以下、本発明による薄膜構造体の製造方法、これに用いられる試料、及び光学装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による光学装置としての光スイッチアレー1を用いた光学システム(本実施の形態では、光スイッチシステム)の一例を模式的に示す概略構成図である。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。図1において、X’軸及びY’軸は、X軸及びY軸をそれぞれZ軸回りに45゜回転した軸を示す。光スイッチアレー1の基板11の主平面がXY平面と平行となっている。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。
この光学システムは、図1に示すように、光スイッチアレー1と、m本の光入力用光ファイバ2と、m本の光出力用光ファイバ3と、n本の光出力用光ファイバ4と、光スイッチアレー1に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号を光スイッチアレー1に供給する制御部としての外部制御回路6と、を備えている。図1に示す例では、m=3、n=3となっているが、m及びnはそれぞれ任意の数でよい。
本実施の形態では、磁石5は、光スイッチアレー1の下側に配置された永久磁石であり、光スイッチアレー1に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石5に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
光スイッチアレー1は、図1に示すように、基板11と、基板11上に配置されたm×n個の光学素子部としての光スイッチ用ミラー31とを備えている。m本の光入力用光ファイバ2は、基板11に対するY’軸方向の一方の側からY’軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。m本の光出力用光ファイバ3は、m本の光入力用光ファイバ2とそれぞれ対向するように基板11に対する他方の側に配置され、光スイッチアレー1のいずれのミラー31によっても反射されずにY’軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。n本の光出力用光ファイバ4は、光スイッチアレー1のいずれかのミラー31により反射されて−X’軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。m×n個のミラー31は、m本の光入力用光ファイバ2の出射光路と光出力用光ファイバ4の入射光路との交差点に対してそれぞれ、後述するマイクロアクチュエータにより進出及び退出可能にZ軸方向に移動し得るように、2次元マトリクス状に基板11上に配置されている。なお、本例では、ミラー31の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてY軸’と45゜をなすY軸と平行となるように設定されている。もっとも、その角度は適宜変更することも可能であり、ミラー31の角度を変更する場合には、その角度に応じて光出力用光ファイバ4の向きを設定すればよい。また、図1は光ビームを空間で交差させてスイッチを行う装置であり、ファイバー端には光ビームとの結合を改善する為に、レンズを挿入することもある。なお、この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
次に、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、説明する。
図2は、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチ(すなわち、1つのマイクロアクチュエータ及びこれにより駆動される1つのミラー31)を模式的に示す概略斜視図である。図3は、この光スイッチを模式的に示す概略断面図である。図3(a)はミラー31が光路から退出した状態、図3(b)はミラー31が光路に進出した状態を示している。
光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチは、図2及び図3に示すように、シリコン基板やガラス基板等の基板11上に設けられ基板11と共にマイクロアクチュエータを構成する可動部としての可動板12と、可動板12に搭載されたミラー部13とを有している。ミラー部13は、光学素子部として、光学膜からなるミラー31を含んでいる。
ここで、可動板12について、図2及び図3の他に、図4及び図5を参照して説明する。図4(a)は図2中の可動板12を示す概略平面図であり、図4(b)は図4(a)中のM−M断面図である。図5は、図2中の可動板12を上から見たときのAl膜22のパターン形状を示す図である。理解を容易にするため、図5において、Al膜22の部分にハッチングを付している。
可動板12は、図4及び図5に示すように、可動板12の平面形状の全体に渡る下側の窒化ケイ素膜(SiN膜)21及び上側のSiN膜23と、これらの膜21,23の間において部分的に形成された中間のAl膜22とから構成されている。すなわち、可動板12は、下から順にSiN膜21,23を積層した2層膜からなる部分と、下から順にSiN膜21、Al膜22及びSiN膜23を積層した3層膜からなる部分とを、併有している。Al膜22のパターン形状は図5に示す通りであるが、これについては後述する。可動板12は、SiN膜21,23とAl膜22との熱膨張係数の差によって生じる内部応力、並びに、成膜時に生じた内部応力により、図3(b)に示すように基板11に対して上向き(+Z方向)に湾曲するように、予め定められた膜厚及び成膜条件によって形成されている。
可動板12は、図2及び図4(a)に示すように、ミラー部13を搭載するための搭載部(すなわち、ミラー部13用の支持基体)としての長方形状のミラー部搭載板12bと、ミラー部搭載板12bの端部に接続された2本の帯状の支持板12cとを含む。支持板12cは、それぞれの端部に脚部12a及び脚部12dを有している。脚部12a及び12dは、いずれも基板11に固定されており、可動板12は、脚部12a及び12dを固定端として、図3(b)に示すように、ミラー部搭載板12b側が持ち上がるようになっている。
可動板12には、図2及び図4(a)に示すように、可動板12のミラー部13を搭載している部分を取り囲むように、凸部24が設けられている。凸部24は、図4(b)に示すように、可動板12を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。この凸部24は、可動板12の支持板12cの一部の領域にも設けられている。このように凸部24を設けることにより、段差が生じるため、可動板12のうち、凸部24で囲まれた領域及び凸部24が設けられた領域は、内部応力による湾曲が抑制され、平面性を維持することができる。このため、可動板12は、図3(a)のように内部応力による湾曲によりミラー部13を上側の位置に持ち上げた状態であっても、ミラー部13を搭載している部分は平面であるため、搭載されているミラー部13の形状を一定に保つことができる。これにより、ミラー部13のミラー31の向きを精度良く一定に維持することができる。
また、凸部24の一部24a,24bは、図4(a)に示すように、可動板12のうちミラー部搭載板12bの中央部に向かって延びている。これにより、凸部24で囲まれたミラー部搭載板12bの中央部の面積が大きい場合であっても、中央部の領域の平面性を維持することができる。また、凸部24の一部24bは、後述する薄膜立体構造体からなるストッパ41の1段目を兼用している。
このように、可動板12は、凸部24が設けられている領域は湾曲が抑制されるが、支持板12cの脚部12dに近い領域は、凸部24が設けられていない。これにより、凸部24が設けられていない支持板12cの領域の湾曲によって、可動板12は、脚部12a,12dを固定端として、図3(b)のように、ミラー部搭載板12b側が持ち上がるようになっている。
ここで、可動板12のAl膜22の形状について、図5を参照して説明する。本実施の形態では、ローレンツ力と静電力の両方を用いて可動板12を駆動するために、図5に示すような形状に、Al膜22をパターニングしている。
Al膜22のうちパターン22aは、2つの脚部12dのうちの一方から、可動板12の外周の縁に沿って延びて可動板12の先端まで到達した後、可動板12の反対側の縁に沿って他方の脚部12dに達するパターンである。このパターン22aは、ローレンツ力により可動板12を駆動する際に、ローレンツ力を生じさせるための電流を流す配線として用いられる。パターン22aは、脚部12dにおいて基板11に設けられた配線(図示せず)と接続され、脚部12dを介して基板11からローレンツ力用駆動信号としての電流が供給される。パターン22aのうち、可動板12の先端の一辺12eに沿ってY軸方向に延びた直線部分が、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路(ローレンツ力用電流路)を構成している。図1に示す磁石5によってローレンツ力用電流路がX軸方向の磁界内に置かれている。したがって、パターン22aに電流を供給すると、ローレンツ力用電流路に、その電流の向きに応じて、+Z方向又は−Z方向のローレンツ力が生ずる。
また、Al膜22のうちパターン22bは、2つの脚部12aのそれぞれから、可動板12の内側の縁に沿って可動板12の先端部まで延び、先端部に配置された長方形状のパターン22dに接続されている。パターン22dもAl膜22のうちのパターンである。パターン22bは、脚部12aにおいて基板11に設けられた配線(図示せず)と接続され、基板11内に設けられた固定電極(図示せず)との間に電圧(静電力用電圧)が印加される。これにより、パターン22b及び22dと基板11の固定電極との間に静電力が生じ、この静電力により可動板12は基板11に引き寄せられる。
本実施の形態では、前記静電力用電圧及びローレンツ力用電流を制御することで、ミラー31が上側位置(基板11と反対側)に保持された状態(図3(b))及びミラー31が下側(基板11側)に保持された状態(図3(a))にすることができる。本実施の形態では、外部制御回路6によってこのような制御が行われるようになっている。図3において、Kは、ミラー31の進出位置に対する入射光の光路の断面を示している。
図3(b)に示すように、前記静電力及び前記ローレンツ力が印加されていない状態では、凸部24が設けられていない支持板12cの領域の膜の応力によって+Z方向に湾曲した状態に復帰し、ミラー31が上側に保持される。これにより、ミラー31が光路Kに進出して、当該光路Kに入射した光を反射させる。この状態から、光路に入射した光をミラー31で反射させずにそのまま通過させる状態(図3(a))に切り替える場合には、例えば、まず、前記ローレンツ力を印加して、凸部24が設けられていない支持板12cの領域の膜の応力に抗してミラー31を下方へ移動させ、ミラー31が基板11側に保持された後、前記静電力を印加してその保持を維持し、前記ローレンツ力の印加を停止させればよい。
次に、ミラー部13の構造について、図2及び図3の他に、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、図2中のミラー部13を示す概略斜視図である。図7(a)は、図2中のミラー部13を示す概略断面図である。図7(b)は、図7(a)中のA矢視図である。
本実施の形態では、ミラー部13は、図2、図3、図6及び図7に示すように、被支持部としての光学膜からなるミラー31の他に、支持基体としてのミラー部搭載板12b上にミラー31を支持し薄膜で構成された支持部を備えている。この支持部は、2本の支持梁(第1の膜部材)32と、2つの接続部34と、2本の支持梁(第2の膜部材)33と、ミラー31を直接的に支持する支持バー35とを有している。ミラー31の接続部31bが支持バー35に固定されている。支持梁32と支持梁33は、例えば、帯状に形成され、いずれも長手方向に円弧状に湾曲している。また、接続部34と支持バー35とミラー31には、剛性を高めるために、縁に段差(折り返し)が形成されている。2本の支持梁32の一方の端部は、脚部32cにより可動板12のミラー部搭載板12bに固定されている。2本の支持梁32の先端には、それぞれ接続部34を介して支持梁33の上端が接続されている。2本の支持梁33は下向きに垂れ下がり、それらの先端は、支持バー35の両端を支持している。支持バー35には、ミラー31が搭載されている。これにより、ミラー31を搭載した支持バー35は、2本の支持梁33によって吊り下げられた構成となっている。
湾曲した支持梁32は、図7(a)に示すようにSiN膜32aとAl膜32bとを積層した2層膜である。一方、支持梁33は、Al膜33aとSiN膜33bとを積層した2層膜である。支持梁32,33は、いずれも、Al膜とSiN膜との熱膨張係数の差異によって生じる応力並びに成膜時に生じる応力によって円弧状に湾曲している。このとき、図6及び図7(a)に示すように、支持梁32は、ミラー部搭載板12bに突出する様に湾曲しているのに対して、支持梁33は、支持梁32とは逆向きに湾曲している。このような湾曲を実現するために、支持梁32は、ミラー部搭載板12b側からSiN膜32a、Al膜32bの順に積層され、支持梁33は、ミラー部搭載板12b側からAl膜33a、SiN膜33bの順に積層されている。
このように支持梁33を支持梁32に対して逆向きに湾曲させることにより、図7(a)のように、ミラー31が支持される位置を、ミラー部搭載板12bに近い低い位置にすることができるとともに、水平方向については、支持梁32の脚部32cに近い位置にミラー31を支持することができる。また、温度変化により支持梁32,33の湾曲状態が変化してもミラー31の位置が大きく変化しにくい。これにより、ミラー31が振動しにくく、ミラー31の位置を安定させることができる。
さらに、可動板12のミラー部搭載板12b上には、図2及び図6に示すように、支持バー35の片面側(脚部32cが配置されている側とは逆の側)に、薄膜で構成された2つのストッパ41が搭載されている。本実施の形態では、ストッパ41は、後述する構造を持つ薄膜立体構造体で構成されているが、このような構造に限定されるものではない。ストッパ41は、支持バー35の両脇を図6中の−Y方向に押して支える位置に配置されている。このようにストッパ41が支持バー35を図6の−Y方向に支えることにより、温度変化により支持梁32,33の湾曲状態が変化しても、ミラー31の位置及び向き(姿勢)を安定して一定に維持することができる。
次に、ストッパ41の構造について、図8(a),(b),(c)を参照して説明する。図8(a)は図6中のストッパ41を示す概略平面図、図8(b)は図8(a)中のB−B’矢視図、図8(c)は図8(a)中のC−C’矢視図である。
本実施の形態では、ストッパ41は、4段の単位構造部材51〜54を積み重ねた構造である。1段目の単位構造部材51は、可動板12のミラー部搭載板12bの凸部24の一部24bと兼用されており、可動板12と一体に構成されている。単位構造部材52,53は、図8(c)に示すように、複数の支持脚61と、平面部62とを有している。平面部62は、両端が支持脚61によって支えられている。2段目の単位構造部材52は、1段目の単位構造部材51上に配置された3つの支持脚61と、3つの支持脚61の間に支持された2つの平面部62とを有する。3段目の単位構造部材53は、2段目の単位構造部材52の2つの平面部62の上にそれぞれ配置された2つの支持脚61と、その間に支持された1つの平面部62とを有する。最上段の4段目の単位構造部材54は、3段目の単位構造部材53の1つの平面部62上に配置された1つの支持脚61を有し、平面部62は有していない。最上段の単位構造部材54は、最下段の単位構造部材51の幅よりも−Y方向に突出する当接部54aを有している。この当接部54aが、図6に示すように支持バー35と当接して−Y方向に押し、支持バー35を支持している。本実施の形態では、支持バー35をストッパ41の当接部54aに押し付ける付勢力は、支持梁32,33の内部応力によるものである。
単位構造部材52,53は、それぞれ連続した一つの膜によって、支持脚61と平面部62とが一体に形成されている。また、単位構造部材54は、連続した一つの膜によって支持脚61と当接部54aとが一体に形成されている。支持脚61は、4つの側面と底面とを有し、これらが連続した膜により形成されている。本実施の形態では、2段目から4段目の単位構造部材52〜54を構成する膜の厚さは、1μm以下、例えば、0.2μm程度である。また、単位構造部材51〜54の高さは、例えば、それぞれ4μmである。よって、ストッパ41の全体の高さは、16μmである。
2段目から4段目の単位構造部材52〜54が互いに接する部分、すなわち支持脚61の底面と、それを搭載する平面部62との間には、特別な接着層は配置されていないが、成膜時に膜同士が固着する力により、固定されている。また、2段目の単位構造部材52の支持脚61のうちの底面は、成膜時に、1段目の単位構造部材51を構成する薄膜の可動板12に固着し、これにより単位構造部材51に固定されている。
2段目及び3段目の単位構造部材52〜53において、複数の支持脚61の間隔は、平面部62がそれ自身の膜応力やその上段の支持脚61から受ける重さによって撓みを生じない程度の間隔であって、かつ、支持脚61を配置可能な面積の平面部62が確保できる間隔となるように定められている。
また、2段目から4段目の単位構造部材52〜54は、膜の周縁部を2回屈曲させることによって形成した段差(折り返し)63を有している。これにより、薄い膜で構成されているにも拘わらず変形しにくく、ストッパ41の剛性を高めている。また、単位構造部材52〜54を構成する膜に内部応力が存在している場合であっても、変形が生じるのを段差63によって防止することができ、立体構造を保持できる。
このように、本実施の形態のストッパ41は、高さがあり、剛性があり、しかも、自重が軽い立体構造体を提供できる。したがって、このストッパ41の構造としてこのような構造を採用することにより、可動板12に負担を与えることなく、温度変化に対してミラー部13の位置及び向きを維持することができる。
単位構造部材51〜54は、可動板12及びミラー部13の構成部材とは、全く別の工程で形成することはもちろん可能である。しかしながら、単位構造部材51を可動板12の一部とするのと同様に、可動板12やミラー部13を構成する部材の成膜時に単位構造部材52〜54を同時に形成することにより、製造工程を大幅に簡略化することができる。本実施の形態では、2段目の単位構造部材52は、支持梁33及び支持梁32を構成する膜を成膜する際に同時に形成した3層膜によって構成する。3段目の単位構造部材53は、ミラー31を構成する膜を成膜する際に同時に形成された薄膜によって構成する。単位構造部材54は、ミラー部13とは別に、SiN膜により形成する。
前述したミラー部13用の支持基体としてのミラー部搭載板12b、被支持部としてのミラー31、ミラー部13におけるミラー31以外の構成要素32〜35からなる支持部、及び、ストッパ41によって構成された薄膜構造体が、本発明の一実施の形態による薄膜構造体に相当している。
本実施の形態では、図面には示していないが、光スイッチアレー1において、前述した単位素子としての光スイッチが複数、基板11上に2次元マトリクスに配置されている。もっとも、本発明では、基板11上に単一の光スイッチのみを搭載した光学装置としてもよい。
以上説明した光スイッチアレー1は、前記特許文献1の図26、図36〜図40に開示された光スイッチを基板上に2次元に配置したものと同様の構造を有している。ただし、本実施の形態による光スイッチアレー1では、以下に説明する製造方法により製造されたものである点で、特許文献1に開示されたものとは異なる。
次に、本発明の一実施の形態による薄膜構造体製造方法を含む、前述した光スイッチアレー1の製造方法の一例について、図9を参照して説明する。図9は、図1中の光スイッチアレー1の製造方法の一例を示す概略フローチャートである。
まず、複数のウエハ100に対して、ストッパ41の最上段の単位構造部材54(したがって、ストッパ41の当接部54a)の形成工程の前まで(後述する図13(c)に示す状態となるまで)、バッチ処理を行う(ステップS1)。後の説明の理解を容易にするため、ウエハ100の1チップ分(1つの光スイッチアレー1分)の形成領域(以下、「チップ領域」という。)Rを、図10に模式的に示す。図面には示していないが、各チップ領域R中には、1つの光スイッチアレー1を構成する単位素子(1つの光スイッチ)の形成領域がそれぞれ複数含まれる。なお、最終製品において、ウエハ100は前述した基板11となる。
ここで、ステップS1のバッチ処理について、1つの単位素子に着目し、図12(a)〜(c)及び図13(a)〜(c)を参照して説明する。支持梁32,33、接続部34、支持バー35、ミラー31及びストッパ41は、図11に示すような配置及び形状にパターニングされる。ただし、図11では、ストッパ41については、単位構造部材54(したがって、ストッパ41の当接部54a)以外の部分が形成され、単位構造部材54が未だ形成されていない状態を模式的に示している。なお、図12(a)〜(c)及び図13(a)〜(c)は、図11中のD−D’線に沿った断面において各製造工程の状態を模式的に示している。
まず、図12(a)に示すように、可動板12を駆動するために必要な配線(図示せず)が形成されたウエハ100上に、犠牲層となるレジスト層101を形成し、脚部12a,12dとなる部分に開口(図示せず)を設ける。また、レジスト層101上に、可動板12の凸部24を設ける部分にレジストアイランド102を形成する。この上に、SiN膜21を成膜し、脚部12a,12bの開口の底部のSiN膜21に孔を形成する。この上にAl膜22を成膜し、図5のパターン22a,22b,22dの形状にパターニングする。さらに、SiN膜23を成膜した後、SiN膜21,23を可動板12の形状にパターニングする。これにより、凸部24の一部を1段目の単位構造部材51とする可動板12が形成される。なお、Al膜22及びSiN膜21,23のパターニングはフォトリソグラフィー及びエッチングの手法により行う。
次に、全体にレジスト層103を形成し、支持梁32の脚部32cを形成すべき位置、及び、ストッパ41の単位構造部材52の支持脚61を形成すべき位置に、開口103a及び開口103bをそれぞれフォトリソグラフィーにより形成する(図12(a))。
次いで、接続部34及び支持バー35を形成すべき位置、並びに、ストッパ41の単位構造部材52を形成すべき位置に、それぞれ、レジストアイランド104及びレジストアイランド105を形成する(図12(b))。このようにレジストアイランド104,105を形成することにより、接続部34、支持バー35及び単位構造部材52の縁に段差を形成することができ、これらの剛性を高めることができる。
その後、支持梁33を構成するAl膜33aを成膜し、フォトリソグラフィー及びエッチングの手法により、図11の支持梁33の形状、及び、単位構造部材51の形状にパターニングする(図12(c))。
次に、SiN膜とAl膜32bとを順に成膜する(図13(a))。成膜したAl膜32bを、図11の支持梁32の形状、及び、単位構造部材52の形状にパターニングする。その後、前記SiN膜を、支持梁32、接続部34、支持梁33、支持バー35及び単位構造部材52の形状にパターニングする(図13(b))。これにより、支持梁33のSiN膜33bと、接続部34と、支持バー35とが、一度に形成される。また、図12(c)と図13(a)の工程により、Al膜、SiN膜、Al膜を順に積層した3層構造の単位構造部材52を形成することができる。
次いで、全面にレジスト層106を形成し、ミラー31の支持バー35に対する接続部31bとなる位置、及び、ストッパ41の単位構造部材53の支持脚61となる位置に、それぞれ開口を形成する。この上に更に、レジスト層107を形成し、ミラー31の縁31aの内側形状部分、及び、単位構造部材53の形状部分を残して除去することにより、レジストアイランドを形成する。さらに、レジスト層107におけるミラー31の接続部31bとなる位置に開口を形成した後、全面にAl膜を成膜して、ミラー31の形状及び単位構造部材53の形状にパターニングする(図13(c))。これにより、ミラー31及び3段目の単位構造部材53を形成することができる。これが、図11の状態である。
図9中のステップS1では、以上説明した工程を、複数のウエハ100に対してバッチ処理で行う。これにより、これらのウエハ100は、この工程までは、同一のロットとなる。このようにして、各ウエハ100の各チップ領域Rの各単位素子領域は、図11及び図13(c)に示す状態となる。
再び図9を参照する。ステップS1の処理を経た同一ロットの複数のウエハ100のうち、1枚のウエハ100を試料用ウエハとし、残りのウエハ100を製品用ウエハとする。
ステップS1の後、試料用ウエハ100に対して、ストッパ41の最上段の4段目の単位構造部材54(したがって、ストッパ41の当接部54a)の形成工程を行う(ステップS2)。すなわち、1つの単位素子(光スイッチ)に着目して説明すると、試料用ウエハ100の全面にレジスト層(図示せず)を形成した後、最上段の単位構造部材54の支持脚61を形成すべき位置に開口を形成し、この上に単位構造部材514の形状にレジストアイランド(図示せず)を形成する。その後、全面にSiN膜を形成し、単位構造部材54の形状にパターニングする。これにより、最上段の単位構造部材54が形成できる。
前記ステップS2において、前記レジスト層における開口の形成はフォトリソグラフィーにより行い、この工程は、開口のパターンを転写する第1のレチクル(図示せず)を用いて前記レジスト層を露光する工程を含む。同様に、前記レジストアイランドの形成もフォトリソグラフィーにより行い、第2のレチクル(図示せず)を用いて、対応するレジスト層を露光する工程を含む。さらに、前記SiN膜を単位構造部材54の形状にパターニングする工程は、フォトリソグラフィー及びエッチングにより行い、単位構造部材54の膜のパターンを転写する第3のレチクル(図示せず)を用いてレジスト層を露光する工程を含む。
本実施の形態では、前記第1乃至第3のレチクルは1つのチップ領域Rをカバーするように構成し、これらのレチクルを用いた露光は、各チップ領域R毎に一括露光して行う。そして、前記第3のレチクルの転写パターンは、1つのチップ内の複数の単位素子について、当該単位素子における単位構造部材54(したがって、当接部54a)の、脚部32c(ミラー支持部のミラー部搭載板12bに対する固定箇所)に対するY軸方向の相対位置が、互いに異なるように構成しておく。また、これに合わせて、前記第1のレチクルの転写パターンは、前記複数の単位素子について当該単位素子における開口のY軸方向の相対位置が互いに異なるように構成するとともに、前記第2のレチクルの転写パターンは、前記複数の単位素子について当該単位素子における前記レジストアイランドの領域のY軸方向の相対位置が互いに異なるように構成しておく。
前記ステップS2において、少なくとも1つのチップ領域Rについて、前記第1乃至第3のレチクルを用いて、複数の単位構造部材54を前述したようにして形成する。ステップS2で形成された1つのチップ領域R内の複数の単位素子の単位構造部材54の当接部54aの位置と、当該単位素子の脚部32cの位置の設定の例を、図14に模式的に示す。図14において、破線で囲んだ部分が1つの単位素子に対応する部分である。この例では、1つのチップ領域R内において、X軸方向に沿って一列に並んだ複数(2つでもよいが、3つ以上が好ましい。)の単位素子に関して、+X側の単位素子ほどその当接部54aと脚部32cとの間のY軸方向の間隔が狭くなるように設定され(すなわち、L1<L2<・・・<Ln)、これらの単位素子の脚部32cはX軸と平行な同一直線上に位置している。このように、X軸方向に並んだ複数の単位素子について、一方の側に配置された単位素子から他方の側に配置された単位素子にかけて当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置が漸次に変化するように設定し、これらの単位素子の脚部32cをX軸と平行な同一直線上に配置すると、後述するステップS4で、当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置と、ミラー31の角度との関係を求める際に、その関係を把握し易くなるので、好ましい。もっとも、本発明では、これに限定されるものではない。
再び図9を参照すると、ステップS2の後の試料用ウエハ100について、アッシングにより、全ての犠牲層のレジスト層101〜107等を除去する(ステップS3)。これにより、試料用ウエハ100が試料として完成する。この試料では、全ての犠牲層が除去されることにより、支持梁32及び支持梁33が湾曲して立ち上がり、図6及び図7に示すように、各単位素子のミラー31が略々垂直に立ち上がり、ミラー31を支持するとともに、支持バー35がストッパ41の最上段の単位構造部材54の当接部54aに接触し、ミラー31がミラー部搭載板12bに対してほぼ垂直に位置決めされる。このときのミラー31のミラー部搭載板12bに対する角度(したがって、基板に対する角度)は、当該単位素子における当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置に依存する。また、可動板12は、脚部12a,12dを固定端として、基板11から立ち上がる(図3(b))。
その後、ステップS3を経て得た試料について、前述した複数の単位素子の基板11の主平面を基準とした(あるいは、当該単位素子におけるミラー部搭載板12bの主平面を基準とした)ミラー31の角度を測定することで、当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置とミラー31の角度との関係を求める(ステップS4)。基板11の主平面を基準としたミラー31の角度とミラー部搭載板12bの主平面を基準としたミラー31の角度とは、実質的に等しいので、いずれの主平面を基準としたミラー31の角度を測定してもよい。ミラー31の角度は、例えば、走査型電子顕微鏡等で適宜の方向から撮った写真から求めることができる。また、例えば、光ビームをミラー31に照射し、ミラー31からの反射光を受光することで、当該反射光の角度に基づいてミラー31の角度を測定してもよい。
前述した方法により実際に作製した試料から求めた当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置との関係の一例を、図15に示す。この例では、当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置として、図11において、支持バー35の+Y側の縁から+Y方向へ1μm離れた位置を基準位置(0μm)とした当接部54aのY軸方向位置を採用し、これを図15の横軸とした。また、図15の縦軸のミラー31の角度は、基板11の主平面を基準とした。図15に示す例では、当接部54aの各位置について、それぞれ3つの単位素子のミラー31の角度をプロットしている。図15の結果から、ミラー31の角度は、当接部54aの位置に対してほぼ直線的に変化していることがわかり、その傾きは1.7deg/μmであった。したがって、例えば、0.1μm単位でシフト露光すれば、0.17deg単位でミラー31の角度を制御でき、0.01μm単位でシフト露光すれば、0.017deg単位でミラー31の角度を制御することが可能となる。
図15の結果を得たときの試料は、基本的に、前述した構造を持つとともに前述した方法で作製したものとした。また、各部の寸法は、図11において、ミラー31のY軸方向の長さを約70μm、ミラー31のX軸方向の長さを約50μm、支持梁32のY軸方向の長さを約70μm、支持梁33のY軸方向の長さを約30μm、接続部34のX軸方向の長さを約30μm、支持梁32,33及び接続部34の幅をそれぞれ約10μmとした。
再び図9を参照すると、ステップS5の後に、ステップS5で得た関係に基づいて、ミラー31のミラー部搭載板12bに対する姿勢が所望の姿勢となるべき、ストッパ41の当接部54aと脚部32cとの相対位置を求め、この相対位置を実現するのに必要な、後述するステップS6で用いる露光シフト量を決定する(ステップS5)。図15の例では、ミラー31の角度が90゜となる姿勢を所望の姿勢とする場合、この相対位置として、前述した基準位置から+Y軸方向に0.73μm離れた位置が求まる。
その後、ステップS1の処理を経た製品用ウエハ100に対して、ストッパ41の最上段の4段目の単位構造部材54(したがって、ストッパ41の当接部54a)の形成工程を行う(ステップS6)。このとき、ステップS5で求めた露光シフト量を用いることで、ステップS5で求めた当接部54aと脚部32cとの相対位置が実現されるように、単位構造部材54を形成する。当接部54aと脚部32cとの相対位置以外については、ステップS6の処理はステップS2の処理と同じ条件で行う。
ステップS6の処理について、1つの単位素子(光スイッチ)に着目して説明すると、試料用ウエハ100の全面にレジスト層(図示せず)を形成した後、最上段の単位構造部材54の支持脚61を形成すべき位置に開口を形成し、この上に単位構造部材514の形状にレジストアイランド(図示せず)を形成する。その後、全面にSiN膜を形成し、単位構造部材54の形状にパターニングする。これにより、最上段の単位構造部材54が形成できる。
前記ステップS6において、前記レジスト層における開口の形成はフォトリソグラフィーにより行い、この工程は、開口のパターンを転写する第4のレチクル(図示せず)を用いて前記レジスト層を露光する工程を含む。同様に、前記レジストアイランドの形成もフォトリソグラフィーにより行い、第5のレチクル(図示せず)を用いて、対応するレジスト層を露光する工程を含む。さらに、前記SiN膜を単位構造部材54の形状にパターニングする工程は、フォトリソグラフィー及びエッチングにより行い、単位構造部材54の膜のパターンを転写する第6のレチクル(図示せず)を用いてレジスト層を露光する工程を含む。
本実施の形態では、前記第4乃至第6のレチクルは1つのチップ領域Rをカバーするように構成し、これらのレチクルを用いた露光は、各チップ領域R毎に一括露光して行う。そして、前記第6のレチクルの転写パターンは、ステップS2で用いた第3のレチクルとは異なり、1つのチップ内の複数の単位素子について、当該単位素子における単位構造部材54(したがって、当接部54a)の、脚部32c(ミラー支持部のミラー部搭載板12bに対する固定箇所)に対するY軸方向の相対位置が、互いに同一になるように構成しておく。また、これに合わせて、前記第4のレチクルの転写パターンは、前記複数の単位素子について当該単位素子における開口のY軸方向の相対位置が互いに同一になるように構成するとともに、前記第5のレチクルの転写パターンは、前記複数の単位素子について当該単位素子における前記レジストアイランドの領域のY軸方向の相対位置が互いに同一になるように構成しておく。
そして、ステップS6では、全てのチップ領域Rについて、前記第4乃至第6のレチクルを用いて各露光工程を行う際に、前記ステップS5で求めた露光シフト量だけ当該レチクルをY軸方向にシフトさせることで、複数の単位構造部材54を前述したようにして形成する。
なお、通常は、製品用ウエハ100は2枚以上であるので、ステップS6はバッチ処理により行うことが好ましい。
次に、ステップS6の後の製品用ウエハ100を切断して各チップに分離する(ステップS7)。
その後、ステップS7で分離されたチップについて、アッシングにより、全ての犠牲層のレジスト層101〜107等を除去する(ステップS8)。これにより、光スイッチアレー1が完成する。この光スイッチアレー1では、全ての犠牲層が除去されることにより、支持梁32及び支持梁33が湾曲して立ち上がり、図6及び図7に示すように、各単位素子のミラー31が略々垂直に立ち上がり、ミラー31を支持するとともに、支持バー35がストッパ41の最上段の単位構造部材54の当接部54aに接触し、ミラー31がミラー部搭載板12bに対してほぼ垂直に位置決めされる。このときのミラー31のミラー部搭載板12bに対する角度(したがって、基板に対する角度)は、全ての単位素子について、精度良く所望の角度(例えば、90゜)となる。また、可動板12は、脚部12a,12dを固定端として、基板11から立ち上がる(図3(b))。
この製造方法により製造された本実施の形態による光スイッチアレー1では、ステップS1〜S3により前記試料を作製し、ステップS4で当該試料を用いて当接部54aと脚部32cとの相対位置との関係を求め、ステップS5で前記関係からミラー31が所望の姿勢となるべき当接部54aと脚部32cとの相対位置を求め、ステップS1,S6によってこの相対位置が実現されるようにミラー支持部(支持梁32,33、接続部34及び支持バー35)が形成されるので、ミラー31を精度良く所望の姿勢にすることができる。実際にこの製造方法により前記所望の角度を90゜として光スイッチアレー1を製造し、この光スイッチアレー1のミラー31の角度を測定した。そのミラー31の角度は所望の角度90゜とほぼ等しい90.1゜であり、ミラー31の姿勢を精度良く所望の姿勢にすることができることが確認された。
また、前記製造方法では、製品としての光スイッチアレー1において、前記第3乃至第6のレチクルをシフトして露光することにより、ミラー31が所望の姿勢となるべき当接部54aと脚部32cとの相対位置を実現するので、前記第3乃至第6のレチクルを当該相対位置に応じて多数作製しておく場合に比べて、より容易かつ安価に光スイッチアレー1を製造することができる。
さらに、前記製造方法では、製品としての光スイッチアレー1と試料とは、ステップS1の段階まではバッチ処理が行われて同一ロットとなっているので、試料を用いて求めた前記関係が、製品としての光スイッチアレー1における前記関係をより精度良く反映することになる。よって、前記製造方法により製造した光スイッチアレー1では、ミラー31をより精度良く所望の姿勢にすることができる。もっとも、本発明では、試料は、製品としての光スイッチアレー1とは、完全に別のロットとなるように製造してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前述した実施の形態では、前記試料における当接部54aの基板11上の位置を、製品としての光スイッチアレー1における当接部54aの基板11上の位置に対して変えることで、複数の単位素子間で当接部54aと脚部32cとの相対位置を変えている。しかし、本発明では、逆に、前記試料における脚部32cの基板11上の位置を、製品としての光スイッチアレー1における脚部32cの基板11上の位置に対して変えることで、複数の単位素子間で当接部54aと脚部32cとの相対位置を変えてもよい。
また、前記実施の形態では、試料において、図14に示すように複数の単位素子の脚部32cをX軸と平行な同一直線上に配置しているが、その代わりに、複数の単位素子の当接部54aをX軸と平行な同一直線上に配置し、一方の側に配置された単位素子から他方の側に配置された単位素子にかけて当接部54aと脚部32cとのY軸方向の相対位置が漸次に変化するように設定してもよい。
さらに、、前述した実施の形態は本発明を光スイッチに適用した例であったが、本発明は、ミラー31に代えて、光の反射率の低い遮光膜や、偏光特性を有する偏光膜や、光波長フィルタ特性を有する光学薄膜などを搭載することにより、光減衰器、偏光器、波長選択器等の種々の光学装置に適用することができる。
また、前述した実施の形態では、基板11上に設けられた薄膜からなるミラー部搭載板12bが支持基体とされ、単位素子毎に支持基体が設けられているが、本発明による薄膜構造体では、基板自体を支持基体としてもよい。この場合の試料は、基板上に基板とは別の支持基体を設けることなく、基板上に、薄膜構造体を構成する支持部及び被支持部の組が複数形成される。
さらに、前述した実施の形態は、本発明の薄膜構造体を、ミラー部搭載板12bに搭載されたミラー部13に適用した例であったが、本発明による薄膜構造体は、前述したような他の光学装置や、その他の種々の用途に用いることができる。
さらにまた、本発明の薄膜構造体は、前記実施の形態で採用されているような構造に限定されるものではない。例えば、前記実施の形態では、ストッパ41の当接部54aには、支持部の一部を構成する支持バー35が当接しているが、被支持部であるミラー51を当接部54aに当接するように構成してもよい。また、前記実施の形態では、ストッパ41の当接部54aの位置が変わることで被支持部であるミラー31の姿勢が変わるが、本発明の薄膜構造体は、ストッパの当接部の位置が変わることで、被支持部の姿勢は変わらないが位置が変わるような構造を有していてもよい。