JP2004004547A - 光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学素子部を搭載している薄膜部材の意図しない変形を抑制し、光学素子部の姿勢のずれを抑制する。
【解決手段】薄膜からなる可動板3のミラー部搭載板3bには、ミラー部が搭載される。可動板3は、ミラー部搭載板3bの変形を抑制する変形抑制構造を有する。この構造として、ミラー部搭載板3bに、応力低減用の抜き穴35が形成される。抜き穴35が形成されることで、ミラー部搭載板3bをを湾曲させようとする応力が小さくなる。
【選択図】 図4
【解決手段】薄膜からなる可動板3のミラー部搭載板3bには、ミラー部が搭載される。可動板3は、ミラー部搭載板3bの変形を抑制する変形抑制構造を有する。この構造として、ミラー部搭載板3bに、応力低減用の抜き穴35が形成される。抜き穴35が形成されることで、ミラー部搭載板3bをを湾曲させようとする応力が小さくなる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜部材に搭載された光学素子部を備えた光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学装置として、微小なミラーをアクチュエータにより移動させて光路中に挿入することにより、光路を切り替える光スイッチが、例えば特許文献1,2において提案されている。これらの光スイッチでは、アクチュエータは可動部としての薄膜部材を有し、この薄膜部材にミラーが固定されている。
【0003】
特許文献1で提案された光スイッチは、マイクロマシニング技術を利用して作製される。この光スイッチでは、前記薄膜部材は、ポリシリコンの単層膜からなり、平面視で矩形の単なる平板として構成され、可動電極板となっている。微小なミラーは、反射面が可動電極板の主平面に対して垂直となるように、可動電極板に固定されている。可動電極板の両端がフレクチュア部(バネ部)を介して基板に対してそれぞれ固定され、両持ち構造を有している。可動電極板と対向する位置には、固定電極が配置されている。可動電極板と固定電極との間に電圧を印加することで生ずる静電力により、可動電極板を移動させる。これにより、微小なミラーを光路中に挿入したり、光路中から取り出したりすることができる。
【0004】
特許文献2で提案された光スイッチでは、前記薄膜部材は板状の片持ち梁を構成し、その固定端が基板に対して固定されている。微小なミラーは、反射面がこの片持ち梁の自由端側の領域の主平面に対して垂直となるように、片持ち梁の自由端側の領域上に固定されている。片持ち梁を静電力により移動させることで、微小なミラーを光路中に挿入したり、光路中から取り出したりすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−42233号公報
【特許文献2】
特開2001−142008号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1,2で提案されたような従来の光スイッチでは、ミラーが所期の姿勢のまま前記薄膜部材に対して固定されることで、ミラーが光路中に挿入されたときに、光路中の光を正しい方向に偏向させることができる。ミラーが所期の姿勢からずれた姿勢で前記薄膜部材に対して固定されると、光路中の光の反射方向がずれてしまい、光スイッチングに伴う光量損失が増大するなどの不都合が生ずる。
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案された光スイッチを実際に作製しようとすると、ミラーの姿勢が所期の姿勢(特許文献1の場合、反射面が可動電極の主平面に対して垂直をなす姿勢)からずれてしまう。これは、次の理由による。一般的に、薄膜を構成する層には、当該層が持つ不均一性などによって、成膜時に生じた応力が存在する。特許文献1で提案された光スイッチでは、前記薄膜部材が、ポリシリコンの単層膜により平面視で矩形の単なる平板として構成されるため、当該単層膜が有する応力により、前記薄膜部材が自然に変形してしまって完全な平板となり得ない。これにより、ミラーの姿勢がずれるのである。特に、前記薄膜部材の寸法が比較的大きくなると、その変形量も大きくなり、ミラーの姿勢のずれも大きくなる。
【0008】
特許文献2には、片持ち梁をなす薄膜部材の具体的な構造や製造方法は開示されていない。特許文献2の場合も、特許文献1の場合と同様に当該薄膜部材を単に単層膜で矩形形状の平板状に構成すると、前述と同様の理由で、ミラーの姿勢が所期の姿勢からずれてしまう。
【0009】
このような事情は、光スイッチに限定されるものではなく、薄膜部材に搭載された光学素子部を有する他の光学装置についても、同様である。例えば、薄膜部材に搭載された光学素子部としてシャッタを用い、このシャッタを光路中に制御された量だけ進出させることで、光量を可変に減衰させる可変光減衰装置の場合、シャッタの姿勢が所期の姿勢からずれると、減衰量を所望の範囲(例えば、0%〜100%)で適切な制御を行うことができなくなるなどの不都合が生ずる。
【0010】
本発明は、光学素子部を搭載している薄膜部材の意図しない変形を抑制し、光学素子部の姿勢のずれを抑制することができる光学装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による光学装置は、薄膜部材と、該薄膜部材に搭載された光学素子部とを、備え、前記薄膜部材は、前記薄膜部材における前記光学素子部を搭載している搭載部の、所期の形状に対する変形を抑制する変形抑制構造を有するものである。
【0012】
本発明の第2の態様による光学装置は、前記第1の態様において、基体と、該基体に対して移動し得る可動部とを備え、前記可動部が前記薄膜部材を含むものである。
【0013】
本発明の第3の態様による光学装置は、前記第1又は第2の態様において、前記所期の形状は、主な面が平面性を持つ形状であるものである。
【0014】
本発明の第4の態様による光学装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部に形成された穴を含むものである。
【0015】
本発明の第5の態様による光学装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部に形成された積層部であって、各層の応力が相互にほぼ相殺されるように複数の層が積層されてなる積層部を、含むものである。
【0016】
本発明の第6の態様による光学装置は、前記第4又は第5の態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部の周縁部付近において前記周縁部の少なくとも一部に沿って形成された段差を含むものである。
【0017】
本発明の第7の態様による光学装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部の周縁部付近において前記周縁部の少なくとも一部に沿って形成された2列以上の凸条部を含むものである。
【0018】
本発明の第8の態様による光学装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記薄膜部材は、前記搭載部において、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路を有するものである。
【0019】
本発明の第9の態様による光学装置は、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、前記光学素子部は、所望の光学特性を有する光学膜と、該光学膜を支持する支持部とを有し、該支持部は、湾曲した膜部材を含み、該膜部材はその一方の端部が前記薄膜部材の前記搭載部に固定され、その他方の端部を前記湾曲により持ち上げることにより、前記光学膜の主平面を前記薄膜部材の前記搭載部の主平面に対して非平行に支持する構成であるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による光学装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
【0022】
図1(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態による光学装置を示す概略断面図である。図1(a)はミラー11が保持されて光路から退出した状態、図1(b)はミラー11が保持されて光路に進出した状態を示している。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。アクチュエータ用基板1の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上、Z軸方向の−側を下という場合がある。なお、図4乃至図11等では、可動板3がアクチュエータ用基板1の面と平行な状態であると仮定してX軸、Y軸及びZ軸を示している。
【0023】
本実施の形態による光学装置は、光スイッチとして構成され、図1に示すような位置関係に配置されたアクチュエータ用基板1及び光導波路基板2を備えている。
【0024】
アクチュエータ用基板1には、この基板1と共にアクチュエータを構成する可動部としての可動板3が設けられている。可動板3には、光学素子部としてのミラー部4が搭載されている。ミラー部4は、光学素子として、光学膜からなるミラー11を含んでいる。後述するように、供給する駆動信号を制御することで、可動板3が下側に位置する状態(図1(a)の状態)と上側に位置する状態(図1(b)の状態)とを、切り替えられるようになっている。
【0025】
図1に示すように、アクチュエータ用基板1の下面には、後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5が設けられている。磁石5は、永久磁石でもよいし、電磁石等でもよい。
【0026】
図2は、図1中の光導波路基板2の一部を模式的に示す概略斜視図である。光導波路基板2には、図2に示すように、光導波路23,24が予め定めた角度で交差するように配置されている。これら光導波路23,24は、光導波路基板2に埋め込まれている。光導波路23と光導波路24とが交差する部分には、ミラー11を挿入するための溝26が設けられている。溝26の開口方向は、図1及び図2に示すように、アクチュエータ用基板1側(下側)に向けられている。この溝26に、図1(b)のように、ミラー11を挿入することにより、交差する光導波路23,24を伝搬する光を反射して、他方の光導波路に入射させ、スイッチング動作を行うことができる。なお、図1及び図2において、23b,24bはそれぞれ、溝26の側面に露出された光導波路23,24の端面である。
【0027】
図3は、図1中のアクチュエータ用基板1、可動板3及びミラー部4を示す概略斜視図である。図4は、図1中の可動板3を示す概略平面図である。図5は、図4中のX1−X2線に沿った概略断面図である。図6は、図4中のX3−X4線に沿った概略断面図である。図7は、図1中の可動板3を上から見たときのAl膜32のパターン形状を示す図である。理解を容易にするため、図7において、Al膜32の部分にハッチングを付している。
【0028】
可動板3は、図5及び図6に示すように、可動板3の平面形状の全体に渡る下側の窒化ケイ素膜(SiN膜)31及び上側のSiN膜33と、これらの膜31,33の間において部分的に形成された中間のAl膜32とから構成されている。すなわち、可動板3は、下から順にSiN膜31,33を積層した2層膜からなる部分と、下から順にSiN膜31、Al膜32及びSiN膜33を積層した3層膜からなる部分とを、併有している。このように、可動板3は薄膜部材となっている。Al膜32のパターン形状は図7に示す通りであるが、これについては後述する。
【0029】
可動板3は、SiN膜31,33とAl膜32との熱膨張係数の差によって生じる内部応力、並びに、成膜時に生じた内部応力により、常温で基板1に対して図1(b)に示すように上向きに湾曲するように、予め定められた膜厚及び成膜条件によって形成されている。
【0030】
可動板3は、図3及び図4に示すように、ミラー部4を搭載するための搭載部としての長方形状のミラー部搭載板3bと、ミラー部搭載板3bの端部に接続された2本の帯状の支持板3cとを含む。支持板3cは、それぞれの端部に脚部3a及び脚部3dを有している。脚部3a及び3dは、いずれも基板1に固定されている。これにより、可動板3は、内部応力により上向きに湾曲することにより、脚部3a,3dを固定端として図1(b)に示すようにミラー部搭載板3b側が持ち上がる。これにより、ミラー部4のミラー11を、図1(b)に示すように、光導波路基板2の溝26に挿入することができる。
【0031】
可動板3には、図3及び図4のようにミラー部搭載板3bの縁に沿って凸部34が設けられている。なお、後述する図8では、凸部34を省略して図示している。凸部34は、図5及び図6に示すように、可動板3を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。この凸部34は、可動板3の支持板3cの一部の領域にも設けられている。なお、支持板3cの脚部3a,3d寄りの領域には、凸部34は設けられていない。
【0032】
本実施の形態では、このように凸部34を設けることにより、ミラー部搭載板3bの周縁部付近においてその周縁部のほぼ全体に沿って段差が形成されている。この段差は、補強構造として作用し、凸部34で囲まれた領域及び凸部34が設けられた領域が内部応力により湾曲するのを抑制し、ミラー部搭載板3bの主な面(上から見た面)の平面性を維持するのに役立つ。すなわち、本実施の形態では、前記段差は、ミラー部搭載板3bの所期の形状(本実施の形態では、ミラー部搭載板3bの主な面が平面性を持つ形状)に対する変形を抑制する変形抑制構造の一部を構成している。
【0033】
しかしながら、ミラー部搭載板3bの寸法が比較的大きい場合、前記段差のみによるだけでは、ミラー部搭載板3bの内部応力による湾曲を十分に抑制しその変形量を十分に抑えることは困難であることが判明した。
【0034】
そこで、本実施の形態では、図4、図5及び図7並びに後述する図8及び図9に示すように、前記変形抑制構造の一部として、ミラー部搭載板3bにおける凸部34で囲まれた領域の中央部に、応力低減用の抜き穴35が形成されている。この抜き穴35の形状は、中央の比較的大きい長方形部分と、この長方形領域から+Y側及び−Y側にそれぞれ延びた短冊状部分とを、合わせた略々十字状とされている。このように抜き穴35を形成せずに、抜き穴35の領域にも、その周囲から連続して、下側のSiN膜31及び上側のSiN膜33からなる2層膜を形成すると、その領域からミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が生ずることになる。これに対し、本実施の形態では、抜き穴35が形成されているので、その分、ミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が小さくなる。したがって、ミラー部搭載板3bの湾曲を十分に抑制することができる。これらの点については、実験例を交えて後に詳述する。なお、抜き穴35は、ミラー部搭載板3bの外形寸法を所定寸法に維持しつつ面積を減らすことにより、ミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力を低減させるものである。よって、抜き穴35の形状や数は何ら限定されるものではなく、複数の抜き穴35を形成してもよい。また、抜き穴35を設けることでミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が低減されるので、必ずしも前記段差を形成する必要はない。
【0035】
支持板3cの脚部3a,3dに近い領域は、凸部34が設けられていないとともに応力を低減させるような他の構造も採用していないため、内部応力によって湾曲する。この領域の湾曲により、可動板3は、脚部3a,3dを固定端として、図1(b)のように、ミラー部搭載板3b側が持ち上がる。このように、平面性を維持したい部分のみに凸部34や抜き穴35を設けることにより、湾曲を利用して可動板3を可動な構成にしながら、必要な部分を平面にすることができる。
【0036】
また、ミラー部搭載板3bには、図4に示すように、後述する薄膜立体構造体6の1段目となる凸部36が形成されている。この凸部36も、凸部34と同様に、可動板3を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。
【0037】
ここで、可動板3のAl膜32の形状について説明する。本実施の形態では、ローレンツ力と静電力の両方を用いて可動板3を駆動するために、図7に示すような形状に、Al膜32をパターニングしている。
【0038】
Al膜32のうちパターン32aは、2つの脚部3dのうちの一方から、可動板3の外周の縁に沿って延びて可動板3の先端まで到達した後、可動板3の反対側の縁に沿って他方の脚部3dに達するパターンである。このパターン32aは、ローレンツ力により可動板3を駆動する際に、ローレンツ力を生じさせるための電流を流す配線として用いられる。パターン32aは、脚部3dにおいて基板1に設けられた配線(図示せず)と接続され、脚部3dを介して基板1から駆動信号としての電流が供給される。パターン32aのうち、可動板3の先端の一辺3eに沿ってX軸方向に延びた直線部分が、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路(ローレンツ力用電流路)を構成している。したがって、このローレンツ力用電流路は、可動板3のミラー部搭載板3bに設けられている。図1中の磁石5が、ローレンツ力用電流路の付近に、Y軸方向の略均一な磁界を発生している。パターン32aに電流を供給すると、ローレンツ力用電流路に、その電流の向きに応じて、+Z方向又は−Z方向のローレンツ力が生ずる。
【0039】
また、Al膜32のうちパターン32bは、2つの脚部3aのそれぞれから、可動板3の内側の縁に沿って可動板3の先端部まで延び、先端部の両側に配置された長方形状の2つのパターン32dにそれぞれ接続されている。また、両側の2つのパターン32bは、ミラー部搭載板3bの−Y側においてX軸方向に延びるパターン32cにより一体に接続されている。パターン32c,32dもAl膜32のパターンである。2つのパターン32dは、基板1内に設けられた固定電極(図示せず)と対向し、当該固定電極との間で静電力を生じ得る可動電極となっている。パターン32bは、脚部3aにおいて基板1に設けられた配線(図示せず)と接続され、基板1の固定電極との間に電圧が印加される。これにより、パターン32dと基板1の固定電極との間に静電力が生ずる。
【0040】
本実施の形態において、可動板3を駆動する場合には、例えば、以下に説明するように、ローレンツ力用電流を脚部3dを介してAl膜32のパターン32aに供給するとともに、静電力用電圧を脚部3aを介してAl膜32のパターン32b,32dに供給する。
【0041】
可動板3を上側に位置する状態(図1(b)の状態)から下側に位置する状態(図1(a)の状態)に引き下げる場合には、まず、ローレンツ力用電流を供給してローレンツ力用電流路に下向きの力を与える。これにより、可動板3が基板1側に徐々に接近し、やがて基板1に接した状態(図1(a)の状態)となる。この状態になった後に、静電力用電圧をAl膜32のパターン32b,32dに供給する。これにより生ずるパターン32dと基板1の固定電極との間の静電力により、可動板3が基板1に接した状態(図1(a)の状態)に保持される。静電力が作用する状態になった後は、ローレンツ力用電流は不要であるので、ローレンツ力用電流をオフにする。また、可動板3を再び上側に位置する状態に変化させる場合には、静電力用電圧をオフにする。これにより、可動板3は、膜の内部応力により持ち上がり図1(b)の状態に変化する。
【0042】
このように、ローレンツ力と静電力とを組み合わせることにより、上側に位置する可動板3を基板1に接するように引きつけるまではローレンツ力を利用し、引きつけた状態を維持するためには静電力を用いることができる。これにより、静電力のみで可動板3を基板1まで引きつける場合と比較して、消費電力を小さくすることができる。
【0043】
次に、ミラー部4の構造について、図1及び図3の他に、図8乃至図10を参照して説明する。
【0044】
図8は、図1中のミラー部4を示す概略斜視図である。前述したように、図8では、凸部34を省略して図示している。図9は、図1中のミラー部4を示す他の角度から見た概略斜視図である。図10(a)は、図1中のミラー部4を示す概略断面図である。図10(b)は、図10(a)中のA矢視図である。
【0045】
本実施の形態では、ミラー部4は、図1、図3、図8乃至図10に示すように、光学膜からなるミラー11の他に、2本の支持部(第1の膜部材)12と、2つの接続部14と、2本の支持部(第2の膜部材)13と、ミラー11を直接的に支持する光学膜支持部15とを有している。支持部12と支持部13は、例えば、帯状に形成され、いずれも長手方向に円弧状に湾曲している。また、接続部14と光学膜支持部15とミラー11には、剛性を高めるために、縁に段差(折り返し)が形成されている。2本の支持部12の一方の端部は、脚部12cにより可動板3のミラー部搭載板3bに固定されている。2本の支持部12の先端には、それぞれ接続部14を介して支持部13の上端が接続されている。2本の支持部13は下向きに垂れ下がり、それらの先端は、光学膜支持部15の両端を支持している。光学膜支持部15には、ミラー11が搭載されている。これにより、ミラー11を搭載した光学膜支持部15は、2本の支持部13によって吊り下げられた構成となっている。
【0046】
湾曲した支持部12は、図10(a)に示すようにSiN膜12aとAl膜12bとを積層した2層膜である。一方、支持部13は、Al膜13aとSiN膜13bとを積層した2層膜である。支持部12,13は、いずれも、Al膜とSiN膜との熱膨張係数の差異によって生じる応力並びに成膜時に生じる応力によって円弧状に湾曲している。このとき、図8、図9、図10(a)に示すように、支持部12は、可動板3に突出する様に湾曲しているのに対して、支持部13は、支持部12とは逆向きに湾曲している。このような湾曲を実現するために、支持部12は、可動板3側からSiN膜12a、Al膜12bの順に積層され、支持部13は、可動板3側からAl膜13a、SiN膜13bの順に積層されている。
【0047】
このように支持部13を支持部12に対して逆向きに湾曲させることにより、図10(a)のように、ミラー11が支持される位置を、可動板3に近い低い位置にすることができるとともに、水平方向については、支持部12の脚部12cに近い位置にミラー11を支持することができる。また、温度変化により支持部12,13の湾曲状態が変化してもミラー11の位置が大きく変化しにくい。これにより、ミラー部4は、ミラー11が振動しにくく、ミラー11の位置を安定させることができる。
【0048】
さらに、可動板3のミラー部搭載板3b上には、図3、図8及び図9に示すように、光学膜支持部15の片面側(脚部12cが配置されている側とは逆の側)に、2つの薄膜立体構造体6がストッパとして搭載されている。薄膜立体構造体6は、光学膜支持部15の両脇を図9中の−X方向に押して支える位置に配置されている。このように薄膜立体構造体6が光学膜支持部15を図9の−X方向に支えることにより、温度変化により支持部12,13の湾曲状態が変化しても、ミラー11の位置及び向きを安定して一定に維持することができる。
【0049】
次に、薄膜立体構造体6の構造について、図11(a),(b),(c)を参照して説明する。図11(a)は図3中の薄膜立体構造体6を示す概略平面図、図11(b)は図11(b)中のB−B’矢視図、図11(c)は図11(a)中のC−C’矢視図である。
【0050】
本実施の形態では、薄膜立体構造体6は、4段の単位構造部材61〜64を積み重ねた構造である。1段目の単位構造部材61は、可動板3のミラー部搭載板3bに形成された前述した凸部36であり、可動板3と一体に構成されている。単位構造部材62,63は、図11(c)に示すように、複数の支持部51と、平面部52とを有している。平面部52は、両端が支持部51によって支えられている。2段目の単位構造部材62は、1段目の単位構造部材61上に配置された3つの支持部51と、3つの支持部51の間に支持された2つの平面部52とを有する。3段目の単位構造部材63は、2段目の単位構造部材62の2つの平面部52の上にそれぞれ配置された2つの支持部51と、その間に支持された1つの平面部52とを有する。最上段の4段目の単位構造部材64は、3段目の単位構造部材63の1つの平面部52上に配置された1つの支持部51を有し、平面部52は有していない。最上段の単位構造部材64は、最下段の単位構造部材61の幅よりも突出する突起部71が備えられている。この突起部71が、図9に示すように光学膜支持部15と接して−X方向に押し、光学膜支持部15を支持している。
【0051】
単位構造部材62,63は、それぞれ連続した一つの膜によって、支持部51と平面部52とが一体に形成されている。また、単位構造部材64は、連続した一つの膜によって支持部と突起部71とが一体に形成されている。支持部51は、4つの側面と底面とを有し、これらが連続した膜により形成されている。本実施の形態では、2段目から4段目の単位構造部材62〜64を構成する膜の厚さは、1μm以下、例えば0.2μm程度である。また、薄膜立体構造体6の高さは、例えば16μmである。
【0052】
2段目から4段目の単位構造部材62〜64が互いに接する部分、すなわち支持部51の底面と、それを搭載する平面部52との間には、特別な接着層は配置されていないが、成膜時に膜同士が固着する力により、固定されている。また、2段目の単位構造部材62の支持部51のうちの底面は、成膜時に、1段目の単位構造部材61(可動板3の凸部36)に固着し、これにより単位構造部材61に固定されている。
【0053】
2段目及び3段目の単位構造部材62〜63において、複数の支持部51の間隔は、平面部52がそれ自身の膜応力やその上段の支持部51から受ける重さによって撓みを生じない程度の間隔であって、かつ、支持部51を配置可能な面積の平面部52が確保できる間隔となるように定められている。
【0054】
また、2段目から4段目の単位構造部材62〜64は、膜の周縁部を2回屈曲させることによって形成した段差(折り返し)53を有している。これにより、0.2μm程度という薄い膜で構成されているにも拘わらず変形しにくく、薄膜立体構造体6の剛性を高めている。また、単位構造部材62〜64を構成する膜に内部応力が存在している場合であっても、変形が生じるのを段差53によって防止することができ、立体構造を保持できる。
【0055】
このように、薄膜立体構造体6は、薄膜で形成されているため、重量が軽く、薄膜(SiN膜)で形成された支持部51であっても平面部52を十分に支持することが可能である。よって、例えば16μmという高さの高い立体構造を、薄膜のみで十分に維持することができる。しかも、上段へ行くほど、支持部の数が減る(2段目:支持部51が3つ→3段目:支持部51が2つ→4段目(最上段):支持部51が1つというピラミッド構造をとっているため、上段に行くほど軽くなり、支持部51の負担を軽減している。
【0056】
このように、本実施の形態の薄膜立体構造体6は、高さがあり、剛性があり、しかも、自重が軽い立体構造体を提供できる。したがって、この薄膜立体構造体6をミラー部4の光学膜支持部15のストッパとして用いることにより、可動板3に負担を与えることなく、温度変化に対してミラー部4の位置を維持することができる。
【0057】
単位構造部材61〜64は、可動板3及びミラー部4の構成部材とは、全く別の工程で形成することはもちろん可能である。しかしながら、単位構造部材61を可動板3の一部とするのと同時に、可動板3やミラー部4を構成する部材の成膜時に単位構造部材62〜64を同時に形成することにより、製造工程を大幅に簡略化することができる。本実施の形態では、2段目の単位構造部材62は、支持部13及び支持部12を構成する膜を成膜する際に同時に形成した3層膜によって構成する。3段目の単位構造部材63は、ミラー11を構成する膜を成膜する際に同時に形成された薄膜によって構成する。単位構造部材64は、ミラー部4とは別に、SiN膜により形成する。
【0058】
次に、可動板3、ミラー部4及び薄膜立体構造体6の製造工程の一例について、図12乃至図14を参照して説明する。図12は、犠牲層の除去前の状態における各部のパターン形状を示す概略平面図である。図13(a)〜(c)及び図14(a)〜(c)は、この製造工程における各工程の状態を模式的に示す概略断面図であり、図12中のD−D’線に沿った断面を示している。この製造工程では、可動板3の抜き穴35、ミラー部4のミラー11、支持部12,13、接続部14、光学膜支持部15、及び、薄膜立体構造体6は、図12のような配置及び形状にパターニングされる。
【0059】
まず、図13(a)に示すように、可動板3を駆動するために必要な配線や固定電極等(図示せず)が形成された基板1上に、犠牲層となるレジスト層79を形成し、脚部3a,3dとなる部分に開口(図示せず)を設ける。また、レジスト層79の上に、可動板3の凸部34,36(61)を設ける部分にレジストアイランド80を形成する。この上に、SiN膜31を成膜し、脚部3a,3dの前記開口の底部のSiN膜31に孔(図示せず)を形成する。この上にAl膜32を成膜し、図7に示すパターン32a〜32dの形状にパターニングする。さらに、SiN膜33を成膜した後、SiN膜31、Al膜32、SiN膜33の3層膜(ただし、Al膜32のない箇所はSiN膜31,33からなる2層膜)を、可動板3の外形にパターニングする。このパターニングの際に、SiN膜31,33からなる2層膜の抜き穴35に相当する部分を除去することで、抜き穴35を同時に形成する。これにより、可動板3の形成段階が終了する。図13(a)はこの状態を示している。なお、Al膜32及びSiN膜31,33のパターニングは、フォトリソグラフィ及びエッチングの手法により行うことができる。
【0060】
次に、全体に犠牲層となるレジスト層81を形成し、支持部12の脚部12cを形成するべき位置、及び、薄膜立体構造体6の単位構造部材62の支持部51を形成すべき位置に、開口81a及び開口81bをそれぞれフォトリソグラフィにより形成する。次いで、接続部14及び光学膜支持部15を形成すべき位置、並びに、薄膜立体構造体6の単位構造部材62を形成すべき位置に、それぞれ、レジストアイランド82及びレジストアイランド83を形成する(図13(b))。このようにレジストアイランド82,83を形成することにより、接続部14、光学膜支持部15、及び、単位構造部材62の縁に段差を形成することができ、これらの剛性を高めることができる。
【0061】
その後、支持部13を構成するAl膜13aを成膜し、フォトリソグラフィとエッチングの手法により、図12に示す支持部13の形状、及び、単位構造部材62の形状にパターニングする(図13(c))。
【0062】
次に、SiN膜とAl膜12bとを順に成膜する(図14(a))。成膜したAl膜12bを図12に示す支持部12の形状、及び、単位構造部材62の形状にパターニングする。さらに、その下のSiN膜を、支持部12、接続部14、支持部13、光学膜支持部15、及び、単位構造部材62の形状にパターニングする(図14(b))。これにより、支持部13のSiN膜13bと、接続部14と、光学膜支持部15とが一度に形成される。また、図13(c)と図14(a)の工程により、Al膜、SiN膜、Al膜を順に積層した3層構造の単位構造部材62を形成することができる。
【0063】
図14(b)の構造体の全面にレジスト層84を形成し、光学膜支持部15の接続部15bとなる位置、及び、薄膜立体構造体6の単位構造部材63の支持部51となる位置に、それぞれ開口を形成する。この上にさらに、レジスト層85を形成し、ミラー11の縁11aの内側形状部分、及び、単位構造部材63の形状部分を残して除去し、レジストアイランドを形成する。さらに、レジスト層82の光学膜支持部15の接続部15bとなる位置、及び、単位構造部材63の支持部51となる位置に開口を形成した後、全面にAl膜11を成膜して、ミラー11の形状、及び、単位構造部材63の形状にパターニングする(図14(c))。これにより、ミラー11、及び、3段目の単位構造部材63を形成することができる。これが、図12の状態である。
【0064】
さらに、全面にレジスト層(図示せず)を形成した後、4段目の単位構造部材64の支持部51を形成すべき位置に開口を形成し、この上に、単位構造部材64の形状にレジストアイランドを形成する。全面にSiN膜を形成、単位構造部材64の形状にパターニングする。これにより、4段目の単位構造部材64が形成できる。
【0065】
最後に、アッシングにより、すべての犠牲層のレジスト層79〜85等を除去する。これにより、支持部12及び支持部13が湾曲して立ち上がり、図8及び図9に示すように、ミラー11がほぼ垂直に立ち上がるとともに、光学膜支持部15が薄膜立体構造体6に接触し、ミラー11が基板1に対してほぼ垂直に位置決めされる。
【0066】
また、可動板3も脚部3a,3dを支持部として、基板1から立ち上がる(図1(b))。これにより、ローレンツ力用電流及び静電力用電圧をAl膜32のパターン32a,32b,32dに与えることにより、ローレンツ力及び静電力によりミラー部4を上下動することが可能になる。
【0067】
このように、第1の実施の形態では、ミラー部4は、薄膜で構成されたミラー11を、薄膜で構成された支持部12,13によりほぼ垂直に支持する構成を有している。よって、ミラー11の反射面を滑らかな面に形成できるため、容易に高い反射率にすることができる。なお、ミラー部4のミラー11は、製造時に可動板3側を向いていた側の面の方が、鏡面度が高く、反射率が高くなる傾向がある。よって、ミラー11の反射面としては、製造時に可動板3側を向いていた面を用いることが好ましいため、図9に示す方向から光が入射するように、ミラー部4を可動板3に搭載することが望ましい。
【0068】
本実施の形態によれば、前述したように、可動板3のミラー部搭載板3bに応力低減用の抜き穴35が形成されているので、抜き穴35を形成した分だけ、ミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が小さくなる。したがって、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、ミラー部搭載板3bの湾曲を十分に抑制することができる。このため、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、可動板3のミラー部搭載板3bに搭載されているミラー部4の姿勢や形状を一定に保つことができ、ミラー11の向きを精度良く一定に維持することができる。
【0069】
本発明者は、前述した効果を、本実施の形態による光学装置の可動板3及びミラー部4のサンプルを実際に製造することにより、確認した。この製造に際し、可動板3を構成する各層の膜厚は、下側のSiN膜31の厚さを0.3μmとした。Al膜32の膜厚は、プロセスの条件により変わるため、可動板3の支持板3cの脚部3a,3d寄りの領域に所望の湾曲が発生するような厚さとした。上側のSiN膜33の膜厚は0.1μmとした。これは、SiN膜33の膜厚をSiN膜31の膜厚と異なる膜厚に設定することで、SiN膜31とAl膜32間で発生する応力差が、SiN膜33の応力によって相殺されないようにするためである。また、ミラー部搭載板3bの外形の寸法は、Y軸方向の長さを約300μm、X軸方向の長さを約150μmとした。
【0070】
また、比較例のサンプルとして、抜き穴35がなく、その領域にSiN膜31,33の2層膜が周囲から連続して形成されている、可動板3及びミラー部4を製造した。比較例のサンプルが本実施の形態のサンプルと異なる所は、抜き穴35が存在するか否かのみであり、他の条件は同一とした。
【0071】
比較例のサンプルでは、ミラー部搭載板3bが上に凸に変形してしまい、しかもその変形量が大きく、ミラー部4の姿勢のずれが大きかった。これに対し、本実施の形態のサンプルでは、ミラー部搭載板3bの変形が十分に抑制され、ミラー部4の姿勢のずれがほとんど認められなかった。
【0072】
本実施の形態では、前述した構造を持つミラー部4を採用することにより、ミラー11の鏡面度を高めて反射率を上げたり、ミラー11を安定して支持したりすることが可能となるという利点が得られる。しかし、このミラー部4は、ミラー11の他に、2本の支持部12、2つの接続部14、2本の支持部13及び光学膜支持部15が設けられているため、ミラー部搭載板3bの外形寸法を比較的大きくせざるを得ない。
【0073】
また、本実施の形態では、前述したように、ローレンツ力を用いることで、消費電力を低減することができるという利点が得られる。しかし、ローレンツ力の大きさをある程度確保するためには、ミラー部搭載板3bに形成したローレンツ力用電流路の長さをある程度長くしなければならず、ミラー部搭載板3bの寸法を比較的大きくせざるを得ない。
【0074】
したがって、前述した構造を持つミラー部4を採用する利点やローレンツ力を用いることの利点を得る上で、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、ミラー部搭載板3bの変形を抑制することができるということの技術的意義は極めて大きい。
【0075】
もっとも、本発明では、必ずしも、前述した構造を持つミラー部4を採用したり、ローレンツ力を用いたりする必要はない。
【0076】
[第2の実施の形態]
【0077】
図15は、本発明の第2の実施の形態による光学装置で用いられる可動板3を示す図であり、図7に対応している。ただし、図15は、Al膜32のパターン32a〜32dの形状に対する積層部90の平面視での位置関係を示している。図16は、図15中のX5−X6線に沿った概略断面図である。図15及び図16において、図5及び図7中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0078】
本実施の形態による光学装置が前記第1の実施の形態による光学装置と異なる所は、可動板3の構造のみである。そして、本実施の形態で用いられている可動板3が第1の実施の形態で用いられている可動板3と異なる所は、前記第1の実施の形態では、ミラー部搭載板3bに抜き穴35が形成されていたのに対し、本実施の形態では、図15に示すように、抜き穴35が形成されずに、その代わりに、積層部90が形成されている点のみである。積層部90は、ミラー部搭載板3bにおいて、Al膜32のパターン32a〜32dにより囲まれた領域のほぼ全体に形成されている。
【0079】
積層部90は、各層の応力が相互にほぼ相殺されるように複数の層が積層されたものである。したがって、これらの層のうちの少なくとも1つの層は、引張応力の特性を示す材料で構成され、他の少なくとも1つの層は、圧縮応力の特性を示す材料で構成される。そして、各層の膜厚及び成膜条件の設定により、各層の応力が相互にほぼ相殺されるようにすることができる。
【0080】
具体的には、本実施の形態では、積層部90は、図16に示すように、下側から順に積層されたAl膜91、SiN膜92、Al膜93及びSiN膜94からなり、4層構造を有している。SiNに対してAl膜は引張応力の特性を示し、一方、SiN膜は圧縮応力の特性を示す。
【0081】
本実施の形態では、SiN膜92は、SiN膜31がそのまま連続して延在したものであり、SiN膜31そのものであるが、説明の便宜上、両者の符号を変えている。同様に、SiN膜94は、SiN膜33がそのまま連続して延在したものである。Al膜93は、Al膜32と同時に成膜されたものであり、本来はAl膜32のパターンの1つであると言える。したがって、膜92〜94は、可動部3の支持板3cの脚部3a.3d寄りの領域が所望の程度湾曲するように、それらの膜厚や成膜条件が設定される。このため、本実施の形態では、膜92〜94に合わせて、Al膜91の膜厚及び成膜条件を設定することで、各層91〜94の応力が相互にほぼ相殺されるようにする。
【0082】
例えば、Al膜93を形成せずに、積層部90を、Al膜91、SiN膜92,93の積層体としてもよい。積層部90の層数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよい。
【0083】
本実施の形態による光学装置の可動板3、ミラー部4及び薄膜立体構造体6の製造工程の一例について、説明する。
【0084】
まず、可動板3を駆動するために必要な配線や固定電極等(図示せず)が形成された基板1上に、犠牲層となる第1のレジスト層を形成し、脚部3a,3dとなる部分に開口を設ける。また、前記第1のレジスト層の上に、可動板3の凸部34,36(61)を設ける部分にレジストアイランドを形成する。この上に、Al膜91を成膜してこれをパターニングする。次いで、SiN膜31を成膜し(したがって、SiN膜92も同時に成膜される。)、脚部3a,3dの前記開口の底部のSiN膜31に孔を形成する。この上にAl膜32を成膜し、図7に示すパターン32a〜32dの形状及びAl膜93の形状にパターニングする。さらに、SiN膜33を成膜した(したがって、SiN膜94も同時に成膜される。)後、これらの膜を可動板3の外形にパターニングする。これにより、可動板3の形成段階が終了する。
【0085】
その後の工程は、前記第1の実施の形態の場合と同一である。
【0086】
本実施の形態によれば、積層部90では、各層の応力がほぼ互いに相殺されるので、積層部90から、ミラー部搭載板3bを変形させようとする応力がほぼ生じない。したがって、ミラー部搭載板3bを変形させようとする応力の観点からは、積層部90の領域に抜き穴を形成したのと同様となる。このため、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、積層部90は、抜き穴と異なり、その上に薄膜立体構造体6等を配置することができるので、薄膜立体構造体6等の配置の自由度が高まる。
【0087】
本発明者は、本実施の形態のサンプルを実際に作製した。このサンプルでは、前述した比較例のサンプルに比べて、ミラー部搭載板3bの変形量が少なくなることが、確認できた。しかしながら、本実施の形態のサンプルでは、変形量は少ないものの、ミラー部搭載板3bには、図15中の右端側(+Y側)が起きあがるような変形が発生した。
【0088】
一方、図17及び図18に示すように、積層部90を短冊状に細かくパターン化して配置することで、図15及び図16に示すような積層部90のパターンを採用する場合に生じた方向の変形も抑えることができることが、確認できた。
【0089】
このように、積層部90のパターンを適宜に設定することで、ミラー部搭載板3bの変形をより低減することができる。
【0090】
なお、図17は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る可動板3を示す図であり、図15に対応している。図18は、図17中のX7−X8線に沿った概略断面図である。図17及び図18において、図15及び図16中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0091】
なお、第2の実施の形態やその変形例では、積層部90を設けることでミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が低減されるので、必ずしも凸部34による段差を形成する必要はない。
【0092】
[第3の実施の形態]
【0093】
図19は、本発明の第3の実施の形態による光学装置で用いられる可動板3を示す図であり、図4に対応している。図20は、図19中のX9−X10線に沿った概略断面図である。図19及び図20において、図4及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0094】
本実施の形態による光学装置が前記第1の実施の形態による光学装置と異なる所は、可動板3の構造のみである。そして、本実施の形態で用いられている可動板3が第1の実施の形態で用いられている可動板3と異なる所は、前記第1の実施の形態では、ミラー部搭載板3bに抜き穴35が形成されていたのに対し、本実施の形態では、図19及び図20に示すように、抜き穴35が形成されていない点と、第1の実施の形態の凸部34の代わりに、本実施の形態では、ミラー部搭載板3bの縁に沿って外周側の凸部34aとそのすぐ内側の凸部34bが設けられている点のみである。
【0095】
本実施の形態では、凸部34aのうちのミラー部搭載板3bの3辺(+X側、−X側及び+Y軸側)に沿った部分、及び、凸部34bのうちのミラー部搭載板3bの前記3辺に沿った部分が、ミラー部搭載板3bの周縁部付近において前記周縁部の一部に沿って形成された2列の凸条部を構成している。
【0096】
本実施の形態によれば、ミラー部搭載板3bの周縁部付近において2列の凸条部が形成されているので、ミラー部搭載板3bの周縁部の剛性がより高まる。したがって、この剛性が、ミラー部搭載板3bにおけるSiN膜31,33の2層膜で発生する応力に対抗し得るようになる。よって、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、ミラー部搭載板3bの変形を抑制することができる。
【0097】
本実施の形態による光学装置の可動板3、ミラー部4及び薄膜立体構造体6を製造する場合には、第1の実施の形態の場合の製造工程を次のように変形すればよい。すなわち、凸部34に合わせてレジストアイランドを形成する代わりに、凸部34a,34bに合わせてレジストアイランドを形成し、また、可動板3の外形のパターニングに際に、抜き穴35に対応する形状をパターンニングしなければよい。
【0098】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0099】
例えば、前記各実施の形態の特徴事項(抜き穴35の形成、積層部90の形成、凸条部の2重化)を、適宜に任意に組み合わせもよい。例えば、ミラー部搭載板3bの一部の領域に抜き穴を形成するとともに、残りの一部の領域に積層部90を形成してもよい。
【0100】
また、前記各実施の形態は本発明を光スイッチに適用した例であったが、本発明は、ミラー11に代えて、光の反射率の低い遮光膜や、偏光特性を有する偏光膜や、光波長フィルタ特性を有する光学薄膜などを搭載することにより、光減衰器、偏光器、波長選択器等の種々の光学装置に適用することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学素子部を搭載している薄膜部材の意図しない変形を抑制し、光学素子部の姿勢のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光学装置の各動作状態を示す概略断面図である。
【図2】図1中の光導波路基板2の一部を模式的に示す概略斜視図である。
【図3】図1中のアクチュエータ用基板、可動板及びミラー部を示す概略斜視図である。
【図4】図1中の可動板を示す概略平面図である。
【図5】図4中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図6】図4中のX3−X4線に沿った概略断面図である。
【図7】図1中の可動板を上から見たときのAl膜のパターン形状を示す図である。
【図8】図1中のミラー部を示す概略斜視図である。
【図9】図1中のミラー部を示す他の角度から見た概略斜視図である。
【図10】図1中のミラー部を示す他の図である。
【図11】図3中の薄膜立体構造体を示す図である。
【図12】犠牲層の除去前の状態における各部のパターン形状を示す概略平面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態による光学装置で用いられている可動板、ミラー部4び薄膜立体構造体の製造方法の各工程を示す図である。
【図14】図13に示す工程に引き続く各工程を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態による光学装置で用いられる可動板を示す図である。
【図16】図15中のX5−X6線に沿った概略断面図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る可動板を示す図である。
【図18】図17中のX7−X8線に沿った概略断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態による光学装置で用いられる可動板を示す図である。
【図20】
図19中のX9−X10線に沿った概略断面図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ用基板
2 光導波路基板
3 可動板
4 ミラー部
5 磁石
6 薄膜立体構造体
11 ミラー
35 抜き穴
90 積層部
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜部材に搭載された光学素子部を備えた光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学装置として、微小なミラーをアクチュエータにより移動させて光路中に挿入することにより、光路を切り替える光スイッチが、例えば特許文献1,2において提案されている。これらの光スイッチでは、アクチュエータは可動部としての薄膜部材を有し、この薄膜部材にミラーが固定されている。
【0003】
特許文献1で提案された光スイッチは、マイクロマシニング技術を利用して作製される。この光スイッチでは、前記薄膜部材は、ポリシリコンの単層膜からなり、平面視で矩形の単なる平板として構成され、可動電極板となっている。微小なミラーは、反射面が可動電極板の主平面に対して垂直となるように、可動電極板に固定されている。可動電極板の両端がフレクチュア部(バネ部)を介して基板に対してそれぞれ固定され、両持ち構造を有している。可動電極板と対向する位置には、固定電極が配置されている。可動電極板と固定電極との間に電圧を印加することで生ずる静電力により、可動電極板を移動させる。これにより、微小なミラーを光路中に挿入したり、光路中から取り出したりすることができる。
【0004】
特許文献2で提案された光スイッチでは、前記薄膜部材は板状の片持ち梁を構成し、その固定端が基板に対して固定されている。微小なミラーは、反射面がこの片持ち梁の自由端側の領域の主平面に対して垂直となるように、片持ち梁の自由端側の領域上に固定されている。片持ち梁を静電力により移動させることで、微小なミラーを光路中に挿入したり、光路中から取り出したりすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−42233号公報
【特許文献2】
特開2001−142008号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1,2で提案されたような従来の光スイッチでは、ミラーが所期の姿勢のまま前記薄膜部材に対して固定されることで、ミラーが光路中に挿入されたときに、光路中の光を正しい方向に偏向させることができる。ミラーが所期の姿勢からずれた姿勢で前記薄膜部材に対して固定されると、光路中の光の反射方向がずれてしまい、光スイッチングに伴う光量損失が増大するなどの不都合が生ずる。
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案された光スイッチを実際に作製しようとすると、ミラーの姿勢が所期の姿勢(特許文献1の場合、反射面が可動電極の主平面に対して垂直をなす姿勢)からずれてしまう。これは、次の理由による。一般的に、薄膜を構成する層には、当該層が持つ不均一性などによって、成膜時に生じた応力が存在する。特許文献1で提案された光スイッチでは、前記薄膜部材が、ポリシリコンの単層膜により平面視で矩形の単なる平板として構成されるため、当該単層膜が有する応力により、前記薄膜部材が自然に変形してしまって完全な平板となり得ない。これにより、ミラーの姿勢がずれるのである。特に、前記薄膜部材の寸法が比較的大きくなると、その変形量も大きくなり、ミラーの姿勢のずれも大きくなる。
【0008】
特許文献2には、片持ち梁をなす薄膜部材の具体的な構造や製造方法は開示されていない。特許文献2の場合も、特許文献1の場合と同様に当該薄膜部材を単に単層膜で矩形形状の平板状に構成すると、前述と同様の理由で、ミラーの姿勢が所期の姿勢からずれてしまう。
【0009】
このような事情は、光スイッチに限定されるものではなく、薄膜部材に搭載された光学素子部を有する他の光学装置についても、同様である。例えば、薄膜部材に搭載された光学素子部としてシャッタを用い、このシャッタを光路中に制御された量だけ進出させることで、光量を可変に減衰させる可変光減衰装置の場合、シャッタの姿勢が所期の姿勢からずれると、減衰量を所望の範囲(例えば、0%〜100%)で適切な制御を行うことができなくなるなどの不都合が生ずる。
【0010】
本発明は、光学素子部を搭載している薄膜部材の意図しない変形を抑制し、光学素子部の姿勢のずれを抑制することができる光学装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による光学装置は、薄膜部材と、該薄膜部材に搭載された光学素子部とを、備え、前記薄膜部材は、前記薄膜部材における前記光学素子部を搭載している搭載部の、所期の形状に対する変形を抑制する変形抑制構造を有するものである。
【0012】
本発明の第2の態様による光学装置は、前記第1の態様において、基体と、該基体に対して移動し得る可動部とを備え、前記可動部が前記薄膜部材を含むものである。
【0013】
本発明の第3の態様による光学装置は、前記第1又は第2の態様において、前記所期の形状は、主な面が平面性を持つ形状であるものである。
【0014】
本発明の第4の態様による光学装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部に形成された穴を含むものである。
【0015】
本発明の第5の態様による光学装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部に形成された積層部であって、各層の応力が相互にほぼ相殺されるように複数の層が積層されてなる積層部を、含むものである。
【0016】
本発明の第6の態様による光学装置は、前記第4又は第5の態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部の周縁部付近において前記周縁部の少なくとも一部に沿って形成された段差を含むものである。
【0017】
本発明の第7の態様による光学装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記変形抑制構造は、前記搭載部の周縁部付近において前記周縁部の少なくとも一部に沿って形成された2列以上の凸条部を含むものである。
【0018】
本発明の第8の態様による光学装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記薄膜部材は、前記搭載部において、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路を有するものである。
【0019】
本発明の第9の態様による光学装置は、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、前記光学素子部は、所望の光学特性を有する光学膜と、該光学膜を支持する支持部とを有し、該支持部は、湾曲した膜部材を含み、該膜部材はその一方の端部が前記薄膜部材の前記搭載部に固定され、その他方の端部を前記湾曲により持ち上げることにより、前記光学膜の主平面を前記薄膜部材の前記搭載部の主平面に対して非平行に支持する構成であるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による光学装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
【0022】
図1(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態による光学装置を示す概略断面図である。図1(a)はミラー11が保持されて光路から退出した状態、図1(b)はミラー11が保持されて光路に進出した状態を示している。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。アクチュエータ用基板1の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上、Z軸方向の−側を下という場合がある。なお、図4乃至図11等では、可動板3がアクチュエータ用基板1の面と平行な状態であると仮定してX軸、Y軸及びZ軸を示している。
【0023】
本実施の形態による光学装置は、光スイッチとして構成され、図1に示すような位置関係に配置されたアクチュエータ用基板1及び光導波路基板2を備えている。
【0024】
アクチュエータ用基板1には、この基板1と共にアクチュエータを構成する可動部としての可動板3が設けられている。可動板3には、光学素子部としてのミラー部4が搭載されている。ミラー部4は、光学素子として、光学膜からなるミラー11を含んでいる。後述するように、供給する駆動信号を制御することで、可動板3が下側に位置する状態(図1(a)の状態)と上側に位置する状態(図1(b)の状態)とを、切り替えられるようになっている。
【0025】
図1に示すように、アクチュエータ用基板1の下面には、後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5が設けられている。磁石5は、永久磁石でもよいし、電磁石等でもよい。
【0026】
図2は、図1中の光導波路基板2の一部を模式的に示す概略斜視図である。光導波路基板2には、図2に示すように、光導波路23,24が予め定めた角度で交差するように配置されている。これら光導波路23,24は、光導波路基板2に埋め込まれている。光導波路23と光導波路24とが交差する部分には、ミラー11を挿入するための溝26が設けられている。溝26の開口方向は、図1及び図2に示すように、アクチュエータ用基板1側(下側)に向けられている。この溝26に、図1(b)のように、ミラー11を挿入することにより、交差する光導波路23,24を伝搬する光を反射して、他方の光導波路に入射させ、スイッチング動作を行うことができる。なお、図1及び図2において、23b,24bはそれぞれ、溝26の側面に露出された光導波路23,24の端面である。
【0027】
図3は、図1中のアクチュエータ用基板1、可動板3及びミラー部4を示す概略斜視図である。図4は、図1中の可動板3を示す概略平面図である。図5は、図4中のX1−X2線に沿った概略断面図である。図6は、図4中のX3−X4線に沿った概略断面図である。図7は、図1中の可動板3を上から見たときのAl膜32のパターン形状を示す図である。理解を容易にするため、図7において、Al膜32の部分にハッチングを付している。
【0028】
可動板3は、図5及び図6に示すように、可動板3の平面形状の全体に渡る下側の窒化ケイ素膜(SiN膜)31及び上側のSiN膜33と、これらの膜31,33の間において部分的に形成された中間のAl膜32とから構成されている。すなわち、可動板3は、下から順にSiN膜31,33を積層した2層膜からなる部分と、下から順にSiN膜31、Al膜32及びSiN膜33を積層した3層膜からなる部分とを、併有している。このように、可動板3は薄膜部材となっている。Al膜32のパターン形状は図7に示す通りであるが、これについては後述する。
【0029】
可動板3は、SiN膜31,33とAl膜32との熱膨張係数の差によって生じる内部応力、並びに、成膜時に生じた内部応力により、常温で基板1に対して図1(b)に示すように上向きに湾曲するように、予め定められた膜厚及び成膜条件によって形成されている。
【0030】
可動板3は、図3及び図4に示すように、ミラー部4を搭載するための搭載部としての長方形状のミラー部搭載板3bと、ミラー部搭載板3bの端部に接続された2本の帯状の支持板3cとを含む。支持板3cは、それぞれの端部に脚部3a及び脚部3dを有している。脚部3a及び3dは、いずれも基板1に固定されている。これにより、可動板3は、内部応力により上向きに湾曲することにより、脚部3a,3dを固定端として図1(b)に示すようにミラー部搭載板3b側が持ち上がる。これにより、ミラー部4のミラー11を、図1(b)に示すように、光導波路基板2の溝26に挿入することができる。
【0031】
可動板3には、図3及び図4のようにミラー部搭載板3bの縁に沿って凸部34が設けられている。なお、後述する図8では、凸部34を省略して図示している。凸部34は、図5及び図6に示すように、可動板3を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。この凸部34は、可動板3の支持板3cの一部の領域にも設けられている。なお、支持板3cの脚部3a,3d寄りの領域には、凸部34は設けられていない。
【0032】
本実施の形態では、このように凸部34を設けることにより、ミラー部搭載板3bの周縁部付近においてその周縁部のほぼ全体に沿って段差が形成されている。この段差は、補強構造として作用し、凸部34で囲まれた領域及び凸部34が設けられた領域が内部応力により湾曲するのを抑制し、ミラー部搭載板3bの主な面(上から見た面)の平面性を維持するのに役立つ。すなわち、本実施の形態では、前記段差は、ミラー部搭載板3bの所期の形状(本実施の形態では、ミラー部搭載板3bの主な面が平面性を持つ形状)に対する変形を抑制する変形抑制構造の一部を構成している。
【0033】
しかしながら、ミラー部搭載板3bの寸法が比較的大きい場合、前記段差のみによるだけでは、ミラー部搭載板3bの内部応力による湾曲を十分に抑制しその変形量を十分に抑えることは困難であることが判明した。
【0034】
そこで、本実施の形態では、図4、図5及び図7並びに後述する図8及び図9に示すように、前記変形抑制構造の一部として、ミラー部搭載板3bにおける凸部34で囲まれた領域の中央部に、応力低減用の抜き穴35が形成されている。この抜き穴35の形状は、中央の比較的大きい長方形部分と、この長方形領域から+Y側及び−Y側にそれぞれ延びた短冊状部分とを、合わせた略々十字状とされている。このように抜き穴35を形成せずに、抜き穴35の領域にも、その周囲から連続して、下側のSiN膜31及び上側のSiN膜33からなる2層膜を形成すると、その領域からミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が生ずることになる。これに対し、本実施の形態では、抜き穴35が形成されているので、その分、ミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が小さくなる。したがって、ミラー部搭載板3bの湾曲を十分に抑制することができる。これらの点については、実験例を交えて後に詳述する。なお、抜き穴35は、ミラー部搭載板3bの外形寸法を所定寸法に維持しつつ面積を減らすことにより、ミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力を低減させるものである。よって、抜き穴35の形状や数は何ら限定されるものではなく、複数の抜き穴35を形成してもよい。また、抜き穴35を設けることでミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が低減されるので、必ずしも前記段差を形成する必要はない。
【0035】
支持板3cの脚部3a,3dに近い領域は、凸部34が設けられていないとともに応力を低減させるような他の構造も採用していないため、内部応力によって湾曲する。この領域の湾曲により、可動板3は、脚部3a,3dを固定端として、図1(b)のように、ミラー部搭載板3b側が持ち上がる。このように、平面性を維持したい部分のみに凸部34や抜き穴35を設けることにより、湾曲を利用して可動板3を可動な構成にしながら、必要な部分を平面にすることができる。
【0036】
また、ミラー部搭載板3bには、図4に示すように、後述する薄膜立体構造体6の1段目となる凸部36が形成されている。この凸部36も、凸部34と同様に、可動板3を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。
【0037】
ここで、可動板3のAl膜32の形状について説明する。本実施の形態では、ローレンツ力と静電力の両方を用いて可動板3を駆動するために、図7に示すような形状に、Al膜32をパターニングしている。
【0038】
Al膜32のうちパターン32aは、2つの脚部3dのうちの一方から、可動板3の外周の縁に沿って延びて可動板3の先端まで到達した後、可動板3の反対側の縁に沿って他方の脚部3dに達するパターンである。このパターン32aは、ローレンツ力により可動板3を駆動する際に、ローレンツ力を生じさせるための電流を流す配線として用いられる。パターン32aは、脚部3dにおいて基板1に設けられた配線(図示せず)と接続され、脚部3dを介して基板1から駆動信号としての電流が供給される。パターン32aのうち、可動板3の先端の一辺3eに沿ってX軸方向に延びた直線部分が、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路(ローレンツ力用電流路)を構成している。したがって、このローレンツ力用電流路は、可動板3のミラー部搭載板3bに設けられている。図1中の磁石5が、ローレンツ力用電流路の付近に、Y軸方向の略均一な磁界を発生している。パターン32aに電流を供給すると、ローレンツ力用電流路に、その電流の向きに応じて、+Z方向又は−Z方向のローレンツ力が生ずる。
【0039】
また、Al膜32のうちパターン32bは、2つの脚部3aのそれぞれから、可動板3の内側の縁に沿って可動板3の先端部まで延び、先端部の両側に配置された長方形状の2つのパターン32dにそれぞれ接続されている。また、両側の2つのパターン32bは、ミラー部搭載板3bの−Y側においてX軸方向に延びるパターン32cにより一体に接続されている。パターン32c,32dもAl膜32のパターンである。2つのパターン32dは、基板1内に設けられた固定電極(図示せず)と対向し、当該固定電極との間で静電力を生じ得る可動電極となっている。パターン32bは、脚部3aにおいて基板1に設けられた配線(図示せず)と接続され、基板1の固定電極との間に電圧が印加される。これにより、パターン32dと基板1の固定電極との間に静電力が生ずる。
【0040】
本実施の形態において、可動板3を駆動する場合には、例えば、以下に説明するように、ローレンツ力用電流を脚部3dを介してAl膜32のパターン32aに供給するとともに、静電力用電圧を脚部3aを介してAl膜32のパターン32b,32dに供給する。
【0041】
可動板3を上側に位置する状態(図1(b)の状態)から下側に位置する状態(図1(a)の状態)に引き下げる場合には、まず、ローレンツ力用電流を供給してローレンツ力用電流路に下向きの力を与える。これにより、可動板3が基板1側に徐々に接近し、やがて基板1に接した状態(図1(a)の状態)となる。この状態になった後に、静電力用電圧をAl膜32のパターン32b,32dに供給する。これにより生ずるパターン32dと基板1の固定電極との間の静電力により、可動板3が基板1に接した状態(図1(a)の状態)に保持される。静電力が作用する状態になった後は、ローレンツ力用電流は不要であるので、ローレンツ力用電流をオフにする。また、可動板3を再び上側に位置する状態に変化させる場合には、静電力用電圧をオフにする。これにより、可動板3は、膜の内部応力により持ち上がり図1(b)の状態に変化する。
【0042】
このように、ローレンツ力と静電力とを組み合わせることにより、上側に位置する可動板3を基板1に接するように引きつけるまではローレンツ力を利用し、引きつけた状態を維持するためには静電力を用いることができる。これにより、静電力のみで可動板3を基板1まで引きつける場合と比較して、消費電力を小さくすることができる。
【0043】
次に、ミラー部4の構造について、図1及び図3の他に、図8乃至図10を参照して説明する。
【0044】
図8は、図1中のミラー部4を示す概略斜視図である。前述したように、図8では、凸部34を省略して図示している。図9は、図1中のミラー部4を示す他の角度から見た概略斜視図である。図10(a)は、図1中のミラー部4を示す概略断面図である。図10(b)は、図10(a)中のA矢視図である。
【0045】
本実施の形態では、ミラー部4は、図1、図3、図8乃至図10に示すように、光学膜からなるミラー11の他に、2本の支持部(第1の膜部材)12と、2つの接続部14と、2本の支持部(第2の膜部材)13と、ミラー11を直接的に支持する光学膜支持部15とを有している。支持部12と支持部13は、例えば、帯状に形成され、いずれも長手方向に円弧状に湾曲している。また、接続部14と光学膜支持部15とミラー11には、剛性を高めるために、縁に段差(折り返し)が形成されている。2本の支持部12の一方の端部は、脚部12cにより可動板3のミラー部搭載板3bに固定されている。2本の支持部12の先端には、それぞれ接続部14を介して支持部13の上端が接続されている。2本の支持部13は下向きに垂れ下がり、それらの先端は、光学膜支持部15の両端を支持している。光学膜支持部15には、ミラー11が搭載されている。これにより、ミラー11を搭載した光学膜支持部15は、2本の支持部13によって吊り下げられた構成となっている。
【0046】
湾曲した支持部12は、図10(a)に示すようにSiN膜12aとAl膜12bとを積層した2層膜である。一方、支持部13は、Al膜13aとSiN膜13bとを積層した2層膜である。支持部12,13は、いずれも、Al膜とSiN膜との熱膨張係数の差異によって生じる応力並びに成膜時に生じる応力によって円弧状に湾曲している。このとき、図8、図9、図10(a)に示すように、支持部12は、可動板3に突出する様に湾曲しているのに対して、支持部13は、支持部12とは逆向きに湾曲している。このような湾曲を実現するために、支持部12は、可動板3側からSiN膜12a、Al膜12bの順に積層され、支持部13は、可動板3側からAl膜13a、SiN膜13bの順に積層されている。
【0047】
このように支持部13を支持部12に対して逆向きに湾曲させることにより、図10(a)のように、ミラー11が支持される位置を、可動板3に近い低い位置にすることができるとともに、水平方向については、支持部12の脚部12cに近い位置にミラー11を支持することができる。また、温度変化により支持部12,13の湾曲状態が変化してもミラー11の位置が大きく変化しにくい。これにより、ミラー部4は、ミラー11が振動しにくく、ミラー11の位置を安定させることができる。
【0048】
さらに、可動板3のミラー部搭載板3b上には、図3、図8及び図9に示すように、光学膜支持部15の片面側(脚部12cが配置されている側とは逆の側)に、2つの薄膜立体構造体6がストッパとして搭載されている。薄膜立体構造体6は、光学膜支持部15の両脇を図9中の−X方向に押して支える位置に配置されている。このように薄膜立体構造体6が光学膜支持部15を図9の−X方向に支えることにより、温度変化により支持部12,13の湾曲状態が変化しても、ミラー11の位置及び向きを安定して一定に維持することができる。
【0049】
次に、薄膜立体構造体6の構造について、図11(a),(b),(c)を参照して説明する。図11(a)は図3中の薄膜立体構造体6を示す概略平面図、図11(b)は図11(b)中のB−B’矢視図、図11(c)は図11(a)中のC−C’矢視図である。
【0050】
本実施の形態では、薄膜立体構造体6は、4段の単位構造部材61〜64を積み重ねた構造である。1段目の単位構造部材61は、可動板3のミラー部搭載板3bに形成された前述した凸部36であり、可動板3と一体に構成されている。単位構造部材62,63は、図11(c)に示すように、複数の支持部51と、平面部52とを有している。平面部52は、両端が支持部51によって支えられている。2段目の単位構造部材62は、1段目の単位構造部材61上に配置された3つの支持部51と、3つの支持部51の間に支持された2つの平面部52とを有する。3段目の単位構造部材63は、2段目の単位構造部材62の2つの平面部52の上にそれぞれ配置された2つの支持部51と、その間に支持された1つの平面部52とを有する。最上段の4段目の単位構造部材64は、3段目の単位構造部材63の1つの平面部52上に配置された1つの支持部51を有し、平面部52は有していない。最上段の単位構造部材64は、最下段の単位構造部材61の幅よりも突出する突起部71が備えられている。この突起部71が、図9に示すように光学膜支持部15と接して−X方向に押し、光学膜支持部15を支持している。
【0051】
単位構造部材62,63は、それぞれ連続した一つの膜によって、支持部51と平面部52とが一体に形成されている。また、単位構造部材64は、連続した一つの膜によって支持部と突起部71とが一体に形成されている。支持部51は、4つの側面と底面とを有し、これらが連続した膜により形成されている。本実施の形態では、2段目から4段目の単位構造部材62〜64を構成する膜の厚さは、1μm以下、例えば0.2μm程度である。また、薄膜立体構造体6の高さは、例えば16μmである。
【0052】
2段目から4段目の単位構造部材62〜64が互いに接する部分、すなわち支持部51の底面と、それを搭載する平面部52との間には、特別な接着層は配置されていないが、成膜時に膜同士が固着する力により、固定されている。また、2段目の単位構造部材62の支持部51のうちの底面は、成膜時に、1段目の単位構造部材61(可動板3の凸部36)に固着し、これにより単位構造部材61に固定されている。
【0053】
2段目及び3段目の単位構造部材62〜63において、複数の支持部51の間隔は、平面部52がそれ自身の膜応力やその上段の支持部51から受ける重さによって撓みを生じない程度の間隔であって、かつ、支持部51を配置可能な面積の平面部52が確保できる間隔となるように定められている。
【0054】
また、2段目から4段目の単位構造部材62〜64は、膜の周縁部を2回屈曲させることによって形成した段差(折り返し)53を有している。これにより、0.2μm程度という薄い膜で構成されているにも拘わらず変形しにくく、薄膜立体構造体6の剛性を高めている。また、単位構造部材62〜64を構成する膜に内部応力が存在している場合であっても、変形が生じるのを段差53によって防止することができ、立体構造を保持できる。
【0055】
このように、薄膜立体構造体6は、薄膜で形成されているため、重量が軽く、薄膜(SiN膜)で形成された支持部51であっても平面部52を十分に支持することが可能である。よって、例えば16μmという高さの高い立体構造を、薄膜のみで十分に維持することができる。しかも、上段へ行くほど、支持部の数が減る(2段目:支持部51が3つ→3段目:支持部51が2つ→4段目(最上段):支持部51が1つというピラミッド構造をとっているため、上段に行くほど軽くなり、支持部51の負担を軽減している。
【0056】
このように、本実施の形態の薄膜立体構造体6は、高さがあり、剛性があり、しかも、自重が軽い立体構造体を提供できる。したがって、この薄膜立体構造体6をミラー部4の光学膜支持部15のストッパとして用いることにより、可動板3に負担を与えることなく、温度変化に対してミラー部4の位置を維持することができる。
【0057】
単位構造部材61〜64は、可動板3及びミラー部4の構成部材とは、全く別の工程で形成することはもちろん可能である。しかしながら、単位構造部材61を可動板3の一部とするのと同時に、可動板3やミラー部4を構成する部材の成膜時に単位構造部材62〜64を同時に形成することにより、製造工程を大幅に簡略化することができる。本実施の形態では、2段目の単位構造部材62は、支持部13及び支持部12を構成する膜を成膜する際に同時に形成した3層膜によって構成する。3段目の単位構造部材63は、ミラー11を構成する膜を成膜する際に同時に形成された薄膜によって構成する。単位構造部材64は、ミラー部4とは別に、SiN膜により形成する。
【0058】
次に、可動板3、ミラー部4及び薄膜立体構造体6の製造工程の一例について、図12乃至図14を参照して説明する。図12は、犠牲層の除去前の状態における各部のパターン形状を示す概略平面図である。図13(a)〜(c)及び図14(a)〜(c)は、この製造工程における各工程の状態を模式的に示す概略断面図であり、図12中のD−D’線に沿った断面を示している。この製造工程では、可動板3の抜き穴35、ミラー部4のミラー11、支持部12,13、接続部14、光学膜支持部15、及び、薄膜立体構造体6は、図12のような配置及び形状にパターニングされる。
【0059】
まず、図13(a)に示すように、可動板3を駆動するために必要な配線や固定電極等(図示せず)が形成された基板1上に、犠牲層となるレジスト層79を形成し、脚部3a,3dとなる部分に開口(図示せず)を設ける。また、レジスト層79の上に、可動板3の凸部34,36(61)を設ける部分にレジストアイランド80を形成する。この上に、SiN膜31を成膜し、脚部3a,3dの前記開口の底部のSiN膜31に孔(図示せず)を形成する。この上にAl膜32を成膜し、図7に示すパターン32a〜32dの形状にパターニングする。さらに、SiN膜33を成膜した後、SiN膜31、Al膜32、SiN膜33の3層膜(ただし、Al膜32のない箇所はSiN膜31,33からなる2層膜)を、可動板3の外形にパターニングする。このパターニングの際に、SiN膜31,33からなる2層膜の抜き穴35に相当する部分を除去することで、抜き穴35を同時に形成する。これにより、可動板3の形成段階が終了する。図13(a)はこの状態を示している。なお、Al膜32及びSiN膜31,33のパターニングは、フォトリソグラフィ及びエッチングの手法により行うことができる。
【0060】
次に、全体に犠牲層となるレジスト層81を形成し、支持部12の脚部12cを形成するべき位置、及び、薄膜立体構造体6の単位構造部材62の支持部51を形成すべき位置に、開口81a及び開口81bをそれぞれフォトリソグラフィにより形成する。次いで、接続部14及び光学膜支持部15を形成すべき位置、並びに、薄膜立体構造体6の単位構造部材62を形成すべき位置に、それぞれ、レジストアイランド82及びレジストアイランド83を形成する(図13(b))。このようにレジストアイランド82,83を形成することにより、接続部14、光学膜支持部15、及び、単位構造部材62の縁に段差を形成することができ、これらの剛性を高めることができる。
【0061】
その後、支持部13を構成するAl膜13aを成膜し、フォトリソグラフィとエッチングの手法により、図12に示す支持部13の形状、及び、単位構造部材62の形状にパターニングする(図13(c))。
【0062】
次に、SiN膜とAl膜12bとを順に成膜する(図14(a))。成膜したAl膜12bを図12に示す支持部12の形状、及び、単位構造部材62の形状にパターニングする。さらに、その下のSiN膜を、支持部12、接続部14、支持部13、光学膜支持部15、及び、単位構造部材62の形状にパターニングする(図14(b))。これにより、支持部13のSiN膜13bと、接続部14と、光学膜支持部15とが一度に形成される。また、図13(c)と図14(a)の工程により、Al膜、SiN膜、Al膜を順に積層した3層構造の単位構造部材62を形成することができる。
【0063】
図14(b)の構造体の全面にレジスト層84を形成し、光学膜支持部15の接続部15bとなる位置、及び、薄膜立体構造体6の単位構造部材63の支持部51となる位置に、それぞれ開口を形成する。この上にさらに、レジスト層85を形成し、ミラー11の縁11aの内側形状部分、及び、単位構造部材63の形状部分を残して除去し、レジストアイランドを形成する。さらに、レジスト層82の光学膜支持部15の接続部15bとなる位置、及び、単位構造部材63の支持部51となる位置に開口を形成した後、全面にAl膜11を成膜して、ミラー11の形状、及び、単位構造部材63の形状にパターニングする(図14(c))。これにより、ミラー11、及び、3段目の単位構造部材63を形成することができる。これが、図12の状態である。
【0064】
さらに、全面にレジスト層(図示せず)を形成した後、4段目の単位構造部材64の支持部51を形成すべき位置に開口を形成し、この上に、単位構造部材64の形状にレジストアイランドを形成する。全面にSiN膜を形成、単位構造部材64の形状にパターニングする。これにより、4段目の単位構造部材64が形成できる。
【0065】
最後に、アッシングにより、すべての犠牲層のレジスト層79〜85等を除去する。これにより、支持部12及び支持部13が湾曲して立ち上がり、図8及び図9に示すように、ミラー11がほぼ垂直に立ち上がるとともに、光学膜支持部15が薄膜立体構造体6に接触し、ミラー11が基板1に対してほぼ垂直に位置決めされる。
【0066】
また、可動板3も脚部3a,3dを支持部として、基板1から立ち上がる(図1(b))。これにより、ローレンツ力用電流及び静電力用電圧をAl膜32のパターン32a,32b,32dに与えることにより、ローレンツ力及び静電力によりミラー部4を上下動することが可能になる。
【0067】
このように、第1の実施の形態では、ミラー部4は、薄膜で構成されたミラー11を、薄膜で構成された支持部12,13によりほぼ垂直に支持する構成を有している。よって、ミラー11の反射面を滑らかな面に形成できるため、容易に高い反射率にすることができる。なお、ミラー部4のミラー11は、製造時に可動板3側を向いていた側の面の方が、鏡面度が高く、反射率が高くなる傾向がある。よって、ミラー11の反射面としては、製造時に可動板3側を向いていた面を用いることが好ましいため、図9に示す方向から光が入射するように、ミラー部4を可動板3に搭載することが望ましい。
【0068】
本実施の形態によれば、前述したように、可動板3のミラー部搭載板3bに応力低減用の抜き穴35が形成されているので、抜き穴35を形成した分だけ、ミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が小さくなる。したがって、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、ミラー部搭載板3bの湾曲を十分に抑制することができる。このため、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、可動板3のミラー部搭載板3bに搭載されているミラー部4の姿勢や形状を一定に保つことができ、ミラー11の向きを精度良く一定に維持することができる。
【0069】
本発明者は、前述した効果を、本実施の形態による光学装置の可動板3及びミラー部4のサンプルを実際に製造することにより、確認した。この製造に際し、可動板3を構成する各層の膜厚は、下側のSiN膜31の厚さを0.3μmとした。Al膜32の膜厚は、プロセスの条件により変わるため、可動板3の支持板3cの脚部3a,3d寄りの領域に所望の湾曲が発生するような厚さとした。上側のSiN膜33の膜厚は0.1μmとした。これは、SiN膜33の膜厚をSiN膜31の膜厚と異なる膜厚に設定することで、SiN膜31とAl膜32間で発生する応力差が、SiN膜33の応力によって相殺されないようにするためである。また、ミラー部搭載板3bの外形の寸法は、Y軸方向の長さを約300μm、X軸方向の長さを約150μmとした。
【0070】
また、比較例のサンプルとして、抜き穴35がなく、その領域にSiN膜31,33の2層膜が周囲から連続して形成されている、可動板3及びミラー部4を製造した。比較例のサンプルが本実施の形態のサンプルと異なる所は、抜き穴35が存在するか否かのみであり、他の条件は同一とした。
【0071】
比較例のサンプルでは、ミラー部搭載板3bが上に凸に変形してしまい、しかもその変形量が大きく、ミラー部4の姿勢のずれが大きかった。これに対し、本実施の形態のサンプルでは、ミラー部搭載板3bの変形が十分に抑制され、ミラー部4の姿勢のずれがほとんど認められなかった。
【0072】
本実施の形態では、前述した構造を持つミラー部4を採用することにより、ミラー11の鏡面度を高めて反射率を上げたり、ミラー11を安定して支持したりすることが可能となるという利点が得られる。しかし、このミラー部4は、ミラー11の他に、2本の支持部12、2つの接続部14、2本の支持部13及び光学膜支持部15が設けられているため、ミラー部搭載板3bの外形寸法を比較的大きくせざるを得ない。
【0073】
また、本実施の形態では、前述したように、ローレンツ力を用いることで、消費電力を低減することができるという利点が得られる。しかし、ローレンツ力の大きさをある程度確保するためには、ミラー部搭載板3bに形成したローレンツ力用電流路の長さをある程度長くしなければならず、ミラー部搭載板3bの寸法を比較的大きくせざるを得ない。
【0074】
したがって、前述した構造を持つミラー部4を採用する利点やローレンツ力を用いることの利点を得る上で、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、ミラー部搭載板3bの変形を抑制することができるということの技術的意義は極めて大きい。
【0075】
もっとも、本発明では、必ずしも、前述した構造を持つミラー部4を採用したり、ローレンツ力を用いたりする必要はない。
【0076】
[第2の実施の形態]
【0077】
図15は、本発明の第2の実施の形態による光学装置で用いられる可動板3を示す図であり、図7に対応している。ただし、図15は、Al膜32のパターン32a〜32dの形状に対する積層部90の平面視での位置関係を示している。図16は、図15中のX5−X6線に沿った概略断面図である。図15及び図16において、図5及び図7中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0078】
本実施の形態による光学装置が前記第1の実施の形態による光学装置と異なる所は、可動板3の構造のみである。そして、本実施の形態で用いられている可動板3が第1の実施の形態で用いられている可動板3と異なる所は、前記第1の実施の形態では、ミラー部搭載板3bに抜き穴35が形成されていたのに対し、本実施の形態では、図15に示すように、抜き穴35が形成されずに、その代わりに、積層部90が形成されている点のみである。積層部90は、ミラー部搭載板3bにおいて、Al膜32のパターン32a〜32dにより囲まれた領域のほぼ全体に形成されている。
【0079】
積層部90は、各層の応力が相互にほぼ相殺されるように複数の層が積層されたものである。したがって、これらの層のうちの少なくとも1つの層は、引張応力の特性を示す材料で構成され、他の少なくとも1つの層は、圧縮応力の特性を示す材料で構成される。そして、各層の膜厚及び成膜条件の設定により、各層の応力が相互にほぼ相殺されるようにすることができる。
【0080】
具体的には、本実施の形態では、積層部90は、図16に示すように、下側から順に積層されたAl膜91、SiN膜92、Al膜93及びSiN膜94からなり、4層構造を有している。SiNに対してAl膜は引張応力の特性を示し、一方、SiN膜は圧縮応力の特性を示す。
【0081】
本実施の形態では、SiN膜92は、SiN膜31がそのまま連続して延在したものであり、SiN膜31そのものであるが、説明の便宜上、両者の符号を変えている。同様に、SiN膜94は、SiN膜33がそのまま連続して延在したものである。Al膜93は、Al膜32と同時に成膜されたものであり、本来はAl膜32のパターンの1つであると言える。したがって、膜92〜94は、可動部3の支持板3cの脚部3a.3d寄りの領域が所望の程度湾曲するように、それらの膜厚や成膜条件が設定される。このため、本実施の形態では、膜92〜94に合わせて、Al膜91の膜厚及び成膜条件を設定することで、各層91〜94の応力が相互にほぼ相殺されるようにする。
【0082】
例えば、Al膜93を形成せずに、積層部90を、Al膜91、SiN膜92,93の積層体としてもよい。積層部90の層数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよい。
【0083】
本実施の形態による光学装置の可動板3、ミラー部4及び薄膜立体構造体6の製造工程の一例について、説明する。
【0084】
まず、可動板3を駆動するために必要な配線や固定電極等(図示せず)が形成された基板1上に、犠牲層となる第1のレジスト層を形成し、脚部3a,3dとなる部分に開口を設ける。また、前記第1のレジスト層の上に、可動板3の凸部34,36(61)を設ける部分にレジストアイランドを形成する。この上に、Al膜91を成膜してこれをパターニングする。次いで、SiN膜31を成膜し(したがって、SiN膜92も同時に成膜される。)、脚部3a,3dの前記開口の底部のSiN膜31に孔を形成する。この上にAl膜32を成膜し、図7に示すパターン32a〜32dの形状及びAl膜93の形状にパターニングする。さらに、SiN膜33を成膜した(したがって、SiN膜94も同時に成膜される。)後、これらの膜を可動板3の外形にパターニングする。これにより、可動板3の形成段階が終了する。
【0085】
その後の工程は、前記第1の実施の形態の場合と同一である。
【0086】
本実施の形態によれば、積層部90では、各層の応力がほぼ互いに相殺されるので、積層部90から、ミラー部搭載板3bを変形させようとする応力がほぼ生じない。したがって、ミラー部搭載板3bを変形させようとする応力の観点からは、積層部90の領域に抜き穴を形成したのと同様となる。このため、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、積層部90は、抜き穴と異なり、その上に薄膜立体構造体6等を配置することができるので、薄膜立体構造体6等の配置の自由度が高まる。
【0087】
本発明者は、本実施の形態のサンプルを実際に作製した。このサンプルでは、前述した比較例のサンプルに比べて、ミラー部搭載板3bの変形量が少なくなることが、確認できた。しかしながら、本実施の形態のサンプルでは、変形量は少ないものの、ミラー部搭載板3bには、図15中の右端側(+Y側)が起きあがるような変形が発生した。
【0088】
一方、図17及び図18に示すように、積層部90を短冊状に細かくパターン化して配置することで、図15及び図16に示すような積層部90のパターンを採用する場合に生じた方向の変形も抑えることができることが、確認できた。
【0089】
このように、積層部90のパターンを適宜に設定することで、ミラー部搭載板3bの変形をより低減することができる。
【0090】
なお、図17は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る可動板3を示す図であり、図15に対応している。図18は、図17中のX7−X8線に沿った概略断面図である。図17及び図18において、図15及び図16中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0091】
なお、第2の実施の形態やその変形例では、積層部90を設けることでミラー部搭載板3bを湾曲させようとする応力が低減されるので、必ずしも凸部34による段差を形成する必要はない。
【0092】
[第3の実施の形態]
【0093】
図19は、本発明の第3の実施の形態による光学装置で用いられる可動板3を示す図であり、図4に対応している。図20は、図19中のX9−X10線に沿った概略断面図である。図19及び図20において、図4及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0094】
本実施の形態による光学装置が前記第1の実施の形態による光学装置と異なる所は、可動板3の構造のみである。そして、本実施の形態で用いられている可動板3が第1の実施の形態で用いられている可動板3と異なる所は、前記第1の実施の形態では、ミラー部搭載板3bに抜き穴35が形成されていたのに対し、本実施の形態では、図19及び図20に示すように、抜き穴35が形成されていない点と、第1の実施の形態の凸部34の代わりに、本実施の形態では、ミラー部搭載板3bの縁に沿って外周側の凸部34aとそのすぐ内側の凸部34bが設けられている点のみである。
【0095】
本実施の形態では、凸部34aのうちのミラー部搭載板3bの3辺(+X側、−X側及び+Y軸側)に沿った部分、及び、凸部34bのうちのミラー部搭載板3bの前記3辺に沿った部分が、ミラー部搭載板3bの周縁部付近において前記周縁部の一部に沿って形成された2列の凸条部を構成している。
【0096】
本実施の形態によれば、ミラー部搭載板3bの周縁部付近において2列の凸条部が形成されているので、ミラー部搭載板3bの周縁部の剛性がより高まる。したがって、この剛性が、ミラー部搭載板3bにおけるSiN膜31,33の2層膜で発生する応力に対抗し得るようになる。よって、ミラー部搭載板3bの外形寸法を小さくしなくても、ミラー部搭載板3bの変形を抑制することができる。
【0097】
本実施の形態による光学装置の可動板3、ミラー部4及び薄膜立体構造体6を製造する場合には、第1の実施の形態の場合の製造工程を次のように変形すればよい。すなわち、凸部34に合わせてレジストアイランドを形成する代わりに、凸部34a,34bに合わせてレジストアイランドを形成し、また、可動板3の外形のパターニングに際に、抜き穴35に対応する形状をパターンニングしなければよい。
【0098】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0099】
例えば、前記各実施の形態の特徴事項(抜き穴35の形成、積層部90の形成、凸条部の2重化)を、適宜に任意に組み合わせもよい。例えば、ミラー部搭載板3bの一部の領域に抜き穴を形成するとともに、残りの一部の領域に積層部90を形成してもよい。
【0100】
また、前記各実施の形態は本発明を光スイッチに適用した例であったが、本発明は、ミラー11に代えて、光の反射率の低い遮光膜や、偏光特性を有する偏光膜や、光波長フィルタ特性を有する光学薄膜などを搭載することにより、光減衰器、偏光器、波長選択器等の種々の光学装置に適用することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学素子部を搭載している薄膜部材の意図しない変形を抑制し、光学素子部の姿勢のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光学装置の各動作状態を示す概略断面図である。
【図2】図1中の光導波路基板2の一部を模式的に示す概略斜視図である。
【図3】図1中のアクチュエータ用基板、可動板及びミラー部を示す概略斜視図である。
【図4】図1中の可動板を示す概略平面図である。
【図5】図4中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図6】図4中のX3−X4線に沿った概略断面図である。
【図7】図1中の可動板を上から見たときのAl膜のパターン形状を示す図である。
【図8】図1中のミラー部を示す概略斜視図である。
【図9】図1中のミラー部を示す他の角度から見た概略斜視図である。
【図10】図1中のミラー部を示す他の図である。
【図11】図3中の薄膜立体構造体を示す図である。
【図12】犠牲層の除去前の状態における各部のパターン形状を示す概略平面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態による光学装置で用いられている可動板、ミラー部4び薄膜立体構造体の製造方法の各工程を示す図である。
【図14】図13に示す工程に引き続く各工程を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態による光学装置で用いられる可動板を示す図である。
【図16】図15中のX5−X6線に沿った概略断面図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る可動板を示す図である。
【図18】図17中のX7−X8線に沿った概略断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態による光学装置で用いられる可動板を示す図である。
【図20】
図19中のX9−X10線に沿った概略断面図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ用基板
2 光導波路基板
3 可動板
4 ミラー部
5 磁石
6 薄膜立体構造体
11 ミラー
35 抜き穴
90 積層部
Claims (9)
- 薄膜部材と、該薄膜部材に搭載された光学素子部とを、備え、
前記薄膜部材は、前記薄膜部材における前記光学素子部を搭載している搭載部の、所期の形状に対する変形を抑制する変形抑制構造を有する、ことを特徴とする光学装置。 - 基体と、該基体に対して移動し得る可動部とを備え、前記可動部が前記薄膜部材を含むことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
- 前記所期の形状は、主な面が平面性を持つ形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学装置。
- 前記変形抑制構造は、前記搭載部に形成された穴を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学装置。
- 前記変形抑制構造は、前記搭載部に形成された積層部であって、各層の応力が相互にほぼ相殺されるように複数の層が積層されてなる積層部を、含むことを特徴とする1乃至4のいずれかに記載の光学装置。
- 前記変形抑制構造は、前記搭載部の周縁部付近において前記周縁部の少なくとも一部に沿って形成された段差を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の光学装置。
- 前記変形抑制構造は、前記搭載部の周縁部付近において前記周縁部の少なくとも一部に沿って形成された2列以上の凸条部を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学装置。
- 前記薄膜部材は、前記搭載部において、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生じる電流路を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学装置。
- 前記光学素子部は、所望の光学特性を有する光学膜と、該光学膜を支持する支持部とを有し、該支持部は、湾曲した膜部材を含み、該膜部材はその一方の端部が前記薄膜部材の前記搭載部に固定され、その他方の端部を前記湾曲により持ち上げることにより、前記光学膜の主平面を前記薄膜部材の前記搭載部の主平面に対して非平行に支持する構成であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学装置。
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