部49とが一体に形成されている。支持部51は、4つの側面と底面とを有し、これらが連続した膜により形成されている。
2段目から4段目の単位構造部材92〜94が互いに接する部分、すなわち支持部51の底面と、それを搭載する平面部52との間には、特別な接着層は配置されていないが、成膜時に膜同士が固着する力により、固定されている。また、2段目の単位構造部材92の支持部51のうちの底面は、成膜時に、1段目の単位構造部材91を構成する薄膜の可動板63に固着し、これにより単位構造部材91に固定されている。
2段目及び3段目の単位構造部材92〜93において、複数の支持部51の間隔は、平面部52がそれ自身の膜応力やその上段の支持部51から受ける重さによって撓みを生じない程度の間隔であって、かつ、支持部51を配置可能な面積の平面部52が確保できる間隔となるように定められている。
また、2段目から4段目の単位構造部材92〜94は、膜の周縁部を2回屈曲させることによって形成した段差(折り返し)53を有している。これにより、薄い膜で構成されているにも拘わらず変形しにくく、薄膜立体構造体65の剛性を高めている。また、単位構造部材92〜94を構成する膜に内部応力が存在している場合であっても、変形が生じるのを段差53によって防止することができ、立体構造を保持できる。
このように、本実施の形態の薄膜立体構造体65は、高さがあり、剛性があり、しかも、自重が軽い立体構造体を提供できる。したがって、この薄膜立体構造体65をミラー部64の光学膜支持部85のストッパとして用いることにより、可動板63に負担を与えることなく、温度変化に対してミラー部64の位置を維持することができる。
単位構造部材91〜94は、可動板63及びミラー部64の構成部材とは、全く別の工程で形成することはもちろん可能である。しかしながら、単位構造部材91を可動板63の一部とするのと同様に、可動板63やミラー部64を構成する部材の成膜時に単位構造部材92〜94を同時に形成することにより、製造工程を大幅に簡略化することができる。本実施の形態では、2段目の単位構造部材92は、支持部83及び支持部82を構成する膜を成膜する際に同時に形成した3層膜によって構成する。3段目の単位構造部材93は、ミラー81を構成する膜を成膜する際に同時に形成された薄膜によって構成する。単位構造部材94は、ミラー部64とは別に、SiN膜により形成する。
以上説明したミラー部64を搭載したマイクロアクチュエータ61は、基本的に、特許文献2の図26、図36〜図40に開示された光スイッチと同様の構造を有している。ただし、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ61では、前述したように、(i)支持板63cのミラー部搭載板63b寄りの部分及びミラー部搭載板63bがなす剛性部が、可動板63が力を受けていない状態において、固定端側から自由端側に向かう方向に沿って全体的に上方に湾曲している点と、(ii)静電力用可動電極となるAl膜72のパターン72dが、ミラー部搭載板63bの固定端側に配置されることで、前記剛性部における板ばね部(支持板63cの脚部63a,63dに近い部分)寄りに配置され、静電力用固定電極がこの位置のパターン72dと対向する位置に配置されている点の、2つの点で、特許文献2に開示された光スイッチのマイクロアクチュエータとは異なっている。
前述した可動板63、ミラー部64及び薄膜立体構造体65は、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができ、具体的には、例えば、特許文献2に開示されている光スイッチの製造方法と同様の製造方法を採用することができる。ただし、その場合、前記(i)の湾曲状態が得られるように、膜71〜73の成膜条件や犠牲層の形成条件などを適宜設定する。
図18乃至図23に示すミラー部64を搭載したマイクロアクチュエータ61も、図1乃至図4に示すミラー2を搭載したマイクロアクチュエータ1と同様に、光スイッチとして用いることができる。
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。すなわち、本実施の形態では、前記特徴(i)及び(ii)を有しているので、静電力で可動板63が基板62側に保持されている状態では、支持板63cのミラー部搭載板63b寄りの部分及びミラー部搭載板63bがなす剛性部の固定端側の一部(可動電極を構成するAl膜72のパターン72dの付近のみ)が基板62側に接触するだけに留まる。このため、両者の間の接触面積が小さくなる。したがって、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ61では、可動板63が、接触している基板62側から離れ易くなって、作動不良となり難い。
本実施の形態では、前述したように可動電極をなすAl膜72のパターン72dが、ミラー部搭載板63bの固定端側に配置され、これに対向する領域に固定電極が形成されているが、本発明では、その代わりに、例えば、可動電極をなすAl膜72のパターン72dをミラー部搭載板63bの自由端側に配置し、これに対向する領域に固定電極128を形成してもよい。この場合、可動板63が静電力によって基板62側に保持されているときには、前記第2の実施の形態によるマイクロアクチュエータ50と同様に、支持板63cのミラー部搭載板63b寄りの部分及びミラー部搭載板63bがなす剛性部の全体が基板62側に接触し、両者の接触面積が大きくなる。しかしながら、このマイクロアクチュエータでは、本実施の形態と同じく前記剛性部が力を受けない状態で上方に反っているので、前記剛性部の全体が基板62側に接触したときに、前記剛性部が平板状に変形する。この変形は、可動板63を基板62側から離れる方向に付勢する力を生ずるような変形である。したがって、このマイクロアクチュエータにおいても、可動板63が基板62側から離れ易くなって、作動不良となり難い。
ただし、このマイクロアクチュエータでは、前記剛性部の全体が基板62側に接触したときに、前記剛性部が平板状に変形して、ミラー部搭載板63bが平板状に変形してしまうため、薄膜立体構造体65の突起部49がミラー部64の光学膜支持部85と接する位置が変化して、ミラー81の位置及び向きが微妙に変化するおそれがある。
これに対し、本実施の形態によるマイクロアクチュエータ61では、前記特徴(i)のみならず前記特徴(ii)も有しているので、可動板63が静電力によって基板62側に保持されても、前記剛性部は元の湾曲状態を保ってほとんど変形しない。よって、本実施の形態によれば、ミラー81の位置及び向きを安定して一定に維持することができるという利点も同時に得られる。
[第5の実施の形態]
図24は、本実施の形態の第5の実施の形態による光学装置を模式的に示す概略構成図である。図24において、X’軸及びY’軸は、X軸及びY軸をそれぞれZ軸回りに45゜回転した軸を示す。
本実施の形態による光学装置は、光スイッチシステムとして構成されている。本実施の形態による光学装置は、図24に示すように、光スイッチアレー201と、m本の光入力用光ファイバ202と、m本の光出力用光ファイバ203と、n本の光出力用光ファイバ204と、光スイッチアレー201に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石205と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号を光スイッチアレー201に供給する制御部としての外部制御回路206と、を備えている。図24に示す例では、m=3、n=3となっているが、m及びnはそれぞれ任意の数でよい。
本実施の形態では、磁石205は、光スイッチアレー201の下側に配置された永久磁石であり、光スイッチアレー201に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石205に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
本実施の形態では、光スイッチアレー201は、前述した図18乃至図23に示すミラー部64を搭載したマイクロアクチュエータ61を、基板62上にm×n個配置した構成を有している。図24では、基板62と、ミラー部64のミラー81のみを示している。
m本の光入力用光ファイバ202は、基板62に対するY’軸方向の一方の側からY’軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。m本の光出力用光ファイバ203は、m本の光入力用光ファイバ202とそれぞれ対向するように基板62に対する他方の側に配置され、光スイッチアレー201のいずれのミラー81によっても反射されずにY’軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。n本の光出力用光ファイバ204は、光スイッチアレー201のいずれかのミラー81により反射されて−X’軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。m×n個のミラー81は、m本の光入力用光ファイバ202の出射光路と光出力用光ファイバ204の入射光路との交差点に対してそれぞれ、マイクロアクチュエータ61により進出及び退出可能にZ軸方向に移動し得るように、2次元マトリクス状に基板62上に配置されている。なお、本例では、ミラー81の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてY軸’と45゜をなすY軸と平行となるように設定されている。もっとも、その角度は適宜変更することも可能であり、ミラー81の角度を変更する場合には、その角度に応じて光出力用光ファイバ204の向きを設定すればよい。また、本実施の形態による光学装置は光ビームを空間で交差させてスイッチを行う装置であり、ファイバー端には光ビームとの結合を改善する為に、レンズを挿入することもある。なお、この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
本実施の形態によれば、前記第4の実施の形態によるマイクロアクチュエータ61が用いられていることから、作動不良になり難くなり、信頼性を高めることができる。
光スイッチアレー201として、前述した図18乃至図23に示すミラー部64を搭載したマイクロアクチュエータ61に代えて、前記第1乃至第3の実施の形態に関連して説明したミラー搭載のマイクロアクチュエータを、基板上に2次元に配置したものを、用いてもよい。
なお、前記第1乃至第4の実施の形態に関連して説明したミラー搭載のマイクロアクチュエータは、アレー化することなく、単体の光スイッチとして用いてもよいことは、言うまでもない。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前述した各実施の形態は本発明を光スイッチに適用した例であったが、本発明は、ミラー2,81に代えて、光の反射率の低い遮光膜や、偏光特性を有する偏光膜や、光波長フィルタ特性を有する光学薄膜などを搭載することにより、光減衰器、偏光器、波長選択器等の種々の光学装置に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態によるマイクロアクチュエータ及びこれにより駆動されるミラーを模式的に示す概略平面図である。 可動部が力を受けていない状態における、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。 図1中のY1−Y2線に沿った概略断面図である。 可動部が基板側に保持された状態における、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。 図1に示すマイクロアクチュエータの製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図である。 比較例によるマイクロアクチュエータ及びこれにより駆動される光学素子としてのミラーを模式的に示す概略平面図である。 可動部が力を受けていない状態における、図6中のX3−X4線に沿った概略断面図である。 可動部が基板側に保持された状態における、図6中のX3−X4線に沿った概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態によるマイクロアクチュエータ及びこれにより駆動されるミラーを模式的に示す概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態によるマイクロアクチュエータ及びこれにより駆動されるミラーを模式的に示す概略平面図である。 図10中のX11−X12線に沿った概略断面図である。 図10中のX13−X14線に沿った概略断面図である。 図10中のX15−X16線に沿った概略断面図である。 図10中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。 図10中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。 図10中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。 図10中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。 本発明の第4の実施の形態によるマイクロアクチュエータ及びこれにより駆動されるミラー部を示す概略斜視図である。 図18中のマイクロアクチュエータの可動板を示す概略平面図と、そのM−M断面図である。 図18中のマイクロアクチュエータの可動板のAl膜のパターン形状を示す図である。 図18中のミラー部を示す概略斜視図である。 図18中のミラー部を示す他の図である。 図18中の薄膜立体構造体を示す図である。 本実施の形態の第5の実施の形態による光学装置を模式的に示す概略構成図である。
符号の説明
1,50,61,111 マイクロアクチュエータ
2,81 ミラー
11,62,121 基板
13 梁部
14,132,134 梁構成部(ばね部)
15,133,135 梁構成部(剛性部)
16 固定電極
63 可動板
64 ミラー部

Claims (8)

  1. 固定部と、該固定部に対して固定端が固定された片持ち梁構造を持つ可動部とを備え、
    前記可動部は、前記可動部の前記固定端と自由端との間に梁部を有し、
    前記梁部は、前記固定端と前記自由端との間に機械的に直列に接続されたばね部と剛性部とを有し、
    前記ばね部は、前記剛性部に対して前記固定端側に配置され、
    前記剛性部は、前記可動部が力を受けない状態で、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って前記固定部とは反対側に反っていることを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  2. 前記剛性部は、前記可動部が力を受けない状態で、前記固定部とは反対側に全体的に湾曲していることにより前記固定部とは反対側に反っていることを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ。
  3. 前記可動部を前記固定部に引き寄せる力を発生させる手段を備え、
    前記手段の一部を構成し前記可動部に設けられる要素が、前記剛性部における前記ばね部寄りの部分又は前記ばね部に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロアクチュエータ。
  4. 前記要素が静電力を発生するための電極であることを特徴とする請求項3記載のマイクロアクチュエータ。
  5. 前記剛性部は、主面部と、該主面部から立ち上がるか又は立ち下がった補強部とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ。
  6. 前記ばね部及び前記剛性部はそれぞれ薄膜で構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられた光学素子と、を備えたことを特徴とする光学装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載のマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたことを特徴とする光スイッチ。
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