JP4144457B2 - デバイスの検査方法及びデバイスの製造方法 - Google Patents

デバイスの検査方法及びデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばMEMSデバイスなどの、基体と、薄膜で構成されるとともに少なくとも一部が前記基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体とを備えた、デバイスに関するものである。また、本発明は、このようなデバイスを用いた光学システム、並びに、このようなデバイスの測定方法及び検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前述したようなデバイスとして、例えば、下記の特許文献1に開示された光スイッチを構成するアクチュエータ基板や、特許文献2に開示された可変光減衰器を構成するMEMSデバイスを、挙げることができる。
【0003】
特許文献1に開示された光スイッチについて説明する。この光スイッチは、マトリクス状に光導波路が形成されるとともにその交差点にミラーが進出し得る溝が形成された光導波路基板と、薄膜構造体をなすマイクロアクチュエータ及びミラーが形成されたアクチュエータ基板と、を備えている。ミラーがマイクロアクチュエータにより駆動され、ミラーが光導波路基板の前記溝内に進出した時に光がそのミラーで反射される一方、ミラーが前記溝から退出した時に光が直進することにより、光路が切り替えられる。
【0004】
そして、特許文献1に開示された光スイッチで採用されているマイクロアクチュエータでは、薄膜で一様に構成された板ばね部のみで構成されている。この薄膜構造体としての板ばね部は、基端が基板に固定されて片持ち梁をなす。この板ばね部の先端側にミラーが固定されている。この板ばね部は、駆動力が与えられていない場合には、基板と反対側に反って湾曲し、基板から空間を隔てており、駆動力が与えられると、板ばね部の基板側の面全体が基板上の面に当接する。駆動力が与えられなくなると、板ばね部のバネ力(内部応力)によって基板と反対側に反って湾曲した状態に戻る。
【0005】
特許文献2に開示された可変光減衰器では、マイクロアクチュエータとして、基板上に薄膜で形成されたてこ構造を用いた構造体が採用され、このマイクロアクチュエータによって、互いに対向配置された一対の光ファイバの端部間のギャップ内にシャッタを制御された量だけ挿入することで、減衰量を変えることができるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−142008号公報(図8)
【特許文献2】
米国特許第6173105号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような、基体と、薄膜で構成されるとともに少なくとも一部が前記基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体とを備えた、デバイスでは、成膜条件のばらつきによって、構造体を構成する膜の成膜時の生ずる当該膜の内部応力にばらつきが生ずる場合がある。この場合、前記内部応力のばらつきによって前記構造体が所望の形状から変形してしまい、これにより当該デバイスの所期の性能が得られなくなってしまう。例えば、前記特許文献1に開示されたデバイスでは、駆動力が与えられていない状態で板ばね部(薄膜構造体)が所期の形状から変形してしまうと、板ばね部に搭載したミラーの位置が変位してしまうため、溝内に完全に進出し得なくなって光路を適切に切り換えることができないなどの不都合が生ずる。また、前記特許文献2に開示されたデバイスでは、てこ構造をなす薄膜構造体が変形してしまうと、この薄膜構造体に搭載したシャッタの位置が変位してしまうため、所望の減衰量を得ることができなくなってしまうなどの不都合が生ずる。
【0008】
そこで、従来は、前述したようなデバイスについて次のような検査を行っていた。すなわち、製造されたデバイスの前記構造体の形状をそのまま肉眼又は顕微鏡等で観察し、観察者が見た目で構造体の形状が所期の形状を有するか否かを判定することによって当該デバイスの良否を判定することで、前述したようなデバイスの検査を行っていた。
【0009】
しかしながら、この従来の検査方法では、観察者が構造体の形状を単に観察してそのまま見た目で所期の形状と比較しているだけであるので、デバイスの良否の判定に熟練を要するとともに、デバイスの良否を精度良く判定することができなかった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、前述したようなデバイスの良否を熟練を要することなく精度良く判定することができるデバイス検査方法、このデバイス検査方法等に用いるのに好適なデバイス測定方法、このデバイス測定方法に特に適した構造を有するデバイス、並びに、このデバイスや前記デバイス検査方法により検査されたデバイスを用いた光学システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるデバイスは、基体と、薄膜で構成されるとともに少なくとも一部が前記基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体とを備え、前記構造体の1つ以上の箇所の前記基体に対する相対的な位置を測定するための1つ以上のマークが、前記基体及び前記構造体のいずれか一方又は両方に形成されたものである。
【0012】
本発明の第2の態様によるデバイスは、前記第1の態様において、前記1つ以上のマークのうちの少なくとも1つのマークは、実質的に、前記相対的な位置の測定以外の用途に用いられないものである。
【0013】
本発明の第3の態様によるデバイスは、前記第1又は第2の態様において、前記1つ以上のマークのうちの少なくとも1つのマークは、実質的に、前記相対的な位置の測定以外の用途にも用いられるものである。
【0014】
本発明の第4の態様によるデバイスは、前記第1乃至第3の態様のいずれかの態様において、前記1つ以上のマークは、前記基体及び前記構造体を前記構造体の側から観察するとき、前記構造体の前記1つ以上の箇所の各々について、当該箇所から150μm以下の範囲内に、前記1つ以上のマークのうちの少なくとも1つが存在するように、前記基体に形成されたものである。前記範囲は、120μm以下の範囲であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
【0015】
本発明の第5の態様によるデバイスは、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記1つ以上のマークのうちの少なくとも1つのマークは、その中心点に関して実質的に点対称の形状を有するものである。
【0016】
本発明の第6の態様によるデバイスは、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記構造体の少なくとも一部の、前記基体に対する相対的な位置は、当該部分を構成する膜の、成膜時における前記基体に対する相対的な位置と異なるものである。
【0017】
本発明の第7の態様によるデバイスは、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記構造体は、前記基体に対して固定端が固定された片持ち梁構造体を含むものである。
【0018】
本発明の第8の態様によるデバイスは、前記第7の態様において、前記片持ち梁構造体がマイクロアクチュエータを構成するものである。
【0019】
本発明の第9の態様によるデバイスは、前記第8の態様において、(a)前記片持ち梁構造体は、固定端と自由端との間に直列に接続された複数の梁構成部を有し、(b)前記片持ち梁構造体が力を受けない状態で、前記複数の梁構成部のうちの1つの梁構成部と他の少なくとも1つの梁構成部とは、前記基体側及びその反対側に対する異なる湾曲・非湾曲状態を持つものである。
【0020】
本発明の第10の態様によるデバイスは、前記第9の態様において、(a)前記複数の梁構成部のうちの最も固定端側の梁構成部は、板ばね部であり、(b)前記複数の梁構成部のうちの、前記最も固定端側の梁構成部以外の少なくとも1つの梁構成部は、少なくとも前記固定部側及びその反対側に対する撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部であるものである。
【0021】
本発明の第11の態様によるデバイスは、前記第1乃至第10のいずれかの態様において、前記構造体は光学素子部を含むか、あるいは、前記構造体に光学素子部が搭載されたものである。
【0022】
本発明の第12の態様によるデバイスは、前記第11の態様において、前記光学素子部が光スイッチ用ミラーであるものである。
【0023】
本発明の第13の態様によるデバイスは、前記第11の態様において、前記光学素子部が可変光減衰器用シャッタであるものである。
【0024】
本発明の第14の態様による測定方法は、前記第1乃至第11のいずれかの態様によるデバイスの、前記構造体の1つ以上の箇所の前記基体に対する相対的な位置を測定する測定方法であって、前記1つ以上のマークを用いるものである。
【0025】
本発明の第15の態様による測定方法は、基体と、薄膜で構成されるとともに少なくとも一部が前記基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体とを備えた、デバイスを測定する方法であって、前記構造体の1つ以上の箇所の前記基体に対する相対的な位置を測定するものである。
【0026】
本発明の第16の態様によるデバイス検査方法は、前記第14又は第15の態様による測定方法により得られた前記相対的な位置に基づいて、前記デバイスの良否を判定するものである。
【0027】
本発明の第17の態様によるデバイスは、前記第16の態様によるデバイス検査方法により検査されたものである。
【0028】
本発明の第18の態様による光学システムは、前記第11乃至第13及び第17のいずれかの態様によるデバイスを備えたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるデバイス、光学システム、並びに、デバイスの測定方法及び検査方法について、図面を参照して説明する。
【0030】
[第1の実施の形態]
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるデバイス(本実施の形態では、光スイッチアレー)1を用いた光学システム(本実施の形態では、光スイッチシステム)の一例を模式的に示す概略構成図である。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。図1において、X’軸及びY’軸は、X軸及びY軸をそれぞれZ軸回りに45゜回転した軸を示す。デバイス1の基板121の面がXY平面と平行となっている。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。
【0032】
本実施の形態による光学システムは、図1に示すように、デバイス1と、m本の光入力用光ファイバ2と、m本の光出力用光ファイバ3と、n本の光出力用光ファイバ4と、デバイス1に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号をデバイス1に供給する制御部としての外部制御回路6と、を備えている。図1に示す例では、m=3、n=3となっているが、m及びnはそれぞれ任意の数でよい。
【0033】
本実施の形態では、磁石5は、デバイス1の下側に配置された永久磁石であり、デバイス1に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石5に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
【0034】
デバイス1は、図1に示すように、基板121と、基板121上に配置されたm×n個の光学素子部としての光スイッチ用ミラー12とを備えている。m本の光入力用光ファイバ2は、基板121に対するY’軸方向の一方の側からY’軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。m本の光出力用光ファイバ3は、m本の光入力用光ファイバ2とそれぞれ対向するように基板121に対する他方の側に配置され、デバイス1のいずれのミラー12によっても反射されずにY’軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。n本の光出力用光ファイバ4は、デバイス1のいずれかのミラー12により反射されて−X’軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。m×n個のミラー12は、m本の光入力用光ファイバ2の出射光路と光出力用光ファイバ4の入射光路との交差点に対してそれぞれ、後述するマイクロアクチュエータ21により進出及び退出可能にZ軸方向に移動し得るように、2次元マトリクス状に基板121上に配置されている。なお、本例では、ミラー12の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてY軸’と45゜をなすY軸と平行となるように設定されている。もっとも、その角度は適宜変更することも可能であり、ミラー12の角度を変更する場合には、その角度に応じて光出力用光ファイバ4の向きを設定すればよい。また、図1は光ビームを空間で交差させてスイッチを行う装置であり、ファイバー端には光ビームとの結合を改善する為に、レンズを挿入することもある。なお、この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
【0035】
次に、図1中のデバイス1の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、図2乃至図9を参照して説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態による光学システムで用いられているデバイス1の単位素子としての1つの光スイッチ(すなわち、1つのマイクロアクチュエータ21及びこれにより駆動される1つのミラー12)を模式的に示す概略平面図である。図2では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って形成された保護膜としてのSiN膜144は省略して示し、本来実線で書くべき凸条部149,150のラインを破線で示し、Al膜142,143にそれぞれ異なるハッチングを付している。図3は、図2中のX11−X12線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図2中のX19−X20線に沿った概略断面図は図3と同様となる。図4は、図2中のX13−X14線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図2中のX17−X18線に沿った概略断面図は図4と同様となる。図5は、図2中のX15−X16線に沿った概略断面図である。図6は、図2中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。図7は、図2中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。図8は、図2中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。図9は、図2中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。なお、図3乃至図9では、梁構成部132,134がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132,134は、実際には、後述する図10(a)に示すように、可動部が力を受けていない状態において、当該梁構成部132,134を構成する膜の応力によって+Z方向に湾曲している。
【0036】
本実施の形態では、マイクロアクチュエータ21は、薄膜からなる片持ち梁構造体を有している。
【0037】
本実施の形態で用いられているマイクロアクチュエータ21は、基体としてのシリコン基板やガラス基板等の基板121と、脚部122,123と、Z軸方向から見た平面視で主としてX軸方向に並行して延びた2本の帯板状の梁部124,125と、梁部124,125の先端(自由端、+X方向の端部)に設けられそれらの間を機械的に接続する平面視で長方形状の接続部126と、梁部124を構成する梁構成部133及び梁部125を構成する梁構成部135の固定端側同士を補強のために機械的に接続する接続部127と、固定電極(第1の電極部)128と、を備えている。本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が、薄膜で構成されるとともに基板121から空間を隔てるように脚部122,123を介して基板121により支持された構造体(本実施の形態では、片持ち梁構造体)を構成している。
【0038】
梁部124の固定端(−X方向の端部)は、基板121上のシリコン酸化膜等の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる配線パターン130,131(図2では省略)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部122a,122bからなる脚部122を介して、基板121に機械的に接続されている。同様に、梁部125の固定端(−X方向の端部)は、基板121上の絶縁膜129上に形成されたAl膜からなる2つの配線パターン(図示せず)をそれぞれ介して基板121から立ち上がる立ち上がり部を持つ2つの個別脚部123a,123bからなる脚部123を介して、基板121に機械的に接続されている。前述したように、梁部124,125の自由端間が接続部126で機械的に接続され、梁構成部133,135の固定端側同士が接続部127で機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が、全体として、可動部としての片持ち梁構造体を構成している。本実施の形態では、基板121、固定電極128及び絶縁膜129が、固定部(基体)を構成している。
【0039】
梁部124は、前記可動部の固定端と自由端との間に機械的にX軸方向に直列に接続された2つの梁構成部132,133を有している。梁構成部132は、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた帯板状に構成されている。梁構成部133は、帯板状に構成され、図2に示すように、Z軸方向から見た平面視で、主としてX軸方向に延びているものの、−X側の位置でY軸方向に折れ曲がったような形状を有している。固定端側(−X側)の梁構成部132はZ軸方向に撓み得る板ばね部となっているのに対し、自由端側(+X側)の梁構成部133はZ軸方向(基板121側及びその反対側)の撓み及びその他の方向の撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部となっている。
【0040】
梁構成部132は、下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。Al膜142とAl膜143とは、同一階層に形成されているが、図2に示すように、若干Y軸方向に隙間をあけて形成され、互いに電気的に分離されている。これは、Al膜142を静電力用の可動電極への配線として用い、Al膜143をローレンツ力用の電流経路を形成するための配線として用いるためである。静電力用の配線ではほとんど電流を流さない一方、ローレンツ力用の配線では比較的大きい電流を流すため、ローレンツ力用の配線の電気抵抗を低減するべく、Al膜142は幅が狭く形成され、Al膜143は幅が広く形成されている。
【0041】
梁構成部133は、梁構成部132からそのまま連続して延びた下側のSiN膜141と中間のAl膜142,143と上側の保護膜としてのSiN膜144とが積層された3層(ただし、Al膜142,143間の隙間では2層)の薄膜で、構成されている。しかし、後述する凸条部149,150を形成することによって、梁構成部133に前述した剛性を持たせている。
【0042】
図3では、梁構成部132がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132は、実際には、駆動信号が供給されていない状態において、膜141〜144の応力によって、上方(基板121と反対側、+Z方向)に湾曲している。このような湾曲状態は、膜141,142,144の成膜条件を適宜設定することにより、実現することができる。一方、梁構成部133は、駆動信号の供給の有無に拘わらずZ軸方向に実質的に湾曲しておらず、前述した剛性を持つことにより、膜141〜144の応力により湾曲することがなく常に平板状の状態を維持する。このように、梁構成部132と梁構成部133とは、梁部124が力を受けない状態で、異なる湾曲・非湾曲状態を持っている。
【0043】
本実施の形態では、脚部122は、梁構成部132を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成され、2つの個別脚部122a,122bを有している。脚部122が2つの個別脚部122a,122bを有しているのは、静電力用の配線とローレンツ力用の配線とを分離して、Al膜142とAl膜143とを基板121上の別々の配線パターン130,131にそれぞれ電気的に接続させるためである。Al膜142は、個別脚部122aにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン130に電気的に接続されている。Al膜143は、個別脚部122bにおいてSiN膜141に形成された開口を介して配線パターン131に電気的に接続されている。なお、脚部122の上部には、脚部122の強度を補強するために、凸条部151がZ方向から見た平面視で個別脚部122a,122bを一括して囲むように口の字状に形成されている。
【0044】
梁部125及び脚部123は、前述した梁部124及び脚部122とそれぞれ全く同一の構造を有している。梁部125を構成する梁構成部134,135は、梁部124を構成する梁構成部132,133に相当している。脚部123を構成する個別脚部123a,123bは、脚部122を構成する個別脚部122a,122bにそれぞれ相当している。また、脚部123の上部には、前述した凸条部151に相当する凸条部152が形成されている。
【0045】
接続部127は、梁構成部133,135からそのまま連続して延びたSiN膜141,144の2層膜で構成されている。接続部127には、梁構成部133,135からのAl膜142は延びておらず、接続部127においては、何ら電気的な接続は行われていない。
【0046】
本実施の形態では、梁構成部133,135及び接続部126,127に一括して剛性を付与するべく、図2中の破線で示すように、平面視でこれらの一括した領域の外周側において周回するように凸条部149が形成され、前記一括した領域の内周側に周回するように凸条部150が形成されている。この凸条部149,150によって、梁構成部133,135が補強されて剛性を有している。梁構成部133,135は、駆動信号の供給の有無に拘わらずZ軸方向に実質的に湾曲しておらず、前述した剛性を持つことにより、膜141〜144の応力により湾曲することがなく常に平板状の状態を維持する。
【0047】
接続部126は、梁構成部133,135を構成するSiN膜141,144及びAl膜142,143がそのまま連続して延びることによって構成されている。接続部126には、被駆動体としてのAu、Ni又はその他の金属からなるミラー12が設けられている。
【0048】
接続部126におけるAl膜142の部分が、静電力用の可動電極(第2の電極部)として兼用されている。この可動電極に対向する基板121上の領域には、Al膜からなる静電力用の固定電極128が形成されている。図面には示していないが、固定電極128を構成するAl膜は配線パターンとしても延びており、前記配線パターン130と共に利用することによって、固定電極128と可動電極として兼用された接続部126におけるAl膜142との間に電圧(静電力用電圧)を、印加できるようになっている。
【0049】
一方、前述した説明からわかるように、Al膜143によって、脚部122の個別脚部122b下の配線パターン131から、梁構成部132→梁構成部133→接続部126→梁構成部135→梁構成部134を経て、脚部123の個別脚部123b下の配線パターン(図示せず)へ至る、電流経路が構成されている。この電流経路のうち、接続部126におけるY軸方向に沿った電流経路が、X軸方向の磁界内に置かれたときに、Z軸方向へ向かうローレンツ力を発生させる部分となっている。したがって、前述した図1中の永久磁石5を用いてX軸方向の磁界内に置き、前記電流経路へ電流(ローレンツ力用電流)を流すと、接続部126におけるAl膜143にローレンツ力(駆動力)がZ方向へ作用する。なお、このローレンツ力の向きが+Z方向であるか−Z方向であるかは、ローレンツ力用電流の向きによって定まる。
【0050】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、梁部124,125及び接続部126,127が構成する構造体が、基板121、固定電極128及び絶縁膜129からなる固定部に対して、上下に(Z軸方向に)移動し得るようになっている。すなわち、本実施の形態では、前記可動部は、板ばねを構成する梁構成部132,134のバネ力により復帰しようとする上側位置と、接続部126が固定電極128に当接する下側位置との間を、移動し得るようになっている。前記上側位置では、可動部の可動電極(接続部126におけるAl膜142)と固定部の固定電極128との間隔が広がって、両者の間に生じ得る静電力は低下又は消失する。前記下側位置では、可動部の可動電極(接続部126におけるAl膜142)と固定部の固定電極128との間隔が狭まって、両者の間に生じ得る静電力は増大する。
【0051】
本実施の形態では、前記静電力用電圧及びローレンツ力用電流を制御することで、ミラー12が上側位置(基板121と反対側)に保持された状態及びミラー12が下側(基板121側)に保持された状態にすることができる。本実施の形態では、外部制御回路6によってこのような制御が行われるようになっている。
【0052】
図10は、マイクロアクチュエータ21に設けられたミラー12による光の切り替え状態を模式的に示す概略側面図である。図10(a)はミラー12が上側に保持されて光路に進出した状態、図10(b)はミラー12が下側に保持されて光路から退出した状態を示している。なお、図10において、各部の構造は大幅に簡略化して示している。図10において、Kは、ミラー12の進出位置に対する光路の断面を示している。
【0053】
図10(a)に示すように、前記静電力及び前記ローレンツ力が印加されていない状態では、梁構成部132,134がそれらを構成する膜の応力によって+Z方向に湾曲した状態に復帰し、ミラー12が上側に保持される。これにより、ミラー12が光路Kに進出して、当該光路に入射した光を反射させる。この状態から、光路に入射した光をミラー12で反射させずにそのまま通過させる状態に切り替える場合には、例えば、まず、前記ローレンツ力を印加して板ばね部(梁構成部132,134)のバネ力に抗してミラー12を下方へ移動させ、ミラー12が基板121に保持された後、前記静電力を印加してその保持を維持し、前記ローレンツ力の印加を停止させればよい。
【0054】
本実施の形態では、図面には示していないが、デバイス1において、ミラー12及びこれを駆動するマイクロアクチュエータ21で構成された光スイッチが複数基板121上に2次元マトリクスに配置され、これらが光スイッチアレーを構成している。もっとも、本発明では、デバイス1に単一の光スイッチのみを搭載してもよい。
【0055】
なお、本実施の形態では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って、保護膜としてのSiN膜144が形成されているが、このSiN膜144は形成しなくてもよい。
【0056】
そして、本実施の形態では、図2及び図10に示すように、デバイス1において、前記固定部(基体)に、具体的には基板121上の絶縁膜129上に、前記可動部(薄膜構造体)の1つ以上の箇所P1〜P3の前記固定部に対する相対的な位置を測定するためのマーク161a〜161f,161a’〜161f’が形成されている。箇所P1,P2はそれぞれ、接続部126の先端側(+X側)の−Y側と+Y側のコーナーである。箇所P3は、梁構成部135の−X側の−Y側のコーナーである。本実施の形態では、マーク161a〜161fは、梁構成部135の−Y側付近においてX軸方向に一列に所定ピッチで配列されている。マーク161a’〜161f’は、梁構成部133の+Y側付近においてX軸方向に一列に所定ピッチで配列されている。また、本実施の形態では、各マーク161a〜161f,161a’〜161f’の形状は、正方形とされ、その中心点に関して点対称の形状とされている。もっとも、本発明では、マークの数、配置、形状等は前述した例に限定されるものではない。さらに、本実施の形態では、各マーク161a〜161f,161a’〜161f’は、配線パターン等を兼ねるものではなく、前記相対的な位置の測定以外の用途には用いられない。また、本実施の形態では、各マーク161a〜161f,161a’〜161f’は、Al膜をパターニングすることで形成されているが、例えば、他の金属膜や絶縁膜などをフォトリソエッチング法等によってパターニングすることで形成してもよい。
【0057】
なお、マーク161a〜161f,161a’〜161f’は、デバイス1において、全てのマイクロアクチュエータ21について形成しておくことが好ましいが、一部のマイクロアクチュエータ21についてのみ形成しておいてもよい。
【0058】
本実施の形態によるデバイス1は、例えば、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。
【0059】
その一例について、簡単に説明すると、まず、シリコン基板121の上面に熱酸化によってシリコン酸化膜129を成膜し、その上にAl膜を蒸着又はスパッタ法等によりデポした後に、フォトリソエッチング法により、そのAl膜を固定電極128、配線パターン130,131、マーク161a〜161f,161a’〜161f’及びその他の配線パターンの形状にパターニングする。次いで、この状態の基板上に、犠牲層となる第1のレジストを塗布し、この第1のレジストに、脚部122a,122b,123a,123bのコンタクト部に応じた開口をフォトリソエッチング法により形成する。次に、この状態の基板の全面に犠牲層となる第2のレジストを塗布し、フォトリソエッチング法により、第2のレジストにおける凸条部149〜152に対応した部分のみを島状に残して他の部分を除去する。その後、脚部122a,122b,123a,123b並びに梁部124,125及び接続部126,127となるべきSiN膜141をプラズマCVD法等により形成した後、フォトリソエッチング法によりパターニングし、それらの形状とする。このとき、脚部122a,122b,123a,123bにおけるコンタクト部には開口を形成しておく。次いで、脚部122a,122b,123a,123b並びに梁部124,125及び接続部126,127となるべきAl膜142,143を蒸着又はスパッタ法等によりデポした後に、フォトリソエッチング法によりパターニングし、それらの形状にする。次に、この状態の基板の全面に犠牲層となる第3のレジストを厚塗りし、第3のレジストを露光、現像してミラー12が成長される領域を第3のレジストに形成した後、電解メッキによりミラー12となるべきAu、Ni又はその他の金属を成長させる。最後に、第1乃至第3のレジストをプラズマアッシング法等により除去する。これにより、本実施の形態によるデバイス1が完成する。
【0060】
なお、前述したように膜141〜144の成膜は、前記第1乃至第3のレジストを除去した際に、梁構成部(板ばね部)132,134が成膜時のストレスによって上方に湾曲するような条件で、行う。
【0061】
前記デバイス1では、図1及び図10を参照して説明した光路切り替え動作を適切に行うためには、前記構造体(梁部124,125及び接続部126,127)が駆動力を受けてない状態で図10(a)に示すように所期の形状を有していること(すなわち、本実施の形態では、梁構成部132,134の+Z方向への湾曲の程度が適切であること、ねじれ等が十分に少ないこと(つまり点P1,P2のZ軸方向の高さの差が少ないこと)など)が重要である。例えば、駆動力を受けていない状態で、梁構成部132,134の+Z方向への湾曲の程度が、図10(a)に示す状態より許容範囲を越えて少なければ、ミラー12が入射光束の一部を反射するが残りをそのまま通過させてしまう。また、前記ねじれが大きければ、ミラー12の角度がずれてしまい、駆動力を受けていない状態でミラー12は入射光を対応する光出力用光ファイバ3へ適切に導く方向に反射させることができなくなってしまう。
【0062】
ところが、デバイス1では、製造プロセスを十分に管理したとしても、成膜条件のばらつきによって、構造体を構成する膜の成膜時の生ずる当該膜の内部応力にばらつきが生ずる場合がある。この場合、前記内部応力のばらつきによって前記構造体が所期の形状から変形してしまう。
【0063】
そこで、製造されたデバイス1について、前記構造体の形状に関し、良否を判定するために検査を行う必要がある。
【0064】
前述した従来技術に従えば、製造されたデバイス1の前記構造体の形状をそのまま肉眼又は顕微鏡等で観察し、観察者が見た目で構造体の形状が所期の形状を有するか否かを判定することによって当該デバイス1の良否を判定することになる。この場合には、観察者が構造体の形状を単に観察してそのまま見た目で所期の形状と比較するだけであるので、デバイス1の良否の判定に熟練を要するとともに、デバイス1の良否を精度良く判定することができない。
【0065】
これに対して、本発明の一実施の形態によるデバイス検査方法としての第1のデバイス検査方法では、マーク161a〜161f,161a’〜161f’を用いることなく、デバイス1の前記構造体の箇所P1〜P3(図2参照)の前記基体に対する相対的な位置を測定し、この測定により得られた前記相対的な位置に基づいて、デバイス1の良否を判定する。具体的には、例えば、試料台としての可動ステージ(例えば、XYステージ)と顕微鏡とZ方向からの顕微鏡像を撮像するCCDカメラとを組み合わせて画像処理にて位置座標を測定することができる座標測定器を用いて、例えば個別脚部123bのパターンの位置を前記基体側の基準位置として、箇所P1〜P3のXY座標を測定する。前記座標測定器としては、例えば、株式会社ニコン製のCNC画像測定システム「NEXIV VMR−3020」を用いることができる。
【0066】
前記基体に対する箇所P1〜P3の相対的な位置(XY座標)を得れば、前記構造体(梁部124,125及び接続部126,127)の+Z方向の湾曲の程度やねじれ等を演算により求めることができる。したがって、演算により求めた+Z方向の湾曲の程度やねじれ等が、予め定めた許容範囲内であるか否かによって、デバイス1の良否を判定することができる。なお、より厳密に構造体の変形等を求める場合には、前記構造体における測定個所を増やせばよい。この場合、増やそうとする測定個所(例えば、梁構成部133,135や接続部126,127の上面の適当箇所など)に、必要に応じて、マーク161a〜161f,161a’〜161f’と同様のマークを形成しておけばよい。この点は、後述する第2のデバイス検査方法についても同様である。
【0067】
このように、前記第1のデバイス検査方法では、箇所P1〜P3の基体に対する相対位置を測定し、測定された相対位置に基づいてデバイス1の良否を判定するので、前記構造体の形状に関して、デバイス1の良否を客観的に判定することができる。したがって、前記第1のデバイス検査方法によれば、検査者の熟練が不要となるとともに、従来に比べて精度良くデバイス1の良否を判定することができる。この第1のデバイス検査方法を行う場合には、マーク161a〜161f,161a’〜161f’を形成しておく必要はない。
【0068】
なお、前記構造体の箇所P1〜P3の位置測定については、必ずしもZ方向から見たXY座標位置の測定に限定されるものではなく、例えば、Z軸に対して傾いた方向から見た座標位置の測定を行ってもよい。この点は、後述する第2のデバイス検査方法についても同様である。
【0069】
また、本発明の他の実施の形態によるデバイス検査方法としての第2のデバイス検査方法では、マーク161a〜161f,161a’〜161f’を用いて、デバイス1の前記構造体の箇所P1〜P3(図2参照)の前記基体に対する相対的な位置を測定し、この測定により得られた前記相対的な位置に基づいて、前記第1のデバイス検査方法と同様にデバイス1の良否を判定する。具体的には、例えば、前記座標測定器を用いて、マーク161a〜161f,161a’〜161f’のいずれかの位置を前記基体側の基準位置として、箇所P1〜P3のXY座標を測定する。
【0070】
このように、第2のデバイス検査方法が前記第1のデバイス検査方法と異なる所は、前記基体に対する前記構造体の測定個所P1〜P3の相対位置を、個別脚部123bのパターンの位置を基準位置として測定するか、それとも、マーク161a〜161f,161a’〜161f’のいずれかの位置を基準位置として測定するかの、点のみである。よって、前記第2のデバイス検査方法によっても、前記第1のデバイス検査方法と同様に、検査者の熟練が不要となるとともに、従来に比べて精度良くデバイス1の良否を判定することができる。
【0071】
前記第1のデバイス検査方法では、基体側の基準位置として用いる個別脚部123bのパターンの位置は、測定個所P1〜P3から比較的遠い。例えば、Z方向から見たときの測定個所P1と個別脚部123bのパターンの位置との間の距離は、500μm程度である。したがって、可動ステージを移動させることなく、測定個所P1等と基準位置となる個別脚部123bのパターンとを顕微鏡の同一視野内に入れた状態で、測定個所P1等の相対位置を測定しようとすると、顕微鏡の倍率を比較的低くせざるを得ない。よって、測定個所P1等の相対位置の測定精度を高めることは困難である。一方、顕微鏡の倍率を高めると、個別脚部123bのパターンの位置と測定個所P1〜P3とが比較的遠いため、両者を顕微鏡の同一視野内に入れることができなくなる。したがって、顕微鏡の倍率を高めると、測定個所P1〜P3の相対位置を測定するためには、可動ステージを移動させなければならない。通常、座標測定器では、この可動ステージの移動量を電気的に測定して記憶することにより、基準位置と測定箇所P1〜P3とが同一視野内になくてもその座標位置を測定することはできる。しかし、可動ステージを移動してしまうと、測定精度が落ちてしまう。具体例として、可動ステージを移動しなければ0.1μmの精度で2点間の距離を測定することができるのに対し、500μm程度可動ステージを移動すると、2点間の距離測定に4.5μm程の測定誤差が生じる。したがって、前記第1のデバイス検査方法では、測定精度を上げようとして顕微鏡の倍率を上げても、結局、測定精度を上げることができない。
【0072】
これに対し、前記第2のデバイス検査方法では、基体側の基準位置としてマーク161a〜161f,161a’〜161f’が用いられる。マーク161a〜161f,161a’〜161f’のいずれかは測定箇所P1〜P3から近いので、顕微鏡の倍率を高めても、可動ステージを移動することなく、測定箇所P1〜P3といずれかのマークとを顕微鏡の同一視野内に入れることができる。したがって、前記第2のデバイス検査方法によれば、前記第1のデバイス検査方法に比べて、前記基体に対する前記構造体の測定個所P1〜P3の相対位置をより高い精度で測定することができ、ひいては、より高い精度でデバイス1の良否を判定することができる。
【0073】
以上の説明からわかるように、マーク161a〜161f,161a’〜161f’は、座標測定器の顕微鏡の倍率を上げても、座標測定器の可動ステージを移動することなく、いずれかのマークと測定個所P1〜P3とが顕微鏡の同一視野内に入るように配置することが、好ましい。具体的には、マーク161a〜161f,161a’〜161f’は、デバイス1を前記構造体の側から観察するとき、測定個所P1〜P3の各々について、当該測定個所から150μm以下の範囲内に、前記1つ以上のマークのうちの少なくとも1つが存在するように、配置することが好ましい。前記範囲は、120μm以下の範囲であることがより好ましく、100μm以下であることがより一層好ましい。
【0074】
また、本実施の形態では、前述したように、各マーク161a〜161f,161a’〜161f’の形状は、正方形とされ、その中心点に関して点対称の形状とされている。したがって、各マーク161a〜161f,161a’〜161f’が示す位置の精度が高まる。これは、パターンエッジ線は、パターン製造時(フォトリソ工程やエッチング工程)の誤差の影響を受けて移動するが、点対称の対称の中心点は、ほとんど移動しないからである。よって、測定個所P1〜P3の座標を測定する際は、マーク161a〜161f,161a’〜161f’の中心点を基準とするのが良い。各マーク161a〜161f,161a’〜161f’の形状は、正方形の他にも、円形、正三角形、正多角形、菱形などの、中心点に関して点対称の形状であれば、同様の利点が得られる。このように、各マーク161a〜161f,161a’〜161f’の形状として、中心点に関して点対称の形状を採用することが好ましいが、本発明では他の形状を採用してもよい。これらの点は、後述する他のマークについても同様である。
【0075】
なお、前記第1及び第2のデバイス検査方法は、例えば、デバイス1における全てのマイクロアクチュエータ21について測定個所P1〜P3の相対位置の測定を行い、全てのマイクロアクチュエータ21について前記構造体の形状が良好な場合にのみ当該デバイス1が良品であると判定してもよいし、あるいは、代表的に、デバイス1における一部のマイクロアクチュエータ21についてのみ測定個所P1〜P3の相対位置の測定を行い、当該一部のマイクロアクチュエータ21について前記構造体の形状が良好な場合に当該デバイス1が良品であると判定してもよい。
【0076】
本実施の形態による光学システムでは、デバイス1として、前記第1又は第2のデバイス検査方法により検査されて良品であると判定されたものが用いられている。したがって、本実施の形態による光学システムは、信頼性が高い。
【0077】
また、本実施の形態による光学システムでは、マーク161a〜161f,161a’〜161f’が形成されたデバイス1が用いられているので、前記第2のデバイス検査方法が可能となる。このため、前記第2のデバイス検査方法により検査されて良品であると判定されたデバイス1を用いることができ、これにより当該光学システムの信頼性をより高めることができる。
【0078】
さらに、本実施の形態では、デバイス1に搭載されているマイクロアクチュエータ21の梁部124,125が一様な板ばね部のみで構成されるのではなく、梁部124,125が、力を受けない状態で+Z方向に湾曲した板ばね部である固定端側の梁構成部132,134と、自由端側の常に平板状の剛性部である梁構成部133,135とで構成されている。したがって、可動部の固定端から自由端までの長さを長くし、かつ、可動部が力を受けない状態でローレンツ力及び/又は静電力が作用する接続部126と基板121側との間の距離を短くすることができる。このため、自由端側の駆動力が作用する接続部126の位置を、可動部の固定端から遠く、かつ、駆動信号を供給しない状態において基板121側に比較的近い位置に、配置することができる。よって、本実施の形態によれば、小さい駆動力で作動させることができ、当該マイクロアクチュエータ21を低電力で作動させることができる。
【0079】
なお、マーク161a〜161f,161a’〜161f’は、本実施の形態では前記相対的な位置の測定以外の用途には用いられないように構成されているが、配線パターンなどの、前記相対的な位置の測定以外の用途にも用いられるように構成してもよい。
【0080】
[第2の実施の形態]
【0081】
図11は、本発明の第2の実施の形態によるデバイス(本実施の形態では、可変光減衰器)201を用いた光学システム(本実施の形態では、可変光減衰器システム)の一例を模式的に示す概略構成図である。
【0082】
本実施の形態による光学システムは、図11に示すように、デバイス201と、1本の光入力用光ファイバ202と、1本の光出力用光ファイバ203と、デバイス201に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石205と、減衰量指令信号に応答して、当該減衰量指令信号が示す減衰状態を実現するための制御信号をデバイス201に供給する制御部としての外部制御回路206と、を備えている。
【0083】
本実施の形態では、磁石205は、デバイス1の下側に配置された永久磁石であり、デバイス201に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石205に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
【0084】
デバイス201は、図1に示すように、基板121と、基板121上に配置された1個の光学素子部としての可変光減衰器用シャッタ212とを備えている。光入力用光ファイバ202は、基板121に対するY軸方向の一方の側からY軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。光出力用光ファイバ203は、光入力用光ファイバ202と対向するように基板121に対する他方の側に配置され、光入力用光ファイバ202の出射端から出射してシャッタ212により減衰されたY軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。シャッタ212は、光ファイバ202,203間の光路に対して、後述するマイクロアクチュエータ31により進出可能にZ軸方向に移動し得るように、基板121上に配置されている。
【0085】
次に、図1中のデバイス201が有する可変光減衰器の構造について、図12乃至図19を参照して説明する。図12は、本発明の第2の実施の形態による光学システムで用いられているデバイス1が有する可変光減衰器(すなわち、1つのマイクロアクチュエータ31及びこれにより駆動される1つのシャッタ212)を模式的に示す概略平面図である。図12では、可動部及び脚部の表面に全体に渡って形成された保護膜としてのSiN膜144は省略して示し、本来実線で書くべき凸条部149,150のラインを破線で示し、Al膜143にはハッチングを付している。図13は、図12中のX21−X22線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図12中のX29−X30線に沿った概略断面図は図13と同様となる。図14は、図12中のX23−X24線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図12中のX27−X28線に沿った概略断面図は図14と同様となる。図15は、図12中のX25−X26線に沿った概略断面図である。図16は、図12中のY21−Y22線に沿った概略断面図である。図17は、図12中のY23−Y24線に沿った概略断面図である。図18は、図12中のY25−Y26線に沿った概略断面図である。図19は、図12中のY27−Y28線に沿った概略断面図である。なお、図13乃至図19では、梁構成部(板ばね部)132,134がZ軸方向に湾曲していないものとして示しているが、梁構成部132,134は、実際には、後述する図20(a)に示すように、可動部が力を受けていない状態において、当該梁構成部132,134を構成する膜の応力によって+Z方向に湾曲している。図12乃至図19において、図2乃至図9中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0086】
マイクロアクチュエータ31がマイクロアクチュエータ21と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0087】
マイクロアクチュエータ21がローレンツ力及び静電力の両方を駆動力とするように構成されていたのに対し、マイクロアクチュエータ31は、ローレンツ力のみを駆動力とするように構成されている。すなわち、マイクロアクチュエータ31では、Al膜143は、マイクロアクチュエータ21においてAl膜142が形成されていた領域にも及ぶように、形成されている。また、マイクロアクチュエータ31では、マイクロアクチュエータ21において形成されていた一方の個別脚部122b,123bが除去されている。さらに、マイクロアクチュエータ31に対しては、マイクロアクチュエータ21に対して基板121上に設けられていた固定電極128が、設けられていない。
【0088】
また、マイクロアクチュエータ31では、接続部126には、被駆動体として、光スイッチ用ミラー12に代えて、Al、Au、Ni又はその他の金属あるいは不透明の膜からなる可変光減衰器用シャッタ(遮光部材)212が設けられている。シャッタ212として、ミラーを用いることができることは、言うまでもない。
【0089】
図20は、マイクロアクチュエータ31に設けられたシャッタ212による光の減衰状態を模式的に示す概略側面図である。図20において、各部の構造は大幅に簡略化して示している。図20において、K’はシャッタ212の進出位置に対する光路(光ファイバ202,203間の光路)の断面を示している。
【0090】
図20(a)は、マイクロアクチュエータ31に駆動信号(ローレンツ力用電流)が供給されていない状態を示している。この場合、マイクロアクチュエータ31には前記ローレンツ力が作用せず、梁構成部132,134がそれらを構成する膜の応力によって+Z方向に湾曲した状態となっている。図20(a)に示す状態では、シャッタ212は光路K’を全く遮らず、減衰量はほぼ0%となっている。
【0091】
図20(b)は、マイクロアクチュエータ31に中程度のローレンツ力を上向きに発生させる駆動信号(ローレンツ力用電流)が供給されている状態を示している。この場合、中程度の上向きのローレンツ力と梁構成部(板ばね部)132,134のバネ力とが釣り合った位置で停止し、光路K’の下半分程度を遮っている。このため、減衰量は50%程度である。
【0092】
図20(c)は、マイクロアクチュエータ31に大きな上向きのローレンツ力を発生させる駆動信号(ローレンツ力用電流)が供給されている状態を示している。この場合、大きな上向きのローレンツ力と梁構成部(板ばね部)132,134のバネ力とが釣り合った位置で停止し、光路K’を完全に遮っている。このため、減衰量は100%である。
【0093】
本実施の形態によるデバイス201も、前記第1の実施の形態によるデバイス1と同様の製造方法により製造することができる。
【0094】
本実施の形態によるデバイス201も、前記第1の実施の形態に関連して説明した第1又は第2のデバイス検査方法と同様のデバイス検査方法により検査することができる。本実施の形態による光学システムは、このようなデバイス検査方法により検査されたデバイス201が用いられている。
【0095】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0096】
[第3の実施の形態]
【0097】
図21は、本実施の形態の第3の実施の形態による光学システムで用いられているデバイスの単位素子としての1つの光スイッチ(すなわち、1つのマイクロアクチュエータ41及びこれにより駆動される1つのミラー312)を模式的に示す概略平面図であり、図2に対応している。図21において、図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。図22は、図21中のミラー312を模式的に示す概略断面図である。図23は、図22中のA矢視図である。図24は、図21中のミラー312の製造工程のアッシング前の状態を示す上面図である。
【0098】
本実施の形態による光学システムが前記第1の実施の形態による光学システムと異なる所は、デバイス1における単位素子としての1つの光スイッチを、図21に示すように、アクチュエータ21に代わるアクチュエータ41と、ミラー12に代わるミラー312で構成した点のみである。
【0099】
図21に示すアクチュエータ41が図2乃至9に示すアクチュエータ21と異なる所は、アクチュエータ41では、アクチュエータ21において梁構成部133,135及び接続部126,127により囲まれていた開口の領域に、その周囲から下側のSiN膜141及び上側のSiN膜144を2層膜としてそのまま延在させることで、当該領域が塞がれている点のみである。本実施の形態では、この領域に、ミラー312が搭載されるとともに、ミラー312の測定個所P11,P12の前記基体に対する相対的な位置を測定するためのマーク171a〜171eが形成されている。
【0100】
本実施の形態では、マイクロアクチュエータ41及びミラー312の全体が、薄膜で構成されるとともに基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体となっている。
【0101】
本実施の形態では、ミラー312は、図22及び図23に示すように、2本の支持部102と、2本の接続部103と、2本の接続部104と、反射部支持部105と、これらによりアクチュエータ41の前記領域上に支持された反射部101と、を備えている。反射部101はAl膜からなる。反射部101のAl膜の外縁部は、剛性を出すために段差が形成され、縁101aを形成している。支持部102は、窒化シリコン膜102aとAl膜102bとを積層した膜からなり、アクチュエータ41側に窒化シリコン膜102aが位置している。支持部102の基端は凸型に屈曲されて脚部102cを構成している。脚部102cはアクチュエータ41の前記領域に固定されている。支持部102は、窒化シリコン膜102a及びAl膜102bの熱膨張係数の差異によって生ずる応力並びに成膜時に生じた応力により、脚部102cから先端の接続部104まで円弧状に湾曲している。
【0102】
このミラー312では、2本の支持部102に、それぞれ接続部104を介して更に支持部103を接続し、2本の支持部103が反射部支持部105を支持している。反射部支持部105には、反射部101が搭載されている。よって、反射部101は、反射部支持部105により、下側から支えられた構造となる。支持部103は、支持部102と同様に、Al膜103aと窒化シリコン膜103bとを積層した構造であるが、湾曲の向きが支持部102の湾曲の方向とは逆に、上向きに凸となるように、Al膜103aと窒化シリコン膜103bの積層の順が支持部102とは逆になっている。接続部104及び反射部支持部105の外縁部には、剛性を出すために段差がそれぞれ形成され、それぞれ縁104a,105aを形成している。
【0103】
このミラー312では、反射部101がアクチュエータ41の前記領域に対して垂直に起立するように、支持部102,103の長さや各膜の膜厚が定められている。
【0104】
マーク171a〜171eは、図21乃至図24に示すように、Z方向から見たときの、ミラー312の反射部101の−Y側付近においてX軸方向に一列に所定ピッチで配列されている。マーク171a〜171eも、前記マーク161a〜161f,161a’〜161f’と同様に、Al膜等の正方形状のパターンで形成されている。ミラー312の前記基体に対する測定個所P11,P12は、ミラー312の反射部101の2つの上部コーナーとされる。
【0105】
このミラー312の製造方法の一例について、図24乃至図26を参照して説明する。図25(a)〜(c)及び図26(a)〜(c)は、各製造工程を示す断面図であり、図24中のB−B矢視断面に相当している。
【0106】
まず、前記第1の実施の形態に関連して説明したアクチュエータ21の場合と同様の製造工程により、アクチュエータ41が形成された基板を用意する。ただし、アクチュエータ41の製造過程で形成された犠牲層としてのレジスト層は、除去しないでおく。
【0107】
次に、アクチュエータ41の上にAl膜を蒸着又はスパッタ法等によりデポした後に、フォトリソエッチング法により、そのAl膜をマーク171a〜171eの形状にパターニングする。
【0108】
支持部102,103、接続部104、反射部支持部105、反射部101及びマーク171a〜171eは、アクチュエータ41の上に、図24に示すような配置及び形状にパターニングされる。なお、支持部102の窒化シリコン膜102aと、支持部103の窒化シリコン膜103bと、接続部104と、反射部支持部105とが、一層の窒化シリコン膜をパターニングすることにより同時に形成される。まず、アクチュエータ41の上に、レジスト層81を形成し、支持部102の脚部102cを形成すべき位置に、開口81aをフォトリソグラフィーにより形成する(図25(a))。次に、接続部104及び反射部支持部105を形成すべき位置に、レジストアイランド301を形成する(図25(b))。次いで、支持脚103のAl膜103aを成膜し、フォトリソエッチング法により図24の支持部103の形状にパターニングする(図25(c))。その後、窒化シリコン膜とAl膜102bを順に成膜する(図26(a))。成膜したAl膜102bを図19の支持部102の形状にパターニングした後、窒化シリコン膜を、支持部102、接続部104、支持部103及び反射部支持部105の形状にパターニングする(図26(b))。これにより、支持部103の窒化シリコン膜103bと、接続部104と、反射部支持部105とが一度に形成される。
【0109】
続いて、全面にレジスト層302を形成し、反射部支持部105の接続部105bとなる位置に開口を形成し、この上に更に、レジスト層82を形成し、反射部101の縁101aの内側形状部分を残して除去し、レジスト層82をレジストアイランドとする。レジスト層82の反射部支持部105の接続部105bとなる位置に開口を形成した後、全面にAl膜101を成膜して、反射部101の形状にパターニングする(図26(c))。最後に、アッシングにより、犠牲層のレンジスト層81,82,301,302、及び、アクチュエータ41の製造過程で形成されていた犠牲層のレジストを、除去する。これにより、アクチュエータ41が上方に湾曲するとともに、支持部102,103が湾曲して立ち上がり、図22及び図23に示すミラー312を製造することができる。
【0110】
本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様に、マイクロアクチュエータ41が駆動力を受けていない状態で図10(a)に示すのと同様の所期の形状を有していることが重要である。この他に、本実施の形態では、ミラー312の反射部101がマイクロアクチュエータ41の前記領域に対して垂直に立ち上がっていることが重要である。反射部101が垂直でなければ、駆動力を受けていない状態でミラー12は入射光を対応する光出力用光ファイバ3へ適切に導く方向に反射させることができなくなってしまう(図1参照)。
【0111】
そこで、本実施の形態によるデバイスを検査する場合には、前記第1の実施の形態に関連して説明した第1又は第2のデバイス検査方法の場合と同様に、アクチュエータ41に関する測定個所P1〜P3の前記基体(基板121等)に対する相対的な位置を測定する。さらに、ミラー312に関する測定個所P11,P12の前記基体に対する相対的な位置を測定する。測定個所P11,P12の前記基体に対する相対的な位置は、前述した座標測定器を用い、例えば、(a)個別脚部123bのパターンを基準として直接的に測定するか、(b)マーク161a〜161f,161a’〜161f’のいずれかを基準として直接的に測定するか、(c)個別脚部123bのパターンを基準としてマーク171a〜171eのいずれかの基体に対する相対位置を測定するとともに、当該マークを基準とした測定個所P11,P12の相対位置を測定し、両方の測定結果から演算するか、(d)マーク161a〜161f,161a’〜161f’のいずれかを基準としてマーク171a〜171eのいずれかの基体に対する相対位置を測定するとともに、当該マークを基準とした測定個所P11,P12の相対位置を測定し、両方の測定結果から演算する。
【0112】
そして、前記第1の実施の形態に関連して説明した第1又は第2のデバイス検査方法の場合と同様に、測定個所P1〜P3の前記基体(基板121等)に対する相対的な位置に基づいて、アクチュエータ41の形状に関する良否の判定を行う。また、測定個所P11,P12の前記基体に対する相対的な位置に基づいて、ミラー312の形状に関する良否の判定を行う。両者の判定が良の場合に、当該デバイスが良品であると判定すればよい。
【0113】
したがって、このようなデバイス検査方法によれば、アクチュエータ41及びミラー312からなる構造体の全体の形状に関して、当該デバイスの良否を客観的に判定することができる。したがって、前記第1のデバイス検査方法によれば、検査者の熟練が不要となるとともに、従来に比べて精度良くデバイス1の良否を判定することができる。
【0114】
そして、前記(b)又は(d)の手法を採用し、マークを利用して測定個所P11,P12の相対位置を測定すれば、前記(a)又は(c)の手法を採用する場合に比べて、その相対位置の測定精度を高めることができる。これは、各マークの配置によって、マーク161a〜161f,161a’〜161f’のいずれかとマーク171a〜171eのいずれかとの間の距離(Z方向から見た距離)、マーク171a〜171eのいずれかと測定個所P11,P12との間の距離(Z方向から見た距離)を短くすることができ、これにより、前記座標測定器の顕微鏡の倍率を上げても、可動ステージを移動することなく、両者を顕微鏡の同一視野内に入れることができるからである。
【0115】
本実施の形態による光学システムでは、デバイスとして前述したデバイス検査方法により検査されて良品であると判定されたものが用いられている。したがって、本実施の形態による光学システムは、信頼性が高い。
【0116】
本実施の形態によれば、その他にも、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られることは、言うまでもない。
【0117】
[第4の実施の形態]
【0118】
図27は、本実施の形態の第4の実施の形態による光学システムで用いられているデバイスの単位素子としての1つの光スイッチを構成するミラー412を模式的に示す概略断面図であり、図22に対応している。図28は、図27に示すミラー412の製造工程のアッシング前の状態を示す上面図である。図27及び図28において、図22乃至図24中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0119】
本実施の形態による光学システムが前記第3の実施の形態による光学システムと異なる所は、ミラー312を図27及び図28に示すミラー412で置き換えた点と、これに応じて、マーク171a〜171eに代えて、マーク181a〜181c,181a’〜181c’が図27及び図28に示すようにマイクロアクチュエータ41上に形成されている点のみである。
【0120】
このミラー412は、2枚のミラー114,115を2枚重ね合わせて立脚させた構成を有する。2枚のミラー114,115がそれぞれ、反射部101を2本の支持部102によって支持されている。ただし、図28に示すように、製造時のパターニングの差異にミラー114は、反射部101の反射面が凹面となるように縁101aの段差を形成しているのに対し、ミラー115は、反射部101の反射面が凸面となるように縁101aの段差を形成している。また、ミラー114,115の支持部102はいずれも、反射部101を室温で90度以上の角度に傾斜して支持する状態に湾曲するように、膜厚及び長さが設計されている。したがって、犠牲層のレジスト81等を除去すると、2枚のミラー114,115は、支持部102の湾曲により、いずれも90度以上の角度まで傾斜しようとするため、互いに90度の角度に達した位置でぶつかり、傾斜しようとする力がバランスすることにより、2枚の反射部101がマイクロアクチュエータ41に対して垂直な状態で平衡状態となる。このとき、ミラー114,115の反射部101の凹凸形状が互いに噛み合わさってミラー114,115が密着した状態ではずれにくくなる。
【0121】
ミラー412も、ミラー312と同様に、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などのによって製造することができる。
【0122】
本実施の形態では、例えば、ミラー412に関する測定個所P21,P22は、図27及び図28に示すように、ミラー412の上部の両側コーナーとされる。
【0123】
前記第3の実施の形態で述べたデバイス検査方法において、測定個所P11,P12を測定個所P11,P12に置き換えるとともに、マーク171a〜171eをマーク181a〜181c,181a’〜181c’で置き換えたデバイス検査方法によって、本実施の形態によるデバイスを検査することができる。本実施の形態による光学システムでは、このような検査方法で検査されたデバイスが用いられている。
【0124】
本実施の形態によっても、前記第3の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0125】
なお、本発明では、前記第1の実施の形態を変形して前記第3及び第4の実施の形態を得たとのそれぞれ同様の変形を、前記第2の実施の形態に適用してもよい。この場合、第3及び第4の実施の形態で用いた光スイッチ用ミラー312,412は、そのまま可変光減衰器用シャッタとして用いることができる。
【0126】
以上、本発明の各実施の形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】
例えば、前述した実施の形態は光スイッチ及び可変光減衰器に用いられるデバイスの例であったが、本発明によるデバイスの用途等はこれらの例に限定ものではない。
【0128】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、デバイスの良否を熟練を要することなく精度良く判定することができるデバイス検査方法、このデバイス検査方法等に用いるのに好適なデバイス測定方法、このデバイス測定方法に特に適した構造を有するデバイス、並びに、このデバイスや前記デバイス検査方法により検査されたデバイスを用いた光学システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるデバイスを用いた光学システムの一例を模式的に示す概略構成図である。
【図2】図1中のデバイスの単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。
【図3】図2中のX11−X12線に沿った概略断面図である。
【図4】図2中のX13−X14線に沿った概略断面図である。
【図5】図2中のX15−X16線に沿った概略断面図である。
【図6】図2中のY11−Y12線に沿った概略断面図である。
【図7】図2中のY13−Y14線に沿った概略断面図である。
【図8】図2中のY15−Y16線に沿った概略断面図である。
【図9】図2中のY17−Y18線に沿った概略断面図である。
【図10】図2中の光スイッチ用ミラーによる光の切り替え状態を模式的に示す概略側面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態によるデバイスを用いた光学システムの一例を模式的に示す概略構成図である。
【図12】図11中のデバイスが有する可変光減衰器を模式的に示す概略平面図である。
【図13】図12中のX21−X22線に沿った概略断面図である。
【図14】図12中のX23−X24線に沿った概略断面図である。
【図15】図12中のX25−X26線に沿った概略断面図である。
【図16】図12中のY21−Y22線に沿った概略断面図である。
【図17】図12中のY23−Y24線に沿った概略断面図である。
【図18】図12中のY25−Y26線に沿った概略断面図である。
【図19】図12中のY27−Y28線に沿った概略断面図である。
【図20】図11中の可変光減衰器用シャッタによる減衰状態を模式的に示す概略側面図である。
【図21】本実施の形態の第3の実施の形態による光学システムで用いられているデバイスの単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。
【図22】図21中のミラーを模式的に示す概略断面図である。
【図23】図22中のA矢視図である。
【図24】図21中のミラーの製造工程のアッシング前の状態を示す上面図である。
【図25】図21中のミラーの各製造工程を示す概略断面図である。
【図26】図25に引き続く各製造工程を示す概略断面図である。
【図27】本発明の第4の実施の形態による光学システムで用いられるミラーを模式的に示す概略断面図である。
【図28】図27に示すミラーの製造工程のアッシング前の状態を示す上面図である。
【符号の説明】
1,201 デバイス
12,312,313 光スイッチ用ミラー
21,31,41 マイクロアクチュエータ(構造体)
121 基板(基体)
161a〜161f,161a’〜161f’ マーク
171a〜171e,181a〜181c,181a’〜181c’ マーク
212 可変光減衰器用シャッタ
P1〜P3,P11,P12,P21,P22 測定個所

Claims (14)

  1. 基体と、薄膜で構成されるとともに少なくとも一部が前記基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体とを備えるデバイスの検査方法であって、
    前記基体上に設定された基準位置に対する、前記構造体上に設定された所定箇所の相対位置を測定する工程と、
    前記相対位置から求められる前記構造体の形状が予め定めた許容範囲内であるか否かに基づいて、前記デバイスの良否を判定する工程と、
    を有することを特徴とするデバイスの検査方法。
  2. 前記基体上に設定された基準位置が、金属膜または絶縁膜をパターニングして前記基体上に形成されたマークの位置であることを特徴とする請求項1に記載のデバイスの検査方法。
  3. 前記構造体上に設定された所定箇所が、金属膜または絶縁膜をパターニングして前記構造体上に形成されたマークの位置であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデバイスの検査方法。
  4. 前記マークがその中心点に関して実質的に点対称の形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のデバイスの検査方法。
  5. 前記基体上に設定された基準位置と前記構造体上に設定された所定箇所とを、顕微鏡の同一視野内で観察することにより前記相対位置を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のデバイスの検査方法。
  6. 前記同一視野内で観察される前記基準位置と前記所定箇所との距離が150μm以下であることを特徴とする請求項5に記載のデバイスの検査方法。
  7. 基体と、薄膜で構成されるとともに少なくとも一部が前記基体から空間を隔てるように前記基体により支持された構造体とを備えるデバイスの製造方法であって、
    前記基体上に前記構造体を形成する工程と、
    請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の検査方法により前記デバイスの良否を判定する工程と、
    を有することを特徴とするデバイスの製造方法。
  8. 前記構造体は、前記基体に対して固定端が固定された片持ち梁構造体を含むことを特徴とする請求項7に記載のデバイスの製造方法。
  9. 前記片持ち梁構造体がマイクロアクチュエータを構成することを特徴とする請求項8に記載のデバイスの製造方法。
  10. 前記片持ち梁構造体は、固定端と自由端との間に直列に接続された複数の梁構成部を有し、前記片持ち梁構造体が力を受けない状態で、前記複数の梁構成部のうちの一つの梁構成部と他の少なくとも一つの梁構成部とは、前記基体側及びその反対側に対する異なる湾曲・非湾曲状態を持つことを特徴とする請求項9に記載のデバイスの製造方法。
  11. 前記複数の梁構成部のうちの最も固定端側の梁構成部は、板ばね部であり、前記複数の梁構成部のうちの、前記最も固定端側の梁構成部以外の少なくとも一つの梁構成部は、少なくとも前記固定部側及びその反対側に対する撓みに対して実質的に剛性を有する剛性部であることを特徴とする請求項10に記載のデバイスの製造方法。
  12. 前記構造体は光学素子部を含むか、あるいは、前記構造体に光学素子部が搭載されたことを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載のデバイスの製造方法。
  13. 前記光学素子部が光スイッチ用ミラーであることを特徴とする請求項12に記載のデバイスの製造方法。
  14. 前記光学素子部が可変光減衰器用シャッタであることを特徴とする請求項12記載のデバイスの製造方法。
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